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( ・∀・)たちは多趣味を謳歌するようです

1名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:32:35 ID:WpPzIf8g0
 この話は「( ・∀・)たちは「」を謳歌するようです 」シリーズ外伝作品です。
 連作ハウツーモノであり、本編を読まなくても楽しめるよう、本編に微塵も関係のない内容を書いております。
 そのため別スレで運行することとしました。2スレ消費ごめんなさい。許して。

 というのも、本編の登場人物たちは様々な分野の知識・趣味を持つため、その説明が非常に長くなってしまいます。
 また、その性質上、やはりその趣味や知識を持つ人が楽しめる部分もできてしまいます。
 そこで各分野のハウツーを行い、趣味の布教と知識の共有をすれば、本編がより楽しめるかも?
 という発想により執筆されました。

 ごゆるりとお楽しみ下さい。

2名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:33:22 ID:WpPzIf8g0
使われていない貸事務所のプレハブを格安で借り、友人たちと断熱・区画分け施工して住居へと変えた奇妙な住まい。
 その一室で二人の男女が屯していた。
 女の方は背もたれに埋まるようにして漫画を読み、男は何やら木工工作をしている。

 やがて、男は組んだ木枠に100均のバーベキューネットをネジ止めし終えると、タイラップの仮止めを確認し、網を手にとった。
 それから、唯一何も貼られていない木枠の1面に網をタッカーで仮止めし、余った部分をナイフで切り落としていく。
 そうやって慣れた手つきで工作を進める男を、漫画を読むのを止めた女が、じっと見つめていた。

lw´‐ _‐ノv「そういえばモララーさん」

(;・∀・)「ハイなんでしょう!? 身に覚えが多すぎてどれのことだかわかりません!」

lw´‐ _‐ノv「……。まあ、それは後々問い詰めるとして」

(;・∀・)「あ、墓穴掘った」

 女、素直シュールの目線の先は、男、モララーの手へと向いていた。
 正確にはその手に握られた、スパイダルコ社製のデリカ4。
 同社の看板モデルであり、実用ナイフとして高く支持されている名作モデルへと向いている。

lw´‐ _‐ノv「この前、つーちゃんにナイフあげたんだってね」

( ・∀・)「ん? ああ、アレね。元々貰い物でさ、使わないからってくれたんだ」

lw´‐ _‐ノv「貰い物を人にあげてよかったの?」

( ・∀・)「高いナイフだし俺の趣味じゃないから返そうとしたら、じゃあ使う奴に渡してくれって言われてね」

lw´‐ _‐ノv「なるほど」

3名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:34:54 ID:WpPzIf8g0
 しばらく会話が途切れる。モララーはまた工作作業に戻っていた。
 プツプツと、網をナイフで切る音だけが部屋に響く。
 少女は、一息、大きな胸を更に大きく膨らませて覚悟を決め、続きを絞りだす。

lw*‐ _‐ノv「じゃあ、私にもナイフ下さい。ズルい」

( ・∀・)「え、いいけど、どした? 今まで興味なかったろ?」

lw´‐ _‐ノv「いいからくれ」

(*・∀・)「あれ? もしかして嫉妬? 嫉妬してるの!? ねえ!?」

lw´‐ _‐ノv「うっせうっせ」

(*・∀・)「いやー可愛いなー! ナデナデしてやろうかこのっ!」

lw#‐ _‐ノv「だぁあ! くっつくな! 暑い!! 蒸し殺すぞ!」

( ・∀・)「つっても、ナイフか。1本くらいならあげてもいいけど、どういうのが欲しいんだ?」

lw´‐ _‐ノv「その辺も全くド素人なので、一緒に教えて下さい」

( ・∀・)「なるほど。まず最初に断っておくと、俺は実用ナイフクラスタだ」

lw´‐ _‐ノv「というと?」

( ・∀・)「ナイフってのは多用途な使い道がある、鉛筆削り、ハサミと言った文房具、調理からガチな登山・ダイビングのお供」

lw´‐ _‐ノv「まあ、人類の文明は刃物と火を発明から始まったと言われますね」

( ・∀・)「そう。文明を作るくらい万能だが、今や便利だが用途の狭い専用の道具に排他されてつつある」

lw´‐ _‐ノv「確かに、武器ってイメージがあるしね」

( ・∀・)「うむ。その刃物の魅力をコレクションするタイプと実用するタイプがいて、俺は後者ってわけ」

4名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:37:42 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「あと、実用重視だから、高価なカスタムナイフやハンドメイドナイフは持ってない」

lw´‐ _‐ノv「ああ、確かに柄とか樹脂製が多いですね」

( ・∀・)「うむ、基本的に俺が使うのはファクトリーナイフ。つまり、工場生産ナイフだな」

lw´‐ _‐ノv「他にもあるんですか?」

( ・∀・)「鍛冶屋が手作業で作るナイフ、つまりハンドメイドナイフ」

lw´‐ _‐ノv「カスタムってのは?」

( ・∀・)「ハンドメイドかつ1点物ナイフ。オーダーメイドだったりして、量産しない特別なナイフのこと」

lw´‐ _‐ノv「そこまでする意味とは一体……」

( ・∀・)「ナイフは単純だからこそ、細部のバリエーションが多い。故に、ピンポイントでコレが欲しいってのは難しいんだ」

lw´‐ _‐ノv「それを叶えるのがオーダーメイドってことか」

( ・∀・)「単純に所有欲ってのもかなり強いけどな」

lw´‐ _‐ノv「ナイフコレクターは結構多そうですからね」

( ・∀・)「で、俺はその中でファクトリーナイフの実用性重視な奴が好きってこと。それ基準の偏った知識になるよ」

lw´‐ _‐ノv「なるほど、偏見混じりってことね。良かろう話し給え」

(;・∀・)「教えてもらう側なのになんで偉そうなんだ……」

5名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:38:32 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「じゃあ、それじゃあナイフの基礎知識と自分に合ったナイフの選び方について解説しよう」

lw´‐ _‐ノv「はい」

( ・∀・)「の前に、これから、ある言葉を禁止にする」

lw´‐ _‐ノv「というと?」

( ・∀・)「このスレでは、カッターでいいじゃん、は全て禁止だ」

lw;‐ _‐ノv「は?」




( ・∀・)たちは多趣味を謳歌するようです  -独断と偏見のナイフ編-




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6名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:39:52 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「というのもだなぁ。ナイフでできることの大半はカッターでできる」

lw´‐ _‐ノv「あー、でも優れてる点とかあるんでしょう?」

( ・∀・)「ないこともない、が、カッターで出来ないことは包丁や電工ナイフなどの特定用途特化を除くと限りなく少ない」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ、カッターでいいじゃん」

( ・∀・)「しかも、カッターの方が優れている点も多いんだな」

lw´‐ _‐ノv「例えば?」

( ・∀・)「後々細かい話はするけど、カッターの利点は安く替え刃ができることに尽きる」

lw´‐ _‐ノv「?」

( ・∀・)「まず、切れ味だが、これは刀身の薄さ、砥ぎ、刃角に依存する。ナイフは全面的に勝てない」

lw´‐ _‐ノv「刃は薄い方がいいんです?」

( ・∀・)「例えば、かぼちゃを切るとしよう。切ったことがある人ならよくわかるはずだ」

lw´‐ _‐ノv「切るのは硬くて大変?」

( ・∀・)「刀身をある程度食い込ませると、分厚い刀身の場合、切った部分が左右から挟み込むよな?」

lw´‐ _‐ノv「あ、なるほど。薄い刃なら挟み込む力が少ない、と?」

( ・∀・)「そいうこと。3mmのナイフなら、ナイフの背でかぼちゃを3mm押し開きつつ切ることになるんだ」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ、刃物は薄い方がいいんだ」

( ・∀・)「ところが当然薄いと折れやすいから、ナイフにはそんな薄い刃を使えないんだな」

lw´‐ _‐ノv「カッターは折って使うし、替え刃も安いから負けますね」

7名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:41:24 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「砥ぎも細かい説明は後でするけど、よっぽど粗悪な鋼材じゃなきゃ同じように研げば切れ味は同じなんだ」

lw´‐ _‐ノv「物理学って残酷ね」

( ・∀・)「そもそもカッターは一定レベルの砥ぎが保証されてて、鈍ったら折って交換すれば砥ぎ終わる」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ、高い包丁は100均の安い包丁と同じ切れ味ってこと?」

( ・∀・)「いや、色々と違うが、研げば最初の切れ味は同じだよ。高い鋼材は硬いから刃持ちがいい事が多い」

lw´‐ _‐ノv「カッターには刃持ちとか関係ないですね、その場で折ればいいから」

( ・∀・)「まあ、カッター以上に細かい番手で研げば切れ味も勝る。そういう切れ味が必要な場面もある」

lw´‐ _‐ノv「お、なら、そうやって研げばナイフも?」

( ・∀・)「でもやっぱりカッターでいい」

lw´‐ _‐ノv「そうきたか」

( ・∀・)「特専黒刃って替え刃があってな。刃先をより鋭角にして、刃持ちが悪いがいい切れ味なんだ。この切れ味で大抵足りる」

lw´‐ _‐ノv「鋭角にするとどうなるんです?」

( ・∀・)「三角木馬で想像するんだ。30度の三角木馬と60度の三角木馬、どちらの攻めがよりハードか」

lw´‐ _‐ノv「30度とかやべえ、色々裂けちゃう!」

( ・∀・)「でも、すり減るのは早くなるわけ。激しく逝ったらすぐ折れる」

lw´‐ _‐ノv「なるほど、ナイフは刃こぼれしたらまずいけど、カッターは折ればいいですからね」

8名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:42:54 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「まあ、ナイフがカッターに勝てる部分もあるんだよ?」

lw´‐ _‐ノv「というと?」

( ・∀・)「例えば、刃先でこじる使い方は、カッターだと折れるだろ?」

lw´‐ _‐ノv「あ、確かに。でもそれって……」

( ・∀・)「こじることって滅多にないな、せいぜい軟骨剥がす時とか?」

lw´‐ _‐ノv「包丁でいい!」

( ・∀・)「そ。あとはかなり力がある人は、硬いものを力ずくで切るとカッターの刃が砕けることがある」

lw´‐ _‐ノv「あ、つまり……」

( ・∀・)「うむ。普通に使っててまず、カッターを砕かない女性のシューには必要ないな!」

lw´‐ _‐ノv「わかったよ! カッターでいいなんて私言わないよ!」

( ・∀・)「だが、そんなカッターにナイフが全面的に勝てる部分はある。それはロマンだ!」

lw´‐ _‐ノv「あー、万年筆的な?」

( ・∀・)「うむ。万年筆も書き味とか色々利点はあるが、書くだけならたいていの場合ボールペンでいい。利便性ならまず負ける」

lw´‐ _‐ノv「確かに」

( ・∀・)「それでも万年筆を使うのは、そこにロマンがあるからだ! かっこいいからだ!」

lw´‐ _‐ノv「今、全国の万年筆クラスタを敵に回した気がします」

9名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:45:54 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「まあ、そんな感じで。ようやく簡単な知識の部分に入ろう。基本ナイフの話だが、包丁などにも通用する部分もあるよ」

lw´‐ _‐ノv「はい」

( ・∀・)「ナイフは大まかに、シースとフォールディングがある」

lw´‐ _‐ノv「しーす? ふぉーるでぃんぐ?」

( ・∀・)「鞘に入れるのはシースナイフ、折りたたみがフォールディングナイフ」

lw´‐ _‐ノv「ああ、バタフライナイフのことか」

( ・∀・)「あれはかなり変則的なフォールディングだな。カッターも多分フォールディング扱いだ」

lw´‐ _‐ノv「へー、全然折りたたんでないのにね」

( ・∀・)「飛び出しナイフはフォールディング扱いだからな」

lw´‐ _‐ノv「なるへそ」

( ・∀・)「ついでに各部の名称はこんな感じ。上がシース、下がフォールディングナイフだな」

http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1723.jpg

lw´‐ _‐ノv「無駄な準備のよさ!」

( ・∀・)「ちなみに作者の手書きだ!」

10名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:48:11 ID:WpPzIf8g0
 
http://knifeshop.jp/pic-labo/HT359-1.jpg
http://knifeshop.jp/pic-labo/HT359-2.jpg

服部刃物 ハンティングナイフ ココボロウッドモデル
http://knifeshop.jp/SHOP/HT-359.html

( ・∀・)「さて、シースナイフの実物はこんな感じ。利点はとにかく、構造が単純で頑丈だし、片手ですぐ取り出せる」

lw´‐ _‐ノv「そりゃあまあ、そうでしょうね」

( ・∀・)「特にこのモデルはフルタング。刃の鋼材を延長して柄の芯材にし、両側を2枚のハンドル材で留めている。これはかなり強固だ」

lw´‐ _‐ノv「ああ、包丁とかこんな感じですよね」

( ・∀・)「そうだね。シースの構造は他にもあるけど、折りたたみナイフよりはたいてい強固だ。安いナロータングくらいかな弱いの」

lw´‐ _‐ノv「ふむふむ」

( ・∀・)「他にも刃を収納する溝がないからゴミが溜まらないし、汚れすぎてもメンテしてバラす必要もない、小型から大型まで色々ある」

lw´‐ _‐ノv「欠点がなさそうですね」

( ・∀・)「いや、欠点は折りたためないことだ。長いから邪魔になるし、腰の鞘から出したら安全装置がない」

lw´‐ _‐ノv「あ、なるほど」

( ・∀・)「裏返すと、折りたたみの利点はただ折りたためることだけだ。でもだからこそ携帯性が高い」

lw´‐ _‐ノv「あれ? そういえば、シースが片手で出せるって、モラさんはいつも折りたたみナイフを片手でスパって出しますよね」

( ・∀・)「その辺は、ナイフメーカーの説明で解説しよう。とりあえず、シースは頑丈ですぐ出せるとだけ覚えてくれ」

11名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:51:12 ID:WpPzIf8g0
 
http://knifeshop.jp/pic-labo/BU-110BRSCB-01.jpg
http://knifeshop.jp/pic-labo/BU-110BRSCB-02.jpg

BUCK フォールディングハンター#110 伝統モデル
http://knifeshop.jp/SHOP/BU110BRSCB.html


( ・∀・)「逆にフォールディングはこんな感じ。モデルはバックの名作。フォールディングハンター#110だ」

lw´‐ _‐ノv「ふむふむ。利点と欠点はさっき言いましたね」

( ・∀・)「うむ。携帯性が利点で、脆弱性が高い=信頼性が低い。だが、本当にそうだろうか?」

lw´‐ _‐ノv「貴様っ! 何か隠しているのか!?」

( ・∀・)「ぶっちゃけ、シースほど頑丈性が必要な場面って少なくね?」

lw´‐ _‐ノv「ああ、確かに」

( ・∀・)「さっき言ったように脆いカッターで十分なんだ、日常シーンではまずシースじゃないとダメってことはない」

lw´‐ _‐ノv「まあ、ナイフ的に見たらカッターは一番脆弱ですからね」

( ・∀・)「強いていうと枝を叩き切る時だけど、そういう時だけシースか鉈で、普段はフォールディングでいいと俺は考えてる」

lw´‐ _‐ノv「そうなると、携帯性で勝るフォールディングは強い、と?」

( ・∀・)「うん。他の欠点にフォールディングは小型から中型ナイフしかないけど、普段使いは大きい必要ないし」

lw´‐ _‐ノv「強いていえばメンテ性ってわけですが、私もそれくらいなら出来るし」

( ・∀・)「いや、バラすのはホント難しいんだが、そもそもバラしてメンテってよっぽどだから、まず無いよ」

12名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:53:58 ID:WpPzIf8g0
 
( ・∀・)「つーわけで、次。ナイフの形状に行こうか。まずはシースの場合、タングかな」

lw´‐ _‐ノv「さっき出てきたね、えっと直訳で舌?」

( ・∀・)「日本刀で言うと茎。刀身鋼材の柄部分を指す。広義的にはハンドル材とどうやって固定するかだ」

lw´‐ _‐ノv「さっきのシースナイフや包丁がフルタングでしたね」

( ・∀・)「うむ。一番頑丈で基本的な奴。ただしその分重たい」

lw´‐ _‐ノv「そら柄の半分くらい金属だから当たり前でんがな」

(;・∀・)「お前唐突にナニ人だ。で、これの重量を改善したのがハーフタング。フルの下半分を削ったタイプ」

lw´‐ _‐ノv「参考画像は?」

( ・∀・)「ない。ってのも今は極一部しか作ってないと思う。手間がかかるんだ」

lw´‐ _‐ノv「あ、ハンドル材ときっちり合わせるのが大変なのね」

( ・∀・)「ピッタリ合わせないと意味が無いからな。ちなみに半分と言っても斜めに切り落とす感じで後端が細めなことが多い」

lw´‐ _‐ノv「強度的には落ちそうですね」

( ・∀・)「モノによるけど、高度な技術があって、内部の構造がきちんとしてれば殆ど落ちない、らしい」

lw´‐ _‐ノv「他には?」

( ・∀・)「テーパードタング。これも手間がかかるから画像はない」

lw´‐ _‐ノv「ほう」

( ・∀・)「フルタングの下を削ったのがハーフだけど、テーパードはサイドを徐々に細くしてる」

lw´‐ _‐ノv「ああ、左右均等に削るのは手間が掛かりそうだ」

( ・∀・)「うん、だからハンドメイドナイフでしか見ない。鋼材も節約できないし」

13名も無きAAのようです:2015/06/25(木) 23:58:38 ID:WpPzIf8g0
  
( ・∀・)「フルタングの下だけでなく上も削って左右からハンドル材で挟んだのがコンシールドタング」

lw´‐ _‐ノv「それ、軽いだろうけど強度的にかなり不安そう」

( ・∀・)「でも利点は大きいよ。接続口の部分をきっちり密閉すれば、柄の金属が外気に触れない」

lw´‐ _‐ノv「ん? 密閉に何の意味があんの?」

( ・∀・)「例えばダイビングや鹿を解体するなどで、柄と刃材の間に塩や血が隙間に入り込んで錆びることがある」

lw´‐ _‐ノv「あ、密閉するとメンテナンスフリーになるのか」

( ・∀・)「逆に言うと分解できないので、信頼できるメーカーじゃないとタングの太さが不明で不安」

lw´‐ _‐ノv「なるへそ」

( ・∀・)「ちなみに日本刀はコンシールドタングだ」

lw´‐ _‐ノv「ほう。なんでなの?」

( ・∀・)「日本刀はナイフよりも幅が広く、コンシールドでも十分に強度を保てる」

lw´‐ _‐ノv「で、血を浴びるから密閉?」

( ・∀・)「だけじゃないぞ。日本刀は分解しやすいことも考慮してあるし、鮫皮というエイの皮を糸で巻きつけ補助にしている」

lw´‐ _‐ノv「あの白いつぶつぶ、エイの革だったんだ」

( ・∀・)「鮫革は乾くと硬くなる性質があり、それを糸で締め付けるため、柄が折れた時に千切れないよう支える補助になってるんだよ」

lw´‐ _‐ノv「想像以上に合理的な柄だった! 日本人凝ってるな!」

14名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:00:40 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「最後にナロータングは、コンシールドをちくわ型のハンドル材に差し込んで、樹脂などを流しこんで固めた奴」

lw´‐ _‐ノv「棒ヤスリとかそんな感じだよね」

( ・∀・)「そそ。コンシールドより密閉度が上だが固定は樹脂で固めただけだし、やはり中が見えない」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ買わないほうが無難?」

( ・∀・)「いや、後端部分をバットキャップって金属の柄頭で固定してるタイプならソレはおk」

lw´‐ _‐ノv「? 説明を申し立てる」

( ・∀・)「簡単に言うと、ハンドル材に挿して、反対側に飛び出たタングをボルト止めした構造。これなら確実」

lw´‐ _‐ノv「なるほど。さっき言ってた安いナロータングが脆いってのは、単に突き刺しただけってことね」

( ・∀・)「うむ。ランドールって超高級ハンドメイドナイフメーカーはナロータング主体なくらいだよ」

lw´‐ _‐ノv「もちろんバットキャップ?」

( ・∀・)「当然。バットキャップなしだと、大抵のフォールディングより脆い」

lw´‐ _‐ノv「まあ、そうなると刺してるだけですからね」

15名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:01:57 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「他のはタングというか、刃の鋼材がそのまま柄になってるタイプもあるけど、特殊なので除く」

lw´‐ _‐ノv「それはナニタングなの?」

( ・∀・)「ハンドル材で挟んでないフルタングじゃないかな。主にダイビング用で見るな。コンシールドよりサビに強い」

lw´‐ _‐ノv「まあ、塩が入り込む隙間もないからね」

( ・∀・)「ぶっちゃけ、H1以外の鋼材はステンレスでも錆びるからなぁ」

lw´‐ _‐ノv「H1? 塩水は凄いからねえ」

( ・∀・)「H1はあとで説明しよう。次はポイント。切っ先の形状だな」

lw´‐ _‐ノv「ほうほう」

( ・∀・)「代表的なのは、ドロップ、リーフ、クリップ、シープフット、スピア、タントー」

lw´‐ _‐ノv「なにがなにやら」

( ・∀・)「ただなぁ。これは刃の形状とかぶってる部分が多くてな」

lw´‐ _‐ノv「ん?」

( ・∀・)「分かりやすいのは、そうだな……」

http://knifeshop.jp/pic-labo/CT646-1.jpg
http://knifeshop.jp/SHOP/CT646-1.html

( ・∀・)「コルトの安物だけど、カランビットというナイフだ。東南アジア出身の戦闘用ナイフ」

lw´‐ _‐ノv「なんか変な形」

16名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:03:34 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「元はククリナイフといって、こんな鉈があって、この付け根側の鎌状になってるのが戦闘で有用らしくてな」

http://knifeshop.jp/pic-labo/SW-BH-01.jpg
http://knifeshop.jp/SHOP/SW-BH-01.html

lw´‐ _‐ノv「ほー、全然似つかないけども」

( ・∀・)「この鎌状の部分だけを抽出して小型化したのがカランビットだ」

lw´‐ _‐ノv「輪っかはどこから来たの?」

( ・∀・)「手から離れないようにと、ナイフ戦闘術って順手と逆手で有効な場面が違うから、素早くターン出来るようにだな」

lw´‐ _‐ノv「ほむほむ。それで?」

( ・∀・)「タントーって切っ先があるんだが、形状はこんなの」

http://knifeshop.jp/pic-labo/SOGKU2011-1.jpg
http://knifeshop.jp/SHOP/SOG-KU2011.html

lw´‐ _‐ノv「あ、漫画でよく見るやつだ!」

( ・∀・)「元は日本の短刀を元に作られたからタントーっていうらしい。戦闘用ナイフの切っ先」

lw´‐ _‐ノv「ほうほう」

( ・∀・)「戦闘用ナイフの是非はさておき、カランビットはナイフの種類。タントーは切っ先の種類なんだよ」

lw´‐ _‐ノv「? どこからがどう違うのかイマイチ……」

( ・∀・)「具体的に言うとタントーブレードのカランビットがあるんだ」

lw;‐ _‐ノv「む、無理やりすぎませんか?」

( ・∀・)「だろ? 俺もそう思う。そんな感じで結構曖昧なので、とりあえず触れない。実物見れば名前なんか知らなくていいし」

17名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:08:09 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「悩むなら、最初のナイフは、ユーティリティ、ケーパー、リーフ、クリップ、ドロップ、のどれか選べばいいと思う」

lw´‐ _‐ノv「ちなみに、さっきの各部名称画像は、上がククリ、下がクリップを意識したそうですよ」

( ・∀・)「逆にナイフによく見る、エッジが直線で構成されたタイプは使いにくいからやめとけ」

lw´‐ _‐ノv「そうなの?」

( ・∀・)「曲線だと、カッター板などで刃を立てた状態から、寝かすだけで切れるからね」

lw´‐ _‐ノv「カッターにない利点だ!」

( ・∀・)「しかし、この戦闘用ナイフってのがまたアレでな」

lw´‐ _‐ノv「? 何がアレなんですか?」

( ・∀・)「戦闘用のナイフってのは存在するんだ。ただ、ナイフメーカーが出す戦闘用ナイフが実態を伴っていないというか……」

lw´‐ _‐ノv「?」

( ・∀・)「まず、戦闘用の刃物って人気があるんだよ。特に日本とかアメリカとか」

lw´‐ _‐ノv「まあ、世間一般ではナイフといえば武器ですからね」

( ・∀・)「ナイフメーカーも売りたいから戦闘用のナイフを作るんだよ」

lw´‐ _‐ノv「それは当たり前でしょうね、人気があるんだから」

( ・∀・)「で、ナイフメーカーとしては、兵士が戦場で使うことを想定し、戦闘上有用なナイフ、という建前があるんだよ」

18名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:14:15 ID:keUPLOh20
 
lw´‐ _‐ノv「建前?」

( ・∀・)「建前。タクティカルナイフは軍や警察に正式採用されるようなガチなのから、絶対に戦場では使えないだろうクソナイフまである」

lw´‐ _‐ノv「えっ戦闘用なのに戦場では使えないの!?」

( ・∀・)「見た目かっこいいと売れるからね。だから、絶対に武器にしたくはないカランビットとか、使い道がホントにないのもある」

lw´‐ _‐ノv「ダメじゃん」

( ・∀・)「タントーとかはそんなのが多い。しかし、ちゃんとガチで戦闘設計してるのや、パクリ元がガチだったりする」

lw´‐ _‐ノv「ああ、戦場では使えなくても、馬鹿に持たせると危ないのね」

( ・∀・)「そういうのって、大抵知識のないDQNかヲタが護身用って言って持つもんだからさ」

lw´‐ _‐ノv「おおう、ある種の厨二病か」

( ・∀・)「実用ナイフとして優れてるのもあるから、一概にクソとも言えないのがまた厄介だな」

lw´‐ _‐ノv「モララーさんのいう実用って、日用品ってことですよね?」

( ・∀・)「うん。日用品として優れてる戦闘用ナイフモドキ」

lw´‐ _‐ノv「もはやなにがなんだか」

19名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:14:56 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「さて、形状の話に戻して、フォールディングナイフなら、個人的に好みが最も別れるだろう部分はロック機構だな」

lw´‐ _‐ノv「ロック機構というと?」

( ・∀・)「畳んだナイフを開いたとして、それをどう固定するかだ」

lw´‐ _‐ノv「というといっぱいあるんですか?」

( ・∀・)「まあね。代表的なのは肥後守、バックロック、ライナー(フレーム)ロック」

lw´‐ _‐ノv「肥後守?」

( ・∀・)「和式ナイフなんだが、ロック機構がない。代わりに背に突起があって、オープンすると柄と水平になるからそこを握りこむ」

lw´‐ _‐ノv「?」

( ・∀・)「はい写真」

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/92/Higonokami_kanekoma_regular_A02.JPG

lw´‐ _‐ノv「わあ、単純」

20名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:15:36 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「これはこれで収集家がいるほど人気の有るジャンルなんだよね」

lw´‐ _‐ノv「ロック機構がない分安そうですしね」

( ・∀・)「高い鋼材使ってるいい奴もあるけど、同じ鋼材使ってるナイフと比較しても安い」

lw´‐ _‐ノv「他はどんな感じです?」

( ・∀・)「バックロックはさっきのフォールディングハンター#110が原初となるロック機構」

lw´‐ _‐ノv「これはどんな構造のロック?」

( ・∀・)「構造を詳しくいうと多分混乱するけど、いい?」

lw´‐ _‐ノv「簡単にお願いします」

( ・∀・)「構造を無視して使い方で言えば、ナイフを開こうとすると閉じる方向にテンションがかかってる」

lw´‐ _‐ノv「つまり、ちょっと力を込めないと開かない?」

( ・∀・)「うん。だから、不意に開かない。で開くと動かなくなり、ハンドルの背にあるバーを押し込むとロックが外れる」

lw´‐ _‐ノv「で、バーを抑えながら刀身を閉じる。と」

( ・∀・)「そうそう」

21名も無きAAのようです:2015/06/26(金) 00:16:43 ID:keUPLOh20
 
( ・∀・)「厳密に構造を言うと、ハンドルの背側にシーソーみたいに真ん中をピン止めしたバーが仕込んである」

lw´‐ _‐ノv「ふむふむ」

( ・∀・)「バーの先端側には突起があって、刃には突起と同じ凹みがあるから、ナイフを開くとそこと噛み合う」

lw´‐ _‐ノv「で、動かない? いや、シーソー倒せば動くでしょ」

( ・∀・)「バーの反対側は、バネが上に持ち上げてるから刃がロックされるんだ」

lw´‐ _‐ノv「なるほど。で、ハンドルのロッキングバーを、バネごと押し返すと外れる仕組みか」

( ・∀・)「そんな感じ。刀身からシーソーを固定するバネには力が伝わらないし、柄に金属バーが入るから強固かつシンプルで非常に信頼性が高い」

lw´‐ _‐ノv「欠点は?」

( ・∀・)「精度が低かったり組み立てが下手だと、衝撃で勝手に開く事がある」

lw´‐ _‐ノv「あっぶねえ!」

( ・∀・)「よほど酷いナイフだけだけどな。あとバーがハンドルの後端にくる構造上、しまう時は基本両手になる」

lw´‐ _‐ノv「それ、欠点なの?」

( ・∀・)「そもそもカッターは片手で出せて、仕舞えるし、次のライナーロックも片手操作が基本だ」


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