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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』 その4

1『星見町案内板』:2024/05/11(土) 19:54:54
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
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          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
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                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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127小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/20(日) 15:54:08
>>126

何よりも『ベター・ビリーブ・イット』の能力を知っていることが、
『ロングソード』を『スタンド』だと確信できた決め手だ。
ナイの『交換』が正常に行われなかったという事実は、
それが『ただの剣』ではないことを物語っている。
たまたまナイの方から見せてくれたのだが、意外な形で役に立った。

  「はい……私も『スタンド使い』の一人です」

舞い上がった花弁の内、数枚は『フライハイト』にも触れるだろう。
その光景を見て、剣が『実体化』していることに気付く。
『一般人』にも視認できるヴィジョンというのは時々ある。
『スーサイド・ライフ』で切り離した『部位』も、
ある意味『実体化スタンド』に近い。
自分にとっても身近な概念だ。

  「いえ――『勇者』を目指している訳ではありませんが……」

          ソッ…………

  「……『今よりも強くなりたい』と思っています」

ふと何かを察し、『キャペリンハット』を脱いで、両手で優しく支える。

              ────ピコッ

次の瞬間、黒い帽子から『猫の耳』が立ち上がった。

128勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/20(日) 19:40:28
>>127
「ありゃ、違ったかー」

>              ────ピコッ

「え゛っ゛?」

「今、帽子からねこのみみが…」

               にゃ〜〜〜う

どこかから猫の鳴き声が聞こえて来る
小石川の手元からじゃない
つまり、猫耳を立てた帽子の声じゃない

129小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/20(日) 20:14:54
>>128

ちょうど『撫子』が起きる気配を感じ、こうして手に取った。

        「……にゃ」

                パチリ

やがて、耳の生えた帽子が両目を開き、剣を手にした少女を見つめる。
あるいは、周囲に散らばる桜の花弁を眺めているのかもしれない。
いずれにせよ、興味は持っていそうだ。

  「この『帽子猫』は……『スタンド生物』です。
   『あるスタンド能力』によって生まれました」

その時、不意に『別の鳴き声』が聞こえ、耳を澄ます。

  「――……?」

鳴き声の出処を捜して辺りを見渡す。
近くに野良猫がいたのだろうか?
そうだとしても不思議はないが……。

130勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/21(月) 17:56:54
>>129
「うわぁ、かわいー!」

耳が生え、目を開いた
帽子のような珍妙な猫を見てもっと近付いてみようとする


撫子とは別の鳴き声を捜して辺りを見てみる

この辺りは桜の木がいっぱい、
桜吹雪が舞いどこもかしこもピンクだらけ
だがちょっと離れた所には桜以外の木が生えている所もある

一見すると桜そっくりだが、分かる人には違いが分かる
桃の木だ

見事なピンクの花が咲いた桃の木々の下にピクニックシートが敷かれている
シートの上には何故か白い布が置かれて…何か布が動いている

布「にゃ〜う…」

寝転がった白百合の図柄が入った白い布…
いや、猫の形をしているし猫みたいな鳴き声を発しているぞ!

「あっ、もう昼か」

時刻は12時頃を示している
そろそろ昼飯の時間だ

131小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/21(月) 22:44:31
>>130

帽子と猫が一体化したような姿は、まさしく奇妙な生き物だった。

  「――『あの猫』は……?」

そして、ここにいるのは1匹だけではなかったらしい。
あの白い布――正確には『布のような猫』。
この少女がナイと知り合いなら、『灰色の猫』も一緒にいた可能性がある。
そこでも『猫』が誕生していたのではないか。
おそらくは、あそこにいるのが『そう』なのだろうと結論付けた。

  「……この子の名前は『撫子』です。
   撫でられるのが好きなので、そう名付けました」

         ピクッ

               ピクッ

『仲間』の存在に気付いた撫子が、小さく耳を動かして反応を示す。

  「よろしければ『あの子』を紹介していただけませんか?
   撫子も興味を持っているようですので……」

両手に持った帽子猫を少女に差し出しながら、桃の木の下に視線を向ける。

132勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/23(水) 18:10:43
>>131
「撫子って言うんだ、名前もかわいいねぇ〜」

撫子を両手でわさわさと撫でる

「あの子はルシャボテ
 浴衣の猫です!」

超簡潔に猫の紹介をする
簡潔過ぎて分からんだろ

布「ぅにゃぁぅ」

この布の猫、シートの上から動こうとしない
穢れた地には足を付けたくないようだ

「はい今行くよー」

いそいそと浴衣猫の元へ向かう勇者

133小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/24(木) 06:47:03
>>132

撫子に触ってみると、
帽子の『ツバ』に当たる部分は被毛であることが分かった。
いわゆる長毛種に分類されるようだ。
ブラッシングが行き届いた色艶の良い毛並みからは、
絹のように柔らかな手触りが伝わってくる。

         「にゃあぁ……」

撫でる手の動きに合わせて、気持ち良そうに目を細める撫子。
ただ、鳴き声は控えめだった。
長毛種は大人しくて物静かな個体が多いと言われるが、
撫子も例外ではないらしい。

  「『ルシャボテ』は……とても綺麗好きなのですね」

確か『長靴を履いた猫』という意味だっただろうか。
それと同時に、ラムネ瓶猫の『ナックラヴィー』を思い出す。
ナイが連れている灰色の猫は、
こうして各地で仲間を増やしているのかもしれない。

  「……撫子のお友達になってくれるでしょうか?」

勇者を目指す少女の後に続き、ルシャボテの方に歩いていく。
今日は小振りのバスケットを持参していた。
桜や桃の見頃に合わせ、散歩を兼ねたピクニックに来ていたのだ。

134勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/24(木) 19:56:03
>>133
「きっと友達になれますよ
 ね?ルシャ」

布「にゃぁ…?
  …にゃぁぁ…」

と、言ったものの
浴衣猫は撫子に対してあんまり興味を示していないようだ

浴衣猫「んにゃぁ〜」
勇者「はいはい今出すよー」

シートに上がった勇者が荷物から何かを出す
猫用の餌だろうか?

135小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/24(木) 22:00:02
>>134

用意したレジャーシートを広げ、桃の木の近くに敷いて腰を下ろす。
撫子はルシャボテに関心を抱いているらしいが、飼い主の側から離れない。
やはり縄張りを持つ動物なので、
相手のテリトリーには踏み入らないようにしているようだ。

  「……まだ名乗っていませんでしたね。
   私は『小石川文子』という名前です」

遅ればせながら、何かを出そうとしている少女に改めて挨拶する。

  「よく散歩に来ますので……見かけた時は声を掛けてくださいね」

            コポポ…………

バスケットから水筒を取り出し、その中身をカップに注いでいく。
普段から愛好している『ラベンダーティー』だ。
心を落ち着かせる作用を持つ繊細な芳香は、桃色の髪の少女にも届くだろう。

136勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/26(土) 19:12:06
>>135
「文子さんですね
 私はユウリ・桃園・シャルロットです!」

日本人と西洋人、
どっちの特徴もある外見からハーフと思われる

「あ〜…良い匂い
 ハーブティーですね」

ラベンダーの香りは確かに勇者の心を落ち着かせた
これから行う作業も落ち着いて出来そうだ

布「ん…」

だが猫はラベンダーティーの香りに難色を示している

勇者「?どうしたの」

勇者の膝元に移動し隠れながらそちらの様子を伺っている

まぁ無理も無い
猫にとってラベンダーとは毒であり、匂いだけでも長時間嗅ぎ続けると命に関わるものだ
勇者はその辺の知識に詳しくないため、何故嫌そうにしてるのか分かっていないが…
猫を飼育している人間なら知っておかなければならない知識だ

むしろ小石川のピッタリくっついている撫子はラベンダーの香りを嗅いで平気なのか?

勇者「ハーブティーに合うかは分かんないんですけど、良かったら一緒に食べますか?」
           ブツ
そう言って勇者が出した物は・・・

勇者「馬肉」

馬のもも肉!それも、生ッ!!
サクラ
馬ともも!

これを、馬刺しにするつもりなのか…
そしてそれを猫に食わせるつもりだったのか!?

布「……」

いや、違う

と言う顔で見ている
求めている物が違うようだ…

137小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/26(土) 22:41:36
>>136

ルシャボテの反応を見て、すぐさまカップを片付ける。

  「……本来、猫はラベンダーが苦手なのです。
   ごめんなさい、うっかりしていました」

  「撫子が平気な理由は、桃園さんの『剣』と同じ理由だと思います。
   以前、小さな女の子と『交換』したことがあるでしょう?
   その子は私のお友達なのです」

  「彼女は言っていました……。
   『何か分からないけれど、すぐに消えてしまう』と。
   これには『特別な理由』があるのではないですか?」

  「そちらについて深く尋ねるつもりはありません。
   ただ……おそらく撫子にも『特別な理由』があるのです」

  「この子は元々『私の帽子』です。
   私はラベンダーの香りを使うことが多いですから、
   この子にも染み込んでいたのでしょう。
   だからこそ、それを媒体として生まれた撫子は、
   こうして穏やかにしていられるのだと思います」

  「つまり、『生まれながらに適応している』と考えられます……」

自らの考えを語り終わると、帰り支度を始める。

  「せっかく出していただいたのに残念ですが……」

          ニコ…………

取り出された品物を眺め、寂しそうな微笑みを浮かべる。

  「……私はいない方が良いようですね」

桃園は大して気に留めていないかもしれないが、
『ルシャボテに不快な思いをさせた』というのは、
小石川にとっては重大な問題なのだ。

  「――……ご迷惑をお掛けしました」

桃園が呼び止めなければ、小石川は立ち去っていくだろう。

138勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/27(日) 19:46:14
>>137
>……本来、猫はラベンダーが苦手なのです。

勇者「え、そうだったんですか?」

浴衣猫を持ち上げて

勇者「も〜、そうならちゃんと言ってよルシャ〜」
布「…にゃ…」

いや猫に無茶言うなよ
猫は猫で「ちょっと…触る前に手を拭きなさいよ…」って顔してる

>以前、小さな女の子と『交換』したことがあるでしょう?

勇者「あー、はい!聖剣と交換したら浴衣が猫になったんです!」

聖剣『フライハイト』もまさか浴衣と交換されるとは思わなかっただろう
フライハイトは泣いても良い
この時妖精に死ぬ程怒られた気がするが…どうだったかなぁ?

>『何か分からないけれど、すぐに消えてしまう』と。

勇者「あー、それは
   フライハイト(聖剣)は私以外の人が触ると消えちゃうからだと思います」

深く尋ねないって言ってるのに
近所の井戸端会議のおばさんみたいに軽く話す勇者
別にそんな深い事情でもないので良いんだが

>私はラベンダーの香りを使うことが多いですから、
>この子にも染み込んでいたのでしょう。

勇者「はえ^〜
   何かウィルスだらけの場所で生まれた蛇はウィルスに免疫があるみたいな話ですね」

例えがピンポイント過ぎる、そんな状況そうそうあるか?

>せっかく出していただいたのに残念ですが……

勇者「え?」

>……私はいない方が良いようですね

勇者「え、いや、ラベンダーが駄目なんて私も知らなかったですし」
「迷惑なんかじゃないですよ」

立ち去ろうとする小石川に声をかける

勇者「ね、ルシャ?」衣「…んにゃぅ…」

浴衣猫を小石川に向ける
別に小石川に対して嫌そうな顔はしていないが
今、勇者に対しては若干鬱陶しそうな顔をしている

勇者「それに文子さんと話したい事ありますし」

と言っているが、勇者も別に無理に引き留めるという事はしない
どうしても行くというなら止めはしないだろう

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140小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/27(日) 23:10:25
>>138

桃園の声を聞いて思い悩むような表情を浮かべ、
レジャーシートを畳もうとしていた手が止まる。

  「お言葉は――とても嬉しいのですが……」

温かい言葉を送られたことで、心の重荷は軽減された。
しかし、心の中に芽生えた罪悪感を簡単には処理できない。
人によっては気にしないような出来事であっても、
それを無視して生きられない性格なのだ。

       《にゃあ》

ふと、撫子が小さな鳴き声を上げる。
それは普通の鳴き声ではない。
『マシュメロ』によって生まれた猫が発する『スタンド鳴き声』だ。
普段は大人しい撫子が『これ』を使うのは、明確な自己主張を行う時だった。
おそらく、この帽子猫は桃園達から離れたくないのだろう。

  「……撫子もルシャボテと一緒に過ごしたいですか?」

ルシャボテからの関心は薄いとしても、同じ能力から生まれた撫子としては、
せっかく会えた仲間と、少しでも長く時間を共有したいらしい。

  「桃園さん、許してくださってありがとうございます」

           ス…………

  「改めて、私もご一緒させていただきます」

桃園に頭を下げると、しばし躊躇った後で、ゆっくりと座り直す。

  「――あの……それは?」

そして、ついさっき取り出された『桜肉』に目を留めた。
一瞬、ナイから聞かされた話が脳裏をよぎる。
桃園と『狸か熊を焼いて食べた』という内容だ。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1665841153/170)

141勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/29(火) 18:59:00
>>140
小石川が去るのを思い留まってほっとした勇者
このまま行かせてしまったら後味が悪かっただろう
せっかくこうして出会ったなら楽しい思い出にしたい

勇者「これですか?馬肉です!」

さっきも言ったが、馬肉だ
それも大きなブロックで

勇者「もも肉です!」

どこの部位かもしつこく説明する
くどい

もしかしたら勇者が野生の馬をぶっ殺して捌いたんじゃないか
と思っているのかもしれないが、この辺に野生の馬は滅多にいないし
いたとしても馬は狩猟鳥獣の対象外だ
もし野生の馬を捕まえて息の根を止めましたとか言い出したら通報した方が良い

ちなみにその狸だか熊だとか言うのは正確には狂暴なアライグマだったが
仮に熊だったとしても大木をも両断せしめる聖剣と、聖剣と同等の頑強さな体の勇者であれば
熊をハントする事くらい造作もない、はずだ

勇者「今日はこれを馬刺しにしたり、ユッケにしようと思ってるんです!
   花見しながら食べようと思って」

まな板の上に肉を乗せ、聖剣を片手に構える勇者

布「にゃぁ…」

浴衣猫がそそくさと勇者から離れて小石川の方に寄って行く

142小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/04/29(火) 23:11:48
>>141

まさか馬を狩ったなどと思った訳ではないが、事前に話を聞いていたせいで、
どうしても連想してしまうのは止むを得ないことだった。
突拍子もない考えを振り払うと、
目の前で塊肉の調理が始まり、心配そうな表情で桃園を見守る。
長大なロングソードは、細かい作業を行うには不向きではないだろうか。

  「……私は『サンドイッチ』を持ってきました」

バスケットの中に入っているのだが、ひとまず桃園の手際を見守ることにした。
ナイが一瞬だけ『聖剣』を出した時は、
勢い余ってテーブルを破壊しかけたので、かなり重いはずだ。
それを軽々と持てるところから、腕力も強化されていることが窺える。

  「『交換』ができる女の子……ナイさんは、
   ここで『包帯を巻いた人』に出会ったそうです」

話の流れで思い出したのは、同じくナイを通して知った『包帯の怪人』だ。

  「『ノエ』という名前だそうですが、
   桃園さんは見かけたことがありますか?」

ルシャボテが接近すると、結果的に撫子にも近付く形になり、
お互いの距離は徐々に縮まっていく。
同時に、撫子の両目がルシャボテの動きを追う。
そんな中で、片手を伸ばしてルシャボテに触れようとする。

143勇者『リィン・カーネイト』:2025/04/30(水) 21:01:28
>>142
スパスパ

実際に切る時にスパスパなんて音は鳴らないと思うが
そう表現するしかない

聖剣で肉塊を刺身用に薄く切る
包丁やナイフで切るよりも使い慣れた聖剣で切るのが良いのかもしれないが
こんな使い方される聖剣がかわいそうだ

勇者「ノエさん?
   うーん……あっ!」

スパッ

勇者「ミイラみたいに包帯巻いた人ですよね
   この前、滝で修行してた時に合いましたよ」
   「それで〜、岩魚を捕って一緒に食べたりして」
勇者「ふたりとも知り合いだったんだ」

布「ぬぅ」

触ろうとしてくる撫子を反射的に避けてしまう

布「にゃぅ」

猫の言葉を翻訳すれば「触るなら手を拭いてくれない?」といったところか
潔癖症の猫である

144小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/01(木) 05:35:19
>>143

ノエと名乗る人物については、初めて知った時から気になっていたものの、
さほど深堀りする必要は感じなかった。
しかし、今は違う。
個人的に調査を続けた結果、『小林丈の生存』を突き止めている。
それだけではなく、『アポロン・クリニックセンター』の『旧病棟』で、
『特別な処置』を受けたらしいという事実も把握済みだ。
包帯で顔を覆った謎の怪人と、病院から姿を消した小林は、
何らかの形で関わっている可能性が高い。

  「――……私もノエさんに会ってみたいと思っています」

『聖剣』による調理風景を眺めながら、考え事をしているような表情を見せる。
今後、ノエに接触を試みるべきかもしれない。
むやみに秘密を暴き立てるつもりはないが、真偽は確かめておきたかった。

        「にゃ……」

撫子に備わっているのは『手』ではなく『前足』である。
つまり、ルシャボテに触れようとしたのは飼い主の方だ。
どちらにせよ、撫でられるのが好きという訳ではなさそうなので、
今は触れることを控えておいた。

        ソッ…………

撫子の鳴き声を聞いてバスケットを開け、
赤く熟した『ドライトマト』が入った袋を取り出す。

  「――実家の『農園』で収穫したチェリートマトを使いました」

水分が抜けているので、旨味が凝縮されており、自然な甘みも強い。
撫子に与えながら、自分自身も口に運ぶ。
これは猫と人間が一緒に味わうことのできる食品だ。

  「自家製ですが……食べてみますか?」

その言葉は桃園とルシャボテの両方に向けられたものだった。

145勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/01(木) 21:23:00
>>144
>つまり、ルシャボテに触れようとしたのは飼い主の方だ。

あっ、そっかぁ(痴呆)

トン トン

勇者「よしっ、と
   馬刺しの用意完了!」

馬刺しを更に盛り付けて、
スライス玉葱や卸しょうが等の薬味
わさび醤油、ぽん酢、馬刺しのたれを用意して1品目完成

流石にたまねぎなんかは猫に食べさせる事は出来ないが(食べたら赤血球が破壊され一発で息の根が止まる)
馬肉自体は猫にも食べさせる事が出来る
勿論生でも大丈夫

>どちらにせよ、撫でられるのが好きという訳ではなさそうなので、
>今は触れることを控えておいた。

勇者「あ、ルシャ綺麗好きだから手を綺麗にないと触られるの嫌がるんですよぉ〜
   これ使えば触らせてくれるんですけど」

そう言って勇者は荷物から消毒用ウェットティッシュを出した

勇者「あ、あとファブリーズやコロコロやると喜ぶんですよ」

コロコロローラー、正式名称は粘着カーペットクリーナーという
コロコロが好きな猫は割といるが、ファブリーズかけられるのが好きな猫はかなり珍しい

>自家製ですが……食べてみますか?

勇者「あっ、トマト美味しそう
   良いんですか?」

ドライトマト、塩を使っていれば猫には塩分過多ではないかと思われるが
そうではないのなら問題無いんだろう

布「んぅ、にゅぅ」

浴衣猫もドライトマトに反応し見つめている

146小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/01(木) 23:25:35
>>145

桃園に頭を下げて、ウェットティッシュを使わせてもらう。
撫子も綺麗好きな方だが、ルシャボテ程ではない。
珍しいのは姿形だけではないようだ。

  「先程お話した通り、撫子は私の帽子から生まれました。
   そのせいか私と似た部分が多いのですが……
   ルシャボテは違うのでしょうか?」

必ずしも飼い主に似る訳ではないだろうが、
撫子の場合は『持ち主の帽子から生まれた』という経緯がある。
だから、『灰色の猫』の能力で生まれた猫は、
自然と持ち主に似てくるのではないかと考えていた。
ここまでの行動を見る限り、ルシャボテは桃園とはあまり似ていない。

  「……使い慣れていらっしゃるのですね」

いかに軽々と扱えるとはいえ、
ロングソードで塊肉を薄切りにするのは容易ではなさそうだが、
やはり日頃の訓練があるからこそ、スムーズにこなせるのだろう。

  「少し前、私も下ごしらえに『スタンド』を使いました」

           スッ

藤色のケースに入ったスマホを操作し、画面に表示させた画像を桃園に見せる。
広いキッチンらしい場所に、いくつかのボウルが置かれ、
大量の野菜が山盛りになった写真だ。
千切り・くし切り・みじん切りなど、色々な切り方で処理されていた。

  「料理も修行の一環と思えば、
   新しい応用が見つけられるかもしれません……。
   今の修行が終わったら、そちらに挑戦してみようと思います」

ドライトマトを摘み、ルシャボテの前に持っていく。
半分にカットされたチェリートマトが、およそ1/4のサイズまで縮んでいる。
今度は手を拭いた後なので、おそらく拒まれないだろう。
普通、水気を出すために塩を振るのだが、これは天日干しのみで仕上げている。
その分だけ難しくなるものの、大切な家族である猫のためなので苦にならない。

  「『フルーツトマト』です。桃園さんも召し上がってください」

桃園にも袋を差し出し、同じくドライトマトを勧める。
水や肥料を抑えて糖度を高めているので、しっかりした甘さが感じられ、
ドライフルーツのような奥深い風味が口いっぱいに広がるだろう。
メインディッシュ前のオードブルには丁度いいかもしれない。

147勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/03(土) 22:21:13
>>146
>ルシャボテは違うのでしょうか?

勇者「ルシャは元々私のじゃなくて、
   フライハイト(聖剣)と交換した浴衣だからかな」

交換に出されたり馬肉を切るのに使われたり、聖剣の扱いじゃない…
フライハイトに意思があって動く事が出来たら真っ先に勇者を刺し殺してもおかしくない

>少し前、私も下ごしらえに『スタンド』を使いました

様々な切り方をされた野菜の山を見て

勇者「うわぁ、色んな切り方してますね
   ひょっとして文子さんのスタンドって」
   「剣ですか!?」

違う

>『フルーツトマト』です。桃園さんも召し上がってください

勇者「わぁいトマト!ありがとうございますいただきます!」

遠慮なくドライトマトを食べる勇者

勇者「甘い、フルーツみたい
   自然の恵みのおいしさっていう感じ」
布「んぬ、ぬぅ」

浴衣猫も小石川の手からドライトマトを食べた
猫の舌は甘味を感じる受容体が機能していないため、
その甘さを味わう事は出来ないが、甘さ以外のトマトの旨さは十分に感じられる
これはとても上品な味で美味しい

勇者は次の料理に取り掛かろうとして、ふと思い出す

勇者「あっ、修行って言ったら」
「文子さんも修行してるんですよね」
「『今よりも強くなりたい』って」

「文子さんは、何で強くなりたいんですか?」

148小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/04(日) 04:10:39
>>147

ルシャボテと並んで、撫子もドライトマトを咀嚼する。
同じものを味わうことで、多少は2匹の距離も縮まっただろうか。
少なくとも物理的な位置関係は非常に近い。

  「私の知る限り、ルシャボテはナイさんにも似ていません……。
   きっと『前の持ち主』がいたのでしょう。
   その影響が強く出ているのではないでしょうか?」

不思議に思ったのは『そこ』だ。
おそらく、『誰かから入手した浴衣』を、桃園の『聖剣』と交換したのだろう。
だから桃園やナイに似ていないと考えれば、ルシャボテの性格も納得できる。

  「私のスタンドは――『ナイフ』です」

『刀剣のスタンド』を使う桃園は気付いたかもしれない。
切られた野菜を注意深く観察すると、
一つのボウルに盛られた小山は『形』や『大きさ』が揃っている。
多少の誤差を含めたとしても、
この写真からは『全く同じ』にしか見えなかった。
これだけ大量に切って均一にすることは簡単ではないだろう。
どうやら『達人級』の技量が用いられたようだ。

  「以前、『スタンドの関わる大きな事件』が起こりました。
   その事件を解決しようとして、私も全力を尽くしたのです」

  「……最終的な解決は叶えられたものの、
   それは『全員を救える結末』ではありませんでした」

  「その時、『自分の弱さ』を実感したのです。
   『もっと強ければ助けられたかもしれない』と――」

               コト

開いたバスケットから、サンドイッチケースを取り出す。

  「だから……私は修行しているのですよ」

静かな言葉からは深い悲しみが感じられたが、同時に強い決意を伴っていた。

149勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/04(日) 20:45:59
>>148
>きっと『前の持ち主』がいたのでしょう。
>その影響が強く出ているのではないでしょうか?

勇者「色んな所をたらい回しにされて来たんだね…」
布「…にゃ?」

その元の持ち主と性格が似ているのかと言えば…どうなんだろうか

>私のスタンドは――『ナイフ』です

勇者「凄い、切り方がプロみたいですよ
   ひょっとしてプロの料理人ですか?」

全く同じ均一に切る機械並みの正確な動きが必要だ
それが出来る人間もいるのだろうが、達人の中でもかなり限られてくる
それはもう改造人間を疑われるレベルだ

>だから……私は修行しているのですよ

勇者「そうなんですか」

トントントントントントン

馬肉を聖剣で細かく叩き切っている

勇者「どんな事件だったか、聞いて良いですか?」

150小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/05(月) 03:57:59
>>149

元々の持ち主が誰かは知る由もないが、
『綺麗好き』という言葉の解釈によっては、似ていると呼べるかもしれない。

  「……私とも仲良くしてくれますか?」

         ソッ…………

おもむろに片手を伸ばし、慣れた手つきでルシャボテを撫でながら、
桃園が行う調理に目を向ける。
あれは先程も言っていたユッケだろうか。
重量のあるロングソードなら、叩き切るのは向いているだろう。

  「――長い話になりますが……お話しましょう」

そう前置きしてから、ぽつりぽつりと語り始めた。

  「この町に『夏の魔物』と呼ばれる存在がいたのです……。
   自立した意思を持ち、独り歩きしているスタンドです。
   彼は夏が来る度に目覚め、毎年1人または2人の人間に憑依して、
   強制的に『夏を楽しむ』ように仕向けていました」

  「心の底から夏を楽しんだ人間は、
   最後には夏そのもの――『夏の風物詩』に変えられてしまうのです」

  「魔物の弱点は『冬の風物詩』であり、それ以外の攻撃は全て無意味でした。
   私を含めた大勢のスタンド使い達が協力して、
   真夏の星見町を『クリスマス』で染め上げることで弱体化に成功し、
   彼の潜伏先である一軒の民家に乗り込むことになったのです」

          スゥッ

まだ続きはあるのだが、適度な区切りをつけるために、
いったん話を止めてサンドイッチケースを開く。
その中に収められていたのは、軽くトーストしたパンを使ったサンドイッチだ。
『生ハム』と『マーマレード』と『パセリ』が挟んである。

151勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/06(火) 19:18:55
>>150
布「…にゅうん」

今度は避けたりせず大人しく撫でられている
特に何か大きなリアクションを取るわけでもない
ただ受け入れる

勇者「魔物?」

魔物というとファンタジーのような印象を受けるが、その正体はスタンド
まぁ、スタンドもファンタジーみたいな存在だが

勇者「スタンドってそういうのもあるんですね」

まだスタンドに関する知識は全然
独り歩きしたスタンドなんかあった事もない

(『リィン・カーネイト』がそれの可能性もあるが…)

勇者「あっ、前に夏にクリスマスやってたのって
   それだったんですか!?」

その時、勇者はその件に何か関わったわけではないが
その奇祭があった事は知っているしばっちり楽しんでた

トントントン トン

いっぱい叩き切られた馬肉、これをボウルに入れて
次はタレ作りに取り掛かる

152小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/07(水) 06:15:37
>>151

撫子が少しずつルシャボテに近付いていき、相手の様子を見ながら隣に座った。
桃の木の下に敷かれたレジャーシートの上に、帽子と浴衣の猫がいる。
スタンド能力の産物であることを含めても不思議な光景だ。

  「私も、それなりにスタンドの知識はあるつもりですが、
   かなり珍しいタイプだと思います」

確かに『リィン・カーネイト』は、独り歩きしたスタンドに近いのかもしれない。

  「――……『それ』です」

ルシャボテに受け入れられたことに安堵しつつ、桃園の言葉に肯定の頷きを返す。

  「『真夏のクリスマス』は困難な問題でした。
   夏が終われば、魔物は休眠状態に入り、次の夏まで現れることはありません。
   そうなると逃げられてしまいますから、早急に行動する必要があったのです」

  「どれだけ強力なスタンド使いであっても、1人では実現できなかったでしょう。
   皆で力を合わせれば、『不可能』も『可能』にできることを、私は学びました」

  「同時に……利害が一致するだけの集まりが抱える『脆さ』も知ったのです」

           スゥゥゥゥ………………

気を抜くと沈みそうになる心を落ち着かせるために、静かに深呼吸する。

  「魔物の本拠地に踏み込んだ私達は、
   度重なる妨害を受けながら、奥に進み続けました。
   『ひまわり畑』や『虫取り少年』や『プール』など、
   それらは見た目こそ無邪気なものでしたが、
   どれも手強い存在だったことを覚えています」

  「『8人がかり』で何とか突破できる程度と言えば、
   分かっていただけるでしょうか……?」

  「そして、私達は『中枢』に辿り着いたのです。
   目の届く範囲に魔物の姿を確認できたものの、
   彼は万全の態勢を整えていました。
   まず、その守りを崩さなければ、
   魔物に近付くことはできません」

  「……これは非常に『苦慮』しましたが、知恵を出し合って切り抜けました」

押し殺した声には重みが伴っており、相当な苦戦を強いられたことが伝わるだろう。

153勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/07(水) 21:09:00
>>152
撫子が近付いても嫌がる様子は見せない
触るなら洗浄は必要だが、近付くくらいなら拒否しないようだ
浴衣猫が撫子を意識しているのかいないのか、よく分からないが
何か自分の体についた埃を頑張って払おうとしている

勇者「あっ、よかったらこれ使ってあげてください」

荷物からころころローラーを出す
これはごっそり埃が取れそうだ

布「にゃぉぉ」

ころころを見ると浴衣猫は「それを待っていたのよ」と言いたそうに鳴き声をあげた

勇者「8人パーティでラストダンジョンに突入してボスラッシュかぁ」

例えがアレだが勇者は別に茶化すつもりはない

醤油、コチュジャン、酒、ごま油等
そして隠し味に摩り下ろしたりんごを加え
ユッケのタレを調合する
そしてこれを、馬肉と混ぜ合わせる

布「ぬぅぅ…」
うわぁ…って感じで見てる

154小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/08(木) 04:50:35
>>153

桃園の調理も終盤に差し掛かっているのだろうか。
ルシャボテとは反対に、撫子は興味を示しているようだ。
ただ、食べたがっているというよりは、
料理を作る行為そのものに関心を寄せているのかもしれない。

  「これは……『ブラッシング』ですね」

飼い主からルシャボテの習性を教えられていたので、
さほど驚く様子もなくローラーを受け取り、浴衣猫の上で転がし始めた。

  「……話の続きをしましょうか」

緩やかに片手を動かしながら、かつて体験した出来事を振り返る。

  「中枢で待ち受けていたのは『夏祭り会場』です。
   『花火』や『屋台』や『盆踊り』など、
   いずれも外見に似合わず、凄まじい障害ばかりでした」

  「それらを突破し、私達は魔物を……」

ローラーの粘着力によって、見る見る内に『埃』が取れていく。

  「――『滅ぼしました』」

それだけ聞けば、元凶を倒して無事に解決したと解釈できる。
しかし、晴れやかな雰囲気は感じられなかった。
おそらく、この先は明るい話ではないことが予想されるし、
敢えて聞かないという選択肢もあるだろう。

155勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/09(金) 18:52:10
>>154
潔癖症な猫は普段から体の清潔さを保つために
常に気を使っているが、それでも外にいれば穢れは付くものだ
ローラーを転がしてやると、
花粉だとか、気付かないうちについていた花弁なんかが取れていく
体に付いていた物が取れていくとすっきりとした気分になる

>中枢で待ち受けていたのは『夏祭り会場』です。

勇者「あーなんか楽しそうですね」

実際はそんな楽しんでる余裕なんてなかったんだろうが
話を聞くだけだと楽しそうな祭りのように感じる

>――『滅ぼしました』

コンコン

勇者「…よしっ」

形になったユッケの上に生卵を割り落とす
鶏卵ではなく、うずらの卵というのが拘りポイントだ
2品目完成

勇者「そうなんですか」
「でも、魔物は何でそんな事してたんですか?」

暗そうな雰囲気だというのが分からないわけじゃないだろう
無神経なのか、臆さず飛び込んでいく勇気なのか
その先を聞こうとする

156小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/10(土) 05:28:53
>>155

ルシャボテが綺麗になったところでローラーを離し、
手元のサンドイッチケースを持ち上げる。
さらに『下の段』があって、
そちらには『キュウリのサンドイッチ』が収まっていた。
バターを塗ったパンに、塩もみしたキュウリを挟んだシンプルな一品だ。

  「ええ……きっと『楽しんでもらいたかった』のでしょう」

『夏祭り』に対する桃園の感想を肯定した背景には、相応の理由があった。

  「魔物――『サマー・フォーエヴァー』の本体は、
   『ある夏の日に命を奪われた少年』であり、
   その目的は『永遠の夏』でした。
   彼にとって、夏は『最も楽しい季節』であり、
   皆も同じ考えだと思っていたのです」

  「それが望まれていないことを分かってもらうために、
   私は『説得』を試みました。
   何度も失敗しましたが、最後には理解を得られました。
   その証として、彼は『自らの意思』で能力を解除し、
   人々を元に戻してくれたのです」

  「……私にできたのは『そこまで』でした」

『浴衣』は『夏の風物詩』の一つに数えられる。
また、ルシャボテも『スタンドによって生まれた存在』だ。
そのせいか、浴衣猫を見ていると、『サマー・フォーエヴァー』を思い出す。

  「私は、彼が滅ぼされる様を見届けることしかできませんでした……。
   その時、自分の『弱さ』を思い知ったのです」

最初に話していた『全員を救える結末ではなかった』というのは、
そういう意味だったのだろう。
そして、深い悲しみと強い決意も、同じ場所から来ていることが分かる。
これで『事件』については一区切りついただろうか。

157勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/10(土) 20:54:59
>>156
小石川がローラーを離した頃には、
すっかり溶けて猫の形を成していない、ただの布になっていた

勇者「できたっと」


勇者「それで強くなりたいと思ったんですね」

馬刺しやユッケを並べて食事の準備は完了だ

勇者「文子さんも食べてください」
勇者「撫子もどーぞ♪」

前述した通り馬肉は猫に食べさせておk
猫用に馬刺しをとりわけるが、撫子が食べるのだろうか

勇者「馬刺しって言ったら飲み物はソーダですよね!」

クーラーボックスからカルピスソーダを出して紙コップに注いでいく
馬刺しソーダって多分そういうのじゃないと思うんだが…

勇者「ちょっと、そういうの分かるなぁ〜」

お前に何が分かるんだと言われそうだが

勇者「文子さんの中じゃまだ、続いてるんですか?」

158小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/11(日) 04:39:29
>>157

すっかり布そのものになってしまったルシャボテを見つめ、
自然と穏やかな微笑を浮かべた。

  「……ありがとうございます」

        スッ

  「桃園さんも召し上がってください。
   一緒に食べる方が楽しいですから……」

サンドイッチケースを並べて置き、それらも桃園に勧める。
馬刺しやユッケほど目を引くものではないが、
生ハムとマーマレードとパセリの組み合わせは珍しい。
塩気と甘みとほろ苦さのバランスが良く、意外にも合うのだ。

  「『魔物事件』では、準備に多くの時間を費やしました。
   もちろん必要なことでしたが……その工程を省けていれば、
   より良い方策を用意する余裕が生まれたかもしれません」

            ソッ

箸を取って馬刺しを摘み上げ、わさび醤油と共に味わう。
また、撫子も取り分けられた馬刺しに関心を示す。
帽子猫は馬肉を口にしたことがなく、匂いを確認してから食べ始める。

  「桃園さんは『アリーナ』をご存知でしょうか?
   先程お話した事件にも関わった組織なのですが、
   本来の彼らは積極的な干渉を避ける立場です。
   いざという時には、私達が動かなければいけません」

  「私は――『互助組織』を立ち上げました。
   いつか起こり得る『未来の災い』に備えるために、
   『有志のスタンド使い』を集めているのです」

過去の経験を活かすという意味では、『まだ続いている』のだろう。

159勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/12(月) 21:23:38
>>158
勇者「はい、いただきます」

勧められるままに、
サンドイッチを手に取り頬張る

勇者「あっ、生ハムとジャムってあうんですねー
   しょっぱいのと甘いのが一緒にきておいしいです!」

パセリのちょっとした苦味もアクセントになっていて
飽きの来ないサンドイッチだ

馬刺しは少し噛み応えがあり、
甘味がありながらもあっさりした味わいだ
わさび醤油の少しつんとした、爽やかな辛さとも相性が良い
新鮮な肉らしく、馬肉自体には匂いはほとんどしない

勇者「ほら、ルシャもお食べ〜」
布「…にゃ〜…」

浴衣猫も起き上がって馬刺しを見るが、
食べるのをやや躊躇っている

>桃園さんは『アリーナ』をご存知でしょうか?

勇者「あ、はい、知ってます
   この前面接に行って応募者同士で殴り合いをしてスカウトされちゃいました!」

(笑)がついてそうな感じで笑いながら軽い感じで言うが、
応募者同士で殴り合いをさせられるとは一体どういう面接なのか

>私は――『互助組織』を立ち上げました。

勇者「『互助組織』、ですか?」

生ハムとマーマレードとパセリのサンドイッチから一旦手を離し、カルピスソーダを飲む

160小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/13(火) 05:40:58
>>159

もし一言で表すとしたら、一風変わったピクニックといったところだろうか。

  「馬刺しを外で食べたのは、生まれて初めてです」

麗らかな春の日差しが降り注ぐ桃の木の下で、
自然と湧き出してくるような柔らかい微笑が零れる。
馬肉の質が良いことだけではなく、
こうして屋外で味わっていると、さらに美味しく感じられた。
一緒に楽しく食べているという状況も、良い方向に影響しているのだろう。

  「それは……『試合』をしたという意味でしょうか?」

桃園の言う『殴り合い』が、突発的に起きた可能性は考えにくいので、
おそらく予定の一部だったのだろうと判断した。

  「私も『アリーナ』とは何度か関わった経験がありますから、
   一通りの知識は持っているつもりです……」

         「にゃあ」

撫子も鮮度の高い馬刺しが気に入ったらしく、
安全だと分かった後の食いつきは良いようだ。
しかし、帽子のツバが広いので、食べ方には工夫が要るらしい。
精一杯の頑張りで健気に食べている。

  「その互助組織は『サロン』と名付けました。
   文字通りスタンド使いの『社交場』です」

サロンという言葉はフランス語に由来するため、
出身国がフランスである桃園の方が、より理解は深いかもしれない。

  「先程も申し上げたように、多くの力を合わせれば、
   不可能も可能にできるでしょう。
   ただ、その場限りの集まりでは、結束力が弱いことも事実です。
   そして、仲間としての絆を深めるためには、
   お互いを理解し合う機会が必要だと考えました」

  「『相互理解』を助ける場――それが『サロン』の本懐なのです」

紙コップを手に取り、カルピスソーダを一瞥する。

  「……私にも頂けませんか?」

ルシャボテの様子も気になるので、そちら側にも意識は割いていた。

161勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/13(火) 20:25:18
>>160
勇者「撫子食べ辛そうだね、大丈夫?」

手伝おうかと思ったが、
食べてる時に余計な手を出されるのは嫌かもしれないなと
出そうとした手を引っ込めた

布「…んぬ」

撫子が食べるのを見て、
浴衣猫も自分も食べるしかないかと腹を括って、
馬刺しをゆっくりと口を汚さないように慎重に食べ始めた

>それは……『試合』をしたという意味でしょうか?

勇者「うーん…試合だったのかなぁ?」
「ちょっと違う気が…」

突発的に応募者達が、
いきなり殴り合いの喧嘩を始める面接とか殺伐が過ぎる
それくらい元気の良い若者を求める所もあるかもしれないが

勇者「その時はVRゲームの中で戦ったんですけどね」

>『サロン』

勇者「へぇ〜〜〜
   何か楽しそうですね、それ!」

まじめに災害に備えた組織にその感想はなんだよって思われそうだが
『サロン』(社交場)という形を取っているからには楽しむ事が必要だろう

勇者「それっていつもはどんな事してるんですか?」

>……私にも頂けませんか?

勇者「へい、よろこんで!」

居酒屋店員のような返事で紙コップにカルピスソーダを注ぐ

勇者「おっとっと」

並々と注がれた白い水にひらりとひとひらの桃色の花弁が落ちて浮かぶ

162小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/14(水) 07:48:31
>>161

猫としては少々生きづらい体で生まれてきた撫子だが、
自分自身と上手く付き合うコツを掴んでいるらしく、見た目ほど辛い訳ではないようだ。

      ポトッ

ただ、それでも失敗してしまうことはあり、馬刺しの切れ端をシートに落としてしまった。

         「にゃ……」

                ペタン

耳を寝かせた撫子が申し訳なさそうにしている。

  「――『VR』……実際に傷付かない形式もあるのですね」

普通の試合であれば、傷は治療してもらえる。
仮想空間なら、おそらく治す必要もないのだろう。
そのように解釈すると、面接には適しているのかもしれない。

  「基本的には、お茶やお菓子と一緒に『会話』を楽しむ場だと考えてください。
   やり取りの中で、お互いに対する理解を深めていくことが、
   『サロン』の趣旨になります。
   コミュニケーションの一助になればと思い、
   ささやかな『レクリエーション』も考案しました」

  「そこにいらっしゃる方々は、私を含めた全員が『スタンド使い』ですから、
   『スタンド』の関わる話題について気軽に話し合える点も、
   特徴の一つに挙げられるでしょう。
   そういった情報交換に利用していただいても構いません」

舞い落ちる桃の花弁を目で追った後、
注いでくれた桃園に視線を戻し、感謝の意味を込めて軽く頭を下げる。

  「……ご興味はありますか?」

カルピスソーダに浮かぶ桃の花――珍しい光景だが、
爽やかな印象を与える白色と、華やかな桃色の取り合わせは、純粋に綺麗だと感じた。

163勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/14(水) 19:46:44
>>162
勇者「あぁ、落としちゃったねぇ」
「はい」

シートに落ちた肉を摘まみ上げて、
申し訳なさそうに耳を畳んでいる猫の口元に持って行く
お上品な猫なら落ちた物など食べないかもしれないが
少なくとも浴衣猫は絶対に落ちた物を食べたりはしない
そんな物を食べるくらいなら死を選ぶぜ!

勇者「お茶にお菓子〜…」

脳内に色んなお菓子やお茶のイメージがぽわんぽわんと浮かぶ
主目的は仲間間の理解を深め合う事なんだが…

勇者「はい、ちょっと気になります」

こいつ、お茶やお菓子に釣られてるのか?

164小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/15(木) 07:54:43
>>163

撫子は目を閉じ、素直に口を開けて、肉の切れ端を受け止めた。
桃園の好意を無にしたくないという理由もあるが、
自分が落とした物には責任を負わなければならない。
そういった雰囲気を感じさせる表情だ。

  「……『サロン』は『招待制』であり、
   主宰者か他の会員から紹介されなければ入れません」

         フゥ…………

桃の花弁が浮かぶ風流なカルピスソーダで喉を潤し、一息つく。

  「よろしければ、桃園さんも一度いらしてください。
   『主宰者の紹介』ということで歓迎します。
   基本的には私が応対しますが、留守中は他の方にお願いしておきましょう」

             カリッ

                 パリッ

キュウリのサンドイッチを齧ると、適度な歯応えと共に小気味よい音が生じる。

  「――いかがでしょうか?
   無理に来て欲しいとは言いませんが……」

誰に対しても声を掛ける訳ではなく、
この段階では正式に迎え入れるかどうかは分からないものの、
『ユウリ・桃園・シャルロット』には加わってもらいたいと思った。

165勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/15(木) 17:56:17
>>164
布「にゃ…」
よくそんなの食べられるな…といった感じで撫子を見ている

撫子に肉を食べさせて、自分も食事を再開する
食べかけのサンドイッチを頬張る
甘さとしょっぱさと苦みを存分に味わい、
甘酸っぱくて程よい炭酸のカルピスソーダを喉に流し込む

勇者「ぷは〜☆」

次はどれを食べようかな、と
馬刺しを取り玉葱を添え、ぽん酢に付ける
食べ応えのある肉にしゃきしゃきとしたたまねぎが乗り
柑橘の香りと酸味がプラスされてこれもまた美味い

勇者「えっ、行ってみて良いんですか?」

見学といったところか
普通、初対面の人にこういう何かの勧誘を受ければ、
新興宗教だとか闇バイトだとか怪しい何かを疑うもんだが

166小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/16(金) 06:45:42
>>165

馬肉を飲み込んだ撫子が、閉じていた目を静かに開き、ゆっくりとルシャボテに向き直る。

        「――……にゃあ」

自分の失敗が招いた不始末は自分自身で片付けたい。
そのようなことを言っているらしいが、飼い主達には理解しにくいだろう。
しかし、同族である浴衣猫には通じるはずだ。

  「ええ、どうぞ遠慮なくいらっしゃってください。
   きっと撫子も喜ぶと思います……」

手にしたサンドイッチを食べ終わったところで、桃園の言葉に頷きを返す。

  「『サロン』に加わる条件は、『スタンド使い』であり、
   『協調性』を備えていることですが、桃園さんは両方を満たしています。
   ひとまず『仮会員』という形になりますが、来ていただく分には問題ありません。
   その上で、もし桃園さんが正式に加入してくださるなら、
   改めて『正会員』としてお迎えしましょう」

             スッ

  「会員の方々と関わることは、桃園さんの修行にも役立つかもしれません」

再び箸を取り、桜肉のユッケに視線を移した。

  「……そちらを頂いても構いませんか?」

割り落とされたうずらの卵を崩すことを躊躇い、その役割を桃園に譲る。

167勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/18(日) 21:04:45
>>166
布「…にゃん」

そうまでして責任を取る撫子に、真面目だなぁという感想を抱く
ヤクザの世界に生きていれば指でも詰めそうだ
(猫がヤクザを知っているかはあれだが)
浴衣猫はそんな帽子猫の実直さを「まぁ、嫌いじゃないわ」と好意を表する
自分には絶対に出来ない

勇者「!そっか、それも修行になるかもしれないんだ」

会員との関りが修行に繋がるなら
『サロン』に加入する事は勇者にとって有意義な事になるかもしれない

>ええ、どうぞ遠慮なくいらっしゃってください。
>きっと撫子も喜ぶと思います……

勇者「その時はルシャも連れて来ていいですか?」
布「……んにゃう…?」

>「……そちらを頂いても構いませんか?

勇者「もちろん、食べてください!」
「あっ卵、じゃあ私が割りますね」

スプーンで小さな卵黄をつつくと
とろりとした黄色の液が流れ、ピンクとも赤とも言える肉に絡み付く

168小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/19(月) 10:08:29
>>167

他のスタンド使い達と新たな関わりを持つことは、
少なくとも見識を広めるためには大いに役立つだろう。

  「……修行は必ずしも一人で進めるものとは限りませんから、
   『長剣』を扱う桃園さんが加わってくださることは、
   『短剣』を使う私にとっても研鑽に繋げられるかもしれません」

『ロングソード』と『ナイフ』――種類は違えど同じ刀剣に分類されるからこそ、
そうした共通点からも何か得られるものがあるように感じられた。

  「ええ、是非ルシャボテと一緒に来てください。
   おそらく……撫子も望んでいることでしょう」

帽子の形をした黒猫を見下ろし、その表情を観察する。

        「にゃあ」

飼い主を一瞥した帽子猫が浴衣猫に話しかけた。
『また会えるなら嬉しい』というような意味らしい。
ルシャボテの気持ち次第だが、撫子からは歓迎されているようだ。

  「――『いただきます』……」

新しい箸を使ってユッケを小皿に取り、最初の一口目を口に運ぶ。
普段から調理を行う身としては、他者の作った料理も興味の対象に成り得る。
卵黄とタレが絡んだ桜肉を咀嚼し、じっくりと舌の上で味わう。

169勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/19(月) 21:15:34
>>168
布「…にゃぁぅ」

まぁ、また会ってあげてもいいわよ
そんな感じだろうか
やや上から目線だが、歓迎されている事は素直に嬉しいらしい

勇者「私、ナイフは使った事ないから文子さんに教えてもらいたいです」
「いつか使うかもしれないし!」

『リィン・カーネイト』が授ける武器はロングソードだけじゃない
仲間が増えれば、それに対応した武器が授けられる
組織に属するという事は、その組織の者と仲間になるかもしれないという事だ
小石川と仲間になったとすれば、聖ナイフか?

>――『いただきます』……

勇者「私も、いただきますっ!」

小石川がユッケを食すと一緒に勇者も同じ物を食べた

しっかりとした味わいがありながら、
刺身よりも柔らかく、口の中で蕩ける食感の肉
それにごま油の香りが食欲をそそる甘辛いタレが絡む
うずらの卵黄がタレの味をまろやかにして調和を取り
隠し味のすりりんごが全体的な味をさっぱりとさせている

勇者「修行っていうと、文子さんは今スタンドを使わない修行をしてるんですよね?」

170小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/20(火) 08:37:41
>>169

『リィン・カーネイト』の存在自体は知らないものの、
いつか使うかもしれないという言葉は引っ掛かった。
『スタンド』について話す流れで出た以上、
おそらくは『スタンドのナイフ』を指しているのだろう。
それを使う可能性があるというのは、どういう意味なのだろうか。

  「つまり……スタンドが『成長』すれば、
   ナイフを使えるようになるかもしれないということでしょうか?」

本体が精神的な成長を遂げることで、研ぎ澄まされたスタンドは鋭さを増す。
自らが経験しているからこそ、1つの答えに思い至った。
他ならぬ小石川自身も、『一刀流』から『二刀流』に増えたのだ。

  「……とても美味しいですね」

        ニコ…………

ユッケの味に舌鼓を打ち、その手際に微笑みを返す。

  「私は、料理には『作り手の心』が反映されると考えています。
   楽しく作った料理と悲しい気分で作った料理では、
   同じメニューでも違った一皿になるように思えるものですから……。
   このユッケからは、桃園さんの『真心』が感じられました」

小石川文子にとって、料理には『愛情』が欠かせない。
自分自身が料理を学んだ理由も、愛する人に食べて欲しかったからだ。
もちろん桃園の腕前も良いのだが、
調理に対して真摯に向き合う偽りや飾りのない気持ちが、
料理を通して伝わってくるように感じられた。

  「――……ええ、その通りですよ」

傍らの撫子を撫でながら、桃園の問いかけに小さく頷く。

171勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/21(水) 18:33:09
>>170
勇者「成長?
   なのかなぁ?」
「仲間が増えると新しい武器がもらえるんですよ」

この条件が成長なのかというとよく分からないところだ
勇者にとってスタンドとは、誰かに貰う物であって
未だに他のスタンド使いもそういう認識だ
基本的に、スタンドは一人に一つというのも知らない

>……とても美味しいですね

勇者「へへ〜、ありがとうございます」
「料理も上手な勇者を目指してますから!」

美味しいのは材料が良かったからというのも大きいが
下手な謙遜をせず、褒められたら素直に喜び胸を張る勇者
えっへん!

勇者「あ、でもちょっと照れます」

>――……ええ、その通りですよ

勇者「人間として強い人は、スタンドに頼らなくても窮地を切り抜けられるって」
「その話、私もっと聞いてみたいです」

そう話しながら、目線はサンドイッチの方にちらっと移る

勇者「あ、サンドイッチもらっていいですか?」

172小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/22(木) 06:58:11
>>171

スタンド能力は千差万別であり、他者と著しく異なる特殊なタイプも珍しくない。
『サマー・フォーエヴァー』などは最たる例だが、
あるいは桃園のスタンドも、そうした種類に含まれるのだろうか。
いずれにせよ、今この場で言及する気はなかった。

  「――ふふ……」

堂々と胸を張る姿に笑みを深め、それに続く言葉を受け止める。

  「以前……ある場所で起きた乱闘騒ぎに居合わせたことがあります。
   その時の私は『修行中』の身で、どうするべきか迷いましたが、
   結果的には何もできませんでした」

自らが体験した出来事と、当時の感情を振り返りながら、ぽつりぽつりと語り始めた。

  「私が悩んでいる間に、勇敢な女性が声を上げて、暴漢を牽制してくれたのです」

おそらく、あの『巫女』もスタンド使いなのだろうが、
彼女はスタンドに頼ることなく行動していた。

  「……どうぞ、こちらも味見してみてください」

深呼吸して適当な所で話を区切り、今度はキュウリのサンドイッチを勧める。
アフタヌーンティーには欠かせないと言われる一品だが、
作り方そのものは至って簡単だ。
しかし、一つ一つの工程が丁寧に行なわれているので、
それに見合った仕上がりになっているだろう。

173勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/22(木) 21:05:33
>>172
>私が悩んでいる間に、勇敢な女性が声を上げて、暴漢を牽制してくれたのです

勇者「お〜
   何かその人、勇者って感じですね」
「どんな人だったんですかその人?」

状況は分からないが、その人が勇気のある人である事は分かり
どんな人物なのか興味が湧いて来た

>……どうぞ、こちらも味見してみてください

勇者「ありがとうございます」

がぶっ

勇者「キュウリサンド、イギリスな感じですね」

キュウリサンドはシンプルな料理だが、
だから素材の良さや、料理人の腕前が如実に表れる

174小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/23(金) 11:58:46
>>173

基本的なレシピは、バターを塗ったパンに塩もみしたキュウリを挟んだだけだ。
サンドイッチを齧ると、新鮮なキュウリの食感を楽しむことができるだろう。
心地よく伝わる歯応えから、食べやすく薄切りにした上で、
しっかり水分を絞っていることが分かった。
塩気も十分に調整されており、爽やかな酸味も感じ取れる。
隠し味として、白ワインビネガーが使われているらしい。

  「……『神社の巫女さん』です。
   その方もスタンド使いのようでした。
   ただ、スタンドを使う姿は見ていません」

  「何かの理由で『使えなかった』のか、
   自分の意志で『使わなかった』のかは分かりませんが……
   いずれにせよスタンドに頼ることなく立ち向かったのです」

  「それを見ていて、私は自分の未熟さを実感しました……。
   『1人のスタンド使い』である前に、
   『1人の人間』としての知恵と機転を駆使すれば、
   立ち向かう方法は幾らでも見つけられたでしょう」

            ニコ…………

豪快にサンドイッチを頬張る桃園につられて、柔らかく微笑む。

  「最初に桃園さんと出会った時も、修行の一部として、
   『フライハイト』の間合いを避けて動いたのです」

行動の意図を口に出すということは、桃園に対する信用の証でもあった。

175勇者『リィン・カーネイト』:2025/05/23(金) 20:09:57
>>174
勇者「んん」
「凄い、これ美味しいです!」

食材としてのキュウリの魅力の一つは、
瑞々しさにあるが、これは逆に水分を抜いている
バターのコクに良い塩味のキュウリ
それに白ワインビネガーの酸味と香りが食欲を増進させる

料理は作り手の心が反映されるとは小石川が言った事だ
シンプルな料理に決して手を抜かず、
丁寧に作られたサンドイッチにその人間性が表れているのかもしれない

勇者「文子さん料理が上手なんですね
   もっと文子さんの料理食べてみたいです」

サンドイッチの塩気で
ちょっと口がしょっぱくなったところでカルピスソーダを飲む

>『神社の巫女さん』

勇者「巫女さんかぁ
   私、その人に会ってみたいです!」

会ってどうするの?相手が迷惑だろとかもあるが
勇者はその巫女さんに会ってみたいと思った

勇者「知恵と機転…
   ん〜、私も聖剣封印修行やってみようかなぁ」

と、思っているようだが
形だけ真似したところで身に付くか?

>最初に桃園さんと出会った時も、修行の一部として、
>『フライハイト』の間合いを避けて動いたのです

勇者「ふぇ、そうだったんですか?」

言われてみれば確かに、最初話しかけてきた時にはやや距離があった事を思い出す

勇者「う〜、気付きませんでした」

間合いを取られていた事に気付かない未熟さに今更気付きちょっとへこむ

176小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』【2/7】:2025/05/24(土) 11:51:19
>>175

お互いの料理を通して、それぞれの心に触れる。
こうしたやり取りも、一種のコミュニケーションと呼べるのではないだろうか。
『会話』にも『食事』にも『舌』を使う。

  「美味しく食べていただけたなら、とても嬉しく思います……。
   桃園さんが遊びに来てくれた時には、『お菓子』を作っておきますね」

今度は、おろしショウガとポン酢を合わせた馬刺しを試し、少し考える。

  「会えるかどうかは分かりませんが……
   『烏兎ヶ池神社』に行ってみてください。
   おそらく、そちらにいらっしゃると思います。
   彼女の瞳は『金色』なので、すぐに見分けられるでしょう」

例の騒ぎは、神社にとって広めて欲しい話ではないはずだ。
しかし、桃園が遊び半分ではないことは伝わる。
若干の迷いはあったものの、『会えるかもしれない場所』を教えることにした。

  「……私自身も含めて、
   『いざという時はスタンドで何とかなる』と考えがちです。
   自ら『一般人』と近い立場に身を置くことで慢心を戒め、
   有事の際に役立つ注意力を養う意図があるのです」

              「――にゃあ……」

帽子猫を撫でていると、だんだん眠くなってきた様子で、徐々に目を閉じ始めた。


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