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国際関係・安全保障論
1
:
■とはずがたり
:2003/01/22(水) 12:15
経済畑出身の私の鬼門,外交・安全保障を考える。
適宜,憲法談義・世界経済等もこちらで。
3069
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:17:36
ひでえぞヽ(`Д´)ノ
尖閣有事に水陸両用車「AAV7」は役に立たない
防衛省概算要求に隠された大問題<前編>
http://toyokeizai.net/articles/-/46957
清谷 信一 :軍事ジャーナリスト 2014年09月03日
毎年8月末、防衛省の概算要求が公開される。今年も8月29日午前の省議の後に概算要求に関する情報「我が国の防衛と予算−平成27年度概算要求の概要」 が防衛省のホームページでも公開された。
筆者は29日午後、防衛省のレクチャーに参加したが、例年にない異常さを感じた。それは米国製の滞空型無人機(UAV)、チルトローター機、水陸両用車に関して全く予算額が明記されていないことだった。通常これらの新たに導入される新型装備(兵器)に関してはおおよその予算額が示される。だがそれがなかったのだ。
滞空型無人機、チルトローター機、水陸両用車は2013年12月に閣議決定された中期防(中期防衛力整備計画)の別表でそれぞれ3機、17機、52輛の調達が明記されている。ところが、8月に行われた防衛省概算要求のレクチャーでは「これらの候補が決定されているわけではなく、これから機種・車種を決定して財務省と折衝する」との説明があった。これは極めて異例のことだ。通常、財務省との折衝は、概算要求をまとめる段階で済ませておくべきものだ。
調達数以外は決まっていない
また筆者はそれぞれの装備の調達計画について尋ねた。例えばチルトローター機(オスプレイ)であれば何個飛行隊何機をいつまでに調達するのかということだ。ところが担当官は中期防の別表で示された調達数以外は何も決まっていないという。以後、必要であれば買い増すともいう。
つまり詳細な調達計画が存在しないわけだ。これは、防衛省の多くの装備調達に共通することだ。恐らくある程度各幕僚監部では見積もりを出している可能性があるが、それであったとしても、その内容を国会にも納税者にも公開しないのであれば文民統制上、大きな問題だ。しかも、次ページ以降で詳しく説明するように、事前に十分なリサーチをせず、適切な段階も踏まずに巨額の買い物を決めているのである。
かつて筆者はフジテレビの番組において森本敏元防衛相にこのような調達のあり方について質した。公共事業は(いくらインチキでも)空港にしろ、道路にしろ、需要予測を出し、それを元にいつまでに完成させ、総費用が提示されるが防衛装備でこれがないのはおかしい。計画が無いに等しいではないか、と。
これに対して森本氏は防衛装備と公共事業は異なる(と)主張した。だが総合的な調達計画も、運用構想も、いつまでに戦力化されるかも示さずに装備調達が開始される現状は、軍事的にもおかしい。計画が無いのに見切り発車で、多額の税金を投入することになるからだ。
装備調達は民間でいえば設備投資に相当する。設備投資の計画もなく、導入時期、総予算も決めずになし崩し的に投資を行う企業はないのではないか。新聞やテレビなどのメディアはこれをまったく報じないのだが、だからといって軽視できる問題ではない。むしろ、国の安全保障の根幹に関わる重大問題といって過言ではない。
採用機種はすでに決まっている
採用が予定されている機種・車種はそれぞれ滞空型無人機(UAV)がグローバル・ホーク、チルトローター機がオスプレイ、水陸両用車がAAV7だ。明記されているわけではないが、他の候補は存在しない。
3070
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:17:55
その理由は単純だ。そもそもグローバル・ホークと同じカテゴリーのUAVは存在しないし、実用化された軍用チルトローター機はオスプレイだけだ。船型の水陸両用装甲車で我が国が入手可能なものも、AAV7しか存在しない。他に通常の装甲車に近いタイプの水陸両用装甲車もあるが、陸上自衛隊が水陸両用車のサンプルとして調達したのはAAV7のみである。
つまり防衛省の調達計画に、複数の候補は存在しない。その点で、「これから機種・車種を決定して財務省と折衝する」という説明は虚偽としか思えない。すでに中期防策定時からこれらの装備の調達は決まっていたとみるべきだ。
しかもはじめに調達ありきで、自衛隊に必要な装備であるか、どのように運用するか、運用コストはどれほどかかるのか、という点についてもほとんど検討された形跡がない。
グローバル・ホークとオスプレイの調査費用については、本年度の予算に計上されている。概算要求までに「候補を絞る」のであれば、4月に予算が執行されたあと、財務省と折衝し、8月末に概算要求を発表するのであれば5月まで、遅くとも6月までには決定しなくはならない。わずか2〜3カ月でそのような調査ができるはずもない。
本当に評価試験を行ったのか
中でも、特にひどいのが水陸両用車であるAAV7だ。AAV7は平成25(2013)年度予算で、評価用としてまずAPC(装甲兵員輸送車)型4輌(米海兵隊の中古)が要求された。ついで翌年度、指揮通信型、回収車型(戦場で破損したりした装甲車を回収するための車両)各1輌が要求されている。こちらは新造であり、納入予定は平成28(2016)年度だ。常識的に考えれば、陸幕はAPC型と指揮通信型、回収型を合わせて試験的に運用してみて採用するか、否かを決定すると考えるだろう。
2013年4月15日の国会の予算委員会第一分科会では、防衛省の徳地秀士防衛政策局長は以下のように答弁している。
「平成27(2015)年度までに取得をいたしまして、それから1、2年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」
そうであれば評価作業が完了するのは2016〜17年になる。当然AAV7が装備として予算が要求されるのは、早くても2017年度ということになる。
ところが筆者が2013年の陸幕長会見で「陸幕は予定を早めて本年末までに結論を出すのではないか」と質問したところ、それを認めた。
つまり評価用に発注された指揮通信型、回収車型は、実際には十分に検証されているわけではないのだ。
APC型は4輛が2014年2月に納入されたが、うち2輛は日本の道交法、船舶法への適合及び自衛隊仕様にするため改修中であり、年末まで使用できない。残りの2輛中1輛が富士学校、もう1輛が土浦の武器学校で試験されている。つまり6輛中2輛が試験されているに過ぎない。しかも実際に使用が想定されている南西諸島での試験が実施される様子はない。
これでは、まともな評価試験を行ったとは思えない。通常の装甲車でも外国ではトライアルには最低でも1年かける。まして水陸両用車は陸自がかつて運用したことのない種類の装甲車だ。海自の輸送艦なども使って、南西諸島で繰り返し使用してみる必要があるはずだ。
筆者は陸幕長に4年かかる評価作業がなぜわずか8カ月に短縮されたのか、安全保障上の環境の変化によってプロセスを縮めたのか、と陸幕長に質問した。後日陸幕からの返答は「安全保障環境の急激な変化はない(これは小野寺大臣も同様に認めた)、米国側との調整の結果だ」と回答があった。しかし概算要求は事実上、購入を前提としており、そうなると評価期間はわずか4カ月である。更に半分に短縮されていることになる。
米国側との調整、つまり米国から注文があれば、本来必要とされる評価作業を大きく端折る、ということなのである。つまり、評価作業はアリバイ工作程度に行っているに過ぎない、ということだ。これではまるで植民地軍ある。とても独立国家の「軍隊」の「参謀本部」の見解とは思えない。これが日本の自衛隊の兵器調達の現実であることを納税者はもっと直視するべきである。
3071
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:18:17
>>3069-3071
不整地踏破能力が低いAAV7
このように批判をすると、「AAV7の調達は、まだ決定事項ではない」と反論するのだろう。しかし、すでに決定事項であるとの間接的証拠は他にもある。
海上自衛隊の輸送艦おおすみ級が「水陸両用車」運用のために同型艦3隻すべてがデッキや搭載するLCACの床に特殊な加工をする改修工事を行う予算が本年度予算で要求されている。
単にAAV7の評価試験のためならば3隻も改修する必要はないだろう。しかも来年度予算では更に1隻のおおすみ級のウェルドックの注水機能や完備門扉開閉機構の強化が要求されている。仮に「水陸両用車」が必要なしとなった場合、これらの改修費用は無駄になる。当然、AAV7の採用を前提とした改修と考えるべきだろう。
こうしたプロセスの問題も重大だが、さらに重大な問題は、AAV7が日本の国防上、最適な兵器ではないという点だ。AAV7は旧式とされる装甲車。不整地踏破能力が低く、南西諸島のリーフ(サンゴ礁)や護岸工事が施された海岸を踏破できない可能性が高いうえに、水上航行能力が時速13キロ程度に過ぎない。米海兵隊は将来の揚陸作戦を現在の20カイリほどの沖合から100カイリ程度に伸ばす。これは地上型の対戦車兵器や火砲の長射程化が進んでいるためだ。つまりAAV7は何時間もかけて延々と陸地を目指すことになるが、敵からみればいい的でしかない。
そのうえ、問題になっている尖閣諸島などでは、AAV7は狭すぎて使用できない。LCACを使用して沿岸あるいは海岸までAAV7を運ぶ構想もあるが、それならば高い水上航行能力をもつ装甲車は必要ない。むしろ陸上での機動性が高い通常型の水陸装甲車を採用する方が合理的だ。
それに現中期防で52輛調達しても、おおすみ級3隻ではそのうちの3分の1も輸送できない。海自の揚陸能力は低い。本来であれば、戦車揚陸艦のようなものの装備増強を優先すべきである。
欠点はほかにもある。AAV7を導入しても、本格的な整備は米国でしか行えないのだ。整備には1年半かかると言われている。AAV7の稼働率は相当低くなると見積もらないといけない。
AAV7が本領を発揮するのは、沖縄本島などビーチが多い大きな島への揚陸である。だが現在焦眉の急となっているのは、尖閣諸島などの離島を巡る紛争だ。沖縄本島などへの大規模な侵攻は極めて可能性が低い。現在の調達計画は、その可能性が低い方にフォーカスを当てているようにしか思えない。
尖閣諸島など離島での紛争を意識するならば、AAV7ではなく、輸送機やヘリで空輸できる空挺装甲車を調達する方がよほど役に立つだろう。海自では実質的なヘリ空母である「いずも」がもうすぐ就役し、二番艦も現在建造中である。ヘリでの輸送が可能な空挺装甲車であれば、これらの「ヘリ空母」との組み合わせによって戦力化を迅速に行える。
AAV7を急いで導入しても現在の海自の揚陸能力では一度に揚陸できるのは、せいぜい十数輌だ。52輌を投入できるのは、来年度に調査費が計上されている強襲揚陸艦が数隻就役してからであり、10年以上未来の話である。とても喫緊の問題とされる島嶼防衛には間に合わない。こう考えると、AAV7を調達すること自体が目的化しているのではないだろうか。
AAV7を52輛購入すると442億円
ちなみにAAV7の新造品は平成26(2014)年度予算によれば2輛で17億円だ。これを基準とするならば中期防中に1個中隊分の52輛で442億円の予算が必要である。編成される水陸両用機動団は普通科連隊3個連隊を基幹とするとあるので、すべての連隊がAAV7を装備するならば1326億円にもなる。だが、これまで説明したように、防衛省は最終的にどれだけのAAV7を調達するかという計画を国会にも納税者にも知らせていない。
筆者個人の見解ではAAV7はすでに時代遅れで、南西諸島の防衛には寄与しない。全くの無駄遣いである。それでも、どうしても使ってみたいのであれば米海兵隊から1個小隊分リースをして試験的に運用してみる、という手段もあったはずだ。わざわざ博打のような調達を行う裏には、いったい何があるのだろうか。
3072
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:27:56
オスプレイの拙速導入は、安倍政権による濫費
防衛省概算要求に隠された問題<後編>
http://toyokeizai.net/articles/-/47070
清谷 信一 :軍事ジャーナリスト 2014年09月05日
後編では、中期防(中期防衛力整備計画)で17機の調達が明記されているチルトローター機(オスプレイ)、3機と示されている滞空型無人機(グローバル・ホーク)の問題点について詳述したい。
オスプレイは日本のメディアでも何度もニュースに登場しており、知名度の高い兵器といえるだろう。しかし、どのような運用をするのか、説明されていないままだ。いくら防衛省関係者に聞いても明確な運用構想の説明はない。そもそも、運用構想は無いようだ。
オスプレイは固定翼機ほど高速ではなく、ヘリコプターほどの垂直離着陸能力を持っていない中途半端な機体であるとも言える。
オスプレイの欠点とは?
オスプレイの欠点は、着陸のための降下は徐々に高度を下げる必要があり非常に緩慢であることだ。このためヘリと比べて着陸に3倍ほどの時間がかかる。さらにローターブレードが短いこともあり、ヘリモードでの空中機動性は低い。敵の対空砲火に対しては回避性能が悪く、脆弱である。
しかも構造上ヘリのように胴体側面のスタブウイングや側面のドアに機銃やミサイル、ロケット弾などの火器が装備できないので、丸腰である。このため着陸に備えての火力による制圧や牽制ができない。またオスプレイの飛行速度がヘリに比べてかなり速いために、攻撃ヘリなどは随伴できない。
空自の固定翼のジェット戦闘機は現場空域に滞空できる時間は極めて短く、精密な目標の探知と攻撃ができない。このためヘリボーン作戦を支援するための、充分な対地攻撃ができない。このことはアフガンやイラクなどの戦訓でも明らかである。そもそも中国と紛争状態になった場合、数的に劣勢な空自の戦闘機は、航空優勢を維持するだけでも精一杯で、対地攻撃を行う余裕があるとは思えない。
つまりオスプレイで敵の制圧地域に強襲着陸作戦を行うならば極めて大きな損害を出す可能性が強い。退役した米陸軍の航空隊の高官は自分たちがオスプレイを採用しなかった最大の理由はこれであると述べている。
日本の多くのメディアは「オスプレイは危険だ」と情緒的な記事で読者を煽ることが多いが、上記のようなオスプレイの飛行特性を解説・分析した記事を目にすることはない。具体的な問題点を示すことなく情緒で語るのは、ジャーナリズムではない。
オスプレイにも多くの利点がある。重要な点は、新しい機体だけにその利点、欠点を把握し、運用構想を練るには時間がかかるということだ。だが防衛省がオスプレイの研究に本格的に予算を付け、着手したのは本年の4月からであり、僅か数カ月の間にそのような時間があったとは思えない。
オスプレイは1機120億円
もうひとつの問題はコストだ。陸自の内部資料によると1機あたりの調達予定コストは120億円と見積もられている。
オスプレイのペイロード(積載重量)は最大4.5トン、24名の兵員が搭乗可能だ。対して陸自の現行の大型ヘリ、CH-47JA(ライセンス品)はペイロード約11トン、人員55名を輸送できる。しかも調達単価は約60億円だ。米軍のCH-47は最新型のF型の場合、さらに安く、約39億円である。つまり現行機種であればペイロードはオスプレイの約2倍もありながら、コストは半分(米国製ならば3分の1〜4分の1)で済む計算になる。
3073
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:28:31
CH-47JAの航続距離はオスプレイよりかなり短いが、これは米軍のように空中給油機能を付加すれば解決する。空自はC-130H輸送機を16機保有しており、うち1機に空中給油機能が付加されている(来年度にもう1機分の改修予算を要求)。空中給油機能を搭載したC-130Hを増やせば、かなりのヘリに給油が可能である。C-130Hへの空中給油能力付加にかかるコストは1機あたり14億円である。
確かにオスプレイの方が巡航速度は時速446〜476キロと巡航速度が時速257キロのCH-47JAよりも圧倒的に速いが、速度を言うのであれば、固定翼のC-130Hの方が時速550キロと、もっと速い。これに第一空挺団を搭載(1機あたり最大64名の搭乗が可能)し、落下傘降下させればより早く目標地点に降下させることができる。
オスプレイはキャビンが狭く、車輛などの大型装備は搭載できないため、落下傘降下による空挺作戦に比べてメリットがさほどあるわけではない。対してCH-47JAは、軽装甲機動車などの車輌をキャビンに搭載できるため、投入部隊はより高い火力と生存性が期待できる。
前述のように、オスプレイで敵の支配地域に強襲作戦をかける場合、かなりの損害を覚悟しなければならない。オスプレイでやりたいことは何か、それは既存の装備で本当にできないことなのか。この点を防衛省が真摯に検討したようには思えない。
どのように財源を確保するのか
そもそも陸自のヘリ調達予算は毎年300億〜350億円程度に過ぎない。対してオスプレイ17機を中期防で予定通りに調達するならば、来年度から4年間平均して510億円の予算が、毎年必要である。ちなみに陸自の来年度概算用要求は約1.78兆円である。そのうち人件費・糧食費が1.2兆円。残りのは予算は6000億円弱に過ぎない。筆者は内局にも陸幕長にも質問したが、どのように財源を確保するかについて、明確な回答は無かった。
オスプレイの整備費用はヘリより高く、数倍はかかるといいう話もある。今後、そのような高額な維持費を払い続けることができるのだろうか。ほかにも費用は掛かる。防衛省には、オスプレイの整備施設を国内に誘致し、ここで米軍および陸自のオスプレイを整備する構想がある。だが、整備施設の設置場所としては韓国も候補に挙がっている。整備施設を誘致するためには、さらに多くのオスプレイ調達を米国側から要求される可能性もある。果たして陸自の予算がこうした支出に耐えられるだろうか。
オスプレイを自衛隊が導入し、本土に配備すれば、オスプレイは「危険」な航空機ではないとアピールでき、沖縄に「危険」なオスプレイを押し付けるわけではないというメッセージになり、沖縄などの反オスプレイ感情をなだめることができるだろう。これは筆者も否定しない。恐らく政府にもそのような腹づもりがあり、それがオスプレイの「政治採用」につながったのだろう。だが、そのような政治効果のためだけに導入するのであれば、法外に高い支出になる。
ただし、オスプレイをどうしても購入したいのであれば、有効な代案がある。オスプレイのうち、海兵隊型のMV-22ではなく、空軍の特殊部隊用のCV-22を3〜4機、陸自の特殊部隊である特殊作戦軍を南西諸島に投入するために調達すればいい。現在、特殊部隊を投入する専門航空部隊が自衛隊に存在しない。これは先進国としては極めて異例である。日本からODAを受けているヨルダン軍特殊部隊の航空旅団は中型ヘリのブラックホークだけでも21機以上保有している(公式には8機と発表されている)。ヨルダン軍はそれ以外にも多数のヘリ、固定翼機を運用している。自衛隊に特殊作戦用航空部隊がないのは、時代遅れとしかいいようがない。
ヘリボーン作戦や揚陸作戦を行う場合、事前に特殊部隊を送り込み偵察や監視、場合によっては、対空火器など撹乱、味方の精密誘導兵器の誘導を行うのが定石である。このような潜入任務であればCV-22は極めて有用だろう。
事前に特殊部隊などの偵察も行わず、対地攻撃能力の無いMV-22による強襲を行えば、全滅する可能性は極めて高い。現在の自衛隊がそれだけ大きな人的資源の損失に耐えられるのだろうか。
基地が南西諸島から離れすぎている
滞空型無人機(UAV)であるグローバル・ホークの調達計画も、かなり疑わしいものだ。これまた中期防では3機と、そのコントロールを行う地上局を調達するとしている。だが、そもそも防衛省はグローバル・ホークを導入して何を監視するかということを明らかにしていない。
前回も述べたが、買ってから使い方を考えるといっているに等しい。
3074
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:28:58
自衛隊全体のISR(情報・監視・偵察)機能を高めるためのプラットフォームを揃えるのであれば各自衛隊の持つアセットと、将来調達するアセットを検討して、重複や無駄を防ぎつつ、穴がないようにシステムを構築する必要がある。防衛省は既存の海自の哨戒機P-3CのISR能力向上、空自の新しい早期警戒機4機の導入などの予算を概算要求に盛り込んでいるが、これらのアセットと滞空型無人機の関連性や相互補完に関しては述べていない。筆者の知る限り、防衛省内部にもグローバル・ホーク導入には懐疑的な声が多い。
またグローバル・ホークは、合成開口レーダーの角度の関係で小さな船舶などの詳細の識別も苦手であると、ある元海自の将官は述べている。
防衛省のグローバル・ホークの運用構想には無駄が多い。防衛省はグローバル・ホークを三沢ないし硫黄島に配置することを予定しているが三沢から尖閣諸島までの距離は2300キロ、硫黄島から尖閣諸島までの距離は1800キロで極めて遠い。実際に偵察活動をしているよりは該当空域までの移動距離の方がはるかに長いのだ。
グローバル・ホークはボーイングの旅客機737に匹敵するサイズで、整備も時間がかかる。リモコン飛行機や小型のUAV(無人機)のようにはいかない。つまり常に南西諸島上空をカバーできるわけではない。
防衛省のある幹部は「グローバル・ホーク3機では南西諸島の偵察飛行は週に数回が限度で限定的」と述べている。
3機と地上局で1000億円必要
コストも問題だ。調達価格はセンサー類を含むミッションパックによって大きく変わるが、FMS(米国の対外有償軍事援助、通常米国の兵器はFMS経由である)経由で調達するならば1機250億〜300億円程度にはなるだろう。3機と地上局で1000億円前後は必要だ。これを三沢あるいは硫黄島に配備し、常に南西諸島を中心とする空域を監視し、整備や故障に備えた予備機も考慮すれば、中期防の3機だけでは足りず、最低5〜6機は必要になる(事実米国側はさらに3機のグローバル・ホークの調達を防衛省に働きかけているという)。
さらに北朝鮮まで監視するならば最低でも1ダース以上の機体が必要だ。果たして、どれだけの国会議員がこのようなことを承知しているだろうか。
グローバル・ホークにそれでだけのコストをかけることには防衛省内部でも疑問視されており、「より機体の小さいMALE(Medium-Altitude Long-Endurance: 中高度長時間滞空)型UAVを導入すべきだ」との声もある。
MALE型UAVを沖縄に配備すれば沖縄から尖閣諸島までの距離は概ね500キロである。ということは三沢に配備した場合に比べ移動距離は1800キロも短い。硫黄島と較べても1300キロ短い。運用中の機体が故障し代用機を送ることになっても、監視体制に穴が空く時間を最小限に留められる。また移動中に機体をロストするリスクも減る。調達及び運用コストも1桁安く済む可能性が高い。
MALE型UAVも相応にペイロードは大きく多彩なミッションシステムを搭載することができ、空中目標の探知や、高度を落としてより鮮明な情報を収集することも可能だ。
防衛省内部ではグローバル・ホークの採用は規定路線で覆すのは難しいので、これを補完するという名目で外国製のMALE型のUAVを導入するプランも存在する。これはイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)のヘロンなど、海外のUAVに国産のミッションシステムやソフトウェアを採用するというもので、これを輸出しようという構想も存在する。であればグローバル・ホークの採用自体を再検討するべきではないだろうか。
筆者の取材する限りグローバル・ホークの導入決定に先立って、MALE型UAVなどの導入や他のアセットとの兼ね合いや運用などが考慮・検討さなされた形跡はなく、はじめにグローバル・ホーク導入ありきで、話が進められてきた。
3075
:
とはずがたり
:2014/10/08(水) 16:29:10
>>3072-3075
政治による濫費を防ぐべき
グローバル・ホーク、オスプレイ、AAV7の3つの米国製新型装備に共通しているのは、自衛隊の現場では誰も欲しがっていない、ということだ。適切な評価も検証もせず、運用も不明瞭なままに中期防で採用が決定され、あたかもアリバイ作りのために今年度予算で評価・研究用の予算が計上されている。しかもその評価・試験の期間は年度の始まった4月から僅か数カ月しか経過していない。
繰り返しになるが、候補を決定し、財務省と調達数、予算額をすり合わせおくべき概算要求において、候補も、調達数も、予算額も決めていない。これが明日にでも中国と開戦、というような切迫した状況であれば許されるかもしれないが、そのような事態ではないだろう。何をそんなに急ぐ必要があるというのだろうか。
おそらくは安倍政権が防衛省に迅速な調達を押し付けたのだろうが、中期防の予算でこれらの極めて高額な装備を予定通り調達するのは不可能に近い。これまでも中期防に示された「買い物リスト」がすべて消化された例はない。
必要性が怪しく、調達コストだけではなく、維持費も高価な米国製を大量に導入すれば、本来必要な装備の調達や維持費・訓練費その他の予算が喰われることなる。それは自衛隊の弱体化を意味する。
あえて厳しい言い方をすると、今行われているのは文民統制では無く、政治による防衛予算の濫費である。そこまでして米国のご機嫌を取らなければならない理由でもあるのだろうか。国防は国の存在の根幹である。有権者はもっと防衛費の使い方に目を向けるべきだ。
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