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【大正冒険奇譚TRPGその6】
1
:
名無しさん
:2013/09/02(月) 21:38:31
ジャンル:和風ファンタジー
コンセプト:時代、新旧、東西、科学と魔法の境目を冒険しよう
期間(目安):クエスト制
GM:あり
決定リール:原則なし。話の展開を早めたい時などは相談の上で
○日ルール:あり(4日)
版権・越境:なし
敵役参加:あり(事前に相談して下さったら嬉しいです)
避難所の有無:あり
備考:科学も魔法も、剣も銃も、東洋も西洋も、人も妖魔も、基本なんでもあり
でもあまりに近代的だったりするのは勘弁よ
2
:
◇u0B9N1GAnE :
:2013/09/02(月) 21:39:45
「おいお前、さっきの突きはなかなか鋭かったぞ。
だが俺には遠く及ばないな!いいか、手本を見せてやる――」
ダーが膝を曲げ、深く重心を落とす。
――君達は、決して油断をしてはならない。
彼は酷く自惚れの強い人間だが、それは卓越した才があるからこそだ。
ダーが地を蹴る。
強烈な風圧と共に、彼は瞬きの間に君達の眼前にまで肉薄した。
位置取りは己とマリーの間に鳥居を挟むように――理想的な多対一の位置取り。
「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
大地を慄かせる激甚な震脚、体重の全てを打点に乗せる精緻な体幹の捻転。
猛烈な勢いを秘めた靠撃が君達へと襲いかかる。
鳥居が足を浮かさせる事すら出来なかったほどの重量だ。
まともに受ければ骨は砕け、臓腑を著しく傷める事になるだろう。
【鳥居が投げ飛ばせないほど重くなったり、マリーの突きを躱せるほど身軽になったり
急速な接近からの体当たり攻撃です
威力は二人をまとめて吹っ飛ばして、戦闘不能にするくらい余裕なレベルです】
3
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 21:40:34
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を与えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
優しいアカネに、強い意志をもつマリー。鳥居は彼女たちに幻想を抱いている。
自分の母親に対して思う幻想を重ねている。だがそれは幻想であって真実ではない。
そう、鳥居は人間を美しく装飾してみているのだ。
4
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 21:40:56
でも目の前のこの男は…。
びくともしなかった。鳥居は完全にダーを甘くみていた。
この男は、頼光とは違う。そんな後悔をしても遅かった。
相撲を挑んで組んでみたものの、ダーの身体は恐ろしいほどに重い。
それに鳥居の能力を分析する思考力。
(この男、強いです…。でも負けられないのです)
自分の心の中の幻を守るために鳥居は戦っている。
マリーたちとの絆は生まれつつある、そう信じているだけで孤独がほんの少しまぎれることも事実。
(もう仕方ありません。炎の神気で作った俵を更に炎上させて、
そのあと円の中心に収束させ、僕ごと彼を燃やします。
僕は彼に潰されてしまうかもですが、もしかしたら炎の神気の操作を上手くできるかもしれないし…)
そう思った瞬間だった。マリーの刺突。木の葉のように宙に舞う巨体。
目の前の光景に鳥居は目を疑った。なんとマリーの短剣のうえにダーが立っている。
改めて鳥居は驚愕する。鳥居を上回る力。マリーの突きをかわす速さ。無駄のない身のこなし。
しかし、鳥居は諦めない。彼はマリーたちを守ると言っている。そこに隙があると思考する。
>「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!貴方なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずーーーっとかっこいいです!」
ダーを見つめながら意識を集中する。そしてジト目でアカネに視線を移す。それは水の術の催促のしるし。
次の瞬間、周囲の炎の円が激しく燃え出し、ダー、マリー、鳥居の三人を土俵の中央とした炎の壁を作りあげる。
それは炎の神気の遠隔操作だった。作り出されたのは、まさに背炎の陣。
ダーがそのまま体当たりを慣行すれば、吹き飛ばされたマリーも鳥居も焼け死んでしまう。
でもそんなことできる?そんな一か八かの鳥居の挑発とハッタリだった。
【ダー君がどんな動きをみせようとも、鳥居はマリーの盾となってダー君を両手で受け止めようとします】
5
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:41:26
【行動判定】
>>4
>「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!貴方なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずーーーっとかっこいいです!」
「――あぁ?」
短い言葉、冷酷な響き――深い怒りを宿した眼光が君を見下ろす。
同時にダーの挙動が変わった。
上体を激しく捻転、右脚を軸に左足で円を描く。
体当たりに乗せる筈だった勢いの全てを回転力に変換。僅か一瞬の体捌き。
そして腕を振り上げ――回転と遠心力、そして重力を乗せて振り下ろす。
上半身を一つの巨大な鎚のごとく扱う、劈掛掌の技巧。
その威力は、武の達人であるダーが術の補助と共に行えば、岩をも容易く砕くほどに絶大だ。
――たった一撃であったとしても、だ。
「ぬわぁあああああああああにが守るだ!せっこい真似しやがってよぉ!」
鉄槌をも凌ぐ重打撃が、豪雨もかくやに降り注ぐ。
劈掛掌の打撃は円の動き。
故に一撃一撃が、次の打撃への予備動作となる。
その結果生み出されるのは――絶え間なく続く重連撃。
「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
ダーの連撃は恐ろしいほど重く、そして速かった。
だが――何故だろうか。
ほんの僅かにではあるが、彼の速さが鈍っていた。
勿論速いには速いのだが、最初に見せた目にも留まらぬ高速移動ほどではない。
その違いは本当に軽微だ。
しかし大事なのは『速さの落ち具合』ではない。
『一体何故、ダーの速さが落ちているのか』だ。
【挑発にマジギレ。体当たりに使う筈だった勢いを全て打撃に乗せて鳥居君を集中攻撃
なんか微妙にだけど速度が落ちているような?】
6
:
ブルー・マーリン ◇Iny/TRXDyU
:2013/09/02(月) 21:48:54
>「見事な手前……だが、無駄だよ。檻から逃れんとした者の行く先は――更に窮屈な檻の中だ」
「どんな窮屈な檻であっても、俺は絶対にそこを抜けだすさ!」
と、強気で言うが
(コイツはちとヤベぇな…体の動きを制限させてやろうと思ったが外れたか…チッ!)
>「それで……その銃。私はそういう物には疎いのだがね……さっき『何発』撃ったかな?
次に弾を込めるまでには『何秒』かかる?」
「応えるわけにゃあいかねぇな!」
ニヤリと笑いながら言う
>「他に、何か聞きたい事はないかね?答えられる限り、答えよう。話せる事はなんでも話そう」
「じゃあこれから死ぬかもしれない男に冥土の土産に教えてくれよ!」
内心、死ぬつもりはないがね、と思いながら言う
「アンタ…何歳だ?好みの女性のタイプは?童貞か?家族はいるのか?
親友は?心は?目的は?これから俺達を殺す時に慈悲はないのか?なんで俺達を殺そうとして迷ってやがんだ!!」
それは、くだらない、本当に下らないマシンガンのような質問ばかりであった
「アンタの目的は果たされたのか!!?」
だが、ブルーは本気でこれを知りたいと思っていた、特に最後のは…
>「本当に、そこにいて大丈夫かね?」
「ちぃいっ!」
そこから一気にジャンプしてその場を離れ、超人的な速さの駆け足で倉橋達の元へ向う
目的はただ一つ、なにかを恐れている男のやる気を出させるためだ
>「お、お、お前なんぞこれで十分よ!いけ!吸精蔓!」
「てめぇっ!」
と、武者小路の前まで来ると
「歯をくいしばれ!」
そのままの勢いで武者小路の頬を殴る
吹き飛ばされる武者小路、しかし吹き飛ばされる前にその武者小路を掴む
「なにを恐れているが知らない!俺はてめぇのように魔術やら妖術はつかえねぇ!
てめぇの身に何が起こっているかも知らん!だがよぉ!
今殴られた時、痛いか?苦しかったか?悔しかったか!?」
と、ゆさぶりながら聞く
7
:
ブルー・マーリン ◇Iny/TRXDyU
:2013/09/02(月) 21:49:24
「てめぇはなぁにを迷っている!
前みてぇな勢いはどうした!?怖いのか?
あのツァイが怖いのか?何が怖いんだ?その力か?
てめぇの腹の中や魂に巣くうその力が怖いのか!?」
「てめぇは!妖術師で男だろ!」
と、言うと同時に武者小路の『男の勲章』を服の上から鷲掴みにする
「痛いか?痛いよなぁ?痛いに決まってるよなぁ!?」
苦痛に歪む武者小路の顔
「だったらまだいい!痛いという事が感じられるのならばっ!
それは人である意外にない!」
ここまで一分以下の時間である!
そしてパッと手を放す
「ふん、女に頼られる男、でなく女に頼る男…か…
足は引っ張るなよ?…ん?なんだその目は?悔しいのか?
こんなにボロクソ言われてもなんも言い返さないのか?悔しくないのか?
そうかそうか、お前は結局、『男』ではないのだな?」
と、今度は挑発すると
「クソの役にも立たないならその辺に隠れてろ!この役立たず!」
彼は、ブルーは、武者小路に何が起こっているのかは大方わかっているのだ
だから彼は武者小路を怒らせる事をした。
力を使うたびに自分がなくなる?ならば力を使いながら自分を増やせばいい。
窮鼠猫をかむ、今の状態は窮鼠虎をかむ、追いつめてやれ、力に飲み込まれるなら逆に飲んでしまえ。
手に余る力などない、どんな力も、意思が、とてつもない意思があれば、握り込むことは可能なのだ
「さぁてツァイ?さっき何秒で弾込めが終わるのかと聞いたな?
やっぱ教えてやろう、それは『1秒以下』だ…」
言い終わらないうちに銃に目にもとまらぬスピードで弾を込めると同時に走り出す
(…魔力かぁ、いい思い出全っ然ないんだよなぁ…。
でも、使えるっちゃ使えるのかな…)
【武者小路さんに説得(物理他)】
【足の裏に微量な魔力を込め始める、でもよく見ると魔力の込め方が下手すぎて足の裏に塗られる前に拡散してたりする】
8
:
双篠マリー ◇Fg9X4/q2G.
:2013/09/02(月) 21:50:04
ダーの人間性は最低だ。
だが、決して軽んじていい相手ではない。
この地獄絵図の中、まともに動けない人間を平然と連れ回せ
尚且つ、まだ他者を守ろうとする余裕もある。
だからこそ、万全の手を打った。
まずは鳥居とダーの勝負、もしダーがジャンのような人間だったのなら
マリーは鳥居が勝負を仕掛けるのを止めたが、敢えて黙っていた。
ダーの性格から鑑みて、きっと鳥居のことを見かけだけで判断し油断すると読んだからだ。
予想通り、ダーは完全に油断しきっている。
ウェイトの差はあるだろうが、大人を投げ飛ばせるほどの腕力がある鳥居ならば
互角に組み合い、押し切れる可能性がある。
それを確実なものにするために、あかねの目潰しで視界を潰し動きを止める。
これで完全に押し切れるはずだった。
ダーは鳥居の突進を受けていても微動だにしていない。
加えて、その態勢のまま鳥居に講釈をするほどに余裕も見せている。
そして、そのままダーは鳥居の頭に手をのせる。
その瞬間、脳裏を過ぎったのは先ほど指一本で屍人の首を折った様だ。
おそらくは今、ダーはソレをやっているのだろう。
だが、手加減からなのか、それとも、鳥居が頑丈なのか、まだ鳥居は何かに耐えられているようだ
そうなるとダーも相手がただの人間では無いと分かったのか
更に力を加えようと構える。
その瞬間、マリーは動いた。
今、ダーの意識は完全に鳥居へ向けられている。
自信はあった、幾人もの悪人をこのタイミングで狩っていた経験が裏付けている。
「(このまま脳天にブッ刺してやる)」
マリーは思い切り、短剣を突き出した。
9
:
双篠マリー ◇Fg9X4/q2G.
:2013/09/02(月) 21:50:22
だが、しかし、確実な手応えをマリーは感じることが出来なかった。
マリーは自身の目を疑った。
いかにも鈍重そうな男が、刺突を交わすだけではなく、その短剣の上に立っているのだから
「煩い!自分が満足したいが為に他者を犠牲にするお前がその言葉を使うな!」
ダーを振り落とそうとしたが、その前にダーが飛び上がり、間合いから離れる。
ダーが着地した瞬間、先程までの身軽さが嘘に思えてくるほどの重い着地音と振動を感じる。
「(失念していた。そうだ、この男は結界ごと破ろうとしていた
つまるところ、この男もジャンと同じように術を使うことが出来るということ)」
ダーの一挙一動に気をつけながら、マリーは考える。
今までの奴の動きから察するに重力を増減させる能力と考えてみていいのか
屍人の首を折ったり、岩のようにビクともしなかったのは自身を重くしたから
逆に、自身を軽くしたからこそ、あんな真似が出来た訳か
だが、ダーの能力がどのようなものか、分かっても現状の打破は難しい
何故ならば…
「速い」
ジャンとは違い、ダンの能力は一度発動してしまえば後は、つまみを回すように
重力を調整すればいいだけの状態に加え、その調整も特別な動きを要さない為
それを読むことが出来ないからだ。
そして、現にマリーは為す術無く眼前への接近を許してしまった。
体重を軽くすることで急激な加速を可能にし、その勢いを殺すことなく
打撃の威力に加え、自身を重くすることで破壊力を増させる。
破壊力の方程式を最大限に利用した攻撃は正しく圧倒的な破壊力を有する。
それが確実に迫って来る中、鳥居が咄嗟に放った挑発がダーの怒りを買った。
マリーの身を容易く砕く一撃は、全て鳥居へ向けられる。
そして、次々と重たい一撃が鳥居へ降り注ぐ中、マリーは何もできず立ち尽くしていた。
確かに今ダーの意識は鳥居へ向けられ、隙を突くことが出来る
しかし、そうしても結果は先程と変わらないはずだ。
ならば、どうする?
ギリギリまでダーの動きを見る…とにかく、今はそれだけしかない。
見れば見るほどダーの動きはムダがない。
このまま接近戦を続けても勝ち目は薄いだろう。
と、ここでマリーが異変に気がつく
猛攻を続けるダーの動きが、なんとなくではあるが、見え始めていることに気がついた。
ダーの動きに目が追いついた訳ではない。
ダーの動きが少しずつではあるが落ちていくのが見える。
「(疲れか…それとも何か別の理由があるのだろうか
考えろ、今現在ここにあって、さっきまでなかったのは)」
【ダーが遅くなっている原因は今の環境にあると思って、原因を考える】
10
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:50:51
>「ふっざけんなくそじじい!!どうせ肝心な事は答えないくせによおおお!!」
ツァイは何も答えない。ただ目を細めるのみだ。
ただそれだけの所作が、何よりも雄弁に肯定の意を語っている。
>「アンタ…何歳だ?好みの女性のタイプは?童貞か?家族はいるのか?
親友は?心は?目的は?これから俺達を殺す時に慈悲はないのか?なんで俺達を殺そうとして迷ってやがんだ!!」
続くブルーの問い――ツァイの表情は変わらない。
>「アンタの目的は果たされたのか!!?」
だが最後の一声だけは違った。
彼の眼が見開かれ、眼光の色が変わる――絶対に君達を殺すのだという、苛烈な敵意の色。
即ち、彼の目的はまだ、果たされてはいない。
>「大体よお!こっちとら遥々海を越えてお前らの国を助けに来た救国英雄だぞ!
それが来てみたら訳の分からねえ死体にまみれているわ!会う奴会う奴襲ってくるわでよぉ!
な ん で 助けに来た俺たちを襲うんだこの野郎!
悪いのはこの呪災起こした奴だろうがよ!
それとも何か!?俺たちを殺したらなんかいい事あんのか?ああ!?
そしてそれは――君達を殺す事で、果たされるのだろう。
>「あんたたち!迂闊に動くんじゃないよ!
あの喰えない御仁、私達が詰所の家捜しをしてる間に、空き地のそこらじゅうに鉄杭を仕込んでる筈だ。
私達は罠だらけの檻の中に閉じ込められてるって事だよ!
移動する時は、地面によく注意するんだ!
結界の『線』を『面』に起こすまでには、数秒の誤差がある。気付けば避けられない間じゃない!」
冬宇子が叫ぶ。彼女はとても聡い。それに冷静だ。
忠告があったとは言え、既にツァイの術の性質と戦況を理解している。
だが――何の問題もない。
例え種が割れていようとも、避ける事は能わない。
彼は己の結界術に多大な自負を持っていた。
>「物騒なことしやがって!どうしてもこの頼光様の武勇伝を増やしてぇようだなぁ!」
>「このくそじじぃが!おめーの結界術は種を見せすぎだ!
どこにどれだけ仕込んでいるかは知らねえけどよぉお!虱潰しにして全部抜いてやっ……」
そう、例え彼が何をしようと、ツァイにはそれを上回る自信がある。
剣印を握り、頼光を睨む。
再度の銃撃に備えて結界の防壁は展開したままだ。
>「――――――いけない!!!」
>「あ、う……ぬ……」
しかし――何も来ない。
拍子を外す為の見せかけと言った風でもない。
>「お、お、お前なんぞこれで十分よ!いけ!吸精蔓!」
結局、放たれたのはお茶を濁すような木行の術。
何をするまでもなく、それは結界壁に裁断された。
被害はまるで無かった。が、いまいち釈然としない。
11
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:51:20
>「てめぇっ!」
そうして訝しんでいると――ブルーが叫び、地を蹴った。
隙を突くつもりだろうか。
だが、ツァイは動作一つ意志一つで結界を追加展開出来る。
そこに足運びを加えれば、彼に接近する事など――
>「歯をくいしばれ!」
――そう叫びながら、ブルーは頼光を殴りつけた。
予想外の出来事にツァイは僅かに目を剥き――しかし、これは好機だ。
問いに答えるとは確かに言ったが、仲間割れを始め、隙だらけの所を見過ごすまでの義理はない。
彼は剣印を二人へと突きつけて――
>「聞きたいことはないか――冥土の土産をくれるってのかい?
ふと、視界の外から声が聞こえた。倉橋冬宇子の声だ。
絶妙な間だった。この問いに答えを返すまでは、ブルー達を殺す訳にはいかない。
それは自分が立てた誓い――贖罪に反する事だ。
>冥土の土産ってなァ、殺される者に真実を伝えてやろうってぇ、せめてもの慈悲だろう?
>この期に及んで言えない事があるなんて、あんまりじゃないのかい?」
彼女の言う事は、至極もっともだ。
>「その男も言っていたように、何故私らが殺されなきゃならないのか?
それくらいは教えとくれよ!
訳も判らずに死んだんじゃあ、成仏なんかできゃしない。」
――前触れもなく、風が吹いた。
結界に包まれた詰所の敷地内に、風が。
>「ツァイ・ジン――!あんたは一流の術士だ。
生憎と私は、補助符が無けりゃ五行の術も満足に使えない三流以下でね。
敵いっこないってこたァ分かってる。
あんたが、どうあっても私を殺すってなら、きっと死ぬことになるんだろうさ。
それでも、私は知りたいんだよ!この国に何が起こっているのか。真実を。」
ツァイの口元が微かに動く。
風は、まだ止まない。
>「私らに呪災の淵源を探られちゃ、都合の悪いことでもあるってのかい?
ええ?亡国士団の旦那?
捨て駒だったあんたらが、何故中央に戻れたのかねえ?!それも呪災の直前に!」
>「ねえ!答えとくれよ!
あんたは『私らが誰なのか。何のためのここに呼ばれたのか』知っているのかい?」
「……いいや、知らないな。私には答えられんよ」
拒絶的な回答――だが、まるきり無意味でもない。
私には答えられない――それはつまり彼以外に、冬宇子の問いの答えを知る者がいる。
彼よりも立場が上の者が。そういう事だ。
無意識に零れた失言といった風でもない――彼なりの、せめてもの答えなのだろう。
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