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とはずがたり数理解析研究所講究録

1とはずがたり:2017/03/10(金) 23:04:42
名前負け及び過疎スレ化必至で恥ずかしいけど数学綜合スレ。

2とはずがたり:2017/03/10(金) 23:04:56

漢数字
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E6%95%B0%E5%AD%97

分数[編集]

中国では古くから小数が発達したため、分数の数詞は少なく、単独の字としては「半」しかない。古くは以下の語が使われた[24][25]。
数 数詞
1⁄2 半、中半
1⁄3 少半、小半
2⁄3 太半、大半
1⁄4 弱半
3⁄4 強半

位取り記数法[編集]
漢数字を位取り記数法で用いることもできる。この場合、アラビア数字の 0 から 9 を単に〇から九に変えれば良い。読み方はそれぞれの言語による。小数点は中黒(・)を用いる。例えば 32.8 は数詞なら「三十二点八」だが、位取り記数法なら「三二・八」である。
漢数字の位取り記数法は新しい。漢字文化圏では、長らく算木が使われ、位取り記数法で漢数字を用いる必要がなかった。元までの漢文に「二八」とあったら、16 の意味 (2×8) であって 28 ではない。

算木
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%97%E6%9C%A8

歴史[編集]
中国では紀元前から算木が使われていた。1954年、湖南省長沙の左家公山15号楚墓で、戦国時代の算木が四十数本発掘された[1][2]。文献の記録はさらに古く、老子には「善く数える者は籌策(ちゅうさく)を用いず」とある[3]。
13世紀にそろばんが使われるようになるまで、算木で計算を行った。算木はそろばんと異なり高次の代数方程式を解くことができたが(別項参照)、中国ではそろばんの普及により解法が失われた。江戸時代の日本の数学者はそろばんと並んで算木を用い、数学の発展に貢献した。

籌算
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%8C%E7%AE%97#.E9.80.A3.E7.AB.8B.E4.B8.80.E6.AC.A1.E6.96.B9.E7.A8.8B.E5.BC.8F

籌算(ちゅうさん、中: 筹算)とは、算木(中: 筹、算、策[1][2])と呼ばれる一組の棒を用いる、一種の器具代数術。布の盤(算盤)上に算木を並べて行ったことから布算ともいう[3]。中国のほか朝鮮半島や日本をはじめとする漢字文化圏で広く利用された。

連立一次方程式[編集]
『九章算術』巻第八「方程」にはガウスの消去法に似た連立一次方程式の解法が述べられている[13]。以下を例題とする。

3とはずがたり:2017/03/24(金) 16:39:35
代数は一階述語論理だけど解析は違うと聞いたんだがちんぷんかんぷんだ…orz

一階述語論理
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E9%9A%8E%E8%BF%B0%E8%AA%9E%E8%AB%96%E7%90%86

4とはずがたり:2017/03/24(金) 16:45:40
どの辺からやればいいのかなあ。。

経路積分
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E8%B7%AF%E7%A9%8D%E5%88%86

経路積分(けいろせきぶん)あるいは径路積分は、リチャード・P・ファインマンが考案した量子力学の理論手法である。ファインマンの経路積分とも呼ばれる。

5とはずがたり:2017/04/04(火) 20:46:57
数理所か算数だけどw

「分数ものさし」小学生が発案 計算法、目盛りで理解
http://www.asahi.com/articles/ASK3X5Q9ZK3XUTPB00W.html?ref=goonews
張春穎2017年4月3日07時01分

http://tohazugatali.web.fc2.com/education/2017-04-04.jpg
分数ものさしでの割り算の計算方法。「6分の1÷2分の1」は、基準となる「12分の1」が2個と6個と考えて、「6分の2=3分の1」と解く

 苦手な子どもが多い分数の計算。それを視覚的に理解しようと、浜松市内の小学生=当時=が「分数ものさし」を考えた。長さ12センチのものさしに5列の目盛りが付き、基準単位の「12分の1」がいくつあるか数えて計算する――。この発想に静岡大が注目し、教材化に向けた研究も進む。

 浜松市立神久呂小学校を今春卒業した山本賢一朗君。小5の時、分数に苦手意識を感じたという。友人も悩んでいた。掛けるのになぜ、答えは小さくなるのか。割り算ではなぜ、割る方の分母と分子を入れ替えて逆数にするのか……。

 学習塾の経営に携わる父裕一朗さん(40)にも疑問をぶつけ、やがてものさしで分数を考える発想にたどり着く。1とその数以外では割り切れない「素数」の目盛りだけがついた京都大の「素数ものさし」がヒントになった。

 分数ものさしには、12分の1ずつ刻まれた目盛りに対応して「6分の1」「4分の1」「3分の1」「2分の1」ずつ刻まれた全5列の目盛りが付く。基準となる「12分の1」が何個かを数えて計算する。「4分の3」と「3分の2」、どちらが長いかも分かる。

 では計算。足し算「4分の1+…

6とはずがたり:2017/07/09(日) 22:45:49
大人になったら使わないのに、なぜ私たちは「分数」を学ぶのか
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170705/Itmedia_business_20170705013.html
ITmedia ビジネスオンライン 2017年7月5日 08時00分 (2017年7月6日 17時20分 更新)

 なぜ、私たちは「分数の足し算」を学ぶのか?
 数学を苦手にする人の多くは、このようなことを考えたことがあるはず。「微分・積分なんて、二次関数なんて、日常生活に役立たないよ」と。そして、いまこのように感じているかもしれない。「分数の計算も、社会人になったら使わないよ」と。本当にそうなのか。かつて、分数は小学4年生で習っていたが、いまは2年生で学ぶ。2年生の子どもに「分数って、大人になったら役立つの?」と聞かれて、あなたはどのように答えるのか?

 「大人のための数学教室 和(なごみ)」を運営する堀口智之社長に、納得いくまで話を聞いてきた。

 大人のための数学教室は開校以来、生徒数がじわじわと増え続け、現在は約400人が通っているという。普段、統計学などの難問に対応している堀口先生は「分数の計算を学ぶ理由」について、どのように答えたのか。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

●数学は物事を抽象化している

土肥: 学生時代に数学を苦手にしていた人って、社会人になっても「微分・積分なんて仕事で使わないよ」「二次関数って、一度も使ったことがないよ」と思っている人が多いのではないでしょうか。「微分・積分も二次関数もいらない。社会人になっても必要なのは、足し算、引き算、掛け算、割り算だけでいい」と考えている人が多いのかもしれない。いや、ひょっとしたら、微分・積分、二次関数をどのように使えばいいのかよく分からないので、「必要なのは、足し算、引き算、掛け算、割り算だけでいい」と自分に言い聞かせているのかもしれません。
そこで、堀口先生にズバリお聞きしたい。分数の計算って、何のために学んでいるのでしょうか?

堀口: 数学や算数の役割とは何か。たくさんあるのですが、そのひとつに物事をより抽象化している役割があるんですよね。
 例えば、リンゴが2個あるとします。でも、本当に2個と言えるのでしょうか。よーく見ると、そのリンゴは形がそれぞれ違うかもしれません。1つは、キズが入っている。もう1つは、へこんでいる。そうした場合でも、同じ1個と言えるのでしょうか?
 リンゴは1個あるよね、そしてもう1個あるよね。片方のリンゴは大きい、もう片方は少し小さい。でも、同じ1個として数える。とりあえず大きさ、形も違うけれど同じ1個なんですよね。そして、合わせて2個と呼ぼうね、というのが数学の役割なんです。現実にはさまざまな情報が詰まっているのに、特定の情報を抜き出しているのが数学なんですよ。
 数学に比べて、算数はより現実に近いんです。疑問に感じられている分数についても、現実に近いですね。
 分数の足し算は社会人になってから一度も使ったことがないということですが、その前に大切な話が抜け落ちているんですよね。そもそも私たちは何のために数学や算数を学ぶのか。
 なぜ私たちが算数を学ぶかというと、「数の感覚を身につける」ためなんです。5分の3って、どのくらいかな。3分の1って、どのくらいかな。どちらが大きいのかを考えなければいけません。「5分の3のほうが大きい」ことはすぐに分かりますよね。では、会社の売り上げは5分の3になりました。何%ダウンですか? と聞かれたらどうしますか?
 いきなり聞かれると、すぐに答えるのは難しいですよね。答えは、40%。ここで私が言いたいことは何か。世の中というのは「割合」で考えなければいけないことが多いんです。
 人間って常に、何かと何かを「比べて」生活しているんですよね。
 では、比べるということはどういうことか。A社の売り上げは100億円。分数を学んでいない小学生は、この数字を見て「スゴーい」と思うかもしれませんが、実感することは難しい。一方の大人はどうか。A社の売り上げが100億円と聞いて、子どもと同じように「スゴーい」と思うかもしれませんが、それだけでは終わりません。どのくらいスゴいのかという話になる。対前年比でどのくらい伸びたのか、競合他社と比べてどのくらいの差があるのか、といったことを知ったうえで、A社の100億円がどのくらいすごいのかを判断するんです。

堀口: では、ここで問題。5分の3、7分の4、9分の5……このうち、どれが一番大きいですか?簡単そうに見えるのですが、実はこの問題は難しいんですよ。大学で数学科を卒業していても、すぐに答えることができる人は少ないはず。なぜすぐに答えられないかというと、数字の感覚が身についていないから。私たちは小学生のころから数字の感覚を鍛えてきたはずなのに、「十分に鍛えた」と言える人は少ないんです。

7とはずがたり:2017/07/26(水) 18:16:45
確かにそうだった(;´Д`)

英語のquadratic functionsはなぜ二次関数?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1021852595

yu_ki1077さん2009/1/109:51:46
英語のquadratic functionsはなぜ二次関数?
質問です。

quad は"4"という意味だと思います。なぜquadratic functionsは二次関数と訳されているのでしょうか。

gef00675さん 2009/1/114:30:16
quadraticは、「平方の」とか「二乗の」という意味。正方形から意味が転じた。
だから、quadraticといえば、常に、二乗というニュアンスがはいる。
例 quadraric equation(二次関数)
, quadratic function(二次方程式).
一方、第二次導関数は、second derivativeで、quadraticは使わない。

ちなみに、quadr-は「4つの」という意味のラテン語由来の接頭辞で、派生語には
quadrangle = 四角形
quadrant = 象限、四分円
quadratic = 平方の、二次の
などがある。

8とはずがたり:2017/07/26(水) 18:17:28
確かにそうだった(;´Д`)

英語のquadratic functionsはなぜ二次関数?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1021852595

yu_ki1077さん2009/1/109:51:46
英語のquadratic functionsはなぜ二次関数?
質問です。

quad は"4"という意味だと思います。なぜquadratic functionsは二次関数と訳されているのでしょうか。

gef00675さん 2009/1/114:30:16
quadraticは、「平方の」とか「二乗の」という意味。正方形から意味が転じた。
だから、quadraticといえば、常に、二乗というニュアンスがはいる。
例 quadraric equation(二次関数)
, quadratic function(二次方程式).
一方、第二次導関数は、second derivativeで、quadraticは使わない。

ちなみに、quadr-は「4つの」という意味のラテン語由来の接頭辞で、派生語には
quadrangle = 四角形
quadrant = 象限、四分円
quadratic = 平方の、二次の
などがある。

9とはずがたり:2017/07/27(木) 17:31:31
なんで円周が直径×3.14で出るのかを解説してくれないと納得出来ないよねえ。元のサイトも行方不明だし。。

円の面積はなぜ「半径×半径×3.14」なの? → 一目で理由が分かるサイトが話題に
円を長方形にしてみれば一目瞭然。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1305/14/news085.html#utm_source=excite&utm_medium=feed&utm_campaign=20170725-076&utm_term=nl&utm_content=rel5-01

 円の面積の求め方が「半径×半径×3.14」だということは覚えていても、どうしてそんな公式になるのか忘れてしまったという方は多いのでは? その理由を図でわかりやすく解説してくれるFlashが人気になっています。

 サイトでは円を細かいパーツに分けて並べ替えることで、長方形の面積を求める公式「たて×よこ」で考えればいい、ということを教えてくれます。「小学校でも同じ教え方をされた」という人も多いはずですが、順を追って丁寧に解説してあり、図に動きがあるのでスムーズに頭に入ってきます。

まず円を32等分します
それをこんなふうに並べると……おお、長方形になった!

 この長方形を円に戻して考えると、「たて=半径」「よこ=円周の半分の長さ」になります。あとはそれぞれに数字を当てはめるだけ。円周の長さは「直径×円周率(3.14)」で求めることができるので、その半分の長さだから「半径×3.14」。つまり「半径×半径×3.14」になります。

10とはずがたり:2017/07/27(木) 17:52:34
円周率は直径に対する円周の比率だから定義そのものって所か。

疑問のコアはなんで直径と円周が比例関係にあるかってところか?

11とはずがたり:2017/07/29(土) 07:06:06
女性でイラン出身のミルザハニ。若くして癌で亡くなったそうな。。ご冥福をお祈りする。

2014.08.24 SUN 19:50
とびきりの想像力が、女性初のフィールズ賞数学者を生んだ:マリアム・ミルザハニ【前編】
https://wired.jp/2014/08/24/maryam-mirzakhani-2/
https://wired.jp/2014/08/25/imagination-of-mirzakhani-2/

数学界最高の栄誉を得た、マリアム・ミルザハニ。2014年フィールズ賞受賞に輝いた37歳のイラン人女性数学者はこれまでどんな人に会い、どんな青春時代を送り、いまどんな理想を描いているのか。


1999年に、テヘランのシャリフ工科大学で数学の学士号を取得したあと、ミルザハニはハーバード大学の大学院に進み、マクマレンの講義を受講しはじめる。当初、彼女は彼の話す内容についてあまり理解できなかったと言うが、そのテーマ、双曲線幾何学の美しさに魅了される。彼女はマクマレンの研究室に通い始め、彼を質問攻めにし、夢中でペルシャ語でメモをとった。

「彼女はある意味、斬新な想像力をもっていた」。自身、1998年のフィールズ賞受賞者であるマクマレンは、こう振り返る。「頭のなかで、自分の予測に基づいた想像図を描いていた。そして、研究室にやってきて、その図について説明するんだ。説明が終わると、彼女はわたしに向かって『これで合っていますよね?』と聞く。わたしはいつも、彼女がわたしのことを理解者だと感じてくれていることを誇らしく思ったよ」。

ミルザハニは、双曲面に取り憑かれるようになる。

ドーナツ型のある表面上に開いた、ざっくり言えば鞍のようなかたちをつくっている穴。この双曲線ドーナツは、通常の空間ではつくることはできない。それらはあくまで、抽象的な概念上のもので、ある方程式にもとづいて距離と角度が計算されている場合においてのみ観察できる。その方程式のもとでは、面上に存在する想像上の生き物が「鞍」を形成する。

多数の穴の空いたドーナツには、無限に多くのパータンで双曲線構造が存在しうることがわかっている。大きな穴のあるドーナツから、狭い穴のもの、また両者を組み合わせたものまで。こうした双曲面が1世紀半前に発見されて以来、このテーマは幾何学における中心の研究対象のひとつとなり、数学やさらには物理の分野においても多くの関連分野をもつ。

だが、ミルザハニが大学院に入った時点では、そうした面に関する基本的な問題のいくつかに対して、解がまだ見出されていなかった。そのひとつが、ある双曲面における直線もしくは「測地線」に関するものだった。曲がった空間においても「直線」という概念は存在し、それは単に2つの点を結ぶ最短な線である。双曲面においては、平面上の直線のように無限に長く伸びる測地線もあれば、球面上の大円のように閉じて円になる線もある。

ある双曲面において、閉じた測地線の数はその長さが大きくなるにつれて指数関数的に増えていく。こうした測地線の多くは、始点と終点が結ばれる前に何度も交差する場合が多いが、わずかな割合が“シンプルな”測地線と呼ばれ、線上で交わることがない。そうしたシンプルな測地線は、「その構造と全体の面の幾何学を紐解く上で重要なもの」である。

ひとつの問いを解決するだけでも偉大だ

しかしながら、数学者はある特定の大きさの双曲面において、こうしたシンプルな閉じた測地線がいくつ存在するのかを特定することができなかった。閉じた測地線の円の中でも、シンプルなものは「ほぼ0パーセントの確率でしか起こらない奇跡」であるとファーブは言う。そのため、その数を正確に理解するのはとてつもなく難しかった。「ちょっとでも間違いをすれば、その存在を見逃してしまう」と彼は言う。

2004年に完成した博士論文において、ミルザハニはこの問いに対する解を示した。Lの長さのシンプルな測地線の数が、Lの長さと比例してどれだけ増えるかを導く方程式を考案したのだ。

その過程で、彼女はその他の2つの重要な研究課題の関連性を確立し、両方の問いに対する解を出した。ひとつは、いわゆる「モジュライ」空間と呼ばれる、ある面において存在可能な全ての双曲線構造の体積に関する問いだった。もうひとつは、プリンストン高等研究所の物理学者エドワード・ウィッテンが過去に提示した、弦理論に関連するモジュライ空間を位相幾何学を用いて測定する方法に関する予想を驚くべき方法で証明するものだ。

ウィッテンの予想を証明するのは非常に難しかったため、それを最初に証明した数学者であるパリ近郊のフランス高等科学研究所のマキシム・コンツェビッチは、その業績が理由のひとつとなり、1998年にフィールズ賞を受賞した。

両方の問題を解決することは「ひとつの問いを解決するだけでも大きな出来事であり、両者を結びつけたことはまた重大な出来事だ」とファーブは言う。ミルザハニはなんと、どちらもやってのけたのだ。

12とはずがたり:2017/07/29(土) 07:06:20
彼女の論文は、数学界のトップに位置する学術誌である『Annals of Mathematics』『Inventiones Mathematicae』『Journal of the American Mathematical Society』に掲載された。数学者の大半が、生涯一度もこのような偉業を成し遂げることはないとファーブは言う。「彼女はそれを博士論文でやり遂げたんだ」。

偉大な業績

ミルザハニは、自身のことをマイペースだと言う。ある問題に対してすぐに解をひらめく数学者とは違って、彼女は何年にもわたってじっくり取り組めるような深い問題に引き寄せられる。

そうした問題について彼女は、「数カ月、数年後になってはじめて、まったく新しい側面が見えてきます」と言う。実際、10年以上も考えつづけている問題もある。「いまでも、そうした問題についてできることは、あまりありません」。

ミルザハニは、問題を次から次へと片付けていく数学者の存在を前に怖じ気づくことはない。「簡単には失望しないタイプなんです」彼女は言う。「ある意味、かなり自信があるのかもしれませんね」。

彼女のマイペースな姿勢は、生活のほかの場面においても見られるものだ。彼女がハーバードで大学院生だったころ、当時マサチューセッツ工科大学の大学院生でその後彼女の夫となる男性は、ミルザハニと2人でランニングに出かけたときに彼女のこうした性格を知ることになる。

「彼女はとても小柄で、一方でぼくは体をよく鍛えていたから、ぼくの方がいい走りができるだろうと思っていた。実際、最初はぼくが先を走っていたよ」。現在は、カリフォルニア州のサンノゼにあるIBMアルマデン研究所で理論コンピュータサイエンティストとして勤めるヤン・ヴォンドラークは、そう振り返る。

「でも、彼女は決してペースを落とさないんだ。30分後、ぼくはもうランニングを止めたけど、彼女は最初と同じペースで走り続けていた」

ミルザハニは数学について考えるとき、よく図を描いていく。面の図や、研究テーマに関するものの絵を描いていく。

「彼女は床にでっかい紙を広げて、何時間もひたすら、ぼくにとってはまったく同じものにしか見えない図を描き続けるんだ」。ヴォンドラークは言い、そうした紙や本が自宅のオフィスにばらばらに散らかっていることも付け加える。「どうやったらこんな風に研究ができるのかまったく分からないけど、最終的にはうまくいくみたいだ」。

彼女がこうした方法をとるのは「取り組んでいる問題があまりに抽象的で複雑なため、一つずつ論理的なステップを踏んでいくことができず、大きな思考の飛躍が必要になるからだろう」と彼は推測する。

図を描くことで集中できると、ミルザハニは言う。難しい数学の問題を考えるときには「その詳細のすべてを書き留めたいとは思わないものです」と、彼女は言う。「ですが、図を描くことで、問題に対する意識を保つことができるようになるのです」。

3歳の娘 アナヒタはしょっちゅう「マミーがまたお絵かきしてる」と、彼女が数学の図を描いているときに叫ぶそうだ。「娘はわたしのことを絵描きだと思っているかもしれませんね」

ミルザハニの研究は、数学の多くの分野に関係する。その分野には微分幾何学、複素解析、力学系も含まれる。「わたしは、各分野の境界に人が引いた想像上の線を横断するのが好きなんです。それはとても爽快なことです」と彼女は言う。「多くの手法が存在しますし、どの手法を使えばうまくいくかも分かりません。楽観的であること、異なる物事を結びつけることが重要です」。

ときに、ミルザハニが物事を結びつける方法は衝撃的だとマクマレンは言う。例えば2006年、彼女は、ストライクスリップ型の地震に似た仕組みによって双曲線の面構造が歪むときに起こることを解明しようと取り組んだ。ミルザハニがこの研究に手をつける前は「誰も取り組むことのなかった問題だった」とマクマレンは言う。だが、彼によればたった1行の証明で「彼女は、この完全に謎に満ちた理論と非常に明瞭な別の理論の関連性を構築した」のだという。

2006年、ミルザハニはエスキンとの実り多い共同研究をスタートする。エスキンにとって、彼女はお気に入りの共同研究者の1人だ。「彼女はとても楽観的で、その姿勢は周囲に伝染するんだ」彼は言う。「彼女と一緒に仕事をすると、最初はまったく手がかりすら見えなかった問題でもきっと解決できるんじゃないかと思うようになるんだよ」。

数個のプロジェクトにともに取り組んだあと、ミルザハニとエスキンは、彼らの専門領域において最大の未解決問題のひとつに取り組むことを決意した。それは、多角形のような形をしたビリヤード台上で、合理的な範囲の角度で球を打つことを前提に、球の動きがつくる範囲に関する問題だ。

13とはずがたり:2017/07/29(土) 07:06:36
>>11-13
ビリヤードは、もっともシンプルな力学システムの例を提示する。ある決まったルールにおいて、時間を経るうちに進化するシステムだ。だが、球の動きはとてつもなく予測が難しいことが証明されていた。

「合理的ビリヤードというのは、1世紀前にスタートした」と説明するのは、スタンフォード大学で博士後研究員であるアレックス・ライトだ。「何人かの物理学者が集まって“三角形の中で転がる球の動きを理解しよう” と提案されたとき、おそらく彼らは、その問いは1週間で解決できると思ってただろう。でも100年経ったいまも、その問いに対する追究は続いている」。


ビリヤード球の動きがつくる長い軌道の研究において、有用なアプローチというのは、球が進む方向に向かって押しつぶすように、徐々に変形していくビリヤード台を想像することだ。

一定の時間内における球の動きのほとんどが見えるように。すると、元々のビリヤード台から、新しいビリヤード台がつなげられていき、数学者が用いる「モジュライ」空間において台が動いていくことになる。一定数の側面をもつビリヤード台がつながった空間だ。

各ビリヤード台を「Translation surface」と呼ばれる抽象的な面に変形させることで、すべての「Translation surface」から構成されるより大きなモジュライ空間を理解でき、数学者はビリヤードの力学を分析することが可能になる。過去の研究によって、モジュライ空間上を押しつぶすようにしながら描かれる、特定の「Translation surface」の軌道について理解することで、元々のビリアード台に関する多くの問いの解が導けることが判明している。


ぱっと見ると、この軌道はとてつもなく複雑に見えるかもしれない。だが、2003年、マクマレンは「Translation surface」が2つの穴の空いたドーナツ型(通称「ジーニアス・トゥー」)である場合には、その軌道は複雑ではないということを証明した。各軌道は、空間全体かもしくは部分多様体と呼ばれる空間の部分集合を内を満たすのだ。

マクマレンの研究結果は、同研究において大きな進展であると認められた。だが、彼の論文が発表される前に、当時はまだ大学院生だったミルザハニが研究室を訪れ「なぜジーニアス・トゥーだけを対象にしたのですか?」と尋ねたという。

「まさに、彼女らしい指摘だったよ」彼は言う。「なにかさらに深いものが隠れていると感じるものを、彼女はより明確に理解したいと考えるんだ」。

数年の研究を経て、2012年と2013年に、ミルザハニとエスキン、そして部分的に研究に加わったテキサス州立大学オースティン校のアミル・モハンマディは、マクマレンの研究結果は、2つ以上の穴をもつドーナツ型表面のすべてに当てはまることを証明する。

彼らの分析は「偉大な業績」であり、その結果の示唆するものはビリヤード台の理論のはるか先まで及ぶものだと、ゾリチは言う。モジュライ空間は「過去30年間、熱心な研究が進められてきた」と彼は言う。「だが、その構造については、まだ分からないことばかりなんだ」。


ミルザハニとエスキンの研究成果は「新しい時代の幕開けだ」と、彼らの172ページに及ぶ論文を数カ月かけて読み込んだライトは言う。「まるで、これまでおのを片手に森に入って木を切っていたのが、今やチェーンソーが開発されたようなものだ」と彼は言う。その研究成果は、すでにいくつかの分野に応用されている。たとえば、複雑な鏡張りの部屋における警備員の視線を解明するといった問題において。

2人の書いた論文を読むとき「積み重なる難問の一つひとつをめくると、その下に隠れていたアイデアが見えてくる」と、ライトはメールで説明してくれた。「そして、その問いの中心に到達したとき、2人が築いた手法に感嘆したよ」

ミルザハニの楽観主義と粘り強さのおかげで前に進んでいくことができたとエスキンは言う。「行き詰まったことも何度かあったけど、彼女は決してうろたえなかった」。

ミルザハニでさえも、いま振り返ると、2人がその問題に頑に取り組みつづけたことに驚いている。「こんなにも問題が複雑であると事前に分かっていたら、あきらめていたことでしょう」彼女は言う。間を置いて、彼女は再び口を開く。「いえ、やっぱりそんなことはないかもしれません。わたしは簡単に諦めませんから」。

15とはずがたり:2017/12/23(土) 07:26:12
複雑ネットワークの理論(2) スケールフリー・ネットワークの提唱
http://syodokukai.exblog.jp/20771928/
Emergence of scaling in random networks.

Barabasi AL, Albert R.

Science. 1999 Oct 15;286(5439):509-12.

【背景】
複雑ネットワークを考えるときに、1998年に提唱されたスモールワールド・ネットワーク (ワッツ・ストロガッツモデル)は画期的なものだった。しかし、現実のネットワークにはハブ(枝の数が非常に大きい頂点)が存在し、これはスモールワールド・ネットワークでは説明できない。このことに直面したノートルダム大学のアルバート・ラズロ・バラバシは、それまでのネットワークモデルにおけるランダムな世界観を捨てて、新しいモデルの構築を目指した。
d0194774_146426.jpg
Albert-Laszlo Barabasi (1967-) 以下の背景の多くは、バラバシの著書『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』(青木薫訳、NHK出版)によっている。

① 「ハブ」の存在
現実社会の友人ネットワークについて考えてみると、大多数の人は友人の数は数名だが、「友人の数がずば抜けて多い」人物が何人かはいる。これはウェブでも同様で、全ドキュメント(1999年で10億以上と言われる)の90%以上はリンクされる数は10以下であるが、ごく少数のページは100万近くリンクされている。後者はネットワーク上では「ずば抜けて枝の多い頂点」であり、ハブと呼ばれる。このハブは現実に存在するにもかかわらず、エルデシュのランダムネットワークでやワッツ・ストロガッツのスモールワールド・ネットワークでは生じない。では、ハブが生じるネットワークとはどのようなものなのか?

② ベキ法則
1900年代、イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートは、「収入分布は“ベキ法則”にしたがう」ことを発見。これは「世の中にはごく一握りのきわめて収入の多い人たちがおり、人口の大多数はわずかな収入しかない」ということを表す法則であり、後にパレートの法則とか「80対20の法則」などと呼ばれた(世の中のお金の80%は人口の20%の人という一握りの人たちが持っており、お金の20%はその他大勢の80%が持っている、ということ)。

これをネットワークでは、頂点の枝の数の度数分布として考える。枝の数がkである頂点の数をN(k)とし、全頂点についてkを横軸、Nの頻度を縦軸にプロットする。その結果は下記の式のようになる。

N(k)=1/k^r

これは、一般的には

f(x)=a x^k

で表される「ベキ法則 (power law)」に従うプロットとなる。(aは定数、kはスケーリング指数と呼ばれる定数で、ここではマイナスの値になる。「ベキ法則」は、べき乗則、ベキ則などとも訳される。ベキ(冪)乗は今では累乗と同じことだが、もともとは累乗と混同されて用いられ始めた用語らしい。「冪」の字は当用数字に含まれないため「ベキ」のように書かれる。)…

③ スケールフリー・ネットワーク
ベキ法則は、正規分布(釣鐘型の分布)とは違って、①どこにもピークがなく、なめらかに減少する、②分布のすそ野は正規分布よりも広い、③ごく少数のきわめて大きい事象と無数の小さい事象が共存する状態を表すなどの特徴を持つ。バラバシは、枝の数と頂点の数がベキ法則に分布をスケールフリー・ネットワークと呼んだ。

16とはずがたり:2017/12/23(土) 07:26:39
>>15-16

スケールフリー・ネットワークはグラフで見ると分かるように、「平均的な数」の枝をもつ頂点というものは存在しない。枝の数には、なめらかに減少するヒエラルキーがあるのみである(これは「ロングテール」とも呼ばれる)。この分布は、ある枝の数を持つ頂点数に平均や分散などの尺度(スケール)が存在しないので「スケール」「フリー」と名付けられた。

下の図は、『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』(アルバート・ラズロ・バラバシ、 青木薫訳)より改変引用させていただいた。左は従来考えられていたランダムネットワークで、k本の枝を持つ頂点の数N(k)は確率的に分布するため、正規分布に従っている。ここでは、ずば抜けて多くの枝を持つ頂点が存在する確率はきわめて低い(存在しない)。右はスケールフリー・ネットワークで、k本の枝を持つ頂点の数はベキ法則に従う。大多数の頂点はごく少ない数の枝しか持たないが、一部のごく少数の頂点は莫大な多さの頂点を持つことを表している。それぞれの下に例として、都市をつなぐ高速道路網(ランダムネットワーク)と、空港をつなぐ航空経路網(スケールフリー・ネットワーク)が示されている、左では高速道路がものすごく多数集中する都市などというものは存在しないが、右では航空便が非常に多く集まる空港(ハブ空港)がいくつか存在している。このようにスケールフリー・ネットワークはランダムネットワークとは全く異なるネットワークである。

http://syodokukai.exblog.jp/iv/detail/?s=20771928&i=201406%2F03%2F74%2Fd0194774_2161124.jpg

(そもそも、確率に支配されるようなランダム・無秩序な事象は正規分布に従うとされる。一方、そこから秩序が生まれると(秩序の創発、相転移とも呼ばれる)、ベキ法則に従うようになると言われる。したがって、現実のネットワークは、全く無秩序な状態ではなく、秩序が創発した、ちょうど相転移を起こしたような状態でありベキ法則に従うことが多いとされる。なぜ、相転移でベキ法則が出現するかは、1971年にケネス・ウィルソンによる「繰り込み群」理論で証明されている。)

④ 「ネットワークの成長」と「ハブの優先的選択」
ランダムモデルは、(a)頂点は最初からすべて存在し、頂点数は一定という仮説の上に成り立っていた。(b)すべての頂点は対等という仮定もあり、互いに区別できないからこそランダムにリンクできたといえる。しかし、現実に存在するネットワークでは(a)(b)のような仮定は成り立たない。

現実のネットワークは、(1)頂点は1つ1つ増えていく(ネットワークは成長する)。(2)すでに多くのリンクを獲得している頂点(ハブ)は、新しくできた頂点から高い確率でリンクされる(ハブは優先的に選択される)、という2つの特徴を示す。バラバシは、この(1)と(2)の特徴を両方組み込むと、ネットワークはスケールフリーになることを以下の論文で示している。

ここに来て、古典的なモデル(ランダムグラフやスモールワールド・ネットワーク)は「静的」(?成長する)で、「ランダム性の仮定の上に成立」(?優先的選択)していたことに初めて気づいたわけである。


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