[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
Key Of The Twilight
1
:
イスラ
◆Hbcmdmj4dM
:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。
現在、参加者の募集はしておりません。
859
:
イオリ
:2018/08/21(火) 18:32:05
阿修羅、非天とも称されるその語源はa(否)sura(生)であり、生命を否定すると言われる。
羅刹、夜叉、そして阿修羅。
彼等はあらゆる平行世界、様々な世界線に置いて唯一無二の存在であり、それを成すのは呪いとも言える魂と力の継承方法だ。
制限が強い反面、その神格、力は桁違い。
十字界で麒麟の力を解放したシデンと渡り合ったMr.K……コウガの正体は夜叉王であり、ありとあらゆる未来を見据える瞳を持つラセツもまた、三闘神の内一人、羅刹王である。
そして、彼等に並ぶ阿修羅こそがイオリの右腕、ボルドーだった。
「成るようにならあね、相棒が頑張ってるとなると俺もやるしかなかろうねぇ」
激戦地は虚空城全域であり、ゼロが座する玉座の間も例には漏れない。
傭兵団とイオリの部下がキールを相手取り、イオリがシデンと死闘を繰り広げているのと同刻。
虚空城内で最も堅牢であろう玉座の間を揺るがせながら、ボルドーは袖口で鼻血を拭う。
鮮やかな緑瞳が見据えるのは、砕けた玉座にもたれ掛かるゼロの姿。
纏っていた法衣はボロ布となり、流麗な顔にも大きな痣が浮かんでいた。
ボルドーと同じ様に鼻血を垂らし、ゼロはゆっくりと身体を起こす。
その動作は緩慢で、余裕と言うよりは単に動きが鈍いだけにも見える。
しかし、次の瞬間には目にも止まらぬスピードで飛び出し、様々な術式を平行起動し纏わせた両腕をボルドーへと叩き付けた。
それを受け止めたボルドーの籠手……神器が砕け散り、破片が舞い散る。
双眸が重なる停滞は極僅か。
一拍の間を置き、互いに繰り出すのは打撃の応酬だ。
一見乱打に見えるがその実は精緻な読み合いの末に放たれる殴打であり、掌打一つですら堅牢な城壁を粉砕する程の威力を秘めている。
掌打から続く指突はフェイント、踏み込んだ足を軸にし水平回転するボルドーが放つのは回し蹴り。
軍靴の踵が空を薙ぎ、真空波が巻き起こる。
吹き荒れる烈風の刃がゼロを切り刻まんと迫るが、瞬時に展開された障壁に阻まれ……そこに回し蹴りが着弾。
巨砲の一撃の様な、激烈な蹴りはゼロが張った障壁を砕き、左腕を掲げて防御態勢を取るその身体を大きく吹き飛ばした。
「クリーンヒットには遠いが、その身体には中々効くだろう?」
860
:
イオリ
:2018/08/21(火) 18:33:31
障壁を破り、掲げた左腕に突き刺さる一撃は着撃と同時にその威力を全解放。
吹き飛び、壁面に大きな陥没痕をつけたゼロの身体は今度こそ、力無く床面に倒れ付す。
起き上がろうにも左腕は肩口どころか胸元まで大きく抉れ、紅白にまみれた有機物と無機物の入り混じった内臓面を露わにしていた。
「……」
言葉は、声は出ない。
どうやら衝撃で声帯や肺も機能不全を起こしたようだ。
脳内にダメージアラートが響き渡り、秒刻みでエラーが吐き出されていく。
確かにボルドーの言葉通りだろう、このちゃちな義体は戦闘に向かないのだ。
向かないと言えども、四神を圧倒する程度の力は備わっている筈なのだが……阿修羅の魂と力を持つボルドーは、規格外に強い。
ドロリとした生温い感覚が左頬から首へと伝い、そこでやっと左の眼底がひしゃげて眼球が破裂している事にゼロは気付いた。
機能不全のアラートとエラーを一時的に遮断し、ゼロは身体をゆっくりと起き上がらせる。
左腕を失った事によりバランスも崩れているが、全体で見れば些細な事だ。
起き上がった時点でバランサーは作動しており、ゼロは右手をボルドーへと翳し……紅と金に彩られた漆黒の光が閃いた。
閃光は止むこと無く瞬き、その度に周囲の空間が削れ、砕けていく。
ゼロが放つのは超高密度に圧縮されたブラックホールで、拡張と収縮を瞬間的に行う死の光だ。
しかしそれら全てをボルドーは視えているかの様に……実際に閃光が放たれる地点を“先に”視ており、その虹色の眼光が幾何学的な軌道を描いて疾る。
黒輝と虹光が崩落し始めた玉座の間を彩り、散っていく。
その間僅か十と数秒程だが、戦闘時においての十数秒は長い。
「悪いな、その身体じゃあ俺は止まらない!」
そして、一際大きく光が瞬いた瞬間。
風よりも疾やく、相対距離を走破し間合いを詰めたボルドーの拳が、ゼロの胸郭を押しつぶし、その身体を貫いた。
ーーーーーエラー、エラー
ダメージリミットオーバーーーーーー
リンク停止ーーーーーシステムエラーーーーーー
復旧マデ100カウントーーーーー
861
:
イオリ
:2018/08/21(火) 18:34:36
その咆哮は赫怒か、慟哭か。
天龍の怒号が虚空城を揺らし、身を削る麒麟の雷光が一瞬、止まる。
その瞬間を天龍は見逃さない。
身に纏う闇の黒鱗を爆発させ、自らの身体を燃料に黒麒麟を灼き尽くさんと劫火を燃え上がらせた。
そして更に、炎翼を羽撃かせ無明の闇へと飛び立って行く。
勿論、組み合いもつれ合い、絡み合う黒麒麟を放さずに。
「悪ぃなデコメガネ、テメェにゃ最期まで付き合ってもらうぜ……」
互いの肩に顎を乗せ合うような体勢で、天龍が、イオリが口を開く。
「この世界の果てのその先、戻って来れねぇ様な場所まで飛んでってやるよ!!」
そう、初めからイオリの狙いはコレだったのだ。
ボルドーは義体のゼロを機能停止させる程の実力者である。
逆に、イオリの実力ではギリギリやれるかどうかだ。
ならば確実に、ゼロを機能停止させ、シデンとの不死のリンクを一時的に切るには……確実な一手を選ぶには。
「全部壊す、んなモン嘘に決まってんだろ……俺は今まで戦って来たのは全部、一人息子の為だ。
アイツは何度も死に、生き返った。
四神の護衛を命じ一族から遠ざけたのも、吸血鬼を贄に時間を巻き戻したのも全部そうだ。」
天龍から亢竜へ、姿を変えたイオリは更にその姿を変化させながら、無明の闇を切り裂いて飛ぶ。
「闇に喰われちまうのを防ぐ為に、鳳凰の力を……蘇った鳳凰の力を授けた。
今のアイツは闇を纏う犬なんかじゃない。
神焔(かえん)の翼で明日へと飛ぶ鳳凰なのさ。」
亢竜悔い無し。
突き進んだ先が滅びとしても、それはそれで良いだろう。
天の彼方、世界の境界を目前とし、竜はその姿を火の鳥へと変えた。
その中心、イオリの身体は既に光の粒子となって霧散していく。
炯々と輝いていた黒瞳は今や光を失い、何も映さない。
だがしかし、瞳は愛する者の姿を……朱莉の姿を捉えていた。
柔らかな感触が身を包み、愛しい囁きが耳を打つ。
そしてーーーーー
光が、
ーーーーー悪かったな、大分待たせた。
許してくれるって?やっぱりお前は優しいなぁ……あぁ?
メイヤはもう大丈夫だ、冥の夜は明けた。
冥夜じゃなくて明夜さ、どんな夜も明けて朝が、明日が来るってもんだ。
かっこつけたって良いだろ?孫の姿が見れないのが残念だが、満足だ。
お前もそうだろ、朱莉ーーーーー
爆ぜた。
862
:
リト他
:2018/08/23(木) 21:53:02
【虚空城】
いつもの軽い調子で親指を立ててくるアブセルを見て、リトは複雑な心境になる。
アブセルの実力に不安がある訳じゃない。彼なら十分渡り合えるだろう。
だが、万が一「もしも」がないとも言えないのだ。だからこの場で彼に贈る言葉は一つ、「生きて戻れ」なのだろう。
しかし、それが今のリトにはあまりにも無責任な言葉になってしまうことも分かっていた。
「・・・」
リトは身につけていた首飾りをはずし、アブセルの首に掛ける。自身の闇の制御が出来なかった幼き頃にナディアから贈られた瑪瑙の首飾り。今でこそ闇を抑える効力は無くなっているものの、ずっと肌身離さず身に付けておりそれがリトにとって大事なものであることをアブセルは知っているはず。
「・・・あとで返して。」
これがリトにとって精一杯のことだった。
生きろ、とは言えない。この先リト自身が生を選び抜ける保障がないのだ。けれどアブセルには生き抜いてほしい。いずれ自分が死を選んだとしても、形見くらいにはなるだろう。
リトの神妙な面持ちが気に入らずナディアはその空気を払拭するように弟の背を叩く。今生の別れみたいな態度、気に入らない。
「ねぇあの女偉そうでムカつく。アブセルあんた、負けたら許さないからね。戻ったら一つ、うちのリトを好きにしていい権利をやるよ。」
すかさずリトが睨むもナディアは何処吹く風。
「ほら、道草食ってる暇はない。行くよ。」
そしてアブセルを残し先へ進んだ。
863
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2018/08/24(金) 14:01:21
【虚空城】
本来ならば、この場で全員を相手取り、全力で殲滅するべきなのだ。
しかし、キールはあえてそうせず、走り去るアブセル以外の面々を追い掛ける事はしなかった。
足音が遠退き、エントランスホールに一瞬の静寂が訪れる。
だが次の瞬間には、遠くに聞こえる咆哮が、衝撃が周囲を揺らした。
「……今生の別れね。
その首飾り、貴方の墓標に掛けてあげるわ。」
揺れるフロアでキールは静かに声を紡ぐ。
その表情はどこか遠く、薄く笑っている様にも……いや、笑っていた。
その笑みは絶対零度、氷の笑みだ。
静かに右手を上げ、指を鳴らす。
渇いた音が響くと同時に周囲一体が、エントランスホールに凍気の嵐が吹き荒れた。
その中央で、キールが真白の氷鎧に身を包んで佇んでいた。
「来なさい、初手は貴方に打ち込ませてあげる。」
掲げた右手には氷槍が握られ、その穂先が妖しく煌めいた。
864
:
アブセル
:2018/08/31(金) 01:59:10
【虚空城】
託された瑠璃の首飾り。そこに込められた想いをアブセルは理解していた。
故に彼は遠退いていく足音を耳に、鮮やかな青色の宝石を強く握り締める。
その拳の下、胸の奥から込み上げる激情を、何と呼べば良いのか分からない。分からない…が、アブセルは今この瞬間、この世界において、一番満たされている確信があった。
だからこそ、彼がキールに向けて返すのは、彼女の冷たい微笑みとは相反する、血の通った…熱のこもった不敵な笑みだ。
リトが、ナディアが、親愛する者達が信じてくれている。それだけで充分だった。それだけで、アブセルはいくらだって戦えた。
「……悪いな、なんか空気読んで貰ったみたいで。つーか、別に待ってて貰わなくても良かったのに」
殊勝にも相手はこちらの希望通り、一騎打ちの戦いを引き受けてくれた様子。
ならばここは礼儀として、古来よりお馴染みの決闘の作法に則ってやろうではないか。
アブセルは剣を持ち上げ、深く息を吸い込むと、
「俺の名はアブセル・ベルンシュタイン!
リトの一の従者!取り敢えず俺達の愛の前にはいかなる困難も通用しないんで、そこんとこ覚悟しとけっていう!」
刃の切っ先を真っ直ぐ相手に突きつけ、恥ずかしげもなく啖呵を切る。
その傍ら、そんな調子で名乗りを上げるアブセルの様子を両脇から見守る相棒達の姿があった。
『阿)こ…これは…!?ご主人の全身から嘗てないほどの闘気が迸っておりまする…!』
『吽)単なるスケベ心ともいう……』
意気軒昂とした主の姿に瞳を輝かせる白獅子に、そんな両者を眺めて冷静に所感を述べる黒獅子。
仮にも主と呼ぶべき人間に対する評価としてはあんまりな気もするが、その見解はアブセルの性格をよく心得ているといえた。なにしろ今の彼を突き動かしている原動力こそまさしく…
(リトを好きにしていい権利!リトを好きにしていい権利!!勝ったらリトを好きにしていい権利ぃィィ…ッ!!)
…俗っぽい欲望そのものなのだから。
それらの感情を真面目くさった顔で押し隠し…いや隠し切れず鼻息を荒げるアブセルは、声高に気勢を上げれば、
「いくぞ!シロ!クロ!」
『承知!』『はぁ〜い』
「憑依合体!モード・不知火!」
掛け声と同時に霊体化した二頭が、アブセルの身体の内側に潜り込む。
途端、琥珀色の瞳は紅く染まり、爪と牙は獣の如く鋭く、凶悪なものに変わる。
側頭部からは二本の湾曲した角が、そして腰の付け根からは白と黒の二本の長い尻尾が伸びる。
半魔と化したアブセルの周囲には白い炎が舞い踊り、灼熱の舌が荒れ狂う冷気を絡め取っていた。
アブセルは姿勢を低くし臨戦態勢を取ると、キールの厚意に甘える形で先制を仕掛ける。
地面を蹴った反動を推進力に一気に加速、一跳びで相手との距離を詰めた。
もちろん、馬鹿正直に敵の懐に突っ込んだ訳ではない。
その突貫と並行して、キールの影からどっと雪崩れるように無数の腕が湧き出てくる。
それら黒き魔手が、彼女の手足や身体に纏わりついたかと思えば――、捉われ身動きの取れないキールに、アブセルは容赦のない剣撃を叩きつけた。
865
:
レグナ
:2018/08/31(金) 02:14:25
【虚空城周辺】
どうやら気を失っていたらしい。
何者かに抱えられる感覚に薄っすらと意識を取り戻し、レグナはぼんやりと瞼を持ち上げた。
直後、目に入ったのは眩しい程のフードの白色だ。
すぐ眼前、頭をすっぽりとフードで覆い、梟の面で顔を隠した男の姿があった。
その自分と同年代であろう青年の声に、レグナは聞き覚えがない。
どことなく気安さを感じる口調から、恐らくアグルの知り合いか何かだろうと推測するも…。と、そこでレグナはようやく、双子の弟、アグルのことを思い出した。
彼は、どうしただろう。
ユーリとの戦闘から一続、身体の主導権は依然レグナが握ったままだ。
レグナは目を瞑り心の中でアグルの名を呼んでみる。しかし返事はなく、また彼の気配を掴むことも出来なかった。
まさか消えてしまったのだろうか。…いや、さすがにそれは考え難い。
もしかすると自分という異物が入り込んだせいで、アグルの意識はどこか表出できないほどの深みへ追いやられてしまったのではないだろうか。
あるいはこの肉体の宿主に取って代わるべく、自分の存在がアグルの意識を呑み込もうとしているか。
いずれにせよ、レグナの本意でないことに違いはない。
「お――」
その深刻な状況に冷静さを欠いたレグナは、降ろしてくれと、青年に訴えようとする。
しかし、そう声を上げようとした時、ふいに視界の端で閃光が瞬くのが見えた。
瞬間、全身に悪寒が駆け巡っていた。気づけばレグナは無意識に…いや、本能的に青年を突き飛ばす。
その一拍後、一筋の雷撃が轟音と共にレグナと青年の間を駆け抜けて行った。
空気を焦がし、大気をも貫く一撃。当たれば一溜まりもなかっただろうことは容易に想像がつく。
驚愕と焦燥感に息を詰めたのも束の間、レグナの身体は青年という支えを失ったことで、重力に導かれるまま闇の中を落下していく。
浮遊感に全身を包まれ、猛風を浴びながら、しかし彼はそんな中、ふと塔と城とを繋いでいた外郭の上に何者かが立っているのに気づいた。
……虎だ。
一瞬、その人影に獰猛な獣の姿を幻視した。
だがそれも直ぐに間違いだったと気づく。
獣だと思ったものの正体は、一人の長身の男だった。
表情はないに等しく、深く落ち窪んだ眼窩はその空っぽの瞼の裏側を閉じ込めるように、糸で縫いつけられている。
着崩した装束……着物の片袖を抜いて露わになった裸身の、首と上腕にも同様の縫合跡がある。
…遠目からでも、その男の威容と異貌は明らかだった。
橙と黒のまだらに染まった髪を風に靡かせて、身幅の広い長剣を肩に担いだ男が、悠然とそこに佇んでいた。
866
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2018/09/14(金) 11:27:08
【虚空城】
四霊が一角、霊亀が司るのは守護と吉凶。
絶対零度の凍気が生み出す氷鎧は固く、硬く、堅く。
「不純物が一切混じらない純度100%の氷、その強度は鋼鉄を遥かに超える。」
鬼を取り込み異形と化した青年の、渾身の一撃。
影縛りの類いを発動させ此方の動きを封じた上での、その一撃を受けきり、キールは静かに告げる。
「あえて先手を打たせた意味、それは貴方の実力を測る為。
捕縛すると言う事は、初手を必ず当てたい思惑の現れ。
必中させたいと言う事は、その一撃に全力を込めると暗に言っている様なモノよ」
アブセルの剣戟は身動きの取れないキールの胸元へと直撃していた。
氷鎧が派手に砕け散り、乾いた音を立てて破片が落ちるものの、ダメージは殆ど無い。
キールの身体を縛る影はいつの間にか真白に……凍結され、氷鎧の破片が落下するのと同時に、此方も砕け散っていく。
乾き、しかし澄んだ音の二重奏をBGMに、キールはその手に握る氷槍を無造作に横に薙いだ。
横一文字の軌道に沿って、視界を埋め尽くす程の氷の波濤が生まれ、アブセルを飲み込んで行く。
圧倒的、絶対的な質量の前には彼が纏う白炎はタバコの火種程だろう。
「最低限、四神の同程度の力が無ければ私と闘うに値しない」
吉凶を司るキールは、物事の本質を直感的に吉か凶で分別している。
アブセル自身は前者、吉であり、実力差から見れば言わば無害。
(だけど、あの剣……禍々しいあの刃は凶。
アレは恐らく魔玉と同質の力を持つ、厄介な一振りね……)
今の一撃で事が終われば良いのだが……そうは行かないだろう。
白き波濤の先、絶対零度の波濤の先を見据える様に、キールは目を細めた。
867
:
アブセル
:2018/09/18(火) 06:42:37
【虚空城】
キールの動きに合わせて、周囲を蹂躙する凍気は更に地獄の様相を見せる。
今や視界は完全に白一色に埋め尽くされ、敵影はおろか伸ばした自身の手の先さえ捉えるのが難しいほどだ。
息を吸えば尋常ならざる冷気に肺が悲鳴を上げ、身体の内側から凍りついてしまいそうな感覚に、しかしアブセルは…
「なに言ってんだ、こんなのまだまだ小手調べだっつの」
絶対零度の向こう側、白い帳を破って飛び出した巨大な拳が勢いもそのままに、真正面からキールを殴り飛ばした。
「頼むぜ、ヘカトンさん!」
それは祖父の指南の元、アブセルが新たに契約した魔物、ヘカトンケイル…の腕の一本だ。
本来なら百本の腕を持つと謂れる巨人も、残念ながら今のアブセルの力量では魔物の全体像を拝むことはおろか、腕八つ分しか召喚することができなかった。が、それでもかの者の持つ破壊力は申し分のないものといえるだろう。
不意打ち気味の巨人の一撃を受け、後方へと弾き飛ばされるキール。そのまま壁面に激突したところへ更に他の腕が猛追。
宙に浮かぶ八つの剛腕が唸りを上げ、壁面ごとキール目掛けて容赦のない乱打が繰り返される。
息をつく間もなく、間断なく襲いかかる巨大な質量の嵐に床と壁はとっくに原形を失い、荒れ狂う雪煙の中、轟音と粉塵が巻き上がる。
普通に考えれば一人の女性を寄ってたかってタコ殴りにしているような状況も、今は一切気が咎めることもなかった。
なにせ相手は普通の人間ではないのだから。
最初の一撃で彼女の鎧の異常なほどの硬度は十分理解した。
むしろこれでも攻撃が通用するかどうか怪しいところなのだ。
(頼むから通じてくれよ。さっさと終わらせねーと、こっちが凍りついちまう…)
相手の属性に対抗すべく取った火炎タイプの魔装ではあるが、四神アマテラスに比べればアブセルの纏う炎はお粗末なものだ。
本当の意味で今のアブセルは、極寒の中に燻る消えかけの種火のようなものなのだろう。
868
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2018/10/24(水) 12:15:24
【虚空城】
全てを染める、絶対零度の白き波濤。
それを突き破り、眼前を埋め尽くすのは巨大な腕だった。
(大きい……!!)
細められた黒瞳が見開かれ、視界一般に迫る巨拳。
回避は間に合わず、直撃を受けたキールの身体は大きく吹き飛び場内の壁面へと叩き付けられた。
そして更にアブセルは猛攻を、追撃の乱打が凍気を、白磁の大気を貫いてキールへ襲い掛かる。
巨大な質量による叩き付けは単純だがそれ故に強い。
破壊に特化した巨拳が唸り、一振り毎に凄まじい衝撃と破砕音が轟き渡った。
しかし……ソレはやがてその勢いを弱めていき、轟音もまた鳴り止んでいく。
そして、遂にその八本の巨腕全てが動きを止めた。
「……私が司るのは四大元素の“水”
氷はあくまで副産物と言った所ね。
分子結合を極限まで高めた氷鎧で受けるには、その巨人の豪腕は重た過ぎるけれど……結合を緩め、変化させ生み出した大量の水、分かり易く言えば水のクッションならほぼ全ての衝撃を、威力を受け切り殺す事が出来る。」
動きを停めた巨拳を、凍結したその腕を撫でながら、舞い散る白氷の煙から姿を現し、キールは続けた。
「湖程の水量を圧縮した障壁で攻撃を受けきり、その後、巨拳ごと凍結させる。
召喚術は使役しているモノが“こんな”状態でも自由自在に引っ込めたり出きるのかしら?」
氷煙を纏うその姿には鮮血の赤。
血染めのスーツを脱ぎ捨て、四霊の一角は薄く笑った。
それは自嘲か酷笑か。
血の滲むカッターシャツとシンプルなストレートパンツは無惨な姿になっており、裂け目から覗く肌は……黒。
「この姿はあまり見せたくないの。
……醜いから。」
四霊が四霊と呼ばれる由縁、その最もたるモノが神獣への形態変化。
麒麟、鳳凰、応龍、そして霊亀。
その身に宿す力全てを体現する姿こそが、巨大なる獣なのだ。
傷口から溢れる赤が黒へ、液体が結晶となり、六角形の鱗へと変わる。
重なり合う重鱗は堅固な鎧となり、真白の氷鎧ではなく、漆黒の鱗鎧を身に纏い、キールは続けた。
「半人半獣、ここからが私の全力よ。」
そして、その言葉尻を掻き消すように。
天へと伸ばしたその掌から、泥氷入り混じった瀑布がアブセルへと降り注いだ。
869
:
アブセル
:2018/12/14(金) 06:13:53
【虚空城】
巨人による猛打が止み周囲に立ち込めていた粉塵が晴れた時、そこにあったのはアブセルが期待していたような光景でもなければ、この戦いの勝敗を決定付けるようなものでもなかった。
八つの巨拳は白く凍りつき、対峙するキールは衣服こそ損傷しているものの、微塵もダメージを感じさせない佇まいで見たこともない悍ましい姿に変貌している。
それに一瞬でも気を取られてしまったのが不味かった。
突如頭上から強大な重量を孕んだ何かが降りかかってくる。
その衝撃と勢いに容赦なく身体をなぶられ、身を斬るような激痛と、肌の焼けるような灼熱に、アブセルは初め無数の刃の雨に穿たれたような感覚を得た。
だがそれが、唐突に、あまりにも冷たい水の中に沈んだが為に生じたものだと気づいた時にはもう遅かった。
何故ならキールの生み出した瀑布はフロアの空気に触れた瞬間、飛び散る飛沫ごとその総身を氷結させ巨大な氷の柱へと変じたからだ。
そうして極寒の地と化していたフロアの中心に、一瞬にして巨大な氷のオブジェが築かれる。
アブセルは身を守る炎もろ共その分厚い氷の内側に閉じ込められ、身動きが取れない。
もはやこの場に立っている者はキールのみとなり、侵入者達によって破壊され尽したエントランスにようやく元の静寂が訪れた。
見る者がいれば誰もが勝負は決したと確信するであろう状況。
しかしそんな中、全ての異物が排除され、音さえも消え去った絶対零度の世界に、起こり得るはずのない異変が起きたのはそれから間もなくのことだった。
先ほど構築されたばかりの氷柱の表面が小さく小刻みに震えていた。
微小な振動は次第に目に見えて分るようになり、氷の表面にいくつものヒビを生じさせる。
ヒビはやがて深い亀裂を作り、ついには…
冷たく澄んだ音を立てて粉々に砕け散った。
870
:
アブセル
:2018/12/14(金) 06:15:04
「ーーーーーーーーーッッ!!!」
飛び散る結晶と共に分厚い氷を破って現れたのは、絶叫とも怒号ともとれない声にならない声を、血の咆哮をあげるアブセルだ。
その音の衝撃波は氷を砕くばかりか、空気を爆ぜさせ、暴風の如き波がフロアの天井や壁に傷を刻み、床の石材を捲り上げる。
いまやアブセルの肌は血の気を失ったかのように蒼白になっていた。
両側頭部から伸びる角は更に禍々しさを増し、長く枝垂れる黒髪の間から、血を塗ったような紅い瞳だけが爛々と覗いている。
目尻から本人の意思とは無関係に黒い血涙を流し、身体の内側を闇が暴れ回っているかのような感覚に激痛を抱きながら、しかしアブセルは魔人のごとき威圧と狂気の光を放ってそこに立っていた。
『ご主人、狂化モードは人智を圧倒する強力なものですが、長い時間狂気に身を預けていると魂が闇に染まり二度と正気に戻れない可能性も…!』
「分かってる、速攻で終わらせる!」
返答と同時に、アブセルは持っていた剣を勢いよく投擲する。
あらん限りの力で投げられたそれは、キールに狙いをつけて猛進しーー紙一重の動きで避けられた。
だがその動作も彼女の気を引きつける為ものでしかない。
僅かほんの一瞬、キールの意識が逸れた間にアブセルは一跳びで彼女の頭上を飛び越え…そのまま近場の壁を蹴りつけ身を反転。その反動に威力を上乗せし、真上から踵を振り下ろす。
蹴り足はキールの肩先を掠めて地に落ち、寸前までキールが立っていた場所を轟音を響かせて陥没させた。
相手の防御に一分の隙がないのは、先の攻防で分かり切っていることだ。
だがそれでも尚、アブセルが馬鹿の一つ覚えのように肉弾を繰り返すのは、彼の取れる行動もまた一つしかないからである。
攻撃が通じないなら通じるまで攻め続けるだけのこと。勝利を捥ぎ取るその時まで決して攻撃の手を休めない。
ーー爆散し、飛び散る石片に舞う砂埃。それらを無視し、アブセルの視線は蹴りを避けて後ろに飛び退くキールの姿を追う。
その足が地面につく前に、しなる二本の長い尾が彼女を捉え、全力でその身を引き寄せた。そして、
それが…キールが、手に届く距離まで辿りつく僅かな時間すら待たずに、アブセルは自ら前に出て拳を握りしめると、
「るぁぁあああっ!!」
彼女の腹に渾身の一撃を叩きつけた。
871
:
◆ruQu1a.CGo
:2018/12/30(日) 20:07:04
年の瀬に申し訳ない、スマホのデータが飛んだのでwikiの方がわからなくなりました。
なので、お二方どちらかURL貼って頂けないでしょうか…orz
872
:
イスラ
◆Hbcmdmj4dM
:2018/12/31(月) 03:34:11
どんまいw
seesaawiki.jp/key-twilight/d/
873
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2019/02/27(水) 22:58:02
【虚空城】
泥氷入り混じる瀑布は大気に触れると同時に氷結し、大気中の水分を喰らって爆発的にその質量を殖やしていく。
エントランスは瞬く間に絶対零度の氷獄へ姿を変え、ありとあらゆるモノの動きを、生命の灯を閉ざした……筈だった。
しかし、怒号か悲叫か咆哮か。
氷結した世界を揺るがす声、赫怒と共に姿を現したのは禍々しい異形の人影。
蒼白な顔と漆黒の血涙、穿つ黒角にキールは目を細めた。
「……醜いわ、実に醜い」
先程までのアブセルは、言わば自身と同じ半人半獣。
しかし、氷の棺を突き破って姿を現したのは魔人とも言える殆どに禍々しく変化したアブセルだった。
赫怒の咆哮を残し、激しく跳び回るその様子に一欠片の品性も無いとキールは顔をしかめるが、その表情は苦悶のソレに変わる。
打凸、打凸、打凸。
アブセルのしつこいまでの打撃はキールの黒鎧の装甲を破ることは出来ない筈、だった。
異形の力は四神と同等と言えども、黄龍とリンクしている今のキールには届かない筈、だった。
だがしかし、そのしなる尾で捕らえられ、腹腔に叩きつけられた拳は確かにキールの装甲を突き破ったのだった。
(これは……まさか!)
腹部に走る極大の痛みよりも、キールが想うのは君主の危機。
神獣化した四霊は黄、龍とリンクし絶大な力を、無限とも言える力を得る。
四霊の一角、守護を司るキールが得るのは“絶対防御”だが、それが破られたと言う事は……リンクが切れたと言う事は。
黄龍、ゼロの身に危機が迫っているいや、現在進行形で危篤状態なのではないか。
口腔から溢れ出る血塊を吐き捨て、女性とは思えない程の剛力とざらついた鱗鎧刃で我が身を捕らえる尾を引き千切り、キールはアブセルを睨み付けた。
(イオリはシデンと、先の連中がゼロ様の下へたどり着くには早過ぎるなら……失念していたわ、イオリの片腕、あの男を)
睨み付けながらキールは思考を走らせ、ほぼほぼ確かだろう予測を立てる。
そして、その予測が間違っていないならば“こんな所でじゃれ合う暇はない”とばかりに、乱雑にアブセルの顔面へと拳を叩き込み、彼を吹き飛ばした。
「はは、待てよ!俺の事忘れてるだろう!?」
更に、吹き飛ぶアブセルへと追撃の巨槍を投擲しようとキールは腕を振りかざし……その腕が止まる。
見れば腕には闇色の百足の群れが絡みついており、傭兵の生き残りが……イオリやメイヤに似た男、闇を植え付けられたら男が剣を持って立っていた。
暗獄の闇、最も邪悪な龍が封じられし刃はいつかアブセルへと託されたモノであり、それとは別、黒水晶の美しい剣を男は握っていた。
魔玉と同じ性質を持つとされるその剣は、闇の因子を持つモノならばその力を引き出せるだろう。
「小僧、お前なら使えるだろう!」
874
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2019/02/27(水) 23:00:38
「小僧、お前なら使えるだろう!」
男、ジョッシュは黒水晶の剣をアブセルへと投げ、キールへ向かって疾走していく。
既に限界を超えているであろう身体を動かすのは“闇”
百足を邪龍へと変化させ、ジョッシュは駆ける。
そして、大きく腕を横に薙ぐと共に邪龍の群れがキールへと襲い掛かり、対するキールはその全てを氷結させて爆砕。
氷塊が轟音と共に粉砕され、氷片の嵐が吹き荒れるその中央で、二振りの黒刃で鍔迫り合いを行うのはやはりキールとジョッシュだが、邪龍の力を引き出したジョッシュは意外にも食らいついている……が、それは命の灯火を燃やしているからこその強さ、焼け落ちる前の蝋燭が一際強く燃え上がるソレだ。
「構う暇はないのよ!」
苛立ちを露わにし、キールが手刀でジョッシュの左肩を貫き、その身体を内側から凍結させようと凍気を流し込もうとする瞬間。
ジョッシュは乾いた笑みを浮かべ、アブセルへ視線を投げた。
今だ、やれ、と。
875
:
フェミル
◆wxoyo3TVQU
:2019/03/01(金) 08:57:06
【虚空城】
最上階。崩壊が進む中で辛うじて形を保っているその場所で、フェミルは吹き抜けになった紅い空を見上げていた。
「・・・壊れる・・・」
破滅と再生は紙一重。ゼロは均衡を失った世界をリセットし、本来の姿へと創り直すべく手を尽くしていた。
「ゼロ・・・いない・・・」
しかし、突然ゼロの気配が消えた。
「・・・兄さま・・・」
フェミルは呟きぬいぐるみを抱きしめる。
もう一人、帰ってこない者がいる。
ゼロと同じ容貌の、しかしゼロとは違う温かなあの笑顔をずっと見ていないのだ。
「兄さま、幸せ・・・?」
いつも妹達のことを最優先に考えて、自分の幸せなど二の次で。ずっと、彼に幸せになって欲しかった。
だから"あの子"と引き会わせた。兄がとても可愛がっていた子。私にとっても愛しい子。
「・・・?」
今自分は何を考えていたのだろう。時々今のように記憶が混乱する。誰かの意識が自分に入ったかのように、自分の持つ記憶とは別の光景を映し出す。
フェミルは首を傾げた。
876
:
アブセル
:2019/04/02(火) 03:49:46
【虚空城】
口角を上げ笑う男の視線の先には、割れた額から流れ落ちる血で顔を黒く濡らした魔人の姿が。
キールに殴り飛ばされた後、直ぐさま身体を反転させたアブセルは、鍔迫り合いを行う二人……偏にキールに向かって突進していた。
空中を舞う氷片に紛れて彼女の背後へ肉薄するアブセルのその手には、ジョッシュに投げ渡された剣がしっかりと握られている。
彼がどこの誰なのか勿論アブセルは知らないし、今はそれを考える余裕もない。
時間の経過と共に侵食する闇は、アブセルの人としての思考力を着々と奪い、狂気の底へと引き摺り込もうと舌舐めずりをしていた。
アブセルは意識が飛びそうになるのを歯を食いしばって堪え、男の与えた好機を無駄にはしまいと更に踏み込むとーー
「うおおぉぉおおオッ!!」
掲げた剣をキールの首元から斜め下へ、全身全霊の力を込めて振り下ろした。
877
:
イスラ
:2019/04/02(火) 03:54:25
【虚空城】
「居た!多分あの子が例の子だ!」
崩壊した城の最上階に一人佇む少女の背後。
ふいに入り乱れる数人分の足音と共に、その声は半開きになった扉の向こう側から発せられた。
リマ、セナと共に部屋の中に駆け込んだイスラは、縫いぐるみを抱く少女…床の上に座り込むフェミルの姿を見て、ほっと安堵の息をつく。
「良かった…無事みたいだ」
エントランスでアブセルと別れた後、一行は過去組、現代組と二手に別れて広い城の中を探索していたのだった。
もちろん捜索対象はジルの妹だというこの少女と、そして黄竜である。
「君がフェミルちゃん……だよね?」
もう大丈夫だよ。と声をかけ、イスラは顔を上げて室内に目を巡らした。
この場には少女一人きりの姿しか見えず、黄竜と思しき者の姿はない。
878
:
アグル
:2019/04/18(木) 01:02:17
むかし、むかし。
とある北の王国に悪い王様がいました。
王様は来る日も来る日も他国との戦争に明け暮れ、自分の国にも、そこで暮らす民のことにも関心を向けませんでした。
嵩む軍費に民衆は重い税金と苦役を強いられ、働き手の若い男達は皆、次々と戦場に駆り出されてしまいます。
戦さによって多くの兵が死に、多くの民が苦しもうと、しかしそれでも王様は戦争を止めようとはしませんでした。
いよいよ見兼ねた家臣が王を止めますが、王様はそれすらも国家への反逆行為とみなします。
王の意に従わない者は次々と処刑され、国は恐怖と暴力によって支配されたのです。
もはや王様に逆らおうと考える者は誰もいません。
しかしそんな中、国王を討たんと一人の男が立ち上がったのです。
男は圧政に苦しむ民衆を率いて戦い、国内中の諸侯をも仲間に引き込み、ついに悪い王様を退治します。
以降、男は英雄として讃えられ、新たな国王として民衆に迎えられました。
めでたし、めでたし。
……とはなりませんでした。
玉座を手に入れた英雄はそうそうに政治に飽いて、国政を投げ出しました。
酒に溺れ女に溺れ、日がな一日賭け事に興じては自堕落な生活を送ります。
そうしている内にやがて、民衆の間で王政の廃止を望む声が高まってきます。
もちろん王がそれを受け入れる筈がありません。
しかし今度は彼らも引き下がらなかったのです。
変革の熱は次第に国中を覆い、初めは英雄の味方をしていた者も、一人また一人と彼の元を離れていきます。
ついに英雄は孤立し、革命派との戦いに敗れてしまいました。
捕らえられた英雄は目を潰され、自慢の両腕を斬り落とされ、刑場に引き摺り出されました。
かつて英雄を玉座に迎えた人々が、今度は処刑台に拍手で迎えます。
それを耳にした英雄は何を思ったのでしょう。
顔を上げ、声高々に叫びました。
「祖国に栄光あれ!」
憐れ、その言葉を最後に男は首を撥ねられてしまいます。
広場に喝采が湧き上がります。
もはやこの場には、男の言葉に耳を傾ける者など誰もいなかったのです。
おしまい。
879
:
アグル
:2019/04/18(木) 01:05:43
【黄昏の塔】
ーーむかし読んだ絵本の中に、そんな話がある。
雷の国がまだ王政だった時代、最後の国王をモデルに書かれた寓話だ。
何故その話を今この場面で思い出したのか、理由ははっきりとしている。
家に一枚だけ残されていた肖像画、目の前の男はそこに描かれた男と余りにも似通っていたからだ。
アルベルト・ニコロフ・レーヴェンガルド
確か死罪になったのは五十代の頃だったと記憶しているが、しかし目の前の男はどう見ても二十そこそこといった年齢だ。
即位式を上げた当時に描かれたという肖像画と同じ年回りのように見える。
長距離から放たれた雷撃を避け、中空を落下していたレグナは、背中から大翼を広げて大気を叩くと、塔と虚空城とを繋いでいた外核の一部と思しき足場に着地する。
(やはり、似てる……)
顔を上げた先、男との距離は僅か5メートルほど。
近くで見れば見るほど、その容姿の酷似に驚かされるが、しかしそれ以上に彼の異様に圧倒される。
全く生気の感じられない土気色の肌。
首、腕、瞼、身体の至る所に縫合の跡があり、縫い付けられた瞼の下は眼球がないのか深く落ち窪んでいる。
人、なのだろうか。
男の正体も目的も何も分からないが、表情もなく、ただただ圧迫感だけを放つその姿は不気味という他ない。
目の前の説明のつかない状況に困惑するレグナ。
しかしそんな彼の心情を、もちろん相手が汲み取る筈もなく、男は軽く顎を持ち上げるとーー刹那、彼の持つ長剣が音もなく振り落とされた。
「…………!!」
まるで豆腐でも切るかのように足元の固い地面
が両断される。
ガクリと膝が抜けるような感覚に、レグナは咄嗟に後方へ跳び退くも、男は大小様々に崩れた外核の残骸を足場に、更に距離を詰めてくる。
再び風を斬るように、無音の斬撃が真一文字に振るわれる。
レグナは間合いを見極め紙一重でそれを避けるも、見極めた筈の斬撃が何故かレグナに届き、肩、太腿、頰に裂傷が走る。
(どういうことだ……)
躱しても、受けても、いなしても、男の剣撃はレグナに傷を負わす。
届く筈のない間合いに刃が届き、あり得ない方向から斬撃が襲い来る。……男の剣筋は射程も手数も軌道もめちゃくちゃだ。
わずか一閃で幾数もの剣閃が飛び交い、まるで意思でもあるかのように、縦横無尽に不規則な軌道を描いて剣撃が飛ぶ。
しかもその軽い動作からは想像もつかない程に、一撃一撃が重く鋭い。
880
:
アグル
:2019/04/18(木) 01:06:51
男が剣を振る度に鮮血が飛び、生傷が増えていく。
今のところ致命傷は負っていないが、レグナは先程から身を守ることに精一杯で反撃に転じられない。
(まともに受けてちゃ駄目だ…!何とかして突破口を見つけないと!)
何度目かの打ち合いの後、男の斬撃の余波よって再び二人の足元が派手な音を立てて爆散、崩壊する。
下から吹きつける礫と土煙。
しかし男はそんなことに気を払うことなく、崩れた足場から跳躍して、その場を離脱ーーレグナの気配を見失って足を止めた。
その傍ら、レグナは翼を広げて中空に留まっていた。
跳ね上がる岩塊の影に紛れ、気配を消して男の背面を取る。
刹那、迸るは雷光のごとく刺突の一撃だ。
男の頭蓋めがけて放たれた槍の切っ先は、そこまでの最短距離を一直線に駆け抜けーー男に直撃する寸前で停止した。
(ーーーッ!?
目ぇ見えてないんじゃないのかよ…!)
剣で弾くでもなく、あろうことか男は素手の左手一本で強引に槍の軌道を止めてみせたのだ。
驚愕に喉を凍らせ、目を見開くレグナ。が、彼はそんなレグナに次の行動に移す間を与えることなく、そのまま掴んだ槍を引き寄せーー
「ごふッ……!?」
得物ごと身を引っ張られるレグナの胴に、蹴りを叩き込む。
内臓を抉る一撃の衝撃にレグナは堪らず身体をくの字に曲げ、それに止まらず後方へ勢いよく吹っ飛んだ。
【アグル(レグナ)のレス遅くなってすみませんでした…!レックスも乱入して貰って構いませんので!】
881
:
リマ他
:2019/04/20(土) 20:44:13
【虚空城】
突如名前を呼ばれ、フェミルは声のした方へ視線を向ける。
「・・・誰・・・?」
全くの知らない顔ぶれに、フェミルはおずおずと立ち上がり後ずさる。
「フェミルちゃん、大丈夫だよ。危ないからこっちへおいで?」
イスラに続いてリマも声を掛けるも、フェミルは首を振る。
「知らない人・・・駄目。兄さまか黄龍、迎えに来るまでフェミルお留守番。待ってるよう言われてる・・・」
「お兄さんってジルさんでしょ?お兄さんのところに一緒に行こう?」
リマが優しく宥めようとしてもフェミルはただ拒否するのみ。今にも崩れそうな場内に長時間いるのは危険だ。かと言って無理矢理連れ出すのも・・・
(でも、誰もいない今じゃないと・・・)
対策を考えている暇もないのが事実。ここは荒療治でも致し方ないか、そう結論を付けかけた横で、新たな問題が発生した。
ただ人見知りで警戒しているように見えていたフェミルが、セナの姿を見つけ明らかに顔を引きつらせたのだ。
「悪いやつ・・・やっつけなきゃ・・・」
882
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2019/04/23(火) 10:08:44
【虚空城】
嗚呼、終わりは思っていた程重くはないのか。
薄い笑みを浮かべる男に突き刺した手刀へと力を、全力の凍気を流し込むキールはどこか間の抜けた表情を浮かべる。
全力で流し込む凍気は瞬時に男を……ジョッシュを凍結させ、膨大な凍気は彼の身体を内側から突き破り、その凍てついた笑みを爆散させた。
爆発の衝撃がキールの頬を叩き、髪を揺らす。
この男が囮となっているのは知っていた。
背後から、“凶”と目した刃を握り締めて迫るアブセルの動きも感知していた。
しかし、感じ、知ってはいても身体が動かない。
否、動くが、動く事をキール自身が拒否していた。
「……見事ね、とは言わないわ」
その一言は、右の首筋から左脇腹へと抜ける凶刃と共に。
アブセルの振り下ろした刃を避けるでもなく、防ぐでもなく受け入れたキール。
黒剣がキールの身体を切断し、二つに分れた彼女の身体が氷結した世界に舞う。
切断面から零れるのは、神獣ではなく人である事を証明する血潮の赤色。
生命力とも言える赤色、鮮血と臓物を撒き散らし、舞い散る赤を凍気が瞬間的に凍り付かせながら、キールはアブセルへと振り返った。
その様子は酷くゆっくりで、スローモーションだ。
「アナタの勝ちではなく、私の負け。
そう言う事にしておきましょう……」
883
:
キール
◆ruQu1a.CGo
:2019/04/23(火) 10:09:35
ゆっくりと落ちるキールの身体。
下半身は膝から床に落ち、振り返る上半身も遂に白銀の地に落ちた。
落下の衝撃が黒髪を揺らし、纏う鱗鎧が硬質な音を響かせる。
即死しないのは半獣半人と言えども黄龍に次ぐ神格を持つ四霊であるから故。
しかし、キールはその神格を、四霊である事を自ら手放したのだった。
半獣半人ではなく、神獣となっていればまた違った結果……アブセルと立場は逆転していただろう。
しかし、キールは最後まで“人”である事を捨てようとはしなかったのだ。
黄龍に忠誠を誓えども、真の姿、真の力を解放しなかったと言う事は……彼女の忠誠心は同じ四霊であるシデンには劣ると言う事。
しかしそれはキールが“人”である事の証明でもあった。
後悔は無い、寧ろ今は安堵さえ感じている。
四霊である事は一種の呪縛とも言え、キールはそこから解放される事を、心の奥底では願っていたのだ。
「醜い姿、醜い心。
人であるが故の醜さを、私は捨てきれなかった。
だけど、捨てないからこそ私は“人”として終わる事を選べた。
……でも、なるべくは美しいままで」
既に身体の感覚は無く、視界すら白くぼやけている。
しかしそれでも、キールは左腕を届かぬ天へと伸ばした。
伸ばした掌から……一際輝く左指に嵌まる指輪から光が、氷の花が溢れ出す。
溢れ出す花は蔦を、そして葉を繁らせていき、キールの身体を覆い隠した。
そして、氷の花は更なる実りを、白葡萄とカシスの実を結び、氷獄となったエントランスホームランを樹氷の森へと変える。
静寂なる氷の森、自らを氷花に変えて、“守”と“吉凶”、そして“水”を司る四霊はその役目を終えたーーーー
ーーーーさよなら、醜くも美しい世界。
884
:
イスラ
:2019/05/21(火) 01:01:16
【虚空城】
セナの姿を見て顔引きつらせるフェミル。
どうしてか彼女はセナのことを敵視しているようで。
「セナ……彼女と逢ったことがあるのか?」
そうセナに尋ねるも、イスラ自身二人に接点があるとは思っていなかった。
一つ可能性を上げるなら、セナと瓜二つであるリトと何らかのいざこざがあったと見るべきだが、それでもリトがフェミルに危害を加えるような行いをしたとは考え難い。
「フェミルちゃん、大丈夫だ。彼は悪い人間じゃない。
それに俺達は君のお兄さんに頼まれて君を迎えに来たんだ」
言ってイスラはフェミルに手を差し出す。
「だから早くこっちに。ここは危険だから」
885
:
アブセル
:2019/05/21(火) 01:02:49
【虚空城】
終わったーーー
脱力し、手から滑り落ちた剣が地面に弾んで乾いた音を響かせた。
目の前にはキラキラと光を乱反射させる氷の花木が咲き乱れ、惨憺たる様相を見せていたフロアは、周囲に転がる屍と瓦礫の山をも呑み込んで美しい純白の森へと姿を変える。
その光景を呆けたように見上げていたアブセルは、突如全身に、例えようのない激痛と戦慄が駆け巡るのを感じた。
「ーーーーッぅ!?」
焼けつくような脳の痛み。身体の内側を、ナニかが暴れ回っているような悍ましい感覚に、堪らずその場に崩れ落ち、喉奥から迫り上がってくる熱いものを地面に吐き出す。
見れば大量の黒い血が冷たい地面の上に広がっていた。
「クロ!シロ……!憑依を解いてくれ!早くッ!」
半ば悲鳴のように絞り出した声に、しかし応えは返ってこない。二頭とも完全に自我を手放しているようだった。
そうしてアブセルは、立ち上がることさえままならない状態に至ってようやく、この戦慄の正体を理解した。
ーーこの震えは恐怖だ。
自分という存在が……人間としての意識が、この世から消失してしまうことに対しての恐怖と焦燥。
確かにキールの述べた通り、これはアブセルの勝利ではないのだろう。
キールは人であろうとしたが故に敗れ、自分は勝利を欲したが故に人を捨てた。
だから、これは。当然の報いなのだ。
「嫌だ………イヤ、ダ………」
だが、そうだと分かっていても、その事実を潔く受け入れられるような精神は持ち合わせていない。
心は恐怖に打ち震え、全身は目の前の事実から必死に逃れようと拒絶を叫び続けている。
目を剥き、荒い呼吸と共に口の端から血を垂らすアブセルは、爪を地面にたてて乱暴に床を掻き毟った。
しかしその細やかな抵抗も、アブセルの人間性の欠如を証明するだけに過ぎない。
地面には猛獣のものと見紛うばかりの爪痕が深々と刻まれ、瞳から流れ落ちる涙も、今は黒い血で頰を染めるばかり。
狂気と激痛に思考を蝕まれ、まるで深い闇の底へ落ちていくかのように、次第に暗く、黒くなっていく意識と視界。
その目に、ふと宝石の輝きが映り込んだ。
886
:
アブセル
:2019/05/21(火) 01:03:40
先程の戦いで紐が千切れたのだろうか。それは紛れもなくリトの……彼から託された瑪瑙の首飾りだった。
床に転がったそれを捉えて、アブセルははたと目を見開く。
脳裏によぎるのは、ある一つの懸念だ。
このまま自我を失って化け物に身を堕としてしまえば、その時、自分はどんな行動に出るのだろう。
リトを想う執念だけが残っていたばかりに、彼の姿を追い求め、後を追いかけたりはしないだろうか。
そしてそれだけに留まらず、もし訳も分からぬままリトを、ナディア達を傷つけてしまったらーー?
「……それは、駄目だ…。それだけはゼッタイニ……」
朦朧とする意識の中、這うように拾い上げた首飾りを掌の中に収め、アブセルは傍に転がっていた黒水晶の剣に手を伸ばす。
この剣であれば闇に染まったこの身も、きっと苦しむことなく十全に息の根を止めてくれる筈だ。
キールの血でべっとりと濡れたその刃を自身の首筋に当てがい、アブセルは小さく囁いた。
「ごめん、リト……」
本当に、自分は何だっていつもこう情けないのだろう。戻ってこい、とリトもナディアも暗に示してくれたのに。
約束一つ守ることすら出来ないなんて。
だがーー、これ以上迷惑はかけられないから。迷惑をかけないよう終わらせるから。
アブセルは剣を握る両腕に力を込める。
そしてーー
887
:
???
◆ruQu1a.CGo
:2019/05/23(木) 21:03:32
【虚空城】
閃光と剣閃、光が瞬くと同時に巻き起こる斬撃。
斑髪を靡かせる長身の男、その姿を一言で表すならば“異形”
血の気のない土色の肌、縫い付けられ開く事のない双眸。
表情も無く、しかし猛攻を仕掛ける様は異形であり異質。
「気をつけて下さい、あの者の“先”は視えない……」
強烈な蹴りを受け、吹き飛ぶアグル……レグナを受け止め、梟面の青年は風を操り異形の男から距離を取った。
ふわりと着地したのは幾つかある城内の橋桁で、レグナの身体を隣に下ろしつつ背負っていた三叉鑓を引き抜き続ける。
「何者か分かりませんが……恐らくは君に、四神に近しい者でしょう。
明確な“敵”であるならば倒すしかありませんが……調子が悪いなら僕が先手を取りましょう!!」
閃光、それは眩い雷。
橙の混ざる髪と雷光から予測するに、先代か先々第のトール、もしくは近しい者だろう。
それが何故こう“敵”として現れたかは不明だが、やるしか無さそうだ。
梟面の青年はレグナの不調を……アグルとは違う動きを取るレグナを不調だと見なし、鑓を構えて高く飛翔する。
大気を叩き、高高度まで上昇してからの反転。
身を捩り、鑓の穂先に乱気流を纏わせながら斑の男へと突っ込んで行った。
乱気流、吹き荒れる鎌鼬を纏う刺突は疾く、鋭い。
888
:
アネス
:2019/05/25(土) 12:02:07
【虚空城】
「冥界の皇女アネス・オーガナイズが告ぐ。」
氷に彩られた白の世界。その静寂の中にチリンと鈴の音が響く。同時に、剣を喉元へ据えるアブセルの手を退け現れたアメジストの大きな瞳が、人間から完全な魔獣へと変わりつつある彼の姿を映す。
「血の盟約のもと、かの者を我が使役の魔と為さんことをーーー」
それはアブセルにとって、残酷な姿であっただろう。しかし彼が自らの姿を目の当たりにしたのはほんの一瞬で、すぐにその視界は塞がれる。吐血により染まった口内を舐め取られたかと思えば、左肩に焼けるような感覚が生じた。肩にそれまでになかった紋様が刻まれる。
クスリと軽い笑い声と共に"それ"は離れ、
「鎮まりなさい。」
耳元でそう囁かれれば、アブセルは見る見るうちに異形の姿から元の人間の姿へと変化した。
一連の所業に呆けた様子のアブセル。目の前に現れた少女が見知った人物であると理解するまでどのくらい掛かっただろうか。
「貴方の命は主の物よ、勝手に遂げる事は許されない。」
アブセルの掌から瑪瑙の首飾りを取り上げ、綺麗ね、と呟く。それを自らの首に結び直し、少女---アネスはイタズラ地味た笑みをアブセルへ向けた。
「貴方の主はリト?いいえ、今から私のものよ。醜い獣を使い魔にしてあげたの、感謝なさい。」
889
:
アブセル
:2019/06/02(日) 02:19:34
【虚空城】
"それ"は唐突に訪れた。
今まさに己の首を掻き斬らんとするアブセルの前に、澄んだ鈴の音と共に一人の少女が現れる。
まるで魅入られたように動きを止めるアブセルに、少女が近づいて手を触れたかと思えばーー…不思議と身体に巣食う痛みも震えもどこかへ消え去っていった。
何が起きたのか理解できず、アブセルは茫然としたまま顔を上げる。
彼女が何事かを述べているのを目にし、ようやっと口から出た言葉が……
「……はあ?」
ピシャリ、と間髪入れずに頰を引っ叩かれた。
確かにこれ以上ない程のアホ面を晒していただろうことは認めよう。だが例えそうだとしても、何の前置きもなく突然手を出すのは如何なものかと思う。
その理不尽さに溢れた行為につい反射的に物申したくなるも……アブセルは今の衝撃で完全に目を覚まし、自分が元の人間の姿に戻っていることにようやく気づいた。
それと同時に思考も正常に機能し始め、頭の中に数々の疑問点が湧き上がってくる。
何故ここにアネスが居るのか、とか。
その首飾りリトのなんだけど、なに勝手にパクってるんだよ、とか。
てかさっき口の中舐められた気がするんだが、気のせいーー…だよね?うん、きっと気のせい。…とか。
ただ一つ状況から見て確かだろうことは、異形へと成り代わろうとする自分を彼女が救ってくれた、ということ。
そのこと自体は本当に喜ばしいことだ。声を大にして大いに感謝したいところではあるのだが……
「あのぉ……仰っている意味がよく理解できなかったんですけど、使い魔ってどういうことでしょうか…?」
正確にいえば、「理解できない」というより、「理解したくない」といった方が正しい。
アブセルは平身平頭、なぜか敬語で恐る恐るアネスに尋ねるのだった。
890
:
ゼロ
◆ruQu1a.CGo
:2019/06/03(月) 07:29:11
【虚空城】
延々とシステムエラーを吐き出し続ける自律神経プログラム、聞こえないダメージアラート。
ダメージレベル240%の表示はその瞳に映らない。
世界を統べし唯一無二の存在である筈の自身が何故、これ程までに追い込まれているのか。
胸元を貫いた阿修羅の剛腕に手を添え、ゼロ……黄龍はうなだれた頭(こうべ)をゆっくりと上げた。
端整な顔は赤にまみれており、双眸も機能不全を起こしている。
しかし、それでも、世界の中心たる存在は停まらない。
「四霊である応龍を模した義体、適応率は高いが……やはり、惜しい」
唯一無二の存在、それは眼前のボルドーも同じ。
イオリの懐刀、切り札であり鬼札のこの男は最も危険であり、現時点で止める術はない。
“現時点”では。
システム復旧まで残り20カウントを無理矢理短縮し、ゼロは手を添えていたボルドーの腕を掴む。
細い手指が込められたら力に負け、音を立てて折れるも痛みなどない。
敵性存在の排除、義体を巡るナノマシンが硬質化し、ゼロの身体から、傷口から、ありとあらゆる“孔”から溢れ出した。
それはさながら致死率の高い悪性伝染病に羅漢した末期の姿の様だが、噴出するナノマシン……ナノメタルは有機無機問わずに触れたモノ全てに浸蝕し、増殖していく。
「コレは……拙いな!?」
右腕を、肘から下の前腕をナノメタルに“喰われ”、ボルドーは思わず声を上げた。
爆発的に増加していくナノメタルから距離を取り、その様子を注視するも、銀の奔流となったナノメタルがボルドーを貫かんとばかりに次々と襲い掛かる。
その間にもナノメタルは虚空城そのものに浸蝕していき、浸蝕しながらもゼロをコアとして巨大な影……銀に輝く巨龍、逞しい四肢と幾何学模様を描く大翼を持つ機械の龍を作り上げていった。
城そのものを“餌”に産まれ出る機械龍、黄龍が今、全てを揺るがす咆哮を挙げる。
ーーーーー
プラチナブロンドの美しい髪を持つ少女に、手を伸ばすのは燃える様な赤毛の青年。
轟く咆哮はBGMで、二人の“間”に入るのは一振りの晶剣だった。
「見つけたぞ」
少女、フェミルへと手を伸ばすイスラの指先を掠める刃。
床に突き立てられたソレを握るのは長い銀髪の男……龍穴遺跡にて、イスラとメイヤに敗れたヴィカルトだった。
男、ヴィカルトは青から銀に色を変えた瞳でイスラを見据える。
崩落する遺跡と共に地の奥に沈んだ筈の男は、身体の内の6割をナノメタルで修復され、再び姿を現した。
ゼロがヴィカルトに与えた役目はフェミルの守護であるも、彼は姫を守る騎士(ナイト)ではない。
強者との闘争を求める凶剣士なのだ。
凶剣士は銀の瞳をフェミルからイスラへと向ける。
そこにはもうフェミルやリトの姿は映ってはいない。
銀瞳に燃える様に鮮やかな赤を映し、ヴィカルトは告げた。
「剣を抜け、“あの時”の続きをやろうぞ」
そして、彼が望む闘争に不必要な存在であるフェミルの身体を無造作に掴み、セナの方へと投げ捨てる。
同時に振り抜かれる刃が、イスラの鼻先で止まった。
891
:
アネス
:2019/06/12(水) 18:36:48
【虚空城】
アブセルの反応にアネスは溜息を吐いた。
「馬鹿なのは知っていたけど、ここまで理解力がないなんて・・・」
やれやれ、と態とらしく頭を抱えてみせる。
「あんたはこのアネス様の下僕になったってこと。」
私としてはあんたがどうなろうと知ったことではないんだけど、と前置きした上で話を続ける。
「パパ・・・じゃなかった、我が王にくだされたミッションの一つ。"誰も死なせるな"---リトにとって"護りたいもの"をなくす訳にはいかないの。」
この世界の均衡を保つ為には今の核を安定化させるか、新たな核となる存在を差し出すか・・・そして核の代用と為り得る魔玉を宿す者が二人---セナはこの世のものでない以上、その役目はリトという事になる、が。
「リトは別に正義のヒーローじゃない。顔も知らない誰かのために自分の身を投げ捨てるような聖人の心なんて持ってないわ。大好きな人達がいるからこそ、護りたいと思ってる。あの子にとって世界がどうでもいいものにならないように、誰も欠けてはならない。」
つまり、今アブセルがしようとしていたことは大変迷惑なことであり、リトの足を引っ張ることなのだとアネスは言う。
「ま、死にたくなるほど酷い有様だったのは認めるわ。自分では元に戻れないみたいだったから助けてあげたの。私の弟なら普通に人間に戻すことも出来ただろうけど、私は無理だからあんたが魔獣であることを利用させてもらった。助かったんだから、私に感謝してひれ伏しなさい。」
892
:
イスラ
:2019/06/25(火) 01:53:38
【虚空城】
突如として城に轟いたのは、未だかつて聞いたことのない不気味な咆哮と巨大な地響き。
そして、それに驚く間もなく一人の男が目の前に現れる。
「お前はあの時の……」
生きていたのか、とは言外に。イスラは右手を鍔際へ、一息で刀を引き抜き、鼻先に突きつけられた剣を弾いて後方へ距離を取る。
「二人とも、その子を連れてどこか安全な場所へ。どうやらアイツの狙いは俺らしい」
はたして安全な場所など最早この城の中にあるのだろうか。
そうセナとリマを促す内にも、靴裏に感じる揺れは徐々に激しさを増してきている。
イスラは相手の視線から眼を逸らさぬまま、リマ達を背後に庇うように立ち、応戦の構えを取る。
「何故あの子(フェミル)を俺達に?お前は黄竜の仲間ではないのか?」
893
:
アブセル
:2019/06/25(火) 01:55:33
【虚空城】
「いや…もちろん感謝はしてるよ。してるけどさ……、お前らは一体リトに何をやらせようとしてるんだよ」
どうやらアネスにはアネスなりの事情があってしてくれたことらしい。
しかし世界の核云々の話を知らないアブセルからしたら、そこで何故リトの名前が出てくるのかと首を捻らずにはいられない。
「それに俺、リト以外の人間に仕える気とか更々ないし……お前の奴隷とかマジでこの先地獄の日々しか想像できないっていうか…。
まあその…あれだ。このお礼は後日必ず別の形でするってことで…」
そこまで言うと、アブセルはガバリと地に額を擦り付け、
「使い魔の契約解除して下さいッ!お願いしまーーって、おわぁっ!?」
直後、城全域を揺るがす咆哮と激震に言葉尻を掻き消された。
894
:
ヴィカルト
◆ruQu1a.CGo
:2019/07/10(水) 11:32:34
【虚空城】
激しく揺れる無機質な床、歪む大気と遠く聞こえる破砕音。
轟く咆哮をBGMに、凶剣士は銀の瞳を細める。
文字通り硬質的な、鋼色の視線は依然としてイスラに注いだままで、ヴィカルトは静かに答えた。
「俺が望むのは強者との闘争だけだ。
それ以外のモノは不必要、小娘如きにこの空虚は埋められぬ……」
銀瞳に宿る確かな意志、しかしそれは寂寥感を漂わせている。
剣士としての矜持ではなく、凶剣士としての渇望。
「血肉と骨、そして生死を隔てる刹那だけが俺の中の空虚を埋める。
闘争に次ぐ闘争、無価値な世界においてその一瞬だけが俺の生きる意味」
手に握る晶剣を、後ろに飛び退き距離を取ったイスラへと向けてヴィカルトは続ける。
「砂漠での一戦は実に良かった……これ以上の言葉は不要、いつぞやの続きを。
刃の舞踏を踊ろうぞ!!」
そして、話は終わりだとばかりに剣を一閃。
その背から水晶の翼を噴出させてヴィカルトが前進、相対距離を瞬時に詰めると勢い良く剣による刺突を繰り出し、同時にその切っ先から銀の奔流が……九つに分かれた穂先がイスラ目掛けて飛び出した。
ーーーーー
軋む空間、ひび割れる世界。
轟音と共に揺れる虚空城の一角で、彼女は虹色の瞳で鮮やかな赤毛を見詰めていた。
彼女……三闘神の一人、ラセツは尖塔の頂点から階下を見下ろす。
ゼロの下に集う戦力の両翼、左を担う彼女は待っていた。
覇王の眼。
全ての事象を読み込み、無限の選択肢である未来すら“視る”事が出来る瞳に、“視えない未来”を映し出させる事が出来る存在を待っていた。
「火と水の因子、風と雷じゃないのは残念だけど……」
尖塔の頂点、片膝を立てるラセツは現れた人影……サンディとナディア達に声を掛ける。
その声は無機質な、感情の籠もらない声。
「黄龍の遣いとして、私はアナタ達を足止め……滅さなければならないけど、どうする?」
895
:
イスラ
:2019/09/09(月) 01:24:44
【虚空城】
肌で感じる程の濃厚な闘争心とザラついた殺意を向け、立ち塞がる晶剣の剣士。
それと相対するイスラは、腹の底から湧き上がってくる憤りとやるせなさを抑えることが出来ない。
(なぜ……)
九つに別れた銀の奔流を、自身の周囲に張り巡らせた炎鏡の障壁で防ぎ、イスラは男の左側へ体を回転させて刺突をかわす。
それと連動して弧を描く刀が男の左こめかみを狙うもーー驚異的な速度で反応する相手の剣に阻まれ受け止められた。
「この戦いに一体何の意味がある…っ、こんなことをしてる間にも世界は刻一刻と崩壊への道を辿っているんだぞ…!」
鍔迫り合いの向こう側、男の銀色の瞳を真っ向から見据えイスラはそう言葉を放つ。
しかしそれと同時に、この問答がいかに無意味な行為であるか、それも理解していた。
異常な程の闘いへの執着。この男の中にはそれしかない。生死の狭間で互いの命のやり取りをすることでしか、この男は生を実感できないのだと。
本来このような決闘はイスラの望むところではないが、しかし、こちらにも為すべきことがある以上、ここで引き退る訳にもいかない。
そのジレンマに歯噛みするイスラの背後で、不意に鈍い輝きを放つ何かが浮かび上がった。
それーー先の攻防で割れた鏡の破片が無数の鋭い刃となり、一つの意思の元、男めがけて一斉に放たれた。
896
:
リマ
:2019/12/02(月) 08:04:37
お久しぶりです。
まとめwikiの方なのですが、突然入れなくなってしまいました・・・
変なところ押したのかな:(´◦ω◦):
897
:
ヤツキ
:2019/12/14(土) 18:36:27
んー俺も入れんね。ページロック掛かっとるんかなぁ?
898
:
リマ
:2019/12/21(土) 22:58:05
>>897
久しぶり!
マジかァ・・・無くなっちゃったのかな?
キャラ設定とか確認出来るから気に入ってたのに(´;ω;`)
899
:
ヤツキ
:2019/12/25(水) 23:52:01
規制される様な投稿してない筈だし、乗っ取りされるようなモノでもないしどうしたんやろうね。
管理はイスラに任せっきりだったから……
っとお久しぶりでー。
メリークリスマスやん、楽しく過ごせた?
900
:
リマ
:2019/12/31(火) 20:29:10
ねー・・・ほんとどうしたんだろ(´;ω;`)消えてないならいいんだけど、消えてたらショック・・・
お久しぶりー!今年ももう終わりやね(´•ω•`๑)
超高速で日が経っていく・・・もうじき30歳で絶望(´;ω;`)
901
:
ヤツキ
:2019/12/31(火) 23:51:18
本編も返せてない俺が言えた口でもないけどイスラの反応無いのも心配。
高速つかもう10分程で今年終わってまうしなー、でもリマって俺の二個下ちゃうっけ?一個違いか?
30なったらなったで実際そんな変わらんし気にする事ないよ。
今年は死なずに終えれたけど、来年死んでたらごめんな。メンヘラこじらせてやべー事ばっかしてるわ。
て事で来年もよろしくねー
902
:
リマ
:2020/01/01(水) 18:04:12
あけおめことよろー
同じく:( ;´꒳`;):イスラさんダイヤかなー・・・
1個ちがいだよー。2個はイスラさんのほうかな??女の30は重いのよ(´;ω;`)可愛い服とか着るのが好きなのに「あの人30超えてるのに・・・」とかなったら嫌じゃね!?さすがにゴスロリとかじゃないけどさ!年齢に見合った服装あるじゃん:(´◦ω◦):
やーめーてー息子ちゃんの為にも危ないことはしないでぇ(´;ω;`)
ストレスはここで発散していきなよ!
今年始まったばかりだけど、来年も同じように新年の挨拶出来るって信じてるからね!!
903
:
ヤツキ
:2020/01/02(木) 20:06:40
ことよろー、ここ以外で連絡着かないから音沙汰無いと心配なるよな。
そだったか、もうリマも30かー。知り合って干支一周じゃんww
30でもある程度は好きな服着れば良いんじゃない?どぎついギャルメイクとかゴスロリ甘ロリ以外ならいけるでしょ、寧ろお洒落しないと一気に歳食って見えるよ。
んー、チビさんはきっと大丈夫よ、俺が居なくてもちゃんと育つ環境があるし。
土地有り持ち家そこそこ金持ちの義実家でマスオさんやってるからね、マスオ死んでもタラちゃんは普通に大きくなりそうやん?そんな感じ。
904
:
ヤツキ
:2020/01/02(木) 20:27:31
ぶっちゃけストレスつか鬱再発に近い感じで子育てとか色々めっちゃ悩んでるんよ。
嫁さんにも言えない事、それこそ俺だけ家で異物感あるし血繋がってないし私生児だし諸々でしんどい。
母親って存在がとてつもなく苦手で母性向けられるとどうして良いかわからなくなるし、父親居てなかったから目指す父親像がわからん。
とかね、全部話して聞いてくれた人の事はずっと好きで叶わぬ恋だったのに向こうも実は好いててくれてて、期限決めたけどそれまで付き合ってる。
やべーどうしよう、って相談した子とも寝たし色々乱れ過ぎてる。
メンヘラこじらせて爆発させて孤独感ヤバい寒いって泣いた時にぬくめてくれる所に逃げてる、ずっと。
後は夜一人で酒片手に外出て、寝落ちして凍死しかけてる、もうしんどい。
全部吐いたわ、新年早々ごめん。
905
:
リマ
:2020/01/03(金) 00:10:18
そうねー・・・個人的な連絡先とか知らんし。せめてSNSだけでも繋がってたら元気の有無は確認出来るから安心なんだけど。
高校の時からの付き合いだからね!言われてみれば干支回っとるわ(笑)自分高校大学の友達とほぼ連絡取ってないからある意味一番付き合い長いかも(爆笑)
さすがにイタイ格好はしてないけどね( ;´꒳`;)ミニスカ履けなくなってきたのと体型崩れてきたのが泣ける・・・せめてシワが出来ないように食い止める!
そうよね!年齢に合わせて地味な格好したらそれこそおばさんになっちゃうよね!!取り敢えず35までは今のファッションでも大丈夫だと信じたい・・・!!
まぁ両親揃っててもウチみたいに母親の精神が子供から成長出来てなくて気に入らないことがあったらキーキー喚く、自分は被害者、悲劇のヒロイン可哀想なの〜な感じでその存在が私のストレスになりかねない人とか、父親が家庭に無関心でほぼ会話なし〜な、家族として機能してない所とかもあるからねぇ:( ;´꒳`;):自分とこの両親は多分他の人とは違うから、私自身人間として色々欠けてるんだろうなぁと思うところもしばしば。私の話は今関係ないのだけども(笑)多分私も俗に言う「普通の家族」って言う環境で育ってはないから、結婚した後に子供との接し方とかで色々悩むんだろうなぁ・・・
マスオさんはたしかに辛いね・・・嫁が義両親と同居するのでもストレス溜まるんだから逆パターンは尚更だよね。相手側がどう思ってるかは分からないけど、家族の中で自分だけ血が繋がってないっていう疎外感はたしかにあると思う。
906
:
リマ
:2020/01/03(金) 00:42:13
マスオさんがいなくてもタラちゃんは育つだろうけど、タラちゃんがマスオさんの事好きならいなくなって欲しくないと思うよ。たとえば、どうしようもない親でも情があったら死んで欲しくないよ。この情がなくなったら終わりなんだけども・・・。
まぁその人の人生なんだから「子供のために生きて!」とか無理強いは出来ないけども、生きたい気持ちはあるけど自信がないって感じなら「自分の為じゃなく誰かの為に」って理由付けるのもありだと思う。ここで例に挙げるのもアレだけどうちのセナはそんな感じ。
父親像が分からんくても、想像出来る範囲で父親出来ればいいとは思うよ。子供は案外見てるからね、自分に情はあるんだろうけどこの人はこれが精一杯なんだなって察して、完璧な父親の存在は求めずお互いに苦にならない距離感作ってくと思うよ。私みたいに(笑)現実と創作を一緒にしてゴメンけど、イオリは良い父親だと感じたよ、そんな父親を描けたヤツキは素敵な父親だと思うよ。
女性関係が乱れちゃってるのは取り敢えず置いといて(笑)色々溜め込む私が言えた立場じゃないんだけど、人間って我慢するのが一番危険だと思うんだよね。辛いなら辛いって吐ける場所があるんだったら、甘えちゃうのもアリなんじゃないかなぁと。勿論法に触れない範囲でね!我慢しすぎるといつか爆発して消えちゃうんじゃないかなぁ・・・私も時々糸が切れて「もういいかな」って思っちゃうこともあるから危険(笑)一応ある程度人並みに経験してからがいいので、死ぬ前に1回は結婚しときたいし、子供作ってみたいしって気持ちがあるから踏みとどまってるけど。ヤツキの抱える闇と比べたら私のなんてちっぽけなものなんだけど、私も自分の人生つまらないなぁと思ってる。
自分が何を言いたいのか分からなくなってきた:( ;´꒳`;):的外れなこと言ってごめんね・・・!
取り敢えずね、迷って悩んで落ち込んで、メンヘラ拗らせてるのは良いのよ。ただ溜め込むのだけは危険だからやめてね!
人並みの綺麗事しか言えんけど、ここで吐いてくれたら聞くし!
尾崎豊みたいなことしちゃダメよ!酒飲むなら暖かい室内で!!もしくは人の気配のあるコンビニか病院の前!!
907
:
ヤツキ
:2020/02/04(火) 22:38:43
もう1ヶ月経つのか、早いね。
とりま何とか生きてる、メンタル爆発して入院したりしたけど死んでないww
リマの言う「もういいかな」ってのが常あったんよね。
リマも境遇聴くと俺みたいに足りないモノがあるし、きっと近しいんだと思う。
無い物ねだりして、人並みに全部揃ったらソレが実はめっちゃ重たかったり、思い描いてたのと遠かったり、満足してもういいかなって思ったりするかもしれない。
俺がそうだった。
けど多分きっとリマは女性で、自分の中で一つの命を育てて〜とするから、それこそ子供の為に、で生きていけるんじゃないかなとも思う。
取りあえず今はチビさんの為に生きてるのと、9月9日に笑ってバイバイしようって約束したから死なないつもり。って表向きはしてるww
女の人居とるのもバレて怒られたし、緩い自殺ごっこしてたのも白状したから逆にもう逃げ場無いけど。
眠剤処方してもらったから次はガチでとここにだけ言っとこ、でもせめてリマやイスラと飯食いたいねww
めっちゃ自分語りなるからそろそろちゃんとレス返すわ!イスラさん待ってて!
リマも応えてくれてありがとうね、聞いてくれて救われたわ。
っと、インスタのIDを生存確認用に置いとくのでまた覗いてみて。
yatuki0509
908
:
や
:2022/12/15(木) 21:45:55
二人共生きてる?
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板