トランプ氏の発言にみられる厚顔ぶりや突飛な行動は、共和党、民主党を問わず他の候補たちのより慎重な発言が注目される余地をほとんど残さない。「ローゼンバーグ・アンド・ゴンサレス・ポリティカル・レポート(Rothenberg and Gonzales Political Report)」の創始者スチュアート・ローゼンバーグ(Stuart Rothenberg)氏は米NBCニュースに対し「ドナルド・トランプは、同じ部屋にいる全員の分の酸素を吸ってしまっている」とたとえた。
著者
Joseph E. Stiglitz(ジョセフ・E・スティグリッツ)
2001年「情報の経済学」を築き上げた功績によりノーベル経済学賞受賞。1943年生まれ。米イェール大学、英オックスフォード大学、米スタンフォード大学などで教鞭を執る。米国大統領経済諮問委員長、世界銀行上級副総裁などの役職で政策の運営にも携わった。
トヨタ自動車が米国内の製造や販売などの拠点を移転・集約する新本社の建設予定地=米南部テキサス州プレイノ市で、清水憲司撮影
c 毎日新聞 トヨタ自動車が米国内の製造や販売などの拠点を移転・集約する新本社の建設予定地=米南部テキサス州プレイノ市で、清水憲司撮影
テキサスは、州の法人所得税がないうえ、家賃などの生活費も安く、同じ賃金でも優秀な人材を確保しやすい。労働者保護が厳格で、解雇時のトラブルも多いカリフォルニアに比べ、そうした心配も少ないという。ダラス市によると、過去5年間で60社超がダラス周辺への本社移転を決めたが、半数がカリフォルニアから。日本勢に限らず、「カリフォルニアからテキサス」の流れが強まっている。
米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の2010年の調査結果によると、米国で2008年に非合法移民の親から生まれた子どもは、トランプ氏が示した2014年の数字より多い34万人で、全出生数の8%を占めた。同センターによると、アジア系は近年、全移民数の36%と最大シェアを占め、ヒスパニック系の31%を超えたという。(c)AFP
共和党は12年の大統領選の際、同党候補だったミット・ロムニー(Mitt Romney)氏が、移民の「自主的国外退去」を提案し、民主党バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の再選を有利にしてしまった過去がある。ヒスパニック系の世論調査会社ラティーノ・ディシジョンズ(Latino Decisions)によると、共和党候補が来年の次期大統領選で勝利するためにはヒスパニック票の47%の獲得が必要だ。これはロムニー氏が獲得したヒスパニック系の支持率の2倍であり、04年の選挙で再選したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が獲得した44%をも超えなければならない。サモラノ氏によれば「次期大統領選ではヒスパニック票を獲得することは必須」だ。
米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)の政治学者、マイケル・コーンフィールド(Michael Cornfield)氏は、そうしたトランプ氏の姿勢は、それに挑む他の共和党候補がいないことと相まって、ヒスパニック系にとって共和党全体のイメージダウンにつながると述べる。「(共和党の)候補者も献金者も党の上層部も、トランプ氏に対する世論の反応に呆然としている。彼が流れを変え、ここまで残り続けるとは誰も予測していなかった」