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仮投下スレ

1偽ひろゆき★:2012/09/25(火) 02:28:45 ID:???0
仮投下スレです
ちょっと不安……とか冒険しました! なSSは一度ここに通しておくといいかもしれません。

353 ◆i7XcZU0oTM:2013/11/20(水) 23:17:42 ID:vgpbOQzo0


【C-3とC-2の境目付近/一日目・朝】
【内藤ホライゾン@AA】
[状態]:健康、絶望感、クマーに対する強い恐怖と敵対心、少しばかりの希望
[装備]:木刀@現実
[道具]:Tさんの基本支給品一式、注射器@現実、ハロゲンヒーター@AA、ドーピングコンソメスープ@魔人探偵脳噛ネウロ
[思考・状況]
基本:生き残り、Tさんの父に謝る
1:クマーは必ず倒す
2:少し休憩したら、街の真ん中の方へ向かう
3:ドーピングコンソメスープを使う……?
※彼自身のデイパックは依然どこかに放置されています。

【八尺様@オカルト】
[状態]:健康、深い悲しみと後悔
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、エルメスの基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、モナーの銅像@FLASHゲーム「密室船」、釣り竿@現実、3ゲットロボ@AA
[思考・状況]
基本: ぽっぽぽ……
1:“悲しみ”を少しでも減らす

【3ゲットロボ@AA】
[状態]:支給品、異常無し
[思考・状況]
基本:持ち主の命令に従う。内藤ホライゾン、八尺様に同行。









(あんな事を言うとは、私らしくもない……)

 歩きながら、私は先程の事に考えを巡らせる。




『私を助けてくれて、ありがとう』




(こんなセリフを言おうとは……まあ、感謝はしていましたがね)

 それを言葉にして出すとは、私も随分と変わったことをするものだ。
 だけれど、たまにはこういうのも良いでしょう。

(さて……竹安はどこにいるのか……)

 まだまだ、私は死なない。
 まだ、死ぬには早い。



【C-3とC-2の境目/1日目・朝】
【髪の子ファヌソ@ゲームサロン】
[状態]:肩に痛み、疲労感(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、お医者さんカバン(3/5)@ドラえもん、ヘリコプター@現実
    12.7mm弾×25、25mm弾×5
[思考・状況]
基本:気まぐれに行動する
1:竹安を探し出して保護する
2:ひろゆきをゆくゆくは地獄に落とす
3:手に入れた弾薬は、相応しい仔羊に与える
4:『裏ワザ』(死体やヘリをデイパックに収納できること)を誰かにひけらかしたい

※神通力が制限されています。自分が生み出したものが損傷を受けると、ファヌソにもダメージが及びます。
 竹安の装備が損傷を受けた際のダメージの程度については次以降の書き手の方にお任せします。

※ファヌソが立ち寄った小さな公園の中に、弾薬箱とわさび@オラサイトが放置されています。
 ファヌソが入手した物以外にも弾薬はあるようですが、種類と量は不明です。
※デイパックに参加者の亡骸を入れて持ち運べることを知りました。生者にそれが適応するかは次の書き手の方にお任せします。

354 ◆i7XcZU0oTM:2013/11/20(水) 23:18:15 ID:vgpbOQzo0
仮投下終了です
指摘点などあれば指摘お願い致します

355ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/11/20(水) 23:40:15 ID:hPZZd9GA0
仮投下お疲れ様です! 問題無いと思いますよ〜

356 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:26:12 ID:cKg5QjWc0
予約分を仮投下いたします

357 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:26:43 ID:cKg5QjWc0


 太陽は、既に天高く上っている。
 だが、照英一行の雰囲気は、まるでそこだけ影の中に入っているが如く暗い。
 ……数時間前の出来事の時点で、少なからず心に影は差していた。
 それに追い討ちをかけてしまったのが、定時更新だった。
 そこに名前が載っている事実が、そんな心に追い討ちをかける形となってしまったのだ。
 ……だが、それと同じように気まずい空気が漂っているところもあった。

(やっぱり、まだまだこの2人の間には、わだかまりが……)

 そう、T-72神と801の姐さんの間に……。
 幾度と無く、照英が間をとりなそうとしたのだが、どうにも上手く行かず。
 結果、今の時間までこの微妙な空気が続いているのだ。

(……いつまでも、このままじゃいけない。でも、どうすれば)

 焦れば焦る程、思考は絡まってしまう。
 それでは駄目だ、落ちついて1つづつ解いて行けば、必ず答えは出る。
 ……そう、分かっていても。
 不安が焦りを生んで、育ててしまうのだ。

(時が、解決してくれる……のを、待つ訳にもいかない)

 これが日常の一幕であったなら、その選択をするのも1つの手。
 だが、その手は…………使えない。
 いつ襲われ、いつ命を落とすかわからないこの状況で、"時が解決する"のを待つ事は、できない。

(僕が……どうにか……)

 そんな照英の悩みをよそに、801の姐さん達は道を進んで行く。
 ……どちらも、もしかしたら。
 一歩踏み出すだけで、元に戻れるのかもしれない。
 だけれど、その一歩は。果てしなく、大きい。

「……照英さん、PDAに反応が……」

 黙っていた801の姐さんが、唐突に口を開き、PDAを指差す。
 ……確かに、参加者の存在を現す光点が、前方に1つある。
 今の探知機の走査範囲は……約50メートルほど。
 光点は……少し離れた位置にある。実際の距離にすれば、30メートル程度。

「他の道を通ってるんだ」
「今も動いてる。このまま進んでいくと、僕らに遭遇しますよ」
(……一応私の後ろへ……)
「いや、予想以上に早いです! もうすぐそこに――――」

358 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:27:05 ID:cKg5QjWc0





「……あ、照英さんじゃないですか。奇遇ですねぇ」





 出て来たのは――――禁断の味に、魅せられてしまった男だった。










 数分程度、時は戻る。


「アシハモウダイタイイイカンジダロ……デモナァ……(足の怪我ももう随分と良くなったな……だが、まだ……)」

 素早く、存在を気取られないように。
 グンマーは、市街地を進む。
 ……1時間ほどの休養を挟んだ後に、グンマーはとりあえず東に向かっていた。
 負傷していた足の具合も、先程までに比べれば十分なほど回復していた。
 だが、それでも万全な状態からは程遠かった。
 現に、現在のグンマーの走行速度は、普段の半分も無い。

「トットトナオレッテノ……ジャネェト、マジデヤレナイダロ……」
(もう少し早く傷が治ってくれれば……でなければ、全力を出せない……)

 依然走り続けながら、グンマーは一人愚痴をこぼす。

「カンガエテミリャア、オレッテイママデダレモタオシテネェシ。イイトコマデイッタコトハアッタケドナ」
(考えてみれば、今まで誰も倒していないな。あと一歩の所まで行った事はあったが)

 そう呟いて、グンマーは今まで遭遇した相手を思い出す。

359 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:27:20 ID:cKg5QjWc0


 ――――最初に遭遇した2人組。
 ――――建物で不意打ちしてきた奴。
 ――――自身をとっ捕まえた集団。


 ……どれもこれも、本気でいけば、倒せたかもしれない相手たち。
 だが、そのチャンスを、ことごとく逃してしまった。

「モウチットマジメニヤレヨ、オレ……(もう少し、真剣にならないと……)」

 こんなことでは、とても村を守る戦士にはなれない。
 むしろ、このままでは守られる側になってもおかしくはない。

「……ヤッテヤル、ヤッテヤルゾォ!」









「あなたは……川越さん。まさか、あなたもここに連れてこられていたなんて……」
「ええ、散々ですよ」

 そう言って、川越さんはいつも浮かべている笑顔のまま、肩を竦める。
 ……目が、全く笑っていないように見えるのは僕の気のせいだろうか?
 恐る恐る、僕は川越さんに尋ねた。

「……お一人ですか?」
「ええ……何度か、人に出会ったのですが、同行はしてませんね。……僕の料理の素晴らしさを、
 理解してくれませんでしたから、する必要もないでしょう」

 心底残念そうに語る川越さん。
 ……どこかで、料理をしていたらしい。
 この状況では、確かに分かって貰えないかもしれない。
 ……嫌が応でも人を疑ってしまうような、ここでは……。

「その人達は、今どこに?」
「知りませんよ」

 ……言葉の後に、興味なんかない、と続いてもおかしくない口ぶり。
 僕の知る川越さんは、こんな人だっただろうか?
 それとも、この状況に長く置かれていたせいで、変わってしまったのだろうか……。

360 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:27:36 ID:cKg5QjWc0

「ねぇ、照英さん……この人、何か変じゃない……?」

 小声で、お姐さんが僕に訊いてくる。
 お姐さんも、僕と同じような事を感じていたようだ。
 ……今の川越さんは、どこかおかしいような気がする。
 コクリと小さく頷いて、お姐さんの意見に同調する。

「ところで、今は何を?」
「あぁ……今は、料理に使う食材を探していたんですよ」
「食材?」
「えぇ……とびきり美味しいものを、ね」

 ……僕は、ここであることに気がついた。
 さっきから、川越さんが僕の体をじろじろと観察している。
 一体、何のためにそんなことを?

「……なら、百貨店に向かえばいいんじゃないですか?」
「いえいえ、僕の求める味は、そんな所じゃあ手に入りませんよ」
「じゃあ、どこで……」

 僕がその言葉を言い終わるか終わらないか、その瞬間。
 ――――川越さんの目の色が、変わった。


「はあッ!」
「うわっ!?」


 シュッ、と風を切る音と共に……僕の着ていた服の胸元が、一文字に切り裂かれた。

「照英さんッ!」
『照英ッ!』

 T-72神とお姐さんの声が、ほぼ同時に聞こえてきた。
 その声など意にも介さない様子で、川越さんは僕に刃物を向ける。
 ……川越さんの握っていたものは、包丁だったようだ。
 こんな、料理人の命を武器に使うなんて!

361 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:27:55 ID:cKg5QjWc0

「……お姐さんは下がって! T-72神、お姐さんを中に入れてあげて下さい!」

 お姐さんは拳銃を持っているけれど、使い慣れないものを無理に使ったら、どうなるか分からない。
 それに……もし、戦うようなことになれば、僕が戦うと決めたんだ。
 だからこそ、とりあえずは安全だと思うT-72神の中に入るように言ったんだ。
 そうすれば、もし僕に何かあっても、お姐さん達は助かる。

(……分かりました)
「でも、照英さんはどうするの!?」
「……とにかく、川越さんをどうにかしないと! さあ、早く!!」

 横目でお姐さんが中に入るのを確認してから、僕は再び川越さんと相対する。
 ……川越さんが、どうしてこんな事をするのかは分からない。
 でも、このまま川越さんを放っておくのは、あまりにも危険すぎる!

「どうして、こんな事を!?」
「……ついさっき言ったばかりじゃないですか。僕は今、"食材"を探してるって」

 食材?それと、襲い掛かってきた事になんの関係があるのだろう。

「それとこれと、何の関係があるんです!」
「何度言わせるんですか? ――――食材探しです。調理するには、まず〆なきゃ駄目ですからね」
「……!! ま、さか」

 この川越さんの一言で、一体何を使用としているのかが、分かってしまった。
 ……まさか、まさか。




 川越さんは、人を、調理しようとしているのか?





「あの素晴らしい味、食感、舌触り……一度味わえば、やみつきですよ。あれ以上に美味しい物、存在しませんよ。
 僕の料理で殺し合いを止めるには、あの味が不可欠なんですよ。ですから……」

362 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:28:06 ID:cKg5QjWc0
「――――何を考えてるんですか、あなたは!!」

 ……気がつけば、僕の口から、怒号が飛び出していた。
 川越さんは……人として、越えてはならないラインを越えている。
 この状況でどうにかなったにしろ、そうじゃないにしろ……赦されることじゃない。
 しかも、川越さんの口ぶりから察するに、既に一度――――。

「……うぷっ……」


 不意に、酸っぱい物がこみあげてくる。
 その不快感に耐え切れず、僕はこみあげて来たものを地面へと吐き出した。


「うえ……っ」
「照英さんも随分と失礼ですね。人の話を聞いておいて吐くなんて……まあ、いいでしょう。それよりも、
 そろそろカタを付けないといけませんね。下準備の必要もありますから……」

 頭がクラクラする。
 川越さんの言っている事が、理解できない。
 ……いや、"理解したくない"と言った方が、正確かもしれない。
 とにかく、今の川越さんは、おかしい。こんな状況でさえ、いつもの笑顔を崩していない。
 だけど、目だけは違った。
 "狂気"と形容するのが正しいくらいに、ギラギラと……輝いている。

「さぁ、大人しくしてください。暴れられても――――困りますからねッ!!」
「くぅッ!!」

 キィン、と鉄同士がぶつかり合う音が辺りに響く。
 ……恐るべき速度で振るわれる包丁を、僕はただ金属バットで防ぐことしかできない。
 そんな僕の様子を嘲笑うかの様に、川越さんは攻撃を続ける。

「どうしたんです照英さん、その程度ですか?」

 じわじわと、僕の体に細かい切り傷が刻まれて行く。
 ……どうして、この期に及んで僕は、川越さんを攻撃できないんだろうか?
 川越さんを、傷つけてしまうのを、恐れているから?
 今現在、命を狙われているのに、どうして僕は……。
 僕は、守らなければならないんだ。
 自分を、お姐さんを、T-72神を……。
 その為に、僕がやらなければならない事は。
 川越さんを――――。

「……うおおぉぉぉぉッ!」

363 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:28:22 ID:cKg5QjWc0

 攻撃が少し緩んだ隙を突いて、僕は。
 手に持った金属バットを……川越さんの腕を目掛けて、思いっきり振った。
 当たった瞬間、まるで、時が止まったかのような感覚がした後に。




 言葉にしたくない感覚が、金属バットを通して、手に伝わってきた。




「――――ッッ!!」

 当たった部分を押さえ、地面をのたうち回る川越さん。
 ……攻撃の当たった右腕は、あらぬ方向に曲がっている。
 おそらく……骨が折れたか、砕けたかしているだろう。

「……今の内に、逃げましょう!!」
(分かりました!)

 とにかく、今は……逃げよう。
 無我夢中でT-72神に乗り込んで、僕達はここから逃げ出した……。









「うぐ、ぐぁ……腕、がぁ……」

 激しい眩暈で、立ち上がることもできない。
 今まで体験した事のない痛みが、川越の痛覚を休み無しに刺激する。
 その度に、気絶しそうになるのをグッと堪え、川越はなんとか意識を繋いでいた。
 ……そうしなければ、何があるか分からない。
 それは、川越も重々承知の上だった。
 だからこそ、立ち上がって安全な場所へ逃げなければならない。
 この状態では、とても"食材"を探しに行ける状況ではない。
 ――――川越が、常人であったなら。

364 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:28:37 ID:cKg5QjWc0

(この程度で……諦めて、なるものか……!)

 普通なら、当の昔に気絶していてもおかしくない。
 だが、川越は……"執念"で、意識を繋ぎ止めていた。
 全ては、自分の料理で殺し合いを止める為に。
 そのために人を殺めようとした、矛盾した意思のために。

「……ヤレヤレ、ノコッタノハイカレタヤツダケカヨ(……やれやれ、残ったのはおかしな奴だけか)」

 気がつけば、大柄の男――――グンマーが、川越の傍に来ていた。
 ついていない、と言った表情で、川越を見下ろしている。
 今の今まで乱入するタイミングを伺っていたのだが、丁度行動しようとした時に……。
 ……照英が、逃げ出したのだ。

「……今度は、ずいぶんと筋肉質ですねぇ……」
「ソノウエ、シニゾコナイトキテヤガル……マア、ラクショーダナ。ラッキー」
(その上、手負いと来ている……まあ、幸運と言う事にしておこう)

 川越へ、ゆっくりと銃口が向けられる。
 そんな状況でも、川越は動揺しない。
 むしろ、先程と同じ"目"に……。

「……ッ!!」
「ナッ……!」


 一瞬の出来事だった。
 突然起き上がった川越は、迷う事なく……。
 ――――グンマーの指に、齧りついた。
 眼をギラギラと輝かせながら、グンマーの指を――――。

365 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:28:51 ID:cKg5QjWc0





「ア゙アァァッ!?(ぐあァァッ!?)」
「少々硬いですが、まあ、下ごしらえすればなんとかなるでしょう」





 ……ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ。
 わざと、咀嚼音を立てながら、川越はグンマーの指を咀嚼する。


「……だが、他の肉には無い旨味がある! これはぜひとも――――」
「シニ、ヤガレェェェェェェェッ!!」

366 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:29:08 ID:cKg5QjWc0















 川越の台詞は、銃声によって遮られた。












【川越達也@ニュー速VIP 死亡】










367 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:29:27 ID:cKg5QjWc0





(今、銃声がしました)
「……どっちからしましたか?」
(先程まで、私達がいた方向です)

 そうですか、とそっけない返事を返して、またうつむく照英。

「照英さん……」
「……僕は……」

 あの状況ではやむを得なかった。
 自分を、同行者を守るためにはしかたなかった。
 例えそうだったとしても、照英が川越を負傷させたのは事実……。



(僕のやっていることは……正しいのだろうか……)



 襲われたから、応戦した。当然のことだ。
 だが、それでも。
 人を直接傷つけると言う事は、想像以上に恐ろしい事だ。
 ましてや、今までそんな経験のなかった人間が急に経験すれば、ショックも大きい。

(……分からない……何も)




 心にかかる影は、さらに濃くなっていく。




【D-3/1日目・午前】
【801の姐さん@801】
[状態]:健康、深い悲しみ
[装備]:グロック17(16/17)
[道具]:基本支給品×2、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ドクオのPDA(参加者位置探知機能搭載)、出刃包丁@現実
     アイスピック@現実、うまい棒@現実、不明支給品×2(801の姐さん視点で役に立ちそうに無い物)
[思考・状況]
基本:生き残って同人誌を描く
1:……
2:照英さん……この気持ちは一体なんだろう? まさか恋?

【照英@ニュー速VIP】
[状態]:健康、使命感、悲しみ、上半身に複数の切り傷
[装備]:金属バット@現実
[道具]:基本支給品×2、PDA(忍法帖【Lv=00】)、首輪×2、麻雀牌@現実、出刃包丁@現実
     冷蔵庫とスク水@ニュー速VIP、サーフボード@寺生まれのTさん、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合う気は無い。皆で生きて帰る
1:自分のやっている事は、正しいのだろうか……
2:801の姐さんとT-72神を仲直りさせないと……
3:いざ闘うとなると、やっていける自信がない……けど、やるしかない

【T-72神@軍事】
[状態]:装甲の一部にヘコミ、燃料消費(残り約85%)、カリスマ全開、悲しみ
[装備]:125ミリ2A46M滑空砲(0/45)、12.7ミリNSVT重機関銃(0/50)
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、煙幕弾@現実×3、親のダイヤの結婚指輪のネックレス@ネトゲ実況
[思考・状況]
基本:人民の敵たるひろゆきを粛清し、殺し合いを粉砕する
1:手に入れた首輪を解析しましょう
2:私は、保護対象を守れなかった……
3:弾が欲しい……
※制限により、主砲の威力と装甲の防御力が通常のT-72と同レベルにまで下がっています。
※制限により、砲弾及び銃弾は没収されました。

※ドクオのデイパックは801の姐さんが、麦茶ばあちゃんのデイパックは照英がそれぞれ回収しました
※スーパーの鮮魚コーナー作業所から出刃包丁を2本回収しました 801の姐さんと照英が1本ずつ持っています
※801の姐さんの恋心は現時点では一方的なものです

368 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:29:40 ID:cKg5QjWc0









「ハァ、ハァ……クソッタレガ(はぁ、はぁ……何てことだ)」

 血の滴る手を押さえ、苦悶の表情を浮かべるグンマー。
 ……噛み千切られた部分は、衣服の一部を裂いて応急処置がなされている。
 だが、それでも出血はジワジワと続いている。

「アンニャロー、ヨケイナコトシヤガッテ……(あの男、余計な事をしてくれた……)」

 肩で息をしながら、グンマーは近くの壁に寄り掛かる。
 ……例えグンマーと言えど、痛みは感じるのだ。

「アシガヨクナッタカトオモエバ、コンドハ、テカヨォ……カンベンシテクレヨ……」
(足が回復したかと思いきや、今度は手、か……これ以上は勘弁してほしいな……)

 フラフラと、グンマーはまた歩き出す。
 ……左手の傷の、まともな手当てが出来る場所を求めて。



【D-3/一日目・午前】
【グンマー@まちBBS】
[状態]:健康、首筋に血を吸われた痕、足負傷(中程度・回復中)、左手指欠損(応急処置済み)
[装備]:熱光学迷彩服(所々破れている)@攻殻機動隊、サイガ12(7/8)@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=01】)、洗顔クリーム、予備マガジン
[思考・状況]
基本:優勝して、村を守る戦士になる
1:指のまともな治療が出来る場所を探す
2:頃合いを見て、戦場に赴く
※チハが喋ることを半信半疑に思っています
※やる夫を自分と同様に成人の儀を受けているグンマー出身者だと思っています

369 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/02(月) 23:30:14 ID:cKg5QjWc0
仮投下終了です
指摘すべき点やおかしな点があれば指摘お願いいたします

370ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/12/03(火) 00:09:00 ID:jZrNmRIo0
仮投下お疲れ様です!
今回はちょっと指摘点なんですけども

>「……ヤッテヤル、ヤッテヤルゾォ!」
この部分にも翻訳文があったほうがいいと思います。
あと、照英の嘔吐する部分ですが、吐くにしては要因がちょっと弱いかなぁと。
その他は特に問題無いと思います。

371 ◆i7XcZU0oTM:2013/12/05(木) 23:13:25 ID:GLSMoPTs0
指摘点を修正して、本スレに投下いたしました。
指摘ありがとうございました。

372ちょww和田がNANASHIに!?ww:2014/10/07(火) 23:33:35 ID:fZ/JrTGM0
はじめまして。
髪の子ファヌソ、ブロンドさんを投下します。
タイトルは「大神と3匹の子羊」です。

373◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:34:29 ID:fZ/JrTGM0
「これはまずいことになりましね…」
深刻な表情を浮かべそう言うファヌソは焦っていた。
さきほどの青年が、お医者さんカバンを使用してくれたおかげで一命は取り留めた。
しかしファヌソは自身の体の異変を感じていた。
神通力で自身をスキャンして細部まで確認した結果、ファヌソは詳細を理解した。
外傷は癒えたが全身から神通力そのものが失われていっている。
急激にではないが、常温に置かれた氷の塊がじわじわと溶け出すように、少しずつ神通力は失われていった。
おそらく竹安の装備が大きく破損するか消滅するような事態が起きたのではないかとファヌソが推理する。
それが原因で神通力そのものの根底の部分に致命的な損傷を受けた。
そして、このまま放置すれば自分は消滅する。
神族である彼にとって、神通力の源泉は魂そのものであり、それが傷付くことは生命に関わる緊急事態だった。
この状況を打開する方法が一つだけあった。
神通力ではなく、肉と血の力で生命を維持する存在になる。
つまり神格を捨てて生身の人間になることだった。

ファヌソは手強いローグ型ダンジョンRPGをプレイしているときのように頭をフル回転させて考えを巡らせていた。あまり時間はない。
今のうちに何かできることはないのだろうかと。
どうせ消えてしまう神通力だ。これを使って今後の展開を有利にするには…
「名案が浮かびました!同僚の神々の力を借りればよいではありませんか!」
そもそも自分が力を思うように使えないのは、この忌々しい首輪のせいだ。
ならば外部に助けを求めて彼らの力を借りれば良いだけの話だった。
本来であれば相手の都合などお構いなしに強制召喚して参戦させてやりたいのだが、神を召喚するには神通力がまったくと言って良いほど足りない。
そこで手紙を送ることにした。向こうからこちらに来る分には自分の神通力が不足していてもまったく問題はなかった。
神通力を使えば手紙の10通や20通、次元の壁を超えてでも発送可能だった。
さっそく手紙を送る。
返事はすぐに帰ってきた。
他の神々曰く。

元祖神「新作ゲームプレイ中。だめだめ( `・ω・´)ノシ」

紙様「事務用品A4普通紙の生産が急ピッチ。行けそうにない。ごめん」

武田徹夜神「101回目のプロポーズ リメイク版の主演俳優になった。忙しいから無理」

をーでぃん「斬鉄剣とグングニル修理中。また今度」

「…はぁ」
ファヌソはため息をつきながら返信されてきた誠意のかけらもない手紙をまとめてビリビリと破り捨てた。
「自宅のゲーム機が全部煙を吐きながら爆発してしまいなさい」
憎しみを込めてファヌソが他の神々を呪った。

374◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:35:43 ID:fZ/JrTGM0
他に頼れる者がいないか、ファヌソが思案する。
「仕方ない子羊で我慢しますか」
ファヌソは神通力で召喚の印を結び、魔法陣を空中に描く。
すると空間に亀裂が入りそこから子羊たちが1匹、2匹、3匹と召喚される。
眠いときに眺めて数えたりしたら、そのまま眠ってしまいそうな光景だった。
「ん?ここはどこ?さっきまで自宅でテレビゲームをしていたのに」
「僕、徹夜でレベル上げしてて、ちょうど寝てたのに…誰こんな朝早くから?」
「来ましたね、子羊たちよ」
ファヌソが声をかけると、彼の存在に気が付いた3匹の子羊たちがファヌソに挨拶をする。
「あ、髪様!お疲れ様です!」
「あの〜僕たち今日は何で羊の姿なのでしょうか〜?」
「神通力節約のためです」
「はあ」
ファヌソが神通力をケチって負荷の少ない方法で子羊を召喚したため、彼らは本当に雲のような羊毛に覆われた羊の姿だった。
だが人間だった頃の名残りが、全員二足歩行をしている。
彼らはファヌソが在中しているスレで、懺悔する側の子羊たちだった。
子羊たちが懺悔し神々が裁くというのが、懺悔するスレの基本的な流れだ。
「では早速懺悔しますね。ええと海外の暴力ゲームで…」
「いえ、今日は懺悔と裁きはお休みです。実は、今私は面倒なことに巻き込まれていましてね。そこで貴方たちの助力を得るために貴方たちを召喚したわけです」
「面倒なことって何ですか?」
「実はかくかくしかじかの事情で…」
ファヌソはかいつまんで、殺し合いに巻き込まれてしまい戦力増強のため子羊たちを召喚したことを彼らに簡単に説明した。
「そんなことになっていたのですか。ひろゆきって野郎、許せませんね」
「ひろゆきに髪様の裁きを下しましょう」
「それがいいと思います。殺っちゃいましょう、髪様」
「話が早くて助かります。私もそうしようと考えていたのですよ」
そしてファヌソは召喚した子羊に命令を行う。
「では、ひろゆきを地獄へ落とすために私に貴方たちの力を貸しなさい。いいですね?」
ファヌソがそう言うと、子羊たちは足をそろえビシッ!と敬礼し次々に返事を返す。
「わかりました!僕たち全身全霊、粉骨砕身の覚悟で髪様を支援いたします!」
「僕たち、いつも髪様にお世話になっている身です。今度は僕たちが髪様をお助けしてみせます!」
「僕たちを髪様の目標達成のための尖兵として使役してください!」
実はファヌソは見た目弱そうな彼らを見て内心あまり当てにはできないだろうと感じていたが、なけなしの神通力を消耗してまで召喚した子羊をタダで返すのも惜しいという思惑と、それにこれから危険な戦いが待っている、多少弱くても仲間は不可欠だと考えた。
言葉には出さないが、そういった打算もあった。
「よしよし、良い心がけです。頼りにしていますよ」
「「「はっ!おまかせください!」」」
3匹の子羊の声がはもる。
いつも面倒を見てあげた子羊たちが、ファヌソの援助要請を快く受け入れる。
まさに子羊の恩返しだ。
私の人望(神望?)をもってすればこんなものである、私の人徳(神徳?)による彼らとの絆はとても深いのだとファヌソは内心自己陶酔していた。

375◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:36:09 ID:fZ/JrTGM0
「さて、とりあえず仲間の頭数はそろいましたか…次に準備するのは…」
ファヌソの計画は神通力を失う前に、可能なかぎり次の戦いの準備をすることだった。
ゲーマーとしての経験がファヌソに告げる。今のうちに仲間、装備、消耗品をなるべく充実させておくべきだと。
どうせあと数十分で失ってしまう神通力だ。今ここで惜しまずにガンガン使ってしまうべきだと。
「武器や防具に始まり、薬草、毒消し草、聖水、あとMP回復アイテムと状態異常回復アイテムも…」
綿密な計画を立てるファヌソに対し子羊たちは呑気に雑談を始める。
「そうは言ったものの、僕たちって何をすればいいんだろう?」
「何もしなくても大丈夫なんじゃね?髪様の後ろに黙ってついて行くだけで良いよね?」
「そうそう、だって髪様がジゴスパークやアルテマ、メテオ連打して、無双すれば全部問題解決じゃん」
「もしくは核ミサイルを1ダースくらい召喚して黒幕ごと消し炭にして一掃っていうのもありだよね?」
「じゃあ次の回で最終回だよね?僕たちすぐお家に帰れるよね?」
小声のヒソヒソ話ではあったが、神の聴力を持つファヌソには丸聞こえだった。
普通の人間には聞き取れないような小さな音でも聞き逃すことはない。
「ああ、そうそう。いま私はそういった大掛かりな力は使うことができないので、期待しないでくださいね」
「え?どういうことですか?」
理不尽な殺し合いに巻き込まれたことは話したが、自分の能力の事を話し忘れたファヌソは子羊に大まかに説明することにする。
「この首輪のせいで不本意ながらフルパワーで力を使えません。しかも神通力の使い方を間違えて、神格を捨てて、さらに力をセーブする必要があるのです。これから先は強さ的には普通の人間と大して変わらなくなってしまいます。まったく参りましたよ」
「じゃあ、髪様って相当弱体化しているのですか?」
「残念ですがそうなりますね。ですから生き残るには貴方たちの力を借りなければなりません。頼みますよ」
その言葉を聞いた子羊達は互いにアイコンタクトを交わして、最後にコクリと頷くとファヌソに向かってニコリとほほ笑んで言葉を放つ。
「ざ…」
「ザ?」
”ザ”から始まる言葉でゲーム脳のファヌソの頭に真っ先に浮かんだのはジオン軍の最下級モビルスーツだったりしていた。
だが子羊らから帰った答えは
「「「ざまあああああああっ!」」」
「!」
ざまあみろと言う意味の言葉である。
もちろん誠意もクソもあったものではない。

376◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:36:48 ID:fZ/JrTGM0
「日頃の行いが悪いから、こんな目に合っているんだ!自業自得だ!ざまあ見ろ!」
「なんで僕たちが命がけで、こんなヤバいゲームに付き合わなくちゃいけないんだ!冗談じゃない!」
「お前がどうなろうが僕たちには一切関係ないね!死ぬならお前一人で死ね!」
次々と口から暴言を吐きまくる子羊たち。
さっきまであんなに忠実だったのに何故こんなことに?
ファヌソは子羊たちのパラメータを確認してみる。
もしかしたら原因がわかるかもしれない。
何らかのステータス異常ってことも考えられる。
さっそく神通力を行使し子羊たちをスキャンする。
RPGや地域制圧型シミュレーションで敵味方を問わずキャラの能力を確認するのはゲーマーの基本行動の一つだ。
すると…

HP 9
MP 1
物理攻撃力 2
魔法攻撃力 1

(−中略−)

物理防御力 3
魔法防御力 3
忠誠度 0
状態異常 なし

「…」
ファヌソはステータスのある1点を凝視する。
子羊達が突然手のひらを返した理由が、そこにすべて書かれている。

忠誠度 0

「忠誠度0って…」
多少の事では動じないファヌソであったが流石にこれには言葉が出ず、目が点にった状態で、呆けたように、ただ茫然と立ち尽くす。
私と子羊たちの絆だの、なんだのと言っていた自分が滑稽な道化のようだった。
「いつもいつも僕たちに遠まわしに死ねと言ったり無理難題を押し付けやがって!こっちこそ許さないぞ!」
「僕たちが自分でお金を出して買ったゲームソフトだぞ!そのゲーム内で僕たちが、どんな酷い事をしたって何も問題は無いだろう!」
「そうだ!そうだ!エロゲーは地雷が多いんだぞ!金返せ、馬鹿野郎!」
中にはファヌソに責任が無いような事まで因縁をつけ、さらに子羊たちは追い打ちをかけるように暴言を吐きまくる。
「小さなメダルを集めるために、土足で民家に上がり込んで住人の目の前でタンスを勝手に開けようが、壺を壊そうが文句は言わせない!何が悪いんだ!」
「盗んだ車で歩行者達を次々と轢き殺して死体から財布を奪おうが、鉄砲で武装して銀行強盗しようが怒られるいわれは無い!」
「小さい女の子を拉致監禁してレイプしようが調教しようが何をしようが僕たちの自由だ!やらせろ!」
ギャアギャア騒ぎながら子羊たちは、氷属性の剣を殺して奪ったこと、女性キャラにリョナを強要したこと、視点操作を悪用し女の子のスカートの中を覗いたこと、などなどベラベラと犯した悪事を自慢するように話し始める。
当然その姿からは反省している様子などはまったく見られない。
そして一しきり言いたいことを言い尽くした子羊たちは、ファヌソに背中をむけて反対方向に歩きはじめる。
「んじゃ僕たちテレビゲームの続きやるから帰るわ。僕たち参加者じゃないから、好きにここから退場できるしね」
「せいぜい殺し合い賛成派の危険人物にチェーンソーとかでバラバラにされないように気をつけることだな」
「じゃあな〜死んだら骨は拾ってやるからな。あばよ〜」
歩きながら首だけ後ろを向けて小馬鹿にしたように手を振りながらファヌソに別れの挨拶を告げる。

377◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:37:56 ID:fZ/JrTGM0
そんな彼らを黙って見送るファヌソではない。
表情は穏やかだが、殺意を込めてファヌソは右手に神通力を集めていく。
「地獄へ落ちなさい」
「うわーーーーっ!」
突然1匹の子羊の足元に直径2mほどの底が見えないほど深い穴が発生し、その場所に立っていた子羊は叫び声を上げながら奈落の底へと落ちていく。
「え?」
「うそ!」
仲間の一人が穴の中へ消えて行く様を見せられて子羊たちはびっくりして飛び上がる。
「あ…あの〜髪様って神通力を失ったのでは…」
先ほどまでの威勢の良さが消え、オドオドと尋ねる。
「ええ、この首輪のせいで神通力の大半が封じられています。大規模な力は行使できませんが、それでも1人でドラゴンやキメラを軽く捻るくらいの強さは十分ありますよ」
「で、でも人間と大した変わらなくなるって…」
「ああ、それはこれからなる、と言ったのです。でも今はまだ神通力はたっぷり残っていますよ。そう、貴方たち全員を地獄へ送るくらいはね」
子羊は汗だくになりながら土下座して謝りはじめる。
「ごめんなさい!許してください!さっきのは嘘です!髪様に忠誠を誓います!」
「いいえ、許しません」
ファヌソは冷たく言い放つ。
すると子羊の1匹が自分の能力について説明をはじめる。
「僕は僧侶で回復魔法が得意なんです!きっと髪様のお役に立てます!許してください!」
「ほう、本当に回復魔法が使えるのですか?」
「はい!」
ファヌソは半信半疑だったが、もし本当に回復魔法の使い手だというのならば、手放すのは惜しい。
今後の戦闘で大いに役立つだろうと考え、子羊の魔法を確認することにする。
「論より証拠です。回復魔法を使ってみなさい」
「は、はい!」
子羊は小さなチューブを取り出した。
「これはどんな傷にも効果がある、魔法の薬なのです!」
しかし、よく見ると、ただのオロナイン軟膏だった。
「それで?」
「それだけです」
ファヌソは、もう呆れて自称僧侶との交渉を強引に打ち切った。
「そんな物ここでは何の役に立ちません。地獄へ落ちなさい」
「うわーーーーっ!」
2匹目の子羊も、大きな穴に落ち、地獄へ消えていった。
銃火器や刃物を使用して、殺し合いをしているのに、オロナインって…しかも使いかけときている。
これはもう最後の子羊も、とっとと地獄へ落として武具やアイテムの準備にとりかかった方が、よほど有意義だとファヌソは判断した。
「では、貴方も地獄へ…」
「ま、待ってください!実は僕魔法使いで、攻撃魔法が使えるんです!」
ファヌソの言葉を遮り、懸命に助かる方法を模索する子羊。
「やれやれ、またですか…」
「実は僕、30歳まで童貞でした!だから魔法使いになれているはずなんです!」
「え?そうなのですか?」
そんなことで魔法が使えるなら苦労はしないのでは…?と疑問を持った。どう考えてもおかしい。
「いやいや。それってネラーどもが、おふざけで言っているだけなのでは…?」
「そんなことありません!僕ベギラマやファイラ並のそこそこ役に立つ魔法が使えます!」
「ふむ、火属性魔法ですか。では、実際に魔法を使うところを見せてください」
たぶん僧侶の子羊のときと同じ結果になる予感がしつつもファヌソは一応子羊にチャンスを与えた。
「はい!わかりました!」
子羊は懐から透明な液体の入った瓶を取り出し、入口に布きれを詰めていく。
火炎瓶だった。
−やっぱりですか。もういいです。だいたいわかりました。
「貴方のやろうとしていることは、放火魔と一緒です。地獄へ落ちなさい」
「うわーーーーっ!」
健闘虚しく3匹目の子羊も地獄へ落ち、子羊たちは全滅した。
そして騒々しい連中が一掃されたため、あたりに静寂が戻る。

378◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:38:36 ID:fZ/JrTGM0
「やれやれ、子羊どものせいで余計な力を使う羽目になりました」
そして穴の近くに落ちている自称魔法使いたちの秘密道具に目をやる。
「ふう、オロナインに火炎瓶ね…」
呆れつつも、一応子羊が残していったアイテムは回収しておいた。
何かの役に立つこともあるかもしれない。
そして、ファヌソは計画通り神通力を惜しまず使い、武具やアイテムの作成に乗り出す。
まずファヌソは武器の作成を優先した。
攻撃は最大の防御である。
これからの戦い、しっかりとした武器がないと始まらない。
ファヌソが作成した武器は裁きの杖というアイテムだった。
実はこの裁きの杖は、鈍器としての性能は低いが、道具として使用することで小さな真空攻撃ができるメリットがあった。しかも武器本体が破壊されない限り何度でも使用できる。
呪文の詠唱を必要とせず、近距離、中距離両方で活躍できる万能性をファヌソは評価した。
−それに武器名も私にぴったりではありませんか。
もっと殺傷能力が高いロケットランチャーのような武器も考えたが銃火器は弾薬がなくなると戦力が0になるのであえて使用回数に制限がない武器をチョイスした。
本当は上位の天罰の杖が欲しかったが神通力不足で、作れそうになかった。まあ仕方がない。
「やれやれ、子羊召喚なんて後回しにして、先にもっと強力な武器を作成すればよかったですよ。まったく子羊どもめ」
子羊に頼ろうとした自分が馬鹿だったと毒づきながら、次に防御力の強化をすることにした。法衣に永久持続する補助魔法をかける。ほんの少しだが法衣の強度が増した。
そしてファヌソは残りの神通力を行使し、役に立つであろう消耗アイテムを適当に作成する。
道具袋の中にはファヌソがゲーマーの知識で今後色々な局面で役立つであろうと考えるアイテムが、詰めこまれていった。
そして、アイテムをいくつか作るうちにファヌソの神格は完全に消滅したのであった。

379◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:39:24 ID:fZ/JrTGM0
人として生まれ変わったファヌソはまず作成した杖の性能を確かめることにする。
自分が所有している道具や武具がどの程度の性能を有しているかを知ることの大切さをゲーマーのファヌソは理解していた。
未知のアイテムが使えるか否か事前に入念にチェックする。
彼を知り己を知れば百戦殆からずと言うが、まさにそれだ。
裁きの杖を少し離れた位置にある樹木に向かって振りかざす。
すると小さな風の刃が発生し、それらは杖を離れビュンと唸りながら太い幹を浅く傷つけ、細い枝をいくつか地面に落とす。
けっして強力ではないものの神通力をまったく行使しなくても、杖に込められた力だけで、まずまずの結果が出せたことに満足するファヌソ。
「よし、ここからが本当の戦いです」
杖を握りしめ、決意を新たにする。
そして口では参ったと言いながらも、ファヌソは口元に笑みを浮かべていた。
今までは、神通力が制限されていたとはいえ、ファヌソの能力は他の参加者に比べてかなり高く、向かうところ敵無しの状態だったが、弱体化したことによって、もう生身でA-10神のような強敵を倒すことはできなくなった。
しかし、これで本当に歯ごたえのあるゲーム難易度になった事でファヌソは心のどこかで高揚している自分がいることに気が付いた。
「我ながら救いようがないオタゲーマーってことですか…フフッ」
こんな状況下にありながら、ファヌソは根っからのゲーマーだった。
「まずは仲間を増やす必要がありますね。今度はまともな人材希望です」
いきなり裏切った子羊たちが欠員となったことで、それは最も優先する課題だった。

【B3/1日目・午前】
【髪の子ファヌソ@ゲームサロン】
[状態]:健康(体調は完全回復しましたが神格を失いました)
[装備]:裁きの杖@ドラゴンクエスト9
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、お医者さんカバン(3/5)@ドラえもん、ヘリコプター@現実
    12.7mm弾×25、25mm弾×5、オロナイン(使いかけ)×1、火炎瓶×1、道具袋(中にファヌソが用意したアイテムがいくつか入っています)
[思考・状況]
基本:気まぐれに行動する
1:神としての高い能力は失ったがゲーム関連の知識をフル活用し生存してみせる
2:ひろゆきをゆくゆくは地獄に落とす
3:手に入れた弾薬は、相応しい参加者に与える
4:『裏ワザ』(死体やヘリをデイパックに収納できること)を誰かにひけらかしたい
5:青年(内藤ホライゾン)にはちょっと感謝
6:仲間を見つけなくては
7:くそ……子羊どもめ

※神格を失い神通力が激減しました。ホイミやメラ程度の軽い力を数回だけは使える模様。そのほかどれくらいの力が残っているかは次以降の書き手の方にお任せします。
※ファヌソが立ち寄った小さな公園の中に、弾薬箱とわさび@オラサイトが放置されています。
 ファヌソが入手した物以外にも弾薬はあるようですが、種類と量は不明です。
※デイパックに参加者の亡骸を入れて持ち運べることを知りました。生者にそれが適応するかは次の書き手の方にお任せします
※なんだかんだ言っても子羊らと仲が良い。

※B3エリアの道路のど真ん中に直径2mほどの底が見えないほど深い穴が3つ空きました。落ちたら即死します。道具や死体を投げ入れた場合、回収不可になります。

380◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:39:58 ID:fZ/JrTGM0
ブロンドさんは近鉄百貨店から、南西に向かって歩いていた。
拡声器での呼びかけが無駄に終わったので、別の場所で仲間を募る計画だった。
「なぜ誰からもテルがこない…これもきたないひろゆきの陰謀なのか?俺がさらに強くなることを、あごをガクガク言わせながら恐れているに違いない!」
幸か不幸か、ここまで誰とも会わないことに苛立ちを覚える。過疎が進んでいるネトゲでも、ここまで人がいないことなどなかった。
メンテナンス中に自分だけログインしてしまったのか?そんな錯覚さえ覚える。
「もうこの際だから忍者でも…いやダメだな、俺の誇り高きナイトのハートがそれだけはやめろと叫んでいる!」
こんな状況下であっても毛嫌いしている忍者など、絶対に仲間にはしたくなかった。
「ん?あれは?」
交差点をまがった100mほど先に人影を見つける。
少し遠いが何をしているのかもはっきり見てとることができる。
おれ視力検査で2.0とか普通に出すし。
白い法衣を纏った男が手にしている少し変わった形の杖を少し離れた位置にある樹木に向かって振りかざす。
すると小さな風の刃が発生し、それらは杖を離れビュンと唸りながら太い幹を浅く傷つけ、細い枝をいくつか地面に落とす。
ブロンドさんが見つけた男はファヌソだった。
ネットゲーマーのブロンドさんにとって、男が何らかの魔法のようなものを行使したことをすぐに見切る。
「きた!後衛っぽいキャラきた!これでひろゆきに勝つる!」
能力的にも自分の補助要員として申し分なし。そして杖装備法衣装備で、いかにも後衛が得意ですと言わんばかりのいでたち!
できれば後衛ジョブの黒魔や白魔は可愛い女の子の方が良かった。
そうすれば超カッコ良く前衛的に皆を守るナイトの俺は、ほぼ間違いなく100%モテモテだ。
だが、もうこの際贅沢を言ってはいられない。
ブロンドさんは相手が危険人物か否かの確認などもせず、問答無用で白い法衣の男にカカッと猛ダッシュをかけ、脳内で男にマウスカーソルを合わせてオンラインゲーマー的操作を行う。


  情報を見る
  ささやく
  トレードを申し込む 
→ パーティ申請をする
  フレンド申請をする
  ギルドに招待する
  メールを送信する
  遮断リストに加える
  不正行為を運営に通報する


立て続けに白チャットで大声でどなる。
「おい!そこのお前!格違いに強くて謙虚な俺の仲間に加えてやる!嬉しさのあまり沸騰してしまうくらい猛烈に感謝しろ!」
謙虚な人間は自分を強いなどと言わないし、しかも日本語がおかしいし、パーティ申請のマナーもクソもあったものではない。
なぜか道にできている大きな穴3つを軽やかなステッポで回避し、男の下へときょうきょ駆けつける。
「!」
突然背後から大声で意味不明なことを言いながらマッハな全力疾走で接近してくるブロンドさんを見て驚いたファヌソは、慌てて裁きの杖を構え先端をブロンドさんに向ける。
ステージやダンジョンなど危険な場所で猛スピードで自分に接近して来る物体は基本敵というゲーマーの習性からか体が勝手に動いた。


【B3/1日目・午前】
【ブロントさん@ネトゲ実況】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[装備]:そんな装備@エルシャダイ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、拡声器@現実、手裏剣@AA(20/20)、肉まん×3、あんまん×3
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、ひろゆきを倒す
1:白い法衣の男を仲間に加えて、さらにあと4人募集する。リーダーは俺(後衛優先)
2:さきほどの募集に対するテルを待つ
3:汚いなひろゆきさすがきたない

※B-4の周囲のエリアにメンバー募集が掛かりました。
※パーティ上限が6人と限られていない事に気付いていません。
※近鉄百貨店内にいる他の参加者には気付いてません。
※まず、Lvが存在しない事に気付いていません。
※Tellが存在しない事にも気付いていません。
※軽率な行動のせいでブロンドさんを危険人物だと誤解したファヌソに攻撃されるかもしれません。

381◇fZ/JrTGM0.:2014/10/07(火) 23:40:22 ID:fZ/JrTGM0
場所は変わって、ここは地獄の1丁目。
夕焼けよりも、さらに赤みがかった色の空の下、子羊たちは貸し切り状態の温泉に浸かりながら疲れを癒している最中だった。
暇さえ見つけては、ゲームをしたりゲームをしたりゲームをしている彼らは、いつも疲労との戦いだった。
ゲーマーと言う名の戦士にも休息は必要だ。
神々の裁きにより何度も地獄に来ている…もとい落とされている子羊たちは、地獄の観光組合にとっては大のお得意様だった。
現金の持ち合わせが無くてもツケがきく。もう顔パスだ。
さきほども、すれ違った赤鬼や青鬼に挨拶をされた。
「ありゃ〜、あんたたち、また来たオニか〜。まあゆっくりしていくオニ」
と、こんな感じだ。

「ちくしょうめ!ひどい目にあったぞ!」
「ファヌソめ!許さないぞ!」
「すぐに蘇って仕返ししてやる!奴が弱体化している今がチャンスだ!」

湯けむりが立ち込める地獄谷温泉の上空に向かって子羊たちが吠えた。


【子羊@ゲームサロン-ゲーム内でした悪行を懺悔するスレ】
[状態]:ゲスト、健康
[思考・状況]
基本:生き返ってファヌソに仕返ししてやる!

※アイテム扱いです。倒しても忍法帳のレベルは上がりません
※ファヌソの神通力不足で本当に羊の姿で召喚された
※攻撃力は乏しく、参加者にとってはさほど脅威にならない程度
※反面、何度神々に裁かれ地獄へ落とされても、すぐに復活できるほどしぶとい。何度でも湧いてくる
※普段は真面目だが、ゲーム内では極悪人でも目を覆いたくなるような悪行三昧を繰り返している

子羊1:自称戦士。勝手に民家に上がり込んでタンスを勝手に開けたり、壺を壊すなど基本に忠実なゲーマー
子羊2:自称僧侶。聖職者のくせに暴力系残虐ゲームを好む。破戒僧。
子羊3:自称魔法使い。エロゲーを好む子羊。本人曰く30歳まで童貞だったため魔法使いになったとの事。8歳の頃から親に隠れてエロゲーをやっていた大物。

子羊が再登場するかどうかは、次以降の書き手の方にお任せします。


以上で投下終了です。

382◇fZ/JrTGM0.:2014/10/08(水) 20:57:07 ID:SAEj439c0
加筆修正して、2、3日後に投稿します。
もし、文章構成など、ご指導いただけるのでしたら、ご意見をお願いします。


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