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レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
1
:
tun
:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
773
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:36:53 ID:Rbe6cDaw
「…………」
『』 パッ
「…………」
『』 タタタッ
<ガチャ、バタン
「…………」
<ガチャ
「」 ビク
『あたしのも嘘だからっ!!』
<バタン!
「…………」
「…………」 ピト
「…………」
「やっべ俺も顔あっつい……」
774
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:38:15 ID:Rbe6cDaw
終わり
つーわけで今更四月馬鹿ネタ
妹がキスしたのはほっぺでも唇でもないです嘘だけどね
775
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:58:11 ID:???
おいおいニヤニヤしすぎて顔が戻らないぞどうしてくれる
776
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 18:45:39 ID:???
あああああ、勘違いして泣いちゃう妹かわいいいい!!
GJ!!
777
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:55:32 ID:Rbe6cDaw
「お嬢ぉぉおおおおおおおお!!!」
『喧しいですわよこのバカシ!!』
「うっひょぉお嬢だお嬢だー」 ヒョイ
『きゃあ!? ぃいきなり何をするんですのこの痴れ者!!///』
「ぅぇへぇへぇへへぇ……お嬢はちっちゃくて軽くて天使だなぁ」 プーラプーラ
『ち、ちっちゃいって言うな!あとプラプラするのをやめなさいっ!』 ジタバタ
「ぐへへぇ、おじちゃんは怖くないよお菓子あげるから一緒にお家に行こうネェ〜?」
『やっ!! はなしなさい〜っ!!』 ペチペチ
「うふふふぇ……お嬢のちっこい掌が俺の頭をぺちぺちするぅ……」 ウットリ
『こ、この変質者!!つ、通報しますわよ!』 ガクブル
「…………」 ストン
『……え?』 キョトン
「通報だなんて……ごめん、お嬢……そんなに嫌がってたなんて……俺、知らなかったよ……」
『えっ……え?』 オロオロ
「もう二度としないし、金輪際話しかけないよ……今まで嫌な思いさせて……ごめん」
『あっ、あの……』
「じゃあな……今まで、ありがと」 スッ
『あのっ!』 ギュッ
「え?」
『え、えと……その……』 モジモジ
「ああ……そうだね……逮捕されるまでが通報だもんね……」
『ち、違います!その……ぁぅ……』
「…………」
『だ、だからそのぉ……お、お菓子!』
「お菓子?」
『わ、私が満足できるような美味しいお菓子を用意していただけると言うのなら、まぁその……何と言うか……お家にお邪魔して……お、お邪魔して差し上げても宜しくてよ!?』
「ぉ……おぉ……」
『あ、貴方がどーしてもっ!どぉ〜しても!!と言うなら!!ですわ!!』
「うんうん」 ナデナデ
『こ、こら!勝手に頭を撫でるんじゃありません!!』 プリプリ
「おっと」
『ふん!』
「…………」
『…………むぅ』
「?」
『だ、誰が止めてイイといいましたのっ?』
「はいはい」 ニヤニヤ
『……ふんっ/////』
778
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:55:55 ID:Rbe6cDaw
終わり
なんかあふれるパトスを隠しきれなかった
779
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:57:18 ID:Rbe6cDaw
一週間近く経つのにID変わってない……だと……?
780
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 03:12:10 ID:???
したらばはID変わらないよん
781
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/22(月) 03:15:41 ID:???
友「えへへー、やまだぁ♪」すりすり
山「と、友ちゃん、そんなにくっつかれるとやりにくいよ」
友「…私とくっつくの…嫌なの…?」
山「そ、そんなことないよ!だけどさ、部室に誰か入ってきたらまずいんじゃ…」
友「誰も入ってこないから大丈夫よ!」
山「そ、そうかなぁ…」
友「そうよ。だから大人しくすりすりされなさい」
山「うーん…」
友「うにゃー♪」むぎゅっ
山「うわ、と、友ちゃん…(柔らかいのが当たってる…)」
友「んー…」すりすり
山「参ったなぁ…」テレテレ
ガチャ
タ「おいーっす」
か「校内新聞に使う写真持ってき…」
友「…」
山「…」
タ「お、お邪魔だったかな…?」
か「…みたいね。写真は置いてさっさと行きましょ。話は後日ゆーっくり聞かせてもらうってことで」
タ「それじゃお二人さん…仲良くやれよ?w」
バタン
友「…」
山「…と、友ちゃ」
友「もー、ばかばか!!全部山田のせいだからね!!」ぽかぽか
山「いてて!!そ、そんなひどいよ!!」
友「これからどうすんのよ!!タカシくんにもかなみにもバレちゃったじゃないの!!」ぽかぽか
山「だからさっき言ったんだよー!」
友「うぅ…もぉ最悪…」
山「もうバレちゃったんだし、毒を食らわばってことで外でもイチャつけば…ぶげっ」
友「そんなことするわけないでしょ!!外でなんて…は、恥ずかしくて…死んじゃう…」
782
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/23(火) 01:34:19 ID:???
俺が死んじゃう
783
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/28(日) 13:27:18 ID:D54wChMw
大規模規制に巻き込まれたツンデレスレ民は多いのだろうか
こっちが盛んになるならそれはそれで嬉しいが
784
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:56:18 ID:1dXFnXow
久々の長文投下です
12レス頂きます
785
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:57:33 ID:1dXFnXow
雨。
この秋から冬に移る時分には、よく雨が降る。
雨の音は、それほど嫌いじゃない。
だが、雨戸を閉めなければ、流石にこの雨では家中が水浸しになりかねない。
俺の住まう古びた日本家屋は、田舎の村を更に外れ、辺鄙なところに建っている。
一族の初代が相当な変わり者だったらしく、こんなところにデカイ家をおっ建てたそうだ。
俺はそんな変人の血を引く末裔。
敢えて云えば、一族の最後の生き残りだ。
このデカイ家に一人は大き過ぎる、が。
この家に暮らすのは、人間だけでは無い。
「纏」
急に降ってきた雨を凌ぐため、家中の雨戸を閉めて回っていると、縁側に佇む、小さな背中が目に入る。
着物に羽織り、長く艶やかな黒髪をうなじで束ね、そこから覗く肌はいつか見た雪よりもずっと白く美しい。
まるで精巧に造られた日本人形のような少女に、俺は声をかけた。
「どうしたんだ雨の中そんなところに座り込んで。風邪引くぞ」
俺の忠告も虚しく、少女は飄々とした口調で応える。
786
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:57:58 ID:1dXFnXow
『儂は風邪など引かぬ。それより主よ、あれを見よ』
そう言うと、少女は縁側から広がる庭先に指を向けた。
「……どれ?」
『あれじゃ、庭の石畳じゃ』
「石畳? それがどうしたって?」
少女と目線の高さを合わせるように屈む。
少女は俺を一瞥すると、またその石畳の方を見て『よいか、見ておれよ』と言った。
「おう……」
ぽつ。
『…………』
「…………」
ぽつ。
『…………』
「…………」
ぽつ。
『…………』
「…………それで、なに?」
石畳に雨粒が滴り落ちるだけの変わり映えしない光景に早くも痺れを切らした俺は、少女に問うた。
少女は何枚かある石畳のうちの一つ、一番縁側に近い物を指差して、こう言った。
『アレじゃ、あの一枚だけ、真ん中が抉れておるじゃろう』
787
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:58:23 ID:1dXFnXow
「うん」
『あれはな、この家が建った時から、ああして滴り落ちる雨水を受けて、長い長い時間をかけて、ああして抉れていったのじゃ』
その声は、昔を懐かしむような老獪さと、少女のような無邪気な色をはらんでいて、聞いていると不思議な気分になる。
更にそれはとても透き通っていて、まるで雨音と奏でる音楽のようだ、と思った。
『この家の初代はなんやら物好きでのう。あの石畳だけは、末代まで剥がしてくれるなと言うたんじゃ』
「へぇ……」
『自分の存在がいつか誰からも忘れられようと、自分が残したその言葉で、何かが残っておるのが嬉しいのだとさ』
少女の声が、どこか愁いを帯びたそれに変わる。
思い出しているのだろう、その男の事を。
なんせ、彼女はその初代とやらに会っているのだから。
どころか、二代目も三代目も……俺自身、顔も知らない俺の両親にさえ、少女は会ったことがあるのだ。
それは、彼女が人の身ではなく、妖怪だから。
所謂、座敷童と言うやつだ。
気に入った家に住み着き、少しの悪戯と引き換えに、その家に幸運を齎す。
彼女は何百年とこの家に住み続け、この家、ひいては一族の繁栄を見守り、そして、現在の衰退を見てきた。
『思えば出会った時から死ぬ時まで、変なトコロに拘りを見せるやつじゃった。石畳然り、この家も…………儂も、な』
「……そうか」
『ま、化生の身であるである儂にはわからぬことじゃがなぁ』
そう言うと、先程までの愁いを帯びた顔から一転、意地悪そうに笑って、こう言った。
『儂にわからぬと言うことは、儂よりももっとへんちくりんなお主には、もっとわからぬことじゃろうがな』
788
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:58:48 ID:1dXFnXow
「……そうだな」
俺は肩を竦めてそう答えたが、それは嘘だ。
きっと彼は、初代は、少女に自分を忘れて欲しくなかったのだろう。
俺には痛いほどよく分かる。
俺もいつか死に、そうして誰もいなくなったこの家を少女は離れ、いずれ何処か別の家へ住み着くのだろう。
そうして時間の流れと共に、俺や、一族のことも、いつか忘れてしまうのだとしたら……。
『さて、主よ、儂は腹が減ったぞ。飯を持て』
彼女の陽気な声で、我に返る。
いつの間に立ち上がったのか、彼女はさっさと台所の方へと歩いて行ってしまう。
「はいはい……しょうがねぇなぁ」
『それでこそ我が主』
少女の陽気な声が耳に響く。
その後姿を眺めながら、俺は雨戸を閉める。
こんな風に、彼女の愁いを締め出すことが出来たなら……
789
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:59:14 ID:1dXFnXow
〜〜
「また負けた……」
『ふん、雑魚め』
俺たちは昼食後の日課である将棋の対局に勤しんでいた。
今日も惨敗だが、これももはや日課となりつつある。
「途中までは勝ってたのに……」
『ふん、先の先までは見通せておるが、その先の先までは見えておらぬ。まだまだ未熟じゃの』
ふん、と得意気に鼻を鳴らす様はまるで若き天才女棋士と言ったところだが、その実、齢300を超える婆だ。
亀の甲より年の功……積み重ねてきた技量の前には、たかが数年積んだだけの知識と戦術は虚しく崩れるのみ、と言ったところか……。
『なんやら無礼なことを考えておるのではあるまいな』
「別に。なんでもないさ」
俺は肩を竦め、将棋盤を片付ける。
どうやら年を取ると、勘も鋭くなるらしい。
『……まあ良いがの。あまり迂闊なことは考えんことじゃ』
「それが長生きの秘訣か?」
『戯け』
俺の冗談を一蹴すると、纏はそそくさとお茶の準備を始める。
お茶とは言っても、格式高い本格的な御抹茶などでは無く、急須で淹れるただの緑茶だが。
本人は隠したがっているようだが、どうにもあの抹茶の苦さが気に入らないらしい。
俺は趣味でやる分には、ああいった物を嗜むのも悪くないと思うんだが……。
790
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:59:36 ID:1dXFnXow
『ほれ、さっさと座らんか』
「はいはい」
将棋の後はお茶の時間。これも日課だ。
卓袱台の上に置かれているのは、それぞれの湯呑みとお茶菓子。
手前にはお茶菓子と湯呑みが一つずつ、卓袱台を挟んで向こうには小さめの湯呑みが一つと……今日はやけに多いな。
『なんじゃその目は。やらんぞ、一つたりとも、決してな』
俺の視線に気づいてか、纏はお茶菓子共を隠すように腕で囲った。
しかし、その小さな両腕では隠しきれないほどに大量のお茶菓子がそこにはある。
別にお茶菓子の量の差に文句を言いたいわけではない。
もともと将棋の勝敗によって取り分が決まる約束なのでそれについてはどうでも良い。
しかし……
「いらねーよそんなに大量に……どっから貰ってきた?」
『さあ?戸棚に入っておったわい』
湯呑みを上品に持ちながらお茶を啜る少女に溜息を吐きながら、俺は自分の前に置かれた湯呑みを手に取る。
お互いお茶を啜り、一息ついて、もう一度啜る。
そして、お互いが湯呑みを同時に下げ、お互いの湯呑みが卓袱台に着地した瞬間……!
「くっ……!」
791
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:00:04 ID:1dXFnXow
『はっ!』
俺は纏の膝下に置かれたお茶菓子の箱に掴みかかり、纏はそれを寸でのところで回避する。
俺の腕はさながらホーミングミサイルのように箱を追いかけ、纏の小さな腕からそれを回収しようと足掻く。
纏はその小さな体躯を活かし、あと僅かといったところでその追随を退け、箱を死守する。
小さな卓袱台の周りでの二人の攻防は10分近く続き、お互いに息を切らせ、肩を上下させながら睨みあいとなった。
「そろそろ……ゼェ……諦めろよ……」
『ふふ……息が上がっとるぞっ……ック……小僧……ッハァッ……その程度か……?』
「馬鹿言えよちんちくりん……ハァ……俺はまだまだ若いんだぜ……ハァ……」
『ふん……ヒヨッコが……ッゲホッ……それで言うなら、儂の方が……まだ若いじゃろ……』
「言ってろ……ハァ……」
『ふふ……』
「はっ……」
最早、お互い口で言い合うのも疲れて満身創痍である。
……不毛過ぎる……。
「……あーもうやめだ!疲れた!」
俺は時間と労力の無駄を悟り、半ばヤケクソ気味に畳の上に倒れこむ。
纏はそれを見て自分の勝ちを悟ったのか、余裕を繕った笑みをもって戦闘体勢を解除する。
『ふん、そんなものか小童が。最初から諦めておけば良いものを……』
「はいはい……はい……よっ!」
俺は大の字の体勢から脚を思い切り伸ばし、油断し切った纏の脚を勢いよく払い除けるっ!!
792
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:00:25 ID:1dXFnXow
馬鹿め!油断したな!!
『ひゃあ!?』
足元への攻撃は予想外だったようで、小さな体躯の少女は間抜けな声を上げながら宙を舞う。
俺は脚を伸ばした勢いのまま腰を軸に畳の上で回転し、倒れこむ纏の身体を受け止める。
勿論、突然のことに驚いて、纏が手放した茶菓子の箱もキャッチする。
実は、俺は最初から纏から箱を奪い取るつもりは無かった。
家にいくら物が少ないとは言え、流石に卓袱台の周りで暴れて怪我をさせたんでは話にならない。
暴れる纏を押さえ付け、箱を奪取する方法を合理的に考えた結果、こうなったのだ。
纏は暫く目を白黒させていたが、やがて状況を理解したようで、俺の腕の中で暴れ出した。
『も……もがぁー!!』
「はいはい捕まえたー。こら暴れんなって」
頭を抱え込む力を少しだけ強くすると、観念したようで直ぐに大人しくなる。
「どうだ?先の先は読めていても、その先の先は読めてなかったみたいだな?」
そう言ってやると、纏は悔しそうに『ぐぬぅ……』と唸った。
ずっと言ってみたかった言葉を口にするのが、こんなに快感だなんて……。
「うわっ……お前コレ超高いやつじゃん……どうやって買ってきたんだ?」
箱に書いてある銘柄と内容数から見て、高級品だとわかる。
『外は面倒じゃ。鉄の塊が走っておるし背の高い建物がたくさんある。それに何より人が多過ぎる。家の中の方がよっぽど快適じゃ』と言い張り、
家から滅多に出ないこいつが買いに行けるような場所に店は無いはずだが……。
793
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:01:00 ID:???
『……ウチの当主は脚が悪くて買いに行けぬ上に儂はそのお世話で手一杯。なのに当主はそちらの銘菓を大層気に入って買って来いと儂に駄々をこね……およよ……
と言ったら料金を多めに払う代わりに届けてくれたのじゃ』
「てめぇ……」
なんて捏造をしてくれる。
俺は脚も悪くないしそんな駄々を捏ねるほどもうガキじゃない。
恨みを込めた視線で纏のつむじを見つめていると、ポツリ、と纏が呟いた。
『……怒ったか……?』
纏は小さな指で俺の胸元を引っ掻くようにして、まるで甘える仔猫のようだ。
……いつにも無くしおらしい。
そんな雰囲気に呑まれ、ついつい《いたずら》を許してしまう。
「……これも、日課みたいなんだな……」
『ん?』
「なんでもねー、おこってねーって言ったの」
『ん……』
纏はその細い両腕を俺の首に回し、その柔らかな頬を俺の頬に擦り付けるようにして顔を隠す。
そして耳元で
『……そうかっ……』
と、安堵したような、怒ったような、微笑んだような、ともすれば、泣いているような……そんな声音で、呟いた。
それはまるで、あの抉れた石畳を見つめている時のような、そんな、音色。
俺は、そんな声がもどかしくて……
794
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:01:45 ID:1dXFnXow
「……お茶、冷めちまったなぁ」
『……お主が暴れまわるからじゃ』
「人のこと言えねーだろ……っと……」
俺は纏ごと、身体を起き上がらせる。
湯呑みに手をつけるとやはり、冷たくなっていた。
「淹れ直すか」
『うむ』
茶を一度飲み干し、急須にお湯を入れ直す。
湯呑みにお茶を淹れて、卓袱台に並べ『これ、儂の湯呑みをどこへ遣るつもりじゃ?』
「は?元の場所に……」
『こちら側で良い』
「なんでまた……」
俺の純粋な疑問に、纏は『んんっ』と一つ咳払いをする。
『あー汗を少しかいてしまって少し肌寒い上、運動したので背凭れが欲しいところじゃ。二つを一つで満たす物があるとなれば、使わぬ手はあるまい、のう?』
「……なるほどね」
卓袱台の向こう側に置きかけた湯呑みを、こちら側に置き直す。
ついでに大量のお茶菓子も回収し、手元に並べる。
『ん、その緑色のが食べたい』
「はいはい」
『ぁむっ……ムグムグ……んふっ♪』
795
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:02:11 ID:1dXFnXow
幸せそうに微笑む小さな少女と、それを支える青年。
二人の声は誰にも聴こえない音色となって紡がれる。
この時間が、長く……永く続けば良いと願う少年の想いと伴に。
796
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:02:33 ID:1dXFnXow
雨は、まだ、止まない。
797
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:04:57 ID:1dXFnXow
終わりです
エロパロ板のロリババア・合法ロリスレにも同じ物を投下しました
雰囲気的にはそっちの方が合ってるかもと思ったんですが、もともとツンデレスレに投下するために書き上げた物なんでやっぱこっちでも投下したいなと
長文失礼しました
798
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/08(水) 01:12:18 ID:???
GJですた
しかし萌えというより人生の儚さ感の方が強く感じてしまうのは、
わたくしがそういう年になってしまったからなんでしょうかねえ……
799
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/08(水) 15:00:27 ID:???
これはGJの一言で済ますには惜しいくらいのGJ
是非続きを読みたい
800
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/05(水) 11:33:35 ID:???
山「友ちゃん」
友「なによ」
山「何か飲む?」
友「要らない」
山「友ちゃん」
友「なに」
山「お腹空かない?」
友「別に」
山「友ちゃん」
友「うるさい」
山「友ちゃん、なんでそんなに機嫌悪いの?」
友「…」
山「ねぇ」なでなで
友「やめて!」ばっ
山「…ボクのせいなの?」
友「…ふん」
山「わからないから、教えてよ。ね?」
友「…ねこ」
山「ん?」
友「昨日…猫…いっぱいなでてた…」
山「…へ?」
友「私そっちのけで猫をいっぱいなでなでしてた!」
山「だから、機嫌悪いの?」
友「ん!」
山「…くすっ…なんだ、そんなことか」
友「そんなことじゃない!」
山「そっか、ごめんね。それじゃ…」
ぎゅっ
友「ひゃっ…」
山「お詫びも込めて、ね。」なでなで
友「はぅ…」
山「ぎゅってしながら、なでなでなんて、猫にはしないよ。友ちゃんだけだからね?」
友「ん…」
山「…これで、許してくれる?」
友「今日ずっとこうしてくれたら…許す…」
山「かしこまりました」
801
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/08(土) 16:35:57 ID:???
・普段上下ジャージな友ちゃんがおめかししてきたら
友「山田」
山「あ、友ちゃんおはよ…おや」
友「な、なによ」
山「友ちゃん、珍しいね。普段は上下ジャージなのに」
友「…私には似合わないって言いたいんでしょ。わかってるわよ」
山「…そんなこと言ってないじゃん」
友「じゃあ感想、正直に言ってみなさいよ」
山「…すごく似合ってるし、すごくかわいいよ」
友「う…そ、そんなのお世辞なのバレバレだし」
山「お世辞じゃないよ。ボクは友ちゃんはもっと女の子らしい格好したほうが良いって思ってたよ」
友「…なんで言ってくれなかったのよ」
山「…恥ずかしいじゃん」
友「ふん、ヘタレめ」
山「ま、まぁとにかく…あれ、友ちゃん、カメラは?」
友「…忘れてきちゃった」
山「忘れたって…一旦取りに帰る?」
友「…良い」
山「へ?じゃあどーすんの?」
友「…はぁ…ほんとこのバカは…」
山「…?」
友「…行くわよ!!買いたいものがあるから!山田荷物全部持ってよね!!」
山「な、なんで機嫌悪いんだ…?」
友「(山田のバカ!!私がなんでおめかしして、なんでカメラ忘れたのか、気づかないの!?)」
802
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/08(土) 16:44:41 ID:???
友ちゃんは実は一番乙女可愛い
803
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/10(月) 00:10:09 ID:???
可愛い
804
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/07/30(火) 02:48:27 ID:???
カタカタ…ッターン
山「ふう、これで今日の作業は終わりっと」
友「お疲れ」
山「あぁ、疲れたー」ぼふっ
友「ありゃ、もう寝るの?」
山「うん、さすがに今日はパソコンずっと見てたから疲れちゃったよ」
友「軟弱者め」
山「友ちゃんは指示出すだけだから良いよねぇ」
友「あんたに仕事やってんのよ。感謝しなさい」
山「へいへい…じゃ、おやすみ」
友「…」
ぽふっ
山「…おっ?…友ちゃん、膝枕とは珍しいね」
友「今日はちょっと頑張ってくれたから、ご褒美よ。友ちゃんの優しさにむせび泣くと良いわ」
山「…んー…太ももがふにふにしてて気持ちいい」
友「ふ、太ってて悪かったわね」
山「そういう意味で言ったんじゃないんだけど…ま、ボクは今くらいの友ちゃんが好みかな…」
友「…そーゆーの、セクハラになるのよ」
山「世知辛い世の中になったなぁ…」
友「ま、別に私は嫌じゃない…けど」
山「…ふふ」
友「…」なでなで
山「んっ…」
友「あんた、私の頭すぐなでなでするから、お返しよ」なでなで
山「…ありがと」
友「なんて顔してんのよ」
山「嬉しくて、幸せで、つい」
友「そ、そーゆーことすぐ言うの、反則」
山「あははっ…」
やがて自分の膝枕の上で寝付いた山田の頭をなでなでしながら、友ちゃんは山田の寝顔を自分の脳裏(あとデジカメ)に記憶するのでした。
山「友ちゃん、このデジカメの中身見ても良い?」
友「ダメ!絶対ダメ!!」
おしまい
805
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:03:55 ID:???
帰宅ラッシュのむさ苦しいおっさんどもの波に揺られ、営業回りで酷使されている脚に鞭打ちながら自転車で約20分の帰り道。
そして、家に着けば待っているのは……
「みこちーん!」
黒髪美人でグラマラス、ポニーテールと口元のホクロがチャームポイントの新妻。
みこちんこと我が妻、別府尊ちゃんだぁーっ!!
玄関まで迎えに出てくれるみこちんの胸にダイヴ!
ふかふかな感触と、甘いのにどこか爽やかな香りが俺を満たしてくれる。
腕を腰に回して頬を擦り付けると、美しいくびれと豊満なおっぱいがおれを包み込む。
「ああ……この瞬間のために生きている……」
『喧しいっ!!』
みこちんの肘が俺の脳天を貫く。
痛い。
806
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:04:36 ID:4SnLyINA
「痛い……」
『ふんっ!』
痛みに頭を抱えて蹲る俺を無視して、みこちんはさっさとリビングに消えてしまう。
ちょっとしたスキンシップなのに……んもぅ!
照れ屋さんなんだからっ!
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である俺からすれば、こんなモノは慣れっこだ。
俺は決してMというわけではないが、みこちんに女王様プレイがしたいと言われれば喜んで犬になるし、
スカトロプレイが好きだと言われれば甘んじておしっこでもうんこでも受け入れる所存である。
そんなわけで昔からこんな攻撃を喰らいまくっていた俺の回復力も尋常ではなく、頭の痛みも引いたところでみこちんのあとに続く。
リビングのテーブルの上にはお米と汁物に焼き魚、その他諸々の付け合わせが栄養バランスを考慮した上で鮮やかに並べられている。
その見た目と旨そうな匂いに、仕事疲で機能が低下していた胃を叩き起こす。
しかしまだ我慢だ。
807
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:05:05 ID:4SnLyINA
みこちんはだらしない男が大嫌い。
仕事帰りのスーツのまま食事を摂るなど言語道断だ。
だから空腹を主張する胃袋を抑え込み、手早く着替える。
『ん』
「お、ありがと」
『……ん』
傍から着替えを用意して差し出してくれるみこちんに感謝の意を表しつつ、部屋着に着替えを完了する。
ここですぐさま食事に飛びつきたいところだがそうは問屋が卸しても俺がそうしない。
食事の前には手洗いとうがいをするモノだ。
液体石鹸をつけて掌から指、爪の間、手の甲までしっかり30秒。
もちろん手首も忘れない。
風邪予防の為にもイソジンを使ってきちんと3回うがい。
喉の奥までスッキリだ。
そこまでして漸く食卓につく。
きちんと手を合わせて、
「いただきます」
『うむ』
味噌汁、おかず、お米、とバランスよく食べ進める。
よく噛んでよく味わって食べることも忘れない。
ちなみに、俺は基本的に帰りが遅いのでみこちんは先に食事を済ませていることが多い。
今日もみこちんはお茶を啜りながらチラチラと俺の様子を伺っている。
一通り味わってから、みこちんの目をちゃんと見て、
「今日も美味しいよ。ありがとう」
ちゃんと言う。
808
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:05:32 ID:4SnLyINA
感謝の気持ちは日頃から言わないと腐ってしまうものだ。
腐ったものは取り出しづらくなる。
その前に、新鮮で美しいままに相手に伝えるのが一番だ。
『……そうか』
みこちんはそっぽを向いて、『当然だ』というような表情を作っているけど俺には判る。
これは照れと安心が折り混じったときの表情だ。
普段、尊大な態度を取りがちなみこちんだが、その実とても臆病で、更に照れ屋なのだ。
だからこそ、きちんと言ってあげるのが大事だとも言える。
みこちんは湯呑みに口づけてからその中身が無いことに気がついたようで、それを隠す為なのか照れているのか、湯呑みをくるくる回して弄んでいる。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったら食器は自分で片付ける。
しかし洗いはしない。
なぜなら……
『今日も汗臭いぞ。さっさと風呂に入って来い』
「ん? そう?」
『ああ、オヤヂ臭がぷんぷんだ』
みこちんに言われるままお風呂へ向かう。
脱衣所には既に替えのパンツとバスタオルが用意されており、風呂場のドアを開けると柑橘系の入浴剤の匂いが流れてくる。
聴覚に意識を集中すると、キッチンから微かに水音が聞こえてくる。
みこちんが俺の使った皿を洗ってくれている音だ。
出迎えに食事、風呂場の用意の完璧さを見ても判るように、みこちんは元来働き者の上に尽くすタイプだ。
809
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:06:02 ID:???
結婚当初、働きたいと言っていたみこちんだが、(家でお前を待つだけの退屈な日々など真っ平だなどと言っていたが、本当は金銭面で俺に負担をかけさせない為だ。俺には判る)俺が頑として拒否した。
仕事などさせて出先で変な虫がくっついても困る……というのもあるし、女性に経済の一端を負担させてしまうというのは、俺のポリシーが許さなかったのだ。
幸い俺は一流とは言わないまでも大企業に勤め、収入も安定している。
上司とも後輩とも関係はうまく行っているし、契約先の役員の方にも顔を覚えてもらい、指名してもらえるぐらいにはなった。
そういうわけで、みこちんは俺がいない間随分暇だとも言える。
そんなみこちんから家事を取り上げようものなら、逆にちょっとしたストレスになってしまうだろう。
子供がいれば、俺がやってもいいだろうが、生憎まだ子宝には恵まれていない。
みこちんが照れてあんまりさせてくれないのもあるが、やっぱり大事なことは二人でゆっくり進めていかないとね。
そんなこんなでお風呂を堪能し、ほかほか上機嫌でリビングに戻る。
みこちんはテレビでニュースを垂れ流しており、俺に気づかぬまま、ソファの上で惚けていた。
810
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:06:36 ID:4SnLyINA
「今ですっ!」
『きゃあっ!?』
おっぱいを後ろから鷲掴みーっ!
柔らかいのう気持ちいのう。
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ。
ああ……癒しの時……。
『このっ……! 変態っ!!』
「ぎゃぶぅっ!?」
みこちんの鋭い肘鉄が俺を襲う。
レバーはらめぇ!!
みこちんは腹を抑えて蹲る俺から距離をとり、涙目で威嚇してくる。
『はーっ……はーっ……く……この、油断していれば……!』
「俺なりの愛だよぉ……」
しくしく、と泣き真似をしながら訴えるも虚しく、みこちんの顔は羞恥のそれから憤怒の赤に染まっていった。
あ、やばい。
これは相当お怒りですな。
くそうっ!
誘惑に勝てないこの両手が憎いっ!!
「み、みこちん? なんといいますかコレは夫婦のスキンシップでしてな……」
『離婚だ』
「はい?」
『次に許可なく私の身体に触れたら……離婚してやるっ!!』
「なっ……!」
なんだってー!!?
『ふんっ!』
みこちんは怒り新党、いやさ怒り心頭のまま、夫婦共用の寝室に消えてしまった。
寝室へ続くドアの向こうからは、阿呆だの助平だの変態だの性欲魔人だのと文句と呪詛が飛んでくる。
突きつけられた現実に少々呆然としていた俺は、ソファに倒れこんだ。
「(離婚かぁ……)」
そんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
みこちんは照れ屋さんなので、ちょっと強引な感じで攻めた方が受け入れ易いんだと思っていた。
しかし実際にそんな単語が出てくるということは、照れ隠しで攻撃してくるというのは俺の勘違いで、本当は嫌がっていたのか。
あんな巫山戯た感じではなく、もっとちゃんとロマンチックな状況の方が受け入れるのに抵抗が無いのだろうか。
俺は立ち上がり、垂れ流しのテレビを消した。
「ふむ……」
取り敢えず、寝る前に歯を磨こう。
811
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:16 ID:4SnLyINA
〜〜
「あだだだだ……」
翌朝。
ソファで寝たせいか俺の身体はバキバキだった。
時計を見るとまだ4時。
いつもより2時間も早い目覚めだ。
二度寝はみこちんに怒られるので決してしない。
立ち上がって伸びをすると、身体のあちこちがポキポキと小気味の良い音を鳴らす。
洗面所で顔を洗って、トーストとコーヒーを準備する。
起きてしまったものはしょうがないので、このまま会社に行こう。
いつもよりのんびり出勤できるだけ、得だとでも思っておこう。
朝食の後、歯を磨いてからスーツに着替える。
髭はあまり伸びない方なので、毎日は剃らない。
早めに起きてしまったので出勤する旨を書き置きして家を出る。
せっかくなので、自転車ではなく徒歩で駅まで行こう。
朝の4時過ぎともなると、流石に出歩いている人は殆どいなかった。
ランニングしている学生や、朝帰りなのか眠そうな顔をした女性がいるのみだ。
夏でもこの時間では陽は昇りきっておらず、風が吹くと少し肌寒くも感じる。
ふと、そういえば、婚約して、今の家に住むのが決まったとき、この辺を尊と一緒に散策したことを思い出す。
出勤ルートから少し外れ、通りを二つほど横断すると、ちょっと大きめの土手に出た。
幅も深さも大したことはない、小さな川。
そこに映る朝陽を見て、二人で手を握り合ったあの日。
あの日の尊は、昨夜のような不機嫌な顔ではなく、もっともっと、素敵な微笑みを見せてくれていた。
「……そうだよなぁ」
その俺の大事な人を、生涯守り切る。
あの日、この朝陽に俺は誓った。
だから、その誓いを、きちんと守ろう。
朝陽に向けて、俺は拳を握った。
812
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:51 ID:4SnLyINA
〜〜
いつも通りの家路を辿り、玄関の扉を開ける。
そして転んだ。
『えっ……』
頭上の尊は、不測の事態に頭がついてきていないようだ。
ふふふ……しかしそれは俺もだ……。
まさか、無意識に尊に飛びかかろうとして転ぶとは……。
だが甘いっ!!
尊に無意識に飛びかかる可能性を考え……
家の前でスクワット100回やっておいたのだ!!(クワッ‼
脚どころか腰までもうヘトヘト、これで尊に襲いかかることはもうできない……。
つまり、尊の嫌がることはできない=尊を守ることに繋がるのだっ!!
どうだ見たか? この完璧なロジック……。
「くっくっくっくっくっ……」
『だ、大丈夫か……?』
うつ伏せのままほくそ笑んでいると、心配気な声が頭上から降ってきた。
尊に無駄な心配をさせてしまったようだ。
さっさと起き上がり、スーツを軽く払って整える。
「ああ、大丈夫」
靴を脱いで尊の横を通り過ぎる瞬間、ふんわりとした良い香りが鼻腔をくすぐる。
すぐさま横っ飛びに抱きつきたいが、掌に爪を、唇に歯を食い込ませて辛うじて耐え切る。
別府タカシ、我慢の子!
いつも通り支度を整えて食卓につく。
……おや?
今日の食事はあまり栄養バランスが良くないようだ。
緑黄色野菜が添えられているものの、なんとなく肉料理が多く、味噌汁ではなくコーンスープ。
813
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:08:21 ID:4SnLyINA
どれもこれも、俺の好物ではあるが……うーむ。
…………。
…………生理かな?
女性は生理のとき、貧血になりがちだと聞くし、血を作る為に肉が食べたかったのかも……。
そう言う意味では、バランスの良い食事と言えなくもないだろう。
まあ、俺の好物でもあるのだし、感謝して味わうとしよう。
『ぉ……おい』
「んむ?」
夢中になって食べていると、尊が急に話しかけてきた。
顔を見てしまうと触りたくなるので、できるだけ顔は見ない。
『……どうだ?』
「ん?」
なんのことやら考えて見みると、そう言えばまだ感想を言っていなかった。
黙って食べているのを見て不安になったか。
ぐふふぅ、愛い奴よ。
「美味しいよ。いつも通りさ」
『…………そうか』
おや、なんだか不満気だな。
というより、拗ねているようにも感じる。
顔さえ見れればすぐに判るのだが、流石に声音と雰囲気だけで尊の精神状態を判断するのは難しい。
しかし自分の条件反射が怖くて尊の顔を見るわけにもいかず、その日はそのままろくに会話も無く、二人で床に就いたのだった。
814
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:09:04 ID:4SnLyINA
〜〜
『…………』
午前6時12分。
夫は出勤済みである。
私は朝に弱く、6時前にアラームをセットしても絶対に起きることはない。
これは二十余年の経験からもわかることで、性格というよりも生態に近く、自分でもどうしようもないのだ。
だから、ここ1ヶ月近く、早起きして出勤する夫の背中を見送ることすらできていない。
ついでに言えば1ヶ月近く夫の身体に触れておらず、さらに言えば、1ヶ月近くのセックスレスである。
『…………』
結婚数年にして、否それ以前から、夫が私に1ヶ月も触れること無く過ごすなど、もはや天変地異の前触れである。
…………。
……原因はわかっている。
私だ。
1ヶ月前のあの日、私は夫にこう言い放った。
次に許可なく私の身体に触れたら、離婚してやる、と。
それ以来、一度も私に触れてこない。
どころか、翌日からはろくに目も合わせてくれない。
だが待ってくれ!
私も私なりに謝罪の機会を作ろうと努力したのだ!
815
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:03 ID:???
・・・
離婚発言のその晩、私はベッドで夫がやってくるのを待っていた。
私にとってはちょっとした意地悪というか……否、それでも言い過ぎたのには変わりないが、そんなつもりで放った言葉だった。
だからそのうち、夫が私に謝りに来てくれればそれを許し、あわよくばそのままイチャイt……ゴホン。
それはそれとして、私はベッドで待っていたのだが夫はいつまでたってもやって来ない。
逆に不安になった私はベッドから起き上がり、リビングを覗いてみると、奴はソファで寝ていたのだ。
夫はとてもぐったりとしていた。
近づいてみると、寝言かうわ言か、私の名前をしきりに呼んでいた。
私は自分の発言の軽率と重さを実感し、夫が起きたらきちんと謝ろうと思った。
しかし翌朝。
起きてみれば夫の姿は無く、早めに出勤する旨の書き置きが残されていた。
私は事の重大さを思い知った。
夫はどうやら、酷く怒っているらしかった。
朝は私が起きるまで、横で頭を優しく撫でてくれている夫が、ベッドにいないどころか家にもいない。
それもそうだ。
奴は昔から、私に触れると癒されると言っていた。
いつも汗水流して私の為に働いてくれているのに、その癒しを私は奪おうとしたのだ。
下手をすれば愛想を尽かされても……最悪、他の女に……。
想像するだけで泣きそうだった。
私は商店街が開く時間になると身支度もそこそこに家を飛び出し、買い出しに向かった。
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である私からすれば、奴の好みなどとっくの昔に把握済みだ。
奴が好んでよく食べる緑黄色野菜を八百屋で買い込み、肉屋で普段は買わないような高い肉を牛、鳥、豚、もちろん国産で揃える。
他にもコーンスープの材料など諸々を買い、家に戻る。
下拵えをしてから、洗濯やら掃除やらを済ませ、本格的に料理に取り掛かる。
手間暇をかけて渾身の夕食を作り上げると、丁度いい時間だった。
朝食も昼食も摂っていなかったが、空腹などどこかへ飛んで行ってしまった。
食卓に料理を並べる前に、部屋着ではなくきちんとした服に着替え、普段はしない化粧をする。
どれもこれも、奴と仲直りする為の計画の一部だった。
私の計画はこうだ。
==========
「ただいま」
『おかえり』
「わあ、今日は俺の好物ばかりだね」
『一生懸命作ったのよ』
「すごく美味しいよ! お化粧までして、いったいどうしたんだい?」
『その……昨夜のことで謝りたくて……言い過ぎだったわ。ごめんなさい』
「俺こそやり過ぎだったよ。でも、愛し過ぎるがゆえなんだ」
『わかってるわ。私も愛してるもの』
「尊……!」
『あなた……!』
キャッキャウフフ
==========
概ねこんな感じである。
馬鹿馬鹿しいかもしれないが、私はどうにも素直になれないのが悪い癖だ。
しかしそれを今すぐ直すのは難しい。
だから、自分で自分が素直になる為のお膳立てをしようというわけだ。
そして、あとは奴が帰ってくるのを待つだけだ。
816
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:25 ID:4SnLyINA
・・・
結果から言えば、その計画は失敗に終わった。
夫はなぜか玄関に入るなり盛大に転び、以来、私の顔すら見ようとしなかった。
私の横を通り過ぎるときは拳を固く握って歯を食いしばり、何かを必死に耐えているようだった。
食事中も、いつもなら向こうから目を見てはっきりと感想と感謝を言ってくれるのに、こちらが聞くまで無言の上、最後まで私の顔を見てはくれなかった。
寝るときは同じベッドで寝たが、寝ているときでさえも私に近づこうとはせず、奴の態度は徹底していた。
そんな馬鹿馬鹿しい計画を繰り返すこと約1ヶ月……。
今日もまた、夫は早朝出勤で、書き置きを残して行った。
正直、私の方はもう限界に近かった。
相手に触れることで癒されていたのは奴だけではなかったのだ。
『……今日帰ってきたら、素直に謝ろう……』
私は決意し、夕食の支度に取り掛かった。
そして、ようやく準備が終わったところで、奴から電話がかかってきた。
817
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:54 ID:4SnLyINA
〜〜
上司からの急な誘いで、飲み会に付き合わされて遅くなってしまった。
どうやら、ここのところ尊との触れ合いが欠乏し過ぎてやつれていた俺を心配してくれたようだったが、お酒はあまり得意ではないし、ありがたくもあったが実際遠慮したかった。
しかし後輩たちに押し切られ、女性社員にホステスされたりホストしたりしているうちにこんな時間になってしまった。
尊には途中で連絡したものの、『そうか』とだけ言って電話を切られてしまった。
また怒らせてしまったらしい。
ここのところ、できるだけ尊に嫌な思いをさせないように努力していたが、流石にこの身も限界が近いようだ。
顔色が相当悪いのか、取引先の方から「もっと待遇良くするからうちに来ないか」などと冗談だか本気だかわからないお誘いを受けるほどだ。
「帰ったら、土下座してでも抱きしめさせてもらおう……」
818
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:32 ID:4SnLyINA
〜〜
玄関を開けると、真っ暗だった。
「……?」
明かりをつけてみるが、やはり誰もいない。
いつもなら尊が俺を出迎える為に玄関の明かりをつけて待っているはずなのだが……。
リビングに進むと、ここも電気はついていなかった。
「あれ?」
食卓には夕飯がセットしてあるが、どれもこれもだいぶ前に準備されていたようで、茶碗を触ってみると、既に冷たくなっていた。
今日の夕飯も、豪華だった。
「…………」
やはり、怒らせてしまったらしい。
それもそうか。
いくら急な誘いとはいえ、これだけの準備をして待ってくれていたのを無駄にしてしまったようなものだ。
「(これも含めて、ちゃんと謝らなきゃな……)」
おそらく、尊は不貞寝でもしているのだろう。
寝室を覗いてみると、案の定、ベッドの上が盛り上がっていた。
カバンをベッドに置き、尊の側まで近づく。
まだお許しを得ていないので触ることはできないが、近づくぐらいならいいだろう。
「尊……? あのさ……」
と、そこで、毛布から伸びてきた腕によってベッドに組み伏せられた。
「痛っ……!?」
ベッドに叩きつけられた衝撃に視界が眩む。
『タカシ……』
その声に、ハッとして目を開く。
俺を押し倒したのは、尊だった。
長い黒髪が艶やかに流れ、俺の顔の横まで垂れる。
その瞳は怒りなのか悲しみなのか不安なのか、涙を湛えて充血していた。
月明かりが窓から差し込み、尊の白い肌を照らしている。
そう、尊はなぜか、全裸だった。
『タカシ…………タカシ…………タカシ……タカシ……』
尊は俺の名前をうわ言のように繰り返し、痛いほどに俺の肩を握りしめていた。
その鬼気迫る表情に、俺は言葉が出ない。
『タカシ……タカシぃ……! 他の、他の女のところになんて行かないで!!』
その言葉と一緒に、尊の瞳から、雫が零れた。
『わ、私ならお前を満足させられるぞ? お前のことはなんでも知ってるからな。感じるところも好きな食べ物も映画も漫画も女の好みも性格も全部全部全部だ! ほ、ほら今すぐ気持ち良くしてやるから……!』
「ちょっ……! み、尊っ!?」
尊が俺のベルトに手をかけ、強引にズボンを脱がそうとしてくる。
そこでようやく俺は思考を取り戻し、尊の腕を抑えて抵抗する。
『な、なんで……? わ、私の体じゃ満足できないか? な、なんでもしてやる今ならなんでもするから! ヴァギナでも口でも胸でも……お、お尻はちょっと怖いけど大丈夫だお前は優しいから……
そ、それとも私のせ、性格に愛想が尽きたか? な直す直すよ? わ、私もこんな性格に愛想がつきかけてたんだ。直すまで待てないなら……そ、それなら……ほ、他の女のところに行っても
しょ、しょうがない、しょうがないけど私のこと捨て、捨てないで傍にお前の、タカシの傍に置いてくれなんでもするなんでもするからお前がいないとダメなんだお前じゃないとお前に触れていないと
お前が一緒にいてくれないなら私…………死ぬ、しか』
819
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:57 ID:4SnLyINA
「尊っ!!!」
聞いていられなくて、尊を抱き締めた。
その身体は夏とは思えないほどに冷え切っていて、本当に死にそうだ。
尊はまるで魂が抜けたかのように身体はピクリとも動かず、さっきまでの狂ったような言葉も止まっていた。
怒るどころではなかった。
何を勘違いさせてしまったのか、尊は俺が尊を捨ててしまうと思っていたらしい。
「そんなわけねぇだろっ……!」
力強く、抱きしめる。
「俺が、この俺が……尊のハイパー幼馴染のこの俺がっ……!!」
この1ヶ月を埋めるように。
「尊から離れるわけ……ないだろっ……!?」
強く、強く抱きしめる。
骨が折れてしまうほどに。
肉が千切れてしまうほどに。
その奥にある、彼女の心に、俺の心を繋ぐ為に。
愛を、伝える為に。
『私のこと、愛してるのか……?』
彼女の身体が震える。
「ああ……」
『私と、ずっと一緒にいてくれるか……?』
彼女の涙が零れる。
「愛してる。頼まれたって、手放さないよ」
尊の泣き声が部屋に満ちる中、満月の明かりに照らされて、俺は。
二度目の誓いを贈った。
820
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:24 ID:4SnLyINA
〜〜
二度目の誓いをしたあの日、尊が何であんなことになったかと言うと、単純な勘違いだった。
俺はあの日、飲み会に誘われて帰りが遅くなる旨を尊に電話で伝えた。
その時、喧しい会場からは少し離れたところで電話をしていた。
しかしそこで運悪く、一人で席を立った俺の様子を見にきた後輩(女性)が、電話中の俺に絡んできたのだ。
どうやら尊は、その声を聞いて、俺が不倫だか浮気だかをしていると勘違いしたらしい。
ただ、原因は俺にもあったようで、衝動的に抱きついたりしないように俺は尊の顔を極力見ないようにしたり、
更に、朝早く出て例の朝陽を拝むことで自戒を強めたりしていたわけだが、
それらのせいで、俺が怒っていると尊に勘違いを与えてしまっていたのだ。
それが1ヶ月も続いてからのあの電話で確信した(勘違いだが)尊は、どうにか俺を引き止めようと必死だったのだ。
そんなこんなで、あれから一週間。
「いってきます」
『うむ』
午前6時40分。
出勤には良い頃合いだ。
『あ、ちょっと待て』
尊に引きとめられて振り向くと、襟と裾を直される。
『まったく、だらしのない』
「いやぁ、昨夜尊に絞られたからぼーっとしちゃって」
『そ、そういうことを外で言うなとっ……!!』
冗談めかして言う俺と、真っ赤になって怒る尊。
可愛らしい妻を持って、俺は幸せだなぁ。
『……ちょっと来い』
袖を引っ張られ、もう一度家の中に入り直す。
『ん』
そうして、ドアを閉めるや否や、尊が両腕を広げる。
「はいはい」
俺は尊を優しく抱きしめ、髪を梳くように頭を撫でる。
尊はそれに返事をするように、俺の腰に腕を回す。
そうしてしばらくすると、尊から、一際強く抱きしめられる。
それは、もう行かなきゃの合図。
「そんじゃ、いってくる」
『……ん』
お互いがお互いに名残惜しく、離れる最後まで繋がっていたいとばかりに少しずつ離れて行く。
手と手だけが残って、その手の淵で小指を絡め合う。
「今日も愛してるぞ」
『ばか……私もだ』
絡めた小指も離れ、俺は玄関のドアを開ける。
外に一歩踏み出すと、地球を蒸し焼くように輝く太陽が俺を照らしている。
それでもこの体を包むのは、太陽の熱なんかじゃない。
821
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:46 ID:4SnLyINA
これは、大好きな人の温もりだ。
822
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:13:25 ID:4SnLyINA
おわり
長文失礼
最近無駄に長くなりすぎ
823
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 01:28:27 ID:???
激しくGJ!!
824
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 02:22:26 ID:???
みこちんかわかわ
825
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 04:28:55 ID:???
これはやばい
みこちんが可愛すぎて俺の頬がやばい
826
:
1/5
:2013/08/14(水) 00:28:32 ID:???
【ツンデレとプールへ行ったら】
夏なのでプールに行きたい。暑いからね。それだけの理由だからね。別に肌色占有率の変遷とかに興味はなくてね。スク水がどうとかどうでもよくてね。個人的には旧スクが一番好きだけどそれはどうでもよくてね。
「……後半に行くに従って本音が漏れていくのはどういう仕様なのか」
いつもの半眼がジロリと俺を睨み上げる。今日もちなみは鋭くて困る。というより、気づくと考えをひとりごちている俺に問題がある。
「べ、別に本音というわけではなくてだな……あ」
軽く声をあげると、ちなみは不思議そうに小首を傾げた。
「こほん。……か、勘違いしないでよねっ! 別に本音なわけじゃないんだからねっ!」
「…………。ばーか」
たっぷり間をとったあと、ちなみは全力で俺を馬鹿にした。
「否定はできない。だけど、我慢できなかったんだ。どうしてもツンデレ語を使いたかったんだ……!」
「……どうしてタカシはこうも馬鹿なのか。夏か。夏のせいなのか。なら夏のない国へ行って戻ってくるな。迷惑だ」
言葉以上に迷惑そうなしかめっ面で、犬でも追い払うかのようにシッシってされた。シッシって。
「ウッシッシ。なんちて。うひゃひゃ」
「……そこまで追い詰められてたなんて。……私にできることなら、なんでもやる。……だから、リハビリ、がんばろ?」
結果としては大成功なのだが、ちなみの哀れみの視線がどうにも辛いよ。つーか、なんだ、リハビリって。
なんでもやるとか言ってたので、一緒にプールに来てみた。
「も、もちろん水着DEワッショイですからね! プールですから! プールなので水着も変じゃないですから! もちろん将来的には一緒にお風呂に入った時に水抜き穴から手を入れる予定ですから、これは予行演習ということでよろしいでしょうか」
プールの監視員達からのものすごい熱視線を受けながら、一人ちなみを待つ。女性の着替えは時間がかかるものだ、男たるもの、どっしりと構えていたいものだ。
「さてはて、ちなみはまだかな?」ソワソワソワソワソワソワソワソワ
「……その動きは法に引っかかる。即刻やめるべき」
「お、俺のどっしりとした構えが犯罪だと!? どういう了見……」
くるりと振り向くと、そこに紺色の人魚がいた。
「……いったいどこにどっしりなんて擬音が存在するのか。……外宇宙にまで探検しても見つからないに決まってる」
いた。ここに俺の天国が。旧スク天国が今ここに。
「……じ、じろじろ見ない。ばか」
「ああ。あああ。ああああ」
肩にかけてたパーカーを着られてしまった。うすぺたい乳を隠され、これでは魅惑のデルタ地帯を鑑賞することしかできない。
「まあ、それは、それで」
827
:
2/5
:2013/08/14(水) 00:29:03 ID:???
「……う、うう。一体どこまで変態なら気が済むのか」
「はっ」
気がつけば、ちなみの下半身に鼻息が届くほど間近に迫り、全力で凝視していた。恥ずかしげな顔でこちらをちらちら見ているちなみが可愛い。
「恐るべきは、スク水の魔力か……!」
「……いや、衆人環視の中、女の子の下半身を凝視できるタカシの精神力の方が恐ろしいと思う」
成る程ちなみの言う通り周囲は夏休みということで人でごった返しており、さらにこちらをちらちら見つつヒソヒソ囁き合っており、さらにさらに言うならちなみは一見小学生的であり、これはもう完全に俺が変質者。
「ち、ちなみ、友人のちなみ。向こうの人があまりいないプールに行こう、すぐに行こう。楽しく一緒に遊ぶんだねぇー」
「……ちなみに、また、あの白いの飲ませるの?」ウルウル
はい出た、出ましたよちなみさんの秘技、幼女変化! 子供っぽく振る舞い、俺に致命的ダメェジを与える秘技! 主に社会的に致命的な被害があり、結構な確率で通報されるのでやめてください。
というわけで、もう何を言っても俺が加害者のイメージは覆そうになかったので、ちなみを脇に抱えて全力ダッシュ。
「お。おお。おおおー」キラキラ
抱えられたちなみは楽しそうで何よりだが、監視員達が無線で何か連絡をとりあってるのが視界の端に映ってたのがどうにも気にかかる。
「はぁはぁ……。あのなあ、ちなみ。ああいう冗談はお前の容姿と相まって洒落になんねーから、なるべく抑えるようにしてくれませんかねェ……?」
「……善処する」
「この政治家め」
「……秘書がやりました」
「政治家だ!」
「……えっへん」
よく分からんが胸を張っていばってるちなみの頭をなでつつ、ふと先ほどの発言を思い出す。
「つーか、白いのを飲ませるってなんだ。そんな非道なマネしてねーぞ」
「……前に、タカシの家に行った時に、カルピス飲んだ」
「あー。なんつーベタな」
「……白くてベタベタした液体を、タカシが無理やり私に飲ませた」
「無理やりじゃねえ。おかわりしてたし」
「……普段飲まないから、結構おいしかった。次遊びに行ったら、また出せ。濃いのな、濃いの」
「あー分かった分かった」
なんとなくちなみをなでながら周囲を見回す。ここはただの大きなプールだ。しかも結構な深さがあるため、人影は先ほどのレジャープールに比べ、あまりない。
「俺なら肩まで浸かる程度で済むが、ちなみのような幼女気質の人間の場合、ものの数秒で頭まで沈み溺れ死ぬこと請け合い」
「……その場合、絶対に道連れにしてやる」
手近な椅子にちなみのパーカーをかけてから、暗い笑みを浮かべる死神を連れ、件の深いプールへ。
828
:
3/5
:2013/08/14(水) 00:29:24 ID:???
「おお。こりゃ結構深いな。大丈夫か、ちなみ?」
「……へ、へっちゃら」
と口では言ってるが、常に泳いでいないといけないため、結構大変そうだ。顔にいつもの余裕がない。
「大丈夫か? 他のトコ行くか?」
「へっ、へっちゃらと、言ってる!」
「へーへー。疲れたら早めに言えよ、素早く上から押さえつけるから」
「……今こそ、道連れの時……!」
「うわっ」
がしっ、とちなみが抱きついてきた。……いや、今の擬音は間違いだ。
ふにょん、とちなみが抱きついてきた。
「え、ええと、ええぇとだな、その、間違いでなければ、その、俺の、俺様の黄金の右腕にだな、その、ふにょりと柔らか物質的な物が」
「…………」
ちなみは黙って頬を染めている。困ったような顔で、こちらをちらりちらりと伺っている。そんなの、こちらも困ってますよ!
「まあ、その、事故的なものですし、ええと、その」
「……う、うぅ。貧乳のくせにあててんのよをするとか笑止、とタカシは言う」
「言ってねえ!」
「……え、ええと。……一応、私のおっぱいです」
「分かってるよ! 何の謙遜だよ! びっくりしてんだよ!」
「……あまりの小ささに?」
「女体の柔らかさに! あっ」
「…………」
言わなくていいことを言いました。なぜなら、ちなみの顔がもう目に見えて赤くなっているから、言わなくていいと分かったのです。
「……えろ。タカシのえろ。えろー」
片手で俺に抱きついたまま、空いてる手でちなみがパシャパシャと俺に水をかけてきた。
「すいません。すいません」
「……このままではプールの中で犯されてしまう。エロ同人みたいに」
「そんな同人見たことねえ。AVではあるが」
冷静になりました。色々どうでもいい。
「はぁ……何もしてねえのに疲れた。しばらく泳ぐのはいいや、ぷかぷかと漂うことにする」
「……さながらタカシの人生のよう」
829
:
4/5
:2013/08/14(水) 00:29:49 ID:???
「人の人生をクラゲみたく言うない」
「……ふふり」
薄く笑って、俺の隣にぷかりとちなみが浮く。……が、すぐに沈んでしまう。
「……むぅ。浮かない」
不満げな顔で、ちなみが浮上してくる。
「脂肪が少ないと浮きにくいらしいな。これは全く関係ないが、おっぱいってのは脂肪の固まりらしいな」
「…………」
ちなみが無言で自分の胸をぺたぺた触った。心なしか悲しげだ。だがそれも一瞬のことで、こちらを見るとニヤッと笑った。
「……そのおっぱいを、タカシは先程どう評価したっけ?」
「ぐぅ」
正直ぐうの音も出ないが、悔しいのでぐうの音を絞り出す。
「……ふふり」
満足げに微笑み、ちなみはさっきと同じように俺の腕に抱きついた。
「お、おい」
「……別に、抱きつきたいわけじゃないもん。……脂肪が少ない、スレンダーな体つきだから、無駄に脂肪がついてるタカシにくっついて、一緒に浮かんでるだけだもん」ギュー
「別に俺はデブじゃないデブー」
「……急にデブ語を駆使しだした。はろはろー」ムニー
「腹を押すない。あ、そだ。浮き輪でも買うか? それなら俺にくっついてなくても浮かぶと」
「いらない」
「え、いや、でも」
「節約は大事。いらない」
「や、そんな高いものでもないし、それくらいなら」
「いらない」キッパリ
「……まあ、そこまで言うなら」
普段のだらだらとした口調ではなく、はっきりいらないとちなみが言う。経済観念のしっかりした娘さんで感心する。将来はこういうのを嫁にしたいね。貧乳だし。
「ん。いらない。節約大事。ちょー大事」ギュー
「……気のせいか、それ以外の何らかの目的を感じるのだが、気のせいだろうか」
「気のせい。タカシは勘が鈍いのだから、気のせいに決まってる」ギュー
「そうなのだろうか」
「そうなのだ」ムギュー
830
:
5/5
:2013/08/14(水) 00:30:11 ID:???
「先程から抱きつくというよりしがみつくという方が相応しいほどくっつかれてるのだが、それは関係ないのだろうか」
「ない。一切ない。これはただの浮き輪代わりにタカシを利用してるだけ。まったく、すぐ勘違いをする。これだから童貞は困る」
「妄想の中では億を超えるほど女性と交わってますが!?」
「……それで、一体どういう反応を期待しているというのか」
「『超すごい。抱いて』という反応」
「…………。超すごい。抱いて」
一瞬ものすごい蔑みの視線を受けたが、それでも言ってくれるちなみの優しさに感激するが、それ以上のむなしさに襲われたのでどうにもできない。
「……期待通りの反応なのに、どうして悲しそうなのか」
「よく考えたら全然すごくない上に、こんなので抱いてと言う人間なんて存在しないと気づいたから」
「……当然だ、ばーかばーかばーか。どざえもんになって死ね」
「今この瞬間に僕土左衛門になったら、もれなくお前もぼくドラえもんの妹になるがよろしいか?」
「……脅迫された。……水中でえっちなことをされるに違いない」
「してねぇ」
などと益体もないことをのたのた言い合いながら、ちなみにしがみつかれたり背中に乗られたりされました。色々柔らかかったです。
831
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 02:07:17 ID:???
はうううううう!
うううううう!
832
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 03:23:12 ID:mHrZcYPk
ニョワワワワ
833
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 07:11:22 ID:???
これだからちなみんは可愛い!!
834
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 16:17:33 ID:???
ちなみんは可愛いなあ!可愛いなあ!
835
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/18(日) 19:51:19 ID:???
>>830
GJ
ちなみんのちっぱいに吸い付きたい!
836
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:04:54 ID:ye//j46.
(
>>742-747
>>761-764
>>768-773
とかの続き)
『お兄』 ガチャ
「の、ノックしろばか」 ビク
『……なにしてんの?』
「は? 別に」
『メール?』
「……別に」
『…………あっそ』 ボフ
「…………」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『…………』 グイー
「……覗くんじゃねーよ」
『気のせい』
「いや気のせいじゃねーから」
『気のせい』
「はいはい……」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『……お兄』
「んー?」
『ユキって誰?』
「…………は?」
『メールの人』
「は? なにお前勝手に見たの?」
『このまえちょっと見えただけ』
「いつだよ」
『このまえ』
「……あっそ」
『…………』
「…………」 ポチポチ
837
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:14 ID:ye//j46.
『ねぇ』
「……なに」 ポチポチ
『ユキって誰なの?』
「知らねーよ」 ポチポチ
『は?』
「ユキなんて名前のヤツのアドレスねーから」 ポチポチ
『……なんで嘘つくの?』
「ついてねーよ」 ポチポチ
『……このまえ見たもん』
「しらねーよ」 ポチポチ
『…………見た』
「はいはい」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『………………彼女?』
「……はぁ?」
『だって隠すから』
「だから彼女いねーから」
『……別に隠さなくてもいーじゃん』
「だからいねーって……」
『…………』
「…………」
『…………』
「……はぁー……お前さぁ」
『…………なに』
「自由の『由』に希望の『希』だろ?」
『…………』
「これ『ユキ』じゃねーから。『ヨシキ』だから」
『…………』
「わかった?」
838
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:34 ID:ye//j46.
『…………』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………マジ?』
「電話してみるか?」
『……しなくていい』
「…………」
『…………』
「…………」 チラ
『…………』
「……なに照れてんの」
『照れてない』
「耳赤いぞ」
『うるさい』
「勘違いしてごめんなさいは?」
『……うるさい』
「…………」
『…………』
「…………」
『……死にそう』
「…………」
『…………』 ムク
「…………」
『…………』 スタスタ
「……おい」
『…………なに?』
「枕は置いてけよ」
『うるさい』
「いやそれ俺の枕だから」
839
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:06 ID:ye//j46.
『……今顔見られたくない』
「…………ほーん」
『…………』
「…………」 スタスタ
『ぇ……? ……あ、ちょっと……』
「なに?」 スタスタ
『ちょっ、なに? こっち来ないでよ』
「気のせいだって」
『いやわかるから。お兄の気配がするから』
「忍者かよ……」 ガシ
『やめっ……ちょっとやめてって』
「枕取り返すだけだから」 ググ…
『わかったわかった返すから』
「から?」
『ちょっと目ぇつぶってて』
「なんで?」
『…………今顔見られたくないから』
「はい無理ー」 バッ
『あっ……!』
「…………」
『…………』
「……なにニヤニヤしてんの?」
『してない』
「すげーしてるよ」
『してないって』
「なに? 嬉しいの? 由希が彼女じゃなくて嬉しい?」
『うるっさい』
「じゃあなに?」
『お……お兄の顔面が破滅的に面白いから……』
「……へー……」
840
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:31 ID:ye//j46.
『……なに』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………?』
「…………なぁ」
『……なに』
「…………キスして良い?」
『……は? …………は!?』
「…………」
『……は……え?』
「…………」 ヒョイ
『ちょっ……!?』
「…………」 ポイ
『った……!』 ボフ
「ほら、目ぇつぶれ」
『え? え?』
「すっから目ぇつぶれって」
『な、なんで……?』
「お前が可愛いからだろ」
『ぇっ……』
「…………」
『ぇっ、ぁっ……』 キュッ…
「…………」
『〜〜〜っ……!』
「…………」 スッ…
ベチ
841
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:12 ID:ye//j46.
『った!?』
「嘘だバカ」
『…………は? ……はぁ!?』 バッ!
「なに本気にしてんだバカ」
『は!? なんっ……!? はぁ!?』
「うそでーす。キスとかしませーん」
『っ……!! ……っ……はぁあぁああぁあぁぁああぁぁぁぁ…………』 ボフ
「ばーか」
『…………ありえん』
「はいはい」
『ありえねー……』
「希望もたせてごめんねー」
『…………別に望んでない』
「へー」
『…………はぁ……』
「…………」
『…………』
「…………」
『……ねぇ』
「ん?」
『……誰にでもこんなことすんの?』
「は? しねーよ」
『ほんとに?』
「ほんと。マジ」
『…………なにそれ』
「別に」
『…………』
「…………」
『…………お兄』
842
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:50 ID:ye//j46.
「なに」
『……キスしよっか』
「したいの?」
『…………うん』
「ふーん」
『…………』
「……いいよ」
『…………はぁ』
「顔上げろって」
『どーせまたデコピンでしょ』
「しねーよそんなこと」
『……さっきした』
「さっきのは嘘だし」
『…………』
「…………」
『…………』 ムク
843
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:15 ID:ye//j46.
『』
844
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:38 ID:ye//j46.
「ん…………」
『…………』
「……なんか喉乾いたな」
『…………』
「麦茶飲んでくるわ」 スタスタ
『…………』
>ガチャ、バタン
『…………』
『…………』
『…………』 ボフッ
『…………』
『…………』 ピ、ピ、ピ、prrrrrr
『……あ、友?』
『なんかさぁ…………なんか……』
『……レモンみたいな味した……』
845
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:10:01 ID:ye//j46.
終わり
久々に湧いたので
846
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/30(金) 06:22:35 ID:???
相変わらずこの妹は可愛すぎて困るね!
ニヤニヤが止まらねえぜ!
847
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:34:01 ID:???
久々に投下しようとしたら規制されていたので。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2805.jpg
848
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:41:16 ID:???
おお、久しぶりや〜。相変わらず可愛い。
もっと描いて欲しいわぁ
849
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 05:50:05 ID:???
>>847
超久し振り!!
かなみさん可愛いwwwwww
850
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 11:26:59 ID:???
>>847
マフラーくんかくんかしてるかなみんくんかくんか
851
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:53:55 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ
草木も眠る丑三つ時、俺はツンデレと怖い映画観てたの
というのもツンデレオカルト好きでさ
俺は逆に怖い奴苦手なのに道ずれにしてくるの
そんでわざわざ電気消して怖い映画見るのが最近の流行みたいでさ
最初は馬鹿正直に観てたんだけど今は違ってね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じたら夜食作りに台所逃げるの
そして出終わったの見計らってラーメン持って入室
すればツンデレ、おいしそう、言うから一口あげる訳
なら映画終わった後決まって、食った分やせる、って腹筋とストレッチしてさ
俺もプニプニの足とかふっくら背中押して補助すんの
だけど補助する度思うんだけどツンデレすぐ肉付く体なのかもね、気持ちいいからそのままでも良いけど
このまま一口ずつラーメンあげてたらゆっくりと、しかし確実に太っていくだろう
つまり、ツンデレは嫌がるだろうけど、俺と結婚するしか道は残ってないね、って話
852
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:55:09 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど
草木も眠る丑三つ時、私はアイツと怖い映画観てたの
というのもアイツオカルト嫌いでさ
怖い心霊写真とか見て騒いでるの可愛いから道ずれにしてやるの
そんで雰囲気出しに電気消して怖い映画見るのが最近の流行でさ
最初はアイツ私の手ギュッと握って観てたんだけど今は知恵つけてね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じ取ったらラーメン作りに台所逃げるの
アイツの作るラーメンは煮込みすぎで麺ブヨブヨ、卵グチャグチャにかき混ぜて七味ぶっかけたヤツでさ
なのに何か不思議と妙においしそうで毎回一口もらうの
だから映画終わった後食った分やせるために腹筋します
すればアイツ足持ってくれて応援してくれてさ
ついでにふくらはぎ揉んで脂肪燃焼させてくれるし
だけどアイツと違って私太りやすいから、私の真横で夜食食べるアイツにも責任ちょっとあるよね
つまり、アイツは嫌がるだろうけど、私と結婚するしか道は残ってないの、って話
853
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:31:48 ID:???
>>851
あなたの書くツンデレが大好きです!
・姉纏さんと職業意識
弟「うぁー……ダルかったぁ……」
姉「お帰り。何やら大儀そうにしておるのぅ」
弟「就活しんどい……説明会行っただけで死にそう……」
姉「なんじゃ、そんなことかえ。そのくらいお主と同い年の大学生なら誰でもやっとるじゃろうが。あまり甘えるでない」
弟「そりゃそーだけどさぁ……こっからさらに面接とかでふるいにかけられて、それでやっとスタート地点ってなぁ」
姉「人生は長いのじゃぞ?その程度のことでくじけてどうするんじゃ!」
弟「あーあ……姉ちゃんはいいよなぁ。家業さえ継げば後は何も言われないんだからさ」
姉「何をぬかすか。お主なんぞがうちの家元になりおったら、三日ともたずに挫折するわい」
弟「つーかさ、華道の家元ってどうやって稼いでんの?具体的な金策が全然見えないんだけど」
姉「そりゃあ華を活けて稼ぐに決まっておろう。茶会に呼ばれて華を活けたり、弟子の指導に当たったりの」
弟「それって、一回幾らくらいになんの?」
姉「俗な質問じゃのう……まぁ、羽振りの良い御家なら、一時に十人の諭吉を包むところはあるかの」
弟「うへぇ……なんじゃそりゃ。就活やる気無くすわー」
姉「その代わり、衆目監視の中で一息足りとも気の抜けぬ時間が、長い時では一日中続くこともざらじゃがの?」
姉「三十分も正座がもたぬ主にはとても勤まらぬ仕事じゃわい。諦めよ」
弟「……俺、やっぱり普通に就活するわ」
姉「そうせい、そうせい」
854
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:47:34 ID:???
・姉纏さんとファンクラブ
弟「やっぱ楽に稼げる方法なんかねーかー」
姉「当たり前じゃ。地道が近道とよく言うじゃろが」
弟「へーい……」
姉「……しかしまぁ、儂の場合は後援会の援助なんぞもあるにはあるがのぅ」
弟「後援会!?姉ちゃん、後援会なんか持ってんの!?」
姉「うむ。何やら近所の有志が儂のために集まって、地域ぐるみで後押ししてくれとるようじゃの」
弟「知らんかった……姉ちゃん超有名人じゃん」
姉「うちのような小さな華道の家元がやっていけておるのは、ひとえにその人らの力添えがあったからじゃ」
弟「へぇー、姉ちゃんってすげぇや」
姉「じゃが……年寄りの性というのか、たまに儂を着せ替え人形か何かと勘違いして、なんやかやと儂に召し物を着せようとするのは正直参っとる」
弟「そんなことまでしてくんの?」
姉「日頃世話になっておるから無下にも出来ぬのよ……おかげでずいぶんと恥ずかしい格好もさせられたものじゃ」
弟「……たとえば?」
姉「白塗りで舞妓の衣装をやらされたり、その気もないのに文金高島田を着させられたり、時代劇のような姫の衣装を着させられたり……」
弟「……そりゃ大変だ」
姉「おまけにそれを写真に収めて保存しよるからのぅ……あまり良い顔ばかりもしたくないのじゃが、困りものじゃ」
弟「……姉ちゃん。それって後援会じゃなくて、ファンクラブっていうんじゃね?」
姉「……そうかもしれぬ」
855
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:36:49 ID:???
・姉纏さんと花嫁のヴェール
弟「姉ちゃん、いいもんやるわ」
姉「うん?なんじゃと?」
弟「ほら、これ。プレゼント」
姉「これは……?」
弟「いつも世話してもらってるお礼に。春物のストールだよ」
姉「ほ、ほほう……主にしては気が利くではないか。まさか儂に贈り物とはの」
弟「姉ちゃんに合いそうなのとかよく分かんなかったから、色は無難に白にしたけどそれで良かった?」
姉「う、うむ……」
弟「なに照れてんだよ、別に他意はないからな?」
姉「てっ、照れてなぞおらんわ!!馬鹿にするでない!!」
弟「あーはいはい……(こりゃ逆に地雷だったかな?)」
姉「……の、のう。タカシよ」
弟「ん?」
姉「これな、色が白じゃから、こーして頭から被ると、花嫁のベールのように見えぬか?」
弟「ん……まぁ、見えないこともないけど」
姉「そ、そうか!そうじゃよな!」
弟「……?」
姉「うむ、うむ!」ニコニコ
弟「なにあの笑顔……初めて見る顔なんだけど」
その日一日中、姉ちゃんはベールを被ったままやたらと俺にべたべた引っ付いて来て困りました。
856
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:48:18 ID:???
纏ねーさんかわいい。結婚するしかない。
857
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:55:46 ID:???
・キスの音
友「ねーねー、キスの時ってどんな音がすると思う?」
女「音?キスの音気にするなんて初めて聞いたわよ?」
友「ほら、チュッとかブチューとか、レロレロとかあるじゃん?あれ自分からはどう聞こえるのか気にならない?」
女「そんなこと考えるの友ちゃんくらいよ……」
友「だって私経験ないんだもん、やったことないことは気になるじゃない!かなみはどんな音だと思う?」
女「え、えーと……やっぱり漫画とかみたいにチュッて音がするんじゃない?」
友「ふんふん」
女「でも正直、いろんな感触とかで頭ごちゃごちゃして、音まで気が回らないってゆーか……あ、あくまで想像だけどね?」ゴニョゴニョ
友「なにそれ?まるでしたことあるみたいな言い方ね?」
女「そ、そんなワケないじゃん!!誰がタカシなんかと……」
友「……かなみ。私、タカシくんの名前出した記憶は一度もないんだけど」
女「えっ……あっ!?」
友「そっかぁー、かなみはすでにキス経験者なのかぁー、うっらやましーい。私も山田にでも頼んでやってみようかしらねー」ヲホホホ
女「ち、違っ……今のは言葉の綾だよ!!やってないから絶対!!」
友「語れば語るだけ泥沼じゃない……どんだけ嘘つけないのかしら、この娘」
このあと無茶苦茶チュッチュした。(タカシ談)
858
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:00:33 ID:???
>>857
は中学生くらいの年齢で補完していただければ。何にでも興味津々な年頃の女の子ってかわいいよね!
859
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:04:15 ID:???
中学生友ちゃんの唇奪いたい
860
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:56:09 ID:p8opL50k
『ただいまー……あれ?』
『(見慣れない靴……誰か来てるのかな)』
『お母さん、お客さん来てるの?』ガチャ
「お、久しぶり」
『……』
「……」
『……』パタン…
「おい」 ガチャ
『……兄貴?』
「あー……はい」
『……なに急に帰ってきてんの?』
「実家に帰ってきてわりーかよ」
『……』
「……」
『……久しぶり』
「おう」
『……いつきたの』
「お前が学校行ってる間」
『あっそ』
「……」
『……』
「びっくりした?」
『……しt、ない』
「どっちだ」
『うっさいばか』
861
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:57:29 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
「……いつまで後ろ向いてんだ」
『……別に』
「久しぶりに聞いたわ、それ」
『……ばか』
「こっち向いて」
『……なんで?』
「別に?」
『……』
「……」 グイ
『……』 クル
「……」
『……』
「化粧……するんだ、な」
『……悪い?』
「……いんじゃね」
『……』
「ピアスなんかつけちゃって」 スッ
『……穴開けたわけじゃないもん』 ペチ
862
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:59:01 ID:2LKzVuQw
「ふーん」
『……』
「……」
『……』
「……彼氏でもできた?」
『』 ビク
「―――……へぇ」
『!! ち、っが……!』
「やっとこっち見たな」
『!』
「……なに赤くなってんだよ」
『……違うし』
「なにが?」
『……』
「……」
『……なんもしてないもん』
「だからなにが」
『彼氏』
「でもいるんだろ」
『いるけど……20人目ぐらい』
「3年で……ビッチか」
『違うってば!!』
「ぅぉっ……」 ビク
『っ……』
863
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:01 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
<ガチャ
母『ただいまー……あら? あんた帰ってたの?』
「お? あ、おう。ただいま」
『……』 スタスタ
「……」 ガシ
『!?』
母『来る時は連絡ぐらいしなさいよ。材料買い足さないと……』
「あ、晩飯はこいつと食いに行くから」
『は?』
「いいっしょ?」
母『そうなの? じゃあゆっくりしてるわ』
『ちょっ……』
「じゃ、行ってきます」 グイ
母『いってらっしゃい』
<バタン
864
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:46 ID:2LKzVuQw
〜駅〜
『ちょっと』
「あ?」
『……どこまで行くの?』
「別に、考えてない」
『は?』
「……」
『ご飯ならその辺でいいじゃん』
「まだ昼過ぎじゃん。腹減ってんの?」
『そうじゃないけど……』
「いいから」 グイ
『……離してよ』
「逃げるじゃん」
『……、……離して』
「……」
『……』
「……俺のこと嫌いになった?」
『…………は?』
「……」 プイ
『……』
「……」
『……どういう意味』
「別に」 グイ
『ちょっと……』
「いいから」
『……ばか』
865
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:01:44 ID:2LKzVuQw
〜〜
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『……ナニコレ』
「ラブホ」
『(1時間も移動してラブホ……)』
『……なんでラブホ』
「……ラブホですることなんて一つだろ」
『は?』
「……」 グイ
『あっ』 ボス
「……」 ガシ
『!』
『(手首……抑えられて……)』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『…………?』
「……」
866
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:02:37 ID:2LKzVuQw
『……なに?』
「……いや……抵抗しないから」
『は? ……え?』
「……」
『……! ……っ』 プイ
「顔赤いぞ」
『別に』
「―――いな」 ボソ
『……なんtぇんぅっ……!?』
「……ん」
『……っ……は……ふ……』
「……」
『……いきなりすぎ』
「不意打ちじゃなかったらキスしてもいいのか」
『ばか』
「……」
『……』
「彼氏は?」
『……(今きくかフツー……)』
『……いる』
「どうする」
『……なにが』
「……する?」
『……なにを』
「セックス」
867
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:03:30 ID:2LKzVuQw
『……』
「メイクラヴ」
『……』
「子作り」
『……妊娠させんのかよ』
「したらどうする?」
『…………別に』
「……あっそ」 パ
『……』
「……」
『……手首痛い』 サスサス
「わり」
『……』
「……」
『……』 グイ
「ん?」
『……』 ポテ
「……」
『……』
「……俺の腕より寝心地のいい枕ならそこにあるぞ」
『うるさい』
「……」
『……ドキドキしてる』
「お前が?」
『お兄が』
868
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:04:37 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……お兄、って……懐かしいな」
『は? ……あっ』
「兄貴、なんて言うからびっくりした」
『……うるさい』
「俺のこと忘れたかと思った」
『……』
「俺のこと嫌いになったかと思った」
『……ばか』
「……」 ナデナデ
『……』
「……」
『…………お兄が……勝手にどっか行くのが悪い』
「……」
『……』
「……」 ギュム
『んむっ』
「……俺の心臓、わかるか?」
『……』 コク
「……」
『……ドキドキしてる』
「……他の女だったら、こんなんならねー」
『!』
「……」
『……』 ギュウ
「……」
『……』
「……」
869
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:25 ID:2LKzVuQw
『…………めっちゃドキドキしてる』
「……俺が?」
『………………あたしが』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」 クイ
『ん……』
「……―――」
『……―――』
『』
「……ん」
『ん……』
「かわいい」 ナデ
『……ばか』 ギュ
「……」 ギュ
『……』
「……」
『……お兄?』
「あ?」
『……他の女って……なに?』 ギロ
「えっ」
870
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:45 ID:2LKzVuQw
〜〜〜
〜〜
〜
「……はぁ」
『まったく……』
「お前だって彼氏つくってたじゃん……」
『あたしは手も握ってないもん』
「……でもいたんだろ」
『告られたから合わせただけ』
「…………はぁ……」
『……なんで出てったの』
「……」
『……』
「……」
『……言わないと嫌いになる』
「卑怯だぞ」
『ばか。はやく』
「……お前が大事だからだ」
『……』
「……」
『……』 ベシ
「いてー」
『ばか、あほ、死ね』 ベシ、バシ、ドス
「やめろボケ」 ガシ
『……』
「……なんだよ」
『……そんなこと言われたら……。…………怒れない』
「…………愛いやつ」
『…………うるさい』
871
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:06:10 ID:2LKzVuQw
おわり
長過ぎた…
872
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/02(金) 13:08:22 ID:???
実妹との恋愛とか……ふぅ
GJ
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