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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

1名無しリゾナント:2011/01/18(火) 17:04:23
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第2弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

335名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:44:42
生田の事など、

336名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:46:14
まるで

337名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:46:47
まるで気にする様子もなくそうつぶやく。

338名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:48:15
「イクちゃん?」

静寂

返事はない。

不覚だった。

きっと予兆はあったはずだ。
普段の鞘師ならばもっと早い段階で何かしらの異変を察知できていたはずだ…だが…
「イクちゃんか…」
【精神破壊】その副産物のような効果によって生田の周囲には常に精神的な妨害作用が撒き散らされていた。
思考は鈍磨し、注意力、集中力、あらゆる精神活動は本来の精度を保てなくなる。
水軍流によって育まれた危機を察知する鞘師の能力もまた生田の能力の影響を大きく受けてしまっていた。
そのうえでなにをしでかすかわからない生田の一挙手一投足を観察し先を読み続けるのである。
知らず知らずに生田に注意力を集中しすぎてしまっていた。
こういう事態もありえると、常日頃、鞘師自身気を配ってはいたはずだった。
若さ、経験の不足。まだまだ、未熟だった。
水軍流に限らず武術の世界でいの一番に教えられる教訓『一つ所に留まらない』これを完全に見失っていたといえる。
それにしても、ここまで鈍らされるとは。

だが自分ひとりを除いて一瞬でこれだけ大量の人間を消し去る。
そんな非常識な事が起こりえるのだろうか?
これだけ大規模な事態の予兆にまったく気が付かないなどということがありえるのだろうか?

「かのんちゃん達、平気かなぁ」

生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶやく。
ここにいても仕方がない、鈴木香音らとの待ち合わせ場所に行ってみよう。
鞘師は歩き出した。

―――――

339名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:48:51
「でね!エリおもったっちゃ!
やっぱりチョコクリームよりホイップクリームのほうが
イチゴには合うって!そうおもわんと?」
「うん」
鞘師がにこやかに微笑む。
先ほどからずっと生田が一方的に話し続けている。
「衣梨奈ちゃんおトイレ一緒に行こう」
しばらくすると鞘師がそう提案してきた。
「うん!行く!行く!」
二人は手を繋ぎ歩いていく。

―――――

340名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:51:16
「ふーん」

鞘師は立ち止まった。

「違ってた」

鞘師は周囲を見回した

先ほどと変わらぬ景色。
青果コーナー、鮮魚、精肉…。

出られない。

鞘師は待ち合わせ場所まで行こうとした。
が、しばらく歩くと、いつの間にかここに戻ってきてしまう。
このフロアから、この食品売り場から出られない。

「違ってた」

もう一度そうつぶやく。

自分ひとりを除いて一瞬で人を消し去る…そうではなかった。

消えたのは…

「私のほうか」

特に何の感慨もない。
鞘師は、ただ淡々と事実を確認した。

―――――

341名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:51:56
それぞれが個室に入っても生田はしゃべり続けていた。
「やっぱり平成ライダーの中ではWが一番かっこいいっちゃ!
ふぃりっぷ君としょうたろうだったらやっぱ攻めはふぃりっぷ君で…」
鞘師は無表情のまま貯水タンクの蓋を開ける。
タンクに手を入れ何か包みを手に取る…隣の生田に聞こえぬよう静かにビニールを破る…
鞘師は、ちいさな顔の、ちいさな眼と口で、にまーっと笑った。

ズガン!

一瞬の出来事だった。

トイレの個室を仕切る壁は、薄い合板二枚で出来ていた。
その壁が突然ぶち破られたのだ。
同時に生田の腕が突き出され、鞘師の腕をわしづかみにする。
その腕に握られていたのは…拳銃だ。
バリリッ!バリリッ!
恐ろしい力で壁を破壊し生田の肩と頭が現れる。


「お前…だれっちゃ?鞘師ちゃんを…どこにやった?」


―――――

342名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:52:54
さて、どうするか…

鞘師は一応考えてはみる。

が、答えはもう出ていた。

どうしようもない。

おそらくは能力者による攻撃を受けたのだろう。

幻覚か?…白昼夢のようなものを見せられているのか?…いや違うな…おそらくこれは…
近距離での物理的戦闘においては、ほぼ無敵の鞘師の弱点、それは心の脆弱性。精神系能力者からの攻撃だった。
初陣のとき、戦況を有利に進めていながら一瞬のうちに気を失い、ズタボロにされた苦い経験がよみがえる。

訓練で新垣さんに【精神干渉】をかけてもらったことがある。
そこで得た結論は
『かかったらどうしようもない』という事実。
何度もかけてもらい自分なりにたどり着いた結論だった。
精神系の能力であれ、その発動の直前、敵意や殺意、あるいは害意のようなものは必ず発生する。それを察知し、敵の能力の発動前に何らかの対処をする。それしかない。
まったく無防備な状態で"かけきられてしまっては"もうどうしようもなかった。

結論としてはどうしようもないのだが、鞘師は別に悲観しているわけでも
絶望しているわけでもなかった。

ただ事実を確認しただけだ。

343名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:53:43
だが事実とは常に過去にのみ適用される。

鞘師はそう考えている。

少なくとも未来を諦めるための言い訳の道具ではない。

方法はある。

鞘師は確信している。

鞘師にはどうしようもない。これは事実だ。だが…

「さて、"そろそろ"かな」

―――――

344名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:56:32
「お前…だれっちゃ?鞘師ちゃんを…どこにやった?」

「くっくっく。よく見破ったな。おっと馬鹿なことは考えるなよ?
この体は間違いなく鞘師里保なんだからな。」

「鞘師ちゃんを返せ」

「さぁどうかな?そいつはお前次第だ。まずは手を離してもらおうか?
…どうした?この体がどうなってもいいのか?」

「鞘師ちゃんを返せ」

「おい…聞いてるのか?この手を離せ。このまま舌を噛み切ってもいいんだぞ?」

「鞘師ちゃんを返せ…返せ…」

「おい?待て待てどうするんだ?え?返して欲しくばおとなしく言うことを…」

「 カ エ セ ! 」

生田は力を解放する。
生田の憎悪が、怒りが、無限地獄となって鞘師へとなだれ込む。

【精神破壊(マインドデストロイ;mind destroy)】

ぐ…ぐぎゃあああああああああああああああああ

―――――

345名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:57:06
気が付くと鞘師はリゾナントの入っているビルの倉庫にいた。

「鞘師っ!しっかり!鞘師っ!よかった…鞘師!無事?」

リゾナントのみんなが鞘師をコンクリの床に押さえつけていた。

みな汗にまみれ全身に打撲と大小の傷を負っている。

大体の想像は付いている。

どうやらほぼ思ったとおりの展開になっていたようだ。

「すみません…みなさん…」

傷は鞘師がつけたものだろう。

いや、"鞘師に乗り移っていた能力者が"鞘師の体を使って暴れたのだ。

そう。発狂して。


―――――

346名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:57:56
高橋が駆けつけたとき、生田は泣きながらへたり込み
鞘師は白目を向いてひきつけを起こしトイレの床をのた打ち回っていた。

即座に状況を把握した高橋は二人を連れてリゾナントへと飛んだ。

【精神干渉】により、
鞘師が【憑依】系の能力者によって支配されたこと、
その能力者を生田がまったく無計画に衝動的に"焼いた"ことを理解したとき
新垣は戦慄した。

もしかしたら鞘師の精神まで破壊するかもしれない。
生田はそんなことまるで意に介さず
躊躇することなく鞘師の"中にいるもの"を破壊したのだ。

―――――

347名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:58:33
「ごぇ…ごぇんなざいざやじぃぢゃぁん」

生田が泣きながら鞘師にすがり付いてくる

「鼻水…きたないから…」

鞘師が傷だらけの腕で…やっぱり傷だらけの生田の顔を押しのける。
生田の顔や腕には、ささくれた木の破片が無数に突き刺さっていた。
血まみれのその顔を見ながら、鞘師は生田に笑ってみせる。

「いいよ。イクちゃんなら、躊躇しないって判ってたから。」

もし、仮に生田が空気の読める子だったのなら…
大切な仲間の身体を気遣い、鞘師への攻撃をためらうような子だったのなら…
事態はさらに最悪な状況へと陥っていただろう。
鞘師の命だけで済めばよい。
場合によってはフクちゃんや高橋さんたち…
最悪の場合、鞘師の身体が、かのんちゃんの命まで奪っていたかもしれない。
考えるだけでぞっとする。

そうだ。思ったとおり生田はベストな選択をしてくれた。

それは、信頼…というより確信だった。

『イクちゃんはポンコツだから』

必ず後先考えず、目の前の敵を攻撃する。

あとは、鞘師が憑依されていることを生田が見抜けるかどうか?

不確定材料があるとすればそれだけだったのだが…

348名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:59:03

「それにしても生田、よく鞘師が憑依されてるって見抜いたっちゃね」

田中が生田に問いかける。

「???ひょう?い?」

「え?」

「え?」

一瞬その場の空気が凍りつく。

「えええええ!!!!」

「もしかして勘?勘?勘だけで何の根拠もなく鞘師に【精神破壊】をぶっ放したって言うの?!」

生田の顔に???が並ぶ…
何も考えていない。その表情が物語っている。

「コラアアアアアア!生田ぁ!アンタねぇ!!」

新垣さんのお説教が始まった。

ははは…

鞘師は心の中で笑った。叱られている生田を見るのは、なんだか気分がいい。


「ははは…イクちゃんって…やっぱりKYだよなぁ」

349名無しリゾナント:2011/09/25(日) 16:03:52
>>329-330
および
>>338-348

 ■ トラストオアコンフィデンス −鞘師里保X生田衣梨奈− ■ でした

以上代理投稿お願いできませんでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします

途中、NGワードがありまして
ワードを特定できず、貴重なレスを無駄に消費したことお詫びします

350名無しリゾナント:2011/09/25(日) 19:36:45
長いな
まあ行ってみますかね

351名無しリゾナント:2011/09/25(日) 19:53:04
だが事実とは常に過去にのみ適用される。

鞘師はそう考えている。

少なくとも未来を諦めるための言い訳の道具ではない。

方法はある。

鞘師は確信している。

鞘師にはどうしようもない。これは事実だ。だが…

「さて、"そろそろ"かな」

―――――

352名無しリゾナント:2011/09/25(日) 20:01:06
慌てた所為で1レス抜けてしまった
ある意味一番の見せ場というか鞘師の真骨頂の部分があたら間抜けたことにw
申し訳ない

353名無しリゾナント:2011/09/27(火) 00:07:21
>>352
いえ
こちらこそ途中に無駄レスが挟まって紛らわしい投稿だったので…
気になさらないでください

面倒な投稿依頼を引き受けてくださりありがとうございました
--------------------------------------------------------
※補足願い

このスレで言うと>>338
本スレで
>309 :代理募集中。。。:2011/09/25(日) 19:41:09.32 0

なのですが末行から6行目、
>生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶ

となっていますが、ここを

生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶやく。

に変更していただけないでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします

354名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:25:26
私の名前は譜久村聖
喫茶リゾナント近くのアパートを借りて、えりぽん、香音、里保ちゃんと共同生活をしている
初めは某大人な子供が「いやなの、りほりほはさゆみと一緒に住むの!」と散々駄々をこねたが・・・
リーダーの高橋さんが「4人で住ませた方がいい」と必死に説き伏せた
新垣さんは「中学生だけで住ませるのってどうなの?」と思ったようだがそれも何とかなった
だって高橋さんは知っているから・・・私が・・・『未来から来たリゾナンター』だということを・・・


「みずぽん、何してるの?さっきから何回もカレンダー見ているけど?」
「え?そうかな?」
「そうだよ、聖ちゃん、なんどもカレンダーの方ばっか見てるんだろうね」
「え〜そんなことないって〜二人とも思い違いだって〜」
そういって私は笑いを顔に浮かべているが、横から飛んでくる冷たい視線がなんだかイタイ

「ほらほら、そんなこと言っていないで4人ともれーなが作った特製セット食べると」
そう言って私の目の前にどうしても『お子様ランチ』と称せざるを得ないプレートがならんだ
「わ〜かわいい!」
そう言ってさっそく旗の刺さったチキンライスにスプーンを入れるのはえりぽん
一方えりぽんの横に座っている香音は口いっぱいにハンバーグを頬張って幸せそうな表情だ

「ほらほら、そんなことすると喉詰まるから、ゆっくり食べる!」
新垣さんの注意にも香音はあんまり気にしていないようでグフフと笑ってばかり

それに対して
「ほら、りほりほも早く食べるの!さゆみも手伝ったの。
 真っ赤なうさちゃんウインナー、さゆみが作ったの!食べて、食べて!はぁはぁ・・・」
道重さんの必死なアピールにも私の横に座っている鞘師ちゃんは「はあはあ」といってあまり嬉しそうではない
・・・それはそうだろう、こんなおこちゃまの食べるものを『水軍流』の継承者、鞘師里保が好むはずがない
冷静沈着、頭脳明晰、努力の天才、そんな言葉が似合う彼女には『お子ちゃまランチ』なんて似合うはずもない
おそらく今無理やりされている二つ結びも引きちぎりたいくらいのものなのだろう

355名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:26:38
「あれ?フクちゃんも食べとらんと?もしかして遠慮しとると?」
「まあ、確かにフクちゃんにはちょっと子供かもしれないけど、ほら、子供向けのメニュー会議だからさ」
田中さんと新垣さんの会話を聴いて慌てて私はフォークを手にしてナポリタンをくるくるっと巻いた
意外に美味しかったのでほっぺに指当てて「ヴォーノーーー」と言ってみた
一瞬の静寂の後、みんな笑いだした
「フクちゃん、何言っていると〜」「ふくちゃん、面白いの」「みずぽん、どうしたっちゃ?」
その輪の中にもやはり鞘師は入ってこようともしない

目の前でケラケラ笑っている生田衣梨奈は『精神破壊』の能力者
それも制御できておらず、常に垂れ流しの状態で自分自身の心まで壊れる寸前だったという
そんな生田の心を溶かし、人間らしさを再び与えたのは今、横に座っている鞘師里保だという
感情を、表情を失った生田を優しさで包み込んだ里保ちゃんには力ではなく技術で人の心を読むことができる

だからこそ・・・私は恐れているのだ
こうやって・・・高橋さん以外には誰にも言っていない秘密を、未来から来たことを知られることを
今でも思えている、もう半年以上前になる、高橋さんに告白した日のことを

高橋さんは私の話を聴いている間、何も言わずにあのまっすぐな瞳を私に向けてくれた
もちろん初めは信じられないようであった。仕方ないであろう、逆の立場でも信じられる話ではない
ただ、カバンに入れられていたボロボロの「A」「R」のお守りを見せたところ信じてくれたようだ
「私は何も教えられないかもしれないけど、聖ちゃんなりに私達を見て、学んでほしい」
そう言った高橋さんからは本当にたくさんのことを学ばさせてもらった
優しさの本当の意味、強くなることの価値・・・数え切れない

そして一つだけ高橋さんにお願い事をした
私―譜久村聖が未来から来た人間だと誰にも言わないで欲しいと

356名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:29:09
それは未来から私を送ってくれた光井さんの手紙に書いてあったことだし、私も望まなかったから
だって、未来が変わってしまったら私が消えてしまうかもしれないから
そんなことをみんなに考えさせたくなかったから知って欲しくなかった
「本当にいいの?」
そんな私の思っているのを当然のように悟った高橋さんに私はこう答えた
「いいんですよ、未来が変わってくれればみんなが幸せになるんだから」

その言葉を聴いた高橋さんの表情が一番残っている
悲しいとも怒っているとも何とも言えない表情で『そう』と呟いたのだから

その小さい呟きは私の中で今も渦のように消えない
『自己犠牲』、そんな簡単な言葉で済ませられる簡単な事実
小さな勇気をもって、勇者となるために私は未来から送られてきた
それは仕方ないと思っていたし、自分でも納得していた

でも高橋さんと出逢い、新垣さんに怒られ、田中さんに気を使って、道重さんから里保ちゃんを守って
えりぽんのテンションにあきれ、香音と笑って・・・気持ちが揺らぎ始めていた
みんなと一緒にいると『楽しい』『心の底から笑顔でいられる』何かが変わり始めているのを自覚していた

『何のために過去に来た、何のためにリゾナンターになった』

それを迷うことが多くなっていた。本当なら・・・未来は変えたい、でも、みんなと一緒にいたい

でもそれは同時に叶えられることなのか・・・わからない
だからこそ、こうやって誰にも言わないでいるのだと思う
言ってしまったら、もう戻れないような気がして

だから一番怖いのは里保ちゃんになっていた
嫌いなわけではない、むしろ大好きだ。もちろん道重さんとは違う意味で
でも、あの目が怖い―全てを見透かそうとしてくるあの無邪気な刃
もちろん、そんなことを里保ちゃんは考えてもいないのだろう

357名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:30:55
普段から食べるのが人一倍遅い私だったためかこうやって考えながら食べても誰も不思議に思わなかった
「ごちそうさまです」
ナプキンで口元を拭き、ついでに香音ちゃんの口も拭いてあげた
「フクちゃん、お母さんみたいなの」
道重さんの言葉に若干傷つきながら私達4人はアパートへと帰るために席を立った

「どうだったと?」と田中さんが訊いてきたので「美味しかったです」と答えた
えりぽんも香音もうんうんと大きく首を振って答えたからか、田中さんは満足げだ
「それではまた明日も来ますね。ご馳走様でした。おやすみなさい」
里保ちゃんが挨拶をするとそれぞれ「おやすみ〜」と返してきた

「ねえねえ、えりぽん、アイス買いに行こうよ〜」
「いいっちゃね!よし決めたっちゃ!コンビニに後に着いた方が二人分奢るとよ!よーい、ドン!」
勢いよく走っていくえりぽんを追って香音が駆け出した
「もう、二人とも知らないよ・・・」
大抵里保ちゃんはこういう遊びには参加しない

「そんなことよりフクちゃん、何かあった?おかしいよ、最近」
・・・ほら来た。やはり水軍流の目を誤魔化すのは至難の業
「二人ですら気がつくくらいにカレンダーを見てるし、やたら時間を気にしている」
うん、時間、時、それが気になってしまうんだよね。時が・・・
「二人に言えないことだとしても私に相談してくれてもいいんだからね」

その優しさが辛かったりするのよ・・・時間が止まればいいのに

「ねえ、フクちゃん。私達は仲間である以上に友達なんだからね、だから・・・」
「え〜里保ちゃん、ありがとう〜かわいい〜」
「!!ちょっとやめてよ!フクちゃん、恥ずかしいって」

・・・道重さん、あなたの技借ります。こうやっておけば里保ちゃんは何も言えなくなるって知ってるから
そうしてこの日はなんとか誤魔化しきったが・・・次の日、『その日』がきた、いや来てしまった

358名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:31:54
                ★   ★   ★   ★   ★   ★

寝ぼけた頭で朝に弱いみんなを起こし、身支度を済ませた
そしていつも通りに朝食を作ってもらうためにリゾナントに向かった
「おっはようございま〜す!」「おっは〜」
これもまた、いつも通りに能天気な二人が元気にあいさつする

「・・・何かおかしい」
里保ちゃんが呟くと同時に、田中さんがキッチンの奥から飛び出してきた
「あ、4人ともおはよう!ねえ、愛ちゃん知らんと?
 愛ちゃんがどこにもおらんっちゃけど!
サユもガキさんも愛佳も愛ちゃんがどこにいるか知らんっていってると!」

驚きの声をあげる能天気な二人に対して私はまた隣の水軍流から刺される視線を浴びることになった

それは今から約一か月前、10月1日のこと

359名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:43:07
・・・いいタイトルが浮かばない。
3時間くらいで作った話なので簡単ですがフクちゃんの生誕も込めて(笑)
一応『聖なるもの』シリーズの続きです
一日限定で復活してみました。日付が変わったらまたホゼナンターに戻ります。

360名無しリゾナント:2011/10/31(月) 22:28:17
ヤバイ
折角の生誕作品がw
取り急ぎ行ってまいります

361名無しリゾナント:2011/10/31(月) 22:36:38
とりあえず終了
作品が来てないか見に来た時は無くて、見に来れないときは来てるのねw

362名無しリゾナント:2011/11/01(火) 08:30:21
代理ありがとうございます。
生誕間に合わせるなら自分で投下しろよって話ですよねw
>>361さんの気持ち凄くわかります。あまり更新されないですからね(汗

363名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:13:31
この日、愛はあるひとりの男に自分のいれたコーヒーを飲んでもらいに新宿のある喫茶店を訪れた。

「どう?」
「前よりもコクが出てきた。あの人の味に近づいている。」
「よかったやざ。伊集院さんにどんなことを言われるか心配しとったやざ。」
「頼むからその伊集院さんはやめてくれないか。」

男はサングラスをかけており、黒人風の巨漢の男である。
とても喫茶店のマスターには見えなかった。
だが、今は愛に名前を呼ばれて妙に恥ずかしがっているものも・・・

「だって、ばあばがそう言ってたやよ。伊集院さん。」
「だからそれはやめろ!」
「何を朝から騒いでいるの、ファルコン。あら、愛ちゃんいらっしゃい。」
「美樹さん、お邪魔しています。」

実はこの喫茶店は開店する際に愛の祖母から手ほどきをうけており、ここのマスターであるファルコンこと伊集院とそのパートナーである美樹にとっては愛の祖母は恩人のひとりなのである。

「あっ、そろそろ店に戻らんと。それじゃあ、また来ます。」
「ええ、もう帰っちゃうの?」
「その方がいいだろう。そろそろあのもっこり野郎が現れるかもしれんなからな。」
「そうね、愛ちゃんを見たら冴羽さんがもっこりするのは確実だから。」
「噂だけは聞いてますけど、その人に一度でいいから会ってみたいやざ。」
「やめろ、お前とあいつが会うと店が破壊されかねない。」
「そんな大げさな・・・」

いろいろ気になることを聞かされながらも店をほおってはおけず愛は新宿を後にした。

364名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:15:07
喫茶リゾナント
「いらっ・・・・あ!愛ちゃんおかえり!」

店ではれいなが必死に接客をしていた。
その傍らでは絵里とさゆみも手伝っていた。

「今日はごめんやざ。すぐに店に戻るから。」
「いや、いいの。さゆみたちで手が足りているし。愛ちゃん、新宿から帰ったばかりなんだから少し休んでもいいの。」
「そうか、じゃあ1時間ほど上で仮眠するやよ。でも、何かあったら遠慮なくいってや。」

愛が二階に行こうとすると・・・

「愛ちゃん、待った!」
「何や?絵里?」
「1時間ほど前に愛ちゃんにお客さんが来てた。」
「あーしにか?どんな人やざ?」
「うーんとね?見た感じが愛ちゃんにそっくりで・・・でも愛ちゃんと違ってすごく高貴な印象だったよ。」

「絵里軽く失礼なことを言ってるの。」
「・・・他には・・・」
「後は亜麻色髪の乙女かな?」
「絵里、それだけでわかるわけやなかと?」
「誰かわかったやざ。」

365名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:15:54
絵里の説明だけで愛は尋ねた人が誰かわかった。
「それで何か伝言か何か残したんか?」
「うん・・・確かね・・・・はい。」

絵里がエプロンのポケットから紙を取り出した。
愛はそれを受け取ると二階へと駆け込んでいった。

魅惑の水さんルーム
愛は絵里から渡された手紙をじっと見ていた。
そこには高貴な雰囲気を醸し出す紋章が描かれていた。

「サファイアが日本に来たんか・・・そしてあーしに助けを求めとる。」

366名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:25:37
>>363-365
「リゾナンターSP シルバーランドの姫君 (1) 」

どうもリゾクラ作者です。
ある程度骨組が完成したので序章を公開しました。

前スレが突然落ちたためなのか愛ちゃんが卒業したショックなのかリゾスレ全体的に
元気がないのかなとも思いましたが、リゾナントリゾートが久しぶりに登場したので
まだまだリゾスレは続くなと思いました。

それと現在、パソコンも忍法貼のために投下不可能なのでこちらに投下しました。
代理投稿、よろしくお願いします。

367名無しリゾナント:2011/11/21(月) 17:59:18
代理投稿承って候

368名無しリゾナント:2011/11/21(月) 18:04:07
滞りなく終わって候

にぎやかな話になりそうですね

369名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 21:00:40
代理投稿ありがとうございます。

370名無し募集中。。。:2011/11/23(水) 14:23:35
それから2日後、愛と里沙は海外にいた。

「愛ちゃんと旅行なんて久しぶりよね。おまけにプライベートで・・・」
「そうやね。」

ふたりはレンタカーを借りて、ヨーロッパの道をずっと進んでいった。

「それにしても愛ちゃんから旅に出ようと持ちかけられたときには驚いたね。どうしたのよ?お店の事があるからよほどの事がない限り、外にも出ないくせに・・・」
「最近はれいなたちだけでもお店を任せられるようになったし。絵里やさゆの将来のケーキ屋つくりの修行のためにも任せてみようと思ったんやざ。」

愛のその言葉に里沙は軽くため息をつく。

「愛ちゃんさ・・・・本当に嘘つくの下手だよね。本当のことを言ったらどうなの?カメから聞いてるよ、手紙をもらったんだって。」
「やっぱり、しっとったか。実はあの手紙は今から行くシルバーランドの王女・サファイアからやったんやざ。」
「サファイア・・・聞いたことがあるわね。あれ?確かサファイアは男じゃなかった?」
「この話は里沙ちゃんだから話すんや。ほかの人には内緒やよ。あれは5年ほど前やった。」

愛は昔の事を里沙に話した。
・・・あれはまだばあばが生きとった頃・・・里沙ちゃんに再会するもっと前の話。
あーしはばあばの許しを得て、世界中を旅したんやよ。広い世界を見て、いろいろ学びたかったんやざ。
そんな旅の中で訪れたのがシルバーランドだった。・・・

371名無し募集中。。。:2011/11/23(水) 14:24:38
・・・シルバーランドはヨーロッパの大きな国のひとつで今では珍しい王政を敷いていた国やったやよ。
あーしがサファイアに出会ったのはそんなシルバーランドの広い高原だったやよ。あの時は驚いたやざ。目の前にあーしがおったんやから・・・

「誰!」
「別に怪しいものやないよ!」

・・・でもさらに驚いたのがサファイアが女だったという事実やざ。・・・

「なんで愛ちゃんはサファイアが女だって気付いたの?愛ちゃんは初対面の人にはあまり能力使わないじゃない。」
「実はのぉ・・・里沙ちゃん・・・あーしがサファイアにあった時、あの子お風呂に入っとったんや。」
「じゃあ!愛ちゃん・・・・サファイアの・・・・を見たの?」

愛は静かにうなずいた。

「まったく・・・」
「それから妙に気が合ってのぉ・・・サファイアは自分の悩みをあーしに打ち明けたんやよ。」

372名無し募集中。。。:2011/11/23(水) 14:25:38
「男と女か・・・あんたは女でいたいんか?」
「実は先日、隣国のゴールドランドからフランツ殿下がお忍びでまいられたの。その時、私は亜麻色の髪のかつらをかぶって身分を偽り、一緒に踊ったの。」
「ははーん、ほれたんやざ。」
「うん。でも、告白はできない。私は公式には王子。そんなことは許されない。」


「正直、その時何も言ってやれなかったやざ。でも、何か困ったときにはあーしを頼ってくれって。それで喫茶リゾナントを教えたんやよ。」
「それでサファイアがこないだリゾナントに来たわけね。それで手紙の内容は?」
「詳しくは書いてなくて、ただ助けての文字だけ・・・サファイアは剣の達人で男勝りなところがあるから、めったに弱音は吐くことはしなかった。
おそらく今まで苦しいことはあったはず。だから、この手紙を見た時すぐにいかなきゃと思ったんやよ。すまんなぁ、本来ならあーしだけで行くのに。」
「いいのよ、連れてっていったのは私のほうだし、何かあったら力になれるだろうから。」
「ありがとう、里沙ちゃん・・・」
「さぁ、もうすぐシルバーランドよ。]

373名無し募集中。。。:2011/11/23(水) 14:29:29
>>370-372
「リゾナンターSP シルバーランドの姫君 (2) 」

どうもリゾクラ作者です。
ここ最近、さゆみん&れいな主演のドラマが決定と何かと好奇心掻き立てられる話題も多いようで。
せっかくモベキマスがあるので何かそれに関連して書こうかなと模索してしまう始末であります。
それでは代理投稿よろしくお願いします。

374名無しリゾナント:2011/11/23(水) 15:15:32
いってまいりますか

375名無しリゾナント:2011/11/23(水) 15:20:28
完了
ガキさんも巻き込んでミュージカルの名場面の再現なりますかってところですかw

376名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:19:46
「・・い・・・ちゃ・・ん・・・あい・・・ちゃん・・・愛ちゃん!」
「はっ!」

愛が目を覚ますと目の前には里沙とさゆみの姿があった。

「さゆ・・・なんであんたがここに・・・イタッ!」
「動いちゃダメ!愛ちゃん、大けが負ってたんだから。」
(そうや・・・あーし、サファイアの戴冠式に行こうとしてその途中で・・・)
「戴冠式は!サファイアは無事か!」

愛のその答えには誰も答えようとしかなかった。
重い口を里沙が開いた。

「サファイアは王妃様と一緒に監獄に入れられた。戴冠式で王妃様がサファイアが女であることを話してしまった。それで王位は大臣の息子に渡された。」
「何か仕掛けてあったんやろう。たぶん、ダークネスのやつらが・・・」
「ダークネスだって!」
「うん、ミティと矢口にやられたんやよ。サファイアの元に行こうとするあまりとんだドジを踏んだやよ。」
「いったいこのままだとどうなるの?」
「政治は大臣が握っている。野望の障害ともなるサファイアと王妃様を抹殺にかかるだろうね。」
「じゃあ、早く助け出さないと。」
「ああ、そうや。不覚をとったけど・・・・あーしはあきらめん。必ずサファイアを救いだす。そういえばなんでさゆがいるんや?」
「あ、そうだ皆がやってきた経緯を話してなかったわね。」

377名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:20:38
数時間前
里沙の元に電話が入ったのだ。

「もしもし。」
「新垣さん!愛佳です、実は今朝、予知夢を見たんです!高橋さんが大変な目に会うんです!早く連れ戻さんと!」
「えっ!わかった。すぐに愛ちゃんの元に行く!」
「愛佳たちもすぐに向かいます。」

「それでみんな大急ぎで飛んできたの。」
「そしてわたしは川に流れている愛ちゃんを見つけて、引き揚げたわけ。」
「そうやったんか。ほかのみんなは?」
「町や鉱山、それに監獄の様子を探ってもらっている。」

監獄
牢番の部屋

ここには3人の牢番がいる。
さきほど囚人としてサファイアと王妃を収監し終えたところだ。
すでに自分のもとにはふたりを殺すようにという大臣からの命令書も届いていた。
しかしピエールは悩んでいた。

「お・・・俺はどうすればいいんだ。」
「どうした、ピエール?」
「いや、何でもない。それよりも囚人の方はどうだ?」
「さっきの騒ぎで元王子様は騒いでいるよ。もっとも元御姫様のほうが正しいが。」

実はさきほど食事をめぐってサファイアと牢番たちの間にいざこざがあった。
結局はサファイアたちには食事は与えられなかった。
だが、いずれは食事を口に運ぶことになる。
人生最後の食事を・・・

378名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:21:29
「この命令に逆らえば俺の家族は・・・」
「あら?そんなに悩んでいるのならその役目、私たちがしてあげるわよ。」
「誰だ?」

ピエールの背後には妙に露出度の高い衣装を身に纏っている女3人組がいた。

「私たちはダークネスの粛清人Rとその部下たち。美勇伝と呼んでくれてもいいわ。」
「そいつらが何の用だ。言っておくが、俺はここの責任者だぞ!」
「そんなことは知ってるわ。いずれあんたが仲間と謀って、あのふたりを逃がそうとすることもね。私のところのえらいえらい予知能力者の先生がそういうもんだからさぁ。懲らしめに来てあげたの。」

よく見ると後ろには仲間のトロワとコリンがぼろぼろの姿になっている。

「安心して、あなたたちよく見ると私たちによく似てるから。殺さないであげる。その代わり、死んだ方がましだと思うような目には合わせるけど・・・」
「やめろ・・・やめてくれ!」

牢番部屋のドアが閉じられて、中から容赦ない打撃音が聞こえてきた。
「ああ、かわいそうに。」
「石川さん、ほんま容赦ないわ。」

バタン!
牢番部屋のドアが開かれると血だらけのピエールを抱えたRが出てきた。

「さぁ、ここでリゾナンターを待ち伏せよ。」

その頃、監獄の外では・・・
「粛清人Rにその部下のふたりか・・・この国の兵隊だけだったら簡単だったんだけどな。」

小春が念写で今、監獄の中で起きたことを念写していた。

379名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:22:11
シルバーランドの鉱山
ここには国中の男たちが駆り出されており、発見された未知の好物を発掘していた。

「本当に国のほとんどの男を駆り出しているが・・・一体、そのミチの鉱物って言うのはそれほど価値があるのカ?」
「さぁ?情報がまだありませんからね。ただ・・・この発掘にダークネスが関わっているのは間違いなさそうです。」

するとリンリンはあるところを指差した。
そこにいたのは・・・

「Dr.マルシェだ・・・」

見るとマルシェは何やらダークネスの科学者たちと機械を持ち込んでいる。

「人が多すぎるな。おそらく戦獣もいるぞ。獣のニオイがする。」
確かに鉱山の男たちに交じって黒服の男が数人いる。
「ヘタに近寄れないネ。いったん、新垣さんの元に戻りましょう。」

380名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:23:09
ゴールドランド
シルバーランドの隣国であるゴールドランドは別に意味でシルバーランドと同等の騒ぎが起きていた。

「何?王が変わった?」
「はい、すでに王位は大臣の息子に受け継がれております。しかし大臣の勝手で国は乱れ切っております。」
「・・・私は屈辱を味わったままだったが、あえて戦争に持ち込むのは避けていた。しかし国がそこまで乱れているのなら、私はもう黙っておられない。戦の支度をしろ!」
「はっ!」

旅行公司
バクバクバクバクバク!

愛は絵里やさゆみが持ち込んだ食事を乱暴に頬張っている。
水もほとんどラッパ飲みであった。

「愛ちゃん!焦りすぎだよ!」
「そんなことをしたら喉をつまらせるの!」
「血が・・・血が足りんやざ!もっと飯!・・・・くっ!」

案の定、愛は喉をつまらせた。
すると里沙があきれたように言う。

「もう、そんなに焦るもんじゃないの。まったく・・・サファイアを助けたいのはわかるけど、今は愛ちゃんの体を癒すことよ。さゆみんの力である程度直したけど、戦うのも難しいほどの重傷なのよ。」
「でも・・・あの大臣がサファイアをほおっておくとは思えん。」
「そうね。そろそろ監獄に行っていた小春や愛佳が戻ってくると思うけど。」
「戻りました。」

381名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:24:12
するとベストなタイミングで小春と愛佳が戻ってきた。
「なるほど、監獄にはRが待ち伏せているわけね。」
「はい、監獄の兵士もほとんどがダークネスの構成員になってます。」
「中の構造は久住さんの念写ですべて把握済みです。」

すると愛佳は小春の念写した監獄の様子を写した写真を里沙に渡した。

「中の構造自体は問題なさそうね。やはり問題は粛清人Rがいる部屋とサファイアのいる監獄がすぐ近くにあることね。戦いに巻き込んだら大変ね。作戦は慎重に立てないと。」

「大変っちゃ!」

するとれいなが駆け込んできた。

「どうしたの、れいな?」
「ゴールドランドが攻めてくると!」

れいなには念のためにゴールドランドの様子を探ってもらっていた。

「国の乱れを知って動きだしたってところかしら。まずいわね、シルバーランドとゴールドランドがまともにぶつかったら・・・」

今のシルバーランドは国が乱れたことで兵の士気は落ちている。
しかしダークネスが関わっている以上、侮れない。

「サファイアの救出を急ぐしかないわね。」

「ただいま、戻りました!」
「戻ったぞ!」

382名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:25:07

ジュンジュンとリンリンも戻ってきた。

「鉱山を見てきましたが、マルシェがこそこそ動いています!」
「ついでに町の様子も見てきたが、リボンの騎士がどうとか街の人がつぶやいていたゾ。」
「リボンの騎士はサファイアが秘かに悪党退治していた時に使っていた名前やよ。まぁ、しっとるのはあーしだけやったけど・・・」
「うーん、みなさんサファイア救出の方法を考えたんですけど・・・」




「何で私がこんな恰好をしなきゃいけないのよ・・・」

里沙は監獄の前でカラフルでまるで少女漫画の主人公のような騎士の姿で現れた。

「私はリボンの騎士・・・サファイア様と王妃様を救いにきた!」

里沙は監獄に向かった声高らかに叫んだ。

牢番の部屋
「石川さん!何か、変な奴が監獄の前にいますけど!」
「来たわね、リゾナンターが。」
「それが違うんです。リボンの騎士と名乗っているんです?」
「はっ?何それ?」

Rは部屋を出ていった。

383名無し募集中。。。:2011/12/06(火) 20:33:39
>>376-382
「リゾナンターSP シルバーランドの姫君 (5) 」
どうもリゾクラ作者です。
この話の終盤にでてきたがきさんの衣装は最近がきさんがミュージカルでそういう格好を
したという話を聞いたので出してみました。

なぜか今はパソコンでスレの投稿ができない状態なので代理投稿よろしくお願いします。

384名無しリゾナント:2011/12/07(水) 20:42:14
自分は書き込めるようになったので行ってきます

385名無しリゾナント:2011/12/07(水) 20:54:09
遅くなりましたが行ってきました

386名無し募集中。。。:2011/12/07(水) 21:33:15
どうもありがとうございます。年内には終わって次に行きたいな。

387名無しリゾナント:2011/12/28(水) 08:10:20
暁の戦隊を書いてる者だがスマフォの調子がおかしかったり永久規制だったりで昼間は書き込めなくなったっぽいってことだけを伝えておく

節約生活で書いたネタを置いておくので手の空いてる人がいれば代理をお願いできれば

388名無しリゾナント:2011/12/28(水) 08:11:33
小春に1ヶ月間の生活費の額を競う芸能人節約バトルのオファーが舞い込んだ。

料理は愛とジュン子、節約の豆知識は愛佳に教わった。
万全の準備を終え、いざバトルに突入。

一進一退の展開が終盤まで続いた。。
対戦相手のお笑い芸人は、コップ1杯の水で身体を拭くという荒業で水道代を節約した。
残り5日目の段階で、5円のリードを許した小春。

「再度逆転されましたが、大丈夫ですか久住さん」

頑張りますとは言ったものの、年頃の女の子。
シャワーは毎日使いたいし、暖房だって……ピコーン!!
長い歴史には人類の知恵がある。

夜の闇に紛れて、対戦相手の部屋の電気メーターの前に立つ小春。
仕事先で調達したコードを繋ぐ。

― 私の【エレクトロキネシス】で発生させた電流でメーターを回転させて、電気代を上乗せすれば…勝った、この勝負貰った ―

ハイ・ボルテージ!!

次回 暁の戦隊 第7話「元気ピカッピカッ!」

電気ピカッピカッ! メーター振り切れ YEAH YEAH
百万ボルトの電流は対戦相手の部屋のメーターを吹き飛ばし、マンション全体のトランスを破壊して番組の収録も中止。
小春は事情を知った愛と里沙からお説教を喰らった。

389名無しリゾナント:2011/12/28(水) 19:32:45
代理投降してくれて方ありがとう

390名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:19:08
ボツ規格の設定 ■ 鬼面ライダーR (オーガライダー・リゾナント) ■

以前より小説を何度か投稿させていただいた事のある者です。
真野ちゃんのニュースを見てふと例のライダーが始まった2009秋ごろ書き始めたメモの存在を思い出しました…
亀ちゃんの卒業が無かったら、9期オーデがなかったら、あるいは大規模規制がなかったら
もしかしたらこっちを書いていたかもしれないボツ企画…。
悪ノリなうえ、あくまでボツ企画なので、年明けの初苦笑というか
ごく軽い気持ちで流し読みしていただければ…

----ここから2009〜2010年-----

391名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:19:49
「ガキさん行くやよ!」「まぁかせて愛ちゃん!」
『ルミナス!』『ラーフタァ!!!!』

人の心には鬼がひそむという。
鬼は心の慟哭、真の自分と世界をつなぐ記憶…
だがほとんどの者は鬼を眠らせたまま、一生を終える。
この物語は鬼を乗りこなす者たち、『オーガライダー』の戦いの記録である。

太陽の街、早都。
いつのまにか開店した喫茶店。
手書きの看板には「喫茶リゾナント(たんてーもやってるっちゃ)」
ここにふらりと9人の少女が集まった。青き正義に共鳴せし9人の乙女たち。
「私たちは9人で一人の探偵さ」

個人 オーガメモリー 色      能力概要
高橋 ラフター(笑者)金      テレポート&格闘
新垣 ルミナス(光束)新緑     まゆげビーム&インビジ
亀井 ステイシス(停止)橙     触れた物体の慣性停止、飛翔体なら空中に固定。たとえそれが弾丸でも。
道重 ヒーリング(治癒)桃       傷の治癒 うさみみ
田中 アンプリファイア(増幅)水  相方の能力増幅 しっぽ かぎづめ    
久住 ミラクル(奇跡)グレーと赤 飛行&高速機動 星型の武器
光井 ガイア(地母) 薄紫     あらゆるものの浄化&(変身に関係なく)世界を検索する
LL パイロ (火炎)エメと赤   火炎    
JJ ワイルド(野生)青と白   パンダ型 怪力

392名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:20:25
オーガノイド(鬼人)
オーガメモリーと皮膚のどこかにメモリスロットをもつ者
メモリをスロットに挿すと、そのものの心の鬼を呼びさまし変身する。

オーガメモリー
人の心の鬼を具現化する装置。
装置というより「装置のように見える妖怪」に近い。
USBメモリに顔がついて角が一本生えたような形をしている。
どんな鬼になるかは最初に挿したときに判明する。
以降は起動時に自己の鬼を一言で象徴するような言葉を宣言するようになる。
ある程度本人の素質に関わりなく鬼の姿と能力を制御できるメモリも開発されているが
制限があるほど、本人の能力は限定され弱いオーガノイド(オーガントのほうがいいか?)にしかなれない。

メモリスロット
スロットは銃形の小さい転写機によって簡単に皮膚に転写できる。


寺田家
「鬼による人の革新、これこそが寺田家の夢や。
そのための組織がGOD(ガーディアンオブダークネス)や」
「侵入者によって実験中の例のオーガメモリが盗まれたやて?
琵琶湖から引き揚げてきた「あの娘」も連れ去られた?
いかんなぁそれは」

共鳴者
広義にはオーガノイドだが、普通のオーガノイドとちがい単体では変身できない。
左右の鼠径部に一つづつ、計二つのメモリースロットをもつ。
右のスロットに挿すと自分の体が光の奔流となって相手の周囲に渦巻き、鎧のように体を覆う
左のスロットに挿すと相方をまとう中の人状態になる。
タンデム戦闘機に例えると右の人が火器管制、左の人が機を操縦する方とでもいえばいいのか

393名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:21:08
変身
元ネタライダーとちがい、右は肉体が残らないが現場に一緒にいなければならない。
まず右メンバーがメモリを起動、メモリが自己を宣言する。
左メンバーがメモリを機動、メモリが自己を宣言する。
右メンバーがズボンをずり下げ右鼠径部スロットにメモリを刺す、メモリが吸い込まれ、左メンバーの右スロット上にメモリが転送される。
左メンバーがズボンをずり下げ左鼠径部スロットにメモリを刺すと変身スタート。
元ネタと違い、半分こ怪人ではなく、色が右のメンバー由来のものになり、姿形が左メンバー由来となる。
9人全員が一緒にいるなら一度に最大4体(一人余り)のライダーができあがることになるのか。

例:左メンバー高橋、右メンバー新垣の場合、『ルミナス・ラフター』となる。

「いくよガキさん!」「まぁかせて愛ちゃん!」
『ルミナス!』『ラーフタァ!!!!』

個人名 自分のメモリを刺すスロット 挿す順番 変身後      鬼のデザイン
高橋  左             後から  体を動かす方   ライダーの形を決定する
新垣  右             先に   火器管制的な役割 ライダーの色を決定する

逆に新垣が中の人(左)のときは『ラフター・ルミナス』    
-------------------------------------------------------------------------------

394名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:24:31
本当に申し訳ない。すでにリゾナントスレの面影は無い。
あのライダーが始まった頃、衝動的に思いついてしまったのだ。
くだらなすぎて自分でも頭が痛い。

「サア貴方の罪を数えて!」

----ここまで2009〜2010年-----

395名無しリゾナント:2012/01/05(木) 06:30:36

>>390-394
以上、
ボツ規格 ■ 鬼面ライダーR (オーガライダー・リゾナント) ■
でした。


しかし、愛ちゃん、佐吉、ゆうかりんですでに立ち上がれぬほどの衝撃を受けたというのに
ガキさんまでとは…
かしましメイキングのガキさんのおへそに興奮していた日々が走馬灯のように…
せめて一年は発表せずに続けてほしかった

396名無しリゾナント:2012/01/05(木) 12:45:29
悪役が寺田家なわけね
本家のWでテラーを演じてたのが寺田農さんだったのでその辺の符号が面白いというか
ただ鬼というモチーフは響鬼もあったからなあ
結構真剣にタイガー&バニーにリゾナンターを当てはめたりしたことのある者にとっては、初夢として形になって欲しかったですがね
スマイレージはオリジナルの体制で続くと思ってたんだけどなw

397名無し募集中。。。:2012/01/06(金) 14:22:13
「さゆみんと田中っちの事、心配?」
「何や、がきさん。あーしの心でも読んだか?」
「いや、読まなくても愛ちゃんの事は顔を見ただけでわかるから。」

その日、喫茶リゾナントでは昼ごはんを食べに里沙が来ていた。

「まぁ、私もスパイの経験とかあるから潜入捜査のつらさはわかるよ。それに愛ちゃんも経験者だし。」
「うん、まぁ今回の潜入がそこまで過酷やないと思うけど、聖ちゃんたちもおるんやし。ただ・・・」
「ただ?」
「もしも・・・今回の事件の犯人があーしが潜入した時のやつと同一人物やったら・・・」

それは2年近く前にさかのぼる。

愛は警察機構との窓口となっている特務機関のKに依頼され、私立咲坂高校で起きた超能力関係の事件を潜入捜査することになった。

愛が潜入した数日後、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)を飛び級で卒業し、咲坂高校に転入してきた燈馬想という青年と知り合い、図らずも彼と一緒に身の回りで起きた事件を解決していった。
そしてそんな中、学園で事件を起こしている謎の存在にたどり着こうとした。

「もはやこの学校に用はない。」
「待て!逃がしてたまるか!」

不覚にも愛は一歩手前でその犯人をとらえるどころか自らが捕まり、犯人を取り逃がしてしまった。

398名無し募集中。。。:2012/01/06(金) 14:23:34
その事を思い出した愛は少し落ち込んだ表情をしている。
また里沙はそれを察した。

「あの時のことを悔いても仕方ないわ。美術教師として潜入していたまこっちも言ってたじゃない。あの状況じゃあ仕方ないって。そういえば、愛ちゃんはあの燈馬君とは仲良くしていたみたいだけど・・・」
「なぁ!何言ってるやざ!リゾナンターは恋愛禁止やよ!」
「まだ、私そんな事を言ってないじゃない。」

咲坂高校で行動を共にした燈馬想とは捜査が終了してから会ってはいないが、愛は特に気にしてはいないはずだが・・・

「とにかく、あーしの心配ごとはもしもあーしが2年前に取り逃がした奴が今回の一件に関わっているんやったら、油断ならんよ。」
「そうね、用心に越したことはないわ。そのためにも私たちでしっかりとしたバックアップをしないとね。」

399名無し募集中。。。:2012/01/06(金) 14:24:18
その頃、凰卵学院では・・・

「ここが凰卵学院か・・・まだ男女共学したばかりだから、男少ないだろうな。」

ひとりの眼鏡をかけた青年がとぼとぼした感じで学院の門をくぐった。
しかしあまりにもとぼとぼと歩いていたせいか前方不注意であった。

ドン!
「イタッ!」
「イテッ!」

すると青年の目の前にれいなが尻もちをついていた。

「気をつけると!なにぼぉーとしとると!」
「ごめん、ケガなかったか?」
「ふん、伊達に鍛えてなか!だけど・・・れ、いや二ーナに激突した責任はとってもらうと!」
「責任って!」
「二ーナの召使いになってもらうけん!」
「ええ!」

学院では愛の心配事以外にも心配事が増えそうであった。

400名無し募集中。。。:2012/01/06(金) 14:26:32
>>397-399
「学園潜入 高橋愛の不安」

どうもリゾクラ作者です。
がきさんショックから数日が経過、何とか心を落ち着かせています。
リゾスレの元気を取り戻すためにも長期予定シリーズの序章をあげておきます。
ちなみにさゆみん&れいなはドラマの役名で潜入しています。

401名無しリゾナント:2012/01/10(火) 21:26:55
>>397-400
行ってきました


上のボツネタも行ってきた方がいいのかな?

402名無し募集中。。。:2012/01/10(火) 21:34:27
代理投稿ありがとうございました。
いつの間にか新スレにあがっていたので驚きです。
ちなみに鬼面ライダーRはリゾクラ作者ではありませんので。

403名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:17:10
衣服を裂き皮膚を撫で肉を断つ感触。
血飛沫が舞い骨の軋む音。
それらの微細な感覚が鋼線を通じて里沙の指先に伝わってくる。

はずだった。

「え…?」

里沙は己の右手と眼を疑った。
手応えが、ない。
振り下ろした鋼線の先は無。
そこには空気以外の何物も存在しておらず、得物が獲物を捉えることはなかった。

一瞬、負った深手が視覚にまで影響を及ぼしたのかと思った。
だが違う。目に異常が生じたわけでも狙いを誤ったわけでもない。
そこに標的は“いなかった”のだ。
倒れ動けなくなっていたはずの亀井絵里。彼女はその場から忽然と姿を消した。

「やられた……」

頭をくしゃりと一掻き。里沙はこの大広間を見渡した。
ひびの入った壁。原型を留めない調度品。大量に散らばるなんらかの破片。
戦いの激しさを物語るには充分な光景だが、先程と比べて足りないものが一つある。
この現状を生んだのはそれだ。

武器を手にした里沙の前から人一人消える。否。消せる。
そんな芸当ができるのはこの場においてたった一人しか思い当たらなかった。

「…愛ちゃん……!」

高橋愛も姿を消していた。
恐らくはその力で亀井絵里を連れて。

404名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:17:45

がくり、膝が折れた。
脱力か安堵か、あるいは出血多量のせいか。
なんにせよ里沙は膝をつく。
張りつめていたものが解けていくような心地がした。

「なんで…そんな、勝手な……」

一度解けた感情は止まらない。
浮かんだ数多の「なぜ」と涙が堰を切ったように溢れ出す。

この十年という間を里沙は愛と共に生きてきた。
だから本当は、「なぜ」なんて思う必要はなかったのかもしれない。
愛の考えが里沙には手に取るようにわかった。
人には優しく甘過ぎて…だけど決して己には妥協を許さない彼女の心理。

愛は独りで幕を引きに行った。
里沙にその手を下させないために。
さらには仲間意識と職務意識の狭間で揺れ動く自分自身に引導を渡すために。

勝手過ぎる。
しかしそれが高橋愛という人間だった。

そしてこれが、新垣里沙という人間の姿。
誰より近くにいながら彼女のすることを止められない。
手を伸ばせばすぐなのに、手を伸ばしても届かない。
僅かながらも決定的な二人の実力差。この差がいつも里沙に悔しくもどかしい思いをさせる。
そんなにたくさん背負わせたくないのに。

405名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:18:17
「…っく……っ…」

恐らく愛は誰にも邪魔されない場所を選んだはずだ。里沙にはもう手が出せない。
その事実がまた悔しくて、もどかしくて。
ひどく視界が歪む。零れ落ちる。大粒。
滲み歪んだ里沙の世界にあって、確かな輪郭を保っているのは今や記憶だけだった。

「かめぇ…っ!…みんな……!」

亀井絵里。
ジュンジュン。
リンリン。
そして久住小春。

彼女たちの笑顔が、言葉が、思い出が。
浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。
まるで走馬灯のように。

「……大好きだったよ、守りたかったよ。……でも………………守れなかったね…」

悲痛と無念に染められる魂の叫び。
この広い空間に一人取り残され、咎める者も責める者もいないのに、里沙は声を抑えて秘かに泣いた。

406名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:18:53

―――――――――――――――――――


突然の風切り音がジュンジュンの体を貫いた。
いや突き刺さった。
予期せぬ背後からの一閃に防御も儘ならず、ジュンジュンはその場に崩れ落ちる。

「……あ?」

何が起きたかもわからず呆然としている。
場違いにも、さゆみはジュンジュンのその顔を可愛いと思った。

考えてみれば、彼女に面と向かって「可愛い」と言ったことは一度もなかった。
先輩としてか日本人としてか、はたまた自分の容姿にある程度の自信を持つ年頃の女性としてか。
妙なプライドが邪魔をして、さゆみは正直に彼女を褒めるということができなかった。
こうなる前に一度くらい言ってあげればよかったな。少し後悔をする。
今となってはもう、遅いのだけれど。


愛佳が時間を稼ごうとしているのはさゆみにもわかっていた。
それこそ先輩として、その頑張りを無駄にさせたくない。
敵二人のどちらかが隙を見せたらさゆみはいつでも向かっていくつもりでいた。
誰かに先を越されるなんて考えてもみなかった。

407名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:19:26
「そ、れ……見たこ…ない。田中さ……その武器、なぁに…?」

息も絶え絶えにジュンジュンが振り向いてれいなに問いかける。
れいなはうつ伏せから半身を起こした体勢のまま、まだそれを構えていた。
軽量化された小型のボウガン。
その発射口に矢はない。一発しか用意されていないそれはすでにジュンジュンの左の背中に刺さっている。

さゆみより早くれいなが動いたのだ。
れいなは自らがジュンジュンとリンリンの死角に入った機を逃さず、隠し持っていたボウガンを撃った。
勢いよく口外に飛び出した牙は迷うことなくジュンジュンの心臓付近を突き立てる。

予期せぬ速攻に驚かされたのはさゆみもだが、ジュンジュンにしてみれば思いがけないにも程があるだろう。
気を失っていると思っていたれいなに致命傷を負わされ、しかもそのれいながいつの間にか武器を持つようになっていたなんて。

「…れいなだって変わると」

武器に頼らず己の体技のみで戦うスタイルを採っていたれいな。
そんな彼女が方針転換をしたのは「リゾナンター」が五人になった頃。絵里たちが去ってからだ。
あの日かられいなはボウガンを使うようになった。
『確実に相手を仕留められる手段があったほうがいい』と。
時期はちょうどすれ違い、ジュンジュンが知らなかったのも無理はない。

れいなは徐に立ち上がった。

408名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:20:09
「もう甘い顔はせん。さゆと愛佳を…れいなの仲間を傷つける奴は、ただじゃおかん」

言葉の迫力とは裏腹の静穏な口調。
怒りに震えているようにも感情を抑えつけているようにも見えない。
淡々と言葉が紡がれていく。

あの日から裏でどんな葛藤があったのかさゆみは知らない。
知らないが、彼女の立ち居振る舞いが大きく変化していく様をずっと傍で感じていた。


物腰が柔らかくなった。
一歩引いて全体のことを考えられるようになった。
人に話しかけることが増えた。
反抗的な態度が減った。
以前よりも物事に寛容になった。
少し、優しくなった。


失う痛みを知って今あるものを愛しんでいるのだろうと述べた人物もいた。
しかし、さゆみは。

れいなは全ての敵意を外に向けることにした。だからその分だけ内が穏やかになった。
“これ以上自分から何かを奪おうとする者は容赦しない”。彼女の背中がそう叫んでいるように思えてならなかった。

409名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:21:02

「…その、武器……かっ、こ…いね。これか、らも……使、うの…?」

血塗られた微笑は苦しげな息を吐く。
ジュンジュンは理解しているようだった。満足しているようだった。
己の運命を。
彼女の顔には、失せた殺気や生気の代わりに充足と寂寞の念が拡がっている。

「使っ…て、ほし…な。それがジュンジュン…こ、殺したの、ず…っと、忘、れな…よ…に」

一筋の涙が彼女の頬を伝う。
焦点の定まらない瞳が虚空を見上げた。

「忘れんよ。絶対に忘れん」
「言うだけじゃ……嫌だよぉ…!お願…っい……………」

途切れる。

項垂れる。

よろめく。

横倒れる。

ジュンジュンは動かなくなった。
もう笑うことも話すことも聞くことも歌うことも走ることも食べることも立つことも嘆くことも怒ることも泣くこともない。
彼女は逝った。
“忘れないで”。最期にその一言を残して。

410名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:22:18
誰もその場を動かない。動けない。
ただじっとその亡骸を見つめ、立ち尽くす。
もしかしたら、もしかしたら何事もなかったかのように起き上がるのではないかと。
待っているのかもしれない。
だが本当は皆わかっているはずだった。


賽はとうに投げられた。終わりの始まりは半ばを過ぎた。亀裂の修復は不可能だった。
やり直しのきく段階はとっくに過ぎている。
だけどそれでも。今なら。まだ。
心のどこか深い部分に燻っていた想い。

『戻ろうと思えば戻れるんじゃないのか?』

だけどやっぱり。今となっては。もう。
心の奥に忍ばせていた祈るような想いは露と消えた。
賽の目は開かれた。終わりの始まりは終わった。亀裂は完全に断裂した。
もう元には戻れない。二度と。

時計の針は“今”しか刻めない。
過去に巻き戻すことも未来に早送りすることも叶わないなら、今を生きるしかないのだ。

さゆみは決意を固めた。
目を閉じ集中し、未だ脈打つ痛覚を遮断する。
やるべきことは一つ。
全員の視線がジュンジュンの亡骸に注がれているのを確認し、さゆみはそっと床に手を這わせた。

なぜだか無性に、絵里に会いたくなった。

411名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:24:25
>>403-410

「confrontAtion ―反鳴―」の続きです
ここまでが今話の前半です
後日上げる後半とセットで一話になります

*******
お手数ですがどなたかお暇な時お願いします

412名無しリゾナント:2012/01/23(月) 11:25:35
夜半の方が良かったんでしょうが上げれるうちに上げておこうと思ったのでただいま上げてきました

413名無しリゾナント:2012/01/23(月) 20:29:24
代理投稿とリンクの提示、誠にありがとうございました
昼夜は特に気にしませんのでw

414名無しリゾナント:2012/01/25(水) 16:19:49
これだけ卒業と加入が頻発すると9期もいつかは卒業するんだなって考えてしまう
将来成長した二人が再び戦ったら、どっちが勝つんだろう?
http://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up21423.png

ノノ ゜ v゜) <エ゛エエエリイイイイナアアアアア!!!!!
|||9|゜_ゝ゜) <リ゛ィイイイイイイホォオオオオオオオオ!!!!


ノノ ゜ v゜) <キライだった!キライだった!キライだった!キライだった!!!
|||9|゜_ゝ゜) <信じてた!信じてた!信じてた!信じてたのに!リホォオオオオオオ!!


ノノ ‘ v‘) <それでもいつも目で追ってた。気づくと衣梨奈をみていたよ。
|||9|‘_ゝ‘) <知っとったっちゃ。嫌われとうの知っとったっちゃ。それでもエリは里保のことが好きっちゃん


  ドサァッ

415名無しリゾナント:2012/01/25(水) 16:21:39
>>414
代理投稿願います
こんな短くても水遁とかorz

416名無しリゾナント:2012/01/25(水) 18:00:15
行ってきた
何かバキみたいw

417414:2012/01/26(木) 16:18:02
>>416
どうもありがとうございました

418名無し募集中。。。:2012/01/28(土) 21:56:28
どうもリゾクラ作者です。スレがどうなるか不明なので学園潜入はここに投稿の方向にします。

今週投稿予定の作品はまた後日に

419名無しリゾナント:2012/02/01(水) 18:07:49
 ■ シーデマンデッド −岡守時秀− ■

都内某所、高層マンションの一室、虎刈りにチョビヒゲの男が一人。
いや、一人ではない。男の後ろ、いつの間にか一人の女が壁に寄り掛かっている。
「元気そうっすね…でも、そうやって人の部屋勝手に入るの悪い癖っすよ"姐さん"」
「忘れてへんやろな?」
「なんすか?」
「アンタ、自分の仕事忘れてへんやろなっていうてんの」
「やだなぁ姐さん。
何度も言ってるけど、俺、別に組織の人間ってわけでも、組織に雇われてるわけでもないんすよ。
あくまで趣味でやってるだけなんすから。
それに報告は上げてるじゃないすか。ちゃあんとやってますよオレ」
「あんなペラッペラの作文、報告とは言わんわ」
「そんで、姐さん自らお説教ですか」
男が椅子に座ったまま、くるりと振り向く。
「見れば見るほどぶっさいくな顔やな」
「マジすか?オレ割と気にいってんすけどねコレ。」
「顔も声もしゃべりかたも、なにからなにまでぶっさいくになっとるやん。前の…」
「前のオレのがよかったすか?姐さん意外と面食いっすよねw」
「だまれドアホ」
「冗談っすよー更年期っすか?勘弁してくださいよ」
「マジこのハゲ」
「…殺しますか?俺を…"俺たち"を…そうしてくれるんなら…」

420名無しリゾナント:2012/02/01(水) 18:08:47
―そうしてくれるなら―

長い…沈黙

「…すまん…」
「なーんすか?いいんすよもーマジになっちゃって。
長い付き合いじゃないすかぁやめましょうよそういうの。」
「…せやな…」
「もー意外と姐さんかわいいとこあんだからなー。パンツ盗んじゃおっかなもー…
…え?どん滑りですか今の?」
「なぁ…もしかして…情が移ったんか?あの子たちに」
「またもーなにいってんすか。ただの趣味ですよ趣味。知ってるっしょ?
単なるストーカーっすよオレ。
ただ若い子が好きなだけですよ。情とかそういうんじゃないっすから。」

「わかっとるとおもうがあの子らは…」

「…ま…いい子ではありますよ、四人とも。
楽しいですよ、見てて…
素直で、やんちゃで、とびきり危険で…
『あの頃の』姐さん達ほどじゃないですけどね」

「…」

「心配しなくても大丈夫っすよ。関係ないっす。あのお姫様たちが死のうと生きようと」

…うそやん…

…明日香のとき…アンタは…あんなに…あんなに必死に…

「え?なんすか?」
「…なんでもないわボケ」
「オレ、姐さんの描く未来図、結構気に入ってんすから…付き合いますよ、最後まで。」
「あたりまえや。いまさら嫌やゆうても最後までやってもらうわ。」
「そうそう。やっぱそうじゃないとね姐さんは。」

421名無しリゾナント:2012/02/01(水) 18:10:27
>>419-420

■ シーデマンデッド −岡守時秀− ■
でした

422名無しリゾナント:2012/02/01(水) 19:18:29
転載させてもらいましたよ
ブランクがある所為か2レス目が行数オーバーになったので分割させてもらいました

423名無しリゾナント:2012/02/02(木) 01:56:20
いつでも構いません。どなたかお願いいたします。
タイミングが図りきれずこの時期に投下します。

懐かしい感じ?
愛佳リアル怪我ネタなので苦手な方は回避
9期10期は出ません

424名無しリゾナント:2012/02/02(木) 01:57:06

違和感のある左足を知らず知らずのうちに庇っていたらしい。
歩き方がおかしかったようだ。

愛に、どうしたんや?とその足を指摘され気がついた。

「なんか痛いような痺れるような変な感じなんです」

日が経てば治るだろうと思っていた。寝ているうちに打ったとか、軽く捻ったとか。
行儀が悪いとは思ったが、靴と靴下を脱ぎ椅子の上で三角座りをして弁解しながら、違和感のある左の踵あたりを撫でた。

「見た目ではどうもないんですけどね」

愛が調理場から出てきて愛佳の隣の席へ腰を下ろす。
そして愛佳が乗っている椅子を自分と向かい合うように引っ張り動かした。
反動で愛佳の身体が揺れる、支えるために思わず愛の肩を掴んだ。

「腫れてる、とかではないんやの」

愛の手が愛佳の足を柔らかく掴み、違和感があると訴えるその場所を撫でた。

425名無しリゾナント:2012/02/02(木) 01:58:55

「感覚はあるんか?」

踵の輪郭を愛の指先がなぞる。
確かに、触られている。愛佳は頷いた。

「1回さゆに見てもらえばよかとやん。もうすぐ来るっちゃろ」

夕方に向けて材料の仕込み中だろうか。
れいなの手元は小刻みに動き、まな板と包丁が当たる小気味のいい音を響かせていた。

「いやいや、きっと明日には治ってると思いますし」
「またそうやって無理するー。いつから変な感じだったのさ」

カウンター席にいたはずの里沙がいつの間にか愛佳の向かいに腰を下ろしていた。

いつから、そういわれると結構長いかも。
思い返したがさすがにそれを口にすることは出来ず、一昨日くらいですかね、と言おうとした矢先

「結構長いこと変なんやと」

愛がちょっと怒ったような口調で言い、愛佳の頭をスコンと叩いた。
読まれた!!

「読まれた、ちゃうが。アホ」

再び落ちるげんこつ。
目の前で暴力事件が起こっているにもかかわらず、里沙は止めるどころかニヤついた表情で愛佳を見つめている。

426名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:00:05

「みついが叱られてるなんてめずらしーねぇ」
「いけー!愛ちゃんもっと叱ったれー!」

ガヤが入る。どういうことだ。なんて薄情な先輩たちだ

「ホンマにあんたは。もっと自分のこと大切にせんとアカンやろ」

愛佳は3度目のげんこつに備えて頭を両手で守った。
だが次に降って来たのは温かな掌で。頭を守る腕を柔らかく撫でられる。
恐る恐る視線を上げると、怒ったような呆れたようなそれなのに優しくも見える、そんな表情をした愛と目が合った。

「もうすぐ来るさけ、さゆにみてもらい」
「でも」
「でもやない」

滅多に聞かないドスの聞いた声で愛佳は怯んだ。素直になるしかないのか。

「…はーい」

俯いて返事した頭にポン、と掌を乗せられる。そのあとぐしゃぐしゃに撫でてから愛は席を立った。
その瞬間を見計らったかのようにカウベルが鳴り、リゾナントの扉が開けられる。

「おあよーさゆ。ちょっと愛佳みたって」
「こんにちはの方が正しいけどね、愛ちゃん。てゆーか、突然意味わかんないよ」
「わー!ガキさんが愛佳ちゃんの前にいるー!もしかして叱られてんの愛佳ちゃん」
「ちょっとカメ。あたしが前にいると叱ってるってそれどーゆーことよ」

さゆみと絵里が連れたって現れた。
検査入院から帰ってきた絵里は楽しいものを見つけたかのようなキラキラした目をしていた。

427名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:00:54

「―――なるほどね。それではさゆみ先生が診てあげましょう」

愛から事情を聞いたさゆみが愛佳の隣に腰を下ろす。椅子に乗せられた左足に手のひらで触れた。

「さゆみせんせーって響き、なんかヤらしいよね」
「そんな事思うのはカメだけだと思うけど」

里沙の隣に座った絵里が肩を揺らす。そんな様子を気にすることなくさゆみは愛佳の左足に意識を集中させた。
足に触れるさゆみの手から淡いピンク色の光が放たれる。

「改めて見るとなんか不思議っちゃねー」

相変わらず手を動かしながらもさゆみの能力に力を足していたれいなが声を上げる。
考えてみればこうしてさゆみの能力をまじまじと見るのは珍しいことだった。
いつも戦闘で傷ついている時か、切羽詰っている時が多い。

428名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:01:54

「…うーん、どうだろ。」

光が消える。さゆみは首をかしげながら愛佳の足を撫でた。

「ちょっと歩いてみて」
「はい」

そっと足を床につける。右足で一歩、そして左足。2度ほど同じ動作を繰り返す。

「アカンな。やっぱ歩き方いがんどる」
「目に見える傷じゃないからむずかしいの」
「びょーいんですね」
「病院いきっちゃね」
「今日中に連れて行くからね」
「保険証もっとるか?」
「はい、愛佳ちゃんのお財布の中に確認しましたー」
「ちょっと亀井さん勝手に出さんでくださいよ!」
「さ、みついー靴下と靴はくー」
「絵里の行ってる病院でも大丈夫なんか?」
「いけますよー。整形外科ありますから」
「愛佳ちゃん大人しく準備するしかないの」
「なんか愛佳がこんな状況…ウケるんっちゃけど」

がやがやと騒ぎながらも愛佳の病院行きの準備は滞りなく整った。

「仕方ないから絵里ちゃんが付いていってあげるよ」

何故か嬉しそうに絵里が愛佳の腕に絡みつく。

「行くで」
「はーい」
「…行ってきます」

愛佳の珍しくぶーたれた声のあと、3人は黄色の光に包まれ消えた。

429名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:03:05

「よくよく考えると、あたし達の能力って便利だよね」

里沙の呟きにさゆみとれいなが頷いたその時、二人を送り届けた愛が戻ってきた。

「ほんっとに便利だわ」
「ん?」
「なんでもない。愛ちゃんカフェオレおかわり」
「はいよー。さゆはなんか飲む?」
「抹茶オーレ!」
「最近そればっかりやね。ほな、2人戻ってくるまでティータイム。れーなも休憩しよ」
「そうやね。れーなはモカがいいと」

430名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:04:02

空がオレンジ色に染まった頃、絵里は本日2度目となる病院からリゾナントへの道を歩いていた。
暢気に鼻歌なんかを歌っている。手にはボストンバッグではなく、車椅子のハンドルを握っていた。

「すんません、亀井さん」

愛佳が申し訳なさそうに首だけで振り向く。足には白く分厚いギプスが巻かれていた。
車椅子にちょこんと座る愛佳。本当は松葉杖でもよかったのだが『付き添いの保護者』として絵里が断固拒否した。
『愛佳ちゃんは無理しちゃう性格なんで、マシになるまで松葉杖を与えないでください。
 絶対使いませんよ、ケンケンとかしますよ、この子。だから車椅子にしてください』
いつの間に精神感応を覚えたんだ。思わず絵里を見上げた時、彼女の口角は得意気に上がっていた。


「疲労骨折だなんて絵里初めて聞いたよ。ぽきって折れるだけが骨折じゃないんだねー。」
「愛佳も初めて聞きました。こういうのも骨折なんですね」
「じゃぁ愛佳ちゃんは左足ばっかり疲労させてたってことなの?」
「いや、よーわからんけどそれは違うと思いますよ」

絵里と喋りながら愛佳はきょろきょろと辺りを見回す。目線の高さが変わるだけで、こんなにも景色が違って見えるのか。
見慣れた道に新しい発見。そして、少しの不安。この道を一人で車椅子を漕ぎながら行き来しなければいけないと思うとぞっとした。

「はーい、とうちゃーく。みんなびっくりしちゃうだろうね」

カウベルがちりりん、と鳴った。絵里がリゾナントの扉を開けるより早くそこが開き、二人は一瞬動きを止めた。

431名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:04:39

「オカエリなさい」

出迎えてくれたのはジュンジュンだった。絵里が愛佳の乗った車椅子を押して店内に入る。
仕事終わりで来てくれたのだろう。そこにはリンリンと小春の姿もあった。
予想以上に大事になってしまった。愛佳は情けないような困ったようなそんな表情を浮かべた。

「二人が歩いてるトコロ見えたデスから。みっつぃさん、タイヘンな事になりましたネ…」

リンリンがテーブル席の椅子をひとつ引き出し、窓際に移動させてくれた。そこに愛佳の乗った車椅子が納まる。

「疲労骨折、だって」

車椅子のブレーキをかけながら絵里が言う。

「疲労骨折?左足ばっかり疲労させてたの?」

ついさっきどこかで聞いたような小春の言葉に、愛佳と絵里は顔を見合わせた。

「そういうわけやないと思うんですけど。とりあえず、全治8週間って言われました」

絵里が愛佳のカバンから診断書を出し、テーブルの上に広げた。
『左距骨疲労骨折』医者の達筆な手書き文字に一同は眉間に皺を寄せた。読めそうで、読めない。


「8週間って…2ヶ月くらいってことだよね?」

いち、にい、とカウンターにおいてある小さなカレンダーで8週間を数えながら里沙が言う。
愛佳は改めて聞く『8週間』に溜息を漏らした。

432名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:05:21

「どうしよ…」

めったに聞くことはない、愛佳の口から出た弱音。呆然と診断書を見つめたまま動かない。
怪我の具合は思っていたより深刻だった。ガチガチに固められた左足。歩くことを許さない車椅子。
自宅で普段どおりの生活は到底出来そうにない。そして協力してくれる家族も、いない。

「2ヶ月くらい、ここにおったらええよ愛佳」
「え?」

愛が愛佳の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。重い空気を吹き飛ばすかのように、白い歯を見せて笑う。

「あーしの部屋一人くらい泊めれるスペースあるし、ちゃんと布団もあるし家にいるより…安心できるやろ?」
「そやけど…」
「つべこべ言わんと泊まったらええっちゃん。この家の持ち主がゆうとぉけん」
「絵里がここに来て病院に付き添えばいいし、いい考えなの」
「ま、たまには甘えなさいってこと。」
「ジュンジュンみっつぃさんおんぶして階段あがれるゾ」
「オー!ジュンジュンさすが力持ちデース!」
「いーなぁー絵里ちゃんもおんぶしてー」
「小春も小春もー!」
「こーらー!二人とも!ジュンジュンまで怪我しちゃったらどうするの!」

はしゃぐ声を後ろに聞きながらも、愛佳は顔を上げることができなかった。
無意識のうちに親指の爪を噛んでいる。愛佳が思いつめている時の癖だ。

433名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:06:16

「ホンマにアンタは…」

小さく漏らしながら、愛がその手を柔らかく掴む。
腰を落とし、車椅子の愛佳と視線を合わせた。

「たまには素直に甘え。こんな足で、愛佳ひとりで生活するなんて無理やろが
 なんのためにあーしらが居るんや。もっともっと、頼ってくれたらええが。甘えてくれたらええが」

咎められているわけではない。それでも強い口調で言われた言葉に愛佳の目頭が熱くなり、ぶわっと涙が溢れた。

「不安やったんやろ?わかっとるから。あーしら迷惑やなんてこれっぽっちも思わんで…大事な大事な家族やさけ」


甘えるのが人一倍下手くそな愛佳がたまらなく愛おしかった。
助けてほしいときに助けてと、素直に言える子だったら、彼女はもう少し幸せに生きていたかもしれない。

頬を流れる涙を、愛は乱暴に掌でぬぐってやった。
里沙の手が頭に乗せられて髪の毛をぐしゃぐしゃと混ぜられる。

「さ、みっついさん。新しいお部屋に行きますデスよ」

車椅子の正面にしゃがむジュンジュン。

「早く乗らないと絵里が乗っちゃうよ」
「やーだー小春がのるぅ!」
「アハハ!みっついさんサンドイッチになっちゃいマス!」
「れな上で愛佳の場所つくって待っとーけんね」

434名無しリゾナント:2012/02/02(木) 02:07:46
愛に背中を押され、愛佳はゆっくりと腰を上げた。そしてジュンジュンの背中に体を預ける。

「立ちますヨ?」

しっかりと体を支えられて体が浮く。

「…ありがと、ジュンジュン」
「うん!」

あまりに大きくて温かい背中に愛佳は頬を押し付ける。
後からたくさんのメンバーにサポートされながら階段を上がった。
クッションやらブランケットやらが敷き詰められたソファー
れいなが即席で作ってくれた『愛佳の場所』
ジュンジュンがその上にゆっくりと愛佳をおろす。

「ふわふわっちゃろ。どうすればいいか分からんやったけど、なんかええ感じやない?」

ニヒっと笑うれいなに愛佳もつられて笑った。
その顔に口元を緩める仲間達。

「暫くの間、よろしくお願いします」

律儀に頭を下げる愛佳の小さな体を、8人が取り合うように押し合うように優しく大きく包み込んだ。



「おかえり。愛佳」


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