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エレン「この長い髪を切る頃には」2

762進撃の名無し:2014/08/26(火) 23:57:07 ID:342eqYb60
ハンジ『だって、仕事続けたいし……』

リヴァイ『俺は別に辞めろとは言わん。むしろ続けた方がいいと思っているが?』

ハンジ『家庭に入らなくてもいいの?』

リヴァイ『俺が一度でもそういう部分をハンジに求めた事あったか? 今まで全部、俺が代わりにやっていたのに』

ハンジ『そういえばそうでしたね?! でもほら……結婚しちゃったら、リヴァイのファンの子達、泣いちゃうよ? また私、恨まれちゃうし、今度こそ、暗殺され兼ねないよ?』

リヴァイ『その点については、とっておきの秘策がある』

ハンジ『秘策……?』

リヴァイ『結婚を機に、俺の方が教職を辞めればいい。俺が代わりに家庭に入ってやろうじゃないか』

ハンジ『は……? あんた、何言ってるの? 正気なの?』

リヴァイ『俺はいたって真面目だが?』

ハンジ『いや、熱でもあるんじゃないの? あんた、教職捨てるって……馬鹿じゃないの?!』

リヴァイ『そうか? 別に自分ではそうは思わんが。むしろワクワクしているぞ。これでようやく専業主婦…いや、主夫か。俺の夢が一個叶う訳だからな』

ハンジ『そんな話は初めて聞いたんですけどおおおおおお?!』

リヴァイ『今、言ったからな。そもそも俺はもともと、なりたくて教職についた訳じゃない。ある意味ではエルヴィンに嵌められてうっかり教員になっちまったようなもんだ。だから、教職に未練がある訳じゃないんだよ』

ハンジ『で、でも……リヴァイを慕う生徒達がどんだけいると思っているの? あんた、生徒を見捨てる気なの?』

リヴァイ『それについては申し訳ないとは思っているが、背に腹は代えられん。ハンジと結婚出来るんだったら、俺は教職を捨てる覚悟はある』

ハンジ『だ、ダメに決まってるでしょ! そんなの、余計に生徒達に恨まれちゃう……!』

リヴァイ『ハンジ。何もかもがうまくいく選択なんて、元々無理な話だろうが。何かを捨てなければ、得られるものは何もない』

ハンジ『そうだけど! 私だって一応、教員なんだから! 生徒達に恨まれるのは辛いんだよ?! 今までどんだけ地味で地味で地味な嫌がらせとか嫌味とか言われてきたか!!』

リヴァイ『それは陰でやられてきたんだな。どうしてそれを今まで言わなかった』

ハンジ『あんたに言ったら、余計にこじれるでしょうが! あんたの人気、加熱し過ぎて本当にいろいろヤバかったんだからね!』

リヴァイ『今まで我慢させてすまなかった。ハンジ、本当にすまなかった……』

ハンジ『や、やめてよ……優しくしないでよ。涙が出てくるじゃない』

リヴァイ『元々、泣き虫の癖に何言ってるんだ。泣け』

ハンジ『もうーいろいろぐちゃぐちゃなんですけどおおおお?!』

ハンジ『えっぐ……えっぐ…やっぱり、ダメだよ。リヴァイ』

リヴァイ『何が』

ハンジ『あんたが教職辞めたら、ダメだよ。そんな事しちゃったら、宝の持ち腐れじゃないの』

リヴァイ『その宝を独占する権利をやるっつっているのに。お前も素直じゃねえな』

ハンジ『だって、そんな事したら、私、多分、リヴァイ観察日記つけちゃうよ? イグアナ観察記録みたいにして、飼っちゃうよ? それでもいいの?』

リヴァイ『ははっ……そいつは面白いな。ハンジらしくていいんじゃないか?』

ハンジ『誘惑しないでよおおおお! 今、本気でそれをやりたい自分と理性との葛藤が始まろうとしてやばいんですけどおおおお?!』

リヴァイ『まあ、その辺はハンジに任せる。そろそろいいか? 結婚、承諾してくれるか?』

ハンジ『待ってよ! まだ承諾してない! 1ミリもOK出してないよ!』

リヴァイ『まだ抵抗するのか。しぶとい奴だな。お前も……』

ハンジ『いや、だって……その、よく考えよう。リヴァイ。冷静になって考えよう』

リヴァイ『何をだ』

ハンジ『この結婚のメリットについてだよ。私にはメリットしかない状態だけど、リヴァイの方のメリットって、何かあるの?』

リヴァイ『あー……』

リヴァイ『俺はひとつだけ、約束して貰えればそれでいい』

ハンジ『約束?』

リヴァイ『ああ。それさえ反故されなければ、俺はハンジと一緒に結婚生活はやっていけると思っているんだが』

ハンジ『それって、何?』

763進撃の名無し:2014/08/26(火) 23:58:21 ID:342eqYb60
リヴァイ『俺と毎日、一緒に風呂に入って、俺にハンジの体を全部、洗わせる事だ。今度はもう、本当の意味で「全部」だ』

ハンジ『!!!!!!』

この瞬間、会場も皆で吹いた。

もうな、どんだけ洗うの好きなんだよって感じだよな。コレ。

ハンジ『毎日なんて絶対無理いいいいいい!!! いやあああああ!!!!』

リヴァイ『あ、毎日はさすがにふっかけ過ぎか。悪い。定期的、でいい。とにかく今までのサイクルより少し多めに一緒に風呂につきあってくれるなら、俺はそれだけで満足だ』

ハンジ『いや、それも何か、その……やっぱり私の方のメリットじゃない? あんたどんだけ謙虚なのよ』

リヴァイ『そうか?』

ハンジ『うん……その、あの……それだけのメリットで、結婚って、やっぱり変っていうか』

リヴァイ『ふん……じゃあもっと納得する材料を提供すればいいのか?』

ハンジ『出来ればそうして欲しいけど……』

リヴァイ『分かった。後で文句言うなよ』

ハンジ『?!』

ガチキスだ。音声が超エロい。水音ちゃんと拾っている。

ハンジ『ん……んー……ん……あっ……ん……』

ハンジ『はっ……あっ……ああっ………ちょ……あっ……』

ハンジ先生が机の下に隠れてしまった。見ていられないようだ。

昼休み終了のチャイムが鳴ったおかげでここで強制終了だ。

リヴァイ『ああ、次の授業か。今日はここまでしか出来なかったか』

ハンジ(ぼーっ……)

リヴァイ『という訳で、これが俺にとっての結婚する最大のメリットだ。理解出来たか?』

ハンジ(こくり)

リヴァイ『納得したか? だったら、返事を今、くれ』

ハンジ『…………はい』

リヴァイ『結婚、してくれるんだな?』

ハンジ『……はい。結婚します』

リヴァイ『良かった。籍はいつ入れる?』

ハンジ『リヴァイに任せる……(ぼーっ)』

リヴァイ『なら……面倒臭いからもう、俺の誕生日あたりでいいか? 12月25日で』

ハンジ『うん……(ぼーっ)』

リヴァイ『結婚式とか、詳しい事はまた後で決めるぞ。じゃあな。俺は授業の準備に戻る』

ハンジ『うん……いってらっしゃい……(ぼーっ)』

ハンジ『……………は! 私は、今、何を………』

ハンジ『うわあああああ勢いで結婚承諾しちゃったよおおおおおおどおおしよおおおおおお?!』

ハンジ『しかもあの、リヴァイとだよ?! キスされて、押し倒されて、承諾しちゃったよおおおおお?!』

ハンジ『何コレ?! 何コレ?! 何でこんな事になっちゃったの?! おかしくない? 何かおかしくない?!』

ハンジ『もう、私の馬鹿ああああああ?!』

以上だ。まあ、2回目だと最初の時のようなインパクトはねえけど、楽しめたぜ。

するとリヴァイ先生がちょっと面白そうにして言った。

リヴァイ『ハンジ。お前、俺がいなくなってからこんな可愛い反応していたのか。知らなかったぞ』

ハンジ『もう思い出させないでえええええ……』

ぷークスクス。今度はハンジ先生が憤死している。机の下に引き籠ったようだ。

764進撃の名無し:2014/08/27(水) 00:11:09 ID:LSFuZO5A0
OG「リヴァイ先生が家庭に入られるんですか?」

リヴァイ『あ、いやそれはこの後、教職員同士で話し合って辞職を取り下げる事にしたよ。教職は続ける。その方が俺もハンジと一緒に居られる時間が増えるからな』

ハンジ『リヴァイに観られたー! うわあああん!』

リヴァイ『可愛いからいいじゃねえか。ほら、あんまり引き籠るな。出て来い』

と言ってハンジ先生をひょいっと席に連れ戻すリヴァイ先生だった。

ハンジ『これもしかしてさっきの仕返し? 仕返しなの? ぐすんぐすん』

リヴァイ『いや、別に? これは俺が仕掛けた事じゃない。悪いのはピクシス先生だろ?』

ピクシス『心外じゃのう。そもそもお主らがもっと早くくっつけば良かったんじゃ。わしの拳が今まで何回震えたと思っとる』

エルヴィン「ふふふ……もう数えきれないし、覚えてないですよね」

ピクシス『全くじゃ。チャンスは数えきれないほどあったと言うのに。でもあれだけ平行線を辿っておった2人がまさか今年、一気にこうなるとは思わなかったの。最初の切欠はなんだったんじゃ?』

お? オレの方に話題がくるかな?

リヴァイ『あー。それについては、エレン。いいか?』

エレン「オレから話していいんですか?」

リヴァイ『構わん』

エレン「じゃあ遠慮なく」

という訳でピクシス先生にマイクを借りて話す事にした。

エレン『えーっと、文化祭の為の演劇の練習中、朝練の殺陣の稽古をしていた時なんですが、たまたま、朝早くハンジ先生が第三体育館に顔を出してくれたんですよ。其の時に、丁度リヴァイ先生が練習後のシャワーを浴びていて。ハンジ先生が「驚かせてやろうwww」みたいな事を言い出して、リヴァイ先生をそろーっと驚かしに行ったんですよ』

皆ワクワクして聞いているな。まあ、しょうがねえよな。

オレも逆の立場なら耳ダンボして聞いちゃうだろうな。

エレン『…………で、そこまでは良かったんですが、その「ドッキリ」が終わった後も、2人とも普通にしゃべり続けたんですよね。リヴァイ先生、裸ですからね。言っておきますけど。なのに普通に話し続けて………どこからどう見ても「おかしい」と思ったんで、オレ、ツッコミ入れちゃったんですよ。「それって普通、恋人同士くらいに親密じゃないとやりませんよ?」って』

765進撃の名無し:2014/08/27(水) 00:37:08 ID:LSFuZO5A0
また吹いた。今回の披露宴で皆、腹筋鍛え過ぎだよな。明日筋肉痛になりそうだ。

特にピクシス先生が肩を震わせて笑っている。

ピクシス『………なるほど。適切なツッコミをしてくれたのがエレンだった訳じゃな?』

エレン『適切だったどうかは分かりませんが……だって皆、思いますよね? オレ、間違ってないですよね?』

ピクシス『確かに。むしろ完璧過ぎる。見事なツッコミじゃったな』

エレン『ありがとうございます。で、オレの「素朴なツッコミ」がどうも、リヴァイ先生の中で「あれ?」って思わせる最初に切欠になったそうで、そこからですかね。徐々に自分が「変」だと気づいたのは。そうですよね?』

リヴァイ『その通りだ。あれが全ての始まりだったと言っても過言じゃない』

エレン『まあ、そんな訳で、そこから転がり堕ちるようにこうなった訳です。でも、最初の切欠はオレでも、リヴァイ先生を立ち直らせたのはミカサですよね?』

リヴァイ『ああ。その通りだ。ミカサの言葉のボディーブローがなければ、俺はまたあの時、ずるずる逃げていただろうな』

ミカサ『ああ……「クソちび教師は一生独身で孤独死するといい」って言い放ったアレですか?』

リヴァイ『その通りだ。それを想像した瞬間、それは絶対嫌だなと思った。死ぬ時はせめてハンジに看取られて死にたいと心の底から思ったよ』

ハンジ『あんた、そんな先の事まで考えちゃったの?! いや待って。私もリヴァイに先に死なれたら嫌だよ?! やめてよね! 縁起でもない!』

リヴァイ『あくまで例えだ。そう簡単には死なねえよ。でも……1人は嫌だと思った。それが俺を奮い立たせたんだよ』

ピクシス『そこに至るまでの時間がかかり過ぎなのが難点じゃが……まあ、終わり良ければ全てよしじゃな。これから先は2人で幸せにやっていくんじゃぞ? むしろここから先がまた新たな「スタート」じゃ。けして「ゴール」じゃないからの』

リヴァイ『はい。肝に銘じます。俺より先に結婚していった奴らも、結婚をする旨を報告したら同じ事を言ってました』

ピクシス『そういう意味じゃ周りには沢山「先輩」がおるからな。感謝するんじゃぞ』

リヴァイ『ご教授、今後も宜しくお願いします』

其の時、リヴァイ先生が立ち上がって皆に対して頭を下げると、それに合わせてハンジ先生も一緒に頭を下げたのだ。

うわ……何だろ。急にぐっと、披露宴らしくなった。夫婦って感じがする。

さっきまでのおふざけムードが一変して、リヴァイ先生が男らしい顔になった。

ケーキの準備が出来たようだから、それを運んで貰って、最後の締めをするようだ。

ケーキ入刀用のお色直しはもう本当にしないようだ。ジャージ姿と白衣のままやるのが2人らしいな。

766進撃の名無し:2014/08/27(水) 00:57:38 ID:LSFuZO5A0
ピクシス『では、これより、夫婦になってからの最初の共同作業を行って貰います。ケーキ入刀致しますので、カメラをお持ちの方々はどうぞ前の方にお集まりください!』

という案内に合わせてまるで記者会見並みの人が前の方に集まる。

すげえ数だな。皆スマホやガラケーやビデオカメラやらデジカメやら、あ、古いコンパクト派もいるようだけど、思い思いに写真撮りまくってる。

ケーキは何故か「抹茶色」の大きなケーキだった。和風の家に住むからかな? 色合いが和風の大きなケーキだったんだ。

そしてそれを切り分けて、皿に分けて皆に配っていく。オレもちょっと頂いた。

ケーキを皆で食べ終えた頃、ピクシス先生は言った。

ピクシス『ではこれを持ちまして、2人の披露宴の演目を全て終了させて頂きます。ご来場の皆様、本日は誠にありがとうございました!』

リヴァイ&ハンジ『『ありがとうざいました!!!』』

おおおおおお……皆で拍手喝采だった。指笛まで吹いている。

リヴァイ『皆様のお見送り、させて頂きます。ハンジ、いくぞ』

ハンジ『うん』

という訳で、2人は入口まで急いで移動して、遠方から来て下さった方を見送って行った。

オレ達演劇部や関係者はここから全員で後片付けだ。舞台の装置の撤収作業やら何やらが残っている。

ミカサ「とりあえず、終わった……(ほっ)」

エレン「終わったな。長い1日だったなー」

ミカサ「でもミスもしてしまった。恥ずかしい。ハンジ先生の名前を忘れているべき場面で「ハンジ」と呼んでしまった」

エレン「え? どこだっけ?」

ミカサ「教習時代のリヴァイ先生の場面で1度だけやってしまった……(ズーン)」

エレン「オレ、全然気づかなかった。まあ、別にいいんじゃねえか? オレ、あの時、本当に「名前」を聞きそびれていたのかな? って疑ってるし」

ミカサ「え? そうなの?」

エレン「単なる「記憶違い」じゃねえのかな? 覚えてないっていうより、オレ、リヴァイ先生、わざと「そうしていた」んじゃねえかなって思っているんだよ」

ミカサ「? どういう事?」

エレン「んー」

撤収作業をしながらのんびりミカサと話を続ける。

エレン「ま、単なるオレの「勘」だけどな。その辺の話はリヴァイ先生本人にも聞いてみねえと分からん。後で確認してみる」

ミカサ「そう……」

767進撃の名無し:2014/08/27(水) 01:20:58 ID:LSFuZO5A0
そんな訳でいろいろ撤収作業をしていたら、

ヒッチ「いや〜面白かったよ〜ミカサ! お疲れ様〜!」

と、撤収作業中のオレ達にヒッチが手を振ってこっちに寄ってきた。

エレン「あ、あぶねーからこっちには来るなよ!」

ヒッチ「あ、そっかそっか! ごめんごめん! 邪魔しちゃ悪いか。また後でね〜」

とひらひらしながら機嫌よく何処かに行ってしまった。

ミカサ「意外だった。ヒッチが始終、演劇に夢中になってくれていた」

エレン「だよな。あいつ、修羅場のところ、わくわくして見てたもんなあ。目輝かせていたし」

ミカサ「何だか嬉しかった。普段は余り話さない人とも演劇を通じて、繋がれる感じ」

エレン「あーそれは分かる。オレもそういう感覚あるな」

演劇の醍醐味なのかな。楽しいよな。こういうの。

そして舞台裏の片づけと掃除を大体済ませると、今度は会場の方の撤収を手伝った。

こっちはお手伝いに来ていたOBOGの方々も走り回っていた。

卒業生だから段取りは早い。慣れた手つきであっという間に元の体育館に大体戻ってしまった。

でも料理がちょっとずつ残っていた。これ、捨てるのかな。勿体ねえな。

リヴァイ「おい、残っている奴らで処理を出来るだけ手伝え! 食べてしまうぞ!」

サシャ「イエッサー!!!!!!」

すげえ気合入った返事をしてサシャが残りの食べ物を食っていた。

そのがめつい様子を見てジャンがちょっとだけげんなりしている。

あ、まずい。これは呆れている顔だ。

エルヴィン「お疲れ様。ジャン部長」

ジャン「あ、お疲れ様です。エルヴィン先生」

エルヴィン「長丁場の演劇だったけど、どうだった? 部長として」

ジャン「いやーきつかったですよ。いろいろと。途中で何回、裏で笑い死にそうになったか。今日一日だけでもかなり腹筋鍛えられましたよ」

エルヴィン「だろうね。もうどこからツッコミ入れたらいいか分からなくなるよね」

768進撃の名無し:2014/08/27(水) 01:38:28 ID:LSFuZO5A0
ジャン「ですよね。実際、これをリアルタイムで見守っていたエルヴィン先生とピクシス先生が1番凄いですよね。胃が痛くなりませんでした?」

エルヴィン「私よりピクシス先生が胃を痛めていたよ。キース先生もたまに頭痛を抱えていた。私は大体平常心で見守っていたけど……」

ジャン「だとしたらエルヴィン先生が1番凄いですね。イライラしなかったんですか?」

エルヴィン「んーイライラというより、ニコニコしていたかな。笑いを堪える事の方が多かったかもしれない。だってまるで、子猫が2匹、ずっとじゃれているようにしか見えないんだもの」

ジャン「いやー大人っすね。オレは無理です。ピクシス先生みたいになりそうです」

と、お前が言うなって言葉を吐いているジャンだった。

アルミンがすげえ顔してジャンを横目で見ている。隣のアニも。

オレ達は残った料理を出来るだけ片付けながら余ったジュースなども飲んでいた。

演劇公演をした後だから腹減ってたし丁度いい。残飯処理なら任せろ。

エルヴィン先生がジャンにジュースを渡していた。それを有難く頂いているようだ。

ちびちびジュースを飲みながら、ジャンは言う。

ジャン「オレ、ここ最近まで自分の恋愛観に悩んでいたけど、リヴァイ先生を見ていたら、逆に吹っ切れました。なんか自分の悩みなんて大した事なかったなーみたいな気持ちになりましたよ」

エルヴィン「まああれだけの「浮名」を流したリヴァイに比べたら他の悩みがちっぽけに見えるよね」

ジャン「男として凄まじいと思います。もはや嫉妬するのが馬鹿馬鹿しいレベルですよね」

と、いつも嫉妬するジャンがそう言うくらいだから相当だな。確かに。

ジャン「いくら誘われるからって、20代の後半まで女とっかえひっかえやっていたなんて。想像もしてなかったです。真面目そうな印象だったし、生徒に手出すのも「以ての外」みたいな感じだったから余計にそう思いました」

エルヴィン「リヴァイの場合は一種の「逃避」行為だったのかもしれないけどね」

ジャン「そうでしょうね。まあ、イザベルって子を亡くしてから狂ってしまったような感じでしたしね」

エルヴィン「うん……私も修正原稿を読んでから初めて知った部分もあったからね。正直、驚いたよ。リヴァイの行動の裏にはそんな意味が隠れていたとは思いもよらなかった」

ジャン「それを差し引いてもやっぱりリヴァイ先生は凄過ぎますよね。そんなリヴァイ先生の嫁になったハンジ先生も凄いけど」

エルヴィン「まあそこは、落ち着いたところに落ち着いたって事じゃないかな。ところで、ジャン。君の方はどうなんだい?」

きたあああああ! 絶対、その話題をふると期待していたぜ! エルヴィン先生!!

769進撃の名無し:2014/08/27(水) 01:41:10 ID:LSFuZO5A0
ハンジ先生はとんだとばっちり回でしたが、夫婦になったので運命共同体だということで(笑)


さてさて。リヴァイ先生とハンジ先生はひとまず落ち着いたので、
次の矛先は「ジャン」へ向かいます。ふふふ。ではまた次回ノシ

770進撃の名無し:2014/08/27(水) 09:08:33 ID:LSFuZO5A0
ジャン「あーもうオレの事は大体バレているんですよね?」

エルヴィン「まあ、大体話は聞いているよ」

ジャン「だったら隠さなくていいか。今、掃除機みたいに残り物を食べているのが一応、今、オレの好きな女ですよ」

エルヴィン「一応、は酷いんじゃない? サシャの食べっぷりは見ていて気持ちいいじゃないか」

ジャン「そう思えたらいいんですけどね。あれだけは、どうしても「げんなり」するといいますか」

エルヴィン「それさえなければなあ……みたいな?」

ジャン「そんな感じっすね。まあ……暫くは様子見るしかないとは思いますが」

エルヴィン「んーでも、ジャンは大学進学希望組なんだよね? サシャは恐らく大学には進学しないよ? 来年はクラス別れるんじゃないかな」

ジャン「……………え?」

と、其の時になって初めて、ジャンは今の自分がどれだけ「危うい立場」にいるか自覚した様だ。

ジャン「そ、そうだったんですか?」

エルヴィン「知らなかったのかい? うん。サシャは勉強嫌いだから大学より就職、もしくは家業の手伝いを希望していたよ。だから来年は7〜10組あたりに配属されると思う」

ジャン「そ、そうですか」

おおおおおおおおお? ちょっと動揺してやがるな。あいつ。

エルヴィン「うちの学校は2年次が1〜3組が大学進学希望組、4〜6組までが推薦を含めて就職と進学を両方を視野に考えている組。7〜10組が就職寄りの組に大体分かれるからね。勿論、途中で進路が変わっちゃう子もいるけど、そこはもう自己責任だし、学校側もこのやり方に変更してから進路指導がやりやすくなったんだよ。3年次はそのまま担任も含めて持ち上がりになるからクラス替えはないよ。サシャと同じクラスで居られるのは残り3か月程度になるんじゃないかな」

ジャン「…………」

急に現実を突きつけられてジャンの唇が少しだけ震えていた。

ヘタレだからな。あいつ。この窮地をどうするべきかパニック状態になっているのかもしれない。

771進撃の名無し:2014/08/27(水) 09:33:46 ID:LSFuZO5A0
エルヴィン「サシャはもう、大学に行かなくても十分、生きていける「スキル」を持っているからね。社会経験もアルバイトで先に少し経験しているし、何より親父さんのお手伝いを小さい頃からしているのが大きい。目的がそこにないなら、大学に行くのは無駄でしかないよ。彼女の場合は。だから「気が変わる」ことはほぼないと思っていた方がいい」

と、わざわざ忠告するエルヴィン先生だった。

エルヴィン「もし、ジャン自身にその気があるなら早いうちに手を打った方がいいと思うよ。グズグズしていたら、また手遅れになる。ジャンの性格を考えれば、クラスが別れてから彼女に告白するのは余りお勧めしない。勿論、それをする事はやれない事はないけど。距離が空いてしまったら、自然消滅する可能性の方が高いと思うよ」

ジャン「……………」

ジャンの目が虚ろになって来た。揺さぶりかけられて戸惑っているのが良く分かる。

そしてこの隙に、エルヴィン先生、テーブルのグラスをさり気にすり替えた。

え? 何でだ? 何で今、自分のグラスとジャンのグラスをすり替えて………

ジャンが気づいている様子はない。自分のグラスを気に留める余裕すらないようだ。

エルヴィン「リヴァイとハンジの場合は同じ「職場」という接点と「住居が近い」というアドバンテージがあったからこれだけ長くマラソンのような恋愛が出来たけど、普通はこうはいかないからね? 皆、それぞれ進路があるし、自分の人生だってある。偶然に身を任せていたら、それこそ周りはあっという間に結婚していって自分だけ1人……なんて事も十分あり得るよ。現に私がそうだからね」

ジャン「あ、エルヴィン先生、独身でしたっけ。そう言えば」

エルヴィン「うん。43歳だからね。もう私と同じ世代で独身の男はそうはいない。所帯持ちばかりだよ」

ジャン「でもエルヴィン先生の場合はもう嫁を予約しているようなもんじゃ……」

エルヴィン「あくまで「女の子」が産まれたらの話だから。私の場合は。男の子が産まれた時は流石に嫁には出来ないよ。其の時は独身で生涯を終えるつもりではいるけど」

そうなんだ。流石エルヴィン先生だ。その辺は絶対曲げないらしい。

エルヴィン「リヴァイとハンジの例はあまり参考にしない方がいいと思う。2人の場合は「特殊」な例だ。周りがいろいろけしかけて……フィーリングカップルで完全に「確保」してようやくああなった訳だから。特にサシャの場合はミスコンの「準優勝」という肩書きを持っている事を決して忘れちゃダメだよ?」

ジャン「うぐ……!」

エルヴィン「サシャ自身はまだ「初恋? 何それおいしいの?」みたいな状態だけど、それがいつまでも続くとは限らないよ。ある日突然、女の子は「覚醒」する場合だってある。ハンジみたいに「遅咲き」の場合も勿論あるけど、普通の女の子は15〜18歳の間に1回くらいは「恋」のような物を経験して大人になっていく訳だからね」

ジャン「サシャが……恋………」

エルヴィン「想像出来ないみたいだね? でも女の子は一度覚醒すると早いよ? あっという間に綺麗になっていく。その時になって後悔しても遅いからね? サシャの傍には、リヴァイのような「小さな男」がいるようだし」

ジャン「!」

ここでコニーをけしかけるか! エルヴィン先生、策士だなー。

アルミンとアニもニヤニヤしながら遠くで話を盗み聞きしている。

ミカサもさり気にチェックしている。マルコだけが、ここにはいないけど。

あ、マルコはマルコでミーナと話しているようだ。何かぺこぺこしているな。お礼を言っているようだ。

そっか。舞台でのダンスのパートナーをしてくれたお礼でも話しているのかもしれない。

772進撃の名無し:2014/08/27(水) 09:58:18 ID:LSFuZO5A0
ジャン「それってコニーの事ですか? でもあいつ、中学時代の彼女がいるって……」

エルヴィン「ん? リヴァイとハンジの物語を見て来てもまだそれを言うのかい?」

ジャン「……………」

エルヴィン「似ていると思わないのか? リヴァイとハンジの物語と、今のコニーとサシャの状態を。私は「酷似」していると思うけどね。ただ「出会った時代」が違うってだけで。いつも大体一緒に居るんだろ?」

ジャン「いえ、いつもって程じゃ……ただ、クラスの中で一番仲いいのはコニーだとは思いますが」

現に今、ここでも残り物をサシャとコニーが奪い合う様に食っている。

あいつ、野球部だけど、今日はピクシス先生が「披露宴」を優先したから練習はお休みになったそうなんだ。

それに「タダ飯」を食える機会をコニーが逃す筈ないだろ? めっちゃ食ってる。

その様子を眺めながらジャンは言った。

ジャン「コニーも野球部の件があるからプライベートは殆ど彼女に注ぎ込んでいるらしいし、サシャと「外」で遊ぶことは滅多にしないらしいですが、たまに時間が合えば一緒に遊ぶ事もあるそうです」

エルヴィン「そりゃまずいね。彼女ともしも別れたら、今度はその時間をサシャで埋め合わせてしまうかもしれない」

ジャン「いや、それはないですよ! コニーは「プロ野球選手」になるのが夢で、其の為の練習時間、半端ないんですよ! 彼女いなくなったらきっと、そこを「練習時間」として追加して使う筈……」

エルヴィン「もし、途中で「怪我」とかしたら?」

ジャン「!」

エルヴィン「プロスポーツ選手が途中で「怪我」で挫折して転向する例なんて腐るほどあるよ。私自身も、そういう人間を多数見てきた。………私自身もそうだしね」

ジャン「え? エルヴィン先生、プロスポーツ選手目指していたんですか?」

エルヴィン「うん。昔ね。若い頃はテニスプレイヤーになりたかった。右肘を途中で傷めてしまって挫折したけど」

ジャン「そうだったんですか……」

エルヴィン「酷使し過ぎたせいだよ。生活するのには困らないけど。趣味で続けるのは出来ても「プロ」を目指すのはもう難しいだろうと言われて諦めた。怪我をしたのは14歳くらいだったな。こう見えても海外から声がかかるくらいの実力は当時、持っていたんだけどね」

ジャン「え……じゃあもしかしたら、10代でプロデビューする可能性もあったと?」

エルヴィン「そうだね。プロデビューする前に怪我してしまったから、あくまで可能性でしかないけど。つまりコニーの場合も分からないんだよ。将来がどうなるかなんて」

ジャン「…………」

ジャンが閉口してしまった。グラスを片手に悩んでいるようだ。

エルヴィン「コニーの実力はそれなりにあるのは知っているけど、野球の場合はそれに加えて「団体競技」だからね。優秀な選手が県予選大会で敗退してプロのスカウトの目から漏れる事なんて多々ある。せめて甲子園に出場しないと。なかなか日の目は出ないよ。夢はあくまで夢だからね」

と、厳しい現実を冷静に見つめるエルヴィン先生だった。

773進撃の名無し:2014/08/27(水) 10:07:21 ID:LSFuZO5A0
>>771
訂正

エルヴィン「うん。43歳……もう誕生日きたから44歳か。もう私と同じ世代で独身の男はそうはいない。所帯持ちばかりだよ」

誕生日が10月14日だったのを忘れていました。
この時点では12月25日なので44歳です。

774進撃の名無し:2014/08/27(水) 10:54:14 ID:LSFuZO5A0
>>773
訂正の訂正。

計算し直したら43歳で合ってた。
フィーリングカップルの方が間違っていたのに今、気づきました(汗)
ハンジ先生が16歳(高1)の時は、
エルヴィン先生が大学現役卒業で教師になっている場合は
22歳の筈だから、教師1年目で23歳になる筈なので、
フィーリングカップルの時点(10月3日)では42歳ですね。
すみません。今頃気づいて爆死しましたorz

775進撃の名無し:2014/08/27(水) 11:27:15 ID:LSFuZO5A0
エルヴィン「今の時点ではサシャもコニーもお互いの存在の「価値」に気づいていない可能性がある。ジャンがつけこむとすれば「今」しかないと私は思うけどね」

ジャン「でも、その……あの……」

エルヴィン「まだ、心の底にミカサの姿がちらつくのかい?」

ジャン「……………はい」

え? そうなのか? 何だよ。あいつ、嘘ついてやがったな!

ミカサもちょっと「ええ?」って顔をしている。これ以上食い下がったら本気で嫌われるぞ。

ジャン「いえ、だからと言ってもう、あいつらの邪魔をしたいとか、奪ってやるとか、そういうゲスな事は考えませんよ。オレはもう見守るだけです。せめてミカサが幸せでいる事を」

エルヴィン「ふむ……」

ジャン「いい思い出にしたいんです。ミカサへの片思いは。その上でサシャとの事を考えたいとは思っているんですが……」

エルヴィン「やれやれ。まだ「思い出」になんて出来る状態じゃないじゃないか。ジャン、そういう事なら君はサシャと向き合う前にやるべき事がある」

ジャン「え?」

エルヴィン「ミカサにちゃんと「言葉」で告白して振られてくる事だ。現実を直視して精算してこないといつまでも経っても「次」にいけないよ」

ジャン「え?! でも!?」

エルヴィン「丁度いいい。ミカサ、そこにいるし。ミカサ、こっちにおいで」

と言ってミカサを本当に呼びやがった。

ええええええ?! マジでここで告白をやらせるのか?!

ミカサも微妙な顔している。でも呼ばれたからにはしょうがない。

ジャンが完全に青ざめている。大丈夫なのか? あいつ。

エルヴィン「話は聞いていたね? ミカサ」

ミカサ「はい」

ジャン「え、ええええ?! 聞いていたのかよ!」

ミカサ「こんなところでそんな話をしている方が悪いと思う」

ジャン「いや、まあそうだけど……」

ミカサ「ジャン、私から質問していいかしら?」

ジャン「な、なんだよ」

ミカサ「ジャンは私に「一目惚れ」したと聞いた。私の「どこ」に一目惚れしたの?」

ジャン「…………綺麗な「黒髪」だよ」

と、ジャンは目を合わせられない状態で答えていた。

その様子をオレはアルミン達の傍で遠くから見守る。

ジャン「美しい黒髪だと思った。オレ、茶髪そんなに好きじゃねえし。綺麗だと思った。サラサラしていて、艶があって、その上で美人で……」

ミカサ「じゃあ明日から丸坊主にするか、私が茶髪になったらどうするの?」

ジャン「え、えええええ?!」

ミカサ「私はエレンが「丸坊主が好みだから坊主にしてくれ」って言われたらその場ですぐやると思う。それでも私を愛せるの?」

極論ぶちかましてきたな。いや、オレは坊主頭を流石に強要しねえよ!

776進撃の名無し:2014/08/27(水) 12:03:34 ID:LSFuZO5A0
ジャン「ええっと……それは、その……」

ジャンが言葉に悩んでいる。

丸坊主はさすがに許容出来ねえようだ。

ミカサ「他にも、もし「巨乳がいい」と言われたら豊胸手術をするし、「二重がいい」と言われたらプチ整形もやってみせよう。「細い子がいい」と言われたらダイエットもするだろうし、「腹筋つけるのはやめてくれ」と言われたら……筋トレもやめるかもしれない。私はそういう女なので、そういう私をジャンは愛せるの?」

ジャン「………………」

ミカサ「ジャンは私の事を「アイドル」のように愛していたのではないの? 違う?」

ジャン「……………違う」

ミカサ「どう違うの? 私はリヴァイ先生を演じていた時に感じた。人は「いい部分」だけでは構成していない。リヴァイ先生は自分のダメな部分も自覚しているし、過剰に愛される事を恐れてすらいた。私にも似たような経験はあるので、その気持ちは良く分かる。私はジャンが「私のいい部分」だけを見て愛しているのであれば、それは「怖い」とすら思う。ジャンはどうして………」

ジャン「そういう、論理的なところも好きだよ」

ミカサ「え?」

ジャン「頭が良くて、一途で、料理もうまくて、人が良くて、思いやりがあって、たまにドジで、腹筋も込みで好きだよ!!! そりゃ最初の切欠は「黒髪」だったけど、今はそれだけじゃねえよ! 出会ってからもう半年以上経っているんだぞ! いくらオレでもそれくらいは気づくに決まってるだろ!!」

ミカサ「そうなの?」

ジャン「そうだよ!!! 気持ち悪いと思われるかもしんねえけど、オレ、ミカサの事を結構常に観察していたからな。エレンと一緒にいる時も含めてな。だから、ミカサの気性の激しさも知ってるし、怒らすと怖いというのも知ったし、そういう部分も含めて好きだと思ったんだよ!!」

と、周りに人がいるのにも関わらずブチ切れていた。

皆、「なんだ?」と思いつつ注目している。

でもあいつは止まらなかった。溜まっていたんだろうな。いろんな思いが。

ジャン「でももう、届かねえんだろ? ミカサの気持ちはエレンに傾いてしまった。2人を見ていれば分かるよ。つけこむ隙なんてねえって事は……」

ミカサ「うん。ごめんなさい」

即答だった。こういう時はミカサ、バッサリいくもんな。

ミカサ「私はグズグズする男は嫌いなんだと分かったので。そこがエレンとジャンとの違い。でも、私はジャンが他の女性と結ばれる事は応援したいという気持ちはある。私の事は諦めて欲しい。今度こそ、本当の意味で」

と、言い放つと、ジャンは深く頷いた。

ジャン「…………………分かった」

と、だけ答えてそれ以上は言えなかったようだ。ミカサがこっちにやってくる。

ミカサ「これでもう、大丈夫かしら? 後はエルヴィン先生に任せていい筈よね」

エレン「ああ。にしてもミカサ、バッサリ言ったな」

ミカサ「うん。申し訳ないけど。私も私で悪い部分はあった。もっと早くこうしてあげれば良かった」

エレン「それは言うな。言わなくていい。何でも「流れ」ってもんがあるだろ」

777進撃の名無し:2014/08/27(水) 12:05:20 ID:LSFuZO5A0
アルミン「でも、良かったと思うよ。今の感じで皆も「ああ、遂に振られたな」って分かったようだし」

アニ「だね。以前のジャンの露骨な態度に周りもちょっと引いてた子いたからね。女子の中でのあいつの評価、だだ下がりだったし。ミカサとエレンが付き合っているの知っててまだ諦めないの? みたいな」

エレン「ああ、その辺ってやっぱり女子の目は厳しいのか」

アニ「当たり前だよ。カップルを壊そうとする男も、女も、どっちも「ゲス認定」されるに決まってるじゃない」

ジャンがジュースを一気飲みしていた。エルヴィン先生に注いで貰って。

………………何だろう。急に悪寒がしてきたな。何でだ?

ジャンの顔がどんどん赤くなってくる。え? まさか、え? いや、でも、ダメだよな。

エレン「アルミン、アルコールはもう片付けた筈だよな? 今残っているのはソフトドリンクだけだよな?」

アルミン「ん? どうだったかなー? ちょっとその辺は良く分かんないけど」

といいつつ周りを見ると、

アルミン「あー……カクテルもまだ残ってるみたいだね。大人の方も来ていたし、お酒も全部飲んでしまうんじゃない? 残ってる大人の先生達で」

と、言った直後、オレはダッシュでジャンのところに駆け寄った。

そしてジャンのグラスをひったくった。香ってみる。ヤバい。これ、アルコール入りだ!

ジャン「何しがやりゅ!」

ジャンの目の色がヤバい! これ、完全に酔ってるぞ!

エレン「エルヴィン先生!!!! 何やってるんですかこれ! 犯罪ですよ!!!」

エルヴィン「え? んー? あらら、ごめん。「間違えて」私のグラスをジャンが飲んでしまったようだね。不可抗力だ」

事故だといい訳するようだ。やばいやばいやヴぁい!

これ、隠さないと! ジャンがうっかり飲んだ事を隠さないと!!!!

と、オレが青ざめて慌てていると、そこにヒッチがやってきた。

ヒッチ「失恋記念おめでとう!! やっと正式にミカサにふられたね! ジャン!」

ジャン「ああ? 誰だっけお前」

ヒッチ「酷いwwww錯乱してるwwwwウケるwwww」

ジャン「うるさい声、だしてくんじゃねえよ!!! その口、塞いでやる!!!」

え?

えええ?

えええええええええええええええ?!

その直後、オレは見てしまった。

ジャンが、あのジャンが。

ヒッチを捕まえて、その、その場で、その……

ミカサに振られた勢いって奴かな。あとアルコールの力も入ったせいかな。

周りに人がいる中、深いキスをしたんだ。濃厚な、ディープキスをヒッチにぶちかましたんだ。

その様子を呆気に取られて見つめる一同だ。サシャも流石にそれに気づいてこっちを見ている。

コニーも、びっくりしていた。手に持っていた肉の骨、落としたしな。

ライナーとかベルトルト、あとマルコとミーナ、ユミル、クリスタ、ハンナ、フランツ、ええっと、うちのクラスの奴らは今回の劇の「エキストラ」として多数参加していたから、残飯処理も手伝ってくれていた。

だから、クラスメイトがほぼ揃っている中、ジャンはヒッチとキスしたんだ。

マルロも呆気に取られている。

何より一番呆気に取られたのはミカサだ。

ミカサは「え? サシャじゃなくて、ヒッチが本命だったの?」

と、とんちんかんな事を言いだしている。

778進撃の名無し:2014/08/27(水) 12:16:09 ID:LSFuZO5A0
ヒッチ「ん………んー………んんー……」

皆、動けない。どうしたらいいんだコレ。

エルヴィン先生、すげええゲスな顔して笑ってる。

ピクシス先生もこっち見ていた。これ、絶対打ち合わせしていたよな。

そして丁度その頃、リヴァイ先生達がこっちに戻ってきて、その場面を目撃した。

流石のリヴァイ先生も目を見開いて、大体の事情を瞬時に読んで、ジャンを後ろから蹴り倒した。

リヴァイ「おい。アルコールは飲むなって言っただろ。誰だ飲ませた奴は」

エルヴィン「ごめん。私のグラスを「間違えて」彼が飲んでしまったようだよ」

リヴァイ「やっぱりお前か。学生に悪戯を仕掛けるな。…………そりゃ俺も10代の頃、酒は覚えたが」

ハンジ「あーうん。右に同じく」

リヴァイ「お前もか。まあ、予想の範疇だが。ダメだぞ。おい、ここにいる奴ら、オフレコにしろよ。他の先生達には内緒だぞ」

と、ここに残っていたのはエルヴィン先生とピクシス先生とキース先生、ハンジ先生、リヴァイ先生の5名だけだったので、どうやら口裏合わせる気満々のようだ。

悪い先生達だな。本当に。まあ付き合い長いからツーカーなんだろうけど。

そしてジャンの下になったヒッチが目を白黒していた。どうやらぺたんと座り込んで立てないようだ。

エルヴィン「大丈夫? ヒッチ。立てる?」

ヒッチ「すみません……腰が抜けて立てなくて」

エルヴィン「いや、大丈夫だよ。ほら、掴まって」

と、エルヴィン先生がヒッチを。オレはジャンを回収してやってとりあえず、引き離した。

オレ、何でジャンの面倒見てるんだろ? 自分でも良く分からん。

779進撃の名無し:2014/08/27(水) 12:27:57 ID:LSFuZO5A0
ヒッチ「………………やばい」

エルヴィン「ん?」

ヒッチ「過去最高にキスが上手かった。あいつ、キス上手かったんだ」

エルヴィン「え? そうだったの?」

ヒッチ「はい。なんか、今までの男の比じゃない…………何、コレ。こんなの初めて経験するんだけど」

という言葉が遠くから聞こえてオレは「えええええ?」と思って振り向いた。

ミカサもオレと目があって「ええええええ?」って同じ顔をしている。

ヒッチ「どうしよう。いや、でもあの馬面だしな。いや、でも………ああああああ迷うううううう!」

エルヴィン「何を迷うの?」

ヒッチ「身体の相性、いいのかもしんない! ジャンの奴、私と! でも、その……顔が好みじゃない!」

ぶふううううううう!

やっぱりそうきたか! いや、待て待て。その発言はいろいろ問題だらけだぞ!

ヒッチの発言にエルヴィン先生が吹いていた。

エルヴィン「顔は好みじゃないのにキスは上手いと思ったんだ。珍しいねそのケースは」

ヒッチ「うん。私、こう見えてもそこそこ「面食い」だったし……でも、エッチ下手な男が多かったんですよね。なんていうか、女に「してやる」心遣いがないっていうか、「させてやってんだぞ」みたいな? 単調で、パターン化している男とばっかり当たってきたから、こういうのは初めてかも」

780進撃の名無し:2014/08/27(水) 12:41:24 ID:LSFuZO5A0
エルヴィン「ジャンは女に尽くすタイプだからじゃない? 女に合わせられる男はエッチ上手いよ。リヴァイがそうだしね」

ヒッチ「ええええ?! そうだったんですか?! あ、そっか! イケメンって、黙ってても女が寄ってくるから横暴になるのかな? あ、でも待って? リヴァイ先生はイケメンなのにエッチ上手いんですよね? アレ? 矛盾しているような……」

エルヴィン「んーリヴァイの場合はちょっと特殊な例だけどね。でも、普通はイケメンで女に困らないタイプの男は努力しなくても性欲処理は出来るから、エッチ下手な場合もあるよ。ヒッチは今まで、自分から彼氏を引っかけるタイプだったんだよね?」

ヒッチ「そうですね。「こいつイケメンだな♪」って思ったらとりあえず誘惑仕掛けてその気にさせてベッドイン、みたいな?」

エルヴィン「あーだったら、それはハズレくじ引いても仕方がないかもしれないね。顔がいい男は自分の「非」を認めたがらない傾向にある。プライドが高いから」

ヒッチ「ああ! 何か納得しました! 通りで何か歯向かうと、すぐ殴られていた訳だ! 私!」

エルヴィン「それは運がなかったね。ヒッチには、案外ジャンみたいな正反対のタイプが合うのかもしれないね」

ここにきて、第三の女が登場かよ。マジか。ジャン、お前大変な事になって来たぞ。

ジャンは気絶していて話聞いてないけど。アニもアルミンも流石に混乱している。

マルコがこっちにやってきた。ミーナと一緒に。2人もどうしたらいいか分からず戸惑っている。

ミーナ「最低だよージャン。アルコール入ったからと言って、まさかあのヒッチにいくなんて……」

マルコ「いや、これは僕達にも責任がある。エルヴィン先生に「けしかけた」のは僕達だし……」

アルミン「うん。そうだね。僕もまさかここまで強引な手段を使ってくるなんて思わなかった」

エレン「いや、そこは予想出来ただろ。あのエルヴィン先生なんだぞ? 容赦ねえぞ? この手の「トラップ」に関しては」

アルミン達は甘く見ていたようだ。「大人」の罠の張り方を。

781進撃の名無し:2014/08/27(水) 13:12:46 ID:LSFuZO5A0
アニ「うううーん。でも、そうだね。エルヴィン先生、容赦ないもんね。これは私達が悪かったかも」

アルミン「どうしよう? 今、サシャの方を見るのが正直、怖いんだけど」

ミカサ「サシャは別に平気みたい。普通にご飯を食べ続けている」

あ、本当だ。まだ残飯処理を続けている。

でも、何か様子が変だな。食べているけど「美味しくない」顔をしている。

リヴァイ先生が用意した飯だから、美味しくない筈はねえんだが。

コニーとかはソワソワしてこっちに来た。事情を知りたくて堪らない顔してやがる。

コニー「なあなあどうなってんの? ミカサに振られたのは分かったけど、何で急にヒッチの方にいったんだ?」

エレン「アルコール飲んで錯乱したからだよ。たまたまだ」

コニー「ええええ?! 酒飲んだのかよ! ダメじゃん! あ、誰かのグラスと間違えたとか?」

エレン「エルヴィン先生のグラスと間違えたそうだ。不可抗力だよ」

一応、そういう事にしておかねえとな。

コニー「まじかー災難だったなーそれ。おーい。ジャン。起きろー?」

ペチペチ。叩いてみるけど反応ねえな。どうすっかな。コレ。

ヒッチはヒッチでまだエルヴィン先生と「愛の」進路相談中のようだ。

リヴァイ先生は周りを少しずつ片付けながら残飯処理をしていて、そのヒッチの発言に対しての会話に参加していた。

リヴァイ「おい、一体何の話をしているんだ。エルヴィン」

エルヴィン「ああ……今、見てたでしょ? ジャンにキスされちゃって、そのキスが「上手かった」からどうしようって話だよ」

リヴァイ「は? 何だそれ。今のは事故みたいなもんだろ。忘れろ」

ヒッチ「無理ですよ!!! あんなに超絶上手いキステクニック持ってる男、逃したくないいいいいい!」

リヴァイ「? だったらコナかけたらいいじゃねえか。何を迷う必要が」

ヒッチ「でも、顔が好みじゃないんです!!! あの馬面が!!」

ハンジ「ぷ! それは酷いwwwww」

と、ハンジ先生もウケている。

ハンジ「あーでも、気持ちは分からなくはないかも。そういう「ここさえなければ」みたいな部分ってあるよね」

リヴァイ「おい、それはどういう意味だ。ハンジ」

ハンジ「あんたの場合は「優しすぎる」ところだね。いや、そこを好きでもあるんだけど。私以外の人間にも平等に優しいじゃない? たまに「ちぇ」って思う事もありますよ?」

リヴァイ「そうだったのか」

ハンジ「そのせいでファンクラブの件も勃発したんでしょうが。忘れたとは言わせないよ?」

リヴァイ「……すまん(シュン)」

ヒッチ「という事は我慢するしかないのかなー? あの馬面を。キステク取るならそうするしかないですよね(じゅるり)」

いかん。ヒッチが雌豚モードを発動させかけているぞ。

782進撃の名無し:2014/08/27(水) 13:31:49 ID:LSFuZO5A0
リヴァイ「おい、やめておけ。エッチに溺れて恋愛に嵌ったら自分の気持ちが迷走するぞ」

リヴァイ先生が言うと重みがあるな。

ヒッチ「ダメですかね? 私、体の相性が悪いのだけはどうしても受け入れられないんですけど。前の彼氏に「エッチがマンネリ化してきたから別れたい」って言ったらぶたれてそのまま音信不通になりましたよ?」

と、ヒッチが言うと、エルヴィン先生が大きく吹いて、傍にいたピクシス先生までも吹いた。

ピクシス「なんという勿体ない事を……」

エルヴィン「ですね。勿体なさ過ぎる……その男は馬鹿だな」

リヴァイ「そうだな。アホだな。ダイヤの原石をドブに捨てたな。そいつは」

ヒッチ「え? それどういう意味ですか?」

と、ヒッチは混乱しているようだ。

するとリヴァイ先生があきれ返った顔で言い放った。

リヴァイ「それは逆に言えば「エッチさえ満足させて貰えれば後は文句言わない。あなたの好きにして」とも受け取れる。そんな大らかでいい女をどうしてドブに捨てるんだ。エッチが下手なのは、8割は男の「腕」が未熟な証拠だ。リードしてやらなくてどうする。情けない男としか思えないぞ。なんでそんなのと付き合った?」

ヒッチ「ん〜まあ、話してみて割と「楽しい」って思ったからかな? あと顔がそこそこイケメンだったんで」

ハンジ「あああもう、昔の私を見るようで胸が痛い」

ハンジ先生が胸を押さえている。ヒッチとハンジ先生、似てるところがあるのかな? 意外だけど。

リヴァイ「まあ、最初はそんなもんか。俺もあんまり人の事は言えないしな」

ハンジ「んー10代の頃は迷走する事もあるよね。私が言うのも何だけど」

ヒッチ「2人のお話、超面白かったですよwwww特に修羅場のところwwww」

リヴァイ「お前、そのシーン、食い入るように見てたよな。1人だけ」

ヒッチ「だって、あんなにスカッとするシーン、なかなかないじゃないですかwwww」

リヴァイ「あれでも一応、規制入れているけどな」

ヒッチ「マジですかwwww本物聞きたいかもwww」

ハンジ「あーやめた方がいいよ♪ ドン引きするってきっと」

ヒッチ「えー? 残念だなあ。私、でもあの再現劇を見て、感動しましたよ? こんな風に「劇」を見て面白いって思ったのは初めてかもしれない」

リヴァイ「そう言って貰えると、こっちとしては有難いかな」

と、苦笑するしかないようだった。リヴァイ先生は。

783進撃の名無し:2014/08/27(水) 13:42:31 ID:LSFuZO5A0
リヴァイ「……で、ヒッチはジャンにコナかけるつもりなのか? あいつ、今、サシャという女が好きみたいだぞ? それでもいいのか?」

ヒッチ「知ってますよ。その件は。でもあいつヘタレだから、自分からなかなかアプローチ出来なくて迷走しているみたいだし、誘いかけたら意外といけるんじゃないかな?」

ヒッチの目がやばい! あいつ、本気でジャンを堕とすつもりなのかな。

ジャンを起こしてやりたいけど、まだ起きない。

皆で「おーい」とかいろいろやってるんだけど。気絶した奴を起こすのってどうすればいいんだろ?

逆は簡単だけどな。気絶させるのは。

リヴァイ「やれやれ。肉食派か。こういうタイプの女は1度火がつくとなかなか止まらないからな……」

ハンジ「おや? まるでそういう過去がある様な言い方だね? リヴァイ? もう大体全部、過去の女の件は話したんじゃなかったの? (黒笑顔)」

リヴァイ「ん? エッチした女と、割と本気だった女は全員話しただろ?」

ハンジ「本当に? 隠すと為にならないよ? 追いかけられた女はカウントしてないの?」

リヴァイ「恐怖しか感じなかったぞ。そういう女は。言っておくが俺は「襲ってくる女」は好きじゃなかった。「誘ってくる」女とは完全に別物だぞ」

ハンジ「ふーん。そういうもんなんだ」

リヴァイ「演劇の裏方に初めて入った時がそうだったな。裏方の女の先輩達に逆セクハラされまくって、流石に逃げた。何だろうな? 女なのに「男」みたいな感じの女だった。見た目は凄く女らしいのに、中身が「男」だったんだろうな。きっと」

784進撃の名無し:2014/08/27(水) 13:55:30 ID:LSFuZO5A0
エルヴィン「ごめんね。彼女達、可愛い男の子が大好きだったから。好みドストレートの男の子が入ってきてテンションおかしくなってたんだよね」

リヴァイ「まあ、俺の事は横に置いて、今はヒッチの件だろ。お前、ジャンを堕とすつもりなら、もう少し見た目から変えた方がいい。お前、見た目が軽過ぎる。髪色、黒に戻した方がいいぞ」

ヒッチ「あーなんかそれっぽいですよね。いいですよ。その辺は。私、相手にある程度合わせられる女なんで」

ピクシス「ますますいい女じゃの。本当に。ヒッチを振った男は損したな」

エルヴィン「ですねえ。あー私が高校教師じゃなかったらなあ」

ピクシス「全くじゃー」

と、何故かヒッチ推しを始める2人にリヴァイ先生も苦笑している。

リヴァイ「まあ、いい女だと思うな。ヒッチは。自分の意見ははっきりしているし、相手との距離も取るのがうまい。コミュニケーション能力も高く、明るいし、合わせるところは合わせられる。ただ、ビッチなのが欠点だが、そこはまあ、相手の男の「腕」次第っていうなら、いくらでも変更はきくだろ」

ヒッチ「ですねえ。私、エッチ上手い男と出会えたら、フラフラするの止めると思いますよ。リヴァイ先生みたいに」

リヴァイ「だったら今のうちに出来るだけフラフラしておけ。俺が言うのも何だけどな」

ヒッチ「あざーっすwwww今度、私もリヴァイ先生のファンクラブに入っていいですか? 個人的に」

リヴァイ「たまに料理ブログを書く程度だけどいいのか?」

ヒッチ「男堕とすのに料理は必須科目なんでwwwネタに困ったらレシピ参考にさせて下さいよ」

リヴァイ「構わんぞ。いろいろ試してみるといい」

ヒッチ「あざーっすwww」

何かあっちはあっちで仲良くなってるな。いつの間にか。

785進撃の名無し:2014/08/27(水) 14:10:15 ID:LSFuZO5A0
しかし困った。こっちはジャンが起きない。というか、寝てるのかな? これは。

アルミン「諦めるしかないみたいだね。寝息立ててるし……」

アニ「そうだね。でもジャンの家まで誰が連れて帰るの?」

マルコ「うーん、僕しかいないよね。家まで連れて帰るしかないか……」

ミーナ「ええ……(しょぼーん)」

マルコ「ごめんね。この中でジャンの家、知ってるの、僕くらいだろうし」

ミーナ「そ、そうよね……」

あれ? ミーナの様子が変だな。マルコと約束していたのかな?

エレン「マルコ、ミーナと何か約束していたんだったらそっち優先してやれよ。ジャンの事は、マルコがそこまで背負うようなもんじゃねえよ」

マルコ「え? ああ……まあ、ミーナとこの後、ちょっと2人でね? まあ、その…ごめん。言ってもいい?」

ミーナ「いいよ。この際だし」

マルコ「えっと、僕達、今日から付き合います(小さいピース)」

といいう爆弾発言がきたので皆でびっくりした!

アニ「え、ええええいつの間に?! え、もしかして、社交ダンスが切欠?」

ミーナ「うん。その前からちょこちょこ誘いはあったんだけどね。でも決定打はそれかな。一緒に踊る練習してたら、だんだんその気になっちゃった」

アルミン「先越されたー(ガーン)」

マルコ「ごめんね。アルミン。さっきそういう話になったばかりだったし、後日伝えようと思ってたんだ」

なるほど。マルコがぺこぺこしていたのはその話をしていたからだったのか。

へーなんか続々とカップルが出来てきた感じだな。嬉しいなこういうのは。

786進撃の名無し:2014/08/27(水) 14:18:10 ID:LSFuZO5A0
ミカサ「だったらマルコはミーナを優先すべき。ジャンの家は、他に知ってそうなのは………サシャは?」

エレン「あ、可能性はあるな。おーいサシャ!」

サシャを呼ぶと、こっちを一応見た。そして駆け寄ってくる。

サシャ「呼びました?」

エレン「ジャンの家、知ってるか? こいつ、もう起きないから家まで連れて帰ってやってくれよ。1人じゃ無理なら、オレ達も手伝うからさ」

サシャ「ううーん。まあ、一応、家は知ってますけど……」

と、微妙な顔をしているサシャだった。無理もねえかな。こいつ、アホだしな。

サシャ「この場合、マーガレット先輩の自宅の方が近いので、そこで1泊させた方が早いかもしれないです。この後、一応、夜の仕事の予定が入っていたんですが」

エレン「ええええええ?! マジかそれ!!! バイトにならんだろコレ! どうすんだ?!」

サシャ「そこは私が事情を話します。間違えて飲まされて泥酔したと。先生はお酒には理解ある方なので多分、大丈夫とは思いますが……はあ」

と、ため息をついているサシャだった。

サシャ「お酒、飲んだ事が全くなかったんですかねー? 普通、匂いとかで分かると思うんですが」

エレン「なんかヤケ酒っぽかったしな。気づいてあえていったのかもしれんぞ」

サシャ「だとしたらちょっと軽蔑しますー。この後、別の仕事あるのに、そういう事したらダメですよ。らしくないですね。ジャン。いつもは真面目なのに」

と、サシャが困った顔をしていた。

787進撃の名無し:2014/08/27(水) 14:34:25 ID:LSFuZO5A0
サシャ「まあ、しょうがないですかね。この場合は。ジャンの荷物はどれか分かります?」

マルコ「ああ、それは僕が持ってくるよ。玄関出る時に渡すから」

サシャ「そうですね。そこはお願いします。後、ジャンをおんぶして帰るのは流石にしんどいので、ジャンの財布から金抜き取ってタクシーで迎えに来て貰いましょうか。電話で予約入れておきましょう」

と、淡々と処理をこなしていく。すげえ。なんか冷静だな。

電話でタクシーの予約を入れてしまうと、サシャは言った。

サシャ「あーなんか、ジャンってアレですねえ。いろいろアレですよねえ」

と、困惑しているようだ。言いたい気持ちは良く分かる。

ミカサ「うん……まあ、そうね。そこは否定できない」

と、ミカサまで頷いている。

サシャ「まさかヒッチにまでフラフラしていたとは思わなかったですよー。3人目ですかね。はあ」

エレン「え? サシャ、お前、ジャンの気持ち、気づいていたのか?」

サシャ「え? まあ……その、ミカサ程の強い感情ではないのは知ってましたけどね。ジャンがたまに、私の事を「気にしている」のは気づいてましたよ」

意外と察知能力高いなサシャ! オレ、てっきり気づいてないと思ってたのに。

コニー「そうだったのか。サシャ、ジャンの事、気づいてたのかよ」

サシャ「はいー。まあ、一応。でも、ジャンの方から告白してくる訳でもなかったんで、スルーしてました。そういうの、いちいち構っていたら面倒臭いですしね。私、こう見えてもそれなりにモテるんですよ? バイト先では結構コナかけられていたし、ナンパもされた事はあります。ミカサ程ではないとは思いますが」

と、ちょっとだけ大人な表情で言うサシャに皆、びっくりしていた。

サシャの意外な側面が見えて、へえええという顔になっている。

788進撃の名無し:2014/08/27(水) 22:08:17 ID:Dg.EJqbs0
ダメだ、現代の高校生についていけねー

789進撃の名無し:2014/08/28(木) 08:56:49 ID:M4XTrOjY0
>>788
純粋なままで居て下さい…。すんません。
というか、自分の高校時代はこれよりもっと酷い修羅場とか……げふげふん。

いや、何でもないです。申し訳ない。昔話はどうでもいいか。

えーここから先、もっと酷い展開が待っているので、
ジャン好きな方は読むの辛いかもしれないです。
先に警告しておきます。すみませn。

790進撃の名無し:2014/08/28(木) 09:13:34 ID:M4XTrOjY0
アニ「そうだったんだ。サシャ、だったら今後もスルーするの?」

サシャ「私の場合、恋愛事は出来るだけ優先したくないんですよね。アルバイトしていた時に思ったんですが、その手のトラブル抱えると、何か起きた場合、女側が辞めさせられる場合が多いんですよ。私も生活かかってますし。もしもの事があったら怖いですし。今のアルバイト、絶対継続していきたいんで、ジャンと拗れるのだけは避けたいんですよね」

エレン「………何か急にサシャが大人っぽく見えてきたな」

アルミン「う、うん……意外な側面だね」

サシャ「そうですか? 私は皆の方が大人に見えますけど」

ミカサ「そうかしら?」

サシャ「はい。こんなにグダグダになっているジャンを皆で心配して介抱してあげているじゃないですか。皆、優しいですよ。社会に出たら、こんなのやったらクズ扱いされて速攻クビか、総スカン食らって退場というか……少なくとも、こんな風に誰も面倒見てくれませんよ? 社会の風は冷たいですから」

と、いきなり社会の厳しさを説くサシャに皆、度胆を抜かれていた。

サシャ「ジャンは恵まれていますよー。周りに。ちょっとその辺、気づいて欲しいんですけどね。鈍感過ぎますよね」

といいつつ、サシャはジャンを突いている。

サシャ「私はまだ残飯処理が残っているので、それが終わってからジャンを回収します。とりあえず、邪魔にならない場所にジャンを移動させて、もし起きたらその時は1人でタクシーで帰らせましょう。起きなかったら、マーガレット先輩の自宅に連れて行きます。それでいいですかね?」

エレン「あ、ああ……それでいいかな」

アルミン「そうだね。残飯処理、まだ残ってるし、そうしよう」

と、皆で方針を固めてジャンを運んだ。端っこに。とりあえず。

でも驚いた。サシャの態度に。あいつ、何か表情が他の奴らと全然違う。

アルバイト経験をしているってだけなのに、こんなに差が出るもんなのかな。

エルヴィン先生が「スキル」を十分持っていると言っていた意味が分かった気がする。

791進撃の名無し:2014/08/28(木) 09:27:39 ID:M4XTrOjY0
ミカサ「驚いた。サシャが1番冷静だった」

ミカサもオレと同じ意見のようだ。

エレン「ああ。オレもだ。サシャって、なんかそういう「ギャップ」があるよな」

ミカサ「うん……普段は明るくて、天真爛漫な印象だったのに」

エレン「そういえば文化祭の時もそうだったよな。やる事サクサクやっていくタイプっていうか、行動が早いというか…」

ミカサ「ユミルもそうだったけど、サシャも凄かった。勿論、アルミンもサポートをしていたけれど、それぞれの役割分担をきっちりこなしていた」

エレン「そういう意味じゃ、オレ、文化祭の時、そんな大した事やれなかったな……」

ミカサ「それを言ったら私もそうなる。受付もちょっとしかやっていない」

エレン「なんか、先を越された気分だな。高校時代にアルバイト、経験した方がいいのかなあ?」

親父は「まだ早い」って言いそうだけど。今のサシャを見ていたら急に自分が不安になってきた。

ミカサ「でもエレンは医者を希望している。両方は無理だと思う」

エレン「ああ、まあそうか。それもそうか」

ミカサ「サシャは、サシャ。エレンはエレン。私は私。そう思わないといけないような気もする」

エレン「んーまあ、それもそうか。欲張り過ぎたらダメだよな」

ミカサの言う通りだな。サシャはサシャだと思う様にしよう。

ちょっと羨ましいと思うけど。オレはオレの道を選んだんだしな。

キース「やれやれ………だから飲酒OKは止めた方がいいと言ったのに」

と、キース先生が愚痴をこっそり零した。

エレン「え?」

キース「ん? いや、何でもない。わたしは何も見ていないぞ」

と、スルーする。どうやら「そういう事」にするようだ。

エレン「そうですね。オレも何も見なかった事にします」

キース「ああ。今日の事は、全員、見なかった。突っ込まれてもそう答えるしかない」

と、キース先生は苦笑いしていた。

キース「しかし毎年毎年、いろんな事が起きるな……教師生活も大分長くなってきたが、今の高校生は可愛らしいな。本当に」

しみじみ言いながら残飯処理をするキース先生だった。

792進撃の名無し:2014/08/28(木) 09:39:48 ID:M4XTrOjY0
エレン「え? 可愛らしいんですか? 今のが」

キース「ああ。可愛いな。わしに言わせると」

ミカサ「どの辺が可愛いんですか?」

キース「なんていうか、…………すまん。差別用語になるかもしれんが「ゆとり」の世代の流れがそのまま流れているように思える」

エレン「ゆとり……ああ、昔は今より厳しかったんですよね。勉強のつめこみが」

キース「凄まじかったぞ。いろんな意味でな。こんな事を言ったら教師失格だろうが、飲酒は大体、10代の頃に済ませてタバコもやっていた奴も多かった。少なくとも今みたいに「騙されて酒を飲まされる奴」なんて一人もいなかったぞ。むしろ進んでこっそり皆、飲んでいた」

だめだろおおおおおおお! いろんな意味でダメだろおおおおお!!!!!

エレン「えええええええどんな青春時代ですかそれ……」

キース「それだけ「不良」や「ヤンキー」が多かった時代もあったんだよ。勿論、勉強の方のつめこみも凄い学校もあったが。恋愛事も四角、五角形の関係とかざらだったし……」

ミカサ「四角? 三角関係じゃなくて、ですか?」

キース「ああ。そういう「修羅場」を経験して皆、大人になっていくんだよ。今のうちに思う存分、「修羅場」を経験しておいた方がいいぞ。それが許されるのは「今」だけだからな」

と、キース先生もリヴァイ先生並みに凄い事を言いだした。

キース「ジャンのような例なんか、まだ可愛い方だぞ。振られた腹いせに他の女に逃げるなんて。振られた瞬間、女を殺しにかかる男とか、そういう人間だって世の中には沢山いるんだからな」

それを聞いてぞっとした。確かに、それはあるかもしれない。

キース「そういう意味じゃ、今の子達は「荒波」に余り慣れていないような印象を受けるな。でも、味わっておいた方が大人になった時に絶対役に立つから、こういう「トラブル」は「いい勉強」だと思っておいた方がいいぞ」

エレン「トラブルが「勉強」ですか……」

キース「教科書では教えてくれない「社会勉強」だよ。サシャも言っていただろ? 「ジャンは周りに恵まれている」と。わしもそう思う。社会に出た時に、そのギャップに苦しまないといいがな」

と、言いながら先生はアルコールの処理をしているようだ。

793進撃の名無し:2014/08/28(木) 09:55:41 ID:M4XTrOjY0
エレン「キース先生もいろいろあったんですか? その……恋愛事のトラブルは」

キース「この年になればいろいろ経験はする。わしはリヴァイ程、モテる男ではないから、あの手のトラブルは抱えた事はないが……」

エレン「聞いちゃダメですかね?」

キース「ん? わしの恋バナを聞きたいのか?」

ミカサ「是非」

ちょっと酔っている今なら聞けるかもしれない。ちょっとだけ調子に乗ると、

キース「ふん……まあ、その、なんだ。教師と生徒の禁断の恋愛、とかな?」

エレン「え、ええええええええ?! あるんですか? キース先生!」

キース「あるぞ。もっとも、当然その恋は叶わずに終わったけどな。でもわしだけではないぞ。教習時代リヴァイがぶん殴ったデニス先生もその「禁断の扉」を開けてしまって、大変悩まれていた」

エレン「え………」

ちょっとそれ、聞いていい話なのかな。なんかまずい気がしてきたけど。

エレン「それ、オレが聞いてもいい話ですか?」

キース「もう時効だろう。デニス先生も退職されたし、当時の生徒も成人していて子供もいる。リヴァイは「セクハラ」として誤解したあの事件は、本当は「恋愛」だったんだよ」

ミカサ「そ、そうだったんですか……」

うわあああああ。衝撃の事実を知ってしまった。

それ、リヴァイ先生知ったら、自己嫌悪に陥るだろ。絶対。

エレン「あの、その事をリヴァイ先生はご存じなんですか?」

キース「勿論、知っておられるよ。そのせいでリヴァイは自分がいかに「馬鹿」だったかを思い知らされて、酷く落ち込んでいた。その時も、ハンジ先生が大分慰めていたからな。そんな風に優しくされたら、堕ちない訳がないだろう?」

794進撃の名無し:2014/08/28(木) 10:18:17 ID:M4XTrOjY0
ミカサ「待って下さい。リヴァイ先生は教習時代のハンジ先生との事は最近知ったばかりです。慰められたのなら、その事情を話された時に流石にお互いの事に気づいてもいいのでは……」

キース「何を言っておる。リヴァイの性格は大体分かるだろ。真相を知った後も、ハンジにはその事は「話さない」状態で落ち込んでいたんだよ。ハンジから見たら「何で落ち込んでいる」のか全く分からない状態だったそうだが……それでも「元気出して」と言われ続ければ、そりゃもう「女神」のような存在にしか見えないだろ」

エレン「ううーん。ハンジ先生、リヴァイ先生をピンポイントで堕としまくっていたんですね。今思うと」

キース「無意識だろうけどな。狙って落とすその手の恋愛ではない。自然と惹かれあってあの形に収まった。時間がかかり過ぎたのが難点だけどな」

と言いつつ嬉しそうにしているキース先生だった。

キース「リヴァイの高校時代の姿を知っているわしから見れば、あやつも大分変わったよ。高校時代のリヴァイは何処か、「死にたがっている」ようにすら見えた。まるで某漫画の白髪のギャンブラーのように。生きる意味を見出せなくて彷徨っていたようにすら思えた。誘われたら女を抱いていたのはただの「現実逃避」だったのか、それとも「贖罪」だったのか。イザベルを亡くした件はわしも再現劇のおかげで初めて知ったが、合点がいったよ。リヴァイの行動はどこか「病的」に見えたし、そこに「恋愛感情」は一切見えなかった。ただ、心の傷を癒す為に人の肌を求めていただけだったんだろうな。今思うと」

エレン「そうですね。それだけ、イザベルって子の死が辛かったんでしょうね」

ミカサ「その気持ちは分かります」

オレとミカサはお互いに片親亡くしているからな。

痛いほど、気持ちは分かる。

キース「初恋のような相手と結ばれた直後に亡くした訳だからな。以後の恋愛事に積極的になれないのも無理はない。それでもハンジという存在がリヴァイの傍に現れて良かったと思う。その縁を結んだエルヴィン先生も凄いと思うが………エルヴィン先生も当時は大変辛そうではあったよ」

エレン「あー……エルヴィン先生、リヴァイ先生の事を本気で好きだった訳ですしね」

キース「ああ。エルヴィンも当初は「そっち」に目覚めた自分に戸惑っておった。自分はどこまで「鬼畜」な人間なんだろう? と笑うしかないと。自分を責めておった時もあったよ。しかし気持ちは分からんでもない。リヴァイは家事能力に関しては女子のそれを上回る。女に産まれていたら、嫁にしたいと思う男は山ほど現れただろうな」

エレン「まあ、家事仕事が出来る女性は魅力的に見えますよね」

ミカサ「そうなの?」

エレン「そういうもんだよ。だからオレ、GWの時、ミカサの家事能力の高さをあんまりジャンにアピールして欲しくなかったんだよ」

ミカサ「そ、そうだったのね……」

エレン「すまん。オレもあの時、もっと素直にそう言えば良かったんだけどな。あの頃はまだ、オレも「揺れていた」時期だったし。決定打は「夏」の事件だけど、本当は出会った当初からミカサには惹かれていたと思うんだ」

と、オレはミカサに言ってやる。

エレン「初めて会った時のハイキック、まだ忘れられないもんな。見事だったぜ。あのパンチラ」

ミカサ「パンチラ?! え……パンツ見ちゃったの? エレン」

エレン「見えちゃったんだよ。しょうがねえだろ。見えちゃったもんは……」

ミカサ「は、恥ずかしい……(真っ赤)」

キース「はははは……お前たちは「パンチラ」が切欠に恋に堕ちたのか。可愛いカップルだな」

エレン「いや、まあ、オレの方はそうってだけですけどね」

ミカサ「もー! (ドン!)」

と、軽く1度叩かれてしまった。恥ずかしがってるけど、嫌ではないらしい。

795進撃の名無し:2014/08/28(木) 10:55:03 ID:M4XTrOjY0
キース「仲良くやっているようだな。2人は」

エレン「はい。恋人ですし、家族でもありますから」

キース「ふむ。今が1番いい時期だからな。思う存分、楽しめよ。「青春」を」

エレン「はい!」

そしてようやく残飯処理が終わって体育館を全て片付けて解散となった。

何だか怒涛の一日だったような気がするが、キース先生に言わせたら「可愛い」もんらしいから、あまり深く考えないようにする。

多分、未来にはもっと恐ろしい「修羅場」が待っているのかもしれない。だからいちいち落ち込んでいたりはしていられない。

キース先生に言われて気づいた。確かに「振られた腹いせ」に「相手の女を殺す」男だって世の中には沢山いる。

その言葉にハッとさせられた。オレ、もっとミカサの事をちゃんと守らないといけないと思ったんだ。

ジャンがヘタレな奴で幸いだった。他の女に逃げる程度の「優しい」奴だったんだからな。

オレはそう思いながら、疲れた体を引きずって、でも不思議な高揚感を持ちながら玄関まで移動した。

皆、思い思いに今日の出来事を振り返っているようだ。

ジャンはまだ起きない。マルコとアルミンが支えてタクシーに乗せてサシャとマーガレット先輩と一緒に乗り込んでいた。

マーガレット「いやー今日のジャンの事件、母の読み切りの漫画のネタにさせて欲しいくらいだわ。ふふふ……」

エレン「ゲスいですよ。先輩」

マーガレット「まあね。私、元々ゲスいから。にしし」

と言いつつ笑いながらジャンを回収していった。

マルコはミーナと一緒に帰るようだ。皆、それぞれ思い思いに帰って行く。

ライナー「うむ……ジャンの奴はその、アレだ。いろいろダメな部分もあるが、根は悪い奴じゃない筈だよな? 多分」

と、ライナーが戸惑っていた。

エレン「あー今は何か迷走しているみたいだけどな」

ライナー「ふむ……いやしかし、流石にヒッチに流れるとは予想もしていなかったぞ。大丈夫なのかあいつは?」

と、優しい気質のライナーが額に汗を掻いて心配している。

ベルトルト「ううーん。ヒッチは流石に僕も無理かな。狙われたら怖い……(ガクブル)」

と、うっかり想像して怯えるベルトルトがちょっとだけ可愛かったな。

アニ「あーでも今回の件は私達も責任あるんだ。けしかけたの、私達だし」

アルミン「うん……正直、今頃になって罪悪感が沸いてきた。エレンが前に「悪い方に転がったらどうするんだよ。目も当てられないだろ」みたいな事言ったけど、当たってたね。エレンの判断の方が正しかったのかもしれない」

エレン「いや、それも結果論だから気にしちゃダメだろ」

796進撃の名無し:2014/08/28(木) 11:13:51 ID:M4XTrOjY0
アルミン「そうだけど……」

エレン「まあでも、大丈夫じゃねえか? 多分。サシャの方が冷静だったし、そこまで酷い事にはならないんじゃねえか?」

コニー「いやーどうだろうな? オレ、今のジャン、危ないと思うぜ。いろいろと」

エレン「そうか?」

コニー「うん。振られた直後って、不安定になるからな。オレも経験あるし」

アルミン「え? そうなの?」

コニー「今の彼女と、喧嘩して別れてまた復縁して……って経験あるからな。夏の甲子園の前後でさ、ちょっと野球部の練習が忙しくなりすぎて音信不通になりかけた時に、修羅場を1度、経験したんだよ。「放置し過ぎるな!」ってさ。それからはメールだけでもマメに連絡入れるようにしたし、電話は毎日1本入れるようにした。会えないけど、そういう「ツール」を使ってでも繋がっておかないと、あっという間に崩れるんだなって思ったしな」

エレン「コニーですらそういう経験あるのか」

コニー「オレの場合は感覚的には「遠距離恋愛」に近いもんなあ。練習と恋愛の両立って結構難しいんだなって思った。その代わり勉強は完全におざなりだけどな。にしし」

エレン「コニーの場合は来年はもう10組決定みたいなもんだな」

コニー「だと思うぜ。別にいいよ。勉強しようと思ってここに入った訳じゃねえし。まあ、皆と進路別れるのは寂しいけどな。でも会おうと思えば同じ学校だし、会えるし」

と、コニーは笑っている。

コニー「多分、オレとサシャは10組になるのはほぼ確定じゃねえかな? サシャも進学は希望してねえもん。就職優先で考えている筈だし。最悪の時は親父さんの家業の手伝いでいいって言ってたしな」

ユミル「あーそれ言ったら私も10組になるかもしれん。就職希望だし」

エレン「え? ユミル、大学行かないのか?!」

ユミル「ああ。大学はちょっと、後回しにしようと思ってる。社長になるなら、一番最初に必要なのは「社会勉強」だろ? まずは1回就職して仕事してみて、金を貯めまくってから、必要な大学が出てきたらその時点で大学に行く。順番が皆とは逆だけど。そっちの方がいいと思ってな」

エレン「へーそうなんだ」

クリスタ「うん。私も10組寄りになるかも。高校卒業したら、芸能プロダクションを受けようと思ってる」

ミカサ「芸能人になるの?」

クリスタ「成れるかどうかは分からないけど、1度挑戦だけはしてみようと思うんだ。ダメだった時は、またその時に考えるよ」

アルミン「だったら演劇部の方に加入したらいいのに」

クリスタ「お誘いは嬉しいけど、今は野球部のマネージャー業があるからね。あんまりフラフラするのも印象悪いし……演劇も楽しかったけど、私の場合は出来れば「バラドル」方面で考えているんだ」

アルミン「バラドル?! えええええ?! 全然そんなイメージないよ?!」

クリスタ「そう? 私、お笑い番組とかも好きだよ? 人を笑わせる職業って最強の「サービス業」だと思わない?」

ユミル「まあ、クリスタの場合は「天然ボケ」路線か、「小悪魔系」か、その辺になりそうだけどな」

と、皆思い思いに未来を漠然と考え始めたようだ。

797進撃の名無し:2014/08/28(木) 11:37:28 ID:M4XTrOjY0
アルミン「そうなんだ……バラドルかあ……」

クリスタ「イメージ崩れちゃった? でも私、根はこんな感じだよ? 無理やりお酒飲まされたり、熱湯風呂にだって入ってもいいと思ってる。ちょっと古いネタだけど。お笑いの司会者にいろいろ弄られたりしてみたいな。テレビ観るのは元々好きだし、勉強の方も下から数えた方が早いしね。あと、ユミルとも同じ方向になるし。そっちがいいかなって思って」

アルミン「あううう……」

アルミンも落ち込んでしまった。ジャンと似たような運命になったみたいだな。

クリスタ「まあ、ダメだった場合はしょうがないけどね。其の時はユミルのところに転がり込んで、一緒に暮らそうと思ってる。いいよね?」

ユミル「むしろ最初から一緒に生活してもいいと思ってるけどな」

えええええええ?!

まさかの「同棲」宣言にオレは驚いた。あ、いやここでは「友人同士」のフェアの意味かもしれんけど。

アニ「アルミンは結局、医者と弁護士、どっちの方向で考えているの?」

話題を変えようとアニが言った。すると、

アルミン「あー…何か調べれば調べる程、僕って弁護士の方が向いている気がしてきた。確かに医者も魅力的ではあるんだけど、医者の場合は「体力」の方面で不安が出て来たね。僕、風邪とかしょっちゅうひくし、医者の不養生になりかねないなあと思ったから、今は弁護士の方で考えているよ」

アニ「じゃあ、いつかアルミンの『異議あり!!』が見られるかもしれないね(ニヤニヤ)』

アルミン「いや、アレはゲームの話だからね?」

と、言いつつ苦笑いしているアルミンだった。

ミカサ「アニは結局、看護師を目指すの?」

アニ「うん。成績も問題ないし、何より「安定」と「金」が魅力的に見えたからそっちで行こうと思ってる。針とかもぶっさすの、好きだし、いいかなって」

エレン「ドSか……」

アルミン「ドSですね」

ライナー「ドSだな」

ベルトルト「………(赤面中)」

アニ「ん? 何の事? 私、ドSじゃないよ? 白衣の天使になるよ? (ニヤニヤ)」

エレン「いや、アニの天職のような気がするな。うん」

アニ「エレンは結局、どうなったの?」

エレン「オレか? オレは……成績次第だな。医者を目指すけど。もしかしたら浪人しないとなれないかもしれない」

ミカサ「そうなの?」

エレン「2〜3回は浪人するのが当たり前の世界らしいから。親父も1回浪人してから医者になったって昔言ってたしな。親父の場合は、医者を目指した時期がちょっと遅かったから、仕方ないって言ってたけど。高校3年の春からだったかな? 本格的に勉強をし始めたのは。1年と2年の頃は進路が見えなかったせいで遊んでしまったから、そこから驚異的に勉強して、実質2年間で成績を上げて医学部に受かったらしいから」

ミカサ「努力の人なのね」

798進撃の名無し:2014/08/28(木) 12:17:26 ID:M4XTrOjY0
エレン「みたいだな。オレも勉強頑張らねえとな。下の方でもいいから、ギリギリでもいいから入れてくれる医学部探さないといけないな」

アニ「ミカサは結局、どうしたの?」

ミカサ「私も医者になる。エレンと同じ方向にする」

アニ「そうなんだ。じゃあいつか、一緒の職場で働けるかもしれないね」

ミカサ「そうなるといい」

ベルトルト「皆凄いなあ」

と、遅れてベルトルトが発言した。

ベルトルト「僕はまだ、なんとなくエルヴィン先生に勧められた「秘書」関連の仕事を見ているだけなのに」

ユミル「秘書でいいんじゃねえか? ベルトルさんはそういうの得意だろ?」

ベルトルト「なのかな? まだ自信はこれっぽっちもないけどね」

と、消極的だけど、ベルトルトもそんな風に話して皆、解散していった。

長い1日が終わり、自宅に帰り着くと、一気に疲れが出てきた。

やべええ。風呂に入る気力がねえ。

長丁場の演劇だったからな。というか、本当は1時間半の予定だったのを「直前」で「追加シナリオ」入ったせいで、こんな状態になったんだ。

何で追加シナリオ入れたのかは、その理由は劇中を見て貰えば大体は分かると思うけど、リヴァイ先生は今回の劇で本当に「リヴァイ・アッカーマン」を捨てる覚悟を決めたそうだ。

自分が恥をかくことで、幻想をぶち壊せるなら。

それでハンジ先生を守れるならば、捨てると言い切ったんだ。

だから、直前になって「もう少し恥の上乗りをする」と言ってエピソードを完成させて追加を入れた。

正直、エルヴィン先生はそれを見て「無茶ぶりするねえ」と言ってたけど、シナリオを読み終えてから即座に「追加しよう」と言い出したんだ。

まあ、この時のやりとりがあったから、エルヴィン先生が「どうせやるならアレもこっそりやろうか」となり、OKを出した。

リヴァイ先生が憤死したシーンだな。あのシーンに関してはミカサはずっと「やりましょう」と推していたから決まった時はすげえ喜んだな。

そんな訳で怒涛の12月だった訳だ。あーもう、疲れて超眠い。

布団敷いて、その上に寝た。もう何もしたくねえ……。

と思っていたら、

ミカサ「エレン、おやすみのキス……」

エレン「眠い……ミカサからしてくれええ」

ミカサ「あらら……じゃあ遠慮なく」


ぶちゅうううううう


エレン「?!」

すげえキスがきた。おいおい! ちょっと! バキュームじゃないんだから!

エレン「ん………おい、ちょっと待て! おい、ミカサ?!」

ミカサ「ん……」

エレン「んー……こら、もう……」

ダメだ。ミカサが発情モードだ。でもオレも疲れているんだけどなあ。

どうするかな。眠いのと理性と本能がごちゃ混ぜになって、意識が虚ろになる。

こういう時って、どうするべきかな? 眠気を優先するべきか、ミカサを優先するべきか…。

799進撃の名無し:2014/08/28(木) 12:26:53 ID:M4XTrOjY0
ミカサ「うふふ……エレン、眠そう」

エレン「眠いよ。今日は1日疲れたよ。ミカサは疲れてないのか?」

ミカサ「全然。むしろ興奮している。劇の興奮がまだ体に残っている」

エレン「あー『仮面の王女』の時のオレみたいだな」

ミカサ「そうなの?」

エレン「オレも主演を演じた直後はなんかふわふわしていたからなあ。その勢いで告白したようなもんだし」

ミカサ「そうなのね。だったら突然、告白されたのも頷ける」

エレン「…………今、したいのか?」

ミカサ「ちょっとだけ。でも疲れているなら無理は出来ない。冬休みにも入るし、焦る必要はないので、今日は一緒の布団で寝るだけにする」

エレン「汗臭いけどいいのか? 風呂入る気力ねえけど」

ミカサ「いい。私も風呂には明日入る。この匂いに包まれていたい……」

あ、ミカサがスリスリしてきた。可愛いなあ。

そうだな。また明日もある。今日はとりあえず、1回寝よう。

そしてまた、明日考えよう。明日は明日だ。うん。

エレン「おやすみ……」

半分眠った状態で、オレはミカサにそう言って、一気に深い眠りについたのだった。

800進撃の名無し:2014/08/28(木) 12:41:38 ID:M4XTrOjY0
やっと怒涛の冬公演編が大体終わりました…。


あとちょっと気になった事があるんで安価、ではないんですが、
今後の展開について相談を。

ペトラがハンジ先生をぶったり、エレンが変態の道へ覚醒(笑)したり、
ジャンが迷走したり、読者にとって「心臓に悪い」展開がきた時に、
意見を下さるのは有難いのですが、
私の場合、そこに重要な「伏線」を張っている場合も多々あるので、
(特にペトラの時がそうでした。オルオ×ペトラの大事な伏線だったので)
その辺のツッコミ自体は有難いんですが、
今後はどうしていったらいいか迷っています。

一応、今回は「ジャン」が中心に今後は展開していく予定ですが、
正直言って、ジャン好きな方には本当にしんどい展開になります。
なので、一応今回は「予告」させて頂きましたが、
あまりに「予告」ばかりすると、物語を読む上での「面白さ」が欠けていくのも否めません。

驚かすよ? って言いながら「わ!」って大声を出すようなもんです。
それって確かに「安全」ではあるんですが、面白さが「半減」しないかなー?
という懸念もあるので、今後どうするべきか迷っています。

ここの板は若い方が多いのは分かっているんですが、
この物語、正直言えばまだまだ「ぬるい」です。本気出して書いてないです。
だから読者を置いてけぼりにする可能性もあるんですが、
もうちょっと「手加減」入れた方がいいんですかねー? 迷います。

進撃の巨人読み慣れている読者層なら「しんどい」展開大丈夫かなー?
と甘く見ていた私が悪かったとは思いますが、
今後、「しんどい」という意見が多い場合は、
展開をちょっと変更していくかもしれません。

なので、その辺は「どの程度」までなら大丈夫なのか知りたいので、
もし意見があれば↓にどうぞ。宜しくお願いします。

特に何も意見がなければ、現状維持で進めます。ではまたノシ

801進撃の名無し:2014/08/28(木) 13:06:35 ID:JSGR5vys0
エレンとミカサが仲よい展開がやだ
現実に男が拒絶してるカップルは険悪ですぐ別れる
現実にエレンとミカサが居たらミカサの方が突然裏切ると決まってる

諌山先生はミカサのことを考えてない
拒絶するエレンがすごく好きなわけ無い
ミカサは現実にありえない女

ミカサはエレン以外とくっつけてあげたほうがいいよ

802進撃の名無し:2014/08/28(木) 14:13:57 ID:0RpbX3xc0
エレンとミカサが仲良い展開がいやってもともとエレミカスレだよな?ここ

別に作者の好きにすればいいと思う。自分はエレミカのためだけに見てるしそれぞれ好き勝手みてるんだから

803進撃の名無し:2014/08/28(木) 16:01:06 ID:56L0eawk0
エレンが変態なのはこのシリーズではない別の話でもやってたから気にならんな
>>1の好きなようにするといいよ

>>802
この人は多分他のスレでも見かけた変な人だから気にしない方がいい
エレンはミカサを拒絶してるとか、エレアニとジャンミカがいいとか言ってる人だから

804進撃の名無し:2014/08/28(木) 17:11:11 ID:Wh0xcIoI0
自分は若くはないどちらかというと先生世代に近い(汗)読者だが、
基本的に作者の好きに書いてくれれば良いと思っている。
以下はまぁ、一感想として読み流してもらえればありがたい。

正直に言えばここのところの怒涛の展開は自分の高校時代とはかけ離れているし、
性や恋愛に貪欲な生徒や修羅場を肯定的に勧める先生方にはびっくりしているが、
世の中にはこんなこともあるんだろうさと思って読んでいる。
ありていに言ってしまえば、時代・地域・レベルによって取り方は様々としか言いようがないかと。
それが合わなければ自然と離れていく、匿名掲示板なんだからそれで良いのでは。

でも自分は>>1の真摯に読者に向き合う姿勢に敬意を表しているし、
ストーリーテリングの巧みさにも感服しているので、今後も楽しみについていかせてもらうよ。

805進撃の名無し:2014/08/28(木) 17:40:16 ID:M4XTrOjY0
意見沢山ありがとうございます。
実は一番懸念していたのは>>801さんの言われる

エレンがミカサを拒否する展開

の展開を入れるべきか入れないべきか迷っている段階です。
2人にとっての最大の「試練」が未来で待ってる状態ですが、
これ書いちゃうと、エレミカ好きにとって一番「しんどい」
かなーと思って、そこんとこどうしようか迷ってました。
ジャンの「しんどい」展開よりも「更にしんどい」かもしれないんで、
そこはやめるべきか、否か、ぬるい方でいくべきか、
キレキレでいくべきか………。

まだそこまでの展開に時間があるので、
その辺は調整しながら決めていきますね。

ご意見、ありがとうございました!

806進撃の名無し:2014/08/28(木) 17:55:49 ID:JSGR5vys0
エレンに拒絶されたミカサが拒絶されてもエレンが好き
そういうカップルはおかしい
金目当てとか暗殺目的だよね

ミカサにとってエレンは実の弟だけどエレンにとってミカサはただのストーカー
この食い違いで成り立ってる

807進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:11:44 ID:M4XTrOjY0
あと自分が「ぬるい」と言っているのは、
講談高校の殆どの先生方を「理解ある大人」として描いている点です。
実際の先生達はこんなに「いい先生」ばっかりじゃないですしね。
酷い先生達もいっぱいいました。人として。
でも、いい先生もいました。まさに社会の縮図だと思います。

あと実は自分の周りには「ヒッチ」みたいな「ビッチ」が普通にいたんで、
高校生もピンキリです。
マルコとミーナのようにさくっとカップルになっちゃう2人もいたし、
リヴァイ先生とハンジ先生ばりに「まだくっつかないのかよ!」
と言いたくなるようなカップルもいたし……。

まあその辺は、多少の脚色も加えて、現実と空想をうまい具合に
ミキシングして面白おかしく書いていこうと思っています。

808進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:35:17 ID:SoU.m1nU0
講談高校の先生たち、いい先生かはビミョー
確かに「この生徒たち」にとっては「理解ある大人」なんだろうけど
価値観は色々やね
面白いからいいやw

809進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:44:56 ID:M4XTrOjY0
>>808
いあ、自分の学生時代の頃に比べたらの話です。あくまで(笑)。

曲者ぞろいの先生達なので、
ある意味じゃ校長先生の胃痛の種になっていそうですけどね。

810進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:50:36 ID:JSGR5vys0
ミーナはサムエルと抱き合ったり並んで歩いてるので公式ではサムエルの彼女では?

高校時代に遊んでおいたほうがいいよね。充分理解ある大人だよ

811進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:59:16 ID:M4XTrOjY0
>>810
すみません。そこは見逃していました。
ではマルコにも「青春」を経験させないといけないですねー。にしし。

812進撃の名無し:2014/08/28(木) 18:59:21 ID:JSGR5vys0
私の高校時代はまさに進撃そのものだったよ。

リヴァイのようなイケメンは必ずと言っていいほど内面に問題があり、ハンジさんのようなへんなひとと付き合ってる
イケメンのエレンはいじめにあってるし
クリスタのようなかわいい子はライナーやダズのような不細工と付き合ってるし、隣にユミルのようなボディーガードが付いてるし
存在感無のマルコのような子は事故死したり転校したり
アルミンのようなゲスが毎日皆にこっそり陰湿で姑息な復讐してるし…
懐かしい日々だったよ。

813進撃の名無し:2014/08/28(木) 19:06:30 ID:JSGR5vys0
エレンてアニ好きだし
諌山先生はB専なのでは?
もちろんミカリンも好きなんだろうけど
ミカりンはあんんまりかわいくないよね

マルコの相手はクリスタかサシャかミカサ

マルコはクリスタの隣に座ってるし
ミカリンとしゃべってるし
サシャに褒められて頬染めてるし

814進撃の名無し:2014/08/28(木) 20:22:27 ID:h5NBsT5c0
すみません。
これ以上はちょっと雑談になってしまうので、ここまでで打ち切ります。
雑談苦手な方もいらしゃるので、これ以上は自重して下さい。

次は「ジャン」にスポットが当たります。
いろんな意味で「イタイ」青春をさせるので、
ジャンのファンの方は覚悟を決めておいてください。すみません。

815進撃の名無し:2014/08/30(土) 18:24:57 ID:/SNFqRtU0
キレキレでもぬるくても>>1にどこまでもついてくよ

816進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:00:07 ID:j6jKiycY0




12月26日。怒涛のクリスマス公演が終わった次の日。

俺は朝目が覚めてからまだ暫くは「ぼー」としていた。

ミカサもまだ寝ている。何だろうな。この変な感じは。現実に帰ってきたような感じとでもいえばいいのかな。

すげえ長いシナリオのRPGゲームをクリアした直後の、エンディングを見終わった後のような虚脱感に近いかもしれん。

とにかく疲労感があるんだけど、精神的には満たされているような。そんな感じだ。

今日はどうしようかな。冬休みだし。部活の方はどうなるんだろうか。

ジャンに確認するべきだろうか。でも昨日の今日だし連絡してもいいんかな。不安だ。

もしかしたら今日は部活の方も「お休み」になるかもしれない。

まあいいや。とりあえず困った時はアルミンに相談だ。電話してみよう。

アルミン『はいはい。おはよーエレン』

エレン「おはよー。今日は部活どうする? 一応学校行った方がいいんかな?」

アルミン『あーそう言えば何も決めてなかったね。どうしよっか。一応、学校に行ってみる?』

エレン「部活はいつも午後からだから、飯食ってから一応、集まってみるか。アルミン学校来るか?」

アルミン『うん。いいよー。昨日の反省会もしたいしね。集まろうか』

という訳で昼飯を食べてから身支度してオレとミカサとアルミンはとりあえず学校に行ってみる事にした。

公演が終わった直後だから特にやる事もないんだけど。

音楽室に行ってみると、そこにはいつものメンバーが先にわいわい集まっていたんだけど。

ん? 何だ? 何か空気が重いな。どうしたんだろう?

アニ「あー………参ったね」

先に音楽室に来ていたアニが渋い顔をしていた。

エレン「ん? どうしたんだ? 何かあったのか?」

マルコ「ジャンがまた、いろいろやらかしたみたいだ」

エレン「え?! あれ以上のこと、何かやらかしたのか?!」

というかジャンの姿がないな。まだ来てねえのかな。

ペトラ「ええっと……うん。ちょっとジャン、猛省中らしいよ」

と、3年の先輩達も全員集まってくれている。

エレン「何が起きたんですか……?」

マーガレット「あーうん。どうしようか。この問題、どこまで人に話していいのかな」

スカーレット「まあうちらは部外者だけどさ。一応知っておいた方がいいかもよ」

マーガレット「かなあ? まあここまで来たからには仕方がないか」

と、腹をくくったみたいだ。

817進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:00:49 ID:j6jKiycY0
マーガレット「んー……ジャン、今度はサシャと修羅場った」

エレン「………は?」

何だって? どういう事だ?

マーガレット「昨日のさ、ジャンの様子が変だったじゃない? 昨日はうちの仕事、締切前とはいえ、余裕のある感じだったからそこまで切羽詰ってなかったのが幸いだったけど。それでもやっぱりさ、仕事持っている状態で酒飲んで仕事にならない状態になっていたジャンに対して、サシャもイライラしていたみたいでね。ジャンの酔いが結局、朝まで醒めなかったんだよ。うちの母は「まあこういう事もあるよ」って笑って許していたけどね」

そうなのか。その辺はやっぱり大らかなお母さんなんだな。

マーガレット「で、朝から酔いが醒めてから、ジャンが我に返って平謝りしてくれたんだけど。サシャがそこで「酒だと分かって飲んだのか」「そうでないのか」を確認したらしいんだよね。そしたらジャンは「分からない」と答えたの。どうも途中から味が急に「美味しい」って思って飲んだらしくて。何か変だなって思いつつ飲んじゃったんだって。あの時はジャンもほら、冷静じゃなかったし。味の違いに気をつける余裕がなかったんだろうね。だから「酒かもしれない」と思いつつ飲んだようなそうでないような。曖昧な状態だったんだって。だから私、其の時に朝からすぐ、エルヴィン先生にメールで聞いてみたんだよね。ジャンに飲ませたお酒の値段は1本いくらの奴ですか? って。そしたら「1本500万の高級のやつ。自分用にたまに飲んでいるやつだよ」って返事が来て、母に確認したら「そら気づかないわ! 美味過ぎて素人にはお酒だと分からないくらいの美味い酒だったんだね」って言っていたから、恐らくジャンは本当に「分からない」状態で飲んだと思うんだよね」

まあ、エルヴィン先生ならそれくらいの高級の酒を飲みそうだよな。

マーガレット「でも、サシャの方はその返事に対して「ジャンって仕事を舐めていませんか?」とか「ジャンはぬるい。ぬるすぎです」とキレだして、口論になっちゃって。サシャ曰く「怪しい」と思った時点で飲むべきじゃなかったと言い出してね。まあサシャの方が正論なんだけど。その言葉にジャンもカッとなってしまって、「アルバイトなんだから別にいいだろ!!」って言い返して、サシャがジャンをぶん殴った」

ひええええええ……サシャ、すげえな。

あいつ、仕事に関してはすげえ真面目なんだな。さすがアルバイターだ。

マーガレット「まさか私もサシャの方がジャンに手出すとは思わなくてね。慌てて止めに入ったけど。サシャはその後、先にうちの家を出て行ってしまって……ジャンも一応、自宅には帰ったけどさ。母も母で「参ったわね〜」と困惑してしまってね。母は「まあ騙されて飲まされたのならしょうがないわよ」っていうダメ親だからいいんだけど。どっちかというとサシャが今、一番キレていて、どうしようもない状態になったんだ」

うわああああ……なんか凄まじい事になって来たな。

どうすんだ。コレ。もうどんどん事態が悪化していく一方じゃねえか。

アニ「どうしよう……軽はずみな気持ちで煽るんじゃなかった」

アルミン「うん。何か話を聞けば聞くほど罪悪感が……」

マルコ「だね。ジャン、今日はこっちに来ないかもしれないね」

ミカサ「……………」

ミカサの落ち込みっぷりが酷い。

今回の騒動の原因は「自分」だと思っているようだ。

エレン「ミカサ。自分を責めるな。これはお前のせいじゃねえ」

ミカサ「でも……でも……!」

エレン「けしかけたのはオレ達だ。これはもう「連帯責任」だと思う。お前の責任じゃねえよ」

アニ「うん。ミカサ、絶対自分を責めないで。これは私達「全員」の責任だよ」

アルミン「うん……ミカサは全然悪くないよ。悪いのは僕達だ」

ミカサ「うううう………」

と言ってもミカサも責任を感じているんだろう。

でもこればっかりはどうしようもねえよ。ミカサはジャンの気持ちには応えられないって判断したんだから。

遅かれ早かれいずれは決着をつけないといけなかったんだ。

それがたまたま「昨日」だったってだけで、避けて通る事は出来なかったんだから。

ペトラ「ねえねえ。その……けしかけたとか何とかって何の話?」

と、ペトラ先輩が首を傾げた。

818進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:02:03 ID:j6jKiycY0
オレはアルミンに目で合図して、頷いたので事の流れを大体話す事にした。すると、

ペトラ「あちゃー……なるほど。そういう事だった訳ね。通りでジャンの様子が何かおかしいと思ったわ」

オルオ「エルヴィン先生にけしかけたらそりゃあ強引な手を使うに決まっているだろ」

エルド「あの先生、その手の「トラップ」仕掛けさせたら容赦ねえぞ」

グンタ「うまくいく場合はいいが、それで失敗して破局したカップルもいるんだぞ」

エレン「ああ、やっぱりそうですか」

だろうな。何でもかんでも「成功」する訳ねえもんな。

リヴァイ先生とハンジ先生のアレだって、成功したから良かったものの。

失敗する可能性だって十分にあった筈だ。

ペトラ「ううーん。あんまり人の恋路に茶々入れるのは良くないって事よね。これを教訓にしてもう今後はあんまり首を突っ込まない方がいいわよ」

アルミン「そうですね。身に沁みました」

オルオ「ああ。こういうのってなる様にしかならねえって」

ペトラ「うん……ジャンは根は悪い子じゃないから余計に可哀想ね」

エレン「あいつ今、どうしてんだろな……」

どん底に堕ちていそうだな。大丈夫かな。

今回の件はあいつ自身が悪い部分も勿論あったけど、不可抗力の部分もある。

キーヤン「あー……そっとしておくしかないんじゃないんですかね」

カジカジ「うーん。今、下手に触るとますますこじれそうだよね」

マリーナ「そうだね。デリケートな問題だし…」

と、カジ達まで心配してくれているようだ。

アーロン「どうしようもない感じだな」

エーレン「うーん。本当に困ったね」

と、皆思い思いにジャンを心配していた。

あいつ、意外と愛されていたんだな。こんな事態になってもジャンを責める奴がいないのか。

アニ「…………サシャと仲のいいユミルとクリスタの助けを得た方がいいかもしれない」

アルミン「え? 2人にも話すの? 事情を」

アニ「でないとますます拗れるんじゃないかな。余計なお節介かもしれないけど」

マルコ「でも、2人は野球部のマネージャー業で忙しいんじゃないかな」

アニ「うん。だから部活が終わってから夜、ちょっと時間を作って貰って話すしかないね」

と、話していたその時、

819進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:02:59 ID:j6jKiycY0
クリスタ「ごめーん。昨日の演劇で使った衣装、間違えて家に持って帰っていたから返却しに来たよ」

と言ってクリスタとユミルが音楽室にやってきた。

アニ「あ、丁度良かった。2人、今、時間ある? ちょっと話したい事があるんだけど」

ユミル「ん? いいけど。どうした?」

と、いう訳で、アニが一通りの事情を2人に大体説明した。

するとその説明で「なるほど」という顔をした2人だった。

ユミル「なんかジャンの様子がおかしいと思ったらそういう事だったのか」

クリスタ「お酒、エルヴィン先生のと間違えて飲んじゃったんだね」

アニ「まあね。その……けしかけたのは私達だし、エルヴィン先生もきっとジャンの為を思ってした事なんだとは思うけど、今回はその、失敗して拗れちゃったんだよね。サシャが今、キレてるらしいからどうしたもんかと思って」

ユミル「ううーん。サシャがキレたっていうのは珍しい事かもしれんな」

クリスタ「そうだね。サシャは滅多にキレないよ。でも、そういう事情ならキレてもおかしくないかも」

ユミル「だな……あいつ、金を得る為なら超真面目に働くタイプだ。だからそういう「いい加減な態度」の従業員と揉めた事あるって前にも言ってたな」

クリスタ「そうそう。やたらナンパばっかりして仕事しない男とか」

ユミル「そのくせ、悪いのは女の方みたいな扱いされて店長と揉めた事もあるって言ってたしな」

エレン「そうなのか………」

ユミル「従業員同士のトラブルも結構あるぞ。真面目に働く奴ばかりじゃねえからな。その分、真面目な奴が負担を負う場合も多い。サシャはその辺「シビア」な考え方だから、仕事に対する姿勢が悪い奴はすげえ毛嫌いするぞ」

うわああ……ジャンの奴、どんどん好感度が下がっているな。

ユミル「ううーん。でもこの場合って、ジャンは本当に「不可抗力」なんだよな? ジャンは「分からない」って言ってたなら、わざとじゃないんだろ?」

エレン「らしいぜ。そのエルヴィン先生が飲んでいた酒は1本500万くらいする奴らしくて、素人だと区別出来ないくらい「美味い酒」だったらしいし」

ユミル「だったら尚更、そこまでキレるのも「妙」だな」

アニ「え?」

ユミル「いや、だって……わざとじゃねえんだろ? そりゃ「わざと」だったらサシャがキレるのも頷けるんだが、わざとじゃねえんなら、流石にそこまで「キレる」のはおかしくねえか? サシャはそこまで度量のない女じゃねえよ?」

クリスタ「そうだよね。「人間だからミスはあります!」が口癖だったし」

ユミル「フォローし合うのは当たり前だって言ってたしな。チームでやる場合は。そういう部分を「許す」のも仕事のうちだとも言っていた。いちいち気にしていたら仕事にならんからな。仕事はその日だけの物じゃねえし。次の日にはまた「新しい仕事」が舞い込んでくるから、気持ちの切り替えが大事だって、いつも言っていたのに……」

そうなのか。なるほど。確かにそれは一理あるな。

ミカサ「もしかして、だけど」

其の時、ミカサが口を挟んだ。

820進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:04:38 ID:j6jKiycY0
ミカサ「サシャの中に「ジャン」への嫉妬の感情があったのかしら?」

エレン「え? どういう意味だ?」

ミカサ「サシャは「ヒッチ」とジャンのキスを見てしまっている。その「苛立ち」のせいで冷静でいられなかったのだとしたら、その……キレたのも頷けるんだけど」

と、言い出すと一同は「!」を合わせて驚いた。

アニ「え……その可能性、あるのかな?」

ミカサ「分からない。あくまで「可能性」だと思うけど。普段のサシャらしくないのだとしたら、そこに「嫉妬」の感情が混ざっているような気がする」

恋愛経験値のあるミカサが言うんだ。これは案外、当たっているかもしれねえぞ。

するとそこにペトラ先輩も頷いて、

ペトラ「あり得るかもしれない。サシャの中でジャンへの気持ちがどの程度あったのかは分からないけど。少なくとも「同僚」としてそれなりに「尊敬」している男が他の女とキスした挙句、仕事もまともに出来ない状態になったら、いろんな意味でイライラするかも」

エレン「それって、サシャの潜在意識の中に「ジャン」への想いがあるかもしれないって事ですか?」

ペトラ「少なくとも、もしもオルオがジャンと同じ事したら私もサシャみたいにオルオをぶん殴ると思うしね」

オルオ「俺はそこまで馬鹿な真似はしねえよ」

ペトラ「分かんないわよ? 酒に泥酔すれば。リヴァイ先生だってお酒で多々失敗してきているし?」

オルオ「ううーん……」

と、オルオ先輩も微妙な顔をしている。

オルオ「まあ、それをあえて「仮定」として考えるのであれば、サシャの「苛立ち」は「泥酔した事」じゃなくて「自分以外の女とキスした事」に対する苛立ちかもしれないのか」

ミカサ「可能性はあると思います」

オルオ「ううーん。でもだとしても、この場合、どうやったらサシャって子の「怒り」が鎮まるんだ? ジャンがサシャに謝ってもどうにもならん気がするぞ」

エレン「そうですね。というか、本来ならマーガレット先輩のお母さんが「叱るべき」場面だと思うんですが」

マーガレット「あーごめんね。その辺、うちの親、緩いからさ。うん」

スカーレット「ダメ親だよね」

マーガレット「本当はけじめつけさせる為にも叱った方が良かったんだろうけどね。そしたらサシャの気も済んだかもしれないけど。でもうちの親、そういうの苦手なのよ。自由人だから」

エレン「そうですか………」

マーガレット「漫画家ってそういう「普通の感性」の人間じゃないからやれる職業でもあるんだよね。所謂世間のはみ出し者というか……一般の社会の常識の世界で生きている訳じゃないからさ。その辺は本当に「個人主義」で生きているのよ。だから先生によってはジャンみたいな事をやらかしたら「速攻クビ!」っていう先生も勿論いるよ? でもうちの場合は、そういうのやったら、アシスタントに「来てくれる若者」がいなくなっちゃう恐れもあるし。だから多少のトラブルは大目に見ているんだよ。勿論、許した理由はそれだけじゃないけどね。普段からジャン、真面目にうちで仕事やってくれているし、フォトショだって覚えて上達しているし。なんかもう、このままずっとうちのアシスタントで働いてくれないかなあって勢いで急成長しているんだよね。ジャンは根は真面目だし。手先は器用だし。根性もそれなりにあるし。だから、もしジャンが普段から「仕事出来ない子」だったら、うちの親も流石に許してないよ。ジャンにはとても感謝しているし。だったらたまの「失敗」くらいは許してあげないとって思ったんじゃないかな? うちの母親は」

821進撃の名無し:2014/08/31(日) 13:07:08 ID:j6jKiycY0
という訳で1回ここで区切ります。
あいたたたーな青春模様ですみません。ジャン、強く生きろ。

ではまた次回ノシ

822進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:11:59 ID:j6jKiycY0
エレン「ううーん……」

そういうものなのか。だとしたらオレもこれ以上何も言えない。

よその家の事だしな。それ以上の事を言うのもただの押し付けのように思える。

と、皆でそれぞれジャンの心配をしながらぐだぐだしていると、そこにエルヴィン先生が音楽室にやってきた。

エルヴィン「やあ皆。今日は昨日の反省会をするのかな? 結構集まっているようだね」

ミカサ「エルヴィン先生、あの……ジャンが」

エルヴィン「ん?」

エレン「ジャンがまだ来ていないんです。その………昨日、間違って酒飲んだせいでいろいろトラブルが勃発しちまったようで」

エルヴィン「ふむ。詳しく聞かせてくれるかな?」

という訳でエルヴィン先生にも大体の概要を話してみた。すると、

エルヴィン「ああ……そういう事か。分かった。だったら私が直接サシャの家に出向いて説明してくる。きちんと釈明してくるから。サシャのおうちを知っている子は私に教えてくれるかな?」

と、急に真面目な表情になってエルヴィン先生は身支度を始めた。

ユミル「だったら私が付き添います。クリスタは野球部に戻れ」

クリスタ「いいの?」

ユミル「クリスタがいなくなるとうちの野球部のやる気が半減するからな。いいよ。ちょっと抜けてくる」

エルヴィン「ピクシス先生には私から説明しておこう。ではユミル、サシャの自宅まで案内を頼む」

という訳で急遽、エルヴィン先生がサシャを宥めに行く事になったようだ。

これで少しはサシャの怒りが収まるといいんだが……。

アルミン「エルヴィン先生が直接サシャに説明すれば少なくともジャンが「わざと」飲んだ訳じゃないって事は伝わるよね」

エレン「ああ。きっと伝わる筈だ。………多分」

確証はないけれど。でも今よりは事態は良くなると信じたい。

部長がいない状態だったので、副部長のマルコが皆の前で声を出した。

マルコ「ジャンがいない間は出来る事がないから、今日はどうしようか」

アニ「ああ……反省会も部長無しでやる訳にもいかないしね」

オルオ「少し待ってみたらどうだ? もしかしたら誤解が解けて後から学校に来るかもしれないぞ」

ペトラ「そうね。ジャンを信じてみましょう」

という訳で先輩達の言葉もあり、オレ達はそのまま待機する事にした。

823進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:35:32 ID:j6jKiycY0
そして一時間くらい経ってからエルヴィン先生とジャンとサシャの3名が音楽室にやってきた。

あれ? 何故かサシャの顔が赤いし、おどおどしている。キレている様子はないようだ。

ジャンは頭を掻いている。何か様子が変だぞ。

エルヴィン「待たせたね。昨日の誤解は私が解いてきたらもう問題ないよ」

マルコ「え? 誤解が解けたんですか?」

エルヴィン「ああ。サシャはジャンの言葉を信じたよ。彼は決して「わざと」酒を飲んでいないと。不可抗力だったってね」

サシャ「……………すみません(シュン)」

何をどうやって説得したんだろう? サシャがもう全然、怒ってないようだ。

ジャン「はあ」

ジャンはジャンでため息をついている。

ジャン「結構、オレ、傷ついたんだけどな………」

サシャ「本当にすみません。まさかあんなに「ジュース」の味に似た「酒」だったなんて……試飲させて貰って分かりました。あの「味」では確かにジャンが間違えるのも無理ないです。本当にすみませんでした」

え? つまりそれってもしかして?

エレン「サシャにも「あの酒」を飲ませたんですか?」

エルヴィン「ここだけのオフレコにしておいてね? 誤解を解くにはこの方法しかないと思ってね。昨日ジャンがうっかり飲んでしまった「酒」を一口だけサシャにも飲ませた。酒というより限りなく「ジュース」に近い味の酒だったから彼女もこれでようやく納得したよ」

サシャ「本当に本当にすみませんでした……」

ジャン「……………」

ジャンがサシャと目を合せない。そりゃそうだよな。誤解とはいえぶん殴られたんだし。

気まずいよな。どうしたらいいか分かんねえよな。

サシャ「あの……その………どうしたら許して貰えますかね?」

ジャン「…………」

サシャ「あの! 私、何でもしますから! お詫びに! ジャンの気が済むまで!」

ジャン「何でもする………? (ピクン)」

サシャ「はい! そしたら許して貰えますかね? 私、何をしたらジャンに許して貰えますかね?」

ジャン「……………」

ジャンが一度、目を伏せた。

何だ? 何か考え込んでいる様子だけど。

824進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:37:55 ID:j6jKiycY0
ジャン「だったら……………オレに奉仕しろよ」

サシャ「え?」

ジャン「3か月だけでいい。期間限定で、オレの「所有物」としてオレに奉仕しろ。そしたら許してやってもいい」

サシャ「!」

えええええええ?! 何だそれ?! 何処のギャルゲーの世界だよ!!!!

おま、ちょっと、周りの女子、ドン引きしているぞ?! いいのかよそれで!!!

サシャ「ええっと、それって……つまり「小間使い」みたいなものですか?」

ジャン「まあそういう事だな。オレの荷物持ったり、肩でも揉んだりして貰おうか」

サシャ「分かりました! 3か月ですね! その程度ならお安い御用です!」

えええええええええ?!

そしてサシャも了承しやがった?! ちょっと待て!!!

アルミン「ええええジャン、それは幾らなんでもアレ過ぎるよ……」

ジャン「ああ?」

マルコ「まさか、サシャにあんな事やこんな事を……」

ジャン「何想像してやがる。そんなんじゃねえよ」

アルミン「いやだって、そういう意味じゃないの?」

ジャン「サシャも言っただろ。「小間使い」だって。パシリに行かせたりするだけだよ」

エレン「本当か? 手とか出す気じゃねえよな?」

ジャン「アホか。オレはそこまで鬼畜じゃねえよ。せいぜい、サシャをこき使ってやろうって話だよ」

それならいいんだが………。

ん?

あれ?

今、何か、一瞬、あいつ。

頬が赤くなって、すぐ消えたけど。

ん? あ! これってまさか………!

エレン「あーそういう事か(ニヤニヤ)」

ジャン「あ? 何か言ったか? エレン」

エレン「いや別に? 何でもねえよ」

そうかそうか。あいつ、この「お詫び」を「チャンス」に変えるつもりだな?

825進撃の名無し:2014/08/31(日) 21:56:09 ID:uo/B/B1M0
サシャを「こき使う」フリをしながらサシャとの時間を増やすつもりなんだ。

なーんだ。そういう事かよ。こいつもややこしい奴だな。

サシャ「では早速何から始めましょうか?」

ジャン「あー今日は昨日の反省会をしたいから、サシャもついでに残っておけ。他のバイトは入ってないんだろ?」

サシャ「今日は流石にお休み入れていますので大丈夫です」

ジャン「だったらオレの隣に座っておけ」

サシャ「了解です!」

おおおおおおお?! これは、もしかして。

やっぱりそうだ。ジャンの奴、「お詫び」を利用してサシャの傍にいる作戦に出たのか。

ヘタレだな! いやでも、案外これ、いいのかもしれない。

一緒にいる時間を徐々に増やしていくつもりなんだ。あいつは。

何だかいじらしい作戦に思えた。ジャン……あいつ、成長したな!

ジャン「あー遅くなって悪い。今から昨日の舞台の反省会をざっとやるけど」

と言いながらジャンが昨日の台本を出してダメだし会をした。

ジャン「昨日は初の「長丁場」の演劇だったからいろいろ戸惑いも多かったと思う。でも皆最後までやりきって無事に怪我もなく終える事が出来て良かったと思う。お疲れ様でした」

と、部長らしい挨拶をする。

それからいくつかの気になった点をそれぞれ出し合って、次の演劇の『糧』にする。

役者は裏方の欠点をダメだししたり、裏方は役者のダメ出しをしたり。

この「ダメだし」作業は公演が終わったら必ず1回ざっとやってしまう。

そして次の公演に繋げるようにしていく。経験値を全員で一気にUPしていくんだ。

ジャン「………以上かな。気になる点は」

マルコ「だね。今回の教訓は次回の演劇にも利用していこう」

826進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:14:22 ID:j6jKiycY0
ジャン「今日は昨日の演劇の様子を皆で観て終わるか。ビデオ撮影していたんですよね?」

エルヴィン「うん。ナナバ先生に頼んでおいたからね。大丈夫だよ」

ジャン「だったら部室で皆で昨日の演劇を観るぞ。今日はそれが終わったら解散ってことで」

という訳で昨日の演劇を今度はオレ達が観る事になった。

うおおおおおビデオで観るとまた違った感触がある。

恥ずかしいな。いろいろと。振り返ると急に恥ずかしくなってくる。

リヴァイ先生が憤死したシーンは何度見ても笑えるな。

男5人がかりで押さえつけているんだもんな。すげえ。

ミカサがすげえエロい手首の動きをした瞬間、爆笑が起きた。

この手首「クイクイ」は禁じ手だな。もう1回、リヴァイ先生の前でやったら窒息させられそうだ。

ミカサ「このシーンは家で何度もこっそり練習した(どや顔)」

エレン「マジか。そんなにやりたかったのか」

ミカサ「うん。だってこのシーンが1番、辱められると思って。ククク……」

ドSな顔してやがる。楽しそうだなオイ。

エルヴィン「いや、女の子なのによくやったよ。ミカサ。男役なのに結構頑張ったよね」

ミカサ「意外としっくりきました。三村の時もそうだったけれど。私は「男役」にあまり抵抗感がないようです」

エルヴィン「まるで家宝塚学園の男役のようだね。そっちの道でやっていけそうだね」

ミカサ「そうでしょうか? まあそこまでは無理だと思いますが」

とかいろいろ雑談しながら演劇を観て、今日の活動はここまでとなった。

827進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:26:00 ID:j6jKiycY0
そしてその帰り際、エルヴィン先生が「サシャの調査は無事に終わったよ」とオレ達にこっそり報告してきた。

調査? ああ! サシャの「潜在意識」の件か。

アルミン「あのその件なんですけど、エルヴィン先生、取り下げて貰えませんか?」

エルヴィン「ん? どうして?」

アルミン「今回の件でその、やり過ぎたって反省したので。これ以上は2人の間に茶々を入れない方がいいと思って」

アニ「私達が悪かったと思います。もうやたらな真似はしない方がいいと思いましたし」

マルコ「これ以上はそっとしておいて欲しいんです」

エルヴィン「ん? そう? 折角サシャの「潜在意識」が分かったのに? いいんだ?」

アニ「はい。拗れた場合の恐ろしさを身に沁みて理解したので」

エルヴィン「ええ? 拗れた? 全然拗れてないと思うけど? 見てよ。ジャンとサシャの様子を」

アルミン「いや、でもそれは「仲直り」したから、たまたま………」

エルヴィン「んー……勿体ないねえ。私はジャンとサシャのルートが動き出したように思ったんだけどな」

オレも実はそう思っている。これはジャンにとっての「チャンス」だ。

クラス替えまでにサシャとの距離を詰める「最初で最後」のチャンスだと思う。

アルミン「いや、でも…………」

エルヴィン「今度の事は私が悪かった訳だし、サシャがそこまでキレるのはどう考えてもおかしいよね? それが意味するところを君達は気づいていないのかい?」

ミカサ「それってつまり、やっぱり「ヒッチの件」を………」

エルヴィン「100%そうだね。サシャの「無意識」が動き出したよ。ジャンルートも十分あり得る可能性が見えてきた。ここでジャンがどう動くかは分からないけど、まだ試合は始まったばかりだよ」

とエルヴィン先生が悪い顔をする。

828進撃の名無し:2014/08/31(日) 22:52:00 ID:j6jKiycY0
エルヴィン「ふふ……「小間使い」として傍に置くなんてジャンらしいじゃないか。臆病な彼らしい精一杯の作戦だよ。でも、これで首の皮一枚繋がったね。残りの3か月以内に何かが起きれば一発逆転ホームランもあり得るよ」

エレン「エルヴィン先生はジャンを応援するんですか? 以前はコニー推しだったのに」

エルヴィン「ふふふ……先程のサシャの様子を見て気が変わったんだよ。あれはまだ「小さい芽」かもしれないが、確実に「嫉妬」のような物を感じていたとみて間違いない。ヒッチとのキスを快く思っていない自分にサシャ自身はまだ気づいてはいないようだけど」

おおおおお。嫉妬していたんだったら、可能性あるぞ!

ミカサも頷いていた。やっぱりミカサすげえ! 女の勘ってやつだな!

ミカサ「私も似たような経験があるので分かる。その……ニファ先輩とか」

エレン「そうか。やっぱりあの時、ミカサ……」

ミカサ「嫉妬くらいする。島に取り残されていたのだから」

あああもう。あの時のオレの馬鹿!

でも、感謝もしねえといけねえな。「嫉妬」は「恋」の始まりみたいなもんだからな!

アルミン「そうですか………」

でもアルミン達は先程の事があってこれ以上は乗り気ではないようだ。

アルミン「でも今回はたまたま運が良かっただけのように思います」

アニ「私もそう思います。これ以上は見守るだけの方がいいような」

エルヴィン「んーでも、私は君達がジャンの味方になってあげた方がいいと思うけど」

エレン「どういう意味ですか?」

エルヴィン「ジャンには「第3の女」がいる事を忘れたのか? ヒッチは今、作戦準備期間に入っているよ。嬉しそうにジャン攻略について私にいろいろ情報を聞いてきたからね」

アルミン「えええええ?! まさかエルヴィン先生、ヒッチの味方するんですか?!」

エルヴィン「私はヒッチの味方はしないよ。でも、ヒッチは私の「助力」なんか「必要ない」からね。言っている意味、分かるよね?」

皆、青ざめた。これは何だか波乱の予感しかしねえぞ。

829進撃の名無し:2014/08/31(日) 23:04:41 ID:j6jKiycY0
エルヴィン「ヒッチの男に対する執着は相当な物だよ。初心なジャンが陥落しないといいけどね……」

と、一抹の不安を残すような発言をしながらエルヴィン先生が去って行った。

アルミン「ひえええええ……ヒッチ、本気でジャンにロックオンしているんだ」

アニ「どうしよう。ヒッチの男への執着は私も十分知ってるし。誘惑かけられたら、ジャンも堕ちるかもしれない」

ミカサ「そうだろうか?」

アニ「うん。あいつ、本当、狙い定めた男に関しては100%堕としてきた。落とせなかった男はまだ1人もいない筈だよ」

エレン「ううーん。ジャンの奴、ヒッチの事、どう思っているんだろうな?」

マルコ「一緒に写真撮ってあげたくらいだから、嫌いではないんじゃないかな? たまに2人で話している時もあるしね」

ミカサ「ヒッチが一方的に話しかけているだけだった気もするけど」

アニ「いや、それでもやっぱりヒッチは危険だよ。ジャンに注意しておかないと……」

アルミン「でも何て言うつもり? ジャンはもしかしたら、「あの時」の事を「覚えていない」可能性もあるよ?」

と、アルミンが言うと一同は固まってしまった。

そうだった。リヴァイ先生もそうだったけど、記憶が飛ぶタイプの酔い方だったら「忘れている」可能性もある。

830進撃の名無し:2014/08/31(日) 23:16:01 ID:j6jKiycY0
中途半端ですみません。眠いのでここまで。
続きは次回。ではまたノシ

831進撃の名無し:2014/09/01(月) 05:55:19 ID:jkhlCOtY0
確認するのがこええ。どうするんだよ。

ジャン「おい。まだくっちゃべってるのか? 早いところ教室閉めるぞ」

と、こっちにジャンがやってきた。サシャと共に。

サシャ「そろそろ帰りましょう! へへへ〜荷物お持ちします」

ジャン「おらよ。丁寧に扱えよ」

と、自分の荷物を本当にサシャに預けやがった。

何だこれ。ムズムズしてくるんだが。

あ、ミカサもオレと同じような顔している。ムズムズしているようだ。

そして皆で校門を出てそれぞれの家に帰って行った。

それぞれの心の中にいろんな「不安」の思いを抱えながら……。






12月27日。土曜日。

その日も一応ジャンから連絡があって演劇部の集合がかかった。

今年最後の活動にするらしい。明日からは本格的な冬休みだ。

ジャン「あー今日は部活動というより、演劇部で『忘年会』みたいにして皆で遊ぼうと思うんだが、何処か遊びに行かないか?」

エレン「おーいいかもな。慰労会みたいなもんか」

ジャン「まあな。何処に行きたい?」

アルミン「うーん……カラオケとかでいいんじゃない?」

ジャン「カラオケでいいか?」

マーガレット「いやー今の時期はカラオケは混雑するんじゃないかな? 忘年会のシーンズンだよ」

ジャン「あーそう言われればそうっすね。じゃあ別のところにします?」

アニ「だったら、近場の遊園地とか? 皆で行くのも悪くないんじゃない?」

マーガレット「いいかもね!」

ジャン「じゃあ今回はそっちにしますか。遊園地嫌いな奴いるか?」

と、一応確認したけど誰も挙手しなかった。

ジャン「全員、遊園地はOKか?」

エレン「むしろ大好きだな」

ミカサ「同じく」

ジャン「だったら一旦、家に帰って遊園地に再集合って事でイイか? 着替えなおしてからまた集まるぞ」

ヒッチ「こんにちは〜」

と、其の時、話題の人物がなんと突然、音楽室にやってきた。

え……髪色が全然違う! 髪が「黒」に染まっている。

制服の着方も真面目だ。一瞬、ヒッチだと分からないくらいに印象が違う!

ジャン「………誰だお前?」

ヒッチ「やだなあ。私だよ。ヒッチ。ちょっとだけイメチェンしてみたんだけど」

ちょっとどころじゃねえよ! 別人かと思ったぞ!

髪の色は黒で、くせっ毛はそのままだったけど、メイクの印象も全然違う。

所謂ちょっと「凛とした」イメージに変わっていた。ジャンが好きそうな感じの。

ジャン「はあ?! え……なんか別人みたいに変えたな」

ヒッチ「似合う?」

ジャン「ああ。似合ってる。そっちの方が断然いいじゃねえか」

エレン「!」

いかん! いきなり食いついてやがる! あいつ本当に「そういうの」が好きだな!

832進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:16:26 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「良かったあ。こういうメイク、初めてやってみたからちょっと不安だったんだよね」

ジャン「そうなのか? そっちの方がいいぞ。いつものケバケバしいメイクよりそっちの方が断然いい」

ヒッチ「うふふ〜ありがとう〜今日は演劇部の活動、やってるの?」

ジャン「いや、今日はこれから忘年会だな。これから皆で遊園地に遊びに行く予定なんだが」

ヒッチ「そうなんだ〜私、今日1日暇だから、ついでに参加してもいい? この間の公演、すっごく感動したからさあ。皆ともっとお近づきになりたいなあ」

ジャン「ああ……お前、すげえ食いついて観てたよな。ありがとよ。いいぜ。一緒に来るか? 遊園地の場所は分かるか?」

ヒッチ「1番近いところだよね? だったら分かるよ」

ジャン「まあ、近場のとこで済まそうって話になったしな。私服に着替えてから再集合って事になった」

ヒッチ「了解〜♪ ありがとう。じゃあ皆、また後でね♪」

うわあああああすげえええええ!

懐の入り方がすげえ自然だった。ジャン、お前、本当にそれでいいのか?

アニ「ジャン、最低」

ジャン「はあ? 何で」

アニ「あんた、サシャルートに入ったんじゃなかったの? ヒッチ、あんたの事を狙ってるのに」

ジャン「は? ねえだろ。何でヒッチがオレを狙うんだよ」

マルコ「………やっぱり覚えてないんだ?」

ジャン「何の話だよ?」

エレン「あー……お前、ヒッチとキスしたんだけど。この間」

ジャン「…………? なんの冗談だよ」

エレン「やっぱり覚えてなかったか。泥酔した直後、ヒッチが絡んできたから、そのままぶちゅううってすげえディープなキスをヒッチにぶちかましていたぞ」

この世界は残酷だ。真実を伝えた瞬間、ジャンの顔色が真っ白になった。

ジャン「は? じょ、冗談だよな?」

ミカサ「本当。あの時のジャンは一気に泥酔してしまった……ので」

ジャン「……………」

滝汗きたな。絶体絶命のなるほど君ばりの。

833進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:23:48 ID:jkhlCOtY0
ジャン「え………じゃあまさか、ヒッチが恰好を変えてきたのって、オレ好みに合わせてきたって事か?」

アニ「そういう事になるね。ヒッチは相手の男の「好み」に合わせるタイプだから」

そう、アニが言い切った瞬間、ジャンの奴、ぶわっと顔を赤面した。

ジャン「いや、ちょっと待て。何だそれ。ちょっと待て。待ってくれ!」

すげえ動揺してやがる。あいつ、嬉しいのか。

ジャン「なんだコレ。心臓バクバクしてきたんだけど。え? え? あいつ、オレとのキスで、オレに堕ちたって事か?」

アニ「正しくはあんたの「キステク」に堕ちたんだって。ジャン、自分で意識してないのかもしれないけど、キス上手いらしいよ。ヒッチに言わせると」

エレン「超絶キステク持ってるとか言ってたな」

ジャン「覚えてねえよおおおおおおおおおお!!!!」

と、叫んでその場にしゃがみ込むジャンだった。

ジャン「待ってくれ! オレ、人生の初キスを泥酔した挙句、ヒッチに捧げてしまったのか?!」

マルコ「初めてだったんだ」

ジャン「当たり前だろうが! オレ、童貞なんだぞ! 彼女もいたことねえよ! どんなキスをしたかも覚えてねえって、あんまりだろおおおおおお!!!」

だよなあ。乙って感じだよな。可哀想だけど。

ジャン「しかもそのキスが「あのヒッチ」に評価されるって! 意味分からねえ! あいつ、男いっぱいいた筈だよな! 過去の男の記録をオレが塗り替えたって事だよな?!」

アニ「段違いに「上手い」って言ってたよ」

ジャン「あああああああああああ?!」

真っ赤になって悶絶し始めた。無理もねえか。

834進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:34:52 ID:G0r8rHa20
ジャン「待ってくれ! 何だこの急展開は! ヒッチの事は、ただのビッチとしか思ってなかったのに! まさかこんなの、ねえだろおおおお!」

床に転がってゴロゴロし始めた。あーあ。

アニ「知らないよ? あいつ男にロックオンしたらマジで凄いからね。ジャン、断るなら早めに断った方がいいよ」

ジャン「断るに決まってるだろ!!! あーだから遊園地についてくるって言い出したのか。あいつ……」

と、言ってやっと立ち上がった。

ジャン「分かった。教えてくれてありがとよ。知らないでいたらもっとまずい事になってたわ。エレン、助かった」

エレン「いや、まあ………別にいいけどさ」

誰かが言わないといけない事だったしな。

ジャン「そういう事ならオレ、サシャ誘ってみるわ。ヒッチと2人となるのは危険過ぎる。ちょっと電話してみよう」

と、言い出してサシャに連絡を取るけれど………

直後、肩を落とすジャンだった。

ジャン「マジかよ……こういう時に限って別のバイトが入ってやがるとは……」

サシャを誘い出せなかったらしい。どうすんだ。この場合。

ジャン「あーでも、1回OK出したのに来るなって言えないよな。仕方がねえ。今日だけはヒッチに付き合ってやるしかねえか」

ミカサ「ジャン、あまり中途半端な優しさは良くない。断るならさくっと断った方がいい」

ミカサが言うと重みがあるな。ジャンもすぐ頷いた。

ジャン「ああ。そうするよ。というか、オレ、キスの事を全く覚えてねえからな。きっとその「キステク」の件は泥酔していたせいで「たまたま」そうなっただけだろ。素面の時も同じように出来るかどうかなんて、分からねえし」

と、言い訳しながら、頭を振るジャンだった。

そして皆1度家に帰宅して着替え直して遊園地に再集合した。

ヒッチが先に入り口で待っていた。なんか可愛い格好をしている。

下は脹脛までのレギンスで、上はゆったりとしたチュニックタイプだ。

ミスコンの時のイルゼ先生が着ていた服の組み合わせに近い。

それを見た瞬間、ジャンがすげえ動揺してしまったのがこっちにも伝わってきた。

835進撃の名無し:2014/09/01(月) 06:42:01 ID:jkhlCOtY0
ジャン「なんだあいつ、すげえ可愛い………」

ミカサ「…………ヒッチに乗り換えるの?」

ジャン「いやいやいやいや! 乗り換えないからな! 絶対に!」

ヒッチ「何の話〜?」

ジャン「何でもねえよ!! さっさとチケット買って中に入るぞ!」

という訳で皆でぞろぞろ遊園地で遊ぶことになったんだけど………

すげえ。伊達に男を堕としてきてねえな。ヒッチ、さり気にジャンの隣のポジションキープしてやがる。

ああああああ! あれは伝説の「当ててんのよ」作戦だ!

ジャンの二の腕にしれっと捕まって自分の「胸」を相手に押し付ける作戦のようだ。

屈むと胸がチラ見出来るみたいで、ジャンが一瞬、胸の方に意識が吸い寄せられるのが分かった。

アニ「………やっぱりジャン、最低」

ミカサ「ううーん……」

ミカサですら困惑している。

マーガレット「うひひ……本当にヒッチ、ジャンにロックオンしかけて来たんだ?」

エレン「みたいですけど……あいつ女の免疫ねえからグラグラしてますよ」

マルコ「でも確かにあの大きな胸を押し付けられたらグラッとくるかも」

アルミン「うん……気持ちは分からなくないかも」

エレン「そうかあ? オレ、あそこまで露骨な女は好きじゃねえけどな」

なんていうか、わざとらしい女が苦手なんだよな。クリスタの時もそう思ったけど。

「狙ってるな」って思った瞬間、冷める性質みたいなんだよな。オレの場合は。

836進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:02:08 ID:jkhlCOtY0
ジャンの様子が気になったのでオレはミカサの事はアニに任せて暫く様子を遠巻きに見ていた。

とりあえず遊園地に来たら乗り物に乗らないといけないけど、どれにしようかな。

ジャン「ヒッチ、あの……この間の件だけどさ」

ヒッチ「ん?」

ジャン「オレ、泥酔していた時にヒッチにキス、ぶちかましたんだってな?」

ヒッチ「うん。そうだけど? 何、もう1回してみたい?」

ジャン「しねえから! その、忘れてくれないか? 事故チューみたいなもんだし」

ヒッチ「無理だよ。あんなに気持ちいいキス、私、初めてしたんだもん」

ジャン「!」

ヒッチ「忘れられないよ。ジャンのキス。あんなに温かくて優しくて気持ちいいキス、生まれて初めての経験だった。私、数えきれない程、今までキスしてきたけど、あんたのが歴代1位のキスだったよ。最高だった」

ジャン「いや、だからそれは泥酔していたせいだろ? 素面の時はそんなん、出来ねえよ絶対!」

ヒッチ「分かんないよ? 試しに後でしてみる?」

ジャン「絶対しねえから! それにオレはサシャの事が好きで……!」

ヒッチ「知ってるよ。だから私は2番目でイイ」

ジャン「!」

愛人宣言かよ。やっぱりそうきたか。

ヒッチ「なんなら「お試し」でもいいと思ってる。そんなに「重く」考えなくていいよ。私、元々そういう女だし。どうしてもダメになったらやめてくれてもいいし。だから、1回だけでもいいからシテくれない?」

そうヒッチが誘惑を仕掛けたら、急にジャンの奴の空気が冷たくなった。

あ……なんかまずい。ジャンは「この気配」になるとキレる一歩手前だ。

ジャン「そうやって自分を安売りするんじゃねえよ」

ヒッチ「え……?」

ジャン「自分を安く売るなって言ってるんだよ。だからお前は「ビッチ」って呼ばれるんだろうが」

ヒッチ「あはは…そうかもね。でも別にいいよ? 事実だし」

ジャン「オレが嫌なんだよ! オレとキスしたいっていうなら、そういうところ、変えろ! オレは尻軽女は好きじゃねえんだよ!!! もっと自分を大事にしろよ!!!!」

ヒッチ「!」

ジャン「オレに近づくな。今日はもう、しょうがねえからつきやってやるけどさ。べたべたはするな。迷惑だ。オレもこれ以上、最低な男にはなりたくねえんだよ」

ヒッチ「…………………」

ヒッチが目を丸くしてやがる。何か様子がおかしいな。

ジャンがヒッチから離れてこっちにやってきた。大きなため息をついている。

ジャン「あーもう。しんどい……」

マルコ「お疲れ」

ジャン「あのクソビッチ。本当に厄介だ。もう誰か再教育してやって欲しい……」

と項垂れているけど。

なんか、さっきからヒッチの様子が本当に変だ。顔が赤い気がするんだが。

837進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:05:02 ID:jkhlCOtY0
>>836
訂正というか、挿入です。
間違えてカットしてしまった。

ジャン「お前、勝手にくっつくな! やめろ! 恥ずかしいだろ!!」

ヒッチ「ええ? 何でダメなの? いいじゃん」

ジャン「良くねえよ! 頼むからちょっと離れろ! (ドン!)」

あ。うっかり引き離しやがった。ヒッチがこける。

ヒッチ「あん……」

ジャンが青ざめた。やり過ぎたって思ったようだ。

ジャン「あ……悪い」

ジャンは優しい奴だからな。こけたヒッチに手を差し伸べる。

ヒッチ「もう、照れちゃって〜分かった分かった。やり過ぎたから、手繋ぐだけにしよ?」

と言って、ぐっと恋人繋ぎを仕掛けてきた。それに対してジャンはそっぽ向いて困っている。

うわあ……グダグダだな。ジャンの奴。あいつ、意外と押しに弱いのか?

アニがすげえ冷めた目でジャンを見ている。アニはいい加減な男が嫌いらしい。

アルミン「あちゃー……アレは僕でも拒否出来ないなあ」

マルコ「ううーん。手、差し伸べちゃうよね。アレだと」

アニ「あっそ」

と言ってアニはミカサの方に近寄った。

アニ「男って最低。いこ。ミカサ」

ミカサ「う、うん……」

と言って2人で先に行ってしまった。ミカサも困惑している様子だ。

やれやれ。どうなるんだろうな。この変則三角関係は。

ヒッチがもう1回ジャンとキスして、そこで「やっぱり違う」って思ってくれたら話が早いような気もするが、もしもう1回キスして「やっぱりイイ!」と思ったらもっとダメだしな。


の後に>>836
のシーンに繋がります。すみません。

838進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:14:28 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「自分を大事にしろ……なんて初めて言われたかも」

と呟いて、頬を掻いているようだ。

ん? 何か嫌な予感がしてきたぞ。寒気がする。

ヒッチ「こんなに堕ちない男って初めてかも……やばい。楽しい!」

やっぱりか! 追う女は逃げられると余計に燃えるのか!

リヴァイ先生が「襲ってくる女」は苦手だと言っていた理由が分かった気がする。

こりゃあ災難だな。ジャンの奴。あいつ、女運ねえなあ。

アニとミカサは2人でティーカップに先に乗っていた。ミカサに手を振ってやると、困惑顔で返してきた。

アニの機嫌が最高潮に悪いらしい。ジャンのいい加減な状態が気に食わないようだ。

ミカサ自身はそこまで機嫌が悪い訳ではないようだ。

ティーカップから降りてこっちに戻ってくると、ミカサは言った。

ミカサ「アニが思っていた以上にイライラしているみたい。どうしたらいいだろうか?」

エレン「ミカサはイライラしていないのか?」

ミカサ「え? 何故? 全然」

エレン「お前、ジャンとヒッチがくっついてもいいのか?」

ミカサ「私自身はヒッチでもサシャでもどっちでもいいと思っている。くっついてくれさえすれば」

エレン「へーそうだったのか」

ミカサ「うん。私はそこまでジャンに思入れはない。好きにすればいいと思う」

エレン「そういうもんか」

839進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:24:00 ID:jkhlCOtY0
ミカサ「アニは純粋な部分があるので男の浮気は許せないタイプみたい。「愛ある選択」の劇の台本を読んだ時もリヴァイ先生に対しての嫌悪感が凄まじかった……ので、リヴァイ先生を苛めるメンバーが増えて其の時はちょっと嬉しかったけど」

OH……ミカサの奴、リヴァイ嫌いの仲間が増えて嬉しそうだな。

まあ、今はその話は横に置いて。

ミカサ「私はヒッチでもいいと思っている。とにかくジャンはさっさと彼女を作るべきだと思う。彼自身、それを願っているなら猶更」

エレン「まあそうだな。ジャン自身は「彼女欲しい」ってずっと思ってる訳だしな」

ミカサ「うん。手を伸ばす勇気があれば大丈夫だと思う。サシャであれ、ヒッチであれ。ただ、両方はダメだけど」

エレン「そりゃそうだな。あ………ヒッチがこっちに来たぞ」

ヒッチがニコニコしながら手を振ってこっちに来た。

ヒッチ「ジャンに怒られちゃったよ〜ミカサ〜慰めて〜」

ミカサ「どう慰めたらいいのだろうか?」

ヒッチ「ん〜よしよしってしてくれればいいかな?」

ミカサ「分かった。ではよしよししよう」

という訳で何故かヒッチの頭をミカサが撫でている。すると、ジャンが釣られてこっちを見た。

ジャン「おま! 何やってんだよ!!!」

ヒッチ「えへ☆ ミカサに甘えちゃった。ジャンが意地悪言うからさ〜」

ジャン「おま、ミカサから離れろ! ミカサにお前のビッチを感染させるんじゃねえ!」

ヒッチ「それちょっと酷くない〜?」

とケラケラ笑ってジャンに引っ張られていく。

うわ…あいつ、ウインクしてきた。今の、作戦だったんだ。

ミカサ「凄い。ヒッチは本当に「やり手」のようね」

エレン「ああ……あいつ、成績も悪くないし、頭いいってのも嘘じゃねえみたいだ」

840進撃の名無し:2014/09/01(月) 07:58:52 ID:jkhlCOtY0
策士だな。アルミンもそういうところたまにあるけど。

恋愛事に関してだけはヒッチも負けてないかもしれん。孔明の罠に引っかからないといいが…。

そんな訳で一抹の不安を抱えながら遊園地で遊んでいたら、着ぐるみのうさぎがこっちに近寄ってきた。

しゃべらないけどな。何かジェスチャーで楽しませてくれるようだ。

エレン「おお……なんか動きが楽しい奴だな」

ミカサ「何かくれるみたい。ん? 風船?」

エレン「なるほど。風船を配っているのか。1個貰っておくか」

という訳でうさぎから風船を頂く。腰に適当に繋いでおくか。

周りを見たら風船を持っている小さな子供もいるようだ。

あ。木に引っ掛かって、子供が1人泣いている。親は「諦めろ」って言ってるけど。

あーどうしょうかな。風船、持ってるけど。子供にあげてもいいかな。

オレは適当に貰っただけだしな。そう思って様子を眺めていたら……

ヒッチ「ねえ、ジャン! 私を肩車してよ」

ジャン「はあ?! 何で」

ヒッチ「あの子可哀想じゃん。風船とってあげようよ。肩車して取ればいけそうな高さじゃない?」

ジャン「いや、それだったらオレとマルコでやるわ。マルコ、頼む」

マルコ「ああ、いいよ」

ヒッチ「ちっ……」

太ももでジャンの頭を挟もうとしたんだな。隙あらば狙ってるなあ。ヒッチの奴は。

ジャンとマルコが肩車をして風船を取ってやっていた。子供は「ありがとう!」と喜んでいたけど。

ジャン「…………よく気づいたな」

ヒッチ「何が?」

ジャン「いや、子供の事だよ。オレ、すぐに気づかないでスルーしそうになったし」

ヒッチ「あ、そうだったの? うーん。私、元々子供好きだしね」

ジャン「え……意外だな」

ヒッチ「そう? 子供可愛いじゃん。私、将来、子だくさんの大家族を形成するのが夢なんだ」

ジャン「…………」

ヒッチ「まあ性欲強すぎるだけかもしんないけどwwwだから旦那になる男はある程度「技」を持ってる男じゃないとダメだと思うんだよね〜」

ジャン「あっそ」

と言いながらジャンはヒッチから離れていく。それを追いかけるヒッチだ。

その様子をうさぎがじーっと見ている。あれ? さっきみたいに動いていないな。

キビキビした動きがなくなった。あんなに滑らかに動いていたのに。

俯いて、落ち込んでいるようにも見える。どうしたんだろうな? うさぎさん。

あ……うさぎさんがどっか行った。おいおい、仕事放置していいんか?

エレン「………………」

何だろうな? 何か変な心地になった。あと走り方が、何処かで見覚えがある。

あの本気の走り方。何処かで見覚えが……。

エレン「!」

いや、まさかな。まさか。

でも、今日、別のバイトだって言ってたし、可能性あるのか?

841進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:07:48 ID:jkhlCOtY0
エレン「あのうさぎさん、まさか中身、サシャじゃねえよな」

ミカサ「え?!」

エレン「いや、体育祭の時の本気走りのサシャの走り方に似ていた気がして……」

パン食い競争の時のサシャはかなり前傾姿勢で走っていた。ちょっと独特なフォームだったんだ。

短距離で走る時は、奔り方に「癖」が出やすい。いや、気のせいかも分からんが。

ミカサ「追いかけよう。エレン」

エレン「ああ。一応、追いかけてみるか」

2人でうさぎさんを追いかけてみた。すると茂みの中で頭が外れて………

やっぱりサシャだった。何だか辛そうな顔で俯いていてこっちに気づいていない。

そしてハッと我に返ってこっちに気づいた。

サシャ「あ、ミカサ、エレン。奇遇ですね」

顔が引きつっている笑顔だった。

サシャ「すみません〜ちょっと疲れちゃったんで休憩しようと思って」

と言いながらタオルで頭を拭いているサシャだった。

サシャ「夏場に比べれば楽ですが、着ぐるみのバイトは重労働ですからね〜」

と話を誤魔化しているのが見え見えだ。

ミカサ「サシャ、大丈夫?」

サシャ「大丈夫ですよ。休憩入れたらまた仕事に戻りますし」

ミカサ「いえ、その事ではなく、その……あの……」

サシャ「ん? 何の事ですか? 何が言いたいのか分からないですけど」

エレン「サシャ。ミカサはまだ何も言ってねえぞ」

サシャ「!」

サシャの顔が強張った。もう間違いない。

あいつ、ジャンとヒッチが仲良さげにしているところ、見ちまったんだ。

だから1回逃げたんだ。そうに違いない。

842進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:28:56 ID:jkhlCOtY0
サシャ「…………………ジャンって、いつもフラフラしてますよねえ」

と、愚痴を零し出したサシャだった。

サシャ「ヒッチとお似合いですよね。フラフラしている者同士。案外くっついたらうまくいきそうですよね」

ミカサ「サシャ……」

サシャ「何ですか?」

ミカサ「サシャ自身は、ジャンの事をどう思っているの?」

サシャ「ただの職場の同僚ですよ? あとクラスメイトです」

エレン「サシャ、お前、今、自分がどんな顔しているのか気づいてねえのか?」

エルヴィン先生がよくリヴァイ先生に言っていた言葉を思い出す。

こういうのって本人より客観的に見れる「他人」の方が案外先に気づくもんなんだな。

サシャの顔が歪んでいるんだ。こんな顔のサシャ、今まで見た事ねえぞ。

いつも笑っていて明るくて。元気いっぱいのあの「サシャ」が。

辛そうに顔を歪めているんだぜ? これってもう、サシャ自身の心の中に「ジャン」がいる証拠じゃねえか。

サシャ「え? どんな顔、しているんですか?」

エレン「すげえ辛そうで泣きそうな面してんぞ。本当は嫌なんだろ。ジャンが他の女と仲良くしている姿を見るのは」

サシャ「そんな事ないですよー。私、別にジャンの彼女でも何でもないんですよ? そんな事、ある訳……ない…で……」

その直後、サシャの体が勝手に涙を零した。

溢れてきたみたいだ。感情より先に体が動いたようだった。

サシャ「あれ? あれ? 何で私、泣いているんでしょうか? あれ? 目にゴミでも入ったんでしょうか?」

エレン「サシャ! 違う! それは違うぞきっと!」

ミカサ「私もそう思う。サシャ、それは「悲しい」って感情の筈」

サシャ「違います! 私は悲しくなんかありません! だって私はジャンの彼女ではないですし!」

認めるのが怖いんだ。きっと。怯えている。

サシャはきっとこれが「初めての感情」なんだ。きっと。

だから訳が分からなくて怯えているんだ。気持ちは分からなくもねえけど。

エルヴィン先生の言う通りだった。サシャの潜在意識の中に「ジャン」の姿はあったんだ。

だとしたら、それを「表」に出してやらないと。

843進撃の名無し:2014/09/01(月) 08:43:42 ID:jkhlCOtY0
エレン「サシャ。大丈夫だ。それは正常な感情だ。認めてもいい感情なんだ」

サシャ「な、何を言っているんですか? 私は、そんなんじゃありません! 別にジャンが別の女の子とどれだけ仲良くしようが、私には関係ありませんから!」

エレン「サシャ! 逃げるな! 逃げたら逃げるだけ、後で大変な事になるんだぞ!」

リヴァイ先生がいい例だろうが! 16年間逃げたツケが一気に回ってきた時は死ぬかと思ったと本人も言ってたしな。

こういうのは避けて通れない「道」なんだ。気づいたらもう、後戻りは出来ねえものなんだよ。

だけどサシャは首を左右に振っている。どうあっても認める気はないようだ。

サシャ「いやですいやですいやです! 私はジャンの事を、そういう意味で好きな訳ではありません! 同僚としては尊敬していますが、異性として好きな訳ではないんです!」

と、其の時、




ガサ…………




足音がした。

今、1番、ここに居てはいけない人物が、ヒッチと共にこっちに来たんだ。

ジャン「なんか騒がしいなと思って来てみれば……サシャがいたのか」

サシャ「!」

ジャン「お前、今日別のバイトだって言ってたよな。遊園地の着ぐるみのバイトだったのか」

サシャ「そう……です」

ジャン「だったらこんなところでサボるなよ。まあ、休憩していただけなのかもしれんが。あんまり長く休憩すると怒られるだろ。給料減らされたくなかったら、さっさと持ち場に戻れよ」

サシャ「わ、分かってますよ! 水分補給をしに来ただけですから! では!」

そしてサシャがうさぎさんに戻って仕事に戻って行った。

今のサシャの言葉をあいつ、聞いていたのかな。どうなんだろう。

ヒッチ「……………………また、叶わない片思いするつもり?」

ジャン「……………」

ヒッチ「聞こえたでしょ? あの子、逃げてるじゃない。自分の気持ちから。ミカサの時とは違うケースだけど。望みないんじゃないの?」

ジャン「はあ? 何馬鹿な事言ってやがる」

其の時、ジャンは嬉しそうに笑っていた。不思議と。

ジャン「望みがねえだって? 逆だろ? アレを聞いてそう思うような奴はただの馬鹿だろ」

ヒッチ「え……?」

ジャン「やばい。オレの方も燃えてきた。そういう事ならオレも手加減しねえ。全力でサシャを追いかけてやる!」

ヒッチ「え?! 何で? だって、今……異性として見てないって叫んで……」

ジャン「あんなもん、嘘に決まってるだろ! くそ……何だよこれ。やべえ。ウズウズしてきた!」

と、超喜んでいる。あいつ、前向きだな。

そうか。ジャンも今のサシャの言葉を聞いてそう思ったのか。だったらいいんだが。

844進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:06:40 ID:jkhlCOtY0
ジャン「こんな感情、初めてだ。くそ………ミカサの時と全然違う! サシャの奴、覚悟しろよ」

と、ニヤニヤ気持ち悪いくらいの笑顔になった。

その瞬間、今度はヒッチの方が顔面蒼白になってふらっと倒れそうになったんで、ミカサが支えてやった。

ミカサ「ヒッチ……?」

ヒッチ「嘘でしょ……? 何でそうなるの?」

ミカサ「…………」

ヒッチ「だって今、サシャ、逃げたじゃない。何で追いかけようと思えるの?」

ミカサ「恐らくジャンは私で耐性がついたんだと思う」

ヒッチ「え?」

ミカサ「私が絶望的にジャンを拒否したので、ジャンは拒否される事に慣れてしまっている。だとしたら、サシャ程度の「拒否」はジャンにとっては「拒否」に値しないのでは?」

所謂「免疫」が出来ちまったようなもんだよな。恋愛の。

つまりジャンにとってはミカサとの恋は無駄ではなかった事になるのか。

いや、むしろ必要だった「過程」だったのかもしれない。

リヴァイ先生が、長年だらだら付き合った女達や、ナンパした女やマリアさんとの事があったように。

失敗した「恋」は次の「恋」に繋げられるんだ。きっと。

だとしたら今度こそ、ジャンはうまくいくかもしれない。今のあいつなら。

サシャを「堕とせる」かもしれない。

845進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:28:09 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「待ってよ。でもそれでも、拒否されている事には変わりなくない? ジャンの奴、ドМなの?」

ミカサ「ある意味では。そうだと思うけど」

ヒッチ「ええ? そうなの? いや、待って。でも、私、キスされた時、ドSなんだと思ってた。だって凄かったよ? 中に入ってくる感覚が。その、容赦なくて、その………」

エレン「ドSもドМもさほど差がないんじゃねえか? リヴァイ先生がそんな感じだっただろ?」

そもそも人間ってどっちの要素も「ある」んじゃないかと思ってるしな。

それがどういう場面で出てくるかが人それぞれで、違うってだけで。

ヒッチ「えええ……まあ、分からなくはないけど。そっか。だったら、ジャンはもう諦めた方がいいのかなあ」

アニ「諦めな。あんたが引っ掻き回すと碌な事にならないよ」

と、其の時、アニもこっちにやってきた。

アルミンとマルコも実はそっと様子を見ていたようだ。遠巻きに。

ヒッチ「うう〜ん……初めての黒星かあ。連勝記録がジャンでストップするとは思わなかったなあ」

と、ヒッチが頭を掻いている。

ヒッチ「せめてもう1回だけキスして確認してみたかったんだけどね〜まあしょうがないか。うん。ジャンの事は諦めるしかないみたいだね」

ミカサ「諦めるの?」

ヒッチ「うん。深追いはしないよ。男なんて世の中に腐るほどいるし。ジャンのキステクは惜しいけど。タイミングが悪かったんだったらもうしょうがないよ」

とヒッチは言っているのでとりあえず、ひと段落かな。

でもその時、ミカサは言った。

ミカサ「本当に………いいの?」

ヒッチ「ん? 何で?」

ミカサ「いえ……ヒッチはジャンの事が好きなのかと思っていたから」

ヒッチ「ううーん。顔は好みじゃないけどね。キステクは大好きだけど」

ミカサ「いえ、そういう意味ではなく、ジャン自身を気に入っているように見えたので」

ヒッチ「……………」

その直後、ヒッチの顔が強張った。

ヒッチ「ん? それってどういう意味?」

ミカサ「ヒッチもちゃんとジャンの事を好きなのだと思っていた」

アニ「いや、それはないでしょ」

ミカサ「いいえ。でないとあの時のような、嬉しそうな顔はしないと思う。遠目に見ていたけど。ジャンが「もっと自分を大事にしろよ!!!」と叫んでいたのはこっちにも聞こえていた。あの時のヒッチ、凄く嬉しそうに見えた」

ヒッチ「……………」

ミカサ「あの、余計なお世話かもしれないけれど、ヒッチ自身もリヴァイ先生と同じように「本気の恋」を今までしてきていなかったのでは? だからこそ、フラフラ彷徨ってしまっていたのではないかと思ったのだけど」

ヒッチ「そう、見える?」

ミカサ「私のあくまで主観だけど」

そう言い切ると、ヒッチはぐたーっと項垂れてミカサに倒れ掛かった。

そして凄い勢いで笑いまくったのだ。

846進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:45:33 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「やっぱりね〜そうだよね。そんな気がしてたんだよね。私も実は」

ミカサ「そうだったの?」

ヒッチ「うん。だからこそ、凄い感情移入が出来たの。リヴァイ先生の事も、ハンジ先生の事も! まるで自分を見るようだったんだもの! ハンジ先生の「とりあえずお試し」とか。リヴァイ先生の「好きにしろ」発言とか! あの2人、最高だと思ったの! あんなに赤裸々に恋愛観を話してくれる先生、今までいなかったし! 私、自分の事、異常だと思ってたから凄く安心したんだよね。でも異常でもしょうがないか。私は私だしって開き直っていたけど。それでも、やっぱり「同じ感覚」を持ってる人が他にもいるって知ったら、凄く嬉しかったんだよ」

なるほどな。だからあれだけ食い入るように見ていたのか。ヒッチは。

ヒッチ「そうなのよ。私今まで「本気の恋」した事ないんだよ。多分、ハンジ先生のいう「トキメキ」を追う旅をしてきたんだと自分でも思うよ」

ミカサ「だったら、その相手は「ジャン」ではないの?」

ヒッチ「ん〜それはまだ分かんない。でも、最初にジャンに会った時から何か「引っかかる」ものはあったのは事実なんだよね」

と言ってヒッチはミカサから一度離れた。

ヒッチ「あの頃のジャンはミカサに夢中だったからね。4月のあの時点でずっとミカサを視線で追いかけていたから。最初は「キモイwwwこいつwww」って思いながら観察していたんだ。でもその「一途」なところが凄く羨ましくて。私には絶対真似出来ないって思ったの。だからついつい、からかっちゃって。あいつも反応が面白いし? だから私、ジャンの事は「嫌いじゃない」とは思うんだ」

アニ「意外……あんた、そういう事いうの初めてじゃない?」

ヒッチ「自分でもそう思うよ。でもあの馬面だしね? そこんとこの葛藤はまだあるかな?」

と、てへぺろしているヒッチだ。

ヒッチ「でもどうなんだろ? 今のジャンはもうサシャにベクトルが向いているしね。あんまり深追いすると拗れそうだし。そこはちょっと1回冷静に置いて考えてみる。客観的に自分を見てみたいんだ」

アニ「…………本気なの?」

ヒッチ「だからまだそれは分かんないってば。もしかしたら明日には違う別の男を追いかけてるかもしれないし?」

アニ「いや、あんたが「冷静に自分を見てみたい」なんていうの初めてだしさ」

ヒッチ「そうだったけ? 言わなかっただけじゃない? 私、自分を「客観視」する癖は常につけているよ? というか、男堕とす時の『必須テクニック』だし」

アルミン「ええええ……そうなの?」

ヒッチ「そうだよ? それは男にも言えるけどね。モテたいんだったらまず「自分」を「客観視」する癖をつける事。相手から「どう見られている」かを常に意識する事。これが出来ないと絶対うまくいかないよ? 今回の私の場合はとにかく「ジャンの懐」に入る必要があったから、とりあえず「ジャンの好み」に寄せていった。でも、だからと言って私が「ミカサ」をトレースしたってうまくいくわけないじゃん? だからそこはあくまで「ちょっとだけ真似」するに留めて、残りは自分の「キャラ」で売っていく。この辺の「変化」を上手に使っていく事がモテる為のコツだよ?」

うおおおおお何かすげえ事言い出したな。ヒッチの奴は。

847進撃の名無し:2014/09/01(月) 09:58:37 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「その点じゃ、ミカサは凄いよね。私の場合はミカサの域までは自分を変える事は出来ないと思う。聞いたよ。丸坊主だってやってやるって」

ミカサ「ああ………あの時の事を聞いてたのね」

ヒッチ「当然でしょwwwジャンの振られるところ見ない訳ないじゃんwwこっそり気配隠して観察していましたよwww」

ミカサ「でもエレンはそういう事を言いだす人じゃないから大丈夫」

エレン「当たり前だろ。何が悲しくて丸坊主にさせなないといけないんだよ」

ミカサ「あくまで例えだけど。でも、私はエレン次第だと自分でも思っている。もうそういう生き方の「自分」でいいと思っている」

エレン「…………」

ミカサ「御免なさい。エレンに負担をかけるのは分かっているけど。でも私は「そういう女」なのだと自覚している。これはもう仕方がない事だと思っている」

エレン「オレとしては複雑だけどな。でも、自分の「好み」が全くない訳じゃないんだろ?」

ミカサ「なんとなくの程度だと思う。その熱は「浅い」ので変更がきく程度のものだから」

エレン「じゃあエッチな下着をつけて欲しいって言えばつけてくれるのか?」

ミカサ「ど、どんな……? (ドキドキ)」

エレン「ん〜? 黒のレースとか? あ、紫とか白もいいなあ」

とか言っていたら後ろからアニに頭を小突かれた。

アニ「ミカサを辱めるのはやめて。というか、ミカサもデレデレしない」

ミカサ「ごめんなさい(シュン)」

アニ「なるほどね。だったら今回のケースは今までとちょっと違う訳ね? ヒッチ」

ビッチ「微妙にね。まあ皆が「やめろ」って止めるなら諦める程度の物かもしれないけど」

ミカサ「…………」

ミカサの眉間に皺が寄っているな。複雑なんだろうな。心境としては。

ヒッチとは友達って程ではないにしろ、女は女の気持ちが分かる筈だ。

サシャを応援してあげたい気持ちの方が強いとは思うが、ヒッチがもし「本気の恋」に発展する場合はどうしたら良いのか分からないのだろう。

848進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:03:36 ID:jkhlCOtY0
ヒッチ「そんなに深刻にならないでいいよ。ま、もしも私が本気の恋に発展しても、そこで振られそうな気もするけどね。でもそれはそれでもいいんだ。私、もっと「気持ちいい」ことがしたいだけだと思うし」

ミカサ「まるでマリアさんのようね」

ヒッチ「考え方は近いかもしれないね。別に叶わなくてもいいんだよ。恋愛ってその「過程」の方が「実」みたいなもんじゃん? だからちょっと私も冷静に考えてみるよ」

じゃあねって言ってヒッチは先に帰って行った。

ジャンはいつの間にか姿を消していた。恐らくサシャを追っていったのだろう。

アニの機嫌は少し落ち着いていた。いろいろ思うところが出てきたようだ。

アニ「ちょっと驚いたかも。今までのヒッチと様子が違ったしね」

ミカサ「なのだろうか?」

アニ「うん。全然違った。遊び以上本気未満なのかもしれないけど」

ミカサ「だとしたらもう、余り邪魔も出来ない。本人がやりたいようにやらせるしかないような」

アニ「そうなんだろうけど………はあ」

と、アニはため息をついた。

アニ「何か一人でイライラしたりやきもきしたり、馬鹿みたい。他人事なのに。何で私、いつもこうやって他人に振り回されるんだろ」

ミカサ「それがアニの良いところ。アニはクールなようでいて、中身はそうでもない」

アニ「褒めても何も出ないよ。ミカサ」

アルミン「まあまあ。後は僕達は僕達でアトラクションを楽しもうよ。ジャンはサシャを追いかけちゃったし。放っておけばいいよ」

エレン「それもそうだな」

ジャンの様子を見ていたらちょっと安心した。多分、だけど。

今度こそ、うまくいくんじゃねえかな。本当に「多分」だけど。

849進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:17:29 ID:jkhlCOtY0
そんな風に思いながら残ったオレ達はオレ達で遊園地を楽しんだ。

途中でマーガレット先輩達やカジ達のグループと合流したりしながらあちこち回っていたらあっという間に夕方になり、ジャンも戻ってきた。

あ、サシャと一緒に戻ってきた。どうやら今日の仕事は終わったようだ。

手荷物をやっぱり持たせている。あいつ、サシャを本気でこき使うようだ。

サシャ「酷いです。着ぐるみのバイトが終わった直後なのにまた別の労働をさせられてます」

ジャン「小間使いやるって言っただろ。まあ、今日はこの後、オレの部屋まで来て貰うけどな」

サシャ「えええええ?! 部屋まで荷物を運ぶんですか?! 鬼ですよ……」

ジャン「家にホットケーキがあったような気がするんだけどなあ」

サシャ「あ、いきますお供します! (キリッ)」

馬にぶら下げた人参作戦じゃねえんだから。いや、引っかかるサシャも悪いけど。

マルコ「おおお……自宅の部屋に連れ込む気なんだ。ジャン、やるね。今までと全然違う」

アルミン「うん。なんか吹っ切れた顔しているよ。ゲスいけど」

エレン「だな。でも良かったんじゃねえの? とりあえずは」

ミカサ「うん。いいと思う」

と言いながら、オレ達はジャンとサシャの様子をそっと見守ってニヤニヤするのだった。

サシャ「ホットケーキ……えへへへ」

ジャン「あー……家に帰ったらオレの部屋でちょっといろいろやって貰おうかな」

サシャ「え? 何をするんですか?」

ジャン「ん? デッサンのモデルの相手だよ。サシャ、脱いで貰うからな」

サシャ「えええええええヌードですか?! それは流石に無理ですよおおお!」

ジャン「ん? 誰もヌードなんて言ってねえだろ。期待したのか? (ニヤニヤ)」

サシャ「い、いやいや、そんな訳ないじゃないですか。期待したのはジャンなのでは?」

ジャン「オレはどっちでもいいけどな。まあ、服着ている方が練習にはなるんだが、ヌードはヌードで勉強になるしな」

サシャ「いやああああ! ジャンはドスケベですね! 絶対嫌ですよ! ヌードは!」

ジャン「だからヌードじゃねえって言ってるのに。勘違いしたのはそっちだろ?」

と、まあ何だか既視感のある会話をしている。

ああ………ここにもリヴァイ先生×ハンジ先生のような漫才カップルが誕生か。

ミカサがニヤニヤしている。何だか嬉しそうだ。

エレン「ん? どうした?」

ミカサ「いえ……ジャンがもう、すっかり吹っ切れたような顔をしているので」

エレン「みたいだな。完全に気持ちがサシャの方に向かったみたいだな」

あいつもいろいろあったけど、気持ちが切り替わって良かったぜ。

ミカサへの恋は辛かっただろうけど。でもそれを乗り越えて新しい恋に迎えたなら。

今が幸せならそれでいいと思う。頑張れよ。ジャン。

850進撃の名無し:2014/09/01(月) 12:45:17 ID:jkhlCOtY0
今日はここまで。やっとジャン×サシャの始まりです。
ここに来るまでが長かったな…いや、作中のリヴァイ×ハンジよりは短いけど。
長く感じたのは執筆期間的な意味で、です(笑)。

ミカサとの事を吹っ切るまでの流れをどう持っていくかに迷いました。
ジャンみたいな一途な子がそれを諦めるのだとしたら何か「切欠」ないとなーと思ってこうなった。

途中で何度かジャンミカいやだーの声とか、
いい加減ジャンうぜええwwwwとか思わせてしまってすみません。
むしろこのジャン×サシャまでの壮大な「伏線」だった訳でして。
そこんとこご理解頂けたら幸いです。

851進撃の名無し:2014/09/01(月) 15:21:54 ID:91Nz6ZLc0
リヴァハンが正直あまりにも長すぎたから短くてびっくりした
でもこれくらいがいいな
とりあえず乙

852進撃の名無し:2014/09/01(月) 15:56:50 ID:jkhlCOtY0
>>851
すみません。
あくまで「始まり」なのでジャン×サシャも長くなるかもです。
むしろ波乱の幕開けなので、ここからが本腰入れて頑張ります。

853進撃の名無し:2014/09/01(月) 16:16:31 ID:jkhlCOtY0
あとリヴァイ×ハンジ編が長くなったのは2人の年齢のせいもあるかもです。
遅咲き過ぎた恋だったので歴史が長くなってしまって……本当、すみません(笑)。

854進撃の名無し:2014/09/01(月) 19:22:16 ID:fe1p0Zug0
もともとアニ好きだったがやっぱ可愛いわ
そして意外とヒッチの今後が楽しみに

855進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:04:13 ID:YIeP0RoU0















12月31日。大晦日の日は流石に親父もお休みだ。

家で年越しそばを家族で食べながらテレビを見る。今年も笑ってはいけないアレシリーズをやるようだ。

去年も大晦日にあったような気がする。ひたすら「笑ってはいけない」んだけど、結局は吹いて「アウトー!」になる。

くだらないテレビを家族で一緒に観て笑っていたら電話がかかってきた。

エレン「はいはい。あ、アルミンか」

アルミン『やあエレン。今年の初詣どうする?』

エレン「ん〜うちは家族でいつもの神社に行くけどな。元旦に」

アルミン『あ、じゃあエレン達はパスかな』

エレン「ん? どうした? あ、もしかして皆で集まっていくのか?」

アルミン『うん。アニとマルコとジャンとサシャとあとライナー達も来るみたい。でも出かけるのが夜からで、午前0時に合わせて行こうって話だけど、親がダメっていう場合はダメだよね』

エレン「ちょっと待ってろ。父さんに確認する」

という訳で親父に相談してみたら「それだけの大人数で行くなら行って来ていいよ」との話になった。

ミカサ「ちょっと早く初詣に行くの?」

エレン「ああ。アルミン達が集まるらしい。一緒に行かないかってさ」

ミカサ「待って。夜出るなら、着物を着る時間が取れない…」

エレン「え? 初詣に着物で行くつもりだったのか?」

ミカサ「うん………」

エレン「あーそっか。ならどうするかなー」

ミカサの母「何時から? 0時に合わせるならあと3時間くらいあるからお母さんも手伝えばいけるわよ。着せてあげるわ」

ミカサ「いいの?」

ミカサの母「一人で支度すると時間かかるものね。いいわよ。今から着替えましょ」

という訳で急遽、テレビは打ち切って着替える事になった。

おおおおお。着物は着なれているのかな? 今度は女装の和装だ。綺麗だなあ。

856進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:05:58 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「年に一度、お正月の時だけ着物を着るので」

エレン「へーそうなんだ。オレも着たくなってきたなあ」

ミカサ「お父さんが来ていた着物、まだある?」

ミカサの母「あるわよ。待って。ちょっと出してくる」

という訳で亡くなった親父さんの着物を借りる事になった。

オレとミカサは和服に身を包んで初詣に向かう事になった。

きっと皆、びっくりするだろうなあ。ククク……。

そしていつもの馴染みの神社の前で待つと、そこにはいつものメンバーが全員集まっていた。

あ、マルコの隣にはミーナも一緒に来ている。こっちもそういや出来立てカップルだった。

皆、思い思いの冬服ファッションだけど、着物組はオレとミカサだけだった。

アルミン「着物着てきちゃった! スゴイ! 気合入ってるね!」

エレン「ミカサの家は毎年、正月だけは着物なんだってさ。なあミカサ」

ミカサ「うん」

エレン「皆は普通の恰好だな。お前らも着物着てきたら良かったのに」

アニ「いや、1人じゃ流石に着付けが出来ないよ。演劇部の時は皆でやったけど」

ミカサ「私も母に着せて貰った。アニが着たいなら今からでも手伝うけど」

アニ「いやいや、今年はそこまでしなくていいって」

といいつつ皆でわいわい境内の中でスタンバイだ。時刻はまだ11時30分くらいだ。

ジャンとサシャがいつものように言い合っている。

あ、今日はコニーもこっちに来ているようだ。

コニー「それ酷くねえか? 3か月もパシリ契約って! 一週間くらいでいいじゃん! 許してやれよ。サシャが可哀想だろ」

ジャン「嫌だね。オレの心の傷は根深いんだよ。サシャに「最低」だとか「ぬるい」とか散々言われたからなあ」

サシャ「ううう……本当にその件は御免なさい。私の勘違いでした」

コニー「いや、だからもう、いいじゃん。誤解だって分かったんだし。サシャもサシャで反省しているし。いい加減許してやってもいいと思うけどなー」

と、コニーは度量が大きいようだ。サシャの味方をするらしい。

ジャン「ふん……オレはまだまだ手放す気はねえよ。とことん、サシャにはオレに尽くして貰わないとな」

と言い切っているその様子を遠目で見ていたライナーがぽつりと一言。

ライナー「ジャン、あいつも相当の変態だな」

ベルトルト「ううーん……」

と、言ってちょっとげんなりしている2人だった。

857進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:07:30 ID:YIeP0RoU0
サシャ「はい。尽くします。誠心誠意、尽くさせて貰います……」

と、しみじみ言い出すサシャが何だか可愛かった。あ、ジャンも顔が赤い。

あいつ、言わせたいんだな。

あれ? でもあいつ、Мだと思っていたけどサシャ相手だとSに切り替わるのかな?

多分、そうなんだろうな。サシャを相手にする時とミカサと話す時の顔、あいつ全然違うもんな。

コニー「ジャンをあんまり調子に乗らせない方がいいと思うぞ? サシャ、あんまり酷い要求されたら断っていいんだぜ?」

サシャ「その辺は今のところ大丈夫です。自分が出来ない要求はされてないですし」

ジャン「サシャ、お茶持って来ているか?」

サシャ「あ、はいはい。持参してますよ。どうぞ」

どはあああああ! あいつ、お茶持たせていたのか。用意周到だなオイ!

コニーがポカーンとしている。びっくりだよな。これは。

あ、ちなみにうちの場合はミカサが「自発的」にこっちが何も言わなくても「お茶」は携帯してくれるんだけどな。

うちの彼女の方が上だからな。言っとくけど(どや顔)。

コニー「おま、それ、まるで……アレだろ?! なんか、アレだろ?!」

あ、流石にコニーがツッコミ入れたくてしょうがない顔をしている。

ジャン「ああ? 何がアレだよ。別にいいだろ? (ズズズ)」

お茶を飲みながら待機中だ。ジャン、本当にアレ過ぎるよな。

そして飲み残しはサシャに預けて「残りはサシャが飲んでいいぞ」と言って手渡している。

サシャも遠慮せずに飲んでいる。うは! やべええ!

皆の前でもう、堂々とやる事にしたようだ。ジャンもやるようになったな。

コニー「うわあ……それは流石にオレ、引くわージャン、極悪非道じゃねえか」

ジャン「何のことか分からねえな? オレは「償い」をして貰っているだけだし」

サシャ「そうです。器物を破損したら弁償するのと同じです。心を傷つけたら、誠意を見せるしかないんです」

とサシャも承諾しているようだ。

コニーは頭を抱えていた。頭痛がするらしい。

858進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:08:51 ID:YIeP0RoU0
コニー「サシャが悪い男に引っかかっているような気分だ」

アニ「いや、ような、じゃなくて実際引っかかっているけどね」

アルミン「うん。ジャンって悪い奴だよねー」

と、陰でこそこそ言い合っているアルミン達だった。

でもミカサはニコニコして機嫌がいい。ジャンとサシャを温かく見守っている。

エレン「機嫌がいいな。ミカサ」

ミカサ「うん。サシャがとても嬉しそう」

エレン「分かるのか?」

ミカサ「お茶を貰って飲み終わった時の顔、凄く可愛かった」

と、こっちはこっちでチェックしていたようだ。

さて。適当に雑談していたら時間が経ったのでそろそろ移動開始するか。

今日はいろんな人が大勢、初詣に備えて夜中から待機中だ。

午前0時を回った後、ぞろぞろと団体参拝客が前へ移動し始めた。

御賽銭入れて、手を合わせて2015年の抱負や目標を神様に報告する。

今年はとにかく成績を上げる! そしてミカサとイチャイチャするぞ!

と、いうまあ本音爆発のお参りをして移動すると、コニーがふと立ち止まった。

ん? どうしたんだろ? 急に立ち止まって。

コニー「………………」

何か凄い顔になっているな。皆もコニーの異変に気付いたようだ。

ライナー「どうした? コニー」

コニー「何でここにヒロがいるんだ」

ライナー「え?」

コニー「オレの彼女だよ。あいつ、今日、予定入ってるからオレと初詣無理だって言ってた癖に」

え…………ちょっと待て。それってまさか。

コニー「今、知らん男と歩いてた。あいつ……まさか!」

いかん、コニーがキレかかっている。

コニーが凄い顔で飛び出していった。人ごみをかき分けて彼女のところに向かったようだ。

859進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:10:05 ID:YIeP0RoU0
コニー「ヒロ!」

ヒロ「あ………コニー」

コニー「何でここにいる? 隣の男、誰だよ」

ヒロ「…………………」

隣の男「あれ? 前の彼氏とは切れたんじゃなかったの? コニーは元彼じゃないの?」

ええええええ?!

やばい! 修羅場勃発だ! これ、まずいぞ!

二股かけていたのか。こういうのって生で見るのは初めてだ。

コニーの顔に血の気がない。青い顔のまま立ち尽くしている。

ヒロ「……………コニーは元彼だよ。もう知らない」

コニー「はあ?! 何だよそれ?! オレ、悪い事したのか?!」

ヒロ「クリスマスイブも、クリスマスも、どっちも予定あけてくれなかったでしょ」

コニー「いや、それは部活と学校の用事があったからだし……」

ヒロ「その前の休みもそうだよね。その前も。ずっと電話とメールだけはちゃんと連絡してくれたけど。もう無理。こんなに放置され続けるなら付き合い続ける意味ない。野球部が忙しいのは知ってる。だったらせめて、野球部の用事がない時くらいは私を優先してくれたっていいじゃない」

コニー「いや、だって、オレ、学校に友達もいるし、用事だってあったし……」

ヒロ「ならその用事が終わってから1分でもいいからお互いに会えば良かったじゃん」

そして彼女は冷たく言い放ったんだ。

ヒロ「コニーは一体、何の為に私と付き合ってたの?」

コニー「そんなの、好きだからに決まってるだろ!」

ヒロ「それは「過去」の私であって「今」の私じゃないと思う。もう野球部のマネージャーとでもつきあったら?」

うわあああああこいつ、酷いな。

幾らなんでも言い過ぎだ! コニー、震えているぞ。

コニー「何でそんな事、言うんだよ……」

ヒロ「野球部で頑張っているコニー、好きだったけど。もうあの頃の私じゃない。ごめん。もう連絡しないで」

と、彼女は言い切って別の男と去って行った。

元旦からこれって、きつ過ぎるだろ。コニー、呆然自失だぞ。

コニーが倒れそうになった。それを最初に支えたのは、なんとサシャだった。

860進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:11:42 ID:YIeP0RoU0
サシャ「コニー! しっかりして下さい! コニー!!!」

心配そうに声をかけている。サシャもどうしたらいいか分からないようだ。

サシャ「息してますか? 私の事が分かりますか?! 意識をちゃんとして下さい!」

コニー「あ、ああ……」

そしてやっと我に返ってコニーが力を取り戻した。

コニー「そっか……オレ、クリスマスに学校でタダ飯なんか食ってる場合じゃなかったんだな」

そういえばクリスマスはリヴァイ先生とハンジ先生の結婚披露宴だった。

コニーはタダ飯に釣られてそれに参加していたんだ。

あの行事はあくまで「学校の用事」というか、流石に「他校生」までは来ていなかった披露宴だった。

OBOGは多数来たけれど。あくまで「講談高校」の関係者のみで行った披露宴だったんだ。

つまりそういう場に「他校生」はただの部外者だから。

コニーも気を遣って彼女を呼ぶという事はしなかったんだろう。

でも、リヴァイ先生の事だから、きっと「話せば」「OK」を出したかもしれない。

それをしなかったのは、コニー側の落ち度になるんだろうか。

と、其の時、

ピクシス「ふむ。年々、着物の美女が減っておるのう。残念じゃ」

エルヴィン「全くですね。正月くらいは着物美人を拝みたいところですが」

ハンジ「うひゃー人多いね〜おや? あそこにエレン達がいるよ? リヴァイ!」

リヴァイ「ああ……お前らも来たのか。初詣に」

キース「ん? コニー・スプリンガーの様子が変だが……気分でも悪いのか? 人に酔ったのか?」

と、先生達5人組がこっちに気づいた。

コニーはピクシス先生に縋り付くように駆け寄った。

ピクシス「どうした? コニー。何かあったのか?」

コニーは項垂れて何も言えない状態のようだ。

コニー「すんません。監督。明日、明日1日だけ、休みを下さい」

ピクシス「ふむ? 2日から野球部の練習を再開する予定じゃったが、何か用事が出来たのか?」

コニー「…………たった、今、彼女にフラれました」

ピクシス「!」

一同は驚いた。ピクシス先生の目が急に鋭くなって、

ピクシス「………中学時代の彼女じゃな? 例の娘か」

コニー「はい。初詣で、他の男に乗り換えたところを見ました。もう「彼氏じゃない」ってはっきり宣言されてしまって」

ピクシス「ふむ……」

と、ピクシス先生は困った顔をして一同を見まわした。

861進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:13:30 ID:YIeP0RoU0
ピクシス「ここじゃ話を聞くのに不都合じゃな。リヴァイ、自宅を借りても良いか?」

リヴァイ「構いませんよ。お前らも来るか?」

エレン「コニーが良ければ」

コニー「一緒に居てくれ。頼む」

コニーが頭を下げた。どうやら今から反省会をするようだ。

エルヴィン「では安産祈願は私が代わりに買っておこう。君達は先に戻るといい」

ハンジ「ごめんね。頼んじゃっていい?」

エルヴィン「ああ。後でそっちに合流するから」

ん? 今、何て言った?

ミカサ「今、安産祈願って……」

ピクシス「ああ。ハンジは今、妊娠しておるよ。大体2か月だそうだ」

エレン「えええええええええ?! 早くないですか?!」

ピクシス「リヴァイが一発命中させたんじゃよ。流石じゃの。ククク……」

OH……そっちの腕も一流か。マジか。いや、めでたい事だけどな。

って、リヴァイ先生の事はとりあえず横に置いて。

今はコニーの事だ。一同は全員、リヴァイ先生の自宅にお邪魔する。

フラれたばかりのコニーは皆に縋りたい様だ。

今、ここにいるのはオレとミカサとアルミンとアニとマルコとミーナとジャンとサシャとライナー、ベルトルトだ。

今回はユミルとクリスタだけ欠席だ。多分、ユミルがクリスタの「ナンパ避け」で連れて来なかったか、もしくはあっちは2人だけで初詣に行っているか、だな。

コニーはグズグズに泣いていた。余りの突然の出来事に何も出来ないでいるようだ。

コニー「うううう………」

ピクシス「話の流れを聞いても良いか?」

コニー「はい……」

そしてコニーは静かにお茶を飲みながら話を始めたのだった。

コニー「さっき、初詣に行った帰り、ヒロが別の男と歩いているのを偶然見かけて、問い詰めたら、もう完全にヒロの心が相手の方に行っていました。オレは声をかけた時点で既に「元彼」扱いだったみたいで。電話やメールではやりとりしていたのに。ちゃんと約束通りにしていたのに。ヒロの心はオレから離れていたんです。オレ、別れを切り出されるまで全然気づかなくて…」

ピクシス「ふむ。まあ……難しい問題じゃな。野球と恋愛の両立は、マネージャーと選手でも難しい。それを他校生とここまで続けられたコニーの方が凄いのじゃぞ」

コニー「そうなんですかね」

ピクシス「遠距離恋愛のような状態じゃったろ? 野球部の生活は普段から朝の4時から夜の10時までほぼフル活動じゃからな。彼女と会う時間は相当限られた筈じゃ」

コニー「ですね。でもどうやら、クリスマスイブとクリスマス、両方の予定を彼女に「合わせなかった」のが原因なんじゃないかって思います。オレ、リヴァイ先生の披露宴の方に出ちゃったし」

リヴァイ「ん? 彼女も連れてくれば良かったのに。別に他校生の入場は禁止してなかったぞ」

コニー「いや、でも学校の行事だし、彼女の方が気遣うんじゃないかって、思ったんですよ。其の時は」

ハンジ「ん〜人によるかな? 私はタダ飯とタダ酒飲めるなら何処でもついていくけどね」

リヴァイ「だろうな。ハンジはその辺、あまり人見知りもしない性格だしな」

862進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:15:48 ID:YIeP0RoU0
コニー「はい。彼女、繊細な部分もあったし、その、慣れない場所に連れてくるのも何だしと思っていたんで、其の時はただ「学校の行事があるから」って事で会うのを断ったんです。でもあいつは「終わってから1分でもいいから会えば良かった」って言ってて。今、思えばそうですよね。オレ、馬鹿だからそれに気づかなくて、あいつの「不満のサイン」を見逃してしまった」

ピクシス「ずっかけてしまったんじゃな。付き合いが慣れてくるとよくある事じゃ」

コニー「ですよね。オレ、あいつの事、だんだん「雑」に扱っていたのかもしれない……」

ピクシス「反省は十分に出来ておるようじゃな。だとしたらそれはもう、コニーにとって「必要」な経験だったのじゃよ。別れを受け入れろ。その上で新しい女子を見つけなさい」

コニー「いや、暫くは無理です。オレ、野球に打ち込みます」

ピクシス「ダメじゃ。コニーのような「ノリノリ」タイプは精神に大きくプレイが作用される。お主を支えてくれる「女」は居た方がいい。コニーはモテる方じゃろ? 大丈夫じゃ。すぐ新しい女子は見つかるよ」

コニー「でも………オレ………」

ピクシス「リヴァイとハンジの劇をお主も観ておったじゃろ? 時が経てば自然と「笑い話」に出来る時が必ず来るんじゃよ。いい経験をさせて貰ったと思って感謝するのじゃ」

コニー「ううううう………!」

コニーが泣いていた。号泣していた。

その辛そうな表情をジャンも眺めている。

あいつにとっては昨日の出来事のようなもんだもんな。

コニーの辛さを一番理解出来るのは恐らくジャンだろう。

コニー「明日、1日だけ休んでもいいですか?」

ピクシス「構わんよ。腹でも当たった事にしておく。ライナー、ベルトルトも口を合わせてくれ」

ライナー「分かりました」

ベルトルト「了解です」

という訳でコニーはそこで一通り泣いて先に一人で帰ろうとして、

そこにサシャが駆け寄った。

サシャ「コニー、あの………明日、私、スケジュール空けましょうか?」

コニー「え……?」

サシャ「ご飯、食べに行きましょう! あの、奢りますから! ちょっとだけ!」

ジャン「!」

ジャンの顔が強張った。あいつ、まさかサシャが自分からコニーに向かうとは思わなかったみたいだな。

ジャン「…………オレも何か奢ってやろうか? フラれる辛さはオレも分かるしな」

コニー「ありがとう。でも、いいよ。今は1人になりてえんだ。落ち着いてからでいい」

と、コニーはその優しさを拒絶して一人で先に帰って行った。

その様子をサシャは心配そうに見つめている。

863進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:17:41 ID:YIeP0RoU0
エルヴィン先生はずっと黙り続けていて、コニーの様子を見ていた。

ピクシス先生が宥めている間も何も話さなかったのが奇妙だった。

何か、意味深に注意深く観察しているような。そんな空気だった。

オレ達は暫く何も言えない状態で客間に正座して座っていた。

この人数でも全員、部屋に入る和室の客間部屋だからよく考えなくてもリヴァイ先生の家って広いよな。

エルヴィン「ふむ………」

エルヴィン先生が考え込んでいる。何か嫌な予感しかしないんだが。

でもそれを聞くのが怖くてオレは何も言わなかった。

ミカサもオレと似たような顔をしているようだ。

そしてとりあえずオレ達は夜中だからタクシーで家まで帰った。

時刻は夜の2時過ぎだった。結構遅くなってしまったな。

親父達は意外とまだ起きていた。もしかしたら待っていてくれたのかな?

グリシャ「おかえり。人が多かったのかな?」

エレン「ああ、初詣だしな。夜は多かったよ。やっぱり」

グリシャ「そうか。体が冷えているだろう。風呂でも入って温まってから寝なさい」

ミカサ「はい」

という訳でオレ達は一緒に風呂に入る事にした。

交際が親父に正式に認められてからは、オレとミカサは一緒に風呂に入る事を許可されたから、時間が合えば一緒に入っていた。

でも風呂の中でミカサが微妙な顔をしていた。だよなあ。オレも今、同じ事を思ってるぜ。

ミカサ「サシャ、コニーに真っ先に駆け寄った」

エレン「あーまあなあ」

ミカサ「まるで、溺れたハンジ先生を助けようとしたリヴァイ先生みたいだった」

エレン「だよなあ」

ミカサ「もしかして、今のサシャは心の中に「2人の男性」がいるのかしら?」

エレン「ジャン自身がそうだった訳だしな。十分あり得ると思うぜ」

ミカサ「……………そうね」

ミカサが湯船の中で困った顔をしていた。向かい合ってお湯で遊ぶ。

864進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:19:10 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「サシャの幸せを考えれば、どちらがサシャの相手として相応しいのかしら」

エレン「何とも言えねえなあ。オレは……」

外野が口出す事じゃねえしな。こればかりは。

ミカサ「………コニーの彼女の言い分も分からなくはない」

エレン「ん?」

ミカサ「私とエレンは、こうして一緒に風呂だって入れるし、寝るのも一緒の布団で寝られるし、ご飯も一緒だし。学校も一緒。部活も同じ。一緒にいる時間は他のカップルに比べると段違いに多いと思う」

エレン「あーそう言われたらそうなるな」

ミカサ「その「時間」が減っていけば不安になると思う。例え1分でもいいから「会いたい」と思うのは女としては当然の「思い」だと思う」

エレン「1分でいいのかよ」

ミカサ「もっと言うなら30秒でも構わない。会えないなら、会いに行きたい。それが「恋」なのでは?」

エレン「………それ考えたらオレ達、すげえ贅沢な恋人同士なのかもしれねえな」

ミカサ「そうね。それは私も思った。今、こうしている瞬間の「価値」を私は知るべきだったと思う」

エレン「そうだな。オレもそう思う。コニーには悪いけど。オレ、すげえ思ったよ」

こうやってミカサと一緒に居られる「時間」があるって事はすげえ「贅沢」なんだ。

というか、一緒に暮らしている時点でアドバンテージあり過ぎるよな。ある意味では。

リヴァイ先生とハンジ先生ですら、「同じマンション」だったし。

リヴァイ先生達より更に「近い」関係なんだよな。オレ達って。

そう思ったら急にミカサと「したく」なっちまった。

風呂の中でヤる訳にもいかんけど。なんか急にキスしたくなってきて。

ミカサを見つめていたら、ミカサもその気っぽい表情で見つめてくる。

エレン「………生理の予定日、明日だったっけ?」

ミカサ「うん。予定では。なので今日は、やろうと思えば出来る日」

限りなく「安全日」ではある。だったら、もういいかな。

姫初めって言葉もあるくらいだし。舞台も終わったし。

リヴァイ先生もテスト明けにやっちまった訳だし。タイミングとしてはベストかもしれない。

エレン「ミカサ、もう眠いか?」

ミカサ「全然……今日の事があったせいで何か、興奮して逆に眠れない気がする」

エレン「だよな。オレもだよ。コニーの事、すげえ可哀想だったもんな」

ミカサ「うん……」

エレン「こんな時に不謹慎かもしれんけど……オレ、今日、ミカサと最後までやってみたい」

ミカサ「…………うん。私も」

エレン「オレの部屋でいいか? 勿論、ゴムはつけてやるからさ」

ミカサ「うん。そうしよう」

そしてオレ達は身体を拭いて、服を着て部屋に戻った。

865進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:21:16 ID:YIeP0RoU0
夜中の3時前だけど。まだ眠気が来ねえ。

何だろう。この不思議な感覚は。

人の別れを見た後だってのに。不謹慎だって詰られそうだけど。

オレ、ミカサとすげえ繋がりたいって思った。

いや、人の別れを見たからこそ、離れたくないって思ったのかもしれないけど。

とにかくこの日、20015年の1月1日。元旦にオレはミカサとの一夜を決意した。

今まではアレだ。ゴム手袋で変態プレイとかしちまったけど。

今回は普通に出来る。だからそういう方向は今回は封印する。

ミカサを自分の部屋の布団の上に寝かせてお互いに両目を閉じる。

重ねていく。唇を。体温を。

温かい。何度キスしてもこの「温もり」の幸せには勝てない気がする。

テクニックとかはまだまだ稚拙かもしれない。

だからこそ、丁寧にミカサの反応を観察するんだ。

ミカサ「ん………」

静かに始めていく。リヴァイ先生に習った事を思い出しながら。

服の上から1時間以上、触る。

服は半脱ぎ。ええっと、後はなんだっけ?

いかん。忘れた。まあいいか。「適当」で。

もうミカサの体を触っているとだんだんマニュアルがどうでも良くなってくる。

いや、自分勝手だと自分でも「思う」んだが、何か「誘導」されるんだよな。

こう………ミカサに吸い寄せられるような「感覚」があるんだ。

唇が可愛い。鼻だって、すっとまっすぐ伸びて綺麗だ。

ニキビねえし。肌も艶々。このレベルをずっと保っているミカサの努力が伺える。

ミカサは暇があれば必ず「顔面マッサージ」をして「リンパの流れ」を良くしている。

それをすると、顔の張りが違うそうだ。そういう「マメ」な努力をコツコツしている。

いつもありがとうな。ミカサ。

そういう「まめまめしい」ミカサが本当に好きだ。オレは。

ミカサ「んー……」

舌を絡めると、唾液が漏れていく。糸がひくくらい、ねちっこいキスもする。

ふわふわのキスもするし、噛みつくようなキスもする。

もう、全部だ。ミカサとだったらいろんなキスが出来るしな。

ミカサ「ああ………エレン、もっと触って」

エレン「この辺とか?」

乳首を狙い撃ちする。もう固い。やっぱりミカサは「エッチ」な体してんな。

キスだけで感じてこんな風に変わっちまう。

866進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:22:48 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「ああ……」

服の上から触っても分かる。乳首の反応が。

風呂上りはブラジャーないからやりやすい。ふわふわをどんどん楽しんでいく。

ごくり。1回ツバを飲み込む。

何か腹の底からぐるるる……って唸るような声が聞こえてきた気がした。

オレの中の「何か」が「飢えている」のが分かる。

でもまだ解放しない。まだ早い。

あいつに「バトンタッチ」する前に「理性」の方のオレでミカサとのエッチを楽しむ。

「本能」のオレはメインディッシュだ。今はまだ、前菜を食うつもりでゆっくり食していく。

バイキングの時もそうだった。野菜を先に食べないと体に悪いからな。

いきなりがっつくのは、マナーがなってないだろうし。

ミカサの乳房を服の上から丁寧に愛撫していく。するとミカサがだんだんうっとりした表情で天井を見上げた。

ミカサ。視線を逸らすな。今はオレを見てくれ。

エレン「ミカサ……オレを見ろ」

ミカサ「ん……」

頷いてくれた。こっちを見た。

ミカサの瞳の中にオレがいる。ミカサから見た時にも写るのかな。

不思議だ。ミカサの目が柔らかい。

笑っているのか。そうか。ミカサの目が笑っているんだ。

幸せだと思った。今、この瞬間が。壊したくない。ずっとこのままでいたい。

ミカサ「ああ……」

エレン「ミカサ……好きだ。愛している」

ミカサ「私も……愛してる」

お互いに自然と言葉が溢れて、もう1回キスをした。

目を閉じて、手を握り合って。何だろうな。この感じ。

デートした時にがっついた時のような感じじゃねえ。

生理の時に血に触れた時ともまた違う。

電話でエッチした時とも、また違う。

このセックスは「今まで」とは「違う」って事しか分からなかった。

うまく言えないけど。これってもしかして、リヴァイ先生の言っていた「スロー」の方のやり方なのかな。

丁寧に丁寧に薄い皮を剥いでいくような感じだ。

バームクーヘンを1枚ずつ剥いて食べる様な感覚に近い。

ミカサ「ん……エレン………ああ……」

キスを続ける。ミカサの服の上からでも全身にキスをする。

特に首筋にキスをすると、身を捩って可愛い声を出してくれるようだ。

この時、ふと思い出したのはリヴァイ先生とハンジ先生が歌っていた歌の中の一曲だ。

☆矢の曲なんだけど。後で歌詞を確認して凄くいい歌だなって思ったんだ。

867進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:24:19 ID:YIeP0RoU0
和訳が大体こんな感じの曲だったけど。


When I look into your eyes I realize
(あなたの瞳を見つめて知りました)

That my love for you will never ever die
(あなたへの愛が永遠に死なないと)

Together for the rest of our lives
(2人の命が続く限り)

I always want you here by my side
(あなたにはわたしの隣にいて欲しい)


何も言わず抱きしめた

貴方の優しさを

忘れる日はないの

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)

You are a dream come true
(あなたは目の前に現れた夢)

You are everything to me
(あなたはわたしのすべて)

You are so beautiful
(あなたはとても美しい)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



和訳を読んだ瞬間、何故この曲を2人が選んだのか意味を理解した。

これはリヴァイ先生から見たハンジ先生であり、またハンジ先生から見たリヴァイ先生でもある。

そしてオレにとっても。ミカサから見ても同じかもしれない。

You are my reason to beというフレーズが凄く共感出来るんだ。

868進撃の名無し:2014/09/02(火) 00:50:12 ID:YIeP0RoU0
As I lay here all alone in my bed
(わたしが1人ベッドで眠っていると)

The thoughts of you keep runnin' through my head
(ふと、あなたのことが頭をよぎります)

When you're here the time goes by so fast
(あなたといる「今」はとても早く過ぎ去り)

The present disappears into the past
(遠い過去へ消えてゆきます)


ミカサと出会ってから今日の日まであっという間だった。

「今日」という日もいつか「遠い過去」へ消えていく事になるだろう。

遠い「未来」から見たらきっと。


Of all the people in the Universe
(この宇宙に住む多くの人達の中)

Who would ever guess I'd find you first
(すぐにあなたに出会えると誰が思ったでしょうか?)

I'm so lucky that you're here with me
(あなたの傍にいること、それがわたしの幸せなのです)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



You are a dream come true
(あなたは目の前に現れた夢)

You are everything to me
(あなたはわたしのすべて)

You are so beautiful
(あなたはとても美しい)

You are my reason to be
(あなたはわたしの生きる理由なのです)



I never knew, how good it could be
(わたしを愛してくれるあなたに会うまでは)

Till I had you you loving me
(人生がこんなに素敵だとは知りませんでした)


You are uh You are so beautiful to me

You are everything to me

You are my reason to be...


ミカサが大きく身を捩り始めた。辛そうだ。

ミカサ「あああ……エレン、ん……あ……」

声が漏れるけど、オレは唇を塞いで打ち消した。

もう多少聞かれてもいいや。夜中だけど。もう知らん。

タオル出してくるのが面倒臭かった。

ずっとキスで口を塞いでやれば声漏れも押さえられる筈だ。

ミカサ「ん……ん……ん……」

ミカサの口の中が気持ちいい。吐息が漏れる度に「二酸化炭素」を循環する感覚がある。

吸っていいのか知らんけど。まあいいや。死にはしない。

869進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:15:11 ID:YIeP0RoU0
服の上から乳首を擦り続ける。柔らかい刺激を続けていくとだんだんミカサの身の捩り方が激しくなってきた。

ミカサ「あ…あ……エレン、もう……早く、下を触って……!」

おねだりがきた。脱がせていいのかな?

オレはミカサの服をゆっくり剥いでいった。オレ自身も、全部脱いで布団をかぶりなおした。

ミカサは濡れるのが早いみたいだから、リヴァイ先生がいう程丁寧な前戯じゃなくてもいけそうではあるが。

でも、オレとしては濡れるのが早いからこそ、焦らしてやってみたい気持ちもある。

顔を下げてミカサのあそこに顔を近づけてみる。

濡れていた。すげえビチョビチョだ。やっぱり濡れるの早いんだな。

ぬるぬるするそこに鼻を近づけて、舌の先で弄ってみる。

ミカサ「んー……」

ミカサが声を漏らさないように堪えているようだ。

今日はタオル噛ませてないからな。だから余計にしんどいんだろうな。

ゾクゾクしてきた。やっぱり声は聞いた方が興奮の度合いが増す気がする。

ミカサは困っているだろうなと思いつつ、オレは太ももを触りながら、ミカサのあそこに直接、愛撫を仕掛けた。

舌を上下に動かして、丁寧につついたり、回したり。

その度にミカサの体の痙攣が起きて感じているのが伝わって来た。

ミカサ「あ……あ! あ! あ!」

短い喘ぎ声が続いていく。親父達にバレてるだろうけどもういいや。

親父達も今頃、部屋でヤッてるかもしれんし。あとついでに言うなら親父の寝室は「防音」だ。

ラブホテルもびっくりな完全防音の部屋の夫婦部屋だから、気遣わないでセックス出来る仕様になっている。

……………今度、親父達がいない時にこっそり部屋借りてミカサとやろうかな。

とか下らない事を考えつつ、オレはミカサのあそこを丁寧に愛撫し続けた。

ミカサ「ああ……あああ……ん……んーはあ……エレン、エレン……もう、いきそう……」

イキそうだという話だったので1回止めた。

ミカサ「ええええ……何で止めるの?」

エレン「あーちょい休憩」

ミカサ(しょぼーん)

あ、今、(´・ω・`)の顔になった。超可愛い。

何だよ。そんなに一気にイクところまでイキたかったのか。せっかちだな。

870進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:34:41 ID:YIeP0RoU0
エレン「そんな可愛い顔するなよ」

ミカサ「だあって……」

エレン「一気にイク方が好みなのか?」

ミカサ「かもしれない」

エレン「じゃあ次はイカせる。指、入れてみるぞ」

ミカサ「うん……」

思い出した。指は3本入るようになってから挿入だったな。

1本目。余裕だ。2本目。ちょっときつそうだ。ミカサが一瞬、目を細めた。

まだ早いようだ。だろうな。まだまだこれからだ。

指を中に入れたり出したりをそーっと繰り返しながら、ミカサの気持ちいい部分を指の腹で擦っていく。

ミカサ「ああ………あう……ん……うう……」

唇は太ももの内側をなぞって舐めていく。左手は尻の方だ。

優しく撫でて3点同時にやってみる。するとミカサのバウンドが激しくなってきた。

ミカサ「あ……や……ああ……あああああ!」

バシ!

いってー!

ミカサの膝がオレの体に当たっちまった!

無意識だったみたいだけど。善がり過ぎて事故が起きてしまった。

ミカサ「! 大丈夫エレン?!」

ミカサが慌てている。いや、このくらいは大丈夫だけど。

ミカサ「抑えていたのに……ううう」

そう言えば「うっかり怪我させなくない」って以前言ってたな。

そっか。善がり過ぎた時の反動で怪我させたくないから、あの時に渋っていたんだな。

871進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:44:27 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「エレン、やっぱり私を拘束して」

エレン「は?」

ミカサ「やっぱり怖い。もし善がり過ぎてエレンを蹴ってしまったらと思うと……」

エレン「いや、別に蹴っても構わねえけど」

ミカサ「でも骨を折ってしまったら……」

エレン「折れても別にいいよ」

ミカサ「私が嫌! 絶対いや! 私を縛って! エレン!」

うううーん。初めての挿入なのにいいのか? それじゃまるでSMじゃねえか。

どうしたらいいんだ。コレ。

ミカサ「エレンに万が一の事があってはいけない。縄でも何でもいい。エレン、私を縛って」

エレン「縄あったかなあ?」

一度布団から出て、部屋の中を探してみるけど流石に「縄」は見つからなかった。

エレン「あーなわとび用のならあったけど、これでいいのか?」

ミカサ「それで構わない。それで私の力を封じ込めて欲しい」

無茶苦茶だなあ。本当に。

うーん。こういう時は、発想を逆転させた方がいいかもしれんな。

エレン「あえて暴れて貰おうかな」

ミカサ「え?」

エレン「ミカサが頑張ればいいんだよ。騎乗位、やってみっか」

という訳でポジションチェンジだ。頑張ってみよう。

エレン「ほら。ミカサが上に乗ってみろ。オレはミカサのおっぱいを下から拝んで楽しむからさ」

ミカサ「う、うん……(ポッ)」

872進撃の名無し:2014/09/02(火) 01:56:34 ID:YIeP0RoU0
挿入はまだしないけど。ミカサに乗って貰った。

うひょーいい眺めだな。マーガレット先輩の家で体位のモデルした時の事を思い出すぜ。

おっぱい揉み揉みさせて貰おうか。下からだけど。

ミカサ「あ……エレン……やん……」

えへへへ〜いいなコレ! アングル最高だな!

ミカサ「や……乳首、や……」

乳首を下から掬うように何度も刺激を与えるとミカサの顎が上下に揺れた。

ガクンガクンしているぜ。おもちゃみてえに。

ミカサ「あああ……ああ……ん……やあ……やああん」

乳首だけでイケるかなこれ? 意外といけそうな気配だ。

ミカサ「や……や……ああ……」

あ、もう力が入らなくなって倒れて来た。騎乗位でいられなくなったみたいだ。

背中に指を添わせて耳元に唇を寄せて。暫くそのまま撫でていた。

尻の方にも手を寄せて。後ろから尻の穴にもちょっとだけ触ってみる。

ミカサ「いやああ……直接はらめええ……」

エレン「ああ、すまん。別に中には入れない。悪い悪い」

ミカサ「…………入れないの?」

エレン「え?」

ミカサ「入れるかと思った」

エレン「いや、今、ダメって言っただろ」

ミカサ「そう言った方がいいのかと思って」

同人誌の読み過ぎだ! ミカサ、誘惑テクニックを磨き過ぎ!

エレン「いや、そこまでざーとらしくしなくていいからさ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「オレ、あんまり「わざとらしい」演技が苦手なんだよ。たまにクリスタがやり過ぎているところ見て引いた事あったし」

ミカサ「そうなの? エレンはクリスタが苦手なの?」

エレン「ん〜女としては、だな。アルミンは逆に好きみたいだけど」

ミカサ「そう……良かった」

エレン「だからミカサもあんまり、マニュアルばっかり読まなくていいからな。素直が一番だろ? こういうのは」

ミカサ「うん……じゃあ、入れて」

エレン「へ?」

ミカサ「お尻、触ってもいい。正直、あの時、開発されるような変な感覚があって、新しい自分に目覚めてしまった。責任取って欲しい」

エレン「えええええそうだったのか?!」

873進撃の名無し:2014/09/02(火) 03:02:25 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「責任取って欲しい。責任取って欲しい。責任取って欲しい」

エレン「何回も言うなよ。怖いから! 分かった! 責任取るから!!!」

あーでも、ゴム手袋ここにねえんだよな。1回下に降りるの面倒だなー。

ミカサ「………直接触ったらやっぱり危ない?」

エレン「粘膜を傷つける恐れがあるんだよ。爪の中に雑菌あるからな。それが直接体の中に入ったらダメなんだ」

病院とかでも直腸の検査をする時は必ずゴム手袋してからするからな。

だからそういうプレイをする時も「雑菌」に気を付けるのは常識らしい。

ミカサ「そうなのね。だったら今日は諦める。また今度で」

エレン「そうだな。それがいい。また今度でイイよ」

今日は別に尻を使う必要性がないからな。

ミカサの「子宮」に入れられるならそっちの方が断然いい。

尻はあくまで「予備」みたいなもんだ。そっちに触れない時の為の。

だから今日はこっちに専念する。尻の方を通過してもっと前の方に指を届かせる。

ミカサ「あう……ん……うあ……はあ」

あそこを擦りながらミカサの乳首に吸い付いてみる。

おっぱいは出ないけど。オレも昔はこんな風に母親に吸い付いていたんだろうか?

赤ちゃんの時の記憶はないけど。でも、その時の事をもしも「覚えていたら」きっと比べられただろうな。

いつか遠い未来、ミカサが母乳出るようになったら吸い付いて飲んでみたいな。

とか言ったら変態の烙印を押されそうで怖いけどな。

………もう手遅れか。うん。

ミカサ「エレン……エレン……ああ……あああああ!」

ミカサがオレの上に乗ったまま一度イッたみたいだ。

がくんと、急に体の力が抜けたような衝撃がきた。

874進撃の名無し:2014/09/02(火) 03:06:49 ID:YIeP0RoU0
とりあえず1回目。カウント間違えないようにしないと(笑)。
姫初めエッチで初エッチになりました。キリがいいからいいよね?

ではまた次回ノシ

875進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:14:15 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「はあ…はあ…はあ……はー……(がくり)」

エレン「1回イッたみたいだな」

ミカサ「イッたあ………(ふにゃあ)」

ぶふー! なんだその間抜けな顔は!

やべえええええ! なんかもう、こっちも滾ってくる!

んー! ぶちゅうううっと乱暴なキスをして、オレは体勢を入れ替えた。

騎乗位でいこうかなって思ったけど気が変わった。やっぱり正常位でいこう。

ミカサのあそこは一度イカセたら大分指が入りやすくなった。2本入れても痛がらない。

3本入れてもそこまで抵抗しない。やっぱり先に一度女の方をイカせた方が挿入しやすそうだな。

そこを確認した後、オレは布団から出て、バスタオルやコンドームを用意した。

ミカサの下にバスタオルを敷いておく。コンドームのつけ方は個人的に何度も練習したから大丈夫だ。

手早く装着を済ませて、コンドームの上に少しだけローションを塗り付ける。

エレン「ミカサ。痛くなったらすぐ言えよ」

ミカサ「うん………」

準備を整えてからミカサの上に覆い被さった。

尻を支えながら少しずつ挿入を試みる。

狭い。やっぱり女の体の中は狭いんだな。

でも少しずつ、本当に少しずつ前に進む。ミカサの表情を注意深く観察しながら。

ミカサの胸に食いついてみた。乳首に刺激を与えたら、子宮の入り口が一緒に動いた。

脈動が伝わって来た。それに乗せるようにして、また一歩。奥へ行く。

ミカサ「あああ……あああ………」

苦しそうだ。出来るだけ痛い思いはさせたくねえけど。

1回止めるべきか? でもミカサは首を左右に振った。

ミカサ「一思いに、一気に、いって!!」

そうか。ならもう遠慮はしねえ。押し進める!



ぐっ………!



完全に入った。今、この瞬間、オレとミカサは繋がった。

876進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:22:49 ID:YIeP0RoU0


ドクドクドクドクドク……………


心臓が高鳴る。すげええ。なんだこの感動は。

やった。オレ、入ったんだ。コンドーム越しだけど。すげえ温かい。

急に涙が出て来た。自然と零れてきたんだ。

ミカサも泣いていた。感動を一緒に分かち合っているんだ。

暫くそのままで動けなかった。お互いに何も言えない。

そして10分くらい動けないでいたら、ミカサから言い出した。

ミカサ「動かないの?」

エレン「動いていいのか?」

ミカサ「動かないとセックスにならないような?」

エレン「まあ、そうなんだけどさ。ククク………」

なんかもう、浮かれ過ぎてやばい。

エレン「痛くねえか?」

ミカサ「予想していたような痛みはない。全く痛くない訳じゃないけど。生理痛よりは痛くない」

エレン「そっか。女の人って生理痛で痛みに慣れているのかな」

ミカサ「そうだと思う。だから動いていい」

エレン「んじゃ、ゆっくりいくぞ………」

腰を前後に振ってみる。すると、ミカサがまたあの「ふにゃ顔」に変わった。

ミカサ「ああん………」

かわええ……滅茶苦茶可愛いな。ミカサの「ふにゃ顔」は。

普段が「キリッ顔」の方が多いから気合抜けているとすげえギャップがある。

ああ。だからなのかな。オレ、ミカサには「リラックス」して欲しいのかもしれん。

そういう「寛いでいる時のミカサ」を見たくてしょうがなかったのかな。

だからゲームで誘惑して、サボらせたり、家事仕事を休ませたかったのかも。

877進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:33:44 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「ああ……ああ……エレン……もっと、もっと奥に突いて……」

エレン「ああ……どんどん突いてやる」

ミカサとオレのあそこが上手い具合にしっくりくる感覚がある。

凸凹が噛みあっている感じだ。正常位で良かったみたいだ。

体位の参考書には「女の子宮の位置によってベストな体位が変わる」とあったから、心配していたんだよな。

正常位でそこまで痛がらないって事は、恐らくミカサは「上つき」タイプの女なんだろう。

もし「下つき」タイプだった場合はバックからの挿入がお勧めとあったから、かえって良かった。

バックは挿入が他の体位より難しいらしいとあったから出来るなら「正常位」もしくは「騎乗位」で挑戦したかったんだ。

腰の前後の振りを徐々に大きくしていく。まだまだこっちはHP残ってるからな。

とか油断していたら、急にぐっと吸い込まれる感覚が来た。

う……なんだこれ?! ああ……まずい。ミカサの身体が気持ち良すぎて、まずい。

入れたばかりなのにイクなんて、恥ずかしい!!

一旦、休憩しよう。早漏過ぎるのは良くねえ。ふー。

ミカサ「エレンの意地悪……」

エレン「いや、今、オレ、イクところまでイキそうだったから1回止めたんだよ」

ミカサ「? イッていいのでは?」

エレン「早過ぎるだろ! もうちょっと待て。この感じをもっと楽しみたいんだよ」

このふわふわで幸せな時間を引き延ばしたい。一気に味わうのは勿体ないだろ。

ミカサ「ふふ……それもそうかも」

エレン「だろ? だから休憩を挟みながらでいいんだよ」

ミカサ「うん……」

幸せなセックスだった。

878進撃の名無し:2014/09/02(火) 10:47:54 ID:YIeP0RoU0
もうずっとこのまま繋がっていたい気持ちになった。

でもそういう訳にもいかないし、何よりオレも「絶頂」に行きたい。

山の山頂に辿り着くような。あの達成感を味わいたい。

小刻みに腰を前後に振る。ミカサの表情がもっと「ふにゃふにゃ」になってきた。

顔に力が入ってない。普段、どれだけ「気合」を入れているのか良く分かる。

もう完全に「別人」だ。今のミカサの顔を知っているのは「オレ」だけだろう。

そう思うと急に興奮が増した。今、オレ、ミカサを独占してんだよな。

涎が零れている。目が虚ろで、涙を拭う気力もなくて。

声を押さえる余裕もない。善がり続けるミカサをオレは責め続けた。

腰の動きと一緒に乳首も当然、弄っている。ちょっと強めに捩じるとまた、子宮が疼く感覚が伝わってきた。

ああ。口でされている時の感覚に近いけど、それを更に「強化」したような気持ち良さだ。

吸い込まれる。ミカサの中に。もう我慢出来ない。

オレの方もそろそろ限界に近付いてきた。

一気にイク。腰の速度を加速する。弓なりに、ミカサの背中が反った。


ミカサ「ああああああ………!」


コンドームの中に出した瞬間、すげえ吸い付きがきた。

ミカサもほぼ同時にイッてくれたようだ。2回目の「イク」感覚はさっきより激しかったみたいだ。

終わった後、気怠い感じがきた。眠い。

繋がったまま、眠ってしまいたいけど。どうしようかな。

ミカサが起きない。あ、堕ちたみたいだな。スースー寝息が聞こえてきた。

…………抜くの面倒だからこのままでいいか。

オレは半眼の自分に甘えながらそのまま目を閉じた。

ミカサの股の間から赤い鮮血が零れている事に気づかないまま、眠ってしまった。

だから朝、目が覚めた時にそれに気づいてオレは「ああああ?!」と叫んでしまった。

879進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:04:45 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「どうしたの? (むにゃむにゃ)」

エレン「血が……」

ミカサ「あ……」

エレン「すまん。すぐ気づいて洗うべきだった。時間経ったら落ちにくいよな」

ミカサ「大丈夫。こっそり落としてくる」

と、ミカサがささっと着替えて後始末をしようとするけど、

エレン「いや、オレがやるから! やり方教えてくれればやるから!」

ミカサ「そう? じゃあ2人で洗おう」

という訳でおばさん達が起きてこないうちにこっそり後始末をした。

結構、血が出てたんだな。最中は気づかなかったけど。

所謂「処女膜」が破れると大体皆、こうなるらしいけど。

ミカサを「女」にしたんだよな。オレ。

オレも「男」になった訳だけど。

なんか不思議な感覚だった。越える前は「ドキドキ」が凄かったけど。

越えてみたら意外と「なーんだ」って感触が強い。いや、勿論楽しかったけどな。

でも思っていた以上に「大変な事」ではなかった。なんていうか「えい!」って一度乗り越えてしまえば、以後は普通に出来る様な感じだ。

出来なかったバク転が、コツを掴んで出来るようになった感覚かな?

それとも、食べられたかった苦手な食べ物を食えるようになった感じかな?

まあ、何でもいいけどな。とにかくオレは一歩、「大人」になったんだ。

階段を一段、登ったんだ。ミカサと一緒に。

そう考えると自然と笑みが零れて、ミカサを労わりたい気持ちになった。

ミカサ「ん?」

エレン「朝飯はオレが適当に作るよ。今日くらい休め」

ミカサ「いいの?」

エレン「こういう時くらい、オレにさせろよ。いいだろ? ま、下手くそな飯だけどさ」

ミカサ「ううん。任せる」

なんかもう、既に新婚さんみたいな生活だけどな。オレ達。

一緒に暮らせるアドバンテージに感謝するしかねえ。

きっと他の恋人たちより贅沢な関係なんだ。その事に、心から感謝しよう。

そう思いながらオレは、冷蔵庫を開けて卵やら何やら取り出して朝飯を作った。

卵焼きやサラダ。味噌汁。ご飯は冷蔵庫の冷や飯があったからそれを温めて食べる。

幸せだと思った。本当に。だからこそ、壊したくないと思った。

コニーの事は凄く残念だったけど。でもあいつはモテるからきっと大丈夫だ。

これからどうなるかは分からねえけど。でも、あんまり悲観する事はねえよな。

他にイイ子は沢山いるし。何よりサシャが傍にいる。

三角関係になる可能性はあるけど。でも、それはそれで仕方がないと思う。

オレとミカサとジャンもある意味では三角関係だった訳だし。

リヴァイ先生とハンジ先生とモブリット先生もそうだった。

加えて言うなら、リヴァイ先生とハンジ先生とエルヴィン先生だってそうだった。

でも落ち着くところに落ち着いた。時がくればきっと、そうなるから。

だから、立ち向かうしかねえと思った。「自分自身の心」に。

サシャはそういう意味ではまだ「自分の気持ち」を正面から見れない状態みたいだけど。

根が「臆病」なのかもしれないな。気持ちは分からなくはねえけど。

880進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:20:53 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「修学旅行……」

エレン「ん?」

ミカサ「修学旅行の時は気をつけないといけない」

エレン「ん? 何で?」

ミカサ「計算通りで行けば、性欲が高まる時期になる」

エレン「マジか! いや、そうか」

ううーん。重なっちまうのか。それはまずいなあ。

でも修学旅行を休む訳にもいかんしな。そこはどうにかしないと。

ミカサ「うん。1月14日から18日まで、危ない時期なのでドンピシャ」

エレン「そっか…………分かった。覚悟しておく」

と、未来を案じながら2人で朝飯を食っていると、

ミカサ「サシャの事、だけじゃないけど」

エレン「ん?」

ミカサ「私はむしろ、アニの方が心配」

エレン「ん? 何で? え? まさか、アニも好きな人がいるのか?」

ミカサ「ううーん。確証はないけれど。もしかしたらっていうのは、ある」

エレン「え? 誰だよ。まさかジャンとかじゃねえよな?」

ミカサ「いや、ジャンではなく………………」

エレン「あ、確証がないなら話さなくていいや。すまん。聞いたオレが悪かった」

ミカサ「いえ、可能性としては五分五分くらいだと思うので、一応話しておきたい」

エレン「…………誰だろ?」

思いつく人物が出てこない。すると、ミカサは言った。

ミカサ「………アルミン」

エレン(ぶふー!)

お茶を拭き零した。え? え? 本当に?!

エレン「アニがアルミンを好きかもしれないって思ってるのか?」

ミカサ「でないと、遊園地でのあの「苛立ち」に説明がつかない」

エレン「ええ? どういう事だ?」

ミカサ「ジャンがヒッチにフラフラしている時、ジャンに対してというより、アルミンが「アレは僕でも拒否出来ない」みたいな事を言った瞬間、凄い怖い顔になった」

エレン「あー……」

そっか。なるほど。だからアニの奴、機嫌が悪くなったのか。

881進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:32:58 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「自覚はないのかもしれない。でもあの時の夜叉のようなアニの顔、正直怖かった」

エレン「ミカサもたまにそうなるけどな」

ミカサ「うん。私もちょっと自重しようと思った。出来るだけ」

エレン「そっか……でもアルミンもクリスタに失恋したようなもんだし、いいんじゃねえかな? 2人がくっつけば」

ミカサ「ううーん。でもアニにはもう1人、アニを好きでいる男の子もいるし」

エレン「………ベルトルトの事か」

ミカサ「エレンも気づいていたの?」

エレン「まー球技大会でのサッカーしていた時のベルトルトを見ていたら自然と気づいたよ」

ミカサ「そう。私は文化祭の時に確信した。甘味所で結構、楽しくしゃべったそう」

エレン「ああ、聞いたのか。其の時の事を」

ミカサ「そうそう。ベルトルトの奢りで、ライナーも交えて食べてきた時の様子を知って、これはベルトルトの方に気があるとしか思えなかった」

エレン「なんかもう、いろいろ複雑な感じになって来たなー。これに加えてライナーからクリスタへのベクトルもあるわけだろ?」

ミカサ「ライナーはまだクリスタとユミルの件は気づいてないと思うけど」

エレン「なんかそれっぽいな。気づいたら大変な事になりそうだな」

ミカサ「うん……ユミルとクリスタは本格的に付き合う事になったそうだから」

エレン「え………それ、本当か?!」

ミカサ「うん。メールでこっそり教えてくれた。クリスマス公演でユミルとクリスタも男女ペアに扮装して踊ったのが切欠で、そういう空気になったそう」

エレン「すげ! 社交ダンスのカップル成立率すげえな!」

こりゃあリヴァイ先生がハンジ先生に堕ちた筈だよな。

あれだけ密着すればだんだんその気になってもしょうがねえよ。

オレとミカサの場合は最初からその気だったけど。そうじゃない場合は戸惑うかもしれんな。

882進撃の名無し:2014/09/02(火) 11:43:08 ID:YIeP0RoU0
エレン「そうかーそういう意味じゃアルミンもアニとペア組んだ訳だし、意外とくっつくかもしれんな」

ミカサ「だといいけど………」

エレン「ん? どうした? 何か不安なのか?」

ミカサ「いいえ。その………うーん」

エレン「煮え切らないな。アルミンに何か問題あるのか?」

ミカサ「その、アニは「博打」をする男が苦手だから」

エレン「………………」

その言葉で何となく意味を察したオレだった。

エレン「あーうん。アルミン、意外と「博打好き」だからなー」

文化祭の時のごり押し具合や、ジャンとの茶々入れを見て貰えば分かると思うが。

アルミン、意外とそういう「気質」は持っているんだよな。

仕掛けて、その結果を楽しむっていうか。たまに失敗して落ち込む事もあるけど。

というか、麻雀も出来るし頭使うゲーム好きだしな。

多分、成人したら「賭け事」を趣味にしそうな気配はある。

エルヴィン先生と似た部分を持ってるからな。アルミンは。

ミカサ「だからその点だけが心配。アニの親父さんも博打で身を崩しかけた事があるそうだから、出来るならそういう男とは結婚したくないって言ってるけど」

エレン「理性と本能は別物だからなあ。親父さんが博打好きなら、また同じような男に惹かれる可能性もあるって事だな」

ミカサ「つまりそういう事。アルミンがもし「博打」に目覚めてしまったら流石にちょっと許容は出来ない。友人としては」

エレン「難しい問題だな。オレは博打にそこまで興味ねえけど。アルミンはちょっと、その気質は持ってるっぽいからな」

883進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:37:45 ID:YIeP0RoU0
あとコミケの時の金の使いこみ方とかな。一気に3万使ったあたり、金銭感覚がオレとちょっと違う。

行くときは一気にいくタイプなんだよ。アルミンは。

ミカサ「そういう意味ではベルトルトの方が「安全」な男のような気がする。最初は公務員を希望していたそうだし」

エレン「それっぽいよな。確かに。でも、その辺はもう、本人達がどこまで「許容」出来るかによるよな」

アルミンはアルミンだしな。博打好きな気質も含めてアルミンだからしょうがねえよ。

ミカサ「うん。出来るなら、アニには幸せな選択をして欲しいけど。苦労をかける男とは付き合って欲しくないけど……本人が相手を好きになった場合は仕方がない」

エレン「大丈夫だって。アルミンはそこまで酷い身の崩し方はしねえと思う。あいつ、運がいいからな」

ミカサ「そうなの?」

エレン「ああ。うまくいえないけど………土壇場に強いぞ。オレとは違った意味で」

でないとオレもアルミンの友達をやってないと思う。

エレン「まあ、まだ本人達の自覚がない状態なら何とも言えないけどな」

ミカサ「そうね。こっちがやきもきしてもしょうがない気がする」

と、いろいろ話していたら朝飯を食い終わった。

ミカサ「あ……片付けくらいは私がやる」

エレン「いいのか?」

ミカサ「うん。手持ち無沙汰の方が落ち着かない」

エレン「分かった。じゃあ後は任せるよ」

という訳で皿洗いをミカサに任せてオレはテレビを見たりした。

親父達が降りて来た。ちょっと遅い起床だな。

グリシャ「おはよう。エレン。ミカサ」

エレン「おはよー父さん」

ミカサ「おはようございます」

グリシャ「………………………」

親父が微妙な顔をしていた。

いや、言いたい事は分かるけど。出来ればスルーしてくんねえかな。

グリシャ「おせち料理はお昼でいいか。朝は普通の朝食を食べようかな」

と言いながら、ツッコミたい事をスルーしてくれたようだ。助かる。

そして親父は冷蔵庫から自分の食べたい物を取り出して自分で適当に料理をした。

ミカサ「母さん、まだ起きてこない……」

グリシャ「ああ。ちょっと寝坊しているよ。寝かせていていいから」

ミカサ「……………分かった」

ミカサも何となく気づいたようだな。

まあ、親父は親父達できっと昨夜はお楽しみでしたねって事だろ。言わないけどな。

グリシャ「そう言えば冬休みがあけたら修学旅行の予定だよね。エレン」

エレン「ああ。確か14日から19日の5泊6日だったかな」

グリシャ「入金は新学期が始まってからで良かったのかな」

エレン「ああ。確かその筈だ。13日までに入金してくれって知らせがあった」

グリシャ「了解。忘れないうちに入金しておくね」

親父の場合、2人分をいっぺんに支払ってくれる訳だから感謝しねえとな。

エレン「…………親父」

グリシャ「ん? なんだい?」

自分の分の朝飯を軽く摘まみながら親父がこっちを見た。

884進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:40:21 ID:YIeP0RoU0
エレン「あの、さ。親父から見て、オレの成績、どう思う?」

グリシャ「ん〜医者になれるかなれないかって意味かな?」

エレン「うん。正直言えば、まだ全然足りてねえと思うんだけど」

グリシャ「でも一気に成績が上がって来たんだろ? だったら問題ない」

エレン「医者ってでも、もっと頭がいるよな」

グリシャ「何が言いたいのかな? エレン」

エレン「…………可能性、何パーセントだと思う?」

正直言えば今、オレはオレ自身を客観視出来る状態ではなかった。

だから「本音」の意見が聞きたくて其の時、親父に聞いたんだけど。

グリシャ「それはエレンの努力次第だよ。私が決める事じゃない」

エレン「ううう……」

グリシャ「数学の成績が伸び悩んでいる事を気にしているのかな?」

エレン「はっきり言えばその通りだ。オレ、結構頑張ったんだけど。思っていたより伸びなかったし」

グリシャ「エレンの場合は数学の「最終問題」だけは何故か正解するよね」

エレン「ああ……そうだな」

自分でも良く分からんが。最終問題は何故か得意だ。

グリシャ「それってつまり「応用力」はあるっていう証拠だと思うよ」

エレン「応用力……」

グリシャ「最終問題は必ず「頭を捻って答えを出す」問題がくるからね。そこをクリア出来る力はあるんだから、他の基礎的な問題も頑張れば何とかなると思うよ」

エレン「だといいけど……」

ううーん。まだ不安があるんだよな。

アニとの勝負の件もあるし。実力テストで結果出してえけど。

885進撃の名無し:2014/09/02(火) 22:55:02 ID:YIeP0RoU0
グリシャ「エレン。焦ったらダメだよ。エレンはようやく本腰を入れて勉強を始めたばかりだし、部活動の方の両立もしないといけない。成績は徐々に伸びていく時と、伸び悩む時期もある。焦ってペースを崩したら遠回りになるだけだ」

エレン「そっか……」

グリシャ「勉強するのもいいけれど、ペースを崩さない事の方が大事だよ。地味だけど。その努力は実を結ばない場合でも必ず「糧」になるから。出来る限り頑張りなさい。浪人したいっていうなら、父さんは反対しないから」

エレン「え……浪人、してもいいのか?」

グリシャ「一発合格出来る人間ばかりじゃないからね。父さん自身も1回浪人経験をしているし。親がしているのに子供には「するな」なんて言えないよ」

エレン「そっか……」

ありがてえけど。でもあんまり過保護にされ過ぎているような気もする。

グリシャ「あともし、途中で「気が変わった」場合も遠慮なく言いなさい。私自身も、高校時代、進路についてはフラフラしていたしね。医者だけじゃなくて、もし他の職業にも興味が出てきたらそっちも視野に入れていい。勉強はするに越したことはないけれど。進路を最終的に決めるのは「高校3年生」になった時点でも構わないよ。父さんがそうだった訳だしね」

エレン「そっか………じゃあもしも途中で「やっぱり医者は無理かも」って思ったら、進路を変えてもいいのか」

グリシャ「うん。挫折する人間の方が圧倒的に多いからね。医者の道は。目指してくれるのは親としては嬉しいけれど。それに固執し過ぎて他の事がおざなりになり過ぎるのも良くないよ。エレンの「部活動」での活動はエレン自身の「一生の財産」になると思っていていい。十代の頃の「経験」こそが、一番必要な「勉強」であるから」

と、まるでキース先生のような事を言いだす親父だった。

エレン「そっか……ありがとう。父さん」

グリシャ「他に何か悩み事はない? 父さんも普段忙しいし。あまりゆっくり話せないからこういう時くらいしか話せないしね」

と、親父が歩み寄ってくれる。

エレン「ううーん。悩みって程の事じゃねえけど……」

過ったのはジャンやコニーやアルミンや、その他の恋愛模様だった。

エレン「……親父は十代の頃、三角関係とか経験した事ある?」

グリシャ「恋愛事の悩みかい? 私はモテた訳じゃないからそういう経験はないかな」

エレン「そっか……」

グリシャ「ミカサを狙う男が他にもいるのかな?」

エレン「いや、そっちの件はもう解決したからいいんだけどさ」

グリシャ「ふむ」

エレン「なんていうか……周りがさ。ちょっといろいろ、ゴタゴタしそうな気配なんだよ」

グリシャ「ああ。そういう意味か。だったら父さんも沢山、見聞きはしてきているよ」

エレン「周りは結構、そういうのあったのか?」

グリシャ「私自身の話ではないけれど。確かに十代の頃は複雑な恋愛模様は周りではよく起きていたね」

886進撃の名無し:2014/09/02(火) 23:16:34 ID:YIeP0RoU0
親父も経験しているのか。やっぱりそういうのって通るべき「道」なのかな。

グリシャ「四角、酷い時は六角関係もあったねえ」

エレン「六って……それ、酷いな」

グリシャ「うん。全員片思いっていう、不毛な恋愛模様だったけど。でも結局6人ともグループ交際みたいな感じでわいわいやっていたようだった。均衡が崩れた時に、それぞれパートナーが出来て、結局はカップルが3組出来たから良かったけど」

エレン「へーそういうのもあるんだ」

グリシャ「後はそうだな……やっぱり二股関係の修羅場とかかな。結構、そういう激しい恋愛模様もやってる奴は普通にやっていたしね。当時の私にとっては「別の世界」のような感覚だったけど」

エレン「あー自分が経験しないと分かんないもんな。やっぱり」

グリシャ「そうだね。私の場合は恋愛については遅咲きだったと思うよ。医者になった後に初めて「恋愛」を経験した訳だから」

と、親父がしみじみ言っている。

グリシャ「でもそういうのって、人それぞれだからね。早い人もいれば遅い人もいる。エレンもそういうので「やきもき」する事もあるかもしれないけど。あまり「深入り」しない方がいいよ。話は聞いてあげた方がいいけど。結局はなるようにしかならないと思うしね」

エレン「あーやっぱりその辺は親父とオレ、考え方が似ているんだな」

グリシャ「親子だしね。まあ、そうだろうね。そういう意味ではエレンは皆より「早咲き」だったんじゃないか?」

エレン「ああ。2番目くらいかな? 周りで1番早かったのはコニーだけど。2番目はオレかもしれん」

グリシャ「だとしたら、今ぐらいからどんどん、そういう「話」が沸いてくる時期だろうね。父さんの時もそうだった。高校1年の後半くらいから高3の始め辺りまでがそのピークだったように思う。高校3年生に入ると一気に「進路」の関係が出てくるから、恋愛事も少しは落ち着いたけれど」

エレン「そっかーだったらもうしょうがねえかな。うん。分かった。オレも腹括る」

グリシャ「巻き込まれそうな気配なのか?」

エレン「それはまだ分かんねえけど。いろいろ「ううーん」と思う事は出てきそうな気配かな」

グリシャ「まあそうだろうね。でもそれも「青春」だしね。いいなあ。若いって」

と、親父が何故か「ニヤニヤ」している。

エレン「親父も新婚さんだろ」

グリシャ「それとこれとは別だよ。エレン。時が過ぎてから分かる。十代の頃の「輝き」は年を取ってからしか分からないんだ」

エレン「うう……そうなのか」

今、言われても分かんねえよな。そう言われても。

もしかしたら10年後、20年後、親父と同じ事を言いだす自分がいるかもしれんけど。

少なくとも「今」のオレには全く理解不能だった。

そんな訳で抱えていた「もやもや」は親父に話したら少しすっきりしたような気がする。

そして冬休みの間は部活も殆どお休みして勉強に打ち込んだ。

部活動の方は特に先の予定もなかったし、集まりたい奴は集まって練習していたみたいだけど。

オレの場合はちょっとお休みさせて貰った。勉強の方を優先したかったからだ。

あっという間に冬休みは終わり、実力テストも終わった。

順位は前回と全く変わらなかった。やっぱり今のオレの限界は「ここ」あたりになるようだ。

アニ「ふふん。エレン、あと1回だからね。チャンスは」

アニに負けてしまった。くそ! 次こそは負けたくねえ!

887進撃の名無し:2014/09/02(火) 23:40:49 ID:YIeP0RoU0
ミカサ「アルミンとの差が出て来た。悔しい…」

ミカサはミカサで落ち込んでいるようだ。どうやら今回も「2位」だったそうだ。

ミカサ「むむむ………何故? 何が原因なのかしら?」

エレン「あーもしかして、オレに付き合って勉強していたからじゃねえか? ミカサ自身の勉強の時間、削ってオレに教えてくれただろ」

ミカサ「いや、そんな筈は……」

エレン「うーん。あんまりミカサにばっかり甘えるのも良くねえのかな」

ミカサ「ええええ……(ガーン)」

エレン「いや、ミカサが落ち込む事じゃねえだろ?」

ミカサ「エレンに教える方が優先なので、2位のままでいい(キリッ)」

エレン「そ、そうか? うーん。なんか悪い気がするな」

ミカサ「そもそも、2位でも十分成績はいいのでこれ以上を望む方が贅沢だと思う(キリッ)」

エレン「うーん」

まあ、2位でも十分点数的には医者の進路には届いている成績ではあるんだが。

どうしたもんかな。やっぱりオレ、塾とか行くべきなのかな。迷う。

いろいろ思うところもあるけれど。とりあえず、次は修学旅行の件だ。

1月10日。土曜日。この日は修学旅行の班を決めるロングホームルームが行われた。

もう来週の事だしな。ぱぱっと決めないといけない。

888進撃の名無し:2014/09/03(水) 00:12:04 ID:N46kN.jg0
クリスタ「えーっと、修学旅行の班は7人を1つの班にした5つのグループに分かれます。グループごとに自由行動を取って貰いますので、計画表を立てて13日までに提出して貰います」

と、結構バタバタなスケジュールだった。

ただまあ、冬休みの間に大体の「案」は皆、予め考えてはいた筈だから、そこは問題ないか。揉めるとすれば「どこを選ぶか」になるだろう。

オレは当然、ミカサとアルミンとアニと組んだ。残り3人は誰と組むかな。

マルコ「ごめん。今回は僕はミーナと組みたいから、ハンナ達のグループに合流してもいいかな?」

ミーナとハンナは割と仲いいみたいだしな。まあしょうがねえか。

ジャン「ああ。彼女優先してやれ。オレは……どうしようかな」

ジャンはサシャと組みたいだろうけど。サシャはどうするつもりかな。

コニー「サシャ! この間の研修旅行では別の班だったから、今回は組まねえか?」

サシャ「いいですよー。組みましょう」

ジャン「!」

ジャンが焦っている。やっぱりそうだよな。

ジャン「…………」

助け船になるか分からんが、オレはサシャとコニーに声をかけた。

エレン「だったらお前らうちの班に来いよ。ジャンも含めれば3人だし。丁度7人集まるし」

ジャン「………いいのか?」

エレン「その方がいいだろ? 班が分かれるよりはマシだろ?」

ジャン「………助かる」

ジャンがこっそり礼を言った。嬉しそうで何よりだな。

コニー「お? いいのか? サンキュ! エレン!」

そんな訳で、修学旅行の班分けは大体こんな感じに分かれた。


【修学旅行班分け】


1班 エレン ミカサ アルミン アニ ジャン サシャ コニー

2班 ライナー ベルトルト ユミル クリスタ マルロ ヒッチ ダズ

3班 マルコ ミーナ フランツ ハンナ サムエル ミリウス ナック

4班 トーマス トム その他モブ

5班 その他モブ



今回、オレが何故か班長になってしまった。じゃんけんで負けたからだけど。

まあいいか。別に。そんなに大した大役でもないしな。

そんな訳で、14日、15日、16日の京都の自由行動の計画を皆で立てる事になった。

17日、18日は長野のスキー旅行だから特に決める事はない。

19日の午前中には長野を出発して夕方までには学校に帰る予定だ。

観光案内のパンフレットにチェックをつけてサシャがニヤニヤしている。

コニーも行きたい場所が沢山あるようだ。アニも何気にパンフレットに沢山付箋をつけているし、アルミンに至っては……言わなくても分かるかな。すげえ下調べをしてきているようだ。

889進撃の名無し:2014/09/03(水) 00:20:12 ID:N46kN.jg0
という訳で修学旅行編です。
京都のどこに行かせるかまだ決めてないので、希望があれば採用します。
特に何も希望がなければ定番コースになります。良ければ↓にどうぞ。

修学旅行の行き先も伏字の方が良かったかな。まあいいか(笑)。
京都と長野で決定しちゃったんで、ここだけはそのままいきます。

ではまた次回ノシ

890進撃の名無し:2014/09/03(水) 22:55:22 ID:N46kN.jg0
特に希望もないようなので定番コースでいきまーす。

891進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:02:36 ID:N46kN.jg0
自由行動が出来るのは15日になる。14日は団体で決まったコースを移動して、15日は丸一日班ごとに自由に行動出来る。

16日は移動日で、17日と18日がスキー研修になる。

19日には帰還する。大体そんな感じの修学旅行の予定だ。

学校によってはもっと長い日程の修学旅行もあるそうだ。

海外に行く高校とかもあるらしい。すげえよな。贅沢だよな。

コニー「集英高校はオーストラリアに行くらしいぜ」

エレン「オーストラリア?! すげえなそれ!」

コニー「あそこは金かける学校だからなあ。あと白泉高校はフランスとか言ってたような」

エレン「おおおお何か次元が違うな」

ミカサ「私は国内の方がいいと思う」

アルミン「国内で十分だよ。日本語が通じる方がいいって」

アニ「だよね。外国語だと会話が不安だし」

サシャ「ですねえ。日本にも一杯いいところはありますよ」

ジャン「…………」

ジャンが無口だな。何か考え込んでいるようだけど。

エレン「あーどうする? 自由行動の大体の日程考えないといけないけど」

ミカサ「団体で移動するのは「金閣寺」「龍安寺」「仁和寺」の3つよね」

エレン「14日の方はそうだな。その3つを主に見に行くコースを巡るみたいだ」

ミカサ「だったら自由行動の時はそれ以外の場所を見て回ろう」

エレン「そうだなー。清水寺とかは基本かな? 二条城も一応見てみるか」

基本的な観光名所は押さえた上で、他に行きたい場所は……

コニー「はいはいはい! オレ、映画村行きたい!」

アルミン「あ、僕もそこは絶対行きたいと思ってた」

アニ「偶然だね。私もだよ」

サシャ「いいですね! 皆でお姫様になりましょう!」

ジャン「あー……いいかもな」

エレン「ミカサもいいか?」

ミカサ「うん。お姫様になってみたい」

エレン「じゃあ自由行動は「清水寺」「二条城」「映画村」の3つでいいか」

あんまり多く回ると1個あたりの時間が短くなるからな。

午前中は「清水寺」「二条城」に行って、午後は丸々映画村で遊ぼうかな。

892進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:15:19 ID:N46kN.jg0
ヒッチ「あ〜そっちの班も映画村に行くんだ?」

と、その時、ひょいっとこっちの班に顔を出してきたヒッチだった。

ジャン「ああ……満場一致だな。そっちも行くのか?」

ヒッチ「うん。ライナーがすっごい推してね。映画村で1日遊ぼうって話になったよ」

ユミル「まあ、クリスタをお姫様に扮装させたいんだろうな」

ヒッチ「だよね〜」

と、ヒッチは割と誰でも仲良くなれるようで、向こうの班のメンバーともあっさり馴染んでいた。

エレン「オレ達は午後からだな。午前中は一応、基本的な観光名所を押さえておく」

ヒッチ「ふ〜ん。まあいいんじゃない?」

と、其の時、ヒッチが何か思い出したように言った。

ヒッチ「あーでも、今回の修学旅行、他の高校とも日程が被るらしいよ」

エレン「そうなんだ。どこと?」

ヒッチ「小学館高校とだったかな? 私の中学の時の元彼が教えてくれたよ」

コニー「!」

其の時、コニーの表情が一瞬、強張ったのが分かった。

サシャもだ。何だ? 何かあるのかな。

ヒッチ「他校の生徒ともすれ違うかもしれないね。クリスタ、ナンパされないように気をつけないと」

ユミル「その点は本当にそう思う。クリスタ。当日はサングラスでもしておけ」

クリスタ「ええええ……そんなあ」

と、微妙な顔をしているクリスタだったけど。

サシャ「……………」

サシャが微妙な顔をしている。何だ? 何かあるのかな。

コニー「あーまあ、大丈夫だろ。多分」

サシャ「ですかねえ?」

コニー「うん。そう何度も偶然は起きねえだろ。もう、元彼女だし。もし会ってもスルーするよ」

エレン「え? まさか、元彼女って、小学館高校の生徒なのか?」

コニー「ああ、まあな。でも、もう大丈夫だ。休みの間に気持ち整理したしな」

と、コニーは苦笑いだった。

893進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:37:37 ID:N46kN.jg0
その様子を心配そうに見つめているサシャを複雑そうな顔で見つめるジャンだ。

ジャン「コニー。修学旅行の時、何か奢ってやろうか?」

コニー「ええ? いいのか?」

ジャン「言っただろ? 落ち着いたらって。アイスとか、向こうで食べる機会があれば奢ってやるよ」

コニー「なんか悪いな……本当にいいのか?」

ジャン「気持ちは分からんでもないからな。まだ暫くは気持ちの整理をする時間が必要だろ」

コニー「まあな。…………あの時は悪かったな。ジャン」

ジャン「ああ?」

コニー「オレ、ジャンがフラれてるところを見て、笑ってたしな。自分がその立場になってみて初めて、その気持ちが分かった。オレ、ひでー奴だったよ」

ジャン「あー……そうだったのか」

コニー「ああ。だからオレの方こそ、ジャンに何か奢るよ。お互いに交換しようぜ」

ジャン「まあ、別にいいけどな」

ヒッチ「………ん? え? コニーまさか、別れたの?」

と、其の時になって初めて話題に気づいたヒッチが言った。

コニー「元旦にフラれたんだよ。偶然、向こうに二股かけられていたの知ったんだ」

ヒッチ「ええええ……それはご愁傷様。でも勿体ないなあ。私だったら絶対、コニーを手放さないけどなあ」

コニー「え? なんで?」

ヒッチ「だってコニー優しいでしょ? 他校生同士で結構長く付き合ってたんでしょ? しかも野球部だし。忙しいでしょ? それでも時間作って彼女と付き合えるんだからいい男に決まってるじゃん」

コニー「あーでも、最近はちょっと、あんまり時間作って会ってなかったんだよ。その不満が爆発したみてえだ」

ヒッチ「放置したの、どれくらい?」

コニー「秋大会に入ったあたりだから、11月は殆ど会ってねえな」

ヒッチ「ええ……それってちょっと我儘過ぎない? 私、遠距離恋愛も経験あるけど、2か月くらい会えないのって普通だよ?」

エレン「そうなのか」

ヒッチ「言わなかったっけ? 最長で1年だったって。その相手が遠距離だったの。まあ、遠距離だったからこそ、1年続いたのかもだけど。でもその相手が、歴代で1番エッチ上手かったから我慢したよ?」

ジャン「お前は……」

ジャンが半眼になっている。無理もねえけど。

ヒッチ「おっと。ごめんごめん。だからまあ、一か月や二か月会えない程度に他の男に流れるのって、ちょっと変だね」

コニー「そうなのか?」

コニーが首を傾げていた。

オレも心境としては同じだった。

ヒッチ「いや、私にみたいにフラフラしている女子なら話は別だよ? でもそもそも、スタートの時点で他校生同士で付き合うなら、相当な「愛」がなければ始めようと思わないじゃん? 私は相手の女の子の事は全く知らないけど。私みたいに飛んでる子じゃなかったんでしょ?」

コニー「まあ、普通の女の子じゃねえのかなあ?」

ヒッチ「だとしたら、尚更「妙」だね。まさか…………いや、でもなあ」

と、何か引っかかるものを感じたようだった。

アニ「どういう事? 何か裏があるっていうの?」

ヒッチ「裏というか……いや、確証のない事を話すと違った場合が怖いから言わない方がいいかも」

コニー「そこまで言って引っ込めるなよ! 何かあるのか???」

ヒッチ「怒らないで聞いてね? あくまで私の「推察」だからね?」

と、前置きしてヒッチは言った。

894進撃の名無し:2014/09/03(水) 23:57:22 ID:N46kN.jg0
ヒッチ「もしかしたら、本当の理由が「別」にあるのかも」

コニー「ん? どういう意味だ? オレが放置し過ぎたせいじゃねえのか?」

ヒッチ「ううーん。コニー側の「浮気」を疑ったとか? そういう噂を聞いたとか? リヴァイ先生とハンジ先生が若い頃に一度、修羅場ったシーンあったでしょ? あれみたいに、他に「本命」がいると勘違いしたとか……?」

コニー「本命? んな馬鹿な。オレ、彼女が本命だったぞ」

ヒッチ「だから「勘違いしたか」だよ。そういう情報を誰かから「意図的」に情報操作されて、気持ちを揺さぶられて……コニーにダメージを与えたいと思った「誰か」がいるとか。コニー、野球部じゃん? 小学館高校の生徒に恨まれるような事、した覚えない?」

コニー「そりゃあ、去年の県予選で小学館高校を破って優勝した訳だから……………まさか」

そこでコニーは思いつく事があったようだ。

コニー「まさか、試合に負けた「腹いせ」でオレの彼女を奪ってやろう、みたいな話か? それって」

ヒッチ「確証はないけど。でも、可能性はあるかも?」

コニー「マジかよ。可能性、あるんだとしたら、絶対許せねえ………!!!」

もしそうだとしたらオレも許せねえな。それは。

それはつまりコニーの元彼女を「利用」した「嫌がらせ」って事になる。

サシャ「で、でも……証拠は何処にもないんですよね?」

ヒッチ「だから、あくまで「推察」って言ったでしょ? そこんとこの裏付け捜査、したいんだったら……まあ、協力してあげなくもないけど」

コニー「……………」

ヒッチ「分かんないけどね。真実は。本当にコニーの「放置」が原因だったのかもしれないし。でも、そういう「恋愛事」を利用した「復讐」って割とある話だからさ。気をつけた方がいいよ。私自身は流石にそういうの経験ないけどさ。結構、見聞きはしてきているからさ」

すげえな。ヒッチより更に「上」のビッチが世の中には存在するらしい。

そういう人間とは関わらないのが1番だとは思うが。

895進撃の名無し:2014/09/04(木) 00:13:04 ID:RZG0mcR20
ユミル「そういう話なら、もしかしたら元彼女の方は「サシャ」の存在を「勘違い」した可能性あるかもな」

サシャ「え?!」

其の時、ユミルがいきなり口を挟んだのでサシャが驚いた。

サシャ「な、何で私ですか?! あり得るとすれば野球部のマネージャーの方じゃないんですか???」

クリスタ「ううーん。いや、私は「サシャ」も十分あり得ると思う。だってサシャ、甲子園に応援に行ったでしょ。あの時、元彼女さんとも会ったじゃない」

サシャ「ええ……会いましたけど。でも、コニーの元彼女さんと会うのは私、初めてじゃないですよ? コニーとは中学が同じですし、元彼女さんの事は私も昔から知っていますし」

ユミル「いや、まあそうだけどさ。あの時、サシャの方が元彼女より先にコニーに会っただろ? 偶然とはいえ。その時の空気、正直微妙な感じだった気がするんだが」

コニー「…………………そうか。だったらあいつ、オレとサシャの事を勘違いした可能性もあるのか」

サシャ「ええええ?! それ、困りますよ! 誤解です! 誤解は解いた方が」

コニー「いや、今更だ。今言ってもしょうがねえよ。もう別れたんだし。誤解が解けたとしても、もう元には戻れねえよ」

と、コニーががっくりしていた。

コニー「そっか。なんかもう、どうしようもねえな。元彼女の事は忘れる努力をする。あんまりゴチャゴチャ考えたら、野球の方がおざなりになっちまうしな」

ジャン「だろうな。でもあんまりオーバーワークはするなよ。コニー。怪我したら元も子もないぞ」

コニー「その辺はピクシス監督にも厳しく言われたよ。練習に逃げるなって。練習メニューは逆に減らされた。こういうのは「時間」が「自然」に解決してくれるって。そう言っていたよ」

サシャ「何だか申し訳ないです……」

今度はサシャが落ち込んでいた。

コニー「気にするな。勘違いした方も悪いだろ。オレ、別にリヴァイ先生みたいに「否定しない」行動なんかしてねえし。サシャとはちゃんと「友達」だってずっと言ってきたし。もうあいつの事はいいんだよ」

と、コニーはサシャを責めなかった。

こういうところが本当に「優しい」よな。コニーは。

仲間思いっていうのかな。リヴァイ先生程の極端な物じゃねえけど。

コニーが「モテる」のはオレも頷けるぜ。

896進撃の名無し:2014/09/04(木) 00:34:55 ID:RZG0mcR20
サシャ「…………」

でもサシャ自身は余計に落ち込んでいるようだ。真実が分からないから余計にそう思うんだろう。

ヒッチ「大丈夫だって。コニーはモテるから新しい彼女、すぐ作ればいいじゃん。何なら立候補してあげようか?」

コニー「いや、流石にヒッチはオレ、無理。お前、ビッチ過ぎるだろ」

ヒッチ「あはは〜フラれちゃったwwwだったら私の友達、紹介しようか?」

コニー「似たような女紹介されそうでこえええよ! 遠慮する!!」

と、コニーは笑っていたけれど。

その様子をジャンは複雑そうに見つめていた。

カラ元気なのが分かるからだろうか。ジャンはコニーの気持ちも分かるし、サシャの気持ちも分かるのかもしれない。

今の時点ではサシャの中に「2人の男性」がいる事に、サシャ自身、気づいていないようだけど。

いつ、「着火」するかなんてわかったもんじゃない。

リヴァイ先生とハンジ先生の劇の例があるから余計にそう思うんだろうな。

ヒッチ「ああそう? じゃあしょうがないね。まあ、そのうち新しい彼女出来るって」

コニー「ピクシス監督にも同じ事を言われたよ。オレ自身はまあ、その……彼女と付き合っている間に他の女にも告白された事もねえ訳じゃねえけど」

アニ「そうだったの?」

コニー「まあ、甲子園出場したくらいだし。野球部は活躍と比例してモテていく法則があるからな」

ライナー「うぐ……ではもっと早く野球部に入部してれば、俺もモテていたかもしれないのか」

と、其の時、外野でそっと様子を見ていたライナーが言った。

コニー「だから早く野球部来いって言ったんだよ!!! オレ、何回勧誘かけたと思ってんだよライナー!!」

ライナー「すまなかった。いや、あの頃は俺も弓道部に興味があって……」

クリスタの間違いだろ?

コニー「まあいいけどな。ライナーとベルトルト入ったおかげで、うちの野球部の攻撃の幅も広がったし。ライナーが正捕手に上がってからはキュクロのストレートも急速が上がったし。150キロ超えたからな」

ジャン「マジか! え……ちょっと待て! ライナーが正捕手って、フランツはどうなったんだ?」

コニー「ああ。フランツは補欠に下がった。準レギュラーみたいな感じかな。でも、ライナーはサブポジで「ショート」もやってるから、ポジションチェンジする時はフランツがキャッチャーやるけど」

エレン「………それが決まったのって、もしかして秋頃か?」

コニー「そうだけど。何で?」

エレン「いや……何でもねえ」

そうか。フランツがサボっていたのはそのせいだったのか。

ミカサも思い出しているようだ。フランツとハンナがデートしていた時の事を。

897進撃の名無し:2014/09/04(木) 01:00:48 ID:RZG0mcR20
コニー「そういう訳で、今の打順はオレが3番でライナーが4番でベルトルトが5番でキュクロが6番で、クリーンナップが充実してきたから結構、打撃力もあるんだぜ。おまけにベルトルトが「投手」もやり始めたから、キュクロだけに負担をかけずに済んでいるのも大きい。秋大会には調整は間に合わなかったけど。2年次は去年よりいいところまで行けるんじゃねえかなって思ってる」

アニ「え……待って。ベルトルト、投手始めたの?!」

と、其の時、ぶったまげたのはアニだった。

ベルトルト「う、うん……実はそうなんだ」

アニ「待ってよ。ベルトルトに投手って、酷過ぎない? こんなに気弱で繊細な奴なのに」

コニー「繊細だからこそ、いいんだよ。ベルトルトにボール投げさせてみたらすげえコントロールが良かったんだ。急速も悪くねえし。中継ぎとしては優秀なんだぜ? 何よりライナーとのバッテリーがすげえうまいし。セカンドもやってるけど。ライナーと組ませたらうまくいくみたいだから監督がそう決めたんだよ」

エレン「へーなるほど。そういう事か」

ベルトルト自身が言っていたもんな。ライナーと組みたいって。

つまりバッテリーと二遊間を2人で受け持っているのか。

アニ「ほ、本当に大丈夫なの? 炎上しそうで怖いけど」

コニー「あーたまにあるけどな。でもその時はキュクロが交替してばしっと締めるから大丈夫だよ。ベルトルトもキュクロがいるから投げられるってのもあるよな」

ベルトルト「そうだね。僕一人だけだったらとてもじゃないけど投げられないよ」

ユミル「ベルトルさんが覚醒すればうちはもっと強くなれそうだけどな」

ベルトルト「うう……ごめん」

コニー「いやいや、十分貢献しているぜ? ベルトルトの球速140キロ超えているし。変化球もすぐ覚えたし。お手本のような投手だよな」

ベルトルト「まだカーブとスライダーしか投げられないよ」

コニー「2種類をすぐ覚えた時点ですげえって。それにストレートも加えたら3種だろ。野球初めてまだ1年経ってねえのにすげえよ。マジで」

と、何気にベルトルトも優秀らしい。

ジャン「すげえな。ベルトルト。もう変化球を覚えたのか」

ベルトルト「僕の場合はストレートを投げるより変化球の方が投げやすいのもあるけどね」

ジャン「いや、それでもオレもカーブとスライダーをちゃんと覚えるのには1年かかったぞ」

コニー「普通はそんくらいかかるからな。投げ方を覚えて、試合で使える「状態」まで持っていくのに」

ジャン「ああ。練習でただ「投げる」のと「試合で使える」のは別物だからな」

と、すっかり野球談議になってしまっている。

そろそろ時間かな。チャイムが鳴った。

クリスタ「あ、しゃべってたら終わっちゃったね。とりあえず、計画表出来たなら貰ってもいい?」

エレン「ああ。いいぜ。ほらよ」

と、ざっとした計画表をクリスタに渡して回収させた。

そして休み時間になった。皆それぞれの席に戻るけど。

サシャ「…………はあ」

サシャが深いため息をついていたのに気づいたのはきっと、オレだけじゃなかっただろう。

でも声をかける事はしなかった。今ここで突いたら余計にいろいろ拗れそうな気がしたからだ。

サシャ「………食欲がないなんて、いつぶりですかね」

と、いう独り言をいいながら、サシャは教室を1人で出て行ってしまった。

その様子を見守りながらミカサも言った。

ミカサ「………………追いかけた方がいいのだろうか?」

エレン「分かんねえ。でも追いかけたいならオレは止めねえよ」

ミカサ「………やめておく。まだその必要はないと思う」

エレン「そっか」

ミカサ「うん。サシャは冷静に「自分」と「相談」するべき「時期」だと思う。その上で、必要になれば手助けしてあげたい」

エレン「そうだな。女のミカサの方が親身になれるだろうしな」

ミカサ「多分。私の手が必要な時は、そうする」

と言いながら、次の授業の準備に入るオレ達だったのだった。

898進撃の名無し:2014/09/04(木) 01:09:46 ID:RZG0mcR20
ええっと。リヴァイ×ハンジ編の既視感を覚えながら、
ジャン×サシャとコニー×サシャが同時進行していくような展開になってきました。

今回はここまで。ではまたノシ

899進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:08:09 ID:RZG0mcR20









リヴァイ「あー3学期は定番のマラソンの授業になる。冬は走るのが定番だ」

と、2限目の体育でリヴァイ先生が新しい授業内容を発表した。

リヴァイ「男子は毎年20キロ、女子は10キロ走る。2月9日はマラソン大会を行うからそれに向けて少しずつ練習を始めていく。いきなり20キロ走ると普段、走っていない奴が肉離れを起こす可能性もあるので、徐々に走る距離を増やしていく方針にする。今日は軽く5キロ走って貰ってそのタイムを測っていく形にする」

という説明があった後、グラウンドをぐるぐる走る練習が始まった。

今回は男女混合の練習になった。珍しい。

普段は男女別れて体育の授業を行うんだが、マラソン大会だけは別のようだ。

女子はまず3キロ走らされるようだ。グラウンドの外周トラック1周で大体1キロなので、女子は3周、男子は5周走る。

皆、今日は最初のマラソンの授業なのでのんびり走っている。

徐々に体を慣らしていくのが目的なので本気で走っている奴はいない。

と、思った其の時、

コニー「あれ? 皆、おせーな! スピード出さねえの?」

と、先頭を走っていたコニーが後ろの方を気にした。

ジャン「しょっぱなからスピードは出さねえよ。今日は軽いランニングだろ」

コニー「えええ? のんびり走り過ぎじゃねえか?」

と、コニーは普段、野球部で走らされているからか息を全く切らしていない。

ジャン「コニー達は普段から走ってるからだろ。まあ、オレ達演劇部も走るのは走るけど」

エレン「オレ達の場合はタイムはあんまり気にして走らないからな」

ジャン「ああ。それより走りながら早口言葉を言ったり、軽い羞恥プレイをやらされるからな」

エレン「そうそう。劇の台詞をいいながら走ったりな」

コニー「あはは! それはそれでもおもしれーな!」

と、コニーがこっちを気にしながら走っていると、

リヴァイ「ビリだった奴には罰ゲームが待ってるぞ。トップには褒美をくれてやる」

と、タイムを測っていたリヴァイ先生がいきなり言い出したので男子全員「げ?!」って顔をした。

エレン「マジっすか?!」

ジャン「やべえ! 罰ゲームは受けたくねえな!」

コニー「オレはむしろトップを狙うぜ!」

と、コニーは先に行ってしまった。そういう事ならオレも負けていられない。

ミカサ「また物で釣って……いやらしい男」

と、其の時、ミカサが後ろから追いついてきた。

エレン「リヴァイ先生がいやらしいのは今に始まった事じゃねえだろ?」

ミカサ「そうだけど………何だか癪に障る」

と、言いつつミカサと同じ速度で走っていると、

アニ「女子は貰えないのかな」

と、現金なアニが話題に食いついた。

900進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:27:45 ID:RZG0mcR20
エレン「男子だけじゃねえの? 女子はリコ先生が担当しているし」

アニ「そう。残念……」

と、ちょっぴり残念そうにするアニだった。

アルミン「ううう……罰ゲームは嫌だなあ」

1周遅れで追いついたアルミンが愚痴っていた。

アルミン、足が遅いもんな。クラスでも後ろから数えた方が早い。

エレン「アルミン! 頑張れ!」

後ろから追いついたオレはアルミンの背中に声をかけた。

アルミン「エレンに追いつかれた?! やばい!」

1周遅れに気づいたアルミンがスピードを上げたけど。やっぱり足が遅い。

ミカサ「アルミン。気持ちだけ焦ってもダメ。手足をゆっくり大きく振って」

アルミン「こう?」

ミカサ「そうそう。同じペースを続ける方が大事。焦ってはいけない」

アルミン「分かった。こうだね」

と、アルミンのペースが徐々にアップしていった。おお。流石ミカサだな。

エレン「長距離走は焦ったらダメだもんな。ペース崩れると戻すのに時間かかるし」

ミカサ「そうそう。罰ゲームが嫌ならこのペースでいけばきっと大丈夫」

エレン「ああ。アルミンより遅い奴、1人いるもんな」

ダズって言ったかな。あいつ、運動神経良くねえみたいだしな。

そんな感じでその日は軽い距離を休憩を挟んで何度か走った。

5キロ×3回走ったから、合計では15キロ走ったけど、間に5分休憩を挟んでいるから問題ねえな。

本番はぶっ続けで走る訳だからこれよりもっとしんどい筈だ。

20キロならハーフマラソンみたいなもんだからな。普段から時々走る癖をつけていて良かった。

普段から走っていない奴らは少々しんどそうな顔をしていたからだ。

リヴァイ「ふむ。トップはコニーだったな。よし、褒美をやろう」

と言いながらリヴァイ先生は怪しげな封筒をコニーに手渡したのだった。

コニー「中身何かな〜おおお! バイキングのチケットっすか!」

リヴァイ「タダ券だ。肉を食って筋肉をたんまりつけるといい」

コニー「あざーっす!!!」

サシャ「う……いいなあ」

リコ「女子も実は用意しているぞ。こっちはケーキバイキングの方だが」

ざわ……

女子の方が「何で走り終わってからそれ言うんですかああ!」と抗議の声をあげた。

リコ「ん? 私はリヴァイ先生程、優しい教師ではないからな。ククク……マラソンの授業の初回特典だ。以後はご褒美つかないからな」

えええええ……

「真面目に走れば良かったー」という声が聞こえた。

901進撃の名無し:2014/09/04(木) 22:46:34 ID:RZG0mcR20
リコ「女子はミカサだな。おめでとう。ケーキバイキングに行ってくるといい」

ミカサ「ありがとうございます」

ミカサがチケットを受け取って戻って来た。

リヴァイ「さて。罰ゲームはダズだな。お前には追加メニューだ。これをやろう」

と言って何だか怪しげな……リストバンドかな? を渡されたようだ。

リヴァイ「1キロの重りをつけたリストバンドだ。次の体育の授業の時もこれを手首につけて走って貰うぞ」

ダズ「ええええ……まるでDBの修行みたいじゃないですか」

リヴァイ「まあその通りだな。ちなみにこの「重り」は次回の「ビリ」にリレーしてく形にする。順位を上げたら重りから解放されるから頑張れ」

ダズ「とほほ……」

なるほど。そうやって運動が苦手な奴に無理やり「モチベーション」を与える訳だな。

リヴァイ「走るのは足の力より「腕の振り」の方が重要だからな。腕の振り方が雑になればなるほどリズムよく走れなくなる。だから家でも腕をしっかり上下に振る練習をしておけ」

ダズ「分かりました……」

リヴァイ「今日の授業は以上だ。次回も同じペースでやっていく予定だ。レベルを上げるのはもう少し先になるから安心しろ」

と言ってその日の授業は終わったのだった。

ミカサ「ケーキバイキングのペアチケットを貰ってしまった」

エレン「今度はミカサが貰ったのか。良かったな」

ミカサ「エレン、ケーキ好き?」

エレン「おう! 甘いもんは好きだぞ」

ミカサ「恥ずかしいとかは思わない?」

エレン「んにゃ全然。ミカサと一緒に行けるなら何処でもついていくさ」

ミカサ「………そう(ポッ)」

お? ミカサが赤くなった。よしよし。

いいデートの機会に恵まれてラッキーだな。

コニーの方もペアチケットなのかな? コニーは誰と行くのかな。

コニー「ペアチケットだな。誰誘おうかな〜」

サシャ<●><●>

コニー「サシャ?! 目が怖ええよ! 一緒に行きたいのか?」

サシャ「バイキングなら何処でも誰とでも一緒に行きますよ(じゅるり)」

コニー「そっかーこれ、ペアチケットだから、まあいいか。サシャ一緒に行くか?」

サシャ「行きましょう! 是非!」

食欲の方はもう回復したみたいだな。良かった。サシャはやっぱりこうでないとな。

あ、でも、ジャンがすげえ微妙な顔しているな。今度は別の男と一緒に行くのかって顔している。

902進撃の名無し:2014/09/04(木) 23:02:38 ID:RZG0mcR20
コニー「あーでも、待てよ。これ、期限が来週までだな。来週は修学旅行あるし、行けるのは11日〜13日の間になっちまうな。だったら野球部の練習と被るからいけねえや」

サシャ「え? そうなんですか? 1回くらいさぼっちゃえばいいんじゃないんですか?」

コニー「いやー空気読めねえ奴になりたくねえからやめとくわ。こういうの、バレたら後が怖いし。サシャに譲るよ」

と、サシャはそのペアチケットをコニーから譲り受けてしまった。

サシャ「えええ? 本当にいいんですか?」

コニー「しょうがねえよ。まあ、修学旅行でもたんまり飯を食う気でいるし、いいよ。サシャが一緒に行きたいと思う奴と行って来れば?」

と、本当にコニーにチケットを譲り受けてサシャは「ありがとうございます!!!」とお礼を言っていた。

サシャ「えへへへ〜明日はオフなので早速行ってきましょうかね〜」

ジャン「………………」

サシャ「だ、誰と一緒に行きましょうかね〜」

ジャン「………………………………」

ああもう! ジャン、自分から行けよ!! 明日は暇だって!

今、演劇部は繁忙期じゃねえから、スケジュールの調整は出来るだろ!!

イライラするな! もう! ジャン、ヘタレ返上しろよ!!!

サシャ「………………………」

サシャもサシャで誘えないのかよ!!! ああもう。

目線が合っても、お互いに話を切り出せないみたいだ。

サシャ「明日、誰か暇な人、いますかね〜?」

独り言みたいにして言っている。ジャン、チャンスだぞ!!

903進撃の名無し:2014/09/04(木) 23:52:10 ID:RZG0mcR20
中途半端ですが、ここまで。
もう眠いので限界です。次回またノシ

904進撃の名無し:2014/09/05(金) 10:48:17 ID:u77iekT.0
ジャン「……………」

ミカサ「サシャ、そのチケットのバイキング、場所は同じホテルだろうか?」

サシャ「あ、待って下さい。ああ……この間のホテルとは別のところみたいですが、そっちのチケットと同じホテルのようですね」

ミカサ「だったら一緒に行く? 同じホテルであるならその方がいいと思う」

サシャ「そうですね。だったらこの間と同じようにして行きますか?」

エレン「そうだな。ジャン、明日暇か?」

ジャン「ああ、まあ……明日は暇だけど」

やれやれ。結局またオレ達が助け船を出す事になった。

オレ、ピクシス先生がリヴァイ先生とハンジ先生を見守ってイライラしていた当時の気持ちを今、理解した。

ピクシス先生、本当に忍耐強く見守っていたんだな。その忍耐力に敬意を覚えるぜ。

そんな訳で2回目のグループデートだ。今回はオレとミカサはケーキオンリーになるけど。

11日の夜、以前のようにまた駅で待ち合わせしてホテルのバイキングへ一緒に行く事になった。

今回はアルミン達は尾行しないらしい。前回の拗れかかったアレを反省したそうだ。

まあオレも今のジャンには尾行は必要ないと思ってるしな。

今回のバイキングは普通のバイキングとケーキバイキングが合体しているので、ケーキオンリーのオレ達はケーキのみ食べる事になる。

今日のミカサは体調も普通なのでゆっくり食べられる。

小さくカットされたケーキを皿に盛って食べる。チーズケーキとかショートケーキとか。

サシャ「えへへ〜修学旅行では抹茶系の甘味を征服したいですね」

と、サシャはサシャで小皿をつつきながら話した。

ジャン「そうなのか?」

サシャ「京都と言えば抹茶系です! もう凄いんですよ! どこのお店にもすぐ行けるように頭の中に店のリストをインプット済ですから! 通りかかった店、全部征服したいくらいですよ!」

ミカサ「和風スイーツの聖地とも言えるかもしれない」

サシャ「そうなんですよおお! 超楽しみですううう!」

と、テンションがあがりまくっているサシャだった。

そんなサシャの様子を、以前より柔らかい視線で見守っているジャンだった。

前は「げんなり」していたのにな。もう慣れたのかな。そんな感じだ。

905進撃の名無し:2014/09/05(金) 11:12:40 ID:u77iekT.0
サシャ「抹茶大福……抹茶ぜんざい……抹茶ロールケーキ……ぐふふふ」

ミカサ「みたらし団子も美味しそうだった」

サシャ「ですよねえ! マップルの案内に沢山書いてありましたよね!」

ミカサも甘味所を既にチェック済みのようだ。可愛いなあ。

何だろ。女子がスイーツで盛り上がっている様子って可愛いよな。

そういう「可愛い私」を演じているアレじゃないから余計にな。

サシャは「ガチ」でスイーツが好きだしミカサも好きだし。

サシャ「あーでも、一個だけ修学旅行では懸念があるんですよねー」

ミカサ「何?」

サシャ「例のコニーの元彼女の件ですよー。はあ。考えると憂鬱になりますー」

と、サシャが珍しく愚痴を零し出した。

サシャ「私、コニーとは本当に「友達」と思っているんですけどねえ。元彼女さん、コニーとは小学校から同じだったそうですし、私はコニーとは中学からですが、歴史で言えばコニーは元彼女との縁の方が長いんですよ」

エレン「へーそうだったのか」

サシャ「はい。だからコニー、本当は相当落ち込んでいると思うんですよ。表面上は元気にしていますけど。もし、私のせいで誤解が生じてそうなったのだとしたら、本当に辛いです………」

と、サシャが箸を1回止めて愚痴った。

ジャン「その、ヒッチの言っていた「腹いせ」で「元彼女」を奪った説っていうのは、可能性あるんかな」

エレン「ううーん。どうなんだろうな? ヒッチは裏付け捜査するなら協力してやらなくもないとか言っていたけど」

ミカサ「でも、それがもし「本当」にそうだった場合、コニーはどうなるだろうか?」

ジャン「…………真っ先にぶん殴りに行きそうで怖いな」

エレン「オレでも殴りそうだ。でも問題起こしたら甲子園に行けなくなるだろ」

ジャン「野球部はそういう「不祥事」を起こしたら致命的だからな…………まさか」

エレン「ん?」

ジャン「相手の本当の狙いって「そこ」じゃねえのか?」

エレン「え? つまりどういう事だよ」

ジャン「だから、元彼女を奪って「嫌がらせ」する事も目的だったのかもしれんが、そこからコニーを「挑発」して自分を殴らせるのが「最終的な目的」だとしたら、やばいぞ」

サシャ「え………それって、もしかして講談高校の出場そのものを潰す作戦って事ですか?!」

ジャン「いや、分かんねえけどな。確証のある話じゃねえし。でも、コニーには「真実」に近づけない方がいい気がする」

エレン「修学旅行先でうっかりコニーの「耳」に情報を入れないように注意してやった方がいいかもしれんな」

ジャン「ああ。ちょっとこれは裏付け捜査、した方がいいかもしれん。ヒッチに電話してみるか」

と、其の時、ジャンがヒッチにコンタクトを取った瞬間、サシャはぴくっと微妙な顔になった。

おおおーい。ジャン。それは「今」やらなくてもいいんじゃねえか?

とも思ったが止める事はやめておいた。

サシャは微妙な顔をしているが「嫉妬」は恋の起爆剤だしな。

ミカサもそれを察知して「やっぱり」という顔をしている。

ジャン「ヒッチか? 今、いいか? いや………コニーの元彼女の件何だけどさ。ちょっと心配になる事が出て来たから、裏付け捜査をやっぱりこっそりやって欲しいんだよ。ヒッチなら出来るよな? ああ。コニーには悟られないように頼む。ああ。お前の言う通りだよ。オレ達も「それ」を心配してんだ。もしそれが「真実」だとしたら、コニーがぶちキレかねないからな。頼むぞ。ええ? 今度デート?! それは却下だ! あー……分かった。貢げってか。そっちならいいけど。分かった。頼んだぞ」

と、言って電話を切った。

おいおい。今「貢げ」って言葉が聞こえたぞ。

906進撃の名無し:2014/09/05(金) 11:31:29 ID:u77iekT.0
ジャン「やれやれ。服買って♪とか言われちまったな」

サシャ「!」

おおおお? サシャの全身が毛が逆立っているような感じだ。

でも、言い出せないんだな。微妙な顔で堪えている。

サシャ。そこは「貢がないで」って素直に言った方がジャンが喜ぶんだけどな。

ジャン「まあいいか。適当に買ってやれば。コニーの件は修学旅行中、全員で注意深くしておこうぜ。うっかり小学館の生徒と接触して、コニーがもし「万が一」暴れたら、問題になるからな」

サシャ「そ、そうですね。コニーの為にも、そうしましょう」

と、サシャは自分の気持ちを押し殺したようだ。

ミカサ「男の嫉妬はとても怖い」

と、其の時、ミカサがぼそりと言った。

エレン「ん? どういう意味だ?」

ミカサ「恐らくその相手の男は「コニー」の「才能」にとても嫉妬しているんだと思う。野球部として活躍しているコニーを何としてもで「引きずり降ろしたい」と思っているのかもしれない」

エレン「そうだな。そうなんだろうな。きっと」

ミカサ「私も中学時代、自分の「学力」を男子に嫉妬されて絡まれて大変だった事もある」

ジャン「え? 何でだよ。頭いい女はいいじゃねえか」

エレン「オレもそう思うけどな。嫉妬されたのか」

ミカサ「(こくり)男より頭がいいのが許せない。みたいな感じで言いがかりをつけられたり……」

サシャ「それは大変でしたねー」

ミカサ「男の人は女の人より嫉妬深いような気がする。特に「才能」に関しての「嫉妬」は女のソレとは比較にならない」

ジャン「気持ちは分からなくもねえけど」

エレン「まあ、なあ」

と、男同士で微妙な顔をするオレ達だった。

ミカサ「女の場合は「幸せ」そうだと嫉妬する。いい男と付き合っている女は嫉妬されたり。でも女同士は「頭の良さ」や「運動神経」等の嫉妬はあまりきかない。そういうのは男の人の方が「嫉妬」するんだと思う」

エレン「まあその通りだろうな。オレもそういう「部分」がねえ訳じゃねえし」

ジャン「ああ。そうだな。そういう意味じゃ、コニーは嫉妬されて当然の立場だ。甲子園に出場するわ、彼女とはラブラブ。遠距離恋愛っぽくても続いているって、順風満帆過ぎるもんな」

ミカサ「うん。だからと言って、それを他人が壊していい理由にはならない。コニーには絶対、暴れさせないようにしないと」

エレン「そうだな。野球部員が問題を起こしたら今までの努力が全部無駄になっちまう」

ジャン「ああ。絶対、皆でコニーを守ってやろうぜ」

と、其の時の4人のメンバーは飯とケーキを食べながら誓い合ったのだった。

907進撃の名無し:2014/09/05(金) 12:28:49 ID:u77iekT.0






13日。ヒッチから早速、裏付け捜査の結果が出たらしくその報告がきた。

昼休み。オレとミカサとアニとアルミンとジャンとサシャはヒッチの報告を聞いて青ざめる羽目になる。

ヒッチ「ビンゴだったよ。小学館の生徒の伝手を頼って情報を集めたら……コニーの元彼女の今の彼氏、あんまり評判のいい男じゃなかった」

ジャン「って事はやっぱり……」

ヒッチ「その元彼女が好きで奪ったとかの話じゃないっぽいね。しかもその男、どうも「誰か」に頼まれて元彼女に手出したみたいな話だったよ」

エレン「それって、奪った男が犯人じゃねえって事か?」

ヒッチ「巧妙だね。主犯格は別にいる。でも、そこまでは私も特定出来なかった。容疑者としてあげられるのは小学館高校の野球部全員だろうけど。あそこも野球には結構力を入れている学校だし。人数が多すぎて絞り込みは出来なかった」

ヒッチの情報網の凄さに感服した。たった2日程度でそこまで調べ上げたのか。

アニ「………許せない」

男関係では純粋なアニが怒りに燃えていた。

アニ「手出してきた男も、コニー恨んでいる男も許せない。そいつらが茶々入れなければコニーは今も幸せだった筈じゃないの」

ヒッチ「付き合い始めて9か月目に入るあたりだったんでしょ? 3の倍数は気をつけないと。別れやすいっていうしね」

ミカサ「そうなの?」

ヒッチ「最初の3週間。そして3か月。6か月。9か月。1年過ぎたら3年目が危ないってよく聞くね」

ミカサ「肝に銘じておく(キリッ)」

オレ達の場合は2月頃を特に気をつけないといけないな。丁度半年になるしな。

ヒッチ「そういう訳だから、私ももうちょっと調査を続けるけど。でもコニーにとってはあまり「いい情報」じゃなかったから、気をつけておいてね。もしコニーの耳に入ったら、多分、修羅場が勃発するよ」

ジャン「ああ。分かってる。ありがとうな。ヒッチ」

ヒッチ「ま、こういうのは得意中の得意だからね〜ところでジャン。服買ってくれる約束、いつ果たしてくれる?」

ジャン「修学旅行が終わってからでいいだろ」

ヒッチ「修学旅行中でもいいんだけどな〜」

ジャン「分かった。だったらテキトーなのを見つけてテキトーにやる。サイズはMでいいよな」

ジャン「Lでもいいよ。私、ゆったり系の服が好きだしね」

アニ「え? 何でジャンがヒッチの服を買う約束してるの?」

ジャン「コニーの裏付け捜査の件のお礼だよ。オレがヒッチに裏付け捜査を頼んだからな」

アニ「…………やっぱりジャンって最低」

ジャン「何でだよ?!」

アニ「別に」

アニがやっぱりジャンのいい加減なところにキレている。

908進撃の名無し:2014/09/05(金) 12:43:35 ID:u77iekT.0
サシャはジャンとヒッチのやり取りを微妙な表情で見守っている。

アルミンも同じ顔だ。アルミンは「ううーん」と唸って、

アルミン「ジャン、フラフラするのは止めようよ」

ジャン「はあ? オレ、フラフラしてねえよ」

アルミン「いや………まあ、いいや。うん」

アルミンはそれ以上言えないようだ。オレもあえてツッコミは入れない。

サシャは俯いて何も言えないようだ。こういうところ、やっぱりサシャは「臆病」なのかな。

サシャは「そういうのは止めて下さい」って言えない性格のようだ。

ヒッチ「あ、そうそう。私達の班も午前中、やっぱり別のところを回る事になったよ。コースを変更したんだ」

ジャン「映画村で1日遊ぶんじゃなかったのか?」

ヒッチ「ええっと、調べなおしたら清水寺に「縁結び」の神社があるって分かったから、それを知ったライナーが「予定変更するぞ」と言い出したwwww」

ミカサ「ああ。そう言えばそのようにマップルにも載っていた。見過ごしていたの?」

ヒッチ「みたいだね。そっちも清水寺には行くんでしょ? 午前中、よろしくね」

と、ウインクひとつ残してヒッチは去って行った。

エレン「清水寺の縁結びの件はオレ、知らなかったけど。まあいいか」

アニ「むしろグッジョブじゃない?」

ミカサ「グッジョブ。エレン」

エレン「適当に「名所」をあげただけだったんだが。かえって良かったな」

ミカサと縁結びの願掛けしに行こうかな。むふふ。

ジャン「…………」

サシャ「…………」

ジャンとサシャは互いに見合って何も言わない。

ああもう、こっちのカップルはリヴァイ先生とハンジ先生よりイライラするな!

どっちも先になかなか仕掛けない。平行線のまま行く気なのか?

909進撃の名無し:2014/09/05(金) 18:20:11 ID:u77iekT.0
アルミン「縁結びの神社か……僕もお参りしようかな」

アニ「アルミンも彼女欲しいの?」

アルミン「そりゃあこれだけ周りでわいわいやられるとね……」

アニ「ふーん」

アルミン「アニもお参りする?」

アニ「一応ね。金の稼げる安定した仕事を持つ男が見つかりますようにって願掛けしてくる」

アニはそこだけは絶対に譲らないらしい。

アルミンが将来「弁護士」になれれば十分「その相手」として相応しいと思うんだけどな。

アルミン「ははは……アニはその辺抜け目がないね」

アニ「お金の苦労をして育った訳だしね。うちのクソ親父のせいで自己破産寸前までいって大変だった時期もあるんだ。だから持ち直した時は本当に「死ぬかと思った」し、お金で苦労するのは二度と御免だと思ったの」

アルミン「そうだったんだ………」

アニ「博打は身を滅ぼすよ。だから賭け事をする男だけは絶対、ダメだね。私の場合は。それ以外は、多少不細工だろうが、体が細かろうがデブだろうが大目に見るよ。男は見た目じゃない。絶対「中身」だと思ってる」

アルミン「もしかして、アニのお父さん、結構イケメンだったりする?」

アニ「いや、その辺は普通だと思うけど。割と女にはモテるタイプかも。だから女関係でも面倒臭い事が多々あって……本当、ダメ親父だから困ったもんだよ」

アニの「浮気性の男が嫌い」な理由はやっぱり親父さんが関係しているようだ。

アニ「だから私は絶対、親父みたいな男とは結婚しない。いい男が見つからない場合は独身でもしょうがないとすら思ってる」

ミカサ「アニ、それは幾らなんでも大げさ……」

アニ「結婚して不幸にだけはなりたくないんだよ。リヴァイ先生とハンジ先生は幸せな結婚が出来たからいいけど。リヴァイ先生のアレも、今は収まっているから許してやれるんだろうけど。もし復活したら本当にあそこ手術して大学の研究用に保管してやってもいいと思うよ」

エレン「アニ、折角削った「本当の台詞」をここで言うなよ」

実はあの時の「台詞」には「あんたのあそこを大学の研究用に保管させてやろうか?」っていう言葉が入っていたそうだ。

それは流石に「あんまりだ」という事で舞台上ではカットになったけどな。

いや本当。そこをちょんぎる想像は男としては最もしたくない想像のひとつだからやめて欲しい。

910進撃の名無し:2014/09/05(金) 18:40:11 ID:u77iekT.0
アニ「ああ。ごめん。でも女から見たらそれくらいの事、してやりたいくらい浮気は許せないもんなんだよ」

サシャ「激しいですね〜」

アニ「サシャだって浮気は許せないんじゃないの?」

サシャ「わ、私ですか? ど、どうでしょうかねえ〜?」

と、曖昧に誤魔化すサシャだった。

サシャ「私はその辺の事は良く分かりません。恋愛をした事がないので……」

また誤魔化し笑いだ。ジャンが半眼でそれを見つめている。

サシャはまだ「認める」気はさらさらないらしい。

この辺の攻防に決着がつかない事にはジャンも一歩踏み出せないよな。

サシャ「でもそうですね。いつか……いつか将来は、彼氏が欲しいなあって気持ちがない訳ではないですよ」

ジャン「!」

サシャ「誰かと一緒に暮らしてみたい気持ちはあります。デートだって、してみたいですし。彼氏の奢りで」

ミカサ「そうね。以前、サシャは言っていた。「一緒に居て楽しい」「飽きない」「料理上手」な相手が見つかるといい」

サシャ「よく覚えていましたね!? 言った自分が忘れていましたよ! それを話したのは確か研修旅行の時でしたっけ?」

ミカサ「そう。研修旅行のお風呂でいろいろ理想を語り合った」

ミカサ達のお風呂の様子を盗み聞きしたのも今ではいい思い出だな。

アニ「そういう意味じゃ、サシャはコニーが割と理想の相手じゃないの?」

サシャ「ええ? そうですかね? ううーん」

サシャは首を傾げている。

サシャ「確かに一緒に居て楽しい相手ではあるんですが………コニーは本当にそういう意味でドキドキした事がないんですよね」

アニ「分かんないよ? 今はそうでも。ハンジ先生みたいに気が変わるかも?」

サシャ「や、やめて下さいよ変に煽るのは! あの劇はあくまで「ハンジ先生」がそうだったって話で、私にそのまま当てはまる訳ないじゃないですか!」

アニ「ハンジ先生もずっとそうやって抵抗していたのにねえ」

と、アニはジャンの事が気に食わないせいなのか、コニー推しになったようだ。

911進撃の名無し:2014/09/05(金) 19:15:59 ID:u77iekT.0
と、其の時、昼休みが終わるチャイムが鳴った。

話はここまでだ。それぞれ自分の席に戻った訳だけど………。

サシャ「ドキドキしたのは、コニーじゃないんですけどね」

と、独り言のような言葉が後ろから聞こえて「ん?」となった。

振り向くと、目が合ってしまった。サシャは慌てて「な、なんですか?」と誤魔化し笑いを浮かべた。

オレは「何でもねえよ」とあえて突っ込まないで前を向いた。

今の台詞を分析するなら「コニー以外の誰か」には「ドキドキ」した経験があるという事になる。

やれやれ。それを「恋」っていうんだけどな。土俵際に追いやられている癖にまだ粘るのか。

隣のジャンは今のサシャの声、聞こえていたのかな。

微妙な顔で前を見ている。こっちと目が合って「何だよ」と言われた。

エレン「いや、まだまだ前途多難だなって思ってな」

ジャン「ん? 別に。全然。この程度の障害は「障害」のうちに入らねえよ」

エレン「へー前向きだな。お前。以前と比べて変わったな」

ジャン「ミカサで耐性ついたからな。サシャが「彼氏」を「欲しい」と思っていると聞けただけでも上出来だ」

と、ニヤリと気持ち悪い笑みをこっそり浮かべているジャンだった。











そして14日。修学旅行当日になった。あっという間に当日が訪れた。

バスの中でクラスの人数を確認するキース先生だったが……

キース「あーまたコニーが来ていないのか?」

コニー「オレ、もう来てますよ?」

キース「何?! いつも遅刻魔のお前がこういう時は真面目だな!」

コニー「当然っす! 修学旅行は気合入っているんで!」

キース「では誰が遅刻しているんだ? 1人まだ来ていないぞ?」

912進撃の名無し:2014/09/05(金) 23:39:18 ID:u77iekT.0
遅れているのはなんとジャンだった。その直後、滑り込みセーフで駆けつける。

ジャン「遅れてすんません!!!!!」

汗だくで走って何とかバスに間に合った。1分遅刻だ。

キース「あーまあ、1分程度だから良しとする。急いで席につけ!!」

今回のバスの席順は出来る限り班のメンバーが近くなるように決まっていた。

オレ達は1班だから右側の前列に固まっていた。2班の余りの奴と隣同士で座る。

ジャンの隣はヒッチだった。ヒッチは「何で遅れてくるのよwww」と笑っていたが。

ジャン「すまん………昨日の仕事がちょっとな」

ヒッチ「ああ。漫画家のアシスタントしていたんだっけ?」

ジャン「そうだ。緊急でちょっと、夜呼び出されてな。昨日は1時間しか寝てねえ」

ヒッチ「えええええ……過酷だね。何で修学旅行の前日に呼び出されているのよ。断れば良かったのに」

ジャン「そういう訳にもいかねえよ。金を貰っている身分だし。あとヒッチにも奢る約束しているしな」

ヒッチ「おお? これは期待していていいのかな?」

ジャン「猫の全身ツナギでいいか? 寝間着とかで使うようなアレで」

ヒッチ「ちょっとwwwキャラものかよwwwウケるwwww別にいいけどさあ」

とか何とか楽しそうに話しているのが後ろの方で聞こえる。

オレはミカサと、その後ろにアニとアルミン、その後ろにはサシャとコニーが並んで座っていて、その後ろにジャンとヒッチが座っているんだが。

バスが動き出してからコニーが身を乗り出して後ろに話しかけていた。

コニー「なあなあ。アシスタントって、そんなに忙しいのか?」

ジャン「いや、昨日は特別だ。オレ、作画の手伝いしているから。頁が急遽、増量したから来てくれって頼まれたんだよ」

サシャ「では明日から先生、忙しいんでしょうか?」

ジャン「恐らくな。でもオレも今日から修学旅行だし。流石に修学旅行をサボる訳にはいかんだろ。だから昨日の夜の時点で出来る範囲だけでアシしてきたんだよ」

サシャ「私には声がかからなかったんですが……」

ジャン「電話入ったのが10時過ぎていたからな。女の子をそんな時間に出歩かせたくなかったんだろ。多分」

サシャ「ううう……呼んで貰えたら私も行ったんですけどねえ」

ジャン「いや、そこは流石に気遣うだろ。オレは男だからこういう時も動けるけど。女は夜出歩くもんじゃねえよ」

サシャ「男女不平等ですー(ズーン)」

コニー「いやーでも、気持ちは分かる。うちの野球部も女子マネージャーは8時までには絶対家に帰すからな。部員は9時まで練習やっているけど。女子は危ねえよ。夜は遅くならん方がいいって」

ヒッチ「ん〜でも待って。深夜って確か、18歳未満は働いたらダメなんじゃなかったけ?」

ジャン「法律上はそうなるな。だから深夜に呼びだされる時はオフレコだ。経理上は時間帯を変えて記録するんだよ」

本当はやってはいけない事だけどな。真似しちゃダメだぞ。

ヒッチ「ええ……それって不当なやり方じゃない? 深夜に働けばもっと稼げるのに。ジャン、要領悪すぎない? 残業手当がついてないようなもんだよ?」

ジャン「あーその辺は頭では分かってはいるんだが、オレ、今のアルバイト、気に入っているから別にいい」

と、ジャンが言っている。

ジャン「今の仕事、クビにならん限りは続ける予定だし、18歳になったらちゃんと深夜手当の経理にしてくれる約束だしな。大学に行っても今のアルバイトは続ける。地元の大学を受けるつもりだしな」

ヒッチ「ジモティーになるんだ。へー。私、てっきり県外に出るかと思ってた」

ジャン「自宅から通える大学に行くつもりだよ。ヒッチは高校卒業したらすぐ働く予定だったっけ?」

ヒッチ「ん〜そのつもりだったんだけど、親が「学力ある癖に何でわざわざ水商売になるの?!」ってキレかかっているから、どうしたもんかと。とりあえず、女子大に行って箔をつけておくのも悪くないかなあって、気持ちが揺れているんだよね」

913進撃の名無し:2014/09/06(土) 01:38:03 ID:ONBOCIvY0
コニー「女子大に行ける学力あるなら行った方がよくねえか?」

サシャ「私もそう思いますー」

ヒッチ「そう? やっぱりそうかな〜? まあ女子大生やりながらバイトで水商売もやれなくはないし、そっちでもいいかなって気もしているけどね」

ジャン「そっちの方がいいんじゃねえか? だったら来年は大学進学組になるのか」

ヒッチ「ん〜まあ、多分そうなるかな? とりあえず、栄養学を学べる女子大にでもいこうかと思うよ。私、料理好きだし。栄養士の資格でも一応、取っておこうかな」

ジャン「そのままそっちの方面で仕事に就いてもいけそうな気がするけどな。ヒッチは要領いいだろ」

ヒッチ「いや〜でも金の稼ぎがね〜水商売に比べたら稼げないからね〜私、金使い荒いし」

と、ヒッチはまだまだ進路がフラフラしているようだ。

ヒッチ「コニーとサシャは就職組だっけ?」

サシャ「そうですね。そっちを希望しています」

コニー「オレもそっちだな。ドラフト会議に呼ばれるのが夢だけど」

ヒッチ「じゃあこうやって話せるのも1年のうちだけかもしれないね」

サシャ「え? クラス別れても遊べばいいじゃないですか」

ヒッチ「うーん。どうだろ? クラス別れたら授業の進度も変わってくるし。遊ぶ時間がなくなるかもしれないよ」

ジャン「大学進学組と就職組では時間割が変わってくる。オレも受験体制に入ったら流石にバイトの頻度は一時的に落とすよ」

サシャ「あ………そうなんですか」

ジャン「当たり前だろ。3年になったら進路決まるまではお休みさせて貰うつもりだ。先生にはもうその話は先に通してあるしな。だからこそ、今のうちは無茶な呼び出しにも対応しているんだよ」

と、ジャンは計算高く考えているようだ。

サシャ「そ、そうだったんですか………」

サシャの声が急に萎んでいくのが分かった。

サシャ、その気持ちの正体にそろそろ気づいてもいいんじゃねえか?

914進撃の名無し:2014/09/06(土) 01:51:27 ID:ONBOCIvY0
別れが近づいている事にサシャもようやく気付いたようだ。

ジャンはジャンの人生があるし、サシャにはサシャの人生がある。

曖昧な関係のままでいたら、いつかは離れ離れになる。

オレとミカサみたいにお互いの気持ちを「確認」しねえと。2人の未来はねえぞ。

ジャン「あー眠い。今頃になって眠くなってきた。バスの移動中、眠ってもいいかな」

ヒッチ「待ってよ。移動って言っても30分もないよ? 寝るんだったら新幹線の中で寝なよ」

ジャン「あー30分もあるなら十分だ。寝かせてくれ……」

ヒッチ「マジかwwwウケるwwwwジャンが芸能人みたいになってるwww」

ジャン「ZZZZ………」

ヒッチ「本当に寝入ったね。こりゃ起こすの可哀想だね(小声)」

サシャ「ですね……(小声)」

と言って後は後ろの席が静かになったけど………。

ヒッチの隣で眠れるのか。それを考えた時、オレはちょっと思った。

あいつ、サシャの事は好きなんだろうけど。

ヒッチはヒッチで結構、気に入っているんじゃねえのかな。

ミカサ「…………ジャン、やっぱりまたフラフラしているように思うのだけど(小声)」

エレン「ううーん。ヒッチの事は「嫌いじゃない」んだろうけどな(小声)」

ミカサ「あれさえなければ、いいのに(小声)」

エレン「それは言うな。しょうがねえよ。ジャンだからな(小声)」

ミカサ「はー(小声)」

と、ミカサが呆れている。無理もねえけど。

今頃、ジャンは夢の中だろう。30分でも眠れるあいつの器用なところはすげえけど。

そんな訳で駅に移動して新幹線で移動だ。

915進撃の名無し:2014/09/06(土) 17:29:03 ID:ONBOCIvY0
その移動途中で、他の学校の生徒達とも遭遇した。

再春館高校とかベネッセ高校の制服も見かけた。他県の高校も今の時期に修学旅行をやるみたいだ。

そして小学館高校の制服もあった。青学ランに青いセーラー服だ。ラインが赤色でリボンが黄色の可愛い制服だ。

列車の席のレーンは別だったけど。一瞬だけ小学館の生徒とすれ違ってコニーが微妙な表情になったのを見かけてオレ達は警戒を強めた。

新幹線の中で何かあるって事はないだろうが、それでも警戒するに越したことはない。

ジャンはバスの中で寝て、新幹線の中でもやっぱり寝ていた。

座ったまま眠れる特技を身につけたようだ。すげえな。いびき掻いて寝てやがる。

今回はサシャが隣に座った。疲れているジャンを横目で見ながら心配そうに見つめている。

コニー「新幹線の中でトランプでもやろうかと思ったけど、ジャン寝てるしなあ」

ライナー「ん? ではこっちの班と合同でやるか?」

コニー「ジャン起きねえかな?」

ユミル「静かにやればいいんじゃねえか?」

コニー「いやー無理だろ。オレ、絶対叫んだりはしゃいだりする自信しかねえ」

エレン「だったらトランプは諦めようぜ」

コニー「でも折角の移動なのになあ。ジャン、勿体ねえな」

ミカサ「起きたら起きた時でいいのでは?」

アニ「しっかり寝ているし、多少騒いでも起きない気がするけど」

コニー「かなあ? じゃあちょっとだけ遊ぶか?」

という訳で、出来るだけ静かに気を遣いながら2班と合同でババ抜きや切札をしたりした。

一応、ジャンに気を遣いながら皆で遊んだ。

今回はマルコだけ欠席だけどな。マルコはマルコで3班の連中と仲良くやっているようだ。マルコは人当たりがいいから割と誰とでも打ち解けられる。何より彼女が出来たばっかりだしな。嬉しそうに談笑しているようだ。

ミカサ「あう………」

ミカサがババを引いたようだ。ミカサは運が絡むゲームはあまり得意じゃねえんだよな。

切り札とか頭を使うのは得意だけどな。運ゲーになると途端に弱くなる。

そんな感じで皆と遊んでいたらあっという間に駅に着いた。

ジャンを起こしてやると、やっと頭が動き出したのか目が開いた。

ジャン「あー良く寝た。京都に着いたのか」

コニー「ジャン、全然起きなかったなー。オレ達、結構トランプで遊んでたんだけどな」

エレン「だな。たまにはしゃいでいたけど、起きなかったな」

ジャン「そうだったのか? 全然気づかなかったぜ」

サシャ「勿体ないですねー。皆と遊んで楽しかったのに」

ジャン「あーまあ、それはもうしょうがねえよ。夜は逆に目覚めていそうだからその時に遊ばせてくれ」

という訳で宿に移動だ。古風ではあるが大きな旅館に皆で移動したら……。

コニー「…………」

コニーが真っ先に微妙な顔になった。オレも同じ顔になってしまった。

まさか、旅館の宿泊先も小学館高校と被るとは思わなかった。

916進撃の名無し:2014/09/06(土) 19:20:54 ID:ONBOCIvY0
オレ達講談高校は3階で、小学館高校は2階のフロアを独占しているようだ。

つまり下の階に降りる時はどうしても、小学館の生徒達とすれ違う可能性がある訳だ。

部屋は301号室だった。女子は302号室だ。和風の大部屋で男女に別れて寝泊まりする予定だが。

荷物を旅館に置いてからオレはコニーに聞こえないように他のメンバーに言った。

エレン「コニーを絶対、この旅館に泊まっている間は1人にするなよ。誰かが1人、傍についていてやれ」

サシャ「了解です!」

ジャン「ああ。勿論だ」

アニ「うん。下手な接触をさせないように注意するよ」

ミカサ「了解した」

アルミン「怪しい人物を見つけたら皆にも情報を回すね」

と、他のメンバーでコニーを守る約束をした。

被るのは恐らくこの「京都」の日程だけだと思うしな。

ここさえ乗り切ればきっと大丈夫だ。そう思ってオレ達は一致団結した。

昼食を取って午後は集団でコース見学だ。

定番の金閣寺からスタートだ。観光客のピークは秋頃になるらしいが、冬は修学旅行生が訪れる事が多いそうだから、それなりに人は多かった。

コニーが小学館の女子生徒の制服を見かける度に微妙な顔になっているのが分かる。

やっぱりまだ「完全」には吹っ切れてはいないんだろうな。

小学生の頃から縁のあった女の子とやっと付き合って、9か月で別れるなんて誰も予想してなかったしな。

皆でぞろぞろ金閣寺の中を歩いて移動する。案内の方の説明を聞きながら見学をする。

案内人『正式な寺号は「鹿苑寺(ろくおんじ)と言います。もとは公家の西園寺家の山荘。室町幕府3代将軍・足利義満が譲り受け、さらに手を加えて豪勢で個性的な山荘に造り上げました……』

という案内人の説明を聞きながら金閣寺を皆で見学していく。

そして案内が終わるとそこでクラスごとの記念撮影会になった。

卒業アルバムの記念用に撮影するそうだ。全員が集まってカメラマンに向かって笑顔を向ける。

背の小さい奴は前列だ。ライナーやベルトルトは後ろの方で立っている。

オレはさり気なくミカサの隣をキープして写真に写った。ジャンはオレの後ろの列に立った。その隣にはサシャがいる。サシャはちょっとびっくりしていたが、ジャンが「こっち来いよ」と呼んでいたので素直に従ったようだ。

917進撃の名無し:2014/09/06(土) 20:00:14 ID:ONBOCIvY0
そして「龍安寺」「仁和寺」も問題なく見学をこなして夜の7時には宿に戻る事になった。

結構、あちこち歩き回った気がする。個人的には「仁和寺」が一番格好良かったな。

寺の雰囲気とかが重厚感があって良かった。すげえ落ち着く寺だったんだよな。

夜の7時半には夕食を取って、夜の8時から入浴開始だった。

夕食は京都らしい献立が出た。湯葉とか豆腐とか。天ぷらとか。上品なおかずが出て来たんだ。

小鉢に分けられた料理が沢山出て来て、すごく「まめまめしい」料理だと思った。

味は薄味だったけど、上品な味わいだと思った。本当はもうちょっと量を食べたいくらいだった。

料理を残さず全部食べると風呂の準備に入った。

オレ達は班ごとに時間帯が決まっているので早めに行動を起こす。

1班と2班と3班が合同で同じ時間帯に入る。後半は4班と5班が入る。

入浴時間は1時間ずつだ。オレ達の班は8時から9時までに入らないといけない。残りの班は9時から10時までだ。

夜の11時には消灯だ。朝は7時が起床予定時刻となっている。

風呂の中でコニーが疲れた表情を見せていた。やっぱり精神的に辛かったんだろうな。

コニー「……………」

いつもはこういう時は真っ先に「元気」で周りに話しかけるコニーが黙り込んでいる。

その空気を察して皆もあまり口を開かない。でもそんな重い空気を打ち破る奴がいた。

ナック「なあジャン、お前たちの班は明日どこから見て回るんだ?」

3班のメンバーのナックだ。こいつはたまにジャンとしゃべっているので、仲は悪くないんだろうな。

ジャン「ああ……清水寺からだな。その後は二条城に行って、午後から映画村の予定だけど」

ナック「やっぱり皆、清水寺には行くんだな。うちの班も行く事になったぜ」

ジャン「結局3班とも清水寺は被ったのか」

ナック「午後は嵐山方面に行くけどな。パワースポットを拝みに行く事になった」

ジャン「へーパワースポットがあるのか」

ナック「野宮神社ってところもにも縁結びのご利益があるらしいぜ? 清水寺だけじゃねえみたいだ。あと嵐山方面にはスイーツ関連の店も結構あるみたいだし、皆で食べ歩く予定だな」

エレン「へー嵐山方面にはそういう店があるのか」

ナック「嵐山だけじゃねえけどな。京都にはあちこち和風の甘味所があるから、女子は今からウキウキしているんじゃねえかな」

アルミン「僕も個人的にはウキウキしているけどね」

エレン「アルミン、甘いの好きだもんな」

アルミン「まあね」

と、明日の事で話しているけど、コニーは憂鬱な顔でいる。

もしも元彼女と今も縁が続いていたら途中でこっそり抜け出して、彼女と一緒に甘い物とか食べられたんだろうけどな。

そういう行動を取ったとしても、オレ達はコニーを責めなかったと思う。

というか、多分、今回の修学旅行で似たような事をする奴はちらほらいるんじゃねえかな。多分。

918進撃の名無し:2014/09/06(土) 20:19:42 ID:ONBOCIvY0
エレン「オレ達の班は二条城の周辺で昼飯を食うつもりでいるけどな」

ナック「だったら京都駅周辺まで降りた方がいろいろ店も多いぜ? 土産も買えるし、昼はそっちで食べた方がいいと思うけど」

エレン「そうなのか。分かった。じゃあ女子とも話してみる」

と、そんな感じで適当に話しながら風呂に入っていたら………

小学館高校の生徒と思われる奴らが入って来た。

その気配を感じてすぐコニーは風呂から上がった。あんまり顔を合わせたくないみたいだな。

同じ野球部の奴らみたいだ。丸坊主の奴らが団体で入って来たので気配を感じてコニーは先に上がって行った。

その視線の交錯の中、1人だけ異様に鋭い視線でコニーを見つめている男がいた。

ジャン「あいつ……どこかで見覚えがあるな」

エレン「ああ。はっきりとは思い出せないが」

ジャン「決勝大会に出ていた奴かな。ううーん。記憶が曖昧なのがなあ」

エレン「アルミンだったら覚えているかな」

アルミン「え? 何の話?」

エレン「いや、今風呂に入って来た坊主の団体だけど、多分小学館高校の生徒だと思うんだが、あいつら、決勝大会に出てた奴らだったかなって」

アルミン「あーどうだろう? 僕も流石にそこまでは覚えてないよ」

エレン「そっか……」

アルミン「でも、コニーが先に出て行ったって事はそういう事なんじゃないのかな?」

ジャン「かもな」

と、微妙な気持ちになりながらオレ達もコニーより少し遅れて風呂から上がる事にした。

そして男子の部屋に戻り、風呂から全員上がると、早速皆で適当な男子会が始まってしまった。

まずつるし上げられたのは……オレだった。

サムエル「さてと、エレン。暴露して貰おうか」

エレン「な、何をだよ……」

サムエル「惚けるなよ。彼女持ちは全員、いろいろ吐かせるからなこの野郎!!!」

トーマス「ご指南、お願いします」

トム「お願いします」

ミリウス「お願いします」

ライナー「よろしく頼むぞ」

ベルトルト「実はちょっと聞きたいかも……」

ライナーとベルトルトもかよ! つか、男子の殆どがニヤニヤしやがって!!!

919進撃の名無し:2014/09/06(土) 20:54:33 ID:ONBOCIvY0
エレン「えっと……何を聞きたいんだよ」

まずいな、この空気。要らん事まで根掘り葉掘り問い詰められそうだ。

サムエル「まずはアレだな。もうヤッたのか、まだなのか。そこんところを確認したい」

エレン「ぶふー!」

いきなりそこからかよ!!! 

アルミン「もう付き合い始めて5か月目あたりだよね。そろそろ手出したんじゃない?」

アルミンまでゲスい顔して聞いてくる。全く悪ノリしやがって…。

エレン「ノーコメントだ。その件に関しては人に話したくねえ」

サムエル「って事は、ヤッたんだな。その顔はヤッたな?」

エレン「や………やってねえよ」

嘘をつく事にした。なんかこういうのって人に話していい事じゃねえと思うし。

ナック「即答じゃなかったな。これはヤッてるな。もうヤッたに違いねえ」

エレン「や……やってねえって言っているだろ?!」

サムエル「嘘だな。絶対、嘘だ。エレンは嘘をつく時に、鼻がひくつく癖がある」

エレン「?!」

え? マジか?! 思わず鼻を隠すと……。

アルミン「んな癖がある訳ないでしょ。エレン。墓穴掘ったね?」

エレン「のsdjsんdg;sg………!!!」

しまった!!!! 嵌められた!!! これでバレちまった!!!

オレは慌てて布団の中に隠れて逃げた。すると、サムエルとナックが2人がかりで布団を剥がそうとしてきやがった。

サムエル「え〜れ〜ん〜? ヤッたんだろ? 童貞卒業おめでとう。その戦果の程を聞かせて貰おうか?」

ナック「どうだったんだ? ん? 参考までに聞かせて貰おうか? ああ?」

エレン「いやだー! 絶対、話したくねええええええ!!!」

ジャン「あーもう、その辺でやめておけよ。2人とも」

と、其の時、意外にもジャンの奴が止めに入ってくれた。

ジャン「エレンとミカサの場合、ヤッてねえ方がおかしいだろ。あんだけ毎日、人目も憚らずイチャイチャしているんだし」

ナック「いいのか? ジャン」

ジャン「オレはもうミカサにフラれたしな。いいんだよ。それより今は別の女の事の方が大事だから」

ナック「今は………もしかして、サシャの事か?」

ジャン「ああ。もうバレているのか。そうだけど?」

ナック「マジか……お前、タフだな。失恋したばっかりなのにもう次の女にいけるのか」

ジャン「むしろ失恋したからこそ、次に行けるんだよ。新しい恋のおかげで失恋の傷は完全に癒えたからな」

と、ジャンは嬉しそうに笑っている。

ジャン「オレの経験上、失恋に一番効く薬は「次の恋」だと思う。実際に経験してみて分かったが、失恋は決してオレにとっては「無駄」じゃなかった。ミカサにフラれた経験があるからこそ、次の恋に立ち向かう勇気が持てたと思っているんだよ」

ナック「な、なんかジャンが急に大人っぽい顔つきになりやがった」

サムエル「ああ……何か先を越された気分だな」

ジャン「人の事をどういういう前にお前ら自身はどうなんだ? 好きな女、いねえの?」

サムエル「うぐ!?」

ナック「いや、まあ……気になる程度の女はいない訳じゃねえけど」

ジャン「ほほう? だったらここで吐いて貰おうか? 2人とも!」

と、今度はジャンがナックとサムエルを捕まえに行った。オレも加勢する。

920進撃の名無し:2014/09/06(土) 21:39:55 ID:ONBOCIvY0
ナック「ぎゃあああ!!! エレンまで加勢しやがって!!!」

エレン「さっきのお返しだ。さあさあ、吐いちまえよ。2人とも!!」

ミリウス「オレは知ってるけどね。2人の好きな女」

ナック「やめろおおおお!!!!」

サムエル「話すな!!! 馬鹿!!! ミリウス!! やめてくれ!!!」

とかいろいろ騒いでいたら、キース先生が不意打ちで部屋に訪れた。

キース「消灯10分前だ! 寝る準備をしてさっさと寝ろ!!! 騒がしいぞ!!」

エレン「すんませーん」

キース「くれぐれも消灯時間は守る様に。夜中に女子を部屋にこっそり連れ込んだら……明日の自由時間はないと思え」

と、一応、念押しして去って行った。

怖い怖い。確かに連れ込んだら罰則ものだけどな。

オレは便所に行く事にした。寝る前に一応な。

皆には「便所に行く」と言っておいて部屋を出た。

そして便所の付近でミカサが待っていた。

ミカサもミカサで顔が赤い。あーなんかコレ、吐かされたっぽいなあ。

ミカサ「エレン、御免なさい」

エレン「ん?」

ミカサ「ミーナに捕まった……エレンとヤッた事を成り行きで吐かされてしまった」

エレン「悪い。オレもサムエル達に捕まった。その、成り行きでバレたけど」

ミカサ「そうだったの? だったらお互い様なのね」

エレン「すまん………」

ミカサ「ううん。だったらいい。もう隠す必要はない」

エレン「………………ミカサ」

もう隠さなくていいのか。だったらいいのかな。

今、ここでキスしたいな。

吸い寄せられるように、顔を近づけると………

小学館高校男子1「あーしっかしあの女、大した事なかったなあ」

と、男子の声が聞こえて来た。

小学館高校男子2「ああ、ヒロとかいう女だろ? 期待していたより下手クソだったんだろ」

小学館高校男子1「まあな。あの講談高校の野球部のコニーとかいう奴の彼女だっていうから、手出したけどさ。コニーって野郎も大した趣味じゃねえな。あんな「普通」の女を彼女にしていたとは。あいつ、あれだけ甲子園で活躍するような男だぜ? もっと上の女を狙える筈なのに。勿体ねえよな」

小学館高校男子2「なんか噂では結構、モテる奴らしいよな。あれだけ打てるバッターだし、将来も有望株なんだろ?」

小学館高校男子1「ああ。オレだったらあの女程度に収まらないな。コニーの立場なら。まあ、オレも野球部の奴らに頼まれたから手出してみたけど……最近、ちょっと重いしさ。適当なところで手切ろうかなって思ってるんだよな」

小学館高校男子2「その方がいいかもしれねえな。重い女はあんまり深入りしねえ方がいいぞ」

小学館高校男子1「だよな。まあ、1か月程度遊んだら、バイバイしていい程度の女かな。個人的な感想を言えば」

と、イケメン風の男2人組が男児便所に近づきながらそういう話をしていた。

元旦ですれ違った時のあいつに間違いねえ。あの元彼女の隣にいた男だ。

ミカサの目が鋭くなっていた。オレは慌ててミカサを押さえた。

ここで問題を起こしたらまずい。

騒ぎを起こしてコニーに気づかれたらもっとまずい。

オレ達は奴ら2人には気づかれないようにそっと移動して、非常階段の方へ逃げた。

そしてあいつらが便所から出て廊下を歩いて去っていくところを見届けてから言った。

ミカサ「本当に碌な男じゃなかった」

エレン「ヒッチの情報が正しかったみてえだな」

ミカサ「許せない。なんとしででも天誅を……」

エレン「待て。この問題はコニーの問題だし、オレ達が首を突っ込んでいいのか……」

ミカサ「間接的でもいい。嫌がらせをしてやりたい」

エレン「オレもそれは同意だが、でもどうやって……」

921進撃の名無し:2014/09/06(土) 22:35:07 ID:ONBOCIvY0
ミカサ「皆で明日、考えよう。あいつらに復讐するプランを練るといい」

エレン「まあ、そういう話を考えさせたらアルミンとかいろいろ考えてくれそうだけど」

でもいいのかな。コニーのデリケートな問題だしな。

オレ達が勝手に首を突っ込んでいいのか。迷う。

オレ個人としてはそりゃあ、嫌がらせを仕返ししたい気持ちはあるけど。

でももしそのせいで、コニーに事がバレたらと思うとなあ。

オレはミカサに「ちゅ」という軽いキスだけして、その日は言った。

エレン「あんまり軽はずみな行動はしちゃダメだぞ。カッカする気持ちは分かるけどな。ちょっと一晩、置いてから考えようぜ」

ミカサ「う………うん」

という訳でミカサの頭をナデナデして気を鎮めてやった。

そして部屋に戻って寝る。修学旅行1日目に早速気になる事件が起きたけど。

とりあえずは棚上げして、オレは両目を閉じて眠る事にしたのだった。






修学旅行2日目。15日の自由行動では早速清水寺に向かう事になった。

皆、考える事は殆ど同じだったみたいで、5班中、4班がまずこの「清水寺」を選んだようだ。

「縁結び」目当てにこっちに来たようだ。皆、思い思いに願掛けをしている。

オレは当然、ミカサとずっと一緒に居られますように。って願った。

願わくば、リヴァイ先生とハンジ先生のように「結婚」って形で結ばれたい。

今はまだそこまでは出来る関係じゃねえけど。順調に交際を続けていけたらいつかは。

そう願いながら願掛けをしてきたんだけど。

ジャン「…………」

サシャ「…………」

ああああもう! こっちのカップルはまた睨み合ってやがる! 面倒くせえ!!

いつまで平行線でいる気だよ。つば競り合いじゃねえんだから。

サシャ「し、仕事運を高められるように祈願しましょうかね」

ジャン「ああ。オレは成績が上げられるように祈願しようかな」

おいいいいいい?! 何やってんだ?! お互いに嘘ついてどうすんだよ?!

イライラするぜ……ピクシス先生じゃねえけどさ。胃の滾りがこう……。

アルミン「あははは……エレン、ピクシス先生と同じ拳の振り方しているよ?」

エレン「すまん。ついつい。あいつら見ていると、ピクシス先生みたくなっちまう」

アルミン「気持ちは分からなくないけどね。でもよく見て? こっそり恋愛のお守り買ってるよ? お互いにバレないように」

エレン「本当だ……アホだなあいつら」

アルミン「だねえ。エレン達はもう買ったの?」

エレン「ああ。ミカサと御揃いで買ったぞ」

ミカサ「その辺は抜かりない(キリッ)」

アルミン「そうなんだ。僕も一応買ったけど。僕もいつか良縁に恵まれるといいなあ」

其の時、オレはふと気になってアルミンに聞いた。

エレン「アルミンは、アニと付き合いたいとは思わねえのか?」

アルミン「え? 何でそこでアニの名前が出るの?」

エレン「いやー結構、普段から仲良くしているだろ? アニとは」

アルミン「うーん。話は合うけどね。でも、アニの方がそういう意味で僕の事を見てないと思うよ?」

と、しれっと質問をかわすアルミンだった。

この返答例はリヴァイ先生も同じような事をやっていたよなあ。

922進撃の名無し:2014/09/07(日) 11:08:33 ID:skZJD6Kg0
アルミン「それにアニは好みの女の子じゃないし……それはアニも同じだと思うよ」

と、コニーの傍についているアニを横目に言うアルミンだった。

ミカサ「アルミンはクリスタの事をまだ諦めてないの?」

アルミン「うぐ………! そこに触れられるとは思わなかったな」

ミカサ「クリスタの事は諦めた方がいいと思う。その………」

アルミン「いや、その件については僕も薄々察しているので言わなくてもいいよ。ミカサ」

ミカサ「そう……」

アルミン「うん。見ていれば分かるよ。今もほら、ユミルと一緒にニコニコしているじゃないか」

ユミル達も清水寺に当然、来ている。

傍目には女子同士のじゃれあいに見えるだろうけど。

手の繋ぎ方が「恋人同士のアレ」だから、見る人が見れば分かると思う。

アルミン「僕のクリスタへの思いは、淡い恋だったのかな」

エレン「ん?」

アルミン「いや、残念な思いは当然あるんだけど。ジャンがミカサにフラれた時のようなしんどさはなかったんだ。諦めがつくっていうか……その程度の物だったのかなって、自分ではそう思っているよ」

エレン「そうか」

アルミン「うん。楽しかったけどね。だからクリスタの件はもういいんだ。それより今は新しい恋を探してみたいよ」

エレン「そっか」

そういう意味なら今はそっとしておこう。

コニーは恋愛祈願のお守りをアニと一緒に買っていた。

コニーは「新しい彼女が出来ますように!」と叫んでいる。

アニ「そうだよ。その意気だよ。コニー。あんたいい男なんだからすぐ新しい彼女出来るって」

コニー「おう! 今度こそ、彼女をもっと大事にするぜ!」

と言い合っている。

少しずつだけどコニーの表情に明るさが見えて来た気がする。

時間が解決するのを待つしかねえもんな。多分、こういうのは。

小学館高校男子1「講談高校の生徒だよね? ちょっといいかな?」

エレン「?!」

と、其の時、見覚えのある声が遠くから聞こえた。

クリスタをナンパしている男がいる。小学館高校の例のあいつだ。

ユミル「ああ?! ナンパならよそでやりな! クリスタはあんた程度の男が声をかけていい女じゃねえんだけど?!」

小学館高校男子1「いやいや、声かけているのは金髪の子じゃないよ。あんたの方だよ? 君、可愛いね。オレ、君みたいに気強そうなのがタイプなんだけど?」

ユミル「はあ?! 何寝言言ってるんだ?! 馬鹿じゃねえの?!」

小学館高校男子1「全然、本気。ねえ、今日はそっちも自由行動なんだろ? ちょっと抜け出して……」

その様子を見ていたクリスタが間に入った。

クリスタ「他校の女子をナンパするなんて最低。やめて下さい!」

小学館高校男子1「ああ? あんたみたいにガキ臭いのは好みじゃねえよ。やっぱりこう、すらっとした大人の女っぽい女の方が色気があっていいよな」

と、ユミルの髪を勝手に触ろうとしたから、クリスタがキレた。

金蹴りかまそうと膝蹴りをしようとしたけど、華麗にかわして「おっと」と逃げた。

小学館高校男子1「メルアドと番号だけでも渡しておくよ。じゃ、また後で」

と言ってその男は無理やりユミルに紙切れを渡して去って行った。

ユミルが鳥肌立っているようだ。その様子を見ていたオレ達は「大丈夫か?」と声をかけた。

ユミル「大丈夫じゃねえよ!!! なんなんだあいつ!!! 気持ち悪い!!!」

コニー「………………」

コニーの目の色がまずい。今の現場はコニーも目撃していた。

923進撃の名無し:2014/09/07(日) 12:35:57 ID:skZJD6Kg0
コニー「あいつ、ヒロの今の彼氏だよな。なんでヒロをほっぽいてナンパなんかしてやがるんだ……?」

ユミル「え? どういう事だ? コニー」

コニー「あいつ、オレの元彼女の今の彼氏なんだよ。何でユミルなんかに声かけて……」

クリスタ「ちょっと、コニー。ユミルなんかに、っていうのは失礼だよね」

コニー「だって、ユミルはブスだろ。あいつ、ブス専だったのか?」

と、言うとユミルがコニーにげんこつをかました。

コニー「いってー!?」

ユミル「私はブスな方だという自覚はあるが、お前に言われるとムカつく」

クリスタ「ユミルはブスじゃないよ! 美人だよ! 現に今、ナンパされたじゃない!!」

ユミル「いや、私もまさか人生初のナンパが、コニーの元彼女の今の彼氏からくらうとは思わなかったが……何か妙だな。一体、どういう事なんだ?」

コニー「オレにも良く分からねえよ。もしかして、ヒロは悪い男に引っかかっただけなのかな……」

しまったな。コニーには奴を近づけたくなかったのに。

まさか向こうから接触してくるとは思わなかった。どうするべきかな。これは。

事情を大体知っているオレ達の班は目線だけで会話した。

アルミンが左右に首を振った。知られてしまった以上は隠せないと判断した様だ。

アルミン「コニー。落ち着いて聞いて欲しい」

と、アルミンが代表してコニーに事情を話した。

アルミン「ヒッチに協力して調べて貰ったんだけど……コニーの元彼女さんの今の彼氏さんは、あまり評判のいい男じゃないみたいだよ」

コニー「そ、そうなのか?」

コニーがヒッチの方を向いて問い合わせる。するとヒッチが頷いて答えた。

ヒッチ「まあね。割とイケメンだし? あと結構ナンパな男で、今みたいに「大人っぽい女」が好みで良く自分から声かけるような男らしいよ」

コニー「待ってくれ。だとしたら、ヒロは真逆じゃねえか。あいつ、オレと身長も変わらないし、顔だって童顔で……」

ヒッチ「まあ、その通りだね。つまり「好み」だから手出した訳じゃないって事だよ」

コニー「…………」

ヒッチ「コニー。私の個人的な意見になるけどさ。寄りを戻したい気持ちがまだあるなら、私はイケると思うよ」

コニー「!」

ヒッチ「まあ1回裏切った女を許容出来るか否かはコニー次第だけどね」

コニー「ヒロは悪い男に引っかかっただけの可能性があるのか」

ヒッチ「そうだね。見てたでしょ? あいつ、碌な男じゃないよ。私が言うのもアレだけど」

コニー「…………………」

コニーは複雑そうに両目を伏せた。

924進撃の名無し:2014/09/07(日) 12:47:42 ID:skZJD6Kg0
コニー「でも、ヒロ自身の気持ちがもう、オレにはないんだぜ? 寄り戻すっつっても、どうやって……」

ミカサ「元彼女さんの目を覚まさせた方がいいと思う」

其の時、怒りに燃えたミカサが一歩前に出た。

ミカサ「ユミル。ユミルを餌にして、浮気現場を元彼女さんに目撃させたらどうだろうか?」

ユミル「ははーん。一芝居打つわけだな? なるほど」

クリスタ「だ、ダメだよ!! それでもしもの事が合ったらユミルが危険だよ!!!」

ユミル「私は別に一芝居をうっても構わんが……コニー次第だな。どうする?」

コニーは迷っているようだ。

真実を元彼女さんに伝えるべきなのか否か。

もしかしたら今も、元彼女さんは今の彼氏さんを信じ切っている可能性もある。

今が「幸せ」なのだとしたら、それをぶち壊していいのか。迷っているようだ。

コニー「やめておくよ。もうあいつとは関わらない方がいいと思う。あいつが悪い男に騙されているんだとしても、オレが口出す事じゃねえし」

ジャン「そうだな。オレもその方がいいと思う。というか、元彼女側にも自業自得の部分もあるしな」

ミカサ「でも……!」

ジャン「ミカサ。コニーがその気ねえんなら、オレ達は口出せねえよ」

ミカサ「ううう……」

アニ「後ろから殴りつけたい気分だけど」

ミカサ「同じく。タワーブリッジをかけてやりたい気分だけど」

ミカサまで筋肉マンの技を言うようになっちまったな。

気持ちは分からんでもないけどな。でも、コニーがそう言う以上、オレ達は何も出来ない。

サシャ「……………」

サシャは何も言えないようだった。複雑な顔で黙り込んでいる。

ライナー「ふむ。何だかややこしい事態になっているようだな」

ベルトルト「コニー、大丈夫?」

マルロ「面倒臭い事には関わらない方がいいぞ」

ダズ「うーん……」

と、ライナー達も反応に困っているようだ。

925進撃の名無し:2014/09/07(日) 13:37:33 ID:skZJD6Kg0
コニー「ああ。皆、空気悪くしてすまねえ。もうオレの事は放っておいていいからさ。もう考えないようにするし。いいんだ」

と、言ってコニーは無理やり自分の顔に笑顔を貼りつけたのだった。

そして午後からはライナー達の班とは分かれて、オレ達は二条城の方へ移動して、お昼は駅周辺で外食をした。

お土産も一緒についでに買った。ロッカーに預けて、次は映画村に移動したんだけど。

映画村でライナー達と合流したのはいいんだけど。

ちょっと油断した隙に、オレ達はコニーの姿を見失ってしまったんだ。

エレン「しまった! コニーは何処だ?!」

ジャン「え? あれ……あああああ?! あいつ、どこ行った?!」

サシャ「さ、さっきまで一緒に居たのに……?!」

ミカサ「衣装チェンジしている間に、何処かへ行ってしまったのだろうか?」

そうなんだ。団体で衣装チェンジしている待ち時間にコニーの姿が消えたんだ。

どうしよう。あいつを今、1人にしたらやばい気がする。携帯で連絡を入れてもコニーが出ない。

サシャ「もしかして、元彼女さんと連絡とったんじゃないんですかね」

ユミル「え?」

サシャ「コニーの性格を考えたら、無関係のユミルを巻き込みたくなかったのでは?」

アルミン「だったら、1人で話をつけに行ったって事?」

サシャ「あり得ますよ! 元彼女さんに信じて貰えるか分かりませんが、コニーならきっとそうします!」

ジャン「なんてこった…………修羅場が勃発するに決まっているのに」

エレン「急いでコニーを探すぞ! 絶対、あいつに間違いを犯させるな!」

オレ達全員、ライナーの班にも協力して貰って、映画村の中を走り回った。

オレは忍者の恰好をしていたから走り易くて助かった。ミカサもオレと御揃いの格好になったから、走り易くて助かった。

困ったのはサシャとかアニとかクリスタだった。町娘の恰好だったり、お姫様の恰好になっていたから、移動が大変だったんだ。

それでもオレ達はコニーを探しまくった。今のあいつを独りにしちゃいけねえ!!!

そして野生の嗅覚をもつサシャが一番早くコニーの姿を見つけた。

コニーは案の定、元彼女と今の彼氏と、3人で対峙して話し合っていたようだった。

コニーが叫んでいる。目の色が変わった。やばい。まずい!!!!

コニーが今の彼氏を殴りかかろうとした瞬間、サシャがコニーの足にスライディングをかまして、ジャンが上から覆い被さった。

オレとミカサも遅れてコニーに突撃して、ユミルやクリスタ、ライナー、ベルトルトも一斉にコニーの暴挙を止めた。

サシャ「早まったらダメです!!! コニー!!! 甲子園に出られなくなってもいいんですか?!」

コニー「!」

ジャン「そうだぞコニー! ここで暴力事件を起こしてみろ! 予選大会の出場の権利も剥奪されるだろ!! 不祥事は厳禁なんだからな!!!」

サシャとジャンの叫びがコニーの心に届いたのか、コニーは力を無くして項垂れた。

ヒロ「人の男を殴ろうとするなんて最低………もう連絡しないでって言ったのに」

エレン「!」

騙されているんだとしても、今の発言は許せなかった。

コニーがどれだけ心配しているのか、人の気もしらねえで…。

相手の男は困惑しているようだった。事態を把握出来ずに、そしてユミルと目が合って「げっ」って顔をしていた。

そこでユミルが言ったんだ。すげえ人の悪い笑みを浮かべて。

ユミル「あれれ〜? そこに居るのはさっき私にナンパしてきた男じゃないですか? 人にメルアドと電話番号を渡してきた癖に、彼女いたんだ〜? 最低な男だねえ♪」

ヒロ「え………?」

ユミル「証拠ならここにあるぜ〜? ほら? この紙切れのアドレス、あんたの番号で間違いないんだろ〜?」

と言ってわざと元彼女さんの方に確認をするユミルだった。

ヒロ「ど、どういう事なの………?」

小学館高校男子1「いや、その………それは、その……」

ヒロ「私の事、騙していたの?!」

小学館高校男子1「…………すまん。頼まれていたんだよ。ヒロに手出してくれって」

ヒロ「はあ?! 何それ?! 意味分かんない! 一体誰が……!」

ヒッチ「小学館高校の野球部員だね? 捕手の男でしょ?」

と、其の時、ヒッチがズバリ言った。

926進撃の名無し:2014/09/07(日) 13:56:24 ID:skZJD6Kg0
ヒッチ「去年の県大会決勝で、コニーが盗塁決めた時に捕手をやっていた男が犯人だよね? こっちはもう裏取ってるし。白を切っても無駄だよ? ふふん♪」

ヒッチが絶好調で脅している。こういう事にかけてはヒッチは一級品の腕を持っているようだ。

小学館高校男子1「ちっ………バレていたのか」

ヒロ「そんな……」

小学館高校男子1「そうだよ! オレは野球部員のそいつとダチだから、頼まれてコニーの彼女に手出したんだよ。逆恨みにも程があるとは思ったけどな。コニーさえ潰せば、次の大会ではきっと勝てるってあいつ、言い出して。もしコニーを精神的に潰すのに成功したら金出してやるって言ってきたから、つい……」

ヒロ「…………」

元彼女さんが顔面蒼白になっている。無理もねえけど。

コニーの目の中の「怒り」はまだ消えていなかった。当然だ。

オレだって本当はこの「クソ野郎」を殴ってやりたかった。

でもそんな事をしたらオレ達も「演劇部」に迷惑がかかるからな。

寸前で怒りを噛み殺した。全員、背負う物があるから。下手な真似は出来なかったんだ。

小学館高校男子1「バレちまったならもうしょうがねえか。ヒロ。もう別れようぜ」

ヒロ「え………」

小学館高校男子1「オレ、別にお前の事が好きで手出した訳じゃねえんだよ。というか、オレの好みの女じゃねえし。そっちの背の高い女の方が断然いいし」

ユミル「こっちからお断りだ。死ね。クソ野郎」

小学館高校男子1「やべえ。そういうの遠慮なく言える女、オレ、本当に好きなんだよね」

ユミル「変態かよ。近づくな。気色悪い」

小学館高校男子1「まあまあ、そう言わず」

クリスタがキレていた。それを後ろからダズが引き留めている。

誰かあいつを殴ってくれ。本当に。一発だけでイイから!!

そう考えていたら、サシャがゆらりと立ち上がって、その男の方へ近づいて、一発はり倒したんだ。

それはもう凄い破裂音だった。往復ビンタが炸裂して、男は地面に座り込む。

サシャ「ぬしゃなんばいよっとか………」

小学館高校男子1「は?」

サシャ「ふざくっともたいがいにせえよ!!!! あたは人の心ばなんとおもっとっとか!!!!」

な、何を言っているんだ? サシャ?

方言かな? 九州弁を更に崩した言い方で叫んでいるようだ。

サシャ「こぎゃん男は、ハンジ先生じゃなかばってん、手術した方がよか!!! 引っこ抜いて反省させないかん!!」

ジャン「サシャ!!! おさえろ!!! やり過ぎると退学になるぞ!!!」

サシャ「くやしかあああああ!!!!」

サシャを後ろから羽交い絞めして、暴れるサシャを必死に抑えるジャンだった。

その騒動に気づいて映画村のスタッフの人達が集まって来た。

流石にそこで男の方も反省して「すんません」と一応、形だけで謝った。

小学館高校男子1「いやいや、大丈夫ですよ。大した事ないんで。気にしないで下さい」

と、今起きた事件については不問にするようだ。

小学館高校男子1「女にぶたれるのは別に構わんよ。いい女なら猶更な。ま、男に殴られたらやり返すけど。今日のところは退散するし、もうヒロには手出さないし。これきりって事で」

ユミル「地獄に落ちて死ね」

小学館高校男子1「まあ、そう言わずに。じゃあオレはこの辺で」

と言ってその最低最悪の男は去って行った。

取り残された元彼女さんは呆然自失の状態で座り込んでいた。

927進撃の名無し:2014/09/07(日) 14:29:06 ID:skZJD6Kg0
誰も声をかけられない。コニーがようやく立ち上がって、元彼女さんに手を差し伸べた。

コニー「ヒロ………大丈夫か?」

ヒロ「ご、ごめんなさい……私、酷い事を………」

コニー「騙されたんだろ。だったらしょうがねえよ」

ヒロ「あの、コニー……私……その……」

コニー「…………ごめん」

でもその時、コニーは言ったんだ。

コニー「寄りを戻したい気持ちはあったけどさ。もう無理だ。オレ達も別れよう」

ヒロ「…………………」

コニー「っていうか、今回の件でオレ、痛感した。甲子園行きたいような男が彼女を作っちゃダメだって」

ヒロ「でも、今回の事は……私が悪いんだし」

コニー「彼女にかける時間も全て練習に費やすよ。オレ、本気でプロ野球選手になりてえんだ。だからもう、こういう「恋愛事」とかで頭悩ませたりしちゃいけねえって思った」

ヒロ「……………」

コニー「ヒロはヒロで新しい男、見つけろ。今度はちゃんと騙されないように気をつけろよ」

そう優しく諭してコニーは元彼女さんと今度こそ、本当の別れを果たしたのだった。

ヒッチ「………いいんだ? コニー。寄り戻せたんじゃないの?」

コニー「かもな。でもいいよ。今はそれより小学館高校との因縁を解決させる方が先だ」

コニーの目は本気だった。

コニー「今年も絶対、連覇してやる。見てろよ。甲子園出場を決めて今年こそ優勝してやるかな」

と、決意を新たにしたようだ。そして、コニーはサシャの方を見て言った。

コニー「サシャ。オレの代わりに怒ってくれてありがとう。すげえスッとした。でももう2度とああいう事、するなよ。もしサシャが退学になったら、オレ、罪悪感で死にそうになるからな」

サシャ「退学したって良いですよ。私は別に部活動に入っている訳でもないですし。誰にも迷惑はかけませんから」

ジャン「だとしても、コニーの言う通りだろ。相手の男が女に甘い奴だったから良かったものの……」

と、ジャンも宥めている。

コニー「そうだよ。サシャがいなくなったら、オレ、寂しいしな」

サシャ「う………」

そうきっぱり言われてようやく反省するサシャだった。

そして何とかひと騒動に決着がついて、皆が安心した其の時………。

コニーが意外な事を言ったんだ。

928進撃の名無し:2014/09/07(日) 14:30:44 ID:skZJD6Kg0
コニー「ジャン……サシャを止めてくれてありがとうな」

ジャン「あ、ああ……まあ、あの場面じゃ止めるのが普通だろ」

コニー「そうだけどな。でも、皆にも助けられた。本当に感謝するぜ」

ジャン「その恩は甲子園に行く事で返せよ。オレ、期待しているからな」

コニー「ああ。分かってる。…………ジャン」

ジャン「ん?」

コニー「オレ、サシャの事、好きかもしんねえ」

ジャン「!?」

彼女を作らない宣言をしたばっかりなのに。えええええ?!

その様子をこっそり見守っていたオレとミカサとアルミンとアニが仰天していた。

ジャン「…………」

コニー「でも、今回の事があったから、別に告白するとかそういうのは考えてねえけど」

ジャン「けど……何だよ?」

コニー「もし、高校卒業しても、サシャがフリーのままだったら……その時は告白する」

ジャン「!」

コニー「ジャン、お前もサシャの事、好きなんだろ? だったら今のうちに先に告白しろよ。オレは野球の事を優先するからさ」

ジャン「えっと……その……」

コニー「ジャンがヘタレのまんまだったら、オレ、本気でサシャにアプローチするからな。じゃ、そういう事で」

と言ってコニーはジャンの傍から離れて行った。

でもジャンは立ち尽くして何も言えないようだった。

アルミン「トライアングラー勃発だね。ジャン」

アニ「もう、猶予は残されてないよ? つまりジャンがいかないなら、コニーが行くって事だよね?」

エレン「宣言されちまったな。オレの時よりコニーの方が男気あっていいじゃねえか」

ミカサ「コニーは男らしい。確かに。ジャン、どうするの?」

と、皆で囲んでやると、ジャンは真っ赤になった。

ジャン「ど、どうするって言われても………」

アニ「修学旅行中に告白した方が良くない? この際だし」

アルミン「言えてる。グズグズしている場合じゃないような気がするなあ?」

ニヤニヤニヤニヤ。四人で一斉にニヤニヤすると、ジャンは顔を隠して逃げ出した。

エレン「あ……逃げちまった。またヘタレだなあ」

ミカサ「そろそろ年貢の納め時だと思うのに」

アルミン「だねえ。どうなるんだろうねえ?」

アニ「ククク………」

サシャは今、ユミルとクリスタの方に混ざって甘味所で御団子を食べて休憩している。

そのサシャの方を見ると「?」という顔をしていたのだった。

929進撃の名無し:2014/09/07(日) 15:06:16 ID:skZJD6Kg0







そんな訳で映画村で皆で楽しく写真撮影をしたり遊んだりしたらあっという間に2日目の日程が終わり、3日目に突入した。

3日目は殆ど移動日なので特にする事もない。京都の旅館をチェックアウトした後はバスに乗って高速を使って長野へ移動する。

昼飯はバスの中で弁当を食べる。サシャはお土産を待ちきれなくて先に開けて自分で食べたりしていた。

予定では夕方の5時ごろに長野のホテルに到着する予定だ。

長野では部屋の取り方がツインなので、男子は2人組を組んで宿泊する。

オレは当然、アルミンとペアを組んだ。ミカサはアニと組んでいる。

ジャンはマルコと、ライナーはベルトルトと、コニーはフランツと組んでいた。

そして意外だったのがサシャだ。サシャはなんとヒッチとペアを組んでいたのだ。

ユミルはクリスタと組んだからサシャが余るのは仕方がないが、それにしても異色のコンビのような気がする。

ペアが余った奴はシングルの部屋で寝泊まりするというちょっと寂しい状態だが仕方がない。

ただ、このツインの宿泊には「穴」がある。

そう。ペアをこっそり入れ換えれば男女での宿泊も可能という点だ。

キース先生の点呼の後にこっそり入れ替わってしまえばバレない筈なので、皆、それ画策しているらしいが。

ミカサも当然、その事を打診してきたので、オレ達はホテルに到着してからアルミンとアニに相談した。

アルミン「あーつまり、僕とミカサが入れ替わって実際は泊まる訳だね?」

ミカサ「お願いしたい。アルミン。アニ。2人にしか頼めない」

アニ「いや、まあ別にいいけど………アルミンはいいの?」

アルミン「まあ僕も別にいいよ? うん。エレンとミカサの仲は既に知っているし、こういう場合は当然一緒に居たいだろうし」

アニ「そう………」

アニがちょっとだけ照れていた。ふふふ。

という訳でホテルの「部屋交換作戦」は、段取りをつけておいた。

ミカサは自分の事だけでなく、アニの反応を見てニヤニヤしている。

ミカサ「やっぱりあの反応、怪しい」

エレン「オレも思った。アニの奴、満更じゃねえのかもしれねえな?」

ミカサ「2人には悪いけど。私は私でイチャイチャしたいので一石二鳥」

エレン「だよな」

と、2人でこそこそニヤニヤして夕食へ向かう。

ホテルの食事だ。京都の時とはまた違った食事の内容だった。

京都は和風中心だったけど。長野は洋食中心だった。

930進撃の名無し:2014/09/07(日) 15:31:07 ID:skZJD6Kg0
夕食を食ったら部屋に戻って8時からの入浴を済ませる。

風呂上がりのミカサと遭遇してオレの心臓は急に高鳴りが激しくなった。

おっと。まだ一緒は居られないんだった。消灯時間が過ぎてからだったな。

アルミンと部屋に戻る。部屋の番号は501号室だった。

501〜510号室までが男子が使用して、511〜517号室までが女子の部屋だ。

ミカサとアニは511号室だ。間違えないようにしないとな。

アルミン「ええっと……今回、入れ替わり作戦を執行するペアは結構いるみたいだね」

エレン「だろうなあ」

アルミン「頭の中を整理しておいた方がいいかもしれないね。ちょっとメモしておこうか」

と言ってアルミンはノートを取り出した。

アルミン「まずは現在の皆の大体の部屋割りを書きだすよ」

【男子の部屋割り】

501号室…エレン・アルミン

502号室…ジャン・マルコ

503号室…ライナー・ベルトルト

504号室…コニー・フランツ

505号室…サムエル・ナック

506号室…ミリウス・トーマス

507号室…マルロ・ダズ

【女子の部屋割り】

511号室…ミカサ・アニ

512号室…ユミル・クリスタ

513号室…サシャ・ヒッチ

514号室…ミーナ・ハンナ


アルミン「でも実際はこうなる予定らしいんだよね」

と言ってアルミンは修正を加えたバージョンの部屋割りを書き込んだ。

【男子の部屋割り】

501号室…エレン・ミカサ

502号室…マルコ・ミーナ

503号室…ライナー・ベルトルト

504号室…フランツ・ハンナ

505号室…サムエル・ナック

506号室…ミリウス・トーマス

507号室…マルロ・ダズ

【女子の部屋割り】

511号室…アルミン・アニ

512号室…ユミル・クリスタ

513号室…サシャ・ヒッチ

514号室…ジャン・コニー


アルミン「こうやってみると、うちのクラスは随分性に乱れているようにも思えるね」

エレン「それは言うなよ。いや、うちのクラスはカップルが多いとは思うが」

アルミン「しかもジャンとコニーの隣の部屋にサシャとヒッチがいるからね。もしかしたらヒッチがコニーと入れ替わって仕掛けるかもしれないし?」

エレン「もしそうなったらジャンの童貞がやばいんじゃねえか?」

アルミン「奪われそうで怖いねー。まあその辺は流石に交替はしないとは思うけど」

エレン「だといいけどな」

と、一抹の不安を感じながら話していると……

931進撃の名無し:2014/09/07(日) 16:07:58 ID:skZJD6Kg0
ジャンがオレ達の部屋に逃げ込んできた。何だ?

ジャン「ぜーはーぜーはー」

息切らしてやがるな。何だ? 何だ?

ジャン「すまん。少しここで匿ってくれ」

アルミン「誰から?」

ジャン「ヒッチだよ!! あいつ、本気でオレを襲ってこようとしてきやがったから逃げて来た!!!」

アルミン「あちゃー遂にロックオンが本格的になって来たんだ?」

ジャン「何度言っても「無理だ!!!」って断っているんだけどな! 「お願いだから一発やらせて♪」って、男の台詞じゃねえか! あいつ、頭おかしいんじゃねえか?!」

ジャンが真っ赤になって胸を上下させている。

エレン「でも満更でもないんだろ? ヒッチの事は嫌いじゃねえんだろ?」

ジャン「そりゃ、嫌いかと言われれば嘘になるが……だからと言ってエッチが出来る相手じゃねえよ! オレ、流石にそこまで最低な男にはなりたくねえよ」

と、相変わらず女運の悪い(?)ジャンが困惑していたようだった。

エレン「ううーん。でもお前、今夜は514号室で寝る予定なんだろ? ヒッチの部屋の隣だぞ」

ジャン「あ………そう言えばそうだったな。まずいな。それ……」

と、今頃になって現実を見つめたジャンだった。

ジャン「あーどうすっかな。今更マルコに「やっぱり無理」とは言えねえし。すまん。アルミン、知恵を貸してくれ」

アルミン「ううーん。エレンとミカサと総とっかえするとか?」

エレン「ん? だったらオレ達が514号室で寝るのか?」

アルミン「ジャンとコニーが501号室で寝たら流石にヒッチも気づかないんじゃない?」

ジャン「エレン、頼んでもいいか?」

エレン「まあ、別にいいけど。その場合はコニーの了承も必要じゃねえか?」

ジャン「分かった。コニーに確認してみる。電話してみるわ」

という訳でその場で話をつけると、コニーはすぐ「OK」を出してくれたそうだ。

ジャン「OKだって。エレン。すまねえが、総とっかえ頼むわ」

エレン「分かった。オレとミカサは514号室に今夜泊まる事にする」

という訳でミカサにも連絡を入れて入れ換えの段取りを決め直した。


【男子の部屋割り】

501号室…ジャン・コニー

502号室…マルコ・ミーナ

503号室…ライナー・ベルトルト

504号室…フランツ・ハンナ

505号室…サムエル・ナック

506号室…ミリウス・トーマス

507号室…マルロ・ダズ

【女子の部屋割り】

511号室…アルミン・アニ

512号室…ユミル・クリスタ

513号室…サシャ・ヒッチ

514号室…エレン・ミカサ


ややこしいけどつまりこれが実際の部屋割りだな。

バレないように気をつけないといけないな。キース先生が見回りに来た「後」に交換しねえといけない。

ジャン「じゃあそういう事でいいか? オレはギリギリまでここに居て、キース先生の点検が終わり次第、こっちの部屋に戻ればいいよな」

アルミン「そうなるね。ちょっと忙しくなるけど、僕達も部屋の交換をするつもりだし」

そんなこんなでいろいろ打ち合わせして、ジャンには1回部屋に戻って貰った。

そしてキース先生の「点検」が終わり、消灯時間が訪れた直後、オレ達は行動を起こした。

時間差で移動する。2人一気に移動すると怪しまれるからだ。

932進撃の名無し:2014/09/07(日) 16:30:14 ID:skZJD6Kg0
部屋の交換が済んだ後は内側から鍵をかける。

やっと2人きりの時間だ。ミカサとのラブラブな時間が過ごせる。

今日は「危険日」だから挿入はやっちゃいけないけど。

ゴムつけてやればいいんじゃねえかって意見もあるだろうけど。

ゴムも100%避妊出来る訳じゃねえからな。そういう時期は流石に避けるべきだろう。

だからオレはミカサと一緒に布団の中でじっくりイチャイチャを堪能しようと思っていたんだが……。

ミカサとベッドインしていた最中、ドアをドンドン叩く音が聞こえた。うるせえ!

仕方がないから開けてやると、外に居たのはヒッチだった。

ヒッチ「あれ? 何でこっちの部屋にエレンがいるの? もしかしてミカサもいる?」

エレン「すまねえけど、部屋をシャッフルさせて貰った。あいつが今、何処の部屋で寝ているかは言えねえな」

ヒッチ「ええええ……マジでか。逃げられたかー」

ミカサ「ヒッチ。ジャンはヒッチとはそういう関係にはなりたくないそうだから、無理強いはしてはいけない」

ヒッチ「ん〜そうなんだろうけどね。私もまだ諦めがつかないんだよねー」

と、ヒッチがちょっと色っぽい顔になって言った。

ヒッチ「多分、私、ジャンが好きだと思うんだよね。ワクワクするっていうのかな? ジャンを追いかけるの、だんだん楽しくなっちゃって。2番目でもいいからさ。付き合ってくれないかなって、思い始めている自分がいるんだよね」

エレン「そうだとしても、その戦法で迫るのは逆効果じゃねえか?」

ヒッチ「あはは……そっかーやっぱりそうみたいだね。分かった。今夜は諦めて引くとするか。お2人も頑張ってね♪」

と言ってヒッチが去って行った。やれやれ…。

これで諦めてくれるならいいんだが。そう思いながらミカサとベッドインし直すと……

携帯電話が鳴った。誰だよ?! 今度は誰が邪魔してきた?!

電話の相手はジャンだった。あいつ、文句言い出してきた。

ジャン『ヒッチに部屋がバレたぞ!! 何で部屋から出た! 顔出したらバレるに決まってるだろうが!』

エレン「あードアをずっとドンドン叩いてきたからしょうがねえだろ。うるさいとキース先生が点検に来ると思ったし」

ジャン『そうかよ……あああ待てヒッチ! こら! ああ……離れろ馬鹿!!!』

プープープー

携帯が切れた。何か向こうは向こうで騒がしそうだな。

ジャンの童貞が今夜、あぶねえかもしれないが、知らん。

自業自得だしな。ヒッチを「無意識」に堕としたジャンが悪い。

オレ達は出来る限りの事はしてやったんだし。部屋の交換がバレたんだったらもう諦めた方がいいかもな。

そんな感じでジャンの事は放置してミカサとキスしようとしたら……

933進撃の名無し:2014/09/07(日) 16:47:13 ID:skZJD6Kg0
今度はミカサの携帯が鳴った。イライラしながら電話に出る。

ミカサ「はい……サシャ?」

サシャから電話がかかってきたそうだ。どういう事だ?

ミカサ「えええ……分かった。ちょっと待って」

ミカサは一度口を離すと、

ミカサ「コニーがサシャの部屋に来ているそう。流石に男女一緒に寝泊まりするのはアレだから、私と一緒に寝て欲しいと言ってきている」

エレン「ええええええ……」

なんじゃそりゃああ? えー何でそうなるんだよ?!

ミカサ「どうしよう? もし一緒の部屋で一晩を過ごしたら間違いが起きないとも限らない」

エレン「ううーん。待ってくれ。ちょっと頭を整理する」

この場合、今、501号室にジャンとヒッチがいて、513号室にサシャとコニーがいるんだよな?

シャッフルし過ぎて頭が混乱しそうになる。とりあえずどうするべきかな。

ミカサ「サシャと一緒に居てあげるべきだろうか……?」

エレン「ううーん。サシャはコニーとは流石に一緒の部屋では寝られないんだよな」

ミカサ「みたい。コニーも寝る場所が無くなって困っているそう」

エレン「だよなあ。あ……そうだ」

確か、女子は1人余っている子がいたような。女子は15人だから奇数だ。

だからその子と交渉して、オレとミカサがシングルで寝ればいいんだ。

エレン「1人余ってる女子いたよな。その子の部屋とオレ達を交換したらいいんじゃねえか?」

ミカサ「つまり、その女子とサシャが同じ部屋で寝るの? それは難しいと思う」

エレン「ダメかな?」

ミカサ「普段、あまり関わりのない子と一緒に寝るのは流石にちょっと……」

エレン「そうか」

ミカサ「サシャが人見知りしない性格ならともかく。ああ見えてサシャは人に慣れるのに時間がかかる方だから無理だと思う」

エレン「あーじゃあもう、しょうがねえか。ミカサとサシャで同じ部屋で寝るしかねえか」

ミカサ「みたいね。ここは折れるしかないかもしれない」

エレン「しょうがねえな。コニーをこっちに呼ぶか」

という訳で何でか良く分からんが成り行きでオレはコニーと同室になる事になっちまった。

コニー「悪い……なんかヒッチがジャンのところに押しかけて来たからさー流石に空気読んだ方がいいかなって」

エレン「ジャンはサシャの事が好きなんだけどな」

コニー「それも知っているけど……とりあえず放置してきた。オレ、関係ねえし?」

エレン「まあ、そらそうだけど」

やれやれ。ミカサとのラブラブな時間をお預けされちまったな。

コニー「悪いな。ミカサとの時間を邪魔しちまって」

エレン「まあ、もう諦める。サシャも流石にコニーと同室は無理だって言ったんだろ?」

コニー「いやーまあ、そうだな。うん。いくら友達同士でもそこは線引きしねえとな」

と、コニーは照れている。

934進撃の名無し:2014/09/08(月) 01:37:05 ID:SCUi3c.60
そんな訳で、その日はとんだ騒動に巻き込まれて部屋をシャッフルしまくった。

翌日の朝。部屋から出ると、ジャンが何故か513号室から出て来た。

サシャに怒られている。アレ? あいつ、501号室でヒッチと寝たんじゃなかったのか?

ジャン「誤解だサシャ!! オレも何でこっちで寝ているのか分かんねえんだよ!」

サシャ「ミカサは何処ですか?! ミカサは一体どこに……」

ジャン「知らねえよ! ミカサと一緒に寝たのか?!」

と廊下でわいわいやっている。

ミカサがヒッチと一緒にこっちにやってきた。

ヒッチ「おはよー。ジャン。サプライズ、びっくりした?」

ジャン「は?」

ミカサ「御免なさい。実はあの後、ジャンと私はこっそり、ジャンが寝ている隙にジャンをヒッチと一緒に部屋に運んで、部屋を交替した……ので」

ええええマジか? もしかして打ち合わせしていたのかな?

何というからくりだ。びっくりだぜ。

サシャ「酷いですよおおお! ミカサ、騙しましたね?!」

ミカサ「御免なさい。荒療治をした方がいいかと思って」

ヒッチ「うふふふ………既成事実は作れた?」

ジャン「んな訳ねえだろ! 今の今まで爆睡しただけだ!! 起きたら隣のベッドにサシャいるし、心臓止まるかと思ったぞ!」

ヒッチ「やばいwwwwジャンの顔が面白すぎるwwww」

ジャン「ドッキリ仕掛けるのも相手を選べよ!!! 冗談にしては笑えないだろうが!!!」

と、真っ赤になって反論している。

エレン「あーミカサ。その打ち合わせはいつの時点でかわしたんだ?」

ミカサ「私がサシャの部屋に移動した後、ヒッチからこっそりメールが来た。ジャンを眠らせたから、協力してくれって」

エレン「じゃあ最初から狙っていた訳じゃねえんだな?」

ミカサ「私も後から協力しただけ。本当ならエレンと一緒に一晩過ごしたかったけど。そういう話なら協力しようと思った」

エレン「やれやれ……」

ヒッチの策略にまんまと乗せられた訳だな。オレ達も。

ヒッチ「ふふふ〜ジャン〜? 今回だけのサービスだよ♪ 2度目はないからね?」

ジャン「は?」

ヒッチ「いつまでも逃げられると思ったら大間違いだよ? 私が本気出したら、ジャンの童貞なんてさくっと奪えちゃうからね? ふふふ♪」

ジャンがドン引きしていた。ヒッチが完全に野生の雌豹の顔に変わった。

その瞬間、サシャの方も目を鋭くした。細めてヒッチを見つめている。

サシャ「……………」

ヒッチ「だからこの旅行中に自分の気持ちをちゃんと整理してよね。私もいつまでも待ってる女じゃないんだから。じゃあねー」

と言ってヒッチが先に去って行った。

ジャンはサシャの方を見て、サシャは目を逸らしてしまう。

935進撃の名無し:2014/09/08(月) 01:59:11 ID:SCUi3c.60
ジャン「サシャ……あの……その……」

サシャ「言い訳なんてする必要はないですよ」

ジャン「え?」

サシャ「何でヒッチとくっつかないんですか? あれだけ愛されているのだから、ヒッチとくっついたらいいじゃないですか」

えええええ?! サシャ、何言ってるんだお前?!

ツンデレにも程があるだろ?! ミカサもびっくりしているぞ?!

ジャン「オレはヒッチの事は別に、そういうんじゃねえよ」

サシャ「でも満更じゃないんですよね? でないと一緒の部屋で過ごしたりしないですよね?」

ジャン「それはあいつが無理やりオレを追いかけてくるからだろうが!!」

サシャ「そうですか? 本当にそうですか? ジャンの方にも油断があるんじゃないんですか?」

いかん。だんだん険悪な空気になってきた。まずいぞこれ。

ジャン「オレがいつ油断したっていうんだよ!!!」

サシャ「ヒッチに洋服を買ってあげる約束をしたじゃないですか! それが油断じゃないなら何なんですか!!」

ジャン「はあ?! 何でその話がいきなり……」

サシャ「ヒッチがジャンの懐の中に入ろうとしているのは見え見えじゃないですか! 本当にその気がないんだったら、服なんか買ってあげてはダメですよ!!!」

ジャン「!」

その瞬間、ジャンの顔色が変わった。

あ……何か、やばい。これは、まずい。

キレているアレじゃないけど。その……多分、今、男のアレというか。

ええっと、なんていえばいいかな。「スイッチ」みたいなもんかな。

ジャンの顔が急に変わって、サシャの方に一歩、近づいていって。

壁ドンがきた。

少女漫画でやる定番のアレだ!!

生で目撃するのは2度目になるが、こっちのそれは、本物の「壁ドン」だ!

ジャン「サシャ……こっちを見ろ。オレの顔を見て、言えよ」

サシャ「あ…………」

ジャン「それってつまり、お前、ヒッチとオレの関係を「嫉妬」しているって受け取っていいんだよな?」

サシャ「いや……違います! そんなんじゃ、そんなんじゃありませんよ……!」

ジャン「じゃあ何で今、涙目になってんだ? サシャ……」

うわあああ!! 顔が近い! 近い!

朝っぱらから少女漫画の王道ぶっぱなすなああああ!!!

オレも少女漫画にそう詳しい訳じゃねえけど! 部室に転がっていた少女漫画に壁ドンが載っていた程度にしか知らんけど!

サシャ「あ……そ、それは……」

ミカサ「ジャン。朝なので。朝食を食べにいかないと」

そこで冷静にミカサがツッコミを入れたのでジャンも一応離れたけど。

ジャン「………………サシャ。後でな」

どうやら逃すつもりはないようだ。ジャンの目が男のそれに変わっていた。

発情しかけたジャンの恐ろしさにサシャがへたり込んだようだ。

936進撃の名無し:2014/09/08(月) 02:19:37 ID:SCUi3c.60
サシャ「うううう………」

涙目になってへたり込んだサシャにミカサが手を伸ばす。

ミカサ「サシャ……」

サシャ「何ででしょうか? 私、何でこんな風になっちゃったんでしょうか?」

ミカサ「…………」

サシャ「ミカサもこんな風になった事、あるんですか?」

ミカサ「ある。去年の夏に、私も同じようにドロドロした感情に悩まされた」

サシャ「だったら、それは相手の事を「好き」って事なんでしょうか?」

ミカサ「普通はその感情を「嫉妬」と呼ぶ。それは相手を独占したい証拠」

サシャ「じゃあ私は、やっぱり、ジャンの事が好きなんでしょうか……?」

ミカサ「私から見たら、そうとしか思えない。サシャはジャンの事が好きなんだと思う」

ミカサがそう指摘してやると、サシャはその場でわんわん泣き出してしまった。

サシャ「嫌です! 何でよりによってジャンを? あんなに女にフラフラする男、嫌ですー!」

まあ、気持ちは分からなくもない。ジャンの過去が過去なだけにな。

サシャ「ジャンと一緒に居ても楽しくはないし、むしろイライラしたり、ムカムカする事も多いんですよ?! 私の理想とかけ離れているのに、何でこんな事になったんでしょうか……?」

ミカサ「理想と違う人を好きになる事もあるのでは?」

サシャ「ミカサもそうだったんですか?」

ミカサ「うーん? 私も場合もそうだったかもしれない」

エレン「え?」

ミカサ「短気な人は苦手だと思っていた。だけど好きになった人は短気な人だった。そういう事もあると思う」

OH……そうだったのか。何だか申し訳ねえな。

ミカサ「ジャンは確かに「今」はフラフラしているけど。でもきっと、恋人が出来たら変われると思う。リヴァイ先生のように」

エレン「そうだな。オレ、ジャンはきっとリヴァイ先生と同じように一途に一人の女を愛せる男だと思うぜ」

リヴァイ先生自身、本気の恋に出会って初めてフラフラするのをやめた訳だしな。

サシャ「そんなの、分からないじゃないですか! ジャンのフラフラする癖が抜けなかったら、もし恋人になっても苦労するだけじゃないですか!」

ミカサ「その時はジャンの男性器を握り潰すか切断してやればいい」

OH……やめてくれ。ハンジ先生のアレを皆、真似するんじゃねえよ。

思わず股間を防御したくなるような心地になってしまったが、サシャは首を左右に振った。

サシャ「そんなところ、触りたくもないですー! そういう事、したくないんですー!」

ミカサ「そうなの?」

サシャ「そういうのは、恥ずかしいです! 手を繋ぐのだってドキドキするのに、そんなの……そんなの……」

うわ……サシャが真っ赤になって顔を伏せている。両手で顔を隠している。

やべえ。これは可愛い。そういう「行為」に対してそこまで恥じらいがあるんだ。

これはジャンが見たらもう、完全に「オオカミ」に覚醒するぞ。

ミカサはそこまで恥じらわない方だから余計に新鮮に感じてしまった。

937進撃の名無し:2014/09/08(月) 02:49:17 ID:SCUi3c.60
サシャ「そ、想像したら、ダメなんです。体が震えるし、自分が自分じゃないみたいで、頭が熱くなって……こんなの、私が求めている「恋愛」じゃないんです! 私が求めていたのはもっとこう「のんびり」と「ほっと」するような、ほのぼのとした幸せで良かったんです! こんなに激しい感情、嫌なんです! 私は……私は……」

ミカサがそこでサシャを正面から抱きしめてやった。

恋愛の「先輩」として、ミカサがサシャの感情を受け止めてやったんだ。

ミカサ「サシャ。それはもう、ジャンに「惚れている」段階だと思う。もう逃げられない。サシャはジャンに「捕まって」しまったのだと思う」

サシャ「ううううう…………やっぱりそうなんですかあ?」

ミカサ「認めた方がいい。ジャンと一緒にいる時間が増えたせいでそうなってしまったんだと思う」

サシャ「ですかねえ……漫画のアシスタントで一生懸命に頑張っているジャンを見ていたら、自然とそうなってしまったみたいですー……」

エレン「ああ。あいつ、頑張り屋だもんな。根は真面目だし」

勿論、目的があればの話ではあるんだが。

学校の部活の事も「内申点」が目当てだし、仕事も「金」が目当てだとは思うが。

それでも、ちゃんと「目的」がある場合、ジャンは真面目にやる。そういう男だ。

サシャ「はいー。私、バイト先でいろいろ苦労してきたんですよ。こう見えても、男関係のトラブルも多々ありました。仕事を真面目にしない男に絡まれたり。足を引っ張られたり……ジャンはそういうのが一切なくて、一緒に仕事やっていて「やりやすい」って感じてしまって……」

ミカサ「うん」

サシャ「自分の体調が多少悪くても、先生がピンチの時は必ず駆けつけるし、細かい気配りも出来るし、几帳面だし、私がミスしても「しょうがねえな」って言いながらもフォローしてくれたり……」

ミカサ「うん……」

サシャ「演劇部の部長さんの時の顔もそうでした。ジャン、意外と面倒見いいんですよね。周りをよく見ていますし、決して周りに無理はさせないし、自分じゃ「部長は向いてない」といいつつ結局はリーダーやっていますしね」

エレン「だよな」

サシャ「何で女関係だけ、フラフラするんですかああ! アレさえなければ、私だって……私だって………」

サシャがわんわん泣きじゃくった。その様子に遅れて気づいたアニとアルミンが廊下に出て来た。

アニ「な……なんでサシャが泣いているの???」

アルミン「まさか、またジャンが何かやらかして……」

エレン「いや、そういうのじゃねえよ」

ミカサ「今、サシャはやっとジャンへの気持ちを自分で認めた」

アニ「え?! そうなの?」

サシャ「もう捕獲されてしまいましたあああ………あああああ」

と、泣きじゃくってしまうサシャにアニも「よしよし」としてやった。

938進撃の名無し:2014/09/08(月) 03:16:49 ID:SCUi3c.60
アニ「そっか……もう白旗あげた訳だね。だったらジャンを堕とすしかないね」

サシャ「ううう……でも、今のジャンはヒッチにもフラフラしているんですよお?」

アニ「そんなの、サシャがちょっと本気出せば大丈夫。ヒッチなんか寄せ付けない魅力がサシャにはあるよ」

アルミン「そうだね。ジャンもサシャの事が好きなんだから。後はちゃんとお互いに確認し合えば大丈夫だよ」

サシャ「うううう………」

其の時、部屋に籠っていたコニーが顔を出した。

コニー「なんか、サシャ、泣いているのか? 大丈夫か?」

サシャ「コニー………」

コニー「泣き声が聞こえてきたから流石にちょっと気になって……大丈夫か?」

サシャ「もう大丈夫です。いや、大丈夫ではないですけど、大丈夫です」

コニー「どっちだよ? まあいいけどさ。あんまり思いつめるなよ? 皆だっているしさ。大丈夫だって」

サシャ「はい………」

そんな訳で、サシャがようやく土俵際から足を出して負けを認めたおかげで、次のステージに行けると思った。

身支度をして朝飯を食べる為に下の階に降りると、ヒッチとジャンが先に席について待っていた。

その横にはライナー達の班も居て、ジャンはライナー達の班と混ざって先に朝飯を食べていたようだった。

サシャはまだビクビクしている。ジャンとは目を合わせられずに距離を取っているようだ。

ジャンの方はじっとサシャを見ているけどな。その視線は凄く熱っぽい気がするけど。

大丈夫かな。今のあいつ。サシャに対して「ムラムラ」し過ぎてねえといいけど。

スキー研修1日目は朝食をとった後に午前9時からスタートとなった。

インストラクターの男性と女性がそれぞれコーチについてレクチャーしてくれる。

一通りの滑り方を習った後は各自で練習だ。

オレとミカサはスキーは初めての経験だったが、割とすぐ慣れて、すいすい滑る事が出来た。

特にミカサの上達は早かった。インストラクターの先生が驚くくらい上達していった。

オレの方も慣れるのは早かったけど、たまに転んだ。まあそこはご愛嬌って事で許してくれ。

エレン「うわ! ミカサどいてくれ! ぎゃあああ!」

うっかり転んでミカサの上に突っ込んでしまった。

ミカサ「んもー」

と、ミカサをクッションにしてしまった。大丈夫かな?

エレン「大丈夫か? 怪我してないか?」

ミカサ「大丈夫。それより、その……あの……」

エレン「ん?」

ミカサ「皆に、見られている……ので」

エレン「あ、悪い悪い」

リア充死ね! の視線が突き刺さっていた。自重しよう。

939進撃の名無し:2014/09/08(月) 04:14:43 ID:SCUi3c.60
コニーとかはスノボの方にも興味があるようで、そっちのレクチャーも受けてそっちで滑っていた。

スノボの方も希望者はレクチャーを受けられる。どうせだから両方習っておこうかな。

オレとミカサはスノボの方のレクチャーも受けて、そっちの練習もしてみた。

するとミカサはスキーより更に見事な滑りを見せた。

ミカサ「スノボの方が滑りやすい。楽しいかも」

エレン「そうなんだ。へー」

ミカサ「エレンはどっちが好き?」

エレン「オレもスノボの方が楽しいかもな!」

と言いながら一緒にスノボですいすい滑ってみた。やっべー楽しい!

そんな訳で午前中、3時間くらい雪の上で遊んでいたらあっという間に昼になった。

体動かしたから腹減ったぜ! ロッジに戻って昼飯を食う事にした。

ロッジの中で焼き肉を食う事にした。焼肉を見ると研修旅行での事を思い出すな。

サシャ「焼肉奉行は私に任せて貰います(キリッ)」

と、何故かサシャがやる気満々で仕切りだした。

どうやらレア、ミディアム、ウェルダン、全部の焼き方を網羅するみたいだ。

微妙な時間の秒数を体で測って次々と肉を「3つ」に分けていく。

サシャ「3種類の焼き方、全部いけますので。好きなのをどうぞ」

エレン「おおおおいいのか? サシャ」

サシャ「はい! 私は全部の焼き方が好きなので、全部マスターしました!」

ジャン「何気にすげえな。サシャは……」

サシャ「焼肉大好きですからね! さあさあどうぞ!」

と言いながらサシャの焼き方で肉を頂く。うめー!

サシャ「ではそろそろ、良い肉を出しましょうかね。うへへ」

エレン「え? 何だよ。最初からいい肉出してなかったのか?」

サシャ「ふふふ……皆さんに出したのは「安い方」のお肉です。美味な方は後から焼くのが玄人のやり方なんですよ。皆さんは既に先に腹に肉を入れているので、まだ食べてない私が優先して残り物を頂きます」

エレン「ずる賢い奴だなー」

アルミン「まあまあ。いいじゃない。焼いてくれた人にねぎらう意味でも」

アニ「だね。いい肉はサシャに譲ってもいいよ」

サシャ「あざーっすwwww」

と言いながら後から焼いた肉はサシャが主に食べてしまう事になった。

本当に焼肉が大好きなんだな。遅れてむしゃむしゃ食ってる。

その様子をジャンはじっと見ていて、肉汁が頬から零れた其の時、サシャに「零れてる」と注意した。

そしてさっと、店のナフキンを使ってサシャの頬を勝手に拭いた。

その直後、真っ赤になってガタガタと動揺を示したサシャがすげえ可愛いかった。

サシャ「い、いきなり何するんですかああああ!」

ジャン「ああ? きたねえから拭いてやっただけだが?」

サシャ「そんなの頼んでないですから! もうやめて下さいよ!!」

ジャン「ああ。悪い。気に障ったか。でも口の周りくらいは拭いた方がいいかと思ったんだよ」

サシャ「〜〜〜〜!!!」

うおおおお……ジャンもやるようになったな。サシャ相手にどんどん攻めている。

そして会計を済ませて再びスキー研修に戻った訳だけど。

940進撃の名無し:2014/09/08(月) 04:36:16 ID:SCUi3c.60
サシャはジャンと距離を取っていた。好きなのに逆の行動を取っているようだ。

コニーの後ろに逃げるようにしている。コニーもコニーで困っているようだな。

コニー「おい、サシャ。隠れている場合じゃねえだろ?」

サシャ「で、でも………」

コニー「もうジャンの事、好きなら好きって言ってしまえばいいじゃん。ジャンもサシャの事、好きみてえだし?」

サシャ「やめて下さい!!! その、はっきりジャンにそう言われた訳ではないですよ?」

コニー「でもなあ………」

コニーはちょっと照れている。コニー自身も心境の変化が出て来たからサシャとの接触は複雑なんだろうな。

そしてその隙に今度はヒッチがジャンに絡んできた。その様子にサシャがびくっと反応するけど。

でも、様子が違った。以前と比べてジャンはヒッチとちゃんと距離と取って話している。一歩、引いたんだ。

その距離感にヒッチも「あれ?」って顔をしているし、サシャも驚いていた。

そして適当なところで話を切り上げてしまった後は「サシャ! こっちにこい!」と呼びつけていた。

サシャ「うううう………」

ジャン「来ねえならこっちから行くけど?」

サシャ「行きますー!」

と、サシャがジャンに呼び出されていた。

取り残されたヒッチは少し顔色が変わっていた。何だろうな。

苦痛を堪えている顔だった。ヒッチ、あいつもしかして、本気で……。

アニ「今頃、自分の本当の気持ちに気づいたの? ヒッチ」

ヒッチ「アニ……?」

アニ「堕ちない男だから楽しいって感情だから近づいたんじゃなかったの?」

ヒッチ「………………………」

ヒッチの表情が以前とは違った。やっぱりそうなんだ。

あいつ、自分でも気づかないうちに、だんだん、ジャンに嵌っていたんだな。

ヒッチ「最初はそうだったんだけどね。うん……ちょっとやばいかも。この感覚は」

アニ「…………」

ヒッチ「こういうの、初めての経験なんだよね。絶対、堕ちそうにない男に気持ちが向くのって。痛いんだけど。苦しいけど。でも、何でか良く分かんないけど。サシャと一緒にいるジャンの事も好きでいる自分もいるのよ」

アニ「そうなんだ」

ヒッチ「うん。これって不毛な恋愛だよねえ? でも止められない。本当、私、何であの馬面とキスしちゃったんだろ?」

と、苦笑を浮かべて一人で何処かに消えていくヒッチだった。

941進撃の名無し:2014/09/08(月) 04:48:55 ID:SCUi3c.60
そして午後のスキー研修中、アルミンがアニからレクチャーを受けていた。

アルミンは「あわわわ」と言いながら何度もへたり込んで失敗してなかなか滑れないようだった。

ライナーやベルトルトはすいすい滑っている。

ジャンもマルコも運動神経は悪い方じゃないからコツを覚えたら後はどんどん滑っていたけど。

アルミンと、あとはダズもか。男子では2名だけがまだコツを掴めなくてうまく滑れないようだった。

アニ「むー何が原因なんだろうね? 教え方が悪いのかな?」

アルミン「いや、アニの教え方はうまいと思うよ。僕の運動神経が悪いだけだよ」

アニ「うーん。もういっそ、上級者コースに行って荒療治した方がいいのかな?」

アルミン「骨折しちゃうから無理だよ! 流石に修学旅行先で怪我はしたくないよ?!」

アニ「それもそうだけど。でも、いいの? 滑れないとつまんないでしょ?」

アルミン「ううーん。そりゃあつまらないけど。でもしょうがないよ」

と言いながらアルミンは諦めたようだ。

女子の方はクリスタが何度も転んでいた。クリスタもあんまり運動神経がいい方じゃねえのかな?

ユミルはもうすいすい滑っている。あいつも運動神経いい方だからな。

うまく滑れない者同士、ベンチに座って休憩する事にしたようだ。

クリスタ「はううう……水泳の授業の時を思い出すなあ」

アルミン「ああ。あの時もクリスタ、コツをつかむまでうまくいかなかったね?」

クリスタ「なんか、体の使い方が悪いみたいなんだよね。無意識に。何が原因か良く分かんない」

アルミン「クリスタは馬には乗れるんだよね」

クリスタ「うん! 乗馬は好きだよ! 馬に乗る時は、馬と一体化する気持ちで乗っているしね」

アルミン「だったら、スキーの板とも一体化する気持ちで滑ったらどうかな?」

クリスタ「え? どういう事?」

アルミン「いや、あくまで感覚的な物だけど。道具をあまり意識しないで滑ってみるとか?」

クリスタ「ううーん。難しいね。でもそうだね。ちょっと試しにやってみるね!」

という訳でクリスタは練習を再開して、そして何と、それ以後、うまく滑れるようになったみてえだ。

へー。こういう事もあるんだな。感覚の意識を切り替えるだけでこうも違うのか。

そのクリスタのはしゃぎぶりにアルミンも嬉しそうにしていた。

アニがその様子を見て「まだ吹っ切れてないんじゃないの?」と言い出した。

アルミン「な、なんの事……?」

アニ「クリスタの事だよ。あんたもあんたでヘタレだね。告白しないつもりなの?」

942進撃の名無し:2014/09/08(月) 11:33:47 ID:SCUi3c.60
アルミン「告白しても無駄だよ。クリスタはユミルと付き合っているみたいだし。女同士で付き合っているって事は、男にはあまり興味がないって事だろ?」

アニ「そういう意味じゃなくて……ジャンみたいに、ちゃんと「けじめ」をつけなくていいのかい? って意味だよ」

アルミン「いいよ。相手の迷惑になるだけだしね」

アニ「でも、そんな状態じゃ「次の恋」には行けないんじゃないの?」

アルミン「………………それでもいいのかもしれない」

えええ? いいのかよ。アルミン!

アルミン「片思いでも、報われない想いでも、それを否定されない方が楽なのかもしれない。ジャンがミカサにフラれるところを見て、僕もぞっとしたんだよ。現実を直視する勇気を持つのは凄く大変だなって思った」

アニ「でもジャンは、アレがあったからこそ、今はサシャを追いかけているんだよ? もう「過去」の物としてちゃんと受け入れているのに」

アルミン「そうだね。ジャンはそういう意味では精神的にタフな男なんだと思うよ。自分ではそう思ってないみたいだけど。よく皆から「ヘタレ」って言われているけど。本当のヘタレは僕みたいな臆病者の事を言うんだよ」

と、アルミンが自虐的になっていた。

アニ「やれやれ………」

其の時、アニが呆れた声を漏らしてアルミンの隣に座った。

アニ「気持ちは分からなくはないんだけどね。ジャンをけしかけた私が言うのもアレだけど。曖昧なままの方がいいって思う気持ちは分からなくはないけど」

アルミン「そうなんだ」

アニ「うん………周りを見ていると「凄いなあ」って思うよ。特にエレンとか。あいつ、手出してくる奴を「殺す」って本気で言ったからね」

うわあああその件は蒸し返さないでくれえええ恥ずかしい!!!

アルミン「え? どういう事?」

その件はまだアルミンにちゃんと話してないんだよな。

折を見て話さないといけないとは思っていたんだけど。

アニ「エレンが一度、腹痛いって便所に籠った事あったでしょ? 練習中に。その直前に、マルコとジャンと私でエレンと話していて。其の時に「浮気」について話していてね。マルコがエレンに指摘して、エレン、自分の本当の気持ちに気づいたみたいでさ。ねえ? エレン」

呼び出されてしまったので、渋々アニとアルミンのところに近づくオレとミカサだった。

エレン「悪い。その件についてはいずれアルミンにも話すつもりだったんだけど」

タイミングを逃して今の今まで話す機会を逸していた。

アニ「そうだったんだ。あの時はアルミンとミカサ、2人で話し込んでいたしね」

アルミン「うん……つまりどういう事?」

アニ「もしもミカサが浮気したら、最初は「自分の甲斐性の無さ」が原因だから自分の反省が先だって言ってたんだけど。マルコに「それはどうなの?」みたいな事を言われて、考え直したら、やっぱり「ミカサに手出してくるような奴は殺したい」って気持ちに気づいたんだよね」

エレン「……………すまん」

アルミン「なるほど……」

アルミンがびっくりしているな。当然だな。

アニ「でも私あの時、凄いと思ったよ。エレンの「凶暴」なところはゾッともしたけど。それだけ「好き」って気持ちがあるのは、怖い反面、嬉しいとも思える。ミカサは愛されているんだなって思ったら、ちょっと羨ましいなあってすら思ったよ」

ミカサ「そうだったの?」

アニ「うん。あんたたち、凄く羨ましいカップルなんだよ? 私だけじゃないと思うけどね。こう思うのは」

アルミン「僕も同意かな。なんかもう、切っても切れない感じだよね」

そう言われると途端に照れくさくなるな。

943進撃の名無し:2014/09/08(月) 11:53:15 ID:SCUi3c.60
エレン「アルミン……その件でオレ、アルミンに頼みたいって思ってたんだ」

アルミン「ん?」

エレン「オレ、カッとなると本気で人を殺しかねないくらい馬鹿な奴だからさ。もしそういう時が「本当」に来たら……オレをどんな手を使ってでもいいから「止めて」くんねえかな」

アルミン「うん。勿論止めるよ。僕はエレンを犯罪者にしたくないからね」

エレン「…………いいのか?」

アルミン「止めるに決まってるでしょ。え? 何で止めないと思うの?」

エレン「…………そうか」

あっさり同意してくれるアルミンに感謝した。

オレ、周りに恵まれているな。本当に。

過去の話をここでするべきか迷ったが、今ここにはミカサもアニもいる。

詳しい事はまたアルミンと2人きりになった時に話そう。

でもとりあえず、「約束」はしてくれたから安心した。流石アルミンだ。

アルミン「うん。エレンはカッとなると暴走する癖があるからね。もう付き合い長いんだし。分かってるよ。その辺の事は」

エレン「そうか」

アルミン「だって僕をいじめっ子から助けてくれた時も過剰防衛仕掛けたでしょ? あの時も相手の男の子、殺しかねないくらい反撃したしねえ」

アニ「え? 何その話。どういう事?」

アルミン「僕は昔、苛められていたんだ。子供の頃は。それをエレンが助けてくれてね。自分も凹られながら。身体張って助けてくれたんだ。その時からだよ。僕がエレンと友達になったのは」

と、遠い目をしてアルミンが語り出した。

アルミン「もう10年近く前になるっけ? 小学校にあがる前くらいだったよね」

エレン「ああ。多分その前後かな? オレははっきり覚えてねえけど」

アルミン「僕は覚えているよ。うん。小学校にあがる前くらいだったかな? エレンは6歳になったばかりだったと思う」

エレン「そうだったか? うーん。まあ確かその辺だったような気もするが」

ミカサ「その頃からエレンは勇敢な男の子だったのね」

エレン「いやー無謀だったと思うけどな。5対1で喧嘩して凹られたりしていたからな。ガキの頃だけど」

6歳くらいの時の記憶だけど、自分より年上の男の子と喧嘩したりしていたな。

アルミン「うん。でもそこで僕はエレンに救われて……それからだよね。エレンと僕の付き合いが始まったのは」

エレン「そう言えばそうだな。思えば長い歴史だよなー」

と、何故か昔話に花を咲かせる事になってしまった。

アルミン「うん。だから大丈夫だよ。エレンが暴走しそうになったら僕の出番だと思ってる。だから安心して欲しい」

エレン「そっか………ありがとうな。アルミン」

アルミン「いいって。僕も普段からエレンにはいつも勇気を貰っているから。エレンがいるだけで心強いって思う事も多いんだ」

ミカサ「その気持ちは良く分かる」

エレン「え? そうなのか?」

アニ「あーそうかもね。確かにエレンは何か不思議な魅力があるのかも」

エレン「えええ? み、皆で急にオレを持ち上げるなよ!」

照れくさくて反論すると、皆にクスクス笑われてしまった。

944進撃の名無し:2014/09/08(月) 12:10:11 ID:SCUi3c.60
アニ「話が脱線したけど……アルミンはクリスタには結局、告白しないの?」

アルミン「何でその話題に戻るの?! 女の子って本当、話題を山手線みたいに戻すよね?!」

アニ「だって私、女だし? ふふふ……アルミンも正式にフラれた方が今後の為にはいいかと思うけど?」

アルミン「気持ちは分からなくはないとか言ってた癖に……」

アニ「フラれたら、慰めてあげてもいいんだけど?」

アルミン「え?」

アニ「私で良ければだけどね? ま、よしよしくらいはしてあげるからさ」

アルミン「……………」

アルミンが複雑な表情に変わったみたいだな。

アルミン「それって、アニの胸の中で泣いてもいいって事?」

アニ「?! 何ふざけたこと言ってるの? そんなんじゃないよ! (プイッ)」

アルミン「いや、ごめん。調子に乗りました! えっと、膝枕をお願いします」

アニ「リヴァイ先生じゃないんだから!!! 調子に乗り過ぎ! やっぱりやめた!」

アルミン「ええ……そんなあ……」

と、こっちはこっちで仲がいい。

あーもう。こっちもくっついてしまえばいいのにな。勿体ねえ。

ミカサがクスクス笑っている。オレと同じ事を考えているようだ。

そんな感じでスキーやスノボをしながらわいわい雑談もしつつ楽しく過ごしていたらあっという間に時間が過ぎた。

全員の点呼を済ませてホテルに戻ろうとしたんだけど……

キース「おい。サシャ・ブラウスとジャン・キルシュタインの姿が見えないが、あの2人は何処に行ったんだ?」

エレン「え?」

キース「時間内にロッジに戻れと言ってあった筈なのに。誰か2人の行方を知らないか?」

ざわざわざわ………

皆、行方を知らないようだ。嫌な予感がする。

キース「まさか、コースを外れて遭難しているのか?」

キース先生が携帯で連絡を取ろうとしたが、繋がらないようだった。

キース「まずいな。仕方がない。班ごとに固まって2人を捜索するぞ。捜索隊を展開して2人を見つけるぞ」

スキー場のスタッフも勿論含めて緊急の捜索が始まった。

時刻は夜の6時だ。この時間帯は流石に空が薄暗くなっている。

だから懐中電灯を持参しての捜索になった。あいつら、どこに迷子になってるんだよ。

945進撃の名無し:2014/09/08(月) 12:30:39 ID:SCUi3c.60
アルミン「まさかの遭難イベントが来るとは……ゲームとかじゃよくある事だけど」

アニ「ううーん。参ったね。雪が吹雪いていないだけマシだけど」

アルミン「吹雪いていたらもっとヤバかったね。なんかそういうシチュエーションってよく聞くけど、本当にそうなると胸が痛いよね」

アニ「エレンが夏に島流しに遭った時もそう思ったね」

エレン「面目ねえ……」

今度はジャンの番なのか。なんかそう思うと、前回のオレのアレも申し訳ない気持ちになった。

と、いろいろ考えて捜索をしていたら、結構あっさりあいつらが見つかった。

サシャをおんぶしてジャンが歩いている。スキー板を脇に抱えながらだからのろいけど。

ジャン「すまん……サシャが捻挫した」

エレン「えええええ?!」

ジャン「こいつ、調子に乗ってどんどん先に進んで滑っていたからさ。転んで右足を捻挫したんだよ。だからここまで背負って運んできた」

あちゃー。なるほど。そういう事だったのか。

アルミン「小屋に籠って2人でやらしー事でもしているかと思った」

サシャ「何馬鹿な事を言っているんですか?! ヤッてませんよ?!」

アニ「顔赤いよ? サシャ?」

サシャ「いやあああああ!? (顔隠し)」

ジャン「……………ホテルに帰ったらテーピングするぞ。幸いだったな。大した怪我じゃなくて」

サシャ「ううう………すみません」

と、ジャンに背負われたサシャが真っ赤になっている。

もうこれ、完全に堕ちているようにしか見えないんだがな。

そしてその日の夜の部屋割りは………ええっと、今夜はどうなるんだっけ?

アルミン「あー何か昨日はシャッフルし過ぎてわけわかめだったらしいね? エレンは」

エレン「総とっかえの後に結局、ミカサはヒッチと寝た訳だからな。今夜こそはミカサと一緒の部屋で寝たいんだが……」

アルミン「今夜は総とっかえしなくてもいいんじゃないかな? ミカサをこっちに呼べばいいと思うよ」

エレン「そうだな。そう何度もジャンに気遣う必要はねえよな」

という訳で17日の夜はミカサに501号室に来て貰う事になった。

ジャンは今夜、こっちに来ないので騒動も落ち着いたのかな? 多分。

ミカサとゆっくり夜を過ごせる。その事に感謝しながら、ミカサとの夜を楽しんでいたら……

946進撃の名無し:2014/09/08(月) 13:36:37 ID:SCUi3c.60
隣の部屋から「女の声」が聞こえた。ええっと。おい。ちょっと待て。

隣はマルコとミーナだったよな? ええっと。声、殺してねえな。あいつら。

ミカサが真っ赤になって困っている。先を越された気持ちで一杯だけど。

ミカサ「今の声……多分、イッた時の声よね?」

エレン「だろうな。あいつら………ヤるならヤるでもうちょっと工夫しろよ」

いや、オレもあんまり人の事は言えないんだが。

何か先にやられてしまうとちょっとだけげんなりする自分がいる。

まあいいや。気持ちを切り替えよう。修学旅行中にイチャコラするカップルはオレ達だけじゃねえしな。

ミカサにキスの雨を降らせて集中していく。今日はスキーやスノボで体を動かしたからちょっとだけ疲れてはいるんだが。

疲れている時ほどムラムラするのは何故だろうな? 男にはそういう時がたまにある。

矛盾していると自分でも思うんだけどな。体の疲労感と比例してムラムラが高まる時があるんだ。

クリスマス公演の時みたいに疲れ切っている時はダメだけど。

程よい疲労感っていうのかな。軽く運動した後の方が乗り気になれるという事はある。

だからオレはベッドの中でミカサにキスをした。胸の突起を指で軽く触って、優しく優しく愛撫を仕掛ける。

ミカサ「ん………」

ミカサは胸を触ってやるとすぐ「溶ける」からな。

表情が緩んでいくのを見るとキスをしたくなる気持ちが止まらなくなる。

胸の弾力を楽しみながらオレはキスの位置を少し下げて顎や首筋に移動した。

ミカサ「あ………ん………」

今日のミカサは危険日だから、挿入するところまではやらないつもりだけど。

色っぽい声が聞こえてくるとだんだんその事を忘れそうになる自分がいた。

ダメだぞ。自重しろよ。今日はミカサを弄るだけだからな。

そう、自分に言い聞かせながらオレは少しずつミカサの服を剥いでいった。

前ボタンを外して手を胸の中へ滑り込ませる。直接肌に触れるとその温かさにびっくりした。

え? 熱でもあるんかな? ちょっといつもより熱くねえか?

エレン「ミカサ。熱あるのか? いつもより熱ある気がするんだが?」

ミカサ「え? そうなの? そんな感じではないけど」

エレン「んー気になるから一応、測っておくか」

という訳で体温計を使って熱を測ってみると……

エレン「あー37.3度か。微妙に熱いな。自覚なかったのか?」

ミカサ「みたい……喉も咳もなかったので、風邪ではないと思う。多分、旅行のせいでテンションがあがっているだけでは?」

エレン「子供みてえだな」

ミカサ「だって……」

ミカサが赤くなってもじもじする。

947進撃の名無し:2014/09/08(月) 13:38:11 ID:SCUi3c.60
ミカサ「え、エレンと、その……イチャイチャ出来るかもと思うと、ついつい」

エレン「ぶふー」

ミカサがもじもじし始めた。そんなに楽しみだったのか。

ミカサ「風邪ではないと思うので、続けて欲しい」

エレン「いいのか?」

ミカサ「うん。体もきつい訳ではないし、単純にテンションが上がっているだけだと思う」

エレン「んーそうか。じゃあ続けてもいいかな?」

という訳でベッドインしなおしてオレはミカサとの長い長いキスを楽しんだ。

やべえ。危険日のミカサはテンション上がり過ぎだろ。顔の艶とかも普段よりいい。

可愛らしさが増すのは自然の摂理なんだろうけどさ。

まさか熱までちょっと上がってくるなんて思いもしなかった。

だから、オレもだんだん調子に乗ってしまって……。

頭の中の理性の鎖が緩んでいくのを感じていた。

服を脱がせた後はミカサの胸に食いついた。乳首に吸い付いて、下から掬い上げるような舌の動きを続ける。

ミカサ「ん……ん……あ…はあ……」

おっと。隣の間違いをミカサにさせる訳にもいかねえな。

脱がせた服を使ってミカサの口を塞いだ。縛ってすまん。声漏れ防止だ。

ミカサ「ふぐ………」

こうするしかねえもんな。本当は声聞きたいけどな。

もしキース先生が声漏れに気づいて点検にきたら………

ん? 待て。そうだよな。さっき声漏れしたから、キース先生、点検に来てもおかしくねえよな。

そう気づいてオレは一気に現実に戻された。そして慌ててミカサに服を着せる。

ミカサ「え? もうやめるの?」

エレン「いや、さっき隣で声漏れしただろ? キース先生、点検に来るかもしれんぞ」

ミカサ「あ! そ、それもそうね……」

エレン「1回元に戻っておこう。万が一バレたらまずいからな」

という訳で名残惜しいけど今日はここまでにしてアルミンに戻ってきて貰った。

オレの勘は当たった。ミーナの声漏れのせいでキース先生も流石に気づいたようで、念の為に2回目の点検に来たんだ。

間一髪だった。間に合った。オレの部屋はアルミンが戻ってきてくれたおかげで事なきを得たけど。

他のペアはどうだろうな? 最中に夢中になっていたら、間に合わずにキース先生に見つかった可能性もあるけど。

948進撃の名無し:2014/09/08(月) 13:57:57 ID:SCUi3c.60
そんな訳で18日はペア交換がバレた組は反省させられていた。

スキーは中止になってロッジで待機になったそうだ。

とばっちりを食らったジャンとマルコはシュンとしていた。

サシャは捻挫中なので今日はどのみち、スキーは出来なかったけどさ。

コニーが一番がっかりしていたようだ。協力者も連帯責任らしい。

オレは咄嗟に判断してバレたかったから良かったけどな。あー良かった。

エレン「マルコ、お前ら、もうちょっと自重しろよ」

マルコ「うう……面目ない」

ミーナ「御免なさい。その、初めてだったから」

と、出来立てカップルは赤面して皆に野次られていた。

マルコ「まさかあんなに大きな声が漏れるとは思わなくて……その、本当にごめん」

コニー「まあでも、童貞卒業おめでとうって事だよな? 良かったな。マルコ」

マルコ「うううう……まさかすぐにバレる事になるとは思わなかった(顔隠し)」

という訳でこっちのカップルも無事に通過点を通り越したようだ。

フランツ「まあまあ。昨日は1日滑ったし、今日はロッジでのんびりするのも悪くないよ」

ハンナ「そうだよ。ゆっくり皆でおしゃべりしていればいいじゃない」

と、謹慎処分中なのに呑気な馬鹿夫婦だった。

エレン「ま、それでいいならいいんじゃねえか? オレ達は最後のスキーを楽しむけどな」

コニー「くそー! 裏切者!」

エレン「咄嗟にすぐ「やべえ」って気づいたからな。オレ達も間一髪だったし」

と言いながらオレ達はその日の最後のスキーを十分に楽しんだ。

アルミンは2日目になるとちょっとだけ滑れるようになってアニが小さな拍手をしていた。

アニ「やれば出来るじゃないの。あと1日練習出来たらもっと滑れたかもね」

アルミン「かな?」

アニ「あんたの場合、基本的な筋力が足りてないだけかもね? 運動神経そのものは普通にあるんじゃないのかな」

アルミン「そうなのかな?」

アニ「うん。クリスタは筋力は足りていて使い方を間違えるタイプみたいだけど。アルミンの場合は筋トレしたら結果が違ってくるかもよ?」

アルミン「だといいんだけどねえ」

と言いながらアルミンもアニとちょっとだけ仲が良くなっていたようだ。

そして長野の最後の夜。この日は流石に部屋交換はせずにアルミンとの夜を優先した。

2人きりの今なら、話せるかもしれない。そう思ってオレは思い切ってその日の夜に「オレの過去」についてアルミンに話す決意をしたんだ。

アルミンは初めは驚いてオレの話を聞いてくれたけど、次第に「なるほど」と納得して普通の顔に戻った。

アルミン「そういう事か。なるほど。エレンは一度、そういう「修羅場」を潜り抜けた経験があったんだね」

エレン「………すまん」

アルミン「謝る事じゃないよ。だからたまに変に「大人ぶっている」時があったんだね。無意識の内に、そういう「凶暴な自分」を抑え込んでいた訳だ」

エレン「気づいていたのか?」

アルミン「気づかない訳ないだろ? 僕との付き合い、長いんだから。エレンがたまに「ん?」と思うような事を言う事があるなっていうのは薄々気づいていたよ」

エレン「そうだったのか……」

アルミンの観察力はやっぱりすげえな。

949進撃の名無し:2014/09/08(月) 13:59:24 ID:SCUi3c.60
>>948
訂正

とばっちりを食らったジャンとコニーはシュンとしていた。


とばっちりはジャンとコニーですね。間違えました。

950進撃の名無し:2014/09/08(月) 14:41:55 ID:SCUi3c.60
アルミン「だから「止めて欲しい」って言い出したんだね。分かった。言葉の重みが予想より重くて正直びっくりしたけど。そういう事なら僕も腹をくくるよ」

エレン「すまねえ」

アルミン「いいって。そもそも、ジャンみたいにミカサに横恋慕しようとする奴の方が人道的に間違っているんだから。エレンがイライラするのも当然だよ?」

エレン「今のジャンはもう、その気はねえけどな」

アルミン「まあね。でも、別の男がミカサを狙わないとも限らないからね。分かった。エレンの気持ちは理解出来たから。「ヤバい」と思った時はどんな手を使っても止めるからね」

エレン「頼む……」

アルミン「うん。こういうのって持ちつ持たれつっていうでしょ? コニーの件もそうだし。やっぱりそういうのって助け合ってこそじゃないのかな?」

と、アルミンは笑ってオレの事を受け入れてくれた。

良かった。ドン引きされなくて。アルミンはオレにとっての最高の「親友」だ。

そして長野の夜を無事に過ごして、バスと新幹線を乗り継いでオレ達の修学旅行はあっという間に終わったのだった。

5泊6日って長いかなって思っていたけど意外と短く感じた。

もっと贅沢を言うならあと2〜3日は旅行してもいいかなって気分だった。

特に京都とか、駆け足の見学だったしな。もう1回、個人的に他の寺も見てみたいと思ったくらいだった。

そして19日の夕方というか、夜に近いくらいの時間に家に帰り着いて、荷物を自分の部屋に置いた。

着替えとかを洗濯籠に放り込んで、お土産とかをおばさんに渡して、一先ず自分の部屋であぐらをかいて。

旅行中の事を思い出したり。ニヤニヤしたり。

ふーと一息ついていたら、ミカサがオレの部屋にやってきた。

着替えてこっちに来てくれた。ん? どうしたんだろうな?

ミカサ「エレン。そう言えば、忘れていたのだけど」

エレン「ん?」

ミカサ「エルヴィン先生から借りていた「風と共に去りぬ」のディスク、まだ返していなかったように思う」

エレン「ああああ! しまった! 借りっぱなしだったなそう言えば!」

実は文化祭の後、エルヴィン先生に風と共に去りぬの話を振ったら「持ってるよ?」って話だったから、もうエルヴィン先生に借りたんだよな。

そして2人で続きを見て「いい映画だなー」と感動したんだよ。

んで、クリスマス公演の件でバタバタしているうちに、返却するのを忘れていたんだ。完全に。

だからテレビの周辺を整理していたら、もっと忘れていた事を思い出した。

エレン「あああああ?!」

ミカサ「どうしたの?」

エレン「オレ、アルミンにも借りっぱなしだった物があった!」

ミカサ「アルミン? どれ?」

エレン「ガキの頃の演劇の録画だよ。前に言っただろ? オレ、王子様を演じたって」

ミカサ「そうだった。録画があるの?」

ミカサが身を乗り出してこっちに近寄って来たんで、オレも頷いた。

951進撃の名無し:2014/09/08(月) 14:45:33 ID:SCUi3c.60
エレン「アルミンの亡くなったおじいちゃんが昔、撮っててくれていたんだ。仮面の王女の時の参考になるように見直したんだけど、借りたまま返すのすっかり忘れていたぜ」

と、そのディスクを漁っていたら、ミカサが「見たい」と言い出した。

エレン「え? 見るのか?」

ミカサ「小さい頃のエレンを見てみたい(わくわく)」

エレン「まー別にいいけどさー」

と、いう訳でミカサとは初めてそのディスクを鑑賞する事になった。

うはー。小さいオレが王子様やってるぜ! アルミン、相変わらず可愛いなあ。

と、ついついデレデレしてみていると………

あれ? ミカサの様子がおかしいな? 顔が固まっている。

そして突然泣き出して、ボロボロに泣き出して、え? 何で泣くんだよ?!

エレン「どうしたミカサ?! な、何で泣いて……」

その直後、ミカサは一度部屋を出て何かを持ってきた。

その「物」というのは、「マフラー」と「手袋」だった。

エレン「………え?」



ドクン………



見覚えがあった。大分、汚れているけど。血の跡らしきものもあるけど。

そのデザインは、オレの母さんが昔、作ってくれた物と酷似している。

ミカサ「エレン、これ、見覚えある?」

エレン「ああ……あるけど。え? 何でミカサがそれを持っているんだ?」

ミカサ「エレンがくれた。私にくれたの」

エレン「……………え?」



ドクン………



心臓が、また、跳ねた。

今、ミカサは何を言って……・

ミカサ「小さい頃のエレンの映像を見て確信した。あの時、私と母を救ってくれた少年は「エレン」よね?」

エレン「え? え? え?」

ミカサ「雪の降っていた真冬、私の命を助けてくれたあの少年は、エレンよね?!」

エレン「………………」

待ってくれ。まさか。まさか………

952進撃の名無し:2014/09/08(月) 14:46:55 ID:SCUi3c.60
ミカサ「車を奪って、襲われた男達をひき殺した。私もあの時、加勢してあいつらを殺してやった。あの時のエレンの指示がなかったら、私はここに生きていない!」

エレン「じゃあ、本当に………?」

あの時の、あの女の子は、ミカサなのか?

本当に、本当に、そうなのか?

するとミカサはひとつ強く頷いて、泣きじゃくったんだ。

ミカサ「エレンで間違いない! このマフラーと手袋がその証拠! 見覚えがあるのよね? エレンのくれたマフラーと手袋で間違いないのであれば……!」

その瞬間、オレ、もうなんか、頭の中が訳わかんなくなっちまって。

雷に打たれるような感覚、なんてもんじゃねえ。

頭の中、真っ白で、やばい。

震えて、何も言えなくて。涙が、自然と溢れてきて……。

弱弱しく、ミカサを抱き留める事しか出来なかったんだ。

ミカサ「こんなに、こんなに近くにいたなんて……!」

エレン「ああ……オレも気づかなかった。まさか、こんなに近くに……」

リヴァイ先生とハンジ先生の劇のアレの比じゃねえよな。コレ。

お互いに気づかないまま、恋愛していたそれの比じゃねえよ。コレ。

オレ達の方が酷いじゃねえか! こんなに、近くに、近くに、居たのに…。

その直後、オレ達は自然と見つめ合って、もう、何も考えられなくなった。

キスして、キスして、ミカサがオレの上に覆い被さってきて。

頭の中が焼けつくような感覚を味わいながら、オレは服を脱いで、ミカサも脱がせて。

理性が吹っ飛ぶって、こういう事を言うんだな。前戯も碌に出来ないような、激しい繋がりを求めてしまったのに。

ミカサも全く嫌がらないでオレを受け入れてくれた。きっと、痛かっただろうに。

身体を解しきれていない段階で挿入をやっちまって。

というか、もっと大事な事を、オレはこの時、忘れてしまって。

気がついたら、その………。

オレは「避妊具」を使わないまま、ミカサの中に「出して」いたんだ。

我に返って青ざめた。

オレ、何をした。

何をしでかした。

やるべき事、ちゃんとやらずに、やってしまった。

っていうか。

何だ。コレ。

ゴムが「ある」状態でのセックスと、「無し」の状態でやるのじゃ、雲泥の差があった。

まるで今までのセックスが遊びのような。疑似的というか。

「本物」のセックスの気持ち良さを知ってしまって、オレは頭の中がおかしくなりそうだった。

そうか。

リヴァイ先生が「懸念」していた事って、もしかして……。

953進撃の名無し:2014/09/08(月) 14:48:26 ID:SCUi3c.60



ミカサ「ううん……」



ミカサがまだ眠っている。横で幸せそうに眠っている。

そんなミカサを見ていたら急に罪悪感が芽生えてきた。

危険日は避けたとはいえ、その可能性がない訳じゃない。

何よりあくまであれは「予測」であって、100%回避出来る訳じゃねえんだ。

学生の内は中出しだけは絶対やっちゃいけないって思っていたのに。

オレはやらかしてしまった。本当に、クズ野郎だ……。

そしてオレはこの時、決意した。

ミカサには詰られるかもしれない。反対されるかもしれない。だけど。





エレン「オレ………ミカサと離れて暮らさないとまずいかもしれない」





そう、呟いて、其の時のオレは自分の顔を覆う事しか出来なかったのだ。










ミカサ「この長い髪を切る頃には」2へ続く。

954進撃の名無し:2014/09/08(月) 14:50:40 ID:SCUi3c.60
…………という訳で、遂にやっちまったエレンでした。
この後はミカサ視点に戻って過去回想と話の続きになる予定です。

エレンパートが長くなってしまってすみません。
ミカサパートではリヴァイ先生とハンジ先生の方はある程度省略でもいいかな?

とりあえず、続きが気になるところですがこのスレではここまでです。
残りは雑談にでも使用して下さい。ではまた次のスレでお会いしましょう。ノシ

955進撃の名無し:2014/09/09(火) 23:32:14 ID:HrZZQkC60
すごくよかった
次も頑張って

956進撃の権兵衛:2014/09/09(火) 23:52:26 ID:gWEaptxc0
いつも楽しみにしてます!

次も応援してます

957進撃の名無し:2014/09/10(水) 00:14:49 ID:Jb5ucPzI0
>>955
>>956
こちらこそいつもありがとうございます。
このシリーズも大分長くなってきたので、追いかけるのが大変かと思いますが、
ミカサのパートでまた一回、時間軸が回想するので、
復習も兼ねて次のスレは読んでやって下さい。


そして最近になってリヴァイ×ハンジの他の方の作品を読みふけり、
自分のリヴァイ像が世間とは違い過ぎて吹いたこの頃です。
ついでに言うならハンジもだけど。毛色違い過ぎて自分でびっくりした。
何か急に申し訳ない気持ちになった。本当、すみません。

でもリヴァイなら女三桁抱いていても何も疑問に思わない自分がいる(キリッ)
…………いや、捏造し過ぎて本当に申し訳ない。
ついでに言うなら潔癖症を病気レベルにしてすみません。
なんかいろいろ今頃になって謝りたい気持ちになりましたorz

958進撃の名無し:2014/09/10(水) 14:16:19 ID:x6xPWCo.0
確かにリヴァイはぶっ飛んでるがwハンジは割とリアルな三十路女子なんじゃないかな

ミカサ視点も楽しみだ
さらにエレン愛が濃く、リヴァイへの対応が厳しくなるんだろうww

959進撃の名無し:2014/09/10(水) 16:11:26 ID:Jb5ucPzI0
>>958
プレイボーイリヴァイを書き尽くしたので、次は逆に童貞リヴァイ(三十路)と処女ハンジ(20代後半)ヴァージョンもいいなと思い始めた今日この頃です。
現パロじゃなくて、進撃の原作基準で1本、いつか書けたらいいかな。

エレン愛については、アヌビス神化コスプレの時がいろいろやばかったとは思います。
ミカサ視点だと恐らくとんでもなくキラキラして見えた筈なので…。

960進撃の名無し:2014/09/14(日) 00:02:17 ID:oNJRtnoc0
ミカサ「この長い髪を切る頃には」2

はまだ?

961進撃の名無し:2014/09/14(日) 02:28:08 ID:pNhjTYuI0
>>960
もうちょっと準備に時間がかかると思います。
話が長くなってきたので、自分でも頭の中で復習しながら書き進めます。
もうちょっとお待ち下さい。

962進撃の名無し:2014/09/16(火) 01:23:30 ID:lKgQbpZ20
ミカサ「この長い髪を切る頃には」2
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1410796922/

次のスレ、立てました。
本格的な再開まではもうちょい時間かかりますが、
先にスレだけ立てました。リンクしておきます。


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