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【個】『烏兎ヶ池神社』【場】

1 『星見町案内板』 :2019/02/02(土) 00:04:12

             〜ご由緒〜

星見町の『鵺鳴川』沿いに存在する『パワースポット神社』。
インターネットで『S県 パワースポット』と検索してみれば、
まず『20番目』までには間違いなく表示される程度の知名度である。
ご利益は主に旅の安全、学業成就、病気平癒、安産祈願など。

境内池が『霊池』として名高い。神社名も池に由来する(池が先にあったのだ)
霊験の由緒は諸説あり『京で討たれた鵺の一部が、この池にも落ちたのだ』とか、
『転落し、水を飲んだ人間が御利益を得たのだ』といったものが比較的多く見られる。

現在は厳重に柵で囲っており、出入りが許されるのは社家をはじめ関係者のみ。
一般の参拝客に向けては、柵の前までのみを開放している。撮影などは自由。
専用のボトルに詰めての授与(300円)も行っているが、飲用の際は『煮沸』推奨。

社務所では他に御守りや、おみくじ、絵馬、御札、御朱印帳などを頒布しており、
特に『御守り』については半ばアクセサリーのようなデザインの物も多く、
神社(池)の名にちなみ『カラスとウサギ』を戯画化したストラップ型のものが人気。

---------------------------------------------------------------------------
                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││  
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
     ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││ #
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
#:『烏兎ヶ池神社』
---------------------------------------------------------------------------

41 芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』 :2019/02/20(水) 22:46:10
>>40

『アア 何でしょう この安心感……対等に
ちゃんと自分の名前が呼称される、極普通の事が
こんなに嬉しく感じるなんて』

普通の接しにスタンドが静かに喜びを噛み締める中
一本の煙草を懐から出してペン回しの要領で弄びつつ
本体の芦田は呟く。

>『見える』のは、そんなに特別なんですか?
>まるで見えていない人も、多いような言い方ですから

「そりゃ〜よぉ 巫女さん。世界人口73億に比べりゃあ
『見える』より見えねぇ奴等のほうが多いんじゃねぇのぉぃ?
 少なくともよ。最初にウィゴーちゃんとデートするために
喫茶店で飲み物二つ注文したら変な顔されたしなぁ。
おまけに街中でウィゴーちゃんに話しかけていても、ここが
危ねぇ奴だと全員遠巻きに見てやがる。失礼なこってよぉ」 トン トン

『いや 私が見えるとか見えない次元で、貴方の振る舞いが
やばいって事を自覚して欲しいんですけど。あと、私の名は
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』

自分の側頭部を軽く叩きつつ、呆れた口調で愚痴を垂れる芦田に
スタンドはツッコミ入れるもののマイペースに話は続く。

「大体よぉ。俺達『見える』派からすりゃあ、不可思議な世界に
片足どころか両足どっぷり不可思議世界沼に突っ込んでるんだぜぇ?
世の中の大半、自分が賢いまともだと思ってる馬鹿野郎共にゃあ
見える派は全員奇人変人なんだろうが、俺もあんたも見える事が
特段に変じゃないって事は共通認識だろ?
 って事は、一体全体何が『特別』で何が『普通』だ? 
世の中にゃあよぉ、チンケな手品見たいな力ある奴もいりゃあ
神様めいた力を引き出して、今時やってる天災も人為でやってない
保障なんぞ誰にも証明出来ねぇ。この世界そのものの正常さを
『納得』出来る理論も証明出来ない野郎共に異常者扱いされても
屁でもねぇよ、おい。何が言いたいかって?
 うちのウィゴーちゃんが世界、いや宇宙一可愛いって事よ」 ヘ ヘ ヘ ヘ


『あ、すいません。世迷い言 終わりました?
それと私の正式名称はウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト
もう一度言いましょうか?
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだ! こ の スカタン!』

『納得』出来るものが無い以上。『特別』も何も無い
そう言った哲学を芦田は語った。最後の良く分からない自慢には
スタンドが怒鳴った。

42 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/02/20(水) 23:59:59
>>41(芦田)

「『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』さんも、
 色々苦労なさってるんですね。
 正式な名前があるなら、ボクはそれで呼びますよ」

「ボクの事は別に『マーくん』とか……
 ああ、『あやちゃん』でも良いですけどね」

タバコに視線を向けながら、拾った缶をちりとりへ。
笑みはそのままで芦田の『講義』を静かに聴く。

「そうですねえ」

「ボクは『見えるのが普通』だと思ってるし、
 例えばボクのお父さんなんかは、
 きっと『見えないのが普通』と思ってるし、
 誰もが根っこのところが『普通』なのか分からないけど、
 何があるか分からない世界をおっかなびっくり生きてるし」

「『ハッキリわかるもの』なんて――――人間に都合のいいものは、
 数学とか科学とか、『学問』の中にしかないのかもしれませんね」

哲学的な、どこか深い湖に素潜りするような話に思えた。
自分は巫女で聞き屋ではないにせよ、興味は惹かれる考え方だ。
もっとも、鳥舟はこの世界に『陰謀論』のような類の疑いは然程持たないが。

「『乙女心』なんてのは『分からない』ものの最たるものですよね。
 恋愛成就――――求めたくなる気持ち、ボクにもわかりますよ」

          「分かっても納得できないもの、でもあるかな」

43 芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』 :2019/02/21(木) 00:18:37
>>42(切りが良いと思うので〆させて頂きます。お付き合い
有難うございました)

 「恋愛は良いぜぇ 巫女さぁん。俺はウィゴーちゃんを
見初めてから人生常にハッピーデイだ」

『私は控えめに言って拷問エブリデイなんですが
それとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだって言ってるでしょ
あぁ、それではアヤ様 と、呼ばせて頂きます。
何分 特例を除いては敬称付けて放して頂く性分ですから』

「おぉ、良かったねぇウィゴーちゃん。女の子友達第一号じゃねぇか。
それとよ。んなジーっと見つめんでも此処じゃあ吸わんよ。あんま
ウィゴーちゃんも良い顔しないし、近々禁煙を真剣に考えるか」

取り出した煙草をしまいつつ、鳥舟の缶を指しつつ呟く。

「――不法投棄が我慢ならなくなったら、ウィゴーちゃんに頼ればいい。
助けになってくれるぜぇ なぁ?」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
えぇ もし、何かお困り事があれば何時でも貴方の友として……』

  ス  ラ  ァ ァ

おもむろに、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトがチリトリの缶を
拾い上げると、その缶に滑らした手から『フィルム』が現れた。

『……捨てた主ぐらいは割り出して見せるのは朝飯前ですよ
……あっ! 湖畔のほうへ本日午後に行く予定だったの忘れてましたっ』

「んぉ? あ〜らら、スケジュールミスかいウィゴーちゃん?
そんじゃあ、今日は予定を切り上げて俺と愛の巣で洒落こむ感じで……」

『行くに決まってんだろ 世迷い事は私のいない空間で吐いてろ
それとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
 ……ではアヤ様! いずれ、また楽しくお話でも!』

冬風がまた星見町を覆う中で、奇妙なスタンドと男は神社より
木枯らしよりも激しい渦を見せつつ去って行くのだった。

44 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/02/21(木) 00:30:01
>>43(芦田)

「ボクもこう見えて恋多き乙女なんですけど、
 今のところ相手は見つかってないんですね。
 まあ、積極的に探してるわけでも無いですけど」
 
              ニコ     ニコ

「ああ、すみません。
 吸っても良いんですよ。
 法に反さない程度なら」

路上喫煙そのものの規制はともかく、
どこかに腰を落ち着けて吸う分には拒否はしない。
芦田の印象も、少なくとも『ポイ捨て』をしそうには見えない。

「『霊感神社』にするつもりは――――
 少なくともお父さんの目が黒いうちは無いんです。
 だからゴミはちゃんと、ボクが拾いますよ」

              スッ…   

「巫女の仕事ですから、ね」

                  カコッ

空き缶を、指を搦めてちりとりに戻した。

「でも…………まあ、話し相手でしたら、
 今日みたいにボクだけの日ならいつでも」

              「それじゃあ……ようこそお参りでした」

45 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/02(土) 04:56:56

烏兎ヶ池神社の近くには、『バス停』がある。
市街からやや離れ、しかも川をまたいだこの神社の、
貴重なアクセス手段であり・・・出るための手段だ。

「っっっクシュン!!!」

      ズビビーッ

「うーん…………」

花粉の季節ってことらしい。
激しい『くしゃみ欲』でそれを思い知った。
今日は休みの日で、今から家を出る所なのに、
なんとも幸先が悪いというか、イヤな感じだ。

いつもの巫女服ではなく、レースをあしらった白いブラウスで、
バスを待ちつつ・・・条件反射的に、落ちていた空き缶を拾った。

         ブロローーッ

ちょうど『町からこっちに来るバス』が走り去り、
参拝客かもしれない人間が何人か降りて来ていた。
あるいは>>46も、その中の一人なのかもしれない。

46 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/03(日) 21:02:35
>>45
バスからなんだか眠たげな様子の女が降りてきた。

「……おはよー……ございます……。
 神社の前にポイ捨てとは……罰当たりですねぇ……。
 むにゃむにゃ」

鳥舟に声を掛ける。

47 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/03(日) 22:06:34
>>46

           クルッ

声を掛けられ、そちらに振り向く。

「えーと、おはようございます。
 ほんの少しずつ陽気になってきて、
 なんだか眠くなっちゃいますね」

「ああ、空き缶。
 まったくですよね、罰当たりな。
 誰かが踏んで転んだらどうするんだ」

          ゴソ

「捨てるのは楽だろうけどさ、
 拾うのはわりと大変なのに」

               ブツブツ

      ゴソ

ぶつぶつ文句を言いつつ、
カバンからビニール袋を出し、
そこに缶を包んでしまった。

「これからご参拝ですか?
 今日は天気もいいし日和ですねえ」

「それとも、川歩きでも?」

文句はすぐに笑みで上書きされた。

鵺鳴川が近くを流れている。
別に面白い川でも無い気はするが、
散歩道にするには悪くない……気もした。

48 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/03(日) 22:32:47
>>47
「捨てる悪行も……拾う善行も、お天道様は見てるんじゃ……ないでしょうか……」

目と鼻の先ですし。

「神社に……安眠祈願に来ました……。
 最近、寝不足……なので。
 ……ああ、川のせせらぎを聞きながら……なら、よく寝れるかもしれませんね……。
 ぐー」

まぶたが閉じそうなのをなんとか堪えながら会話する。
寝不足だとか言うわりにはどこでも眠れそうだ。

49 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/03(日) 22:46:08
>>48

「お天道様がそのまま注意までしてくれたら、
 こっちもラクで良いんですけどねえ。
 ま、そんな都合のいい話はないですけど」

「ボクも見かけたら一応、
 注意はしてるんですけどね」

           フッ

「お天道様にかわってってわけでもないけど」

ポイ捨て注意の看板もむなしく、
境内にはいつでもゴミが落ちている。
看板がなければもっと多いかもしれないけど。

「安眠祈願……えー、安眠祈願なら」

「健康祈願の一種、ってコトになるんでしょうねえ。
 それとも、不眠症なら『病気平癒』かな。
 病気平癒はウチ……あの神社の得意分野だから、
 その点は期待してくれちゃって、良いと思いますよ!」

どこに祈願が必要なのか疑問だが、
まだまだ眠り足りないということなのか?
まあ、今日は巫女でもないし深入りはしないが・・・

「……もしもし? あれっ、もしかして寝ちゃった?」

寝息らしき声にはさすがに驚き、目の前で手を小さく振った。

50 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/03(日) 23:15:52
>>49
「……………はい、寝てませんっ!」

慌てて気をつけの姿勢、直後に気づいて赤面。

「ああいや違うんですええと…………病気平癒、ですか。
 それはありがたいですね……。
 ……よく眠れそうです……」

しっかりした(?)のも束の間、すぐに戻っている。

「ところで……あなたは烏兎ヶ池神社の関係者の方……なんでしょうか……。
 さっき『ウチ』って……言いかけてましたけど……」

51 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/03(日) 23:24:01
>>50

「あっ、起きてた起きてた。よかった。
 いやま、寝ても良いんですけどね。
 道端だからちょっと危ないかなってわけで」

           ニコ

「『病気』とは違ったとしても、
 『祈る』と楽になるところはありますしね」

笑みを浮かべて、手を後ろで組む。

また寝そうになっているのには、
なんとなく『そういうもの』と察して、
とりあえずは置いておくことにした。

「あ、バレちゃった。ええ、『巫女』です。
 今日は非番というかオフなんで、
 これから町の方に出ようと思ってましてね」

「それでバスを待ってるわけですよ」

時刻表に視線を向けるが、まだ少しだけ先だ。

「あ。もし神社について聞きたい事とかあれば、
 バスが来るまででしたらお答えできますよ。
 オフだからってぶっちゃけ話とかは出来ませんけど」

52 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/03(日) 23:55:41
>>51
「……なんだかご心配かけて……すみません……」

ぺこり。

「非番ってことは本職の巫女さん、なんですか……。
 ……初めて見たかも……しれません……。
 Zzz……バイトの巫女さんより、お仕事大変だったり……するんですか」

53 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/04(月) 00:04:40
>>52

「いいんですよ、これくらい」

     ニコォーッ

「ええ、本職ですね。えーっと、お仕事かあ。
 実際のとこどうなのかは分かりませんけど、
 バイトの子達よりややこしい事はしてますし、
 多分大変なんじゃないかなって思いますよ」

笑みを浮かべたまま、指を口元にあて、
考えるようなしぐさをしながら答えた。

「まあ、あの子たちは学校とかあるし、
 ボクの方がやる事多いのは自然ですね」

「そういうお姉さんも、今日はお休みですか?」

何の仕事をしているのか想像しづらいが、
普段寝不足で悩まされている辺り激務なのか?

想像を巡らせつつ、軽い調子で質問を返した。

54 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/04(月) 00:36:12
>>53
「なるほど……やっぱりお仕事は増えるんですね……。
 私は……はい、今日は休みです……。
 ……せっかくの休日が、9時間しか寝てないのに……目が覚めてしまって……」

ほんのすこししかねむれなくてとてもつらいです。

55 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/04(月) 01:53:15
>>54

「え……あ、ああ。そうなんですねえ。
 睡眠不足だと、やっぱりちょっと辛いですよね」

(今『9時間』って言ったような……
 『不眠症』じゃなくって、『眠り病』ってやつなのかな。
 それともボクが『6時間』と聞き間違えたのかなあ)

内心疑問はあったが、言わない事にした。
『神秘』の全てを暴き晒すべきではないように、
謎は謎のままの方がいいものもあるのだ。
深刻な事じゃなく、睡眠時間の話だけども。

「『安眠祈願』、効果あること祈ってます」

祈って心が楽になれば眠れるかもしれない。
それ以上寝るのが健康なのかは置いておいて。

                チラ

時計を見る。バスは、あと少し来ないようだ。

「えーとちなみに、差し支えなければ……お仕事は何を?
 興味本位ですけど、巫女以外の仕事ってあんまり知らなくって」

沈黙するとなんだか眠らせてしまいそうだし、
なんとなく気になった事を聞いておくことにした。

この見るからに眠たげなヒトは、一体なにで稼いでいるのだろう?

56 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/04(月) 22:28:30
>>55
「ええと……いえ……大した仕事では、ありませんので……。
 本当に……別に……」

と口を濁す。

「そ、それじゃあ、安眠祈願……してきますね。
 ……神様のお力を……期待して……Zzz……お賽銭も奮発して……おきます……」

若干焦りながら若干眠りつつ神社へ向かおうとする。

57 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/04(月) 22:54:32
>>56

「あ、うん、そうなんですね。
 ボクも無理に知りたいとかじゃないんで、
 すいませんね、変なこと聞いちゃいまして」

        ブロローー

気まずくなりかけたところで、
ちょうどバスがやって来た。

気になる事もなくはないが――
謎は謎のままの方が、良い事もあるだろう。
もちろん、真実を考えてしまうのも仕方ない事だ。

「それじゃあ、よいお参りを。
 お賽銭は何円からでも大丈夫ですんでね」

   「また機会があったら会いましょう……それじゃ!」

そうしてバスのステップへ歩いて行った。
安眠祈願が叶ったかどうかは――――黒峰のみぞ知る事。

58 黒峰 唯『オールナイト・トレイン』 :2019/03/04(月) 23:09:06
>>57
「……はい……ありがとう……ございます……スヤァ……」

鳥船に別れを告げ、フラフラとなんだか危なげな足取りで神社へ向かう。

チャリーン

神頼みのご利益があったのか、その日の晩はぐっすり眠ってスッキリ目覚められたとかなんとか。

59 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/08(金) 21:26:26
「ここ…だよな」

地図アプリで学校からの道順を調べ、歩いてきた。
恐らく、ここで会ってるはずだ。『烏兎ヶ池神社』。

「よし」

肩に斜めにかけた竹刀袋を外して手に持ち、鳥居の前で軽く一礼。
そして手水舎の方へと向かった。

60 『烏兎ヶ池神社』 :2019/03/08(金) 21:46:46
>>59

今日の境内には『鳥舟学文』の姿が見当たらなかった。
彼女は『休み』か何かなのかもしれない。

もちろん参拝には特に問題はないし、他にも人間はいる。

(★このスレは『場スレ』としての利用可)

61 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/09(土) 03:30:29
>>59

前方に一人の先客がいた。
全体的に『不思議の国のアリス』を思わせるシルエットのファッション。
頭の上で揺れるスカーフ、両手の爪を彩るカラフルなネイル、ブルーのサングラス。

「ん〜〜〜??」

神社という場に似合わない姿は、同じ学校に通う生徒だった。
下の学年ではあるが、それなりに目立つ部類の後輩だ。
もしかすると知っているかもしれない。

「――――わからん!!」

参拝の手順が掲載された案内板の前で、何か言っている。
一般的な日本の高校生なら、別に困ることなどないのだが……。
しかし、どうやら困っているらしい。

「『カンジ』がおおすぎるんだよな。ちゃんと『フリガナ』うっといてくれないと」

       キョロ
            キョロ

「あ、そこのヒト。いまヒマ??ちょっとコレおしえてくれない??」

辺りを見回し、ちょうど近付いていた少年に声をかける。
夢見ヶ崎は『漢字』に弱い。
小学校低学年レベルのものでさえ手こずるのだ。

62 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/09(土) 21:52:49
>>60-61

『キョロキョロ』

(鳥舟さんは…お休みか?)

辺りを見回しても、あの金色の瞳の女性はいなかった。
まぁ事前に訪れると伝えたわけではないし、『ヴィルドジャルタ』のことを急かしに来たわけでもない。
今回は単純に参拝に来ただけだ。この神社のことは、歩きながら調べればいいか。
そうして手水舎で手と口をすすいだ所で、前方の少女に気付いた。

(あの子は…確か…)

とある『絵本の中に出てくるキャラクター』のようで、更にそれを個性的に仕立て上げた格好。
清月学園で見たことがある。一つ下、今泉さんと同じ学年だったはずだ。
とはいえ、名前までは知らない。ただその特徴的な格好は覚えていた。

(分からん?振り仮名?)

手拭いで使いながら、その案内板を眺める。
難読漢字などは使われていないようだが、一体何が読めないのだろう。
国語が苦手なのだろうか。説明してあげるべきだろうか。
しかし、やはり、その。─────まともに話せるだろうか。などと迷っているところだった。


>「あ、そこのヒト。いまヒマ??ちょっとコレおしえてくれない??」


「えっ」「あっ」「お゛っ」

「・・・・・・・・・・ッ!!」ブンブン


鉄はビクリと体を震わせた後に、慌てて目を逸らす。
斜め下のあらぬ方向を見て、少し間を空けてから、勢い良く首を縦に振った。了承らしい。
夢見ヶ崎が『漢字』に弱いように、鉄は『女性』に弱かった。

63 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/09(土) 22:46:15
>>62

「――――????」

相手の反応を見て、不思議そうな顔をする。
そういうリアクションを返す人間が周りにいなかったからだ。
興味を引かれる面白い反応だった。

      ジッ

なので、少年を観察した。
ある意味で熱い視線が注がれる。
そのまま何秒か見つめた後で、チョイチョイと手招きする。

「コレさ――『カンジ』がおおくてよめないから、かわりによんでよ。
 で、ナニすればイイかおしえて。こういうトコってルールとかキビシーんでしょ」

「――――ね??」

案内板には、やはり特に難しい漢字は使われていない。
普通なら困らないレベルだろう。
しかし、困っているのは確かなようだ。

「ちっちゃいコがきたトキのために、ヒラガナとカタカナのヤツもおいとくべきだな〜〜〜」

案内板を前にして、勝手なコトをほざいている。
だが、コイツは少なくとも『小さな子』には見えない。
国語が苦手にしても、やや度が過ぎている感はあるかもしれない。

64 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/09(土) 23:17:35
>>63

「ッ?!」

(うっ…うおおおっ)(何故、ジッと見てるんだこの子…ッ?!)
(『怖い』とか『キモい』なら分かるが…この反応は初めてだぞ…ッ!)

注がれる視線に耳まで赤くしながら、上体を仰け反らせ僅かでも逃れるようにする。
永遠にも思えた数秒が終わり、彼女から手招きされ、それに従い歩を進めた。
正直これ以上近付くだけでも足が震えそうだが、自分の苦手なものを理由に、困っている人を見捨てるわけにはいかない。

(覚悟を決めろ、鉄 夕立…!)

>「コレさ――『カンジ』がおおくてよめないから、かわりによんでよ。
> で、ナニすればイイかおしえて。こういうトコってルールとかキビシーんでしょ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」「ばっ」
「場所に、よって」「でも、大事なのは」「参拝者の、心がけだから」「そこまで、気にしなくても」

案内板の方を見ながら、カタコトめいた言葉をなんとか形にしていく。
要するに、神社の方からそこまでマナーを注意されることはあまりないが、
参拝者の真剣な心がけが願いに通じるものがあるので、それは人それぞれだと。

「とっ、鳥居」「一礼、くぐって」「そこ、手水舎」「右手、左手、口、左手、柄杓の柄を、洗って」

「参道、通る」「賽銭、お金、入れて」「二礼、二拍手、お願い、一礼」

該当する箇所を指差しながら、説明していく。とりあえず一通り説明してみたが、覚えられただろうか?
しかし、それにしても、だ。

「…国語が、苦手?」

呟くように訊ねる。ひょっとしてこの子は、『帰国子女』なのだろうか。

65 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/09(土) 23:45:58
>>64

「――――ふんふん」

軽く頷きながら、その説明に耳を傾ける。
とりあえず理解したようだ。
不意に、案内板から少年に顔を向けた。

「そーだよね〜〜〜。
 やっぱ、タイセツなのは『ハート』だよね〜〜〜」

「つーワケで――サンキュー!!」

     ニッ

そう言って、気軽な調子で笑いかける。
かなり大らかな性格のようだ。
投げかけられた言葉にも、フランクな返事を返す。

「『ヒラガナ』と『カタカナ』はチャンとわかるぞ。
 『カンジ』はニガテだけど!!」

ひょっとすると『帰国子女』という可能性はあるかもしれない。
普通なら困らないようなコトで困っているのだから。
『普通ではない何かがある』という線は大きいと言える。

「せっかくだし、いっしょにいく??
 セツメイしてもらったトコだけどさ、いっしょにやったほうがわかりやすいんだよね」

「――よし、いこ!!」

半ば強引に同行の申し出を出す。
少年の丁寧かつ親切な対応を目にして、たぶん断られないだろうと考えてのコトだ。
もし断られたとしても、その後ろからコッソリついていく気ではあったが。

66 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/09(土) 23:59:48
>>65

「ああ、いや…」

感謝されながら笑いかけられても、うだつの上がらない返事しかできないのが情けない。
しかし、朗らかな性格だ。今泉さんとはタイプが違うが、人当たりの良さでは同じくらいか。

(だが、『平仮名』『片仮名』はできるのに漢字が分からない)
(漢字に触れる機会が少なかったか…あるいは、勉強する機会がなかった?)

例えば貧困とか、か。流石に現代日本で、そこまでの環境がそうそうあるとは思えないが、
逆に言えばゼロではないということだ。この点にはあまり触れない方がいいだろう。
分からなければ、教えればいい。それだけのことだ。
だから、同行を申し出る少女の言葉にも即座に頷いた。
…目線は相変わらず彼方を向いていたが。

「分かった」「じゃあ、『鳥居』へ」

そう言って、朱くそびえ立つ二本の柱へと近寄った。

「これは、『門』」「人の住む世界と、神様の世界を繋ぐものと、言われてる」
「なので、一礼して、入る」

67 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/10(日) 00:27:21
>>66

鉄少年が知っている今泉という少女とは同学年だ。
タイプは異なるが、これも何かしらの縁かもしれない。
客観的に見れば、単なる偶然の可能性の方が大きいだろうが。

「さすがハナシがわかるな〜〜〜。
 こういうのはヒトリよりフタリのほうがタノシイし」

というワケで門の前まで来た。
そういえば、まだ実物を目で見たコトはなかったかもしれない。
灯台下暗しというヤツだろうか。

「ほうほう、くわしいですな。
 『レキシのセンセー』かな??」

朱塗りの門を興味深そうに見上げる。
それから、少年と同じように一礼して内側に入った。
キョロキョロと辺りを見回す。

「で――『センセー』、つぎはナニするんでしたっけ??」

「アッチ??コッチ??」

あちこちに視線を巡らせる。
その方向は、手水舎とは反対だった。
放っておいたら関係ない場所へ歩いていきそうだ。

68 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/10(日) 00:45:39
>>67

「…いや、そういうわけじゃあ」
「単に好きなんだ」「こういうのが」

歴史の先生か?と冗談混じりに問われて、若干笑いながらも首を振る。
確かに世間一般の高校生よりは、こういうのは詳しいかもしれない。
自分は世界史よりも、日本史の方に力を注ぐタイプだ。特に伝記物はかなり読んでいる。
だからか、こういうのも中学生くらいの頃によく調べていたなぁ───など思いを馳せていると。

「ま、待った待った」「次はこっち、『手水舎』だ」

目を離すと独りでに歩いていきそうな少女の前に立ち、4本の柱の上に屋根が付けられた建物をしっかりと指差す。
中に水盤と柄杓が備えられていた。二度目になるが、自分も見本を見せる意味で行おう。
一礼をして、柄杓を手に取って左手、右手、そして口をすすいで。
そのすすいだ左手をもう一度流し、最後に柄杓の持ち手を洗った。

「ハンカチは、あるか?」

もしなければ、自分の手拭いを貸そう。なるべく濡れてない部分を渡して。

69 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/10(日) 01:24:22
>>68

呼び止められた時、危うく別方向に歩きかけていた。
しかし、声をかけられたために途中で足を止める。
そして、指し示された方向に視線を向けた。

「――――おん??なんだ、ソッチだったかー」

後について手水舎へ向かう。
同じようにして手を洗い、口をすすいで柄杓を洗った。
もっとも、お手本と比べると少しぎこちない手つきではあったけど。

「そういえばセンタクしてたんだっけ。
 かしてくれるんなら、かしてもらおっかな!!」

その時は、ちょうどハンカチを持ってきてなかった。
なので手拭いを借りることにした。
濡れた手を拭き取ってから、少年に返す。

「サンキュー!!」

「さて!!いよいよ『メインディッシュ』がチカイな!!」

「そういえば、センセーはナニしにきたの??
 『じんじゃめぐり』がシュミとか??」

「わたしはアレだよアレ。
 キョーミがあったっていうか、『ボウケンのとちゅう』でたちよったってカンジ??」

「わたしは『アリス』だからね〜〜〜」

ブルーのレンズの奥の瞳を輝かせながら、そんなコトをのたまう。
確かに、『そういう格好』をしているのは事実だ。
ネイルやらサングラスやら、本来のソレにはない要素も多々あるが。

70 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/10(日) 01:41:59
>>69

「ど、どういたしまして」

目線を逸らしながらもハンカチを受け取り、折り畳む。自由な人だなぁと思った。
好奇心に満ちた子供のようだ。中学校一年生の三枝さんよりも、更に子供らしいかもしれない。
いや、この場合はあの少女の方が大人びてるのかもしれないが。

「そうだな、『メインディッシュ』」「言い得て妙だが」
「こうして神社を訪れる人は、大体何らかの『願い』を持って来る人が多い」
「つまり、これからが参拝者にとって一番重要とも言えるな」

参道を通り、賽銭箱の前へ。財布から五円玉を取り出し、賽銭箱の中へと入れる。

「オレは、まぁ…」「その大体の人と同じだよ。『祈りごと』」
「…『冒険の途中』、アリスってことは」「つまり、『不思議の国のアリス』?」「好きなのか?」

やはりというか、あの少女を意識したファッションだったか。
『不思議の国』を旅したあの少女のように、自分も冒険中ということなのだろうか。
やはり、以前は外国に住んでいたのか?それなら日本が『不思議の国』に見えても、おかしくはないかもしれない。

「そういえば」「名前、言ってなかったな」
「鉄 夕立(くろがね ゆうだち)」「清月学園の高等部二年生だ」
「キミは…一年生だろ?」「学校で恐らく、見たことが、ある」

71 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/10(日) 09:50:21
>>70

「あ、ソレソレ。『ゴエンがありますように』ってヤツだ!!」
 
「『アリス』もしってる!!」

少年と同じように五円玉を取り出し、賽銭箱に投げ入れる。
一方の耳に片手を当て、硬貨の落ちた音を聴いた。
うんうん、いいオトだ!!

「まぁね〜〜〜。『クロガネくん』とにたようなモンだな!!
 だって、スキなんでしょ??こういうのがさぁ――――」

        クルリッ

言いながら、その場でグルッと体を回転させて周囲を見渡す。
さりげなくタメ口だが、この様子だと改める気はなさそうだ。
回ったせいで少々ズレたサングラスを両手で直しながら、少年に向き直る。

「――――でも、チョットちがうな。
 わたしが『アリス』なのは、わたしが『アリス』だから。
 まぁでも、にたようなモンってコトにしとこう」

うんうんと軽く頷いて、一人で納得している。
その言葉から、自分自身を『アリス』と重ね合わせていることが窺える。
以前は外国に住んでいたという推測は、答えから遠くはなさそうだ。

「そう、ひとよんで『ユメミガサキアスミ』――
 コートーブの1ねんせいってコトになるね〜〜〜」

「『アリス』ってよんでもイイぞ!!
 『ユメミン』とか『アルカラ』ってよんでくれてもオッケーだ!!」

本名に続いて、複数の呼び方を次々に挙げていく。
どうやら『ニックネーム』のようなものらしい。
どの呼び方でも構わないだろうし、これ以外の呼び方でも問題ないだろう。

「ところで、クロガネくんの『オネガイ』ってなんなんですかね??
 あ、わかっちゃった〜〜〜。
 『ゴエンがありますように』だから、『イイヒトがみつかるように』ってコトだ!!」

「それなら、さっそくみつかったんじゃない??ホラ、ココに『イイヒト』が。
 ウンがよかったな。いま、『アリス』は『フリー』だ。
 うまいコトくどきおとして、キミのモノにするチャンスだぞ!!」

自分の顔を指差しながら、勝手なことをほざく。
冗談のような言い方なので、別に本気で言っているわけではないだろう。
しかし、放置すると後で『妙な噂』が一部で広まる可能性もなきにしもあらずだ。

72 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/10(日) 21:58:27
>>71

タメ口に関しては、気にならなかった。
礼節の形は人や文化それぞれだし、むしろ彼女の場合は、その雰囲気も相まって気が置けない空気を作り出すのが上手い。
動作や口調が一々面白く、見ていて飽きない。やはり直視はできないが。

>「――――でも、チョットちがうな。
> わたしが『アリス』なのは、わたしが『アリス』だから。
> まぁでも、にたようなモンってコトにしとこう」

「・・・・・なるほど」

詳しくは分からないが、彼女は『アリス』に憧れているのではなく、『アリス』そのものだという。
その言葉には、ただの憧れではない、何かしらの強い想いを感じた。だから、頷く。

>「そう、ひとよんで『ユメミガサキアスミ』――
> コートーブの1ねんせいってコトになるね〜〜〜」

>「『アリス』ってよんでもイイぞ!!
> 『ユメミン』とか『アルカラ』ってよんでくれてもオッケーだ!!」

「ふむ」「『アリス』が『アリス』なら、『アリス』でいいだろう」

しかし『アルカラ』は何なんだろう。一体どこから来たのか。
トルコの首都がそんな感じの名前だった気がするか、この場には全く関係がないだろう。
ちょっと気になってきたので、本人に聞いてみようかと考えたその時。

>「ところで、クロガネくんの『オネガイ』ってなんなんですかね??
> あ、わかっちゃった〜〜〜。
> 『ゴエンがありますように』だから、『イイヒトがみつかるように』ってコトだ!!」

>「それなら、さっそくみつかったんじゃない??ホラ、ココに『イイヒト』が。
> ウンがよかったな。いま、『アリス』は『フリー』だ。
> うまいコトくどきおとして、キミのモノにするチャンスだぞ!!」


「・・・・・・・・・・」

展開が早い。彼女は『アリス』だと言うが、『白うさぎ』もちょっぴり混ざってるんじゃあないかってくらいの。急ぎ足だ。
もちろん冗談だろう。むしろ冗談でなかったら、これからの彼女が心配になる。けれど。

「キミとは今日出会ったばかりだからな」
「もしこれからキミのことを深く知る機会があって、生涯を共にしたいと思ったなら。
 その時は、改めて結婚を前提に交際を申し込む」「その時もキミが『フリー』だったらな」

こういった事は、雑にはできない。それが自分の性分だ。
冗談なら、1人真面目に返した自分が恥ずかしい思いをするだけだ。それは気にならない。
…いや、だがこんな真面目に反応してしまうから一部の女性から『キモい』と言われてしまうのでは?
というかそもそも女性が苦手な自分にそんなチャンスが生涯訪れることがあるのか?
考えるほど気分が落ち込んでいきそうになる。深いため息をついた。

「…まぁでもアリスは感がいいな」「『復縁』だよ」
「オレは友人と仲直りがしたいんだ」


礼を二度、柏手を二度。そして両手を合わせ、そっと目を閉じて。両手を下ろしながら瞳を開き、深く礼をする。
そしてアリスの方へ体を向けながら手を前へ出して、同じことをするように促した。

73 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/11(月) 00:18:57
>>72

「――――…………」

一瞬の間、黙り込んだ。
その返し方は予想外だった。
聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。

「あ、そう――」

「えーと、まぁその――」

「そのときも『フリー』とはかぎらないけど!!
 『アリス』はコイおおきオンナだし!!
 いつもイロんな『フシギ』をおいかけてるからな!!」

やや言い淀みながら、そのように返した。
……視線を微妙に外しながら。
この『アリス』をテレさすとは、クロガネくんやるな!!

「『ナカナオリ』??なんだなんだ、ケンカでもしたのか??
 それとも、ケンカするほどナカがイイってか??」

少年の参拝する様子を横目で見つつ、茶々を入れる。
その後で、自分も同じように手を合わせ、頭を下げた。
願った内容は――たくさんの『不思議』に出会えますように。

「――で、いつからケンカしてんの??」

「『ナカナオリ』のコツは、あいてのキモチになってかんがえるコトだな」

偉そうなことを言っているが、それを裏付けるほどの経験はなかった。
アドバイスとして役に立つものかどうかは怪しいところだ。
だからといって、冗談で適当なことを言ったというわけでもないが。

「むこうも『ナカナオリ』したいとおもってるかもね〜〜〜」

「キッカケがないと、なかなかムズカシイんだよなぁ」

74 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/11(月) 00:36:11
>>73

「えっ」

目を逸らすアリスに、何だそのリアクションは、と思わずツッコミそうになる。
真面目に返した事こそ恥ずかしいかもしれないが、内容自体は、特に変な所はなかったはずでは。
相手をより深く知って好きになれば、やがて交際を経て結婚となる。普通の恋路ではないのか。
…いや、変なのか?自分は『女性』との関わり合いが少ないだけに、その機微に疎い。
この言葉に嘘偽りは全くないが、あまり口にはしない方がいいのだろうか。

(うーむ…女心は難しいな)

無事に参拝を終えたアリスを見届けて、賽銭箱の前から離れた。

「…一月ほど前からだな」
「相手の気持ちを考えて、やったつもりだったんだが」「それがキッカケで怒らせてしまった」

>「むこうも『ナカナオリ』したいとおもってるかもね〜〜〜」

>「キッカケがないと、なかなかムズカシイんだよなぁ」

「そう思っていてくれたなら、いいな」「8年間もずっと友達だったから」

「ところでアリスは何を願ったんだ?」

75 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/11(月) 01:13:41
>>74

「ほうほう、イッカゲツか。だいたいソレくらいが『わかれみち』なんだよなぁ」

「あんまりながびいてくると、ケンカしてるジョータイがアタリマエになってきて、
 ヨリをもどすのがムズカシクなっていくからな〜〜〜」

「まぁ、やっぱり『ナカナオリ』はハヤめがイイよねってコト。ガンバレ!!」

詳しい事情は知らないし、自分も経験はそんなにない。
だけど、こういうのは早めの解決が大事だろうとは思っている。
ケンカしているのが常態化してくると、仲直りするのは難しくなっていく。

「あ、わたし??それはまぁ、ヒトツしかないでしょ」

「ステキなコイビトにめぐりあえますように――」

そう言って、おもむろにサングラスを外す。
黒目がちの大きな瞳が、社を見つめる。
かと思うと、悪戯っぽく笑ってサングラスを元通りに掛け直す。

「なんていうとおもった??
 たくさんの『フシギ』にであえますようにってコト。
 『アリス』はコイおおきオンナだから」

視力を得てから、様々な『不思議』に出会ってきた。
自らのスタンドを自覚して以降は、その機会は更に多くなった。
今後も、どんどん『未知』に出会っていきたいと心から思っている。

「クロガネくんも、なんかめずらしいモノとかみかけたら、おしえてよ。スグいくから。
 コウウンにも『アリス』のレンラクサキをゲットだ!!
 やったぜ、クロガネくん!!」

自分のスマホを取り出す。
連絡先を手に入れておこうという腹らしい。
『未知の不思議』へ繋がるアンテナは、多ければ多いほどいいのだ。

76 鉄 夕立『シヴァルリー』 :2019/03/11(月) 01:41:54
>>75

「そう…なのか」「喧嘩をあまりしたことがなくて、分からなかったが」
「確かに、長引けば長引くほど退き時が分からなくなる、か」
「・・・・・・・・・・・・・・・よし」

「ありがとう、アリス」

決めた。これから友人の家へと行って、もう一度謝罪をしてこよう。
道すがら、この少女が言ったように、相手の立場を考えて。真剣に、自分の感情を伝えてみよう。
自分の中で一番大切な友人だ。失いたくない。

>「ステキなコイビトにめぐりあえますように――」

ああ、実に年頃の少女らしい願いだ。それはそれで、とてもステキなものだが。
しかし先ほどの『イイヒト』発言と同じように、これも本気とは思えない。
少なくとも、これが一番の願いではないだろう。

>「なんていうとおもった??
> たくさんの『フシギ』にであえますようにってコト。
> 『アリス』はコイおおきオンナだから」

「少しずつ分かってきた。キミという子が、どんな人間なのかは」

目は合わせないままに、しかし肩をすくめてみせる。
色気より食い気、ならぬ色気より好奇心と言ったところか。本当に、面白い人だ。

「・・・・・珍しいもの、か」「『超能力者』とかでもいいのか?」
「もちろん、もしそんな人間がいれば、の話だが」

連絡先を交換しながら、思う。
『スタンド使い』のことを説明すべきだろうか。だが、彼女が一般人である限り。
あまり深入りはして欲しくないと思う。この性格だ、それこそ多少の危険も物ともせず踏み込みかねない。

「アリス。『不思議の国』の探索もいいが…元の世界には、いつでも帰られるようにな」
「特に、夜道や人気のないところはなるべく避けた方がいい」

彼女も高校生だ、余計なお世話だと思うが、それでも口に出さずにはいられない。
どんな人間でも犠牲になる可能性がある、それが『通り魔』というものだから。

77 夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』 :2019/03/11(月) 02:09:29
>>76

「『チョーノーリョクシャ』??ナニそれキョーミあるゥ〜〜〜」

「もしいたらおしえてくれよな!!ゼッタイみにいくから!!」

たぶん冗談だろうと思っていた。
だから、こちらも冗談で返したつもりだった。
当然ながら、実際のところは分からない。

「ダイジョーブだ!!
 わたしは『アリス』だからな!!
 どんなセカイからだってブジにかえってこられるぞ!!」

          フフン

そういう表情は、どこか奇妙な自信に溢れていた。
それだけの顔ができるだけの『裏付け』があるからだ。
少なくとも普通の通り魔くらいなら、『ドクター』の力で軽くいなせる。

「まぁ、そのキモチはスナオにうけとっとくけど。
 もっといてもニモツになるワケじゃないしね〜〜〜」

スタンド使いの中には危険なヤツもいる。
たとえば、『エクリプス』の残党とか。
その存在を知っているからこそ、もしもの時のための警戒は怠っていない。

「――――さて、そんじゃまたクロガネくんにアンナイしてもらおっかな〜〜〜」

「あ、アッチのアレってなんだろうね??」

連絡先の交換を終えて、またキョロキョロし始めた。
境内の一角を指差し、そちらの方へ歩いていく。
ある日に起きた、本人達の知らない『超能力者』同士の小さな邂逅だった。

78 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/19(火) 00:52:03

「――――ふぅ」

         ザッ

              ザッ

夜の神社に、残っていた。
バイトの巫女達はこの時期この時間にはいない。
境内こそ閉め切ってはいないが、社務所は閉じている。

だから、一人で好きに歩き回れた。

          カサッ

「あーあー、もったいない」

思わず独り言が零れたのは、
拾ったボトルが『授与品』のそれだからだ。

落として帰ったのか、要らなくなって捨てたのか。
煮沸しろと説明したのにそのまま飲んで捨てたのか。
半分ほど中身が残ったボトルを手に、境内でたたずむ。

79 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/19(火) 22:09:09
>>78

境内に別の足音が聞こえ、一つの人影が現れた。
カーキ色の作業服を着て、革手袋を嵌めた中年の男だ。
鳥舟の姿に気付き、足を止めて一礼する。

「まだ開いているか?」

「閉まっていないようだから入って来たが」

歩いて近付きながら、そのように尋ねる。
何時だったか別の神社へ立ち寄った時に、『煙草屋の男』に出会った事があった。
烏兎ヶ池神社を訪れたのは、今が初めてだ。

80 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/19(火) 23:04:19
>>79

「はい、はい、開いてますよ。
 こんばんは、ようこそお参りです。
 あ。社務所は閉めちゃいましたんで、
 御守りの授与とかは出来ませんけど」

          ペコーッ

「ボクはまだ残ってますんで」

礼を返してから、顔が見える程度に歩み寄った。
金色の目も、夜の闇を照らす程明るくはない。

「今夜はご参拝ですか?」

「それとも、『神秘の池』の方で?」

「どちらにしても――――案内しますよ。
 暗いですから、ね。ここは町から遠いし」

川沿いの神社は、ネオンの彩りには縁遠い。
もちろん、見て回るのに必要なだけの灯はあるが。

81 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/19(火) 23:33:15
>>80

「神秘の池か――」

「その場所が有名だそうだな」

闇に浮かぶ金色の目を見やる。
珍しい色だと思ったが、指摘する事でも無い。

「夜に参拝するのは縁起が悪いという話を耳にした覚えがある」

「逆に昼間よりも神秘性が高まるというような話もあったか」

境内を軽く見渡して独り言のように呟く。
無論どちらが正しいかは知らないが。

「――では参拝させて貰いたい」

「どちらに転ぶか試してみる事にしよう」

82 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/20(水) 00:12:09
>>81

「ええ、有名です。霊験ってやつが、あるってね。
 でもまあ、そういうのは信じる心次第ですから。
 参拝する時間もね、夜の方が信じられるなら、
 こうして夜にするのが、きっといいんですよ」

         ニコニコ

「それじゃ、ご参拝ということで」

拾ったボトルをくず籠に捨てて、
鳥居の外へと歩き出した。
まだ冷たい夜風が、境内を歩く二人の背を押す。

「まっ、ですからね、信じる心があれば、
 手順は細かく考えなくてもいいんですけど。
 一応『おきまり』の手法でやったほうが、
 精神的にも『入りやすい』と思うんです」

「大きく分けて手順はみっつ。
 まず、鳥居の前で一礼をして。
 それから手水舎で、手や口をお清めして。
 それから最後に『二礼二拍手一礼』……と」

そう言いながら、鳥居に向けて頭を下げる。
そして宗像に顔を向けて……再び笑みを浮かべた。

「と、まあ、こういう感じでね。
 角度とかはそんなに気にしなくってもいいですよ」

83 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/20(水) 14:53:39
>>82

「行動を惜しむ人間が訪れた機会を活かせないのは珍しくない」

「願掛けを決意表明だと捉えれば気の持ち方次第という考えは理に適っている」

俺の中には信心と呼べるような物は無い。
だが、それを敢えて口には出さなかった。

「なるほど――分かった」

「形式があるなら従おう」

説明された通りに一礼し、手と口を清めた。
そして、最後の段階に入ろうとした直前に動きを止める。

「いや……」

「忘れていたな」

ある事を思い出した。
大した事では無いが、全く無視する訳にもいかない。

「祈願する内容を用意して来なかった」

「どうするか――」

その場に佇んで暫く考えを巡らせる。
やがて、不意に巫女の方を振り向いた。

「参考までに聴きたい」

「――仮に君が参拝する側だったとしたら何を願う?」

84 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/20(水) 22:49:08
>>83

「『プラシーボ効果』……って言うのは、
 流石に『罰当たり』の気はしますけど、
 『信じられる』とか『叶うにきまってる』とか、
 そういう気持ちが背中を押すものですからね」

あくまで、押すだけだ。
ゴールに運んで行ってはくれない。
押された結果として、倒れるかもしれない。

「――?」

「何も、忘れてませんでしたよ。
 凄く良いカンジの参拝―――ああ!」

        「それは、大変だ」

   ハハハ

小さく笑って、それから考えていたが、
自分に改めて向いた視線を感じて顔を上げた。

「まあ、そうですねえ」

「ボクは、この神社を知ってますからね。
 ここの『得意分野』の『旅の安全』か、
 もしくは『病気平癒』あたりですかねえ。
 べつに、特別病んでるわけじゃないですケド」

「そうじゃなかったら――――ええと、『健康長寿』とか」

          「何にしたって健康じゃなきゃ、ね」

巫女らしいというのか――――どこか模範解答的な願いだ。

85 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/20(水) 23:49:52
>>84

巫女の返事を聞いて軽く頷いた。
納得した事を示す動作だ。

「旅の安全――か」

「神社に得意な分野があるとは知らなかった」

模範的である事自体は良いとも悪いとも思わなかった。
ただ、恐らく悪くは無い答えなのだろう。

「お陰で参考になった」

「では、次の仕事の成功を祈願しておこう」

二礼二拍手一礼を行う間に、スタンド使いとしての仕事の成功を祈願する。
まだ新しい仕事は受けていないが、今後の為に今やっておく事にした。

「――参拝は済ませたが、帰る前に池を見ておきたい」

「まだ時間があれば案内して貰えると有り難い」

参拝を終えて再び巫女に視線を向ける。
黒い瞳には何処か虚無的な光があった。

86 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/21(木) 00:21:09
>>85

「神さまも、出来る事と出来ない事がありまして。
 うちでお祀りしてる神さまはその辺が、
 得意分野ってことらしいんです。
 ボクも直接会って聞いたわけじゃないですけど」

「ええ、是非祈っていってください」

         スゥーーー

             パンッ   パン

自身も祈願を行っておく。
手本という意味もあるし、
実際に健康を祈ってもいる。
それくらいカジュアルに願えばいいと思う。

「池、いいですよ。
 この時間だと見えづらいかもだけど、
 それでも『雰囲気』はあると思いますよ」

        「……」

言い終えてから、目が合った。
鳥舟の目は灯篭のように金色の光を揺らす。
だが、夜闇を照らさないのと同じで、虚無に差す光ではない。

「それじゃ、行きましょう。ちょっと林を歩くんで、
 足元はね、ちゃんと掃除とかしてますけど、
 頭に木の枝が当たったりすると危ないですから」

             ザッ  ザッ

        ・・・そして、池に向かって歩き出す。

87 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/21(木) 01:09:13
>>86

「神の世界にも分業制があるのか」

「専門家が分かっている方が祈願する側としても助かるかもしれないな」

「誰に頼むべきか分からなければ困る事もある」

巫女の祈願する姿を見届ける。
そして横に並ぶ形で歩き始めた。
目的地に向かう途中で言葉を続ける。

「俺は配管工事を専門に扱っている」

「水道管の修理なら出来るが怪我人を治療するのは無理だ」

「逆に言えば水漏れを直す為に病院に行く人間はいない」

歩きながら頭の付近に張り出していた枝を避ける。
参拝したとはいえ俺には本当の意味で祈願するような事は無い。
この神社に来たのも単に時間潰しの一つだった。

「神秘の池――だったな」

「そう呼ばれる理由には幾らか関心がある」

「どんな場所なのか確かめさせて貰おう」

88 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/21(木) 02:22:00
>>87

林道を抜け、視界に広がるのは夜空を映す水鏡。
池は――――大きな池だ。空気が澄んでいる。
何か『霊的』なものは、そこにあるのだろうか?

「ここが、『神秘の池』ですよ」

「謂れは、色々ありますけど――――
 それを確かめる術は、合法的にはないし、
 違法に確かめるのを許す気もないですから。
 底にほんとうに鵺が沈んでいるのか? とか。
 ここの池に落ちたら運気が上がるのか? とか、ね」

外縁部を囲む木の柵に、視線を向ける。

「その辺りも『信じる』かどうか、なわけです。
 あ、でも、生水のまま飲んじゃだめなのは、
 疑う余地なく、絶対なんですけどね。そこはね」

そして、おどけた調子でそう続けた。
それだけだ。他に確たるものなど、ここにはない。

神秘の池・・・その揺らぎが、宗像の瞳を映していた。

89 宗像征爾『アヴィーチー』 :2019/03/21(木) 03:31:29
>>88

神秘の池を前にして、ある種の雰囲気を感じた。
もっとも、それが霊的な物かどうかは定かでは無いが。

「飲用に適した上水道でない事は明らかだな」

「下水でも無いが」

暫く無言のまま池を眺めていた。
黒い瞳の中に、神秘の池が映り込んでいる。

「少なくとも景色の良い場所ではあるだろう」

「あるいは――神秘的と表現出来るかもしれない」

その時、水面が光ったように思えて目を細めた。
やがて、おもむろに空を見上げる。

「今夜は満月だったか」

「道理で明るい訳だ」

いつの間にか、月を隠していた雲が晴れている。
池が輝いたように見えたのは、月明かりが反射したに過ぎなかった。

「――だが悪くは無い」

「景色の良し悪しと力の有無は別問題だ」

元々、何かを期待して来ていた訳では無い。
実際に見る事が出来たのなら、それで十分だ。

「お陰で迷う事なく見て回る事が出来た」

「――案内に感謝する」

踵を返し、神秘の池に背を向ける。
そして、巫女に対して再び一礼した。

90 鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』 :2019/03/21(木) 22:00:19
>>89

「調整とか、してませんからね。
 成分そのまんま、神性もそのまんま。
 授与してる分も汲んだそのままなので、
 もし今後買う事あったら煮沸の方お忘れなく」

営業トークをかけつつ、
視線を池から宗像の方へと戻した。

「でも、『絶景』として楽しんでもらっても、
 ボクとしては全然オッケーなんですよね」

それからつられて、空を見上げた。
雲に隠れていた月が池を照らしたが、
その僅かに淀んだ水底は暗闇の中。

「『神秘』っていうのはなにも、
 『不思議な力』だけじゃあなくって、
 『雰囲気』でもいいんですから」

「――――ようこそお参りでした」

            ザッ

「またぜひ、お昼にもお参りくださいね」

踵を返した宗像の背にそう声を掛け、頭を下げた。
立ち去る参拝客を追う理由はない……そのまましばらく、池を眺めていた。


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