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Key Of The Twilight

632リト ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 14:27:56
境が明確ではないがいつの間にか敷地内を出ていたらしい。一同は木々の茂る森の中を歩く。
そして辿り着いた場所は大きな泉の広がる静かな場所。
アンヘルはその泉を挟んだ向かい岸を指しながら言った。

「あっちは天界。天界と地界へ続くゲートは屋敷にあるんだけど、実を言うと直接行ける。行ってもいいよ?死ぬけど。」

無礼講を申し出て以降、アンヘルの言葉選びが極端になった気がする。たしかに間違いではないが、直接的過ぎる。
リトのそんな戸惑いも知らず、アンヘルは淡々とした表情で「この周囲に実ってる果物は食べない方がいい」と述べた。食べたら「戻れなくなる」らしい。

「道と道を繋げるにはいくつかの方法がある。誰にでも出来る有名な方法と言えば合わせ鏡かな。あと、道を繋げる媒体があっても行ける。今回はこの泉。」

此処は二つの次元が重なる場所であるため、迷い人のいる場の歪みとまでは行かないが、多少の歪みがあるのだそうだ。
そんな中、媒体となり得る泉を利用することで一時的に道を繋げる事が出来るのだと言った。

「で、あとは迷い人の魂を見つけて引き寄せる必要があるんだけど・・・」

アンヘルがそう言いかけたところで三人のもとへ新たな人影が現れた。
人影・・・たしかに人影なのだが、デカイ。
こちらに近づくにつれて影が規格外の大きさになってくる。

「はぁい!少年♪こんな所に来るなんて珍しいじゃない。」

規格外にでかい影の正体は異様な大きさの男であった。そして現れるまで気づかなかったが、その大男の肩に小柄な少女が腰掛けていた。

「叔母さま」

「お姉さまとお呼びなさい、糞ガキ。」

「イヴは自称ルイの妹だから、アンヘルの言葉は間違ってはいない。」

「お黙り」

少女は大男を小突き、ヒョイっと地に降り立った。

「道を繋げてほしい。」

用件を述べるアンヘルへ、少女は「どうせそんなことだろうと思った」と面白くなさそうに唇を尖らせる。

「私に会いたくなったから、とかさ。もっと可愛げのある用事がいいなー。」

「早くして。」

「可愛くなーい!」

用件のみをこなし、無駄話は許さない。実に父親にそっくりである。などと少女は頬を膨らませながらアンヘルへ不平を述べるが、申し出は聞き入れるようだ。
何やら不機嫌にブツブツいいながらも片手を泉に向けて無造作に凪ぐ。
途端、辺りに風が巻き起こり、泉が水柱となって立ち上がった。

「彼女は冥界への扉を守る番人。時空、空間、ありとあらゆる場所に道を繋げることが出来る。もっとも、この力を使う必要があるのは今回みたいなイレギュラーな時だけだけど。」

「見つけたよ。」

少女の声に促されそちらへ目を向ければ、水柱の中に人影が浮かび上がってきた。
アンヘルは"向こう側"の人物へ向かって声を上げる。

「この声が聞こえるか?閻魔の意のもと"こちら側"への訪問を許可する。その身を朽ちさせたくなければこの声に従いまっすぐ進め。」



ヤツキ>>
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