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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

403名無しリゾナント:2012/01/22(日) 22:17:10
衣服を裂き皮膚を撫で肉を断つ感触。
血飛沫が舞い骨の軋む音。
それらの微細な感覚が鋼線を通じて里沙の指先に伝わってくる。

はずだった。

「え…?」

里沙は己の右手と眼を疑った。
手応えが、ない。
振り下ろした鋼線の先は無。
そこには空気以外の何物も存在しておらず、得物が獲物を捉えることはなかった。

一瞬、負った深手が視覚にまで影響を及ぼしたのかと思った。
だが違う。目に異常が生じたわけでも狙いを誤ったわけでもない。
そこに標的は“いなかった”のだ。
倒れ動けなくなっていたはずの亀井絵里。彼女はその場から忽然と姿を消した。

「やられた……」

頭をくしゃりと一掻き。里沙はこの大広間を見渡した。
ひびの入った壁。原型を留めない調度品。大量に散らばるなんらかの破片。
戦いの激しさを物語るには充分な光景だが、先程と比べて足りないものが一つある。
この現状を生んだのはそれだ。

武器を手にした里沙の前から人一人消える。否。消せる。
そんな芸当ができるのはこの場においてたった一人しか思い当たらなかった。

「…愛ちゃん……!」

高橋愛も姿を消していた。
恐らくはその力で亀井絵里を連れて。


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