米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の2010年の調査結果によると、米国で2008年に非合法移民の親から生まれた子どもは、トランプ氏が示した2014年の数字より多い34万人で、全出生数の8%を占めた。同センターによると、アジア系は近年、全移民数の36%と最大シェアを占め、ヒスパニック系の31%を超えたという。(c)AFP
共和党は12年の大統領選の際、同党候補だったミット・ロムニー(Mitt Romney)氏が、移民の「自主的国外退去」を提案し、民主党バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の再選を有利にしてしまった過去がある。ヒスパニック系の世論調査会社ラティーノ・ディシジョンズ(Latino Decisions)によると、共和党候補が来年の次期大統領選で勝利するためにはヒスパニック票の47%の獲得が必要だ。これはロムニー氏が獲得したヒスパニック系の支持率の2倍であり、04年の選挙で再選したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が獲得した44%をも超えなければならない。サモラノ氏によれば「次期大統領選ではヒスパニック票を獲得することは必須」だ。
米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)の政治学者、マイケル・コーンフィールド(Michael Cornfield)氏は、そうしたトランプ氏の姿勢は、それに挑む他の共和党候補がいないことと相まって、ヒスパニック系にとって共和党全体のイメージダウンにつながると述べる。「(共和党の)候補者も献金者も党の上層部も、トランプ氏に対する世論の反応に呆然としている。彼が流れを変え、ここまで残り続けるとは誰も予測していなかった」
元神経外科医のカーソン氏は1987年に頭部が結合した双生児を分離する手術を行った医療チームを率いたことで国際的に知られるようになった。最近ではオバマ政権の医療保険制度改革法(オバマケア)を批判したり、2013年の全米朝食祈祷(きとう)会でオバマ大統領を前に10%の一律課税を訴えたりするなど、政治的な発言でも目立っていた。カーソン氏は論客として長く知られた存在であり、近年はコメンテーターとしてフォックス・ニュースに出演していた。過去に選挙による公職に就いたことは一度もなく、政治の経験はないものの、2014年の「Draft Ben Carson(ベン・カーソンを公職に)」運動の際には、2016年の大統領選への出馬が予想されるどの共和党候補の政治活動委員会(PAC)よりも多額の資金を集めた。