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Key Of The Twilight
642
:
メイヤ
◆.q9WieYUok
:2016/10/26(水) 17:48:31
【冥界】
全部聞こえていた。
サンディの小さな呟きも、続く言葉も。
だが、返す言葉は出ず。
逃げる様に駆け出したサンディを追い掛ける為の一歩も出ない。
「……俺とリトは似ている。
産まれながらに闇と共にある事を決められ、一族に縛られ。
だけど、俺は生きる理由を見つけた。
生きたいと思った、だから。」
しかし、追い掛けなければならない。
時間が無いのは自分だけではない。
この場所に居る以上、二人にも“その時が”来る。
メイヤはリトに言葉を投げた後、アンヘル達にすぐ戻る、と言い残しサンディを追い掛けるべく走り出した。
時間はもう殆ど無い。
足跡を、匂いを追い、メイヤは走る。
そして、サンディの姿を見つけた頃には既にメイヤの身体は血塗れ、現世で負った傷が顕現していた。
「サンディ!!話したい事がある、言いたい事が、だから!!
だから……その……」
左目は見えず、左手は動かず。
傷口からは血が溢れ、鼻腔からも朱が流れる。
「……俺は、今まで死ぬのが怖いなんて思った事は無かった。
暗殺を生業にする一族に生まれ、当主の命のまま刃を振るい。
闇を宿した出生の秘密を知り、自分には何も無いと思った。
血塗れの手と、偽りの記憶。
けど、サンディ達と出会ってからの記憶は、戦いは、流した血は全部、本物だった。
何も無かった俺が、手にしたモノ。」
一言一言、口を開く度に口腔から血が溢れる。
メイヤはそれを吐き捨て、鼻血を拭い、続ける。
「俺は明日が欲しい。
いつかの日、二人でバルクウェイの街を歩いたあの時。
もう一度、あんな風に街を歩きたいんだ。
勿論、サンディと一緒に。」
巨鳥の鉤爪による傷から溢れる血は既に黒く、メイヤの身体も微震動し、消え掛かっているのが分かる。
だからこそ、それでも。
「俺は俺の為に、欲しいモノの為に戦う。
四神としてのサンディよりも、俺の隣で笑ってくれるサンディが欲しい。
戦うのが嫌なら、怖いなら、戦わなくても良い。
……我が儘なのはわかってる、けど。」
上手く言葉に出来ないのがもどかしく、焦燥感が胸の内を揺らす。
しかし、もうこれ以上の余裕は無い。
「世界の為に、四神として、とはもう言わない。
俺の為に、俺と一緒に、戻らないか?」
辛うじて動く右手を、彼女へと伸ばす。
歩み寄ろうにも脚は動かない、感覚すらない。
気取った言葉も言えない。
手を伸ばす、それがメイヤの精一杯だった。
「俺は、隣で笑う君の姿が見たい、いや、欲しい。
だから、だから……俺と一緒に、来いっ!!」
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