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たそがれ読書部

1誰そ彼:2023/10/14(土) 01:24:05 ID:???0
立ててみました。
いま読んでる本、読んだ本の感想、おすすめの本、語り合いませう。

106誰そ彼:2023/11/05(日) 23:43:38 ID:Z1hgRSTg0
ビリーミリガン!
アルジャーノンに花束を

107誰そ彼:2023/11/06(月) 09:36:51 ID:9xZWB3vM0
「アルジャーノンに花束を」読後感は悲しくもなるが名作だね

こっちは映画だが「レナードの朝」も似たような気持ちになる
「カッコーの巣の上で」もちょっと近いかもしれない

108誰そ彼:2023/11/07(火) 01:58:06 ID:???0
アイン・ランドの「水源」
図書館で借りる予定だけど、読んだ人いるかな?
本読むの遅いくせして無謀にも挑戦しようとしてるわw

109誰そ彼:2023/11/08(水) 18:08:55 ID:???0
「イワン・デニーソヴィチの一日」
ロシアの収容所の一日を描いた名作。
そるじぇにーつ

110誰そ彼:2023/11/08(水) 18:12:57 ID:???0
>>109
ソルジェニーツィン自体が反乱分子として収容所にぶち込まれたり国外追放されたりKGBに暗殺されかけたりノーベル文学賞取ったりとすごい経歴の持ち主。
収容所の一日だが、その中で描く人物たちに当時のソ連の階級やらが垣間見える。
収容所モノと言っても暗さが無いのもまた読みやすかった

111誰そ彼:2023/11/10(金) 18:37:12 ID:BQGDs1HsS
色川武大「怪しい来客簿」
戦争中に少年時代を過ごして戦後は無頼派作家になった著者が、敗戦直後からその後の時代まで
自分の身の回りにいた人々の出来事について書いている私小説の短編集

たそちゃんで取り上げられてる変人たち(岩間、あぶだく等)が昔の時代にいたらこうなってたのかな…
と思わされるような、その土地に根付いていたローカルな奇人変人のエピソードもあれば
日の当たる場所を歩けなかった歌手や相撲取りについての思い入れたっぷりの紹介もあり
もっとささやかな暮らしを生きようとしていた市井の人達の思い出もあり

全体的には物悲しくて薄暗くてこの世とあの世の境界が曖昧になってる雰囲気
当時の時代背景に浸りたい人にもおすすめ

112誰そ彼:2023/11/10(金) 18:40:45 ID:BQGDs1HsS
連投でごめん
学歴がなくて波乱な生き方で無頼派とされる作家さんたちであっても読書はしてるんだよな
色川氏も、数年前に亡くなった西村賢太氏も、「仁義なき戦い」の原作になった手記を書いた美能氏も

あと無頼派というほどじゃなくても色々な経験をしてきた浅田次郎氏も読書家だったっけ
どんな小説ジャンルであっても、表現するためにはインプットが大事なんだなと思い知るわ

113誰そ彼:2023/11/16(木) 19:43:46 ID:jtiykUZYS
皆読書スピードっての?
読む速さどれくらい?今「天使の囀り」読んでるんだけど、10月頭から読み始めてまだ半分の300ページ位しか読めてないんだけど

114誰そ彼:2023/11/16(木) 22:33:02 ID:???S
>>113
面白ければ平日なら一週間、休日なら落ち着いた雰囲気の喫茶店を利用して二日

115誰そ彼:2023/11/16(木) 22:35:30 ID:???S
>>113
ついでに最近読み終えた本は「シーラという子」ね

116誰そ彼:2023/11/18(土) 04:05:04 ID:???0
>>114
>>115
喫茶店で読書は俺にはオシャン過ぎるわ
2日で読破は早いな

「天使の囀り」読み終わった。
読む前は名作ホラー小説って印象だったけど、物語後半は只々切ない、やるせない気持ちになる話だった。
奇怪でありながら規則性のある不可解な自殺の連鎖、解明するばするほど恐ろしくなる真相に近づく推理パートと

117誰そ彼:2023/11/18(土) 04:08:42 ID:???0
始まりから終盤までは期待していたミステリーホラー小説だったけど、終盤のボディホラー展開からは本当にやるせない話だった。
28歳フリーターのパートが特に良かった。
切なさが怖さに勝ってる小説だったけど、おすすめ。

118誰そ彼:2023/11/18(土) 18:45:38 ID:???0
アタシは小説なら1日で読むわ
その代わり買う前にしっかり吟味するけどね
「総理に告ぐ」って小説は超大物政治家相手に主人公のライターが尋問を行うんだけど
そこで現総理の衝撃的な秘密が判明するのよ
だけどそんなことがどうでも良くなるレベルの大事件が目の前で起きる
これが導入なんだけど中盤以降もどんどん状況が悪化して…って感じ
ページを捲るのが止まらなくなるわ
興味持てない小説買っちゃった時は1日数ページが限界だけどね

119誰そ彼:2023/11/21(火) 15:28:01 ID:???S
自分は小説を買った時、頭からじゃなくて適当に真ん中を開いて、それで面白そうだったらそこを目指して読むっていう変な癖があるんだけど、似たような癖を持ってるいたりしますか?

120誰そ彼:2023/11/21(火) 15:28:47 ID:???S
自分は小説を買った時、頭からじゃなくて適当に真ん中を開いて、それで面白そうだったらそこを目指して読むっていう変な癖があるんだけど、似たような癖を持ってるいたりしますか?

121誰そ彼:2023/11/26(日) 11:23:50 ID:sEYG5ScAS
亡くなった西村賢太氏の著作が好きで何冊も持ってる
人間のせせこましい感情の機微や、自分の中の醜い思考をこんなに筋道立てて書けるのはやっぱりすごいな
1無頼生活 2同居女性 3尊敬する作家のこと っていう内容のパターンの少なさから、何か別の所で読んだような作品がいくつもあるのはちょっと欠点だけども

122誰そ彼:2023/12/04(月) 08:07:42 ID:???S
「リング」読んだ
映画版と異なる箇所が多くて驚く、大筋は映画と同じだけど、細かい心理描写や物語の背景が大幅に多くなってて、映画を見てオチを知っていても充分に楽しめる小説だった

123誰そ彼:2023/12/05(火) 16:33:29 ID:nzKOkbD.S
町田康の「告白」
明治時代の大阪で実際に起こった大量殺人事件の犯人を主人公にして生い立ちから最期までを書いてる
自意識過剰というのかとにかく不器用で周りに馴染めないという犯人像だけど、その根幹にあるのは
心のなかでは色々考えすぎるくらいに考えてるのに言葉に表すことができない性格
主人公の思考の流れがとことん詳細に書かれていて面白い
決して馬鹿ではなくプライドが高いけど半端者にしかなれずに失敗を重ねて鬱屈を重ねていくという点では、
津山30人殺しの犯人とも似たところがあるように感じた

124誰そ彼:2023/12/10(日) 11:26:17 ID:z.Flk.yU0
「鬼畜ー阿弥陀仏や、おいおい」という小説。出所した主人公の樫尾が、連続して強盗
事件を起こす話。基本、登場人物は樫尾1人が多いので一人称視点での場面がイメージ
できる。特に事件の場面は流血描写が多く、浄水場の事件は顕著かも。一つ欠点が有る
とすれば裁判過程の省略ぐらい。同時期の西口彰事件より話題性が低いのは何故だろう…
著者は「丑三つの村」で有名な西村望。

125誰そ彼:2023/12/17(日) 21:48:45 ID:???0
>>122
自分もちょうどこの間読んだばかりだからタイムリー…!
原作の竜司さん良いキャラしてんねぇ!
らせんは途中までで図書館に返して積んでる

126誰そ彼:2023/12/28(木) 23:19:53 ID:???0
リングは原作も謎解きサスペンスっぽくてハラハラするよね
らせんとリング0バースデイもSFっぽくなるけど面白いし、あと映画に比べると貞子が
割と人間味があるというか俗っぽいのが意外性あった
ループは個人的には「そうきたかー…」って感じで他のに比べるとちょい落ちるけど

127誰そ彼:2024/01/19(金) 08:52:31 ID:???0
ここにいま読んでる本紹介したいんやけど記録サイト使ってるからモロにアカウントバレてしまうからできないジレンマ
とりあえずワイのおすすめはオーウェル「一九八四年」かな
いまアニメや映画になっても面白いくらい良くできてる

128誰そ彼:2024/02/05(月) 18:03:39 ID:UBL9uxZI0
 中公新書 篠田謙一著『人類の起源』
・白人の肌が白いのは、アナトリア(現在のトルコのアジア側)の農耕民の遺伝子が
紀元前5千年ぐらいからヨーロッパに広がったから。
 一万年前のイギリスに住んでいた人は暗褐色の肌で眼は青かった。
 白い肌と青い目と金髪は別個の遺伝子だから、一そろいじゃなくてただの組み合わせ。
・六千年ほど前の朝鮮半島南部に住んでいた人は現代日本人とほぼ同じの遺伝子を
持っていた。
 現代韓国人は、現代中国人(漢族)と現代日本人の中間あたりに位置する。
 歴史的に、朝鮮民族が北部から南部に移動し、「遺伝子的に日本人」がいた朝鮮半島
南部に住むようになった。
・白人は、高緯度だから肌がだんだん白くなったと思っていた。
 朝鮮半島南部が「遺伝子的日本人の居住地域」だとは知らなかった。
 糸魚川のヒスイも出るし前方後円墳もあったのはそういう過去があったからですな。

129誰そ彼:2024/02/13(火) 18:05:33 ID:???0
>>128
これ面白そうだな、借りて読むわ
あくまで都市伝説の範疇として、某宗教の創始者も有色説あるけど、こういうの見てるとありそうって気してくるね

130誰そ彼:2024/02/27(火) 00:10:24 ID:6yretvz.0
 ちくま新書351 島田裕巳著『日本人の神はどこにいるか』

 一神教と多神教は対立しているものとして捉えられている、を
「一神教=多神教モデル」によって解決しようとする試論である。
 全知全能の一神教の神は世界を創造したりするが(「天空神」を
検索されたい)、それゆえ日常生活者からすると「暇な神」
(あまり相手にされないちょっとかわいそうな神)になってしまっている。
 そこで聖母マリアや聖者などの手近で祈ることのできる信仰対象が生まれ、
いわば多神教化した。
 理を会得して輪廻からの解脱を求める仏教であったが、
いつもまにか祈る対象を発生させ、現在では本尊として特に重要視される
信仰対象を顕示している。これは一神教化傾向があると言える。
 また、近代の国家神道は天皇を神とする一神教的な強い主張であった。
 本書では、これらの「多神教の一神教化」と「一神教の多神教化」を
「一神教=多神教モデル」として統合できるのではないかと提示している。
 つまり、一神教や多神教はそれぞれ信仰の表現型であるのだよ、と言っている。
 対立したものとして考えなくていいんだよ、と。
 どうだこれで統合できただろう。
 止揚という手法で対立を解決しよとしたものであるな。

 おれは、多神教内部で序列が発生し、その序列が先鋭化して最高神が
それ以外の神々の権能を吸収して一神教が発生したと考えていた。
 多神教には人間世界の序列化が投影されて「一神教化傾向」があり、
また一神教には安定化のために「多神教化傾向」があるのが破綻を避けるための
つりあいであろうとおれは思う。
 いずれにせよ、原理主義的な思想と行動は人に異常な負担をかけてしまう。
落ち着ける形に変化していくものだと理解すればわかりやすい。

 もっとも、おれ個人の見解だが、一神教は全知全能の神という「自己言及の矛盾」を
自ら拡大させる論理的瑕疵を売り物にしているという「意味不明の脅威」と
認識している。
 そのような一神教が、論理的には瑕疵のない多神教と同じだという論は、
排他的で並立しない物事を無理やり同じ容器に押し込める行為である。

・民衆宗教の天理教が戦後、一神教を目指してうまくいかなかった話。
・柳田國男の仏教嫌いと「祖霊還元論」「祖霊一元論」の強弁。
「先祖代々之墓」が登場するのは明治二十年代になってからなのに、
柳田は古くは個人の墓は存在せず「先祖代々之墓」しかなかったと述べている話。
・ほかにいろいろあるが、書くのが疲れたのでもうやめる。

131誰そ彼:2024/03/23(土) 02:44:20 ID:???M
河内10人斬り検索した 熊太郎のきもちわかる

132誰そ彼:2024/04/26(金) 21:23:50 ID:FAjUJq1w0
 相模書房 大岡敏昭著『江戸時代 日本の家』。
 書名に江戸時代と入ってるが、それまでの時代の家も説明されている。

・室町末期に「北正門」
 日本の家の形式は、中国から伝わった「天子は南面する」の建物の形を踏襲し、
建物群の南に正門があった。
(もちろん、邸宅と呼ばれるような上流階級の家の話)
 また、建物群は左右対称であった。奈良時代あたり。
 つまり「南向き、南入り」だった。
 平安時代になってその形は続くものの、平安時代の中頃に南側に大きな池が作ら
れるようになった。
 小島には樹木を植え、小さな橋を架ける。
 やがて後期には立派で豪華な寝殿造りになった。
 さて、こうなると正門は東か西へ作るしかない。正門が東西へ移動した。
 しかしまだ北側に正門がある建物はない。
 なんと室町末期になってやっと「北正門」の家が出現した。
 おれは家の正門は立地によるものであると思っていた。
 そちら側に正門を作るのが都合がいいからそちらに作る。
 そう思っていた。しかしそうではなかった。
 北側に正門ができるには、日本人の方位観の変化が必要であった。
 もと南面、そして平安中期の浄土教による西方位観、やがて鎌倉以降の仏教の自
然化平等化で全方位観に変化した、という説明がされている。
 方位に関する好悪の感覚がなくなってやっと北側に正門ができた。

 「梲(うだつ)」(漢字が出ないかも)(「MJ文字図形名 MJ014018」を検索す
ると出ます)
 これは梁の上の構造材だが、隣家と接する境界壁のこともこれと同じような名称
で呼ばれている。卯建や卯立など。
 その境界壁の卯建について、防火壁であるとの説明が横行している。
 それ、大嘘。
 16世紀前半室町後期の洛中洛外図(町田本)に街並みの絵がある。
 屋根は板葺きに重石、そこに卯建が見られるが、その卯建は藁か茅葺。防火どこ
ろか燃えやすくてしかたない。
 飾りとして出現したものであると理解されている。
(同書、p.186)
 のち、建物が総瓦葺きの立派なものになり、その卯建も漆喰で瓦屋根になった後
付けで「防火」などと言い出したのであろう。
 もちろん、のちに防火の性能を獲得したのならそれにこしたことはない。ただ、
「防火のために作られた」は嘘である。

 この本は建築史か民俗・時代考証系に興味がないとおもしろくないかもしれない。

133誰そ彼:2024/05/12(日) 19:44:04 ID:chJ2iKCE0
語ってやってもいいが管理人次第だな
不公正なip規制やめろ

134誰そ彼:2024/05/14(火) 16:52:08 ID:???0
テステス

135誰そ彼:2024/05/15(水) 17:58:05 ID:FjmbSELI0
 早川書房 劉慈欣著『三体』1-3
 おもしろいということを聞いていたので読んだ。

 宇宙の他文明は見つけ次第殲滅しないと自分たちは生き残れないという「暗
黒森林理論」に従って人類は三体文明側から攻撃を受ける。
 この「暗黒森林理論」は「パイオニア探査機の金属板」「ボイジャーのゴー
ルデンレコード」に真正面から喧嘩を売っているので、その点は笑っていいと
思う。
 知性賛歌の能天気民主主義側でも、暗黒森林の考え方をこの作品に用いた作
者の出身国の「人類の敵である共産政権」側でも、どちらを笑ってもいい。
 まあ、おれは両方を等分に笑う立場ではある。
 しかし最後に自らを犠牲にして「宇宙」を救おうとする行いがある。
 この「宇宙」を次代に残そうとする知性体のなかに人類が含まれていたわけ
だ。
 訳者あとがきに、光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』や小松左京の『果しなき
流れの果に』の書名が出てくる。
(この二作は中学生のころに読んだ。おもしろかった)
 宇宙論的な意味ではこの『三体』はビッグクランチまでなので、上記二作と
は別の範疇の世界の物語ということになるが、それは物語の設定なのでなんの
文句もない。
 なかなか魅力的な登場人物も出てくるし、話の流れも楽しんで読める。

136誰そ彼:2024/05/15(水) 18:06:26 ID:???0
最近なかなか本読めてないや
そもそも本屋が閉店しまくってる
いや購入したけど読んでないで積んでる本もたくさんあるからこれから読む本に不自由してるわけじゃないんだが

137誰そ彼:2024/05/15(水) 18:13:35 ID:???0
ざっくりとしたコメント感想で申し訳ないんだけど…
最近「異世界」に嵌まってる
ダンジョン飯とかフリーレンとかの影響でね。
それでファンタジーや幻獣等をテーマにした図鑑や辞典を繰り返し眺めている
特にあまり定番のファンタジーにも言及されないジャンルの本。
ホルヘルイスの幻獣辞典や水木しげるの中国妖怪辞典など
ネットが出来る前に編纂された本に書かれた情報をネットで検索して新ためて調べてみるのも楽しいよ

138誰そ彼:2024/05/15(水) 18:23:40 ID:???0
昔は落ち着いた喫茶店で読書していたもんだが田舎に引っ越してからめっきりそういう小洒落た喫茶店がなくなった
それに引き換えスタバがどんどん増える始末、ここ田舎だよ?
スタバじゃ騒がし過ぎてとてもじゃないけど読書出来ない
そもそも座れないしな

139誰そ彼:2024/06/05(水) 04:45:35 ID:???0
スタバですらないから羨ましい…
バスで片道20分いかないとスタバもツタヤも本屋もない田舎だわ
いまでも、うちの地元みたいに本屋の数に関してはモロにその土地の学力などに関わるからなぁ…
このまま全国的に減っていくとどうなっていくのかしら

140誰そ彼:2024/08/12(月) 15:14:55 ID:PzQztjF.0
 吉川弘文館 歴史文化ライブラリー528 福田千鶴著『女と男の大奥 大奥法度を読み解く』
 副題の「大奥法度を読み解く」が書名の「女と男の大奥」よりいいと思うんだがな。
 これは「出版社営業側の意見による題の付け方」だったんだろうか。
 この本は細かい記述が煩雑なので少し読みにくいかも。

 大奥に出入りする者は門札や切手(ともに通行許可証)が必要で、その取得はかなりめんどうだった。
 しかし、驚異的な力を持つ「通り御判」という通行証が存在した。
 これは深夜であろうが江戸城のどの城門であろうが通れた。緊急非常時のための通行証であった。そしてこの通行証を持つ者には各門番士は非常に丁寧に対応した。(p.118)
 それだけ強力な通行証なのでそう簡単にはもらえない。
 将軍家から降嫁のあった大名家に渡された。
 弘化・嘉永年間(1844-54)、仙台藩がこの「通り御判」を使った例が掲載されている。
 大奥に仕える女中はそのはじめに誓紙を出すが、その禁制に「合い風呂、合い床(同浴同衾)はだめ」とあった。つまりそれらをしていた女中たちがいたということであるな。(p.136)

 大奥は男子禁制という建前であるが、大奥観光をした田舎のおっさんの話は有名であろうから知っている諸君もいるであろう。(「錦織五兵衛 大奥」で検索されたい)

 本の最後のほうで著者は、大奥をアジールとして捉え、「男の暴力を防ぐ区域」と主張している。
 そこまで主張するのなら、文化系統の違う中国やイスラムの後宮との比較まで言及しないと単なる独りよがりの言い放ちで終わってしまうとつい思ってしまった。
 そして、あとがきで「夫を主人、妻を奥様と呼ぶこと」にぐちぐちと書いておる。
 事実とのすり合わせが苦手であったり都合がわるかったりすると、自分だけの理想郷をせっせと作る作業に勤しむ傾向を持つ者がある割合でいる。

141誰そ彼:2024/08/21(水) 16:17:52 ID:4FVJ5hr60
 気軽に読めてそれなりに面白い本。
 祥伝社新書692 春画ール著『春画で読むエロティック日本』。
 春画に関する本で概説書的なものは今までに何冊か読んだことはあった。
 それらはやや教科書的な春画の本であった。
 この本は27の用語を項目として立て、それにまつわる話という体裁になっている。
 だから読者にはうれしいことに「おいしいところどり」になっている。

 本書内である人の言葉として述べられているが、「『ポップアートのような』むちむちお尻」の絵が出てくる。
 歌川国貞『春情肉婦寿満』(天保10年)、この絵。(p.56)
 一般的に春画では女の胸やお尻の線はそう魅力的に描かれない。だがこの絵はもう完全にむちむちなのであるよ。
 そのお尻に加えて「男女の快楽を尻の穴と大きな金玉、うねる女陰で描く」と著者はこの絵を評している。(p.57)
「見ればわかる、見ないとわからん」としか言えないが、この国貞のお尻は見ておいて損はない。

 著者は明治期に販売されたと思われる「りんの玉」を所持しているが、どの程度のものだろうかと「試してみたい女性を募集」してやってみてもらった。
 ただ入れただけではなんともない。棒状のあれを出し入れしてみたが、それでも別段なんてことはない。
 音も、かなり静かな環境でかすかに聞こえるかもしれない、程度であったとのこと。
 これは男の「そうであって欲しい空想」用のおもちゃであろうとしている。
(素朴な疑問。なんで他人だけにやらせるのか。自分がしてみたらこうだった。自分一人だと客観性が低いので他の人にもやってもらった、ならわかる)
(同じく、「張形」のところで著者所蔵のたぶん19世紀に作られた水牛の角製の張形について、
「張形を湯から出すと水をツルッと弾きます。そのため手入れが楽ですし、乾きやすく、黴が生えにくい。使用後も清潔に保てるだろうと感じました」(p.161)
 とここまでで自己所有のものの説明は終わっている。
 絶対に読者は著者自身による使用感の説明を欲しているだろが、ううむ、読者はそこまで要求してはいけないのか)

 面白く読めたので、同著者の他の本も読むぞ。

 なお、著者は「下世話」という言葉の意味を知らないで遣っている。(p.23,25)

142匿名:2024/08/22(木) 03:27:32 ID:fHMyVHlY0
不祥事 京都保健衛生専門学校(京都市上京区)の60代の小澤優が、同学校の同窓会組織の銀行口座から約2100万円を着服していたことが5日、分かった。

ニュース京都市

京都保健衛生専門学校(京都市上京区)の60代の小澤優(宮井優)が、
京都保健衛生専門学校の同窓会組織の銀行口座から約2100万円を着服していたことが5日、分かった。同学校は既に男性教員の小澤優を懲戒解雇しており、業務上横領の疑いで京都府警に告発する方針。 【小澤優】京都市上京区はここ  
同学校によると、小澤優は臨床検査学科の教務部長で、昨年4月から今年3月にかけて、同窓会組織の口座を管理していた立場を悪用し、現金を無断で引き出していたという。  
同窓会組織の口座には、臨床検査学科の生徒が入学時に支払う会費が積み立てられており、
京都保健衛生専門学校の外部調査で着服が判明した。
小澤優が不正を認めたため、6月27日に懲戒解雇した。
同学校は看護師や臨床検査技師などを養成しており、約300人の生徒が学んでいるという。

ソース 京都新聞ニュース

143誰そ彼:2024/08/24(土) 23:43:53 ID:/SRa3stI0
 亜紀書房刊 トレイシー・スレイター著『米国人博士、大阪で主婦になる。』
 たいへん裕福なユダヤ系アメリカ人夫婦の娘として生まれ、しかし両親の離婚等などの境遇で「他者に依存しない自立人」を目指して生きてきた著者。
 傾向としては少し左翼的でフェミニズム的な人物であった。
 博士号を取り、能力を生かして社会奉仕的な活動もしていた。
 そんな著者がMBAの講師として受講生の年下の日本人男性タクと出会い、陳腐な表現だが「二人は恋に落ちた」。
 著者は自分の生き方を保持しようとし、しかしタクとも離れがたく、少しずつ現実とのすり合わせをしていく。
 アメリカ的理想の一つの体現者である「自立した女」が、日本人男性タクとのつき合いで徐々に変化が起きる。
 男に頼ることを拒否していた著者だが、依存被依存の関係内要素になった自分が安定しているという驚きを知る。
 やがてタクと結婚し、大阪に住む。
 そして四十代になって子供を望み医療機関へ。
 不妊治療の失敗を繰り返し、治療を諦めたあとに思いがけず妊娠。
 それらの間に、タクの父親の介護と死去があり、その介護でこの人、かなり義父に献身的な努力をした。
 おれはこの本を「著者の脱皮成長物語」として読んだ。
 アメリカの文化で仮想された「自立したキャリアウーマン」が、日本の文化に接して浸かることで、別系統の安定した人間のあり方へ変わっていくという「脱皮成長物語」である。

144誰そ彼:2024/09/02(月) 09:16:49 ID:QaaYEOSk0
 昔。江戸時代。
 医師に資格というものはなかった。
 医師の薬持ちなどの雑用をしていた見習いですらない素人が、いきなり独立して医師を自称し、治療の真似事を始めたという話がある。
 これは、当時の医学なるものが「民間療法の経験則程度」のものでしかなかった、からでありますな。
 一応、陰陽五行に基づく「理論体系」が用意されていたが、現代の基本的な科学知識を持った者からすると、理論としては荒唐無稽なでたらめである。
 ただしおれは経験則による治療薬効を否定するものではない。ひどくない怪我や病気には対症療法的な経験則で十分対応できていたと思う。

「世間おほく少し儒学の力ある者の心には、医学を甚心易き事に思ひ、纔に一両月打かゝりて、医書だにすこし読ば、療治は忽ちに出来るやうに思ふ者なり。名高き大儒先生物徂徠、斎必簡のごとき人も斯ありしと思はる。余も弱冠の頃は左思ひしなり。是は客気ある故なり。」
 吉川弘文館 日本随筆大成 第二期 第15巻 橘春暉著「北窓瑣談」p.347

 さて、儒者などは漢文で書かれた当時の医学書等(*1)は読め、かつ内容がちゃんと理解できる能力があったから、「医師でなくても、本を読めば自分だってできるぞう」と考えてしまうんだな。
 こういう症状ならこの書物のこの部分に書かれてある処方をすればよい、と。
 これらの記述は、陰陽五行による世界観から敷衍されたものに経験則を乗っけただけのものだ。
 医学的根拠は一切ない。
 しかし当時はそれがいわば最新の「科学」であったわけだ。
 そして、その重要書籍を読みこなせてその通りのことをやればいいだけだ、となる。
 これね、当時の「論理体系」がもし正しかったとしたらなんの問題もないんだよ。
 魔法のある世界で、その魔法を使って病気や怪我を治した。はい、これに問題は一切ない。
 しかしながら当時は「事実」を研究する段階までは至ってなかった。
 筆者は上記の文章に続けて、ひたすら工夫努力をせねばならんと書いておる。
 なぜそうなのかがわからない状況で医学に邁進しようとしていたようだな。
 片や、当時の世界認識に基づく「事実」(この場合は病気や怪我)の対処法が管理できると傲慢にも考えてしまっていた儒者。
 片や、よくわからんが奥妙へ進まねばならんと決心した筆者。
 科学的事実の世界がもうすぐ開かれる時代の「旧世界観」と「新世界観」が並立している状況をあらわしているとおれはこの文章を読んで気づいたのでありますよ。

(*1)『傷寒論』『金匱要略』『黄帝内経素問・霊枢』『神農本草経』

145誰そ彼:2024/10/10(木) 18:29:13 ID:bSDnk2rk0
最近ハマってるのは芥川賞の本を読むことかなぁ〜
正直よくわからないのも多いけれど、たまに個人的ホームランが混ざってるからそれが楽しい

146誰そ彼:2024/10/12(土) 17:14:10 ID:djV7E33Y0
 早川書房刊 宝樹著『三体X 観想之宙』
 例の『三体』シリーズのファンが勝手に書いた二次創作の作品。
 終わってしまった『三体』の「続き」を渇望してやまない宝樹という人が、「語られなかった部分」を補完するさらなる物語を書いた。
 いやはやおもいきりこねくり回している。
 次元と時間を超越した壮大で強烈な話や、感嘆符が頭の上に飛び出たり(なぜ日本のAV女優の姿なのか)、喜びで声を出すか書きすぎだと不快感を示すか。
 もちろんおもしろい。
 おれは「読み直す作品群」を持っている。
 ダン・シモンズの『ハイペリオン』シリーズや馮夢竜の『平妖伝』や勝小吉の『夢酔独言』など、何年かに一回は読み直す。
 この『三体』シリーズも「読み直す作品群」リストに入ることになる。

147誰そ彼:2024/11/02(土) 14:55:38 ID:A0Z5Tj3ES
米澤穂信のボトルネックは所謂『二度と読みたくない名作』と呼ばれる作品で、読みやすく、それでいて等身大の若者然とした心情描写等をもってストーリーが展開していく
しかし、それでも陰鬱とした雰囲気と消化不良待ったなしな救いのない結末には思わず読後のため息を堪えられないだろう
この作品からは同著者の氷菓等からは得られない、独特の妙味を感じることが出来る
それがこういう場末の掲示板に来たアナタであればきっと格別お気に召すと思うので、諸兄姉においては是非ご一読願いたい

148誰そ彼:2024/11/26(火) 16:55:49 ID:P4MkEkY60
『推し燃ゆる』

149誰そ彼:2024/12/01(日) 19:11:29 ID:ubW5bhP6S
角川選書579 山本紀夫『コロンブスの不平等交換』

同じ著者の『四大高地文明』なる本を読んで面白かったので探し出して読んだ本。
引っ越しして生活環境が変わったため本の存在を知ってから実際に手元に取り寄せ読むまでに時間が掛かった。本を手に入れるにあたって環境が悪いので図書館にて借りて読む。

以前の書籍が著者の専門のそれぞれの高地文明の解説なのに対し、こちらは新大陸の文明に絞り、それぞれの大陸から渡り大きな影響を与えた事物の解説になる。よって新大陸から旧大陸に渡ったものだけでなく、旧大陸から新大陸にわたり大きく社会を変えた物を取り上げてるのが新鮮だった。
具台的には、トウモロコシ・ジャガイモ・サトウキビ・家畜・疫病だが、トウモロコシとジャガイモは以前の書籍でも解説されてるが、サトウキビ・家畜・疫病の解説は新鮮だった。
特に、奴隷労働と密接に結びついたサトウキビやジャレ・ダイヤモンドが解説してる疫病はともかく、家畜が新大陸の社会や環境に与えた影響は初めて知ることが多く、自分にとって全くの僥倖だった。
ヨーロッパ北部中央部に定着したジャガイモ、南欧から最終的にアフリカやアジアに広く定着したトウモロコシのように、ヨーロッパの家畜(特に馬と牛)は天敵のいない南北アメリカで野生化して広く定着し、ヨーロッパ移民だけでなくインディアンの生活をも自発的に変えた。
馬が旧大陸産だったのは知っていたが、インディアンはヨーロッパ移民に直接教えられたわけではなく、自発的に野生化して定着していた馬を捕らえて乗りこなし、定住農耕を辞め新たな生活スタイルを選び取ったことを知って驚いた。

本書は本来「従来“コロンブス”の交換とは云うけれど、実際は“不平等な交換”だったんだよ」と伝えるための書籍のようだが、自分は全く別の記述に魅了されてしまった。
読破に掛かった時間は平日に飛び飛びで読んで一週間、実際は三日から四日かな。

150誰そ彼:2025/04/03(木) 23:00:48 ID:QWmQQ.CM0
漫画だけど、弐瓶勉の『タワーダンジョン』。
自分のダンジョン飯ロスを埋めてくれる弐瓶の新作。拐われたお姫様を救出するため突如現れたタワー型のダンジョンを、力だけが自慢の主人公が近衛騎士団に認められ攻略していく。
自分は元々弐瓶勉の事をよく知らなかったしファンでもなかったが、一応ロボットアニメのシドニアの騎士を通じて存在だけは知ってた。
最初タワダンを読んだ時、1巻無料だったから読んだだけで同じ作者と気付かなかったが、読み進めていくうちにここ最近の異世界ものとしては一番嵌まった。
絵がシンプルだが読みやすくキャラも魅力的、やや一昔前の漫画のノリが心地よい。
1巻無料のうちに皆んなに読んでもらいたい。

151誰そ彼:2025/04/04(金) 11:40:54 ID:gTv4cwjU0
完全自殺マニュアルの作者が書いた本で
「人間関係を半分降りる」ってのが面白かった
人付き合い疲れた人におすすめ

152誰そ彼:2025/04/06(日) 11:12:01 ID:7AKSRgm20
タワダンのひと昔前の漫画表現好き。
へんにストイックにならないで要所要所にサービスカットを入れてきたり正統派のラブコメ要素入れてきたり
タワダンに限らず弐瓶作品全体の傾向なんだろうけど

153誰そ彼:2025/04/13(日) 14:44:26 ID:WFe23ik.S
タワーダンジョン面白かった!早く続きがみたい!

154誰そ彼:2025/04/25(金) 10:31:36 ID:yAQSAQO6S
また語れる!バンザイ!!

155誰そ彼:2025/04/30(水) 17:49:30 ID:8P5u9pB.0
完全自殺マニュアルと同じようなのなら完全犯罪捜査マニュアルかな。
いろんな事件の捜査方法が載ってて面白かった。
昔だから情報は古いだろうけど読む価値はある。
あと完全〇〇マニュアルであって完全犯罪の捜査でないことは一応


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