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とはずがたり数理解析研究所講究録
1
:
とはずがたり
:2017/03/10(金) 23:04:42
名前負け及び過疎スレ化必至で恥ずかしいけど数学綜合スレ。
11
:
とはずがたり
:2017/07/29(土) 07:06:06
女性でイラン出身のミルザハニ。若くして癌で亡くなったそうな。。ご冥福をお祈りする。
2014.08.24 SUN 19:50
とびきりの想像力が、女性初のフィールズ賞数学者を生んだ:マリアム・ミルザハニ【前編】
https://wired.jp/2014/08/24/maryam-mirzakhani-2/
https://wired.jp/2014/08/25/imagination-of-mirzakhani-2/
数学界最高の栄誉を得た、マリアム・ミルザハニ。2014年フィールズ賞受賞に輝いた37歳のイラン人女性数学者はこれまでどんな人に会い、どんな青春時代を送り、いまどんな理想を描いているのか。
…
1999年に、テヘランのシャリフ工科大学で数学の学士号を取得したあと、ミルザハニはハーバード大学の大学院に進み、マクマレンの講義を受講しはじめる。当初、彼女は彼の話す内容についてあまり理解できなかったと言うが、そのテーマ、双曲線幾何学の美しさに魅了される。彼女はマクマレンの研究室に通い始め、彼を質問攻めにし、夢中でペルシャ語でメモをとった。
「彼女はある意味、斬新な想像力をもっていた」。自身、1998年のフィールズ賞受賞者であるマクマレンは、こう振り返る。「頭のなかで、自分の予測に基づいた想像図を描いていた。そして、研究室にやってきて、その図について説明するんだ。説明が終わると、彼女はわたしに向かって『これで合っていますよね?』と聞く。わたしはいつも、彼女がわたしのことを理解者だと感じてくれていることを誇らしく思ったよ」。
ミルザハニは、双曲面に取り憑かれるようになる。
ドーナツ型のある表面上に開いた、ざっくり言えば鞍のようなかたちをつくっている穴。この双曲線ドーナツは、通常の空間ではつくることはできない。それらはあくまで、抽象的な概念上のもので、ある方程式にもとづいて距離と角度が計算されている場合においてのみ観察できる。その方程式のもとでは、面上に存在する想像上の生き物が「鞍」を形成する。
多数の穴の空いたドーナツには、無限に多くのパータンで双曲線構造が存在しうることがわかっている。大きな穴のあるドーナツから、狭い穴のもの、また両者を組み合わせたものまで。こうした双曲面が1世紀半前に発見されて以来、このテーマは幾何学における中心の研究対象のひとつとなり、数学やさらには物理の分野においても多くの関連分野をもつ。
だが、ミルザハニが大学院に入った時点では、そうした面に関する基本的な問題のいくつかに対して、解がまだ見出されていなかった。そのひとつが、ある双曲面における直線もしくは「測地線」に関するものだった。曲がった空間においても「直線」という概念は存在し、それは単に2つの点を結ぶ最短な線である。双曲面においては、平面上の直線のように無限に長く伸びる測地線もあれば、球面上の大円のように閉じて円になる線もある。
ある双曲面において、閉じた測地線の数はその長さが大きくなるにつれて指数関数的に増えていく。こうした測地線の多くは、始点と終点が結ばれる前に何度も交差する場合が多いが、わずかな割合が“シンプルな”測地線と呼ばれ、線上で交わることがない。そうしたシンプルな測地線は、「その構造と全体の面の幾何学を紐解く上で重要なもの」である。
ひとつの問いを解決するだけでも偉大だ
しかしながら、数学者はある特定の大きさの双曲面において、こうしたシンプルな閉じた測地線がいくつ存在するのかを特定することができなかった。閉じた測地線の円の中でも、シンプルなものは「ほぼ0パーセントの確率でしか起こらない奇跡」であるとファーブは言う。そのため、その数を正確に理解するのはとてつもなく難しかった。「ちょっとでも間違いをすれば、その存在を見逃してしまう」と彼は言う。
2004年に完成した博士論文において、ミルザハニはこの問いに対する解を示した。Lの長さのシンプルな測地線の数が、Lの長さと比例してどれだけ増えるかを導く方程式を考案したのだ。
その過程で、彼女はその他の2つの重要な研究課題の関連性を確立し、両方の問いに対する解を出した。ひとつは、いわゆる「モジュライ」空間と呼ばれる、ある面において存在可能な全ての双曲線構造の体積に関する問いだった。もうひとつは、プリンストン高等研究所の物理学者エドワード・ウィッテンが過去に提示した、弦理論に関連するモジュライ空間を位相幾何学を用いて測定する方法に関する予想を驚くべき方法で証明するものだ。
ウィッテンの予想を証明するのは非常に難しかったため、それを最初に証明した数学者であるパリ近郊のフランス高等科学研究所のマキシム・コンツェビッチは、その業績が理由のひとつとなり、1998年にフィールズ賞を受賞した。
両方の問題を解決することは「ひとつの問いを解決するだけでも大きな出来事であり、両者を結びつけたことはまた重大な出来事だ」とファーブは言う。ミルザハニはなんと、どちらもやってのけたのだ。
12
:
とはずがたり
:2017/07/29(土) 07:06:20
彼女の論文は、数学界のトップに位置する学術誌である『Annals of Mathematics』『Inventiones Mathematicae』『Journal of the American Mathematical Society』に掲載された。数学者の大半が、生涯一度もこのような偉業を成し遂げることはないとファーブは言う。「彼女はそれを博士論文でやり遂げたんだ」。
偉大な業績
ミルザハニは、自身のことをマイペースだと言う。ある問題に対してすぐに解をひらめく数学者とは違って、彼女は何年にもわたってじっくり取り組めるような深い問題に引き寄せられる。
そうした問題について彼女は、「数カ月、数年後になってはじめて、まったく新しい側面が見えてきます」と言う。実際、10年以上も考えつづけている問題もある。「いまでも、そうした問題についてできることは、あまりありません」。
ミルザハニは、問題を次から次へと片付けていく数学者の存在を前に怖じ気づくことはない。「簡単には失望しないタイプなんです」彼女は言う。「ある意味、かなり自信があるのかもしれませんね」。
彼女のマイペースな姿勢は、生活のほかの場面においても見られるものだ。彼女がハーバードで大学院生だったころ、当時マサチューセッツ工科大学の大学院生でその後彼女の夫となる男性は、ミルザハニと2人でランニングに出かけたときに彼女のこうした性格を知ることになる。
「彼女はとても小柄で、一方でぼくは体をよく鍛えていたから、ぼくの方がいい走りができるだろうと思っていた。実際、最初はぼくが先を走っていたよ」。現在は、カリフォルニア州のサンノゼにあるIBMアルマデン研究所で理論コンピュータサイエンティストとして勤めるヤン・ヴォンドラークは、そう振り返る。
「でも、彼女は決してペースを落とさないんだ。30分後、ぼくはもうランニングを止めたけど、彼女は最初と同じペースで走り続けていた」
ミルザハニは数学について考えるとき、よく図を描いていく。面の図や、研究テーマに関するものの絵を描いていく。
「彼女は床にでっかい紙を広げて、何時間もひたすら、ぼくにとってはまったく同じものにしか見えない図を描き続けるんだ」。ヴォンドラークは言い、そうした紙や本が自宅のオフィスにばらばらに散らかっていることも付け加える。「どうやったらこんな風に研究ができるのかまったく分からないけど、最終的にはうまくいくみたいだ」。
彼女がこうした方法をとるのは「取り組んでいる問題があまりに抽象的で複雑なため、一つずつ論理的なステップを踏んでいくことができず、大きな思考の飛躍が必要になるからだろう」と彼は推測する。
図を描くことで集中できると、ミルザハニは言う。難しい数学の問題を考えるときには「その詳細のすべてを書き留めたいとは思わないものです」と、彼女は言う。「ですが、図を描くことで、問題に対する意識を保つことができるようになるのです」。
3歳の娘 アナヒタはしょっちゅう「マミーがまたお絵かきしてる」と、彼女が数学の図を描いているときに叫ぶそうだ。「娘はわたしのことを絵描きだと思っているかもしれませんね」
ミルザハニの研究は、数学の多くの分野に関係する。その分野には微分幾何学、複素解析、力学系も含まれる。「わたしは、各分野の境界に人が引いた想像上の線を横断するのが好きなんです。それはとても爽快なことです」と彼女は言う。「多くの手法が存在しますし、どの手法を使えばうまくいくかも分かりません。楽観的であること、異なる物事を結びつけることが重要です」。
ときに、ミルザハニが物事を結びつける方法は衝撃的だとマクマレンは言う。例えば2006年、彼女は、ストライクスリップ型の地震に似た仕組みによって双曲線の面構造が歪むときに起こることを解明しようと取り組んだ。ミルザハニがこの研究に手をつける前は「誰も取り組むことのなかった問題だった」とマクマレンは言う。だが、彼によればたった1行の証明で「彼女は、この完全に謎に満ちた理論と非常に明瞭な別の理論の関連性を構築した」のだという。
2006年、ミルザハニはエスキンとの実り多い共同研究をスタートする。エスキンにとって、彼女はお気に入りの共同研究者の1人だ。「彼女はとても楽観的で、その姿勢は周囲に伝染するんだ」彼は言う。「彼女と一緒に仕事をすると、最初はまったく手がかりすら見えなかった問題でもきっと解決できるんじゃないかと思うようになるんだよ」。
数個のプロジェクトにともに取り組んだあと、ミルザハニとエスキンは、彼らの専門領域において最大の未解決問題のひとつに取り組むことを決意した。それは、多角形のような形をしたビリヤード台上で、合理的な範囲の角度で球を打つことを前提に、球の動きがつくる範囲に関する問題だ。
13
:
とはずがたり
:2017/07/29(土) 07:06:36
>>11-13
ビリヤードは、もっともシンプルな力学システムの例を提示する。ある決まったルールにおいて、時間を経るうちに進化するシステムだ。だが、球の動きはとてつもなく予測が難しいことが証明されていた。
「合理的ビリヤードというのは、1世紀前にスタートした」と説明するのは、スタンフォード大学で博士後研究員であるアレックス・ライトだ。「何人かの物理学者が集まって“三角形の中で転がる球の動きを理解しよう” と提案されたとき、おそらく彼らは、その問いは1週間で解決できると思ってただろう。でも100年経ったいまも、その問いに対する追究は続いている」。
ビリヤード球の動きがつくる長い軌道の研究において、有用なアプローチというのは、球が進む方向に向かって押しつぶすように、徐々に変形していくビリヤード台を想像することだ。
一定の時間内における球の動きのほとんどが見えるように。すると、元々のビリヤード台から、新しいビリヤード台がつなげられていき、数学者が用いる「モジュライ」空間において台が動いていくことになる。一定数の側面をもつビリヤード台がつながった空間だ。
各ビリヤード台を「Translation surface」と呼ばれる抽象的な面に変形させることで、すべての「Translation surface」から構成されるより大きなモジュライ空間を理解でき、数学者はビリヤードの力学を分析することが可能になる。過去の研究によって、モジュライ空間上を押しつぶすようにしながら描かれる、特定の「Translation surface」の軌道について理解することで、元々のビリアード台に関する多くの問いの解が導けることが判明している。
ぱっと見ると、この軌道はとてつもなく複雑に見えるかもしれない。だが、2003年、マクマレンは「Translation surface」が2つの穴の空いたドーナツ型(通称「ジーニアス・トゥー」)である場合には、その軌道は複雑ではないということを証明した。各軌道は、空間全体かもしくは部分多様体と呼ばれる空間の部分集合を内を満たすのだ。
マクマレンの研究結果は、同研究において大きな進展であると認められた。だが、彼の論文が発表される前に、当時はまだ大学院生だったミルザハニが研究室を訪れ「なぜジーニアス・トゥーだけを対象にしたのですか?」と尋ねたという。
「まさに、彼女らしい指摘だったよ」彼は言う。「なにかさらに深いものが隠れていると感じるものを、彼女はより明確に理解したいと考えるんだ」。
数年の研究を経て、2012年と2013年に、ミルザハニとエスキン、そして部分的に研究に加わったテキサス州立大学オースティン校のアミル・モハンマディは、マクマレンの研究結果は、2つ以上の穴をもつドーナツ型表面のすべてに当てはまることを証明する。
彼らの分析は「偉大な業績」であり、その結果の示唆するものはビリヤード台の理論のはるか先まで及ぶものだと、ゾリチは言う。モジュライ空間は「過去30年間、熱心な研究が進められてきた」と彼は言う。「だが、その構造については、まだ分からないことばかりなんだ」。
ミルザハニとエスキンの研究成果は「新しい時代の幕開けだ」と、彼らの172ページに及ぶ論文を数カ月かけて読み込んだライトは言う。「まるで、これまでおのを片手に森に入って木を切っていたのが、今やチェーンソーが開発されたようなものだ」と彼は言う。その研究成果は、すでにいくつかの分野に応用されている。たとえば、複雑な鏡張りの部屋における警備員の視線を解明するといった問題において。
2人の書いた論文を読むとき「積み重なる難問の一つひとつをめくると、その下に隠れていたアイデアが見えてくる」と、ライトはメールで説明してくれた。「そして、その問いの中心に到達したとき、2人が築いた手法に感嘆したよ」
ミルザハニの楽観主義と粘り強さのおかげで前に進んでいくことができたとエスキンは言う。「行き詰まったことも何度かあったけど、彼女は決してうろたえなかった」。
ミルザハニでさえも、いま振り返ると、2人がその問題に頑に取り組みつづけたことに驚いている。「こんなにも問題が複雑であると事前に分かっていたら、あきらめていたことでしょう」彼女は言う。間を置いて、彼女は再び口を開く。「いえ、やっぱりそんなことはないかもしれません。わたしは簡単に諦めませんから」。
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