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国際関係・安全保障論

1■とはずがたり:2003/01/22(水) 12:15
経済畑出身の私の鬼門,外交・安全保障を考える。
適宜,憲法談義・世界経済等もこちらで。

3069とはずがたり:2014/10/08(水) 16:17:36
ひでえぞヽ(`Д´)ノ

尖閣有事に水陸両用車「AAV7」は役に立たない
防衛省概算要求に隠された大問題<前編>
http://toyokeizai.net/articles/-/46957
清谷 信一 :軍事ジャーナリスト 2014年09月03日

毎年8月末、防衛省の概算要求が公開される。今年も8月29日午前の省議の後に概算要求に関する情報「我が国の防衛と予算−平成27年度概算要求の概要」 が防衛省のホームページでも公開された。

筆者は29日午後、防衛省のレクチャーに参加したが、例年にない異常さを感じた。それは米国製の滞空型無人機(UAV)、チルトローター機、水陸両用車に関して全く予算額が明記されていないことだった。通常これらの新たに導入される新型装備(兵器)に関してはおおよその予算額が示される。だがそれがなかったのだ。

滞空型無人機、チルトローター機、水陸両用車は2013年12月に閣議決定された中期防(中期防衛力整備計画)の別表でそれぞれ3機、17機、52輛の調達が明記されている。ところが、8月に行われた防衛省概算要求のレクチャーでは「これらの候補が決定されているわけではなく、これから機種・車種を決定して財務省と折衝する」との説明があった。これは極めて異例のことだ。通常、財務省との折衝は、概算要求をまとめる段階で済ませておくべきものだ。

調達数以外は決まっていない

また筆者はそれぞれの装備の調達計画について尋ねた。例えばチルトローター機(オスプレイ)であれば何個飛行隊何機をいつまでに調達するのかということだ。ところが担当官は中期防の別表で示された調達数以外は何も決まっていないという。以後、必要であれば買い増すともいう。

つまり詳細な調達計画が存在しないわけだ。これは、防衛省の多くの装備調達に共通することだ。恐らくある程度各幕僚監部では見積もりを出している可能性があるが、それであったとしても、その内容を国会にも納税者にも公開しないのであれば文民統制上、大きな問題だ。しかも、次ページ以降で詳しく説明するように、事前に十分なリサーチをせず、適切な段階も踏まずに巨額の買い物を決めているのである。

かつて筆者はフジテレビの番組において森本敏元防衛相にこのような調達のあり方について質した。公共事業は(いくらインチキでも)空港にしろ、道路にしろ、需要予測を出し、それを元にいつまでに完成させ、総費用が提示されるが防衛装備でこれがないのはおかしい。計画が無いに等しいではないか、と。

これに対して森本氏は防衛装備と公共事業は異なる(と)主張した。だが総合的な調達計画も、運用構想も、いつまでに戦力化されるかも示さずに装備調達が開始される現状は、軍事的にもおかしい。計画が無いのに見切り発車で、多額の税金を投入することになるからだ。

装備調達は民間でいえば設備投資に相当する。設備投資の計画もなく、導入時期、総予算も決めずになし崩し的に投資を行う企業はないのではないか。新聞やテレビなどのメディアはこれをまったく報じないのだが、だからといって軽視できる問題ではない。むしろ、国の安全保障の根幹に関わる重大問題といって過言ではない。

採用機種はすでに決まっている

採用が予定されている機種・車種はそれぞれ滞空型無人機(UAV)がグローバル・ホーク、チルトローター機がオスプレイ、水陸両用車がAAV7だ。明記されているわけではないが、他の候補は存在しない。

3070とはずがたり:2014/10/08(水) 16:17:55

その理由は単純だ。そもそもグローバル・ホークと同じカテゴリーのUAVは存在しないし、実用化された軍用チルトローター機はオスプレイだけだ。船型の水陸両用装甲車で我が国が入手可能なものも、AAV7しか存在しない。他に通常の装甲車に近いタイプの水陸両用装甲車もあるが、陸上自衛隊が水陸両用車のサンプルとして調達したのはAAV7のみである。

つまり防衛省の調達計画に、複数の候補は存在しない。その点で、「これから機種・車種を決定して財務省と折衝する」という説明は虚偽としか思えない。すでに中期防策定時からこれらの装備の調達は決まっていたとみるべきだ。

しかもはじめに調達ありきで、自衛隊に必要な装備であるか、どのように運用するか、運用コストはどれほどかかるのか、という点についてもほとんど検討された形跡がない。

グローバル・ホークとオスプレイの調査費用については、本年度の予算に計上されている。概算要求までに「候補を絞る」のであれば、4月に予算が執行されたあと、財務省と折衝し、8月末に概算要求を発表するのであれば5月まで、遅くとも6月までには決定しなくはならない。わずか2〜3カ月でそのような調査ができるはずもない。
本当に評価試験を行ったのか

中でも、特にひどいのが水陸両用車であるAAV7だ。AAV7は平成25(2013)年度予算で、評価用としてまずAPC(装甲兵員輸送車)型4輌(米海兵隊の中古)が要求された。ついで翌年度、指揮通信型、回収車型(戦場で破損したりした装甲車を回収するための車両)各1輌が要求されている。こちらは新造であり、納入予定は平成28(2016)年度だ。常識的に考えれば、陸幕はAPC型と指揮通信型、回収型を合わせて試験的に運用してみて採用するか、否かを決定すると考えるだろう。

2013年4月15日の国会の予算委員会第一分科会では、防衛省の徳地秀士防衛政策局長は以下のように答弁している。

「平成27(2015)年度までに取得をいたしまして、それから1、2年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」

そうであれば評価作業が完了するのは2016〜17年になる。当然AAV7が装備として予算が要求されるのは、早くても2017年度ということになる。

ところが筆者が2013年の陸幕長会見で「陸幕は予定を早めて本年末までに結論を出すのではないか」と質問したところ、それを認めた。

つまり評価用に発注された指揮通信型、回収車型は、実際には十分に検証されているわけではないのだ。

APC型は4輛が2014年2月に納入されたが、うち2輛は日本の道交法、船舶法への適合及び自衛隊仕様にするため改修中であり、年末まで使用できない。残りの2輛中1輛が富士学校、もう1輛が土浦の武器学校で試験されている。つまり6輛中2輛が試験されているに過ぎない。しかも実際に使用が想定されている南西諸島での試験が実施される様子はない。

これでは、まともな評価試験を行ったとは思えない。通常の装甲車でも外国ではトライアルには最低でも1年かける。まして水陸両用車は陸自がかつて運用したことのない種類の装甲車だ。海自の輸送艦なども使って、南西諸島で繰り返し使用してみる必要があるはずだ。

筆者は陸幕長に4年かかる評価作業がなぜわずか8カ月に短縮されたのか、安全保障上の環境の変化によってプロセスを縮めたのか、と陸幕長に質問した。後日陸幕からの返答は「安全保障環境の急激な変化はない(これは小野寺大臣も同様に認めた)、米国側との調整の結果だ」と回答があった。しかし概算要求は事実上、購入を前提としており、そうなると評価期間はわずか4カ月である。更に半分に短縮されていることになる。

米国側との調整、つまり米国から注文があれば、本来必要とされる評価作業を大きく端折る、ということなのである。つまり、評価作業はアリバイ工作程度に行っているに過ぎない、ということだ。これではまるで植民地軍ある。とても独立国家の「軍隊」の「参謀本部」の見解とは思えない。これが日本の自衛隊の兵器調達の現実であることを納税者はもっと直視するべきである。

3071とはずがたり:2014/10/08(水) 16:18:17
>>3069-3071
不整地踏破能力が低いAAV7

このように批判をすると、「AAV7の調達は、まだ決定事項ではない」と反論するのだろう。しかし、すでに決定事項であるとの間接的証拠は他にもある。

海上自衛隊の輸送艦おおすみ級が「水陸両用車」運用のために同型艦3隻すべてがデッキや搭載するLCACの床に特殊な加工をする改修工事を行う予算が本年度予算で要求されている。

単にAAV7の評価試験のためならば3隻も改修する必要はないだろう。しかも来年度予算では更に1隻のおおすみ級のウェルドックの注水機能や完備門扉開閉機構の強化が要求されている。仮に「水陸両用車」が必要なしとなった場合、これらの改修費用は無駄になる。当然、AAV7の採用を前提とした改修と考えるべきだろう。

こうしたプロセスの問題も重大だが、さらに重大な問題は、AAV7が日本の国防上、最適な兵器ではないという点だ。AAV7は旧式とされる装甲車。不整地踏破能力が低く、南西諸島のリーフ(サンゴ礁)や護岸工事が施された海岸を踏破できない可能性が高いうえに、水上航行能力が時速13キロ程度に過ぎない。米海兵隊は将来の揚陸作戦を現在の20カイリほどの沖合から100カイリ程度に伸ばす。これは地上型の対戦車兵器や火砲の長射程化が進んでいるためだ。つまりAAV7は何時間もかけて延々と陸地を目指すことになるが、敵からみればいい的でしかない。

そのうえ、問題になっている尖閣諸島などでは、AAV7は狭すぎて使用できない。LCACを使用して沿岸あるいは海岸までAAV7を運ぶ構想もあるが、それならば高い水上航行能力をもつ装甲車は必要ない。むしろ陸上での機動性が高い通常型の水陸装甲車を採用する方が合理的だ。

それに現中期防で52輛調達しても、おおすみ級3隻ではそのうちの3分の1も輸送できない。海自の揚陸能力は低い。本来であれば、戦車揚陸艦のようなものの装備増強を優先すべきである。

欠点はほかにもある。AAV7を導入しても、本格的な整備は米国でしか行えないのだ。整備には1年半かかると言われている。AAV7の稼働率は相当低くなると見積もらないといけない。

AAV7が本領を発揮するのは、沖縄本島などビーチが多い大きな島への揚陸である。だが現在焦眉の急となっているのは、尖閣諸島などの離島を巡る紛争だ。沖縄本島などへの大規模な侵攻は極めて可能性が低い。現在の調達計画は、その可能性が低い方にフォーカスを当てているようにしか思えない。

尖閣諸島など離島での紛争を意識するならば、AAV7ではなく、輸送機やヘリで空輸できる空挺装甲車を調達する方がよほど役に立つだろう。海自では実質的なヘリ空母である「いずも」がもうすぐ就役し、二番艦も現在建造中である。ヘリでの輸送が可能な空挺装甲車であれば、これらの「ヘリ空母」との組み合わせによって戦力化を迅速に行える。

AAV7を急いで導入しても現在の海自の揚陸能力では一度に揚陸できるのは、せいぜい十数輌だ。52輌を投入できるのは、来年度に調査費が計上されている強襲揚陸艦が数隻就役してからであり、10年以上未来の話である。とても喫緊の問題とされる島嶼防衛には間に合わない。こう考えると、AAV7を調達すること自体が目的化しているのではないだろうか。

AAV7を52輛購入すると442億円

ちなみにAAV7の新造品は平成26(2014)年度予算によれば2輛で17億円だ。これを基準とするならば中期防中に1個中隊分の52輛で442億円の予算が必要である。編成される水陸両用機動団は普通科連隊3個連隊を基幹とするとあるので、すべての連隊がAAV7を装備するならば1326億円にもなる。だが、これまで説明したように、防衛省は最終的にどれだけのAAV7を調達するかという計画を国会にも納税者にも知らせていない。

筆者個人の見解ではAAV7はすでに時代遅れで、南西諸島の防衛には寄与しない。全くの無駄遣いである。それでも、どうしても使ってみたいのであれば米海兵隊から1個小隊分リースをして試験的に運用してみる、という手段もあったはずだ。わざわざ博打のような調達を行う裏には、いったい何があるのだろうか。


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