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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:13:10 ID:6CCOWjXw0

どーも作者です。

新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。

半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。


話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。


この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。


まとめ

ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/

大変お世話になっております。

.

234 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:44:48 ID:JCFDYpKw0

(゚、゚トソン「みなさん、よろしいですね」

(´・_ゝ・`)「もちろん」

从 ゚∀从「ホントは一緒に行きたいけど、こっちは任せておけ」

ミ,,゚Д゚彡「大丈夫だから!頑張るから!」

(゚、゚トソン「では私たちは出発します。ドクオさんは?」

('A`)「あいつらのところに向かう。……ふさ、」

ミ,,゚Д゚彡「?」

('A`)「あと、…頼んだ」

ミ,,゚Д゚彡「!分かったから」

フサギコに向かって一回無言でうなずくと、
ハインが離した腕をほんの少しだけいとおしそうに撫でながら近くの木陰に進むドクオ。
するとその姿は他の四人の視界から完全に消えた。

从 ゚∀从「どっくん…」

ミ,,゚Д゚彡「相変わらずすごいから」

(゚、゚トソン「時間です」

ウインドウを閉じ、前を向くトソン。

他の三人も会話をしながらも準備は済ませており、万全の態勢でトソンの後ろに立つ。

(゚、゚トソン「進行は右にハインさん、フサギコさんで。左は先ほどと同じ私とデミタスさん。
共通順序は私、ハインさん、デミタスさん、フサギコさん。
ハインさんは私の指揮を見逃さない様にお願いします」

フードをかぶる四人。

そして少しだけ前傾姿勢で走り始めた。



.

235 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:45:58 ID:JCFDYpKw0

−護衛班−


(´・ω・`)「おや」

通常進行時もウインドウを開いたままにしているショボン。
前のエリアでは戦闘を行っていたため閉じていたが、
次のエリアに移動してモンスターがいないのを確認した後は開いて移動していた。

前をちゃんと見ていないにも関わらずその足取りには危なげはない。
それは並んで歩くモララーが足元や前方の注意を世間話のように話しかけているからで、
与えられる過不足の無い情報によって、ショボンは普通に歩いていた。

今ショボンが見るのは自分たちが進んでいるエリアのマップ。
さらにそこにはモンスターの出現ポイントが情報として追加してある。

現状はほぼ収集した情報通りに進んでいるが、それでも細かい差異はあるため、
ショボンは通り過ぎたエリアに詳細なデータを出来るだけリアルタイムで追加していた。

本当のところ、この程度の長さと情報量ならば、ショボンは全てを記憶しておく自信はあった。
だがその場で感じたことはやはりその瞬間に記載した方が情報として確かなものであると考え、
特に今回は安全エリアでの追記ではなくリアルタイムの情報を入れるようにした。

実はその行動にはそれ以外にもいくつかの理由があるのだが、
彼自身それは杞憂で終わってほしいと思っていたため、彼の心だけが知っていた。

( ・∀・)「どうした?」

ショボンが漏らした一言に、モララーが反応する。

(´・ω・`)「いや、……調査班からメッセージが届いたからさ」

( ・∀・)「?調査班?……作戦中に?」

(´・ω・`)「うん。時間的にまだ調査は終わってないはずだし、
ついさっき状況確認の連絡ももらってるから何かなと思って」

.

236 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:47:09 ID:JCFDYpKw0

( ・∀・)「で?なんだって?」

(´・ω・`)「今から見るところ」

画面から目を離さずに軽く相手をするショボン。

( ・∀・)「……まだ見てないのかよ」

(´・ω・`)「見てないよ。さっきまで前の戦闘メモも書いてたし」

呆れたようなモララーの言葉をさらっと流すショボン。
全く気にせずにウインドウを操作している。

(・∀ ・)「お!なんすかなんすか!」

するとすぐ前を歩いていたマタンキがやってきた。

( ・∀・)「……」

(´・ω・`)「仲間からメッセージが届いたので確認をしようって話していたんですよ」

(・∀ ・)「いいっすね良いっすね。で、なんて書いてあったんすか?」

(´・ω・`)「いや、まだ見てないので」

( ・∀・)「(こいつのキャラあわねぇ)」

なれなれしくショボンの隣に並び、ウインドウを覗き込もうとするマタンキ。
しかし当然のことながら不可視モードになっており、マタンキには画面が見えない。

(・∀ ・)「ありゃ、見えない」

( ・∀・)「(当たり前だボケ)」

(´・ω・`)「マタンキさんは、このANGLERに入って長いんですか?」

自分の肩に顎を乗せるように覗いてきたマタンキ。
ショボンはそれをさりげなく避けつつウインドウを閉じた。

(・∀ ・)「俺っすか!俺は最近すっよ!」

.

237 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:48:18 ID:JCFDYpKw0

( ФωФ)「マタンキは前から釣り場でよく会っていたのであるが、
なかなかギルドには入ってくれなかったのである」

二人の会話を聞いていたロマネスクが歩調を緩め、ショボンとマタンキの横にきた。

それを見て更に後方に下がるモララー。

( ・∀・)「(やばい、なんかちょっとムカついてる。
なんだろ、これ。感覚が落ちたのか、鋭敏になったのか…。
落ち着け……おれ。冷静に観察しろ。ショボンの行動も計算に加えるんだ)」

(´・ω・`)「おや、そうなんですか?マタンキさん」

(・∀ ・)「昔パーティー組んでた時にちょっと気まずくなったことがあって、
それ以来出来るだけソロで動いてたんっすけどね。
ロマネスクさんとはうまが合ったっていうか」

( ФωФ)「釣りの腕もさることながら、ソロで動いているだけあって強さもすごいのである」

(´・ω・`)「それは先ほどまでの戦闘をみて感じていました」

(・∀ ・)「俺なんかダメダメっすよ。ただ闇雲に切りまくるだけっすから」

(´・ω・`)「またまたご謙遜を。斬撃は全て的確でしたよ」

(・∀ ・)「……すごいっすね」

(´・ω・`)?

( ФωФ)「流石ショボン殿である。あれだけの戦闘で我々の力量が分かるのであるな」

(´・ω・`)「それほどの事ではないですよ」

( ФωФ)「いやいや、『稀代の戦術師』の名はだてではないのである」

(;´-ω-`)「本気でそういった名前で呼ぶの止めてください」

笑うロマネスクとマタンキ。
苦笑いを浮かべるショボンを見ながら、モララーは今自分が抱いている負の感情を分析していた。



.

238 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:50:02 ID:JCFDYpKw0



(´・ω・`)「ここから先のエリアでは、戦闘があります」

ショボンの指示で街道の隅に集まる八人。

(´・ω・`)「お願いしていた通り、そこではロマネスクさん達三人にも戦闘に参加してもらいます」

( ФωФ)「うむ」

(・∀ ・)「任せてくれっすよ」

(-_-)「はい」

ショボンの言葉を受け、表情を引き締める三人。

(´・ω・`)「情報では、この先に出るのは狼男タイプの剣士が三匹、槍使いが一匹。
更に狼と蜂のポップが複数報告されています」

(´<_` )「結構多いな」

( ^ω^)「狼男の槍持ちは珍しいおね」

( ´_ゝ`)「二つ前の層でもでたよな。確か」

ξ゚⊿゚)ξ「居たわね。結構槍捌きがうまくて面倒だった覚えがある」

( ・∀・)「ああ出た出た。懐に入るのが面倒くさかった」

(´・ω・`)「情報によると、槍持ちが先頭に一匹、そのすぐ後ろに剣士が一匹。
少し距離を開けて剣士が一匹、その更に後方に一匹の順で出るらしい」

(´<_` )「その順序は変わらないのか?」

(´・ω・`)「今のところはね。
ただこの道は湖への道でその先の街へは別ルートで行けるから、
それほど情報は積まれてない。だから…」

.

239 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:51:07 ID:JCFDYpKw0

( ´_ゝ`)「臨機応変」

(´・ω・`)「そういうこと。一応担当は決めるけど、その都度指示を出すからよろしく」

( ^ω^)「いつもと一緒だお」

ξ゚⊿゚)ξ「よね」

(´<_` )「また身もふたもないことを」

( ФωФ)「吾輩達はどうしたらよいのであるか?」

(´・ω・`)「槍持ちはこちらで対処します。
剣士の内の一匹と、狼及び蜂が出てきた際の遊撃をお願いしたいのですが」

( ФωФ)「分かったのである。二人もよいであるな」

(・∀ ・)「腕がなるっすよ!」

(-_-)「大丈夫。問題ない」

(´・ω・`)「ただ、今話していた通り情報が少ない為変更の可能性もあります。
実際ここまでの道のりでも情報との相違点がいくつかありましたので」

( ФωФ)「!全て調査済みなのであるか?」

(´・ω・`)「はい」

驚いたロマネスクに驚きつつ頷くショボン。

今回のように戦闘をしながらのほぼリアルタイムでの情報整理は今まで行ったことが無かったが、
毎回自身やギルドのメンバーが行った戦闘は記録し、流通している情報との差異を確認していた。
今回も作戦のギリギリまで情報屋から情報を買いあさり、基本的な情報は完全と言ってもいいだろう。
整理した情報は情報屋にフィードバックを行い共有化を図っているが、
基本的にはギルドのメンバーの命を守るための行為であり、
ショボンにとっては当たり前で基本的な行為だった。

そのため、同じギルドマスターであるロマネスクが驚いたことに彼は驚いてしまった。

.

240 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:52:55 ID:JCFDYpKw0

(;ФωФ)「そ、それは全てのギルマスがやっているのであるか?」

(´・ω・`)「ギルマスがやっているかどうかは分かりませんが、
ある程度の大きさのギルドならこういった情報統制をする担当者がいるのではないかと思いますよ」

(;ФωФ)「マジであるか…」

(ФωФ)

(ФωФ )

(-_-)「僕は無理だよ」

(ФωФ;)

( ФωФ )

(・∀ ・)「ロマネスクさん頑張るっす!」

( ФωФ;)

( ФωФ)

(;´・ω・`)「え、いや、僕を見られても」

(;ФωФ)「……マジであるか…」

(;´・ω・`)「…とりあえず先に進みましょうか」

(;ФωФ)「そ、そうであるな」

あからさまに動揺したロマネスクを気遣いながら更に注意点をいくつか告げ、
戦闘エリアに足を踏み入れた。



.

241 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:56:08 ID:JCFDYpKw0

戦闘は、予定よりも長引いていた。

(;^ω^)「ツン!」

ξ゚⊿゚)ξ「こっちは大丈夫!そっちを片付けて!」

ブーンの剣が風となって狼男を切り裂き、ツンの細剣は光線のように光り輝いて狼男を突き刺す。
その攻撃は一つ一つが充分な攻撃力を持ちモンスターのHPを削るのだが、
倒すことが出来ないでいた。

▼#・w・▼「ギャウ!」

狼男の足元にいる狼。
姿はビーグルに似ているがその毛色は焦げ茶色で、一般的なモンスターである。
しかしビーグルと同じ特技を持ち、傍らに居る狼男のHPを回復することがあった。

▼#・w・▼「ギュワ!」

もちろんブーン達に対して爪や体当たりなどのの攻撃もしてくる。
その攻撃力も動きも脅威ではないため簡単にかわせるし、
たとえその攻撃が直撃してもVIPの六人にはほとんどダメージはない。
しかし動きは阻害されるため、狼男に体勢の立て直しや回復行動を取られてしまい、
戦闘は長引いてしまっていた。

(#ФωФ)「こりゃ!こりゃ!」

(-_-)「ふっ!はっ!」

ロマネスク達三人は更に苦戦していた。

三人に対してはショボン達の位置取りにより他の敵とは独立させて狼男一匹と戦ってもらっていた。
しかし狼男のHPが黄色になりかけた頃にその足元に狼が現れ、
狼男のサポートを始めた。

順調に狼男のHPを削っていた三人であったが、
お供の狼が現れた途端、一転してその戦いぶりは混乱していた。

.

242 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:58:07 ID:JCFDYpKw0

(・∀ ・)「うおりゃ!!」

マタンキの両手剣が狼男に向けて振り下ろされる。
しかしその体に狼が体当たりをくらわせ、軌道がずれた両手剣は空振りして大地に突き刺さる。

この場合、本当ならばロマネスクとヒッキーが狼の気をひいて相手をしていなければいけないのだが、
連携が取れておらず位置取りが出来ていない三人は互いが互いの動きを邪魔してしまい、
互いのフォローもモンスターへの攻撃も中途半端なものとなってしまっているように見えた。

それでもロマネスクとヒッキーは付き合いの長さからかアイコンタクトがかろうじてとれているのだが、
全く取れていないマタンキとはうまく連携が取れないでいる。
いっそのこと全員が声を上げて戦えばいいのだが、
もともとソロプレイヤーであるマタンキはそれが苦手で、
残る二人は互いとは声を出さなくても出来てしまっていたため声を出すのが逆に遅れてしまい、
思うように倒せずにいた。

(´<_` )「おい!ショボン!」

( ´_ゝ`)「どうする!」

事前情報よりも狼男は一匹多く現れ、兄者と弟者はそれぞれ狼男を一匹ずつ対応している。
そしてその足元にはそれぞれお供の狼がおり、ブーンやツンと同じ様に膠着状態と化していた。

( ・∀・)「あとはお前に任せる!」

兄者と弟者の攻撃は強力だが、連発には向かない。
つまり狼男に攻撃を仕掛け相手に大ダメージを与えることが出来るが、
その隙を狙って狼に襲われてしまい、追撃が出来なくなる。
かといって狼を狙えば狼男に隙を見せることになるためそれは出来ないでいた。

そこで活躍するのがモララーである。

モララーは主に兄者と弟者が戦っている『狼』と時折現れる蜂の相手をしていた。
空を飛ぶ敵に対して爪での攻撃は不利な様に見え、
実際短剣などリーチの短い武器を持つ者の中には苦手とする者も多い。
だがモララーの戦闘センスと経験の前では空を飛ぶというアドバンテージは無いに等しかった。
さらに言うならば、地を駆ける狼の素早さもとくに意味を持たない。

.

243 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 21:59:11 ID:JCFDYpKw0

モララーの持つ戦闘センス。
それは『読み』である。

戦闘経験と瞬時の観察により相手の動きを読み次の行動を予測する。
飛び道具を持たない敵ならば、自分に攻撃を仕掛ける動きさえ読めれば攻撃は当たらないし、
逆にこちらの攻撃を当てることが出来る。
どんなに素早くても移動する先が分かれば避けることも追うことも出来る。

ショボンのように味方の動きも考え、更に指示を出すのは苦手だが、
視界に入った敵の数が片手の指の数ほどなら、敵の動きを読むのはショボン以上、
ギルド一と言われている。

( ・∀・)「ほい!ほい!ほい!」

そして今その能力は如何なく発揮され、兄者と弟者のサポートをしていた。

(´・ω・`)「キープ!」

( ^ω^)「了解だお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ん!」

( ´_ゝ`)「早くな!」

(´<_` )「分かった!」

( ・∀・)「りょーかい!」

ショボンの声に反応してそれぞれにこたえる五人。

ショボンから出された指示は『キープ』
それは現状の維持。
今の状況で言うならば、本気は出さないで目の前の敵と対峙するということだった。

.

244 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:00:31 ID:JCFDYpKw0

そしてそのショボンは何をしているのかというと、位置取りをしていた。

この戦闘エリアは、鬱蒼と茂った木々の中を長い道が半円のように大きく弧を描く形をしていた。
木々によって視界は邪魔され、入り口から入ってある程度歩かないと出口が見えない長い道。
そして敵は反対側から進んでくるため、道の半ばごろで敵と遭遇するのがほとんどだった。

今回はブーンが先頭でツンが続いて走って早めにエンカウントを行ったため、
半ばよりは出口寄りで戦闘が始まった。
そしてその中の一匹をショボンとモララーが誘導して道の入り口近くまで移動させ、
その一匹をロマネスク達三人に引き渡しつつ戦況を確認していた。

(´・ω・`)「ロマネスクさん!さらに入口の方へ誘導してください!
入口近辺は蜂もポップしないはずなので落ち着いて戦えます!
残りの敵はこちらで抑えるのでそちらには行かせません!」

( ФωФ)「分かったのである!二人とも!分かったであるな!」

(-_-)「うん!行くよマタンキ!」

(・∀ ・)「おいっす!」

攻撃を重ねる三人。
そして狼男と狼を入口の方へ追いつめた。

(´・ω・`)「そちらは頼みます!」

( ФωФ)「任せるのである!」

ロマネスク達の位置を確認した後に逆側、VIPの面々が戦う場所に走り出すショボン。

.

245 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:01:49 ID:JCFDYpKw0

(´・ω・`)「兄者!5!重単範囲!弟者!3!単ノックバック!兄者と合流殲滅!
モラ!4!弟者の代わり!僕も入る!ブーンとツンは制限有りのキープアウト!」

腰に付けた円盤型の武器を手に取り、構えながら叫ぶ。

( ´_ゝ`)「おう!」

(´<_` )「よし!」

( ・∀・)「OK!」

( ^ω^)「わかったお!」

ξ゚⊿゚)ξ「遅い!」

ショボンの指示を受けて動きを加速させたブーン。
そしてそれを横目に見つつ、細剣の先を的確に相手に突き刺していくツン。

(´・ω・`)「1」

ショボンのもつ円盤が緑色に輝く。

(´・ω・`)「2」

簡単なモーションで円盤を投げるショボン。

(´・ω・`)「3!」

(´<_` )「うをりゃ!!!」

弟者が斜め右下から左上に大斧で狼男を切り上げると、一緒に衝撃波のような風が生まれた。

狼男はHPを減らされ硬直しつつ後退し、
足元の狼は旋風の様に吹き荒れた風によってその場に硬直する。

(´・ω・`)「4!」

(´<_` )「任せた!」

( ・∀・)「よいしゃ!」

.

246 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:03:09 ID:JCFDYpKw0

兄者に向かって走り出す弟者。

弟者がいた場所に移動するため走り出すモララー。

その背中に向かって攻撃を繰り出そうとした蜂のHPは既にモララーによって赤に変えられており、
背後から襲うショボンの投げた円盤によって胴体を切り裂かれると、その身体をポリゴンに変えた。

(´・ω・`)「5!」

( ´_ゝ`)「こんちくしょ!」

大金鎚を頭上に掲げ、勢いよく振り下ろす兄者。

モーション的にかなりの大振りな為狼男に逃げる隙を与えてしまったが、
掠る様にその身体に当てることが出来た。

攻撃判定としては肩先のほんの少しに当たるに終わったが、
狼男のHPが目に見えて減る。

そして地面に穴を開けるような勢いで振り下ろされた大金鎚は、
その場所を中心に半径数メートルの衝撃波を生んだ。

その威力で硬直する狼男とお供の狼。

更に兄者も剣技後の硬直をしてしまうが、狼男を背中から巨大斧が袈裟懸けに切り裂いた。

( ´_ゝ`)

それを見てにやりと笑う兄者。

弟者が振る巨大斧は更に縦横無尽に狼男を切り裂き、十数秒後にその場から狼男を消した。

後方から兄者のもとに駆け寄ったショボンの右手には、手元に戻ってきた円盤が持たれている。
そしていち早く硬直が解けそうになった狼を、手に持った円盤で切り裂いた。

更にそのまま走り抜け、武器を片手剣に持ち直すとモララーの横に立って狼男と対峙した。

ショボンに切り裂かれた狼は、攻撃を受けたことにより戦闘目標の変更を起こし、
走り抜けたショボンを追おうと向きを変える。

しかしその間に兄者の硬直が解け、狼のその体に、大金鎚が振り下ろされた。



.

247 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:04:17 ID:JCFDYpKw0


本気を出したブーンのスピードは、狼男はもちろん狼の動きすらも軽く凌駕する。
しかしスピードと引き換えに重さは捨てているため、
武器の能力と各種ステータスアップアイテムによって攻撃力を上げてあるとはいえ、
掠る程度の一撃を与えたところでは狼男のHPを大きく削ることは出来ない。

しかし一撃で減らすことの出来るHPが少量だとしても、
二撃、三撃と回数を重ねることによって与えたダメージの総量は増え、
二匹の狼男と二匹の狼のHPを着実に削っていた。

数を重ねて敵を倒すブーンに対し、ツンは正確で的確な攻撃を敵に与えることによって、
敵を倒すことが多い。

今回は風の様に舞うブーンとそれに翻弄される四体のモンスターに対し、
ツンは隙間を縫うような一撃を与えていた。
普通ならばブーンの動きを邪魔することを恐れて攻撃の手を休めいてしまいそうだが、
ツンは気にすることなくモンスターを攻撃する。

信頼。
ブーンは自分に当たる様なミスはしない。
そして自分の戦闘指向や動きをブーンは分かっているはずだから、
躊躇して動きを鈍らせてしまう方がブーンの動きを阻害するだけでなく、
自分もしくはブーンを攻撃してしまう可能性が出てしまう。
だから自分は自分の出来る精一杯をする。

そして懸念。
今のブーンの動きが100%の本気ではないのは分かっているが、
それでもこの速さは精神を消耗する。
脳が、神経が焼切れるような痛み、終わった後の疲労感や倦怠感。
出来るだけ早くモンスターを倒すことによって、ブーンの負担を減らしたい。

そんなことを漠然と思いながら、ツンは攻撃を重ねた。



.

248 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:05:44 ID:JCFDYpKw0


片手剣をメイン武器として持ったショボンは、戦闘自体はそれほど強くはない。
しかし敵の動きを読むことによってその動きを阻害しつつダメージを与えた。
そしてその横にはモララーが一緒に戦っている。
彼が使う爪は武器スキルも順調に上げてあることもあり、
更に敵の動きを読むことによって的確にダメージを与えている。

ショボンはそのモララーの動きすらも読みながら、先にいるブーンとツンの戦闘を注意しつつ、
後方にいる兄者と弟者がこちらに向かっているのを感じていた。

兄者と弟者が最初の一組の狼男と狼を倒した後は、決着は早かった。

四匹の狼男と四匹の狼、そして追加ポップした蜂三匹の計十一匹を倒した後、
一息つく間もなくロマネスク達が戦っているはずである道の入り口方面に向かう。

そこには、HPを赤くした狼男とタイミングよく攻撃を加える三人がいた。
狼男の足元に狼がいないところを見ると、首尾よく先に倒すことが出来たのであろう。

(・∀ ・)「すいっち!」

(-_-)「ん!」

マタンキの呼び声でヒッキーが踊り出る。
狼男は新たな敵に対応できず、その身体に刃を受けた。

( ФωФ)「ヒッキー!」

(-_-)「はい!」

ヒッキーが三連撃の最後を狼男に当てると同時に後ろからロマネスクが叫ぶ。
返事をしつつヒッキーが左に身体を寄せると、右側をロマネスクが走り抜けた。

( ФωФ)「決めるである!」

狼男の前に進んだロマネスクがまずは袈裟切りで一閃。
そして四連撃の剣技を繰り出すと、狼男はポリゴンとなった。

.

249 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:07:40 ID:JCFDYpKw0

(*ФωФ)「やったのである!」

(・∀ ・*)「やったっすね!」

(*-_-)「…よし!」

大きくガッツポーズをするロマネスク。
マタンキは飛び跳ねて喜んでいる。
普段は大人しくあまり感情を表に出さないヒッキーも小さくガッツポーズをし、
更には後ろからマタンキに抱きつかれて一緒になってジャンプをした。

それを少し離れて見守っているショボン達。

( ´_ゝ`)「大丈夫じゃないのか?」

( ^ω^)「だおね」

ξ゚⊿゚)ξ「油断は厳禁よ」

(´<_` )「そうだな。注意は必要だ」

( ・∀・)「ショボン、どうみる?」

(´・ω・`)「とりあえず、続行で」

ショボンの指示を受けてそれぞれに返事をしてから、
ロマネスク達三人のもとに近寄るVIPのメンバー達。

(*ФωФ)「ショボン殿!やったであるよ!」

(´・ω・`)「お見事でした。最後の方はコンビメーションも決まっていましたね」

(・∀ ・)「最初はまごついたっスけど、慣れたらこんなもんっすよ!」

(-_-)「マタンキが最後まで戸惑ってたくせして」

(・∀ ・)「……それは言ったらダメっす」

ヒッキーのツッコミに、苦笑いを浮かべながら頭を掻くマタンキ。

それを見たロマネスクが笑い、ヒッキーとマタンキも笑い出すと、
いつしか六人も笑顔を見せていた。


.

250 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:09:01 ID:JCFDYpKw0

−調査班−


一つ目のクエストの調査を終え、主街区の公園の芝生の上でシートとお弁当を広げる四人と一匹。
時間は正午から一つ分針を進めようとしていた。

(*゚ー゚)「お弁当は私とフサギコさんで作ったんですよ」

(,,゚Д゚)「うまそうだぞゴルァ!」

(*゚ー゚)「いっぱい作ってきたので、お二人もしっかり食べてくださいね」

▼・ェ・▼「きゃん!」

(*゚ー゚)「もちろんビーグルちゃんもだよ」

▼*・ェ・▼「キャンキャン!」

重箱の様な入れ物にぎっしりと詰まった美味しそうな食べ物は周囲の目を引き、
羨望の眼差しを感じながらも華麗に受け流しつつ、
四人と一匹は午前中のクエストの反省会をしながら完食をした。

(,,゚Д゚)( ゚∋゚)( ´∀`)「ごちそうさまでした(もな)!」

(*゚ー゚)「お粗末さまでした」

反省会を兼ねた食事は思ったよりも長引き、時計の針は正午から二つ目をさそうとしている。

(,,゚Д゚)「この後はどうするんだゴルァ?」

( ゚∋゚)「少し休憩したら、午前中の反省点を踏まえつつ少し上の階層を調査しようと思う」

( ´∀`)「そうもなね。
ショボンからも時間があったら見てほしい場所をいくつか出されているもなから、
その中から良さそうな所に行くもな」

これからのことを話しつつも、お茶を片手にのんびりと座っている三人。
しぃは広げられていたお弁当箱をしまった後、三人の湯飲みにお茶を注ぎ、
自分の分も用意してから座りなおした。

(*゚ー゚)「でも、足を引っ張らなくてよかったです」

.

251 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:10:14 ID:JCFDYpKw0

(,,゚Д゚)「そうだなゴルァ」

( ´∀`)「二人とも充分強いもなよ」

( ゚∋゚)「ああ。ギルドに入った頃とは雲泥の差だろう」

(*゚ー゚)「そうですか?」

褒められて、疑問の言葉で返しつつも嬉しそうにするしぃ。
ギコもまんざらではなさそうだ。

しかし、しぃの顔にすっと影が落ちる。

( ゚∋゚)「どうした?しぃ」

(*゚ー゚)「いえ…。実は、最近ちょっと思うことがあって…」

( ´∀`)「なにもな?」

(*゚ー゚)「……なんで、私たち二人はこのギルドに入れたのかなって」

(,,゚Д゚)「?」

モナーの問い掛けに、少しだけ躊躇した後口を開くしぃ。
そしてその言葉に、ギコが不思議そうな顔をし、
モナーがほんの少しだけ困ったような顔をしてから先を促した

( ´∀`)「どういうこともな?」

(*゚ー゚)「ギコ君を探してほしくてアルゴさんの紹介でVIPの皆さんに依頼して、
助けてもらえて…。ショボンさんからお話をいただいて…ギルドに入れていただいて」

( ´∀`)「そうらしいもなね」

( ゚∋゚)「おれ達はその場にいなかったが、後でショボンに聞いた」

(*゚ー゚)「はい。このギルドに誘ってもらえたのは、本当に感謝しています。
でも、それと同じくらい、不思議で…。
何故、私たちを入れてくれたのか」

( ´∀`)「どういう事もな?」

.

252 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:11:58 ID:JCFDYpKw0

(*゚ー゚)「…あの時の私たちは、浅慮で、無鉄砲で、力もなく、知識もなく……」

( ゚∋゚)「しぃ」

(*゚ー゚)「私たちをギルドに入れるメリットなんて、何一つありませんでした」

(,,゚Д゚)「…そうだな…」

( ´∀`)「ギコ」

(*゚ー゚)「そのうえ、私たちはそのことに気付いてもいなかった。
どこかで、攻略組じゃなくても、それほど強くなくても、
この世界を軽く生きていけるような気がしていたんです」

( ゚∋゚)「……」

(*゚ー゚)「ね、ギコ君。そうだったよね。私達」

(,,゚Д゚)「…そうだな。
俺は特に中層くらいなら戦っていける気持ちだった気がする。
今考えると、恥ずかしいぃぞゴラァ」

(*゚ー゚)「私も恥ずかしい。
私たちに足りないのはレベルだけだと思ってた。
スキルレベルの低さだけだと思ってた。
でも、違った。この世界で生きていくのに大事なことは、そんな事じゃないって気付いていなかった」

顔を見合わせ、自嘲するように言葉を紡ぐしぃとギコ。

( ゚∋゚)「今分かっているのなら、それで良いと思う。
おれ達は、死んでいない。ちゃんと生きている」

(*゚ー゚)「……はい。でもそれをわかったのはこのギルドに入って、
皆さんと一緒に戦ったり騒いだり、笑ったりするようになったからです。
言葉じゃなく、身をもって感じることが出来たからです」

( ´∀`)「…それで、何が不思議もな?」

モナーとの問いかけに熱く語っていたしぃの熱が一気に冷め、少し躊躇した後に口を開いた。

.

253 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:14:34 ID:JCFDYpKw0

(*゚ー゚)「だから、何故ショボンさんは私たちをギルドに誘ってくれたのかです。
今だってそれほど戦力じゃありません。
私たちが気にせず入れるように嘘までついて」

( ゚∋゚)「ショボンが?嘘を?」

(*゚ー゚)「はい。あの時ショボンさんは
『(´・ω・`)「攻略組とは違うので、戦闘はしなくても構いません。
今ここには来ていませんが、ほとんど戦闘に参加しないギルドメンバーもいます」』
と言いました。でも実際は職業スキルを鍛えていても全員戦闘に出ていました」

( ´∀`)「ふさは、ギルドに入った頃は戦闘はしていなかったもなよ」

(*゚ー゚)「でも私たちが入った頃はされていましたよ。
私たちがショボンさんに助けてもらった時に、
このギルドには戦闘に参加しないメンバーはいませんでした」

再び熱く語るしぃ。
普段の出来るだけ自制しようとする姿勢からはあまり想像できない熱の入り方で、
その様子からも真剣に考えていることを伺えた。

(;゚∋゚)「そうか…、うん、そうだな…」

そんなしぃの勢いに押されるように口ごもるクックル。
しかしその横のモナーは優しいほほえみを浮かべた。

( ´∀`)「ショボンは、嘘はつかないもなよ」

(*゚ー゚)「?」

(,,゚Д゚)「?」

( ´∀`)「つくときは何か理由がある時もなけど、
その時はギルドのメンバーには嘘とわかるように嘘をつくもな。
誘った時、二人は登録されたメンバーじゃなかったけど、
ショボンの中では既にメンバー扱いだったと思うもな。
だから、ショボンは嘘はついていないもな」

(*゚ー゚)「?ど、どういうことですか?」

.

254 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:16:43 ID:JCFDYpKw0

( ´∀`)「ショボンが考える『ギルド』と、しぃやギコが今考えている『ギルド』は、違うもなよ」

(*゚ー゚)!

(,,゚Д゚)!

(;゚∋゚)「お、おいモナー」

(*゚ー゚)「そ、それはどういう」

( ´∀`)「そこから先はモナーの口からは言えないもな。
でも、今しぃが言っていた不安や苦しみをちゃんとショボンにぶつければ、
ショボンはちゃんと答えてくれるはずもなよ」

(*゚ー゚)「……答えを教えてもらう……。それで、良いんでしょうか」

( ´∀`)「それは自分で考えるもなよ」

(*゚ー゚)「…はい」

( ´∀`)「でも、これは分かってほしいもな」

(*゚ー゚)「ギコ君も私も、このギルドのメンバーで、
このギルドが大好きで、みんなが大好きで、守っていきたいです。
そしてそれは、ショボンさんはもちろん、モナーさんもクックルさんも、他の皆さんも同じ……。
ですよね?」

( ´∀`)「そうもな、そうもな。それを分かっているなら何も問題ないもな」

(*゚ー゚)「はい!」

(,,゚Д゚)???

(*゚ー゚)「ほら、ギコ君も。帰ったらちゃんと説明するから!」

(,,゚Д゚)「お、おう!とにかく頑張るぞゴルァ!
おれんもしぃはもちろん、みんなが大好きだゴラァ!」

(*゚ー゚)「うん!頑張ろう!」

.

255 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:18:17 ID:JCFDYpKw0

立ち上がり、大きく伸びをするしぃ。
それにつられてギコも立ち上がり、両手を天に突くように身体をのばす。

そのまま出発の準備を始めたギコとしぃを見ながら、クックルがモナーに耳打ちした。

( ゚∋゚)「おいモナー。大丈夫なのか?いろいろ言ってしまって」

( ´∀`)「大丈夫もなよ。クックル。
ショボンに口止めはされていないもなし、ショボンがしぃに言ったことが間違ってないのなら、
最初から隠すつもりはないもなよ。きっと。それに……」

( ゚∋゚)「それに?」

( ´∀`)「そろそろ今の状態も変わっていく気がするもな」

( ゚∋゚)「?」

いつもと同じ柔和な笑顔を浮かべながらクックルに返すモナー。
クックルはその答えにほんの少しだけ違和感を感じたが、
打ち消す様に表情を引き締めた。

( ゚∋゚)「!そういえばモナー。
ショボンから来た連絡はなんだったんだ?
動揺していたようだが」

( ´∀`)「…クックルにはばれちゃってたもなね。
大丈夫もな。ちょっと気になったことがあったけど、ショボン達なら大丈夫もな」

( ゚∋゚)「それなら良いが」

( ´∀`)「……今日の夜、またみんなで話すもなよ」

( ゚∋゚)「ああ、分かった」

(,,゚Д゚)「二人とも!こっちは準備できたぞゴルァ!」

(*゚ー゚)「次はどこに行きますか?」

今にも飛び出しそうな勢いの二人にこれからの予定を話しつつ、クックルとモナーも準備を始めた。



.

256 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:19:24 ID:JCFDYpKw0

−教育班−


フィールドエリアの戦闘訓練を終えた後、五人は主街区外れの芝生の上で円になって座っていた。
緑色の柔らかい芝が広がっているのだが、念のため下には大き目のシートが拡げられている。
すぐそばは大きな樹があり日陰を作り、彼らを挟んで反対側には外に向かう小道があった。
時間的には外に出ていく者も街に戻ってくる者もいるが、
層自体がそれほど人気のある層ではないため人通りは少ない。

川 ゚ -゚)「反省はこれ位かな」

( ><)「…はい、ありがとうございましたなんです」

(*‘ω‘ *)「…以後気を付けるっぽ…」

( <●><●>)「私たちがまだまだなのはわかってます」
 _
( ゚∀゚)「おいおいおまえら、大丈夫か?この後も訓練するんだろ」

クーから突きつけられた注意点にあからさまに気落ちする三人。
しかしその後のクーの言葉で空気が一変する。

川 ゚ -゚)「さて、お待ちかねのランチタイムだ」

( ><)「やったです!」

(*‘ω‘ *)「ビロードはお子様っぽね」

( <●><●>)「お昼くらいで」

( ><)「!二人ともずるいです!」

身体全体で喜びをあらわしたビロードを見て、冷たくあしらう二人。
けれど先ほどまでの意気消沈ぶりから比べると、二人もテンションが上がったのは明らかだ。

( ><)「バーボンハウスの食事が外で食べられるって、昨日楽しそう話してたんです!」

(*‘ω‘ *)「何のことっぽ?」

( <●><●>)「そんな夢を見たのはわかってます」

.

257 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:20:43 ID:JCFDYpKw0

( ><)!!!!!
 _
( ゚∀゚)「おもしろいな、おまえら」

三人の漫才…というかビロードがからかわれているのを見て思わず言ってしまうジョルジュ。
それを聞いて三者三様の視線でジョルジュを見るが、クーが目の前に紙の袋を置いてくれたので、
一気に意識はそちらに向かった。

川 ゚ -゚)「とりあえずそれをひと袋ずつ。サンドイッチだ。で、これが…」

五人の中央に置かれる大き目の三段重ねの重箱。
もちろん漆塗りではないはずだが、木目の箱に深い味わいの色と光沢を放つその箱は、
日本の伝統工芸を思い起こさせた。

川 ゚ -゚)「本当は段ごとに何を入れるのか決まっているんだがな、今回は気にせずに詰めたそうだ」

クーの説明を聞きながらよだれを飲み込む四人。

クーはそれをまったく気にせずに、重箱を持ち上げた。

四人の目の前に広がる華やかな惣菜。
青野菜のサラダ。その中には赤いトマトの様な野菜が彩りを添える。
その横には茶色いからあげの様な肉料理。
別の場所には焼いた肉と白い野菜、そして緑色のキノコを串で刺して焼いてある物もある。
もちろん魚料理もあり、素揚げした小さな魚を細切りの色とりどりの野菜と共にタレに絡めた料理などが分かる。

( ><)「美味しそうなんです!」
 _
( ゚∀゚)「ショボン、気合入ってるな」

先程よりも更に分かりやすく喜びをあらわすビロード。
ぽっぽとワカッテマスは先に興味ないふりをしてしまった手前あまり気にしていないふりをしているが、
思わず呟いたジョルジュの言葉を聞き、ビロードと共に目をキラキラとさせた。

川 ゚ -゚)「こちらの段にはおにぎりも入っているが、さすがに多かった」

( ><)「食べます!」

(*‘ω‘ *)「食べるっぽ!」

( <●><●>)「食べられるのはわかってます!」

川 ゚ -゚)「…ら、別に包んで持って帰ってくれると嬉しいと言われていたんだが、大丈夫のようだな」
 _
( ゚∀゚)「こんだけ喜んでもらえるならショボンも本望だろ」

.

258 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:23:21 ID:JCFDYpKw0

ちょっと引き気味に三人を見るクーとジョルジュをキラキラとした目で見る三人」

川;゚ -゚)「それじゃあ食べようか」

( ><)「いただきます!」
(*‘ω‘ *)「いただきます!」
( <●><●>)「いただきます!」

ちゃんと両手を合わせて軽くお辞儀をした後、
それぞれに紙袋を開いたり重箱に箸をつける三人。

( ><)「サンドイッチも美味しそうなんです!」

(*‘ω‘ *)「このお肉!すごくジューシーだっぽ!味加減もほんのり塩味で最高だっぽ!」

( <●><●>)「この小魚の和え物はマリネに似ていますね。
ほんのり柑橘系の果実の様な香りと酸味が合わさって食が進むのはわかってます」

川 ゚ -゚)「のど詰まらせるなよ」

大き目のカップに飲み物を注いで三人の前に置くクー。
それぞれに「ありがとうございます」と言いつつも箸と口を動かすのを辞めない三人を見て、
クーもジョルジュも楽しそうな笑顔を見せた。

川 ゚ -゚)「デザートもあるからな、余裕を残しておけよ」

( ><)「はいなんです!」
(*‘ω‘ *)「わかったっぽ!」
( <●><●>)「それも完食するのはわかってます!」

川 ゚ -゚)「ほら、ジョルジュもちゃんと食べろよ」

三人の声を聴きつつジョルジュの前にカップを置くクー。
 _
( ゚∀゚)「クーは食べないのか?」

川 ゚ -゚)「私は…」

立ち上がり、小道を挟んだ反対側にある木を睨むクー。

川 ゚ -゚)「客が来たんでな。彼らを頼む」

.

259 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:24:32 ID:JCFDYpKw0

 _
( ゚∀゚)?

表情を引き締め、木を睨みながら一直線に歩き始めるクー。

川 ゚ -゚)「デザートは共通タブに入れておいた。
それまでには戻るつもりだが、戻らなかったら先に食べていてくれ」
 _
( ゚∀゚)「あ、ああ」

顔を見ないで呟いたクーの言葉は食事に夢中になっている三人にも聞こえ、
思わず口を止めて歩いているクーを見た。

その緊迫した雰囲気に、クーの背中をただ見つめる三人。

彼女の向う木の幹に、うっすらと人影が浮かんだのはそのすぐ後だった。
 _
( ゚∀゚)「…鼠のアルゴ」

短めの金褐色の巻き毛を持った、頬に髭の様な三本の線をペイントしている女性プレイヤー。
情報屋のアルゴである。

ジョルジュが呟いた『鼠のアルゴ』とは通り名であり、それは頬のペイントに由来した。

(アルゴ)「よ。久しぶりだナ。クー」

川 ゚ -゚)「何の用だ?」

(アルゴ)「ん?ご機嫌斜めカナ?」

川 ゚ -゚)「仕事中なんでね。…私のところに来るなんて、珍しいな」

(アルゴ)「VIPの誰かを探していたんだヨ。…会えたのが君でよかった」

川 ゚ -゚)「?どういうことだ?」

.

260 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:26:51 ID:JCFDYpKw0

(アルゴ)「ショボンは作戦中かな」

川 ゚ -゚)「ああ。私達とは一緒ではないが」

(アルゴ)「もしかして、もう57層に行っているのか!?」

川 ゚ -゚)「……ギルドの作戦内容をそうやすやすと喋るわけにはいかないが…」

いつも飄々としていてつかみどころ無いイメージであるアルゴが慌てているようにも見え、
違和感を感じつつもギルドとしての常識を伝えるクー。

(アルゴ)「そんなことを言っている場合じゃないかもしれないゾ」

川 ゚ -゚)「どういう事だ」

何かしらの危機を感じさせるアルゴの表情に、更に警戒するクー。
『この女は情報を手に入れる為なら演技をすることぐらい当たり前だ』
といった思いが頭をよぎり、心の警戒を更に深め、アルゴの動きを観察した。

(アルゴ)「まあでもこれはアフターフォローみたいなもんか。
……ショボンはお得意様だしナ」

川 ゚ -゚)?

アルゴが右手を振ってウインドウを操作すると、クーの目の前にもウインドウが浮かぶ。

川 ゚ -゚)「57層の地図?」

(アルゴ)「広げてみナ」

促され、警戒しつつも広げると、今まさにショボン達が進んでいるであろう場所を含む地図が現れた。

川 ゚ -゚)「これは」

(アルゴ)「ここ数日、ショボンからこの付近のモンスターや宝箱、
採取ポイント等の情報を求められてかなりの量を売った。
で、さっきになってこの情報が入ってきたんダヨ」

ショボン達の目的地である湖のそば、上から見ると90度近い角度で曲がる道のエリアと、
その次の小さな広場のような場所が赤く染められている。

.

261 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:28:03 ID:JCFDYpKw0

川 ゚ -゚)「この色の違う場所がどうかしたのか?」

(アルゴ)「どうも、トラップがあるらしいネ」

川 ゚ -゚)「トラップ?」

クーは警戒を忘れたようにアルゴの話を真剣に聞き始めた。
それを感じたのか、逆にアルゴの方は余裕を持ち始めている。

(アルゴ)「まだ確定情報じゃないから本来なら売らないけどさ、
お得意さんにいなくなられるのは辛いからサービスでメッセージ送ったんだけど、
どうもショボンに繋がらないんだヨ。あと、ドクオもネ」

川 ゚ -゚)「そのトラップはどんなものなんだ?」

クーもウインドウを操作し始める。
ショボン宛にメッセージを送るが、届いた形跡がない。

(アルゴ)「クリスタル使用不可領域の形成。モンスターの大量ポップ。
迷宮の中でなら今までもあったトラップだけど、ここにきてフィールドエリアにも…」

川 ゚ -゚)!!

(アルゴ)「その中では外部との連絡は取れない。もしかしたら……」

川   )「……そんな……」

(アルゴ)「もう、行っているんだネ」

表情をなくしたクーを見て、すべてを理解するアルゴ。

川 ゚ -゚)「協力を、感謝する。情報料は」

しかしクーはすぐに表情を引き締め、唇と共に心をきつく律した。
心の中で感嘆の声を上げるアルゴ。

(アルゴ)「これはまだ売れるネタじゃないんでネ。
さっきも言ったけど、アフターサービスでいいサ」

川 ゚ -゚)「分かった。何か分かったら、こちらからも連絡する」

(アルゴ)「……ああ。期待しているよ」

.

262 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:30:54 ID:JCFDYpKw0

片手を上げて数回手を握るようなしぐさを見せて会話を終わらせるアルゴ。
しかしその場を動こうとはしない。

川 ゚ -゚)「?どうした?」

(アルゴ)「いや、やはりただってのは不味いな…。
よければ情報料の代わりに一つ、教えてくれないかナ?」

先程とはまた種類の違う真剣な表情を見せるアルゴ。
その顔はクーにとっては初めて見る顔で、
警戒しつつも得体のしれない情報屋の素の一面を見たような気がしていた。

川 ゚ -゚)「なんだ?」

(アルゴ)「ショボンは、何を企んでいる?」

川 ゚ -゚)「は?」

思わずすっとんきょな声を上げてしまう。

(アルゴ)「……サブマスターにも話していないのか」

その反応から、自分の求める答えをクーは知っていないとアルゴは判断したようだ。

川 ゚ -゚)「確かに腹黒だが、ギルド外にまで影響があるようなことはしていないと思うぞ」

クーはそれに気付いていないのか、呆れたように返答する。

(アルゴ)「いや、いい、すまないネ。変なことを聞いて。忘れてくれ」

川 ゚ -゚)「ああ」

再び片手を上げてから踵を返すアルゴ。
しかし三歩程進んでから立ち止まった。

(アルゴ)「……ギルマスが一人でどこかに行くのと、道具屋の動向は注意したほうが良い」

川 ゚ -゚)「は?道具屋って、ブーンの事か?」

(アルゴ)「じゃあナ」

答えずに走り去るアルゴ。

クーはその背中を見送った後一瞬だけ笑い、すぐに表情を引き締め、
彼女と同じように踵を返した後、ゆっくりと仲間のもとに戻った
 _
( ゚∀゚)「おい、クー」

.

263 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:32:22 ID:JCFDYpKw0

川 ゚ -゚)「ショボン達と連絡が取れない」
 _
( ゚∀゚)「!?」

川 ゚ -゚)「おそらくはトラップに引っかかったと思われる。
内容はクリスタル使用不可領域の展開とモンスターの多量ポップ。
アルゴはショボン達の進むルートにそのトラップがある可能性を教えに来てくれた」
 _
( ゚∀゚)「…どうする」

ジョルジュに対し、簡潔に状況を伝えたクー。

ジョルジュは一瞬言葉をなくしたがすぐに状況を理解し、
ギルマス不在時のギルドの決定権を持つサブマスターに次の行動の許可を求めた。

『どうする』

彼の言ったその言葉は、すぐにショボンのもとに向かってくれという言葉を期待して出た言葉だった。

そしてクーはその期待を裏切る。

川 ゚ -゚)「『どうする』?私達の今日の仕事は彼らを鍛えることだ。
午後からの予定は40層のフィールドダンジョンでの練習だ」
 _
( ゚∀゚)「な!」

想像していなかった言葉に思わず言葉をなくすジョルジュ。
しかしすぐに我に返り、勢いよくクーに詰め寄った。
 _
(#゚∀゚)「クー!おまえ本気で言っているのか!?」

川 ゚ -゚)「私達に与えられた仕事は、ショボン達のサポートじゃない。
ここにいる三人に、私達の戦闘を教えて更に強くなってもらうことだ」
 _
(#゚∀゚)「ショボン達が死んでも良いって」

川#゚ -゚)「ショボン達が死ぬわけないだろうが!!!!」
 _
(;゚∀゚)!

.

264 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:36:01 ID:JCFDYpKw0

クーの剣幕に身をすくませるジョルジュ。

どちらかと言えば沈着冷静。
一緒にバカ騒ぎはしてもどこか落ち着いていて100%の感情というよりは
選んだ感情を外に見せているような雰囲気を持つ仲間の初めて見る姿に、
ジョルジュは驚きと共にその強さを再確認した。

そして落ち着いた彼の視界の隅に映る、震える手。

それが自分に対する怒りからくる震えではないことぐらいは、ジョルジュにも分かった。

川#゚ -゚)「おまえはショボン達が死ぬとでもいうのか!!!」
 _
( ゚∀゚)「…すまん」

素直に頭を下げるジョルジュ。

納得はしていない。
今すぐにでも仲間のもとに駆け付けたい。
けれど自分よりも仲間の事を『知っている』仲間が止める以上、動くことは出来ない。
 _
( ゚∀゚)「……」

それが如実に顔に出ていたのであろう。
クーが口を開いた。

川 ゚ -゚)「…ショボンは保険はかけておくと言っていた。
それならば、これくらいのトラップはもちろん、
考えられるうちの最悪の事態の斜め上のことが起きても対処できる保険のはずだ。
あいつは、そういう男だからな。
おまえも、あいつのそういうところを見てきただろ?
そしてその『保険』の中に『私達が駆けつける』ことは入っていない。
さらいに言うならこの『私達』にはモナーやクックル達も含まれる。
例えおまえやギコが駆けつけようとしても、
私やモナー、クックルが止めることも計算しているはずだ。
逆に私達が行ってしまうことであいつの計算が狂う可能性もある」
 _
( ゚∀゚)「そう…だな。ショボンなら、それくらいの計算はしていそうだ」

川 ゚ -゚)「だから私達は、信じて待つしかないんだ……」

お互いの顔を見ながら沈黙してしまう二人。

そしてそんな二人を見ていた三人が、おずおずと声をかけた。

.

265 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:37:09 ID:JCFDYpKw0

( <●><●>)「あ、あの…」

川 ゚ -゚)「おお、すまん。ちょっとこちらの話だ。
どれ、デザートも食べ終わったようだな。
それでは出発するか」

(*‘ω‘ *)「今日の訓練はこれで終わりでもいいっぽよ」

( ><)「充分訓練したんです!」

川 ゚ -゚)「それは出来ない相談だ」

( <●><●>)「本当は今すぐ行きたいのはわかってます」

川 ゚ -゚)「そりゃそうだ。仲間の危機かもしれないからな。
だが、私達はその大事な仲間に君たちの訓練を任された。
だから、まずはそれを実行する」

(*‘ω‘ *)「でもっぽ」
 _
( ゚∀゚)「大丈夫だ。あいつらは多少の事で倒される奴らじゃねえから」

( ><)「し、心配じゃ…」

川 ゚ -゚)「もちろん」
 _
( ゚∀゚)「心配だ」

( <●><●>)「な、なら」

川 ゚ -゚)「だが、それ以上にあいつらを信じているということだ」

(*‘ω‘ *)「信じてるっぽ…?」

川 ゚ -゚)「ああ、もちろん根拠のない信頼じゃない。
今までの経験、彼らの強さ、その知恵を知っているからこそだ」

( ><)「…知っているからこその信頼……」
 _
( ゚∀゚)「心配だし、本当ならすぐにでも駆けつけたいぜ。
でも、俺らがいなくってもあいつらなら、切り抜けられると信じることが出来るってことだ」

クーとジョルジュを見る三人。

.

266 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:38:19 ID:JCFDYpKw0

先程の二人の話を聞いていて、彼らの仲間に危機が迫っていることは分かった。
どんな危機なのかは想像でしかないが、おそらくは命の危険にかかわること。
けれど、目の前の二人は助けに行かないばかりか笑顔すら見せている。

けれど、クーの右手は震えており、それを隠す様に左手で抑えている。
先程までは無かった眉間のしわが、ジョルジュの顔に浮かんでいる。

自分ならば、すぐにでも駆け出す。

横にいる自分の友も、おそらくはそうする。

けれど、目の前にいる自分達とはレベルの違う強さと経験をもった者達は、ここにとどまっている。

それが自分たちにはない強さだとするのなら、そんなものはいらないと思った。

同時に、その強さがなんなのか知りたいと思った。

( <●><●>)「……強がりなのはワカッテマス」

(*‘ω‘ *)「でも、きっとそれが私たちに欠けているものっぽ」

( ><)「わからないんです。でも、わかりたいんです」

( <●><●>)「だから、早く次の訓練にいきましょう」

川 ゚ -゚)「そうだな」
 _
( ゚∀゚)「おし!行くぜ!!」

ジョルジュの掛け声ののち、素早く準備を整え始める五人。

そして数分後には、次の目的地、40層の主街区転移門広場に移動していた。



.

267 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:39:39 ID:JCFDYpKw0

-護衛班-


戦闘を終わらせた九人はその場でまずヒットポイントを回復させた。
次のエリアや前のエリアに移動することも考えたが、
エリア移動による新たなモンスターとの戦闘は避けたかったためである。

もちろん自分達の戦闘終了後移動しながら回復薬を飲んでいたVIPの六人は完全回復していたが、
ロマネスク達三人は戦闘後にすぐ飲み始めなかったため、
六人が周囲を警戒する中じっと回復するのを待っていた。

(・∀ ・)「このポーションも、飲んだらすぐ回復すればいいっすよね」

( ФωФ)「そうであるな。飲みながらじわじわ回復するのを待つのはいらいらするのである」

ξ゚⊿゚)ξ「クリスタル使ったら良いじゃない」

(-_-)「……それはちょっと……」

( ^ω^)「クリスタルは高価だからなかなか使えないおね」

( ФωФ)「そうであるな」

( ´_ゝ`)「だが、命には代えられないだろ」

( ФωФ)「どうしてもの時用に一応買って持っているであるが、
幸いなことにそれを使わなければいけないような状態になったことはないのである」

(´<_` )「本当に使わなければいけない時に躊躇しなければいいが」

(・∀ ・)「やっぱ思い切りが必要っすよね」

( ^ω^)「だおだお」

( ФωФ)「だがしかし、物が手に入らないことには…」

( ^ω^)「物自体は定期的に入荷してるから、頑張ってお金を稼ぐと良いお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。強いんだし、ギルドマスターならギルドのために釣り以外の事もしないとね」

( ФωФ)「…………」

(-_-)「ロマ、固まっちゃった」

ほのぼのとした笑いがいつしか湧き上がり、笑顔が浮かぶ。
そんな和気藹々とした雰囲気の中、三人のヒットポイントも全回復した。

.

268 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:41:06 ID:JCFDYpKw0

(´・ω・`)「さて、それでは出発しましょうか。
再ポップまでまだまだ余裕はある計算ですが、
先程のモンスターの数の様にイレギュラーなことが起きないとも限らないですしね」

ショボンの言葉に、それぞれに声を出して答える八人。

ヒットポイントが完全回復した時点で出発の準備は終わったため、隊列を整えながら歩き始めた。

そしてそれは、中央の大きなカーブを通り過ぎたところで起きた。

(・∀ ・)「宝箱発見!」

(´・ω・`)「え!?」

いきなり走り出したマタンキ。
隊列を外れ、カーブの内側の森の中に突っ込んでいった。

(´・ω・`)「マタンキさん!」

(・∀ ・)「宝箱は空けたもん勝ちって言ってたっすよね!」

(´・ω・`)「ダメです!このエリアに宝箱の情報は!!」

駆け出そうとしたショボンと既にマタンキのすぐ後ろに駆け寄ったブーン。

しかしマタンキは宝箱を開けていた。

(・∀ ・)「とりゃ!」

開けた瞬間、鳴り響く警報音。

赤く染まる空。

【CAUTION】

血の様な深い赤と闇の様に暗い黒に彩られた文字が空と周辺を飛ぶ。

それは時として今自分のいる世界がデジタルの世界だと忘れてしまうほど精巧に出来ている中で、
作り物の世界にいるということを瞬時に実感させ、そして恐怖が心を襲う。

.

269 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:42:17 ID:JCFDYpKw0

周囲の森からポップする緑色のゴブリン。

一メートル少しの体躯に緑色の肌。
頭や額には角を持ち、手にはこん棒や剣を構えている。

空には巨大蜂。
先程まで戦っていた蜂よりは小さいが、その羽音は耳障りで、警報音と共に心をざわめかせる。

森の奥からは体長二メートルを超えたゴーレム。
横幅もその身体を支えるにふさわしい大きさで、緑色のゴーレムはこん棒を、
茶色いゴーレムは体長より長い棍を、青いゴーレムは剣を持っていた。

鳴り響く警報に反応するかのようにポップし続けるモンスター達。

その中心にあるのは宝箱であり、
開けたマタンキはまるで呆けたように周囲を見つつ動かずにいる。

その影に気付いたのは三人。

警報が鳴った瞬間にエリアの出口付近から走り始めた黒い影。

その影が進みたい道を瞬時に判断し、まず動いたのがその三人だった。

( ・∀・)「とりゃ!!」

モララーの爪がゴブリンを切り裂き、数度の攻撃でポリゴンに変える。

( ´_ゝ`)「ふん!!」

兄者の鎚は数体のゴーレムを後退させる。
更に放たれた剣技による衝撃波はゴブリン達を巻き込んで吹き飛ばし、道を作った。

(´・ω・`)「解除を頼むドクオ!ブーン!出口の確認を!」

唯一その影の正体を正確に理解していたショボンの投げたナイフと針は蜂の動きを止める。
一撃で倒すほどの力はないものの、麻痺属性のナイフと毒属性の針の二重攻撃により、
ヒットポイントを減らしつつ動きを封じていった。

そうしてできた道を通り抜けた黒い影。
そして逆方向に青い風が吹き抜けた。

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270 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:43:29 ID:JCFDYpKw0

黒い影はショボンが呼んだその名を持つギルドVIP一のソロプレイヤー属性を持つ男。
ドクオが宝箱のそばに駆け寄った。

('A`)「罠レベルが高い。…おれでもぎりぎりか」

マタンキを押しのけて宝箱の正面に立ち、ウインドウを出して操作すると警報が鳴り止む。

('A`)「解除完了!全部倒すぞ!」

地面に座り込んでいたマタンキの首根っこを掴んだドクオが仲間のもとに走り出す。
自分より体の大きい男を半分引きずる様に連れて移動したドクオ。

その頃には既に陣形を整えており、ロマネスク達三人を中心に置いて、
周囲から押し寄せるモンスターに対抗していた。

ξ゚⊿゚)ξ「一匹一匹がそれほど強くはないのが救いね」

( ・∀・)「油断は禁物だぞ、おい」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたに言われなくても分かってるわよ」

( ^ω^)「ダメだったお。やっぱり出られない」

出口を偵察してきたブーンが戻ってきた。

ドクオがトラップを解除したことにより警報は鳴り止んだものの空は赤いままであり、
どうやらこのエリアは周囲から隔離されてしまったようである。

(´・ω・`)「トラップの発動による空間の閉鎖。
おそらくポップした敵を全部倒すか、僕達が全員死なない限り解除はされない」

('A`)「さらっと不吉なことを言うよな」

(´・ω・`)「現実は現実として認識しておかないとね」

(´<_` )「相変わらず冷静だなおい」

( ´_ゝ`)「おれ達も人の事は言えないだろ」

( ´_ゝ`)「おれ達は流石だからな!」(´<_` )

.

271 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:44:32 ID:JCFDYpKw0

軽口を叩きながらも敵を倒していく七人。

(´・ω・`)「とりあえず出口側に向かおう」

ショボンの一声で、ロマネスク達三人を守って戦っていた七人が隊形を変える。

出口に向かって先頭にブーンとツン。
進むべき道の正面にいる敵に攻撃を加える。
ブーンの機動性を生かしてはいないが、
二人のコンビネーションによる隙のない連続戦闘は確実に敵を倒しポリゴンに変えていく。

その後ろにドクオとモララー。
前の二人の視界から外れた敵を外側に排除し、
斜め前を含めた横からの攻撃を流し反撃しつつ前に進む。
倒しつつも深追いはせず、こじ開けられた道を広げることに意識を向け、
まずは移動することを優先していた。

その後ろに守るべき三人を連れ、しんがりを務めるのは兄者と弟者。

この二人の役割は倒すことではなく、近寄らせないこと。
広範囲の強い攻撃を放つことで敵を寄せ付けず、
更に互いの攻撃を的確に繋げることにより空白の時間をなくした。
コンビネーションということで言えば先頭の二人に劣らないのだが、
今回は敵の種類と仲間の特性を考えて一番後ろにいる。

そしてショボンは全方位に目を配っている。
全員の視界の死角。
放った攻撃の間隙。
その空白を狙ったモンスターの攻撃、いや動きに牽制の針を飛ばしている。
その攻撃は敵の攻撃を瞬間止めるだけだが、今仲間を守るにはそれで充分であった。

動きを止めたモンスターを追撃し、倒し、止め、
退けるのはそのモンスターの一番そばにいる仲間の役目なのだから。

全員が持てる力を存分に使い、出口の位置まで移動をした。

(´・ω・`)「よし!殲滅しよう!」

移動を終わらせ、ツン、ブーン、モララー、ドクオが振り向いた瞬間に飛ぶショボンの指示。

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272 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:45:29 ID:JCFDYpKw0

走り出すブーンとツン。
ドクオが続き、モララーがショボンに駆け寄る。

( ´_ゝ`)「景気づけの!」

(´<_` )「一発!」

放たれる二つの大技。

兄者の鎚は上下の衝撃。
ジャンプして放たれたそれはゴーレムの脳天を叩きながら大地を叩きつける。
その衝撃波は、下から上に向かう波動となって放射線状に広がって敵の動きを止めた。

弟者の持つ斧の攻撃は右から左。
横に並んだ二匹のゴーレムを切り裂き、そのまま後方にも斬撃が飛んだ。
そしてそのまま左から右への一撃。
少しだけ斜めに、空に向かって放たれた斬撃は二匹のゴーレムをポリゴンに変え、
後ろにいたゴブリンと蜂を後方にノックバックさせる。

兄弟の作った敵のいない空間に躍り出るブーン達三人。

二人の攻撃で動きを止めヒットポイントも減らした敵を追撃するブーンの剣。
風のように縦横無尽に敵陣の中を舞い、切り裂き、ポリゴンに変えていく。

ツンの動きは閃。
細剣を構え、隙を見逃さずに鋭い攻撃を与える。
正確性を上げた武器と己の能力値は、敵のヒットポイントを確実に減らした。

そしてドクオの動きは陰。
敵の死角と懐に忍び込み、武器を振るう。
必ず二回以上剣を振り、ソードスキルを使わずとも敵のヒットポイントを大きく削る。

そしてツンとドクオの攻撃によりヒットポイントを減らした敵は、ブーンという名の風の攻撃により、
ポリゴンへと変わっていった。

大技を放って三人の動くスペースを作った流石兄弟も、その後ろから敵を倒している。

特にゴーレムは動きは緩慢だが攻撃能力が高く、ヒットポイントもゴブリンや蜂よりは多い。
そのため三人の攻撃を潜り抜けてやってくる敵も多い。

というよりは、そこに二人がいることを分かっている三人が、あえて流していた。

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273 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:46:41 ID:JCFDYpKw0

(´<_` )「信頼してくれるのは嬉しいがな」

( ´_ゝ`)「もっとそっちで倒していいぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「遠慮しなくていいわよ!」

('A`)「働け」

( ^ω^)「おっおっ。そいつらは頼んだお!」

ここにきて無駄口をきく余裕も出てきたのか、会話も増えていた。

( ・∀・)「まったくこいつらは」

モララーは自分の背中側にいるロマネスク達三人に意識を向けつつも、
五人の攻撃を潜り抜けてやってくる蜂とゴブリンを退治していた。

その動きは無駄が無く、敵の動きに合わせて身体を動かし、
躱しながら反撃し、交わしつつ抑え、敵を倒していった。

ショボンは武器を持ち替え、円盤型の武器を縦横無尽に飛ばしている。
周囲の敵は仲間に任せ、道の広さと位置取りの関係で近寄れないでいる敵に攻撃をしていた。
それはすぐには結果の見えない行動だったが、徐々に効果を見せ始めた。

( ^ω^)「おっおっ。最初からヒットポイントが減ってるから楽だお」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴーレム以外はこっちにも回しなさいよ」

(´<_` )「いや、だからゴーレムもそっちで片付けてくれよ」

戦闘が長時間にも及ぶと、どうしても集中力が切れてミスが生まれる。
十回攻撃を当てれば倒せる敵に対して二回ミスをすれば、
その分相手に攻撃をするタイミングを与えてしまい、それだけ自分や仲間が死ぬ確率が高くなる。
ならば、十回で倒せる敵を九回で倒せるようにしてしまえばよい。
更に八回、七回にしてしまえばよい。
それを可能にしたのがショボンの攻撃であり、
前線で戦うメンバーはそれを分かっているからできる戦い方を行っていた。

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274 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:48:40 ID:JCFDYpKw0

敵のヒットポイント総量と現在のバーのカラーと幅から現時点でのヒットポイント量を推測し、
自分の攻撃によって削ることの出来る量を考えながら戦う。

敵との一対一での戦闘では誰もが行うことだが、その精度には個人によって雲泥の差がある。

更に周囲の敵と仲間の位置も確認して技を放つ。

集団戦、特にこういった乱戦状態では難しいことなのだが、
VIPの面子はそれを一見、事も無げに行っていた。

罠が発動してから今まで守られることしかできなかったロマネスク達三人も我を取り戻し、
武器を構えなんとか戦おうとするが彼らの戦い方を目の当たりにして二の足を踏んでいる。

(´・ω・`)「我々で何とかしますので後ろにいてください。
万が一そちらに流れた場合は声を駆けますのでよろしくお願いします」

ショボンの指示は口調は穏やかだが有無を言わさない力強さがあり、
三人はただ見守ることだけしかできなかった。

(´・ω・`)「右前前方のゴーレムの後ろに蜂二匹!」

六人が先頭に関係ない『会話』をしているのに対し、
ショボンは戦闘に関わる『指示』のみを口にする。

一体の強敵と相対した時やある程度統制のとれた敵集団を撃破する時の指示とは違うが、
それは要所要所で注意点や方向性の指示を出していた。

それはまるでショボンという司令塔のもとに他のメンバーが動くだけの様にさえ見える。

( ・∀・)「(……なるほどね)」

('A`)「(ハァ…マッタクアイツハ)」

普段と同じであり普段と全く違うその指示に、とりあえず前の敵を倒すことに集中するメンバー。

その戦いは30分を超えようとしているが、まだ終わりは見えていなかった。


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275 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:49:33 ID:JCFDYpKw0

-調査班-


モナーにメッセージが届いたとき、彼らはフィールドダンジョンの最深部で採取をしていた。

( ゚∋゚)「ショボンから渡されたデータよりも、収穫数が少ないな」

(*゚ー゚)「そうですね。代わりに載っていないアイテムが取れたりしてますけど」

(,,゚Д゚)「これ、おれのレベルじゃ判別できないから頼むぞゴルァ」

小ボスレベルの敵を危なげなく粉砕した後の広場。
円形に広がる芝生の周囲、大きな樹の根元にうすぼんやりと光る場所があり、
探索をするとアイテムがポップした。

( ゚∋゚)「敵の強さは変更が無かったが、獲得アイテムには変更があるな」

( ´∀`)「敵の強さも上がってたもなよ」

後ろから屈むように覗き込んできたモナーが声をかける。
足元ではビーグルがマントの裾と戯れていた。

(,,゚Д゚)「そうなのか!」

( ´∀`)「今確認したもなけど、リストに載ってる倒した敵の最大レベルが上がってたもな。
といっても1レベルもなけど、情報屋さんのリストに載っているレベルよりも大きいもなからね」

( ゚∋゚)「そうだったか」

(*゚ー゚)「でも、それほど強敵ではなかったですよね」

( ´∀`)「みんなが強くなったからそう感じただけもなよ」

(,,゚Д゚)「まだまだだぞゴルァ」

( ´∀`)「油断しないことは良いこともなけど、自分の今の強さを過不足なく判断するのも大事もなよ。
自分でするのが難しいなら、周りの意見を聞くのが大事もな」

(,,゚Д゚)「そうか。じゃあしぃ、おれの強さを教えてくれ」

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276 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:50:45 ID:JCFDYpKw0

(*゚ー゚)「…………ダメ出しになっちゃうから帰ってからね」

(,,゚Д゚)「…………お手柔らかに頼むぞゴルァ」

張り詰めた中にも穏やかな空気を纏って採取を続ける二人。

モナーは周囲の警戒に戻り、クックルがその横に立った。

( ゚∋゚)「モナー。このあとなんだが……」

( ´∀`)「今日はこれくらいで一度ホームに戻るのを提案するもな」

( ゚∋゚)「?まだ午後も早いし、このレベルならもう一つくらいクエストを」

( ´∀`)「今さっきクーからメッセージが届いたもな。
ショボン達がクリスタル無効及びモンスターポップの罠にかかったと思われるもな」

( ゚∋゚)「なんだと!」

あくまでも穏やかなモナー。
しかしその内容に思わず声を荒げたクックル。
しぃとギコも採取を終了していたため後ろに立っており、その会話を聞いていた。

(*゚ー゚)「も、モナーさん」

(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ!」

( ´∀`)「どうもこうもそのままもなよ。
さっき情報屋のアルゴさんからクーに連絡が入ったそうもな。
それによればショボン達が進んでいる予定のルートに詳細不明のトラップがある可能性があるらしいもな。
クーがショボンにメッセージを送ったけど届いた形跡もなく、
位置情報もロスとしているそうもな。
モナも確認してみたもなけど、同じく位置を確認できなかったもな」

(,,゚Д゚)「す、すぐに」

( ゚∋゚)「ああ。ホームへ戻ろう」

(*゚ー゚)「え?行かないんですか」

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277 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:52:49 ID:JCFDYpKw0

( ´∀`)「今モナ達が行っても、何の役にも立たないもなよ。
罠が発動したと思われる場所にたどり着くときにはすべてが終わってるもな。
もしくは、モナ達も罠にかかって……。終わりかもしれないもなね」

表情を強張らせたギコとしぃ。
しぃの顔色は青ざめている。

対してモナーとクックルは落ち着いており、クックルはさすがにいつもよりも厳しい表情をしているが、
モナーはあくまでも穏やかだった。

しかしその言葉は辛辣であり、ギコとしぃに自分の無力さを確認させたものだった。

(*゚ー゚)「で、でも…」

( ゚∋゚)「いつでも動けるようにホームで待機するのが一番だ。
ギコ、ブーンの店の手伝いをした時に道具屋の倉庫のマスター設定を貰っているだろ?」

(,,゚Д゚)「!あ、ああ。貰ってるぞゴルァ」

( ゚∋゚)「しぃ、ツンとショボンの」

(*゚ー゚)「はい!貰ってます!お店の食材庫と衣服の倉庫ですよね。
ふささんのお店の方も大丈夫です。
あと、兄者さんと弟者さんに武器・防具庫のマスターも。ギコ君は」

(,,゚Д゚)「!モララーの店も手伝った時に倉庫使ったぞゴルァ!」

( ゚∋゚)「ギコには牧場と農場のマスターも使えるようにしてある。
二人がいれば、ギルドの倉庫の中の物は全部出し入れ自由だ。
これは重要な役目だからな」

(*゚ー゚)「はい!」

(,,゚Д゚)「ゴルァ!」

( ´∀`)「それじゃあ戻るもな」

腰に付けた革のポーチから転移結晶を出すモナー。

それを見てギコとしぃも結晶を手にした。

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278 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:53:56 ID:JCFDYpKw0

( ゚∋゚)「よし、帰るぞ」

(*゚ー゚)「はい!」

(,,゚Д゚)「ゴラァ!」

クックル、ギコ、しぃの順に転移結晶を使ってその場から消えていく。

▼・ェ・▼「くぅん…」

( ´∀`)「心配もな?モナも心配もな」

不安げに自分の足にすり寄るビーグルを抱きかかえるモナー。
少しだけ強く抱きしめてしまいビーグルが体を震わせる。

( ´∀`)「あいつのこともあるもなから、何事も無ければ良いもなけど……。
でも、ショボン達なら大丈夫もな。ドクオとフサもそばにいるもなしね」

ビーグルのわきを両手で支えて空に掲げるモナー。

▼*・ェ・▼「きゃん!」

嬉しそうにビーグルが鳴く。

( ´∀`)「ビーグルもそう思うもなね!
よし!モナー達も帰るもな!」

クリスタルが壊れ、モナー達も自分たちのホームのある街へと飛んだ。



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279 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:55:59 ID:JCFDYpKw0

-護衛班-


戦闘が一時間を超えた頃、やっと終わりが見え始めた。

(´・ω・`)「よし、残りゴブ5!蜂7!ゴレ4!ブーンと僕は蜂に専念するよ!他は継続で!」

( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ( ´_ゝ`)( ・∀・)
      「了解!」
('A`)(´<_` )

ゴーレムや木々の後ろに隠れながら攻撃を始めた蜂に対してはショボンとブーンが担当し、
それ以外の向ってくる敵を他のメンバーで抑える。

その流れは今までと同じで、兄者と弟者が大技で敵のヒットポイントを削りつつ動きを封じ、
ドクオとツンが速攻をかけての撃破が基本の形だった。
モララーもそのラインから外れてやってくる敵に対応していた。

七人の顔には疲れが浮かんでいるが、それでも見えた終わりを感じて精一杯の戦闘を行っていた。

そして十数分後。

('A`)「ラスト!」

数が少なくなり、周囲の空間が空いて動きの良くなった敵に苦戦したものの、
最後のゴブリンの胴体をドクオの片手剣が切り裂いた。
そして耳障りな叫び声を上げながらポリゴンへと変わると、ブザーが鳴る。

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280 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 22:57:16 ID:JCFDYpKw0

(´・ω・`)「……トラップクリア……かな」

周囲に敵がいなくなってもそれぞれに武器を構えていたメンバー達。

しかし空が元の青空に戻り、ショボンの呟きを聞いて構えを解いた。

(;^ω^)「終わったのかお」

ξ;゚⊿゚)ξ「空も元に戻ったしね」

(´<_`;)「流石に疲れたな」

(;´_ゝ`)「流石なおれたちも流石にな」

('A`;)「…まだそんなことを言う余裕があるじゃねぇか」

一番先に飛び出して蜂を倒し続けていた剣を杖の様にしながらブーンが膝をつき、
そこにツンが駆け寄る。

そこに集まる様に動き出すメンバー達。
満身創痍でヒットポイントも全員イエロー、それももうすぐレッドになろうとする位置まで減っていた。
前の五人が動き出したのを見てから、同じように回復ポーションを口にしたショボンも歩き始める。



その背中に、剣技によって赤く光り輝いた剣が振り下ろされた。








第十一話 終





第十二話 錯走 に続く




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281名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 22:59:34 ID:uYVAmDJE0

すげー躍動感だった

282名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:01:18 ID:.g19utrE0
ですよねー!続きが気になる終わり方しやがって!乙!!

283名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:04:00 ID:L0P50wvs0
キタ━(゚∀゚)━!

支援です

284 ◆dKWWLKB7io:2014/03/30(日) 23:06:02 ID:JCFDYpKw0
以上、本日の投下終了です。

少し短くなりましたが、何とか三月中に投下となりました。


いつも乙とか応援とか、本当にありがとうございます。

次回は今回の連続話を一区切りさせる話になる予定です。

4月中にできればと思っておりますが、10日にSAOの新刊がでるのでもしかすると少し遅れるかもです。

それではまたよろしくお願いします。


ではではまた。

285名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:30:24 ID:l29AfXfg0


286名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:32:04 ID:wvcegoNw0

ドクオの側にずっといるハイン可愛い

つまりドクオ爆散しろ

287名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:40:07 ID:AT0bVYlU0
ナーブギア

288名も無きAAのようです:2014/03/31(月) 23:58:22 ID:StcC1//M0
おつ

289名も無きAAのようです:2014/04/02(水) 02:24:01 ID:bnY/CM2oO
ω・)乙。モララーのイラつきはマタンキにたいしてだったのかな…。あるいは?

290名も無きAAのようです:2014/04/03(木) 23:47:31 ID:ittrhoQI0
ショボンを切りつけたのはマタンキなんじゃなかろうかと予測している

291名も無きAAのようです:2014/04/04(金) 14:54:25 ID:f2Vv0wM60
ショボンかわすよな?な?

292名も無きAAのようです:2014/04/05(土) 04:50:43 ID:4ID4C/VQ0
4人が注視してる前でハイド出来るって相当じゃないですか?

293名も無きAAのようです:2014/04/05(土) 12:10:55 ID:RZvxGCe20
コンビメーション

294名も無きAAのようです:2014/04/05(土) 12:32:37 ID:b.0oGh8I0
あれ…モララー…最後…
まさかな…

295名も無きAAのようです:2014/04/06(日) 18:07:56 ID:de3/CFxA0
武器とは限らないじゃないか
武器の形した光るハリセンかもしれないだろ

296名も無きAAのようです:2014/04/06(日) 18:34:29 ID:Yrz5yTdo0
そんなセガの某オンゲじゃないんだから...

297名も無きAAのようです:2014/04/06(日) 19:11:35 ID:SjFbRNU.0
光るハリセン(最強武器)の可能性

298名も無きAAのようです:2014/04/08(火) 23:19:15 ID:TGScZ78kO
ω・)今までずっとほのぼのした感じだったから、今回は初めて窮地にたたされた緊張感がよかった。

299名も無きAAのようです:2014/04/12(土) 13:51:54 ID:7bBg6g/QO
今日初めて読んだけど原作より好きだ
作者応援してるから

300名も無きAAのようです:2014/05/02(金) 23:20:31 ID:7/vvUsCQ0
続きはまだですか?
楽しみにしてますね

301名も無きAAのようです:2014/05/04(日) 11:20:47 ID:cxCroq9I0
楽しみに待ってる
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1528.gif

まとめTOP絵をちょっとトレス

302名も無きAAのようです:2014/05/04(日) 11:58:13 ID:fIMHQmOI0
こいつ…動くぞ!?

303名も無きAAのようです:2014/05/07(水) 07:46:00 ID:7yZ4oo2w0
やるじゃない…

304 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:02:57 ID:TgzbIDL20
ぶ、ブーンが動いとる……。


ありがとうございます!!

305 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:08:10 ID:TgzbIDL20
それでは、第十二話の投下を始めたいと思います。

よろしくお願いします。

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306 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:10:08 ID:TgzbIDL20




第十二話 錯走





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307 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:12:09 ID:TgzbIDL20

1.作戦(夕方)




澄んだ金属音が周囲に響く。

その音に振り返ったドクオ、ブーン、兄者、弟者、ツンは、
即座に腰のポーチから取り出したヒールクリスタルでヒットポイントを全快させた。
そして武器を構えて走り出そうとするが、
ただ一人悠然と自分達を見ているショボン笑顔を見て、動きを止めた。

いつでも動けるように、武器は構えたままで。

(´・ω・`)「ありがとう、モララー」

( ・∀・)「少しは防御しろよ」

自分のすぐそば斜め後方ににいるであろうモララーに、振り向かずに言葉をかけるショボン。

すでにモララーのHPは全快している。
今ショボンを背後から攻撃しようとした者がトラップ解除後から
ショボンしか見ていないことに気付いていた彼は、
密かにクリスタルを使用していたのだ。

(´・ω・`)「今回の作戦では、モララーに命を預けてたからね」

(;・∀・)「まったく……。で?これが答か?」

(´・ω・`)「さあ。どうだろ。まだ振り向いてないし」

( ・∀・)「おまえは…」

ショボンを狙って後ろから振り下ろされた剣。

赤く鈍く光る剣技によって振り下ろされた剣を止めたのは、モララーの爪だった。

( ・∀・)「まったく。横にいたおれが気付いていなかったらどうするつもりだったんだよ」

(´・ω・`)「だから、今回は命を預けてたからさ。
それに、確信してたよ?モララーなら守ってくれるって」

(;・∀・)「はぁ…」

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308 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:13:29 ID:TgzbIDL20

モララーの爪も青く輝いている。

爪に止められてからずっと、剣を振り下ろした者は力を込めて剣を押し力任せに攻撃を続けているが、
モララーの爪を押し込んでショボンにダメージを与えることが出来ないでいる。
それどころかモララーは笑顔を見せていた。
更に言えば力任せに剣を振り下ろそうとしている者を小馬鹿にしたような顔で見ていた。

( ・∀・)「ソードスキルはタイミングとどれだけシステムの流れに力を乗せることが出来るかだ。
ただ闇雲に力を加えたところでそれは攻撃力をアップさせることは出来ない。
そしてそれを続けたところでソードスキルを続けることには限度があるし……」

剣を振り下ろした者がそれに気付いたのと、モララーがにやりと笑ったのはほぼ同時だった。

剣が光を失う瞬間に力を込める方向を変え、爪との反発力を使って後方に飛び退いた男。
そしてそれよりも早く剣技を続けるモララー。
とは言ってもモララーの使った剣技も単発重攻撃の一つであり、爪による追撃は出来ない。

つまり本来ならばお互いに剣技の終了による硬直を起こすところなのだが、
モララーは追撃を行った。

(#・∀・)「はっ!」

普段のモララーには似つかわしくない、力の籠った低い掛け声から放たれたのは、左手の拳。

剣の使い手が驚きで息をのむ。

それはそうだろう。
これは知る人ぞ知る剣技の連携。
爪の剣技から流れるように繋がって放たれた体術スキルの技。

反応の遅れた剣の側面に、青く光る左の拳が当たる。

鈍い激突音の後、砕け散る剣。

その音を聞いてようやく振り返るショボン。

呆然としながらも更に後方に飛び退いた者を見て口を開いたが、
それは喋るためではなく驚きのためだった。

(´・ω・`)「?…あなたが?」

意識せずに漏らしたショボンの言葉を聞き、その者は悲しそうに顔をゆがめながら呟いた。

.

309 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:14:16 ID:TgzbIDL20





(-_-)「…死んでください。ショボンさん」





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310 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:15:36 ID:TgzbIDL20

軽く二度指を振ると新しい片手剣がヒッキーの左手に現れる。

(´・ω・`)「……クイックチェンジ……」

ヒッキーの行った操作を冷静に観察しながらも、
取り出したクリスタルで自分のヒットポイントを全回復させるショボン。

そしてその間にヒッキーは剣を右手に持ち替え、ショボンに切っ先を向けた。

(;ФωФ)「ヒッキー!止めるのである!」

(・∀ ・;)「ヒッキーさん!いきなりどうしたんっすか!」

その光景を驚きと共に見守ってしまっていた二人が声をかける。
しゃがんでいたロマネスクを後ろから支えるように抑えているマタンキ。
二人とも動揺しているように見えるが、特にロマネスクは酷く狼狽えているように見える。

(-_-)「…死んでください」

二人の言葉を無視して突撃するヒッキー。

その瞬間速度はモララーの予測を超え、進路を防ぐことも出来なかった。

(;・∀・)「ショボン!」

再びショボンに向かって振り下ろされる剣。
今度は剣技を発動していないが、攻撃力は相当なものだろう。

('A`)「ま、今度はおれが守るわけだけど」

鳴り響く金属音。

いつの間にか傍に寄っていたドクオが振り上げた片手剣が、振り下ろされたヒッキーの片手剣を弾いた。

(;´・ω・`)「ドクオ!」

('A`)「おれにも良いかっこさせろよ」

剣を弾かれて体勢を崩したヒッキーに追撃をするドクオ。

.

311 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:17:31 ID:TgzbIDL20

川を流れる木の葉の様な軌跡を描きながら剣を振る。
動きの先を予測しにくいその剣を、体勢を整えながら弾くヒッキー。
そしてその力を使って後ろに飛び、構えを整える。

('A`)「!」

ドクオはヒッキーのその一連の動作に驚きつつも、更に前に出た。

(;-_-)「邪魔をしないで!」

('A`)「殺しをしたいならおれでもいいだろ」

(-_-)「それじゃあ……」

ヒッキーの片手剣がドクオを攻撃する。
それらすべてを受け流すドクオ。

('A`)「そんな攻撃じゃおれは倒せないぞ」

(;-_-)「どいて…ください」

ヒッキーの攻撃は決して甘くはない。
それを受け流す実力をドクオが持ち合わせているだけで、
生半可な実力の持ち主では、既にその刃の餌食となっていることだろう。

(;-_-)「くっ…」

('A`)……

どこか辛そうに、けれど覚悟を感じさせる面持ちでドクオを見るヒッキー。

再びヒッキーの剣がドクオを襲う。
しかしそれはドクオを傷つける為というよりも、ドクオを退かすか横をすり抜けるための攻撃であった。

('A`)「悪いけど…」

ヒッキーの目的が分かっている以上、その動きを邪魔する為に何をすればいいのかは、簡単に分かる。
もちろんその行動を実際行えるかどうかは別の話なのだが、ドクオは一見軽々と行っていた。

.

312 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:18:53 ID:TgzbIDL20

('A`)「おまえの思う通りにはさせないさ」

以前に観察した通り、ヒッキーは相当な実力者だったことを確信しつつ、ドクオは応戦する。

おそらくは自分と同等のレベル。
自分よりもレベルが高い可能性もある。

そんなことを考えながら、剣を交わす。

時折自分からも攻撃を仕掛けてはいるが、それはヒッキーを後退させる目的のためであり、
彼を傷付けるつもりは微塵も無い。

(-_-)「……」

ドクオと剣を交わすことにより、今のままでは目的を達することが出来ないと思ったのか、ヒッキーは呟いた。

(-_-)「恨まないでください」

ヒッキーの剣のスピードが上がる。

('A`;)「うをっ」

スピードだけでなく、一撃一撃の重さも別物のように重くなっていた。

('A`)「だけど!」

本当のところ、その急激な変化にドクオは驚いていた。
しかし表情には出さず、すぐにそれに対応してヒッキーの攻撃を捌いていく。

対人戦において、相手を傷付ける覚悟の有る無しは、その攻撃に顕著に現れる。
同等のレベルで使用武器も同じ、そして装備のレア度も同じな二人が戦えば、
その心の差が勝敗を分ける。

('A`)「ここを通すわけにはいかない!」

だが、ドクオはヒッキーの剣を抑えた。

.

313 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:20:05 ID:TgzbIDL20

それは自分の後ろにいる仲間を守りたいという思いと、
同等レベルの者達との真剣勝負という経験量の違い。
ドクオはその二つによって剣にこもる心の差を埋め、更に凌駕した。

(;-_-)「なんで…」

('A`)「悪いな」

VIPの中で行われる決闘形式の訓練は、対人戦闘という場においての訓練でもあった。
罰ゲームや雰囲気を柔らかくすることで訓練そのものは穏やかなものとしていても、
実際の決闘は至極真剣に相手を倒すために自分のすべてを出し切って戦っている。
それによってVIPのメンバーは、対人戦闘において数値に現れないスキルを鍛え、磨いていた。

ヒッキーが振り下ろした大振りの一撃を弾き返すドクオ。

大きな攻撃が弾かれればその分大きな反発が生まれる。

(;-_-)「くっ」

(;ФωФ)「やめるのである!ヒッキー!」

(・∀ ・;)「だめっすよ!ヒッキーさん!」

衝撃により、ドクオの剣から離れたヒッキー。
体勢を立て直しながら構えを取ろうとした瞬間、ヒッキーに向かって細剣、鎚、斧、爪が襲い掛かる。

しかしそれは空振りに終わった。

ξ#゚⊿゚)ξ「逃げないで戦いなさい!」

(´<_` )「おれ達もいるぞ」

( ´_ゝ`)「死ね」

( ・∀・)「素早いな」

意識していなかったはずの四人からの攻撃を避け、バックステップを踏んだヒッキー。

ショボン達ともロマネスク達とも距離を取り、両方を見ながら剣を構えている。

(;ФωФ)「ヒッキー!」

(;-_-)「ロマネスク……さん」

.

314 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:21:36 ID:TgzbIDL20

(;ФωФ)「もう止めるのである!我は」

(・∀ ・;)「ロマネスクさん!!…ダメっすよ!ヒッキーさん!」

(;-_-)「くっ」

ヒッキーに近付こうとするロマネスクを止めるマタンキ。
ロマネスクの使う片手剣とマタンキの使う両手剣は近くの地面に突き刺してあり、
今の二人は丸腰である。

(´・ω・`)「二人とも、とりあえず武器を」

(;ФωФ)「そ、それは」

(・∀ ・;)「ヒッキーさん!俺らは丸腰っす!
ヒッキーさんはそんなことをする人じゃないって信じてるっす!
だから!!」

ロマネスクを後ろから支えながらヒッキーに言葉を投げかけるマタンキ。

(・∀ ・;)「ヒッキーさん!!」

(;-_-)「くっ…」

改めてショボン達に対して切先を向けるヒッキー。

ショボンを中心に、左に兄者とツン、右に弟者とモララーが立つ。

(-_-)「僕は…僕は………。殺さなきゃいけないんだ」

ヒッキーの剣が再び赤く光った。

(´・ω・`)!

( ・∀・)!

ξ゚⊿゚)ξ!

( ´_ゝ`)!

(´<_` )!

その時、青い風が吹き抜けた。

.

315 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:22:56 ID:TgzbIDL20














( ^ω^)「どーーーーおぉっっっん!!!」













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316 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:23:53 ID:TgzbIDL20

両手を広げたブーンが掛け声とともに真横から自分のふくよかな腹を使って体当たりをした。

ξ゚⊿゚)ξ「あのバカ」

五人の後ろから吹き抜けたブーンという名の風。
そしてその風の陰から躍り出る一人の男。

ドクオが、ブーンの体当たりによって転がった男の首元に、片手剣の切先を当てた。

('A`)「武器を離して大人しくするんだな」

転がった男はすぐに体勢を立て直していたが、自分に刃を向けた男に睨む。

しかしそれは一瞬のことで、すぐににやにやと笑顔を見せた。

そして視線をショボンに向ける。

.

317 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:24:40 ID:TgzbIDL20



(・∀ ・)「いつから気が付いてたんっすか?」



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318 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:25:50 ID:TgzbIDL20

マタンキが右手に持っていたアイスピックのような武器を離し、
両手の掌を空に向け、おどけた様に笑った。

(´・ω・`)「違和感は、最初から」

(・∀ ・)「さぁっすがショボンさんっすね。ってぇことはぁ、全部計算っすかぁ?」

(;-_-)「ロマ!」

(;ФωФ)「ヒッキー!」

態勢を崩して倒れていたロマネスクだったが、その原因を作ったブーンと、
即座に駆け寄っていたツンによってマタンキとは離れた場所に移動していた。

そこに片手剣を放り出したヒッキーが駆け寄る。

(;-_-)「ロマ!大丈夫!!」

(;ФωФ)「ヒッキー!すまなかったのである!吾輩のためにあんなことを…」

(;_;)「よかった…」

ξ゚⊿゚)ξ「詳しいことは後で聞くけど、とりあえずそこにいなさい。
ブーン、身体は大丈夫?」

( ^ω^)「僕は大丈夫だお」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあこいつら監視してて。私が戻ってくるまでもう動くんじゃないわよ」

( ^ω^)

ξ#゚⊿゚)ξ「返事!」

(;^ω^)「はいだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「よろしい。動いたら後でどうなるか分かってるわよね」

(;^ω^)「……はいだお」

.

319 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:26:57 ID:TgzbIDL20

ツンはブーンの二度目の返事を聞いてから、一目散に駆け出した。

その場に残ったのは三人。
震えているヒッキーを落ち着かせるように肩に手を乗せているロマネスク。
その横に、一歩退いた形で二人を観察する様に座るブーン。
そしてブーンの視線の延長線上には、ツンが駆け寄ったショボン達がいた。

(´・ω・`)「すべての物事が計算通りに進むのなら楽なんですけどね」

(・∀ ・)「まぁたまたぁ。味方はもちろん敵の行動すら駒の様に扱ってるくせにぃ」

(´・ω・`)「……人聞きの悪い」

(・∀ ・)「いやぁ。さすが鬼畜なショボンさんっすよね」

( ・∀・)「なんだこいつ」

(・∀ ・)「で、駒の皆さんはいつから気付いてたんっすかぁ」

ξ゚⊿゚)ξ

( ´_ゝ`)

(´<_` )

無言で武器を構えなおす三人。

('A`)「そこの三人、落ち着け」

(・∀ ・)「お!さぁすが筆頭駒のドクオさんっすねぇ。
どんな時も冷静でかぁっこいいぃっすよ」

('A`)「………ちょっと黙ってろ。クズ」

(・∀ ・)「ありゃ。筆頭駒さんまで怒っちゃいましたぁ?
すぅみまぁせぇ〜ん。だまっていいぃっすぅかぁ?ショボンさん」

(´・ω・`)「…完全に黙られても聞きたいことがあるから困るけど、
ちょっとは静かにはしてほしいかな」

(・∀ ・)「はぁ〜い。駒の皆さんもおしずかにぃどうぞぉ」

.

320 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:28:51 ID:TgzbIDL20

ξ゚⊿゚)ξ「……さっさと倒そう」

( ´_ゝ`)「同感だ」

一歩踏み出したツンと兄者の前にショボンの背中が立ちふさがった。

ξ゚⊿゚)ξ「ショボン」

( ´_ゝ`)「おまえ」

(´・ω・`)「乱戦状態にして逃げるつもりみたいだけど、逃がすつもりはないよ」

(・∀ ・)「ありゃぁ。ばれちゃってるっすね。ざぁんねん」

モララーと弟者が静かに動き、マタンキを囲む様に立つ。

(・∀ ・)「すげぇっすよショボンさぁん!よぉく訓練された駒っすね!」

本気で感心したような、けれどイラつく喋り方でショボンに語りかけるマタンキ。

それを受けてツンと兄者の武器が陽光にきらめくが、まだ襲い掛からなかった。

(・∀ ・)「……ホント、よく訓練された駒っすね」

誰にも聞こえないような小さな声で呟いたマタンキ。

ドクオが切先をマタンキの首元に当てたまま身体を動かし、足元にある武器を兄者に向けて蹴った。

('A`)「兄者、頼む」

( ´_ゝ`)「……ん」

武器を下し、マタンキを睨みながら転がってきた武器を手に取る兄者。

(´・ω・`)「どう?」

( ´_ゝ`)「ほどほどにレア物だな。怪物級ではないが……一撃刺殺属性も持ってる」

(´・ω・`)「なるほどね」

.

321 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:31:01 ID:TgzbIDL20

(・∀ ・)「うまぁくいくと思ったぁんすけどねぇ〜。稀代の戦術師様にはばれちゃったぁかぁ。
どおぉしてぇばれたぁのかなぁ」

(´・ω・`)「……」

(・∀ ・)「あれぇれぇえ。黙ってどぉしたんっすかぁ?」

(´・ω・`)「僕を殺すことが目的…ではないよね?誰でもいいから殺すことでもない。
目的は、何?」

(・∀ ・)「なぁんでしょぉ」

ξ#゚⊿゚)ξ「あーもうその喋り方やめなさい!イライラする!」

(#´_ゝ`)「斬るか」

(・∀ ・)「だぁめっすよぉ。たんきはそんきっていぃますしぃ」

(´<_` )「兄者、落ち着け」

( ・∀・)「ツンも。イライラしても隙を作るだけだ」

ξ#゚⊿゚)ξ「分かってるわよ!」

( ´_ゝ`)「弟者がそういうなら抑える」

(´<_` )「きも」

ξ゚⊿゚)ξ「きも」

( ・∀・)「きも」

('A`)「きも」

(´・ω・`)「きも」

(・∀ ・)「きも」

大金鎚を構えなおした兄者。
それを抑えるように、目の前にツンの細剣の切先が横から差し出される。

.

322 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:32:01 ID:TgzbIDL20

ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず冷静にはなった。礼は早めに言っておく。ありがと」

( ´_ゝ`)「え、あ、うん」

冷静になったツンの言葉で冷静さを取り戻す兄者。

そして言葉も目線も交わさず、ただマタンキを警戒しながら左右に分かれて移動する二人。

(・∀ ・)「ありゃりゃぁ」

マタンキと彼の首元に片手剣の切先を当てたドクオを中心に、武器を構えた五人が並んだ。

(´・ω・`)「さて、答えてもらおうか」

(・∀ ・)「きれぇいにぃ、囲まれちゃいましたぁかぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「もう無駄よ。あんたのその言葉より、兄者の方がきもいから」

( ´_ゝ`)「え?そういうことだったの?」

(´<_` )「兄者ナイス」

('A`)「よくやった」

( ・∀・)「流石だ」

( ´_ゝ`)「……ものすごくうれしくない」

軽口は叩いているが、その視線と構えは厳しくマタンキを警戒している。

(・∀ ・)「もおぉぉぉ。みなさぁんれいせぇいなんでぇすぅねぇ」

(´・ω・`)「もう無駄だよ。そろそろ質問に答えてもらいたい」

(・∀ ・)「さきにぼぉくの質問にこぉたえてぇ、ほぉしいなぁ」

(´・ω・`)?

(・∀ ・)「どぉしてばぁれたぁんすぅっか?」

.

323 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:33:01 ID:TgzbIDL20

(´・ω・`)「……」

(・∀ ・)「見当はぁ。つぅいているっすぅけどね」

首元の剣を気にすることなく、ただショボンを見るマタンキ。
その表情は笑顔で嬉しそうですらあり、口調とあいまって全員の心に小さなささくれをつくる。

(・∀ ・)「モナーかクックル。っすよねぇ?いや、モナーだけかなぁ」

(´・ω・`)

表情を変えないショボンを見て、笑顔を見せ続けるマタンキ。
ほんの少しだけ、口の端が引きつった様に上に上がった。

(・∀ ・)「せぇいかぁいだぁ。
あ、ねぇねぇショボンさぁん、クックルはまだ喋ぇることがぁできないんすぅよねぇ。
ってぇことはぁ、あの時のぉことをぉ、まぁだぁ気にしてぇるっすねぇ。
狙いどぉおりだぁけどぉ、ほぉんとぉに愚かぁなやつだぁなぁ」

最後の言葉は全員の感情を爆発させた。
そしてそれをマタンキは見逃さない。

思わず片手剣を握る手に力を込めたドクオの顔を、マタンキは再び見る。
そして、その凶悪な笑顔を初めて正面から見て思わず息をのんでしまったドクオに向かって、
しゃがんでいたマタンキは立ち上がろうとした。

それは喉元に当てられた片手剣に自ら刺さろうとすらしている行為であり、
息をのみ警戒心に穴を作られたドクオは思わず剣をひいてしまう。

そしてマタンキの手は立ち上がる前から動いていた。
手首を二度振り、その手に両手剣を持つ。

それは簡単な操作でストレージから武器を取り出すスキル。
つい先ほどヒッキーが行ったと同じスキル『クイックチェンジ』によって、
瞬時にマタンキは両手剣を装備した。

そして、立ち上がりながら自分に対して武器を向けている四人を牽制する為に両手剣を振り回した。

(´・ω・`)「ドクオ!」

.

324 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:34:02 ID:TgzbIDL20

周囲を囲んでいたメンバーはともかくドクオはすぐそばにいたため、両手剣の有効範囲に入っている。

('A`)「くっ」

バックステップで飛び退くが、ちょうどジャンプした上空、両手剣が横から襲い掛かった。

('A`)!!

辛うじて片手剣の側面で剣を受け止める。
しかし、うねる様な両手剣の軌道は、ドクオの右手を襲う。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ!」

( ・∀・)「おい!」

勢いによって飛ばされるドクオ。
マタンキの頭上に浮かぶカーソルがオレンジに変わった。

( ´_ゝ`)「ふん!」

飛ばされたドクオの一番そばにいた兄者がその身体を盾にしてドクオの身体を止めた。

( ´_ゝ`)「大丈夫か」

('A`)「サンキュ」

短く会話した後に、手首から先が欠損してしまったため落ちていた剣を左手で持つドクオ。
兄者もドクオが自らの足でしっかりと立ったのを見て、その右側に鎚を構えて立つ。

だが時すでに遅く、マタンキは出口のそばに移動していた。

(・∀ ・)「………ちっ」

しかしその左目にはナイフが刺さっている。

.

325 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:35:01 ID:TgzbIDL20

(・∀ ・)「さぁすがぁっすねぇ。ショボンさぁん」

どこか面白そうに、けれど憎悪に満ちた右目でショボンを見るマタンキ。
忌々しげにナイフを抜くと、左目は潰れていた。

(・∀ ・)「なぁんのぉ迷いもぉなく目を潰そぉうとぉしてくるぅなぁんてぇ。
かろぉうじておれの両手剣がその駒をぉ傷つけぇるのがぁ早かぁったすぅけどぉ、
当たるぅのがぁ一秒はやかぁったらぁそっちぃがオレンジっすぅよぉ。
両目ぇはぁ、潰さぁれたぁくないっすぅからぁ。とぉりあえずぅ、撤退させぇてぇもらいまぁすぅねぇ」

抜いたナイフを放り投げた先に転がるもう一本のナイフ。

ショボンはマタンキの両目を狙ってナイフを二本投げていたが、一本は防がれていた。

部位欠損して潰れた左目をかばいもせず、両手剣を構えてショボンを見るマタンキ。
ショボンは表情を変えず、ただ投擲用のナイフを構えている。
そのナイフは、麻痺毒の追加により黄色く彩られていた。

その異様な光景に、思わず見守ることしかできないメンバー達。

(・∀ ・)「でぇもぉ、きめたぁっすよぉ」

(´・ω・`)「……何を」

(・∀ ・)「あんたたぁちのぉ中で、ゆういぃつ人を殺す覚悟をもぉってるショボンさぁんをぉ、尊敬するぅってぇ」

(´・ω・`)「……」

(・∀ ・)「だぁからぁ。きめぇたぁっすよ」

(´・ω・`)「……黙ってろ」

思わず漏らしたショボンの呟き。

それを聞き、本当に嬉しそうに笑うマタンキ。

.

326 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:35:55 ID:TgzbIDL20




(・∀ ・)「あんたはおれがころすってね」




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327 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:36:56 ID:TgzbIDL20

出口に向かって駆け出したマタンキ。

直前のマタンキの言葉に息をのんでいたメンバー達は出遅れてしまった。
しかしすぐに後を追おうとするが、ショボンに止められた。

(´・ω・`)「もう無理だよ」

(´<_` )「だが」

(´・ω・`)「追跡系のスキルもちで一番のドクオが出ていない以上、
出遅れた状態で後を追うことは不可能だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「それはそうかもしれないけど…」

自然とショボンの周りに集まった五人。

(´・ω・`)「それよりも、とりあえずは湖に向かおう」

(;・∀・)「いやいや、さっさとクリスタルで帰ろうぜ」

(´・ω・`)「依頼は依頼。ここまで来たんだちゃんと完了させよう」

( ´_ゝ`)「まったくこいつは…」

('A`)「お前らしいって言うかなんと言うか」

五人に向かってショボンが微笑む。
諦めたように微笑みを返す五人。

それに頷きでこたえ、ショボンが歩き始めた。

(;ФωФ)「わ、吾輩達は…」

(;-_-)「す、すみませんでした」

(;ФωФ)「謝っても意味がないのは分かっておるが!けれど!」

(´・ω・`)「とりあえず、湖に行きましょう」

.

328 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:37:49 ID:TgzbIDL20

(;ФωФ)「え?」

(;-_-)「え?」

(´・ω・`)「依頼は完了させます。詳しい話は、その後にお願いします」

それは穏やかだが、反論することを憚れる、有無を言わせない迫力をもっていた。

(;ФωФ)「…分かったのである。」

(;-_-)「は、はい…」

頷くロマネスクとヒッキー。
それを見てからショボンは各人に指示をだす。

まずはブーンをクリスタルで帰らせた。
まだ出来ると抵抗はしていたがはたから見ても疲れているのはよく分かったため、
最終的にはツンの恫喝によりクリスタルを使わせた。

そしてブーンの位置にはドクオが入る形で隊列を整える。
五人が戦闘時の担当を念の為打ち合わせをしている最中に、
ショボンは溜まっていたメッセージを読み、いくつか返事を送った。

その後出発する八人。

本来なら戦闘がある予定だったが何故かモンスターはポップせず、
ウインドウを開いたままのショボンは困ったように、けれどどこか嬉しそうに笑っていた。

辿り着いた湖は、広く、静かな湖面は少し傾きかけた陽光できらめいていた。


.

329 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:39:00 ID:TgzbIDL20

2.帰還



ショボン達が全てを終わらせてホームのある40層に戻ると、
転移門前にはしぃとギコ、そしてジョルジュがいた。

転移門から出てくるショボン達を見てあからさまにホッとした顔をした三人。
その表情を隠そうともしていない三人を見て、全員の顔がほころぶ。

(*゚ー゚)「みなさん!」

(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」

小走りに駆け寄ってきたしぃ。
ツンの前で何かを躊躇したように立ち止まるが、ツンはそんな彼女を笑いかけながら抱きしめた。

(*゚ー゚)「つ、ツンさん」

ξ゚⊿゚)ξ「なに、心配しちゃった?ありがとうね」

(*゚ー゚)「心配なんかしてませんけど、顔を見たら安心しました」

ξ゚⊿゚)ξ「またまた強がっちゃって」

(*゚ー゚)「もう、怒りますよ!」

笑いあう二人。
しぃの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

.

330 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:39:47 ID:TgzbIDL20

(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」

('A`)「なんだ。お前も心配してくれたのか」

(´<_` )「お前に心配されるとはなぁ」

(,,゚Д゚)「まだ二人には勝ててないからそれまでは生きててくれないと困るぞゴルァ」

( ´_ゝ`)「え?じゃぁおれは死んでもいいの?」

(,,゚Д゚)「本気の兄者にも勝ててないからダメだゴルァ」

真剣な目で三人を見るギコに、思わず顔を綻ばせる三人。

(,,゚Д゚)「なんだゴルァ」

(´<_` )「まあ、まだまだお前には負けはないさ」

( ´_ゝ`)「おれの本気を見せてやるよ」

('A`)「片手剣で負けるつもりはないけどな」

(,,゚Д゚)「……お手柔らかに頼むぞ」

ギコに呟きに笑う三人。

.

331 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:40:48 ID:TgzbIDL20

(´・ω・`)「ジョルジュもお出迎え?」
 _
( ゚∀゚)「メッセージで無事なのは分かってたけど…」

(´・ω・`)「ありがと。心配してくれて」
 _
( ゚∀゚)「べ、別にそこまで心配なんかしてないんだからね」

( ・∀・)「きも」

(´・ω・`)「きも」
 _
( ゚∀゚)「……」

( ><)「嘘なんです!すごく心配していたんです!」

ジョルジュの冗談に真顔のツッコミをしたモララーとショボン。
するとおもわず黙ってしまったジョルジュの後ろから、ビロードが叫んだ。

(´・ω・`)?

( ><)「ジョルジュさんもクーさんもすっごく心配していたんです!」

(*‘ω‘ *)「ちょ、ビロ、静かにするっぽ」

( <●><●>)「ビロードはうるさいですが、言っていることは間違っていないのはワカッテマス」
 _
(;゚∀゚)「ちょ、おまえら出てくるな」

(´・ω・`)「今日の戦闘訓練の皆さんですよね。ビロードさん、ぽっぽさん、ワカッテマスさん。
皆さんにも迷惑をかけてしまったようですね。申し訳ありません。
もし今日の訓練に問題があったら…」

( ><)「そんなのは無いんです!ジョルジュさんもクーさんもすごくよくしてくれたんです!」

(´・ω・`)「そうですか。それは良かった」

後方に居たビロードが駆け寄ってジョルジュの隣に立ち、ぽっぽとワカッテマスが並んでその後ろに立った。

.

332 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:41:48 ID:TgzbIDL20

( ><)「でも!わけがわかんないんです!」

(´・ω・`)「え?」

( ><)「だからここで一緒に待ってたんです!教えてほしいんです!」

(´・ω・`)「えっと…。なにを?」

( ><)「だから分けが分かんないんです!それをです!」

(;´・ω・`)「…え?」

小さな体で肩を震わせるビロード、それは怒っているようにすら見える。

( ・∀・)「おいジョルジュ。なんだこいつ」
 _
( ゚∀゚)「…なんて言って良いのやら。
訓練中にお前らがトラップに引っかかったかもしれないって情報が入って、
こいつらも心配してくれたってだけだと思ってたんだけど」

ショボンに詰め寄り始めたビロードを見て、こそこそと話しはじめる二人。

( ・∀・)「それだけじゃないだろ。これ」
 _
( ゚∀゚)「いや、なんかごちゃごちゃ言っていたけど、まさかここまでとは。
メッセージを貰った時まだ一緒にいたから無事だってことを説明したら、
一緒に出迎えたいとしか言ってなかったし」

( <●><●>)「ビロードは興奮してしまっているので、私が質問します」

鼻息の荒いビロードの肩にワカッテマスが手を置き、そのまま横に立つ。

( <●><●>)「トラップに引っかかったそうで、お疲れ様でした。ご無事で何よりです」

(´・ω・`)「ああ、いえ、ご丁寧にどうもありがとうございます」

( ・∀・)「(ホントはトラップの後の方が大変だったけど、それはメッセージ入れてないからな。
ま、入れてたとしても部外者のこいつらには漏らさないか)」

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333 ◆dKWWLKB7io:2014/05/18(日) 13:44:09 ID:TgzbIDL20

( <●><●>)「トラップに引っかかったかもしれないという情報をクーさんが手にされた時、
私達はすぐそばに居ました」

(´・ω・`)「それはお騒がせしてしまい申し訳ありません」

( <●><●>)「私達はすぐに援護に行かれてはいかがですかと言いました。
しかし、クーさんとジョルジュさんは行かれず、私達の訓練を続行してくださいました」

(´・ω・`)「はあ」

( <●><●>)「何故ですか?」

(´・ω・`)「…え?」

( <●><●>)「何故ですかとお聞きしています」

(;´・ω・`)「え、いや、その…え?」

(*‘ω‘ *)「助けに向かわない理由を、信じているからだって言ってたっぽ!
心配だけど、信じてるから行かないって言ってたっぽ!
それに今は私達を訓練するからって言ってたっぽ!」

(´・ω・`)「ああ、なるほど。そういう事ですか」

(*‘ω‘ *)「わかんないっぽ。なんで助けに行かなかったっぽ」

いつの間にかショボンと三人を囲む様に面々が集まっている。
そして四人がする会話を面白そうに聞いていた。
さらにその外側、周囲には野次馬もいる。
狩り帰りやこれから夕方の戦闘に向かうプレイヤーがほとんどだが、
公園ということもあってデート中のようなカップルもいる。

(´・ω・`)「分かる必要は、ありません。
皆さんはVIPのメンバーではないのですから」

(*‘ω‘ *)!

( <●><●>)!

( ><)!

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