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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』

557夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/02(土) 22:32:58
>>556

「――――おっ??『ウサギ』かな??」

         バッ

「いや、まてまて。あててみよう。
 『しずかでおちつけるみせ』をさがしているな??
 よし、まかせろ。こっちだ、こっち」

      スタ
            スタ

足音を聞いて振り返り、両目を開く。
そして質問の内容を聞かないまま、路地から出て歩き始めた。
傍らのスタンドの目は、相変わらず閉じた状態だ。

「まぁ、そこそこいるんじゃないの??
 『チャーハンにはいってるグリーンピース』くらいはいるとおもうよ。
 グリーンピースはスキ??」

先程の言葉に対する返事らしい。
しかし、二人の間にはそれなりに距離があった。
常人よりも音に過敏な成田には、少女の呟きが聞こえただろう。
だが、この少女は成田の言葉が聞こえる距離にはいなかったはずだ。
少なくとも、普通なら――――。

558成田 静也『モノディ』:2019/02/02(土) 22:50:55
>>557

彼女の素っ頓狂な受け答えに少し面くらいながらも彼女に質問に答える。

「ああ、チャーハンのグリーンピースか…好きだよ。俺の苦手は納豆だけさ」
「それとキミ耳が良いんだね。オレも耳の良さには少し自信があるんだ」

何気ない会話で間を繋ぐ。そうでもしないとまた彼女があの細く暗い裏路地に
フラフラと迷い込んでしまうように思ったからだ。

559夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/02(土) 23:33:26
>>558

「ほうほう、わたしは『あまなっとう』がスキだぞ。たべる??」

          ゴソゴソ

タイミングが良かったのか、ポケットから『甘納豆』を取り出す。
それを少年に向けて差し出してきた。
自分でも手に取って口に運んでいる。

「まぁな!!わたしのミミのよさは『セカイイチ』だし??
 『このマチのなかでのセカイイチ』ってイミだけど!!」

「サイテーでも『チョージンテキ』なぐらいにはジシンあるね〜〜〜。
 とおくでおとした『コゼニのしゅるい』もあてられるぜ!!」

何かしらの根拠があるらしく、やたら豪語している。
もしくは、単に適当な事を言っているだけかもしれない。
しかし、さっき少年の呟きを聞く事ができていたのは事実だ。

「――――あ、つぎのカドはミギにまがって」

560成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 00:16:19
>>559

もらった甘納豆を飲み込みながら彼女のスタンドについて考える。
ひょっとしたら自分と似たような能力なのでは?
試してみる意味と『セカイイチ』という言葉に何か感じるものもあり、
オレの能力…『モノディ』を自分と一瞬だけ重ねるように発現させ周囲を探った後、
彼女にちょっとした『賭け』を吹っ掛けてみる。

「ふーん…『セカイイチ』ね…じゃあさ、ちょっとした賭けをしてみないか?」
「キミが連れて行こうとする店に着くまでの道の曲がり角でに何人の人とすれ違うかを当てるんだ」
「勝った方がこの先にある店のメニューの一つを奢るってのはどうかな?」
「もちろん『セカイイチ』でも調子の悪いせいで負けてしまうかもしれないから賭けに乗らなくてもてもいいですよ?」

我ながら安い挑発だと思う。
だが趣味のミステリー好きからか、それとも最初にあったときに感じた彼女へのシンパシーからか
彼女のスタンドを知りたいと不躾ながらに思ってしまっていた。
この勝負次第で何か能力のヒントがつかめるかもしれない。何よりも自分の一番の特技で負けたくない。
そのような幼稚な対抗心があった。

561夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 00:57:44
>>560

「――『かけ』ぇ〜〜〜??」

少年の提案を受けて、ニヤリと不適に笑う。
相手の方にも相当の自信があるのだろう。
しかし、『耳の良さ』に関しては同じくらいの自信を持っているのだ。

「なんとぉ〜〜〜??『チャレンジャー』とうじょ〜〜〜う!!
 この『アリス』にショウブをいどむとは、かなりジシンがあるな??
 『アリス』にチョーシのわるいトキなどない!!いつでもパワーぜんかいだ!!」

「――――やったろーじゃん」

よって、賭けに乗った。
自身のスタンド――『ドクター・ブラインド』は、視覚以外の『四感』が『超人的』だ。
その中の一つである『超人的聴覚』に意識を集中させる。
足音を聞くことで、曲がり角の向こうから近付いてくる人数を特定する事は容易い。
もちろん、それは同等の『超聴覚』を持つ『モノディ』も同じことだ。

「――よし、わかった」

「じゃあ、どうじにはっぴょうする??」

「『にんずう』は――――だ!!」

自信満々に、『超人的聴覚』で導き出した答えを告げる。
そして、『モノディ』と『ドクター・ブラインド』の『聴覚』の精度は『同等』。
だから、二人の答えが『同じ』になったのは当然の結果だった。

「――――おん??」

呆気に取られたような表情で、少年の顔を見つめる。
自分が当てたのは当然として、相手も同じように当ててくるとは……。
予想外の結果に、驚きを隠せなかった。

「つまり??」

「『ひきわけ』か??」

562成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 01:15:56
>>561

「みたい…ですね…しまった引き分けの時のことを考えてなかった…」

熱くなり過ぎて引き分けの時にどういう処理なのかを全く考えていなかった。
なんと子供じみたことか。恥ずかしくなって顔を赤面させてしまう。

「とりあえず…どうするかは店についてからってことで…ね…?」

まあこの恥ずかしさを対価に彼女の能力も『モノディ』と同じ何かしらの超感覚である
と能力のおおよその見当がついたので良しとしよう。

そう思いこむことでいまさらながら遅すぎる体面を保とうとしていた。

563夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 01:35:19
>>562

「よし、『ドロー』のばあいは『ワリカン』だな!!」

そういうことにしたらしい。
断ることはできるだろうし、断ったとしても機嫌を損ねることはなさそうだ。
そんなこんなで二人は店に着いた。

「ココ、なかなかイイみせなんだ〜〜〜。
 『アリス』のオススメスポット『ナンバー75』!!
 あじヨシふんいきヨシで、おねだんもリーズナブル。
 『ツウごのみ』のかくれがてきレストラン!!」

辿り着いたのは一軒の『洋食屋』だ。
『隠れ家的』という紹介の通り、確かに分かりにくい場所にあった。
こじんまりした小さな店で、知る人ぞ知るという趣きも感じられる。

564成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 14:11:20
>>563

「おおっ…」

思わず言葉に出てしまった。
何しろ目の前の店はまさしくオレが求めていた
落ち着ける場所の条件を満たしていたからだ。

クイッ…クイッ…

彼女が笑顔で呆けている俺を手真似にしている。

彼女に誘われ店の中に入ってみると…
完璧だ。落ち着いた照明と音楽。清潔感ある内装。香ってくる料理のいい匂い。

『いらっしゃいませ、お席へどうぞ』

ウェイターの人も厨房の人もとてもやさしそうだ。

『メニューをどうぞ』『お決まりになったらお呼びください。』

接客もとてもいい。特に声がやわらかなのが特にいい。

「キミは何を頼む?オレはこのコーヒーとセットになっている
Bランチを頼もうと思うんだが…」

彼女に聞こうとした時、まだオレはまだ彼女に名前を聞いていないし、
自分の名前を名乗りもしていないことに気が付いた。
ここまで至りに尽くせりで「キミ」呼ばわりは失礼だ。
自分のあまりの浮かれっぷりに少し恥ずかしくなりながら名前を聞いてみた。

「ああ、すまない…まだ名前を聞いていなかったね…オレは成田静也っていうんだ」
「キミの名前を教えてくれないかい?」

565夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 17:12:47
>>564

「ところでさぁ〜〜〜。
 トシゴロのダンジョが、ふたりでレストランにはいってショクジするコトを、
 なんてよぶかしってる??」

        ニヤッ

「――――『ひるメシ』ってよぶんだよ」

『Bランチ』はハンバーグとコロッケのセットのようだ。
値段は980円。
ライスとスープも付いている。

「――あ、きまった??
 フフフフフ、わたしはコレだ!!ボリュームまんてん『Dランチ』!!
 ココにきたら、コレをたのむのが『ツウ』ってもんよぉ〜〜〜」

『Dランチ』のメインはステーキだった。
ハーブとオリーブオイルに漬け込んで鉄板で焼いたサーロインステーキ。
写真で見る限り、かなり食べ応えがありそうなサイズだ。

「おっと〜〜〜??さては、この『アリス』にヒトメボレしたな??
 シズナリくんはラッキーだぞ。いま、わたしにコイビトはいない!!
 さぁ、くどいてモノにするチャンスだ!!」

        ニヤニヤ

少年の態度を見て、笑いながら茶化すように煽る。
しかし、本気とは思えない。
おそらくは、ただの冗談だろう。

「トモダチからは『ユメミン』ってよばれてる。アリーナでは『アルカラ』。
 だいたいは『ユメミガサキ』か『アスミ』ってよばれる。
 『アリス』ってよんでもいいよ」

「――どれでもスキなのをえらんでくれ!!」

話している途中で、鼻をヒクヒクと軽く動かす。
厨房からは良い香りが漂ってくるが、細かく嗅ぎ分けることはできない。
『普通なら』だが――。

「きょうの『Bランチ』の『つけあわせ』は…………
 『ベイクドポテト』に『ザワークラフト』、『フライドオニオン』だな」

付け合せは日替わりで、何が出てくるかはメニューに書かれていない。
まもなく『Bランチ』が運ばれてきた。
そこには、言った通りの付け合せが乗せられている。

566成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 17:42:31
>>565

彼女のジョークで飲んでいたお冷を気管に入れかける。

「ゴホッ!ゴホッ!」

改めて水を流し込み一息ついた後に
彼女の呼び方について思案する。

「ふむ…」

あまり馴れ馴れし過ぎず、尚且つ他人行儀ではない呼び方…

「『アスミさん』って呼んでもいいですか?」

そう彼女に尋ねた後に自分の目の前にやってきた皿を見る。

うん、少しボリュームがあり過ぎる気もするが今日みたいな日にはガッツリといくのも
いいものだろう。ハンバーグも手ごねでソースはおそらく自家製だろう。
コロッケは揚げたてで油のいい匂いがする。付け合わせもスープもおいしそうだ。やはりここはいい店だ。

ここに連れてきてくれたアスミさんには感謝しかない。

それと同時に聞き捨てならないこともあったがその件は食後でいいだろう。

567夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 19:34:26
>>566

「そういえばさぁ、さっきの『アレ』だけど――――」

       ムッシャッ ムッシャッ

「『アレ』をあてたのは、わたしと『おなじやりかた』でしょ」

「――ちがう??」

食べやすく切り分けられたステーキの一片を口に運びつつ、声をかける。
『アレ』というのは先程の『賭け』のことだろう。
『同じやり方』というのは、『耳の良さ』のことを言っているようだ。

「ウチらのチカラって、チョットにてるのかもね〜〜〜」

          ムッシャッ ムッシャッ

料理は次第に減っていく。
食べるペースは、それなりに早い。
街を歩き回っていたのか、結構ハラが減っていたらしい。

「――――『ナマエ』は??」

尋ねたのは少年の名前ではなく、スタンドの名前だった。
『アリス』は『ウサギ』を追う者。
そして今は目の前の少年が、『アリス』である自分にとっての『ウサギ』なのだ。

568成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 20:18:48
>>567

コロッケを切り分けながら考える。
スタンドの名か、最初にもらった時に自分のスタンドは
極力他人に話さないのが不文律と聞いたがスタンド名くらいなら大丈夫だろう。

「――――コイツの名前は『モノディ』って言いうんだ。」
「オレもアスミさんとの会話でもしかしたら同じものかもとは思いましたがね」
「それは流石にオレのうぬぼれだったみたいです」

バツの悪そうに苦笑し、切ったコロッケを口に運ぶ。
サクサクした衣の中にホクホクのジャガイモとひき肉が引き立て会っていておいしい。

ハンバーグに至っては肉のジューシーさとほろ苦さが味を引き立てるソースのハーモニーで
箸が進み過ぎてもう一口分しか残っていない。とてもおいしい。

それに目の前の彼女の食べっぷりも見ていて気持ちのいいものだ。

569夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 20:40:29
>>568

「――――『モノディ』」

聞いたばかりの名前を繰り返す。
能力までは聞かない。
とりあえず『ドクター』と同程度の『超聴覚』を持っていることが分かれば十分。

「わたしのは『ドクター・ブラインド』っていうんだ。
 『ミミがいい』ってのは、わかってるとおもうけど。
 シズナリくんのも『ミミ』にはジシンあるんでしょ。
 わたしのとおなじくらいに」

「まぁ、『イロイロ』あるからね〜〜〜。
 『ハーゲンダッツのアイスクリーム』みたいに『イロイロ』と」

     ズズズズ

あらかた食べ尽くし、残ったスープを飲み始める。
聞き捨てならないことについて、そろそろ尋ねてもいい頃合かもしれない。
それを言った本人は、特に気にしていない様子だった。

570成田 静也『モノディ』:2019/02/03(日) 21:23:35
>>569

「………。」

アズミさんはどうやらこちらの様子を察したみたいだ。
ちょうどお互い食事はほぼ食事も済んでいる。
頃合いと読んで飲んでいたコーヒーを皿に置き、
ポケットからこの前自然公園で出会ったあの人からもらった
名刺を出し、テーブルに置いた。

「『これ』わかりますよね」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

「さっきの会話で『アリーナでは』って言ってましたよね?」
「聞き間違いじゃあないはずだ…」
「この町の地図を調べてもこの名刺に乗った住所を調べても『アリーナ』と呼べるような場所は『なかった』」
「『これ』には住所と時間とマークしか書いていなかった。」
「それがなんなのかわからないのにノコノコ行くほどオレは間抜けじゃあない。」
「だから知っているヤツをずっと探していたんだ。」
「まさかいきなりアタリを引くとは思ってもみかったですたがね」
「教えてもらいますよ、この『アリーナ』っていうものに関しての知っていることを…!」

この店を教えてくれた恩義は感じる。だがそれとこれは話が別なのだ。
オレはより強くならなければならない。特に精神的に強く。
弱い今と過去を乗り越えるためにも。

571夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/03(日) 22:08:21
>>570

「ん〜〜〜??」

食事を終えて、テーブルの上に置かれた名刺を覗き込む。
こんなのくばってるのか。
『アリス』は、またひとつおりこうさんになった。

「ああ、そんなコトいったっけ??」

そういえば、いったようなきもする。
ついウッカリして、ポロッとしゃべってしまったようだ。
まぁ、そんなトキもあるある。

「『アリーナ』に関して、ねえ……」

「――――『嫌だ』と言ったら?」

   ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 
               ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …………

「言っておくけど『気安い場所』じゃあない」

「相応の『覚悟』が必要だよ。『そこ』に踏み込むにはね」

「『戦場』だからさ。『アリーナ』って場所は」

         ニヤッ

「――――なーんてね〜〜〜。もしかしてホンキにした??
 ちょっとした『オチャメ』ってヤツ。いや、わたしもそんなにくわしくしらないし。
 まぁ、さんかしたコトはあるけどさぁ〜〜〜」

                 トーギジョー
「スタンドつかいがたたかう『闘技場』なんだって。
 なんかしょかあるみたいだけど、わたしがいったのは『ちか』にあった。
 スゲーデカイかいじょうでさぁ〜〜〜。
 まわりにギャラリーがいっぱいいて、そこでなぐったりなぐられたりする。
 それをみて、ワイワイさわいでたのしむってカンジ??」

      センケツノリョーケン
「わたしは『鮮血の猟犬』ってヤツとたたかった。もちろん、かったけどな!!」

「なんかしりたいんなら、『アリーナ』のしりあいショウカイしてもイイよ。
 つかえねーボンクラだから、やくにたたないかもしれないけど」

何か隠している様子もなく、意外な程あっさりと喋りだした。
知りたいことは答えてくれるだろう。
『アリーナ』の連絡先も知っているようだ。

572成田 静也『モノディ』:2019/02/04(月) 17:57:02
>>571

アスミさんは嘘を言っていないだろう。
嘘を言ったなら例え詐欺師でも脈拍なり
声のトーンが変わったりする。
それを聞き分けることは『モノディ』の耳にはたやすいことだ
そしてなによりもアスミさんを信じたいからだ。

「ふぅ…よかった」

いくら情報が得たいとは言え、恩のある人に
こんな脅しかけるようなマネをしなきゃならないなんて…
こういうやり方はきっと永遠に好きになれない。
それに最悪、アスミさんがスタンドを出されたら
こちらも応戦せざるえなかった。
…そう考えただけでゾッとする
このオレのスタンド『モノディ』は人に能力を使ったことはあっても
人を『殴った』ことは、まだ一度もないのだ。
それでも『アリーナ』に行かなければならない。
そんな気がするのだ。

「いえ、こちらこそこんなマネをしてすみませんでした。」
「お詫びってわけじゃあないですがここの昼食代、オレが全部払いますよ。」
「ここを教えてくれたこと、『アリーナ』の情報と人を紹介してくれたことに比べれば
昼飯代を払ったってまだ有り余るほどですよ。」

全部紛れもない本心だ。

573夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/04(月) 19:38:18
>>572

成田少年は、拳を交える可能性を危惧していた。
だが、夢見ヶ崎に『その気』はなかった。
そして少年には、それが『分かっていた』。
『モノディ』の『超聴覚』なら、それを聞き分けることは簡単なことだ。
だから、少年が夢見ヶ崎の言葉の真偽を知ることができたのは『当然』だ。

「――――『わかってる』よ。うんうん」

「だって、ウチらは『おなじチカラ』をもってるんだから」

「――――ねえ?」

    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

夢見ヶ崎にも、少年が殴り合いなど望んでいないことが『分かっていた』。
夢見ヶ崎は、成田少年と『同じ力』を持っている。
『ドクター・ブラインド』の『超聴覚』なら、それを聞き分けるのは簡単なことだ。
だから、夢見ヶ崎が少年の言葉の真偽を把握できたのは『当然』だ。
だからこそ、少年のことを不必要に警戒することはしなかった。

 キンイチ
「『金一』ってオッサンなんだけどさ、そいつのレンラクサキおしえてあげるよ。
 『なぐりやすい』くらいしかトリエのない、ヒンセイのカケラもないボケナスだけど。
 あんなのでも、いちおう『アリーナ』のニンゲンだから」

『アリーナ』に所属する『金一』という男の連絡先を少年に教えた。
その番号やアドレスから、その男と連絡が取れるだろう。
少年に『その気』があるなら、試してみてもいいかもしれない。

「あ、そうだそうだ。わすれるトコだった〜〜〜。
 ココって、『スイーツ』もおいしいんだよね〜〜〜」

        チラッ

「たべたいけど、オカネがたりないなぁ〜〜〜。
 ダレか『シンセツなヒト』がおごってくれないかなぁ〜〜〜」

        チラッ

わざとらしく、あからさまに少年の方にチラチラと視線を向ける。
『まだ有り余る』という言葉を聞いて、注文を追加しようという腹積もりだ。
さぁ、どうする??

574成田 静也『モノディ』:2019/02/04(月) 20:15:12
>>573

>>ココって、『スイーツ』もおいしいんだよね〜

「もちろん、お好きなのをどうぞ」

そう言いながら財布の中身を思い出す。手持ちは貯蓄しているからそれなりにはある。
大丈夫だろう。そう思った矢先、アスミさんはメニューを指さし

「う〜んと〜コレと、コレと、コレもいいな〜」

『アリーナ』手掛かりは手にいれたが、しばらくは外で外食というわけには
いかなそうだ。

苦笑しつつもこの町で出来た予期せぬ新しい知り合いに
こういうのも悪くはないと思いながら飲みかけののコーヒーを口に運んだ。

575御徒町『ホワイト・ワイルドネス』:2019/02/10(日) 23:00:22

    ウィィ――――ン


「チッ、ここもダメか――――」

忌々しげに店の前に痰を吐き、歩き出す。
いかにも苛立った表情をした老人が、不動産会社から出ていく。


      「(まぁ、いきなり『地下オフィス』を貸せ、と言っても、
       こーやって門前払いが関の山か。……それはそれでムカつくが)」

重そうなホルスターから分厚い『手帳』を取り出し、
鉛筆の先を舐めてから、メモ書きを始めている。

576矢貫 湊『ノーバディ・アンダースタンド』:2019/02/11(月) 14:45:37
>>575
 
『敷き物』なんて言われてもピンと来ないし、
そもそもどんなもんが地面に敷かれてんのかねっつって、
その辺気にしながら歩いてみようかって表に出てみて、
それで分かった事って言えば、別に敢えてそんなことしなくたって、
俺は昔っから下ばかり見て歩いてたという事実だけで。
 
 
「あのさ」
 
 
まったく皮肉な話で、その皮肉が正面から直撃して、
それで俺は多分、だいぶ、苛立ってたんだと思う。
丁度通りかかった『不動産屋』にも、『仕事』でトラブルになった嫌な思い出もあったし。
きっとそれもまた良くなかったんだ。
 
下ばかり見て歩いてた俺の目に、まず地面に吐かれた『痰』が目に入って、
次に視線を上げた先で、機嫌の悪いじいさんの顔が目に入って、
その先はもう、どうしてそんな事をしたのか自分でも分からないし、
多分どうかしてたんだと思う。
 
 
「なんだって他所様の店の前に、そんなことすんだい」
 
 
痰のひとつくらい、好きに吐かせてやれば良かったんだ。
だけどそう思った時には手遅れで、別に正義感からでもなんでもないくせに、
どうにも非難するような声色で、俺はその『老人』に声をかけちまったんだ。

577御徒町『ホワイト・ワイルドネス』【22】:2019/02/11(月) 21:54:40
>>576
>「なんだって他所様の店の前に、そんなことすんだい」

    「ハァン!  軒先にカンバン並べて『店』っていうならねェ、

     駅前でクッサイ服着て『ビッグ・イシュー』売ってるルンペンだって、
     立派な『個人商店様』になってるでしょうがッ」

    「ええ!? そうでしょう!?」

ギロリ、と睨みを利かせ、不機嫌そうな風体でまくしたてる。
吐き捨てた『痰』を踏みつけ、ゴシゴシと靴裏で地面に擦り付ける。

    「大体ねェ、『不動産』なんて、自分の家も土地も持っちゃあいないくせにねェ、

     随分とまぁエラそうに、あっちのものをこっちに引っ張るだけの書類屋が、
     堂々と幅を利かせてるんですよォ! 海のものとも山のものとも付かない輩が!」

    「ましてや、私のような『客』をないがしろにねェ……、

     そう、そうですよ……。 私をねェ、誰だと思ってるんですかァ!」

『矢貫』の発した一つきりの問いに、矢継ぎ早に『妄言』を返していく。

578矢貫 湊『ノーバディ・アンダースタンド』:2019/02/12(火) 22:21:24
>>577
 
老人のあまりの剣幕に、俺は思わず言葉を返す。
 
「あ、いや……分かったよ」
 
嘘だ。
俺は実際のところ何も分かっていなくて、
そもそも滝のように浴びせられた言葉を理解することもできなくて、
とにかく、相手の勢いに呑まれてなんとかそれらしい事を言いたくて、適当な相槌を打ったんだ。
 
「ええと、だから、不動産屋ってのは、確かにロクな商売じゃないよな。
 分かる。俺にも分かる。あいつら、最低だ」
 
思考が追いつく順に、補足するように言葉を続ける。
確かに『不動産屋』には、俺も痛い目を見させられた覚えがある。
その点は分かる。本当に、分かる。
 
すっかり目の真の老人に呑まれちまった俺は、
情けないことに何一つ言い返す事が出来なくて、
なんとか辛うじて質問を返すのが精一杯だったんだ。
 
>「そう、そうですよ……。 私をねェ、誰だと思ってるんですかァ!」
  
「いや、誰……あ、その、『どちら様』……ですか。
  俺、あんま、芸能人とか詳しくなくて」
  
情けない限りではあるんだが、俺は自分より頭一つ小さい老人にすっかりビビっちまって、
着込んだダッフルコートが妙に頼りなく思えちまって、
マフラーを口元まで引き上げて、どうにか、それだけは言葉にできたと思う。

579御徒町『ホワイト・ワイルドネス』【22】:2019/02/12(火) 22:59:30
>>578
積み重ねた『年季』が産み出す『齢圧』と、
ヒステリックに上擦った『怒声』によって、
目の前の若者を黙らせてしまったようだ。

>「あ、いや……分かったよ」

  「う、ォ っほんッ!」   カーッ   ペッ!

  「まあ、貴方のような初対面の方にねェ、

   虫の居所が悪かったからって、どちゃくそに怒鳴り散らすのは、
   ――――ええッ、驚いたと思いますよ。配慮が足りなかったですねェ」

『矢貫』の同調に気分を良くし、語調を抑えて言葉を返す。
取り出していたメモ帳をホルスターバッグに仕舞い、『矢貫』を見遣る。

>「いや、誰……あ、その、『どちら様』……ですか。
> 俺、あんま、芸能人とか詳しくなくて」

   「あのような乱痴気騒ぎの『客寄せパンダ』と
    一緒にされたくはないですがねェ、……まあ、いいでしょう」

その仔細を訊かれれば、のそのそと歩道を横切り、
バス停用の『ベンチ』に腰掛け、『長話』をする準備を見せつける。

   「元々はねェ、私のような『プランナー』は、
    世間様にに出てくるものじゃあないんですよ。

    昨今は、なんだ『CG』の傘を借りてエラそうに振る舞ってる、
    芸術家気取りの輩が増えましたがねェ、断じてバカげたものだと……!」

   「そもそも、私の名前なんかよりねェ、
    『作品』の名前が知れ渡る方が、誉れと言うものでしょう。
    『ムンクの叫び』なんて誤用はねェ、私にしたら『勲章』ですよォ」

訊かれた質問に対し、回答に至るまでが留まるところを知らない。
ベラベラと言葉を並べては崩し、やがて咳払いを始める。

   「お゙ ぉ !  ゴホッ!」

    「ほら、お兄さんのね、知ってる『パズルゲーム』をねェ、
     何か二つ、三つくらいね、言ってみてくださいよ」 

自慢気な表情を作り、『矢貫』に向けて答えを促している。

580矢貫 湊『ノーバディ・アンダースタンド』:2019/02/12(火) 23:25:45
>>579 

目の前の老人が語調を抑えたことで、多分俺は辺に気を抜いちまったんだろうな。
適当に話を切り上げてこの場を立ち去るのが一番良いに決まってるって、分かっちゃいたんだが。

>「元々はねェ、私のような『プランナー』は、
> 世間様にに出てくるものじゃあないんですよ。

> 昨今は、なんだ『CG』の傘を借りてエラそうに振る舞ってる、
> 芸術家気取りの輩が増えましたがねェ、断じてバカげたものだと……!」

> 「そもそも、私の名前なんかよりねェ、
>  『作品』の名前が知れ渡る方が、誉れと言うものでしょう。
>  『ムンクの叫び』なんて誤用はねェ、私にしたら『勲章』ですよォ」


「『プランナー』に『CG』で『作品』っつーと……アレ……ッスか。
 『ゲーム作るヒト』……みたいな」
 

分かっちゃいたんだが、バス停の『ベンチ』に座り込む老人の傍らに突っ立って、
思わず話に乗っかっちまったんだ。
自分が質問した手前ってのもあるし、最初が酷かった分、いくらか落ち着いた雰囲気を見て、
意外と普通に話せるんじゃないか、なんて思った部分もあって。
 
 
> 「ほら、お兄さんのね、知ってる『パズルゲーム』をねェ、
>  何か二つ、三つくらいね、言ってみてくださいよ」
 
 
「俺が知ってる『パズルゲーム』っつーと……」
 
 
俺は何も知らない。
 
高校は出たけど出ただけで、中学英語だって怪しい始末で、
これといってヒトに誇れる特技や打ち込んだ趣味もなくて、
だからいっそ清々しいくらいにありきたりな答えを、返してみるわけだ。
 
「『降ってくるブロックを積んでいって……横一列埋まった段から消えてくヤツ』とか、
 『色違いの球が二つ一組で降ってきて、同じ色を四つ揃えると消える』とか。

 あと……ああ、アレか。
 『スマホ』の……『カラフルな球が敷き詰めれた画面をなぞって、一筆書きで同じ色を沢山繋げると消えるヤツ』とか」
 
大丈夫だ。
俺は無難な返しができたはずなんだ。
これまでも、厄介事はそれとなくこうやって回避してきた、筈なんだ。

581御徒町『ホワイト・ワイルドネス』【22】:2019/02/13(水) 00:09:00
>>580
>「『プランナー』に『CG』で『作品』っつーと……アレ……ッスか。
> 『ゲーム作るヒト』……みたいな」

     「まあ、今ではしがない講師の身ですがねェ。

      プータロー寸前の『ごくつぶし』共のケツを蹴り飛ばして、
      社会の何たるかを叩き込んでやってる、……不毛な職務ですよ」

腑抜けた生徒の面を思い返しては忌々しげに鼻を鳴らしながらも、
双眸を細め、何処か寂しげに呟いた。

>「俺が知ってる『パズルゲーム』っつーと……」

しかし、多少人間味を帯びたその表情も、
『矢貫』の言外に醸し出される『ビッグタイトル』の数々に、
表情を引き攣らせ、ハゲ上がったコメカミには『青筋』が浮かんでいく。

      「ハ、ハァン、 ……ま、まぁ、そんなところでしょうな。
                   .. . . .
       まあ、その辺りも、よく『出来た』方ですよ。
       対戦ゲームと称して、スピードを上げての『ライヴ感』に終始し、
       パズルゲーム特有の『知略性』に逃げを打ったのも、
       真っ向勝負から背を向けた、と、私は解釈してますがねェ……」

三つ上がったタイトルから、明らかに一作にのみ『敵意』を剥き出しにしながら、
ギリギリと奥歯を削ってまで擦り潰している。『無難』な返しとはならなかったようだ。

      「まあ、貴方はパッと見、25〜6と言ったところでしょうが、
       所詮は『娯楽』とはいえ、真に面白いゲームを知らないと見える。

       ネット回線を通じて、『贋作』が蔓延る世の中だからこそ、
       『審美眼』を磨いて、傑作を見抜いて頂きたいと、老骨ながら思いますがねェ」

大きなお世話を絵に描いたような言葉を口にしながら、悠々とベンチから立ち上がる。

582矢貫 湊『ノーバディ・アンダースタンド』:2019/02/13(水) 00:41:49
>>581
 
> 「まあ、今ではしがない講師の身ですがねェ」 
 
一発で合点が行った。
ヒトにモノを教える仕事ってのは教師を筆頭に、
まあ、ある程度こういう、なんだ、『偉そう』っつーか、こう、『こういう感じ』になりがちだよな。
 
「つまりアンタ、アレか」
 
質問ってワケじゃないんだ、俺はもう、ある種の確信を得ていて、
それを確かめるだけのために、敢えて口に出してみたってことなんだが。
 
「アンタ──『ゲームのセンセイ』っつーことか?」
 
往来で、感じの悪い爺さんに声を掛けて、そのまま上手いこと会話が続いたことがあるか?
俺は無い。
 
「す、凄ェよ。とんでもねえ」
 
自分でも驚くような事が起きて、それがどうにか上手いこと運んで、
だから俺はそう、なんというか、舞い上がってたんだと思う。
 
今度こそ切り上げるタイミングだったのに、
ここで別れるのがどう考えたってベストだったのに、
俺がたまたま声を掛けたこのヒトが、ひょっとしたら途轍もない大物なんじゃないか、なんていう、
そんな希望に突き動かされて、ベンチから腰を浮かせた老人を引き止めるように、
言葉を続けてしまったんだ。
 
「ひょっとして、とんでもない『有名人』なのか?
 だって、『アレ』や『ソレ』みたいな有名ドコロに対してその言い草……!
 
 なあ、セイセイ一体──『何者』だ?
 どんな『ゲーム』を作ったセンセイなんだ……?」

583御徒町『ホワイト・ワイルドネス』【22】:2019/02/13(水) 01:11:15
>>582
>「アンタ──『ゲームのセンセイ』っつーことか?」

    「あまりにも飾り気がない言い方で驚きましたがねェ、

     ……いかにも、その通り。
     正確に言えば『マルチクリエイティブインストラクター』とかいう、
     まぁなんとも舌を噛みそうな『肩書』こそ与えられてますがねェ、
     これも私の『実績』に類する『専門職』が存在しないが故に、
     経営陣がない頭を振り絞って、一生懸命考えた『カンムリ』ですよ」

肩書を敬遠するような言葉を吐きながらも、
口角をニヤつかせ、一発でスラスラと和製英語を唱えていく。

    「私は『御徒町満志』なんて立派な名前がありますがねェ、
     先ほども申した通り、これはもう覚えなくて結構ですよ」

        ブロロロロ・・・
                        ブシュゥゥゥ―――


ゆっくりと立ち上がり、勿体付けるようにのそのそと歩き始めると、
丁度いいタイミングで『バス』が停車し、その扉を開く。

    「まあ、興味があるのでしたら、
     DSでもなんでも、『移植』が出てますからねェ、
     
     貴方が、私をどういう目で『センセイ』と見るかはねェ、
     これはもう、『おかしなマーチ』をやってみる以外ありませんよ」

それだけを言い残し、パスカードを運転手に見せた後、
『優先席』に座る高校生を睨み付けて立ち上がらせると、
満足気にシートに腰掛けて、


                   ブシュゥゥ――――


乗り合いバスに揺られながら、去っていった。

584矢貫 湊『ノーバディ・アンダースタンド』:2019/02/13(水) 11:44:48
>>583
 
「『マルチクリエ……トラクター』……?
 ああ、その、凄いんだな……。凄いセンセイ……」
 
意味はひとっつも分からないが、なんであれきっと凄い肩書なのだろうと、
俺に学が無いだけで、きっとそうなのだろうと、適当に曖昧に相槌を打つ。
 
>「私は『御徒町満志』なんて立派な名前がありますがねェ、
> 先ほども申した通り、これはもう覚えなくて結構ですよ」
 
「ああ、『御徒町』センセイ……か。
 しかし『覚えなくて結構』ってのは、アレだな……」
 
『作品が広まることが誉れ』みたいなこと、確かに言ってたっけな。
ただ目の前のこのヒトから感じる強烈に『アレ』な感じ……なんて言うんだ?
こう、ゴリゴリっと来る感じ。なんて言うのかな、ええと、つまりこのこういう感じな。
そういうのからすると、自分の名前は名前で、広まって欲しいと思うんじゃないかって印象もあるんだけど。
 
「俺は『矢貫』。『矢貫湊』
 名乗られちまったから、名乗り返さないってのはこう、良くないだろ」

『挨拶はきちんと』。『名乗られたら名乗り返す』。
そのくらいのことはきちんと、きちんとやらないと、
俺みたいな『底辺』は、簡単に『本当の底辺』になっちまう。
それはマズい。『本当の底辺』になっちまったら、もう、誰も見下せなくなる。
 
 
>      ブロロロロ・・・
>                       ブシュゥゥゥ―――
 
 
そんなやり取りを続けてる内にいいタイミングでバスが来て、
どうにも御徒町センセイが乗り込む予定のバスだったみたいで、
いよいよこれでお別れ解散って具合になるんだよな。
 
感じの悪い爺さんに声掛けたと思ったら、とんでもない『業界人』に出会っちまった。
こういうことがあるんなら、下向いて歩くのもまあ悪いことじゃないんじゃないか、なんて思えて、
思えて、いたんだが……。
 
 
> 「貴方が、私をどういう目で『センセイ』と見るかはねェ、
>  これはもう、『おかしなマーチ』をやってみる以外ありませんよ」
 
 
「そんなゲーム、聞いたこともねえよ。
 アンタほんとに、偉い業界人なのか……?なあ、センセイ」
 
 
去りゆくバスの後ろ姿へ向けて、最後の疑問を、呟くように零してみた俺は、
腑に落ちないような釈然としないような気持ちを抱えたまま、歓楽街を後にする。

585今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/17(日) 00:31:02

             ブロロロロ…

「…………」

バスに、乗り間違えちゃったんだよ。
大通りに行きたかったんだけど。
早めに気づいて降りられてよかった。

「……」

「よいしょ」

とりあえずフツーに、逆向きのバス停で次のバスを待とう。
待ち合わせより早く家出てよかった。ギリギリ間に合うよね。

他にバス待ちをしてるのは、あの人(>>586)だけかな?

586夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/17(日) 05:04:50
>>585

他にバス待ちをしているのは一人だけ――『だった』。
なぜなら、視線を向けた直後に、もう一人増えていたからだ。
その人物とは……??

いや〜〜〜まいったまいった。
『ホシミカイドウ』にいきたかったのに、
まちがえて『ホシミヨコチョウ』にきちまったぜ〜〜〜。
それもこれも、バスのとまるバショがよくない!!
まったく、まえからまぎらわしいとおもってたんだよな〜〜〜!!
まぁ、はやめにきづいておりられたからヨシとするか。
まちあわせじかんより、ちょっとはやくでてきたから、ギリギリまにあうな!!
イズミンは、もうアッチついてんのかな〜〜〜??

「――おん??」

思いがけない場所で『待ち合わせ相手』の姿を見つけて、
ポカンとした表情を浮かべる。
まさか、偶然にも『同じ乗り間違え』をしていたなどとは夢にも思わない。
しかも、それに気付かなかったなどとは、そうそう起こることではないだろう。
さては『スタンド』のしわざか??
『ホンタイ』はどいつだ??

  「イズミン??あれ??」

       「ここ『ホシミカイドウ』だっけ??
        まちがえたとおもったけど、じつはあってた??」

                          「――そんなワケねーしな」

        キョロキョロ キョロキョロ キョロキョロ

辺りを見渡し、現在地を確認する。
もちろん、ここは『星見街道』ではなく『星見横丁』だ。
そのことを改めて把握してから、イズミンに向き直る。

587今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/17(日) 15:08:47
>>586

「あれっ!」

「ユメミン……!? あれ、今日こっち集合でしたっけ??」
「えっ?」「でも」「星見街道ってラインで」「言ってたし」

          キョロ  キョロ

これは、焦ると思う。

「こっちは星見横丁だし」「まぎらわしいけど」

行き先は『大通り』だった。
それは間違い無いはず、なんだけど。

「……あのー」

「ひょっとして」
「ユメミンも、バス乗り間違えちゃった……とか?」

フツーそんなことある?って思うけど、ユメミンはフツーじゃない友達だ。
もしかすると私と同じ間違いを偶然しちゃったってことも、あるのかもしれない。

588夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/17(日) 22:21:15
>>587

「――うん」

頷いた。
どうやら本当らしい。
何百億分の一の奇跡が起きたのかもしれない。

「でもまぁ、ちゃんとあえたんだし、よかったよかった。
 よのなか、めずらしいコトもあるもんだ。
 こんな『ミシュランみつぼしクラス』のハプニングがおきるなんて、
 きょうはツイてるな〜〜〜」

「そういえば、イズミンさいきんなんか『かわったコト』とかなかった??
 『バスのりまちがえた』ってコトいがいで」

いい感じに場が和んだところで、気分も新たに話題を変えてみる。
時間は立ち止まらない。
与えられた時間は十分に楽しむべきだ。
いつか自伝を出版した時に、この言葉を忘れずに入れておこう。
なによりも、『きりかえがはやい』のがユメミンのとりえなのだ。

「ユメミンは、やすみちゅうに『こもり』のバイトしてた!!
 とまりがけで『みっかかん』!!うん――まぁそんくらい!!」

589今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/17(日) 23:13:41
>>588

「へええっ」

「珍しい事もあるんですねえ〜っ」
「でも、そうですね、会えてよかったです」
「あは、そこのところはツイてますよね」

                ニコ

ハプニングをツイてるっていうのは、ユメミンらしい。
イズミンらしさは……そうだ。フツーであることだ。

「私は……そうですね、『旅行』行きましたよ!」
「なりゆきで、芽足さんと二人で」

ユメミンは同学年だし名前くらいは知ってるかな。

「日帰りですし」「お土産も買いそびれたんだけど」
「けっこう楽しかったですね」

ユメミンになら話してもいい気はする。
でも、先に向こうの話を聞いてみよう。
こっちの話は、ちょっと長くなるし。

「それにしてもバイト、いいですねえ。青春って感じで!」
「でも、『三日間子守り』って、知り合いのお子さんとかですか?」
「あんまり周りでは聞いた事ない仕事ですけど」

泊まりのバイトは、センパイで行ってた人がいた。
リゾートバイトっていうんだったかな。ユメミンのはちょっと違いそうだけど。

590夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/18(月) 00:16:44
>>589

「『チダリ』――??『チダリヨロズ』!!」

「まちがいなく『ウサギ』だな。よにもめずらしい『ロボットのウサギ』だ」

うんうんと納得したように首を縦に振る。
じつは『ロボット』だとかいうウワサをきいたことがある。
そのハナシがマジかどうか、いつかたしかめねばならんとおもってたところだ。
ちなみに『ウサギ』というコトバは、『キョーミのたいしょう』をイミする。
『アリス』は『ウサギ』をおうものであり、わたしは『アリス』だからだ。

「いや、ぜんぜん。しょたいめんで、カオもナマエもしらんかったコたち。
 わたしとサトリちゃんってコがいっしょにやったんだけど」

「じつをいうと、ちょっと『ワケありなシゴト』ってヤツでさぁ。
 イズミンの『センセー』とか、そういうカンケイのヤツっていうの??」

「かいつまんでいうと、『スタンドもってるコドモ』のせわをするっていうバイト。
 そこのシゴトは、ちょっとまえにも1かいやったコトがあってさぁ。
 そっちは『こもり』じゃなくて、『しあい』だったけど」

『試合』の方は、詳しく話さなくてもいいだろう。
そこからはなしだすと、スゲーながくなるからな……。
まぁ、それはそれとして――。

「コドモたちとあそんだりゴハンつくったりキョーボーなニワトリとたたかったり、
 あいまあいまにちょっとしたトラブルもありつつ、
 さいごに『ワルいヤツ』もでてきたけど、
 ふたりがかりでビシッとやっつけてハッピーエンド!!」

「――ってカンジ??」

バイトの流れを大雑把にダイジェストで語る。
だいたい説明できたと思う。
イズミンの日帰り旅行の話も気になるところだ。

「あ!!ふつかめのディナーはわたしがつくった!!
 『トマトとツナのパスタ』と『セロリとレモンのヨーグルトドリンク』!!」

「――イズミンは??いや、メシのハナシじゃなくて『リョコー』のハナシ」

591今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/18(月) 01:19:57
>>590

「そうそう、『ロボット』の芽足さんです」
「楽しい人ですよね」

ロボットじゃないかもしれないけど、ロボットなんだ。
ウサギ?っていうのはよくわからないけど。
ユメミンのことだし、なにか面白いことなんだろうな。

「えーっと」「話せば長くなるんですけど」
「『見たことのない町』にいきなり迷い込みまして」
「そこから出るためにいろいろ頑張ったりしたんですよね」
「あと、砂浜でお城作ったりとか」「クレープ食べたりとか!」

「『フツーの旅行』ではなかったわけなんですけどね」
「フツーじゃない部分がちょっと語りづらい感じでして」

カレンさんとタマキさんのことは言い触らす気はしない。
多分、それはフツーに、やるべきじゃない気がするから。

「それにしても」「ほんとワケありって感じですね」

ユメミンはフツーじゃない世界に飛び込んでいける。
それにしたって、なんだか危なそうな話だ。

「試合ってたしか、『地下闘技場』でしたっけ」
「まんがみたいな」「最初に会った時話してたやつでしょ?」
「フツーじゃないですよねえ」

闘技場が『子供のお世話』を依頼するなんて、フツーじゃない。
お客さんの『託児室』とか、そういう話でもなさそうだし。
それ、闘技場をする会社とかじゃ、ない気がするんだ。

なにか私が知らない『フツーじゃないもの』があるんだろう。

「……」

「ね。パスタ、今度私にも食べさせてくださいよ」
「私も」「そこじゃないけど、おすすめのクレープとか教えますから」

ユメミンはそういう世界を夢見てるんだろう。
私は……私は、じゃあ、どういうきもちに、フツーになるべきなんだろう?

592夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/18(月) 02:08:28
>>591

「きづいたら、『みたコトのないマチ』にいたって??
 つまり『フシギなセカイ』にリョコーしてたってコトか〜〜〜」

興味深そうな表情で、イズミンの言葉に耳を傾ける。
『不思議な世界』の香りを受けて、サングラスの奥の瞳は輝いている。
同時にバスに乗り間違えるよりも珍しいかもしれない。

「でも、ここにイズミンがいるってコトは、ぶじにだっしゅつせいこう!!」

「――ってことて、よかったよかった!!」

もうちょっと突っ込んで聞いてみたいけど、なんとなくイズミンの歯切れが悪い。
それを察知して、あえて深く質問はしなかった。
フシギなハナシはスキだ。
だけど、イズミンはトモダチだし。
せっかくこれからあそぼうってときに、
イズミンをイヤなキブンにさせてまでききたいハナシでもない。

「あ〜〜〜そうそう、ソレソレ。そのへんのつながりで、ひきうけたってカンジ??
 『しあい』のほうは、やるコトなくてヒマだったら、またいつかやろっかな〜〜〜」

「お??じゃ、こんどつくろっか??わたしんちでもいいし、イズミンのトコでもいいし。
 それか、ガッコーのカテイカシツでもいいけど。
 けっこうコウヒョウだったからな!!イズミンもきにいるハズだ!!」

「――しかし、なんつーかアレだな……。
 こうやってイズミンとしゃべってると『ホッとする』っていうの??
 『フツーのセカイ』にかえってきたってカンジがするんだよね〜〜〜」

「『フツーのセカイ』があるからこそ『フシギなセカイ』があるっていうか。
 わたしは『フシギなセカイ』がスキだけど『フツーのセカイ』もあってほしいんだよね。
 だって、『フツー』がなかったら『フシギ』もないワケだし」

「――って、ユメミンがいってたよ」

593今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/18(月) 02:42:39
>>592

「そうなんですよ、多分『スタンドの世界』?」
「詳しい事は全部はわかんないんですけど」
「でられたから、いいかなって」

白い本の正体とか。
これからどうなるのかとか。
あの世界は跡形もなくなっちゃったのかな、とか。

「うーん、どうせならユメミンの家でやりません?」
「キッチンとか、使い慣れてるでしょうし」
「まあ場所はともかく――――楽しみにしてますねっ」

分からない事はあるけど。
こうして出られて、友達と『今度』を約束できる。

「……もしですよ」「もし、また『試合』とか出たりするなら」
「フシギの国に行ったりするなら」「そうしたら」
「ちゃんと最後は、こっちの、フツーの側に帰ってきてくださいね」

「イズミンは、いつでもこっち側で待ってるんで!」

『今度』。
いずれユメミンは、また別の『不思議の世界』に行ってしまうに違いない。
だから友だちの私は、フツーの『日常』のひとつであるべきなんだ。
不思議の国のアリスは……フツーの現実に帰るまでが物語だから。

私は、そういうふうに思うんだ。

「……」

「あはは、大袈裟な事言っちゃった」

私は、こっち側にいるのでせいいっぱいだから。

「あっ、そういえば……今日は最初どこ行くんでしたっけ?」

そういえば予定とか決まってたっけ。ライン見たらわかるんだけど、一応聞いてみる。

594夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/18(月) 20:44:48
>>593

「おう、まかしとけ!!こんどのやすみ、あけとくから!!
 イズミンも、あけといてくれよな!!」

何はともあれ楽しみだ。
ユメミンのいがいなイチメンがあきらかに!?
こんしゅうまつのランチタイムをみのがすな!!

「――――うん」

「わたしはイロんな『フシギ』をみつけたいからさ。
 そのためには、いっかいもどってこなきゃいけない!!
 ひとつのばしょへいったきりじゃあ、ほかのトコいけなくなるし」

『フツーのセカイ』は、わたしにとって『中継地点』みたいなものだ。
たくさんの『フシギなセカイ』に繋がってる特別な場所。
ある日アリスが『ウサギ』を追いかけて別の世界に行ったみたいに、
時々『フツーのセカイ』に転がっている『ウサギ』を追いかけていくと、
こことは違った『フシギなセカイ』へ行くことができる。

「『こんなコトがあった!!』って、イズミンともオシャベリしたいしさ。
 だから、かえってくるよ。そんときは、またハナシきいてね!!」

      ニッ

そう言って、明るく笑った。
なんだか安心できた――――ような気がする。
上手く説明できないけど、なんとなくそう感じていた。

「『あそびにいこう』ってハナシはしてたけど、バショきめてたっけ??
 そういえば、『たまにはノープランもイイよね』って、ユメミンがいってたきがする。
 イズミン、どっかいきたいトコある??」

「あ!!じゃあさじゃあさ、『ざっかやめぐり』する??
 ざっかやさんって、かわったモノがイロイロあってオモシロイからさぁ〜〜〜。
 『マスキングテープ』もケッコーおいてあったりするし!!」

スマホを取り出して、近そうな雑貨屋を調べてみる。
『星見街道』だけじゃなくて、今いる『星見横丁』の方も当たってみよう。
こういうトコに、いがいな『あなば』があったりするもんだしな!!

「――――『かわったモノ』っていったら、
 『こもり』と『しあい』のあいだぐらいのタイミングでみかけたんだけど」

「『かわったほん』でさ、『しろいほん』だったんだよね〜〜〜。
 なかもそともまっしろだった」

「よくわかんないけど、『スタンドをつくるほん』だってカンケーシャがいってたよ」

595今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/18(月) 22:49:26
>>594

「それじゃ、次の休みはそれに決まりで!」

スケジュール帳にちゃんとメモしとこう。

「あは」「きっと、また聞かせてくださいね」
「ユメミンの……不思議の国の冒険の話」

フツーじゃない旅をする友達がいる。
私は……私はやっぱり、フツーの私でいよう。

「あ、決めてませんでしたっけ」
「どうりで記憶にないと思った」

         キョロキョロ

「それなら『横丁』で遊ぶのもフツーにありですね」
「この時間から、怖い感じでもないですし」

夜に来たことがないわけじゃない。
けど、あんまり来たいって思う感じではなかった。

「雑貨屋さんも、ちょっと珍しいのがありますよ」
「今日は私が案内しちゃおっかなっ」
「ネイル用品とかも置いてますし」「……?」

でも、昼にユメミンと遊ぶならすごくいい場所なのかも。
だから意気揚々ってきもちになって辺りの地図を思い浮かべてた。

「……本?」

そしたら。

「スタンドの白い本って」「え」「またすごい偶然ですねえ」
「私が『旅行』した世界を作ってたのも、白い本だったんですよ」

偶然にしては出来すぎてる、フツーじゃない話。

「まあ、真っ白ではなかったんで……別本かもしれませんけど」

とりあえず、雑貨屋さんに歩き出そうかな。
ユメミンが話に集中したそうなら、もう一回ベンチに座ろう。

596夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/19(火) 00:53:54
>>595

「うんうん、イイカンジに『ノープラン』っぽくなってきたぞ。
 じゃ、このヘンをテキトーにブラブラしようぜ!!
 ちょうど、あたらしいネイルパーツもほしいとおもってたし!!
 きょうはイズミンのオススメのみせをショウカイしてもらおっかな〜〜〜??」

スマホをポケットにしまう。
イズミンが歩き出したのに合わせて、こっちも歩き始めた。
その道すがら、話を続ける。

「え??マジ??
 バスのりまちがえたコトといい、きょうはグーゼンがおおいひだな〜〜〜。
 『ミシュランみつぼし』をこえた『レジェンドクラス』のひとさらじゃないか??
 『なんびゃくおくねん』にいちどの『チョーなんかスゲーきねんび』ってなづけよう」

「――――なるほど!!『ベツのほん』ってカノウセイはあるな!!
 わたしがきいたハナシだと、ひとつじゃないっぽいらしいし」

少なくとも複数あるという話は聞いていた。
だから、イズミンが見たのはユメミンが見たのとはベツのヤツだったかもしれない。
まぁそれでもスゴいグーゼンなんだろうけど。

「ユメミンがみた『しろいほん』は、ちっちゃいコがもってたんだ。
 このマチで、そのコをおいかけてる3にんぐみがいて、
 オモシロそうだったからユメミンも4にんをおいかけた」

「3にんは『しろいほん』にようがあったんだけど、なんかカンチガイされてたみたいで、
 『しろいほん』をもってるコににげられてたんだって。
 それで、ユメミンは3にんのテツダイをして、そのコをつかまえた。
 あとは、4にんがはなしあってゴカイがとけて、いっけんらくちゃく!!」

『スタンドを作る本』を使って、誰かが何かをしようとしているらしい。
そして、夢見ヶ崎こと『アリス』は三人に協力すると約束した。
その約束は、まだ続いている。

「そのコのナマエ、なんていったっけ」

「ああ、そうそう――――たしか『カレン』だった」

597今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/19(火) 01:40:37
>>596

「マスキングテープとネイルのパーツだと〜」
「確かこっちの方にそれっぽいお店があったような」
「ファンシー雑貨みたいなお店で」
「確かほかのアクセも売ってましたよ」

ノープランだし、立ち止まって調べたりはしない。
ほんとに迷っちゃったらフツーに調べるけど。

「ね、すごい運命って感じしますねえ〜」
「今朝の占いは『6位』だったんですけども」

べつに運がいいってわけでもないけどね。
バスに乗り遅れたのはフツーに失敗だし。
雨降って地固まる、って感じの日なんだよね。

それから、歩きながら本の話を続ける。

「えっ、たくさんあるんですかっ!?」

大切なものって聞いてたからてっきり一つかなって。
でも、たくさんあるものでも『自分の』は大切か。

それに、結構危ないものだし。
いや……それよりその話の、子供って。

「カレンさん……やっぱり」

カレンさんを追ってた人たちは危なくないのかな。
普通に元気そうだったし、そこは心配いらないか。

「私もたぶん、そのカレンさんと知り合いですよ」
「例の『旅行先』で会いましたし」
「そうなると本自体は同じもので」
「後から表紙に文字が出てきた……のかな?」

「なんだか、本当にフツーじゃない本ですよねっ」

スタンドを作るだけじゃなく、生きてるみたいな本。
その仕組みもまた別の誰かのスタンド、だったりするのかな。

         スタスタ

「あっ、あったあった。ここですよユメミン!」

そうこう話してると、目当てのお店に着いていた。
あとのことは……ここで買い物しながら考えればいいかな。

598夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/02/19(火) 19:33:20
>>597

「カレンって、ソラにうかんだりできるカレンのコト??
 じゃあ、やっぱりイズミンのいうとおり、おんなじホンなんだろーねー」

まさか名前が一緒の別人ってことはないだろうし。
あの時に見た本が、イズミンの『旅行』した世界を作ったってことなんだろう。
ソレがどういう世界だったのかは分かんないけど。

「いくつあるかはわかんないけど、サイテーでも『2つ』はあったみたいだよ。
 さっきいった3にんぐみも、おなじホンをもってたみたいだから」
 
「『ふるほんや』からてにいれたとかナントカ。
 その『ふるほんや』は、このマチのはずれにある『おやしき』からしいれたって。
 カレンは、その『おやしき』のシュジンから『しろいホン』をあずかったんだってさ」

「わたしがみたときは、ナンもかいてなかったハズだから、
 『あとからでてきた』ってスイリがユウリョクだな!!
 3にんぐみも、おなじようなコトいってたし。
 『とつぜんモジがうかんできてバケモノがでてきたからたおした』って」

「その3にんは、ホンをみつけしだいショウキャクするきだったとか。
 だから、ジブンたちのもってたブンは、もうショブンしちゃったんじゃない??」

「――――で、3にんのハナシだと、そのホンはまだあるっぽくて。
 それをさがしてるみたい。ほら、ナニがおこるかわかんないモノだし。
 レンラクがあったら、またてつだおうとおもってるんだー」

「ね〜〜〜!!ホントに『フシギ』だよね〜〜〜ッ!!」

イズミンが言うように、確かに全然『フツーじゃない』本だ。
だからこそ、興味を惹かれる。
その不思議な香りに、好奇心を煽られる。
また、いつかあの本と遭遇したい。
イズミンの話を聞いて、改めてそう思った。

「――――おっ、なかなかセンスイイみせじゃない??
 イズミンもやるな〜〜〜。どっからみてこっか??
 せっかくだから、ゼンブみてまわりたいな!!」

でも――――今は『フツー』を楽しもう。
気の合う友達と街に出かけて、一緒に買い物したり遊んだりする。
それも、『フシギ』を楽しむのと同じくらい大切なことだから。

599美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/03/28(木) 23:28:16

ラフなアメカジファッションの女が、路肩に停めたスクーターのシートに腰掛けている。
片手には、ついさっき移動販売車から買ったクレープ。
最近、口コミで話題になっている店だ。

「バランスは丁度良いわね。クリームが多すぎて重たいって事もないし。
 五段階評価で『星四つ』って所かしら」

職業柄、流行には敏感でなければならない。
そのために、こうして時折チェックを入れている。
とりあえず、ここも『候補』としてキープしておこう。

「――あなたも今日は機嫌が良いみたいね?」

よく故障する愛車のボディに、ポンと手を置く。
幸いな事に、今日は一度もトラブルを起こしていない。
クレープを食べながら、何の気なしに通りを眺める。

600美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/04/04(木) 23:34:44
>>599

「さてと――――」

しばらくしてクレープを食べ切り、スクーターのエンジンを始動させる。
ここで何度か仕切り直す事も少なくないが、今回は一度で掛かってくれた。
自らも上機嫌で鼻歌を歌いながら、その場を走り去っていく。

「――――あら?」

調子良く街を駆け抜けている途中で、唐突にエンジンが停止する。
どうやら、また機嫌を損ねてしまったようだ。
軽く溜息を吐いて、愛車のボディに片手を置く。

「全く本当に手が掛かる子だわ」

「ま、そんな所もあなたのチャームポイントよね?」



【撤退】

601竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/04/16(火) 00:25:33
「はぁ……」

どうにもアガらない。
調子もうだつもだ。
酒を飲む気分でもなく、なんとなくでゲームセンターに足を運んでいた。

「テーマパークに来たみたいだ、テンション上がるなぁ��」

言ってみたが、やはりアガらない。
いい事やいい刺激があればいい。
それを探しに来た。

「ははっ」

適当に店内をぶらついている。

602芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/04/17(水) 21:23:49
>>601

「ウィゴーちゃん ウィゴーちゃん ウィゴぉ〜〜〜〜ちゃぁ〜〜〜ん
こっちの兎のぬいぐるみか、そっちの熊ちゃんならどっちが良いよ?」

『いや 別にぬいぐるみなんぞ欲しくありませんが』

「おいおいおい おいおいおい おいおいおいおいおいおいおいおぉぉいって
ウィゴーちゃん 可愛い女の子は一つぐらいフワフワなもんを所持しとくのが
乙女の嗜みってもんだぜぇ?」

『誰が乙女だ UFОキャッチャーの中に閉じ込められろや』

「そうツンツンすんのも良いけどよぉ〜 たまにゃー俺もウィゴーちゃんの
デレがそろそろ見たい時期だぜ。なんかとびっきりな血腥いインパクトが
欲しいよぉなぁ〜  ・・・あぁまた落ちた」

UFОキャッチャーでスタンドと共にぬいぐるみを獲得しようとしてる
危ない雰囲気の男がいる。貴方には気づいてない

603竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/04/18(木) 00:33:01
>>602

(うわ)

「うわぁ……」

あれは近づかない方がいいタイプだろう。
遠巻きに見つつ刺激しないようにしよう。

604芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/04/18(木) 20:07:16
>>603

『それと、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト
私の名前は何回でも言うがウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト!
いい加減に脳味噌に叩き込まないと晩御飯は全部流動食にするからな!』

「ウィゴーちゃんが口移してくれんなら、俺はウンコでも喜んで……」

『シャラップ! 誰が誰の下痢を口移ししろって言うんだ?
私にも堪忍袋の緒があるからなっ。それを口にした瞬間に
げの語を喋る前に道連れ覚悟のボディブローお見舞いするからっ』

「……ちっ やっぱクレーンが甘いわ。しょーがねぇから
あっちの菓子取りメダルゲームにする?」

『話聞けよ! はぁーーーーーー・・・っ
えぇ 行きましょう。とりあえず今の話題からチョコレート以外で』

「何でチョコ駄目なのよウィゴーちゃぁん。おりゃあ三度の飯より
ウィゴーちゃんの手作りチョコ食べる為なら喜んで這いつくばって
ウィゴーちゃんの足先から股の上の臍まで舐め上げるってのぉに」

『それ、何の罰にもなってねぇよ! 私の尊厳もろとも全てが
ミキサーで粉々になる奴だわ、それ!
今の品性って表現皆無なワールド空間で茶色い連想ゲーさせるのとか
本当乙女的に無理だからね!』

「………ぅ ぐす。ウィゴーちゃん、やっと自分が雌だってことを
認知してくれて」

『アァ クソ コロシテェ』

「モンキーパンチの事は、本当 心底残念だぜ ファンだったってのぉによ」

『脈絡ゼロかパンチドランカーマスター けどソレは同感です』

喧嘩してるのか何なのか、よく解らない会話をしつつ貴方のいる方向に
奇しくも次にやるゲームの目的が近いようだ。
 このまま無駄に疲れる羽目が嫌なら……無視も最良だろう。

605竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/04/18(木) 20:40:21
>>604

(あれスタンドとやってんのかな……)

(クスリとかやってる系?)

横目に眺めつつ格闘ゲームのコーナーに向かう。
触らない方がいい。

(スタンドが何かは知らないけど、自分の半身だとしたらくっそでかい独り言だねぇ)

606芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/04/18(木) 21:07:19
>>605

「今日もウィゴーちゃんと気ままにデートな刺激もなんもねぇ
一日だったねぇ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトですって。
なんかどっかから視線もありましたけど、まぁ奇行が日常ですからね』

「別に話しかけられたら、普通に返事すんだけどな」

 そのままチロルなり何なり、適当なウィゴーちゃんの好きなもん
幾つか取って俺とウィゴーちゃんの愛の巣へ帰ったわ

607日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/13(木) 21:35:25

              ザッザッ

「……」

         〜〜〜♪

「もしもし、流月ですけどセンパイまだです?
 ……え? なんですかそれェ! なんですか!
 今日来れないって〜〜〜、え〜良いですけどォ」

   「はい、はい、『逆に』ね〜ッ」

          「にへ、分かりました、じゃあまた」

  ピ!

          ツー ツー ツー

「暑〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

           「しかも雨だし……」

耳に当てていたスマホを下げ、電柱にもたれかかった。
ここは屋根がある通り――――だが、外では、雨が降っている。

                   ・・・帰るに帰れない。

608ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/15(土) 22:38:46
>>607

パシャパシャ

小さな少女が走ってきた。
まだ小学校に上がったくらいのように見える。

「ふー」

屋根の下に入り、取り出したハンカチで水滴を払う。
それから、隣に立つ相手に顔を向けた。

「こんにちはー」

挨拶する少女の手には『リード』があり、彼女の足元には一匹のイヌがいる。
『チワワ』だ。世界最小の犬種として知られている。

チラッ

『チワワ』が、少女――『日沼』を見上げた。
その様子からは、これといった喜びや不安は感じられない。

609日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/16(日) 23:01:35
>>608

「あん?」

          クルッ

走ってきた少女に振り向く。
日沼には知らない顔だったが……
特に邪険にする気分でもないので、少し身をかがめる。

「こんちは。急に降ってきたねェ〜〜〜ッ。
 朝、天気予報で雨とか言ってなかったのにさあ」

   「『逆に』雨ってった時は晴れだったりするしさ、
    予報だけは『ストレート』に当ててほしいワケよッ」

            チラッ

挨拶がてら天気への鬱憤を表明していたが、
犬の視線に、それを取りやめて……目を合わせる。

(チワワだ)

「てゆーか犬の散歩? えらいね。この子なんで言うの?」

(なんかチワワにしては珍しい感じ。達観してるってゆーか)

               (犬に達観も何もない気はするけど)

610ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/16(日) 23:50:00
>>609

ブルルッ

チワワは体を震わせて、毛に付いた水滴を落とした。

「今は『ツユ』ですからねー。
『ツユ』だと、よく雨が降るって、テレビで言ってました!」

《…………》

ヨシエは近くに人がいると、こうして話しかけようとする。
孤独を埋めるために、誰かと関わりを持ちたいのかもしれない。
そして、いつものように俺は相手を観察した。
見た所、若い娘だ。
少しばかり『はねっかえり』の匂いはするが、危険は感じない。

「この子は『ディーン』っていうんです。男の子ですよー」

そう言って、ヨシエは俺を抱き上げた。
人間と比べて遥かに小柄な俺の体は、小さな子供でも持ち上げられる。
それによって、俺と『先客』の距離は近付いた。

「いつも一緒にいてくれる大事なお友達ですよー」

チワワは愛想を振りまくでもなく、吼えるでもなく、黙って日沼を見つめた。

「お姉さんは、お買い物の途中ですかー?」

611日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/17(月) 00:48:52
>>610

「詳しいじゃん! 頭いいんだね〜、えーと。
 あっやば、犬の名前だけ聞いて、 
 『逆に』きみの名前聞くの忘れてたわ!」

           ルナ
「先行っとくけど、流月は『日沼 流月(ひぬま るな)』ね」

自己紹介をしつつ、抱えあげられた犬を見る。

「んで、『ディーン』?」

「良い名前じゃん! 『ポチ』って顔じゃないもんね〜ッ。
 可愛いじゃん、チワワってもっとはしゃぐイメージだけど」

       「おりこうさんでさァ〜」

『ディーン』の腹を触ろうと、ゆっくり手を伸ばす日沼。
差し出された犬相手にエンリョをするような殊勝さはない。

「ん? いや〜、待ち合わせしてたんだけど。なくなっちゃったワケよ」

             「だからなんの途中でもないかなァ〜」

612ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/17(月) 01:14:04
>>611

「はーい、えっと――」

「『嬉野好恵(うれしのよしえ)』っていいまーす」

「一年生ですよー」

名前を名乗られ、ヨシエは嬉しそうに名乗り返す。
それは『良い事』だと思った。
何となく俺も嬉しい気がしたのは、多分そのせいだろう。
尻尾が軽く揺れているのが自分でも分かった。

《――これぐらいなら良いか……》

ちょっとした礼の代わりだ。
そう考えて、そのまま触られた。
手触りは柔らかく温かい。

「じゃあ、今は『太陽さん』と待ち合わせですねー」

俺を抱いたヨシエは、雲に覆われた空を見上げる。
俺も同じように空を見つめた。

「『太陽さん』まだ来ないのかなー。『雲さん』とお話してるのかなー」

613日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/17(月) 02:12:32
>>612

「『ヨシエ』ちゃんね。よろしく!
 流月のことも『流月』ちゃんでいいよ。
 子供に敬語使わせるとか、流月はしないからさァ」

「てゆーか一年生!? しっかりしてるゥ〜」

      「流月といい勝負かな……」

小学生相手に張り合うのは、半分は冗談だ。
そうしてディーンの毛並みを撫でていたが・・・

「ん!?」

「……??」

「あ、そーね、ヨシエちゃんカッコいい事言うじゃん」

       (今の誰の声!??)

「むしろ『お月様』とダベってて戻って来るの忘れてんのかもね」

   (ヤバ、焦っておかしなこと言っちゃった)

詩的――――というより、子供らしい純粋さなのだろう。
それはいい、すごくいいんだが、今何か声がしなかったか?

少なくとも、それっぽい人間はいないのだが・・・?

(携帯きり忘れてたかな、でもセンパイあんな声じゃないしィ〜〜〜)

           (いや、普通に切ってたわ・・・今の声何!?!?)

614ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/17(月) 02:50:42
>>613

「じゃあ、『ルナのお姉さん』って呼ぶねー」

どこまでも無邪気に、ヨシエは言葉を返す。
そして、俺は二人のやり取りを見ていた。
何の問題もなかった。
少なくとも、そこまでは。

「あっ、そうかも!
ヨシエとディーンみたいに、太陽さんとお月様も仲良しなんだー」

独り言のつもりだった。
だが、どうやら『聞かれた』らしい。
という事は、『聞く事が出来る人間』だった訳か。

「?」

「どーしたんですかー?『ルナのお姉さん』?」

《…………》

チワワの特徴の一つは大きな目だ。
その両目が、やや細められる。
細めた両目が、日沼を見やる。

「もしかして、ルナのお姉さんのお友達がいたんですかー?」

キョロキョロ

あるいは、首輪に繋がっている『リード』が一瞬光っていたように見えたかもしれない。
それは、見間違いかと思う程にほんの僅かな時間だった。

615日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/17(月) 02:55:50
>>614

「んん、好きに呼んでいいよ。…………?」

(このチワワ!)

(何か目ェ細めてるし)

616日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/17(月) 03:01:28
>>614

「んん、好きに呼んでいいよ。
 お姉さんってのはいい響きだしね!

            …………?」

(……このチワワ!)

(何か目細めてるし! ウケる!
 けど、いや……『何か違和感があった』、ような)

         (んん……この、ヒモ?
           今変な光り方しなかった?)

   ズズ
         ズギャン

――――日沼の背後に立つ、『長ラン』を纏う『ヴィジョン』。

「ん〜いや、気のせいかなァ。
 流月の友達が来てたらよかったんだけどね。
 流月以外ヨシエちゃん以外、見当たらないワケで。
 や、もうヨシエちゃんは友達みたいなもんだけどさ」

        「あっ」

「あとは、『ディーン』もね! 忘れちゃいけないとこだよね〜〜〜ッ」

その手が、『リード』へとゆっくりと伸びる。『光るような素材だったか』?

617ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/17(月) 03:26:43
>>616

「そうだねー。『ヨシエ』と『ルナお姉さん』と『ディーン』だよー」

「三人でお話してるところ!」

『リード』は革製で、首輪も同じだった。
光る事は普通ないだろう。
光を反射するような加工がされていたとしても、『太陽』は隠れている。

《!》

「あっ――」

バッ

『それ』が見えた瞬間、俺はヨシエの腕から飛び降りた。
現れた『スタンド』の手が、俺とヨシエを繋ぐ『リード』に届く前に。
ほとんど反射的な行動だったと言っていい。
『それ』が危険かどうか判断するのは、その後だ。

「さっきからずっと抱っこしてたの忘れちゃってた。
ごめんね、ディーン」

ヨシエは、日沼の『ヴィジョン』に気付いた様子はない。
不意に地面に降りたディーンに気を取られている。
そして、ディーンの視線は『ヴィジョン』に向けられていた。
ヨシエの足元で、『ヴィジョン』をジッと見据えている。

618日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/17(月) 03:53:09
>>617

「ヨシエちゃんディーンとお話しできんの!?
 流月、あんまり犬の言葉ってわかんないんだよね。
 動物が苦手とかじゃ、ないんだけどさァ〜〜〜ッ。
 昔『バウリンガル』……って、犬語わかる機械使ったら、
 鳴き声の意味が流月の想像してたのと全然違ってばっかだったワケよ」

「だからさ〜。よかったら『ディーン』が何言ってるか通訳してくんない?」

一種の予防線でもあるし、単なる雑談の範疇でもある。

地面に降りたディーンを、
そしてその視線の先を見る。
・・・すると、疑問は大きく膨らんでいく。

――――『サグ・パッション』を見ているんじゃないか?

(……あれ!? こいつっ! この犬っ!
 まさかって感じだけど……見えてるワケ!?
 ヨシエちゃんには見えてなさそうなのに、
 『ディーン』には『サグ・パッション』が見えてる……)

     (つまり)

        (――――犬のスタンド使い!?)

  ジリ

(となると、今の声は……まさか、まさかだけど、もう状況は『逆転』してる!)

(声の出所をあてもなく探すよりは、こっちのが早い!)

≪……もしもォ〜〜〜〜〜し≫ 

≪って、こっちから話しかけて聞こえるのかわかんないけどさ≫

           ≪さっき声出したのさァ……『ディーン』?≫

長ランに、とてもじゃあないが『温厚』そうには見えない、大柄で屈強なヴィジョン。
それが、『心の声』のようにして、日沼の考えをディーンの精神へと届けてくる。

619ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/17(月) 19:13:09
>>618

「できるよー。ルナお姉さんも、ディーンとお話しますかー?」

ヨシエは、そんな事を言い始めた。
これだけなら、単に『子供の言う事』だと片付けてしまう事も出来る。
だが、このルナから見れば、『別の意味』も出てくるだろう。
『シラを切り通す』事も考えたが……今さら――か。

《…………》

ポゥッ

再び『リード』が『光』を得た。
『ワン・フォー・ホープ』を発現したからだ。
これによって、ヨシエは『スタンド』を『目撃可能』になる。

「わっ!?」

『スタンド』を見て、ヨシエは驚きの声を上げた。
俺のヤツ以外は見た事がないから無理もない。
実際、俺も驚いていた。
ヨシエを落ち着かせるために、俺は語り始める。

「――――え?うん」

「そうなんだー」

「うん、分かったよー」

ヨシエには、『俺が話す』と言っておいた。
そして俺は、この『図体のデカい用心棒』に向けて『意思』を発した。

《……『俺達』と『アンタら』の間には、『生き物』として大きな隔たりがある。
                      サプライズ
 だが、同じ部分もあるだろうな――『驚 き』ってヤツさ》

《『犬の声が分かる人間』に出くわした時に、どうすれば良いか教えてくれ。
代わりに、俺は『人間の声が分かる犬』に出くわした時の対処法を教えるよ》

《『何もしない』――それが『人間の声が分かる犬』に遭遇した時の対処法さ。
そうすりゃ『その犬』も、アンタには何もしてこないはずだ》

《アンタに尻尾を捕まれたのは俺のミスだ。
アンタのイカつい『ボディーガード』の腕が、俺の尻尾を握り締めてないのが救いだが》

《――――生憎、まだ『人間と喋る』のには慣れてないんだ。
『最初の挨拶』は、こんなもんでどうかな?》

『サグ・パッション』のヴィジョンから目を離さず、『意思』を返す。
口ではこう言ってるが、『油断』はしていない。

620日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/18(火) 00:21:06
>>619

「ヘェ〜〜〜ッ。じゃあ、ちょっとやってみよーかな」

と言いつつもう『やってた』わけだが・・・

            「っとォ!?」

「あれ、『見えるようになった』!??
 なにそれ! 見たことない『能力』……
 って、『逆に』見たことあるヤツのが少ないけどね」

「ごめんごめん、『ヨシエ』ちゃんを驚かす気はなかったんだけどさァ〜〜〜」

ヨシエに『見えている』事に気づくと、
一瞬スタンドを解除しかけてしまう。
怖がらせる気なんてのは、毛頭ないからだ。

≪ちょっ、とりあえずだけどさ、『ディーン』めっちゃ頭いいじゃん!
 犬ってかなり賢いとは聞いてたワケだけどさァ〜〜〜ッ!
  人間語が普段使えないだけで、めっちゃ色々考えてんだね。ビビるわ≫

が、『ディーン』のとりなしを眺める限り、その必要はないらしい。
スタンドの視線を返しつつ、特に構えなどは取らせず……会話をつなぐ。

≪んで、『犬の声が分かる』ヤツに会ったら〜〜〜?
  そんなん真剣に考えたことなかったわ、ウケる。
  ん〜どうだろ、『無視』でいいんじゃないのって気はするけど!
  今話してるコレは、犬語が分かるとかそういうのじゃない気がするし≫

     ≪特にヨシエちゃんと一緒んときは変なのに絡まれてもヤバいでしょ。
       犬の言葉が分かるって自称してるヤツとかさ〜、絶対ヤバいヤツじゃん!?≫

621ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/18(火) 01:00:10
>>620

《ああ、そうするさ。
危険なヤツには近付かないのが一番だ。危険そうなヤツにもな》

『ルナ』は危険そうには見えない。
『ボディーガード』の方は――危険な事も『やろうと思えば』出来そうだが。

《『力』がありそうだ。図体がデカい》

《大体の場合、体が大きいもの程、出せる力も強い。
『自然の法則』ってヤツさ。
俺よりアンタの方が力があるだろうし、アンタより『後ろのヤツ』の方が力があるんだろうな》

『ルナ』と『サグ・パッション』を観察するように見比べて、感想を言った。
俺の『スタンド』とは全く違うタイプだ。
だから、『興味』があった。

《別に深い意味はない。ただ、世の中には『危険なスタンド使い』だっているはずだ。
もし、『そういうヤツ』のスタンドがアンタみたいなタイプだったらどうしようか少し考えてたのさ》

幸いまだ出会った事はないが、人間の世界で言う『犯罪者』のスタンド使いもいるだろう。
そういうヤツらと出くわした時のために、知らない事は知っておきたかった。

《ヨシエを危険から守るには、必要な事だから――な》

622日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/18(火) 01:34:13
>>621

≪センパイにさ〜。『格闘技』ファンやってる人いるんだけど、
  あ、格闘技わかる? 人間の強いヤツが戦うヤツね!
  でさ、体重に差があったりすると全然強さ違うらしーよ。
  まあ、流月の『サグ・パッション』は、デカいから強いってワケでもないし≫

≪『逆に』小さいからパワーが凝縮されてる!
  みたいなのも、マンガとかだとありがちだよね〜ッ≫

        ≪流月達の力も『マンガ』っぽいしさ≫

(犬としゃべってんのが一番漫画っぽいけど! ウケる……)

今のところ、『サグ・パッション』を凌駕する力のスタンドは知らない。
スタンド自体をほとんど知らないのだから、当然ではあるが。
だから『図体』と『破壊力』に関係があるのかも、知らないところだ。

・・・知ってるヤツがいるのかも謎だが。

≪いや〜〜〜ディーンめっちゃ忠犬じゃん!
  今犬派か猫派か聞かれたら犬にしそうだわ、流月。
  まー流月は今んとこ危険なヤツには逢ってないけど、
  明らかに『生きてる世界違うヤツ』とかはいたしな〜≫

≪ヤバい奴に会った時のこと考えとくのは大事なのかもね。
 特にディーンは人間と違って護身用の物とかも持っとけないもんね≫

そういいながら毛並みに触れようとしたが・・・
なんとなく『大人の男』っぽいディーンの雰囲気に、無意識でそれは止めた。

623ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/18(火) 02:04:41
>>622

《ほう?》

『生きてる世界が違うヤツ』という部分が気になった。
事実、『そういうヤツ』がいるという事だ。
危険そうでない『ルナ』が出くわすという事は、俺が出くわす事だってあるだろう。
それは構わない。
出くわすのがヨシエでなければ。

《俺はアンタ達と違って道具を持ったりは出来ない。
後ろ足で立ち上がる事ぐらいは出来るけどな》

ヒョイッ

そう言って、俺は二本足で立ち上がってみせた。
元の高さは人間の言う『20cm』くらいだが、こうすれば少しだけ高い場所に届く。
もっとも、跳び上がる方が早い事もあるが。

《だが、身を守る武器なら用意してある。『牙』と『爪』さ》

人間にはないもの。
それが、『犬』としての俺の最大の武器だ。
今は、それに加えて『スタンド』という武器もある。

《……さて、雨もボチボチ上がってきたな。
待ち合わせに遅れた太陽も、ようやく顔を見せる気になったらしい。
どんな言い訳をするのか楽しみだ》

空を見上げる。
気付けば、雨足もだいぶ弱まっていた。

《さっき、ヨシエは友達みたいなものって言ったな。
だからって訳じゃないが……ヨシエを見かけたら声を掛けてやってくれ
『寂しがり屋』なのさ、ヨシエは》

《……ヨシエには言わないでくれよ。『強がり』だからな》

624日沼 流月『サグ・パッション』:2019/06/18(火) 03:17:23
>>623

「うおっ、芸達者〜〜〜!!」

二足歩行には、思わず喉から声が出た。
ヨシエに笑みを浮かべてディーンを指さす。

≪や、流月にも爪と歯はあるけどさ〜〜〜、
  流石にディーンのがそこは強いか。
  へへ、別に張り合う気はないケド……≫

         スイッ

手を見せる。
爪は丸い。笑みのたびに見える歯は白い。

そして・・・いつの間にか、雨音は遠ざかっていた。

≪ディーンわりと詩的だね〜。
 飼い主に似るってやつかな。
 それとも、『逆』だったりして〜〜〜ッ≫

≪あと、いい子ってとこも『似てる』のかな、言わない、言わない。
  流月、そーいうとこは『逆らわない』し、ちゃんとやるからね≫

            ≪今度は流月から声かけるよ≫

   ザッ ザッ

「ヨシエちゃん、流月そろそろ行くわ。
 お日様が出てきたら『帰る途中』になるワケだからさ」

「んじゃ、『また』ね」

ここで待っていても何も来ないのだし、ヨシエも帰るべきだろう。
挨拶をして、ディーンに手を振ってからスタンドを解除し――――その場を去る。

625ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/18(火) 03:48:45
>>624

《ああ、またな。次に会う事があれば》

「ルナお姉さん、また今度お話しようねー!」

俺とヨシエは、立ち去るルナを見送った。
雨は上がり、雲は晴れて太陽は顔を覗かせている。
遅い到着だが、今日は勘弁してやろう。
そのお陰で、意味のある出会いに恵まれた。

「ねえ、お姉さんとどんなお話したのー?」

《『色々』さ》

「えー?色々って?」

《帰ってから話す――もう『切る』ぞ》

ずっと出しっぱなしにしていると目立つ。
人目についたら面倒な事になるかもしれない。
そうなる前に、俺は『ワン・フォー・ホープ』を解除した。

(さて、家に着く前にヨシエにどう説明するか考えておかないとな)

どうやら言い訳を考えるのは太陽じゃあなく、俺の方だったようだ。
そんな事を思いながら、俺とヨシエは雨上がりの町を後にした。

626宗像征爾『アヴィーチー』:2019/06/27(木) 22:10:43

ゲームセンターの一角に作業服を着た中年の男が立っていた。
目の前にはクレーンゲームの筐体が設置されている。

「――難しいな」

持ち上げられたアームの先には何も無い。
失敗を重ねたせいか景品は開口部の間近まで来ていた。

「位置は悪く無さそうだが」

硬貨を投入する事を止めて筐体を別の角度から観察する。
その間に別の誰かが筐体の前に立ったとしても不思議は無いだろう。

627宗像征爾『アヴィーチー』:2019/07/06(土) 00:31:43
>>626

ほぼ同じタイミングで少年が筐体に硬貨を投入するのが見えた。
そのままの位置に立って彼が操作する様子を眺める。

「なるほど――」

彼はアームで持ち上げるのではなく転がしていた。
その方法を使って慣れた手付きで景品を開口部へ落としている。

「そんな手があったか」

少年が立ち去った後で再び筐体の前に戻る。
そして俺は銀色に光る一枚の硬貨を投入した。

628斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/28(日) 11:07:38
最近、お前ばっかりだなって?そうだな
確かに入った映画館の上映スケジュールが、全部『ネコドラくん劇場版』だったら俺だって呆れる
俺もそう思うんだが、まあ我慢していただく他は無いな。

 *beep*

真夏の分厚く重い雲が、空の3割を覆い、風が雨後の匂いを運んでくる中
俺はゲームセンターの路地裏で椅子に座り、溜息をついていた。
途中で途切れる事がない、1秒以上かかるヤツを


 「まいったな。」


――正確に言うと?

呻きながら倒れ込んでいるヤンキーどもを椅子がわりにして路地裏に座り込んでいた。
辺りには実体化した『鉄球』とヤンキーが同じ数転がっていて、ゲーセンの室外機がブンブンとうるさい
両親を侮辱した連中に同情は無い、が……どうしたもんかな。

或いは、怒りが覚めた後はただ燃え尽きるだけで、ぼーっとするしかないのかもしれない。
スマホから適当に音楽を再生すると、『ボヘミアン・ラプソディー』が流れ出してきた、やっちまったな、ママ。

手のひらで転がしている鉄球が、空の青色を映していた。

629夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/07/28(日) 21:25:58
>>628

音楽に耳を傾けていると、唐突に斑鳩のスマホが着信する。
これは――――『ライン』のメッセージのようだ。
送り主は『アイツ』だった。

   『アゲていこうぜ!!(大量のスタンプ。たぶん29個くらい)』

              …………意図は不明だ。

その場のノリで送ってきたのか、それとも何らかの力で今の斑鳩の気分を察したのか……。
おそらくは、『前者』の線が濃厚な気がする。
いずれにしても、きっと気にする必要はないのだろう。
それほど重要な事ではないだろうから――――。

630斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/29(月) 23:07:58
>>629

ふと見るとスマホに妙な記述が……えーっとライン?ナニコレ。
夢見ヶ崎からだって?なになに……『アゲていこうぜ』?

……意味が解らん。

ついでと言わんばかりに刺身のツマが29個ほど自己主張してくる
彼女のファッション並みにパンキッシュなラインだな、おい。

――お陰で肩の力が抜けちまった、怒るに怒れねえ。
さっさとこの五つ子の小指へし折って、アンチョビとマリナーラのピザでも食うかな。

しっかし、此奴らが難癖つけて来た理由が、今思い出しても笑えるな

「惚れた女にいい所見せようとしたら、ガン・シューティングの前で
俺が現代のジョン・プレストンしてたから。」なんて。

……ジョン・プレストンを知らない?じゃあ『リベリオン』を見ておいてくれ。
きっと退屈はしないだろうから。

俺は『鉄球』を裾から取り出し、チンピラ共の小指に叩きつけてグッドバイだ
枯れ枝を踏み抜いたような音がしたが、まあ俺の両親を馬鹿にしたのが悪い。

631宗像征爾『アヴィーチー』:2019/09/24(火) 22:19:23

ゲームセンターの中に、カーキ色の作業服を着た男が立っていた。
その手には『銃』を握っている。
目の前に置かれているのは、『ガンシューティングゲーム』の筐体だ。

「――やはり鈍っているな」

画面に表示されたスコアを見て、短い感想を漏らす。
いつだったか、ここで『コツ』を教わった事がある。
しばらく経っているせいか、その時と比べて点数は落ちていた。

「もう一度やってみるか」

待っている人間がいない事を確認し、再びコインを投入した。
銃を模したコントローラーを構え、照準を合わせて引き金を引く。
その度に、画面の中で敵が弾け飛ぶ。

「――悪くない」

最終的に表示された点数は、先程よりも上がっていた。
余り人気のないゲームだからか、ランキングにも入っているようだ。
下ろしたコントローラーを、おもむろに元の位置に戻す。

632宗像征爾『アヴィーチー』:2019/10/01(火) 19:01:45
>>631

やがて筐体に背中を向け、出口へ向かって歩き出した。
残された画面には、ハイスコアランキングが映し出されている。
その上位五名の中に、『Avicii』という名前が記録されていた。

633斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/08(日) 13:56:51

 「『牡蠣とマッシュルームのアヒージョ』ね。」

陶器の皿には黄金色の液体……オリーブオイルに浸され、輝く具材たちが
香ばしい香りと共に湯気をあげている、すぐ隣のバゲットは僅かに焦げ目がつき
口に入れなくてもその食感が想像できるようだ

銀のスプーンで牡蠣を掬い上げ、千切ったバゲットをオリーブオイルに浸す。
口に放り込むと心地よい鷹の爪とニンニクの風味が鼻を突き抜ける

 「うん、美味い。」

 (客も少ないし当たりかもな、この店、『運動』の後には美味しく食べられる。)

少し前までは『チンピラ狙いの通り魔』の話も合ったが
今ではとんと聞かなくなってしまった、この町の噂は足が速いのだろう

クラスメイトも今では病院から戻って、元気にクラス内でバカ騒ぎをしている
彼の妹も病院のベッドの足元で、縋りつく必要もなくなった

だからこうして、僕もゲーセンの裏側にこじんまりと構えた店のテラスで
こういう料理を食べられる、立地の割には随分と静かだし、有難い事だ。

 「……つまり、目下の僕の問題は『通り魔』より『ボーイズギャング』の方か。」

目と目が合って2秒でガン付け、ポケモンじゃあるまいしと言いたいが

『ヤクザ』と『チャイニーズマフィア』だのが三つ巴で仲良くしていたところに、
隣の県から別のボーイズギャングが入ってシマ争いになったり、ロシアンマフィアが出張って来たり
挙句の果てには、それにエクリプスの残党が絡んでもう訳が分からない。

おまけでこの前、スタンドの事で『聞き込み』をしたらそいつがボーイズギャングで
双方に眼を付けられた上にお呼ばれする。

 (『治療の能力を持つスタンド使いを探す事』を条件に幾つか仕事を引き受けたけど)
 (見つかるかは怪しいかな。)

 (――体育倉庫の壁に大穴を開けた奴も見つかっていないし。)

他に手はないので致し方ない事だ、そう自分に言い訳をしながら牡蠣をもう一つ口に放り込む
新鮮な牡蠣の食感が舌で踊る、食べたら無くなるのが口惜しい。

634宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/08(日) 17:01:11
>>633

ゲームセンターの方向から、
カーキ色の作業服を着た男が歩いてきた。
おもむろに顔を上げた彼の視線が、
テラス席に座る斑鳩の姿を認める。
そして、男は近付いて来た。

635斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/08(日) 17:10:23
>>634

多少陰鬱な気分だが料理の美味しさに舌鼓を打つ
そんな折に此方へ歩みを進める姿を、視界がとらえた

猛禽類のように鋭い眼光、カーキ色の作業服
暫くして律儀な男性だと言う事を思い出す、そうだ、前にあったのはあの湖だった

 「――おーい、宗像さん」

笑顔で手を振る
こういう場所で会うとは思わなかったが、意外な発見もある物だ

 「どうしたんです?宗像さんもお昼ですか?」
 「ゲーセンやった帰りには見えませんけど。」

彼は確かスタンド使いだった……筈だ。

636宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/08(日) 18:06:53
>>635

「この前は世話になったな」

男が近付く。
セーフティーブーツの底がアスファルトを踏む音が響く。
やがて、テラス席の前で立ち止まった。

「そんな時間だったか」

「――気付かなかった」

一旦その場を離れ、入口の方へ歩いていく。
自動ドアの前に立ち、開くのを待つ。
しかし、ドアは一向に開かなかった。
数秒間の後に、
ボタンを押さなければ開かないタイプがある事を思い出した。
社会から遠ざかっていた期間が長いと、忘れてしまう事も多い。

「君を見掛けたから寄っただけだ」

「――よく来るのか?」

間もなく店に入り、斑鳩の向かいの席に腰を下ろす。
注文を取りに来た店員に、
メニューの中で最初に目に付いた料理を告げた。
斑鳩と同様に、男はスタンドを持っている。
右腕に長大な鋸を備えた人型のスタンドだった。
その能力は不明だ。

637斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/08(日) 18:37:55
>>636

 「えっと……ああ、釣りの事ですか?どういたしまして!」

彼が向かいの席に座ると
作業服は兎も角、顔立ちとか佇まいはこういう場所に似合う気もしてきた
もっとも、厳格な理屈ではなく、『なんとなく』という曖昧なものだが。

 「まさか、知る機会も無いでしょうけど僕は学校だと優等生で通ってるんですよ?『基本』は。」

苦笑しつつも首を振る
とはいえ偶然ではなく、此方にはちゃんと理屈がある
フォークをナプキンの上に置き、数日前の事を回想する

 「この前、学校……清月学園の先生と先輩で飯に行くことになったんですけどね?」

 「3人だけだと寂しいなあと思って、知る限りの先輩とその知り合いとかを呼んだんですよ」

 「その時に先輩の1人から教えてもらったんですよね、ここ。」

 「そしたら結構いい店で、今驚いてるんですよ、嬉しい発見という奴です。」

肩を竦める、あの時は奢ると言ったら、結局払いが『何故か』割り勘になってしまったが
まあそれは些細な問題だろう、仲のいい相手が増えるのは良い事だと思う、それが美女なら尚更。

 「それで、僕に用でも無いしここに足を運んだと言う事は……宗像さんは、お仕事関係で?」

638宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/08(日) 19:16:13
>>637

しばらくして、皿に載った料理が運ばれて来た。
血の滴るようなレアに焼かれた赤味肉だ。
カットされた肉を、箸を使って食べ始める。

「あのゲームセンターを知っているか?」

「俺は暇潰しに行く事がある」

自分が歩いて来た方角に視線を向けた。
言葉の通り、そこにはゲームセンターが立っている。
視線を戻し、再び口を開く。

「裏手に設置された室外機の配管が壊れていた」

「――その修理だ」

経年劣化という部分もあっただろう。
だが、それを考慮に入れても使い物にならなくなるには早かった。
誰かが乱暴に扱わなければだが。

639斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/08(日) 20:56:14
>>638

 「室外機の配管……ああ。」

彼に運ばれてきた料理も実に美味しそうだった、だが浮気は良くない事だと皆知っている

飲み込んだバゲットをジンジャーエールで押し流す
口の中の油を流し込むと実にサッパリとするが、あそこの問題はサッパリとはいかない。

 「確か、あの辺りで乱闘を起こしたボーイズギャングがいたかな、誰かの『蹴り』でも当たったんでしょう」

実際、下手な場所だとそう言う連中が占拠して迷惑してるとかいう話だ
そして大抵の場合は店内でもめ事は起こさない、見えないところでやる方が、何方にも都合がよい。
そして『親交を深め合っている』最中に、たまたま脚の位置に近いパイプ……だのがあっても不思議な事では無い。

 「……その中に『いきなりギャングの1人が吹っ飛んだ』、っていう証言が有ったら、信じます?」

――こういう証言の方が、大概の場合は不思議だろう
ただし、何事にも例外は有る。

640宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/08(日) 21:19:34
>>639

「大抵の人間は信じないだろう」

多くの一般人にとっては、稚拙な作り話に過ぎない。
スタンドを知る者であれば、当然その可能性を考える。
もっとも、配管を傷付ける程度なら誰でも出来る事だ。

「斑鳩翔――それが君の名前だったな」

「珍しい名前だと思っていたが」

思い出したように、目の前に座る相手の名を口にする。
箸を置き、グラスに注がれた水を喉に流し込む。
両手を覆う革手袋を直しながら、言葉を続ける。

「『同じような名前』というのは案外いるものだ」

641斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/08(日) 23:15:56
>>640

 「両親から貰った自慢の名前ですからね」

ふと気が付くと、グラスが空になっていた
対して飲んだ気もしないのだが、こういう場所では仕方がない

 「とはいえ、僕が2人も3人もいる、というのは少しゾッとしますけど」
 「喧嘩とかしちゃいそうだし。」

ふと横を見ると枯葉が風に舞って渦を作るのが見える
そういう季節なのだ。

 「誰から聞いたんです?」

642宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/08(日) 23:53:58
>>641

「俺も自分が何人もいるとは思わない」

「同じ名前の人間なら何処かにはいるだろうが」

やがて箸を手に取り、食事を再開する。
その所作は何処か作業的だった。
実際、料理を味わっているとは言い難い。
生身の人間である以上、食わなければ十分な仕事が出来ない。
だから食っている。

「ゲームセンターにいた学生達の会話が耳に入っただけだ」

「話の中に斑鳩翔という名前が出て来た」

「詳しくは知らないが、
 『その斑鳩翔』は何か恨みを買っている様子だったな」

食べるペースは平均よりも速い。
程無くして、皿は空になっていた。
箸を置き、風に舞う枯葉に視線を移す。

「もし君なら教えておこうかと思っていた」

「だが――俺の勘違いだったようだ」

「『優等生』がボーイズギャングと関わりを持つとは考えにくい」

643斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/09(月) 01:12:57
>>642

 「――そうですか」

学校では少なくとも、他人を立て、愛嬌を振りまくと言う事をなんとかやってのけて来た筈だった
ただし、恨まれる心当たりがないわけでは無い、過去の行いとかなら尚更。


 「5年前から……まだ引き摺ってきたのか。」


 その台詞は掻き消えそうなほどに小声で呟かれた。

両親を壊した程度では収まらなかったのだろう
血反吐を吐き、どれだけ努力しても、其処には隔絶した差がある
俺はやったと叫んでも、それは見向きもしない、結果はそこにあり続ける。

自己が到達し得ないと考えた時、とれる手段は二つ
一つ、諦める ……一つ、自分の所まで引きずり落とす。

だが何故? ――そういう物だからだ。
恨みを買わない事も出来たのかもしれない、だが彼はそれをしなかった
才能こそ彼の『アイデンティティ』であり、それを失う事は自己の『ロスト』に他ならないからだ。

だから『しなかった』と言うよりも『できなかった』というのが正しいのだろう。

だからこうして、過去から地虫のように、這いだしてくる物がある
『恨み』という名前の『カス』が。

 「ごちそうさまでした。」

過去が自分の知らぬところで何をしようが、私にはどうでもいい事だ
しかしそれが今を脅かすなら、潰さなくてはならない
奇跡を脅かすなら、潰さなくてはならない。

 「お話、有難う御座いました 次に会えたら、また」

 「――今度はまた、釣りの話でも ワカサギ釣りとかどうです?」

微笑み、一礼し、代金を払い、歩き去る
ただし、今はあるかもわからない目標に当てもなく彷徨う事はしない。

今は目的がある
自分の名を騙る、過去からの恨みを潰す目的が。

644宗像征爾『アヴィーチー』:2019/12/09(月) 01:54:55
>>643

「ああ」

短く答え、そのまま斑鳩を見送る。
そして、背もたれに軽く体を預けた。
座っている椅子が軋んだような音を立てる。

「もし――『その斑鳩翔』が俺の知り合いだったとしたら、
 こう言うつもりだった」

振り返らず、誰に言うでもなく言葉を発する。
聞こえているかどうかは問題にはならない。
これは、単なる独り言に過ぎないからだ。

「今は大きな問題は起きていないようだが、
 それが今後も続くとは限らない」
 
「向かって来た人間の中に、
 『一般人以外』が存在しないという保証も無い」

「『目的』は知らないが、派手に暴れていれば、
 自分以外の人間に危害が及ぶ可能性も生まれる」

「それは家族かもしれないし、友人かもしれないし、
 『力を与えた者』かもしれない」

「壊れた配管は直せる。折れた骨も治る」

「だが、『心』は容易には治らない」

独り言を言い終えて、静かに席を立つ。
燃え残りの灰を思わせる虚無的な瞳が、外の景色を見つめる。
勘定を済ませ、その姿は歓楽街の中に消えて行った。

645鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/20(金) 00:54:32
既に辺りが暗闇に包まれた中でも、この歓楽街は『不夜城』の如く明かりが煌めいている。
このゲームセンターも、その輝きを作り出す一つだ。とはいえ、自分には少し眩しい。
あまりこういった場所を訪れたこともなく、竹刀袋を背負った学生服のこの姿も、少し浮いている気はする。

(…最近は、何の手掛かりもない)

そもそも、刃物による『通り魔』事件自体話を聞かなくなっている。
あの犯人は、身を隠すことに決めたのだろうか。だとするならば、犯人を見つける望みは薄くなる。
もちろん、これ以上犯行を重ねないに越したことはない。だが、罪を償わせないまま放置していいはずもない。
それに、いつまた犯行を始めるとも限らないのだ。

「…結局、できることは限られているけどな」

こうして地道な『見回り』程度だ。手に持っている緑茶のペットボトルに、口をつける。

646???『???』:2019/12/21(土) 00:52:43
>>645

自販機の前で私服姿の少女達が歓談している。
どうという事のない日常的な光景。
その時――――。

    ズッ

自販機の陰から、這うように『腕』が伸びてきた。
五指に鋭利な『爪』を備えた異形の手。
『スタンド』だ。
その姿が徐々に露になる。
スタンドは、『座頭市』のように目を閉じていた。

           スゥッ

スタンドが腕を持ち上げた。
『爪』の切っ先は『医療用メス』のように鋭利だ。
すぐ近くには二人の少女が立っている。

            ――――シュバッ

そして、スタンドの腕が振られる。
その動作は速い。
『高速』だ。

647鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 01:12:42
>>646

少女達の歓談を見ながら、思う。
妹の朝陽(あさひ)も、あんな風な日常の中にいたのだ。それは明日からも明後日からも、ずっと続くと彼思っていただろう。
だが、魔の手というのはいつ襲いかかってくるか分からない。
だからこそ、守るのも難しいわけだが。

「────────」

キャップの蓋を閉めている時に、それは現れた。
『スタンド』。『刃物』。忍び寄っている。その先には二人の『少女』。

「『シヴァルリー』ッ!!」

スタンド、『シヴァルリー』を発現しながら全力で接近する。
『5本』の刃の内、『小指』を除く『4本』まで殺傷力を奪おうとする。手足を使い、間に誰もいない位置で吸収する。
だが、『1本』だけは無効化し切れない。間に合うか。速度はこちらより早い。
間に合わなくとも、必ず『射程距離』に収める。絶対に逃がさない。

648???『???』:2019/12/21(土) 01:37:21
>>647

スタンドの腕が振られた。
しかし、既に『シヴァルリー』は動いている。
視認した『刃』から『殺傷力』を奪う。
それが『シヴァルリー』の能力だ。
そして、その発動はスタンドの動きよりも速い。

    シュババババァァァァァ――――ッ!!

奪った『殺傷力』が飛来する。
しかし、それが誰かに当たる事はなかった。
位置取りは上手く調整されている。

          クルッ

スタンドが向きを変えた。
もう片方の手は陰になっていたが、今は見える。
そこにも『爪』があった。
『爪』は両手に備わっている。
『シヴァルリー』の能力を以ってしても、その全ては無力化できない。

              ――――ババッ

鉄の声に反応したスタンドが、自販機の裏手に素早く後退する。
やはり俊敏だ。
しかし、少女達は無傷で済んでいる。

…………一方で『妙な事』もあった。
あのスタンドが切り付けたのが『自販機』であり
(『殺傷力』を奪われたために正確には切れなかったが)、
少女達には全く触れていなかった事だ。
何が目的なのだろうか?
ともかく、スタンドの姿は陰に隠れて見えなくなった。
しかし、そう遠くには行っていまい。

649鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 01:44:49
>>648

(両手とも…?!『10本』全てを無効化するのは不可能、ならば誰かを傷付けられる前に!直接斬ってやるッ!)

>              ――――ババッ

下がったのを確認した。『殺傷力』を奪われた事に気づいたか。
それとも『遠隔操作型』で、近距離戦には自信がないのか。どちらにせよ、慎重なタイプだ。
『自販機』を切った時の手応えで、こちらの能力には少し気が付いたかもしれない。
相手の能力は一体どんなタイプだ?例えば『自販機』を切ることで、次に触れたものに『斬撃』を伝播させる能力などか?

とにかく追跡を続け、自販機の裏手へと回り込む。逃走ならば、『本体』の近くへと移動するはずだ。

650夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/21(土) 02:07:35
>>649

退避を選んだなら、本体の下へ移動する。
その可能性は高いだろう。
そして、鉄は『シヴァルリー』と共にスタンドを追跡する。
いくら素早いとはいえ、目で追えない程のスピードではない。
今からなら十分に追いつけ――――。

          ド ン ッ !

「あたッ――――」

回り込んだ直後に、『誰か』とぶつかった。
『不思議の国のアリス』をイメージしたようなファッションの少女だ。
床の上に尻餅をついている。
もしかすると、どこかで見たような姿だと思うかもしれない。
おそらく、『神社』で遭遇したような気がしないでもない。

          「おん??」

       「え〜〜〜ッと、ココ!!」

          「あ、コッチか??」

         「いや、このヘンだなタブン」

   「なかなかやるな!!かくれるのがウマいヤツだ!!」

       ササッ       ササッ
            ササッ       ササッ

何かを探しているらしく、床の上を両手で触っている。
本人の『すぐ近く』には『サングラス』が落ちていた。
そういえば、あの時も『サングラス』を掛けていたようだ。

651鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 02:26:55
>>650

>          ド ン ッ !

「ぐっ?!」

何か、人のようなものとぶつかった。これが『本体』か?
素早く『摺り足』で後ろへと下がり、改めて正面を見る。
そいつの体格は自分より小さいのか、こちらは体勢を崩さずに済んだ─────。

「…アリス?」

その特徴的な格好には見覚えがある。あの時『神社』で遭遇した、不思議な少女だ。
すぐ側の『サングラス』に気付いていない様子だ。これも彼女なりのジョークなのだろうか。
普段ならその流れに乗る所だが、今は状況が状況だ。彼女の手を掴み、引き上げ自分の背中側へと回す。
一応彼女の持ち物らしい『サングラス』は踏ませないように気を付けよう。

「アリス、今ここを誰かが通りがかってはいないか?」
「そいつは、あるいはとても危険な人物かもしれないんだ」

『シヴァルリー』は引き続き、前へと立たせる。

652夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/21(土) 02:58:41
>>651

「――――おうッ??」

   グイッ

腕を力強く引かれ、そのまま立ち上がった。
そのために、まだ『サングラス』は拾えていない。
首を傾げながら、鉄の言葉に耳を傾ける。

「あ〜〜〜…………」

「『とおりがかったよ』」

「ソイツは!!とつぜんワタシのウデをつかみ!!
 おもいっきりひっぱりあげたんです!!A・Yさん(16さい)!!」

「しかもスゲーいきおいでゲキトツしたしな。これはキケンだ!!
 もしクルマだったらヤバかったぜ!!」

「まんいちのためにホケンはいっとかないとな〜〜〜」

先程のスタンドは見えない。
既に逃げてしまったのだろうか。
あるいは、ゲーセンの中に『本体』が紛れているのかもしれない。

「それより、クロガネくん。『アリスのサングラス』みてない??
 どっかにフッとんだかな??
 きのうキツクいいすぎたせいで、ジッカにかえっちゃったか??」

落ちている『サングラス』は、まず見落とさないような位置だった。
それを考えると、やはりジョークかもしれない。
ふざけてでもいない限り、普通なら気付くはずなのだから。

653鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 19:37:14
>>652

>「しかもスゲーいきおいでゲキトツしたしな。これはキケンだ!!
> もしクルマだったらヤバかったぜ!!」

>「まんいちのためにホケンはいっとかないとな〜〜〜」

「…なぁアリス!ぶつかったのは悪かった、謝るよ。だが今はふざけてる場合じゃあないんだ」
「最悪、『保険』で治せない傷が付くかもしれない」

相変わらずも呑気な彼女の声に、若干の苛立ちを覚える。
アリスもあの自販機前の少女と同じだ。
『非日常』を求めていると言っていたが、やはりすぐに実感は湧かないのだろう。
こうしている間にも、『犯人』を取り逃がすかもしれないのに。既にあの『シザーハンズ』のようなスタンドは消えていた。

(『音仙』さんから聞いた話では、確か『遠隔操作型』といえど、
 本体から離れた場所では解除できないはずだ…もっとも、例外もあると付け加えていたが)

スタンドの能力を用いれば、遠隔解除も可能かもしれない。あるいは『スロウダイヴ』のように、何かを媒介して逃走したか?
だとするなら、どちらにせよ手遅れだ。どうか、まだ本体が近くにいる可能性にかけたい。

「頼むから真剣に答えてくれ───」「…?」

振り返り、アリスの方を向く。
彼女はまだ自分の『サングラス』を探していた。そこで違和感を覚える。
アリスは自分の感性では分からない冗談を言ったりするが、それをこうも繰り返すタイプだろうか。
あまり一つのことに拘泥する性質ではない。一度会ったきりだが、何となくそう思っている。

「・・・・・・・・・・」

『シヴァルリー』にサングラスを拾わせ、アリスへかけさせる。
もし全てが冗談で、彼女に目が見えているなら、突然浮き上がったサングラスに何らかのリアクションをするはずだ。

654夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/21(土) 21:02:08
>>653

あのスタンドは消えてしまった。
逃げ切られたかは不明だが、とにかく見失った。
だが、まだ本体は近くにいるかもしれない。

「まぁ、おちつけよ??
 シンコキュウして、まわりをよォ〜〜〜くみるんだ。
 そうしたらサングラスもみつかるかもしれない」

「『き』をかくすには『もり』のなか。
 『サングラス』をかくすには『アイウェアショップ』のなか」

「あるいは『まなつのビーチ』だ」

『シヴァルリー』がサングラスを拾い上げる。
『見えている』なら、何かしらの反応が返ってくる。
それが自然だろう。

        スッ

「おお、わるいな!!」

「コレは『アリスのおきにいり』なんだ。
 なかなおりのシルシに、
 まるでシンピンみたいにピカピカにクリーニングしてやろう」

しかし、『際立った反応』は全くなかった。
浮かんでいるサングラスが見えている様子はなく、
それを持つ『シヴァルリー』が見えている様子もない。
おそらく、鉄自身の手で掛けさせても同じリアクションだっただろう。

655鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 21:25:54
>>654

「…相変わらず、元気なようで何よりだ」

やはり彼女の言っている事は、大体半分ほどしか分からない。
それは何かを暗喩しているのか?それともノリだけで、口から思いつくままに語っているのか?
─────『スタンド』を隠すなら、それが目立たない自然な空間の中に隠すと?

「・・・・・」

もっとも、アリスに『シヴァルリー』が見えている様子はない。流石にそれは考え過ぎか。
しかし同様に、浮き上がったサングラスに驚くようにも見えない。
これはつまり。彼女が相当な演技派ではないとして、だが。

「キミは」「『サングラス』がないと、目が見えないのか?」

656夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/21(土) 22:22:11
>>655

「――――うん」

事も無げに言葉を返す。
この言葉が冗談でない限り正しいのだろう。
よく見れば、鉄が見えているのではなく、
声の聞こえる方向を向いているのが分かるかもしれない。

「まだよくみえてないよ。
 インクがしみてくるみたいにジワジワとみえてくるんだ。
 インクのシミって、なかなかおちないよな〜〜〜。
 ガンコなヨゴレは、てあらいでこすらないと!!」

そういえば、あのスタンドは目を閉じていたようだった。
目そのものは存在していたが、開かれていなかった。
閉じておく必要があったのか、それとも開けなかったのか。

「で??なんだっけ??
 はやくいかないと『デートのやくそく』にまにあわないんだっけ??
 だったら、いそいだほうがイイぞ!!」

「さいしょのインショウはだいじだからな〜〜〜。
 わるいイメージがつくと、なかなかきえないから。
 おちにくいインクのシミみたいに」

         キョロ キョロ キョロ

衣服の乱れを軽く整えつつ、辺りを見渡す。
本人の言う通り、まだよく見えていないらしい。
黒目がちの両目が、鉄を見つめた。

657鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 22:46:35
>>656

「──────」

訊ねたからには当然予測していた内容だったが、にも関わらず、その返答にショックを受けている自分がいた。
勿論、世の中にはそういう人間がいるのは知識として得ていた。
明るい光の中でしか物が見えない人間もいれば、光が強過ぎると物が見えない人間もいる。
だが、こうして実際に会ったのは初めてで。しかも、それが既に知っていた人間となれば。

「…そう、か………そういうものなんだな…」

頷き、覚えておく。いずれ彼女や、同じような症状の人間と接する時に、役に立つかもしれない。
『デート』の約束、とのたまうアリスに対して、首を振った。

「いや」「『通り魔』を追ってる」
「正確には、そうかもしれない『超能力者』だ」

だから、自分も伝える。彼女の事だけを一方的に知るのは、フェアではない。

658夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/21(土) 23:25:45
>>657

「そういうモンだ!!」

至って明るい口調だった。
自身のハンディキャップに対する悲痛さはない。
むしろ、今の自分を喜んでいるような雰囲気だった。

「だから『アリス』なんだぞ。
 『このセカイ』が『フシギのクニ』だから」

「――――ホント、『このセカイ』はオモシロイ」

話している内に、徐々に視力が回復してくる。
『闇に閉ざされた世界』から、『光に溢れた世界』に戻ってくる。
それこそが、自分にとっての『不思議の国』だ。

「『トオリマ』??ワルいヤツだ。
 しかも『チョーノーリョク』なんてキケンだな!!
 『チョーノーリョクのホケン』なんてないしな〜〜〜」

『ドクター・ブラインド』に視覚はない。
だから、何が起こったのか見えてはいなかった。
いきなり声と足音が聞こえたから、反射的に引っ込んだだけだ。

「ソレって、どんなヤツよ??オトコ??オンナ??
 トクチョーは??うなじのあたりにホクロがあるとか??」

自販機に『聴覚』を移植して、少女達の会話を聴こうとしていた。
ここは騒がしいから『超人的聴覚』であっても聞き取りづらいのだ。
もっとも――何故か失敗したが。

659鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/21(土) 23:47:30
>>658

「…成る程。キミが『アリス』を名乗るのは、そういうわけがあったんだな」

今の言葉から、視力を失っていた期間が長いことも分かる。
生まれた時からか、あるいは物心付く前には何も見えなくなっていたんだろう。
だが、それ以上境遇を深く考えるのはやめた。目の前の少女が笑っているのなら、それでいいだろう。
少しずつ、ショックから立ち直れてきた。

「そうだな、悪いヤツだ。オレの妹もそいつに『斬られた』」
「この前も言ったが、キミも気を付けろよ」

>「ソレって、どんなヤツよ??オトコ??オンナ??
> トクチョーは??うなじのあたりにホクロがあるとか??」

「分からない。オレ自身は全くその姿を見ていないからな」
「先程見つけた、もしかしたらそうかもしれない『超能力』の姿は…両手が刃物の形をしていた」

660夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/22(日) 00:25:36
>>659

両手が刃物の形。
『ドクター』は両手に『爪』を持っている。
しかし、両手が刃物の形をしているというのは…………。
つまり――――『違うスタンド』だ。
頭の中で、そのように判断した。

「そっかそっか。
 でも、ここでみたっていうんなら『またくる』カモ。
 ハンニンはゲンバにもどってくるっていうし」

「それに、もしかしたら『ショーコ』とかのこしてるカモ??
 イチオーてがかりにはなるんじゃない??
 もしあったらだけど」

世の中にはヤバいヤツもいる。
そして、そういうヤツがスタンドを手に入れることもある。
そういうのを『最悪』と呼ぶか、
『最高にクソ』と呼ぶかは人それぞれだけど。

「で、クロガネくんはハンニンをさがしてんのか。ほうほう」

しばし考える。
そんな人間がいたら自分や自分の親しい人間にとっても良くない。

              ウ  サ  ギ
そして、これは新しい『興味の対象』かもしれないのだ。

「ワタシもてつだおうか??
 『あぶないからいい』っていうつもりだな??
 いや、ゼッタイいおうとした!!」

「でも、『アリス』はイロイロと『ジジョーツー』だから。
 ジョーホーあつめたり、
 ナニかをおいかけたりするのトクイだからさ。
 ミカタにしとくとトクだぜ??」

661鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/22(日) 00:44:33
>>660


>「そっかそっか。
> でも、ここでみたっていうんなら『またくる』カモ。
> ハンニンはゲンバにもどってくるっていうし」

「…かもしれないな」「この『ゲーセン』には時々訪れさせてもらおう」
「しかし、『証拠』か」
「さっきは『女性』を狙おうとしていたかと思えば、『自販機』を切りつけようとしていた」
「生憎とオレの『超能力』で無効化させてしまったから、切り傷のようなものは残していないか」

もし自販機に傷が残っていたなら、警察から『切江』の受けた傷の写真を見せてもらい、
その切り口の称号なども出来たかもしれないが。他に切り傷のようなものがないか、辺りを探してみよう。

「…言おうとした、ではなく実際に言わせてもらおう」「『危ないから、止めておくんだ』」
「目に見えない力に抗う術を、普通の人は持たないんだ。狙われてしまえば、抵抗できない」
「『超能力』を使う人間は、普通の人と見分けがつかないんだからな」

好奇心旺盛で、色々なことに首を突っ込むアリスは、成る程情報通かもしれない。
だが、あまりに危な過ぎる。仮に彼女が何度か危険な目に遭ったとしても、スタンドのそれとは違う。

「…キミにも『超能力』があるなら話は別だが」

もし興味があるなら、『音仙』さんの事を話すべきだろうか。

662夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/22(日) 01:10:06
>>661

「わかりました。『あぶないからやめます』。
 ナニがあってもゼッタイにクビをつっこんだりしません。
 イマここで『チカイ』をたてます」

特に食い下がることもなく、呆気なく引き下がる。
言葉通りなら、『通り魔』の件に関わろうとはしないだろう。
しかし、『それだけ』では終わらなかった。

「でも、アリスは『ジゴクミミ』だからなぁ〜〜〜。
 もしかしたら、
 マチでグーゼン『ウワサ』とかきくコトもあるかもなぁ〜〜〜」

「そういうのをきくコトがあったら、
 クロガネくんにレンラクしたほうがイイのかなぁ〜〜〜??
 だけど、『あぶないからダメだ』っていわれたからなぁ〜〜〜。
 もしきいても、いわずにずぅ〜〜〜っとだまっとこうかなぁ〜〜〜。
 それが『ジューヨーなてがかり』かもしれなくても、
 ヒミツにしとこうかなぁ〜〜〜」

「だって、『ダメだ』っていわれたしなぁ〜〜〜」

      チラ

『大きな独り言』を言いながら、横目で鉄の顔を見る。
『情報通』という部分には、かなりの『自信』があるようだ。
それが『超能力』かどうかは定かではないが。

663鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/22(日) 01:22:40
>>662

>「でも、アリスは『ジゴクミミ』だからなぁ〜〜〜。
> もしかしたら、
> マチでグーゼン『ウワサ』とかきくコトもあるかもなぁ〜〜〜」

「・・・・・・・・」

大きく深く、溜め息をつく。
言って聞くような性格ではない、という事だ。それなら『情報』は得ておいた方がいい。
もしかしたら、彼女が危険な目に遭っても助けられるかもしれない。…手遅れになる可能性の方が高いが。
壁に背中を預け、腕を組む。

「首を突っ込むのはダメだが、手に入れた『情報』は共有したい」
「そういった危険な出来事でなければ、こちらもキミの興味のある事は伝えよう」

どちらにせよ突っ込むんだろうなと思いつつ、アリスにあの事件を話したのを若干後悔した。
とはいえ、現在『停滞』しつつあるこの事件。新たな手掛かりが得られるかもしれないなら、ワラでも掴みたいところだ。
それに彼女はワラのように見えて、意外と鋼鉄製のワイヤーかもしれない。

段々と落ち着いてきた事で、少し彼女と距離を置きながら、視線を外す。
ついでに『シヴァルリー』も解除しておこう。

664夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/22(日) 03:14:28
>>663

「あっ、そう??
 まぁクロガネくんがそういうんだったら、ソレでイイかなぁ〜〜〜」

    ニヤッ

「――――じゃ、『コーショーセイリツ』ってコトで」

ほくそ笑んでいる表情は、まさしく『言っても聞かない』顔だ。
制止されてもされなくても、気が向けば勝手に動いてしまうだろう。
目の届く範囲に置いておく方が、却って安全かもしれない。

「てはじめに『トオリマ』のハナシをくわしくきかしてくれ。
 『イモウトがきられた』っていうハナシ。
 ソレをしっとかないと、
 もしナニかきいてもカンケイあるかどうかわかんないから」

早速、『情報共有』を要求する。
こういうのは一日でも早い方がいい。
『シチューはアツイうちにくえ』ってコトワザもあるコトだし。
イマつくった。
でも、シチューは1ニチねかせたほうがアジがしみてウマくなるぞ。

665鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/22(日) 21:22:06
>>664

「妹、朝陽(あさひ)の事件に関しては、あまり分からない」
「『夕方』『人混み』『不可視の刃』ぐらいだ」
「…事件が起きてから、もうそろそろ一年になるな」

腕を切られた妹の『通り魔事件』を簡潔に話しておく。もっとも、他には特に伝えられるものもない。
その場にいなかった自分が知るのは、妹のかすれた声による説明だけだ。
警察内部なら、もう少し情報があるのかもしれないが。流石に関係者でも、捜査情報は渡してくれないだろうな。
…警察と言えば。

「顛末は省くが、以前とある『漫画家』が作った物語の中に
 そのオレの妹が出ていた。実際に切られた箇所と、同じ腕を傷付けられた状態でな」
「とはいえ、その『漫画家』は既に意識不明だ。全身を切られている」
「その場に居合わせた『警察官』も犠牲になっている…そこからは辿れないだろうな」

暗に、国家権力であり、腕の立つ警察官でも『超能力』の前には立ち向かえない、とも示している。
やはり、これで彼女が引くとは思えないが、少しでも冷静な判断の助けになればいい。
短時間の間に結構喋った。またペットボトルの蓋を開け、茶を飲む。

666夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/22(日) 21:51:58
>>665

「『ユウガタ』、『ひとごみ』、『ふかしのヤイバ』…………」

スタンド能力なのは間違いないだろう。
これで彼が『刃物』に拘る理由も分かった。
そんなスタンド使いがいるとすれば、確かに危険だ。

「なるほど!!わかった!!
 ソイツはゆるせんヤツだな!!
 なんかつかんだらおしえよう!!」

「ダイジョーブだ。ムリはしない。
 それに、こうみえても、それなりにイロイロやってきてるし!!」

    フフン

鼻を鳴らして、得意気に胸を張る。
その『根拠』は不明だ。
しかし、どことなく自信の色が窺える。

「そういえばさぁ――――」

      ジィッ……
              バッ!

言いながら、カラフルなネイルアートの施された爪を眺める。
その直後、不意に両手が勢い良く伸ばされた。
指先が鉄の頬に触れたかと思うと、
そのまま顔を掴んで動かないように固定する。

「『オンナがニガテ』なのコクフクした??
 さっき、ちゃんとワタシのカオみれてたじゃん」

サングラス越しの瞳が、鉄を見つめる。
口元には笑いがある。
悪戯っぽい笑みだ。

667鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/22(日) 22:27:38
>>666

アリスの自信満々な言葉に、僅かに口元が緩む。
彼女の元気に溢れる立ち振る舞いは、聞いているだけでも面白いものだ。
地面を見つめながら、呟く。

「くれぐれも、『ハートの女王』に縛り首にされないようにな」
「でないと、オレも犯罪者になってしまうかもしれない」


>「そういえばさぁ――――」

彼女の言葉に、そちらの方を向く。その視線は手元に向けられていた。
綺麗な付け爪だ。いや、『ネイルアート』と言うらしい。妹が言っていた。
最近のは頑丈で、そう簡単に剥がれることはないんだとか。それにしても、女性の美に対しての努力には恐れ入る。
なにかと『手作業』がやり辛そうなイメージがあるが─────。

「ッ?!」

視界が急に固定された。アリスの顔が、至近距離にある。その綺麗な顔立ちを思わず直視してしまいそうになり、目を瞑る。

「いや、あれは、そのっ…」
「急なことで余裕がないと、忘れてしまうが…落ち着いてしまうと、逆に…ッ!?」

後ろに下がろうとする。でもそう言えば壁だったかもしれない。

668夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/12/22(日) 22:57:15
>>667

「あぁ〜〜〜!!あるよねぇ〜〜〜そーいうコトって。
 『かじだ!!』っていわれたから『マクラもってにげた』とかさ。
 あわててると、ニンゲンかわったコウドウをとったりするモンだし」

    ジッ…………

正面から見つめる。
目を瞑られたが、こちらの行動は変わらない。
そのまま視線を注ぎ続ける。

「じゃあさ――――いま、ドキドキしてる??」

距離を取られてしまった。
しかし、背中に何かが当たる感触があった。
どうやら、すぐ後ろは『壁』だったようだ。

「クロガネくんってさぁ、カッコいいよねぇ。
 ちかくでみると、けっこうキュートだし」

「なんか、ワタシもドキドキしてきたかも」

         ――――パッ

「おっとぉッ!!これいじょうちかづいてるとキケンだな!!
 ドキドキしすぎてシンゾーとまるかもしれない!!」

「あぶねーあぶねー」

          クスクスクス

ふと、気配が離れる感覚があった。
同時に、微かな忍び笑いが聞こえる。
目を開ければ、そこには笑顔の『アリス』がいる。

「じゃ、またねクロガネくん!!
 『ハートのじょおう』につかまらないようにきをつけて!!」

「――――バイバイ!!」

              タタッ

元気よく手を振り、軽やかな足取りで立ち去っていく。
『不思議の国』は続いていく。
今日も、明日も、明後日も――――。

669鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/23(月) 00:25:28
>>668

竜胆さんの特訓で少しは慣れたつもりだったが、全くだった。いや、気持ち的には少し成長しているはずだ。
だが、この距離は近過ぎる。剣道での『鍔迫り合い』に等しい。
いや、女性と剣を交えたことはないが。

「してるしているッ!」「キミが近付いてきた時からしているさッ!」

だから離してくれ、までは流石に情けなくて言えないが。
いや、既にこれは醜態と言っても過言ではないかもしれない。妹に見られたらなんと言われてしまうのだろう。

「・・・・・?!」

褒められているのは嬉しいが、彼女の事だからほぼ間違いなく揶揄われているのだろう。
それでも、こうして面と言われるとより鼓動が早くなるのを感じる。
いや、自分は目を伏せているのだが。

「いや、それを言うなら…」

どう考えてもこの少女の方が美人であると思うのだが。
しかし、それを口にする前に彼女が手を離し、身を引く気配を感じた。
目を開ければ、やはりからかうような彼女の笑顔だ。
全く、ここまで年下に遊ばれてしまうとは。
また視線を落とし、肩をすくめながら床を見る。

「こんな所で二人の少年少女が『不審死』だなんて、笑えないな」
「ああ、またなアリス。最後には、現実に帰って来られるように」

軽やかな足取りで帰っていくアリスを見送る。
肉体的には分からないが、少なくとも精神的に彼女は強い。好奇心に負けない程の、強い意志がある。
彼女が本気で手を組んでくれるなら、心強い仲間になるだろう。
ただ、それでも相手は『スタンド使い』だ。彼女もスタンド使いだったなら、もはや言うこともないが。

「まぁ、それは望み過ぎだな」

一人呟き、自分もペットボトルをゴミ箱に捨て、帰途につく。
『通り魔』に対しての収穫はなかったが、今夜は得難いものを手に入れた時間だった。

670鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/12/23(月) 00:26:02
>>669

671日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/27(金) 22:41:08

年の瀬だ。
師走なんて言うけど私はゆっくり歩いている。
というか走れない。走りたくない。

         ノロ…

      ノロ…

だって、ケーキの箱が両手合わせて4つもあるから。
いくら私が器用でも、走ったらグチャグチャになるから。
グチャグチャでもお腹に入ったら変わらないけど。
でも、ケーキって見た目も込みの値段だと思うし。

ちなみに、これでもケーキバイキングより安上がりだ。
…………もちろん安かったら何でも買うわけじゃない。
ケーキだけでお腹いっぱいになるやつがやりたかっただけだ。
それにしても買い過ぎたかもしれない。ちょっと座るために、ベンチを探す。

672ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/27(金) 23:18:39
>>671

    バサバサバサッ

『鳥』が飛んでいた。
それ自体は特に珍しくもない。
しかし、その鳥は珍しかった。
羽毛の色は白と青と紫のトリコロール。
背中に生えた羽毛の一部が『天使の羽』のように広がり、
頭も『パーマ』を掛けたようにキレイな巻き毛だ。

           ――――ポスッ

「ックシュン!」

「ウフフ、ヒエマスワネ」

「モウホント サイキンハ スッカリ フユデ」

『ケーキの箱の上』に留まった鳥が喋っている。
鳥は多いが、『喋る鳥』は多くない。
この『ハゴロモセキセイインコ』も、その一種だ。

673日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/28(土) 00:10:39
>>672

      ジロッ

「わ〜何何」

日下部は箱に乗った鳥を見る。
ますます走れなくなってしまった・・・

「喋る鳥……『インコ』だ」
「『ユニコーンカラー』みたいでかわい〜」

野生の鳥じゃない気がする。
ペット? 足輪とか付けてないだろうか?
『懸賞金』とか懸かってないだろうか?

              キョロ…

「んふ、インコさんは羽毛だから寒くないと思ってたよ」

     キョロ…

「でもね〜、私『タダ乗り』は良くないと思うなあ」
「料金代わりに、私のこと『ベンチ』まで案内してくれないかな〜〜〜」

「ほらぁっ、空から探してさ……」

そこまで頭いいかは分からないが・・・頭いい猫もいたし。鳥は頭いいらしい。

674ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/28(土) 00:40:31
>>673

色も形も野生の鳥には見えない。
かといって足輪などもなく、ペットでもないようだ。
懸賞金が出ているかは分からないが、
どこかから逃げ出したというのは外れでもないかもしれない。

   「ベンチ」 「アンナイ」 「ソラ」

拾い出された言葉を繰り返す。
それから首を大きく傾げ、鳥の目が少女を見つめた。
このような動きをするのは、そうした方が見やすいからだ。

   「ソレジャア アンナイ シヨウカナ」

        バササッ

インコが飛び立った。
ある方向を目指して飛んでいる。
その先には『ベンチ』が設置されていた。
『偶然』だろうか。
もし偶然だとしたら、『すごい偶然』だろう。

675日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/28(土) 01:18:25
>>674

懸賞金に期待したのは、『見覚え』があるから。
どこかで見たような気がするんだ、この鳥。
何処で見たのかはまったく覚えてないんだけどね。

「わ〜、飛んだ」
「案内してくれるの? インコさん頭いいんだ〜」

           ノロ…

              ノロ…

「・・・あれ」

これは、驚いた。
なんとなく追いかけてみただけなんだけど。

「すご〜い。ほんとに頭いいんだ〜〜〜」

『鳥語』が喋れる人間がいる。
『人間語』を喋れる鳥もいるってことかな?      

もしかしたら全部偶然かもしれないけど、偶然でこんなことある?
目の前で起きたことを信じる。とりあえずは、ベンチに座りに行こう。

676ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/28(土) 01:43:31
>>675

    バサッ

偶然かもしれないし、あるいは『何か』あるのかもしれない。
とにかく、目的地には到着した。
舞い降りたインコは、ベンチの背もたれを止まり木にして着地する。

   「アタマ イイ?」 「アタマ イイ」

   「ソッカア ソウダヨネエ」

   「ノーミソ ノ オーキサ ミタコト ナイケド」

インコは、また喋っている。
何処かで聞いたような言葉かもしれない。
そうでもないかもしれない。

   「コンサルタント ノ ヨウナコトナドハ シテイマスガ」

   「ワリト ケーキガイイッテ ヨクキキマスヨ」

   「フフ ワタシッタラ オシャベリ スミマセンネ」

そうかと思うと、何処で覚えたか分からないような言葉を喋りだした。
どこまで賢いのかは分からない。
しかし、実際に目的地に着いたのは『事実』としてある。

677日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/28(土) 02:24:13
>>676

「頭いいよ〜。もう人間と変わんないんじゃない?」
「脳みそは私より小さいだろうけど」

           クルッ

「『使い方』が良いのかな〜〜〜?」

座ってから、振り向いて『インコ』を見る。

既視感。既知感。
『見たことない』はずなのにどこかで知っている。
『聞いたことのある』ような言葉を使っている。

「えー。今『ケーキ』が気になるって言った?」
「『ケーキ』」「もしかして『景気』?」「『ケーキ』でしょ」

どこかで聞いた言葉を『使っている』
ただ発してるだけじゃあないんだ。

         ガサ…

「や〜、まいっちゃうなあ」

袋を一つ、少しだけ開く。
このインコは頭が良い。
価値が無い事を言ってるとは思えない。

「んふ……インコってケーキ食べるの? 太りすぎて死なない?」
「私ね、動物ってあんまり飼ったことないから、心配しちゃうな〜」

678ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/28(土) 02:55:59
>>677

『ケーキ』と『景気』。
口に出すと似ている言葉だ。
言葉の前後から判断すると、
インコが口にしたのは後者の意味だろう。
しかし、
このタイミングで言うというのは何か意味があったのかもしれない。
あるいは、やはり単なる『偶然』なのだろうか。

        チラ
             ――――チラッ

インコが袋の中を覗き、また覗いた。
いわゆる『二度見』というやつだ。
用心深く警戒しているのかもしれない。
その辺りは野生の動物らしさがある。
だが外見は野生らしくなく、どこか『文明的』な雰囲気が漂っていた。

      「ニンゲン」 「ケーキ」 「タベル」

      「ルナ ソレ ワカンナクハナイカモ」

    「ギャクニ ワカンナイコトモ ダイジナ キガスル」

     「ナンカ ソレコソ オカシナハナシ ダケド!」

          「ププ ウケル!」

成立しているのかいないのか、微妙な答えが返ってくる。
そう、『答え』が返ってきた。
客観的には、そのように見えなくもない。
内容は別として。
『どこで聞いたか』は不明だが、
やや『軽いノリ』のイントネーションのような気もする。

679日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/28(土) 03:54:40
>>678

「??」

ルナ、という人間のことは一応覚えはある。
喋り方も似ている……『言葉を覚えている』
それを『使う』……この言葉にも価値があるはず。

「人間はケーキも食べる」
「インコさんも食べられるかは分かんない?」
「分かんないことが大事」「んん……」
「食べたことないけど食べてみたいってこと〜?」

      ジ…

「それって不安〜。食べて急に倒れたりしそうだよお」

もう会話をすることに躊躇はない。
このインコは絶対に会話ができている。
それこそ、鳥語と人語の間で翻訳をするレベルで。

「どうしよっかな、私責任とか取るの嫌い〜」
「はっきりしないのに重たいし……」
「ちょっとだけなら大丈夫かなあ?」

      カパ

ケーキのふたを開ける。
この箱は売れ残りのフルーツタルト。

「フルーツなら野生にもあるし大丈夫かな〜」
「インコさぁん、ちゃんと食べられそうなの選んでね」

こんな珍しそうな鳥の責任とかは取れない。
なので、あくまでも鳥の方に選んでもらうことにした。

680ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/28(土) 17:27:16
>>679

普通、動物と人間は会話が出来ない。
それは当たり前のことだ。
しかし、世の中には何事にも『例外』はある。
このインコが、その一つかは定かではない。
ただ、そう思われてもおかしくない程度の『賢さ』はありそうだ。

      「カンガエゴトカイ オジョーサン」

         「ソレハ タイヘンダネ」

 「アナタノヨーナ ヒトガ キズヲオウナンテ カナシイコトダ」

口調と声色が変わった。
今度は先程よりも落ち着いた色合いだ。
『言葉の主』は『ルナ』よりも幾つか年上の女性らしい。

     クリンッ
             ジッ

首を大きく傾げながら、箱の中身を見つめる。
タルトは自然界に存在しないが、フルーツは存在する。
インコの視線が、フルーツタルトの天辺に注がれる。

           ヒョイッ

やがて、インコが『ブラックベリー』を持ち上げた。
嘴を器用に使い、『柄』の部分を銜えている。
こうして見ると、なかなか絵になる図かもしれない。

681日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/28(土) 23:26:00
>>680

「あ〜食べた」
「インコさんが勝手に食べたんだし、いっか〜」
「考えごとはなくなったよ」

         シュッ

ポケットからスマホを出す。
絵になる光景は『記憶』にしか残らない。
写真にすればいつまでも残るものになる。

「『モデル料』はタダでいいよねえ?」
「『案内』は『箱』に乗った運賃〜」
「『ケーキ』が『モデル料』って考えよう」

「インコさんにそこまでは分かんないかな? どうかな?」

「撮るよ〜」

――――絵になる光景を、画にする。

682ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/29(日) 00:02:49
>>681

写真を撮られた。
しっかりカメラ目線で写っている。
なかなか良い画だ。

    バササッ

チェリーを銜えたまま、背もたれから座面に舞い降りる。
そこで一旦チェリーを置いた。
さすがに、背もたれでは食べづらかったらしい。

      ブンッ
          ブンブンッ

チェリーを前にしたインコが首を上下に振る。
『ヘッドバンギング』のような動作。
今の感情を表現しているようだ。
犬や猫ほど分かりやすくはない。
ただ、少なくとも、マイナスの感情ではなさそうに見える。

     「ソッカソッカ ソレハソウダヨネ」

   「オシゴトダカラ アイマイナノハ ヨクナイシネ」

      「アトデ モメタリシタラ イヤダモン」

         ツンッ ツンッ

どこかで聞いたかもしれない言葉。
それを口に出すと、チェリーを啄ばみ始めた。
急に倒れたりもしそうになく、大丈夫そうだ。

683日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/29(日) 00:38:08
>>682

「インコさんは私みたいなことを言うんだねえ」
「というか、それ、私がどっかで言ったことだ」
「どこだっけな〜」

カメラに映ったインコを見つめる。
それから、本物のインコを見つめる。
既視感。既視感。……色。

色合いがどこかで見たんだ。

「あっ、あ〜。わかった」
「インコさんさあ……『ハーピーさん』だ〜」

      ニタァ…

記憶の中にある名前だ。
インコを見ていたら頭の中に浮かんできた名前。

「んふふ」「ハーピーさんの『仕事仲間』なんでしょ〜?」

鳥語と人語の通訳が出来る人の、鳥側の仲間。
野鳥だけじゃなく、こういう固有の鳥もいるんだろう。

「『色』似てるしねえ。というかハーピーさんが似せてるのかな」
「そこんとこ、どうなのかな〜。んふ、別にどっちでもいいけど」

684ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/29(日) 01:10:52
>>683

チェリーを啄ばむインコと、『ハーピー』と名乗った女。
確かに色合いが似ている。
それも『当然』だろう。

    ジッ…………

食べるのを中断し、少女を見上げる。
『ハーピー』は人間社会に紛れ込むための名前と姿。
そして、ここにいる『インコ』こそが、その『正体』なのだ。

      「インコサン」
             「ハーピー」
                    「シゴトナカマ」

少女の言葉を部分的に抽出し、繰り返す。
『ハーピー』の下には、多くの鳥が集う。
今の自分は『その一羽』――そういうことにしておこう。

         ツンツン

そして、またチェリーに集中し始める。
そうする内に、あらかた食べ終えていた。

        「♪♪♪」

食事を終えたインコは、『鳥本来の声』を発した。
『満足』したようだ。

685日下部『アット・セブンティーン』:2019/12/29(日) 01:44:09
>>684

「やっぱり? んふふ、私ね、最近冴えてるんだ〜」
「調子がいいんだよ、すごく」

         パタン

「頭の中も、体の中も〜」
「『数字』でもわかるくらい調子がいいんだよ」

ケーキの蓋を閉じる。
タルトのフルーツがずいぶん減ってしまった。
その分は『恩』とか『他人の喜び』とか・・・
目に見えなくて、分からないものになってしまった。

まあ、たまには、そういうこともある。
私の喜びだってある・・・それは分かるものだ。

「よいしょっと〜。行こうかな」
「インコさん、私そろそろ帰るね」

「ハーピーさんにね、『日下部さんにケーキ貰った』って伝えといて〜」

そういうわけで、ケーキを持ってベンチから立ち上がり、その場を去った。

686ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/12/29(日) 02:04:28
>>685

       「アッ ア〜 ワカッタ」

    「『クサカベサンニ ケーキ モラッタ』」

          「ンフフ」

インコが、少女の言葉を繰り返す。
おそらくは『伝わる』だろう。
明確な根拠こそないが、そう思わせる『雰囲気』があった。
『恩』は目に見えないが、
『恩返し』は目に見える形で戻ってくるかもしれない。
そうだとするなら、きっと意味のないものではない……はずだ。

          「ヨイショット」

     バサァッ

少女が立ち去ったベンチで、おもむろに翼を広げる。
人間のように――あるいは『ハーピー』のように、
物を持つことは出来ない。
その代わりに、空を自由に飛ぶことが出来る。

       「ワタシ ソロソロ カエルネ」

                     バササササッ

『別れの挨拶』を残し――――冬の空に飛び立つ。

687百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/14(火) 22:33:22

    フゥゥゥ…………

歓楽街の片隅で、中年の女が煙草を吹かしている。
外見から窺える年齢は四十の半ば程。
短く切り揃えたベリーショートの黒髪、白いパンツスーツ。
長身で、口元にはホクロがあった。
特に何かするでもなく、静かに煙を吐き出している。

        バッ!

不意に、一台の自転車が飛び出した。
乗っている男の手には、女性物のハンドバッグがある。
一人の女性が、何事か叫びながら自転車を追いかけていた。

        ドギュンッ
                 シュバッ

自転車が女の近くを通り過ぎる瞬間、『それ』は現れた。
両肩に『白百合』の紋章を持つ『人型のスタンド』だ。
その手に携えた『警棒』が、目にも留まらぬ速さで、
男の背に叩き付けられる。

                  ――――ガッシャァン!

男は体勢を崩し、自転車が倒れる。
あれよあれよという間に、『引ったくりの男』は取り押さえられた。
ちょっとした騒ぎが起きたが、警察が男を連行した後は、
それも落ち着いてきた。
いつの間にか、女の傍らから『スタンド』は消えてる。
煙草を指の間に挟み、女は煙を吐き出していた。

    フゥゥゥ…………

688常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/18(土) 23:17:55
>>687
「うおおおおおおおおッ!!」
「すごかったです!!!!今の!!!!!」

 『男』の声。

「スゴイ正義感です!!!!尊敬いたしますよ俺!!」

『筋骨隆々な、フリルでフリフリの服装、スカートを履いた男』
…が『白百合』に話しかける。

689常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/18(土) 23:25:54
>>688
訂正
『白百合』→『小百合』

お名前を間違えてしまいました。大変申し訳ありません

690百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/18(土) 23:59:14
>>688

チラ……

(『見えていた』――――ようだね)

『奇怪な男』の方に視線を向け、少し考える。
『同じ力を持つ人間』か。
それは良いとしよう。
しかし、この『格好』は、どういう事だ?
常識って尺度に当てはめると、
まず『不審者』なのは間違いないだろう。

(まぁ……『通報』する必要は無いとは思うがねえ)

確かに怪しい身なりだが、『それだけ』だ。
少なくとも、今の時点では。
もっとも、これから何かある可能性は否定出来ないが……。

「それはどうも。大した事はしてないよ」

「たまたま目に付いたから手を出しただけさ。
 どうも口より先に手が出るタイプでね」

『スタンドを持っている人間』ってだけなら、別に問題じゃあない。
『ただの不審者』も……まぁ、大きな問題にはならないとしよう。
しかし、『スタンドを持っている不審者』となると、
何かしらの問題になりかねない。

「ところで――――アンタも『御同輩』って事で良いのかい?」

だから、ちょっとばかり探りを入れてみようという気になった。
この男が危険な人間かどうか。
『昔の癖』という奴かもしれない。

691常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/19(日) 00:20:23
>>690

  「同輩…………?」

  「………!!!!!  はい!!!」

『白と黒のフリフリの服装』の男はしばし考え込んだ後、
何か思い当たったようだった。

 「そうですよ!!俺も
  ―――――――――『 家政婦 』 です!!!!!!!」

…何か思い当たったようだった。

 「納得です!その力強さ!!そして正義感!!!」
 「あなた様も『メイド』でしたか!!!」
 「せっ『先輩』とお呼びしてもよろしいでしょうか俺!!!」
 「今日は『制服』は着られていないんですか!!!」
 「あッ いえ すみません!!お休みの日でしたか!!!!!」

男の左目は『レースの眼帯』で覆われていた。
残った右目を子供のようにキラキラ輝かせ興奮している。

692百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/19(日) 00:42:48
>>691

「ああ、ええっと…………」

男の言葉を聞いて、思わず煙草を取り落としそうになった。
『俺も』と言ったのか?
つまり、この男は自らを『家政婦』だと自称している事になる。

「――アンタ、『家政婦』なのかい?
 まぁ、その格好を見れば分かる事か……。
 我ながらバカな質問だったね」

口ではそう言いながら、頭の中では次の言葉を練っていた。
一見した所、この怪しい外見はともかく、
他人に危害を加えようとする人間には見えない。
まともな神経なら、この格好で街を歩かないとは思うが。

「けど、ただの家政婦って訳じゃあないんだろうね?
 例えば、『こんな風』にさ」

           ――――ドギュンッ

『白百合』の紋章を刻んだスタンドが、再び現れた。
先程と同じく、その手には『警棒』が握られている。
さっき見た時とは異なり、その長さは短かった。

「こっちが出して見せたんだ。
 出来れば、アンタのも披露して貰えると嬉しいねえ」

害はなさそうに見えても、『スタンド使いの不審者』だ。
念には念を入れて、一応の確認をしておいてもいいだろう。
今は警官ではない身だが、『街を守る』という意志は変わらない。

693常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/19(日) 01:24:32
>>692

「はい!!!!!現代は多様性の時代!!!!」
「男の家政婦がいたってよいではありませんか!!!」
「『たまに』変な目で見られますが、メゲすにやっております!!」

そういうわけで常原ヤマトは家政婦である。


>  ――――ドギュンッ

「そう!!!それです!!!」
「『先輩』のはお花の模様が入ってるうえ、
 強そうで『カワイイ』ですよ!!!」
「俺は…俺のは」

   モコ  モコ

男の足元から、『三つ編みの女の子を模ったヌイグルミ』
という感じの外見の『ビジョン』が出現する。
大柄な男に反して、スタンドの背丈は小学生くらいだ。

「こんな風で『カワイイ』感じですよ!」
「非力ではありますが、仕事には役立てております!!!」

694百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/19(日) 01:48:22
>>693

「ま…………『そういうもの』かもしれないねえ」

色々と言いたい事はあったが、敢えて口には出さなかった。
女性の社会進出などと言われて久しい時代だ。
『その逆』があっても不思議ではない――のだろうか?

「おや、随分と可愛らしいじゃないか。
 言われてみれば、『家庭の仕事』には似合いの姿だね」

ただ、目の前の男が『家政婦らしい』とは思わないが……。
しかし、スタンドは『精神の象徴』だ。
見てくれはともかく、内面はそうなのかもしれない。

      ライトパス
「コイツは『正 道』――そう呼んでるよ。アンタのは?」

「いや、『アンタ』ってのも何だねえ……。
 良ければ、名前を聞いても構わないかい?」

「アタシは『小百合』だよ。小さい百合と書いて小百合さ。
 ほら、ここに咲いてる『花』と同じだよ」

煙草の先で、傍らに立つスタンドを指し示す。
両肩に刻まれた紋章。
それは、本体である自身と同じ名前の花だ。

695常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/19(日) 02:24:42
>>694
「百合でございますか!それに『警棒』!!なるほどカワイイです!!!」

男はキラキラした目で『小百合』と『ライトパス』を交互に見て、
ときおり『カワイイ!』と発している。
こいつにとっては小百合もカワイイらしい。

 「俺は『常原 大和(ツネハラ ヤマト)』です!!!
  男らしい名前をという事で、父が付けた名ですよ!!!」

 「こっちは……『ドリーム・ウィーバー』。夢を編むもの」
 「そう『名付けてもらった』のですが、気に入っております」

常原は自分のスタンドを見やる。
『女の子の見た目』ではなく『女の子のヌイグルミを模倣した見た目』、
なので、手足や目、口の位置が変ではある…。
まあ、それ込みでも自分らしいな、と常原は内心思った。

 「俺はご主人様、奥様、お坊ちゃまお嬢様、その家庭を」

 「ひいては『夢』を守り、つなぎ留める」

「……と、志すことにしております。
 先輩がたに比べれば、俺なんて若輩者でお恥ずかしい限りですが!!!!!!」

696百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/19(日) 02:55:35
>>695

『名前』を聞いたのは『万一』を考えたからだった。
つまり、『スタンド使いの不審者』によって、
『何か事が起きた時』の手掛かりにするためだ。
勿論、必要でなければ、それに越した事は無い。

「ハハッ、『可愛い』だなんて言われたのは何時ぶりかねえ。
 忘れかけてた娘時代以来のような気がするよ」

正直、褒められて悪い気はしない。
こうして年を食った今、
そんな台詞を言ってくれる相手がいる筈も無い。
昔は昔で、『鬼の小百合』などと陰口を言われていた。
仕事一筋で生きてきた自分にとっては、
それも一つの勲章のようなものだ。
きっと自分は死ぬまで、その生き方を続けていくのだろう。

「『常原大和』、『ドリームウィーバー』――立派な名前じゃないか。
 その志も大したもんだよ。
 胸を張って、自分の目指すものを口に出来るっていうのはね」

「『たまに変な目で見られる』って言ったね。
 自分の意思を貫き続けるってのは大変な事だろうけどさ」

    ポンッ

「でも、ま……頑張りなよ。
 アタシなんかが偉そうに口出しする事じゃないと思うけどね」

「いや、アタシも『似たような経験』はあるもんでねえ。
 ついお節介な事を言いたくなっちまったのさ。
 勘弁しておくれよ」

大和の肩を軽く叩き、砕けた調子で笑いかける。
かつて自分は『警察官』であり、今は『警備員』だ。
そうした『男社会』の中でやっていくのは決して楽な道では無かった。
男でありながら家政婦を名乗るというのも、
逆ではあるが似たようなものではないだろうか?
だからこそ、目の前の奇妙な男――大和に、
何となく『親近感』のようなものを覚えたのかもしれない。

697常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/19(日) 03:42:22
>>694
「ありがとうございます!!!!光栄ですよ俺!!!」
「今後とも、男、常原ヤマト、メイドとして邁進いたします!!!!」

 そうかあ…小百合先輩も苦労してたんですね
 昔のメイド史は詳しく知らないけど、
 現代に比べて大変なことも多かったって『家政婦の師匠』も言ってたからなあ)」
 『メイド』って概念が普及しきってなかった時代とかあるでしょうし…

…などと常原は考えた。
目の前の女性は『同業者』だ、と完全に思い込んでいる。

  「…失礼でなければ、ひとつ伺いたいのですが」

  「『正道』とはいったい何でしょうか?」

「『完璧な家事』『カワイイ』『愛』『正義』」
「など、色々あるでしょうが……あっいえ!!失礼!!!!」
「変なことを聞いてしまいましたよ俺!!!!すみません!!!!」

698百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/19(日) 06:16:28
>>697

「いやいや、それは尤もな質問だよ。
 だけど、なかなか難しい質問でもあるねえ」

『正道』とは何か。
以前、同じような質問をされた事がある。
それは、自分が『刑事』だった時だ。

「単に言葉の意味を答えるなら、
 『人として在るべき姿』って事になるだろうけどね。
 アタシの考えで言うなら、『自分に嘘をつかない事』さ。
 だから、アタシは自分が正しいと思う事を言うし、
 正しいと思う事をする」

「『自分の正しさ』と『他人の正しさ』が食い違うのは珍しくない。
 この世に『絶対』と呼べるものなんて、
 そうそう見つかるものじゃあないからねえ。
 それは仕方ない事さ」

「でも、『自分が考える正しさ』と、
 『自分の中から出る言葉や行動』は、
 一致しているべきだと思ってるよ。
 『自分自身の心と食い違う』っていうのは苦しいもんだからねえ。
 勿論この世の中には、
 『自分が正しいと思う道を進む』のが難しい場合もあるけど、
 『自分で正しいと思えない生き方』をするよりは、
 良いんじゃないかねえ」

「もし、それが出来なくなるようなら――――
 舌を噛んで死んだ方がマシだね」

そう言って、『正道』の名を冠する自身のスタンドを一瞥する。
自らの『精神の象徴』。
『自分自身の正道』を貫く意志の象徴でもある。

「アタシから言えるのはそんな所さ。
 何かの足しにでもなれば幸いだよ
 我ながら、ただの小言になってるだけの事も多くてねえ」

699常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/01/19(日) 21:42:19
>>698
「自分に嘘をつかない」
「正しいと思う道を進む」

眼帯メイド筋肉男はしばし、その言葉を噛みしめた……


 「――――ありがとうございました!!」
 「俺も!自分がすべきとおもう道を、
  まっすぐ突き進みますよ、俺!」

どこかを見やる。『引力』を感じる。

 「『家事』を!!!!しなければいけません!!!」
 「お宅に行かねばなりませんよ!!!!」
 「俺は俺の『メイド道』を突き進みます!!!!!」

常原ヤマトは『流れの家政婦』である。
己が『なんとなく引力を感じ』ればその家庭に向かい、
なにがなんでも家事をする。そのためには『不法侵入』をも辞さない、
物盗りも殺しもしない、しかし『住居侵入犯』ではある。
だが、それは真っすぐな愛ゆえの行為。悪気はないのだ……

 「『小百合先輩』!!!」
 「貴重なお時間いただき感謝いたします」

 「―――いつか『メイドの引力』が俺たちをふたたび引き寄せたら!!
  またその時はお話を伺いたいです!!」

常原は大きくお辞儀をした後、走り去ろうとする――

700百目鬼小百合『ライトパス』:2020/01/19(日) 22:09:54
>>699

「――――ま、達者でねえ」

煙草を持つ手を軽く振り、謎の男・常原大和を見送る。
やがて、一つの考えが頭に浮かんだ。
つい励ましてしまったが、これで良かったのだろうか?

    ゴソ

    「『ツネハラ ヤマト』……」

           「『ドリーム・ウィーバー』……」

                      サラサラサラサラ

ペンと手帳を取り出し、咥え煙草で名前を書き入れる。
もし――もし万が一『何かやらかす』現場に出くわしたら、
その時は『手』を出さねばならない。

       フゥゥゥゥゥ――――ッ…………

               ライトパス
それが百目鬼小百合の『正 道』だ。

701神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/08(土) 22:22:27
「うおっさむっ……」

冬の寒空の下、ショートパンツに黒タイツという出で立ちの少女がいた。
黒縁の眼鏡をして寒そうに立ち止まっている。

「こっ、今年の冬……暖かいんじゃなかったか……? 寒いもんは寒いぞ……?」

「あれか? 暖冬暖冬言われ過ぎてここに来て本気出しちゃったか? 夏休み終盤かよ……」

寒そうにしながら辺りをキョロキョロ見渡していた。
何かを探しているのだろう。

「や、ヤバすぎ……」

702ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/08(土) 22:53:22
>>701

背中にリュックを背負った小さな少女が、そちらを見た。
辺りを見回す動きが視界に入ったらしい。
少女は小学校一年生くらいで、かなり幼い。
花柄のワンピースを着て、花モチーフの髪飾りを付けている。
そして、両腕で『黒い塊』のようなものを抱いていた。

「?」

少女は不思議そうな顔をして神谷を見つめている。
それから、視線の先を目で追った。
何を探しているのか気になったようだ。

703神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/08(土) 23:55:24
>>702

「ないじゃんもー……ここじゃないのか? マップ死んでる系? ……ありえねー」

ブツブツ言いながらスマホを出してみたり辺りを見てみたり。
なんだか一人で忙しそうだ。

「?」

「!」

そちらを見てから目線をそらす。

(やっべ……子供に見られた。不審者率百パー、いや、千パーセント)

(えー……でもなんでここいるんだ? 迷ったのかな? でも声かけ事案は勘弁だし……)

704ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 00:23:33
>>703

迷子かどうかは分からない。
少なくとも近くに保護者らしき人物はいないらしい。
その割には、不安そうにしている感じでもなかった。

    トッ トッ トッ

何やら忙しそうな少女に向かって歩き出す。
目線を逸らされたが、その意図は理解できていなかった。
お互いの距離は徐々に縮まっていく。

          「?」

         キョロ キョロ

神谷と神谷のスマホを交互に見る。
怪しんでいるというような雰囲気はない。
純粋に疑問を感じている様子だ。

           モゾ

その時、少女が抱いている『黒い塊』が、ほんの少しだけ動いた。
黒毛の『チワワ』だ。
毛の色と同じ黒い瞳が、少女と同じように神谷を見上げた。

705神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/09(日) 00:39:25
>>704

(え、なんでこっち来るの?)

(やっべぇ��マジでなんかのフラグ立ててる? 社会的地位喪失エンドとかハード過ぎるだろ……)


そんなことを思いながら視線を投げる。
その時気付いた黒い塊の正体。

(犬、チワワ……)

チワワだ。
こちらを向いているチワワがいる。
途端に、少女の背を冷たい汗がつたい始める。

「……な、なに?」

706ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 01:02:45
>>705

「お姉さん、『迷子』ですかー?」

相手の密やかな動揺など知る由もない。
躊躇う様子もなく、ニコニコしながら話しかける。
どうやら人見知りしない性格のようだった。

「どこか行きたいんですかー?」

腕の中のチワワは特に目立った動きを見せない。
吼えたりする事もなく、ただ黙って抱えられている。
体温が伝わっているらしく、犬を抱いている少女は暖かそうだ。

(さっきから妙に落ち着きがない。
 『捨てられた子犬』みたいにビクビクしている。
 こういうのを何て言うんだったか……)

(ああ――――『挙動不審』だ)

ヨシエの腕の中で、俺はそう思っていた。
確かに怪しいと言えば怪しい。
だけど、『それ以上』じゃない。
別に、こちらから何かする必要はないだろう。
だから、しばらく成り行きを見守る事にした。

707神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/09(日) 01:34:14
>>706

「え゛」

「ま、まぁ? 迷ってるっちゃ迷ってるかなぁーみたいな?」

「いや、パソコンのパーツ売ってるとこ探してたんだけど……流石に分かんないか……」

バタフライ遊泳している目はチワワと虚空を行ったり来たりしている。

「て、ていうか、その、犬? お、置いといてくれないかな?」

708ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 02:01:12
>>707

「んー?」

「……分かんないですー」

少し考えてから首を傾げる。
神谷の考えた通り、やはり知らなかったようだ。
そして、ポケットを探り始める。
それと同時に、チワワは少女の腕から下りた。
やがて、少女の手には犬の代わりに最新のスマホがあった。

「じゃあー、一緒に探しますよー」

「えっとー」

    ススッ

「『パソコン』、『パーツ』、『星見横丁』……」

神谷の横で検索を始める。
それを見ているチワワの首輪には『DEAN』とある。
犬の名前らしい。

709神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/09(日) 02:32:42
>>708

「分かんないなら、それでいいんだぞ。うん」

「無理に調べなくても……」

好意はありがたいが色々問題もある。
じりじりと犬から離れるようにして動いていた。

「そ、その犬、ディーンっていうのか?」

「別になんでもいいんだけど……」

ジリジリと距離を放す。

710ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 21:59:59
>>709

「んー、これは違うしー……」

「これも違うしー……」

まだ検索を続けている。
しかし、なかなか引っかからないようだ。
やり方が悪いのかもしれない。

「そうだよー!ヨシエの一番の友達!」
  
      パァッ

犬の名前を言われ、スマホから顔を上げて明るい表情を見せた。
よほど大事な存在らしい。
一方のチワワは、ヨシエを見てから神谷に視線を移す。

(犬はお気に召さないようだな?
 まぁ、『繋がれてない犬』を警戒するのは自然な反応か……)

(――『挙動不審な人間』に注意するのが自然なのと同じようにな)

神谷の方を見る。
そして気付いた。
神谷の後方の分かりにくい場所に、
『それらしい店』があるらしい事に。
しかし、どうやって伝えるべきか。
この場で『能力』を使うのは憚られる。

(仕方ないな)

          ジリッ……

そう考えて、一歩分だけ神谷に近付く。
ただ店の場所を教えようとしただけで、他意はない。
しかし、相手側にどう受け取られるかは分からなかった。

711神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/09(日) 23:01:02
>>710

「あっ……」

それ以上話さず何かを察したように首を縦に振る。
相変わらず距離をはなそうとしているが。

「うぇ」

ディーンが一歩近づき、少女が一歩下がる。

(やっぱ苦手なんだってチワワ!)

712ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 23:20:48
>>711

(そうビビるなよ)

(『ジャーマンシェパード』や『シベリアンハスキー』じゃあないんだぜ)

      トッ トッ トッ

相手の警戒を余所に、さらに歩みを進める。
まもなく、ある一点で足を止めた。
神谷に向けていた視線を、その後ろに移す。

「?」

ヨシエはディーンの行動を見ていた。
彼女の視線も同じように動く。
そして、神谷の後ろにある店に目を留める。

「あのー、お姉さーん」

「『パソコン』」 「『パーツ』」

「――って書いてあるみたいですよー」

店の方向を指差しながら、ヨシエが神谷に呼びかける。
そちらに目を向ければ、店があるのが分かるだろう。
ディーンは動きを止め、その場に座り込んでいた。

713神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/09(日) 23:34:30
>>712

「ちょっちょっちょっ!」

一瞬、少女の体が薄墨色に染まる。
一般人には分からない、スタンドの姿。
本人も気付いたのか慌てて解除した。

「え? パーツ? え、あ、マジか!」

「あ、えーと、ありがとう!」

ディーンが寄った分、下がりながら言葉を返した。
座り込んでいる間は腰が引けた体勢だ。

714ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2020/02/09(日) 23:58:26
>>713

「どういたしましてー」

「見つかってよかったですねー!」

    ニコッ

ヨシエは無邪気に笑っていた。
スタンドの発現に気付いた様子は全くない。
彼女には『デミリタライズド・ゾーン』が見えていないようだ。

(今のは……)

(コイツ――『スタンド使い』)

しかし、俺には見えていた。
一瞬しか見えなかったが、何かが全身を覆っていた。
どうやら俺と同じような『身に纏うタイプ』のスタンドらしい。

(今のところ危険な奴じゃあなさそうだが……。
 そういえば『アイツ』も本体を覆うようなタイプだったか……)

以前、『鎖』を使うスタンド使いと遭遇した事がある。
奴からは何か『危険な匂い』を感じた。
アイツと同じような人間に遭遇するのは避けたい。
俺だけなら、まだ良い。
だが、ヨシエを危険な目に遭わせる訳にはいかない。

       ヒョイ

近付いてきたヨシエが、再びディーンを抱え上げた。
神谷を見つめるディーンは、心なしか目を細めているようだった。
『顔』を覚えようとしているのかもしれない。

「ディーン、いこ!」

「お姉さん、バイバーイ!」

ディーンを連れたヨシエは、挨拶して立ち去ろうとしている。
特に呼び止めなければ、そのまま別れる事になるだろう。

715神谷『デミリタライズド・ゾーン』:2020/02/10(月) 00:05:48
>>714

「ば、ばいばーい」

手を振って駆け足気味に店へと早歩き。
早急にこの場を離れるように。

「い、いい子だったな……」

(でもチワワは勘弁な!)

716ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2020/02/23(日) 21:37:47

「皆様――本日はお足を止めて頂き、真に有難う御座います。
 この『ハーピー』のショータイムで、
 しばし『現実からの離陸』をお楽しみ下さいませ」

「 『♪』 『♪』 『♪』 」

       バササササッ
               バササササササッ

『鳥人』を思わせるコスチュームを身に纏った女が、
集まった聴衆を前にして恭しく挨拶した。
女の呼び掛けに応じて、付近から『野鳥達』が集まってくる。
ハト・カラス・スズメなど多種多様だ。

「 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 」

鳥のような声を発しながら、女が指揮者のように両手を動かす。
その合図に合わせて、鳥の群れが『編隊飛行』を披露する。
訓練されているかのように規則正しく、一糸乱れぬ動きだ。

(やはり大通り方面と比べると、
 この辺りは『客層』に少々違いがあるようで)

(『研究対象』として興味深いものを感じる所です)

パフォーマンスを進めつつ、それとなくギャラリーに視線を送る。
このショーは食い扶持を得るためだけではない。
そこに集まる人間達を観察し、
人の社会を『研究』するという目的も含まれているのだ。

717ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/02/28(金) 01:55:12
>>716
「待ち人は、来ます」
「いえ、傍にいるはずです。……心当たりがございますでしょう?」
「あなたは自分を押し殺し過ぎます 大丈夫です 良い星が出ていますよ」


 どーも。まゆです。
 ラフィーノ石繭(本名:末石まゆ) 占い師(偽)です。
 屋外にて営業中です。寒い。

 「(………アイツも大変ねェ)」

 少し離れた場所でカーニバルみてーな服装の女性が見事な芸をやっている。

 ところで私は『温度が視える』スタンド使いなのですが、
 あいつの服装、『熱い』。
 ほんと。『熱帯動物のケージか何かかよ』ッてくらい、
 彼女の服装が熱を帯びているのが『視える』

 わかる。
 寒いから。この時期、屋外はね。
 私も、上着の下は『ホッカイロ』塗れ。大変よね。

 「ええ、ええ」
 「お話、楽しかったです」
 「いってらっしゃい……応援してますからね」

次の客はまだ来そうにないので、
しばらく『ハーピーのショータイム』とやらを鑑賞する。

718ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2020/02/28(金) 13:25:52
>>717

「お次は少し高く飛んで見せましょう。下から上、上から下へ。
 アクロバットの遊覧飛行で御座います。
 『心のシートベルト』をお締めになられましたか?
 見失わないように、瞬きは今の内にどうぞ」

(あの『ニンゲン』――――)

「 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 」

(『観客』ではないようですね)

ギャラリーの向こう側に視線を向け、そのような感想を抱く。
彼女は何をやっているのだろう?
あまり見たことのない場面ゆえに、探究心を刺激された。

     バサバサバサバサバサ
                バサバサバサァァァ――――ッ

編隊を組んだ鳥の群れが、曲線を描くような軌道で宙を舞う。
全ては『事前の打ち合わせ』通りに進行する。
『鳥とコミュニケーションが取れる人間』と見られているが、
実際は『その反対』なのだ。

(『ニンゲン』――現在、地上で最も高度な社会を築く種族)

(その『繁栄の秘密』を解明する事が、
 『我々の世界』を大きく進歩させる『鍵』となる筈です)

「さあ、回ります。最初はゆっくりと。徐々に激しく。
 大空を彩る翼のメリーゴーランドで御座います。
 色取り取りのコントラストをお楽しみ下さいませ」

「 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 」

         バサササササッ
                 バサササササササッ

女の合図に合わせて、群れが空中で回り始めた。
メリーゴーランドを思わせる動きで飛び続ける。
指揮者のように立つ女は、一定のリズムで両手を振っている。

719ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/02/28(金) 20:54:19
>>718
「(わあ)」
 スゴイわね。カラスとスズメが喧嘩せずに並んで飛んでる。

>「 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 」

 スゲーッ  まるで人間九官鳥。声帯どうなってんだ。
 鳴き真似とは思えない凄まじいバリエーション。
 まるでその場で指示を出してるみたい。

……『タネ』がわからない。

ええっと確か、『鳥獣保護法』。野鳥って捕獲禁止でしょ?
だからあのパフォーマーは、
大量の鳩とかカラスとかスズメを、自治体の許可もらって
飼って、躾けて、芸をやる時はそれを一時的に野に離して…
……めっちゃ手間かかるじゃない。


 「……ううむ、それか、タネも仕掛けもなく、
  森にすむ鳥さん達とお話しができて、
  いっしょにショーをしている、…?」

  「それはもはや『オカルト』よ。嘘くせーわね。」

それにしてもあのパフォーマー、
『濃い赤』だ。周囲の人間と比べて異様に『赤い』。
『ミスティカル・ガイド』は『温度差を色で視』る。


 「……いや暑すぎなんじゃない?
  もはや『肉体そのものが電熱ヒーター』って感じ」

 「…………まさか」

720ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2020/02/28(金) 22:32:58
>>719

人間の平熱は、大体『36度』前後だ。
犬や猫だと『38度』前後。
鳥の場合は『40度以上』になる。
これは運動量の違いが影響している。
特に鳥は空を飛ぶために他の動物よりも運動量が多く、
そのために体温も高くなるのだ。

「 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 『♪』 」

                  バサッ バサッ バサッ
  バサッ バサッ バサッ
                   バサッ バサッ バサッ
      バサッ バサッ バサッ

飛んでいた鳥達が地上に降りてくる。
女が両腕を広げると、そこに鳥達が着地していく。
その姿は、まるで『止まり木』のようだ。

「それでは皆様、いよいよ『フィナーレ』に参ります。
 お見逃しのないよう、どうぞ最後まで御覧下さいませ」

    「 『♪』 」

          「 『♪』 」

                 「 『♪』 」

   ブワァァァァァァァァァァ
                ァァァァァァァァァァ――――ッ

次の瞬間、鳥達が一斉に飛び立った。
それぞれが別々の方向に向かって飛んでいく。
最後に、その場に残った女は丁重に頭を下げた。

「――――御観覧に感謝を」

女の脇に置かれた古めかしい鞄に、硬貨が放り込まれていく。
その様子を見ている途中で、ふと視線を移す。
視線の先には、先ほど興味を抱いた『ニンゲン』の姿があった。

721ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/02/29(土) 01:08:03
>>720
「きゃあッ スゴかったーッ」

  パチパチパチパチ

やるじゃない。
鳥たちの編隊が一糸乱れることなく飛び交う空間、
そしてそれを統べて見せるあのパフォーマーの女性。
まるでこっちまで空を飛んでいるような気分になる
ステキなショーだったわ。

「…あッ いえ、じゃなくて!」
「…そうよ 絶対そう あの体温」


「――――――――『ひどい風邪』ね! 間違いないッ!!」

む。彼女こっち見たわ。
来るなよ、絶対来るなよ。風邪がうつる。


(『ブリタニカ』の視線の先の女は、
 白髪、他の人間に比べて目がキラキラとしているように見える。
 ウネウネ、カクカクした模様の布とかに身を包んでいる
 人間が『アジアン、エスニック風の服装』とか呼ぶ恰好だ

 女は、路上に机と椅子を置いて座っていた。
 『あなたの運命、視ます』と書いた看板が置いてある。

 『目が水晶になっている岩っぽい人型ビジョン』
 が、女とダブって見えた。    )

722ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2020/02/29(土) 01:43:52
>>721

(『スタンド使い』)

「ふむ」

    ザッ

鞄を手にして歩き出す。
進む先は、看板の置かれた方向。
すなわち『エスニック風の女性』がいる場所だ。

           ザッ

(『研究』の精度を高めるためには『情報の蓄積』が不可欠)

                  ザッ

(手掛かりを得るため、『コンタクト』を試みる事に致しましょう)

           ――――グリンッ

看板の前で立ち止まると、ややオーバーな程に大きく首を傾げる。
『運命』という言葉は理解しているつもりだった。
曖昧かつ広い範囲を指す表現。
しかし、それを『視る』という意味は図りかねていた。
『運命とは視覚的なものではない』と解釈していたからだ。

「失礼ですが――」

「『これ』はどのような意味で御座いますか?」

おそらく、体温は相変わらず高いように見えるだろう。
その割には病気をしている感じでもなかった。
単に分かりにくいだけかもしれないが。

723ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/02/29(土) 02:10:02
>>722
「近づくな―ッ!病気がうつるわ――ッ!!
 家に帰って寝ろケダモノーッ!……ん?」

風邪って感じではない…
体温だけ視れば重病人のようなそれだ。
なのに、見た目に変わった様子はなく、
あまつさえ路上パフォーマンスをしてみせた。
どういう事だ?

「あ…いえ 大変失礼いたしました
  エエっと、『これ』は……」


口元を覆う。何か変な風邪移されたらいやよ私。
にしても彼女、鳩、というかトリにそっくりね。
首の動きとか。まんまるな眼とか。カワイイじゃない。

「……貴方は、鳥さんたちのいるあなたの住処に帰って、
 はやくお休みになったが良いです。私は貴方が心配です」

「『非常に、非常に悪い運命』のビジョンです。
 星の位置が、とても良くありません」

「『視える』のです。私には、普通では見えないようなものが、
 『運命』とでも呼ぶべき色彩が、密かなるものごとの流れが…」

うそ。『体温』と『スタンドビジョン』しか見えない。
でもそこを騙しとおすのが偽占い師の仕事よ。

724ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2020/02/29(土) 02:50:26
>>723

「…………なるほど」

        グルンッ

首の角度を戻し、納得した様子で深く頷いて見せる。
彼女には特別な『才能』あるいは『技能』があるのだろう。
それが『繁栄の秘密』を解き明かす手掛かりになるかもしれない。

「あなたには『視えている』のですね。
 私を取り巻く『運命』の流れが……」

神妙な表情で、静かに言葉を返す。
彼女の台詞には、何処か信じられるようなものを感じた。
何よりも、彼女の『目の光』に説得力がある。

「いつの日か、私にも『それ』を視る事が出来れば――」

『大きな飛躍』を掴めるかもしれない。
固体としての関心だけではなく、種族全体の利益に繋がる。
そのために、こうして密かに『人間社会』に紛れ込んでいるのだ。

「ええ、おっしゃる通りに致しましょう。
 焦りは禁物です。『目的』のためにも、英気を養わなければ」

「――お心遣いに感謝を申し上げます」

          ザッ

感謝の言葉を告げて、踵を返す。
思えば、少し気が急いていたのかもしれない。
彼女の言葉で、その事に気付かされた。
そのような感情を胸に、横丁を後にする。
もちろん、相手が何を考えているかなど知る由もないのだった。

725ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/02/29(土) 03:30:36
>>724
「はい」

いいえ。視えてなんかねーの。

 「『悪い大きな流れ』に巻き込まれたくなければ、
  焦った行動は控えるように。
  冬の寒い風に耐えれば、芽吹く日も訪れます」

 「お気をつけて――――」

クビの動きが特徴的な彼女を見送る。帰りにマスク買え。
芸人にとって喉は大事なんだから。風邪を治せ。

 「――――或いは」
 「冬の風に乗ってしまうというのも一興かもしれませんわね」
 「大きな流れの上で、喧騒のさなかで、歌う」
 「飛躍は見込めます。大きな目的のための賭けではありますが」

 「でも私を巻き込むのはヤメロよ…
  見えない所で勝手にやってなさいな……」

以上、まゆでした。

726黒羽 灯世『インク』:2020/03/05(木) 23:33:31

「……………………」

教わった『ゲーセン』の張り込みを始めて、しばらく立った。
『触れずに人間を吹き飛ばした学生』の噂・・・
それを確かめ記事にするためだったが、『続報』は未だない。
常習犯ではないのか、それとも本当に『間違い』だったのか。

「…………」

(いけないのだわ、現れないから『ない』だなんて。
 そうね、そろそろ張りこむ店を変えた方がいいかしら……)

            (でも)

   『ダンッ』

            『ダンッ』

 ・ ・ ・ ・                         
(この筐体はこのゲーセンにしかない……負けっぱなしは癪なのだわッ)

通い詰めるのを怪しまれないために始めたはずのゲームは、調査の停滞に何か関係がないだろうか・・・

727百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 00:10:55
>>726

白いパンツスーツを着た背の高い中年の女が、
店内の一角に佇んでいた。
煙草を咥えているが、火は付いていない。
天井の照明を反射して、
両耳の『白百合のイヤリング』が小さく光る。

「――――…………」

その話を耳にしたのは何時の事だったか。
『指一本触れる事なく人が吹き飛んだ』というような内容だった。
単なる喧嘩なら口を出すような事でもない。
しかし、喧嘩に『凶器』を持ち出したとなると別だ。
万一それが『犯罪』に関わるようなら見逃す訳にはいかない。

(手掛かりナシか……。ガセネタだったかねえ)

先の一件は、この店で起こったらしいと聞いた。
もっとも、この近辺の学生の話を立ち聞きしただけだから、
大してアテにはならない。
事実、こうして見回っていても何も見つからないのだから。

    チラ

ふと、筐体の前にいる少女に視線を向ける。
そういえば、しばらく前から見かけていた。
考えてみると、『何か探しているような素振り』もあった気もする。

(『手掛かり』か……。いや、まさかねえ。
 そう上手くいくもんじゃあない)

(だけど――――確認ぐらいはしておこうかね)

そのまま、少女の様子を見守っておこう。
こちらが見ている事に気付いたとしても、視線は外さない。
むしろ、それが目的だ。

728黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 00:42:02
>>727

(…………………………………………!?)

筐体の液晶に僅かに反射する『背後の光景』に、黒羽は驚愕した。

(…………わ……私に、この私に『ギャラリーがついている』のだわッ!!?)

(…………見たところあんまり、『ゲーマー』風ではないけど。
 見たことのある常連客でもないし……大人は珍しくはないけど……
 とにかく、ようやく私の『センス』が知れ渡り始めたようね……!
 『すでに上手い人たち』の時と違って、私の時は人が来なかったのに!)

全て最初から上手くいくとは思わない。センスがあっても経験がない。
そう……『センスはある』と思っていたのだ。経験が追い付いてきたのだ。

                 …………『そう思っている』!

(これ……! 『魅せプレイ』と言うのをした方が『上等』に見えるかしら!?
 それとも『ストイック』に決める方が『上等』!? 悩ましいところだわ!)

        『ダン』

               『ダン』

(もっと私を見なさい! 見上げなさい! ……初めてすぐにしては高いはずの私のスコアを!!)

はっきり言って、黒羽はこの『音ゲー』……さほどうまくはない。別に下手でもないが。

729百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 01:05:48
>>728

正直な所、『ゲーム』の事はよく知らなかった。
あの少女がやっているものも例外ではない。
だから、上手い下手の区別もつかない。
少なくとも、自分よりは上手いだろう。
やった事がないから何とも言えない所なのだが。

(……もうちょっと突っ込んでみるとするかねえ)

    ザッ

少女の後ろから、やや距離を詰める。
あまり近付きすぎない程々の距離だ。
当然、相手が何を考えているかなど知る筈もない。

(分からない。ただ遊んでるだけなのか……。
 勘繰り過ぎたかもしれないねえ)

そのまま背中越しに観察を続ける。
集中しているようだし、邪魔しちゃあ悪い。
干渉せず、大人しくギャラリーに徹する事にした。

       ――――カキンッ

ポケットからライターを取り出し、親指で蓋を跳ね上げる。
別に火をつけるつもりはなかった。
言ってみれば、ただの癖だ。
今は自重しているが、吸ってないと落ち着かない。
だから、こうして抑えていた。

730黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 01:20:21
>>729

(!? 近付いてきた……『もっと見たい』という事かしら)

(それに『観戦マナー』が良いのだわ……さすがに大人ね!)

黙って見ているのを都合よく解釈する黒羽。
ライターの音くらいは、気にならない。
それより目立つ騒音もある。
こればかりは黒羽が『下回る』。

    『オオオオオッ』

          『ズドドドドドドド!!!!!!!』

                 ギャハハハハ

  『ドンドコドンドコ』

ゲーセンは、『静か』とは最も遠い空間の一つかもしれない・・・
ライブハウスのようなそれとは違い、どこにも統制や基準がないから。

(…………ふう、こんなところかしら)

              ファサッ

髪を手で払いながら、振り向く。
夕焼け色の瞳を灯す目は、蛇や猛禽のようで『良い目つき』ではない。

「――――――ねえねえ。どうだったかしら、私のプレイングスキル?
 惜しくもランキング上位は逃したけど、この調子だとすぐ『上』に立てるのだわ!」

                       「そう思わない?」

喫煙にも黒羽は特に、なんとも思わない。ゲーセンはそういう場所だと知っているからだ。

731百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 01:45:43
>>730

ゲームセンターの客には未成年も多い。
従って、こうした場所で大っぴらにスパスパやるのは、
あまり好ましくないと考えていた。
だったら、煙草を咥えているのも宜しくないかもしれない。
しかし、それを止めると無意識に火をつけてしまう。
要するに、これが我慢出来るギリギリのラインという事だ。

「ああ、上手かったよ。ちょうど感心していた所さ。
 器用なもんだねえ」

自信ありげな態度を見て、そう答える。
実際は分からないのだが、わざわざ口に出す事もない。
それを言ったとして、損はあっても得はないだろう。

「アタシも前に少しだけやったんだけど、
 なかなかああはいかなかったさ。
 アンタは、よくやってるのかい?
 随分と手馴れているように見えたよ」

(ちょいと探りを入れさせてもらおうかね。
 といっても――こりゃ『ハズレ』かもしれないねえ……)

せっかくだし、ちょっとばかり話でも聞いておこう。
もしかすると、会話の中で何か出ないとも限らない。
出なかったとしたら、他を当たればいい。

732黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 01:56:25
>>731

「フフッ! お分かりみたいね、嬉しいのだわ。
 まあ〜まだまだ私は初心者みたいなものだけどね。
 つい最近だもの、このゲームを始めたのも!」

           フフフ

「手慣れてるように見えたかしら〜?」

自慢気な態度は崩れない。
真意を知らないのだから当然ではあるが。

(……?)

しかしこのあたりで、黒羽は引っ掛かりを感じ始めた。
特に言動からではなく、本当に『なんとなく』だ。
しいて言えば、『質問の仕方』に『探る意図』を見た。

「この筐体って、このあたりの他のゲーセンにはおいていないのよね。
 前にもやったという事は、貴女……も、ここにはよく来るのかしら?」

(何かしら、まあいいわ。聞きたいことははっきりしてる。
 他の常連客はあまり知らなさそうだったけど、
 この人は普段見かけないし、『違う層』の人な気がするのだわ)

いずれにしても、百目鬼の言葉には別の『ヒント』を見出した。
もっともそれは『探り』の一環からの発展で、少しずれているのだが・・・

733百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 02:22:14
>>732

「ま、たまに気晴らしにね。だけど、常連って程じゃあないよ」

この筐体が他の店には無い事は知らなかった。
元より、ゲーム自体には注意していなかったのだ。
だが、その点には敢えて言及しなかった。

(他の店には置いてない、か。
 それで『つい最近始めた』って事は、
 この子も、ここの常連って訳じゃないようだね)

(けど、『この店にしかない事を知ってる』のが、
 引っ掛かると言えば引っ掛かる)

(もう少し掘り下げてみるかねえ……)

「こういうのが上手い人ってのは、
 やっぱり『才能の違い』なのかねえ。
 どんなのをやっても上手にこなしちまう。
 そういう人が羨ましいよ。アタシは不器用でさ」

「さっきのを見てた限り、アンタもゲームは得意そうだね。
 今やってたヤツだけじゃあなくて……。
 たとえば、『ソレ』とか『アレ』なんかはどうだい?」

指で挟んだ煙草の先で、別の筐体を指してみせる。
『シューティングゲーム』と『対戦格闘ゲーム』の筐体だ。
それ自体には、これといって深い意味は無い。
ただ、この少女がゲームの愛好家かどうかを知りたいだけだ。
特別ゲームが好きな人間なら、
やりたいゲームを探して店を回るのも普通かもしれない。

734黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 13:59:19
>>733

「ふうん、そうなの…………私と同じね」

(アテが外れたわね……
 でも、たまに来てるなら可能性はある?
 『学生の喧嘩』だったみたいだし、当事者は無いとしても)

「……フフッ! 才能、そうねえ、『才能』もあるのだわ。
 でも、最初からこれだけ出来たわけじゃあないもの。
 あのあたりのゲームも……きっと『得意になれる』でしょうね!」

「まあ、今やっても勝てないけどね……
 シューティングはいつも似たような人が上位だし、 
 格ゲーも『店内ランキング』はほとんど固まってるみたいだわ」

『店の状況』は、調査の中である程度あたりを付けている。
それがくだんの『騒動』につながった可能性も無くもないから。

……格ゲーの筐体の周りには人が多い。
黒羽自身あの中で『上の方』ではないと自覚はある。
客観視は出来ている。今は勝てない。そう、『今は』……

(っと、いけない、ゲームで上り詰めるために来てるんじゃない!)

……思い直した。
とはいえ百目鬼の『探り』には、気付き切れていない。
このゲーセンの『ゲーマー』ではないような発言をしている自覚も薄い。

「ところで……このゲーセン、『治安』が良くないわよね。
 貴女みたいな、オトナの人があまり多くないからかしら……」

視線の先の『格ゲーエリア』は、笑いも多いが喧噪の中に『罵倒』も多い。

735百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 16:24:37
>>734

「自分を知ってるのは立派な事だよ。
 『出来る事』と『出来ない事』の区別をつけるって事さ。
 そこが『自信』と『慢心』の違いってヤツなんだろうね。
 その点、アンタは若いのにしっかりしたもんだ」

「ハハハ、こんな話は余計なお世話だったかな?」

(ここの常連じゃあないか。
 それに、しょっちゅうゲームやってるって風でも無い)

(こうなると、『この筐体が他の店に無い』のを知ってるのが、
 なおさら気になってくるねえ)

「ん?言われてみると、そうだねえ。
 若者が集まりやすい立地だから、不思議じゃあないけど……」

画面の中にあるのは、互いの命を削る戦いだ。
もちろん、それは現実じゃあない。
機械の中で行われる『安全な殴り合い』に過ぎない。
しかし、人間は機械とは違って感情がある。
熱が高まった結果、
『罵倒』から『現実の殴り合い』に発展する可能性も有り得る。

「ゲームに限らず、勝負事は熱くなりがちだからね。
 あれぐらいなら、まだマシな方だろうけどさ」

「場合によっちゃあ、
 それが原因で『喧嘩』になるなんて事も有り得る。
 そうなると店側としても迷惑だろうけど、
 あまりうるさく注意し過ぎると、今度は客足に響いてくるしねえ」

「――『そういうの』見た事あるかい?」

向こうから『治安』について言及してくれたのは助かった。
その流れに乗って、さらに尋ねる。
この少女にも、何処か『引っ掛かり』を感じるというのもある。

736黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 22:27:08
>>735

「ふふふっ! そう、私ってしっかりしてるの。
 これからさらにしっかりしていくと思うのだわ」

          フフフ…

「褒められるのに余計も何も……
 もっと褒めてちょうだい。
 貴女はよく褒めてくれて嬉しいのだわ」

(気分が良いわ。………………よく褒める?
 ……それって『聴き込み』の基本じゃないの?
 さっきから感じてた、ちょっとした違和感。
 …………もしかして、何か『私に言わせたい』事が?)

何気ないきっかけだった。
だからこそ、百目鬼の次の質問には『納得』した。

(……多分、この人も……『何かを調べている』)

「そうね、勝負だもの。負けたくないのは当然。
 負ければ悔しいのもね……遊びでも、勝負は勝負。
 子供でもオトナでも、そこは大事だと思うのだわ!
 まあ、負けたからって『手を出す』のは『下等』だけど!」

持論を添えた返事から、核心に切り出す。
その時の表情や身振りは努めて『なにげない』ものだ。

「…………そう。『ケンカ』と言えば、貴女もお聞きになったかしら?
 このあたりのゲーセンでも派手なケンカがあった、っていう、『ウワサ』」

(私はこの件の情報をほぼ持っていない……彼女も同じ事を調べてるなら?
 『校内新聞』ならともかく、普通の新聞で扱うような記事とは思えない。
 彼女は『同業者』ではない。……だとしたら何? って話になるけど。
 ともかく、食い合わないなら……『情報共有』でウィンウィンの関係だわ!)

深謀遠慮はあくまで頭の中に留めて、顔色は変えない。
何かを考えている、と思えば口を固くする人間もいる。
記者として、『顔色』の重要性はよく分かっているつもりだ。

もっとも、学生レベルのそれを……『百目鬼』が見破れないかは別の話だが。

737百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/06(金) 23:18:27
>>736

情報を得るためには、相手の口を軽くする必要がある。
そして、そのための方法には大きく分けて二つある。
つまり、『褒める』か『脅す』か。
だから、こうして褒めているのは『常套手段』の一つなのだ。
生憎、それを黒羽が悟っている事には気付いていなかったが。

「全くその通りだよ。
 負けた腹いせに手を出すなんてのは、
 その時点で『負け』を認めたようなもんさ」

(この子――引っ掛かるは引っ掛かるんだけど、
 イマイチ掴み切れないね)

この少女には、何処か『異質』なものを感じる。
そもそも、この店に似つかわしくない雰囲気なのだ。
彼女を気にする理由は、それだけではないのだが。

「ははぁ、『噂』ねえ……。派手な喧嘩っていうと、
 『大勢で乱闘騒ぎになった』とか、そんな話かい?
 もしそうだったら、店員も止めるのが大変だろうね」

(さて、『出てきた』か。何か聞けるといいんだけどねえ)

内心は相手の言葉に意識を集中していたが、表には出さない。
露骨に反応すると、それが重要な事だと思われてしまう。
人間は、『大事な事だ』と思うと口が堅くなるものだ。
それが情報収集の妨げになる可能性は否定出来ない。
あくまで何気ない風を装いながら、次の言葉を待つ。

738黒羽 灯世『インク』:2020/03/06(金) 23:57:27
>>737

「その通り、勝負で決まった上下は『真実』!
 暴力で書き換わるなんてあってはならない」

黒羽は暴力を得意としない。
だから暴力に屈しないための『力』を求めたのだ。

「さあ……私も細かい事は知らないのだわ。
 ウワサを聞いただけ。それも『SNS』でね。
 だから『証拠』なんてどこにもないんだけど」

(……この反応、どっち?
 知らないなら話は早いにしても、
 知ってて誤魔化す理由は……
 『子供が踏み込むべきではないと思ってる』か、
 『知られるのはまずいと思ってる』か……)

思考する。
相手の立場次第では『情報収集』を切り上げる必要もある。
勿論、全てを表情だけで読めるほど極まった技術はないが。

「――――『人が吹っ飛ぶ』ような喧嘩だった、と聞いているのだわ」

(これで反応が『出て来た』ら、もう少し踏み込んでいけるんだけど!)

あえて『半分』ほどの事実を伝えて、より『読みやすい』ように動く。

739百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/07(土) 00:24:27
>>738

「『人が吹っ飛ぶような』――ねえ……」

(いくら『噂』とはいえ、そんな話が幾つもあるとは考えにくい。
 アタシが知ってる話と同じだと見て良さそうだねえ)

同じ話を知っていると仮定すれば、
『他の部分』も知っていたとしてもおかしくは無い。
もちろん、『手も触れずに』という部分だ。
それを言わないのは『知らない』のか、
それとも『知っていて言わないのか』。

「ああ、そういえば思い出した。
 何処だったかで、そんな話を小耳に挟んだ覚えがあるよ。
 学生の立ち話を偶然聞いたんだけどね」

      ――――ドシュンッ

話の途中で、不意に『ライトパス』を発現する。
『白百合』の紋章を持つ人型のスタンドだ。
片手に握る『特殊警棒』を、悠然と肩に乗せている。
この少女から感じる『異質さ』。
スタンドを出したのは、それを確かめるためだ。

「ええと、どんな話だったか……」

「確か、『手も触れずに吹っ飛んだ』とか何とか――」

「まあ、よくある『デマ』なんだろうけどねえ」

(『押して駄目なら引いてみる』……。
 さぁてと、どうなるかね……)

740黒羽 灯世『インク』:2020/03/07(土) 00:39:18
>>739

             ピク
                ッ

(――――『スタンド使い』っ! 『大当たり』だわ!
  ――……いえ、『事情を素直に話す気』は無さそう。
    大という事はないわね、でも『張り込み』の甲斐はあった!)

『ライトパス』には露骨に反応をしてしまう。
スタンドを見て動じないほどの経験値は『まだ』無い。
それも、『人型のスタンド』は今の黒羽の関心の対象。

(……どうすべき? というよりこの人は『スタンドをなぜ出した』の?
 『私への脅迫』? いや、スタンドが見える前提で『脅迫』するのは変だわ。
 『私が意図的に……触れずに、というのを飛ばしたのに気付いている』?
 それならスタンドを見せて『余計な駆け引き』自体を飛ばすのは納得だわ)

            (…………私の『上を行く』相手という事?)

      メラ…

対抗意識が燃えるが……今は返答をすべきだと、思い直した。

「そこまでお分かりだったのね!
 『手も触れず』というのは眉唾だから、気にしなかったけど。
 ああでも、『合気道』の達人は触れずに相手を投げるなんて言うのだわ」

             スゥー ・ ・ ・

「――そういう『技能』とかを持ってる人間は、いるのかもしれないわね」

振袖上の腕を軽く上げ、その袖の中に隠した手を百目鬼に見せる。
いつの間にか、そこには『筆』が握られている。その名は、『インク』。

(スタンド使いだという事を知って、どう動いてくるか……
 『スタンド使いになら教えても良い』なんて流れなら良いのだけど……!)

741百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/07(土) 01:07:39
>>740

「そりゃあ、また凄い。
 アタシも『似たような事』をやってるけど、そんなのは無理だよ」

百目鬼小百合は、警備会社の『主任指導官』だ。
護身術や危険人物を取り押さえる技術を身に付け、
それを教える立場にいる。
もっとも、生身で触れずに投げ飛ばすなんて芸当は不可能だ。

「だけど、やろうと思えば出来なくも無い。
 アンタの言うように、そういう『技能』があればねえ」

「アタシは『それ』を持ってる。アンタと同じようにね」

        ジッ

袖の中に目を向け、『筆』を見下ろす。
自身の『それ』とは全く異なるヴィジョン。
だが、力の本質は同様だ。

「さてと――何から話そうかねえ……」

手の中で煙草を弄びながら思案する。
この少女がスタンド使いなのは分かった。
しかし、目的が分からない。
何処まで話していいものだろうか。
そうはいっても、大した情報を持っている訳でもないのだが。

「アタシは、その噂の出所を探してた。
 別に、『誰かに頼まれた』って訳じゃあないよ。
 ただの『個人的な理由』さ」

「で、それについて『誰か知らないか』と思ってねえ。
 だから、こうして来てみた」

「アタシの事情は、こんな所さ。
 良ければ、アンタの方も教えてくれると有り難いんだけどねえ」

ひとまず、自らの素性を明かす。
この少女については、学生である事ぐらいしか分からない。
相手の事情が分かれば、話も進めやすくなるだろう。

742黒羽 灯世『インク』:2020/03/07(土) 01:58:41
>>741

「本当にあるとしたらそれはきっと、
 『お弟子さんに空気を読ませる技能』なんじゃないかしら。
 もしくは――――フフッ! そうね、私たちと同じ」

         ス・・・

筆先を宙に泳がせる。
そして、何も起こさない。

「まあ、私のは人を吹き飛ばしたりはしないけど……」

『スタンドでは何もしない』事を示す。或いは自分にも。

「私はね、『新聞記者』なの。校内のだけどね。
 この喧嘩騒動を知りたがっている人が、いる。
 だから『記事にしたい』……それで調べてるのだわ」

協力ではないにせよ、協調の意図を感じた。
だから『明かす』事にした……無論すべてではないが。

「……『誰がやったのか』?
 …………『なぜやったのか』?」

           フフ…

「そして、『どうやってやったのか』?ってところは……
 信じてもらえるか、難しい所になるかもしれないわね」

「……ただ、今のところあまり収穫は無いのだわ。目撃者も少ない。
 噂の出所の一つ、SNSへの書き込みも今は消えてしまっているし、ね」

743百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/07(土) 02:28:26
>>742

「なるほどねえ。教えてくれてどうも」

校内という事は『クラブ活動』か何かだろうか。
しかし、この一件はどう見ても『校外』だ。
その点は気になるが、深く追求する事でも無い。

「どうやら、アタシとアンタは大体似たような目的らしいね。
 ま、『全く同じ』って事もなさそうだけど」

こちらの目的は、『抑止』する事だ。
『喧嘩』が『犯罪』になる事を予防する。
スタンドが絡むとなると、警察では処理出来ない。
だから、『力を持つ者』が必要になる。
そうした意思の下で、百目鬼小百合は動いていた。

「アタシも、これといった手掛かりは掴んでない。
 ほとんど何も知らないと言っても良いよ。
 さっき話した『噂』以外はねえ」

「……どうやら、お互いに『空振り』だったようだね」

『ライトパス』を解除し、肩を竦めて見せる。
しかし、全くの無益とも呼べない。
同じように行動する人間と遭遇出来たのだから。

「これも何かの縁だ。
 せっかくだから、コイツを渡しとくよ。
 『情報の共有』ってヤツさ」

    サラサラサラ

手帳を取り出し、ボールペンで何かを書き込む。
それを破いて少女に差し出した。
書かれているのは電話番号だ。

「アタシは『小百合』って者だよ。アンタは何て名だい?」

744黒羽 灯世『インク』:2020/03/07(土) 03:21:23
>>743

なぜ校内新聞の記者に過ぎない少女が、
この事件を『記事にする』謂れがあるのか。
黒羽はあえて語りはしないが――『被害者』は清月生だ。
『この事件を知りたい人間』の存在も、そこに絡んでいる。

「そうね、空振り……でも、『情報共有』は出来た。 
 私にとっては、それは『上等』な結果だわ。
 ゲームに夢中になるくらい、毎日何も起きなかったから」

               ゴソ…

『インク』を持つ手を懐に入れ……

「この空振りは、次への布石。意味があるのだわ!」

     サラサラ

「もし何か分かったら……差し支えなければ教えてちょうだい。
 私の方でも、『記事にする』より早く伝える事があれば連絡するのだわ」

同じように小さなメモ帳を取り出し、
電話番号の書かれた紙を返した。
その時には既に、スタンドの筆は消えている。

「ああ、名前? 『灯世』……『世を灯す』と書いて『トモヨ』よ!」

「さて……今日はそろそろ帰る事にするのだわ。
 朝から張り込んでてさすがに疲れて来たし……小百合さんはまだ残るのかしら?」

745百目鬼小百合『ライトパス』:2020/03/07(土) 03:45:06
>>744

「『名は体を表す』っていうのかねえ。
 『灯世』――立派な名前じゃないか。
 言っとくけど、お世辞じゃあないよ」

そう言って、軽く笑う。
連絡先の交換を済ませ、再び煙草を咥える。
手の中には使い込まれたライターがあった。

「お疲れさん。アタシは……そうさねえ」

「外で『煙草』を吸うよ。これが無いと落ち着かないもんでね。
 そろそろ一服したいと思ってたのさ」

    ザッ

「気を付けて帰るんだよ。
 スタンド絡みじゃなくても、この辺はガラの悪いのも多いからね」

「ま、余計なお節介だとは思うけどねえ」

帰るらしい灯世の姿を見送る。
それから自身も出口に向かって歩いていく。

        ――――シボッ

途中で我慢しきれなくって、外に出る前に火をつけてしまったが。

746黒羽 灯世『インク』:2020/03/07(土) 04:47:22
>>745

「フフッ! ありがとう。
 いずれもっと多くの人にそう言わせてやるのだわ」

世界に、あかりを灯す。そう……記者として。
親達はそういう意味で付けたのではないだろうが、
黒羽灯世は、そのように生きようと思っている。

「あらそう? …………喫煙者も肩身が狭くて大変ね」
 
         ゴソ…

メモ帳をしまい、荷物置きに置いていた鞄を持つ。
この場に長居する必要は今は無い。
そろそろ、外も暗くなる。

「ええ、このあたりは夜は本当に治安が悪いそうだし。
 暗くなる前に、ちゃんと家に帰れるようにするのだわ」

           「それじゃあまた、小百合さん」

(……それにしても、やっぱり『人型スタンド』がメジャーなようだわ。
 事件の真相や、それをどんな記事にするか……同じくらい気にかかるのは、『スタンド』の謎)

スタンド世界の全体像を知ることは、自身の『強者』『上位者』たる上で重要な事。
頭の中には思考を満たしつつも、その日はそれ以上なにもなく、帰路に着いたのだった。

747日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/18(水) 22:41:54

          ド

               ン

                      ッッッ


時刻は深夜に差し掛かりつつある頃だった。
一台のバイクが、一人の少女を撥ね飛ばした。
直撃ではなかったが、『事故』と言えるレベルだ。
撥ねたバイクはそのまま走り去っていった。

     ・・・少女だけが残る。


                『ドチャ』

         『ズチャ』

「…………」
 
                    フラ〜  ・ ・ ・


常識に則れば凄惨な事故現場で、例外もまたその少女だけだった。
蝶の孵化のように、ゆっくりと起き上がる。何があるわけでもないが走り去った方角を見ていた。

748斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/19(木) 02:49:33
>>747

 「――知るかァァア!」

殴りぬき、蹴り飛ばす
喧嘩に法則も知性もいらぬ、只々殴り倒せばよい
腹に一撃、そこから下がった頭にフック気味の左を入れて吹き飛ばす

 「だいたいなんだよ『俺の女を泣かせた』って 知るか解るか心当たりが多すぎるわ その程度で喧嘩をふっかけてくんな面倒くせぇ」

 「……あ、いや待てよ?もしかしてアレか?この前のバレンタインに告白してきた女がいたな。」
 「タイプじゃねえんでフッたが……あー……そういう。」

聞いた限りの経緯としては恐らくこうだ

振られた女が泣きながら消沈していれば、声をかけるのは別の男
あなたのような美人を泣かせるなんて、なんてひどい奴だと男が言い、それを見た別の男は義憤に駆られて許しておかぬと拳を握る
……かくして俺にいきなり殴りかかってくる男が1人。

 「俺悪くねぇじゃん……!そもそもお前の女でもねぇ……!」

まごう事なき理不尽だった、ある意味では自分の顔の良さが関係しているという考え方も有るが
それを悪いと言うならば、生まれ持った肌や瞳の色で差別する手合いとなんら変わりが無いではないか。

 「女を泣かせた?仕方ねぇだろ美人でもタイプじゃねぇんだもん、泣いたのは向こうの勝手じゃねえか馬鹿々々しい」
 「つーかそれで俺を殴ったところで、お前に女は振り向かねぇよ 精々てめぇで口説き落とせや。」

    グシャ
                『ドチャ』

         『ズチャ』


 「じゃあそういうわけだから……グシャ?」

懐を見ればバレンタインデーの返しとして買った焼き菓子が一つ、焼いた粉と化していた
思い返すは先程の殴りかかられた瞬間の事 咄嗟にスタンドで防いだが、纏うタイプとはいえ元が『鎖』、衝撃を減らせるわけもない。

 「…………」

原因である倒れている男に聞くに堪えない馬騰を浴びせながら何度か蹴りを入れ
バツの悪そうに頭を掻きながらその場を離れた

 「チッ! ……しかし今の音、何かもっと妙な音が混じっていた気が 水を入れた袋が叩きつけられたような?」

大きめの舌打ちをすると路地から歩み出て、音の方につま先を向ける
……ふと、一人の少女が眼に入った 深夜故に衣服の色や細部はよく見えぬが 車道の上でフラフラとしているのはなんとか見える

はて、こんな時間になにをしているのだろう?そう考え何の気なしに近づいてみる。

749日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/19(木) 22:45:00
>>748

近付いてみると分かるのは、『白い』少女だった。
三つ編みの髪も、シルエットを膨らませるオーバーサイズの外套も。

そして、それが所々……現在進行形で、赤色に染まりつつあることも。

「う、う、う〜〜〜〜ん」

『事故現場』だった。

                   『ズズ』

         『ズ』

    クルッ

「ねえ……『ひき逃げ』するなんてひどいよねぇ〜」

「死んじゃったらどうしてくれるんだろう」

そして被害者の少女が斑鳩の方を向いたのだった。近付いてきたゆえに。

「いたた……そこのお兄さぁん」
「もし暇なら私を『歩道』まで連れてって〜」

「全部痛いよ〜。歩けそうにないよ〜。二台目が来たら死んじゃうよ〜」

どうも致命傷といった風ではないし、二台目も来そうにはないが……どうする?

750斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/20(金) 15:43:09
>>749

――それはどうにも現実感というものが希薄だった

真っ白なキャンパスに、赤い染みがじわじわと広がり
やがては赤から黒に染まるであろう、その姿

喉から漏れ出す台詞は、その姿と対照的に何処か間延びした呑気な物で
どうにもちぐはぐなズレた感覚を与える

『致命傷ではない』だが『動いている』
破壊力という物は空気抵抗や重力加速などを算数に入れなければ至極単純、速度と質量に比例する。

 (――いや、そこは死んどけよ 人として)

理屈は不要、シンプルに考えよう ……車に衝突されて生きている人間がいるか?
俺のストーリーが『コメディ』から『ホラー』に変更された瞬間だった。

 カチ ……パキパキパシピキ

これが足をひねったとか、その辺りなら手を貸すにやぶさかではない
だが『真っ白な装束の』『血だらけの女性が』『場違いな台詞と共に此方に助けを求めてくる』と話が別だ
具体的に言うとジャパニーズホラーの最たる一つ、『貞子』辺りをどうしても連想して怖くて近づきたくなかった。

 ――ヒュッ  キィン  ……ザザザザザザザ

 「……そう言われてもな 『もう歩道にいる』んじゃないのか?」

鎖が伸びる、俺のスタンドが少女の背後に落ち、融合が解除される
内包された大量の鎖の欠片が、潮騒の如き音をたてながら分離し、銀色の波として少女の体躯を歩道まで押し流した。

 「それで?救急車がいるなら呼んでやるが……葬儀屋の方が先か?」

腕を組み、周囲を警戒しながら距離を維持する
目の前の異常相手に、流石にここから猫を被れる気もしないのだ。

751日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/20(金) 23:33:38
>>750

 ――ヒュッ  キィン  ……ザザザザザザザ

おびただしい量の鎖が自分を押し流す事なんて信じられない。
が、『歩道にいつの間にか立っている』自分は『そこにある事実』だ。

「あれ、ほんとだ……頭も打っちゃったかな〜」

                ポタ…

                      ポタ…

だからすぐに受け入れる。
袖から垂れ始めた血は、車道に痕跡を残してもいない。

「『死ぬ』予定はないんだよねぇ」
「『救急車』も……うん、いらない。んふ、心配かけちゃうねぇ」

              「いてて」

    ドシャ

「立ってるのはしんどい……お行儀悪いけど、寝ちゃおうかな。ちょっとだけ」

体勢を崩し、地面に伸びながら『斑鳩』を見上げていた。

「んん……『15分』」

                        『ズ』

「や〜、14……『14分48秒』かな。あのねお兄さん。何も呼ばなくていいけど」
「もし何かお願いを聴いてくれるなら、しばらく私の話し相手になってほしいな〜。ダメ?」

                『ズズ』

『14分48秒』――――それが何を意味する言葉なのか。口調に、剣呑さは無いが・・・

752斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/21(土) 00:13:58
>>751

――銀の枷が音をたてずに袖に戻る。

役目を終えた『鎖』が掻き消え、後には何も残りはしない
当然だ、それがスタンドである以上 俺が作り出した現実に双方から干渉可能な実体であっても
一切触れずに、朝方の夢の如く消せるくらいは可能な事実だ。

 「――なんだ、暇なのか?それとも底抜けに呑気なのか?」

鼻を鳴らす、目の前で寝転んだ少女はどうにも危機感という物がない
すくなくとも自分が女で、それも血濡れであったなら 男の前で寝転ぼうとは考えない事だ
――普通の人間なら、という但し書きは着くが。

(少しは引いた車やらに怒るなり、自らの負傷に動揺するなり有りそうな物だが、それもない)
(血の粒は車道に残らず、痛いと言いながらその顔はむしろ夢見心地の乙女のようにも見える)

……やれやれ、俺は探偵では無いんだが。
腕を組みながら吐息を吐く、そういえば暦の上では既に春だったか?
桜の下にはなんとやら という話は聞くが、車道の上に女が寝転ぶという話はついぞ聞いた覚えがない
あったとしてもそれは単なる事故現場だ。

(血液、或いは肉体そのものに同化した『スタンド』か?引いた車自体も現実に存在するか怪しい物だな。)

 「構わんぞ?其方が『勝手に歩道に寝転んで勝手に話す』分にはな。」

 「毒にも薬にもならんのだから、勝手に好きにするがいい、俺もそうする ――ただ、それだけでいいのだがなぁ。」
 「解らん奴の多い事、多い事……それで?何を聞きたいのだ?自己紹介からか?」

皮肉気味に端正な顔をゆがめながら、肩を竦める
少なくとも、先程のくだらない逆恨みの男よりは退屈はしないのだから。

753日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/21(土) 01:04:36
>>752

「今から、バイクを追いかけられるわけじゃないでしょ〜?」

      『ズ』

           『ズ』

「だったら、動けるようになるまでは……」
「お話でもしてる方が『価値』ある時間じゃなぁい?」

危機感。確かにそれが『無い』。
致命傷ではないにしても、『重傷』ではあるはずなのだ。
おかしな方向に曲がった脚などは意識を飛ばしかねない。

――――『普通ではない』のは斑鳩の見立て通りだろう。

「自分の話が相手にとって毒か、薬か。そんなのわかんないもんねぇ」
「それなら自分の薬になることをするのが良いよね〜。んふふ」

「話す内容はなんでもいいんだ〜」
「そうだねぇ、自己紹介からにしとこっか」

日下部は笑みを浮かべる。
顔立ちは斑鳩同様に端正な部類だが……血に濡れた笑みは、気味の良いものではない。

「日下部(くさかべ)……日下部虹子(くさかべ にじこ)」「趣味はぬいぐるみ集め」
「気安く、クサカベって呼んでね〜」「それで……お兄さんのことは、なんて呼べばいい〜?」

754斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/21(土) 01:23:53
>>753

 「……ふむ、名乗られたからには返さねばならんな。」

己の顎を撫でつつしばし佇む
偶然とはいえ、さて この『俺』自身はなんと名乗った物か?思えば考えた事が無かった
同じ名前を名乗るのも良いが、それでは少々つまらない。

 「――よし、俺の事は『ライカ』と呼べ どうせ2度も会わんのだから、その辺りが双方都合よかろう」
 「偽名だからと文句を言うなら、その前に……その端正な顔を拭う也してから言うのだな、美しい顔が台無しだぞ?」

いかに元が美人であろうと、化粧が下手では台無しという物
それに、吸血鬼か歩く死体と見紛うその姿に本名を告げて、老夫婦に災いを持ち込むのははばかられる事でもある
何がトリガーになるのか解らないのがスタンド能力だ、まったく面倒だと思う。

 「思うに、薔薇というのは手がかかるから美しいのだ 虫食いの華など見向きもされまい。」

恐らくクロガネ辺りなら放ってはおかないだろう、それ故に善性なのだから
しかし俺が考えるのは、あと一歩間合いを広げるべきか?と言う事くらいだ。

 「……しかし、俺としては面倒な奴を返り討ちにした後なので、特に貴公には興味が無いな、うむ 薪にもなりそうにない。」
 「何か他に聞きたい事はあるか?」

他の気遣いは目の前の女の言うとおりに、救急車を呼ばない辺りが関の山と言う事だ。

755日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/21(土) 02:58:03
>>754

「偽名なんだ? 言わなきゃ気付かないのに〜」「まあ」
「呼んで答えてくれるならなんでもいいよぉ。よろしくライカさ〜ん」

『意味』はどうでもいい・・・重要なのは『そこにあるもの』だ。
ライカでも、ベルカでも、ストレルカでも同じことだ。

「私、きれい? やった〜」「んふふ」
「お世辞でも、なんでも、口に出してくれたのが嬉しい〜」
 
            グイ…

袖で顔を拭う。
誉め言葉は本題ではないとはわかっている。
斑鳩の本心、本音、本当の関心ごとは分からない。
分からないもの、見えないものにこだわるつもりはない。
それが表立って、目につき鼻につく問題にならない限りは。

「でも、まあね、こんな状態だからねぇ」
「せっかくなら無傷で、化粧もばっちりの所を見せたかったな〜」
「きっともっと、綺麗だって驚いてくれたと思うのにぃ」

                      『ズウ』

「んふ……まあいいや、それは」
「轢かれたからお話出来てるんだし、言っても仕方ないよね〜」
「そうだねえ、何のお話をしよっかな。ねえねえ、『面倒なやつ』っていうのは?」

       『ズ』

「話すのも面倒なヤツなら、別の話でもいいよ〜。趣味とか……最近読んだ本とか〜」

756斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/21(土) 05:58:04
>>755

(……やはり『幻聴』ではない この引きずるような音は何だ?)
(周囲を見渡しても、音の発生源が解らない 遠距離操作ならこんな音を出す必要が無い)

 「仕方なかろう、本名の方は『俺』の名前では無いんだからな ……正確には奴の名前でもないが。」

(肉の詰まった皮袋を引きずれば、こんな音になるか……?)

 「ああ、そいつか?」

アレが何かと言う事は一旦置いておくとしよう
……腹が立ってきた。

 「……人間は生まれる境遇を自分で設定できると思うか?肌の色、瞳の色、色弱、アレルギー、才能、美醜」
 「例を挙げればキリがない、自分では決定できない生まれついた他者との違いが人にはある」
 「その『わずかな違い』だけで人は争える……その延長線上に戦争まで引き起こせる。」

黒人と白人の争い等はそのいい例だ……未だに後を引いている。
国境、人種の違い、それこそ無数に火種となる。

 「他人と自分は別の人間、そんな事は誰に言われるまでも無く至極当然のこと」
 「だが、時に凡人はそれすら忘れ、己の境遇がまるで他者のせいだとでもいうかのように難癖をつける。」
 「そいつに才能が無いのは誰のせいだと? ……少なくとも他人のせいではあるまい。」

そう、何が俺のせいだというのだ?貴様らに才能が無いのは俺のせいか?
俺に才能が有るのは俺のせいか?ただ持っていただけの事を、何故そこまで責められなければならない?
単に貴様らが凡人共が、『如何なる努力を持ってしても生涯俺には勝てない』というだけではないか。

 「結果、俺はホワイトデーの返しの為の焼き菓子が粉と化したわけだ……気にくわんよ」
 「――なあ、勝てないと解れば足を引っ張るのがそんなに楽しいのか?自分を弱者だと声高に叫んで、それを免罪符に他者に罪を被せるのは?」
 「理解しがたい、不愉快極まる、見るにも聞くにも堪えん糞袋共だ 何故あんなのが生きている?」

許せるか、許せるものか、許しはしない、俺にとっての世界は、両親を通してみる物だった
なのに何故お前たちは生きている?すでに世界は死んでいるのに、なぜのうのうと息をしているのだ?

 「悪なる者が罪を償わず、善なる者がその罪を押し付けられ」
 「正当な報いはいくら待てども来はしない ――何故納得できる、何故許しておけるのだ?」

今日も連中は生きている、普通の人生を送っている、その下に踏みにじられた一つの家族がある事など、とうに忘れて生きている。

 「どうして?何故? いくら聞いても連中の答えは要領を得ない『ずるい』だの『卑怯』だの……」
 「すべて、すべて『理不尽』だ、どいつもこいつも反吐が出る 死んでしまえよ塵屑だろうが、お前らに何の権利が有った!」

――死ねよ貴様ら、先に俺を殺したのだから、俺が殺して何が悪い、理不尽だろうがお前も死ねと

 「他の一切を期待はしない 苦悶の叫びも悲嘆の嘆きも必要ない、ただただ奴らが理不尽と共に死に絶えてくれればいいのだ!俺は!!!」

『鎖』が悲鳴のような軋みをあげる、怒りを燃やすたびに俺のスタンドが狂い悶える
操る事の出来ない筈の鎖が、絡みついた全身から怨嗟のような音をたて続ける。

 「――だが殺せもしない、ああ、故に面倒だ あんな連中でも警察というのは守るんだからな。」
 「本当に、本当に、面倒だよ ……それだけだ。」

それだけ言うと燃え尽きた灰のように体を縮める
怒り続けることは酷く難しい事だから。

 「……それで?俺からも今更聞くが さっきから耳障りなこの何かを引きずるような音は、『くさかべ』に聞いていい事か?」

757日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/22(日) 08:57:33
>>756

「? 律儀なんだねライカさんは。まあ、事情は聞かないけど〜」

"『俺』の名前ではない"
"『奴』の名前でもない"

意味はよく分からないが、何かの『線』を踏み越えないようにしているらしい。
殺人は出来ない、『警察に守られているから』……その言葉からもそれは分かる。

大事な線を超えない。彼は怒れる存在だが、狂いきった存在ではない。

「んん、あれだね。『道徳』とか『他人の気持ち』を思いやるより」 
「ずっと、『自分の楽』の方がずーっと『わかりやすい』からね〜」
「わかりやすいことしかわからないんだよ、あんまり頭が良くないとさぁ〜」

        ニコォ…

「でもそれで人を襲ったら、返り討ちにされるのは当然だよねぇ。話してくれてありがとう」

誰のせいでもない『不幸』はいくらでもある。
それが自分の足を捉える事も……いくらでもある。
あるいは、最初から捕われていた、という事も。

理解する事は難しい。理解したとしても、『自分の楽』は大事なことだ。
目に見え、触れられ、己が確実に感じる『それら』が、重要なのだ。

「ん……この音? これはねえ……んふ、お返しに答えるよ。よいしょ」

       ゴロ…

「ホラ、お腹見て〜。別に見せたら減るものじゃないし〜」

大型犬のように、仰向けになった。それほど呑気な状態でもないが。
……白いセーター……だったのかは定かではない。『赤い』からだ。

      『……ズ』

「今ねえ、私は『治ってる』ところなの」
「私は特別、『生きる才能』があるから。だから、早く治るんだよね〜」

その布地が、律動的に蠢いているのは……その下に隠された『肉』の動き。
服を捲ればより分かりやすい。『傷の再生』……人体にはあり得ない速度。

そして、ライカには見える。血に混じる無数の『ベニクラゲ』の幻像が。

「それがコンクリートと擦れちゃってたんだね、うるさくてごめんごめん」

『アット・セブンティーン』と、名付けられた。『スタンド能力』……その発露だった。

758日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/22(日) 08:58:48
>>756

「? 律儀なんだねライカさんは。まあ、事情は聞かないけど〜」

"『俺』の名前ではない"
"『奴』の名前でもない"

意味はよく分からないが、何かの『線』を踏み越えないようにしているらしい。
殺人は出来ない、『警察に守られているから』……その言葉からもそれは分かる。

大事な線を超えない。彼は怒れる存在だが、狂いきった存在ではない。

「んん、あれだね。『道徳』とか『他人の気持ち』を思いやるより」 
「ずっと、『自分の楽』の方がずーっと『わかりやすい』からね〜」
「わかりやすいことしかわからないんだよ、あんまり頭が良くないとさぁ〜」

        ニコォ…

「でもそれで人を襲ったら、返り討ちにされるのは当然だよねぇ。話してくれてありがとう」

誰のせいでもない『不幸』はいくらでもある。
それが自分の足を捉える事も……いくらでもある。
あるいは、最初から捕われていた、という事も。

理解する事は難しい。理解したとしても、『自分の楽』は大事なことだ。
目に見え、触れられ、己が確実に感じる『それら』が、重要なのだ。

「ん……この音? これはねえ……んふ、お返しに答えるよ。よいしょ」

       ゴロ…

「ホラ、お腹見て〜。別に見せたら減るものじゃないし〜」

大型犬のように、仰向けになった。それほど呑気な状態でもないが。
……白いセーター……だったのかは定かではない。『赤い』からだ。

      『……ズ』

「今ねえ、私は『治ってる』ところなの」
「私は特別、『生きる才能』があるから。だから、早く治るんだよね〜」

その布地が、律動的に蠢いているのは……その下に隠された『肉』の動き。
服を捲ればより分かりやすい。『傷の再生』……人体にはあり得ない速度。

そして、ライカには見える。血に混じる無数の『ベニクラゲ』の幻像が。

「それがコンクリートと擦れちゃってたんだね、うるさくてごめんごめん」

『アット・セブンティーン』と、名付けられた。『スタンド能力』……その発露だった。

759斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/23(月) 00:54:39
>>758

 「…………。」

 (――故に、俺は怒り続けなければならない、過去を過去だと受け入れて、笑い飛ばすのは今は不可能だから。)

息を吐く、もう白む程に寒くはない。

超能力者がいる以上、ある種の幽霊や怪物がいると考えた方が合理的だ
その辺りが俺の想像の限界だが…『スタンドのクラゲ』が体内に存在するとは。

 「そうか、ある種安心した 少なくとも『スタンド使い』である事は事実らしいからな。」

見た事のないタイプである事には興味がある、自己の治療に特化した『群体型』の亜種のような物か?
それ以上ではなさそうだが、スタンドの成長というのは如何伸びるかは解らない物だ。

 「――俺の意味のない話を聞いた礼だ、日下部が治るまでは此処にいるとしよう、律儀にな」
 「次が『車』で『車道に沿ってくる』とは限らんだろう?」

満足に動けないのなら、次は引きずるくらいはしておこう
クサカベが治って去るまでの間に、俺に出来るのは精々そのくらいだ。

760日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/23(月) 03:46:21
>>759

「んふふ、『これ』でスタンド使いじゃなかったら『吸血鬼』?」
「そうなるのも悪くないけどね〜」

「でもま〜ね、『危険』なことなんて何もしないんだよ、私は」
「『治るだけ』……それだけの事実」
「それだけで十〜〜〜分って、事実なんだ〜」

              ノソ…
 
「だから好きなだけ安心してね。安心料を取ったりもしないから〜」

服を直し、仰向けのまま頷く。
『アット・セブンティーン』は『治すだけ』ではない。
が、あえてそれを口に出す必要もない。

『事実として危険はない』――――それだけで十分だ。

「だって、私の方はライカさんのおかげで大安心だし〜。ほんとありがとねぇ」

           『ズ…』

「一人で放置されてたら、どうなる事やらって感じだったもんね〜」
「それにお話してたおかげでね……もうそろそろ、動けそう」

「時間が経つのって、たまに早すぎるよね〜〜〜」

                  『ギュ ギュ』

脚、だ。おかしな方向に曲がっていたはずの脚が、戻っていく。
まるで『巻き戻し再生』の映像を見るように、負傷がその体から消えていくのだ。

761斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/03/23(月) 21:57:26
>>760

負傷が一通り治ったのを見て
俺はその場を離れた

スタンドという力から連想できる事は多々有るが
今はそんな事をする必要が無いのだ

そうなると俺のすべき事は殆ど無い
イヤホンを手に取り、スマートフォンのプレイリストから音楽を選ぶ

ショパン:ピアノソナタ 2番第3楽章『葬送行進曲』ホロヴィッツ
雷鳴のように歌い上げる旋律を聞きながら、俺は帰路に就く

次がそうでないと願いながら。

762日下部『アット・セブンティーン』:2020/03/25(水) 02:51:28
>>761

「じゃあね〜。またどこかで会ったら、よろしくね」

                   ニコォ…

「あと『4分』」

             「……いたた」

『ライカ』が去ってしばらくすれば、そこには誰もいなくなる。

事故は確かに『そこにあった』し、被害者もいたが、『いなくなった』。
まるで怪談のような現象を、『スタンド能力』は目に見える現実に変える。

763百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/15(水) 21:20:47

  ザッ ザッ ザッ

白いパンツスーツで、夜の歓楽街を歩く一人の女。
『白百合を象ったイヤリング』が、ネオンの光を受けて煌く。
口に咥えた煙草からは、紫煙が立ち昇っていた。

          ――――ザッ

「何処だかで『轢き逃げ』があったなんて噂を聞いたけど」

街灯に背中を預け、賑やかな通りを観察する。
これといって『問題』が起きている様子は見えない。
少なくとも、今の所は。

「この辺は『異常なし』かねぇ」

独り言のように呟いて、腕を組む。
視線を下ろすと、足元に何かが転がっているのが見えた。
誰かが捨てた空き缶だ。

「ハ、『異常あり』――か」

      スッ

苦笑いして空き缶を拾い上げ、辺りを見渡した。
まもなくゴミ入れが見つかる。
そこに向かって、空き缶を放り投げた。

                         カランッ

ゴミ入れに入った空き缶が、軽い音を立てる。

764名無しは星を見ていたい:2020/04/15(水) 22:25:37
>>763
軽い音を立てたゴミ入れは、喧噪から少し離れた路地の入口にあった。
そこにふと目を向けた百目鬼は、偶然にもゴミ入れの傍に蹲る『人影』に気づいた。
暗がりが災いして、今の距離ではかろうじてシルエットだけが判別できる状態だ。

765百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/15(水) 23:05:15
>>764

「――どうやら、まだ衰えちゃいないようだねえ」

缶が入った事を確認し、視線を移す。
その『影』を見て、頭を掻いた。
野良猫には見えない。
酔っ払いか何かか。
自分の『目的』とは違うが、無視する訳にもいくまい。

「アンタ、気分でも悪いのかい?」

       ザッ ザッ ザッ

口元から紫煙をくゆらしながら、『人影』に近付いていく。

766名無しは星を見ていたい:2020/04/15(水) 23:11:47
>>765
その人影は『男』だった。 路地の壁に寄りかかるようにして地面に座っている。
百目鬼の声に反応することもなかった。
俯いていて、表情は伺えない。

767百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/15(水) 23:28:10
>>766

「さて、どうしてやろうかねぇ」

単に寝てるだけなら放っておいてもいい。
風邪は引くかもしれないが、『自己責任』だ。
だが、違った場合は問題になる。
例えば『病気で死にかけてる』とか、そういった事だ。
無いとは思うが、絶対とは言い切れない。

「――手間掛けさせてくれるじゃないか」

         ザッ

深い溜息をつき、更に足を進める。
膝を曲げて腰を落とし、男の顔を確認する。
それでも見えそうにないんなら、
襟でも髪でも掴んで上を向かせりゃあいい。

768塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/15(水) 23:55:11
>>767
確認した男の顔は……『真っ赤』だった。
表情もどこか緩んでおり、少なくとも死に掛けているようには見えず……
更に言うならば『酒臭かった』。

「ああ……悪いなァ。
そいつ、ほっといてイイから」

腰を落とす百目鬼の背後から、女の声が掛かった。
振り向くと、いつのまにか痩身の女が傍に立っている。
高価そうなスーツをだらしなく着崩したような服装をしており……手にはペットボトルを持っている。

「何もかも自業自得で、終いには寝るもんだから、
起きるまで放っとこうと思ってよぉ〜〜〜」

「しかし、あんた……何かカッコイイ割に『良い人』?」

そんな事を言いながら、ぼんぼんと男の頭を叩いている。

769百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/16(木) 00:22:15
>>768

「おやおや、ご機嫌だ」

我ながら気を回し過ぎたか。
そう思って立ち上がる。
視線の先には『もう一人の人物』。

「『お節介』なタチでね。アンタのツレかい?
 ま、人様に迷惑掛けなきゃいいさ」

「寝てたのが道のド真ん中だったら、
 蹴り飛ばしてたかもしれないけどねえ」

男を見下ろしながら、口の端で笑う。
それから女の方を見た。
男のように泥酔してはいないのは分かる。

「アンタは平気みたいだねぇ。
 どれだけ呑んだか知らないけど……」

「結構『イケるクチ』かい?」

特に根拠がある訳でも無い。
単純に『見た目』で判断しただけだ。
実際は下戸で一滴も呑んでないのかもしれない。

770塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/16(木) 00:51:35
>>769
「別に、なんなら今蹴ってもいいぜ。
案外起きるかも知れねーし、そうしたら私も帰れるんだがなァ……。
せめてタクシーに放り込みたいが、どっち道動かさなきゃあな」

熟睡している男を見て、諦めたようにため息をつく。
その平然とした様子は、少なくともアルコールが入ってるようには見えない。

「別に……こいつがハシャぎ過ぎなだけだ。
私自身は、まあ、強い……んだろうな。
ただ、別に『酒』なんて、付き合いでもなきゃあ飲みたいとも思わん。
旨いとも、不味いとも思ったことも無いしなァ」

「そもそも『酔う』ってのが……なんかこう、『怖い』。
こいつは、まあただの馬鹿って事でイイんだが………
良く、そんな他人の前で隙を見せるよーな事ができるもんだと、私は思うね」

771百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/16(木) 01:35:27
>>770

「ハハ、大昔からの『常套手段』だからねぇ。
 『気を緩ませるために酒を呑ませる』なんてのは。
 そうじゃなくても、泥酔して恥を晒すなんてゴメンだからね。
 アンタの言う通り、気を付けとくに越した事は無いと思うよ」

「酔っ払ったフリをして、
 『逆に相手を油断させる』って手もあるけどねえ。
 もっとも、アンタのツレは違うようだけど――」

「もし芝居だとしたら拍手してる所さ。
 ハハハ、『出来ない』のが残念だねえ」

冗談めかした口調で続ける。
まず演技ではなかろう。
酒の匂いも酷かったし、あの赤ら顔は化粧では出せない。

「ま、酒なんて生きていくのに必ず必要なもんでもない。
 関わる理由がないなら関わらないのが一番さ。
 『コイツ』と一緒でね」

     スッ

指の間に煙草を挟み、軽く持ち上げてみせる。

「体にとっちゃ毒にしかならない代物なんだが止められない。
 難儀なもんさ」

     フゥゥゥゥゥ――――ッ…………

ゆっくりと、静かに煙を吐き出す。
細く長い紫煙が、夜の闇に溶けて消えた。

「さて……運ぶのに『人手』が必要かい?
 邪魔でなけりゃあ、アタシが手伝ってもいいよ。
 自慢じゃないけど、体力には自信があるからねえ」

772塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/16(木) 21:40:00
>>771
「ハン、その点に関しては心配はいらねーよ。
見ての通りだ。見ての通り馬鹿」

ぐい、と男の顔を掴んで笑う。
百目鬼の言葉に、歪めた男の顔を見ながらぼそぼそと呟く。

「………何も必要なものだけが重要ってわけじゃあない。
そんな事を言い出したら、こいつや私なんざ、一体何なんだ? って話になるからなァ。
タデ食う虫もナントカって、あれだよ」

「ああ? 『手伝い』?
そいつはありがたい話だが………あんた、暇人?
あんたの用が、なんかあったんじゃあないのか?
酔っぱらいの介助が趣味ってわけじゃあ、ないだろうし」

773百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/16(木) 23:15:33
>>772

「ハッハッ、そりゃそうだ。一理ある。
 生憎、アンタとツレがどういう人間かは知らないけど――――」

「アンタもアタシの事は知らない。お互い様さ」

「『超能力』でもあれば分かるのかもしれないけどねぇ。ハハハ」

世の中には、そういうスタンド能力もあるのだろう。
もっとも、『ライトパス』にはそんな力はない。
だから、目の前の相手の素性は分からない。

「なぁに、アタシの事は気にしないでいいよ。
 『用事』はあるっちゃあるけど、『寄り道』する時間がない訳でもない。
 これだって、用事に含まれてると言えば含まれてるしねえ」

「『街の美化』に貢献する――十分な理由だよ」

用というのは、『見回り』だ。
街の秩序が保たれているかどうか確認し、そうでなければ『修正』する。
もちろん本来は警察の仕事であり、自分は警察ではない。
だが、市民には警察に協力する義務がある。
そして今の自分は、『市井の協力者』として個人的に動いている。

「で、どうやって運ぶ?ツレの頭と足を、アンタとアタシで持つかい?」

774塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/17(金) 00:22:16
>>773
「突拍子もないハナシだな、『超能力』。
他人の心を覗く……『能力』か。
ふん、そんなモンなくったって、訊けばいくらでも教えてやるよ。
その気があるならな」

『超能力』という単語に眉を顰め、
男の許から立ち上がって、はじめて百目鬼に目線を合わせた。

「……ま、そんな事はどうでもいいか。
本当に『運ぶ』のを手伝ってくれる気だったのか?
実際に、こいつにとっちゃあその方がいいんだろうが、絵面がヤバイだろーがよ。
私にとっちゃ、そこまでしてやる義理もないし……こうやって喋って時間を潰してりゃあ、
その内に目覚めてくるだろーよ」

「それより、なんだって……『美化』?
つまり、『パトロール中』って事か?
そういうのって、ボランティアでやんのか?」

775百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/17(金) 01:03:34
>>774

「ま、『仕事』って訳でもないからねぇ。
 誰に頼まれたんでもないけど、
 強いて言うなら『ボランティア』か」

目線を正面から受け止め、言葉を返す。
世間話をするような軽い口調だった。
しかし、その目の奥には、
何か強い『意志』のようなものが秘められていた。

「蓼食う虫も好き好きとは言うけど、
 『街は綺麗な方がいい』ってのは、
 大多数の一致した意見だと思ってるだけさ」

『汚れた街の方がいい』という者もいるかもしれない。
そういう手合いは、大抵そいつ自身が汚れている事が多い。
見つけた時の対応は、『そいつを綺麗にする』か、
『街から叩き出す』かだ。

「ちなみに、アンタのツレとは、どういう間柄なんだい?
 アタシが思うに…………いや、止めとくよ。
 こういうのは苦手でね。せいぜい外すのがオチだからねぇ」

776塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/17(金) 22:00:37
>>775
「そりゃあ、ご立派なこったな。
しかし、『綺麗』つーのは、どーいうことだ?
こいつなんか……どっちかつーと『汚れてる』。『汚い』寄りだと思うがなァ。
あと、勿論私も……」

冷ややかに言って目を逸らす。

「どういうって、そりゃオトコだよ。
月曜と、水曜日のな」

777百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/17(金) 22:43:28
>>776

「アンタら、今『犯罪』に手を染めてるかい?
 もしくは片棒を担いでるとかねえ」

目線を逸らす行為に引っ掛かるものを感じた。
何かあるのか、それとも考え過ぎか。
こちらは目線を逸らさない。

「気を悪くしないでおくれよ。要するに『そういう事』さ」

煙草を口に咥え、女と男を交互に見る。
犯罪者の類には見えない。
もちろん根拠はないが、そうだという証拠もない。

「ハハ、やっぱり外れてたね。言わなくて良かったよ」

「しかし、いつもこうだとしたらアンタも大変だ。
 いや、いないよりマシかねぇ」

「アタシなんて、昔から男が寄り付かなかったよ。
 周りは男ばっかりだったってのに」

「――ま、『今更』な話だねえ」

778塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/04/17(金) 23:21:58
>>777
「『はい』って回答が出なそうな質問だなァ、そりゃ。
別に後ろ暗い事はねえよ、私もこいつもな。
ただ、真っ当に生きてるとも言い難いかも知らねーが、なあ」

ドカッと軽く男を蹴ると、相槌とも呻きとも取れるような低い声が、
男の口から洩れた。

「まあ………そこんとこは何だかんだいっても、
持ちつ持たれつってトコだから、仕方ねーってトコだな」

週2だしな、と呟いて、男の前にしゃがみ込む。
腕を乱暴に掴んで、頭を振る男を強引に立ち上がらせた。

「お? 起きたか? オイ……ぼけーとしてんじゃあねえぞ、『ケイタ』。
別に、男なんてあんたの口に咥えてるモンと一緒さ、好きにすりゃあいい。
それじゃ、時間取らしてワルかったな、ありがとよ」

ふらつく男に肩を貸して、ひらひらと手を振って立ち去った。

779百目鬼小百合『ライトパス』:2020/04/17(金) 23:43:58
>>778

「はいよ。ま、気ぃつけて。
 途中でフラついて転ばないようにねぇ。
 ハハハ、そりゃあ『余計なお世話』か」

その場に立って、二人を見送った。
似た者同士。
そんな言葉が頭に浮かぶ。

(案外、ああいうのが良い関係だったりするのかもしれないねえ)

    ザッ

「『異常なし』――結構な事じゃあないか」

               ザッ ザッ ザッ

踵を返し、歩き出す。
進む先には、清濁併せ呑むネオンの海が光り輝いている。
やがて、その後姿は光の中に消えていった。

780斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/28(火) 17:31:53

ヒュンヒュンヒュンヒュン……

 「う〜〜〜ん……」

 ――ヒュガッ
         ガコォン!

 「いけるか?い・け・る・か・ァ〜〜〜?多分イケるとは思うんだけど確証ねぇなあコレ。」

 「『鉄球』投げた後に表面の鎖を何枚か『消滅』させて空気抵抗でピッチャーの如くカーブボール。」
 「名付けて手動式誘導弾『レッキング・ボール』。」

 「いやあ投げ物ばかりじゃねえかとは思うんだけどさ、僕のスタンド殴り合いとかバチクソ向いて無いんだよね」
 「鞭みたいに扱えるかなーとは思うし、鞭自体先端の速度は音速を超えるんだけど。」
 「それを差っ引いても近距離パワー型の射程内に入る必要とかあって。」

 「軽く殴って家の壁ぶち壊したり、新幹線並みの速度の手刀相手に使えると思う程楽観的じゃないんだよねぼかぁ。」
 「一手間違えたら死にますとかリスキー過ぎるわ、チェスの駒じゃないんだぞ。」

 「で、さあ、総弾数2発、速度及び精密性Bの多少誘導する鉄の塊投げるだけじゃあ…ほら、『弱すぎるだろ?』」
 「他の手段試しながら考えてるんだけど……どーかなー んー 実戦の中で成長とか漫画の主人公オンリーだからねソレ。」

 「――どう思う?」

 「なあ。」

 「返事くらいしてくれないと困るんだがな。」

 「……まあいいや、次だな。」

 「接近戦とか考えたくないんだけどさ。やっぱり手は必要かなぁ……」
 「とりあえず今は鎖の塊を振り回して、相手に叩きつけると同時に分離・再結合」
 「木の枝が伸びるように相手を絡めとる…悪あがきとしては結構有用かもな。」
 「スタンドって殴る部分は相応に硬化するけど、それ以外は別にそうでもないし。」

 「手首と首が鎖で接続された状態で、下手にパンチ繰り出したりすると、強度差の関係で首がもげるんだよな 多分。」
 「相手がパワー馬鹿であればあるほど有効、広がり方では避けきれず、迎撃しようものならむしろ此方の思うつぼ。」

 「ただ、速度差が有るとむしろ微妙かなコレ。『分解』する能力相手も無理。」
 「掴んで引っ張られたら致命的よ。」

 「――――後は、切り札。」
 「使えない以上は前向きに、超能力である以上、現世の法則は無視される」
 「顕現するは人の夢、その果てにある一つの到達点。」

 「質量を弄れないなら、速度を跳ね上げるしかねえよなぁ アハン。」

 「頑張れがんばれイケルイケル、『第一種永久機関』。摩擦、重力、空気抵抗。その全てから解放された鎖なら造作もない事だ。」
 「重心を決定可能な僕のスタンドだから実行できる、僕以外のスタンドなら実行できず、できても殴った方が早かろう。」

 「――目指せ一点特化型!」

そんな事を呟きながらおひるのゲーセン裏で野良猫を抱え上げる僕だった のびーる。
どうしてこんなに猫は伸びるんだろう ふしぎだなー。

そういやここら辺で誰か殴られたんでしたっけ?こわいね。

781小林『リヴィング・イン・モーメント』:2020/04/28(火) 23:37:07
>>780

春の暖かな風が首筋をそっと擦り 耳筋の裏を擽るならば人はその訪れに
喜びを見出すのだろう

ただ、私にはそれに対しどう想い どう寒々しい胸の中に梢を植え込めば良いのか
未だに分りかねない。歩み続ければ……何時か或いは。

この界隈に来たのは『大多数の不良が一人、もしくは数人に圧倒的に
蹂躙された』といった噂を親友(ヤジ)が持ち込んだからだ。

彼曰く、そのような出来事が起こり得るのは恐ろしい力量の持ち主か
私のような奇特な力を持ち得るからだろうと告げられ、今は二手に分かれて
散策を行っていた。結局、今しがたまでなしの礫であったのだが。

「……こんにちは」

猫と戯れる青年の姿に恐ろしさは感じ得ない。
 ただ、その前に何か投げつける金属が風を切る音と強い衝突音には
平常の音色とは別の色が見えるようだった。

「すみませんが、少しお聞きになりたい事があるのです。
宜しければ、暫しお時間をとってもよろしいでしょうか?」

782斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/30(木) 00:17:23
>>781

キジトラ猫をアップダウンクイズの如くぶらぶらさせていると
何やら見慣れない男性が話しかけてきた。

はて?気の弱そうな男子生徒に万引きを強要するいじめグループや
ギャングボーイズを騙って『俺の後ろには○○組がいるんだぜ!てめぇどうなるか解ってんだろうな!』とか
壊れた拡声器ばりにギャーギャー喚いているヤツ以外にこんな所に来るヤツとかいるんだろうか?

あ、格ゲーでリアルファイトになり、ムキムキの店主に〆られてここに投げられるヤツもいたか。
だが、何はともあれ挨拶は大事だ、ニンジャもそう言っている 多分。
僕は声のする方に振り返った、キジトラが唸るような声をあげる。

 「――やあ!」

挨拶は笑顔で元気よく、首に巻いたスカーフが揺れる うーん……やはり知らない顔だ
ところで知らない天井だっていう台詞、余程天井を見なければ出てこないと思うのだが彼は天井マニアだったのだろうか?

 「話がしたいって?うーん、宗教勧誘とつつもたせとモデルの勧誘以外なら大歓迎だよ。」
 「あ、でも男性だから美人局はないか……?ないよね?うん、ないと仮定しよう、お互いの為だ。」

お話は大歓迎、でもこういう人間がここで話しかけてくるシチュエーションはノー歓迎
こういうキチッとした身なりをした人間が、路地裏で猫と戯れているヤベーヤツと話したがる時は、大抵が何かしらの探りってハナシ。

おまけにさっきまで投げていた鉄球――僕はそう呼んでいるけど実際は鎖の塊――は既に『実体化したスタンド』だ。
投げれば音が出るし、壁に当たれば金属音も鳴る 五月蠅いし目立つから罠を貼るのにはホント向いて無いなコレ。

 「でもその前に自己紹介がしたいなぁ〜〜君、何て名前?」
 「僕は斑鳩、斑鳩 翔 鳥のイカルに、翔けるの翔」

 「イイ名前だろ?数少ない僕の自慢だぜ。」

783小林『リヴィング・イン・モーメント』:2020/04/30(木) 00:41:01
>>782(お気になさらず)

小林の身なりは、何時もと同じく学生服のブレザーをバンカラマントのように
身に着けており、その耳には付けピアスが見える。
 華奢だが、平俗の生真面目な学生、とも言い難い恰好とも言える。

>僕は斑鳩、斑鳩 翔 鳥のイカルに、翔けるの翔

「……斑鳩、斑鳩 翔?
それでは、貴方が三枝 千草さんの御友人の斑鳩さんで間違いなく?」

名乗りを聞いて、少しだけ口元に笑みが自然と浮かべられた。
 信おける後輩の方の知り合いだと理解すれば微かにあった懸念や警戒も下がる。

「私は小林 丈です。高等部 三年……此処の界隈で不良の一団が
もしかすれば特殊な能力で一掃された可能性があると聞き及んだのでね。
 それに対し明確に事件としてなってる訳ではないですが、万が一の事も
考えて軽く取っ掛かりとなる情報を得ようと足を運んでた次第でして」

「ですが、斑鳩さんが。その話の核心に及んでいたとかであれば……
 私の気苦労も特に要りはしなかったかも知れませんね」

彼がスタンド使いだとして、その能力を悪事に使うような人間なら
自然と危険を千草さんなら仄めかすだろうし。そのような発言も聞かなかった。

……少し、彼の名前を聞くと。どう言う訳か何処かしらで出会った経緯が
あるような奇妙な錯覚を覚えるが、それは本当に錯覚なのだろう。

784斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/30(木) 02:23:50
>>783

――いやサグリじゃないな、何かしら調べているだけだ。

軍人風に短く整えた頭髪を弄る、昨日リンスしてたっけ?間違えてシャンプー2回しちゃったんだっけ?
どうでもいいけど。

>……斑鳩、斑鳩 翔?
それでは、貴方が三枝 千草さんの御友人の斑鳩さんで間違いなく?

 (あれ、いつの間にか友人になってる。)

はて?ガッコーで数回面合わせした程度で僕は友人面していいのだろうか?

 (まあ、どうでもいいか、後で謝ろう。)

 「イエスイエース アイムフレンド そういうあなたはコバヤシパイセンと言う事ですね」
 「よろしくパイセン。」

三枝ちゃんの交友関係結構広いんだなあ。ともの思ふ僕であった
どうでもいいけど。
名前が出てから露骨に頬の筋肉の硬直が減った辺り、信頼されているらしい。
どうでもいいけど。

 「うーん、でもパイセンの期待は無理気味ですなぁ。」
 「だってその件、今初めて聞いたし。そんなことあったんです?こわいなー。」

或いは僕が忘れてるだけかもしれないが。
炉端の小石を蹴り飛ばした事なんて、いちいち日記に書く奴はいないだろ?
要らない物は書き損じの原稿用紙の如く、グシャグシャ纏めてゴミ箱にダンクするのが正解です。

 「――いや、まったく 困るなあ。」
 「でも小林パイセン、そんなこと調べてどうするんです?もしや金欠?」

785小林『リヴィング・イン・モーメント』:2020/04/30(木) 21:52:32
>>784

>そんなこと調べてどうするんです?もしや金欠?

「私の目的の為に調査をしてると言うよりは、親友の手伝いが重心です。
彼は、この町の不安の芽を摘むのを仕事としていますので。
 然しながら、私にも打算あっての協力ですよ。物書きの手習いを
してますから、そう言った事件 出来事に足を踏み込めば作品の幅が
手広がりますので……町の平安にも繋がりますし、一石二鳥と言った所でして」

私の事情は大体話し終えた。彼が千草さんの知り合いであり
学校の生徒であるなら、別にゲームセンターの人知れぬ所で猫とじゃれ合う
事が悪事に繋がるとは思えないし、このまま別れても結構なのだが……。

「……鉄の唸る音、そして……あの、ひしゃげた部分」

彼の能力(ロスト・アイデンティティ)がぶつかったであろう、
恐らく高い確率で陥没してるだろう近くの場所を人差し指で示して
他の者曰く、少し乾いた自身の目を向けた。

「……スタンドの訓練でしょうか?」

786斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/30(木) 22:33:37
>>785

 「成程、ここでの話のタネがパイセンの物書きのタネになる、と。」

趣味と実益を兼ねている、趣味を仕事にしている人間の強みだな
ワーカーホリックとも言う。たぶん

 「割と危険だと思うのだけど、アグレッシブなパイセンだなあ……『クロガネ』君と同じタイプと見た。」

誰の言った台詞だったか?『大抵の人間はスーパーパワーを手に入れても、ポップコーンとコーラ片手にテレビの前に座るだけだ』。
それが正しいかは知らないが目の前のパイセンも服の下に全身タイツを着込む手合いかもしれない
いや、むしろ家の地下に蝙蝠を模したコスチュームの方か? どうでもいいけど。

 「まあリアリティ求めるのはいいですけど?危険の先に素晴らしい物があるだなんて保証ありませんよー ……っと。」

ひしゃげた部分はスタンドではないので隠せない
参ったな、パイセンにここでしている事がバレたらしい 困らないけど困ったな。

 「そりゃあ、白昼堂々やっても精々手品扱いで小銭が稼げるくらいでしょ」
 「――食い扶持には困らないかな、駅前のエンペラーバーガーチャレンジとか……いやそうじゃなく。」

さて、さて。  ……ベロを回して何と言おうか
嘘をひねり出すのも、口から出まかせを並べるのも大得意
誰が僕をこうさせたのか?答えは無辜の120人。 どうでもよくない。

 「まあ……考えてみてくださいよパイセン、『超能力』を持った人たちが、トースト咥えて十字路でごっつんこしました」
 「普通ならラブでコメる展開が始まるかもしれませんが、片方が恐怖から、或いは力に溺れて傲慢だったら?」

 「目と目が合って5秒でバトル、お互いの『力』と『立場』は互角」
 「――ただし片方がLv99もう片方はLv1、何方が勝つかと問われて、1だと答える人は余程のあまのじゃくか、質問の意図を理解してない馬鹿です。」

 「彼らは他人より少しだけ運命が強く、何れは出会う運命にあるのなら」
 「全ての出会いが互いに『良きもの』であり得ると思える程、頭ハッピーセットじゃないんですよ 僕。」

ライダーズジャケットの裾から伸びる鎖をブラブラとゆらす
猫がイラついてる時にゆっくり尻尾を振るのと同じだ。

 「僕は食ってすぐ寝る牛じゃあない、出来ることはやっておこう」
 「当人の努力不足でいざという時死んだら馬鹿らしいでしょ? ……まあそんな時無いほうがいいんですけど。」

どうでもいい事だが僕は何時かそれで死にそうな気がする
戯言だけど。

 「ま、こんな能力で出来る事限られてるんですけどね、鎖びよーん。」

何時の間にやら肩に回ってるキジトラの重みを感じながら
ジャケットの裾から伸ばした『鎖』を伸び縮みさせる、かたがいたい 爪が食い込んでる 爪が。
 
 「ア…そういや探してるのスタンド使いって話でしたっけ?もしや疑ってたりします?」

787小林『リヴィング・イン・モーメント』:2020/04/30(木) 23:06:12
>>786

>『クロガネ』君と同じタイプと見た

「その名前も、千草さんから聞きましたね。……もしかすると私達
互いに面識ある人物が全員、千草さんとも知り合いとかいった偶然が
もしかしてあったりしません?」

そんな雑談も交えつつ、彼の口上を黙して聞き入れつつ。
そのジャケットから伸びた『鎖』を見届けた。

「……少なくとも、私の能力は。斑鳩さんと違い、まともに発現するのが
難しいですし、発現したらしたでスタンドで戦えるかと言えば
正直いって難しい部類の力ですよ」

静かに、されど決して卑下してるわけではない事は暗に含めつつ話しかける。

「されど、貴方の仮説の延長としてです。
その十字路で、暴れていたのがレベル99の方で一般の方々に暴力を振るい
自己の愉悦に浸っています。対峙してるのは、私のようにレベル1程度で
スタンドもまともに振るえません。
 ……警察でも呼んで、安全な場所に退避するのも正解でしょう。
けど、自殺行為に等しくても。そのレベル99の方と対峙する事で少なくとも
目の前の方が筆舌し難い顛末となる未来を、少しでも避けれはします。
 斑鳩さんからすれば、自己満足かも知れません。その顛末が身を庇った
私に置き換わっただけで、無意味なのかも知れません。

それでも……足掻かなければ、両手を広げて前に出なくてはいけない時が
無力であろうとも、その運命に対峙しなくてはいけない場面があると」

私は思うのです。と彼に軽く一礼しつつ告げた。

……これも全て、私の持論と言うよりも彼(ヤジ)の持論だ
黄金の意志に沿い進む為の……ジョジョ と呼ばれる、茨の運命に
向かう者の覚悟と言うもの。
 私には、それが正しい道なのか事実、容認してるのかどうかも
答えは今のところ生まれてない。
 けれど、その先にきっと見出せるものがあると思えたのだ。

>探してるのスタンド使いって話でしたっけ?

「あぁ、いえ……そうですね。斑鳩さんが邂逅された方で
危険そうな方など居たのなら、お教えして頂ければ助かります」

御礼などは、出来るとすれば少ない金銭を渡すぐらいですが……と告げ
財布を改める。数枚の野口はあったとは思うが

788斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/30(木) 23:58:17
>>787
 「――成程。」

キジトラの顎を撫でる
不気味なゴロゴロ音が喉元から響いて骨伝導で僕の鼓膜へ、けっこう五月蠅い。

 「まあ世間一般から見て立派じゃだとおもいますよ」
 「『勝手に人助けしようとして火事の家に突っ込んで消防士さんの迷惑とか考えないの?』とかそういう意見が有るのは百も承知で。」

 「少なくとも、自己の行動の結果で何が引き起こされるかを想像出来ないよりは、よっぽどマ…いい人だと思いますよ。」

それが僕の傍で引き起こされて、僕と僕の家族を巻き込まない限りは。
後から故意じゃなかったとか言われてもその方がたち悪いぜとかしか言えない。
覚悟と善意の消火活動の結果、隣の火事がマイホームに燃え移るのは誰だっていやだろうよ、たぶん。

 (しかし千草さんは信頼されているなあ、その信頼の結果信頼した先が悪事を引き起こし、例え信頼を裏切られたとしても)
 (その結果の追記として被害を受けるのは『信頼したほう』、こう考えると『信頼』というのは他人を裏切るには素晴らしい道具なんだな。)
 (――どうでもいいけど。)

それにこのパイセン、暗に『発動は難しいが使えない能力ではない』とも言いだした
興味はある…いや…ない…あるかなあ? まあ戦える時点で僕の探しているスタンドからは外れているだろう。
どうでもはよくない。

 「危険そうなやつかあ……んー、パイセンと違ってマニュアル世代の僕には一例がないと何ともかんとも。」
 「ギャングボーイズとヤっちゃんと大陸系マフィアは元からだし、この前のGB崩れはケンイチローが凹したし。」
 「清月館の…メ…イド……は…アレは何時か燃えないゴミに叩き込むからいいとして…なんか例とかありま…?」

スカイフィッシュの如く脳内を飛び交うアイデアが溶ける前に小林パイセン、略してコバセンに問おうとしたら
なんか急に財布出してきた ちょっと???

 「パイセン、パイセンちょっと、やめてくださいパイセン」
 「路地裏で財布出されると僕が絵面的にパイセンにカツアゲかましてる様にしか見えないんで、ちょっと。」
 「いや、デート代とかは必要なんですけどそれするくらいならバイトで稼ぐんでちょっと???」

もしやこのパイセン天然なのでは?
常識的な相方カムバックキャンペーン、今ならボロ雑巾も熨斗付けてお返しします
だれかー、素敵な第三者ぷりーず。できれば胃袋に優しい方向性で。

789小林『リヴィング・イン・モーメント』:2020/05/01(金) 22:32:00
>>788(宜しければ次レスで〆で)

若干慌てた口調を聞き、彼に数枚渡そうとした野口の札が財布から完全に
出すのを止めて、代わりに口を開いた。

「カツアゲ……の発想に向かうのは正直疑問ですが。別に情報料としては
決して逸脱してない行動ではありませんか?
 斑鳩さんが、危険な人物について列挙するだけでも。それが私や
私の親友も通じて、町の注意喚起へと繋がります。
 事細やかであればある程、それが使い手であれば猶更のこと
手広く足を運んでる者であれば巡り会う可能性も少なくないのですから」

スタンド使いは巡り会う……と言いますし、と区切りつつ財布は仕舞う事にした。

「少なくとも……私が邂逅した使い手は、ほぼ善良な方ばかりですし
幸運にも、未だスタンドを悪事に使用しようと言う方は見かけませんが」

「……これからも、それが当たり前であればとは思ってますよ」

790斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/05/02(土) 01:03:35
>>789

室外機の五月蠅い路地裏で気合入ったファッションの野郎二人が金銭のやり取りをしている絵図を想像していただきたい
どうみてもアウトレイジ辺りの一幕です、本当にありがとうございました。

 「うーん、これが『シャドウラン』だとか『ゴルゴ13』辺りなら間違ってないんですけどボクラ=ガクセイ」
 「パイセンあれですな、付き合った女性に初手手製の重箱で昼飯に誘って重いとか言われるタイプ。」

何故かありありと想像できるのは何故だろう
この人の相方とかが苦労していない事を祈ろう、まあ僕の心配とか必要ないだろう たぶん。

 「値段設定は間違ってないけど学生間で金銭はアレなんで学生食堂の食券辺りで良いですよ、Bセットとかで。」
 「パイセンと違ってそこまでガチガチにやるきないですし?片手間で集める程度ですし。」

ネー。とキジトラを肩から降ろして足元へ 小林先輩の希望論に
おもむろに『太陽がいっぱい』とかいう名前誤植したまんま有名になった映画辺りを帰ったら見ようと思い立った
この状況とは一切関係ない筈だ たぶん。

 (――善良ねぇ。『俺』ぁそれだと困るんだがなぁ)

 (第一、『人の幸福』っていうんは殆どが『他人の不幸』で構成されるもんだ)
 (『Aが落とした財布をBが拾いって交番に届け、財布が見つかったAはBと警察に感謝しました。』)
 (素晴らしきかなハッピーエンド、ただしその起点は『Aが財布を落としたという不幸』だ ――いやぁ反吐が出るほど素晴らしい。)

 (ま、どうでもいいが。)

 「――そうですね!」

にっこりと間抜けな印象を与えるように微笑む
僕らにとっては両親が全て、それ以外など興味がない
人物画の腕からの流血を見て、己の腕が等しく痛み、血を流すわけでも無し。

 「僕達、互いに『よきもの』で有りたい事ですねぇ」――俺にとって都合がいい限りは。

 ナーオ

791夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/15(金) 20:01:20

  ――――ザッ

ソレは『なんのヘンテツもないイライ』のハズだった……。
わたしは『アリス』。
このマチで『タンテイ』をやっている。

          ザッ ザッ ザッ

イマからすうじつまえ、わたしはクライアントから、
『あるオトコのチョウサ』をたのまれた。
そのオトコのシンペンをさぐるウチにつよくなる『イワカン』……。
だが、それはまるでヤミのなかのカゲのようで、
なかなかシッポがつかめない。

               ザッ ザッ ザッ

『ナゾ』のコタエにつながる『テガカリ』をもとめ、
わたしは『カンラクガイ』にアシをふみいれた。
『れいのオトコ』が、
このあたりの『バー』にカオをみせているらしいというハナシを、
なじみの『ジョーホーヤ』をとおしててにいれたのだ。
わたしは、ぜんしんの『カンカク』をとぎすませながら、
『よるもねむらぬマチ』をあるきつづける……。

                        ザッ――――

昨日見た映画に影響されたせいで、『私立探偵』になりきって、
夕暮れの通りを歩いている。
ただし、『感覚を研ぎ澄ませている』というのは、
『ごっこ』ではない。
『ドクター・ブラインド』を発現し、
周囲の『声』や『音』に注意を払っている。
何か興味を引くようなものがあれば、
そちらに行ってみようという考えだ。
ちなみに、別に『バー』に寄る予定はない。

792黒羽 灯世『インク』:2020/05/17(日) 02:06:29
>>791

        ――――ザッ

「ちょっとちょっと。そこの貴女」

       「サングラスの貴女だわ!」

注意を払うまでもなく『そいつ』が、前から来た。

短いツインテールに、夕焼け色の瞳を灯す三白眼。
何より特徴的なのは、『振袖』状に改造された制服。

「貴女……『それ』!」

「……一体、『どういうつもり』でいるのかしら!」

――その目には、『ドクター・ブラインド』が映っているようだった。

793夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/17(日) 13:16:25
>>792

『みしらぬショウジョ』によびかけられ、わたしはアシをとめた。
カミソリのようにするどい『センス』が、
ただならぬフンイキをかんじとる。
もしや『れいのオトコ』のカンケイシャだろうか??
だとすると、これは『ケイコク』かもしれない。
これいじょうフカイリすると、『イノチ』にかかわるという……。

「ダイジョーブだ。『オオゴエ』をださなくても、よくきこえる」

「イマは『シゴトチュウ』でね。『チョウサ』のトチュウなのさ」

わたしは、いたってなにげないフウにヘントウするコトにした。
ヘタにシゲキせず、スキもみせない。
『タンテイ』としてのケイケンから、
ショタイメンのニンゲンとセッショクするときは、
こうするのがイチバンであるというケツロンにいたったからだ。
まず、カノジョがどのようなジンブツかをしるべきであろう。
あわよくば『ヤツ』のジョーホーを、
カノジョからえられるのではないかというキタイも、
ココロのかたすみにあったのだが……。

「――わたしは『アリス』。キミは??」

しつこく『探偵ごっこ』を続けながら、両手を軽く持ち上げた。
隣では、『ドクター・ブラインド』も同じ動きをする。
両手が上がったことで、『メス』のような『爪』がよく見えるだろう。
同時に、『超嗅覚』で少女の『匂い』を確かめる。
何か分かるかもしれないし、分からなくても別に構わない。

794黒羽 灯世『インク』:2020/05/17(日) 21:33:46
>>793

「『探偵』の『アリス』?
 ……聞いたことないのだわ。
 まあ、けっこう手慣れてるみたいだけど」

(……『学生の探偵』がいるとは噂に聞いた事がある。
 この子なのかしら……だとしたら『ネタ』に詳しい?
 それとも……『人型スタンド』、ひょっとしたら……)

黒羽は『ネタ探し』をしていた。
元々追っていた件が行き詰まりを見せたため、
新たなネタを仕入れて心機一転を図っていた。

「私は『黒羽』よ、黒羽 灯世(クロバネ トモヨ)。
 清月で『記者』をやっている者だわ。ご存知かしら?
 記事でいくつか賞も貰ってるし……フフッ!」

「知ってても、不思議はないと思うけどね」

『ドクター・ブラインド』であれば、
その手から僅かに『インク』の匂いを嗅ぎ取れる。
それ以外に強いて言えば……『タバコ臭い』くらいだろう。
口が、ではなく……うっすらと『服』から漂ってくる。

「私も『調査』の途中なのだわ。次の記事のためのね。
 それで……貴女、その『スタンド』は何のつもり?
 場合によっては、私の調査対象は貴女になるけれど」

黒羽は敵意というより、警戒を帯びる口調で問いただす。

795夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/17(日) 22:39:46
>>794

「フッ、しらなくてもムリはない。
 『タンテイ』は、ひとしれずコウドウしなきゃならないもんさ」

『ヤツ』のナカマではなかったか……。
しかし、『ジャーナリスト』だったとは。
もしかすると、このショウジョも、
『れいのオトコ』をおっているのでは??

「『クロバネ』――『クロバネトモヨ』」

「そのナマエはきいたコトがあるな、フフ。
 『ブンブリョウドウ』で『セイセキユウシュウ』だとか、フフフ」

いつだったか、校内で『声』を聞いていた時、
どこかで『小耳に挟んだ』覚えがある。
中等部の『新聞部』に所属しているとか。
その直後に、
『果樹園でUMAを見た』とかいう噂話が耳に入ってきたせいで、
今の今まで忘れてしまっていたが。

「なるほど、
 『シンブンブ』なら『インク』にエンがあってもフシギはないな。
 そして、チョウサのトチュウでダレかが『タバコ』ふかしてた」

「フフフフフ、イマわかるのはソレくらいだ」

ところで『シンブンシ』って、
ウエからよんでもシタからよんでも『シンブンシ』になるな。
コレはスゴいハッケンだ!!
『ミシュランみつぼし』もねらえるかもしれないぞ。

「『コレ』はわたしの『アイボウ』さ。
 ちょうど『ジョーホーシューシュー』のサイチュウなんでね。
 キミとイッショだよ」

そう言いながら、両手を下ろす。
好奇心の強そうなサングラス越しの両目が、
目の前の少女を見つめる。
『スタンド使い』と確定している以上、
こちらとしても黒羽は興味の対象だった。

796黒羽 灯世『インク』:2020/05/17(日) 23:08:47
>>795

「フフッ! 私を知ってるのね、あなた中々やるじゃない。
 動きが『手慣れてる』と思ったけど……情報網も上々ね」

「その通り、私、成績もいいの。内申もテストの点も高いのよ」

褒められて気をよくしたらしい。
警戒心は消えないものの、笑顔が灯った。

「それにしても……ずいぶん鼻が利くのね。
 タバコの匂い、するかしら? 消臭したのに」

          スン

袖を手に当て、鼻を小さく動かす。
黒羽には感じ取れない。『ドクター』には分かる。

「そのヒト、警察犬には見えないけど……」

「ま、『どういう能力か』を話してくれるとは思ってないのだわ。
 私だって話さない……お互い『話さない』ことでウィンウィンね」

黒羽は、そんな『ドクター』を見下ろす。
彼女が『スタンド使い』なのは、やはり間違いない。

「でも、どんな『情報』を集めてるのかは……
 話し合った方が、お互いに得になると思うの。
 探偵には『守秘義務』があるかもしれないけどね」

「どうかしら、名探偵アリスさん。私、『噂』には人一倍詳しいわよ!」
 
                スッ

胸元から『手帳』を出し、これ見よがしに無地の表紙を見せる。『ネタ帳』だろうか?

797夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/18(月) 00:10:45
>>796

「フフフ、なんといっても『メイタンテイ』だからな。
 『しらべる』のはトクイちゅうのトクイなのさ。
 『ミネラルウォーター』のしゅるいもあてられるね」

  ――――キラッ

自慢げに語っていたが、取り出された『手帳』を見て、
サングラスの奥の瞳が輝きを強めた。
『手帳』に合わせて視線も動いている。
あからさまに興味を持っている様子だ。

「…………フッ、たしかにキミのいうとおり。
 わたしも『てがかり』がほしいとおもっていたトコロだ。
 ココはオンビンに『トリヒキ』といこうじゃないか、フフフ」

「『ナニがしりたいか』――
 まずは、ソコらヘンからハナシをきかせてもらおうかな??」

            ザッ

「しかし、いつまでもタチバナシもなんだし、
 とりあえずすわろうじゃないか、クロバネくん」

                    ザッ ザッ ザッ

辺りを見渡すと、そのまま一軒の店に入っていく。
夜は『バー』だが、昼間は『カフェ』として運営しているようだ。
『ジョーホーヤ』のハナシがただしければ、
ココに『れいのオトコ』がひそんでいるかもしれないしな……。

798黒羽 灯世『インク』:2020/05/18(月) 00:52:50
>>797

「『ミネラルウォーター』を……!?
 へえ。や、やるじゃあないの……まあ。
 まあね、私も『利き茶』なら出来るけどね」

(あんな銘柄を見ながらでもよく分からないものを……
 『五感が鋭い能力』だわ! 少なくともその要素はあるはず!)

『上』を取らせ続けはしない。
すぐに取り返す……せめて並ぶ。
自分以外にも『上等』な人間はたくさんいる。
自分も、そうでなければ。それだけだ。

「……フフッ。『取引』……いい言葉ね。
 あなた、なかなか話が分かるじゃあないの」

        チラ

(『入りづらそう』な店に堂々と……まさか『行きつけ』?)

黒羽とて必要であれば『入りづらい』所にも入る。
が、『とりあえず座る』ためには選ばない類の店だ。

「……か。かまわないのだわ、座りましょう。座ろうじゃないの」

(私の方が……この『探偵』より『場慣れしていない』……!?)

とりあえず後に続いて、『夜はバーになる店』に入って行く・・・

799夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/18(月) 01:29:04
>>798

「なにをかくそう、ここのコーヒーは、なかなかのものだからな」
 
「だって『ニガかった』し」

  ガチャッ

迷わず入店し、適当に空いている席に向かう。
実の所、この店には一回しか来たことがなかった。
何かありそうだと思って、興味本位で入ったのだ。
生憎、その時は特に何も起こらなかった。
『れいのオトコ』もいなかったし。

        ――――トスッ

「すみませ〜〜〜ん!!チュウモンいいッスか??
 わたし『カフェモカ』で!!」

店員に声を掛けて、速やかに注文を済ませる。
これから『バー』になるとはいえ、まだ『カフェ』だ。
ゆえに、遠慮などしない。

「――さて、さっそく『トリヒキ』にはいりたいが……。
 まず、そっちの『ヨウキュウ』をきかせていただこうかね」

注文した品が来る前に、改めて話を切り出す。
キャクのナカに、『ヤツ』がまぎれこんでいるカノウセイもある。
チューイしておくヒツヨウがあるな!!

800黒羽 灯世『インク』:2020/05/18(月) 02:13:48
>>799

「苦いのが好きなの?
 フフッ、私も抹茶とか好きだわ。
 あなただけじゃあないのよ……!」

           ザッザッ

対抗意識を燃やしつつ、向かい(カウンターなら隣)の席に座る。

「……」

   キョロ…

(ああ……『バー』の雰囲気だわ。『いつ以来』かしら)

無論、一人で入れはしない。
『連れ回してくれた人』がいた……昔のことだ。

「私は『アイスコーヒー』が良いのだわ。ミルクはナシでね!」

やや感じ入る所もあるが、手短に注文する。
ここからは記者と探偵(ちがう)の真剣勝負だ。

「要求……」 (『ゲーセンの事件』……を直接聞くのは『安直』)

「私は記者……『事件そのもの』でも『うわさ』でも、
 皆が真実を知りたがってることなら、欲しいものだわ。
 『大衆受け』するのは……『スキャンダル』に『暴力沙汰』ってところかしら」

(関係のある話題……でも、いくらでも派生できる話題から入る。
 あの事件だけにこだわらない、『似たような事件』も引っかけに行く。
 もし何か知っているなら、どこかに尻尾が出るかも……どうかしら?)

「『探偵』としてのコネとか、秘密情報網とかで、何か『使えるネタ』が欲しいわね!」

801夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/18(月) 02:50:54
>>800

「『スキャンダル』に『ボウリョク』か……ムズカシイな!!」

今の所、『スキャンダル』らしいものは、これといってない。
『秘密』という意味ならなくはないが、
それは『スキャンダル』とは違うし、明かしていいかも微妙だ。
『暴力沙汰』なら、いくつかある。
しかし、それも『大衆』に出せるものではないだろう。
どれも『スタンド絡み』なのだから。

「あるにはあるけど『スタンド』のハナシがおおいからな〜〜〜。
 『つかえないネタ』ならだせそうだけど。どうよ??」

そうこうしている間に、
『カフェモカ』と『アイスコーヒー』が運ばれてきた。
自分の前に置かれたのは、もちろん『カフェモカ』。
エスプレッソに『チョコレート』と『ミルク』が入れられ、
たっぷりの『ホイップクリーム』が乗せられている。
『苦味』とは真逆の代物だ。
このまえのんだのは、わたしにはニガすぎたからな!!

「それとも『オモシロイざっかや』とかききたい??
 それか『トウフてづくりたいけんできるトウフや』とか??」

      ズズ

「うむ!!『チョコ』と『ミルク』と『クリーム』。
 このみっつは、あいしょうバツグンだ!!」

「あ――あと『コーヒー』も」

いかにも甘そうな『カフェモカ』を口にし、感想を述べる。
言い終わってから、向かいに置かれた『アイスコーヒー』を見て、
思い出したように付け加えた。
苦いのが好きなのかどうかは少々疑わしいかもしれない……。

802黒羽 灯世『インク』:2020/05/18(月) 03:16:47
>>801

「そうなの、そうなの。難しいのよ。私にでさえね!」

(……!! スタンド絡みの『ネタ』!
 そう、『使えない可能性は高い』のよ!
 『超能力で吹っ飛ばしました』なんて、
 三流もいいとこの『信憑性』のない記事になるから!)

(これはひょっとして、ひょっとするかもしれないのだわ)

大衆受け、という言葉は一種の方便だった。
それを望むのは事実だ。『動機』等は記事に出来る。
黒羽は『超能力事件』に――『惹かれてもいる』。
『ジャーナリズム』は『真相解明欲』でもある。

「『豆腐手づくり体験』も、紙面の色どりにはいいかしら……」

豆腐を作った事は、無かった。

「……ま、でも、『使えない』かどうかは記者の領分。
 もしよかったらその『ネタ』聞かせてくれないかしら?
 ――――っと、そうだわ、これは『取引』だった!」

「貴女のお望みは? 先に、そこを聞いておくのだわ。
 私は噂に詳しいけど……貴女、どんな事件を追ってるの?」

            クルン  クルン

「『浮気調査』? 『猫探し』?
 それとも……フフッ。『怪盗からの挑戦状』とか!」

(『抹茶』が好きなだけで、『コーヒーの苦さ』はそんなに……)

         (だけど悟られては『下に見られかねない』のだわ!)

笑いながらアイスコーヒーをストローで混ぜ、口に含む。……『飲める味』だ。

803夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/18(月) 21:31:58
>>802

「『ウサギ』――――」

「わたしは『ウサギ』をおってる。だって『アリス』だから」

さも当然のように言う。
『ウサギ』というのは動物のことではない。
好奇心を刺激されるような『興味ある対象』のことである。
『アリス』は『ウサギ』を追うもの。
だから、自分も日々『ウサギ』を追っているのだ。

「『イチバンおもしろそうなウワサ』――ソレをききたいなあ」

            ニヤッ

不適な笑みを浮かべ、黒羽の言葉に答えを返す。
『れいのオトコ』については、とりあえずあとまわしにしよう。
イマは、めのまえの『クロウサギ』にセンネンするコトにした。

「おしえてくれるんならコッチもはなすよ。
 それで『トリヒキセーリツ』ってコトで」

    ズズ――――ッ

話しながら、甘ったるい『カフェモカ』を啜る。
その口元に『ホイップクリーム』が付いていた。
表情は自信満々だが、今一つ締まらない顔だ。

804黒羽 灯世『インク』:2020/05/18(月) 23:27:15
>>803

「『不思議の国』への『案内人』……
 『事件の黒幕』じゃなくって、
 『事件そのもの』を追ってるってコト?」

「その例え、筋金入りの『アリス』好きだわ貴女」

黒羽なりの解釈だった。
アイスコーヒーの氷を崩しながら、
席に備えられた紙ナプキンを取る。

「それと、口……汚れてるのだわ。拭くといいわよ」

上を取るためだ。
そしてその『マウント』の笑みのまま・・・

「『一番面白そう』……そうね、わかったのだわ。
 出し惜しみをする理由も無い、『取引成立』」

「フフッ」

手帳を自分にだけ見えるように、開いた。

「――――『スタンドでの連続暴行事件』の噂、なんてどう?」

それは――――『黒羽が追っているネタ』に、密接に絡んでいる。

805夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/19(火) 00:21:21
>>804

「ええ、そのジョーケンでオーケーよ。
 おたがいにリエキがあるんだもの。
 ハナシがはやくてたすかるわ」

「きいていたとおり、さすがに『ユウシュウ』なだけはあるわね。
 もっとも、わたしもまけてないつもりだけど」

「フフッ」

      グシ グシ

紙ナプキンを手に取り、口に付いたクリームを拭き取る。
ちなみに、今のは黒羽の『物真似』だった。
『マウント』に対抗するため――ではない。
単なる『思い付き』の実行。
勝手なイメージなので、似ているかどうかは不明だ。

「ほうほう、それはイチダイジですな。
 ひさしぶりに『ヤバいニオイ』がプンプンしやがるぜ……!!
 『ホウコウザイ』おいとくヒツヨウがあるな〜〜〜」

少し前は『イカれた人殺し』と命懸けの『潰し合い』をやった。
その結果、危うく死ぬ所だった。
まあ、生きてたけど。
あれはマジでヤバかったな!!
イロんなイミで!!

「ん〜〜〜じゃあさぁ、『アリーナ』のハナシとかどう??
 ケッコーおもしろいトコでさぁ〜〜〜。
 そのハンニンも『アリーナ』でストレスはっさんすればイイのに。
 あ、『アリーナ』しってる??『アリーナ』」

とはいっても、『あの体験』はエキセントリック過ぎた。
『取引』である以上、なるべく同じくらいのを出すべきだろう。
『フレミッシュ・ジャイアント』級の、
超スゴい『ウサギ』が出てきた時のためにとっておこう。
『フレミッシュ・ジャイアント』っていうのは、
せかいいちデカい『ウサギ』のコトだ。
このまえネットでみたけど、『20kg』あるらしいぞ。

806黒羽 灯世『インク』:2020/05/19(火) 01:02:59
>>805

「……あっ! 貴女ちょっと!
 私の真似っこをしてるでしょう」

「いくら私が優秀で上等だからって、よしなさい……」

嫌というか、『気恥ずかしい』ものがあった。
嫌という訳では無い。

それより。

(暴行事件と聞いてもこの反応……
 『スタンド使い』として、私よりずっと『場慣れ』している?)

      (それに『アリーナ』って何……アリス、『何者』?)

  (……私しか知らない事もたくさんある。
   けど、彼女しか知らない事も多そうだわ。 
   ……認めざるを得ない。『上等』だと)

内心、目の前のエキセントリックな『アリス』に舌を巻く。

が、『全く聞いたことないです』とは、言わない。
記者にとっては『ナメられる』のが致命的と考えているのだ。

「……ふうん、アリーナ。いいわね、アリーナでしょ。
 ぜひ聞かせてほしい所だわ。『ちょうど知りたかったところ』」

「『興味』があるのだわ」

が、知ったかぶりも出来ない――――あいまいに促す。

「……私の方の話はあくまで『噂』にすぎないわ。
 ゲーセンのもめごとで、人が『なにもされてないのに吹き飛んだ』そう。
 でも、『SNS』でも『現地』でも情報はごくわずか。調査は難航してる」

「…………『その事件と同時期に、別の場所でも似た事件が起きてる』」

                      「そういう不確かな『噂』だけど」

黒羽の『ネタ探し』は停滞しているが――――『手がかり』は増えていた。
『別の事件に視野を広げた』のは、想像以上に功を奏した。
『まだ解けない謎』は増えたが、積み重なって『何か』に届きつつあった。

807夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/19(火) 01:44:08
>>806

「ふんふん、それは『アレ』だな『アレ』。まちがいなく『アレ』だ」

『アレ』というのは『スタンド』のコトだ。
何もしてないのに人が吹っ飛ぶ。
これが『スタンド』じゃなかったらビックリだ。

「おなじタイミングで、にたようなジケン……。
 おそらくは『ドウイツジンブツ』によるハンコウ……」

「これは『ナンジケン』のヨカンがするな……!!」

まさか『れいのオトコ』のハンコウか??
こんなトコロで『ヤツ』のテガカリがてにはいるとは……。
やがてジケンは、
イガイなてんかいをみせはじめるのだった……!!
そしておとずれるキョウガクのラストシーン。
ついに、『オトコ』のショウタイがあきらかになる……
そうか……『あなた』だったのか……。
『アリス:エピソードファイナル』きんじつ、せんこうじょうえい!!

「そうそう、『アリーナ』。
 『スタンド』で『いしゅかくとうぎせん』やってるトコ。
 そこだったらダレもこまんないし、むしろもりあがるのに。
 もったいないよな〜〜〜」

「しかも『ギャラ』までもらえて『いっせきにちょう』!!
 ケガしてもなおしてもらえるから、
 『アフターサービス』もばんぜん!!
 24ジカンうけつけておりますので、いますぐオデンワを!!」

「――――ってカンジのトコ」

主観的なイメージを織り交ぜた印象を語った。
少なくともウソは言ってないハズだ。
たぶん。

808黒羽 灯世『インク』:2020/05/19(火) 02:13:49
>>807

「そう、アレな難事件なの。『似た事件』は見つかっても、
 どれ一つとして『犯人はどういう人だったか』とか、
 犯人じゃなくても……『揉めてた人』とかが出てこない」

「『不自然』だわ。それに『不思議』よ!
 ……『アリス』なら、追いがいもあるんじゃないかしら?」

『黒羽』の『インク』に対し、
目の前の『ドクター』の方が、
調査に秀でる……『そう感じている』。

黒羽の目的は『真相を知る事』――――『解く事』ではない。

「……『異種格闘技』?」

「いや、そうよ、そうよね。『そういうのはある』に決まってる!
 現実で『能力バトル』が出来るなら……ノる人も見たい人もいる。
 私はそういうのは好きでもないけど、理に適ったビジネスだわ」

「そうね、『暴力』が振るいたいならそういうところでやればいいのに」

黒羽は暴力を嫌う。『野蛮』だし『有無を言わさない』から。
アイスコーヒーを飲み干す。氷が音なく割れて、崩れた。

(スタンド使いの『格闘団体』……『組織』だわ。
 やっぱり『スタンド使いも徒党を組む』……!
 規模は分からないけど、これを知れたのは大きい!)

「私としては……有意義な情報交換だったのだわ。あなたはどうだった?」

809夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/19(火) 14:02:19
>>808

「コウミョウにショウコがインペイされているな……。
 これはキョダイなインボウのイチブにちがいない。
 バックにおおきなチカラのソンザイをかんじる……!!」

「『アリスランク』は、『フレミッシュ・ジャイアント』と、
 『ネザーランド・ドワーフ』のあいだくらいだな〜〜〜。
 うんうん、わるくない!!」

『ネザーランド・ドワーフ』は『セカイイチちいさいウサギ』だ。
だいたい『1kg』くらいらしい。
『フレミッシュ・ジャイアント』とならべてシャシンとりたいぞ。

「クウキよめてないヤツってのは、
 どこでもメーワクだからな〜〜〜。
 『TPO』をわきまえろっつーの。ん??『PTA』だっけ??
 まぁ、どっちでもイイや。とにかくゆるせんヤツだな」

そういえば、『クロガネくん』もおなじようなコトをいってた。
『ハモノ』をつかう『トオリマ』のハナシ。
『テグチ』からして『ドウイツハンニン』ではなさそう。
こういうロクでもないヤツらは、
ホントどこにでもいやがるんだよな〜〜〜。
しまいには、『ユメのなか』にまででてくるシマツだし。

「イマはわかんないけど、まえでたトキは『30マン』もらえた。
 『ファイトマネ』ーってヤツ??
 ウデおれたけど、なおしてもらえたし」

「『アリス』もユウイギだったぞ!!
 おかげであたらしい『ウサギ』がみつかったしな!!」

     ズズズズズゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜ッ

残ったカフェモカを一気に流し込む。
この『取引』も、無事に終わりそうだ。
そうしたら、また次の『ウサギ』を探しに行くことにしよう。

「――――『クロガネくん』しってる??『ケンドーブ』の」

「ホンニンからきいたんだけど、
 『ふっとばしジケン』とはちがう『ジケン』をおってるんだって。
 『ハモノ』の『トオリマ』」

「カンケイないとはおもうけど、このジョーホーはオマケしとくよ。
 『しょかいサービス』ってコトで」

口止めされている訳でもなく、黒羽は『スタンド使い』だ。
だから、教えても問題ないと判断した。
『事件を追う者同士』という共通点もあることだし、
お互いに何か得るものが出てくるかもしれない。

810黒羽 灯世『インク』:2020/05/19(火) 22:10:29
>>809

「そう、考えなしに暴れてるとは思えないわ。
 『見えないからそのまま殴る』んじゃなく、
 自分は決して姿を見せずに『攻撃』をしている……
 卑劣だけど、『弱くない』相手。そう考えられるの」

(『アリスランク』?? ウサギの品種の名前かしら?)

エキセントリックな『ランク付』には戸惑うが……

「どうやら、満足いただけたみたいで何よりなのだわ。
 私の『優秀さ』……フフッ、ウワサ通りだったでしょ」

悪くない、という意味を察することは出来た。

「貴女の方も、『行動力』抜群なのが分かったのだわ。
 戦いにまで参加するなんて……探偵だけじゃなく、
 『潜入記者』なんかにも向いているんじゃないかしら」

「私、『戦い』だけはどうにも得意じゃないのよ。
 ま、適材適所……『戦わずして勝つ』のは得意だけど!」

飲み終えたアイスコーヒーに手を添えて、テーブルの端にずらす。
アリーナには興味がある。『参加する』気は流石に湧いてこないが……

「クロガネ? 剣道部の『鉄夕立』先輩のことかしら?」

情報交換を終えて席を立つべく財布を取り出した時、名前が耳に入る。
直接会ったことはないが、聞いた名前だ。連絡先も一方的に知っている。

「ええ。もちろん聞いたことはあるのだわ。
 取材してみようかと思ってたけど……
 どうやら想像以上の収穫がありそうね!」

(別口でも出た名前……想像以上に『渦中の人』と見て良さそうだわ)

「それじゃ……ありがとう、名探偵アリス。
 あなたは『上等』なビジネスパートナーよ。
 縁があったら、また情報を交換しましょう……フフッ」

思いがけぬ情報に口元を綻ばせつつ、今度こそ会計のため席を立つ。

811夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/05/20(水) 00:48:13
>>810

「うむうむ、じつにすばらしい『ティータイム』だったぞ。
 ジョートージョートー」

「フフフフフ、わたしは『めいたんてい』だからな!!
 サラバだ、クロバネくん!!フハハハッ!!」

      ――――――ガチャッ

ジケンをおう『ジャーナリスト』との『とりひき』をおえ、
わたしはみせをあとにした。
あいにく『ヤツ』のすがたをみつけるコトはかなわなかった……。
だが、『シッポ』はつかんだ。
みえざるモノのショウタイを、わたしはかならずあばいてみせる。
まっていろ!!『れいのオトコ』!!

812日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/07(日) 02:14:34

            プ
                シュゥゥゥー

                         ッ


その日最後の路線バスから少女が下りる。

「…………」

真っ白な少女だった――――
大きなシルエットを作る、オーバーサイズの服も。それに髪も。肌も。

『子供』には見えないにせよ、夜の歓楽街には目立つ人間なのは間違いなかった。

813俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/07(日) 12:26:07
>>812
…『星空』を覆い隠さんとネオンが瞬く夜の歓楽街…
時間感覚を喪失するような人気と街並みが…自己と他者の線引きさえあいまいにするようで…
お尻に触れる『愛車』の外装の硬さだけが、確かな現実に思える…



(…………見ない顔だな)

まあ、知らん顔の新入りとか客なんて歓楽街にはゴマンといるが…
…夜の歓楽街に恐れを抱かぬ『派手な格好』と、『アシ(移動手段)』が気になった…


(『派手な格好』の嬢やセレブさんは珍しくは無いけど…)
(この時間に見る『こういう格好』の奴は、来る前に『ひと仕事』終えてる奴だ…)
(…しかしそういう奴はだいたい、セレブさんなら『タクシー』…)
(嬢なら『客のクルマ』に乗せてもらって来るもんだ…)


 「…………ヘイッお嬢さん」
              ザッ

とりあえず声掛けしてみっか。

「…どこの『店』のコ?」「『出勤』にしちゃちょっと遅いね…」

「…間違えて降りちゃったとかだったら、タクシーとか呼んで早く帰った方がいいよ…」


「あと君かわいいね(笑)いくつ?学生?どこ通ってるの?名前は?年いくつ?どこ住み?趣味は?てかLINEやってる?」
「バイトしてる?もしかして今暇?緊張してる?恥ずかしがらないでいいって(笑)てかLINEやってる?」

814日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/08(月) 00:03:12
>>813

「んん〜?」

           クルッ

振り向いた少女は俵藤の顔を見上げる。

「んふふ」

「お兄さんね〜、ちょっとがっつきすぎ。
 心配してくれて優しいんだって、言おうとしたのにな〜」

       「一気に追い抜かれちゃった」

その緩やかなシルエットと同様に、
口から出る言葉もまた緩慢で、丸みを帯びている。

「でもね、追いついて全部答えるからね」

「私かわいい? ほんと。ありがと〜」「『17歳』〜。学校はひみつ」
「『17歳』でね〜」「お家もヒミツ」「趣味はね、ユーフォ―キャッチャーでぬいぐるみ取るの」
「LINEはやってる〜。でも、お兄さんにはまだ教えな〜い」

        「ちょっと休憩するね」

                     スゥー

大きな袖の両腕を広げる。『カイコガ』のような動き。

「それで、バイトはしてな〜い」「私ね、お金欲しい時だけ働くんだ」
「緊張しないよぉ。お兄さんよく『話しやすい』って言われるでしょ?」
「私もそう思うから〜」「で、LINEはやっててね〜」

「それでね〜。これは大事な事だから、後に取っといたんだ」

              「今、ヒマ。お兄さん……んふふ。遊びたい?」

815俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/08(月) 01:07:08
>>814

(……カワイイ!露骨にカワイイ!)

がっつき気味のクエスチョンにも答えてくれた……警戒心とか無いのか……?
…しかしますます怪しいな…キャバ嬢でも無い娘が独りで夜の歓楽街?しかも身元のガードが固い…
…本当は『毒蛾』の類いなんじゃないか…?この辺で早めにフェードアウトしたほうが良いか…?



>「今、ヒマ。お兄さん……んふふ。遊びたい?」

          トルルル…トルルル…
            …モシモシ?「あッ店長すいません俵藤ちょっと持ち場離れまッす」ピッ
         

「…奇遇だね!!俺も今とッッてもヒマしてるんだ!!」
「暇潰しがてらちょっとご一緒していい!?飲み物代持つよ!!」


黒い輪っか…『マイハンドル』を片手に携えお姫様にくっついて行こう…
…どこに向かってるんだこの子…?

「髪キレイだね…脱色?ホントにキレイだ…」
「いや俺もブリーチしてるんだけどすぐに髪荒れちゃってさァ…良い美容院探してるんだ…」
「服ともよく会ってるよ……オシャレしてるのは、どっかからの帰りに歓楽街に寄った感じ?」

816日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/08(月) 01:49:57
>>815

「やった〜〜〜。私ね、人のお金で美味しい物食べるの大好き」
「しかも暇も潰せる。『マイナスゼロ』で『プラス2』だ〜」

            ニィィ

「お兄さんにもプラスな時間にしようね」
「人と一緒なら、その人も楽しい方が私も楽しいから」

あんまりと言えばあんまりな事を言い、少女は歩き出す。
歓楽街を照らすネオンが、その『白』を鮮明に照らし出す。

         スタッ

「んふふ、たくさん褒めてくれるね」
「これね〜。脱色。お兄さんも? お揃いだ〜って思ってたんだ」
「男の人もオッケーなお店だから、後で紹介したげる」
   
                    スタッ
 
「私、おしゃれ〜? ありがとね。嬉しい〜。
 見た目を褒められるの、好きなんだよう」

「けっこう頑張ってるからさあ。良いでしょ〜かわいいでしょ〜」

         クルッ

歩きながら、その場で『1回転』する。
バレエでもやっているのだろうか? とても『きれい』な動きだった。

「それでさ。お兄さん、あのね私からも質問ってしていいかな?」

                     「その『輪っか』ってなに?」

ふと、足を止めて『視線』を向けた先は――――もちろん『マイハンドル』だ。

817俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/08(月) 20:00:22
>>816
>「お兄さんにもプラスな時間にしようね」

グッ
(よっしゃ今夜は素敵なグッドナイトだ…)

彼女の斜め後方を、歩幅を狭めて付いていく…
うわっクルってした…近づきづらい…

(雰囲気はいい子だけど…)
(でも結局この子のパーソナリティーは謎だな…)
計算か天然か…ガードの固い女の子だ…独りでこんなとこ来るだけはある…

   ザッ ザッ
ヒョイ
「これ?これは『マイハンドル』…俺のクルマのハンドルを引っこ抜いてきたやつ…」

「…キミもスマホとか無くすと、ちょっと落ち着かないとかあるでしょ?」
「俺にとってはこの『ハンドル』がソレってワケ…」「『クルマ』好きだからさ…」


ザッ …グルリ

止まった彼女の前方に回り込み…

「…『キミ』じゃちょっとアレだな…」
 「何て呼べばいい?」「あッ俺は『俵藤』、ヨロシク」

ガード固いのは結構だけど…とりあえず名前ぐらいは聞いてみたい…

818日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/08(月) 22:47:00
>>817

突然の回転にはひょっとすると、
『間合い』を保つ意味もあったのかもしれない。
ガードが堅い……『的を射ている』気がした。

「マイハンドル!! 面白いね〜〜〜」
「そういうの『安心毛布』って言うんだっけ〜」
「わかるよぉ、わかる」

「好きなものに全力なんだねえ、お兄さんは」

ハンドルには大いにウケた様子で、口を押えて笑う。
三つ編みにした髪を揺らし、回り込んだ俵藤を見上げる。

「んふ、『キミ』でも『オマエ』でも私はいーよ」
「なんちゃって〜。それは寂しいよね」

  クサカベ
「『日下部』」「お『日』さまの『下』で『部』活動〜の、日下部」
「日下部ちゃんでも、呼び捨てでも、な〜んでもいいよ。俵藤さぁん」

立ち止まったのは、意外か年相応か『ファミレス』だ。

「俵藤さん、ここでい〜い?」
「私ね、あんまり大人の人が行くお店って詳しくないからさ〜〜〜」

819俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/08(月) 23:53:37
>>818
脇によけ、女の子を先行させる…

「ハンドルがクルマの『鍵』も兼ねてるから持ち歩かざるを得なくて…」

  クルリ
「あッゴメンね『日下部ちゃん』、女の子を前に自分の話しちゃって」

 チリンチリーン

>「俵藤さん、ここでい〜い?」
>「私ね、あんまり大人の人が行くお店って詳しくないからさ〜〜〜」

「おっと年相応っぽいチョイス」
       「安心感あるよなファミレス…『人目』もあるし」アッスイマセン2メイデス


夜中のファミレス…歓楽街でわざわざここで夜を楽しむ者は、多くは無いのだろう…
待ち時間も無くテーブル席に通された…

「…ささ、何でも」
「…でも俺クルマだから、お酒は勘弁してね…」
「俺はまあ…『ピザ』で」

「…ホントにココで良かった?」
「あんまり『歓楽街』っぽくないチョイスだけど…」

今俵藤が日下部に行っている行為は、勿論『ナンパ』ではあるが…
それ以上に、この若干妙に妙な少女に、単純に興味があった…
身軽そうな彼女が『何』を求めているのか…彼女の中にある、『重さ』が何なのか…

820日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/09(火) 00:10:16
>>819

「んふふふふ、面白い面白い。俵藤さんは面白いねえ」

    チリンチリーン

「私ね、面白いことが好き」
「面白いなら、私に、どんな風に話してもい〜よ」
「私もそうするからねえ」

入店し、テーブル席に座ると、すぐにメニューを開く。

「んふふ、17歳ですので〜」
「ファミレスいいよねえ。店員さんもうるさくないし」

メニューをひらひらとめくり、やがて『デザート』のページで止めた。

「私、『パフェ』にしようかな?」
「んふ、17歳って言ったでしょ〜。お酒なんて飲めないよう」

笑みを浮かべる・・・『軽い』笑みだ。だが『重さ』の無い人間は地上にいられない。

「私ね、お店を楽しむのもだけど、人とお話するのも好きだから」
「俵藤さんとは初めてお話するから、『お店は普通がいい』かな〜〜〜ってねえ」
「安心感。俵藤さんもそう思うよね」「お互い安心、ウィンウィン関係〜」

テーブルに両肘をつき、組んだ手に顎を乗せる。

「それでね、さっき『店長』って言ってたけど、俵藤さんは『何で稼いでる人』なの?」

821俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/09(火) 00:56:28
>>820

ピンポーン

とりあえずお冷やを頂く…日中に溜まった体の熱気と渇きが潤されていく…
意外と体がベト付いてんな…熱いシャワー浴びたい…

>「私、『パフェ』にしようかな?」
>「んふ、17歳って言ったでしょ〜。お酒なんて飲めないよう」

アッスイマセン マルゲリータピッツァ ト コノ…パフェ オネガイシマス

「キミが甘党で助かったぜ…」
「もうちょいこう…パーっとやりたい所だけど、今日はゴメンね…次の機会があればね」

(…何か…『動揺』しないな…?)
(普通知らん男に酒の話されたら…もうちょい堅く…か、逆に砕けないか?)
(…場所選びのセンスといい、強者のニオイがするぜ…)


>「それでね、さっき『店長』って言ってたけど、俵藤さんは『何で稼いでる人』なの?」
「あー……話が若干戻っちゃうんだケド…」
「『クルマ』でお金を貰っております…」

「…『タクシー』ってさ、呼ばなきゃ来ないし…お財布にめんどくさいし…
               …何より『法定速度』を守って走るじゃんさ」

「そういうの嫌だなーって『夜のお店』の人達に雇われ…じゃないや、『お友達になって』
 …タクシーの真似事…じゃねえや、『友達の送り迎え』をしてる訳です」

白々しい言い訳をしているが…要は『白タク』、『違法行為』だ。
あんまり普通ではない。

「今晩キミが帰る時には、俺がクルマで『個人的』に送り届けてもいいけど
         …帰りの『アシ』は要るかい?要るならLINE交換しない?」

 「…これだと『送り狼』みたいだな…いや他意はなかったんだって…」
              アッドウモ ピザハ オレッス

…届いたピザを齧る。薄っぺらい味だ。

822日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/09(火) 01:16:42
>>821

「んふふ、パフェっていいよねえ」
「アイスクリームも、フルーツも、
 ゼリーも、後なんか……コーンフレーク?
 みたいなのも、一緒に美味しくなってるから」

「全部食べたいし、別々に食べるよりずっと美味しい〜」

メニューをスタンドに直す。
机の上には会話だけだ。

「次の機会は『焼肉』とかにする?」
「私ね、他人のお金でお肉食べるの好きだな〜」

         ンフフフ

冗談か本気か分からない……『偽り』は無さそうだが。

「へぇ〜〜〜。『運転手さん』やってるんだあ!」
「私、知り合いに今までいなかったかも〜。俵藤さん『レア』〜」
「分かるよ分かる。『お友達のお手伝い』で『お小遣い』だもんねえ」
「私、そういうのちゃんとわかるよ〜」

「それじゃあ……私とも『お友達』になろっか〜?」

              スゥ

パフェを食べるより先に、『スマートフォン』を出した。

「俵藤さんになら『LINE』教えてもいーよ」
「だってねえ、んふ……面白いもん」

「こういう言い方、勘違いさせちゃうかな〜。勘違いしちゃった?」

823俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/09(火) 01:56:00
>>822

「いやァどうも口が滑っちゃう」
「日下部ちゃんはアレだね…聞き上手!」

(ぐッうおおッ)
(…なんか弄ばれてる気がするッ!)

ムグムグ…

「…そーいやだいぶ食べて無いな、パフェ」
「…上に乗ってるサクランボが妙に好きだったな…味無いし、種も邪魔だったけど」

「ハハハ遂に俺も他人に焼き肉をおごる側か〜…」
(あんま食べて欲しくないような沢山食べて欲しいような…これが大人の味わいか…)



>「それじゃあ……私とも『お友達』になろっか〜?」

(えッお許しが出た流れ…?)

「…………じゃあ、日下部サンとのお近づきのシルシに…」

「ちょっとこりゃ嬉しいねェ………俺あんま『お友達』居ないからなー…」
「勘違いというか…舞い上がっちゃうぜ…………………パフェの他にもう一品いかが?」

ズル
 俵藤もポッケから『スマートフォン』を引っ張り出す…

824日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/09(火) 02:25:57
>>823

「どんどん滑らせてこ〜。私結構口固いよ」
「聞き耳に使っていいよ〜」

本当にいいのだろうか……?

「んふふ、この『シロップ漬け』になってるやつねえ」

「色どりのために置いてるんだろうけど、
 食べないのはもったいないよねえ。
 別に好きじゃないけどあってほしい」

          「『彩り』って大事〜」

真っ白な装いにも、いくらかの彩りはある。
宝石か、パワーストーンらしき首飾りもそうだった。
『高級感』は年不相応なようではあったが…………

「やったぁ〜。『ウィンウィン関係』だ〜いすき」

             ススッ

手早く『LINE』の『友だち追加』画面を起動する日下部。

「『友達数』がまた増えた」

            ニマ

「いないの? お友達多そうなのに、意外〜。
 んふ〜。でも、『数』が全てじゃないよ俵藤さぁん。
 『量』がなければ、『質』で補っちゃお? 
 『量』に比べると、確かめにくいとこも多いけど」

       ニマッ
 
「ほら見て。私かわいいでしょ〜。これで加点1。 
 それに17歳! 若さ! これでさらに加点1〜!
 『確かめられる質』っていうのも結構あるからさ。
 それに私ね、それ以外でもけっこう『高品質』なのです〜」

「だから舞い上がって舞い上がって、私に『ティラミス』も食べさせて〜」

825俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/09(火) 20:59:33
>>824

  タタッ

「LINE『友達』はねえ…油断するとどんどん増えちゃうからねぇ…」
「増えちゃうとなんか…友達付き合いとかそういう重たいの面倒くさくて…」
「…その場のノリでLINE登録だけして、ほとぼりが冷めた頃にこっそり削除しちゃうんだ」


「…いや日下部ちゃんは特別だぜ?」
「こんなこと喋っちゃうのは…君が聞き上手…ってのもあるけど」
「俺だって日下部ちゃんに興味があるんだ…なんか『面白そう』な雰囲気がして…」
「この『友達登録』は…削除せずにとっとこうかな…って思ってるんだ」

この『関係』が今後何を起こすかは分からないが…何となく、『ロクなもの』ではない気がした…
上等だぜ…曲がりくねった厳しい道にほど『走り屋』は燃え上がるもんだ…


    カチャ カタ

日下部の前の、順調に容積を減らしているパフェ容器を見て…ふと。

「若いっていいねえ…いや俺だって相当な若造だけど…」
「…思春期すぎたら急に甘いものあんま食べられなくなっちゃってさァ…それとも男女の差かなぁ…」

ピンポーン
「俺も何か甘いの食べるか…」
「あっすいません…ティラミスと…あとこのチーズケーキください」

「…という訳でチーズケーキも一口ぐらいどう?」
「ブルーベリーが乗っかってるトコあげるよ」

826日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/10(水) 00:40:25
>>825

「えぇ〜〜〜、俵藤さんったらミニマリスト〜〜〜」
「でも『いらないもの』を残しとく理由、ないもんね」
「んふふ……私のこと消さないなら、なんでもいーや」

「俵藤さぁん、私ね、期待は裏切らないからね」
「『芸人さん』のモノマネが上手いとか、
 『カラオケ』のレパートリーが広いとか、
 そういうわけじゃないけど〜。『特別な価値』アリ!」

「だからねぇ、お守り代わりに残しとこ〜」

何の狙いがあるのかは分からない……
『友達が増えること自体が狙い』なのかもしれない。
だが、ともかく利害は一致しているわけだ。

     カチャ
        カチャ

パフェを崩すスプーンが、アイスやゼリーより、
ガラスの容器に当たる事の方が増えてくる・・・

「チーズケーキも好きだよ。俵藤さんやさし〜〜〜」
「大統領〜〜〜〜〜」

       パチパチ

ゆっくりと手を打つ。

「甘いものって大人はみんなキツくなってくるらしいね」
「私、『子供のまま』でいた〜い」
「『子供のまま』なら何も『減らない』」

17歳、と名乗っていた。
大人と子供の『過渡期』にいる。

「んふふ、大人の方が良いこともあるんだろうけど〜」
「お酒が飲めるとか。俵藤さんもお酒好きなんでしょ」
「あ、でも運転手さんだし、飲むタイミングってあんまりないか〜」

取り留めのない話をしながら、次のメニューが来るのを待つ。
あるいは、この後はそんな時間がもうしばらく続くのかもしれない・・・

827俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/06/10(水) 01:29:56
>>826

思春期らしい悩みを抱えてるなぁ…
年相応なのか大人びてるのかイマイチ分からない女の子だ…

「俺が青春送ってた頃は『早く大人になりたいッ』って思ってたけどねェ」
「…『車』運転できないし……あとお酒買えないし」

「俺は日下部ちゃんが大人になるの楽しみだよ、二十歳なら一緒にお酒が飲めるし…」
「…メチャメチャ気の早い話だな…いま17歳だから…」
「『三年後』かぁ…日下部ちゃんもっともっと美人さんになってるんだろうね…」



「お酒は好きなんだけど…いややっぱり烏龍茶とかばっか飲んでるなぁ」
「だから飲みだと…嫌だねぇ自分だけ取り残されちゃってさ…」
                        トルル…トルル…

「チッ…」「電話来ちゃった…ちょっとゴメンね」
   ピッ
  (なーんすか店長…離れるって言っとい…)
   (……あーもうハイハイ分かりましたって…スイマセンスイマセン!)
   (嬢にゴメンねもう少し時間稼いどいで下さいって伝えといてッ)ピッ

「…重ねてゴメン日下部ちゃん!急用できちゃった!」

「お金渡しとくから、お会計はお願い!残りは好きに使っちゃっていいから!」
立ち上がり、テーブルの上に尻ポケから出した、畳まれた諭吉を放り出す
…今の食事代にしては高い金額だが……『お友達』の連絡先はプライスレス。

「短い間だけど楽しかった!」「何か用事あったり…別に用事なくてもLINE送って頂戴な!」

チリンチリーン

そうして俵藤は、『マイハンドル』を引っさげて慌ててファミレスを出て行った…



…お待たせしましたこちらティラミスとチーズケーキです〜
                           カタ コトン

今更届く二種のケーキ…普通の女の子だったらちょっとカロリーを気にしたい量だ…

828日下部『アット・セブンティーン』:2020/06/10(水) 02:21:23
>>827

「んふふ、大人になったら『増える』事もあるよね〜」
「大人と子供を行き来出来たらいいのに」
「間にいられたらいいのに〜〜〜」

「私ね、そういうのになりたいなあ」

日下部には『欲』がある。
『年相応』のものかどうかは、分からないが・・・

「取り残されるのは、寂しいよねえ。……んん、お電話?」
「いいよいいよ〜。必要な事だもんね」

             カチャ …

「急なお仕事? わ〜。やっぱり大人って大変〜」
「またねえ。面白かったよ俵藤さぁん」「このお金はぜ〜んぶ使っちゃう」

「何に使ったかは〜〜〜……ちゃんと『LINE』で送るからねえ」

             ヒラヒラ

俵藤の姿が見えるまで、手を振って……見えなくなったらすぐに止める。

それから・・・届いたケーキは、すべて食べる。
『太るかもしれない』……それより『美味しい』という確かなものが、『欲しい』。

829瀬野満男『フォーリング・マニアック』:2020/06/15(月) 20:29:14
缶ジュースを飲みながらブラブラしている、ただ散歩しているだけなんだが、物凄く久しぶりに出歩いている気がする。
先日スタンドに目覚めて、はしゃいで女の子のスカートをつまみ上げてみたりもしたんだが、なんでもできると思うと逆にテンション下がるよな
やり方を選ばなきゃあマジでなんでもできちゃうもんなぁ、とか考えながらウロウロするぞ。飢えた獣のようにな。

830瀬野満男『フォーリング・マニアック』:2020/06/15(月) 20:43:09
風のふいたタイミングで女のスカートをつまみあげたりしている。
(テンション下がるとか言ったけどまぁ見れるもんなら見ちゃうよね)
もちろんスタンドなので誰にもわからないぞ、完全犯罪だ。スムース・クリミナル

831瀬野満男『フォーリング・マニアック』:2020/06/15(月) 21:50:16
(薄い青か…あのデザインはこの後ヤるな)
堪能して帰った

832瀬野満男『フォーリング・マニック』:2020/06/15(月) 22:34:39
俺のスタンドは『フォーリング・マニック』だ

833氷山『エド・サンズ』:2020/06/29(月) 21:53:59
 ワー   ワー
         ガヤガヤガヤ・・・


「いくら治安の基本が『巡回』だからって・・・・
私みたいな子供がこんな夜の街を出歩いてたら『補導』されちゃいますよー・・・」

―――夜の歓楽街
仕事を終えた大人たちの雑踏に紛れて高校生くらいの女の子が一人道を歩いている
街には他にも同世代の『家出少女』たちが何人かいるが雰囲気が違う

化粧っ気があまりなく、何か目的を持って店に入ろうとしているわけでもない
それでいてしっかりと周囲を見回しながら歩いている

途中途中で何やら独り言のように言葉を呟いているが・・・?

834神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/06/29(月) 22:29:44
>>833
 
「や、だから未ッ成年だって──」
 
   「間に合ってる、ってか、ホント、結構です、ん、で──」
 
ラフなスウェットパーカーにジーンズ履き、顔の下半分を白いマスクで覆った、
しかし全体の雰囲気としては同じく高校生程度と見受けられる少女が独り、
『スーツを着崩した若い男性』に対し、何かしらの抗議の声を上げている。
恐らく水商売の、『スカウト』の類だろう……。
 
「しつっこいな……だから、私、その……」
 
そこで、向かいから歩いてくる『氷山』を視界に認め、

「ああ!『待ち合わせ』!『友達』と──ホラ!
 だから無理っていうか……ね!」
 
更にはそちらを指差し、何事か『スーツの男』を説得に掛かっているようだ。
男はいかにも腑に落ちないといった様子で食らいついているようだが、
少女は構わず『氷山』目指しずいずいと足を進めてくる──。

835氷山『エド・サンズ』:2020/06/29(月) 22:44:48
>>834
「あっ・・・」

同世代くらいの少女が何らかの『良からぬ大人』に絡まれている光景を目撃する
すわっ一大事か!? 頑張って頭を働かせて問題の解決手段を考えていると・・・・

>「ああ!『待ち合わせ』!『友達』と──ホラ!
> だから無理っていうか……ね!」

「ごめんごめん!待たせちゃったみたいですね!
あぁー・・・すいません、『お兄さんたち』 友達がなんだかご迷惑をおかけしたみたいで!」

直感が働く
氷山の頭の中で、どうやらこれは話を合わせた方がよさそうだ、と
神藤の言葉に口裏を合わせるように一息に話すとともに
神藤の袖のあたりを強く握って足早に駆けようとする、が・・・

836神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/06/29(月) 23:04:53
>>835
 
「えっ!?ああ、いや、全然!待ってない、し!
 じゃあまあ、そういうことなんで!
 そう、いう、ことッ!なんでッ!」
 
すかさず話を合わせてくれた氷山に一瞬困惑するも、
そのまま好意にあやかり『スカウト』を一括し、袖を引かれるままにその場を駆け去る。

流石に向こうも仕事でやっている以上、ここまで脈無しとなれば次を当たるのが合理的と考えたのか、
『スカウト』は舌打ちを残し恨めしげに去っていった。
 
 
 
「や、ごめんね。びっくりしたよね。助かっちゃった」

数十メートルも駆けたところで足を緩め、
マスクをぐいと人差し指で押し下げ、笑みと共に氷山へ告げる。
 
「あそこまでしつこいのって、あんまりいないんだけどね。しくったなあ。
 最近景気悪いのかな。みんな必死って感じで、嫌になるよね。
 この辺、よく来るの?」
 
氷山の容姿から同世代と判断したと思われる気安い口調で続ける。
あるいは、自身と同じく『バイト帰り』かなにかと判断したのかも知れない。

837氷山『エド・サンズ』:2020/06/29(月) 23:23:03
>>836
    タッタッタッタタタタタタ・・・・

「はぁ・・ はぁ・・ ここまで来れば大丈夫ですね!」

突然の駆け足に乱れた息を整えながら、ゆっくりと話かけ始める
普段あまり運動しているわけではないため、こういう時息がつらい

「大丈夫ですか? あの人たちに何かされてません?
いやー、それにしても、たまたま通りがかることが出来て良かったですよ」

あはは、と笑いながら神藤と話を続ける
神藤の口調からリラックスした雰囲気を感じて、ほっと安堵した

「あー・・・・ちょっとした事情でこの街の危ないトコロを見回りしてるんですよねー
人付き合いというか、武者修行というか、まあそんな感じで
大抵はただの散歩で終わるんですけど、今日はやってて良かったですねー」

「氷山(ひやま)あきはって言います、あなたは?」

838神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/06/29(月) 23:48:27
>>837
 
「へーきへーき。
 最近色々うるっさいからね、あいつら触ってはこれないんだよ。
 こっちは無敵の未成年様だからね」
 
馴れた風に嘯いてみせる。
似たような場面自体は、過去にもあったのだろうと思わせる気安さだ。

「私は神藤、神藤 莉多(シンドウ リタ)。一年。
 ……ええっと」

何かを思い出すように一瞬逡巡し、

「多分同い年くらいだし、タメ口でいいんじゃない?
 そっちが敬語が楽なら、それで、まあ、いいんだけど」
 
「みたいな」
 
そう付け足すと、改めて氷山へ向き直る。
 
「『見回り』で、『人付き合い』のー……『武者修行』?
 最後の『散歩』ってーのは分からなくもない、けどさ。
 
 それにしたって、私が言えるアレじゃあないにしたって、
 散歩するような場所でも時間でもないんじゃないって思っちゃうけどね。
 家、この辺ってことないよね?」 
 
氷山の言葉に引っかかる部分があるのか、これも何かの縁とばかりに疑問を投げる。

839氷山『エド・サンズ』:2020/06/30(火) 00:06:58
>>838
「はぁー、そういうものなんですねー」

自分よりもよっぽど『夜の街の流儀』に詳しい神藤の話に素直に感心する
こういった考え方は、自分の中にまったくなかったからだ

「高一なら私と同学年ですね! 私、清月の一年なんですよ!
ここで会ったのもちょっとした『縁』・・・・ですね? 神藤さん」

同世代だとは思っていたけど、まさか同学年だったとは!
驚きとともに、にこっと笑顔を浮かべる
ところで、この少女は敬語をやめる様子はなさそうだ

>『見回り』で、『人付き合い』のー……『武者修行』?

「ああぁぁぁ・・・全然意味がわからないってのは、わかってるんですよぉ・・・
確かに自分自身、全然要領を得ない説明だなーって気はしてたんです
なんていうか、『師匠』というか『兄貴分』っていうか『相棒』っていうか・・・そんな感じの人がいましてぇ

その人が言うんですよ
『おいおい、あきは! 平和を守る活動の基本は夜回りだ!
 ついでに、鉄火場の度胸とか火事場力とかそういうのも鍛えられるだろ』ってぇ」

少し低めの声色で、荒事馴れした兄ちゃんのような口調で語る
この少女の身内の物まねだろうか?

840神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/06/30(火) 00:30:07
>>839
 
「『縁』ってか、まあ、私が巻き込んじゃったんだけどね。
 まあそれも込みでそう言ってくれるなら嬉しいかな。っていうかホントにタメなんだ。
 『清月』ってあの、でっかい私立でしょ?オジョーサマじゃん、すっごいね」
 
口ぶりからするに『他校生』と思われる神藤はしかし、
氷山の依然とした敬語も意に介さず言葉を続ける。

「ええっと、その『師匠』で『兄貴分』な『相棒』の人に言われて、
 『平和を守る活動』──『夜回り』をして、くれてたってこと?で、いいのかな?」
 
疑問に疑問を掛け算される内容をなんとか整理しながら話しつつ、
ふと思いついたように、にかりと笑顔を作り告げる。
 
「ってーことは、つまりさ。
 私は夜回ってもらって、私の平和を、守ってもらったってことだよね?
 なんなら私のこと、『師匠』に自慢してくれたっていいんだぜー?」
 
氷山の言葉をどこまで信用しているのか、どこか冗談めかした調子で笑う。

841氷山『エド・サンズ』:2020/06/30(火) 00:54:20
>>840
「巻き込んじゃったなんてとんでもない!
それと、お嬢様ってわけじゃないですよー 凄い大きいってだけで普通の学校ですからね」

色々なあれこれにぶんぶんと顔を横に振り回しながら言う


「うーん・・・だいたいそんな感じです!
『夜回り』については私自身の『趣味』みたいな部分もあるんですけどね
こういうトコロを回ってると色々な人を見かけますから・・・結構面白いんですよ?」

物凄く疑問が残りそうな内容を理解してもらってほっとため息をつく


>なんなら私のこと、『師匠』に自慢してくれたっていいんだぜー?


「んー・・・・どうですかねー?
『あの人』って適当な割りに結構、厳しいところがあるから・・・

・・・・・でも、私は今日の事をすっごくうれしく思ってますよ!
こんな変な活動を続けてて、初めて人助けができましたから!」

842神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/06/30(火) 01:28:26
>>841
 
「普通の学校、かあ。
 外から見てるだけじゃ分かんないもんだね」 

「ただ、お嬢様でなくても普通でも、
 やっぱり、『趣味』で出歩くような場所でも時間でもないとは、思うけどね」
 
「『面白い』ってのは、まあ、分かるけど」
 
確かに、様々な人が行き交う場であることは間違いない。
先のような厄介事も中にはあるが、差し引き、やはり『面白い』ということに、なるのだろう。
 
「あらら、私じゃ役者が足りないか。
 でもまあ、アレだよね」
 
「『人助け』なんて、ないのが一番じゃないのかな。
 私が言えたことじゃないけど、誰も困らんのが一番いいよ。
 鉄火場も、火事場も、無いに越したことないんじゃないかって、私は思うんだけどね」
 
 
「私としては、その彼氏がそこんとこどう思ってるのか、気になるところではあるよね。」

843氷山『エド・サンズ』:2020/06/30(火) 12:32:30
>>842
「うーん・・・・確かに『人助け』なんてない方がいいんですけどねー
皆がみんな、何事もなく平穏に暮らせるのが良いとは思いますけど・・・
でもそれじゃあ『つまらな・・・・・・失言ですね!すいません」

しまった、というようなばつの悪そうな顔を浮かべる
こういう野次馬精神のような態度は『よくない』ことだ
そうだとわかっていてもやめることはできないのだが・・・

>「私としては、その彼氏がそこんとこどう思ってるのか、気になるところではあるよね。」
「・・・・いやいやいやいや、待ってください、まったく違いますよ、それ、いやマジで
いや本当にそういう勘違いはやめて欲しいですけど、はい    あっ・・・」

心底、嫌そうな表情を浮かべながら否定にかかる
照れ隠しとかそういうのではなく、本当に嫌がっているような様子だが・・・途中から何かに気づいたような表情を浮かべる
それとともに氷山の身に纏う『雰囲気』・・・のようなものが少し変わる

『マッタク・・・・本当ニソウイウノハ、止シテモライタイゼ・・・・
「俺」ハあきはノ精神ノ発露ミテーナモンダカラヨォォォ・・・
ソレジャアマルデ、あきはガ「自分大好き女」ミテーニナッチマウジャネーカ!』


      ゴゴゴゴゴ・・・・

氷山の近くから『男の声』が聞こえる        ヴィジョン
ふと見ると、いつの間にか『和風の意匠をもった人型の 像 』が出現していた・・・

844神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/07/02(木) 23:14:06
>>843
 
「まあ、楽しいに越したことってないからね。
 危なっかしいのは、まあ、どうかなって思うけど」 
 
トラブルを楽しんでいるとも捉えられる氷山の言葉を特に否定するでもなく、
曖昧に首肯する。そこまで踏み入るつもりがあるわけでも無いのだ。
 
「ひひひ……今の『彼氏』ってのはアレだぜ、
 ただの『三人称単数』──そういう意味じゃあないっていう、ま、引っ掛けみたいなもんなんだけど……」 
 
『あの女の人』を『彼女』と称するのと同様に、という意味なのだろう。
悪戯げに笑う神藤はしかし、『氷山』の雰囲気を見て取って──
 
「だ」 

   「誰」

 「ってか、『何』、なんだろうね──」

         「『それ』」
 
傍目にも明らかに狼狽し、冷や汗を浮かべ震える指で、
その、『像』を指差すのであった。

845氷山『エド・サンズ』:2020/07/02(木) 23:31:48
>>844
「あっ」 『アッ』

「『さんずさん』!この方、完全に見えてますよ!」
『ミテーダガ・・・コレハコレデ話ガ早イゼ!』

「あー・・・つまりそのー・・・神藤さんが持っているのと同じ『能力』、なんですよね
紹介させてください、『エド・サンズ』・・・私が持つスタンドの名前です
仰々しい名前なので、私は普段『さんずさん』って呼んでるんですけどねー」

『マッ 俺ミテーニ「意思」ヲ持ツタイプノ「スタンド」ハ稀ミテーダガナ』

狼狽し、冷や汗を浮かべる神藤と向き合う
『エド・サンズ』自身は両手掌を天に向けて敵意のないことをアピールしている

「それで・・・彼が私の『師匠』だったり『兄貴分』だったり『相棒』だったりする人です」
『ソレニ加エテ「能力」・・・・デモアルナ』

846神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/07/02(木) 23:47:28
>>845

「ええと、なんだ、その」

『エド・サンズ』を指し示す指を引っ込めるタイミングすら掴めず、
曖昧に腕を持ち上げたまま、たどたどしく言葉を紡ぐ。

「この『能力』が『スタンド』って奴で、
 その『スタンド』のなかでも、そっちの『彼』は『エド・サンズ』の、『さんずさん』で」
 
一度大きく息を吸いつつ腕を降ろし、改めて息を吐き出すと、
 
「『意思』があるのは、『まれ』なんだよね。
 大丈夫、とりあえず、分かった。っぽい、かな……」 
 
己以外に初めて出会う『スタンド使い』に対し、
驚きと困惑の入り混じったリアクションをしつつ、それでもなんとか状況の把握に努める。
次いで、自身の『スタンド』──『ミザリー・フィースト・デイ』の右腕を、
自身のそれと重なるように発現し、その掌を握って開いて見せる。
 
「これ、もしかしてこういう『これ』──『スタンド』?
 みんな持ってたりするの?
 こう、子供は知らないだけで、実はパチンコ屋さんは玉と現金を交換してるとか、
 そういう、マジでそういう奴?」

847氷山『エド・サンズ』:2020/07/03(金) 00:02:32
>>846

うんうん、うんうん、と深く頷く
思わず、だーっと情報量が多いことを言ってしまったが理解してくれたみたいだ

「そうなんですよ! まあ、みんなは持ってないと思いますが
学校の友達に聞いてみても『なにそれ?時代劇の見過ぎで頭おかしくなった?』とか言われましたし
でもなんとなーく危ない感じの場所には多い気がしますねー 『スタンド』が使える人
『賭け試合』とかやってる場所には能力を持っている人がいっぱいいましたから」

>次いで、自身の『スタンド』──『ミザリー・フィースト・デイ』の右腕を、
>自身のそれと重なるように発現し、その掌を握って開いて見せる。

「ほら、それです
色々と共通点が多いですね、私たち
学年も同じだし、同じような『能力』を持ってるし」

共通点がまた一つ増えたため人懐っこい笑顔を浮かべる

『マア、物騒ナ連中モ中ニハイルミテーダガナ、お嬢ちゃんはソウイウ類(たぐい)ジャネーダロ?』

848神藤 莉多『ミザリー・フィースト・デイ』:2020/07/03(金) 00:31:46
>>847

「あー……、『危ないところ』で『賭け試合』で『いっぱいいる』んだね。
 まあ、そうだよねー。
 私だけ特別な『なにがし』ってわけに、まあ、いかないよねー……」
 
>『マア、物騒ナ連中モ中ニハイルミテーダガナ、お嬢ちゃんはソウイウ類(たぐい)ジャネーダロ?』

「まあ、そうだねえ。
 ウチの子そもそも喋れんし、あんまし物騒なことできないし。
 むしろ、何に使っていこうかなって、いま考えてるとこなんだよね」
 
発現した自身の『スタンド』の掌をまじまじと見つめ、次いで『氷山』へと視線を戻す。
 
「でもまあ、そうだね。
 同学年で、『スタンド』?持ってて、こう、偶然知り合えちゃうって辺り、
 『良き出会い』って奴なのかなって、思ったりしてるんだけどね」
 
そこまでいって、小さく、はにかむように笑って見せる。 
 
「さっきの通りの角のさ、ラブホと花屋の間のコンビニ。
 あそこで10時まで、週三くらいでバイトしてるから」
 
夜の歓楽街に出入りしている理由を、そんな風に説明したりして、
更に付け足すように笑顔で続ける。

「また『見回り』か、『武者修行』の時にでも、
 私がヤバい目に遭ってたら、助けてくれたら嬉しいな。
 ウチの子そういうの、ホントさっぱりだからさあ」

849氷山『エド・サンズ』:2020/07/03(金) 00:52:39
>>848
「きっとそうですよ!『ここで会ったのも何かの縁』ってやつです!
『良き出会い』にしちゃいましょう!」

    『・・・・・・。』  ニヤリ

仲良さげに話し合う二人の姿を見て
にやりとした笑みを浮かべながら『エド・サンズ』の姿が消えていく


「えー・・・っと、花屋と、ら・・・・ホテルの間のコンビニですね!
この辺りは『見回り』の時のルートですからね、また来ますよ
私・・・・はともかく、『さんずさん』は頼りになりますから!
危ない目にあったらすぐに言ってください」

スマホで地図を見ながら位置を確認する

その後・・・・二人で他愛のない話をしたりしながら
夜も更けたあたりで別れ、帰っていった

850グレッグ・ワイルダー『ライノセラス』:2020/07/05(日) 20:07:29
     
      「『ケバブー』」

      「『ケバブ』アルワヨー!」

それなりに通行量の多い昼過ぎの歓楽街。
『毬藻』を連想させる丸く巨大な『アフロヘアー』の褐色肌の外国人が、
紙容器に包装された『ケバブサンド』を片手に通行人に声を掛けていた。


      「アタシのお店、今日は店仕舞。
       残ったケバブ、プレゼントーッ!」

      「そこのイケメンのオニーサン、食べる?
       ああっ、無視シナイデチョーダイ!」
      「ンモー!!」

851夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/07/06(月) 00:27:18
>>850

「おっ、『UMA』か??
 まさか、こんなマチナカにどうどうとあらわれるとは…………。
 モウテンだったな!!」

どうりで、ミズウミしゅうへんではみつからなかったワケだ。
ながねんにわたるチョウサのすえに、
ついにワレワレは『ミチのセイメイタイ』をハッケンした!!
これより、『ファーストコンタクト』をかいしする!!

    トッ トッ トッ トッ トッ

『巨大アフロ』の後ろから、『アリス風』の少女が歩いてきた。
ブルーの『サングラス』を掛けている。
遠くからでも目立つ格好だ。

                 ポ ン ッ

「――――『ケバブ』いっちょう!!」

背中を叩き、片手を差し出した。
カラフルな『ネイルアート』の施された爪が見える。
『受け取る体勢』だ。

852グレッグ・ワイルダー『ライノセラス』:2020/07/06(月) 13:30:47
>>851

「オネーサン」

「アリガットーッ!
 店長の『ギルガメ』チャンに貰ッタはイイけど、
 アタシ『ダイエット中』デ、オニクはNG〜。
 ドウシヨウカ、途方にクレテタノォ〜〜」


ぐっ

アフロ込みで『2m』を越す巨軀を屈め、包装された『ケバブ』を夢見ヶ崎に手渡す『外国人』。

『ケバブ』を持った男の両手には『革手袋』が嵌められており、
袖元がだらっと余る『長袖』を着ている。

「『ギルガメ』チャンノ『ケバブ』美味シイノよ。
 『ヨーグルトソース』デ甘酸ッパイ風味スルケド、
 腐ッテナイカラ、ダイジョーブ。さっ、オタベナサイ!」

853夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/07/06(月) 21:59:35
>>852

「ホントかぁ〜〜〜??
 いっとくけど、わたしはチョー『グルメ』だぜ??」

「チョーマジで」

『ギルガメ』ってダレだよ??
『カミツキガメ』の『シンセキ』か??
いや、『いきわかれたキョウダイ』かもしれないな……!!

「『アリス』の『センス』をマンゾクさせられるかどうか、
 たしかめてやろう」

               ――――ズ ギュンッ

           シ ュ バ ッ

少女の傍らに、『両目を閉じた人型スタンド』が現れる。
その十指には、『メスのような爪』が備わっていた。
スタンドが高速で腕を振るい、『爪の先』で本体に触れる。

    スン スン

「ふんふん、このニオイはたしかに『ヨーグルト』だ。
 くさってるニオイってのは、
 もっとハナのアタマにツンとくるカンジだもんな〜〜〜。
 これとはゼンゼンちがう」

            ムシャッ

「アジも『ヨーグルトソース』だな。
 『ヨーグルトっぽいナニカ』でもない。
 なかなかイイざいりょうつかってるじゃん。
 これがホンバのアジってヤツか??」

『ドクター・ブラインド』の能力――『五感の移植』。
自分自身に『超人的嗅覚』と『超人的味覚』を移植し、
『ケバブ』をチェックして感想を述べる。
別に疑ってるってワケじゃない。
でもまぁ、知らない相手からタダで貰ったモノだし、
そうでなくても気温の高い季節だ。
だから、『一応の確認』だけはしておいた。

854夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/07/10(金) 07:34:49
>>853

そのあとアレやコレやイロイロあった。
キンネンまれにみるスペクタクルなアドベンチャーだったな〜〜〜。
そのツヅキは、またこんどだ!!

855斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/18(土) 00:35:18
――なにかを殴るのがそんなに好きならサンドバッグを殴ればよろしいのに。


7月の蒸し暑い路地裏で 口火を切ったのは向こうだったし、言いがかりをつけてきたのも向こうだった
いや、言いがかりではないか 向こうの彼女が言いよってきたのは事実だったし、それを拒否したのも事実だ。
でも、僕の好みでは無かったんだ それは仕方ないじゃないか?

殴りかかってきた奴の拳を踊る様に躱し、懐に潜り込むと両腕を掴んで固定
影の脚が馬鹿みたいに柔らかい関節を駆使して顎をかちあげた

そのままそいつを振り回して2人目に投げ飛ばし、対応の遅れた三人目とタイマンに持ち込む
鳩尾を不可視の脚で蹴り飛ばし、呻きながら頭を下げたところを『大量の鎖』を巻き付けた左のフックで刈り取る 約8キロのダンベルを握り込んで殴るような物だ。

足元に転がった三人目を見て、4人目が前から闘牛みたいに突っ込んできたところを
4脚が常人にはあり得ない跳躍を実現させて上を取り、4人目の頭部を縄跳びを飛ぶみたいに踏み台にしつつ
左腕の鎖を解き 首に絡めて締め上げる ソイツが顔を青くしながら酸素を求めて倒れた時、残っているのは……

 『最初に仲間を投げられて下敷きになった2人目』……まあ、ようやく起き上がったわけだが
 コレは致し方ない事だろう 意識を失った人間は嫌に重い物だ。

 呆然としているそいつの前で僕が左腕を上げると
 頭上から『銀色の蛇』がその頭部を脳天に襲い掛かり――


 『――つまらんなぁ。』


 4人が倒れ伏した路地裏で、『俺』は1人呟いた もとより面白いからやってきたわけではない
 勘違いされては困るが 僕達は生まれてこのかた少なくとも、一度たりとも殴るのが楽しいとだけは言った覚えがない『殺す』に関しても同様だ。

 しかし一度強烈な物を見せられると、どうも人間という物は麻痺するようだ
 『俺』がチンピラ相手に喜々として殴り掛かるわけでもなく、的にするでもなく ……むしろ戦闘を回避しようとする辺りは。

 『それで戦ってりゃ世話ねぇが やってるのは大人と子供の喧嘩だな。つまらん。……ほんとうにつまらんよ。』

 それよりも何か飲もう、この季節にジャケット着込んで運動とか最悪だ。
 確か向こうに自販機があった、アレは『当たり付き』だけど基盤が古くて、コイン入れてから5秒後に押せば必ず当たるという代物だ。

 『コーラにすっかな?それともスプライト?』

 どっちでも。

856ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/18(土) 15:12:51
>>855

「……ぬう……むっ……くっ……」


自販機を見ると、地面との隙間を覗き込み、手をつっこんでいる子供がいた。
身長からすると小学校低学年くらいだろうか……


「もう少し……む?
 ……このジハンキに用かの?」


ごそごそやっていたが、背後からの人の気配を察したのか、立ち上がって自販機の前を譲る。
金髪の女の子だ。リュックを背負い、大人の服をダボダボにして着ている。手には木の棒を持っていた。


「!? 人が死んでおる!」


そして周囲の光景に驚きの声を出した。

857斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/18(土) 23:54:49
>>856

硬貨を入れて頭の中で5秒カウントし、スイッチを押す

 『ああ、用だよ。コイツとは昔馴染みだからな』

電子音が『当たり』の音を鳴らす中、缶を引っ張り出して開け、口に運ぶ
喉に炭酸の刺激が心地よい、今のような心持の時は余計にそうだ。

 『――ん?』

小学生の声に振り返る、ライダーズジャケットの襟元に赤いスカーフが揺れる。

 『なぁんだ。誰か死んでんのかぁ ……おっかねぇなあ。』

数秒前まで暴力を振るっていたとは思えない程のんびりとした声。
そんな事より当たりのドリンクを何を選ぶかの方が大事だと言わんばかりだった。

858ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/19(日) 00:12:05
>>857

「なんじゃ、そこの人、なんか……変じゃないかのう。
 声が……? オバケ……?
 人が死んでおるのはタタリ……?」


『』付の台詞、ということはスタンド会話でいいのだろうか……
スタンドも出しっぱなし状態? 鎖とか黒い影を纏っているような姿に見えるのだろうか?
まあ、子供ながらに異常を察知したらしい。
木の棒を構えて威嚇している。


「なんじゃとォー! 『当たり』……?
 1回でジュースが2本……どういうことじゃ? これがオバケの力?」


しかし興味を持ったのか、次の瞬間には近づいてきた。

859斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/19(日) 00:56:25
>>858

おっと、大体の場合『俺』の方が喋るのはスタンドの方でだった
一応は自分の喉で喋った方がいいだろう

 「……変?失礼なガキだなオイ 俺の脚が無いように見えてんのか?」

違いが有るとは思えねぇが、どっちも僕の声である事には違いないし。
例え『全身に蛇の如く鎖が巻き付いて』いようと、見えていなければ無いのと同じ事だ。

 「どうでもいいけどよ…… オバケじゃねぇよ、名前がある。」

コーヒーを押す、おいやめろよ 僕が苦手なのは知っているくせに
鉄分の吸収を阻害するから貧血気味になるんだぞ コーヒーは つまり毒だ。

860ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/19(日) 01:13:28
>>859

「? 足はあるじゃろ」

あんまり会話が噛みあわなかった。
幽霊=足が無いというイメージも昨今は薄れてきているのか……

「オバケにも名前が……いや、オバケではない上に名前がある……
 つまり……あっ! あれじゃ、あの、ええと、
 ブレイモノ! 名をなのれぇい!」

急に思いついたように何か言い出した。
木の枝を刀のように構えている。多分テレビの影響とかだろう。時代劇とか。
しかし無礼なのはコイツの方である。

861斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/19(日) 01:41:46
>>860

 「……『名乗れ』だぁ?」
 
そうだな、失礼だ そしてコーヒーは毒だ。
怪訝そうに眉を潜めながら、斑鳩翔は考える。

 「ママンに教えて貰ってねえのかガキンチョ」

手にした缶コーヒーを片手でお手玉しながら思案する
先程手に取ったコーラはもう飲み干してしまった、2人分の脳みそには糖分が足りない。

 「人に名乗って貰いたきゃあ ……まずてめぇが名乗れ。」

そう気だるげに言いながら 冷えた缶コーヒーを『ガキンチョ』の額にゆっくりと押しつけようとした。

862ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/19(日) 01:54:36
>>861

「ママンってあれじゃろ。なんか子供を飼っておる女。
 わしはああいうのはおらん。つまり野良じゃ」

頬に缶コーヒーを近づけると、微妙に避けつつ、しかし完全には離れないというか……
ギリギリの冷気を楽しんでいるようだ。
近づけるごとにどんどん顔が傾いていく。

「名前もない!
 飼い主はジジイじゃったがなんか最近死んだんでのう!」

子供はかなり大きめの服を着ていてブカブカである。
足元も大人もののサンダルだ。

863斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/19(日) 02:28:41
>>862

 「――なんだぁ そりゃあ。」

しかし目の前の存在が木の股から生まれ落ちたようにも見えない
祖父がいるとは聞こえたが、つい最近死んだという。

 (そうなると物覚える前に母親から引っぺがされたか 捨てられたか…)

 「めんどくせぇ。 じゃあ『ガキ』でいいな 名前ねぇんだし。」

そこまで考えて考えるのをやめた
助けようとでもしない限り、意味のない想像だし する気もない。
精々この事をしったら家のババアが怒るくらいだ

 (その場合もメンドクセェなあ 屋根が吹き飛ぶまで怒った後に風呂にぶち込んで養子にするだのしないだの・・・・・・)

俺に義理の妹や弟が何人いるか何て数えたくもないし、知った事でもない
俺には関係のない事だ。

 「で、ガキ 嘘つくんじゃねぇよ 引き取る知り合いくらい いるだろ。」

 取り敢えず缶コーヒーを押しつけてどこまで反れるか試してみることにした。

864ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/19(日) 02:40:37
>>863

「ガキってあれじゃろ。お腹が空いてるオバケ。あれは嫌じゃ。
 ユキシラで良いぞ。ジジイの家の……玄関のあの、名前が書いてあるとこに書いてあったやつじゃ」

妖怪的な知識はあるらしい。多分テレビで見た。
缶コーヒーを近づけると、顔だけでなく上体も反れていく。

「引き取るシリアイってぬおお、
 なんじゃさっきから?
 くれるんか? ならばちょうだいしてシンゼヨウ」

限界まで反れる前にくいついてきた。
両手で挟み込むように缶コーヒーに掴みかかる。

865斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/07/19(日) 14:20:37
>>864

缶コーヒーをひょいと手元に戻し、数回ほどお手玉した後にユキシラに放る。

 「――飲めたらな。」

缶コーヒーは大量の『鎖』に雁字搦めにされてユキシラに手渡された
辛うじて缶のプリントが隙間から覗けるくらいである。

 「じゃあなユキシラ、忘れとくぜ ……そうそう」

 「その自販機、金入れて5秒待ってからボタン押してみな 『幽霊パワー』だ。」


そう言い残すと そのまま気だるげに路地裏に消えて行った。

866ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/07/19(日) 22:30:39
>>865

「お? なんじゃこれは。
 まあよい。くれるというのなら代わりにこの木の枝を交換……おい、どこへゆく?」

「というか結局、そちの名前は……?
 こ、この死んだ奴らも放っておいてよいのか?
 おーい」

「……行ってしもうた」

867百目鬼小百合『ライトパス』:2020/08/21(金) 20:34:54

歓楽街の裏小路に店を構える一軒の『蕎麦屋』。
その一角に座を占めている。
テーブルの上には『鰻の白焼き』と『山菜の天麩羅』。
手元には辛口の『冷酒』。
片手に持ったそれを、ぐいと呷る。

「そりゃあアタシだって酒のために生きてる訳じゃあないけどさ」

「『人生に欠かせないもの』だってのは確かだね」

それは、誰かに向けた言葉ではない。
酒が入ると、自然と独り言が多くなってくる。
年を取ってからは余計にそう感じる。
分かっちゃいるが、どうする事も出来ない。
困ったものだ。

868百目鬼小百合『ライトパス』:2020/08/23(日) 11:13:47
>>867

「昔から、親父はアタシの目標だった」

「だから、アタシも同じ道を歩んだ」

「いつか親父を超えたいと思ってた」

料理の皿をつつきながら、酒が進む。
その都度、独り言も続いていく。
アルコールによる多幸感が、次第に冷めていくのを感じる。

「でも、まだ超えられちゃあいない」

「いつになったら出来るのかねぇ」

「いいや――――」

呟きながら、首を横に振る。
同時に、空になった器をテーブルに置いた。
徳利の中身は残っているが、次は注がない。

「親父は『力』なんてなくても立派にやってた」

「アタシは『力』があっても、このザマだ」

「『宝の持ち腐れ』ってヤツなのかもしれないねえ」

小さく溜息が漏れた。

869百目鬼小百合『ライトパス』:2020/08/26(水) 19:32:16
>>868

「ハハハ――――」

「止め止め。こんな事を考えてたってキリがない」

「我ながら、だいぶ酔いが回ってきたようだねえ」

「――――ご主人、『蕎麦』もらえるかい?」

「あぁ、『いつもの』でいいよ」

一杯やった後に蕎麦を食って帰る。
いつの日からか、それが習慣になっていた。
『立場』が変わっても、それは『あの頃』と変わらない。

870日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/08(火) 15:42:31

片手にコンビニで買ったコーヒーを持ち、
通りすがる人々をベンチに座って眺めていた。

別に何かを探しているわけでもない…………
が、何か面白そうな事があれば、それは良い事だ。

彼女自身は目立った動きをしているわけではない。
が、白髪に白い服、白づくめの外見は、往来から目立つ。

871百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/08(火) 19:07:09
>>870

日下部の後ろから、誰かが歩いてきた。
180cm近くある背の高い女だ。
白いパンツスーツを着て、火の付いていない煙草を咥えている。
両方の耳には『白百合』のイヤリング。
年の頃は四十の半ば程に見えた。

       スッ

やがて、ベンチに腰を下ろす。
ポケットから取り出したのはライターだった。
あちこちに傷がある年季の入った代物だ。

            カキンッ

金属製の蓋を親指で軽快に跳ね上げ、
煙草の先に火を付けようとした所で動きが止まる。
隣に座る『白尽くめの少女』を横目で見た。
苦笑しながらライターの蓋を閉め、ポケットに戻す。

872日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/08(火) 20:55:25
>>871

顔を上げると、白い三つ編みが揺れる。
目が合う。

「別にいいよ〜、お姉さぁん。
 私は気にしないよ、おタバコ……お好きにどーぞ」

往来の人々は、それほどこちらを見てはいない。
嫌煙家がいるとして、あえて声を掛けては来ないだろう。

「ほら、我慢は体に毒って言うでしょ〜?」

「まあタバコも毒かもしれないけど〜……
 心には薬になるって、友達が言ってたから」

            ニコ ニコ

笑みを向ける。
毒気のない笑みを。

「んふ……お仕事帰り? 毎日お疲れ様です〜〜〜」

言葉もまた毒のない物だ。薬になるかは、分からない。

873百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/08(火) 21:27:36
>>872

「ハハハ、『心に毒』か」

毒のない笑みに笑い返す。
昔と比べると、最近は喫煙に対して厳しくなった。
ルールやモラルに反する気はないが、
やはり肩身の狭さは感じるものだ。

「悪いね、お嬢ちゃん。何だか気を遣わせたみたいで」

「お言葉に甘えて、ちょっとやらせてもらうよ」

       シボッ

「吸えば『体に毒』だし、吸わなきゃ『心に毒』だ」

「全く困ったもんだよ」

言葉を返しながら、慣れた動作で煙草に火を付ける。
人心地ついた表情で空を見上げた。
細い煙が、音もなく緩やかに立ち昇る。

「あぁ、そうだよ。体を動かす仕事でね。
 お嬢ちゃんは誰かと待ち合わせかい?」

「この辺は『物騒』だから、夜は気を付けなよ」

「今みたいに暑い時期ってのは、
 一年の内でも『犯罪』が増える傾向があるっていうからねえ」

874日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/08(火) 21:47:58
>>873

「いいよいいよ、好きなだけ甘えて。
 私、甘えられるのいやじゃないよ〜。
 私が損をしない範囲でならだけど……んふふ」

「損しないことに怒ってたら無駄だも〜ん」

話すのが楽しければ『プラス』だ。
副流煙という『マイナス』は、
それをもって打ち消すことが出来る。
楽しくなりそうな予感は、あった。

「わお、暑いのに大変だ」
「お仕事当ててもい〜い?
 えーっと、ジムのインストラクターさん! どう〜?」

        コト

「ちなみに私が待ち合わせなのは……正解で〜す」

当てずっぽうを言いながら、コーヒーを脇に置く。

「暖かくなるとヘンタイが増えるって言うもんね〜。
 特に夏っていろいろ開放的なムードだし。
 それとも、単に暑すぎておかしくなっちゃうのかな〜。んふ」

875百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/08(火) 22:32:33
>>874

「そんな風に見えたかい?ハハハ、違うよ」

「『人に教える』って所は、
 ちょっとだけ似てるかもしれないねぇ。
 『先生』って訳じゃあないけどね」

その容姿からは、普段から運動している事が窺える。
しかし、インストラクターとは少し雰囲気が違った。
指導する側のような佇まいではあるが、
どことなく『厳しさ』のようなものが滲み出ている。

「夏は皆が薄着になるし、大きなイベントも多いからね。
 調子に乗って悪ノリするヤツとか、
 ロクでもない事を考えるのが出てきやすいんだと思うよ」

「ま、暑さでココが鈍くなってるのかもしれないけどねえ」

自分の頭を人差し指でつつき、軽く笑う。
その時、『ある事件』を思い出した。
それを耳にしたのは、少し前の事だった。

「そういえば、この辺りで前に『轢き逃げ』があったらしいね。
 そんな『噂』を聞いた事があるよ」

「アタシも詳しくは知らないんだけど、酷い話さ」

いつだったか、そんな『噂』を聞いた事がある。
この話が記憶に残っていたのは『奇妙な点』があったからだ。
被害者も加害者も不明で、その痕跡すら見つかっていない。
それなのに、実際に『事故』は起きたというのだ。
もし本当なら、『奇妙な事件』と呼べるだろう。

876日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/09(水) 00:22:17
>>875

「ん〜。先生じゃないのに教えるの?
 なにかな〜。私知らないかも。
 四択クイズにしてくれたりしないかな〜」

「んふ、別にクイズにこだわりはないけど」

体を動かす仕事、という言葉。
『活力』と『風格』を感じるたたずまい。
そういった点から、なんとなく連想しただけだ。

「あ〜、薄着なのは関係ありそ〜。
 ほとんど裸じゃん!って人たま〜にいるもんね」

「脱ぐヘンタイも、見るヘンタイもコスパのいい季節か〜」

などと、談笑していたが……

「へ〜、轢き逃げ〜」

           ゴク

身に覚えのある話が来た。

「怖いね、せめて轢いたら救急車くらい呼んでほしいよ〜」

「でも、死人が出なかったのは良かったよね。
 あ〜、だってほら。お花とか、供えられてないし〜?」

口にしてから『他人ごと感』を出すべきだったかとも思ったが、当事者なのだ。

877百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/09(水) 01:02:46
>>876

「ま、アタシの職業については『秘密』って事にさせてもらうよ」

「いや、別に隠すようなもんでもないんだけどねえ」

どうという事のない談笑。
その最中に、何気なく出した話題だった。
だが、少女の答え方に、何となく引っ掛かるものを感じた。
単なる直感だ。
もしかすると思い過ごしかもしれない。

「その通りだね。
 もちろん轢くのも悪いけど、怪我人を放って逃げるってのは、
 更に悪いからねえ」

「――この噂、知ってたかい?」

何気ない口調で尋ねる。
無視すれば良かったのだが、
気になってしまうと放置しておけない。
元々その事故が奇妙なものだった事も理由の一つだ。

878日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/09(水) 18:17:16
>>877

「んふふ、私、無理には聞かないよ。
 話すようなことでもないってことでしょ〜?
 だったら、知らない方が楽しいこともあるもんね」

「何事も、楽しいのがいちば〜ん」

重要なのは『知的好奇心』でも『空気読み』でもなく、
自分にとってそれが『楽しいかどうか』……という事。

優先するべきはそこにある。
そこには、『たしからしいもの』がある。

「うん、知ってた知ってた〜。
 轢かれたヒトを見てたわけじゃないけどね」

自分を見る事は難しい。

「んふ……お姉さんって〜、『事件』に興味ある人〜?」

同じく何気ない口調で返す。
『犯罪』『轢き逃げ』……一般的に『物騒』な話題だ。

初対面の雑談に、無難なゴシップと言えなくもないが……

879百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/09(水) 19:40:13
>>878

「ああ、知ってたのかい。そんな気がすると思ったよ」

『救急車が呼ばれなかった』とか、
『花が供えられていない』とか、
引っ掛かったのは大体その辺りだった。
根拠と言うには弱いが、気になったのは確かだ。
しかし、まさか『被害者』だとは思わない。

「興味あるねぇ。好きって訳じゃあないけど」

「噂じゃあ逃げた奴は捕まってない。
 つまり、自分がやった事の『ツケ』を払わずに、
 踏み倒したって事だ」

「アタシは、そういうの嫌いでね。
 ソイツがまた同じ事をやらないとも限らないし、
 『人を轢いても逃げ切れる』って、
 勘違いするヤツが出てくるかもしれない」

「だから、犯人をキチッと捕まえて、『罪の重さ』ってヤツを、
 分からせてやって欲しいと思ってる訳さ」

煙草を口から離し、言葉の代わりに煙を吐き出す。
喫煙が犯罪じゃなくて良かった。
これが罪だったら、自分は終身刑になっていただろう。

「もちろんアタシが捕まえる訳じゃあない。
 それは『警察』の仕事だ。
 でも、『通報』する事は出来るからね」

「その轢き逃げについて、他に何か知らないかい?
 よければ聞いときたいねえ」

曲がった事は嫌いだが、真っ直ぐしか歩かない訳ではない。
左折もするし右折もする。
言葉も同じだ。
もし犯人を見つけたら警察に通報する。
その犯人を捕まえた後で。

880日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/09(水) 21:17:37
>>879

「んん、そんなにたくさんは知らないけどね〜。
 少なくとも、捕まえるのに近付ける情報とかは……」

必死になって追えば『たどり着けた』可能性はある。
が、それがプラスになると日下部は考えていない。

「ナンバーとかも、もちろん知らないし〜」

痛みを感じたその場ならまだしも、
後になって報復のために走り回るのは、
いたずらに『マイナス』を増やす行為だ。
何か大切なものを失ったわけでもない。
日下部の『因果』は『応報』しないもの。
復讐の熱がない以上、他害は利己に繋がらない。

「あー、でも、『轢いたの』はバイクだったみたい。
 車じゃなくってね〜。大きい、改造してるバイク〜」

だが……

「ぜ〜んぜん、ブレーキする気なさそ〜だったって」

「細かいことは、知らないけどね。 
 でも、『轢き逃げ』よりは一歩踏み込んだね。
 んふ……お姉さんの役に立ったなら、私、嬉しいな〜」

解決を望む者がいて、それに協力することで、
精神的な喜びを得られるなら……それは『価値がある』事だ。

881百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/09(水) 21:56:56
>>880

「『大型の改造バイク』――なるほどねぇ。
 この辺りじゃ一台や二台でもないだろうけど、
 ある程度は絞れるかもしれないね」

「バイクで人を轢いておいて、
 それに気付かないって事は考えられない。
 ブレーキも掛けずに走り去ったってのは、
 気にも留めてなかったのかもしれない。
 よほど肝が据わってるのか、
 じゃなきゃ『初犯』じゃないヤツか」 

「噂だと、確か『深夜』だったって話だ。
 時間帯と大体の現場は分かってる。
 それと同じような時間と場所に、また現れる可能性はある」
 
「いい情報だったよ。ありがとう、お嬢ちゃん」

単にバイクだけなら特定は難しいが、
大型で改造されているとなると、自然と範囲は狭まってくる。
また同じ場所を通るかもしれない。
現場とされる付近を注意しておくだけの価値はあるだろう。

「お嬢ちゃん、なかなか事情通なんだね。
 『噂話』は好きな方なのかい?」

「アタシの聞いた話だと、
 そこまで詳しくは分からなかったからさ」

犯人とは別に、気になる事が一つあった。
自分が聞いた噂以上に、この少女は情報を知っている。
その『情報源』がどこなのかという事だ。

882日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/09(水) 22:13:09
>>881

「んふふ、良かった〜。
 誰も損せずみんなが得するのが一番いいもんね」

        ニコ

「噂話とか、そういうの好き〜。
 面白いし……聞くだけならタダだし。
 自分のためになる事も多いし〜」

「今回のネタを知ってたのは、『偶然』だけどね〜」

星見町には奇妙な噂も多い。
最大限の愉しみを得るためには、知る必要はある。
もちろん、自分にとって価値のある範囲でだが。

          サッ

ふと、スマートフォンに目をやると連絡が入っている。
待ち合わせに遅れたが、すでに近くにいるという事だ。

「私、行くね。お姉さん、悪い人捕まったらいいね〜」

特に何か呼び止められないなら、日下部は立ち去る。

883百目鬼小百合『ライトパス』:2020/09/09(水) 22:37:01
>>882

「ハハハ、皆が幸せなら世の中も平和だからねぇ。
 何事もそれが一番さ」

『偶然』――そういう事もあるだろう。
同時に、そうではない可能性も存在する。
今の段階では、まだどちらとも言えない。

「ああ、行っておいで。お嬢ちゃんと話せて良かったよ」

片手をヒラヒラと振って、名も知らぬ少女を見送る。
しかし、あの『白尽くめ』は目立つ外見だった。
また見かける事があれば、それに気付くのは難しくない。

        スッ
              サラサラサラ

手帳とペンを取り出して、聞いたばかりの情報を書き留める。
そこには、『白づくめの少女』という単語も付記されていた。
おもむろに顔を上げ、少女が立ち去った方向を眺める。

「――――何だかねぇ」

「手掛かりを見つけたと思ったら、一緒に『謎』も増えちまったよ」

884日下部『アット・セブンティーン』:2020/09/10(木) 00:52:05
>>883

手を振って、その場から立ち去った。
『事件』におけるその『正体』も闇の中に消えるが、
もしソレを追うのであれば、また線が交わる事もあるかもしれない……

885俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/09/10(木) 22:05:47
真昼の星見駅南口……
毎夜眩いネオンも、太陽の下ではしおらしく消灯…
お天道様の光が路地裏まで焼き、カラフルな看板たちも白色光に塗り潰され、
客引きもこんな時間ではまばら…歓楽街特有のカラーを感じられない…

…しかし、嗅覚には確かに感じられる……肉、魚、油、穀物、煙草……
…『ランチ』の匂いだ…人を誘う、歓楽街の匂い……


 モクモクァ……

……そんな匂い達の中、特に強い匂いを感じる…『煙』とともに…


  ジュ――――…

「らっしゃァいー…」
「『サンマ』やってるよォー……」


男が、七輪からめっちゃ煙を立てている。公道で。
『消防法』という単語が脳裏をよぎる光景…

886氷山『エド・サンズ』:2020/09/11(金) 20:32:28
>>885
「あっ・・・・!」

休日の昼間、多くの人々が行き交う街中
先を急ぐ人の群れは俵藤のサンマを一瞥して歩み去っていく
その中に一人、サンマの匂いに釣られて足を止める少女がいた

「美味しそうな匂いですね・・・」
「でも、今年のサンマはすごくお高いんですよねー・・・」

そんな事を呟きながら七輪を見回す
普通ならそのあたりに『値札』がありそうなものだが・・・

887俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/09/11(金) 22:37:40
>>886

温暖化の影響とか何とかで…今年の『サンマ』は不漁だとか。
もちろんそれはお値段にも響いているワケだが…

   モクモクモク…

「安いよォー安いよォー」

公道のド真ん中。
白髪グラサンの男、煙を上げる七輪、小型のパイプ椅子、使い捨て食器の入った袋、
クーラーボックス、ビールサーバー…。
…『値札』の類が見当たらない。『胡散臭い』。


 「…さァん」
     「…お嬢さァん?」

「お嬢さァん…お腹空いてるでしょ…よければ一尾、どう?」
「『炭火』で『焼きたて』やってるんだ……」

888氷山『エド・サンズ』:2020/09/11(金) 22:54:00
>>887
     キョロキョロ…

七輪の周りを見ても『値札』らしきものはどこにもない
クーラーボックスや男の顔を見てもどこにも見当たらない

「んん・・・・?」

流石に何かおかしいなぁ、怪しいなぁ
無視して帰った方がいいかなぁ、と思ったところで・・・・

>「お嬢さァん…お腹空いてるでしょ…よければ一尾、どう?」
>「『炭火』で『焼きたて』やってるんだ……」

呼びかけられてしまった
反射的に思わず言葉を返してしまう

「あっ、美味しそうですね これっておいくらなんですか?」

889俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/09/11(金) 23:24:27
>>888

>「あっ、美味しそうですね これっておいくらなんですか?」

 「まぁまぁ…」
   「まぁまぁまぁまぁ…」
             ヒョイッ

 「ホラいい匂いでしょう…ちゃんと『炭』で焼いてるからねぇ…」
 「今年のサンマはねぇ…数は少ないんだけど…身が太くて、しっかりしててねェ…」
 「旬にはまだ早いんだけど…それでも立派なモンさ…」

差し出…押し付けられる、発泡スチロール製の使い捨て皿の上に横たわる焼サンマ。
良い香りだ…ただ、君のハナ次第だが…
『炭』の匂い…つまり『植物』の焼ける匂いはしない事に気づくかもしれない。
どちらかというとコレは…『燃料』の匂い…?


「いわゆる『初サンマ』だからねぇ…『縁起モノ』さ…」
「日本人たるものコレは逃せないよ…」
「値段もその…払いやすい額だから…」


…やっぱ胡散臭い。

890氷山『エド・サンズ』:2020/09/11(金) 23:34:46
>>889
   ヒョイッ
        ジュワ〜〜〜〜〜

「ご、ごくり・・・・確かに凄く美味しそう・・・・じゃなかった!
 今年のサンマはいつもよりもお高いって聞きますし、やっぱり結構です
 それに・・・・・  クンクン  これって『炭』じゃなくて何か別の・・・・?」

  チラッ
      っと七輪の中を覗き込む
本格的な炭火焼きであれば赤々とした炭火の光が見えるはずだが・・・

「それに今日はそんなにお金も持ってないですし・・・」

手のひらを顔の前でぶんぶんと振り、『いらない』と意思を示す
それにしても胡散臭いなぁこの人、と内心では思いながら

891俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/09/12(土) 00:00:32
>>890

「何だい何だい…」
「『七輪』使ってるんだからそりゃ『炭焼き』に決まってるじゃぁん…」

        ズイッ

「あッ危ないから覗き込んじゃダメよッ…『ガソリン』…」
               「あっいやッ何でもないッ」

身体を割り込ませて遮ってくる……しかし、七輪の様子はチラッと見えた…
…明らかに『何か別のモン』を燃やしている。多分…『機械のスタンド』。

グイグイ
 「いやァ困ったなァお嬢さァん…」
 「もう焼いちゃったモノだからさァ…払ってもらわないと困るなァ…」
 「…『1000円』!今年のサンマは高いんだ…こっちも用意するの大変だったんだから…」
                                     グイグイ

距離感近く焼サンマを押し付けてくる。何としてもお金を払ってもらう目算のようだ…
これは…明らかに悪徳なセールス!とても迷惑!
君が何らかのアクションを起こさない限り多分離れないぞ!

892氷山『エド・サンズ』:2020/09/12(土) 00:18:09
>>891
「ガソリン・・・・・・・・・・って!
食べ物を焼くのに使ったら危な・・・これ・・・・・は・・・?」


  ゴ ゴ ゴゴ・・・・

氷山は七輪の中を覗き込む・・・   グイグイ
俵藤の体に遮られて・・・  グイグイ   よくは見えなかったが・・・     グイグイ
  グイグイ    あれは明らかに グイグイ 『スタンド』なのでは・・・?   グイグイ
             グイグイグイグイグイグイグイグイグイグイグイグイ
        ・・
ところで俵藤の『押し』が強い!
迷惑そうな表情を浮かべながら、サンマを押しのけようとしたところで・・・

『マドロッコシイ事ヤッテンジャネエゾォォォ、あきはヨォォォ』
『コウイウインチキ臭いヤツハヨォォォォ!』
          『適当ニ「のしてやれ」バ イインダゼェェェl!』

   「そんな・・・・・暴力は・・・・!」

        ヴィジョン
少女の背後から『人型の像』が現れる
どこか和風の意匠を持ったスタンドだ・・・・スタンドからは男の声が発せられる

     ブゥゥゥゥン!

出現した瞬間!
俵藤の鼻っ柱に向かって一発、拳が飛んでいく!
人並み程度のパワー・速度ながらこれは当たると痛そうだ!

        「あまりよくないですよ・・・・!『さんずさん』!」

893俵藤 道標『ボディ・アンド・ソウル』:2020/09/12(土) 01:21:45
>>892

「…あっ…『人型』のやつ初めて見たぁ…エヘヘ初めまして…」
「…今日の商売はこの辺にしておこうかナァ――…なんて…」

    ブゥゥゥゥン!
         バキャァァァッ!

        「ごめんなさうべェェェェ ッ!!」

                 ズバァ――――――――ッ

無防備な迷惑セールスの顔面に、『さんずさん』の拳がモロに入った。
道の反対方向にブッ飛ぶ悪質サンマ売り…。


ベタ―――…

「…チッ…ぼったくり価格のサンマで小銭を稼ぐ計画を邪魔しやがって…!」
「…今日の所はひとまず退散させてもらうぜ…」


「…ちょうどいい所に原付止まってるからなァ…」
「なあ『ボディ・アンド・ソウル』!」

  『ドッ』『ドッ』『ドッ』
           ブロロロロロ…


さっきまで七輪の中にいたヤツとおぼしき、『機械の心臓』のヴィジョン…
そいつが、そこにあった、誰かの『原付スクーター』に潜り込み、エンジン音を奏で始める…



「顔は覚えたぞ!えーと…『さんまさん』!」

捨て台詞を吐きながらスクーターを動かす悪徳セールス…
焼サンマと道具一式をその場に残し、そのまま逃げていこうとする…

894氷山『エド・サンズ』:2020/09/12(土) 01:49:58
>>893
>             ズバァ――――――――ッ

「あっ ちゃ〜〜〜〜〜!」

『エド・サンズ』に殴られ、凄い勢いで吹っ飛んでいく俵藤
その軌道を眼で追いかけ・・・追撃はしない、その場に留まっている

「あー・・・ やっぱりぼったくりの押し売りだったんですねー」
『フンッ!因果応報ダゼ!』
    『コレニ懲リタラヨォォォ モウ悪イ事ナンテ・・・・』

俵藤の『小悪党』な言動に応えて、呼びかける
それ程『改心』に期待していたわけではないがお決まりの文句を言おうとして・・・

>「顔は覚えたぞ!えーと…『さんまさん』!」

「・・・・・・。」
『・・・・・・。』
『アリャア、マタ「やる」ナ』 「ですねー・・・」

拍子抜けする
どうやらまるで『懲りて』いないようだ
それなら・・・・言うべき言葉は改心を促す文句ではなく・・・・

『名前ガ違ウゼ!「さんま売り」ヨォォォォ!
 俺ノ名前ハ「エド・サンズ」! コッチハ「氷山あきは」ダ!
 お前ガドコデ何度悪事ヲ働コウガヨォォォォ! コノ俺ガ叩キメシテヤルゼ!』

              『覚エテオケ!』

逃げる『悪徳さんま売り』の捨て台詞に応えるように、こちらも捨て台詞を残す
それは悪党に対しての宣戦布告、大見得を切った処刑宣告とも言える言葉だ
スクーターで去る俵藤の背中を見送りながら高らかに言い切った

「まったく・・・・すぐに暴力に訴えるのはちょっと悪いところですよ」
『フン・・・コウイウノハ「シンプル」ニ片付ケタ方ガ早イゼ
 ソレニヨォ、お前モシツコク絡マレテいい加減迷惑シテタダロ』
「・・・・・まあ 確かに辟易してましたし・・・・さっきの『さんずさん』はかっこよかったですけど・・・」

後に残されたのは七輪と道具一式のみ
人の邪魔になるといけないので隅の方に移動させるとこの場から去っていった



ちなみに残された焼サンマは見事に骨だけになっていたという

895村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/03(土) 20:57:39
星灯りのごときネオン街でも、眠りにつく時間はある。
空もじき白みはじめるだろう深夜、歓楽街に学ランの男が一人廃ビルに入り、出てきた。

  「『何もなし』。」

  「もっとも、そう簡単に尻尾がつかめるなら苦労はしないか。」

896ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/03(土) 21:18:01
>>895

「……」

暗さと視点的な問題から廃ビルに入る時には気づかなかったが、
出た時に、向こうの道端で人が横たわっているのが見えた。
これが大人なら酔っ払いかもしれないが、身体の大きさからして子供だ。

897村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/03(土) 22:41:59
>>896

「『子供』?」

 「この時間にか?」

異常を見とめ、顔をしかめる。
明るいうちなら駆け寄って助け起こすのが正しいだろうが、場所が場所、時刻が時刻だ。

といって無視を決め込めるほど冷血な人間でもない。
物陰にかくれて、しばらく様子をうかがおう。

898ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/03(土) 22:47:17
>>897

様子をうかがう。


「ぬ〜ん……」


しばらくすると、呻き声と共にコロリと転がる。
寝返りだろうか。単に寝ているように見える。

899村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/03(土) 22:58:00
>>898

どうやら卒中だとか、そういった緊急事態ではないらしい。
が、ド深夜にとはいえ往来で爆睡というのはいったいどういう了見なんだろうか。
俺の知る限り、のび太くんですら『どくさいスイッチ』の時に一度しかやっていないはずだが。

  「袖摺りあうも多少の縁」

  「まぁ袖摺ってんのはアスファルトにだし、あの子供だけなんだが」
  
  「見て見ぬふりもできねぇか」
                      ボディサイズ
良く見える距離まで近寄って、年ごろ、性別、『身体的特徴』を確認する。

900ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/03(土) 23:12:09
>>899

年頃は小学生の年少くらい。
性別は、この年頃では男女の区別はあって無いようなものだが、髪が長いので女の子だろうか。
体つきは小柄で痩せ気味かもしれない。
それを考えると発育不良の小学校年長か中学生である可能性もあるが……
あとは服装が大人ものを無理やり着たようにブカブカだ。脱げたのか近くに大人ものの靴があり、裸足だった。


「スー シュー」


近づくと規則正しい寝息が聞こえる。
よく見ると地面に布が敷いてあって、一応そこに寝ているようだった。
地面には小物が散らばっており、近くにはリュックが置いてある(落ちている)

901村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/03(土) 23:23:02
>>900

 「・・・ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ・・・」

目の前に広がる事態の不可解さに頭を抱えたくなるが、最早仕方がない。
となれば、コトは素早く済ませるに限る。

  「こんなことにつかうもんじゃないんだが・・・!」

  ズ  ギュ ン!

周囲に人がいないことを確認し、『ディズィー・スティック』を発現。
リュックを拾い上げ、この子のものと思われるちらばった小物と靴を素早く中に押し込む。

902ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/03(土) 23:30:10
>>901

書き忘れたが金髪だった……
まあ、暗いので色とかよく見えなくても仕方ないね。

折り紙、小石、犬の絵、なにかのネジ……
近くに落ちているものを拾う。
どこまでゴミで、どこまで所有物なのか微妙だが、
少し離れたところに落ちているビールの空き缶は多分違うだろう……。


「う〜む」


人の気配を感じたのか、薄目を開ける。


「なんじゃ!? どろぼうか!?」


そして飛び起きた。

903村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/03(土) 23:42:04
>>902

ピクッ
      クルゥ〜〜〜ッ

  「地べたにブチまけた荷物をかばんに入れてやってるやつをドロボウ呼ばわりしたいなら・・・」

  「・・・いや、好きにすりゃいいさ。」

瞬間的にものすごく不愉快そうな顰め面をそちらに見せるが、すぐに顔を戻した。
だいたい何を言っても面倒なことになるのは確定的に明らかだと思ったからだ。

  「追いはぎに会わねぇうちに早く帰るんだな」

ヒョイと、小物と靴を詰めたリュックを投げてよこす。
・・・軽くだが、わざと顔を狙って投げる。

904ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/03(土) 23:54:57
>>903

「おや? 今何時じゃ……?」


会話になっていない。
というより、寝起きで状況判断がまだ出来ていないのだろう。
泥棒呼ばわりも考えての発言ではなく、目に入ったものからの連想だ。


「うぎゃ」


寝起きだからか、起き上がったばかりで体勢が悪かったか、
単に運動神経が悪いのか、この体格にはリュックが重かったか、その全てか、
村田が……いや、『ディズィー・スティック』が軽く投げたつもりのリュックは、
見事に顔面に当たり(というかリュックの大きさ的に子供の上半身を押しつぶすように)
子供は再度地面に倒れ伏した。

  ゴツン

地面と頭蓋骨がぶつかる鈍い音がした。

905村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/04(日) 00:03:45
>>904

  「おっとすまん。わざとだ。悪く思ってくれ。」

イイ音がした。が、死にはすまい。
狙ったものではないが、気絶でもしてくれれば面倒ごとが一つ減ってたいそう助かるというものだ。
起き上がってくるかどうか、様子を見ていよう。

906ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/04(日) 00:13:53
>>905

「うぐ〜……」


さすがに気絶はしなかったらしい。
悶えながらリュックの下から這い出てくる。


「な、なんじゃお前は?
 オバケか? 何が目的じゃ?
 わしは食っても美味しくはないぞ」


子供からすれば、泥棒かと思いきやいきなり攻撃してきた奴。である。
眉間にしわを寄せて怖い顔(怖くない)で威嚇する。
だがその視線は村田からは微妙に外れている。
正確に言えば『ディズィー・スティック』を睨んでいた。

907村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/04(日) 00:22:25
>>906

  「オバケ・・・オバケねぇ」

  「そういえば、最近は街に『妖怪』が出るってウワサになってたっけな。『山姥』だか何だか知らないが。」

なんだお前、というセリフはお互い様だが、今はいいだろう。
視線の差も含めて、別段言及する気もない。
同時に、こちらも答える気はない。

  「煮て食われたくなかったら、この時間帯には出歩かないこった」
  
  「いや、出歩くのはともかく、寝てんのは論外だけどな」

908ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/04(日) 00:36:36
>>907

「ヤマンバなら悪い妖怪では無かったぞ。
 ……街に出たらどう人間と区別するんじゃ?
 見た目は人間と変わらんかったが……」


口裂け女くらい特徴があれば別だが、
街に来た山姥を山姥と言える理由はなんだろうか。
マスクを外さない口裂け女くらい普通の人間な気がする。


「いつのまにか夜になっておったんじゃ」


なんだお前。と言っても、こちらは見たまま、寝過ごした子供だろう。


「というかお前には聞いておらんぞ……?
 オバケの仲間か?」

「無口なオバケじゃな……リュックをいきなり投げてきておいて、一言謝ったりはせんのか」


村田と『ディズィー・スティック』を分けて考えているらしい。

909村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/04(日) 01:11:07
>>908

  「ウワサだけのことだし、よく知らないね。」

『ディズィー・スティック』を消し、手帳を取り出して×をつける。

  「・・・ああ、こいつは無口なんだ。許してやってくれ。」

910ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/04(日) 01:20:12
>>909

「消えおった……
 悪い……まあ、悪いオバケじゃが……許してやろう。
 人は食わんようじゃが、物を投げつけてはいかんと言っておいておくれ」


『ディズィー・スティック』は悪いオバケ認定されたようだった。


「言われた通り、わしは帰るとするかのう……
 お前さんはこんな夜中に何をしておったんじゃ?
 帰らんでええのか?」


子供はそろそろ帰るそぶいを見せるが、
オバケと一緒にいた謎の男(村田)のことも多少は気になるらしい。


「ん? 靴が無いぞ……どこじゃ?」

911村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/04(日) 02:26:53
>>910

  「俺かい。」

  「・・・『ヒト探し』かな。まだ続きがあるんだ。夜明けまではこの調子さ」

手帳をしまい、出てきた廃ビルを見上げて答える。

  「おちてたもんは全部かばんに入れちまったよ。起きるかわからなかったんでな。」

912ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/04(日) 02:42:36
>>911

「おお、そうか。靴……靴……」

「ふうむ、大変じゃなあ。
 でも昼に探せばええのではないか?」


リュックを覗き込み、靴を取り出して履く。
ブカブカなせいで履くというより足をひっかけると言った感じだが……


「ではな」


リュックを背負い、靴をカポカポさせながら背を向けて歩き出した。
が、数歩進んだところで立ち止まり、チラッと振り向く。


「……」

「どんな人なんじゃ?
 もしもたまたま会ったらお前さんが探していたことくらいは伝えてもよいが……?」

913村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2020/10/04(日) 03:11:08
>>912

  「昼にこのあたりを学生がウロウロしてっと、いろいろと煩くてな」

『探し人』がまっとうなものではないということもあるが、主な理由はこれだ。

  「お、そうかい。じゃあ・・・」

言おうとして、待てよと眉にしわを寄せて口ごもる。

  「いや、頼むのはよしとこう。俺が見つけないと意味がないし・・・『危ない』からな。」

  「寝る子は育つっていうけど、路上ではやめときな。
   いくら秋口っつったって、風邪ひいちまうぞ。」

914ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/04(日) 03:26:25
>>913

「それでは仕方ないの……大変だのう」

「今日は油断したんじゃ。
 厚着しておったらうとうとしてしもうて……ふあ」


子供は小さくあくびをする。


「うむ。ではな」


今度こそ子供は振り返らずに、カポカポと靴を鳴らして去って行った。

915三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/05(月) 21:21:17

「ハ、ハハハ・・・・!」

 フラフラ〜〜〜〜
       フ ラフラ〜〜〜〜

歓楽街の裏通り 小規模な飲み屋が身を寄せ合うように並ぶ通りだ
その通りを一人の壮年の男がふらついた足取りで歩いている

「フ、フフフ・・・・それでね〜〜僕は言ったんですよ!
『まずは彼の漫画を読んでから物を言って欲しい』って!
 編集長たち、目を丸くしてたな〜〜〜〜!」

とても上機嫌そうな表情だ
誰もいないのに延々と独り言を呟いている
それもそのはず、この男、普段はあまり飲まないのだが、今日に限って羽目を外してしまったのだ

       フラフラ〜〜〜〜〜

前もあまり見えていない様子であり、誰かにぶつかるかもしれない

916花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/05(月) 21:51:10
>>915

       ド ン ッ

「うおっと…………」

「よお!久し振りじゃねえかよォ〜!しばらくだったなァ〜!」

「――――って、『人違い』か。
 ワリィな、知り合いと間違えちまった」

「ハッハッハッハッハッ!」

丁度ぶつかったのは『赤毛の男』だった。
ライダースジャケットにレザーパンツに革靴と、
全身を『レザーファッション』で固めている。
どうやら、こちらも気持ち良く酔っている様子だ。

917三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/05(月) 22:11:22
>>916
「おっと・・・・すいません、う、ん・・・?」

誰かにぶつかってしまった
ズレた眼鏡を直して、ぶつかった男の顔を見ようとするが焦点が合わない
しかも、ちょうどその時『久し振り』という言葉を聞いてしまったせいで・・・・

「あ〜〜、君か――ッ! 久しぶり久しぶり! 元気してたかい?」

思わず、こちらも『知り合い』と間違えてしまった!
花菱の肩に腕を回す

「こっちはすっごい元気さ!
 聞いたかい? 僕の担当漫画家がとうとう連載会議を通ってさ!
 さっきまでお祝いをやってたところなんだよ」

「君はどうしたんだい?」

918花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/05(月) 22:38:09
>>917

「――――あァん?」

一度は否定したものの、
向こうが肯定した事で分からなくなった。
もしかすると、本当に『知り合い』だったのかもしれない。
ただ単に、自分が忘れていただけなのだろう。
酔っ払いの頭では、物事を深く考える事は不可能だ。
よって、『やはり知り合いだった』と結論付けてしまった。

「まッ、何でもいいわなァ!
 あんたは景気が良さそうで羨ましいぜ。
 俺の方は、どうにも最近ロクな事がなくってよォ…………」

「ちょっと前に飲み物買おうとしたら、
 『自販機』がブッ壊れてやがってよ。
 商品を出さねえどころか、カネも返しやがらねえ」

「ハラ立ったんで軽くケリ入れてやったら、
 いきなり『車』が突っ込んできやがった。
 運転してた野郎が何したと思う?
 運転席から飛び降りたかと思ったら、
 自販機に話し掛け始めたんだぜ!」

「そいつ、どう思うよ?マジにイカれてやがると思うだろ?
 しかも、また会っちまった。ツイてねえぜ、全くよ…………」

思い出したのは『俵藤』の事だ。
忘れたくても忘れられない。
とにかく強烈な男だった。

919三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/05(月) 23:01:26
>>918

「ハハハ! 自販機にお金を呑まれるなんて災難だったねぇ!」

前半部分はよく聞く『失敗話』だ
話半分に軽く聞いていたが・・・・

「え? え? ちょっと待ってくれ
 車が突っ込んで? 自販機に話しかけて?」

困惑する
嫌な悪夢を見たとしか思えない、奇妙な話だ

「それは君・・・・そいつも酔っ払いだったんじゃないかな?
 ほら!今の僕たちみたいにさ! ほらほら、そこの人もポストに話しかけてるみたいだしさぁ」

ふと、道端を見ると、自分と同じ酔っ払いがポストに向かって名刺を渡していた
配った名刺は投函口に詰め込まれ、次の名刺がまた詰め込まれる

「そうでないとしたら・・・・マジにいかれてるねぇ!
 この手のおかしなネタは『オカルト系』の作家に話したら、受けるかもなぁ」

三刀屋は懐から手帳を取り出す
空欄に『車』 『会話』などの単語を書こうとするが線が歪んで上手く書けない

920花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/05(月) 23:17:33
>>919

「ハッハッハッ!それじゃあ『飲酒運転』になっちまうぜ。
 言っとくけどよ、これは『マジ』だぜ『マジ』」

「そいつは『シラフ』だった。
 俺だって信じたくねえが、そこは間違いない。
 ありゃあ『本気』の目だったからな。だから尚更ヤバいぜ」

「だが、あれは『オカルト』っつうより、もっと現実的なもんだな。
 『超常現象』なんかじゃあなく、
 『イカレ野郎の暴走』だからよォ。
 まッ、オカルトみたいに『おかしな話』ではあるけどなァ」

「ハハハッ!こんなネタでよけりゃ好きなように使ってくれや!
 あんたと俺の仲だ。情報料なんざ取らねえからよ!」

         バン! バン!

『ポストに話し掛ける男』を一瞥し、三刀屋の肩を気安く叩く。
そのせいで余計に字が歪んでしまうかもしれないが、
気にしない。
何故なら『酔っ払い』だからだ。

921三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/05(月) 23:39:00
>>920
「あいたッ! いててて・・・く、る、まっと」

漢字を書こうとしても書けないので平仮名で書くことにした
同じページに書かれた他の文章を飲みこむように、大きな『くるま』が生まれた

「ハハハ・・・・まったくイカレてるねぇ
 そうだ、『イカレ』繋がりで僕の方からも一つネタがあるんだけどねぇ」

―――語る
この前、遭遇した『怪事件』について

「僕が担当している漫画家がさぁ
 ちょっとした『意見の相違』ってやつで自分の描いた原稿を処分してほしいって言ってきてさ」

お互いに知り合いだと思っているため、
『知ってんだろ?』みたいな顔で仕事の話を始めてしまう

「会社に保管してるから駄目だって言ったら
 いきなり『原稿を出さないなら原稿を燃やす』とか言い始めてねぇ」

コンプライアンス的にはかなりグレーゾーンな話が続く
でも、軽くなった口が語ってしまう・・・・・『酔っ払い』であり、元々『いい加減』な性格だからだ

「物騒だなぁ、危ないなぁ、とか思ってたけど
 でも、彼は保管場所知らないし、どうすんだろうなぁ・・・・とか思ってたら

 ・・・・・超能力で火を飛ばしてきた」


「超能力で火を飛ばしてきた」


二度言った

922花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/05(月) 23:52:39
>>921

     ピクッ

「『超能力』だァ〜?おいおい、そんなもん…………」

「…………『ある訳ねえだろ』って言いたい所だがよ。
 他でもないアンタの言う事だ。俺は『信じる』ぜ」

「『火を飛ばされる』のも『車が突っ込んでくるの』も、
 遭遇する確率は似たようなもんかもしれねェしよ!
 ハッハッハッハッハッ!!」

      バシッ バシッ

肩を叩きながら、盛大に笑い飛ばす。
信じていない訳ではない。
心の中で『納得』したからだ。

「ついでに『拳銃で頭ブチ抜かれる』のも、
 同じような確率かもなァ。ハハハハハッ!!」

「いや、そうでもねェか。
 俺なんか、しょっちゅうやってるからよォ!
 ハッハッハッ!!」

古来から、酒は人の口を軽くする。
時として、有りもしないような話を口走らせる事もある。
しかし、これは『マジな話』だった。

923三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 00:11:58
>>922
「ハハハハ! ここだけの内緒にしてくれよ!
 SNSとかに上げられたりすると僕の首が危ないからねぇ」

バシバシと肩をたたき合う

 ところで、彼の名前はなんだったっけ?
  たぶん・・・・中学の時の同級生?だったような・・・・まあいいか

「『拳銃で頭をブチ抜かれる』?
 いやいや、まさか、それはおかしいよ
 頭をブチ抜かれたら大抵の人間は死んじゃうからねぇ」

「もし、そんな事が出来るとしたらマジモンの超能力者さ
 例えば・・・・」

  ドドドドドドドドド・・・・!

     ひょいっ
          「こんな風にねぇ」

発現した『ブラック・アンド・ホワイト』が道に落ちていた空き缶を拾う
そして、それをゴミ箱に向けてシュートする



  カンッ

      空き缶は狙いがズレて、ごみ箱に弾かれた
      ころころと空き缶が転がる・・・・・

「・・・・・・・・。」

924花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 00:31:46
>>923

そういえば、隣に立つ男は三刀屋よりも若く見えた。
おそらく、二十台の半ば程か。
少なくとも『中学の同級生』ではないのかもしれない。

「うおッ!?空き缶が勝手に動きやがった!?
 まさかと思うが、今のアンタがやったのかよ?
 だとしたらスゲーぜ!ハッハッハッ!!」

        「俺なんかよォ〜〜」

右手を持ち上げる。
指は『銃の形』になっていた。
その『銃口』が、地面に転がる空き缶に向けられた。

          ズギュンッ

右手に重なるようにして、
『スウィート・ダーウィン』を発現する。
回転式の弾倉を備えた『リボルバー』。
引き金に指が掛かる。

   「『これぐらい』しか出来ねえもんなァ〜〜」

      ガァァァァァ――――――ンッ!!

次の瞬間、銃声と共に発射された弾丸が、
空き缶を斜めにブチ抜いた。
『実弾』ではなく、殺傷力のない『偽死弾』だ。
しかし、通常物体である缶を穿つには、
十分すぎる威力があった。

「おっと、ちょっとズレちまったか?ハハハハハッ」

925三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 00:45:07
>>924

 あれぇ〜、妙に若いなぁ〜、干支が一回りくらい違う気がするけどなぁ
 でも、同じクラスの田中君とか童顔でほとんど子供みたいな見た目だったしなぁ・・・

などと、うだうだした事を考えていると・・・・

      ガァァァァァ――――――ンッ!!

突如として、響き渡る『銃声』に思わず、ビクッと飛び上がってしまう
周囲を見回しても『銃声』に驚いた様子はない・・・・これは!


「・・・・・ねえ、君」
「つかぬことを聞いてしまって申し訳ないんだけどさ・・・・」

      「・・・・君は誰だい?」

びっくりして『酔い』が一気に醒めてしまった
よく見ると、全然顔が違う  知らない人、だ

926花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 01:00:45
>>925

「あァ〜?おいおい、しっかりしてくれよ。
 俺の名前まで忘れちまったのかァ?」

「『誰だ』ってそりゃあ、『花菱蓮華』に決まってんじゃあねえか」

そう言われて、相手の顔を改めて見る。
知っている人間だと思い込んでいたが、見覚えはない。
何かが食い違っているような『妙な感覚』があった。

「…………あのよォ、おかしな事を聞いちまうかもしれねェが」

「――――アンタ、誰だった?」

『拳銃』を下ろして、目の前の男に聞き返す。
『記憶にない男』に。
今、緩やかに『酔い』が冷め始めていた――――――。

927三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 01:08:53
>>926
「あー・・・・ ごめんごめん、自己紹介がまだだったね
 『初めまして』・・・・僕の名前は『三刀屋 路行』って言います
 漫画雑誌を刊行している『〇〇〇出版(名称未定)』で働いています」

初対面だという事に気づくと、思わず敬語になってしまう
だが、数瞬後には『ま、いっか〜〜、どうせ今更だし』な気分が沸き上がる

「初対面だよね? 僕たち
 完全に人違いしてたみたいでさぁ・・・」

旧知の友人と思って語り合った熱が冷めていく
肩に回していた手も思わず引っ込める

  ジ・・・・

視線が『拳銃』へと向いてしまう
悪い人ではなさそうだけど・・・・・『拳銃』!?

928花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 11:48:44
>>927

「…………らしいな。酒の力ってのは恐ろしいもんだぜ」

「あぁ、コイツが『俺の』だ。
 『アンタの』とは随分と違うようだがよォ」

三刀屋の傍らに立つ、
『ブラック・アンド・ホワイト』に視線を向ける。
『スウィート・ダーウィン』とは全く違うタイプのスタンド。
一番最近見たのは、
工場跡で野良猫に銃口を向けた時だったか。

「危なかったな。
 もう少し俺の頭がボンヤリしてたら、
 手元が狂ってアンタに当てたかもしれねェ。
 ハッハッハッ」

「ま、もし間違えて当たってたとしても問題はねえさ。
 この弾は『生物』には『無害』だからよ」

    ス ゥ ッ

「――――『こんな風』になァ」

           ガァァァァァ――――――ンッ!!

銃口を『自分のこめかみ』に押し当て、
躊躇する事なく引き金を引く。
再度の銃声が鳴り響き、
発射された銃弾が頭にブチ込まれた。
その行動は、紛れもなく『拳銃自殺』のそれだ。

        グラリ

              ド サ ァ ッ

右手にスタンドを握ったまま、ゆっくりと前のめりに倒れる。
『偽死弾』は文字通り『偽りの死』を与える弾丸。
傷一つ負う事はない代わりに、
この上なくリアルな『死の幻想』を与える。
客観的に見ても、
『本物』と遜色ない『リアリティ』を感じさせるだろう。
ちなみに、選択したのは『銃殺』だ。

929三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 18:33:09
>>928

「ハハハ・・・・笑い事じゃないねぇ
 まったく、酔っ払いに『拳銃』なんて持たせてたら、命がいくつあっても・・・?」

不可解な動きをする花菱の挙動を見る
まるで『ロシアンルーレット』や『自決』のような体勢・・・・

  おいおいおいおいちょっと待ってくれよ
  もしかして、酔いがまだ残ってんじゃあないだろうね―――

「・・・・・ッ! 『ブラック・アンド・ホワイト』!」

急ぎ、スタンドを出してその『蛮行』を止めようとするが・・・・ッ

>「――――『こんな風』になァ」

>           ガァァァァァ――――――ンッ!!

―――間に合わない
周囲の人々は急に倒れた花菱に一瞬だけ視線を向けるが、
酔っ払いが倒れただけだと判断し、すぐに自分の歩みに戻っていく

「花菱くん! 花菱くん!? なんて馬鹿な事を――ッ!」

酔っぱらって拳銃自殺なんて『ダーウィン賞』モノの大まぬけだ
倒れた花菱を抱きかかえて傷口を見る

930花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 20:37:40
>>929

ついさっき、『弾丸』は確かに、空き缶に風穴を開けていた。
その弾が命中したにも関わらず、
『傷』は何処にも存在していない。
やがて、億劫そうに体を起こして立ち上がる。

「なァに…………大騒ぎするような事じゃあねえさ。
 ちょっと『刺激的な夢』を見てただけだからよォ」

「『モーニングコーヒー』みたいなもんだ。
 『目覚めの一発』ってヤツか?
 『夢』なのに『目覚め』ってのもおかしいが、
 お陰でアタマん中がスッキリしたぜ」

「俺の銃は『ロシアンルーレット』だ。
 六発中『五発』が『外れ』で『一発』が『当たり』。
 『外れ』は『死ぬ幻』を見せるだけで、実害はねえのさ」

「もし『当たり』を引いてたら、そのまま『逝っちまう』けどよ。
 生憎さっきのは『外れ』だったぜ。
 まぁ、ここで死んじまったら、
 二度と『スリル』を味わえなくなるからなァ。
 ハッハッハッハッハッ!!」

「それを引いても、十分すぎる程の『スリル』があるぜ。
 俺はコイツが病み付きでよ。色んな『死に方』を試してる。
 最高にブッ飛べるぜ。
 三刀屋さんよォ、良かったら『一発』試してみねェか?」

「冗談だ冗談。ハハハハハ!!」

『偽りの死』から生還し、高らかに笑う。
花菱蓮華は『スリル』を愛している。
『ロシアンルーレット』のスタンド――
『スウィート・ダーウィン』が発現した原因も、
その辺りにあるのだろう。

931三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 21:07:58
>>930

「ハハハ・・・なるほど、弾が当たった相手に幻を見せるのが君のスタ・・・」

花菱の能力の話を聞く、外れが5発
当たりが・・・・『1発』

「ちょっと待ってくれよ、それじゃあさっきの『1発』
 もしも、『当たり』だったらそのまま死んでたって事かい?
 こんな路上で?」

ゾッと血の気が引く
危険な男だとは思っていたが、まさかここまで危ないヤツとは

「・・・・しかし、いや、だからこそか
 危険な男だからこそ、魅力的に映るかもしれないね・・・」

>三刀屋さんよォ、良かったら『一発』試してみねェか?

「フ・・・フフフ・・・・・面白いね
 君がそうして『一芸』を披露してくれたんだ
 僕も少しくらいは『覚悟』を決めてみようかな」

「貸してくれるかい?」

  ドドドドドド・・・・・

『ブラック・アンド・ホワイト』が前に出る
右手を出し、『スウィート・ダーウィン』を貸すように手を伸ばしている

932花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 21:34:15
>>931

「ハハハッ、そういうこった。
 もし『当たり』だったら、今頃ここら辺は『血の海』よ。
 だが、『六分の一』ってのは、
 当たりそうに見えて意外に当たらねえもんだ。
 たまたま今日は『ツイてなかった』のかもしれんけどよォ」

進み出た『ブラック・アンド・ホワイト』を眺める。
それから『スウィート・ダーウィン』に視線を移す。
口元には、笑みが浮かんでいた。

「おいおい。いくらネジが少しばかり緩んでたって、
 自分の『得物』を簡単に貸す程マヌケじゃあねえさ」

「と言いたいトコだが…………ま、好きにしなよ。
 言い出したのは俺だしよ。
 それに何でか知らねえが、今は『そういう気分』なんでなァ」

      スッ

           「――――ほらよ」

右手を伸ばした『ブラック・アンド・ホワイト』に、
『スウィート・ダーウィン』が差し出された。
悪人には見えないとはいえ、
他人に自分のスタンドを貸すという行為には、
大きな『危険』を感じる。
しかし、そこに『スリル』を覚えていたのも、また事実だった。

933三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 21:57:22
>>932
「・・・・ありがとう」

『スウィート・ダーウィン』を受け取り、感触を確かめる
リボルバー拳銃のようだ 弾数は『5発』残っているらしい
『5発』の中に・・・・・『当たり』が『1発』

    ・・・ゴクリ

「それじゃあ、よく見ていてくれよ
 僕の―――――――    一芸を!」

大袈裟な動作で『ブラック・アンド・ホワイト』が銃を自らの頭に向ける
先ほどの花菱と同じ、『ロシアンルーレット』の体勢

    ・・・グッ

さらに、左手を撃鉄に被せる
今から行うパフォーマンスを花菱に見せつけるように、視線を頭に誘導する

「『ブラック・アンド・ホワイト』ッ!!」

  カッ
      ダダダダダァ―――――ンッ!

―――――『ファニング』!!
引き金を絞り、撃鉄を連続で起こす事で銃を連射する技術だ!
『ブラック・アンド・ホワイト』はそれを『5連射』で行った!
『当たり』を引く確率は・・・・・・『100%』!

  カラァ――――ン・・・

『ブラック・アンド・ホワイト』の腕が力なく下がり、『スウィート・ダーウィン』を落とす
その頭には『5発』の銃創が空いていた・・・・・

934花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 22:20:27
>>933

「へへへ、じっくり見さしてもらおうじゃねえか。
 『何をする気か』は知らねえけどよォ」

腕を組み、三刀屋と『ブラック・アンド・ホワイト』を見つめる。
残り五発――確率は『五分の一』だ。
逆に言えば、『五発』撃てば必ず『当たる』。

「なッ!!なにィィィ――――――ッ!?」

「ブッ飛んでやがる……。『やりやがった』……!!」

予想外の行動に驚きを隠せない。
しばし呆気に取られ、
頭をブチ抜かれた『ブラック・アンド・ホワイト』を凝視する。
それから思い出したかのように、
『スウィート・ダーウィン』を拾い上げるために手を伸ばした。

「………………ん?」

『スウィート・ダーウィン』を拾う際、地面を見た。
『当たり』を引いたなら、そこは『血の海』になっている筈だ。
しかし、そのような様子が見られない。

「ハ、ハハハハハ…………!!」

「おもしれえじゃあねえか。コイツは、どんな『トリック』だ?
 是非とも教えてもらいたいもんだなァ」

「なぁ、三刀屋さんよォ?」

935三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 22:31:36
>>934
「フ・・・フフフ・・・」

  ドドドドドドド・・・・

『スウィート・ダーウィン』の『銃弾』は確かに『B&W』の頭を撃ち抜いた
スタンドが受けたダメージはスタンド使いに返る
その原則が働けば、三刀屋はこの場で血を流し、『即死』しているはずだ

三刀屋の口元から笑い声が漏れる・・・・

「ハハハハ・・・・君があんまりにも凄い事をするものだからねぇ
 年甲斐もなく、派手なことをしてしまったよ」

三刀屋の頭には傷一つ無い
そして、『B&W』もまた・・・・先ほどまで空いていたはずの『銃創』がなくなっている

花菱は地面に落ちた『スウィート・ダーウィン』を拾い上げる時
地面に『正方形のコマ』が見えるかもしれない
それはゆっくりと薄れていき、最後には消滅してしまうが

「『トリック』は秘密だよ
 ただ一つ言えることは・・・・僕は別に命を賭けたわけじゃないって事だけさ」

命懸けのギャンブルなんて恐ろしくてとてもとても、と小声で呟く

936花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/10/06(火) 23:04:58
>>935

(『コイツ』は……?
 大方これがトリックの『正体』なんだろうが……)

地面に残っていた『コマ』を視認する。
実際の所、『それが何なのか』までは分からない。
しかし、『能力の一端』である事だけは理解した。

「まぁ、深くは聞かねえさ。
 俺の方は俺が勝手に喋っただけだからな。
 それに、タネの割れちまった手品ほど、
 退屈なもんはないっていうしよォ」

     ニヤリ

「だが、気に入ったぜ。
 パフォーマンスを返してくる事といい派手にやる所といい、
 こいつは俺好みの趣向だ」

「ハッハッハッ!アンタとは、なかなか気が合いそうだ。
 なぁ、三刀屋さんよ。そう思わねえか?」

「せっかくだ。どっかで飲み直そうじゃあねえか。
 酔いも冷めちまったしよォ。今日はトコトン付き合うぜ」

       ポンッ

晴れやかに笑いながら、三刀屋の肩を叩く。
先程までは『酔っ払いの勘違い』だった。
だが、どうやら本当の意味で『友人の一人』になりそうだ。

937三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/10/06(火) 23:24:02
>>936

 にやっ

ニヤリとした花菱の笑いに対して、こちらもにやっと笑いを返す
学生時代に悪友と交わした笑いと同じく、『悪戯心の共有』を示すものだ

「君の方こそ、マジにヤバイその感性は僕も気に入ったよ
 これも何かの縁だ! ちょっとその辺で飲み直そうじゃないか、花菱くん」

ハハハと笑いながら改めて肩を組む
いきなり『拳銃』を出すヤバイヤツだが、凄い面白いヤツだ

近くの飲み屋に入り、空が白むまで話し続けた

938ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/12(月) 22:37:30
「しゃいせぇ」

道端に布を敷き、そこに金髪の子供が座り込んでいた。
傍らには大き目のリュック、布の上には石ころが置かれている。

「しゃいせしゃいせえぁ」

939ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/12(月) 22:56:36
>>938

「何あれ。変なの」

奇妙な声を聞き、一人の少女が足を止めた。
年齢は五歳くらいだ。
プラチナブロンドの髪とエメラルドグリーンの瞳。
私立幼稚園の制服を着ている。
両手で、大きな『テディベア』を抱えていた。

「石コロなんか並べて何してるの?
 『おままごと』にしたって、
 もっとマシな道具を使えばいいのに」

       スイッ

そう言いながら、布の前に『座る』。
当然、そこに『椅子』など存在しない筈だ。
それなのに、少女は『座っている』。
両足が完全に地面から離れているのだ。
よく見ると、『半透明の椅子』が見えるだろう。

「――で、何なの『コレ』は?」

『半透明の椅子』に座ったまま、『石』を指差す。
そして、ゆったりと足を組む。
膝の上にはテディベアが乗っている。

940ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/12(月) 23:12:09
>>939

「しゃいせ……」


よくわからない声が途中で止まり、
子供は小さな……自分より小さな来訪者をぱちくりと見た。


「お、おおう。
 きれいな石を売っておる。
 ……?」


金髪の子供はどこか上の空な言葉を返した。
体を傾けて覗き込むは、少女の尻……というか、地面と体の間の空間。
何も無い、何か(椅子)があるべき場所を不思議そうに見る。

並べられた石は、言われてみれば、赤かったり緑がかっていたり、つるつるしていたり、
無作為に拾った適当なものではなく、一応、きれいな石を厳選したと呼べそうなものだった。

941ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/12(月) 23:37:13
>>940

「……あなた、どこを見てるのよ。失礼でしょ。
 『マナー』がなってないわ」

「まぁ、わたしは器が大きいから許してあげるわ。
 感謝していいわよ」

「これは『わたし専用の椅子』なの。
 わたしだけが座れる、わたしのためだけにある『椅子』」

覗き込まれながら、『半透明の肘掛』に片肘をつく。
体は小さいが、態度がデカい。
もっとも、今この場にいるのは『幼い子供だけ』なのだが。

「これが『売り物』?面白いじゃない」

        フッ

「で――――『値段』は?」

軽く鼻で笑いながら、石を端から順番に眺める。
『売ってる』という言葉を本気にはしていない。
せいぜい『お店屋さんごっこ』程度だろうと思っていた。

942ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/12(月) 23:53:48
>>941

「ぬう。
 あの……透明な傘みたいなものというわけか?」


目を凝らして見て、かすかに空気が歪んで見える『椅子』の存在に、
本当に何も無いわけではないとひとまず納得したらしい。
透明素材の例えとして思い浮かんだのは安いビニール傘であったが。


「値段は……お嬢ちゃんの気持ち次第じゃ。
 物々交換での。
 良いと思ったものを交換してくれればよい」


石は模様が入った物や、穴だらけの物など、きれいとは言い難いものもある。
珍しそうな石も置いてあるらしい。
一番綺麗なのは半透明で水色の平べったいものだろうか。

943ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 00:12:53
>>942

「ふーん、『ギブ・アンド・テイク』って事ね。
 『おもちゃのお金』を使うよりは現実味があるじゃない」

       スッ

「――じゃあ、それをもらうわ」

指差したのは『半透明の石』だった。
特に意味はない。
強いて言うなら、
何となく『オンリー・ガール』と似た感じがしたからだ。

「『料金』は…………」

       ゴソ

「『これ』よ」

ポケットから取り出したのは『シルクのハンカチ』だ。
金糸の縁取りが施されており、高級感がある。
手触りもいい。
事実、『高級品』だった。
惜しげもなく、それを手渡す。

944ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 00:25:49
>>943

それは……売っている子供も知らなかったが、石ではなかった。
シーグラスという、波で洗われ、カドが取れ曇りガラスになったもの。
つまり鉱物ではなくただのガラス片である。
まあ実際、見た目は結構キレイだ。


「おお。マイドアリじゃ」


シーグラスが渡される……途中で手が止まった。


「なんか良さそうな布じゃな……いちおう、聞いておくが……
 勝手に『交換』して飼い主に怒られりせんか?」

945ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 00:50:14
>>944

『椅子』に座ったまま、シーグラスを受け取った。
日の光に透かしてみる。
そこで、見た目や質感から石ではない事に気付く。

「…………『ガラス』?
 『石』じゃないわ、これ。
 ガラスならガラスって言っておかないと、
 『クレーム』がついて訴えられても知らないわよ。
 『ビジネス』なら注意しないと」

「――でも、『キレイ』だからいいわ」

「同じハンカチは、あと『七枚』持ってるの。
 だから、一つぐらいあげたって構わないのよ」

         フフン

「だけど、おかしな冗談を言うのは止めなさいよね。
 『飼い主』だなんてバカバカしい。
 『人身売買』は犯罪だって事ぐらい、
 幼稚園児でも知ってるわ」

『交換』に関しては問題ないようだ。
とはいえ、この謎の相手の事情は全く知らない。
そのため、『飼い主』うんぬんは、
タチの悪い冗談だと思って聞き流していた。

「でも、この辺りは『治安』が良くないから、
 気を付けた方がいいわよ。
 もしかしたら『児童誘拐』なんて事もあるかもしれないし」

「わたしは平気だけど」

          フンッ

何しろ、『悪の首領』や『危険な刺客』がいるのだ。
そいつらは別として、小さな子供を狙う犯罪者もいるだろう。
もし出てきたら、軽くやっつけてやるつもりでいた。

946ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 01:01:45
>>945

「ガラスは石ではないのか?」


石とガラスの違いがわからないらしい。
そもそもシーグラスがガラスであるということがわかっていなかった。
子供なので仕方ない。
むしろ目の前の幼稚園児が賢過ぎた。


「金持ちということか」


ともあれ、シルクのハンカチとシーグラスが『交換』される。
傍から見ればまさにおままごとだろう。
通行人のお姉さんが微笑ましそうにクスクスと漏らしながら通り過ぎて行った。


「ううむ。よくわからんが……ようちえんじは賢いのう。
 ようちえんに通っておるからか。
 じゃが、わしより小さいではないか。
 賢いとちあんが悪いのも平気なのか?」

947ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 01:22:18
>>946

「このぐらい『常識』よ。
 役に立つから、あなたも覚えときなさい」

「そうよ、わたしは『名門』の幼稚園に通ってるの。
 『バレエ』も習ってるわ。
 フフ、才能があるって言われてるのよ」

            オンリー・ガール
「だって、わたしには『唯一無二』があるもの。
 だから、どんなヤツが来てもへっちゃらよ」

          スゥッ

そう言って、『椅子』から立ち上がる。
同時に、『半透明の椅子』が『半透明の人型』に『変形』した。
空間が歪んで人の形を成したような、
奇妙なヴィジョンだった。

「『オンリー・ガール』はとっても強いから、
 どんな相手でも絶対負けないわ。
 もちろん、わたしも賢いし。フフッ」

「この前、『危ないヤツら』に出会ったけど、その時も……。
 軽く…………。
 軽く…………『かわせた』し…………」

それまで饒舌だったが、やや口ごもる。
あれは、さすがに『勝てた』とは言えない。
だからといって『負けた』と口にするのは、もっとイヤだった。

「『サオ』と『アキハ』っていうヤツらよ。
 そいつらは、わたしをくすぐったり湖に突き落としたの。
 あなたも気を付けなさい」

『冤罪』だが、それをダイアナは知らない。
あの二人は『ブラックリスト入り』。
いずれ倒すべき相手だと認識しているのだ。

948ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 01:40:25
>>947

「バレェ……?
 ぬわっ、なんじゃなんじゃ」


バレエという聞き慣れない単語に首を傾げたが、次の瞬間、
いきなり変形した『椅子』に驚く。


「オバケ……?
 なにか妙な子じゃなと思っておったが、
 おぬしまさか、あやかしの類か?」

「アキハ……そういえばユーレイと一緒にいた女子がそんな名前だった気がするのう。
 あやつらとケンカしておるのか?
 オバケの縄張り争い?」


名前だけでは思い出せなかったかもしれないが、
『半透明の人型(オンリーガール)』が刺激となって、幽霊繋がりで記憶が蘇った。


「う、うむ。
 そういえばアキハはわしの家に来ようとして警邏に追われておったな。
 気を付けた方がよさそうじゃ」

949ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 02:07:46
>>948

「あなたの方がよっぽど妙でしょ。
 さっきから変な事ばかり言ってて、まるで常識がないし……」

「誰が『お化け』ですって?わたしは『ダイアナ』よ。
 全く、『飼い主』だの『お化け』だの……。
 ホントにおかしな子ね」

「――あいつを知ってるのね!
 そうよ、そいつも『スタンド』を持ってたわ」

思わず説教しそうになったが、
『アキハ』を知っているとなれば別だ。
敵を知り己を知れば百戦あやうからず。
『敵の情報』は多いに越した事はないのだ。

「『警邏』?『警察』って事?
 ふぅ、あなたと話してると通訳になった気分ね……」

「でも、警察に追われてただなんて……。
 もう言い逃れは出来ないわね!」

警察にまで追われているとなれば、
かなりの『大物』なのだろう。
やはり、やっつけなければいけない。
ダイアナは『決意』を新たにするのだった。

950ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 02:22:21
>>949

「うむ……わしは学校に行っておらんからな……
 もちろんようちえんにも行ったことはない。
 常識知らずと言われれば否定は出来んかもしれん」

「ここの言葉もテレビで覚えたからの……あと爺」


おかしな子と言われ、素直に認める。
自分が変である事に自覚が無いわけではないらしく、引け目もあるようだ。


「すたんど。うーむ、アキハのシュゴレーとかいう……
 エドサンズサンもそういえばそんな事を言っておったかもしれん。
 とはいえ、すまぬが道端で出会いちと話をしただけで、
 特に何を知っておるというわけではないんじゃ」

「そうか……アキハは悪いやつじゃったか……
 お嬢ちゃんは幼く見えるが……ようちえんじじゃから幼いのか?
 すたんどとかいうのもいるようじゃし、戦うというのならば応援するぞ」

「とはいえわしに何ができるわけではないが……」

951ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 02:38:37
>>950

「学校に行ってないの?
 道理で変な事ばかり言ってると思ったわ」

「でも、学校に行った事がないんじゃ仕方ないわね。
 それは、あなたの責任じゃないから、
 気にしなくてもいいわよ」

上から目線の言い方だが、一応は気を遣ったらしい。
この年頃の子供が学校に行ってないとなると、
不審に思うのが普通の感覚だ。
しかし、ませているとはいえ所詮は『五歳』なので、
そこまでは頭が回らなかった。

「まぁ、いいわ。
 そう簡単に何か分かるとは思ってなかったし」

「そう、『スタンド』。これは『スタンド』っていうの。
 応援?でも、『スタンド使い』じゃないと…………」

そこで気付いた。
『サンズサン』が見えたという事は、
この子も『スタンド使い』だと。
実体化している『オンリー・ガール』は誰にでも見えるので、
気付くのが遅れた。

「あなたも『スタンド使い』だったのね!
 わたしは『道具屋』っていう人にもらったのよ。
 あなたは?」

952ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 02:52:23
>>951

「わしも?
 わしは別にオバケは憑いておらんが……。
 そういえば爺が死んで、ふらふらしておった時に、
 どっかの店に入って、それから『交換』が出来るようになったんじゃったか」


『ベター・ビリーブ・イット』はヴィジョンが無い。
そのため、今までオバケと認識していたスタンドと繋がらなかったのだろう。


「こういう、今まで『交換』したものを何回でも『交換』できるっていう特技なんじゃが」


置いてあった石ころを摘まむと、一瞬にして石がクッキーに置換される。

953ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 03:08:23
>>952

「――――えッ!?」

「『石ころ』が『クッキー』に変わる様子を、
驚愕の眼差しで見つめる。
ヴィジョンがない事も相まって、
余計と不思議に見えたのだろう。
しばらく『クッキー』を眺めていたが、やがて気を取り直す。

「ふ……ふぅん。な、なかなかスゴい『能力』じゃない。
 フフン、誉めてあげるわ」

「わたしの『オンリー・ガール』は『隠れる』のが得意なの。
 たとえば、こんな風にね」

         ドシュッ

『半透明のスタンド』が動く。
『テディベア』に飛び込み、同化するように消えた。
人間以上の素早さだ。

「こんな事だって出来るのよ。フフフッ」

        ズギュンッ

テディベアの胴体から、『半透明の腕』が飛び出す。
貫通しているように見えるが、穴は開いていない。
『能力』を見せたのは、自慢したかったからと、
驚かされて終わるのはイヤだったからだ。

954ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 03:17:43
>>953

「おお……オバケっぽいのう」


感心したように言う。
物体をすり抜ける姿は確かに幽霊っぽい。
半透明だからなおさらだ。


「アキハ嬢のエドサンズサンは喋っておったが、
 おんりーがーる?は喋らんのか?」


値引きシールが貼られた包装を剥いて、クッキーを齧りながら、
『オンリーガール』にそっと触れようとしてみる。

955ダイアナ『オンリー・ガール』:2020/10/13(火) 03:36:27
>>954

「フフン、スゴいでしょ。
 まぁ、あなたのもスゴかったのは認めてあげるわ」

『オンリー・ガール』のヴィジョンは『酸素』で構成されている。
テディベアから突き出た『腕』に触れると、
柔らかい感触があった。
ちょうど空気の詰まった浮き輪のような感じだ。

「そういえば『サンズサン』は喋ってたわね。
 自分で考えたり出来るのかもしれないわ」

「『オンリー・ガール』は喋らないけど『握手』は出来るわよ」

「はい、『握手』」

         ガシッ

『半透明の腕』が『握手』をしてきた。
腕を掴んで、軽く上下に振ってくる。
そうしてから、また手を離した。

「わたし、そろそろ帰るわね。
 『社会見学』しようと思って来たら、
 『もっといいもの』に出会えたわ。
 あなたとは年も近いし、なかなかいい友達になれそう」

「また、どこかで会いましょうね」

         トッ トッ トッ

『オンリー・ガール』をテディベアの中に引っ込め、歩き出す。
『スタンド使いの味方』を作る事が出来たのは、
有益な出会いだった。
ダイアナは、上機嫌でその場を後にする……。

956ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2020/10/13(火) 03:44:11
>>955

「お、おおう」


空気の塊と握手している不思議な感覚に戸惑う。


「うむ、ではの」


『スタンド使い』そして自覚。
そういう意味ではこちらにとっても得るものが多い有意義な時間だった。


「ありっとござっしゃー」


去るダイアナの背によくわからない声で別れを告げた。
ちなみに「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」がコンビニ店員の間で訛り、
略された言葉をさらにうろ覚えにしたものであった。

957ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/10/13(火) 23:19:46
はぁい。まゆよ。
良い夜ね。人もまばらになってきたし。涼しいし。

 「うぷッ」

ゲロゲロゲロゲロ―――――っ

わたしは電柱の脇でゲロゲロしてるわ。えへへっ。

958比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2020/10/13(火) 23:59:54
>>957

やや離れた位置から、その光景を見つめていた。
見覚えのある姿が視界に入り、ふと足を止めたのだ。
あまり見たい絵面ではなかったが、『面白い場面』ではある。

       ザッ ザッ ザッ

「どうしました?どこか『具合』でも?」

「あぁ、いやいや――――」

「誰かと思えば、あの『有名』なラフィーノさんじゃありませんか。
 まさか、こんな所でお会い出来るとは…………」

ゆえに声を掛ける事にしたのだ。
知らない人間ではないし、挨拶程度はしておいてもいいだろう。
何より、彼女は見ていて『面白い』。

959ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/10/14(水) 00:44:54
>>958

「おや……」

聞き覚えのあるような男の声に、振り返る。
目を細めて顔を見る。

 「……」


「え゛ええー!!あ゛たしのこと知ってんのォ〜〜〜!」
「えへ、照れちゃうな゛ァ〜〜〜!!!!」

知り合いにこんなのいたっけ。わかんねーや頭ぐるぐるしてるし。
イエーーーイ。

「ごめんねェ〜〜『こんな所』でねェ〜〜!!」
「あたしのねェ〜『事務所』がそばにあってねェ〜
 『こぉぉ〜〜〜んな、所』だけどね゛ェ〜〜」

「具合ぃ?平気よ平気。ちょっと飲み過ぎただけェ〜〜!」

960比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2020/10/14(水) 01:09:17
>>959

「ええ、それはもう。
 『人気占い師』の『ラフィーノ石繭』さんでしょう?
 よく当たるという評判を聞いていたもので、
 私も一度お会いしたいと思っていましたよ」

初対面ではないのだが、ここは話を合わせる事にした。
今の状態で思い出されると、
色々と面倒な事になるかもしれない。
赤の他人のフリをしていた方が何かと楽だ。

(…………しかし、あなたも『一応』プロでしょう。
 占いは『インチキ』とはいえ、こんな姿を見られた日には、
 『神秘』も何もあったもんじゃあない)

(もう少し気を引き締めておくべきですよ、石繭さん)

「『事務所』は、お近くですか?
 だいぶ酔っておられるようですし、もし宜しければ、
 そこまでお送りして差し上げますよ」

(せっかく私が『宣伝』しているのですからね)

961名無しは星を見ていたい:2020/10/14(水) 01:35:13
>>960
 「ありがとう〜〜!まゆ嬉しい〜〜っ」

 「やだァ〜!『お送り』なんて紳士ぃ〜!」
「おニーさんったらお顔もイケメン〜〜!かっこいい〜〜!」 

目の前のオトコの頬を人差し指でつついしたりしてみる。

  ツン ツン

 「……アハハハハハ!!」(爆笑している)

 「そうなのよぉ〜『事務所』がここの近くにあってねぇ〜!」
 「事務所?っていうーか『占いの館』なんだけどねェ〜〜〜」」


 「送るならさァ〜〜〜事務所とか言わずに〜〜〜」
 「夜の街よ?オトコと酔っぱらったオンナよ?」

目の前のオトコの頬をつまんで引き延ばしてみたりする。

   グニグニ

 「……アハハハハハハハ!!!ハハハ!」(爆笑。何が可笑しいのかはわからない。)

962ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/10/14(水) 01:36:30
>>961(名前欄入れ忘れてました!)

963比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2020/10/14(水) 02:03:31
>>961

「いえいえ、人を助けるのは当然の事です。
 それに、他ならぬラフィーノさんですからね」

        クルッ

「それでは行きましょうか。
 ええと、『案内』して頂けますか?その『占いの館』へ」

言葉を掛けている間に、やたらと顔を突っつかれる。
通りがかったのが自分だったのは、
彼女にとって幸運だったのだろうと思う。
相手によっては、とんだ『スキャンダル』になっている所だ。

(何といいますか…………
 自分の『品位』を落とすような言動は慎んで欲しいですね。
 もし、それでお客が来なくなったら、どうするつもりですか)

(まぁ、普段から多少『漏れては』いますが…………)

そうこうしていると、何か『不穏な台詞』を吐き始めた。
さっさと『占いの館』とやらへ連れて行った方が良さそうだ。
誰かに見られでもしたら、本当に評判が失墜しかねない。
そうなっては困る。
彼女に客を『紹介』するという、
自分の『楽しみ』が一つ減ってしまうからだ。
それとは別に、あまり長く一緒にいるのは、
こちらとしても都合が悪いというのもある。
自分にも『体裁』や『面子』という、
厄介な代物があるのだから。

964ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/10/14(水) 03:11:59
>>963
「そう゛なのよォ〜すぐ行ったところに私の事務所があってね゛〜!」
「しょうがないなァ゛〜〜〜 案内しちゃるわ!ついて来ぉい!!」

雀荘。インドカレー屋。不動産屋。
いちいち指さしてみて「ここ………じゃない!」
ってやってみる、エヘヘへたのしいたのしい。


「ここ……………の、2階!
 むかしは金貸しの事務所とかだったらしいわよ。わたしが学生のころ。」
「でも、今はわたしの『占いの館』!ガ゛ーッハハハハハ!!」

雑居ビルの階段に足をかける。
【En la steloj 〜エンラステロイ〜 】と書かれた黒い看板。
壁の張り紙に【占いの館】【運命視ます】
【パワーストーン】【話題沸騰中!】などの文字が躍っている。
神妙な顔の『ラフィーノ石繭』の写真もある。

965比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2020/10/14(水) 03:39:19
>>964

「――――ああ、『そっちじゃあない』んですね」

        ザッ ザッ ザッ

指差す彼女に向けて、適当な相槌を打ちながら歩く。
言われずとも違うのは分かる。
麻雀屋だのカレー屋だの不動産屋だの、
そんな所に『占いの館』があったら雰囲気が台無しだ。

「ははぁ、『金融業者』が入居していた訳ですか。
 『現実主義の権化』のような事務所が、
 今では謎に包まれた『神秘の館』に変わった訳ですね」

(『金貸し』の後釜が『偽占い師』とは…………)
 
(…………妙に『納得』出来る節がありますね)

どんな金貸しが入っていたか知らないが、
恐らくロクなものではないだろう。
その後に出来たのが、インチキ占い師の事務所。
『胡散臭さ』で言えば、どちらも似たようなものだ。
相応しいといえば相応しい場所なのかもしれない。
『ある意味』で。

「足元に気を付けて下さい。
 落ちて頭でも打ったら大変ですから」

耳に入るかどうかは定かではないが、
念の為に注意は促しておく。
『酔っ払いが階段を上がる』というのは、
傍から見ても危なっかしい。
『万一』の場合を考えながら、
彼女の後ろから二階に上っていく。

966ラフィーノ石繭『ミスティカル・ガイド』:2020/10/14(水) 23:49:16
>>965
まあ慣れ親しんだ階段だもの。転んだりなんかしないわ。

 「おっとっとぉ〜〜〜〜」 グラッ

 「…なんちゃってェ〜〜〜!」
 「心配したぁ〜???アハハハハハハハ」
  
 「っと、ここ。ここが私の『神秘の館』!」

玉ガラス、幾何学模様が編まれた布、よくわかんねー不気味な顔の人形、
それっぽいアイテムがびっしりと下がった、壁。
脇に『インターホン』と【CLOSED】の看板で、辛うじて『ドア』だって分かるよね。

 「ハハハハハ すごいでしょ!」
 「ドアノブの位置が分かんなくなっちゃうんだよ〜〜〜!」

 「………入る?」

967比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2020/10/15(木) 00:21:42
>>966

       サッ

傾く体を見て、咄嗟に両手で支えようとした。
一瞬の後、それが『杞憂』であった事を理解する。
泥酔してはいるが、案外しっかりしているのかもしれない。

「ええ、驚きましたよ。しかし、何事もなくて安心しました」

             ニコ

(…………心配するべきではなかったようですね)

内心、ここで足を踏み外せば面白いと思った。
だからといって、
引っ張って落としてやろうなどとは考えていないが。
『嘘』は吐くが、他人に危害を加えるような真似はしない。
だが、考えるぐらいはしてもいいだろう。
思うだけなら罪にはならないという事だ。

「いえ、『閉店中』にお邪魔するのは申し訳ありません。
 私は、これでお暇しましょう。
 時間のある時に、改めて占って頂きに参りますので」

(さて、思い出される前に退散するとしますか)

        スッ

「――――それでは」

帽子を持ち上げて一礼し、再び被り直す。
それから、『占いの館』の階段を下りていく。
雑居ビルの前まで下りてから、妙な『疲れ』を感じて、
深い溜め息を一つ吐いた。

968御影憂『ナハトワハト』:2020/10/31(土) 00:38:38

         ザッ ザッ

女が歩いている。
背中まで届く程の長い黒髪。
対照的に、身に纏う衣服は白を基調とした装いだった。

         ザッ ザッ

女は歩き続け、一本の暗い小路に入っていく。
表通りを照らす明かりも、ここまでは届かない。
頭上に浮かぶ細い三日月だけが唯一の光源だ。

          ピタ

暗闇の中で、女が足を止めた。
そして、ゆっくりと背後を振り返る。
ささやかな『期待』を込めて。

969御影憂『ナハトワハト』:2020/11/01(日) 22:00:01
>>968

      ズギュンッ

振り向いた女が『帽子』と『外套』を身に纏う。
夜のように暗い色。
次の瞬間、女の姿は音もなく闇に溶け消えていった――――。

970桐谷研吾『一般人』:2020/11/24(火) 22:37:12

「確か……『この辺り』だったかな……」

薄暗い路地裏に若い男が立っていた。
紺色の制服と帽子を身に着けている。
『警察官』のようだ。

(以前、ここで『不思議な現象』に遭遇した)

だいぶ前の話になる。
最初は単なる喧嘩だと思った。
仲裁しようと止めに入った時、
『見えない何か』に吹き飛ばれたのだ。
辛うじて分かったのは、『何かがある』事だけだった。
自分には感じ取る事の出来ない『何か』が。

(『トリック』、『魔法』、『超能力』)

(『人知を超えた力』……か)

手掛かりを求めて、この現場を調べていた時、
偶然『一人の少女』に出会った事がある。
(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647686/379-386)
彼女には、何処か意味ありげな雰囲気が漂っていた。
もしかすると、何かを知っていたのかもしれない。
深く追求すれば、手掛かりが得られた可能性はあるが、
僕は追わない事を選んだ。
今にして思えば、それは失敗だったのだろうか。

「ふぅ……」

ため息をつき、辺りを見渡す。
期待などしていない。
単なる無意識の行動に過ぎなかった。

971桐谷研吾『一般人』:2020/11/26(木) 18:54:20
>>970

「……戻るか」

ここにいても何もない。
踵を返して『現場』に背を向ける。
その場から立ち去り、表通りに歩き出した。

972御影憂『ナハトワハト』:2020/11/27(金) 19:55:42

深夜の歓楽街。
人工の明かりで満たされた世界は、
夜の帳が下りても光を失う事がない。
同時に、光が届かない『暗闇』も存在する。
その闇の中で、見られる事も気付かれる事もなく、
静かに存在する『影』があった。
『闇に溶ける衣』を身に纏う『御影憂』は、
獲物の『恐怖』を食らうための『狩り』を行う。

        (フフフ…………)

     (フッフッフッフッフッ…………)

先程、今夜の『狩り』を終えてきた所だ。
適当なチンピラの前に姿を見せて路地裏に入り、
下心で追いかけてきた相手に、たっぷりと『恐怖』を与えた。
ほくそ笑んでいた時――――。

             バァァァァァ――――――ッ

      「!」

『ヘッドライト』の明かりが路地を照らす。
暗闇に差し込む光。
それによって、『闇に同化する能力』が失われ、
『ナハトワハト』が強制解除された。

973三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/27(金) 21:11:41
>>972

同じ頃、その路地裏には一人の男が歩いていた
スーツを着た壮年の男だ、両手でカメラを持ち、うろうろと徘徊している
『水商売』の悪質な追っかけか? はたまた何らかの『調査機構』か?
いや違う

「まったく・・・・困るよねぇ、こんな時間に
 昼間に撮っても夜に撮っても、大した違いなんてないと思うんだけどねぇ、僕は
 まあ、大先生の言う事だから仕方ないけど・・・・」

 パシャッ
           パシャッ!


男はカメラを構えて、周囲の風景を撮影している
肖像権に配慮しているのか、通行人を巻き込むような写真は撮っていなかったのだが・・・

>             バァァァァァ――――――ッ

>      「!」

「えっ?」
            パシャッ!

目の前に突然姿を現した『女性』に驚き、思わずシャッターを切ってしまう
フラッシュの光が『女性』の眼前で炸裂し、ほくそ笑む御影の顔がカメラに残された

974御影憂『ナハトワハト』:2020/11/27(金) 21:56:41
>>973

(『見られた』…………しかも『撮られた』…………)

(…………どうしよっかな)

『車』は通り過ぎた。
もう一度『ナハトワハト』を発現して、
『夜の闇』に消える事も出来る。
しかし、今やると面倒な事になりそうだ。

     グンッ
           ――――バサァッ

パンクロッカーのように頭を大きく振ると、
後ろにやっていた前髪が顔の前に垂れ下がる。
その隙間から、片方の目だけが覗いている。
陰気そうな眼差しが、男の持つカメラに向けられる。
服装は白いワンピース。
『ジャパニーズホラー』のような姿が、闇の中に佇んでいた。

          ス…………

亡霊のように緩やかな足取りで、男に近付く。
どうこうしようという考えはないが、『写真』は不味い。
『処分』させねばならない。

975三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/27(金) 22:17:26
>>974

「さて・・・・今日はまだ飲んでないはずなんだけどねぇ」

目の前に突然出現した『女性』
その正体について自分の中で仮説を立てていく

(見間違え・・・・これが一番可能性が高いかな
 僕の注意力が散漫なせいで通行人のお嬢さんを撮ってしまった・・・・ってのが妥当かな?)

(それとも僕と同じように超能力者・・・・・? まさかね?
 それか・・・・または・・・)

    ブルル・・・!

身体に怖気が走る
目の前に佇む女の雰囲気が変わる
僕に向けて執念の灯った視線を向けるその眼は・・・・

「お、おいおいおいおい・・・・まさか・・・・これは・・・・!?」

己の中で一つの『可能性』が鎌首をもたげる
深夜、人気のない裏路地、謎の現象、陰のある女性・・・・・!

「参ったね・・・・『霊感』はないはずなんだけれど・・・・・!」

『お化け』!
ホラー映画の怪奇存在が目の前にいる!
その『可能性』に至った三刀屋はびびる心を奮い立たせ・・・・


    ・・・・・ズギャンッ!

      ヴィジョン
傍に人型の『 像 』を発現させた!

976御影憂『ナハトワハト』:2020/11/27(金) 22:35:36
>>975

(『スタンド使い』…………)

        (ますますメンドくさい…………)

     ジッ

素知らぬ振りをしながら、
男の傍らに出現した『ヴィジョン』を視認する。
前髪に隠れているために、
その表情はハッキリとは見えない。
こんな場所に立っていると、
確かに『亡霊』と思われてもおかしくない外見だ。

  「『写真』…………」

       ボソッ

   「…………『写真』…………撮った?」

              ボソッ

          「…………消してね」

囁くような声で、『データ消去』を促す。
『ナハトワハト』は直接戦闘には向かない。
力づくでカメラを奪うとか壊すとか、
そういうやり方は難しいのだ。
そもそも、やろうとは思わないが。
ストレートな暴力のように、あまり目立つ事をすると、
『今後の活動』に支障を来たす恐れもある。

977三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/27(金) 23:06:50
>>976

「ハ、ハハハ・・・・『写真』?
『写真』を消せば許してくれるのかな・・・・?」

   ピッ
       ・・・・・ピコッ

「ほら!消したよ!これでどうかな!?」

デジカメに撮影された画像、その中で御影が撮影された画像を選択し、『消去』する
写真が消去された画面を見せて言う

「それとも『お焚き上げ』とかそういうのも必要かな?
 『塩』も『酒』もここにはないよ」

依然、御影の事を『幽霊』だと思っているのだろう
男の口からそんな言葉が飛び出す

978御影憂『ナハトワハト』:2020/11/27(金) 23:24:15
>>977

(見た事ないけど…………)

          ジッ

(…………よく来るのかな)

男を観察しつつ考える。
写真を撮っている理由を知っておきたい。
もし頻繁に来るようなら、
今後は場所を変える必要が出てくるからだ。

「…………『オーケー』」

画面を確認して、軽く頷く。
『証拠』は消せた。
『スタンド使い』に目撃された事は面倒だが、
とりあえずはいいだろう。

        スッ

「…………『何』…………撮ってたの?」

『カメラ』を指差し、尋ねる。
特に珍しいものがあるような場所でもない。
そんな所に、わざわざカメラを持ってやって来た。
まさかとは思うが、『調べに来た』という可能性もなくはない。
夜の歓楽街で、
不良やチンピラが『得体の知れない存在』に遭遇し、
肝を潰されるという『ささやかな事件』を。

979三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/27(金) 23:55:06
>>978

「うん・・・・?」

よくよく観察すると、怖いけど、実体がある
それに話しぶりも如何にも幽霊って感じでもなく、人間らしいカジュアルさを感じる
『幽霊』ではなく、『人間』なのでは・・・・?

『幽霊』でもないのに、突然現れる事が出来る『人間』・・・?
それはつまり・・・・・

「君はもしかして、『スタンド使い』なのかな?」

質問に質問で答える
不良やチンピラに恐怖を与える者がいる、そんな事実は知らないが
幽霊じゃなかったとしても不気味な女性で、街中で能力を気ままに振るっている
警戒するには十分だ

980御影憂『ナハトワハト』:2020/11/28(土) 00:13:28
>>979

「…………そうだけど?」

驚くでも焦るでもなく、いとも呆気なく肯定する。
『例の話』を知らないなら問題ない。
それに、既に疑われている場合、
下手に否定するより認めた方がいいからだ。
やがて、指先が移動する。
『カメラ』から『ブラック・アンド・ホワイト』に向けられる。

「…………『銃』を向けてるのはそっちなんじゃないの?」

「勝手に写真も撮ったし…………『肖像権侵害』…………」

           ボソッ

「次は…………『そっちの番』…………」

        ボソッ

「…………『何撮ってたの?』」

同じ質問を繰り返す。
調べに来た訳ではなさそうだ。
では単なる『偶然』か?

(『ツイてない』…………)

(けど…………)

(『スタンド使いの情報』にはなるかな…………)

981三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/28(土) 00:22:54
>>980

「うーん・・・・それなら少しは気が楽になるねぇ
『幽霊』じゃないなら多分、どうにかなるから」

「まあ、お互いに不幸な衝突があったみたいだ
 僕の方から事情を説明した方がいいかな?」

己のスタンド『ブラック・アンド・ホワイト』の両手を上げ、危害を加えない事をアピール
ただし、スタンドを消すことはしない

「僕はね、ちょっとした仕事の都合でこの辺の『風景』を撮っていたんだよ
 まあ、背景資料ってやつだね? それで路地裏を歩き回りながらパシャパシャとして・・・
 今度は向こうの看板を撮ろうとしたら、急に君が現れたってわけさ」

両手の二本の指で長方形を作り、四角の中に風景を切り抜く
写真を撮るジェスチャーだ

「びっくりして『幽霊』だと思ってしまってね
 それについては純粋に謝るよ」

「それで・・・・君の方はどうなんだい?
 何もないところから急にパッと登場したみたいだけど・・・・
 この辺で何をしていたのかな?」

982御影憂『ナハトワハト』:2020/11/28(土) 00:45:01
>>981

「ふーん…………」

(背景写真……『作家』か何かかな……)

「…………『練習』」

「最近『これ』に気付いたから……ここで練習してた……」

「『暗い場所』じゃないと…………『使えない』…………」

『ナハトワハト』は少々『特殊』なタイプ。
『闇の中』でしか能力を発揮出来ない。
だから、この言葉の半分は嘘だが、もう半分は本当だ。

                         ザッ

               「ほら…………」

             ザッ

  「…………見て」

       グンッ
            ――――バサァッ

少しずつ後ろに下がり、先程とは逆に頭を振り上げる。
それによって前髪が後ろに行き、素顔が見えた。
不気味さは幾らか薄れたが、
陰気な雰囲気はあまり変わっていない。

          シュッ
               バッ

何処からともなく『帽子』と『外套』が現れ、女の体を覆う。
闇のような色で染め抜かれた『ヴィジョン』。
あちこちがボロボロにほつれており、
裾や袖が煙のように揺らめいている。

  フッ――――――

次の瞬間、女の姿が消えた。
夜の闇に溶けたかのように、
完全に『消失』してしまっている。
物音や息遣いもなく、僅かな気配さえも感じ取れない。

983三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/28(土) 01:01:58
>>982

「なるほど、練習ねぇ・・・・」

確かに身についたばかりの技術は練習しないと咄嗟に使えないなぁ、と三刀屋は思う
水泳や自転車なんかも、日常的に使えるようになるにはちょっとした練習が必要だ

「おっと・・・・・これはまたお洒落な『能りょ・・・・・・えっ?」

『外套のヴィジョン』が女の体を覆った次の瞬間
まるで『幽霊』のように女の姿が消えた

「そうか・・・・『暗い所で身を隠す能力』・・・・!
 なかなかカッコいいじゃあないか! いいね!
 忍者みたいでいいと思うよ、僕は!」

言葉とは裏腹に周囲を見渡し警戒を強めながら背を壁に寄せる
彼女の語る『理由』はとても納得がいくものだし、恐らくは大丈夫だとは思うが
手の込んだ演出をする変な強盗の可能性は捨てきれない

ビビりながら、周囲に気を配り、彼女の再出現を待つ

984御影憂『ナハトワハト』:2020/11/28(土) 19:31:26
>>983

    ジィ――――…………ッ

『ナハトワハト』の能力を発動している間、
本体は一切の干渉を受け付けなくなる。
何者であろうと、その存在を察知する事は不可能。
それをいい事に、近寄ったり視点を変えてみたりして、
あらゆる角度から男と『スタンド』を観察していた。

(なんか……あちこちに『四角いの』が……)

               (…………『タイル』?)

外見から得られる情報は、この程度か。
そう思い、姿が消えた位置に戻る。
さも動いていないかのようにしておいてから、
『闇との同化』を解除する。

             ――――――パッ

       「…………どうも」

『帽子』と『外套』を身に纏う姿が再び三刀屋の前に現れた。
とりあえず『強盗』ではなかったようだ。
『変な女』ではあるが。

985三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/28(土) 20:32:36
>>984
普通ではありえない程の距離まで近づいて、男の観察をする御影
スタンドヴィジョンは(能力と関係があるかわからないが)
四角形のパーツを組み合わせた、モノクロなヴィジョンをしている

男の服装は如何にも勤め人という印象のスーツ姿だ
仕事帰りのせいか、それとも男がだらしないせいか
ネクタイはぐでっとした緩みが目立ち、シャツは(アイロンをかけてないのか)細かく皺がある
シンプルな革製のブリーフケースには、漫画キャラのストラップが付いていた

「うわっ!」

      シュババッ!

再び、女性が目の前に現れた瞬間、相当な驚きであったのだろう、
反射的に腕を顔の前に構えて防御態勢を取る


「ハハハ・・・まったく、驚かせないでくれよ
 心臓が止まってしまうじゃないか、驚きのあまりね」

すぅー はぁー とわざとらしく深呼吸をする
数呼吸の後、ふと思いついたように御影に問いかける

「ところで君は、『能力』をこんなに練習して何かやりたい事でもあるのかな?
 や・・・・ 僕は別にこの『能力』を練習した事がないからさ
 熱心に訓練するって事は何か目的があるのかなーって?」

「僕の能力は遠くの物を取りに行ったり、悪ふざけにしか使ったことないからさぁ」

986御影憂『ナハトワハト』:2020/11/28(土) 21:01:35
>>985

男の身なりからは、
あまりキッチリした性格ではない印象を受けた。
油断なく背後を取られないようにしている辺りは、
そこまで抜けている訳ではなさそうだが。
このストラップはただの趣味か?

(とりあえず覚えとこう…………)

「別に…………何もしてない…………。
 そっちが勝手にビビっただけ…………」

男の様子を見ながら、首を傾げてみせる。
手出しはしていない。
『見ていただけ』だ。

「…………『身を守るため』」

「『スタンド使い同士は出会いやすい』って聞いた……。
 『危ないヤツ』もいるらしいし……」

「『いざという時』に…………身を守れた方がいい…………」

危険なスタンド使い。
例えば――――『エクリプス』だ。
正確には『その残り』だが。
そいつらでなくても『スタンド使いの犯罪者』は少なくない。
『自分はそこまでじゃない』と、御影憂は思っている。

987三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/28(土) 21:39:27
>>986

「へぇ・・・ 初耳だね、この超能力を使えるようになってから
 同じような『スタンド使い』によく会うなあと思ってたけど
 そんな法則があったなんてねぇ」

「まあ、幸い僕が会ってきたのはそんなに危険じゃないスタンド使いがほとんど・・・・」

回想する
自分の原稿を燃やすような男は危険じゃないと言えるか?
突然、自分のスタンドでロシアンルーレットを行う男はどうだ?
目の前にいるこの女性は? 危険じゃないと言えるだろうか?

「うん・・・・ まあ、確かに最低限の自己防衛は必要かもね
 でもまあ、君の様に透明人間になる能力があればきっと大丈夫じゃないかな?
 変な奴に襲われても姿を隠せばいいんだしね?」

「僕の方は駄目かもしれないねぇ・・・・」

988御影憂『ナハトワハト』:2020/11/28(土) 21:59:00
>>987

「でも、『明るい』とダメだから…………」

       ボソッ

「『昼間』に会ったら…………『どうしようもない』」

『夜は無敵』の『ナハトワハト』だが『昼は無力』。
逆に言えば、『夜の強さ』は、
『昼』を犠牲にしているからこそ発揮出来るものだ。
御影憂は、自分のスタンドをそのように解釈している。

                    「…………『帰る』」

                ズズズ……

         「気を付けて…………」

      ズズッ……

「『悪ふざけ』は程々に…………」

       ――――フッ

          (…………『お互いに』)

最後の言葉は心の中で呟いたものだ。
再び『能力』を発動させ、『闇』の中に消える。
そして、獣のような俊敏さで路地を駆け抜けていった。

989三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2020/11/28(土) 22:18:55
>>988

「ふむふむ、『暗い所』でしか使えない能力・・・・超能力も万能じゃないんだねぇ」

どうも『スタンド能力』には長所や短所があるらしい
そういえば、今までに遭遇したスタンドも、
本体の近くしか行けないものや条件が揃わないと攻撃できないものなど、
何らかの制限を持つ者たちが多かった

などと、『スタンド能力』についての考察をしていると・・・


「あ、あぁ・・・・ それじゃあね」

不気味な口調で別れを告げながら女性が去っていく
三刀屋はそれを歯切れの悪い言い方で見送った

「うーむ・・・・ なんだか狐にでも化かされたような変な出会いだったなぁ
 まあ、個人の趣味は人それぞれかねぇ・・・・?」

「でもまあ、『面白いネタ』にはなりそうだ
 こういう話が好きそうなのは確か・・・・」

ぶつぶつと独り言を呟きながら、この場から離れていく
後日、周辺地区でならず者達が驚かされる事件の記事を目にしたが
彼がこの出会いをそれと結び付ける事はなかったという・・・

990風歌 鈴音『ダストデビル・ドライヴ』:2020/12/04(金) 09:15:30

ホームレスの『稼ぎ方』は様々ではあるが、風歌の主たるやり方は『廃品回収』である。
主にはアルミニウムを業者に持っていって比喩抜きで小銭に変えるのであるが、たまさかに漁ったゴミの中に「宝」があることがある。
腕時計、ライター、ゲームソフト……不法投棄された粗大ごみに混じった貴金属。その様に換金価値の高いものを持ち込むのは、廃品回収業者ではない。現金買取を行うリサイクルショップだ。
とは言え、異臭を放つホームレスが出す得体の知れぬ出どころの代物を買うリサイクルショップは、多くない。その多くないウチの一つが、星見町の歓楽街、星見横丁にあった。
主には『夜の蝶』達が養分どもから送られた『貢物』を現ナマに変えるリサイクルショップ『星屑拾い』は売り手と買い手を選ばない。
例え血塗れの誰かが品物を持って訪れたとしても、『盗品』である事を公言しなければ善意の第三者として買い取る様な店。だからこその掘り出し物もあるが、故買屋紛いとの噂もある。
その様な、社会のドブ沼に浸った様な輩には有り難い店に風歌は本日の『宝』を持ち込み、査定を待っていた。

(風呂代と、牛乳代と……3日分ぐらいの飯代にならねえかな……)

〈あなたはリサイクルショップ店員に風歌が渡した『何か』に見覚えがあってもいいし、それが知人の持ち物であってもいい〉
〈また、『故人』の持ち物を遺族が処理するケースもあるので、それがあなたの死んだ『知人』の遺品であってもいい〉
〈ただし、『拾得物』である把握はメタ的にはしてください(キャラが疑うのはいいです)。風歌は盗んでません、拾っただけです〉

991芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2020/12/04(金) 17:29:51
>>990
(初めまして、『ほ〜し〜み〜ランド』のGМをしてるものです。
初心者歓待もかねて、もし飛び入り参加の意欲があれば今からでも
途中参加も出来ますが、どうします?)

俺にゃあ、若い女のホームレスが何を漁っていようが、目の前で強姦されようが
逆だろうが、正直すっげぇ〜〜〜〜ど〜〜〜でも〜〜いいぜぇ!!

「なんだって俺の眼にはウィゴーちゃんしか映ってねぇ〜〜んだからさぁ!!
キラッ!!!☆」

『今日も今日とて、お前の頭パープリンだな おい。
そんでもってウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトってちゃんと呼べや!!』

「あぁ゛〜〜〜ぁぁぁ゛ 今日もウィゴーちゃんは
か゛わ゛い゛ぃ゛ぃ゛な゛ぁ゛っ゛!!!!!」くねくねくねっ!!

『だ……駄目だっ。手に負えない……今日は今日とて先天の病気が
酷すぎるっ!! この本体と思いたくない本体に一体何があったと言うのだ!?』

訳の分からん30前後の、かなりやばい雰囲気の男が
ドン引きしている自我が大分しっかりしてるスタンドと共に店に入る。

貴方(風歌)は其の人相に見覚えのある可能性が高い。こいつも
『廃品回収』の御仲間だ。しかも、時々だが運搬トラックでほぼ完全に
スクラップな電化製品なり似た粗大ゴミを持っていくから、万が一にも
遭遇していたら、絶対に記憶には残るだろう。何せ普段からスタンドに
愛を語る奇行を披露しているのだから。

「はっ!!!?? そりゃあじっちゃんの形見!!」

『いやなに言ってんの?? そこに居る娘、初対面だよね?
絶対に私の記憶にも会話した覚えないから確かですよ。なにやってんの?
あと持ってる品物にも、なんの見覚えないよ???』

「いや、なんか。そいつに反応しろって電波がよぉ」

『…………(凄く可哀そうなものを見詰める顔)』

「ああああああぁぁぁ゛ぁ゛!!! そんな無言で俺を見る
ウィゴーちゃぁあああん大好きぃぃえぇぇえええ゛え゛い゛っっ゛!!!」

『……よし、落ち着け ステイだ私。
まだ……まだ自立型になる前にヤるのは無しだっ。耐えろ……っ゛』

一言でや ば い奴だ。スタンドの方は反面、大分常識があるように見える……。

話しかけるか、無視するか、早々に立ち去る事を選択するか悩むところだ。

992風歌 鈴音『ダストデビル・ドライヴ』:2020/12/04(金) 19:03:00
>>991

(可能でしたらぜひ参加したいです!)



他人の人生など解らぬ風歌であるが、目の前で喚き散らす変人と時折廃品回収でかち合う度に(ゴミを漁る前に脳の病院に入ってるべきじゃねえのか?)とは思っていた。
その認識が間違っているとは思わない、喚き散らす『対象』が見えるようになった『今』も。

(なんじゃ、ありゃ…‥)

自らのスタンドと狂ったような掛け合いを行う相手は、今も昔も変わらず狂っている様にしか見えない。
しかし、しかしながら……

(狂ってる奴には、狂ってる奴なりのネットワークがあるだろ……多分)

『エド』というスタンドを持つ変質者の事を何か知っているかも知れないし、もしかしたら『岩投げ』についても知っているかも知れない。目の前の男が『岩投げ』とキャッチボールをしていたとしても、風歌は不思議ではないとすら思う。
故に、君子ならざるホームレスである風歌は、あえて危うきに近づいて見ることにした。

「なぁ、あんた……あんたも、『それ』を持ってるのかい?」

風歌は、男よりもマトモそうなスタンドに目線をやりながら声をかけた。

993風歌 鈴音『ダストデビル・ドライヴ』:2020/12/04(金) 19:03:44
すみません、ageます……

994『その夜』:2021/04/18(日) 13:45:48

歓楽街のはずれの、治安も住環境も悪い木造の集合住宅の前に、
珍しくもない救急車両と警察車両が停車している。
 
よくあることだ。
騒音問題で駆り出される機会の方が重大事件の捜査よりずっとずっと多いという警官も、
痴話喧嘩を大事にすべく救急車を呼んで診断書を取りたがる事例も、それなりの数存在したのだ。
 
その日その時、死体を積んだ経験のある車両は無く、欠伸の代わりに嘔吐した警官は1名のみだった。
 
中肉中背の男が一人、玄関扉のドアガードに縄を括り、その縄に首を括り、その息と命を括って、絶命していた。
浅黒だったと思しき肌に生気は無く、後に第一発見者と呼ばれる警官は当時の光景について、群青色に見えたと証言している。
 
死者に罪を問うことは出来ず、罰を課すこともできない。
64キログラムの肉塊に対して就労ビザの期限切れを追求するものはなく、
ただ、憤慨するアパートの大家を諌めるために尽力した管理会社の担当者の呪詛だけが残った。
 
室内の簡素なローテーブルに広がっていたのは「これで必勝!漢検2級!」の参考書と、
『フランチャイズ契約』の契約書のみであった。私物と呼べるものは殆ど無かった。
 
傍目に見ても不利な内容だった。それでも、決して法には触れていなかった。
サインする方が浅はかだと言わざるを得ない、そんな内容だった。
 
だから、靴箱の上に積まれた公共料金の督促状が、彼の命に値段を付けた。
頑張るのは辛くはなかった、我慢するのも簡単だった。
ただ、いつまでも頑張って、どこまでも我慢し続けることが、彼にはできなかった。
 
不法滞在の外国人の起こした異臭騒ぎは当然のように自殺として処理され、
その64キログラムの身体は公営の火葬場で焼かれ燃やされ灰となり、
その後の彼がどこで眠っているのか、眠ることができているのか、故郷の家族に知らされることはなかった。
 
かの地で、彼の無事を信じないものはいない。祈らないものはいない。
行き先を失くした想いは遠い東の島国の空に溶け、その夜、予報外れの灰色の雨を降らせた。
 




デルデルデ・ソエ・キュイス・ザラマーン『アレクシスオンファイア』→『死亡』『再起不能』

 /|_________ _ _
〈  To BE CONTINUED…//// |
 \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ ~  ̄


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