- 1 :名無し三等陸士@F世界 :2016/10/03(月) 01:41:59 ID:9R7ffzTs0
- アメリカ軍のスレッドです。議論・SS投下・雑談 ご自由に。
アメリカンジャスティスVS剣と魔法
・sage推奨。 …必要ないけど。 ・書きこむ前にリロードを。 ・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。 ・SS投下中の発言は控えめ。 ・支援は15レスに1回くらい。 ・嵐は徹底放置。 ・以上を守らないものは…テロリスト認定されます。 嘘です。
- 916 :名無し三等陸士@F世界 :2025/03/09(日) 07:59:01 ID:pHU8Z2AY0
- つい筆が走って
ttps://www.pixiv.net/artworks/128012921
- 917 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2025/03/09(日) 20:38:13 ID:t0EWw3k.0
- >>916氏
良いものを見せて頂き、ありがとうございます! 個人的にはドシュダムの数少ないドヤ顔シーンを見れたのが一番嬉しかったです。
- 918 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:12:08 ID:pHU8Z2AY0
- 実に8年ぶりのSS投下
さすがに気分が高揚します
- 919 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:13:05 ID:pHU8Z2AY0
- 雲一つ無い青空に廃車寸前の旧型フォルクスワーゲンのような爆音が響く。
ここはシュヴィウイルグ近郊に設営されたシホールアンル軍秘密訓練基地の一つ。 その滑走路脇で大空を飛び交う無数のドシュダムを見上げる二人の少女の姿があった。 優しげな顔立ちをした茶髪の少女は特務機関の暗殺からドシュダム乗りに転向したもと暗殺兵の55号。 キツ目な顔立ちをした銀髪の少女はやはりもと暗殺兵の66号。 二人は「赤の12番」として名高いニポラ・ロシュミック少尉の653飛行戦隊時代からの部下だ。 「だいぶマシになってきた」 「マシになってくれなければケルフェラク乗りに好き放題された意味がない」 「楽しい時間だった」 「全面的に否定する」 無言で見つめ合ったあと、おもむろに服を脱いで組み手を始める55号と69号。 下着姿の少女二人が若い肉体を激しくぶつけ合う光景に集まった野次馬たちは一様に鼻の下を伸ばす。 だが特殊な育ちゆえ情緒面に問題のある二人はまったく気にしていなかった。
時に1486年(1946年)1月23日、秘密訓練基地に移動した653飛行戦隊は損耗した機材と人員の補充を受けるとともに78飛行戦隊に改名される。 そして来たる決戦に備えて搭乗員の錬成に努めよとの命令を受けたのだが-
「錬成と言われてもねえ…」 653飛行戦隊改め78飛行戦隊司令フラチナ・カリポルポフ中佐は補充要員の調書を見ながら溜息をついた。 全員が実戦経験なし、そのうえ揃って少年少女といっていい年頃だ。 「バルジ大作戦」のヘスラー大佐ならこう言っただろう 「子供です、役には立たない」 だが促成栽培の新米が乗っても戦闘機として最低限の仕事は出来てしまうからには戦力として活用せざるを得ない。 安く大量に作れて素人でも手軽に扱える。 そして秋の木の実のように簡単に墜ちる。 良くも悪くもそれがドシュダムだった。 「私が何とかしますよ」 「頼むわね」 戦隊指令であるフラチナが書類仕事と上級司令部との折衝を受け持ち飛行士の面倒はニポラが見る。 共に苦労を重ねてきた二人の連携に齟齬は無かった。
- 920 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:13:58 ID:pHU8Z2AY0
- 「傾注、これから君たちが乗るドシュダムの実戦での扱い方を説明する」
ニポラはまずドシュダムに出来ること、出来ないこと、やってはいけないことを経験豊富な飛行挺乗りの立場から懇切丁寧に説明することから始めた。 そして速度性能で勝る米軍機と速さで勝負してはいけない、ドシュダムの強み-というよりは唯一の長所-である低速域での変態的な運動性能を活かして戦うのだと訓示する。 「敵の攻撃をかわして離脱される前に狙い撃つ、一瞬のチャンスを活かさなくてはいけない」 新人達の生存率を少しでも上げるためニポラは知恵を絞った。 月月火水木金金の勢いで飛行訓練を課すとともに、飛行挺同士の模擬戦をより実戦に即したものにするため実弾射撃を取り入れることはできないだろうかと考える。 飛行隊のエースで4番から“お願い”されたフラチナはケルフェラクに乗ってブイブイ言わせていた頃に関係を持った軍の高官に連絡を取り、その高官がコネを持つ別の高官に連絡を取りといったなんやかやのすえ白髪頭の民間人がやって来た。 確かな腕前と面倒見の良さであっという間に整備員たちから「おやっさん」と頼りにされるようになった初老のエンジニアはニポラの要望を聞くと銃身に装着する減圧チューブ-口の悪い連中は「皮被り」と呼んだ-を一晩で作ってみせた。 これによって光弾の威力を下げ、標的機に損傷を与えず機体表面で花火のように弾けることで命中弾を確認できるようにしたのだ。 なお報酬については事前に何の取り決めもなかったが、おやっさんは55号が肩を揉んでくれればそれで十分だと言って笑った(死んだ孫娘に似ているのだそうだ)。
技術的な問題を解決したら次は訓練メニューの内容である。 模擬空戦に必要なのは練習相手、それも性能が米軍機に近い機体だ。 というわけで隣の基地に展開しているケルフェラク隊に協力を頼みにいったニポラは当然のごとく対価を要求された。 ごく一部の人間のできた連中を除いた大方のケルフェラク乗りにとって、ドシュダム乗りは見下して当然の下層民でありひと山幾らの消耗品だ。 そんな彼らがドシュダム隊の練度向上のために標的役をやって欲しいと頭を下げる器量よしなニポラに邪な感情を抱かないわけもなく。 「噂のエース様が相手してくれるなら考えてやってもいいぜ」 宿舎に連れ込まれたニポラの肢体に四方八方から手が伸びる。 「『赤の12番』の腕前、ベッドの上で確かめさせてもらおう」 のしかかってくる獣欲にギラついた顔。 すでに戦争の狂気にどっぷりと漬かっているニポラである、いまさら自分の肉体で取引することに何の抵抗もない。 (まあいいか…) ニポラは押し寄せる牡津波に身を任せた。
やっぱり一晩で一個飛行隊全員を相手にするのは無茶でした。
- 921 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:14:54 ID:pHU8Z2AY0
- 翌日、体調不良を理由に飛行訓練を休んだニポラからナニがあったのかを聞き出した戦隊司令は当たり前のように「しょうがないわね、半分引き受けてあげる」と言った。
その日から訓練を終え基地に帰るケルフェラク隊に随伴するドシュダムは二機になり、翌日には話を聞きつけた55号と69号も志願して四機となった。 そして繰り返されるケルフェラク隊宿舎での夜の白兵戦。
そんなある夜、その日の“支払い”が早めに終わった-肌を重ねるうちに情が移ったのかケルフェラク乗りもニポラ達を丁寧に扱うようになっていた-ニポラとフラチナは滑走路脇の草地に並んで腰を下ろし、星空の下でのんびりと世間話に興じていた。 「思い返せばケルフェラクに乗ってた頃の私って性格悪かったわ」 「想像できませんね」 「天狗になってたのよ、一時期は撃墜数でケルフェラク乗りの上位十傑に入ってたし」 フラチナは照れくさそうに笑った。 「でもある日の空戦で被弾した愛機から脱出するとき尾翼で頭を打ってね、三日三晩生死の境を彷徨ったわ」 シリアスな表情のフラチナにつられてニポラも姿勢を正す。 「そのとき天使様に会ったの」 フラチナは真顔だった。 ニポラは宇宙の真理を悟った猫の顔だった。 「天井に逆さに張り付いた天使様は言ったわ、『神は言っている、ここで死ぬ定めではない』って」 フラチナは夢見る少女のような表情。 ニポラは「窓に!窓に!」と叫びだしそうな表情。 「そしてこうも言ったわ、『人にやさしくしなさい、それは貴女自身を助けるだろう』って」 「どんな天使様でした?」 「金髪アフロで褐色肌の筋肉モリモリマッチョマンだったわ-なぜ額に手を当てるの?」 「熱はありませんね、自我科いきます?」 「ひょっとしなくても正気を疑われている!」
そうして訓練の昼と乱交の夜を重ね、78飛行戦隊は3月16日を迎える。
- 922 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:15:50 ID:pHU8Z2AY0
- 死んでいく死んでいく。
17回目の挑戦で標的機に命中弾を出し「できました少尉どの!」と子供のように喜んでいた新人が。 「ハエは肥桶担ぎ-攻撃機型ケルフェラクの蔑称-に張り付いてな!」と言ってジェット機に突っかかっていった戦闘ケルフェラク乗りが。 かつて無垢な少女だったニポラが憧れた大空には炎と悲鳴が渦巻いていて、そこが今のニポラが生きる世界だった。
「ここは引き受けました!ケルフェラク隊は敵機動部隊の攻撃に向かってください!」 攻撃隊の一番機を狙うF7Fを一撃で仕留めたニポラは返す刀で8時方向から迫る新たな敵編隊に立ち向かう。 この時のニポラが操るドシュダムが見せた無茶苦茶な機動は珠海航空ショーでセルゲイ・ボグダンが操ったSu-57に引けを取らないものだった。 この時点で出撃時の3分の1まで数を減らしていた78戦隊のドシュダムはニポラ機の動きに追従できず次々と落後していく。 いつしか数と性能で勝る敵に四方を囲まれ、単機で戦い続けるニポラは襲い来る米軍戦闘機をかわして撃ち、かわして撃ち、またかわして撃った。 何機かに命中弾を与えたような気がしたが墜落するまで見届ける余裕などない。 視界の隅で爆発四散したワイバーン乗りが「験担ぎだ」と言って出撃前にニポラの尻をひと揉みしていったイケメン空中騎士団長だったことにもまったく気付かなかった。
「ハア…ハッ…ハア……」 攻撃隊が米機動部隊への対艦攻撃を終え戦場から離脱し始めた頃、3分に及ぶ格闘戦で手強いF8Fを退けたニポラは舌を突き出し、犬のように喘いでいた。 アドレナリンが全身を駆け巡り、湯気が立つほどに汗をかいている。 濡れた飛行服は肌に張り付き、極度の緊張から硬く尖った双球の頂はいまにも布地を突き破りそうだ。 「恐ろしい手練れであった…」 昔読んだ剣豪小説の主人公のようなセリフを口走ってしまったのは疲労からくるニューロンの混濁が原因だろう。 緩みかけた集中力を取り戻そうとした一瞬の隙をついてF6Fが迫る。 狙いを定めた6挺のブローニングが火を吹くかと思われたそのとき、進路上に滑り込んできたのは戦隊指令のドシュダムだ。 ニポラ機を追尾するF6Fとヘッドオンの体勢になったフラチナ機が短く発砲。 対地攻撃にも有効な重魔道銃は一撃でF6Fのエンジンを吹き飛ばした。 そのフラチナの背後に迫るF7F。 魔法でも使わない限りニポラのカバーは間に合わない。 そのときフラチナのドシュダムが二つに割れた。 最後まで克服できなかったドシュダムの構造的欠陥-連続して高負荷をかけると予兆なしに機体が破断する-がここで出たのだ。 F7Fの銃弾がオープンゲットしたままフラフラと飛び続けるドシュダムの前半分を引き裂いたときには、パラシュートを開いたフラチナは海面に向かって降下していた。 そしてニポラは見た。 純白のパラシュートの上に立つ筋肉モリモリマッチョマンな金髪アフロを。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 923 :外パラサイト :2025/03/14(金) 21:16:46 ID:pHU8Z2AY0
- 投下終了
ニポラの所属部隊がヨークタウン様のSSでは「78戦闘飛行隊」拙作では「78飛行戦隊」となっていますがこれは洋書の訳者による差異を再現したものです。 「機甲師団」と「装甲師団」です。
- 924 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2025/03/16(日) 00:14:32 ID:t0EWw3k.0
- >>外伝氏 投稿お疲れ様です!
二ポラ達の裏話、今回も楽しく読ませて頂きました! 作戦前の準備にかなり苦労されていたようで…… そんな苦労を経て徐々に練度を上げていった隊が、一度の決戦で無惨な姿になる場面はなんとも何とも言えぬ物があります
そして、上官が見たアレを見てしまった二ポラは今後どうなる事やら…… なお、米軍の捕虜となった彼女は、今後はいい面で数々のアメリカンな体験をする事になりそうです
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