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とはずがたり数理解析研究所講究録

12とはずがたり:2017/07/29(土) 07:06:20
彼女の論文は、数学界のトップに位置する学術誌である『Annals of Mathematics』『Inventiones Mathematicae』『Journal of the American Mathematical Society』に掲載された。数学者の大半が、生涯一度もこのような偉業を成し遂げることはないとファーブは言う。「彼女はそれを博士論文でやり遂げたんだ」。

偉大な業績

ミルザハニは、自身のことをマイペースだと言う。ある問題に対してすぐに解をひらめく数学者とは違って、彼女は何年にもわたってじっくり取り組めるような深い問題に引き寄せられる。

そうした問題について彼女は、「数カ月、数年後になってはじめて、まったく新しい側面が見えてきます」と言う。実際、10年以上も考えつづけている問題もある。「いまでも、そうした問題についてできることは、あまりありません」。

ミルザハニは、問題を次から次へと片付けていく数学者の存在を前に怖じ気づくことはない。「簡単には失望しないタイプなんです」彼女は言う。「ある意味、かなり自信があるのかもしれませんね」。

彼女のマイペースな姿勢は、生活のほかの場面においても見られるものだ。彼女がハーバードで大学院生だったころ、当時マサチューセッツ工科大学の大学院生でその後彼女の夫となる男性は、ミルザハニと2人でランニングに出かけたときに彼女のこうした性格を知ることになる。

「彼女はとても小柄で、一方でぼくは体をよく鍛えていたから、ぼくの方がいい走りができるだろうと思っていた。実際、最初はぼくが先を走っていたよ」。現在は、カリフォルニア州のサンノゼにあるIBMアルマデン研究所で理論コンピュータサイエンティストとして勤めるヤン・ヴォンドラークは、そう振り返る。

「でも、彼女は決してペースを落とさないんだ。30分後、ぼくはもうランニングを止めたけど、彼女は最初と同じペースで走り続けていた」

ミルザハニは数学について考えるとき、よく図を描いていく。面の図や、研究テーマに関するものの絵を描いていく。

「彼女は床にでっかい紙を広げて、何時間もひたすら、ぼくにとってはまったく同じものにしか見えない図を描き続けるんだ」。ヴォンドラークは言い、そうした紙や本が自宅のオフィスにばらばらに散らかっていることも付け加える。「どうやったらこんな風に研究ができるのかまったく分からないけど、最終的にはうまくいくみたいだ」。

彼女がこうした方法をとるのは「取り組んでいる問題があまりに抽象的で複雑なため、一つずつ論理的なステップを踏んでいくことができず、大きな思考の飛躍が必要になるからだろう」と彼は推測する。

図を描くことで集中できると、ミルザハニは言う。難しい数学の問題を考えるときには「その詳細のすべてを書き留めたいとは思わないものです」と、彼女は言う。「ですが、図を描くことで、問題に対する意識を保つことができるようになるのです」。

3歳の娘 アナヒタはしょっちゅう「マミーがまたお絵かきしてる」と、彼女が数学の図を描いているときに叫ぶそうだ。「娘はわたしのことを絵描きだと思っているかもしれませんね」

ミルザハニの研究は、数学の多くの分野に関係する。その分野には微分幾何学、複素解析、力学系も含まれる。「わたしは、各分野の境界に人が引いた想像上の線を横断するのが好きなんです。それはとても爽快なことです」と彼女は言う。「多くの手法が存在しますし、どの手法を使えばうまくいくかも分かりません。楽観的であること、異なる物事を結びつけることが重要です」。

ときに、ミルザハニが物事を結びつける方法は衝撃的だとマクマレンは言う。例えば2006年、彼女は、ストライクスリップ型の地震に似た仕組みによって双曲線の面構造が歪むときに起こることを解明しようと取り組んだ。ミルザハニがこの研究に手をつける前は「誰も取り組むことのなかった問題だった」とマクマレンは言う。だが、彼によればたった1行の証明で「彼女は、この完全に謎に満ちた理論と非常に明瞭な別の理論の関連性を構築した」のだという。

2006年、ミルザハニはエスキンとの実り多い共同研究をスタートする。エスキンにとって、彼女はお気に入りの共同研究者の1人だ。「彼女はとても楽観的で、その姿勢は周囲に伝染するんだ」彼は言う。「彼女と一緒に仕事をすると、最初はまったく手がかりすら見えなかった問題でもきっと解決できるんじゃないかと思うようになるんだよ」。

数個のプロジェクトにともに取り組んだあと、ミルザハニとエスキンは、彼らの専門領域において最大の未解決問題のひとつに取り組むことを決意した。それは、多角形のような形をしたビリヤード台上で、合理的な範囲の角度で球を打つことを前提に、球の動きがつくる範囲に関する問題だ。


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