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イベント優先スレ

1名無しさん:2011/05/01(日) 01:39:06 ID:???
・イベントの無い時はここも使えます。
・イベントの開催はここと「雑談用スレ」にイベント情報を貼り付けて告知すると親切。

2波旬:2011/05/23(月) 21:44:32 ID:???

「さぁーて、ここが『良い』かなぁ・・・?」

 高い尖塔の天辺より、煌びやかに輝く眠らぬ町を見下ろす波旬。
 その欲望の密集した空気は、この魔王にとって実に心地の良いものだった。

「・・・なかなか『良い』街だねぇ、欲望が浮き出ててさぁ!」

 ゆっくりと立ち上がる、波旬。
 白い麻の神子服が、熱気を帯びた風にはためいていた。
 瞳を閉じて、発動する・・・“貪欲”の波動。

「一つ二つ三つ・・・結構居るなぁ・・・。
 ふむ、なるほどねぇ・・・。露希ちゃんの考え通り、ここが奴等の巣食ってる場所かぁ・・・」

 ニタリと無邪気に微笑む。
 まるで昆虫の実験を始めようとするような、ワクワクとした子供の眼だった・・・。

「異物は取り除かなきゃね、異天空間・道切り断世!」

 その瞬間、町の・・・妖怪だけが忽然と姿を消した。
 否、引き込まれたのだ。

 道切り地蔵、その歪んだ神格の力すらも・・・更に強力に都合よく使いこなしていた。


 彼らが行き着く先は、欲望渦巻く・・・魔界。
 世界から断絶した、異形の空間。

3フォード「」&澪『』:2011/05/23(月) 21:53:50 ID:HbHPxpxY
この二人は、なんの縁もない。が、今回の出来事が縁となるだろう。


『ここって・・・』

「お主もここへ来たようだな。」

来たのは元・紫狂の澪と正体不明の老人だった。

『何か、嫌な予感がします・・・あの時の、窮奇の時のような・・・』

「窮奇・・・か。(コヤツが噂の大蛇か。)」

4波旬:2011/05/23(月) 22:02:19 ID:???
>>3

 辺りは異界と化していた。
 先ほどまで煌びやかなネオンライトに彩られていた、ビルディングは紫に輝く苔に覆われている。
 アスファルトからは樹海の根が生い茂り、地面を穿っている。

「・・・お呼びじゃない奴等が来ているねぇ」

 そこに降り立った、窮奇の生き写しのような少女。
 いや、年はおろか性別ですらこの者には何の意味もなさないのだろう。

                          デュアル・クロス・アルエット
「・・・キミ達は別に欲しくないから消えろよ、二重十字の雲雀姫」

 白い閃光が、二人の眼前に迫りくる・・・。

5夜行集団:2011/05/23(月) 22:12:17 ID:ajFsrEio
>>3>>4
街は知らない、彼らが消えた事を。
そして彼等も知らなかった。自分達が魔王の標的になっていた事を。

そしてなによりも喜劇的なほどに悲劇的な無知は、
夜行集団の氷亜の想い人が、現在どんな境遇になっているかを彼が知らない事である。

だから夜行集団が転送された時、驚かなかった者はいなかった。
全員が驚愕し、戦慄し、全員が一か所集まって自分達の身に起きた事を知ろうとした。


その為には情報収集だ。そう言ってこの異様な空間を進んでいったのは
氷亜、虚冥、穂産姉妹であった。
そう、つまりこの二人の戦闘に入ってきたのはこの四つの妖怪だけだ。

6名無しさん:2011/05/23(月) 22:22:07 ID:HbHPxpxY
>>4
『【天血弾銃・神殺】』

澪の元に現れた2丁の銃、撃つと大蛇が2頭出てくる。そして、その攻撃を免れる。

「おお、凄い力だな。」

老人はどこか怪しげな表情を浮かべながら、笑顔だった。

>>5

『僕一人では敵いません、あいつをお願いします。僕はこの老人を・・・』

「わしを守ってくれるのか、感謝する。」

今回、この二人はメインでない。メインは夜行集団。
澪は戦いを止め、今から起ころうとすることを見ることにした。

7波旬:2011/05/23(月) 22:45:21 ID:???
>>5

「・・・! 来たね」

 グルリと首を回し、目を見開く波旬。
 その子供染みた動作と、瞳孔の奥の狂喜があまりに対照的で異様だった。

 異常な跳躍と共に、おぞましい笑いが響き渡る。
 氷亜の眼前に、波旬が降り立った。

 貪欲の波長が、辺り一面を覆いつくす。
 無邪気な恐怖が辺りに浸透した。

「・・・やっぱり、なかなか『良い』なぁ!! キミ達の力は非常に便利で頼もしいね!!」

 波旬の妖気が膨れ上がっていく。
 その右腕は、雪の結晶のような形状をした弩弓になっていた!!

         ヴァニティズエリア・トリプルゼロ
「3倍写取・・・【 温もり無き空間・0^3K 】!!」

 極寒の、本物の絶対零度の矢が放たれた。
 その白銀の稲妻は地面に当たると同時に、大気すらも液化させ!
 空気中の水分は辺り一面から集約し! 強固な氷の城となった!!

 氷亜を隔離したのだ。
 わざわざ皆から見えるように、透き通った檻の中に。

「やぁやぁ、いらっしゃい氷亜くん」

 氷の大広間にて波旬がニヤニヤとしながら笑っている。
 自慢気に、愉しげに・・・己の力について語っていく。

「私の力は“貪欲”と言ってね。相手の魂を解析して、その『良い』ところ・・・。
 欲しい部分だけを倍化して修得するんだ。まぁ、簡単に言うと《心が読めて誰にでも成れる》」

 ニタリと微笑む。
 どこか幼くて、活発で、それでいて妖艶な瞳を湛えている・・・。
 その顔は、氷亜の永久凍土の最も奥にある・・・あの顔だった。

「『あの時はよくもやってくれたね』とか言ってみたり!!」

 雪花の顔・・・、だが似ても似つかない。
 瞳の奥が、紫ですらない・・・おどろおどしいドドメ色だった。

8夜行集団:2011/05/23(月) 23:01:07 ID:ajFsrEio
>>7
貪欲、波旬にあったときに感じたそれは全員の神経をざらつかせる不快感であった。
しかし誰もそれに顔をしかめた者はいない。当たり前である、
なぜなら彼らもまた、百鬼夜行の主への欲望を胸に持つ強欲の者たちだからだ。

しかし不快になっているかいないか、顔をしかめているかいないか、
そんな事はこの場において、一切の価値も意味も持たない。
それは目の前からやってきた氷の恐怖の方が、今から戦闘がおこるのであろうと予期している彼等にとっては重要だからだ。

彼等は咄嗟に各々の防御態勢を取った。
土、霊、氷、しかしそれもまた一切の価値も意味も持たない。


「やれやれ僕を御指名かい?子猫ちゃん」

自分の仲間の方を見た氷亜は、彼らが自分とよく似た特質の氷によって遮断されているということを知り、
少しめんどくさそうに頭を軽く描いて波旬のもとに歩きだす。

「これはご丁寧に自分の能力を教えてくれたね。
 馬鹿か、それとも知られても問題ないか・・・まあ後者だろうね。」

そんなこんなでふらふらと話していると氷亜の目に映るのはかつての記憶の投射、
自分が殺め、蔑み消した彼の初恋となったかもしれない優しい感情の種の残骸。

しかし彼の心は一切動かなかった。
なぜなら彼にとってその記憶はただの記憶であって、
氷が解けたその今も、後悔はあってもやはりどうでもいいことなのだ。

「別に何とも思ってないけど・・・まあ懐かしい顔になってくれたんだ。
 ありがとう。」

そして氷亜は、手に握ったその冷度によって強固になった氷の槍を投げた。

9フォード「」&澪『』:2011/05/23(月) 23:09:11 ID:HbHPxpxY
『おじさん、いつ何が起こるか分からないから・・・気をつけて・・・。』

「うむ、ありがとう。
(さてと、見せて貰おうか、夜行集団と言う力を。その力、どこまで貫けるか。)」

澪は常に警戒体制であり、いつでも乱入は出来る。

10波旬(ver雪花):2011/05/23(月) 23:10:40 ID:???
>>8

「どういたしまして!」

 あの顔で、ニッコリと無邪気に微笑む。
 弓を携えていない、左手で氷の槍を易々と掴んで。

「じゃあついでにもっと『良い』ことを教えてあげよう! 私がこの顔になったのはね・・・。
 別にキミの心を揺さぶって心の隙を作りたいとかそんなんじゃない・・・」

 目が三日月に歪む。
 その顔はやはり雪花の生き写しだが、決して雪花のモノではなかった。

「キミが負けた時、一番悔しくなって欲しいからさ・・・!」

 掲げられ、撃ち抜かれる氷の弾弓。
 白銀を巡るブリザードのような音がした、雪崩を起こす直前のような・・・恐ろしいプレッシャーがあった。
 その力も、速度も・・・氷亜の槍をはるかに上回っている!!

「奇しくもこの前と逆の状況だよねぇ!!」

11夜行集団:2011/05/23(月) 23:16:41 ID:ajFsrEio
>>10
「悔しく?
 なんだか分からないな。」

何か来る、それを轟音により感じた氷亜はいち早く、あの方の姿、恩を仇で返した恩人、
氷猩猩の姿になった。
ちなみにこの姿はただ氷亜が憑依しているだけで、氷猩猩の力が直接使用されているのではない。
波旬の能力ではこの不安定な概念は真似できないのだ。

「むしろ僕は雪花に消される事こそ正しさだと思うけどね。」

一度破壊されただけでそれがどうした。
そういってさらに氷槍を怪力によってさらに強力に打ち出す。

12波旬(ver雪花):2011/05/23(月) 23:42:42 ID:???
>>11

「わっかんないかなぁーーーーー!?
 そういうのじゃダメなんだってばーーーーッ!!」

 更に大口開けて笑い出す。
 その眼には若干の苛立ち、そして昂ぶり。
 波旬の右腕は筋張り、筋力細胞が異常な形に蠢くのが見える。

「わかる? 私はただのモノマネじゃない。倍加して写し取るんだ!
 つまるところキミが強ければ強いほどっ、力の差は大きく開いていくんだよ!!」

 一通り話し終えた後、小さく息を吐く。

「そうだね・・・、キミはやる気が無いみたいだから挑発してあげよう」

 右手を掲げ、2匹の白竜を呼び出す。
 それは常に露希の傍らにいた・・・あの白竜。
 それが意味するものは、それらが語るものは・・・。

「露希ちゃんは私が壊した、信じられないなら見せてあげよう」

 懐から小さな羽根を取り出す。
 それはあの時、魂から無理矢理抉り出した・・・露希の記憶、想い。
 投げられた小さな羽根は・・・氷亜の胸の辺りで優しく溶ける。


 心に溶け込む、優しくて、愛おしくて、悲痛で、切ないくらい暖かい言葉。

『そっか。氷亜さんの事大切にしなきゃ。』
『なんて言えばいいか分からないけど…氷亜さんと一緒に居たいんです。』
『でもその気持ち、負けませんよ?ボクだってそれくらい、いやもっと氷亜さんの事が好きです!』

 次々と、溢れてくる・・・想い。
 今となっては叶うはずのない、恋心・・・。

 しかし、その声はいきなり途切れ。
 途端に耳を劈く様な悲痛な声が響き渡る。

『そんな・・・っ・・・。お願いだから止めてっ・・・、皆大切な人たちなんだ!!お願い・・・』

 その声が聞き取れた最後の言葉だった・・・。
 後には延々と、氷の心を持っていたとしても・・・耳を塞ぎたくなるほどの。苦しむような全てを抉り出されたような。
 激痛と呻く断末魔が響く。挙句には狂骨のような怨念のような嘆きそのものの感情だかなんだか分からないものの声が徐々に小さくなっていき・・・消えてなくなった。


「ね、どう? ねぇねぇ今どんな気持ち? それでもまだクールぶってられる?」

 ワクワクと、期待に満ちた嬉しそうな表情で。
 波旬は氷亜の顔を覗いていた。

13夜行集団:2011/05/23(月) 23:53:11 ID:ajFsrEio
>>12
「おい、アネさんアニさん。」
「分かってます。もう既に防空壕はここに。」
『たく・・・なにものなんだアイツは・・・めんどくさいことやって・・・』

氷亜と波旬の間に起こった事を傍から見た虚冥達は、
いち早く防空壕を作り、そこに逃げ込んだ。



「露希・・・?」

彼の目の前に映し出された光景。
自分の目の前で言ってくれた言葉、違う人の前でも言ってくれていた言葉、
嘘ではないのだろう。事実なのだろう。

「何の事言ってんだか?露希が死ぬはずがないじゃないか!」

しかしそれは氷亜の心が破壊されたり取り乱したりはしなかった。
彼はヤンデレ。それは愛の普通を根本から覆すほどの愚かしい愛。
露希が死ぬ事。そんな事は氷亜の中では、
太陽が西から昇るような、空が落ちてくるような、それと並ぶほどの杞憂であった。

むしろ彼は笑っている。ありえないなんて言う事は無い。
太陽は西から昇らない、空は落ちない、そして、露希は死なない。
そんな彼の心はなにかもうひとつ決定的な事が無い限り、変化は見られないであろう。

そして今度に氷亜が繰り出したのは、直径1メートル程の大きな氷塊。
それが怪力によって剛スピードで波旬に襲いかかる。

14波旬(ver露希):2011/05/24(火) 00:00:30 ID:???
>>13

「やめて、氷亜さん! ボクだよ!!」

 いけしゃあしゃあと、
 波旬は露希へと変化する。

 その妖気は、その雰囲気は、その声は。
 露希の“何倍も”露希らしかった・・・。

15夜行集団:2011/05/24(火) 00:09:49 ID:ajFsrEio
>>14
波旬が露希へと変化した時、氷亜ははっとしたように我に帰った。
しかしこの我に帰ったというのは氷亜目線での事で、傍から見れば術中にはまったというのが正しいが。
だが氷亜はそんな事にも気付かず、自分の投げたその氷塊を、
後から高スピードで投げた氷の槍で打ち砕く。

「なんだ・・・露希・・・君はちゃんといるじゃないか・・・。」

両手を膝の上において安心したようなポーズになった氷亜は波旬に笑いかける。
気付いていないのか。あれほどいっしょにいたのに。何倍程度露希らしいと言うだけで。

「何処かに言っちゃんたんだけどさ・・・さっきいた妖怪がね、君が殺されたなんて言うんだ。
 笑っちゃうよね。だって君が死ぬはずないんだから。」

その両手を後ろに周し、完全にリラックスしたポーズになった。
もう既に彼からはもしかしたら戦闘態勢なんて言うものは無いのかもしれない。

16波旬(ver露希):2011/05/24(火) 00:31:08 ID:tElbSrz.
>>15

「大丈夫ですよ! ボクはどこにも行きません」

 少し顔を赤らめて、巨大な狒々となった氷亜の袂に寄り添っていく。
 無防備に、さも自分は心寄せていると言いたげに。

「だってずっと氷亜さんと一緒に居たいから///」

 不自然が際立つ・・・。
 何倍も露希らしいのに、全然露希らしくない・・・。
 だが、心を見透かす貪欲の前には。
 そんなこと、無意味極まる。なぜなら氷亜の心は手に入れているんだから。

「寂しかったんですよね、氷亜さんは心を手放したんじゃなくて・・・。
 心を持っていられなかったんじゃないかなと思うんです。
 誰も気づいてくれないから、誰も触れてくれないから・・・。
 寂しくて、辛くて・・・初めから無かったことにしたかったんじゃないかな・・・」

 でもね、と顔を上げて微笑みかける。

「雪に埋もれた蕾も、ちゃんと生きているように・・・私はちゃんと知ってますよ。
 傷だらけでボロボロだけど、すっかり雪の下で冷たくなっちゃったけど。
 それでも、優しくて温かい・・・氷亜さんの心、ちゃんと見つけましたよ!」

 その手は氷亜の胸を貫き、心臓を握っていた。
 露希の顔は微笑んでこそ居るが、その心の内にあるのは・・・ただの侮蔑。


「このコミュ障ロリコンが」


 奇しくも・・・あの時と真逆の状況だった・・・。

17夜行集団:2011/05/24(火) 00:45:43 ID:ajFsrEio
>>16
温かい言葉、なによりも氷亜の事を思ってくれている。
優しい声、なによりも氷亜の心を落ち着かせる。
少し恥ずかしげに赤くなる顔、なによりも、愛おしい。

そしてそれら全ての露希が、波旬によって存在する露希によって下回る。
本物のロキ=イノセントよりも何倍もロキ=イノセントらしく。

氷亜は抱きしめる。何よりも愛おしい彼女よりも彼女らしいその体。
小さくも強い露希よりもちいさく強い彼女を。
強く抱きしめる、そして胸には大きな風穴があいた。

「露希よりも露希らしい・・・
 いつものも、だ・・・痛いよ・・・痛い・・・痛いよ・・・」

貫かれた彼の顔は、愛した者に罵られ貫かれた雪花の絶望とは違っていた。
笑っていた。笑っていた。
そしてその氷亜の愛した露希よりも露希らしい波旬の露希のその手を堅く握っていた。

「波旬・・・君はバカだ・・・。
 だって露希は・・・露希×1で露希だよ・・・。
 下でもない上でもない、近似値もない、最大値もない、露希で露希なんだよ」

理解した。だから彼はこの手を絶対に離さない。
いくら波旬が振り払っても、彼はまた見えもしない速度で握り返す。
そして、知ってしまったのだ。太陽は西から昇ったのだ、空が落ちたのだ、露希が、死んだのだ。

「え?あ、あれ?・・・・あれ?
 じゃ、じゃあ露希は・・・露希は・・・?
 そういう・・・イヤイヤあり得な・・・あれ・・・どういう・・・いやだ・・・。
 違うよ露希は死なな・・・どこに?・・・嫌だ・・・だって露希は生き続け・・・だってそこにも・・・。
 待てよ僕!!・・・いやだ!!・・・認めるな・・・嫌だ・・・認めるな・・・認めるなってナニヲ?
 嫌だ・・・露希・・・いやだ・・・死・・・いやだ・・・僕は・・・・だって・・。
 露希が今・・・・今そこに・・・いやだ・・・いやだ・・・!いやだ・・・露希!!」




 

「いやだぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

しかし氷亜が笑っていられたのは少しの間だけ。
そこからはこの空間に彼の悲鳴が響き渡るだけであった。
嘆く彼の体から異様なほどの冷気がほとばしる。それは波旬が上にいっても、
一緒により速く凍るだけなのだから。

18名無しさん:2011/05/24(火) 00:53:29 ID:HbHPxpxY
誰かに向けられた言葉ではない。でも聞こえる物には聞こえたはず、彼女の声が。

本物を上回る偽物を遥かに越えて。

「あなたたちに会えたこと、それはボクの一生の思い出。ありがとう。」


露希と言う天使は、消えた。誰にもみとられることなく。それは彼女の望み。

誰も悲しませたくないと言う思い。伝わればいい、この気持ち。

19波旬(ver露希):2011/05/24(火) 01:38:19 ID:tElbSrz.
>>17

「ひっ!!」

 必死で振り払うが、何度も握り返して来る。
 力はずっと上回ってるはずなのに・・・なんなんだこのしつこさは!

「ちっ・・・この・・・ッ!!」

 それは波旬が氷亜を写し取ったとき、わざわざ切り捨てた弱みだった。
 恐い、嫌だ、認めたくない・・・そんな非効率的で無駄で害にしかならない恐怖というモノに。
 たった今、自分は恐怖し! 危機に貶められている!!

 波旬は知らなかった、いや知る気も必要も無かったのだ。
 “何か”の『良い』ところだけ取り出して、いかにそれを増やそうとも。
 絶対に“何か”に成ることなどできないということを。

 何かは『良い』所も『悪い』所も含めて何かなのだから。
 何かの『良い』所だけを何倍にも増やしたら、それは既に何かではないのだから。

「クソッ! どいつもこいつも舐めやがって!!」

 母上・・・いや! あの女もそうだ!!
 隙あらば全部奪ってやろうと思ったのに! アイツの気持ち悪い触手に阻まれて結局アイツの心は取れなかった!! 108年前! アイツは私を逆らえないように作りやがった!!
 信用を得れば・・・、いやコイツ等の力を全部使えば!!
 アイツに一撃をかましてやれると思ったのに! 百鬼の主の力を写し取れば、あの女が喰い付くと思ったのに!!

 いや・・・今度こそあの女を潰してやる!!
 私は誰でもないが、誰よりも強い! 誰よりも優れている!!

「離れろこの野郎ッ!!!」

 自らの腕を引き千切り、氷の城を砕いて脱出する。
 その顔は・・・本来の基礎としたあの窮奇に似た顔になっていた。

「今すぐ叩き潰してやるよ! 『良い』所の絞りカス共がぁああああああ!!!」

 巨大な黒い六方星が空に浮かび上がった。
 その中央に、人の形の上半身が残っている。

「水・金・地・日・土・冥!!!」

 六方星の一角づつに巨大な弓が浮かび上がる!
 氷亜、フォード、わいら、太陽光、穂産姉妹、虚冥をコピーした力だった!!

「まとめて消しとべぇエエエエエエエエ!!!!」


      【星を落とす魔法・惑星直列】!!!


 圧倒する、無限大の・・・トバリを吹き飛ばすほどの力が!!
 空から数多に降り注いだ!!

20ミナクチ:2011/05/24(火) 01:38:41 ID:???
>>17>>18
(まだ直接に、あなた達へのお礼が出来ていませんでしたね)

ぱしゃん、と露希の心は水に包まれた。
柔らかく、いかなる形のものでも許容し受け入れる水が、露希の魂を洗う。

(涙はもう十分に役割を終えたでしょう)

だから今ある悲しみを流しつくして飲み込んで、私は消えよう…。
大丈夫、まだ囚われたままでも、半分を残しているのだから。

そっと、小さな蛇神の幻が微笑んだ。

 ぱしゃり

水がはじけ、無事な姿の露希がそこに。
そして氷亜の傷を半分だけ癒して、水はみるみる凍り付いていった。

21夜行集団:2011/05/24(火) 01:58:08 ID:ajFsrEio
>>19>>20
波旬が手を切断した事で、氷亜による氷の呪いは効かなくなったであろう。
しかし氷亜はまだあきらめていない、もう声はでなくなって、涙を流す目も凍りついた。
ただ泣き顔で凍ったままの表情で、波旬の後を追おうと飛び上がる。

しかし運命の神は、氷亜に味方しなかった。
氷亜の持っていた生命力が凍りつき、大した高さも跳べずに地面に叩きつけられる。

そしてそのまま氷亜は息を引き取る。
筈だった。たしかに運命の神は氷亜に味方しなかった。
しかしどうやら、水の神は彼に味方したようで。

もう動けない、動きたくない、動きたいけど体はもうただの氷だ。
しかし彼は死ななかった。傷は塞がり、心臓の所は凍ったまま、俗に言うコールドスリープ状態であった。

だがそんな氷亜の姿を見て、虚冥、穂産姉妹達が普通の精神状態でいられるだろうか。
それは不可能と言うものだ。虚冥はすでに狂骨と変化し、何度も氷を破壊しようとしている。
穂産日子神はどうしようもなく泣き崩れ、
穂産雨子神は自分の無力さに、拳が血でにじむほど壁を殴っていた。骨は折れなくとも、心は。
なんという悲劇的な情景なのだろうか。なんという無力感の空間なのだろうか。

しかしその悲惨な光景が、いとも簡単的に、瞬間的に、不条理的に、
あっさりとその火を纏った砂利の応酬に破壊されるまで、あと二行後。


そしてこの空間にある概念が発生した。俺だ。
この天狗が、波旬のトバリを切り裂き、理不尽に介入した。
波旬の空間は、その圧倒的過ぎる上に絶対的過ぎる≪存在感≫によって満たされる。

それは窮奇の≪悪意≫のようであり、それは青行燈の≪狂気≫のようであり、
それは波旬の≪強欲≫のようであり、それは桔梗姫の≪幸福≫のようであり、
それはアリサの≪魅了≫ようであり、それは滝霊王の≪潔癖≫のようであり、
それらと同じ、その空間を一色に染め上げる様なオーラーにも似たプレッシャーで、
しかしそれらとは全く違った性質のものだ。

「不遜的、この我が輩を差し置いて一戦を始めているとは。」

誰もが気になる。理由は無い。ただただ気になる。
圧倒されるのだ、僕のそのどこまでも覇者の威厳と言うものに。
私が見る限り、どうやら悲劇がここで起こっていたようだ。空間が凍りつき。
氷亜が凍りつき、この泣き声は氷亜のものであったか、そして俺の威圧感に埋もれる前にあったのは、
氷亜の愛したあの小さな者のソレか。

「久方的だな、波旬。
 しかし貴様の妖気はなぜか以前と変化しているように見えるぞ。」

しばらく見ていたら懐かしい顔があったので、某は波旬に話しかけた。
世間話なぞする気は毛頭ないが、やはり声は掛けたくなるものだ。



しかし、ここまでの展開があまりにも都合が良すぎる。
運がいいと言っても、あまりにも不条理すぎる。ありえない。

そう、都合がよく運が良い。ありえないが当たり前である。彼女がいるのだから。
全ての条理など無視して幸福にし。流れなど無視して安らかにしてしまう。
夜行集団の主、桔梗姫がいるのだから。

私めの天狗は、うえのその大きすぎる力をみた。
やはり先代の主。その力はけた違いだ。
だが僕達の集団も負けているつもりはない。もう既に穂産姉妹、骨、姫、
そして俺も充填完了だ。

だミー達は負けない。波旬の力には劣るが、しかし形は同じ。
なによりも、今現在、桔梗姫が全開の状態でいる以上、負ける筈がないのだ。
だから夜行集団は撃った。その大きすぎる力へと。


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