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【個】『烏兎ヶ池神社』【場】

171鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/09/06(金) 02:25:58
>>170

「『信仰』は、心の支え、まさしく拠り所。
 ボクとしてもその考えは納得できますよ。
 どんな教えを信仰している人も…………
 それで『安心』を得ているのには変わりないですから」

すくなくとも、今話題にする限りは、だ。
イレギュラーは、鳥舟の配慮の範囲にない。

「ですからうちの神社も、『烏兎ヶ池』も……
 あるいは『パワースポット』って言葉そのものも、
 皆が『安心』出来るものとして、信仰されてるのかも」

      「――もちろん、『神さま』って存在もね」

林の中の道を歩きながら、振り返って笑む。
その時間はほとんど一瞬のようなもので、
すぐにまた、前を向いて歩き出した。

「お褒めいただいて、ありがとうございます。
 どんなに素晴らしいいわれがあったとしても、
 境内がゴミだらけじゃあ有り難みが、こう、ね。
 薄れるわけじゃなくても、感じ辛いでしょうから。
 そういう辺りが巫女の仕事の主な部分、ですけど」

ちりとりとほうきは使い込まれている。
もちろん、鳥舟一人で使い込んだのではない。
この社の代々の、あるいは一時的なバイトも含め……
とにかく、『よくしよう』という、巫女たちの意思だ。

「でも……やっぱり? ふふ……そういうとこ、ですよね。
 とは言ってもマア、巫女はあくまで巫女でして、
 そういう特別なお仕事といえば……うーん、
 いわゆる祈願ってヤツは、『手伝い』になりますし、
 ほんとうに神さまとの間に立つのは『神職』、ですからね」

悩むようなそぶりを見せ、少しして、思いついた。

「だから…………そう、神楽とか? いつもやるわけじゃあ、ないですけどね」

172美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/09/06(金) 03:16:21
>>171

「『神楽』?えっと『舞』と『御囃子』――――確か、そういったものだったかしら?
 うろ覚えだから、合っているかどうか分からないけど」

踊りと音楽。
それを聞くと、ますます似てるように思えてきた。
それを口には出さないが。

「ストリートパフォーマンスではないし、いつでもどこでもって訳にはいかないでしょうね。
 だからこそ、より神秘的に感じられるのかもしれないし」

『パーソナリティー』はトークを手段として使う『パフォーマー』であり、一種の『エンターテイナー』でもある。
聴衆を楽しませ、沸かせなければならない職業だ。
しかし、巫女は違う。
人々の崇敬を集めたとしても、それは秩序と静謐に包まれている。
言ってみれば『世俗』と『神聖』――大きく異なるのは、その辺りになるだろう。

「――――やっぱり『とっておき』は、『ここぞ』という時に出さなきゃね」

だが、それでも『通じる部分』は多少ある。
『決めるべき時に決める』という点においてだ。
おこがましいかもしれないけど、多分そこら辺は似ているんじゃないかなと心の中で思った。

「…………さて、そろそろ『霊池』のお目見えかしら?」

173鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/09/06(金) 04:18:02
>>172

「それで、だいたい合ってますよ。詳しいですねぇ。
 ただ、そう、残念ながらここでボクが踊って見せても、
 それっぽい踊りってだけで神楽とはならない……
 なにせ、神に奉納するための歌と舞、ですからね」

「こと、神社においては『お客様が神様』とも、
 とてもじゃないですけど言えませんし……ね」

柔かな語調で、『サービス』は出来ないと伝えた。
もちろんそこは分かっている『大人相手』ではあるが、
期待を持たせるようなことをするのも、かえって悪い。

人々を喜ばせるという側面もあるにせよ、
巫女の舞、その本質は神に捧げるものなのだ。
そこに100%の納得があるかは別の話としても、
盛り上がり、楽しむためのものとは、少し違う。

「時季を改めて、また来ていただければ、
 舞台――って言うとちょっと違いますけど、
 正式にお見せすることも出来るかな、っと」

「見えましたね、池――」

        オ オ オ オ ・・・

            ガァーッ ガァーッ

「あの鴨は、うちの神さまとかとも関係ないので。
 まあ…………おまけ程度に考えてもらったら。
 たまにですけど、いるんですよね。居心地良いのかな」

それは美しく澄み渡る池、といった様子ではなかった。
極度に淀んでいる、というわけでもないのだが、
底の見えない……ごく普通の池のように、見られるものだ。

それでもどこか、異質な空気を感じえるのは……
林の中の大池という、特殊なロケーションゆえだろうか。

174美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/09/06(金) 21:19:42
>>173

「あれは……『オナガガモ』かな?尾が長いでしょう。
 個人的な事ですけど、私は『バードウォッチング』が趣味なので」

「これはこれで風情があるんじゃないかしら。
 それに、『鴨』も訪れるくらい居心地の良い場所なの『かも』――――」

「えっと…………今のはシャレじゃないですよ。
 なぁんて言ったら、ホントにシャレで言ったみたいになっちゃいますねえ」

       アハハ

『烏兎ヶ池』に近付いて、しばし水面を眺める。
こうして見ると、普通の池だ。
そこまで珍しいものを期待していたという訳ではないので、別に不満もない。
ただ、神社に付随した池という所にはミステリアスなものを感じた。
『池が先』だという話だが、林の中の池というのも、それなりに神秘的ではある。

「『烏兎ヶ池』――堪能させて頂きました。満足です。お陰様で」

「『イヤな事は忘れて新しい自分で頑張ろう!』って気になれましたよ。
 案内してもらって、ありがとうございました」

お参りは済ませたし、見るべきものは見た。
帰るために踵を返して、足を踏み出す。
その途中でスタジャンのポケットを探り、再び振り返る。

「――――私は、こういう者でして」

名刺入れから取り出した名刺を、巫女に差し出す。

    【 Electric Canary Garden
      
           パーソナリティー:美作くるみ 】

氏名の片隅に、『コンセントの生えた小鳥』のイラストが添えられている。

「今日はプライベートで来ただけなので、
 取材とか宣伝って訳じゃないんですけど、一応ご挨拶という事で。
 神社じゃなく、案内してくれた貴女にね」

「また、いつか来ますよ。その時は、神楽を拝見させてもらいたいですねえ」

「それじゃ――――」

          ザッ

軽く会釈してから、駐車場に向かって歩き出す。
巫女との会話は、ちょっとした『ユニークな出会い』だ。
そういう意味では、自分としては十分な『ご利益』はあった。

175鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/09/07(土) 02:57:06
>>174

「へえ……さすが、関心が広いんですね。
 ボクは『鴨』としか思ってないものも、
 実際は色々事情とか違いがあるんでしょうね」

やや濁った水面が、顔を写す。
普通の水面と何も変わらないし、
写っている美作の顔も、いつも通りだ。

「ハハハ、シャレってことでもよかったんですけど」

そこにある『物』それ自体に神秘は無い。
あるとすればそれは、集まる人の心にこそ。

「ああ、ええ、こちらこそ。
 ようこそお参りでした。
 またいつでも――――ああ、ご丁寧に」

          スッ

その場でじっと目を通すことなく、
鳥舟は一読の上で挨拶を返す。
    
           トリフネ マーヤ
「ボクは――――『鳥舟学文』って言います。
 ラジオ、今度ぜひ聴かせてもらいますね。
 宣伝じゃあないとしても、何かの縁ってことで」

         「あ、そう!」

「むしろ逆に宣伝しちゃいますけど――――
 ラジオで今日のことをお話しされるなら、
 ウチの『名前』は出してくれちゃっていいですよ!」

       「それでは……また。神楽の時以外でも、いつでも」

その背中を見送って――――
今話していた人物が、かつて『録画』で見た『昔のアイドル』だと知ったのは、後のことだった。

176比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/11/20(水) 22:19:53

モノトーンのストライプスーツを着て、
中折れ帽を被った優男風の男性が、
一人境内を歩いていた。
型通りの参拝を済ませ、適当に辺りをぶらつく。
これといって目的はなかった。
あるいは、少し前に『妙な占い師』に出くわした事が遠因かもしれない。
だからといって、ここがインチキだなどと思っている訳ではないが。
『関係者』がいるか、あるいは『他の客』がいるか。
そんな事を考えながら、ただ何の気なしに歩いている。

177『烏兎ヶ池神社』:2019/11/20(水) 22:51:28
>>176(比留間)

境内には『巫女』など、関係者は見当たらない。
が、『他の誰か』はいるかもしれない………………

178比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/11/25(月) 22:33:45

「ふむ…………」

(『神様に嘘を吐く』というのも一興ですね)

参拝の際に思い浮かべた祈願は、
『嘘を吐く癖が治りますように』というものだった。
実際は、そんな事など少しも考えてはいない。
今の所、この『癖』を治すつもりは全くないのだ。
これも一種の『嘘』になるのだろうか。
その瞬間に、自分の心が『密かな愉しみ』を感じたのは事実だ。

(もっとも――――『神様』であればお見通しかもしれませんが)

    ザッ…………

最後に改めて境内を振り返り、そのまま神社を後にした――――。

179鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/03(火) 22:29:50

         ザッ …

            ザッ…

冷え込む境内で、巫女が掃き掃除をしていた。
左に流れるにつれて長くなるアシンメトリーの髪と、
ほとんど金色と言っていい色彩の瞳が特徴だった。

「……っくしゅん!」

        ブルッ…

咳をしても一人、という事もない。
境内には>>180がいる・・・
いるからどうという事もないが。

それに、いつからいるのか・・・
今来たのか? それともさっきからいたのか?

・・・それは、>>180と鳥舟のみぞ知ることだ。

180ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/05(木) 02:07:01
>>179
 「あら、可愛い巫女さんが」

どうも。まゆです。今日はここ『烏兎ヶ池神社』に来ました。
最近話題よねこのスポット。『願いが叶う』んだって。信じがたいわね。
ちなみに私は『(偽)占い師』。神社との関係は、あえて言うならば『同業他社』と思ってます。

そんな私は手水舎で手水をとった所でした。
要するにクソ寒い冬にクソ冷たい水で手を洗ったってわけね。

「っっっっっぶええェくしょ――――いィッッッ!!!!!!」

「…うふふ、冷えますわね うふふふふふふ」

181鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/05(木) 14:22:22
>>180

「お褒めの言葉、ありがとうございま……」

     ク…

         ルッ

声にゆっくりと振り向くつもりだったのだが、
大きなくしゃみに驚き、思いの外早くなってしまった。

「……す。えーっと……ようこそお参りです!」

      ニコ…

笑みを浮かべて、頭を下げる。
 
「冷えますねェー、もうほんと、最近はすっかり冬で。
 ボクも巫女なりに防寒に気をつけてはいるんだけど。
 ひょっとしたら年内に初雪なんて事も、あるのかな」

S県は『降雪』とはあまり縁がない地域で、
初雪は『年始』を大きく過ぎてからになりがちだ。
それでもそう言いたくなるくらいに、冷えた季節だった。

「それに水も……冷たいですしねぇ。
 そればっかりは『追い炊き』なんて、出来ませんし?」

      ザッ…

         ザッ…

「県内の、えー、どこだったかな、どこかの神社に、
 手水舎のお水が『温泉』の所があるそうですよ。
 いやお寺だったかなぁ……どっちにしても少し、羨ましいですね」

その女性は、手水舎の使い方は知っているように見えた。
つまりあれこれと案内をする必要は、無いのだろう、と。

182ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/05(木) 21:13:59
>>181
 「ええ、本当に……」

 「そういう神職の装束って薄くて寒いのでしょう?大変ですね」
 「けれど、似合ってらっしゃるわ 若いって素敵」

年末も近いし『アルバイト』の子かしら。
境内はしっかり掃き清められてる。がんばるわねーこの娘。
巫女服はかなり似合ってるわね。
あとお肌はすべすべだし。髪も傷んでないし。
目も綺麗だし。唇も瑞々しいし。
…若さが憎いわ。

私を見なさいよ。
雰囲気出すためにエスニック風のコーデを決めてはいるものの、
寒さに根負けしてブ厚いダウン羽織ってる惨めなアラサー女よ。
白い肌も白い唇もすっぴん風メイクよ。
でも目元は私の方が綺麗だけどね。造りがいいからね。

「追い炊き…ふふ、されてみては如何ですか。
 『建て替えの際に温泉を発掘しちゃいました』とか言って、
 こっそりガス管でも引いてしまって……」

「………というのは、冗談ですけれど。」

183鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/06(金) 00:02:12
>>182

「どうもどうも、ありがとうございます。
 『制服』みたいなものですからねェ。
 いくら寒くっても、これ以外を着てると、
 来てくださった方が驚くでしょうし!
 だから似合うに越したことは無いし、嬉しいです」

羽織を羽織ったりはするにしても、
外からの見た目が大きく変わるようなものは無い。

見た目は人の第一印象を大きく決める。
そして、施設の第一印象は人で決まる。
信じられるものを保つためのことだ。

「それは、ウーン、名案ですねぇ。
 お湯の方がお清めにもなりそうだし、
 神様も喜んでくださる、か・も」

    フフッ

「ボクのも勿論、冗談ですんでね」

「いやー、それにしても……お話がお上手ですよね。
 お仕事は……『敏腕営業マン』か何かで?
 お綺麗ですし、こう、なんというか、『雰囲気』がありますよ」

184ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/06(金) 19:45:41
>>183
営業マン、ね…『口車の巧いやつ』って事?
私が醸し出したい『雰囲気』ってそういうんじゃないのよねェ
あたしも確かに詐欺師みたいな事してるけどさあ

 「ふふ、とんでもございません」
 「…『コンサルタント』、のような事などはしていますが」

占いもコンサルも同じよ同じ。
この巫女っ娘いちおう神職従事者だからね、誤魔化しておくわ。

 「お悩みなどがありましたら……いえ、ここでは場違いですね」
 「不満、疑念、願いを、神様に聞かせられるだけ聞いてもらう場所ですもの」

 「『絵馬』もいいですね 
  ちょっとした悩みをたっぷり書いて、ぶら下げてしまいましょう

 「私…他の人が掛けていった絵馬を見るのも好きでして 
  悩みが願いがたっぷり集まってるの、不道徳かもしれませんがちょっと面白いですわ」

  「ふふ、私ったらお喋り。すみませんね」


大手同業他社の敷地内なので、褒めておくわ。自社の営業は控えめに。

185鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/06(金) 22:58:19
>>184

「コンサル! あんまり縁が無い業界ですケド、
 わりと『景気が良い』ってよく聞きますよ。
 や、まあ、縁がないってこともないのかな、
 神社専門のコンサルとか、あるらしいですし」

神社と『ビジネス』は縁が遠いようで、
人間が暮らしていく以上切り離せはしない。
例えばウェブサイトは自作ではないし、
取り扱うお守りなどについても幾らかはそうだ。

「仰る通り、『聞かせていただく』分には、 
 神さまはきっと、いつでも大歓迎ですケド」

「ただ、今すぐ聞いてほしい悩みとかは、
 今は……ないですねェ。神社にも、ボクにも。
 もしまた何かあれば、相談させてもらおうかな」

          ニコ…

それから、話に出た『絵馬』の方に視線を向けた。
参拝客が残していった、『神頼み』の結晶達。

「いえいえ、興味深いハナシですよ。…………」

その中のどれくらいが『報われた』のだろうか?
もし報われたとして、それは神さまのおかげだろうか?

「人の『お願い』を目で見られるっていうのは、
 確かになかなか無いかもしれませんね。
 それも人間へのお願いごとじゃなくって、
 『ただ、叶って欲しい』願いっていうのは、ね」

「どうです? お姉さんも書いて行かれますか、『絵馬』」

・・・行き場のない願いを『受け止める』役目は果たしている、とは思う。

186ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/07(土) 00:38:23
>>185
「折角ですしね おいくらですか?」

絵馬掛所に向かいつつ、ブツをお買い上げする。
デザインはどんな奴なのかしら?カワイイ奴だといいわね。

「絵馬を描いたからって、叶うものでもないでしょうけれど。 
 メモ帳だと思っておきます」


「うーん、どうしましょう 悩みますね」
「悩みを描こうとして逆に悩んでしまいますわね」


「『美肌』がいいかしらね それとも『商売繁盛』?」
「…一緒に考えてくださる?私の悩み」

187鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/07(土) 01:55:08
>>186

「うちは、『500円』ですね。どうぞ」

         スッ

「あとこれ。ペンは貸し出してますんでね。
 もちろんお手持ちの画材とかあれば、
 それを使っていただいても大丈夫ですよ」

渡した絵馬はごく普通のものだ。
ただ、小さく烏と兎の絵が小さく描かれている。

「ええ、メモ帳代わりにでもね。
 『願い』や『悩み』を、自分の中に閉じ込めず、
 アウトプットする……整理をつける。
 それも神社の役目の一つだと思うんです」

かなえてやれないことの言い訳だとしても。
それを信念として抱くのは、間違っていないと思う。
都合のいい神を疑えど、神頼みを否定はさせない。

「それから――――それをお探しするのも、ね」

          ニコ…

「『美容』も『商売』も、追及すればどこまでも出来ますからねぇ。
 そのあたりは皆さん書いて行かれる、ま、いわば『定番』です。
 商売……えー。コンサルみたいなお仕事でしたよね?
 つまり、個人にしっかり向き合っていくお仕事。
 なら……イメージですけど、それなら『千客万来』っていうよりは、
 新しい上客を一人捕まえる方が『ありがたい』仕事だったりするのかな」

             「そうなると……『良縁成就』なんてどうです?」

188ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/07(土) 02:33:45
>>187
うん、カワイイ絵馬ね。持って帰っちゃいたいくらいだわ。

「いいですわね リョ・ウ・エ・ン・ジョ・ウ・ジュ…っと」

確かに、良客には恵まれてないし、このトシで独身だし、良い願いね
……あ゛!?いい年してカレシすらいない哀れな女って言いたいわけ!?
心なしかペンを握る手に力が入るわね。うん。


「――――不躾ですが」

「あなた、実は神様を信じ切っておられませんね」
「願いにしても何にしても、『神様が見ていらっしゃる』と言えばいいのに
 …しかし、そうは言わない。あなた自身は気づかれていないかもしれませんが、
 あなたにはそういう側面があるようです」

そうなのよね。この巫女っ子、私の冗談とかにそこまで眉を顰めないのよ。
普通の神主さんとかだったらもう少し神様についてお喋りするのに、この子にそういう所はない。
ま、若い娘だしね。いろいろ思う所もあるんでしょう。

「でも、こうして、参拝客のことはしっかり考えてらっしゃる」
「それが面白くて ふふふ」

189鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/07(土) 03:12:38
>>188

「もちろんお決まりのフレーズじゃなく、
 『上客がさらに増えますように』ですとか、
 そーいう具体的なのでもアリなんですけどね」

ペンを走らせるところを横から見ていた。
その視線が、思わぬ言葉に止まった。

「…………いえいえ」

思わぬことを言われた、ではない。
思わぬ形で、図星を衝かれた。

「相談した相手の『問題点』を見つけて、
 アドバイスする、そう言う仕事……ですよね、コンサル」

「ボクはお姉さんを敏腕営業って言いましたし、
 お姉さんはご自身を『コンサル』と、おっしゃってましたケド、
 その折衷と言いますか、『敏腕コンサル』ですね。
 もしくは、ふふ、『心理学者』か、『占い師』か……」 
 
「おっしゃる通り、ボクはまだまだ『信仰』が足りない身でして。
 おと……ええと、『神主』さんなら、話は変わってくるんですけど」

だから鳥舟はあえてそれを認めた。
神さまが全て叶えてくれるわけがない。

「ふふ、未熟者ですみませんね、ですが――――
 『お願い』を見届ける役目は、しっかりさせていただきますよ。
 それから、そう、皆さんがいらっしゃる境内を綺麗にしたり、
 安心して神さまを頼っていただけるよう、お助けすることも」

「この神社の『巫女』として、ね」

だけど、心の『よりどころ』としての意義は知っている。

巫女はそれを保つ。
自分が信じていなくても、
信じている人の願いを保つ。
鳥舟は『神秘』に疑問を抱き続けるが――――否定はしない。

190ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/07(土) 14:30:10
>>189
「ちなみに私、神秘なんて『99.8%』信じていませんしね」

          カチャ…

―――この [志望校に受かる] って願い。叶うのかしらね。
私が上に絵馬を引っ掛けたせいで、
神様から見えなくなっちゃうんじゃないかしら

「受験なんて本人の頑張り次第でもあるだけれど…
 けれど、藁にでも縋っちゃいたいのは『誰』だって同じね」

  この子しっかりしてるわネー色々考えてるのね。
  バブみ感じちゃうわ。

「だから、しっかり者の可愛い『巫女』さん、
 いざという時は縋らせてね?おねがいっ 」

「―――というのは、冗談ですけれどね」
「残りの『0.2%』に頼ることにしますわ」

容赦なく絵馬を掛けてしまう。若人よガンバレ。

191鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/07(土) 23:12:35
>>190

「『100%』信じるのは、ボクらのお役目ですからね。
 『0.2%』でも、受験や大一番の時だけでも、
 信じたいとか、縋りたいとか……
 そういう気持ちを、受け止める場ですんでね!」

              ニコ

「神さまにでも、ボクにでも、ぜひ頼ってって下さいよ」

絵馬を引っかけるところを、言葉通り見届ける。
他の絵馬にかぶさるのも……それは、仕方ない。
自分の願いを聞き届けてもらおうとするのだから、
他の誰かの願いを優先しなくてはならない理由もない。

「――――さて!」

そうして、顔を上げた。
手には箒を持ったままだった。
つまり、まだやる事がある。

「もしほかに何かご案内出来る事がなければ、
 ボクはそろそろお掃除に戻ろうかと思うんですケド」

              「どうでしょう、お姉さん?」

192ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2019/12/08(日) 15:09:06
>>191
「あら、お喋りが長すぎました」

「事務所に『供養』したい変なものが溜まってきていまして…
 そのうち『お焚き上げ』か何かしに来させてもらおうかしらね、ウン」

「頼りにしちゃいますわよ、可愛い巫女さん。」

帰る。鳥居の前で一礼してから帰る。
参拝?しないわよ、ンなもん。
絵馬買ったから十分でしょ。
 

「―――ぶェーーーーっくしょいッッッッッッ」
「……くそ、『無病息災』にしときゃぁよかったわ」

193鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/12/08(日) 22:03:27
>>192

「いいえェ、ボクがつい時間を忘れて、
 お話に夢中になっちゃってましたね。
 それくらい楽しい時間を、どうもです」

    ペコ

「お焚き上げは、事前に予約があると嬉しいですね。
 物とか時期によっては受けられなかったりもして……
 申し訳ないですけど、そういうことがありますんでね」

笑みを向けた。
そして小さく頭を下げた。

「それ以外でも何かボクらに出来る事があれば、
 いつでもお気軽に、ご相談くださいね。
 それじゃ…………ようこそお参りでした、お気を付けて!」

そうして頭をあげて、箒を手に取った。
願い事の上から掛けられた絵馬を一度だけ見て、
触れることはしないでおいて、また、石畳を掃いた。

「…………」

      …ザッ

            …ザッ

                 …ザッ

194小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/02(木) 22:32:27

    ザッ……

元旦――神社へ初詣に訪れた。
普段とは異なる『和装の喪服姿』で境内を歩く。
自分なりの『新年の装い』だった。

         ガラ ガラ
                  チャリン

控えめに鈴を鳴らし、賽銭箱に硬貨を落とし入れる。
二度お辞儀して、二度手を打つ。
そして、もう一度頭を下げた。

  ――どうか……。

           スッ

両目を閉じて、静かに思いを馳せる。
心に浮かぶのは、『彼』と交わした『約束』のこと。
新たな一年間、それを果たせることを願う。

195鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/03(金) 00:02:08
>>194

元旦の境内――
市街から少し外れた『烏兎ヶ池神社』も、仄かに賑わう。
より大きな神社に比べればささやかな華やぎではあるが、
雰囲気が保たれているとも言える。喪服も浮いていない。

「新年、あけましておめでとうございます!」

     ペコ……

ふと、巫女の姿が目に入る。
アシンメトリーの黒髪に、金色の瞳。
まだ少女にも見える若い女性だったが、
巫女装束はバイトと言うには『堂に入った』ものだ。

そして……それは「振る舞い」の『甘酒』を配る姿だった。
今はあやかろうとする行列もなく、余裕を持って受取りに行ける。

196小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/03(金) 09:50:31
>>195

いつもの洋装であれば目立ったかもしれない。
しかし、元日には着物の参拝客が多い。
そのせいもあって、意外な程に浮いていなかった。

    ス……

参拝を終えて、緩やかに境内を振り返る。
その時、甘酒を配る巫女の姿が目に入った。
草履を履いた足で、石畳の上を歩く。

          ザッ……

  「あけまして、おめでとうございます……」

  「――お一つ頂けますか?」

『黒い着物』を身に纏う女が、巫女に微笑んだ。
一見すると、『黒留袖』――最も格の高い正礼装にも見える。
よく見れば、それが『喪服』であることが分かるだろう。

197鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/04(土) 00:26:08
>>196

巫女は、黒い和装に一瞬表情を固まらせる。

「――――ええ、勿論」

あけましておめでとう。
喪中の相手には相応しくない挨拶だったが、
同じように返された事で『切り替える』。
寺社仏閣への参詣自体、喪を重く見るなら避ける。
躊躇いや戸惑いは望まれていないだろう。

     ゴポポ…

「はいっ、どうぞ。暖まりますよ。
 初詣といえば甘酒……誰が決めたのか分かりませんケド」

注いだ甘酒を渡す顔は、緩んでいた。

「冬にもピッタリですからね。ああ、ヤケドはしないくらいの温度ですんで!」

湯気は立っていたが、手渡すカップ越しに掌に感じる熱は穏やかなものだ。

198小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/04(土) 01:01:24
>>197

  「――ありがとうございます」

おもむろに両手を伸ばし、カップを受け取る。
どちらの薬指にも、同じ『指輪』が光っていた。
飾り気のないシンプルな銀の指輪。

    ス……

カップを傾けると、ほど良い熱を持った甘酒が喉を通っていく。
心なしか、身体だけでなく、気持ちまで暖まるように感じられる。
体温が上がったために、頬には薄っすらと赤みが差していた。

  「この神社は初めて来たのですが……」

  「どのような由来があるのでしょうか?」

他の人が待っていないことを確かめてから、
ささやかな質問を投げ掛ける。
甘酒のせいか、それとも心の篭った持て成しのせいか、
少し言葉を交わしたい気分になっていた。
あるいは、楽しげに会話を弾ませる人々の様子を見て、
一抹の寂しさに駆られたせいかもしれない。

199鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/04(土) 01:46:17
>>198

参拝客はみな、『願い』を抱えてここに来る。
それが叶うと信じてではなく……大多数は、
それを言葉にする、あるいは吐き出すために。
神には届かずとも、巫女はそれを受け止められる。

……重い。両薬指の『証』と、喪服。
巫女がまず覚えた感情は、それだ。
どこまで踏み込むべきか……
それとも踏み出すのをやめるべきか。

「うちはですね、『鳥兎ヶ池』の信仰が元で、
 そこに神社を建てることになったそうです。
 神秘の池、なんて呼ばれたりもしてますけどね」

選んだのは、踏み出さない方だ。
初詣に、巫女にそれは望まれていない。
口に出さない思いを解釈することは。

「『烏兎ヶ池』は『鵺伝説』にまつわる地でしてね。
 お姉さんは『鵺』はご存知ですか――妖怪ってやつの名前です」

手を前に出し、『狐』の影絵のような指文字を作る。
鵺は狐とは関係ないが……『妖獣』を表しているつもりだ。

「お猿さんの顔に、タヌキの身体。トラの手足で……尻尾は蛇だったとか。
 トラツグミみたいな声で鳴いてですね、昔のえらい人を気味悪がらせたそうです」

200小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/04(土) 02:20:42
>>199

先程まで冷えていた両手に、今は温もりがある。
その暖かさが、身体と心に伝わっている。
だから、この一時は寂しさも忘れていられる。

「『鳥兎ヶ池』――『池』に『鳥』と『兎』がいらっしゃったのでしょうか?」

「何だか昔話のようですね……」

    フ……

『由緒』を聞いて、穏やかに微笑む。
その裏側には、消すことの出来ない陰があった。
しかし、今この瞬間は表には出ていない。

「……ええ、名前を耳にしたことはあるように思います。
 詳しくは存じませんが……」

「――その『鵺』が『池』と?」

話には聞いたことがあった。
不思議な動物だ。
『神秘性』という意味では、神社という場に相応しいように感じる。

201鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/04(土) 02:39:41
>>200

「『烏兎』は『金烏玉兎』……えーと。
 つまり太陽と月ですね。うちの『烏兎ヶ池』は、
 水底は濁ってますけども、綺麗に月を映すンです。
 太陽もね、そこから取られた名前なのかな、と」

いうのが、定説になっている。
というより……そうしようとしている、のか。

「ま、あくまで……説の一つですけどね。
 もー昔すぎて誰が付けたのかも分かりませんから。
 ほんとはそう、カラスとウサギがいたからかも?
 ウサギはともかく、カラスはよく見ますからね」

偶然よりは、『ありがたい』気がするから。
信仰を求めている神社が始めたのか、
信仰の拠り所を求めている民が始めたのか。
それも、疑えど答えを出すべきではないだろう。
 
「ただまあ、たいていの説で『鵺』は伝説に絡みます」

「『鵺』は最終的にお偉い方に退治されるんですよ。
 それで、妖怪だからですかね。斃された体が……ボン!」

「何か……爆発でもしたんですかねえ、あちこちにバラバラに飛んでいったとか。
 そのうち一つ……爪だか牙だかが、くだんの池に落ちたそうですよね」

202小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/04(土) 17:51:22
>>201

  「そういえば……『月には兎がいる』と言われますね」

  「いつか『やたがらす』という名前を聞いたことがありました。
   太陽の神様だと……」

  「『カラスが太陽』というのも、
   何となく分かるような気がします……」

伝承が本当かどうか。
少なくとも自分にとっては、さほど重要なことではなかった。
信じることで幸福を得られる人がいるなら、それが何よりだろう。
真偽を問うことが、その幸福を壊してしまうことになるのは、
悲しいことだと思う。
たとえ儚い夢であっても、それが心の支えになることもある。

  「『バラバラ』に――」

  「それは――凄いお話ですね……」

巫女の言葉で、ふと自分自身のことが頭に思い浮かんだ。
『スーサイド・ライフ』――自らの身体を自在に切り刻む能力。
『妖怪』も『スタンド』も奇妙な存在には変わりない。

  「そして『神秘の池』が生まれた……ということでしょうか?」

  「どのような『ご利益』があるのか教えて頂けませんか?」

203鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/04(土) 23:44:44
>>202

「ええ、月には兎がいるんです。
 それが科学的に正しいどうかじゃなくって、
 昔の人が『そうだと考えた』――――
 『そうだと考えた理由がそこにあった』
 そこに、ロマンがあると思うんですね」

「ロマンというか、一つの『信仰』といいますか。
 神さまっていうのとは、少し違うかもしれませんがね」

月の兎。
ヤタガラス。
現実に考えれば『無い』――――『スタンド』でもなければ。

「ですねえ。そういういわれがあっての『神秘の池』です。
 ま、もしかしたら『ご利益』が先にあって……理由が後、か・も」

だが、あるかもしれないと思うことは『意味』がある。

「池の『ご利益』っていうのは、まー漠然としてますけど。
 『池に落ちた人が神通力を得た』みたいな伝説とか、
 『池の水を毎日飲んだ子供が百人力の力持ちになったとか』」

「『怪我が治る』とかより、そういう方向性ですねえ」

            ニコ…

「残念ながら――――今は水に入るのは禁止ですし、
 飲むのも、煮沸をした方が良いと思いますね。安全性の面でね!」

204小石川文子『スーサイド・ライフ』:2020/01/05(日) 00:50:17
>>203

  「『信じることが心の支えになる』……
    とても素敵なことだと思います」

  「それが形のあるものでも、形のないものでも、
   『支えてくれる何か』があれば――日々を歩んでいける」

  「私は、そのように考えています……」

彼女が語る言葉に、『確信』を込めた頷きを返す。
胸の内には『約束』があり、指には『形見』がある。
それらが、今の自分を『この世界』に留めてくれているものだ。
きっと、いつでも『彼』は見守ってくれていると信じている。
だからこそ――『一人』になった今も生きていける。

  「……『信じれば叶う』という言葉を聞いた覚えがあります」

  「『神秘の池』が――
   『神様』が見守ってくれているという『信仰』は、
   そこを訪れた人達にとって、自分の道を歩んでいくための、
   『心の支え』になってくれたのでしょうね……」

  「そうして迷うことなく進んでいけば……
   いつか、私も『力持ち』になれるでしょうか?」

    クス……

口元に、柔らかい微笑が浮かぶ。
ちょうど同じ頃、こちらに近付く数人の参拝客の姿が見えた。
自分と同じく、甘酒をもらいに来るようだった。

  「すみません……すっかり話し込んでしまいました。
   他の方がいらっしゃるようですので、私はこれで……」

  「楽しいお話を聞かせて頂き、ありがとうございました」

           スッ

  「――失礼します……」

邪魔にならないように身を引き、巫女に会釈を送る。
黒い和装の後姿が、徐々に遠ざかっていく。
喪服に身を包んだ背中が、静かに雑踏の中に溶けていった。

205鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/01/05(日) 01:18:00
>>204

「いい考えだと思いますよ!
 もちろん、『支え無しでも生きられる』人もいるし、
 それはそれで立派なんだとは、思いますけどね」

「いざというときの、『拠り所』は一つでも多い方がいい」

神秘が科学に否定される。
それは何も間違いじゃあない。
神秘では炎は灯せない。
神秘では水は清められない。
そして神秘では…………

だが、『神秘を必要とする』人間は必ずいる。
いつまでかは分からない。だがそれまでは……『必要』だ。

「そうですね…………きっと『信じてない夢は叶わない』」

「『夢を信じるための心の支え』は、ボクらがしますからね。
 迷いそうになったら、いえそうじゃなくっても、いつでもまたどうぞ」

           ペコ…

                「それでは。ようこそお参りでした」

206鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/05(日) 00:09:53

     ザッ――

            ザッ――


春。芽生えの頃。今日も境内を掃いている。
無心で……という訳でもない。
『見たいテレビ番組』の事だとか、
今度観に行く『舞台』の事だとか、
むしろ『煩悩』は減る所を知らないが・・・


(……『ヴィルドジャルタ』!)

     ザッ――

何より、ここしばらく『それ』に関心が募っていた。
『ヴィルドジャルタ』――――
神託なんて大げさな話だと思うが、
ある日突然『知った』その存在。

(名前しか知らないボクの『スタンド』。
 そろそろ『知っておく』べきなんじゃあないか)

     ザッ

        (…………でも、それを知るってコトは、
         知らない時に逆戻りは出来ないってコトだ)

                  『コンッ』

    「あッ―――と」

思考の堂々巡りの中……箒に思わず力が籠り、空き缶を飛ばしてしまった。

207鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/07(火) 00:39:43
>>206

思考は巡るたびに募っていくが、その日は実りに結びつきはしなかった・・・

208一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 03:11:53
教会に集まる方々により良い道を示すべく
参考にするために烏兎ヶ池神社まで来たのだが…

「迷える人々に道を示す前に迷走しちゃいました…」

一人の小学生、いや、中学生がぐるぐると迷走する。
どうみても小学生だが中学生である。

「それにしても変な感じがするような…」

涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年は何かを感じている。
二回も死にかけたせいで視線や殺意に敏感になったのかもしれない。

「宗像さんに付いてきてもらえば良かったかな」

209石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 08:36:16
>>208
「おい、ぐるぐるとなにやってるんだい、アンタ」

迷走している一抹に中学生くらいの少年が声をかけてきた。
白黒の髪に黒の清月学園制服、海のギャング、シャチのような風貌をした少年だ。
鍛えているのか、一抹よりいくらか背が高く、がっしりしている。

210一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 20:24:12
>>209
制服と背丈からして上級生だろうか。
水泳部に入ってそうだな、と勝手な憶測をする。

「生まれて初めて神社に来たのですが
 何をすれば良いのか分からずグルグルと…」

「ん? もしかして清月学園の方でしょうか?
 凄く肉体を鍛えていらっしゃるようですね」

生まれてから父というものを知らぬ一抹は筋肉に興味津々だ。筋肉とは父性の象徴。
血管が見える透き通った不健康な一抹とは正反対だ。

「すごくつよそう」

目の前の少年の筋肉を凝視しながら呟く。

211石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 20:40:22
「ん、アンタもこの神社初めてかい?」

「俺も初めてだが……」
ズキュゥゥゥン!人魚のようなスタンドを上空に飛ばして辺りの様子を探る!

「俺も初めてだが……大体の方向くらいは分かるぜ。
あっちが『霊池』だ。」
『霊池』の方向を指差す。

「俺は石動 織夏(いするぎ おるか)。
ご察しの通り清月学園の中等部3年生だ。
水泳部で鍛えちゃいるが自慢するほどのモンでもねぇ。」

「アンタは……帰宅部かい?」

212一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 21:05:23
>>211
「『インダル…ん、お兄さんのスタンドでしょうか?」

筋肉質な人型スタンドが一抹の前に発現する。
二度も物騒な目に遭わされたせいで反応が常人から離れてしまっている。

「あわわっ、敵の攻撃と勘違いしちゃいました! ごめんなさい!」

『インダルジェンス』を解除。
石動先輩についていこう。 

「わたしは中等部一年生の一抹貞世です。
お恥ずかしながら帰宅部です」

「空を浮遊するスタンドって良いですよね。
 私は戦友というか、お兄ちゃんみたいな人も魚っぽいスタンドだったから懐かしいです」

213石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 21:29:12
>>212
「おおっと、アンタもスタンドが見えるクチか。パワーがありそうなスタンドでうらやましいな。」
『インダルジェンス』を見て呟く。

「俺のスタンドは遠くに行けて、空を飛べる分、あまりパワーが無くてなぁ。」
ボヤく。

「だが、浮遊するスタンドは便利だぞ。重力の枷から解き放たれるってのは気持ちがいい。」

「魚っぽいスタンド使いかぁ……自分以外には見たことがないが、意外といるのかねぇ。」

トコトコトコ……

「よし、『霊池』に着いたぞ。ここが『烏兎ヶ池』か。」
『霊池』に着いた!

「巫女さんとやらは居るのかな?」
『霊池』の周りをうろうろしながら、『巫女』を探してみる。

214一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 21:57:50
>>213
「私の『インダルジェンス』は岩を砕き、精密機械のよう
 な動きを得意としますが能力はメンタルケア向き」

「迫る危機に器用な対応が必要とされるから大変です」

立ち止まった石動の背後で軽く転ける。
それでも『パイオニアーズ・オーバーC』を一抹は観察していた。

「わたしの戦友さんは沢山の魚を発現し、『水槽』を作るスタンド使いでした。
非力なスタンドでしたがコカトリスを窒息死させるジャイアントキリングを成し遂げた凄い方なのです」

目をキラキラさせながら戦友の話をする。
彼は今でも町の何処かにいるのだろうか。

「『烏兎ヶ池』ですか。変わった名前の池ですね。
 ご利益でもあるのでしょうか」

石動先輩と『巫女』さんを探す。

215石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 22:14:38
>>214
「『巫女』さん見つからねぇなぁ〜。」

「しかも、この柵から察するにこの『霊池』は遊泳禁止みたいだしよぉ〜。」

「パワースポットで泳ぐってのを、いっぺんやってみたかったんだがな……」

※巫女さん(鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』)を待ちますか?

216一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 22:21:22
>>215
「学生ほど暇じゃないのかもしれません」

「…泳いでみます? わたしは泳げませんが」

※明日の21時まで待ってみましょうか?

217石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 22:34:43
>>216
「泳ごうと思ったんだが、ここまで禁止されてるとさすがに気が引けるぜぇ〜」

「しかし、一抹さん、泳げないってのは難儀だな。溺れた時とかどうするんだい。
なんなら、泳ぎ方を教えようかい?」

※ちょっと待ってみましょう。

218鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/08(水) 23:07:17
>>216
>>217

「…………」

          ザッ    ザッ

巫女は少し遠くでいたが、掃除をしているようだ。
そちらに気付く様子は無いので、用があれば話しかける必要がある。

219石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 23:17:51
>>218
「あ、いたいた。
もしもし、巫女さーん」

「この『霊池』ってやっぱり遊泳禁止?
いいパワースポットって聞いたんだけどさ。」
鳥舟に聞いてみる。

220一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/08(水) 23:22:03
>>218
「あっ、居ましたよ。それっぽい人が。
 泳ぎはまた後で教えてくださると嬉しいです」

「巫女さま、巫女さま。この池にご利益があると聞いて来たのですが」

221鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/08(水) 23:36:07
>>219
>>220

「どうもどうも、ようこそお参りです」

          スゥ―

頭をゆっくりと下げて、箒を片手に歩み寄る。
金色の目と、左右で長さの違う髪が特徴の若い巫女だ。

「あー。すみませんけども遊泳は、禁止ですね!
 そこで『溺れたり』とかはもちろんですけど、
 ホラ。少し濁ってるでしょう? 『浄化』とか、してませんからね」

「飲用にするにも、煮沸がいるくらいには、『不安』なんですよ。
 それをまんいち飲んだりしてビョーキされたりしたら、
 ボクの方でこう、セキニンとか、取れませんから。
 仮に飲んだ事で御加護があっても、風邪とか引くときは引きますしね!」

指さす池は確かに、『得体が知れない』ものはある。
汚水と言うには透明すぎるが、『市民プール』のような安心感は無い。

「そちらの、『弟くん』……? きみの質問にも答えておくね。
 ここは『鵺』……ってわかるかな、昔の『すごい妖怪』なんだけど。
 まあ、『謎の生き物』が撃ち落とされて底に沈んだ――――なんて説もあってね」

「その『謎の生き物の謎の力』が、宿ってる池なんだよ。
 あとは、あー……『飲んだらすごい力持ちになった』なんて昔話もある」

       「ただほんと、現代人のボクらは『煮沸』ッて知恵があるから。
         昔話そのままみたいに直飲みしたりは絶対おすすめしませんよ」

最後の言葉は石動に向けているようだ。『保護者』と勘違いしているらしい。

222石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/08(水) 23:53:34
>>221(鳥舟)
(おおっと、金色の不思議な目だ)

「なるほど、あの『霊池』には『得体の知れない』なにかがあるっちゃ、あるなぁ
 『謎の生き物の謎の力』……それが関連しているのかな?」

「たしか、ここの『霊水』買えるんだったよな?
 ボトル1つでお幾らだい?」

「あと俺らは兄弟じゃねぇよ」

223一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/09(木) 00:08:40
>>221
「なるほど、この神社の『信仰』の元は妖怪。
 私は信じますよ。この町には変なのが沢山いますから」

「聖職者の息子として興味が有って来たわけですが他にも逸話はありませんか?」

224鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/09(木) 00:36:28
>>222

「あっと、これは失礼しました。早とちりでして」

まず、非礼をわびた。

「関連はあるのかもしれないし、ないのかもしれない。
 そこも『不透明』……なんちゃって、ね。
 『鵺伝説』ですからね、『分からない方がらしい』のかも」

「鵺的、なんて形容詞もあるくらいですからね」

その言葉自体、はぐらかすように『鵺的』だ。

「ああ、霊水はボトルで『300円』で授与しておりますよ!
 繰り返しますケド、飲むんでしたら『煮沸』してくださいね」

が、『授与』――――『商売っ気』は、それなりに『明快』なようだった。

>>223

「『神さま』と『妖怪』は紙一重――――
 っていうのは、きみのお家の考えとは違うかな。
 ごめんね、ボク基督教はあんまり詳しくなくって。 
 きみに失礼なこと言ってたら、ちゃんと叱ってね!」

「ボクも勉強させてもらうからさ」

宗教観の違いは『戦争』さえ生む。
鳥舟は『信じ切っちゃいない』が、
目の前の少年がどうかは分からない。

「変なの……アハハ、確かに『都市伝説』は多いよね。
 他の逸話……ん〜。ちょっと神社公式として言うには、
 眉ツバっていうかそれこそ『都市伝説』っぽくなるけど。
 『某戦国大名はこの池で体を洗ってから成りあがった』とか」

          「その手の『ご利益話』は、事欠かないよね」

225一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/09(木) 09:52:10
>>224
「いえ、わたしは父と違う方向性の者ですよ。神も、妖怪も、ただの『都市伝説』みたいなものじゃないですか」

「そういえば、『都市伝説』と鵺って似てますよね。あやふやで無責任なところが」

私は学者ではないが教会と神社の違いは崇める神でなく、河童や悪霊などの恐怖を神格化する点だと思う。
日本三大悪霊の崇徳天皇や平将門など彼らは恐怖と紙一重の信仰を受けている。
菅原道真だけは少し影が薄い気がする。

「噂を広めるとき、人は安全な立ち位置と抜け道を先に確保するんです。危なすぎる話は遠ざけられるだけで決して広まらない」

「人間は自分が優位に立っていると思うから、無責任な噂を垂れ流せる。ただし、それが本当に安全なものかは怪しいのです」

「『都市伝説』を流す者が『きっかけ』の危険性を見極められているとは限らない」

こういった妖怪に関連する逸話が伝わる神社には祟りもセットで付いてくるものだ。
最近は勝手に心霊スポット扱いされる神社も少なくない。

「巫女さまは祟りとかに遭遇した経験はありますか? 落ちてきた鵺の正体を探ろうとしたら変な目に遭うとか」

「それはそうと霊水を買いますね。与太話を聞いてくださったお礼です」

226石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/09(木) 12:46:37
>>224
「300円ね。」
300円を渡す。

「まぁ、お守り程度に考えとくさ。水素水よりはご利益がありそうだ。」

「『鵺』ねぇ。そんなもんいるんだか、いないんだか……。
あー、実はアンタさんが『鵺』の変化(へんげ)っつーオチか?
それはそれで面白そうだな。」

227鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/10(金) 02:11:26
>>225

「ああ、それなら――――そうだねえ。
 『信仰』を失ったり、毀損された神さまが、
 妖怪になるなんてお話もあったりするしね。
 『いないと思えばいない』『いると思えばいる」

「まあボクは、『いる』側の人間だけどね!
 『都市伝説』や『妖怪』と神さまが違うとしたら、
 それは多くの人の『支え』になってる事だろうね」

妖怪や都市伝説は、人の想像力に支えられる存在だ。
神さまも、そうかもしれない――だが『支えてくれる存在』でもある。

「祟り? ボクは――――フフ、そうだねえ、『ある』よ。
 それこそ、その池の掃除で水の中に転落しちゃってね。
 風邪を引いたんだ……いつもより、長引いちゃったんだ。
 勝手に入ったから、きっと鵺が怒ったのかもしれない」

「どうもどうも、霊水の授与は社務所でするね。そこに、置いてるから」

>>226

「はい、はい。確かに受け取りました。
 物は後で、社務所の方で授与しますよ。
 そっちの子の分と合わせて……
 そうですね、『ちょっと珍しいお守り』くらいの、
 そういう気持ちで持っててくれれば『気楽』ですよ」 

300円を受け取り、懐に入れる。
そして、怪しい笑みを浮かべる。
 
「……ボクが鵺ならこのまま持ち逃げしちゃう、かも?
 なんてね、ボクはちゃんと人間ですんで、安心してお頼り下さい」

「ちなみに、今日はやはり『霊池』を見に来られに?」

228<削除>:<削除>
<削除>

229一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/10(金) 06:00:41
>>227
「聖職者の息子的にも神さまは存在していた方が人々の支えになりますから。
 それに行き場の無い方々が来てくださり助けになれます。こちらより教会はボロいですけど…」

教会に捨てられた私が生きていられるのも直接的ではないものの、神さまのお陰ではある。
どうしょうもない者たちが最後にたどり着くのが宗教なのだ。良くも悪くも。

「逆に池の掃除をしてくれたから転落した貴女は助かったのかもしれませんよ。
 神と巫女は共存共栄の関係ですし、神が簡単に姿を現れでもしたら超越性が失われます」

ふと、こういった場所に宗像さんは来ないだろうなと思った。
地獄を生きる彼には神も仏もあるまい。
夕立先輩は…どうだろうか。神頼みするより自分を鍛えてそうだ。
隣の石動先輩も池を泳ごうとするぐらいだ。
基本的にスタンド使いは神を必要としない気がする。

「うん? そういえば、鵺って姿形が分からないらしいですね。
 なぜ、昔の人たちは池に落ちてきたのが鵺だと分かったのでしょうか?」

「謎が多いですよね、鵺って。既に死んだものを知ることは叶いませんが」

池に不気味なものを感じるが『インダルジェンス』のいる私に怖いものはない。
恐ろしいのは生きるに足る価値を失うことのみだ。

230石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/10(金) 12:02:44
>>227
「ハハハ、300円で『鵺』が見れるんなら、アンタさんが『鵺』でも面白いってもんだ。」

「ああ、『霊池』を見に来たんだ。あわよくば泳いでみたかった。
 水泳大好きなんでな。
 水の加護とやらがあるんなら、見てみたいもんだ。」

231鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/10(金) 23:30:51
>>229

「確かに、そう言う考え方もあるかもねえ。
 神さまに報いていれば、いつか報われる。
 ボクもそうあってくれれば、良いと思うな。
 『願えば絶対叶えます』とは言えないけどさ」

そんなことはあり得ない。
どれだけ報いても返してはくれない。
『鳥舟学文』の存在がそれを示す。
答えが神の不在か、手抜きかは分からないけど。

(……願った事が支えになるなら、それでいい)

「そうだね、『姿が分からない何か』――――
 が、落ちて来た。だから『鵺』と呼んだのかもね。 
 それが何かが分かるなら、それの名前で呼ぶと思うんだ」

   U F O
「『未確認飛行物体』みたいにさ。っていうのは、神社らしくない例えかな」

>>230

「確かに、そう考えたらお買い得ですねえ。
 ま、鵺はさすがに保証できませんけども、
 『良い目』を見られるように、神さまにはお伝えしときますよ」

お伝えした結果も、保証は出来ない。
が、巫女の仕事は果たそう。
それで人々が安心できるなら。

「『水泳』ですか、なるほど…………
 とはいえ『春先』の水はまだまだ冷たいですからね、
 練習でしたら、屋内の温水プールをおすすめしますよ。
 それに、『記念』で飛び込む『水場』は『道頓堀』だけです。
 や、勿論あそこも飛び込まない方がいいでしょうけどね」

「マジメに行くと……この『霊池』にはですね、
 『水そのものにまつわる伝説』は、実はあんまりないんですよね。
 『水が暴れ出した』とか、そういうのはあんまりない。
 落ちた人にしても、飲んだ人にしても、『水』と『人』ばかり……
 そういう意味では『水泳選手』は、加護に『あやかりやすい』の、カ・モ」

232石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/11(土) 05:58:16
>>231
「多少の寒さは大丈夫ってやつだ。『鍛えてますから』。」

「加護にあやかりやすい、たぁ面白い話だ。
これはもう『お守り』に使うしかねぇな。」

※特にこれ以上、話がないようならボトルを頂いて帰ろうと思う。

233一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/11(土) 07:44:54
>>231
「成る程、正体が分からない存在に知ってる物の名前を被せれば、それは未知ではなくなりますね」

さっきから出しっぱなしの『インダルジェンス』も音仙さんに名づけられた未知の力だ。
違和感なく受け入れているがスタンドも鵺と大差ない不思議な存在である。
最近はうっかり発現したまま買い物に出るほど生活に馴染んでしまった。

「……根掘り葉掘り聞いて怒らないのですね。私は気になる事が有ると色々聞いてしまう癖がありまして」

「神父は懺悔を聞くだけ。根本的な解決をしたくなる私は神父に向いてない」

「巫女として『理想的』な貴女を羨ましく思います。すべてを受け入れる姿勢とか」

神に仕える者としては彼女の方が上だ。
財布から五百円を取り出して支払いの準備をする。

「追加で二百円。色々聞いてしまったものですから」


>>232
「次に会った時は筋肉を触らせてくださいね」

なんとなくだが石動先輩と夕立先輩は少しスタンスが似ている。
スポーツマンとは求道者。自分の歩む道に真摯な人が多いのかもしれない。

234鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/04/11(土) 22:37:00
>>232

「ええ、是非に是非に。
 良い事があったら、思い出してください。それで、もしですけど、
 悪い事が起きちゃった時も、『お守りが効かなかったせい』にしてください」

>>233

(あ。……あんまり自然だからなんとなく、気にしてなかった。
 この子は『スタンド使い』……珍しいにせよ、居なくはないんだな)

「怒らないよ。なにせ『巫女』はね、
 『参拝者』と『神さま』を繋ぐ存在だから。
 気になる事に応えるのも『役目』なんだ」

「『解決する』わけじゃないのは、神父様と同じだけどね。
 これからも理想的な巫女でいられるように、がんばろうかな」

          スッ

『500円玉』は、この場では受け取らない。

「どうも、ありがとう――――
 200円はそうだね、『お賽銭』にしておこう!
 ただ、支払いは、社務所の方でお願いしていいかな」

>両者

「っと、すみませんね、そろそろ『お掃除』に戻らせていただきます。
 ここはおかげさまで、綺麗に使っていただいてるので、ごみもありませんし」

「社務所の方に、『御水』の『授与』の方、準備してもらっておきますね」

235石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2020/04/12(日) 03:45:35
>>233(一抹)
「やめてくれよ。俺の筋肉は見世物じゃねぇ。」

「なんつーか、水と暮らすための進化みたいなものなのさ。」

>>234
「ありがとよ、そうさせてもらうさ。」

「それじゃ、これぐらいで。サヨナラだ。」
手をヒラヒラとさせて、社務所の方へ向かう。

236一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/04/12(日) 06:12:44
>>234
「我々の仕事は『解決』することじゃない。導くこと…」

「巫女さまは先輩ですからね。とても良い勉強になりました」

思わぬ場所で自分の『傲慢』に気づかされてしまった。
もっと早く出会っていればと心底思う。
これ以上は仕事の邪魔になる。手を振って社務所へと向かって行く。

>>235
「ブレない人だ。ふふっ…」

こういったストイックさには憧れる。
スタンド像を見た時に気づくべきだったか。
同じ学舎に通う者同士、再び出会うこともあるかもしれない。

237百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/25(月) 21:12:28

  ザッ ザッ ザッ
               ――――ザッ

「『烏兎ヶ池神社』――か」

鳥居を見上げ、しばし立ち止まる。
白いパンツスーツを着た背の高い女だ。
年嵩だが、居住まいには力強さがあった。

「せっかく来たんだし、『祈願』でもしていこうかねえ」

落ち着いた足取りで手水舎に向かう。
こういう場所に来ると、
自然と背筋が伸びて厳かな気分になるものだ。
神頼みする気はないが、自分に発破を掛けるには悪くない。

(アタシが子供の頃は境内で遊んだりしたもんだ)

ふと、少女時代の記憶を思い出す。
いわゆる女の子らしい遊びよりも、
男の子に混じって走り回る事が多かった。
今となっては、遠い遠い昔の話だ。

「どうも年を取ると感傷的になっちまうね」

238鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/25(月) 23:22:27
>>237

烏兎ヶ池神社――星見町に住む者なら、
知っていて何ら不思議はない名前だが……
同時に『誰もが知る』名前というわけでもない。
S県内には『三千』を超える神社が存在し、
中には全国より観光客が冷やかしに訪れるような、
極めて名高いものもある……ここはそれほどではない。

ともかく、百目鬼は足を踏み入れた。
閑散と、良く言えば『静謐』さ漂う境内だった。
少しも見当たらない『ゴミ』や『落ち葉』の類も、
その厳かな空気を引き立てる…………そして。

       ザッ…

         ザッ…

境内を箒で掃く『巫女』が、気付いて顔を上げる。

「ようこそ、お参りです」

         ペコ…

年若さを滲ませる顔立ちに、両目に灯る金色の瞳。
アシンメトリーの髪型も相まって、どこか華やかな佇まいだった。

239百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 00:02:07
>>238

「――――ああ、どうも。最近、暑くなってきたね」

「ン…………」

軽い世間話をしながら、箒を手にした巫女に向き直る。
そして、その顔に目を留めた。
特徴的な『金色の瞳』に注意が引き付けられる。

「間違ってたら悪いんだけどねえ。
 いつだったか街で会わなかったかい?」

「『何処だかの店の前』だったような気がするよ。
 あれは確か……」

額に片手をやり、記憶の糸を手繰り寄せる。
『地下アーケード』だっただろうか。
『看板のない店』の前で言葉を交わした事を覚えている。

「――『骨董品屋』じゃなかったかねえ?」

出会ったのは一度だけだ。
だが、目の前にある『金色の瞳』は、強く印象に残っていた。
それ以外にも特徴はあるが、他の何よりも『瞳』が一番目立つ。

240鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 01:02:23
>>239

「そうですねえ、すっかり日が落ちるのも、遅く……」

「ああっ――どうもどうも、あの時はどうもでした」
  
           スッ

巫女は箒の手を止め、百目鬼に歩み寄る。
間違いなく、『アーケード街』にいた女性だ。
レトロな印象のファッションは影も形もなく、
完全な『巫女装束』のセットを纏ってこそいるが。

「どうです、あの後アンティークに……っと、
 失礼しました、今はそういう事じゃないですね。
 ここでお会いしたって事は、今日は『ご参拝』です?」

「……あぁ、あの時は言ってませんでしたよね!」

単なる『通行人』同士での、邂逅だった。
互いの人となりはほとんど知らない。

「ボクは、この神社の『巫女』をやっている者なんです。
 季節限定のバイトとかじゃあなくって……本職で、ね」

241百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 01:34:59
>>240

「なるほど、道理で」

「立ち姿といい所作といい『品格』がある訳だ」

『本職』――その言葉に、改めて巫女の姿を観察する。
形だけの雰囲気ならアルバイトにも出せるが、彼女は違う。
見る者に『説得力』を感じさせる力がある。

「アタシの用事は『参拝』だよ。
 『夏』に向けて、ちょっと気分を引き締めとこうかと思ってね」

「――暑くなってくると、『色々』あるからねえ」

       ザッ

一般的に、『夏』というのは最も開放的な季節だ。
そういう時期になると、人は羽目を外しがちになる。
結果として、『犯罪』も増加傾向に陥りやすい。
『風が吹けば桶屋が儲かる』ではないが、
『どういう時に犯罪が起こりやすいか』という話には諸説ある。
ただ、一笑に付す事の出来ない内容である事も確かなのだ。

「ところで、あそこは中々いい店だったよ。
 アタシの『目当ての品』はなかったけどね」

            スッ

柄杓を取り上げ、手を洗い清める。
目当ての品――すなわち、『法に反するもの』だ。
見つからなかったのは幸いだった。

242鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 02:18:17
>>241

「お褒めに預かり、まことに光栄です。
 お姉さんも風格がおありでいらっしゃる。
 ……神社には、結構よく参られてるんですか?」

手水舎を使う姿を見て、微笑みを浮かべる。
歳を重ねても、『よく分かっていない』者は多い。
あるいはぎこちない事も……それは、何も悪くない。

が、百目鬼の作法は手慣れたものを感じた。
実際慣れているのか、堂々と芯の通った所作ゆえか。
淀みないそれを見るのは、もちろん気分が良い。

「そうですね、暑くなってきたら海開きもありますし!」

「もう少し先ですけど、お盆もありますしね。 
 それから、『夏まつり』なんかも…………
 ……っていうのはこっちの、神社の話ですケド。
 お姉さんの方も、夏場お忙しいお仕事なんですね」

盆は寺……仏教の行事と見られがちだが、
神社……神道にもルーツがあるとされる。
起源はともかく、烏兎ヶ池神社にも無縁ではないのだ。

「あぁそれは残念で……何を探してたんでしたっけ?
 あ、差し支えなければで結構ですんで!
 骨董品関係ならもしかしたら、お力になれる、かも」

骨董屋前で会った時のことを鳥舟は思い出す。
百目鬼は『何か探している』……『調べている』様子だった。覚えている。

そのことは鳥舟の中にも引っかかっていた……小さいが一つの『謎』として。

243百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 02:54:28
>>242

「それ程でもないよ。子供の頃は良く遊びに来てたけどね」

「ここじゃあないけど、境内で『缶蹴り』とかねえ。大昔の話さ」

『お姉さん』と呼ばれるのは少々くすぐったい。
何しろ、『不惑』と呼ばれる年を十年も過ぎている。
巫女の年齢は知らないが、
彼女の両親より自分の方が年上でもおかしくない。
もっとも、礼儀としての部分が大きいだろうから、
敢えて訂正してもらおうとも思わないが。
『悪い気はしない』というのもある。

「はは、そうだねえ。夏ってのは何かと行事が多い」

「それに、つい気の緩みやすい時期でもある。
 参拝に来たのは『自分に渇を入れる』って目的もあるね」

      ガラ ガラ
             ――――チャリン

「ささやかだけど、ちょっとだけ『奮発』しとこうかねえ」

財布から『五百円玉』を取り出し、賽銭箱に滑り落とす。
賽銭とは気持ちが第一であって、金額が全てではない。
だから、これは単なる『気の持ちよう』だ。

「――――よし」

背筋を正して二度頭を下げ、二度手を打つ。
そして、最後に再び頭を下げる。
一連の流れを終えてから、やや肩の力を抜いて振り返った。

244百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 03:08:35
>>242

「そうだね。大したもんじゃあないよ。
 強いて言うなら『ピンと来るもの』かねえ。
 『琴線に触れる』というか……」

「――説明が下手で申し訳ないね」

探していたのは、『法に触れるもの』だ。
それを説明するのは少し難しい。
話せない事ではないが、
『神社』で話すのに相応しい話題でもないだろう。

「そうだ。突然こんな事を言うのも変かもしれないんだけどねえ。
 アタシにはどんな品物が合うか教えてもらえないかい?」

「大体でいいよ。
 もしかすると、それがアタシの欲しいかもしれないしねえ。
 良かったら、何か適当に見繕ってもらえると助かるよ」

245鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 03:12:25
>>243

「あぁ、そうだったんですね。
 昔はウチにも遊びに来る子がたくさんいたと、
 おと…………父や祖父から聞いた事がありますよ。
 最近も、まあ、いないわけじゃないんですケド」

(池の水を全部抜きに来た子とかいるし、ね)

少なくとも今、境内に子供の姿はない。
単にここのアクセスが良くないのもあるだろうし、
集まらなくても遊べる手段が増えたのもあるのだろう。

「あぁ、たしかにボクも夏はダレてしまいますね。
 自分に喝、ストイックでカッコいい考え方です」

参拝の様子は、静かに見守っておく。
賽銭の量も……内心はともかく口にはしない。
少なければ悪い、というわけではないからだ。
『一円』でも『ご縁』でも、『一万円』……
もちろん多ければありがたいという部分はあるが。

「…………ようお参りでした」

お参りを終えた百目鬼に、小さく、緩やかに頭を下げる。

246鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 03:20:05
>>244

「いえ、なんとなく、わかりますよ。
 ボクも『これ!』って決めて店に入らずに、
 なんとなく、そう、琴線に触れたものを買う。
 そういう事って、よくありますからね……」

『衝動買い』と紙一重だ。
何かを買う、と決めてはいるにしても。

「お姉さんに似合うモノ、ですか。それはそれは大役を。
 そうですねえ……やはり『実用品』が良いでしょう。
 古いだけじゃなく、古いからこその『味』が出る」

「うーん…………」

少し考え込んだあと、鳥舟は小さく手を打った。

「ご自宅で本とか、読まれます?
 もし読まれるなら……『ライト』なんてどうですか?
 卓上灯……いいですよォ、アンティークの『光源』は。
 光の色とかね、普通の電灯とは違った味がありますよ」

「ま、一口にライトと言っても和風洋風北欧風、
 色々ありますけども……そのあたり、お好みとかは?」

247百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 03:40:00
>>246

「ははあ、『ライト』ね。そりゃあいい」

「――気に入ったよ」

口元に薄っすらと笑みを浮かべる。
『光』という言葉が、己の『精神』――『能力』を思い起こさせた。
偶然だとしても面白い一致だ。
あるいは、彼女の『洞察力』は相当なものなのだろうか。
それは流石に考え過ぎかもしれないが。

「……『日本的』な奴、かねえ。その中だと」

「そうそう、『小百合』っていうのがアタシの名前だよ。
 『小さい百合』って書いて『小百合』さ。
 はは、あんまり似合わない名前だけどねえ」

「でも、まぁ――何かの参考になると嬉しいよ」

『苗字』を言わなかったのは、嫌いだからではない。
親から貰った名には誇りを持っている。
ただ、少々『可愛げ』に欠けるのも事実だ。

248鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 04:07:01
>>247

実際、鳥舟は『百目鬼』の人となりに詳しくない。
ライトを選んだのはその滲み出る『正しさ』ゆえか、
『参拝の知識』などから『読書家』を想像したか、
単に鳥舟が好みのものを紹介しただけか、
それくらいの『偶然』に過ぎないとも言えるが――

――『スタンド使いは惹かれ合う』もの。
無意識の『運命』もあったのかもしれない。

「ははあ、『サユリ』……『小百合』さんですね。
 いえいえ、綺麗でロマンチックな良いお名前です」

           ニコ…

「『和風』のアンティークライトには、
 花の模様をあしらったものも多いですし、 
 小百合さんに似合うかもしれませんねえ。
 お名前からの連想で、浅い考えですケド」

とはいえ名前のイメージは大事だ、とも思う。
それが全てではないが、意味はある。

「あぁ、そうだ、ボクの自己紹介もしておきましょう。
 アーケードで会ってここでも会った、ご縁もありそうですしね!
 ボク、『学文(まあや)』って言います。『学ぶ』に『文章』の『文』でマーヤ」

「アヤちゃんでも、マーくんでも、学文さんでも、お好きに呼んでくださいね」

249百目鬼小百合『ライトパス』:2020/05/26(火) 04:30:55
>>248

「なるほどね。いやぁ、お蔭様で勉強になったよ」

「言われてみると、自分に合ってるような気がするしねえ。
 もし良さそうなのが見つかったら、報告させて貰うよ」

「学文さん――どうもありがとうねえ」

親しい仲なら砕けた呼び方もするが、まだ知り合ったばかりだ。
あまり馴れ馴れしい態度を取る訳にもいかない。
関係ない事だが、自分に『娘』がいたとしたら、
これくらいの年だったのだろうかと思う。
自分に結婚歴はないし、子供もいない。
我ながら『親不孝』も甚だしいが、『今更』だ。

    ザッ

「さてと……『渇』も入れたし、
 『目当ての品』でも探しに行くとするかね。また来るよ」

「――それじゃあねえ」

                 ザッ ザッ ザッ

片手をひらひらと振って、境内を歩き出す。
『目当ての品』は『二つ』ある。
『アンティークライト』と『犯罪』だ。

250鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/05/26(火) 13:35:50
>>249

「ええ、それじゃあまた、小百合さん。
 いつでもいらしてくださいね。
 ご参拝でも、そうでなくとも」

親子程に歳が離れていても『趣味』は共有出来る。
去る背中に手を振り、しばらくすると、掃除に戻った。

251百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/28(火) 21:45:16

    ザッ ザッ ザッ

白いパンツスーツの女が、ぶらぶらと境内を歩いている。
煙草を咥えているが、火は付いていない。
片手には紙袋を下げていた。

252『烏兎ヶ池神社』:2020/07/29(水) 01:31:01
>>251

未だ湿気の絶えない夏の境内に、
『巫女』の姿は見当たらないようだ。
他の誰か(>>253)は、いるかもしれない――――

253百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/29(水) 18:04:35

「『また今度』にしとくかねえ」

別に急ぐ用事でもない。
踵を返して池に向かう。
この神社の起こりになっている『烏兎ヶ池』だ。

「『鰯の頭』なんて言う気はないけど、
 『神秘的な力が宿ってる』と聞くと、
 それが本当に思えてくるから不思議なもんだ」

「『神秘的な力』ね……」

自分で言ってみて、妙な気分になった。
この池が『スタンドと関わっている』という可能性を考えたのだ。
頭に浮かんだ思い付きを、即座に打ち消す。

「ハ――――そんな訳ないさ」

254三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/30(木) 20:16:15
>>253
   カシャッ
          カシャッ

静謐な雰囲気を纏う『烏兎ヶ池』
その神聖な空気を無造作に引き裂くような『シャッター音』が不規則に響く

音の方向を見ると勤め人風のスーツを着た壮年の男性が目につくだろう
スマホを手に持ち、カメラの角度を変えながら、何度も池の撮影を行っている

「う――――ん・・・・この角度よりもこっちの方が・・・・
 いやいや、この方向の方が『何か出そう』な雰囲気が・・・・・あっ」

      パシャッ


歩きながらカメラの方向を変えていたせいか、百目鬼の姿に気が付かなかったようだ
カメラの向きを変えた拍子に思い切り百目鬼の姿を映す角度で写真を撮ってしまった


「あー・・・・これは失礼しました」


バツの悪そうな顔を浮かべる・・・・

255百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/30(木) 21:12:33
>>254

「ん…………?」

「いやいや、気にしなくってもいいよ」

           ザッ

「ここの巫女さんなら絵になったろうけど、
 こんな年増が写っちまってアタシこそ申し訳ないねえ」

軽く笑いながら男に向き直り、一歩近付く。
本人が言うように、女は三刀屋よりも年嵩だった。
外見から窺える年齢は、四十台の前半か半ば程度だろうか。

「アンタが言うように、確かに『何か出そう』ではあるね。
 『季節柄』って事もある。
 さて、『鬼』が出るか『蛇』が出るか……」

「――ハハ、まぁ『毒蛇』が出ないなら一安心だ」

池を取り囲む林を見回し、冗談交じりに呟く。
ひょっとすると、小さな蛇くらいはいるかもしれない。
少なくとも、今は特に生き物らしき影は見えなかった。

256三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/30(木) 21:37:10
>>255
「いえいえ、僕の方こそ『取材』に夢中になっていて不注意でした、すいません」

と、言いながら、スマホに撮影された百目鬼の写真を見せ、目の前で消す
肖像権を侵害する気はなかったという意思の表れだろうか
ふと、本日撮影したであろう写真がカメラロールの中に見える
同じような『烏兎ヶ池』の写真だが、少しずつ角度を変えながら何枚・・・何十枚と撮られている

ただの観光客というわけではなさそうだ


「ハハハ・・・『毒蛇』とは穏やかじゃない話ですね
 待ってくれ・・・『蛇』・・・・『鬼』・・・・『毒』・・・・いや?」

『毒蛇』という言葉を聞いて一瞬だけ冷っとした表情を浮かべるも
すぐに何かを思い浮かべ考えこむ様子でぶつぶつと呟いている

そして・・・不意に顔を上げると百目鬼に向かってこう言った

「あー・・・・ とても『変な』質問をするようで申し訳ないのですが・・・
 もし・・・・もしも、あなたが『悪い奴』と戦っているとして、
 この池で『何かヤバイもの』が出てくるとしたら・・・・・・・『何が』出てくると思います?」

257百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/30(木) 21:56:27
>>256

「おやおや――――そりゃあ、本当に『妙な質問』だね」

        フッ

「さて、どうだろうねぇ…………。
 『烏兎ヶ池神社』の『大元』を知ってるかい?
 大昔、この池の中に『鵺』が落ちたそうだよ」

水面に視線を落とし、腕を組む。
一見した所、何の変哲もない普通の池だ。
しかし、神社の敷地内に存在する事で、
何かしらの力があるようにも感じられる。

「いつの間にか『不思議な力がある』とかいう話が広まって、
 この神社が出来たって話さ。
 『巫女さん』が見当たらないんで、
 代わりに説明させて貰ったけど、間違ってたらごめんよ」

「――――もしかすると、その『鵺』が出てくるかもしれないねえ」

258三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/30(木) 22:19:56
>>257
「ふむふむ・・・なるほど『ぬえ』がですか
 『鵺』というと・・・確か、京都で帝の御所を飛び回っていた変な生き物、でしたっけ?
 京都はこの町から結構遠いのに、同じネタの『話』があるというのは確かに面白いですね」

百目鬼の視線に従い、池を見る
カメラのシャッター音が消えたことで周囲には静謐な空気が戻っている
この雰囲気なら・・・・確かに『何か』が出てきてもおかしくはない


「いやいや、ありがとうございます
やはり、詳しい方のお話を聞くと違いますね」

「あぁ、突然妙な質問をしてすいません
実は僕は漫画の編集者をやっておりましてね、ネタ探しを兼ねて取材に来たんですよ
いや〜、ハハハ、『敵のボスが出てきそうなヤバイトコロの資料』が欲しいとか急に言われても困りますよねぇ〜」

苦笑を浮かばせながら語る

259百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/30(木) 22:42:50
>>258

「ま、『化け物』の類ってのは色んな場所にいるからね。
 おっと、化け物なんて言っちゃあ、ここの『神様』に失礼か」

「へえ、それで『取材』ね。
 そういう仕事には詳しくないけど、ご苦労さんだねえ」

「――――で、『資料集め』は上手くいきそうかい?
 何なら、アタシを『資料の足し』にしてくれてもいいよ。
 話くらいなら付き合うからさ」

「せっかくだから名乗っとこうか。
 アタシは『小百合』って名前さ。
 『警備』の仕事をやってるよ」

『白百合』を象ったイヤリングが揺れる。
ベリーショートの黒髪に、180cm近い長身。
女っ気が欠片もない姿の中で、
唯一『女らしさ』の垣間見える部分だった。

「ずっと『アンタ』って呼ぶのも何だねぇ……。
 良かったら名前を聞かせて貰えないかい?」

260三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/30(木) 22:59:19
>>259
「僕の名前は『三刀屋(みとや)』と言います
僕としてはどちらかというと『化け物』がいてくれた方が楽なんですけどねぇ・・・ハハハ、なんて」

『化け物』の話に冗談交じりな口調で相槌を打つ

「『警備』のお仕事・・・それはまた大変そうですねぇ
失礼ながら女性の方の場合、危険な事も多いでしょう
いや、しかし・・・・確かにお話を聞かせていただけたら参考になりそうですね」

スマホの画面を操作して『メモ』を開く
白紙のページに一言、『警備』の文字をタイトルとして入れた


「『警備』の仕事をされていて出会った中で、『一番悪い奴』ってどんな人ですか?
・・・・・あッ! も、勿論、言える範囲の中で結構ですから!
聞いたら奴らは問答無用で『ブッ殺していい奴リスト』に入れられるようなやべぇ話は大丈夫ですからね! ・・・ハハ」

261百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/30(木) 23:38:40
>>260

「えらく物騒だね。そういう話の方が『資料』にはなるか。
 そんな大層なネタを提供できるかは保証しないけどねえ」

それから片方の目を閉じ、考える体勢に入る。
今の仕事は、昔のように、
『凶悪な人間』に出会う回数は少ない。
だが、それでも全く機会がない訳でもなかった。

「『悪い奴』――――色々あるけど、
 分かりやすいのは『盗み』だろうね。
 コッソリやるのもいれば、腕尽くで来るのもいる」

「まぁ、『対応』は同じだよ。捕まえて引きずっていくのさ」

「現行犯なら『傷害』や『放火』、
 『器物損壊』なんかがあるかねえ。
 たまに頭のネジが外れた連中もいて、
 面白半分でやってる事もある」

「でもねぇ、本当は『悪事』に『一番』も『二番』もないのさ。
 『ちょっとだけならやっていい』ってもんじゃあないからね」

「ただ、強いて言うなら、『殺し』をする奴が『一番悪い』。
 頭のネジが外れた奴だと、尚更タチが悪い」

「――――もちろん、
 そんなイカれたのは滅多に見ないけどねえ」

262三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/31(金) 00:03:45
>>261
   スッスッス
         スゥ――ッ

「なるほど、やはり『リアルな悪』はそんな感じになりますか」

スマホの画面をなぞりながら文章を打ち込んでいく
貴重な話だ 内容を包括的にまとめていく

「確かに貴重なお話ですが・・・・漫画の敵として考えると少し・・・・小市民的な感じですね
ああ、勿論こういう犯罪を馬鹿にしているわけではないのですけどねぇ
ただ、僕としてはもっとこうエキセントリックな・・・」

図々しい話だな、と自覚はしているが、口から出てしまう
より『面白く』、より『刺激的な』内容を求めてしまう

>「ただ、強いて言うなら、『殺し』をする奴が『一番悪い』。
> 頭のネジが外れた奴だと、尚更タチが悪い」

「へぇ・・・確かによくよく『漫画のネタ』になりますね・・・・その手のサイコ野郎は
 まあ、その辺で見かけるようになっちゃあ治安の終わりですがねぇ・・ハハ
 ちなみに、そんな『イカれた奴』に遭遇した事は・・・・?」

―――さらに一歩、踏み込む。
池の周りはほんとうに静かだ 時折、魚が水面に顔を出す

263百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/31(金) 00:26:03
>>262

「ハハ、そりゃあそうだ。
 世の中まともなのに越した事はないからね」

       カキンッ
              シボッ

おもむろにライターを取り出して親指で蓋を跳ね上げ、
煙草に火を付ける。
あちこちに傷がある年季の入ったライターだ。
口から煙を細く吐き出し、
その行く末をぼんやりと見上げていた。

「ええと……何の話だったかねえ……。
 年を取ると忘れっぽくなるもんでね」

「あぁ、さっき言った通りだよ」

「――――そんなのは『滅多に』見ないさ」

滅多に見ない。
つまり、『見た事がある』という意味だ。
深く語るつもりはないらしく、そこで言葉を区切った。

「おっと……つい無意識に火を付けちまったよ。
 良くないねえ。こんな『神聖な場所』で」

指の間に挟んだ煙草を持ち上げて笑う。
誤魔化そうとしているのかもしれなかった。
さらに突っ込むかどうかは三刀屋次第だが。

264三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/31(金) 00:49:41
>>263

「・・・・えぇ それはまあ、確かに『滅多に』見る事なんてないですね
ハハハ、ちょっと突っ込み過ぎた質問でしたね、忘れてください」

雰囲気の変化を察する
思った以上に『強固』である事を感じ、誤魔化すように笑いを浮かべる
へらへらとした力の抜ける笑いを

「いやしかし・・・・」

指先で四角形に『枠』を作りながら百目鬼を見る


「これはなかなか『画』になる光景ですねぇ
『熟達の戦士が聖なる場所に佇む』ようで・・・・なんというか、そう
 漫画で言えば『師匠枠キャラ』の大物感って感じの・・・そうか!」

何かを、閃いたように目を大きく開ける


「何も強大な『悪』が全てではないか
 主人公の師匠が裏切れば、それだけでかなりショッキングな展開になる
 あー・・・でもマーケティング的には不味いかな・・・・」

265百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/31(金) 01:23:03
>>264

「いやいや、そんなに偉いもんじゃないよ。
 褒めて貰って悪いけどね」

「でも、まぁ『参考』になったんなら良かったよ」

指先で形作られた『枠』越しに、
煙草の先端を三刀屋に向ける。
形式的な謙遜ではない。
決して驕らず常に『謙虚』である事が、
自分にとってのポリシーなのだ。

「ははぁ、漫画の話に関しちゃ素人だけど、
 そりゃあ確かに『ショッキング』ではあるだろうねえ」

頷きながら相槌を打つ。
実際、この手の話は全く分からない世界だ。
そういう意味では、ある種の新鮮さを感じてもいた。

「アタシにも『目標にしている人間』がいたからさ。
 その相手に裏切られた経験がある訳じゃあないけどね」

「いや――――」

「むしろ、アタシの方が『裏切ってる』かもねぇ…………」

266三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/31(金) 17:54:19
>>265
「へぇ・・・『裏切り』・・・・ですか
フィクションの中ではよくある話ですが、リアルでそういうのがあると・・・・
なかなか穏やかじゃあない話ですね」

裏切りの話というのはなかなかに興味をそそる内容だ
本音を言えば根掘り葉掘り聞いてみたい話だが・・・・先ほど『踏み込み過ぎた』ばかりだ


「・・・・・・・。」


一旦、口を閉ざす。
神社の静かな空気に任せ、話してくれるなら聞くという態度を示す
周囲の木々からは次第にカナカナという虫の声が聞こえてきた

267百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/31(金) 19:26:51
>>266

「ハハ――――いや、別に深刻な話じゃあないのさ。
 『目標にしていた人間』っていうのはアタシの『親父』でね。
 七十過ぎの頑固ジジイだよ。
 勿論とっくに引退してるけど、昔は『警官』だったんだ」

柔らかい笑みを浮かべながら、片手をヒラヒラと振る。
言葉に過去形が混じっているが、
既に『故人』という訳でもなかった。
もっとも、年が年なので、
いついなくなったとしても不思議はないが。

「良く言えば正義感の強い、悪く言えば堅物の男でねえ。
 何だかんだでアタシも影響を受けたって訳さ。
 体を張った仕事をしてるのも、そのせいだよ」

父親は、かつて『鬼』と呼ばれた刑事だった。
そして、いつしか自分も『鬼の小百合』と呼ばれていた。
刑事になったばかりの頃は、
古株達から『鬼娘』と呼ばれた事もあった。

「ただ、結局ずうっと『独り身』のままだったからねえ。
 孫の顔も見せてやれないなんて『親不孝な娘』だと、
 この年になってみると感じるんだよ。
 『期待を裏切っちまった』――――ってね」

「ま、『男運』がなかったからね。
 長いこと男所帯の中にいるってのに、
 これっぽっちも男が寄り付きゃしない。
 むしろ避けられたりしてねぇ」

全ては過去の話だ。
今の自分は、民間の警備会社に属する一員でしかない。
『自主的な活動』を行っている事以外は。

「ハハハ、そういう事さ。
 つまんない話をしちまって悪かったね」

268三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/31(金) 20:12:18
>>267
「『警官』のお父さんですか、さぞかし御立派な方だったのでしょうねぇ」

百目鬼の半生を聞き、ぽつりと呟く
面白さの方向性としては、求めていたものとは違うかもしれないが、
それはそれとして、興味を惹かれる内容だ

「それにしても・・・・ハハハ・・・僕自身、身につまされる話ですねぇ
この歳まで独り身でいると、それなりに罪悪感もありますから
ありがとうございます、直接ネタにするわけにはいきませんが、参考になりました」

269百目鬼小百合『ライトパス』:2020/07/31(金) 20:58:02
>>268

「なぁに、三刀屋さんぐらいなら『まだまだ』いけるよ。
 近頃は結婚年齢が上がってるって聞くし、
 胸を張って生きてりゃ、その内いい人が見つかるさ」

「アタシは、もう諦めたけどね。ハハハ」

肩を竦めて笑う。
仕事ばかりしてきて、気付いたら年を食っていた。
『今更』という所だろう。

「さてと、そろそろ引き上げるとするかねぇ。
 三刀屋さん――アンタと話せて楽しかったよ」

「そうそう、アタシの『名刺』でも渡しとこうか。
 何かしらネタの足しにでもなるといいんだけどね」

           スッ

懐から名刺入れを取り出し、その中の一枚を差し出す。
装飾の少ないシンプルな名刺だ。
連絡先と共に、以下のような文面が記載されていた。

    『 大門総合警備保障

            主任指導官

                百目鬼小百合 』

270三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/07/31(金) 21:28:46
>>269
「お互い、ですよ 百目鬼さん」

顔を合わせて、苦笑いを浮かべる

>「そうそう、アタシの『名刺』でも渡しとこうか。
> 何かしらネタの足しにでもなるといいんだけどね」

「そうですねぇ、また面白い話があれば聞かせてください
 『本物の現場』にいる方の意見というのはやはり貴重ですからね」

百目鬼が取り出した名刺を一瞥し、こちらも名刺入れから一枚を取り出す
エンタメを扱う会社という割には意外なほどにシンプルなデザインだ
一か所だけ、端の方にデフォルメされたキャラの顔が描かれている

中心には三刀屋 路行の名前がフルネームで記載されている

「では、また何かありましたら」


最後に一言、そう言うと三刀屋は神社から離れていった
静かな池のほとりには百目鬼だけが残った


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