- 1 :誰そ彼 :2023/10/14(土) 01:24:05 ID:???0
- 立ててみました。
いま読んでる本、読んだ本の感想、おすすめの本、語り合いませう。
- 143 :誰そ彼 :2024/08/24(土) 23:43:53 ID:/SRa3stI0
- 亜紀書房刊 トレイシー・スレイター著『米国人博士、大阪で主婦になる。』
たいへん裕福なユダヤ系アメリカ人夫婦の娘として生まれ、しかし両親の離婚等などの境遇で「他者に依存しない自立人」を目指して生きてきた著者。 傾向としては少し左翼的でフェミニズム的な人物であった。 博士号を取り、能力を生かして社会奉仕的な活動もしていた。 そんな著者がMBAの講師として受講生の年下の日本人男性タクと出会い、陳腐な表現だが「二人は恋に落ちた」。 著者は自分の生き方を保持しようとし、しかしタクとも離れがたく、少しずつ現実とのすり合わせをしていく。 アメリカ的理想の一つの体現者である「自立した女」が、日本人男性タクとのつき合いで徐々に変化が起きる。 男に頼ることを拒否していた著者だが、依存被依存の関係内要素になった自分が安定しているという驚きを知る。 やがてタクと結婚し、大阪に住む。 そして四十代になって子供を望み医療機関へ。 不妊治療の失敗を繰り返し、治療を諦めたあとに思いがけず妊娠。 それらの間に、タクの父親の介護と死去があり、その介護でこの人、かなり義父に献身的な努力をした。 おれはこの本を「著者の脱皮成長物語」として読んだ。 アメリカの文化で仮想された「自立したキャリアウーマン」が、日本の文化に接して浸かることで、別系統の安定した人間のあり方へ変わっていくという「脱皮成長物語」である。
- 144 :誰そ彼 :2024/09/02(月) 09:16:49 ID:QaaYEOSk0
- 昔。江戸時代。
医師に資格というものはなかった。 医師の薬持ちなどの雑用をしていた見習いですらない素人が、いきなり独立して医師を自称し、治療の真似事を始めたという話がある。 これは、当時の医学なるものが「民間療法の経験則程度」のものでしかなかった、からでありますな。 一応、陰陽五行に基づく「理論体系」が用意されていたが、現代の基本的な科学知識を持った者からすると、理論としては荒唐無稽なでたらめである。 ただしおれは経験則による治療薬効を否定するものではない。ひどくない怪我や病気には対症療法的な経験則で十分対応できていたと思う。
「世間おほく少し儒学の力ある者の心には、医学を甚心易き事に思ひ、纔に一両月打かゝりて、医書だにすこし読ば、療治は忽ちに出来るやうに思ふ者なり。名高き大儒先生物徂徠、斎必簡のごとき人も斯ありしと思はる。余も弱冠の頃は左思ひしなり。是は客気ある故なり。」 吉川弘文館 日本随筆大成 第二期 第15巻 橘春暉著「北窓瑣談」p.347
さて、儒者などは漢文で書かれた当時の医学書等(*1)は読め、かつ内容がちゃんと理解できる能力があったから、「医師でなくても、本を読めば自分だってできるぞう」と考えてしまうんだな。 こういう症状ならこの書物のこの部分に書かれてある処方をすればよい、と。 これらの記述は、陰陽五行による世界観から敷衍されたものに経験則を乗っけただけのものだ。 医学的根拠は一切ない。 しかし当時はそれがいわば最新の「科学」であったわけだ。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 145 :誰そ彼 :2024/10/10(木) 18:29:13 ID:bSDnk2rk0
- 最近ハマってるのは芥川賞の本を読むことかなぁ〜
正直よくわからないのも多いけれど、たまに個人的ホームランが混ざってるからそれが楽しい
- 146 :誰そ彼 :2024/10/12(土) 17:14:10 ID:djV7E33Y0
- 早川書房刊 宝樹著『三体X 観想之宙』
例の『三体』シリーズのファンが勝手に書いた二次創作の作品。 終わってしまった『三体』の「続き」を渇望してやまない宝樹という人が、「語られなかった部分」を補完するさらなる物語を書いた。 いやはやおもいきりこねくり回している。 次元と時間を超越した壮大で強烈な話や、感嘆符が頭の上に飛び出たり(なぜ日本のAV女優の姿なのか)、喜びで声を出すか書きすぎだと不快感を示すか。 もちろんおもしろい。 おれは「読み直す作品群」を持っている。 ダン・シモンズの『ハイペリオン』シリーズや馮夢竜の『平妖伝』や勝小吉の『夢酔独言』など、何年かに一回は読み直す。 この『三体』シリーズも「読み直す作品群」リストに入ることになる。
- 147 :誰そ彼 :2024/11/02(土) 14:55:38 ID:A0Z5Tj3ES
- 米澤穂信のボトルネックは所謂『二度と読みたくない名作』と呼ばれる作品で、読みやすく、それでいて等身大の若者然とした心情描写等をもってストーリーが展開していく
しかし、それでも陰鬱とした雰囲気と消化不良待ったなしな救いのない結末には思わず読後のため息を堪えられないだろう この作品からは同著者の氷菓等からは得られない、独特の妙味を感じることが出来る それがこういう場末の掲示板に来たアナタであればきっと格別お気に召すと思うので、諸兄姉においては是非ご一読願いたい
- 148 :誰そ彼 :2024/11/26(火) 16:55:49 ID:P4MkEkY60
- 『推し燃ゆる』
- 149 :誰そ彼 :2024/12/01(日) 19:11:29 ID:ubW5bhP6S
- 角川選書579 山本紀夫『コロンブスの不平等交換』
同じ著者の『四大高地文明』なる本を読んで面白かったので探し出して読んだ本。 引っ越しして生活環境が変わったため本の存在を知ってから実際に手元に取り寄せ読むまでに時間が掛かった。本を手に入れるにあたって環境が悪いので図書館にて借りて読む。
以前の書籍が著者の専門のそれぞれの高地文明の解説なのに対し、こちらは新大陸の文明に絞り、それぞれの大陸から渡り大きな影響を与えた事物の解説になる。よって新大陸から旧大陸に渡ったものだけでなく、旧大陸から新大陸にわたり大きく社会を変えた物を取り上げてるのが新鮮だった。 具台的には、トウモロコシ・ジャガイモ・サトウキビ・家畜・疫病だが、トウモロコシとジャガイモは以前の書籍でも解説されてるが、サトウキビ・家畜・疫病の解説は新鮮だった。 特に、奴隷労働と密接に結びついたサトウキビやジャレ・ダイヤモンドが解説してる疫病はともかく、家畜が新大陸の社会や環境に与えた影響は初めて知ることが多く、自分にとって全くの僥倖だった。 ヨーロッパ北部中央部に定着したジャガイモ、南欧から最終的にアフリカやアジアに広く定着したトウモロコシのように、ヨーロッパの家畜(特に馬と牛)は天敵のいない南北アメリカで野生化して広く定着し、ヨーロッパ移民だけでなくインディアンの生活をも自発的に変えた。 馬が旧大陸産だったのは知っていたが、インディアンはヨーロッパ移民に直接教えられたわけではなく、自発的に野生化して定着していた馬を捕らえて乗りこなし、定住農耕を辞め新たな生活スタイルを選び取ったことを知って驚いた。
本書は本来「従来“コロンブス”の交換とは云うけれど、実際は“不平等な交換”だったんだよ」と伝えるための書籍のようだが、自分は全く別の記述に魅了されてしまった。 読破に掛かった時間は平日に飛び飛びで読んで一週間、実際は三日から四日かな。
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