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国際関係・安全保障論

3074とはずがたり:2014/10/08(水) 16:28:58
自衛隊全体のISR(情報・監視・偵察)機能を高めるためのプラットフォームを揃えるのであれば各自衛隊の持つアセットと、将来調達するアセットを検討して、重複や無駄を防ぎつつ、穴がないようにシステムを構築する必要がある。防衛省は既存の海自の哨戒機P-3CのISR能力向上、空自の新しい早期警戒機4機の導入などの予算を概算要求に盛り込んでいるが、これらのアセットと滞空型無人機の関連性や相互補完に関しては述べていない。筆者の知る限り、防衛省内部にもグローバル・ホーク導入には懐疑的な声が多い。

またグローバル・ホークは、合成開口レーダーの角度の関係で小さな船舶などの詳細の識別も苦手であると、ある元海自の将官は述べている。

防衛省のグローバル・ホークの運用構想には無駄が多い。防衛省はグローバル・ホークを三沢ないし硫黄島に配置することを予定しているが三沢から尖閣諸島までの距離は2300キロ、硫黄島から尖閣諸島までの距離は1800キロで極めて遠い。実際に偵察活動をしているよりは該当空域までの移動距離の方がはるかに長いのだ。

グローバル・ホークはボーイングの旅客機737に匹敵するサイズで、整備も時間がかかる。リモコン飛行機や小型のUAV(無人機)のようにはいかない。つまり常に南西諸島上空をカバーできるわけではない。

防衛省のある幹部は「グローバル・ホーク3機では南西諸島の偵察飛行は週に数回が限度で限定的」と述べている。

3機と地上局で1000億円必要

コストも問題だ。調達価格はセンサー類を含むミッションパックによって大きく変わるが、FMS(米国の対外有償軍事援助、通常米国の兵器はFMS経由である)経由で調達するならば1機250億〜300億円程度にはなるだろう。3機と地上局で1000億円前後は必要だ。これを三沢あるいは硫黄島に配備し、常に南西諸島を中心とする空域を監視し、整備や故障に備えた予備機も考慮すれば、中期防の3機だけでは足りず、最低5〜6機は必要になる(事実米国側はさらに3機のグローバル・ホークの調達を防衛省に働きかけているという)。

さらに北朝鮮まで監視するならば最低でも1ダース以上の機体が必要だ。果たして、どれだけの国会議員がこのようなことを承知しているだろうか。

グローバル・ホークにそれでだけのコストをかけることには防衛省内部でも疑問視されており、「より機体の小さいMALE(Medium-Altitude Long-Endurance: 中高度長時間滞空)型UAVを導入すべきだ」との声もある。

MALE型UAVを沖縄に配備すれば沖縄から尖閣諸島までの距離は概ね500キロである。ということは三沢に配備した場合に比べ移動距離は1800キロも短い。硫黄島と較べても1300キロ短い。運用中の機体が故障し代用機を送ることになっても、監視体制に穴が空く時間を最小限に留められる。また移動中に機体をロストするリスクも減る。調達及び運用コストも1桁安く済む可能性が高い。

MALE型UAVも相応にペイロードは大きく多彩なミッションシステムを搭載することができ、空中目標の探知や、高度を落としてより鮮明な情報を収集することも可能だ。

防衛省内部ではグローバル・ホークの採用は規定路線で覆すのは難しいので、これを補完するという名目で外国製のMALE型のUAVを導入するプランも存在する。これはイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)のヘロンなど、海外のUAVに国産のミッションシステムやソフトウェアを採用するというもので、これを輸出しようという構想も存在する。であればグローバル・ホークの採用自体を再検討するべきではないだろうか。

筆者の取材する限りグローバル・ホークの導入決定に先立って、MALE型UAVなどの導入や他のアセットとの兼ね合いや運用などが考慮・検討さなされた形跡はなく、はじめにグローバル・ホーク導入ありきで、話が進められてきた。


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