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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

101刻還り:2004/03/15(月) 23:39
「青春だな。」

二人の感じがなんともほほえましく、マードックはうんうんっと頷く。
今のキラを見ればまさに、年相応の少年である。
とても、MSに乗って戦争に出ているとは思えない。
だからこそ、それが歯がゆいものでもある。

「を、いたいた。」

声の主はフラガ。

「探したよ。」
「坊主ですか?」

フラガの言葉にマードックが反応する。
だが、フラガの探していた相手はキラではない。

「違う違う、俺が探していたのはこの子。」

と言って、フレイを指差す

「え、私ですか?」
「そっ。」

驚くフレイに、軽く応えるフラガ。
フラガはそそくさとフレイを促し、格納庫から連れ出していく。
それをキラとマードックは唖然と見ていた。



「さあ、ここだ。」

ある部屋の前に促される。
プシュッというエアー音とともにドアが開かれ、フレイは中に入る。

「ラミアス艦長、バジルール中尉。」

そして、フレイの後から入ってきたフラガ。
つまり、この場にはアークエンジェルの責任者が集まっているのだ。

「もう身体は大丈夫かしら。」

正面に座っている、マリューがフレイの体調を心配して声をかけた。

「は、はい。」
「そ、それはよかったわ。」

マリューはホッと息を吐き、ほがらかな表情を見せる。
しかし、すぐに真剣な表情へと変わり、フレイの目を見る。

「なぜ、この場に連れてこられてかわかるかしら?」

マリューの言葉に少し考え込むフレイ。
思いつくことは唯一つ。

「ストライクに勝手に乗ったためですか?」
「ええ、そうよ。」

頷くマリュー。

「とりあえず、訳を聴こうかしら。」

フレイはマリューだけでなくナタル、フラガの視線を強く感じる。
緊張のあまり震えてきそうだが、それを我慢するように俯く。
そして深呼吸をし、正面を見て胸を張って言った。

「シャトルを、キラ達を護るためです。あのままではシャトルはデゥエルに撃たれていました。」
「そうね、結果的にそうなったと言えるでしょう。」

事実、フレイが知っている通りにデゥエルはシャトルを撃とうとし、フレイはそれが視えた。
フレイは自分の行為が正しかった感じていた。

102刻還り:2004/03/15(月) 23:41
しかし、その行為は万人に対して正しいものではない。

「アルスター二等兵、君の行為がどれほど危険な行為であったとうことを理解していないようだな。」

今まで黙って見ていたナタルが口を開いた。

「えっ・・・」
「君が勝手にストライクで出撃したことによって、クルー全員の命が危機に瀕したのだ。」

ナタルの言葉を聞いて驚くフレイ。
次第に、その意味がわかってくる。
ナタルは言う。
まずは、ストライクが出撃しなくてもアークエンジェルがザフトを振り切れる可能性が十分にあったこと。
ストライクが出撃したことにより、大気圏突入のタイミングを失う可能性。
ストライクが堕とされる可能性の高さ。
そして、アークエンジェルの現状。
目的地への困難さ。

「アルスター二等兵。君の行為は重大な軍規違反だ。」

その言葉はフレイだけに言ったのではない。
最高責任権をもつマリューにも言っているのだ。
その証拠にナタルはマリューを見ている。
マリューとナタルの間に沈黙が流れる。

「銃殺刑と言いたいのかい?バジルール中尉。」

声を発したのは以外にも今まで黙っていたフラガであった。
その言葉にフレイは恐怖を思い出し、震えだす。
ナタルはフラガの質問に沈黙で答える。
沈黙は肯定。
それは世間一般の常識である。

「それはやめた方いいと思うんだよね。俺は。」
「なぜですか?ヤマト少尉ときとは違います。彼女はすでに軍人です。」

厳しい口調のナタル。

「亡くなったアルスター事務次官は結構有名な官僚だろ。そして、彼女はその娘だ。その子を軍規違反とはいえ殺したとあっては上、それに政治屋は黙っていないだろう。」
「だからといって、規律を乱すようなことはできません。」
「規律を乱すんじゃなくて緩めるってこと。ダメかな、艦長?」

突然ふられ、呆気にとられるマリュー。
だが、フラガの案はマリューにとって魅力的であり、マリュー自身もフレイの処置を重くするつもりはなかった。

「そうですね。」

と言って、マリューは表情を緩める。

「営倉に5日間。アルスター二等兵、これがあなたへの処罰です。」

それを聞いて、フラガはにこっと笑い、ナタルは苦虫を潰したような納得できない表情、フレイは張り詰めていた緊張がほぐれホッと息を吐く。
フレイは自分をかばってくれたフラガを見ると、ウインクをしていることに気付く。
まるで『よかったな』っよ言っているようだ。
フレイは、この場の3人を見て頭を下げる。

「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」

キラ以外に自分を護ってくれている存在を感じたフレイ。
その中にはナタルも入っている。
ナタルはドミニオンで唯一、自分を理解し護ってくれた恩人なのだから。
この後、ロメル・パル伍長が呼ばれフレイは彼に連れられて営倉へと連れて行かれた。

103刻還り・作者:2004/03/15(月) 23:56
久々の投下となりました。
そして、投下した後にミスに気付きました。
フラガにある役目をしてもらう予定だったのにすっかりと忘れていましたね。
別のポイントで入れなければなりません。

>>流離う
最近、すっかりギャグテイストに染まっていますね。
一時の休息の後、シリアスな展開になることが予想されますね。
さて、逃げたキラとトールは何処に行ったのかな?

>>過去の傷
壊れかけていたミリィがようやく正気を戻してよかったです。
それにしても、歌姫は過激ですね。

>>赤毛
キラの後を継ぐなんて、フレイ様すさまじいい決意です。
どうか無理なさらぬように。

>>白い
悲しい思い出を背負ってキラは生きていくのですね。
なさねばならぬことをする時でも、ほんの一時、フレイ様を思い出してください。

>>散った花
まずはお茶くみですね。
嫌な上司には雑巾の絞り汁が定番ですフレイ様。

>>キラフレ
キラがやばい奴に捕まってしまいました。
助けはいったい誰が・・・
本命がフレイ、対抗がカガリ、穴にカズィでどうでしょう。

104散った花、実る果実/作者:2004/03/16(火) 00:43
お茶汲み補完・・というわけではなく、本当にフレイ様に自主的に働いてもらおうと思ったところ、リスティアに制限されてしまったのです。
フレイ様秘書ライフがここから始まるわけですが、さてどうなることやら。
おちゃらけ番外編でも書こうかな。

>>刻還り
割り込んでしまう形になってしまってすいませんでした。
丁度同じようなタイミングで投下してしまったらしく・・・・
軍事会議ですね。周りの気持ちを汲み取れるようになってフレイ様本当に大人になってきましたね。
一生懸命なところはそのままで、うまく成長してくれたらいいなあ。

>>キラ♀フレ♂
また(腹が)黒い人が登場しましたね。しかし最低のコーディネイターって。(笑)
しかしフレイ様の観察眼はすごいですね。でもここで一発王子様のようにキラを助けに行ってあげてほしいです。

>>赤毛の虜囚
フレイ様、戦争の問題点に気づくという所ですね。
本編を考えるとこの辺で問題に気がつき自分の過ちに気がつく、という感じを受けるのですが、やはりこの近辺はテーマが重くなりますね。
それはそうと、フレイ様ご懐妊でしょうか?だったら無事出産してほしいなあ。

>>The Last War
世界の救済。それは彼等にとって、結局世界の破壊ということになってしまうのでしょうか?
キラ達は今度こそ彼等の悲しみを救ってあげることができるのでしょうか。

>>流離う
おお人事、おお人事。
アスラン、いっそのことAAに転職しましょう。今ならフレイ様のハリセン付!お得!!

105ミリアリア・あの子許せない 73:2004/03/16(火) 02:38
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 1/4
[私だけだ、そんなキラがイヤなのは]

カズイがアークエンジェルを降りた。私服に着替え、軍から支給されたバッグに
持ち出しを許された私物を詰めて、カズイは出て行った。それをサイと私、キラが見送った。
見送るキラの傍らには、なぜかカガリさんもいた。カガリさんは、カズイとはあまり話をして
いないはずだけど、やはり自分が乗っていた艦のクルーが去って行くのは寂しいのか、
悲しそうな顔つきをしていた。

「寂しくなるわね」
同時に見送っていた艦長が私達を見て言った。フラガ少佐も頷いていた。

キラは終始無言だった。見送った後も、踵を返すようにモビルスーツデッキに歩きだす。
カガリさんはキラに付き従うように、それを追って行った。キラを見るカガリさんの
横顔は陶酔するような感じが伺える。レジスタンスの時の、直情的だけど、
ピリピリと毅然とした雰囲気が見られない。クールなキラに、変わってしまったキラに
惹かれている。

フラガ少佐も、ストライクのチェックと演習のために、キラとは反対方向のデッキに
向かって行った。残ったサイと私に、艦長は言った。
「あなた達は残るの?」

「はい」
サイは速答した。その目には決意の色が伺えた。

「ミリアリアは、どうするの?」
艦長の問いに私は答えられなかった。そんな私を艦長は一人自室に招いた。
艦長は感慨深く話しかける。

「ミリアリア、ナタルもフレイさんも艦を降りて、最初からのクルーで残っている女性は、
 もう私達二人だけ。寂しくなっちゃったわね」

私は、あの子が降りて寂しいとは思わない。罪悪感は、疼くけど……
バジルール中尉も、本当に、いつも叱られていた思い出しか無い。艦長とは想いは違っている。

「ミリアリア、あなたは、どう考えているの。これからについて」
「分かりません。戦争はイヤだけど、だけど、逃げても戦争から逃れられるとは思えません。
 だったら、私はどうすればいいのか、考えても、考えても結論は出てきません」

「それなら、私も同じよ」
「艦長は、降りるつもりなんですか」

「できれば、もう、艦長なんて仕事から離れたい。今までも、私が艦長なんて思いもよらなかったから。
 頼りない艦長で、みんな、迷惑をかけて申し訳なく思っている」
「そんなことは……」

「でもね、私、降りることは考えていないわ」
「どうして?」

「こんな私でも支えてくれる人がいるから。ムウや、ブリッジのみんな。そして、キラ君……」
「キラ?」

「キラ君、オーブとの会談でも、ウズミ様との話を、私に代わって進めてくれたわ」
「キラが……」

「人って短期間で、ああも変われるものかしらね。凛々しかった」

宙を見上げるような素振りの艦長。変わってしまったキラ、私の信じられないキラを賛美する、その瞳。
艦長、カガリさん、サイ、みんなそうだ。私だけだ、そんなキラがイヤなのは。
私だけ、私だけ、みんなと違う。

「ミリアリア、あなたの働きもすごいわ。モビルスーツ管制、通信、情報整理。多分、もう、
 CICで、あなたの右に出るものは、そうはいない。強制はしないけど、もし、その気が
 あるなら、また、私を助けて欲しい」

私には、既に艦長の私に対する言葉が耳に届いていなかった。

みんな、今のキラが好きなんだ。
変わってしまったキラが好きなんだ。
昔を振り返りもしないキラが好きなんだ。
あの子が変えてしまったキラが好きなんだ。

「いや! 不潔よ」
「どうしたのミリアリア?」

「不潔だわ! キラをそんな風に思うなんて」
「ミリアリア、私、そんな意味じゃ…… ミリアリア、あなた?」

艦長が、私のことに気づいたような言葉に、私は顔が真っ赤になった。いたたまれなくなって、
私は艦長室を飛び出した。

通路を力なく歩く私には、今、頼る人がいなかった。サイさえも頼ることができない。
私は、孤独感にさいなまれた。トール、もう私にはあなたしかいないの?

106ミリアリア・あの子許せない 74:2004/03/16(火) 02:43
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 2/4
[しまったな……]

当ても無く通路を歩いていた私は、ふと気づくとディアッカのいる独房のあるドアの近くにいることに
気がついた。捕虜のディアッカに、私の悩みを解決できるはずは無い。でも、話す相手さえいない
今の私は、すがるような思いで、独房のある部屋に入って行った。おそらく、監視カメラが様子を
映しているだろうけど、オーブから宇宙への打ち上げ準備で忙しい中、特に意味も無い捕虜の
監視カメラなど誰も見ていないことは、私自身が知っていた。
私の入る物音で、ディアッカは起き出して来た。

「ミリアリア、いや、あなた様……」

変な呼び方。まだ、やってる。しまったな……。名前をすっかり覚えられてしまったと後悔する。

「ねえ、ちょっと話聞いてくれる。聞いてくれるだけでいいから」
「なんだ、その……キラってやつのことか?」

「キラとか、私のこととか」
「俺が聞いて言いのか?」

「いいから、おとなしく聞きなさい」

私は話した。キラのこと、私のこと。今の想いを。私は鉄格子の前に横向きに座り込み、
膝を抱えながらディアッカに話し込んでいた。

「キラはね、MIAから帰ってきて、変わったのよ。それまでは、あの子のせいで変わったと
 思っていたけど、あの子がいなくなっても変わったままだった」
「あの子って、いったい誰なんだ? 女?」

「あの子は、あの子よ。アンタには、それでいいの。
 キラは、戦争全体を見るようになって、立派だとか言って、みんな頼るけど、
 同時にキラはね、冷たくなった。残酷になった。秘密のためなら私でも殺すかもしれない。
 昔、あんなに優しかったのに。いつも私達と親しく話していたのに。つまらないバカ話ばかり、
 それでも、私は、そんなキラが好きだったのに」
「だがな、軍人だろ。軍に入っちゃ、そうも言ってられないだろ」

「違うわ、キラも私も戦争に巻き込まれたのよ。ヘリオポリスにアンタ達が攻めて来て、
 私達を守るためにキラはストライクで戦うしかなくて。それで、やっと逃れて、
 元の生活に戻れると思ったのに。あの子が、キラを戦争に駆り立てた。
 キラを誘惑して、貶めて。私からキラを奪って。
 ずっと戦ってばかりで、キラの心は変わっていった」
「なんで、そのキラばかりなんだよ。戦艦には、いろいろ軍人がいるんだろ」

「ストライクを動かせるのはキラだけだったもの」
「キラだけって、まさか」

「キラはコーディネータよ」
「なんだって! そうか、道理で手ごわい訳だ」

「なによ、今さら……」
「じゃあ、お前コーディネータに……」

「悪い? 私もトールもコーディネータとか、そういうの全然気にして無かったわ。
 キラはキラだもの」
「じゃ、俺のことも、そう思うのか?」

「別に、アンタのことコーディネータだからって恐がったり憎んだりしないわよ。
 ただ、下品なアンタそのものを嫌いなだけ」
「おい! だったらなんで俺なんかに?」ディアッカは、腹を立てたように、私に聞いた。

「誰も相談する人がいないの。変わったキラをみんな好きなのに、私だけイヤなの。私一人違うの。
 誰にも打ち明けられなくて。大嫌いで無関係なアンタなら話してもいいかと思って」
「チッ! 人の気も知らないで。で、何を相談したいんだって」

「私、どうしたらいいと思う。みんなキラと一緒に、このままアークエンジェルに残るわ。
 でも、私はキラが信じられない。今のキラといるのが辛い。このまま降りてオーブの
 故郷に帰った方がいいのかな。それとも、キラを信じて、このまま残ったほうがいいのかな」

ディアッカの答えは無かった。当然だ。いきなり言われて答えられるはずは無い。
でも、胸の中に隠していた想いを話すことで、私の心は少し楽になった。

「ありがとね、ディアッカ。話聞いてくれて」
「今度、いつ来る?」

「分からない。もう来ないかもしれない」
「ああ、そうか。こちらこそ、その……ありがとうな、ミリアリア。俺のこと名前で呼んでくれて」

その言葉を聞いて、私は、しまったと思った。油断してた。

「調子に乗るんじゃないわよ。アンタなんか大嫌いなんだから」

私は背を向けて独房を出て言った。なぜか、最後の切なそうなディアッカの顔がしばらく頭の中に残っていた。

107ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/16(火) 02:49
ミリィSS新章です。TV本編だと、話は無くともディアッカへの差し入れが続いていましたが、
本SSでは、話をしたい時に来るだけです。そう言えば、TV本編ではキラがコーディネータなのを、
話すシーンも無かったですが、こっちでは、後の繋がりもあって入れています。

今日は投下多いですね。読むのが大変ですが、盛況で嬉しいです。
>>キラ(♀)×フレイ(♂)
マイケル君の、ちょっと悲惨な過去に同情したりもしたんですが、その後の行動に幻滅。
フレイ(♂)様、こういう小悪党は、遠慮無くのしてやってください。

>>流離う翼たち
アスラン大変そう。中間管理職の悲哀ですね。クルーゼは、現在、どの時分かは分かりませんが、
TV本編で、鍵を見つけたうんぬん言っているころだと、話を聞く人はさぞ胃が痛くなったろうと思います。
イザーク、よく無事でしたね。

>>過去の傷
マユラいきなり復活してキラ誘惑しまくりですね。キラは自分の心をフレイ様に読ませて、フリーダムの
操縦を教えるつもりみたいですけど、誘惑かけられているのまで分かってしまって、変な考えもできず大変そう。
ミリィは、ラクスのおかげで、やっと復活できそうですか?

>>刻還り
フレイ様、やっとキラと話せましたが、思いとどかずでしょうか。その後営倉入りで、また話せなくなるようですが、
少しですからガンバレ、フレイ様。

>>白い羽
いい作品ですね。握り締めるリップスティックに込められた想いが切なかったです。

>>散った花、実る果実
フレイ様、仕事始めましたか。前向きになってきましたね。お茶汲み仕事、なんか、A.A. のころよりも
後退している気もしないでもないですが、これで、クルーゼに水持ってきたり、紅茶持ってきたりする、
あのシーンが拝める訳ですね。

108私の想いが名無しを守るわ:2004/03/16(火) 03:41
>>ミリアリア
ディアミリの描写が面白いです、この小説のミリィは憎みきれない。
可愛いとすら思うな。ディアッカもイイヤツ。
キラに反感を持っている人間は必要だったよなぁ。補完させてもらってます。

>>刻
フレイ様…ガンガレw

109流離う翼たち・435:2004/03/16(火) 21:53
「あら、どうしたの劾?」
「いや、急に鼻がむずむずしてな」
「風邪でもひいたんじゃないのか。健康管理がなってない証拠だ」
「イライジャ、言い過ぎよ」

 ロレッタに窘められてイライジャは不満そうに顔を逸らせた。3人が居るのはマドラス基地の本部で、色々と溜まった事務書類を提出しに来ているのだ。

「ふう、傭兵家業も楽ではない」
「仕方ないでしょ。今は大西洋連邦に雇われてるんだから」
「金払いが良いから文句言えないしな。何しろうちは貧乏だ」
「くっ、ブルーフレームは高く付きすぎる。やはり実弾は止めてビーム主体に変えるべきだろうか。それともロウのように剣一本で頑張るか?」

 言った瞬間、劾は2人に張り倒された。

「劾、装甲の修理代幾らすると思ってるの。前の戦闘なんかメインフレームにまで及んで、家の台所は火の車なのよ」
「レッドフレームは格闘戦使用だろうが。あんた、家を破産させる気か?」
「す、すまん・・・・・・」

 2人に言われて劾は仕方なく謝った。
 傭兵の契約というものにも色々あるが、劾が請けている仕事はMSを擁する傭兵部隊としては普通の仕事である。まず契約期間に応じた基本手当てを渡され、戦闘1回ごとに戦闘手当てを受け取る。敵1機ごとに追加ボーナスを得る。敵機を捕獲したりすれば更にボーナスを出す。
 その代わり、武器弾薬や食料、推進剤、装甲板といった消耗品は全て自弁となる。大西洋連邦から買うわけだ。お情けで調達価格は正規軍の調達価格と同じにしてもらっているのだが、これでもかなり苦しい。サーペントテイルの台所は年中火の車なのである。
 そんな事を話していると、アナウンスがロレッタを呼び出した。

『サーペントテイルのロレッタ・アジャーさん。事務処理が出来ました。13番窓口までお越しください』
「あら、終わったみたいね。劾、次で敵MSをせめて3機は落としてくれないと、本当に大赤字になるからね」
「・・・・・・努力する」

 地球圏屈指の傭兵部隊、サーペントテイルといえど、大赤字は怖いらしかった。ついでに言うと、通帳片手に青筋浮かべるロレッタさんもかなり怖かった。イライジャさんといえば、情報誌を片手に簡単にできるアルバイトなどを探している。もしかしたら隊員の給料さえ支払いが滞っているのかもしれない。

110流離う翼たち・作者:2004/03/16(火) 22:01
>> 過去の傷
キラ、ご愁傷様です。君はやはり不幸の星に好かれているのでしょう
とりあえず、フリーダムが動くかどうかに注目

>> 刻還り
とりあえず、している知識を使うと回りが訝しがる。逆行の定番ですねw
キラはとりあえず余裕ありそうなので、ヘリオ組も壊れないかな。でも黒サイの動きが気になる

>> 散った花、実る果実
頑張れフレイ様、お茶汲みも立派な仕事だ。仕事に貴賎は無いぞ
とりあえずクルーゼのお茶に変な物質を混ぜるのを推奨w

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィガンバですが、卑屈なディアッカが笑えるのは何故w
何となく愚痴のはけ口にされてるディアッカが哀れですが、それもAAヒエラルキーの最下層に位置するが故ですかな

111過去の傷・82:2004/03/16(火) 22:23
<フレイ、バラエ−ナ・プラズマ収束ビ−ム砲は使わないで、威力が高すぎるから、危険だよ、いいね?>
「分かったわ・・・さあ・・・いくわよ、カガリ!貴女はすごく可愛いし大好きで親友だけど・・・容赦はしないわ!」
「私もだ!」
(あのフレイさん援護しましょうか?)
(ティファ・・・ありがとう・・・でもいいわ、私一人で戦いたいの・・・それにカガリだって一人なんだし卑怯な真似は出来ないわ・・・それからこれは私自信の戦いだから・・・ア−クエンジェルの頃は皆が戦ってるのに私何も見ようとしなかった・・・私いたのに!・・・私いつも戦いが始まったらキラの部屋のベッドの中にいつもこもってた・・・キラを・・・皆を見ようとしなかった・・・キラや皆は命かけて戦ってたのに!・・・もう後悔したくないの逃げたりしたくないの・・・もう同じ過ちは繰り返したくないから・・・)
(・・・分かりました、私は見守ってます、頑張ってください)
(ありがとう・・・さあ行くわよ)
フリ−ダムはルプス・ビ−ムライフルをストライク・ル−ジュへ放つ・・・しかし、あまりにも正面で狙いが分かりやすいのか、それを回避される。
「お前射撃下手だな!」(というより馬鹿か?)
「うっさいわね!」
(フレイさん、二ュ−タイプの能力を使ってください、せっかくフレイさんには素質があるんですから、無駄にしちゃだめですよ)
(そ、そうよね・・・ありがとう)
ル−ジュからビ−ムライフルが放たれた・・・。
「は!この感じ・・・正面・・・来るわ!」
回避する。
(いいです、その感じですフレイさん)
「あはは!カガリ♪その程度でどうするつもりなのかしら?」
<当たっても大丈夫だよ、フレイ・・・フェイズシフト装甲とNジャマ−キャンセラ−が防いでくれるから>
「そう、つまりはバリアね、これで思う存分戦えるわ!」
(そうだったな、そういえばル−ジュにもたしか)
ル−ジュが接近してきた。
(こうなったら接近戦だ、素人に負けられるか!)

「キラさん♪せっかくブリッジは二人きりなんだし、楽しみましょうね♪」
「え?・・・いや・・・その」
「デ−ト楽しもうね♪キラさん可愛い♪アサギやジュリともキラさん可愛いって言ってたんですよ、私、キラさんタイプ♪キラさんの彼女に立候補しちゃいま〜す!」
「・・・・・・」
「あ!アスランさん!」
「え・・・?アスラン?」
「どうだ?様子は、お前の大好きなフレイ・アルスタ−は」

(な!こいつほんとに素人か!?強い・・・)
ル−ジュがビ−ムを放つが簡単に回避する。
(私だってやればできるんだから、バリアはエネルギ−を消費するみたいだし、回避よ回避!そして・・・反撃よ!反撃!)
フリ−ダムの放ったクスィフィアス・レ−ル砲がル−ジュに直撃した。

「キラ・・・彼女は一体!?ほんとにナチュラルなのか?コ−ディネイタ−に見えるぞ」
「それよりすごいかもね・・・」(フリ−ダムの操縦が出来るなんて・・・あれで空を飛んだら・・・)
「どういうことだ?」
「彼女は・・・フレイは二ュ−タイプなんだ・・・」
「なんだと!?」(そんな馬鹿な)
「僕にもまだ信じられないよ、実は朝フリ−ダムの操縦の基本について少し教えただけなんだけどね・・・」
「お前、カミ−ユ・ビダンって知ってるよな?実は・・・イザ−クがひそかにカミ−ユのファンなんだと」(ザフトのある時期は俺とイザ−クとミゲルの三人で機動戦士Zガンダムよく見てたなあ・・・あの時だけはイザ−クとは意見合ったんだよな)
「それより、アスラン!カガリが危ない・・・翻弄されてる、そろそろ止めるね、休憩にさせるよ」
(これも二ュ−タイプの力か・・・?なるほど・・・)
「そうか、なら俺は戻る」
アスランは出て行った。
<フレイ、カガリ休憩だよ!>
機体が停止したのを確認するとキラは安心したようにほっと胸を撫で下ろした。
「あの・・・次・・・私、MIアストレイでカガリ様の援護します」
マユラが言った。
「え?・・・別に構わないけど」(それもいいかもね)
「ほんと!?やった!キラさん大好きです」
マユラはキラに抱きついたのだった。

112過去の傷・作者:2004/03/16(火) 22:36
>>刻
フレイ様頑張ってくださいね。
私のサイのことが気になりますね、なにもなければいいんですけど。
>>散った花 実る果実
いいなあ、フレイ様が必死に頑張り努力している姿を見ると、さあ頑張ってください。
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、頑張って。
でもディアッカも可哀相に見えるけど、これも仕方ないですね。
ミリィにはト−ルが・・・。
>>翼たち
ロレッタさん大変ですね。
でも、皆がいれば大丈夫ですよ。
なにげにこの三人合ってるし。

113刻還り:2004/03/16(火) 23:32
フレイが営倉に入れられたことは艦内にすぐに伝わった。
その理由もである。
もっとも、一部を除いたアークエンジェルのクルーはフレイに対して何らかの処罰が下ることは十中八九予想していた。

「フラガ少佐。」

歩いているフラガにキラ、トール、ミリアリアが寄ってきた。
現在、サイとカズイはブリッジに勤務中である。

「ん、どうした?」
「どうしてフレイが処罰されないといけないんですか。」
「そうですよ。フレイは俺達を助けるためにストライクを。」

ずいっと前に出てキラとトールが詰め寄る。
あまりの喧騒にフラガは腰を引く。

「お、おい、落ち着けよ。」

馬をなだめるように二人を落ち着かせようとする。

「しょうがないじゃないか、あの子は勝手にストライクを発進させたんだぞ。」
「僕もしました。」

フラガの言葉に反論するキラ。
しかし、フラガは諭すように話す。

「お前の時とは立場が違うんだ。彼女はすでに軍人だったんだよ。無罪放免ってわけにもいかないのさ。」
「でも・・・」

尚も食い下がろうとするキラ。

「これでも軽い方だぞ。普通なら銃殺刑でもおかしくないんだからな。」

軽い言葉で話すフラガ。
しかし、聞いているほうには重く圧し掛かる。

「銃殺刑・・・」

キラはあの時のことを思い出す。
自分がラクスを連れて飛び出した後、マリューに言い渡された言葉と同じ。
しかし、自分は無罪放免、フレイは処罰を与えられた。
一般市民と軍人の差があるとはいえ納得できない。

「営倉なんて少しばかり窮屈な暮らしになるだけだよ。心配ないさ。」

フラガはキラ達の心配を振り払うかのように笑いながら言う。

「あの〜、具体的にどういう暮らしになるんですか?」

ミリアリアが控えめに質問をする。

「ここの場合だと、トイレ以外は営倉の中だな。」
「え、シャワーも浴びれないんですか?」
「ああ、そうだよ。」
「そんな〜・・・。」

可哀想にという気持ちが一杯につまってるような声だ。

「どうしたんだ?」
「フレイはヘリオポリスにいた頃は一日に二回、お風呂に入っていたみたいなんです。」
「・・・そいつはきついかもな。」

呆れたような声をだすフラガ。
ミリアリアの心配事も三人の男にはわからない。
女の子は綺麗好きなのだ。
同時刻、フレイがくしゃみをしたということは知られていない。

114刻還り・作者:2004/03/16(火) 23:44
さて、次回はみなさんが楽しみにしているアレの予定です。
彼が動くのです。
上手く描写できるかな〜w

>>流離う
ザフトよりサーペントテールにこそおー人事、おー人事ですw

>>過去の傷
精神での会話とはいえ、何気に余裕ありますな、フレイ様w
PS装甲は実弾を無効にするだけだから、ビームはやばくない?

115ミリアリア・あの子許せない 75:2004/03/17(水) 08:08
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 3/4
[ミリアリアにね、不潔って言われちゃった]

私は、ディアッカのいる独房を出た。喋りすぎで喉がカラカラでたまらなかった。
食堂にジュースを飲みに行こうと思うけど、一般用の食堂までは遠い。
仕官用食堂は、すぐ近くにあった。一応、一般兵と仕官の食堂や休憩施設は別れてはいる。
二等兵の私は、みだりに入ってはいけない規則になっている。でも、ほとんど仕官のいない
アークエンジェルでは仕官用食堂は使われていないに等しかった。ノイマン少尉は、曹長から
形ばかりの昇級をした後でも一般用食堂へ顔を出している。艦長達は、自室に食事を運んで
もらうことが多かった。

ドアを開けて覗いてみると、やはり仕官用食堂は誰もいなかった。いけないと思いつつ入って、
自販機のジュースで喉を潤す。そのとき、話しながら食堂に近づいてくる声がした。私は思わず
厨房の影に隠れる。ストローから飲みかけのジュースが口の中に残っている。

仕官用食堂に入ってきたのは声からすると艦長とフラガ少佐だった。ドアが閉まる音がする。

「私、ミリアリアにね、不潔って言われちゃった」
「また、どうしてなんだ」

「キラ君に欲情しているように見えたらしいわ、私」
「おい、マリュー、お前、年下の趣味があるのか」

「まさか。私は叔父さん趣味よ。年上好き」
「ちぇ、それも手厳しいな」

「でも、ミリアリアに、そんな風に見えていたなんてショックだわ」
「ミリアリア嬢ちゃんは、ちょっと潔癖症なところがあるからな」

フラガ少佐の、私の認識、全然違う。私って、そんな風にまわりから見えているの?

「言われてみれば思い当たる節あるもの。私、キラ君に頼りすぎていたかも」
「キラのやつも成長したからな。まあ、相変わらず無理してるところもあるけどな」

「そうね。フレイさんがいてくれたらキラ君も、もう少し気が楽にできたのに」
「しかた無いな。今、考えるとアラスカでの転属は残酷だったな」

「ムウも、フレイさんを一緒に連れてきてくれれば良かったのに」
「戻ってきたのは成り行きでな。正直、そこまで気が回らなかった。面目無い」

「仕方ないわね。そう言えば、ムウは、なぜ最初に転属待ちの艦から戻ったの? アラスカの時。
 そりゃ、サイクロプスのことを知った後は、分からないでもないけど」
「おい、今さら、そんなことを聞かれるとは思わなかったよ」

「んっ!」

艦長とフラガ少佐がキスをする気配がした。そうだろうと分かっていたことだけど、
自分のすぐ近くでしていることで、私は緊張した。飲みかけのジュースを
飲み込むこともできずに、息を潜めた。

「あ、もう…… 私、モビルアーマー乗りは嫌いなの……」
「また、そんなことを。心配すんなよ。俺、今、モビルスーツ乗りだから。ルーキーだけど」

「あっ、あっ ……」

私は、頭の中が真っ白になっていた。身動き一つできず、呼吸さえ停まったかのようになっていた。

「あっ、うくっ …… ちょっと駄目、ムウ。私、今日、まだピル飲んでないの。後で……」
「ん、そうしますか」

艦長とフラガ少佐が出て行く物音がした。私は、急いで仕官用食堂を出て、
自分の部屋に戻った。ベッドに横になった。落ち着かなかった。
声と音だけとは言え、大人の本物の色事を聞いて、私の体は熱くなっていた。
しばらくぶりに、自分で自分を慰めていた。あの子が私と同室のころ、
あの子がキラの部屋に行くたびに、そのことを想像して、嫉妬に狂いながら
していたこと。また、その時と同じことをしていた。

私の頭の中ではいくつもイメージが渦巻いていた。

艦長とフラガ少佐の抱き合うシーン。
そのイメージに重なるサイ。私を抱きしめてキスをするサイは、いつのまにか裸で……
愛撫する手はいつしか別人に変わる。私を躊躇いがちに触るトールに。
そして…… 私の息が荒くなる。
シャワー室で、がっしりした背中に、私は裸の体を押しつける。キラ! 振り向いたキラの顔は、
昔のままの優しい微笑みで……

息を整えながら、徐々に戻ってきた意識で、私は呟いた。

「艦長って違ってたんだ。私の方が不潔だったんだ」

116ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/17(水) 08:11
一応、これで2章くらいから、ずっと引っ張ってたマリューさんのキラ疑惑は決着です。
でも、これでミリィの頭の中がモード変換されていて……

>>流離う翼たち
ついに、外伝キャラまで出てしまいましたか。それにしても、アスランといい、戦争中にも
関らず、小市民的な愚痴の言い合いでおかしくなります。

>>過去の傷
フレイ様、まさにゲーム感覚ですね。なんか強そう。次はカガリ・マユラとの二対一、ガンバレ。
ところで、イザークとアスラン、ミゲル先輩が、カミーユのファンとは…… この三人が仲良く
TVアニメを見ているシーンは、スーツCDの雰囲気だと想像付きませんでした。

>>刻還り
フレイ様、シャワー浴びられないのは辛いでしょう。けど、我慢我慢。ミリィ、フォローしてあげてね。

117流離う翼たち・436:2004/03/17(水) 20:49
 手続きを終えて出てきた3人の前に、無人タクシーから降りてきた奇妙な3人組が現れた。2人は連合の見習い兵士の制服を着ているが、1人はくたびれた野戦服を着ている。傭兵か何かだろうか。

「でも良いの、私たちまで付いてきて?」
「別に構わないわよ。食堂でお昼でも食べて待ってて。支払いは私がするから」
「おお、太っ腹だな」
「・・・・・・なんか複雑な表現ね。私が太ったみたいじゃない、カガリ」
「でも良いのフレイ、あなたそんなにお小遣いあったっけ?」
「准尉になってから給料が二ヵ月分くらい溜まってるからね。二等兵と准尉じゃ給料がかなり違うのよ。だから2人がお茶してるくらいの払いはなんとも無いわ」
「そういや、軍隊ってのは給料に随分差があったな」
「そうなのよねえ。まあ、懐が暖かいのは良いことだけど」

 何やら3人で許し難い事を話している。ロレッタの額に浮かぶ青筋が増え、イライジャが拳を握り締め、劾の肩がピクピク震えている。そして、怒りから出た行動は、実に大人気ないものであった。
 わざととしか思えないが、ぶつかった相手に劾が文句を付けた。

「周りを見て歩け、坊主」
「・・・・・・ぼ、坊主?」

 カガリの顔がいきなり険しくなる。何やら腰が微妙に下がり、喧嘩の態勢を取る。

「お前、そっちからぶつかっておいて、何いちゃもん付けてやがる!」
「はっ、威勢だけは一人前だな、坊主」

 睨み合う劾とカガリ。それを面白そうに見るイライジャとどうしようかと考えているロレッタ。だが、カガリの方はフレイがその手を取った。

「カガリ、関わらない方が良いわよ」
「フレイ、これは私のプライドの問題だ!」
「カガリ? 女みたいな名前だな」

 馬鹿にするような劾の言葉がカガリの堪忍袋を締めていた細い糸を一瞬でぶちきった。頭の中で何かが弾けるイメージが浮かび、誰の目にも留まらぬ速さで右足が振り上げられる。

「私は、女だあぁぁ―――――!!」
「はぉうぁ!!」

 振り上げられた右足が見事に劾の股間にクリーンヒットし、何とも言えない悲痛な声を上げる。そのまま股間を押さえてその場に蹲り、脂汗を流しながらピクピクと痙攣している劾を、カガリは何とも晴れ晴れとした笑顔で見下ろしていた。

118流離う翼たち・作者:2004/03/17(水) 21:04
まあ、元ネタはZの序盤を見てくださいw
ヒントは声優

>> 過去の傷
フレイ様、まさか自由を動かすとは。何時からそんなに頑丈な身体にw?
鬼の居ぬ間にとばかりに迫るマユラたんが強い

>> 刻還り
さあ、頑張れフレイ様。でも営倉入り。
次回は遂に彼が暴走!? でも、その前に虎と会うのかな

>> ミリアリア・あの子許せない
頑張れミリィ、世の中少しは汚くないとやってられないぞ
大人組みは濃厚に行ってますなあw

サーペントテイルは何故か貧乏w まあ、裕福な傭兵なんて滅多に居ないんですが
実際に戦争帰りの人の手記を読んでも、兵士は漫画みたいに落ち込んだり理想持ったりなんてしてませんよ
国に帰ったら何するかとか、前向きに考えるようにしてたみたいです
というか、後ろ向きな人は直ぐに死ぬか、戦争神経症にかかって病院送りになるそうです

119過去の傷・83:2004/03/17(水) 21:41
「ちょっと・・・あの・・・」
「照れた顔のキラさんも可愛い、こんな彼氏欲しいなあ、アタックしてもいいですか?キラさん、貴方に惚れました、この想いずっと伝えたかったんですよ、年齢的にも近いし、私と付き合いませんか?いつでも私待ってますから、いい返事くださいね♪」
マユラは去って行った。
「・・・・・・」
仕方なくキラはマユラの後を追った。

「カガリ様〜」
「な!マユラ!?・・・はあ、疲れた」
「どうしたんですか?でももう完敗でしたね、カガリ様弱い〜だって手も足も出なかったじゃないですか」
「うるさいな、お前そうはっきり言うなよな!もうちょっと遠慮というかだな・・・」
「だってそうだもん、あ!キラさん♪」
「や、やあ・・・それよりカガリ大丈夫?」
「あ、ああ・・・あいつ強いぞ・・・」
「・・・・・・」(カガリでは苦しいかな)
「ところでキラさん彼女いるんですか?私いまフリ−ですよ」
カガリが、目を閉じると言う。
「マユラこいつには手を出すな、彼女?いるぞ・・・超美人の彼女がな、まずお前じゃ勝てない」
そう、キラにはいまもうちゃんとした彼女がいるのだ、キラにとっては心のオアシスでもある存在だ、ずっとゼミの頃から気になっていた・・・憧れていた女の子、そうア−クエンジェルの頃の関係は微妙な関係だったが今はもう胸を張って恋人同士と言える。
「ええ!?そうなんですか〜そんなに綺麗な人なんですか?私でも勝てないなんて・・・」
「ほらあの翼の白い機体を見ておけ、いまから出てくる」
フリ−ダムから赤い髪の女の子が出てくる、こうして今一度見てみるとほんとに可愛い。
「キラ・・・私・・・疲れた・・・」
「フレイ、お疲れ様」
「この人がキラさんの彼女ですか?まあ綺麗ではありますけど・・・」
「だろ?・・・フレイ・・・お前才能ありすぎるぞ」
マユラがとんでもないことを言い出す。
「でも別れちゃったらいいじゃないですか〜キラさん♪・・・この人に飽きたらいつでも私と・・・」
「え!?いやその・・・」
フレイがだんだんと顔が険しくなりマユラを睨み付ける。
フレイが口を開きかけたときだった。
「ああ、もう喧嘩はやめろよ!よしキラもう休憩はいいからまた実戦練習だ!」
「うん、そうしよう」
「次は私も出撃します、カガリ様援護しますよ」
「そうか!助かる!」
「・・・・・・」(まあどうせザコでしょ、だいたいマユラとかいう女一体なんなのよ、私のキラになれなれしくするなんて・・・まあ丁度いいわ、思う存分痛めつけてあげる・・・)

<よしじゃあ機体も出撃したところで・・・練習開始!>
「さあ、あんたたちいつでも来なさい、私がモビルス−ツ戦の厳しさを教えてあげるわ!」(キラが・・・好きな人が見てくれてるもの・・・とても恥ずかしい姿なんか見せられないわ)

120過去の傷・作者:2004/03/17(水) 21:55
>>刻
フレイ様可哀相です、でも仕方ありませんかね。
そして彼が暴走ですか、どんな騒動を巻き起こす?
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィの心理が面白いです、どうやってこれから突き進んでいるんでしょうか?マリュ−さんとフラガさんのやりとりを見た後ミリィがどういうふうに変わっていくのか楽しみです。
>>翼たち
ああ、衝突していまいましたか、カミ−ユもカガリも短気な性格ですからね、でも間違えたほうが悪いですね。
次が気になります。

121ミリアリア・あの子許せない 76:2004/03/18(木) 03:08
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 4/4
[なんで私を奪ってくれないの?]

「んっ! んん……」

ここは私の四人部屋。実質は、私の個室。私は、サイにキスをしている。本物のキスを……
ゆっくり付き合いたいと思っていたサイ。それを、今日は私から誘っている。
昨日のことが、私の頭の中にある。

──「あ、もう…… 私、モビルアーマー乗りは嫌いなの……」
──「あっ、うくっ …… ちょっと駄目、ムウ」

艦長とフラガ少佐の声と音の記憶が、私を熱くさせている。

私達は、互いに声を呼び合う。サイの手が、私の腰にかかっている。
私の息が荒くなる。私はサイに体をピッタリくっつける。そして、じっと感触を確かめる。
だけど、私の心の中には別のイメージが渦巻いている。昨日、私に蘇っていた、いやらしい妄想……

シャワー室で、キラのがっしりした背中に、私は裸の体を押しつける。私の体が直接キラに
触れている。私の体すべてがキラに触れられている。柔らかい膨らみもすべて……

押しつけた体に、サイが少し戸惑って離すようにする。

「ミリアリア、これぐらいにしよう。これ以上すると俺……」
「サイ、どうして……」

「ミリアリア、ゆっくり付き合いたいって言ってたことあるよね」
「いいのよ別に」

「ミリアリア、今日は、どうしたんだい」
「どうもしない」

サイは、私から完全に離れると壁にもたれるようにして言った。

「俺、フレイのこと、完全に吹っ切れたと思ってる」
「そう」

「だけど、ちょっと違うんだ、フレイとのこと。フレイは俺達とは違うみたいなんだ」
「生まれのこと? 結構、いいとこの出身だし、でも、それだったらサイだって」

「そういう意味じゃないんだ。俺の親父が言ってた。オーブで会った時」
「そう言えば、前のオーブでの面会から、サイのフレイを見る目、変わった気がする」

「フレイの親父さんが亡くなって、婚約が事実上解消になって、親父も、お袋も良かったって言ってた。
 フレイは、自分は地球生まれだって言ってたけど、本当はコロニーで生まれたんだって。
 L4コロニー郡。あのバイオハザードがあった」
「それって……」

L4コロニー郡、コーディネータや遺伝子研究のメッカ。そして、何回かバイオハザードがあり、
数年前にもコロニー自体が廃棄された事件があった。そのためか、ここで生まれた人はナチュラルでも、
少し引いた目で見られる。偏見だとは分かっているのだけど。

「それにさ、信じられるかい? フレイってさ、…… いや、そんなことなんて……」
「?……」

サイは、嫌な考えを追い払うように激しく首を振った。

「…… とにかく、違うんだよフレイは。親父は、あんな娘と縁が切れて良かったって言ってた。
 それから、俺はフレイを、まともに見れなくなった。あんなに一緒だったのに。
 フレイに触れるのさえ、恐ろしくなって」
「サイ……」

サイは、まだ、あの子のことを何か隠しているような気がした。でも、私は、あえて詮索しようとはしなかった。

「だから、ミリアリアと、急に、こうしてても不安になる。もう少しお互いを分かり合いたい」
「そんなこと無いわよ。私、そんなこと無いから」

私は慌てて否定する。心を見透かされるのを恐れるように……
サイは話題を変えた。

「ミリアリアは決めたかい。アークエンジェルに残ること」
「サイは私に残って欲しいの?」

「いや、そんなこと言えないよ。君が決めなきゃ」
「サイが決めてくれたら、私も残る……」

「カズイみたいなことを言うなよ。みんな違うんだ。自分で決めなきゃ」
「違う?……」

「みんな、違うんだ。それぞれ理由はみんな違う。でも、それでいいんだよ。
 人の意見なんて当てにならないよ」
「サイはどうなの?」

「俺は、できることがある。確かにキラに比べたら大したことないけど、キラは、
 俺にしかできないことがあると言ってくれたから。俺はアイツを信じる」
「違う……」

「どうしたミリアリア?」
「ううん、何でも無いの」

「行くよ、ミリアリア。また今度」
「うん、また今度、サイ」

サイは、私の部屋を出て行った。やっぱり、私はサイと違う。キラを信じられない。
艦長も、キラを信じてる。私の誤解は解けたけど、キラを信じていることは変わりない。

違う。やっぱり違う。私だけ違う。私だけ……

私は、ベッドに横になった。

サイ、なんで私に一緒に残れって言ってくれないの。なんで私を奪ってくれないの?
やっぱり違うから? 私が不潔だから? 私がキラからリタイヤしたいだけだから?
サイの体を通して、私の幻想のキラを見ているから?

122ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/18(木) 03:10
今回の章は終わりです。サイのフレイの秘密の件、結局引っ張ってます。次はTV46話の後あたりか?
続いて、次章に移ります。ここがミリィSS第二部前半の山場の予定です。

>>流離う翼たち
そうですか、あの汚名挽回する人と中の人が……
私は中の人つながりに関する知識は疎いんですが、好きなキャラだとレイズナーのエイジなんかもやってますね。
あの主人公の名前のコンプレックスと、カガリの名台詞とのマッチは見事でした。

>>過去の傷
マユラとフレイの火花激突寸前、カガリがなだめ役に回って回避しましたね。小説のオーブ編でも、こんな感じの
シーンありました。キラも何とか言って欲しいですが、まあ無理なんでしょうね。

123流離う翼たち・437:2004/03/18(木) 20:47
「ふん、失礼な事を言った報いだな」
「あ、あの、カガリ、これはちょっと酷いんじゃあ?」

 フレイがおずおずと話しかけるが、カガリは実に気持ちよさそうである。そして、遅ればせながらキラとトールもやってきた。

「あれ、何してるの3人とも?」
「そこで蹲ってる人はどうした?」

 不思議そうに問い掛けてくる2人にミリアリアが簡単に事情を説明し、それを聞いた2人は心底同情した眼差しで劾を見やる。これは男にしか分からぬこの世の地獄なのだ。

「しかし、中々復活しないわね。キラの時はもっと早く復活したんだけど」
「何のこと、フレイ?」

 妙な事を口走ったフレイにミリアリアが問いかける。フレイは言ってから自分が何を口走ったのか気付き、慌てて誤魔化しにかかった。

「な、なんでもないわよ、気にしないで」
「・・・・・・何があったのよ、フレイ?」

 ずいっと顔を寄せてくるミリアリアに、フレイは渋々ポツリと白状した。

「その、キラって結構乱暴な所があるから、つい嫌がって暴れたんだけど、その時に膝が、ね」

 肝心な所はぼかしているが、何が言いたいのかはよく分かってしまったミリアリアとカガリは、揃ってポンとフレイの肩を叩いた。

「まあ、その話の続きは家に帰ってからゆっくりと聞かせてもらいましょう」
「そうだな、後学のためにも夕食後にじっくりな」
「え、ええと、言わなくちゃ駄目?」
「「駄目」」

 きっぱりと言い切る2人の目は微妙に熱を帯びており、フレイは引き攣りまくった顔で頷くしか出来なかった。そしてキラはというと、こちらは汗をかきながら視線を泳がせており、ポンと置かれたトールの手にビクリと反応した。

「ま、若さゆえの過ちって奴だな、キラ」
「アハハハハ、ナニヲイッテルンダイとーる、ボクガふれいニヒドイコトスルワケナイジャナイカ」

 無茶苦茶怪しい返事だった。

124流離う翼たち・作者:2004/03/18(木) 20:57
>> 過去の傷
マユラのM1参戦。カガリのバックアップは出来るのか?
でもフレイ様、素人がプロを雑魚呼ばわりしちゃいけません

>> ミリアリア・あの子許せない
何故かサイが現実から逃げた脇キャラの台詞を言っている。ミリィはどうする?
しかし、結局サイに出来ることは何? という命題が語られる事は無かったなあ
あの時が彼の最後の出番だった。もう台詞も無かった・・・・・・

125過去の傷・84:2004/03/18(木) 22:26
「きゃああ!」
「カガリ様大丈夫ですか!?」

フレイが断然優勢だった。
ル−ジュが放つビ−ムライフルをフリ−ダムが余裕で回避し、ルプス・ビ−ムライフルがシ−ルドでダメ−ジを半減させられながらも攻撃を与え相手を少しずつだが損傷していく。
「カガリ様ビ−ムで援護します、突撃してください」
「わ、分かった!」
ル−ジュがビ−ルサ−ベルを構えると突進してきた。
「・・・・・・」(なるほど・・・でもこういう場合は元を狙えばいいんじゃないかしら?)
「飛行した!?マユラ!気をつけろ!」
「や、やば!」

飛行したフリ−ダム、アストレイをビ−ムサ−ベルで攻撃する、あわててシ−ルドを構えるアストレイ。
「いくわよ!」
「あ、あああ!きゃああ!」(な、なんとか・・・)
「この!」
「あはは!きゃはは・・・!!!」
フレイがなにかを感じとったように飛行する。
で、ル−ジュとアストレイが同士討ちになりそうな格好になる。
「カガリ様来ないで〜!」
「マユラ避けろ!」
上空を飛んでいたフリ−ダムは・・・。
(おバカさんね・・・)
衝突しそうになっている二機に構えるとクスィフィアス・レ−ル砲を発射した。

「圧倒的だな・・・ニュ−タイプか・・・」
「キラ・・・あの・・・」
「あ、ミリィ」
「ここにいたのね」
「何か用?それより少し落ち着いたみたいだね」
「ええ、ねえキラは優しいね」
「え?あ、いや」
「ト−ルを今だけ忘れさせて・・・」
ミリアリアはキラに歩み寄りキラの肩に両手をかけると衝突してしまった、といっても唇と唇が衝突しているだけなので、これは別の言い方をするべきかもしれない。

「マユラ大丈夫か!?」
「は、はいアストレイの損傷率は40パ−セントです!」
「くそ!フレイ!・・・このままやられてたまるか!」(なんであんな素人に!)
そんなときカガリの頭の中で何かが・・・種がはじけた気がした。
「カガリ様?」
「・・・・・・」(・・・・・・)
カガリのSEEDが発動した瞬間だった。

126過去の傷・作者:2004/03/18(木) 22:32
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ積極的で、サイは少し戸惑ってますね、これからのミリィの行動は?ミリィはサイを好きになりそうな感じでキラを忘れようとしているんでしょうか?
>>翼たち
なんか怪しい展開に?問い詰められるフレイ様・・・これもいいなあ、で?どういうふうに説明するんでしょうか?

127ミリアリア・あの子許せない 77:2004/03/19(金) 05:03
第2部 6. 私はキラの特別…… 1/7
[ありがとね、そして、さよならディアッカ]

その後もポツポツとアークエンジェルを降りる人がいた。ヘリオポリスからアークエンジェル
開発中のまま乗り込んだ技術者。連合のやり方に失望し、オーブに亡命を希望する人。
ユーラシア連邦や赤道連合でも、大西洋連邦の暴走で、やや反戦派の動きがあり、
それらとオーブの非公式のやりとりで故郷の地に戻れるという人もいた。

艦を降りた人の代わりにオーブ軍から派遣の人が何人も乗り込んできた。残る人は、
その受け入れと仕事の引き継ぎに翻弄されていた。私もそうだった。ブリッジの情報システムにも、
モビルスーツにも詳しい私は、新しい人の教育に重宝がられ、忙しい日々が続いた。

艦を降りる最終期限の一週間が迫ってきている。それなのに、私は誰にも相談できず、忙しさに、
考える時間もなく、自分がどうすべきか決められずにいる。このままだと、ずるずると
残ることになってしまいそうだった。それは、それでいいのかもしれない。
もう、考えても結論が出ないなら、また、成り行きにまかせればいい。
でも、私の心には、まだ少し迷いが拭えなかった。

大西洋連邦を中心とした反ザフト勢力の拡大も大きく、それは、中立国だけど
マスドライバーを持っているオーブへの風当たりが、ますます激しくなり、場合によっては
武力介入の可能性も出てきている。それに対してオーブは絶対に中立を譲らない構えだ。
政府や軍に緊張が高まっている。オーブが戦場になる。そんな不安が、私の迷いをますます助長していた。

そんな時、ディアッカ、あの捕虜のザフト兵が釈放されると聞いた。釈放後は、オーブの町で
自由行動になるらしい。まあ、ずっと独房に入りっぱなしだったディアッカは、連合でもオーブでも、
特に機密を知った訳でも無いので幸運だったということだろう。ザフトのエリート部隊だった
ディアッカのことだ、後は自分でなんとかするだろう。別に心配をしている訳では無い。
ただ、私の話を聞いてくれて、少し心を楽にしてくれたディアッカに最後の挨拶くらい
してもいいと思った。釈放の前日、私は再びディアッカの独房を尋ねて行った。

「アンタ、明日釈放だって」私はディアッカに告げる。
「え、なんだって?」ディアッカは驚いている。

「アークエンジェルは、もうすぐ次の任務に出発するわ。もう、アンタ乗っけといても
 仕方ないから。良かったわね出られて」
「で、俺はどうなるんだよ」

「オーブに移されて、後は自由よ。そっから先は、アンタ、自分でなんとかしてね」
「バスターは、どうなった?」

「あれは、モルゲンレーテが、とっくの昔に持って行ったわ。元々、こっちのものだもの」
「げ……」

「何、不服なの?」
「いや、何でもねえよ」

「こんなことになっちゃって、ごめんね」
「いや、いいよ別に。それで、ミリアリアは、どうすんだ。この前のこと」

「もう、いいの。アンタには無関係なんだし」
「だがな、この前、相談してきといて…… 最後にどうするのかくらい教えてくれよ」

私は口を閉ざす。やがて、躊躇いがちに話しだす。

「オーブが、もうすぐ戦場になるかもしれない」
「え、なぜ、そんなことに」

「地球連合に味方しないから、武力介入があるかもしれない」
「おい、ナチュラル同士で戦争してどうなるってんだよ」

「でもね、このまま言いなりになることもできないの。戦うわ、きっと」
「お前も戦うのか?」

「うん、このままだと……
 私、アークエンジェルのCIC担当だもん。それに、オーブは私の国だから……」
私は目を伏せる。そして、思い切って話した。

「なんて、かっこいいこと言えたらいいんだけどね」
「なんだ、まだ、迷ってんのか?」

「でも、もう、ほうっておいて、アンタには関係無いから」
「キラってやつのこと迷ってんだろ」

「もういいから」
「迷ってんならさ、そいつに直接相談してみろよ」

ディアッカは声を荒げていた。

「ぐちぐち迷って無いでさ。お前、そいつのこと好きなんだろ。だったら、
 ぶつかって聞いてみろよ」
「でも……」

「そんなこと言ってないで、さっさと聞きに行けよ。でないと、後悔するぜ」

ディアッカは、私をじっと見つめた。
これが、この前の、私の相談に対する答えなのだろうか。キラに相談する。
私が、今まで、一番避けてきたこと。でも、ディアッカの激しい口調の言葉は、
私に、そうしなければならないという強迫感を与えていた。

私は、少しして言った。
「分かった。キラと相談してみる。ありがとね、そして、さよならディアッカ」

私は、自分からディアッカを名前で呼んでいた。

128ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/19(金) 05:05
ミリィSS続きの新章です。まずはディアッカとの、あのシーンから。大分、変えてますけど。

>>流離う翼たち
トールが、あの伝説の人の台詞を使うとは…… キラ、声裏返しですか。フレイ様宅の今夜は激しくなりそう。

>>過去の傷
あれ? ミリィは直ったんじゃ無いのか? そして、カガリのSEED発動。NTとの対決は、どっちが強いのでしょう。

129過去の傷・85:2004/03/19(金) 22:52
(さあ、チャンスだわ!チャンス!)
ルプス・ビ−ムライフルをル−ジュに向けて放つ。
(タイミングもバッチリよ!)
辺り一面が光に包まれる・・・しかしそこにル−ジュの姿はなかった。
「え?・・・どこに・・・」(あれ!?どうしてなの?読めないわ)
そのときどこからきたのかビ−ムがフリ−ダムにかすめる。
「きゃああ!!!」
光がなくなると・・・。
「あ、カガリ!!!」
地上に降りるフリ−ダム。
「よくもやってくれたわね!」
「・・・・・・」
(カガリ?なんなのかしら、急に無口に)
そんなことを考えている間にル−ジュがビ−ムを放ってきた。
アストレイもビ−ムを放つ。
なんとか回避するフリ−ダムだが・・・
(え!?一体どこに・・・カガリが消えた?)
(フレイさん・・・あの・・・背後に)
(え!?)
振り返ろうとしたフリ−ダムだが・・・相手が待ってくれるはずはなく・・・ル−ジュのビ−ムライフルが直撃した。
「きゃああああ!!!やだ!いやあああ!」

その頃ブリッジでは・・・。
「・・・んん・・・フレ・・・」
フレイが気になりモニタ−に目を通そうとしたキラだがミリアリアのキスがそれを許さない。
ミリィがしっかりと抱きついているのだ、キスも強引でぐいぐいと唇を押し付けてくる。
なんとかミリィの唇から唇をずらしたキラは・・・。
「あの、ミリィこんなのって・・・」
「じっとしててよ、いい雰囲気なのに」
「あの・・・まずいよこんなの」
「キラ・・・なんで分かってくれないの!?私だってちゃんとした彼氏欲しいわよ!ト−ルはもう昔の彼氏よ!」
「!・・・・・・」
必死に話すミリアリアにキラは返す言葉が無かった。
その様子を見たミリアリアは勝ったとばかりにキスを交わしてきた、今度のキスにはキラも逆らうことが出来なかった。

序盤の戦闘が嘘のようにカガリのル−ジュとマユラのアストレイが押していた、もはやフリ−ダムの損傷率も30パ−セントまで来ていた。
「い、いやあああ!」
(フレイさん落ち着いて・・・)
「死ぬのはいや・・・」
(え?)
「死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのは・・・いやあああ!!!」
(フレイさん、落ち着いてください、まだフレイさんは生きてますよ)
フレイの脳裏に・・・いままで自分が発してきた言葉が入ってきていた。
(あんた自分コ−ディネイタ−だからって・・・本気で戦ってないんでしょう!?)
「あああ・・・やめてえ!!!」
(そうよ・・・私は賭けに勝ったもの・・・キラは戦って死ぬの・・・じゃなきゃ許さない)
「いや!やめて!」
いろんな自分と・・・いろんなフレイ・アルスタ−と頭のなかで話す。
(そうよ、あんた今でもキラを利用するつもりなんでしょう?キラは戦って死ぬのよ、そうよじゃなきゃ許さないもの・・・)
(違うわ!あんたと一緒にしないで!)
(くすくす・・・だからそうなんだってばあ!あんたパパが死んだ時点で私の心を捨てたじゃない♪違って?)
(そんなことないわよ!勝手に決めないで!)
(・・・私は・・・ただキラに謝りたいだけ・・・会ってちゃんと話がしたいの・・・そのためなら死んでもいいわ・・・)
(バッカじゃないの?キラに謝るですって!?冗談じゃないわ!パパはキラのせいで死んだのよ!だいたいあんた暗すぎだわ、あんただってフレイ・アルスタ−じゃないの!この偽善者!心の中ではどんなこと考えてるか分かったもんじゃないわ!)
(そんな・・・違うわ・・・私は)
(皆もうやめて!)

(え!?フレイさん)
(・・・もう大丈夫よ・・・過去は振り切ったつもりだから)
そしてフレイの頭の中でなにかがはじけた。
(フレイさん・・・目が・・・瞳が真っ赤に・・・)

130過去の傷・作者:2004/03/19(金) 22:57
>>ミリアリアあの子許せない
ディアッカいい奴じゃないですか、ほんとに・・・ミリィはキラに相談してみるつもりんですね、やっと一つの答えを見つけたみたいで。

131ミリアリア・あの子許せない 78:2004/03/20(土) 06:05
第2部 6. 私はキラの特別…… 2/7
[私とキラの二人にして]

私は、キラのいるモビルスーツデッキへ向かった。足取りは、はっきりしていた。
ディアッカの言葉が、私の行動から迷いを取り去っていた。

デッキのキラは、相変わらずの着たきりのザフトの赤いパイロットスーツ姿だ。
作業をしているキラに、今もカガリさんが付き従って話をしている。
いつもの私なら、それだけで、何も言わずに立ち去っていたはずだった。
だけど、今日は違った。カガリさんを邪魔者だと感じていた。

「キラ!」 私は、キラを呼んだ。

キラとカガリさんが振り向いた。私は、続けて話しかける。
「キラ、話があるの。二人だけで。カガリさん、お願い。ちょっと外して。私とキラの二人にして」

カガリさんは怪訝そうな顔つきをした。
「なんでだ。お前って別にキラとなんでも」

「カガリ、ごめん、ミリィの言う通り、ちょっと外してくれないか」
キラの言葉に、不服そうな顔をしながらカガリさんはデッキを出て行った。

「キラ、またフリーダムのコクピットに入れて。誰にも聞かれないように」
私は熱に浮かされたようにキラにねだった。キラは何も聞かず、私をフリーダムの狭いコクピットに
入れてくれた。パイロットシートに座る私。傍らの計器板に腰をかけているキラ。
私は話しはじめた。

「カズイは艦を降りた。サイは残る。でも、私、本当は決めてないの。どうしたらいいの?」
「ミリィは降りたいの? 戦いが恐いの?」

「恐いわ、トールもいなくなった。もともと戦いたくて軍に入った訳じゃない。巻き込まれたから」
「じゃあ、迷うことは無い」

「でも、これからオーブも戦争に巻き込まれる。降りても、戦争になるのは同じかもしれない。
 だったら、このまま残った方が安全かもしれない。出来ることが無いわけじゃない。
 CICの仕事、今だって、やること山のようにある。でもね、そんな風に割り切ることもできないの」
「何が、君をそんなに迷わせるんだ」

「キラよ」
「え?」

「みんな、マリューさんもサイもキラを信じてる。カガリさんだってそう。
 キラの理想を信じて戦うことを決意している。
 でも、私はダメ。以前、アークエンジェルを離反した連絡機のこと、
 キラが島に不時着させた後、ザフトの攻撃に会ったこと。私、まだキラの嘘じゃないかと疑ってる。
 私、キラが信じられない。キラが恐い」
「ミリィ、君は、そんなことを……」

「降りても戦争に巻き込まれる。残っても、私だけ信じられないキラを見て戦わなきゃいけない。
 どっちをとっても私は辛い。でも、どっちかを選ばなきゃいけない。
 どっちにしたらいいのか、自分で決めなきゃいけない。でも、私、ずっと決められない。
 誰にも相談できない。誰も決めてくれない。
 ねえ、キラならどう思う?」
「僕に、そんなこと……」

私は、縋るような目でキラを見た。キラも曖昧にごまかそうとする。でも、それでは私は
救われない。救われないなら、もう、どうなったっていい。私はキラに運命を委ねる。

「ねえ、キラ、私、Nジャマーキャンセラーの秘密を知っているわ。そんな私を、このまま艦を
 降ろしてオーブの故郷に戻してもいいの? また、秘密を漏らすかもしれない。
 キラ、私をアークエンジェルに縛り付ける? それとも、ここで私を殺す?」
「ミリィ、そんなはずないだろ」

「キラ、本当は違うでしょ。キラ、変わったもの。昔と全然違うもの」

キラは黙り込んだ。そして考えている。やがて、決意したように話しだした。

「ミリィ、君は、やはり艦を降りたほうがいい」

132ミリアリア・あの子許せない 78:2004/03/20(土) 06:06
>>過去の傷
SEED発動したカガリ強いですね。ピンチに追い込まれたフレイ様、過去の自分を乗り切って、こちらも覚醒?
ティファは、まだ一緒にいますね。それにしても、キラは何をやってるんだ。

133流離う翼たち・437:2004/03/20(土) 22:23
 苦悶に喘ぎ、内股でヒョコヒョコと仲間に連れられて行った男を見送った5人は、時間も無いからと急いで中に入った。ロビーには既にマリューやナタル、フラガ、キース、ノイマンが待っていた。

「すいません、遅くなりました」
「いや、まだ時間には間があるから、気にせんでも良いぞ」

 フラガが右手を上げて答えてくる。キースも読んでいた新聞を棚に戻し、腰掛から立ち上がる。

「やれやれ、軍務に付いているとどうにも世界情勢から置いていかれますな。知らぬ間に色々と起きている」
「どういう事がありましたか?」
「ああ、ザフトが南米と東南アジアで攻勢を強めてるらしい。中東は突破されそうになってるそうだ。東アジア共和国とユーラシア連邦の弱体化は避けられないだろうな」

 キースの表情は険しい。過去が過去であるだけに、連合内の軍事バランスが崩れるのは面白くないのだろう。彼自身は余り大西洋連邦に肩入れしている訳ではないらしい。

「まあ、ザフトにしてみればヨーロッパと宇宙での敗北を取り返したいのだろうけど、無茶をする。これだけの規模で攻勢に出たら消費する物資は半端な量じゃないだろうに」
「ザフトは戦力的には劣勢にあるのに、よく多方面で同時攻勢に出られましたね」

 ナタルが感心している。だが、キースは苛立たしげに新聞の拍子を軽く弾いた。

「無理してるだけさ。こんな無茶は大西洋連邦だってそうそうはしないよ。何があったか知らないが、向こうも色々事情があるらしい」
「事情ですか?」
「そう、理由は分からないけど、どうやらザフトは実績を欲しがってるみたいだな。あるいは、何か別に作戦を用意しているかだけど、まさかこの規模で陽動とは思えないし」
「ふむ、敵も大変だという事ですか」

 なるほどと頷くナタル。キースは感心しているナタルに、キースはやれやれと肩を竦めた。どうしても自分達の会話はこういう方向を向いてしまうらしい。
 だが、こんな所で世界情勢を気にしている訳にもいかない。とりあえずは当面の課題を片付けるべきだろう。マリューがパンパンと両手を叩いて引率の先生のように声をかける。

「はいはい、それじゃあ行きますよ。カガリさんとハゥ二等兵はここで待ってる事、勝手に変な所に行くんじゃないわよ」
「分かってますよ」
「払いはフレイ持ち出し、何か適当に食べてようぜ」
「・・・・・・払うと言っておいてなんだけど、余り高いのを食べまくるのは止めてよね」

 何となく不安を感じたフレイは一応2人に釘を刺しておいたが、それが有効に機能するかどうかは甚だ危ぶまれる所だった。

「それじゃあ、何頼もうか」
「ねえカガリさん、このマンゴージュースってどうかな?」
「いやいや、こっちの魚料理のほうが」

 2人が楽しそうにメニューを選ぶ声が聞こえてくる。どうやら私の刺した釘は何の役にも立ちそうもなかった。
 はあ、と溜息をつく私に、ナタルさんが少し心配そうに声をかけてくる。

「どうしたフレイ、そんな疲れた溜息をついて?」
「いえ、2人に好きな物を食べてもいい、と言ったんですけど」
「なるほど、それは迂闊だったな」

 女の子は奢りという言葉を聞いたら容赦はしない。2人は高いものをこれでもかと食べてさぞかし満足するに違いない。ナタルは肩を落とすフレイに同情混じりの視線を向けつつ、ぽんとその肩を叩いた。人はこうやって強くなっていくのだ。

134流離う翼たち・作者:2004/03/20(土) 22:34
はう、438の間違いでした

>> 過去の傷
はうう、カガリに続いてフレイ様まで。種ってやはり怒りで発動するのか
とりあえずティファ、手を貸して何か出来るのか?
フレイ様はなんだか人格会議中・・・・・・

>> ミリアリア・あの子許せない
こいつは、ミリィガンバ。多分降りた方が良いでしょう
つうか、この状況でキラを信じるAAクルーのがおかしく見えるのは気のせいw?
まるで別人化してるんだから少しは疑えと言いたいです

135過去の傷・86:2004/03/20(土) 23:02
「カガリ様来ます!」
「・・・・・・!」(あれは・・・)
「え!?さっきより動きが違います、どうなってんの?」
ビ−ムを撃つル−ジュ、だがフリ−ダムはそれを簡単に回避するとル−ジュにルプス・ビ−ムライフルを放つ・・・回避するル−ジュだが・・・。
「!」(連続で撃ってきただと!?)
二発目がル−ジュを直撃した。
「!」
「カガリ様!」

(フレイさん・・・瞳が真っ赤になってる・・・)
(・・・・・・)
SEEDを発動したフレイは自分の持つ二ュ−タイプとしての力も存分に引き出していた。

その頃ブリッジでは。
「キラ、フレイとは別れちゃいなさいよ、キラの彼女は私がなってあげるから」
「いやだよ、そんなの」
「私と付き合えって言ってるの!!!」
「そんな勝手に決めないでくれ、僕はフレイが好きなんだ、部屋だって一緒に暮らしてるんだ、それに・・・ミリィに対してそんな感情はないよ・・・」
「キラ、ト−ルが死んだとき近くにいたのよね?」
「!!!・・・う・・・うん」
「なら責任取ってよ!」
責任?責任とはどういうことだ?キラは驚愕な表情になった。
「ええ、ト−ルの代わりになって・・・そして私と結婚して・・・キラにはその義務があると思うの・・・だから・・・私と付き合って、そして結婚して」
結婚!?・・・これが僕の責任・・・?彼女と一緒になることが僕の責任・・・?

「カガリ様やっと普通のカガリ様に戻ってくれましたね」
「なに言ってんだお前!?それよりもう損傷率50パ−セント超えたぞ・・・もう私の負けだな」
「カガリ様・・・」
「フレイ、私の負けだ!」
「ええと・・・私も棄権します」
フリ−ダムの通信から声が・・・。
「・・・・・・ル−ジュは撤退していいわ・・・・・・」
「あ、ああ!」
ル−ジュが離脱した、残ったアストレイは・・・。
「あ、あの・・・私棄権します」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ふざけないでよ・・・」
「・・・え!?」
「よくもキラに慣れなれしくしてくれたわね・・・」
「あの?意味が分からないんですけど」
「人の彼氏を横取りしようだなんて・・・」
「!」
フリ−ダムはアストレイに突進してきた。
「え!?」
「私のキラに慣れなれしくしないで!!!」
シ−ルドでなんとか防御するアストレイ。
(こうなったらキラさんに止めてもらうしか)

「ミリィ・・・ん?」
<キラさん戦闘を中止してくれませんか!?>
<え!?分かった!フレイ!>
<!・・・分かったわよ・・・キラが言うなら・・・>
こうして両機とも停止した。

136過去の傷・作者:2004/03/20(土) 23:10
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、降りたほうがいいですよ、それにしてもキラは完全の別人ですね、皆キラの変わり様になんの反応も示さないんですね、逆に怖い気もします。
>>翼たち
フレイ様、大きく出ましたからね、奢りに上手く二人とも食いついてますね、女はこういうものなんでしょうね。

137The Last War・14:2004/03/20(土) 23:39
 かつて、世界の全てを憎んだ男がいた。『滅亡』、只それだけが、その男の望みであった。彼はそれを実現させるために暗躍したが、それと相反する理想を持った者達によって阻まれ、自身は命を落とした。
 しかし、男は予め一つの『種』を蒔いていた。その種は闇の中で成長し続け、そして今最悪の形となって花開こうとしていた。

「はぁぁぁっ!!」
「今度こそ、これで!!」

 アプカリプスの巨体目掛け、アスランのS.ジャスティス、キラのネオストライクはそれぞれ攻撃を仕掛けた。だが、先ほどから彼等の仕掛けているそれらの攻撃により、アプカリプスが損傷を受けた様子は無かった。

「・・・無駄だ」

 アレクセイの言葉が言い終わるや否や、アプカリプスの前方に先ほどまで二人を翻弄していた小型機が飛び出した。それらがフォーメーションを組むとそこに虹色に輝く光の壁が形成され、やがて二人の放った攻撃の全てを受け止め、無効化した。その光景を見て、二人は悔しげな呟きを漏らした。

「くそ、またか!!」
「まさか、ドラグーンが光波防御帯を発生させるなんて・・・!」

 その兵器の名は、攻防一体型ドラグーンシステム《アイオ―ン》。アプカリプス再生にあたり、ファントムが独自に開発・装備させた、その名の示す通りこの機体の剣となり盾となる”守護天使”でもあった。従来の遠隔誘導兵器としての機能に加え与えられた光波防御帯発生機能により、二人の攻撃は悉く無効化されていた。

(駄目だ、このままではこちらが消耗していくだけか。ならば・・・)
「・・・キラ、俺は奴に突っ込む。お前はここから援護してくれ」
「!そんな、危険過ぎるよアスラン!!いくら君でもあれが相手じゃ・・・!うわっ!?」

 キラがアスランを制止しようとしたその時、キラの右腕が再び麻痺し始めた。

(な、何で・・・?あれからこんなこと、しばらく無かったのにどうして今更・・・?)
「・・・それに、お前の右腕は今正常じゃない。違うか?」
「!アスラン・・・君、知って・・・?」
「何年お前と友達をやっていると思うんだ?そんなこと、お前と合流した時から気付いてたよ。・・・万が一の時は、お前だけでも逃げろ・・・」
「待って、アスラ・・・!」

 キラの制止を振り切ったアスランは、S.ジャスティスのビームサーベルを引き抜き、アプカリプスへと突撃した。その動きを感知し、その周りに無数のアイオ―ンが群がってきた。そこから放たれる砲撃の数々を、アスランは機体の身を翻してかわし、またはシールドで受け止めながらその中を突き進んでいった。

「まだ何かするつもりなのか?貴様が相手の力量が分からんほど馬鹿な男には見えんがな。それとも、勝機というものが見つかったのか?」

 そんなS.ジャスティスの様子を確認しながら、アレクセイは自分に向かって来るアスランへと問い質した。しかし、次にアスランの口から出たのはそれに対する返事ではなかった。

「・・・お前は、今までお前達の身勝手な都合の巻き添えを受けた人達のことを、考えたことはあるか?」
「何を言っている?私の聞いたことに答える気はないのか?」
「いいから答えろ。その人達のことをどう思っている」

 自分の言葉を無視されたことにやや苛立ちを感じながらも、アレクセイは少し間を置いてアスランのその問いに答えた。

「・・・悪いが、興味は無いな」
「・・・そうか!」

 その言葉を最後に、S.ジャスティスの姿が視界から消えた。それはやがてレーダーに映し出された。

(回り込んだだと!?いつの間に!)
「・・・なら、その人達の感じてきた痛みや苦しみを・・・」

 S.ジャスティスは、手にしていたビームサーベルを横に薙いだ。その動きに、アイオ―ンでさえも反応が遅れた。

「・・・お前に教えてやる!!」
「チィッ!!」

 ビームサーベルが直撃する寸前、アプカリプスはその巨体に似合わぬ機敏な動きで回避行動を取り、ギリギリのところでそれをかわしていた。いや、正確には僅かにビームサーベルが装甲に達し、この戦闘で初めて損傷を受けていた。

「・・・アイオ―ンを装備したこの機体に、初めて傷をつけた者が貴様だとは・・・」
「お前達はやり過ぎた。今までに多くの人達に無用な血や涙を流させてきた報いを、今ここで受けろ!」

 静かに怒りを露にしているアスラン。にも関わらず、アレクセイはその口元を歪めた。

「・・・フッ、『平和のため』、などと言っておきながら、所詮は貴様も憎しみから戦うのだな?」
「俺はお前達を絶対に許さない。あの頃の俺達から、全てを奪い取ったお前達をな!」

 アスランの瞳からは、光が失われていた。彼はその時SEEDの力を発現させると共に、自らの内側から涌き出た黒い感情に身を委ねていた。

138The Last War・作者:2004/03/21(日) 00:08
》ミリアリア
 相変わらずキラは何処か達観していますね。AAの人達はそれをすっかり信用しきってますし・・・。自分だったらラクスに洗脳されたのではと疑うと思いますw。
 それとディアッカが良いこと言ってましたね。

》流離う翼たち
 ついに劾&サーペントテールメンバー(一部)が登場しましたね。その上従来の彼等のイメージを感じさせない役どころが面白かったです。特に劾がw。会話の中にはロウの名前が出てましたが、個人的には彼にも何処かで登場してほしいと思っていたりします。
 ちなみに今後サーペントテールのメンバーの一人が自分のSSにも登場予定です。

》過去の傷
 マユラ生きてたんですね。他の二人はどうなんでしょうか?本編の最後の方の彼女達の扱いが悲しかっただけに良かったです。
 そしてフレイ様がNTだけでなくSEEDまで覚醒ですか。こうなるともう最強?

》キラ♀
 キ、キラが危ない。フレイ♂様、お願いだから逆ナンに引っ掛かってないでタカツキの奴を止めてください!

》刻還り
 皆の為にした行動が結果的に皆を危険にした。現実はいつも辛いですね。フレイ様、負けないで貰いたいです。

》散った花、実る果実
 取り敢えず、お茶汲みがお仕事になったんですね。フレイ様の入れるお茶は果たしてどんなお味なんでしょう?
 『白い羽』も読ませて頂きました。キラの切ない感じが良かったです。

139ミリアリア・あの子許せない 79:2004/03/21(日) 02:50
第2部 6. 私はキラの特別…… 3/7
[それほど悩むならば、本当のことを言うよ]

ディアッカの言葉に従うまま、私は、フリーダムのコクピットでキラと二人きり、私が、どうすべきか
相談した。その時、キラから帰ってきた答えは、これだった。艦を降りろ……

「ミリィ、君は、やはり艦を降りたほうがいい」
「キラ、どうして?」

「ミリィが、それほど悩むならば、本当のことを言うよ」
「本当のこと?」

「君の疑っている通り、僕は秘密のために残酷になっている。あのオーブに入る前の
 アークエンジェルの連絡機。あれを不時着させたなんて言うのは嘘だ」
「キラ、やっぱり……」

「ああ、説得に応じなくて、近くに連合の艦を確認した時点で、撃墜したよ。僕の手で……」
「キラ、ああ……」

私は脅えた目でキラを見た。キラの手は震えていた。でも、それ以上に私の心は震えていた。
キラは震える拳を自分の目の前に持って来ると、ゆっくり、手のひらを広げた、それを虚ろな目で見ながら言った。

「迷わなかった訳じゃない。だけどね、核を使わせてはいけない。秘密を守らないといけない。
 そのためには、仲間だろうと撃たなければならない。そのために、犠牲になった仲間の痛みを
 忘れてはいかない。それがフリーダムを任された僕が背負った宿命だ」

キラは、虚空を見上げ、思い出すように言った。

「Nジャマーキャンセラーの開発阻止、そして、搭載プロトタイプの奪取、あるいは破壊する作戦は、
 クライン派が、早くから計画していたものだった。僕は、シーゲル・クラインに話を聞いて、
 自ら、この計画に参加した。フリーダムのパイロットとして抜擢されたラクス・クライン。
 歌姫である彼女までも戦争に巻き込まないためにも。

 プロトタイプ五機のうち、フリーダムの奪取と二機の破壊、関連資料の消去、そこまでは成功した。
 だから、プラントではフリーダムと同じレベルの長時間運用できるNジャマーキャンセラーは、
 すぐには作れない。だけど、残るプロトタイプ二機の破壊と一部資料の消去は達成できなかった。
 脅迫された仲間の裏切り。それで、クライン派の何人もの人の命が失われた。
 僕は亡くなった人達の命を背負って、プラントを脱出した。そして、地球に降りた。

 ザフトには、まだ二機のNジャマーキャンセラーが存在し、また核爆弾を使うだけの短時間
 動作するものなら開発できる。こんな核戦争の引き金そのものを不要にするために。

 僕は、この目的のためには躊躇わない。躊躇うことは許されない。
 例え、僕自身が命を奪う立場になったとしても。
 僕も既に罪人だから。守るためでも、もう、銃を撃ってしまった僕だから」

キラは、フリーダムの操縦桿に手を伸ばした。操縦桿に複雑に付いたボタンやトリガーをいじっている。
コンソールの明滅する光が、キラの顔を赤に緑に彩っている。その中でキラは熱に浮かされたように言った。

「ミリィ、フリーダムの銃はね、今の僕にとっては信じられないほど軽いんだよ。
 引き金一つで、簡単に、何十人もの人の命を奪える。プラント脱出の時に、それを思い知らされた」

「アラスカの時、敵を殺さないで倒していたのは、何だったの?」
アラスカでのキラの活躍に胸を踊らせていた私は、縋るようにキラに問いかける。

「アラスカでは助けたいと思った。非道な作戦から、みんなを…… だから、そうした。
 戦闘では殺さないという誓いを……」

だけど、私の期待は、次のキラの言葉で打ち砕かれた。

「そして、僕の中の魔物を押さえることを……
 意識して殺さない縛りを課さないと、歯止めが効かなくなる。皆殺しにしてる」
「キラ、そんな……」

私は、目の前のキラに恐怖を感じ震えた。

「信じてもらえないかもしれないけど、あの連絡機を落とした後、島を焼いたのは僕じゃない。
 前に、見せたように、もう一つのNジャマーキャンセラーを持ったザフトの部隊だ。でも、
 それで僕の罪が消える訳じゃない。僕は、もう血塗られている」
「キラ、そんな、そんな……」

私は、激しく動揺していた。着たきりのザフトのパイロットスーツの赤い色が血の色に見えた。
このキラは、本当に血に飢えた戦士なのだ。あの子をきっかけに、戦争に飲み込まれ、
変わってしまった狂戦士。それが、今のキラ。

140ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/21(日) 02:52
悟りキラ⊆黒キラⅡという、私の趣味の路線でした。しかし、ミリィ視点とは言え、オーブでの悟りキラの、
外づらが表現できていなかったのは、まずかったです。プロトタイプ五機は、SEED-MSV の設定参照した結果です。

>>流離う翼たち
情勢的には、大西洋連邦とザフトの二極化はTV本編と変わらないようですね。
カガリとミリィへのおごり、それと、夜のアレの件追求と、フレイ様は前途多難。
ナタルの言うように強くなるんだフレイ様。

>>過去の傷
フレイ様、逆襲しましたね。それにしても、ミリィまだ直ってませんね。

>>The Last War
アプカリプスはユーラシアの技術も入っているんですね。もう、何でもありの最強の機体ですが、
それを突破したアスランはスゴイ。でも、その引き換えに闇に囚われたアスランに何が待っているのか心配です。

141過去の傷・87:2004/03/21(日) 23:23
「皆、お疲れ様」
「キラ・・・ただいま」
「フレイ、無事で良かった」
「それにしてもこいつ強いぞ、勝てる気しなかったからな」
「私だってやればできるんだから」

その夜、フレイは部屋でティファと雑談していた、キラは出かけているようだ。
(ねえティファ聞いてよ)
(なんでしょうか?)
私は話した、これはティファにだけは話していいと思ったから、そんな気がしたの。
(そういえば言ってましたね、過去の自分を振り切ったって)
フレイは頷いた。
(自分の中で話した、いろんな私がいた)
(いろんなフレイさん?)
(そうよ、まずサイと許婚だったときの私、いまよりほんとにワガママだった・・・軍に入る前の私よ・・・)
(・・・・・・)
(二人目は復讐の闇に閉ざされていた私よ、そしてもっとも私自身が嫌いな私なの・・・)
(嫌い?フレイさんがフレイさんを?)
ちょっとおかしな会話になってしまったが、まあそういうことなのだろう・・・フレイ自身もキラを利用したりしようとしたフレイが嫌いだったのだ。
(そう・・・嫌いよ、あの私は・・・)
(・・・・・・)
(最後は・・・ザフトに囚われていたときとドミ二オンっていう艦にいたときの私、怯えていた・・・キラに会ってたった一言・・・謝ることだけを考えていたときの私・・・あの時が一番苦しかった・・・)
(そうですか、辛かったですね)
(ええ、怖かった・・・いろんな意味でね)

その頃。
「でもまさかお前が生きてたとはな、ほんとに信じられないな」
「私も」
「お前だけでも生きててくれて良かったよ」
「私だけじゃないですよ」
「そうか・・・!お前いまなんて言った!?」
「アサギのジュリも生きてますよ、そろそろカガリ様の部屋に来るはずですよ」
「ちょっと待て!だってお前私だけですけどって言ってなかったか!?」
「あれはちょっとした冗談ですよ」
「「カガリ様♪」」
カガリの部屋に二人の女の子が入ってきた。
「「私達クサナギからエタ−ナルに転属になりましたのでカガリ様よろしくお願いします〜♪」」
転属といっても皆軍服はばらばらだ、アスランもザフトの軍服を着用している、フレイやミリアリアはもちろんア−クエンジェルで着用していた軍服だ。

その頃、ミリアリアの部屋では・・・。
「私ってそんなに女として魅力ない?まあフレイは可愛いもんね・・・」
「え?そんなことはないよ、ミリィは凄く可愛いよ」
(フレイはもっと可愛いけど)
「そう?ありがとう、ならいいじゃない」
「でも・・・ごめんミリィ、僕はやっぱりト−ルの代わりにはなれない」
「・・・・・・」
「こんな形で付き合ったってどうせすぐ駄目になるよ・・・それにお互い好きでもない人とそういう関係になるのはよくないと思う・・・それにもうはっきり言わしてもらうけど・・・僕とフレイは付き合ってるんだ、それにミリィにそんな感情はないよ」
これでミリィが納得してくれるかは微妙だった。
「それでも私寂しいの!責任取ってよね!キラにはその義務があるはずよ、私と絶対結婚してもらうんだから!私に恋愛感情がないですって?なら・・・その気にさせてあげるわ」
そう言うと上着を脱ぎキラに歩み寄ってきた。

142過去の傷・作者:2004/03/21(日) 23:33
>>The Last War
とんでもない機体だな、プロヴィデンスといい、ザフトというのは・・・。
そのとんでもない機体にアスランは・・・でも彼が心配です。
>>ミリアリアあの子許せない
とにかくこのキラはほんとに怖いです、ミリィの気持ちもよく分かります、もう以前のキラの面影が全然ないな・・・。
さて真実を知ったミリィはこのあとどうするんでしょう。

143ミリアリア・あの子許せない 80:2004/03/22(月) 02:40
第2部 6. 私はキラの特別…… 4/7
[ハイ! キラ……]

艦を降りるのか残るのか。ディアッカの言葉に従うまま、どうすべきかをキラとフリーダムの
コクピットで話した私は、キラの打ち明けた話から、残酷な戦士となったキラの真実を知った。
キラは、操縦桿から手を離し、私を覗きこむようにして話を続ける。

「それでも進まなきゃいけない。戦争を、このまま悲劇に向かわせないために。
 僕は、もう昔の僕には戻れない。ミリィがいくら望んでも……
 ミリィ、君は艦を降りるんだ。こんなことを君に背負わせることはできない」
「でも、私、そんなこと知ったら余計に、ここから降ろしてもらえない」

「降りるんだミリィ。そして、忘れるんだ僕のこと。忘れてしまえばいい。
 誰も、君が知っているなんて気づいていない。君さえ忘れてしまえばいいんだ。
 降りて避難するんだ。オーブ政府の指示に従えば、少なくとも戦争には巻き込まれない」
「そんな、そんな」

「こんな僕のこと忘れてしまえばいい。ヘリオポリスの思い出だけを残して。僕は、いなかったと思うんだ」
「そんな、私、キラのこと忘れられる訳ない」

「忘れるんだミリィ!!」
キラは私の肩を激しく掴んで体を揺さぶり、大きな声を上げた。キラの顔が私のすぐ前にあった。
それは、私の望む優しいキラでは無く、冷たい目をした戦士のキラだった。

「ハイは? ミリィ」
「ハイ……」

「艦を降りるんだな?」
「ハイ……」

「ミリィ、それでいいんだ」
「ハイ!」

もう、見る影も無い『私のキラ』。私はキラ自身の手でリタイヤさせられたことを知った。

私の中のキラが完全に破壊されたことを知りながら、一方で、私の心は開放されていた。
だれも、私にこうしろと言わなかった。サイも、私の自由意志にまかせて、決めてはくれなかった。
でも、キラは決めてくれた。私に命令した。今、私はキラの命令に従うことが快い。
キラの言いつけに従うことが、私の無上の喜びだった。私は、ずっとそれを待っていたことを知った。

私は、引きつった笑顔を浮かべていた。涙が一しずく、頬を伝った。『私のキラ』との決別の涙だった。
今までのキラとのことが走馬灯のように私の中に蘇った。優しいキラ。トールと三人の楽しい日々。
そして、それを壊していった、あの子。私の過ちで失われた三人。帰ってきたキラ。信じられないキラ。
残酷なキラ。

「キラ、あの子だったら、フレイだったら、キラのこと話した?」
「フレイなら言わなかったろう。血塗られた僕のこと。Nジャマーキャンセラーのこと。
 僕の背負った宿命を。何でも言うとフレイには約束した。だから、秘密にすると怒るだろうけど、
 僕はフレイを辛い目には合わせたくないから。ずるいけど、フレイを手放したくないから」

「私、フレイとは違うのね」
「ああ、君は特別なんだ」

「特別?」
「そう、特別だ。ずっと前から……」

私の表情は、さらに歪んだ。熱い涙が、また、頬を流れ落ちた。
「キラ、酷いよ…… こんな特別なんて……」

私は、成り行きでNジャマーキャンセラーの秘密を聞いてしまった自分を呪った。
キラにとって悪い意味の特別な自分を呪った。そして、そうじゃない、あの子が許せなかった。

「コクピットを出るよ、ミリィ。もう退艦の期限はギリギリだ。艦長に一人で話せるね」
「ハイ!」

「ミリィ、トールのこと頼むよ。弔ってやってくれ」
「ハイ! キラ……」

再び、キラの命令を受けて、私は口元を緩ませ、歪んだ笑みを浮かべた。
そして、自分と、あの子への呪詛の心さえ押し込めて、私は命令される快感に溺れていった。
時の止まったような感覚の中で、私は思考さえ曖昧になっていった。

* * *

カガリさんが、またフリーダムの前に来ていた。乗降ワイヤーでキラと二人で降りる私を、
信じられないような目で見ていた。

私は、カガリさんを無視して、歩き去った。
後ろでカガリさんとキラの話している声が聞こえた。

「キラ、なんでフリーダムに乗せたんだよ。私にだって、触らせてもくれないのに」
「いいんだよ、ミリィは特別なんだ」

私は、キラの言う特別の意味を噛み締めた。

144ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/22(月) 02:41
>>過去の傷
フレイ様が、過去の、いろいろな自分を振り返って想いを話すところ良かったです。
もうすっかりティファとは心を許せる友達ですね。
ミリィは、まだ壊れてますね。キラの危機。うちのSSと逆ですね。フレイ様、どうする?

145流離う翼たち・439:2004/03/22(月) 21:57
 司令官オフィスにやってきた8人は、そこでマドラス基地司令のスレイマン少将と、民間人らしい30代半ばと思われる男性と面会する事になった。その民間人を見た時、キースは表情を露骨なまでに嫌悪に歪め、相手は面白そうにキースを見ている。
 キースの変化に驚いたナタルがキースに問いかけた。

「あの、どうかしましたか、大尉?」
「・・・・・・いや、何でもない、気にしないでくれ」

 キースはナタルの問いを誤魔化した。だが、キースが露骨な嫌悪感を見せるなど滅多にあることではなく、この民間人がキースと深い関係にあることは間違いないだろう。
 キースはそれ以上民間人と視線を合わせる事は無く、スレイマン少将に向き直っていた。
 スレイマンは8人にこれまでの苦労を労うと共に、アークエンジェル隊のこれまでの多大な戦果を褒め称え、幾人かの昇進を伝えてきた。

「昇進、ですか?」

 マリューが訝しげに聞き直す。つい4ヶ月ほど前に少佐に昇進したばかりであり、また昇進だなどと言われても正直信じられるものではない。パイロットならいざ知らず、技術畑上がりの自分が26歳で少佐というだけでも異例なのだ。
 だが、マリューの疑問に答えたのはスレイマンではなく、司令官オフィスに置かれているソファーに腰を沈める民間人であった。

「それは簡単ですよ。たった1隻でザフトに打撃を与え続ける連合軍の最新鋭戦艦とそれに乗るエース部隊。そして数日前には中央アジアを西進していたザフト第4軍にさえ痛撃を与えて撤退に追い込んでいる。宣伝材料としてはこれ以上の材料は無いでしょう」
「・・・・・・つまり、英雄が欲しい、と?」
「まあそういう事だね。確かに連合もMSを配備しだして、ザフトの攻勢に対抗できるようにはなってきたけど、やはりここは景気の良い話が欲しい」

 民間人の男が浮かべる笑いに、マリューは生理的な嫌悪感を隠せなかった。間違いない、私はこの男が嫌いなのだ。
 そして、この男は8人の機嫌を決定的なまでに悪くする内容を話し出した。

「それに、美人の艦長さんに大西洋連邦事務次官の遺児である『真紅の戦乙女』フレイ・アルスター嬢、『エンディミオンの鷹』ムウ・ラ・フラガ少佐、『エメラルドの死神』キーエンス・バゥアー大尉といったエース3人に、ナチュラルの両親の為に戦うコーディネイターの少年。これは宣伝材料としては実に使い易い。上手く流せば連合諸国の戦意を高揚させる事が出来ます」
「・・・・・・英雄願望か、人は何時もヒーローを求めている」
「そういう事だよ、キーエンス・バゥアー」

 2人の視線が再びぶつかり合う。お互いに相手を知っているのだろう。何やら不穏な空気を纏うキースの変化を察したスレイマンが慌てて場を取り繕うように辞令を取り出す。

「ま、まあ、そういう事だ。ラミアス艦長は中佐に、バジルール副長は大尉に、ノイマン操舵士は中尉に、アルスター、ケーニッヒ両名は少尉にそれぞれ昇進してもらう。下士官や兵士達にも昇進する者はいるので、艦長から通達してやってくれたまえ」
「・・・・・・分かり、ました」

 マリューは表面平然と、内心では不満が渦巻いているのがはっきりしている返事でそれを受け取った。

146流離う翼たち・作者:2004/03/22(月) 22:04
>> 過去の傷
フレイ様怒ってる〜〜!
ミリィは暴走しまくりだし、この事態は一体何処に向かうんでしょう?

>> The Last War
ドラグーンで光波防御帯、つまりフィンファンネル・・・・・・
アスランはフレイ様殺された後のキラになってるし、世界は憎しみで覆われるのか
まあ、憎しみも無しで戦争やってる奴の方が余計に怖い気もしますが

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、これはもう洗脳では?
キラがどんどん怖い子になっていく。ミリィ、やっぱり降りた方が良いよ

147過去の傷・88:2004/03/22(月) 23:14
「ミリィ・・・」
「・・・・・・」
ミリアリアは無言で近寄るよキラを無理矢理ベッドに押し倒し強引にキスを交わしてくた。
「・・・・・・」
「・・・んん・・・」
「・・・・・・」
「・・・や・・・め・・・ろ・・・やめてくれ!!!」
覆いかぶさっているミリアリアを突き放すと部屋を飛び出した。
「キラ!!!」
ミリアリアも部屋を出るとキラを追った。

(フレイさんにいいお知らせがあります)
(なにかしら?)
(あと一週間程でフレイさんと会うことが出来ます)
(あらそうなの!ねえところでティファってナチュラル?コ−ディネ−タ−?)
(はい?あの・・・なんのことですか?)
(え?知らないの?)
(はい、まったく・・・聞いたこともありません)
(そう変な子ね・・・まあいいわ)
(あ、私これからカガリと遊ぶから話しかけないでね)
(分かりました、私そろそろ寝ないと・・・やかましく言われるから・・・)

「ええと・・・ここね、カガリいる?」
カガリの部屋に入ろうとしたが・・・留守みたいだ。
「なによいないの〜?」
結局通路を歩いた。

「よし、お前達の部屋はここだ、一応ラクス艦長と同じ部屋にしてあるから三人でも広いと思う、じゃあまたな」
「「「カガリ様おやすみ〜」」」

「あら、カガリ♪」
「フレイ!」
「探してたのよカガリのこと、部屋にもいないし」
「私を探してた?」
「そうよ、遊ぼうと思って」
「まあ、いいけど、ついて来い」
歩いている二人。
「今日はごめん、ちょっと私むきになってた、練習なのに」
「私もだ・・・つい本気を・・・だってお前が予想以上に強かったから・・・危機感というかだな」
「途中でなんか自分じゃないような感覚に襲われたの、なんだったのかしら、すぐに解けたけど」
「私もなんか・・・私が私じゃないような感覚に襲われた、なんかあの時だけ少しな・・・」
カガリもだったなんて・・・キラにもああいう感覚があるのかしら、なんていうのかしら、ほんとに意識はあるんだけど・・・ちょっと口では表せないわね・・・。
フレイもキラやアスランと同じくSEEDを持つ者だったのだ・・・しかし改めて考えてみるとこのフレイ・アルスタ−という少女は不思議だ、二ュ−タイプの素質があるだけでなくSEEDすら発動させてしまうとは・・・もしかするとこれはいろんな経験をした彼女の強さの表れなのかもしれない。
「あ、私先に部屋行ってるからな」
というとカガリは先に去って行った。
カガリを見てフレイは思った、あんないい子を嫌っていたなんて・・ううん、違う私は嫉妬していたのかもしれない、幸せそうに・・・恵まれているように見えた彼女に・・・私には両親がいないから、でも彼女も父親が亡くなったのは聞いた・・・それも本当の父親では無かったという・・・カガリも辛いのだ・・・可哀相なのは私よりも彼女の方かもしれないとすら思うこともある・・・カガリと友達になろう、ううん親友になろう。
「離してったら!」
「キラ、私は!」
そんな時キラとミリアリアが通路の奥から姿を現した。
逃げようとしているキラに追いすがり付きまとうように手を引っ張るミリアリアの姿があった。
「キラ?ミリアリア?」
フレイは二人の方へ向かった。

148ミリアリア・あの子許せない 81:2004/03/23(火) 06:30
第2部 6. 私はキラの特別…… 5/7
[トールとキラの遺品。私が持って行ってもいいでしょうか?]

翌日、ディアッカは釈放され、オーブの係官に連れられてアークエンジェルを降りた。
通路で、それを見かけた私は、軽く会釈して、ディアッカを見送った。

私は、そのまま艦長の部屋へ行き、退艦の意図を告げた。

「そうミリアリア、残念だわ。あなたの働きは、とても優秀で惜しいとも思うけど。
 あなたが、そう思うのなら仕方ないわ」
「済みません。最後の最後に我が侭言って」

私の考えじゃない。キラの命令。私は、それに従う。私は、それで幸せだ。
昨夜は、何も考えずに眠れた。何一つ考えずに……

「それと、お願いなんですが」私は艦長に尋ねる。
「何、ミリアリア?」

「トールとキラの遺品。私が持って行ってもいいでしょうか?」
「どうして? トール君のは分かるけど、キラ君のなんて」

「キラ、あれには手を付けてませんし、私には思い出のものなんで」
「それは、キラ君に直接、お願いしたほうがいいわ。トール君のは、私の方からも、
 お願いする。トール君の両親に渡してあげて」
「はい、艦長」

「本当は、私がお詫びに行かなきゃならないのだけど、私の立場は、あまり良くないから、
 モルゲンレーテからは、あまり外に出られないの。辛いこと、お願いして悪いけど、
 トール君のこと、私からも申し分け無かったと伝えて頂戴。お願いね」

艦長は、私に頭を下げていた。

「分かりました」

今まで、キラのことで誤解していた艦長。私は涙ながらに艦長の言葉を素直に受け止めた。

* * *

<トリィ! トリィ!>

「トリィ黙りなさい。邪魔しないで」

私は、まとわりつくトリィを生きている鳥であるかのように、言葉をかけながら追い払う。
まるで、トリィを生き物だと思っていた、あの子のように。

<トリィ!! トリ、トリィ!!!>

「トリィ邪魔よ! あっち行ってなさい!!」

私は、トリィを追い払うと、ロックのかかっていないキラの部屋から出た。
キラの遺品箱を持って……

私は、キラの部屋から遺品箱を自分の部屋に黙って持ってきた。
私には分かっていた。遺品箱を持って行くのをキラが許さないことを。
そして、あの子が帰ってくるかもしれないから、キラは、このまま置いておきたいということも。
キラに頼みに行っても、そこでキラに持って行くなと命令されれば、今の私には逆らえない。
結局、私は、キラに黙って遺品箱を、密かに自分のバッグに入れた。

自分がしていることが、どういうことなのか、自分でも説明できなかった。
昨夜から、何も考えられなかった。キラの命令だけが頭の中に響いて、何一つ。

149ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/23(火) 06:32
>>流離う翼たち
アズラエル出ましたね。マリューさんは、単に第一印象だけで、もう嫌っているみたいですけど。
しかし、フレイ・アルスター少尉、トール・ケーニヒ少尉、ついにキラとタメですね。
キラとキースが昇進しないのは、関っている相手が相手だからしょうがないですね。

>>過去の傷
ティファがフレイと会えるってどういうこと? それはともかく、フレイ様がついにキラとミリィの
現場を目撃。これから修羅場でしょうか。

150私の想いが名無しを守るわ:2004/03/23(火) 19:34
>>ミリ
㍉視点で見ると、キラはラスボス並みの迫力です。
口調は、いつもと変わらないのに。不殺は端から
見れば、矛盾してますが、気持ちはわかりますね。
「もう、銃を撃ってしまった僕だから」←巧く当てはまってます。
>>過去の傷
ティファもナチュとコーディの区別は分からない
でしょうね。Xを見ましたが、ほんとフレイ様とは
真逆のおにゃの子ですね。アストレイ組も復活して
エターナルは騒々しさ増大ですね。
>>流離う翼たち
民間人さんは相変わらず、軍事や政治に口出しして
ますね。やっぱり、この人出ないと話がしまって
きませんね。マリューのリアクションは、まあ当然
というところでしょうか。
>> The Last War
C.E.最強のコンビ相手に、アプカリプスは引けを取
っていないですね。堂々としてます。アスランは、
普段冷静な分だけこの手の危機の時は安易な死を選択
したりするので見てて危なかっしいですね。

151流離う翼たち・440:2004/03/23(火) 22:17
 これで会見は終わりの筈だったのだが、何故かソファーに座る民間人がキースを呼び止めた。

「まあ待ちたまえ。久しぶりに会ったのだ。どうだい、旧交を温める意味でも一緒に飲みにでも?」
「・・・・・・お前と温めるような関係があったか?」
「酷い事言うね。これでも僕は君を喧嘩友達だと思っていたんだよ」

 やれやれと肩を竦める男に、キースは仕方なくその足を止めた。

「いいいだろう。で、何処に行くんだ?」
「任せておきたまえ。僕が誘うんだ、それなりの所へ案内してあげるよ。ああ、何ならそちらの皆さんも一緒にどうです?」

 男から誘われた7人はどうしたものかと顔を見合わせる。どう考えてもこの男は友達になれそうもない男だが、断ると後で色々と問題になる気もする。

「・・・・・・分かりました。私とフラガ少佐でよければ」
「え?」

 俺も? と言いたげなフラガを目だけで制し、マリューは男の誘いに応じる答えを返したが、何故か男は首を縦には振らなかった。

「僕としてはそちらの少年少女の方に興味があるんだけどねえ」

 そう言って民間人の男はキラとフレイを見やる。その視線を受けたフレイはビクリと身を振るわせてキラの背中に隠れ、キラは何やら息苦しそうに身動ぎした。男はフレイの動きを見て意外そうな表情になった。

「おや、アルスター嬢はその少年を信頼しているのですかな。お父様が見たらどういう顔をなさるでしょうねえ」

 男の言葉にフレイの顔色が変わり、キースが顔を顰めて小さく舌打ちした。フレイはキラの背中から出て男に問いかけてしまう。

「パパを、パパを知ってるの?」
「勿論知ってますとも。まあ、余り付き合いがあったわけじゃないですがね」
「貴方は、一体誰なの。パパと知り合いって、政府の人なの?」
「まあ、政府の人では無いんですが、政府と関わりのある人ですよ。私は連合軍需産業理事を務めています、ムルタ・アズラエルです。君のお父様とも何度かあっていますよ。ついでに、そちらのキーエンスとは昔馴染みなんですよ」

 そう言ってアズラエルはキースを見る。キースは心底嫌そうに、だが真正面からその視線を受け止めていた。

「昔馴染み、ね」
「昔馴染みには違いないだろう。君は相変わらず僕の事が嫌いなようだけど、僕は君の事を結構気に入っていたんだよ。何しろ僕にはっきりと噛み付いてきたのは君くらいだったからね。鬱陶しくはあったけど、1人くらいは君みたいなのが居た方が良い」
「ふん、お前のやり方は過激過ぎる」
「相変わらず、甘い事だね。そんな事だからこんな戦争が起きたんだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あの日、君がパトリックとシーゲルを始末するのに賛同してくれてれば、事態がここまで悪化する前にコーディネイターどもの首根っこを押さえられたのにね」

 アズラエルの言葉にその場にいる全員がキースを見た。キースは表情を殺していたが、強く噛み締めている口元がその内心の憤りの激しさを示しているかのようであった。

152流離う翼たち・作者:2004/03/23(火) 22:31
>> 過去の傷
ティファがどうしてこっちに来れるのでしょう?
しかし、遂にミリィとキラの現場を見られたか。キラの命日は今日なのか?

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィさん、悩むのは後でも出来る。今はそのまま降りて平和を掴んだ方が良い
君の今の仕事はトールの両親に死亡報告をする事だ。

153過去の傷・89:2004/03/23(火) 23:10
「キラ、そんなんじゃ分かんないわよ!」
「もう十分断っただろ!」
「ちょっとキラ!ちゃんと部屋で話し合うわよ!」
強引に自分の部屋にキラを連れ込もうとするミリアリア。
そんな時通路からフレイが歩いて来た。
「あ、フレイ!」
キラはミリアリアの手をなんとか振り払うと逃げるようにフレイに駆け寄った。
「どうしたの?」
「ミリィが・・・付き合えって・・・断ったんだけど、しつこいんだ」
「キラ!!!」
「ミリアリア、もうやめなさいよね」
フレイはキラを守るようにキラの前に立った。
ミリアリアは少し冷静になると・・・。
「フレイには関係ないわ、向こう行ってて、私はキラに話があるの」
「だからそれをやめてって言ってるの、キラだって嫌がってるじゃない、そういえば昼間もブリッジでキラに言い寄ってたでしょう?聞こえたんだから、もうやめてくれない?」
その言葉にミリアリアの顔がだんだんとこわばってきた。
「フレイには関係ないって言ってるでしょう!?私はただキラと話したいだけなのよ」
「関係なくなんかないわよ」
「・・・・・・」
「それにこの状況じゃどう見ても嫌がるキラにあんたが付きまとってるように見えるんだけど」
その言葉にミリアリアの表情が一気に険しくなる。
「なによそれ・・・なにが言いたいわけ?」
「だから迷惑だって言ってるの、もうキラに付きまとったりするのやめて、キラが可哀相じゃない、ト−ルがいない寂しさも分からなくはないけど・・・キラには関係ないでしょ、それに私だって練習で疲れてるのよもうやめてくれないかしら、キラ行きましょ」
そう言うとキラを連れて去ろうとした。
「フレイちょっと待ちなさいよね!!!」
(!この感じ・・・来るわ)
ミリアリアがフレイに背後からつかみかかってきた、しかし知っていたかのようにそれを簡単にかわしたフレイは逆にミリアリアの手をひねるとそのまま地面にたたきつけた。
「きゃあ!」
地面に伏せるミリアリア、その彼女を冷たくけいべつしたような目でフレイは見つめると冷たく告げた。
「いいかげんにして!本気で喧嘩したらあんたが私に勝てるとでも思ってんの!?」
「・・・フレイ・・・」
このフレイの行動にはキラも驚いているようだ。
「とにかく・・・もうやめて、キラ・・・部屋に戻るわよ、私達の部屋に」
「うん」
フレイが先に歩き出す。
「キラ!」
ミリアリアがキラの肩をつかんだ・・・しかしキラはその手を離しミリアリアを少し睨みつけるとフレイのあとを追った。
残ったミリアリアは・・・。
「バカ・・・」
二人の後姿を物凄い形相で睨みつけていた、まるでディアッカをナイフで襲ったときのような表情だった・・・。

その頃・・・。
「フレイの奴、いいかげん遅すぎるぞ」
カガリが部屋で一人呟いていた。

ここはサイの部屋だ。
「・・・・・・」
一人本を読んでいた、そんな時だれかが訪ねてきた。
「サイさん♪」
ジュリだった、この二人は昼ずっとデ−トしていた、読書だけだが・・・気が合うらしい。
「あ、やあ入りなよ」
「失礼しますね」

「サイさん」
「ん?」
「私達って気が合いますね」
「ああ、そういえばいろいろと」
「あのサイさん」
「なに?」
「私・・・彼氏募集中です」
「え?」
「サイさんはいま彼女とかいるんですか〜?」
「ええと・・」
そういえばとサイは思い出した、カガリのことだ・・・しかしだれがみても彼女が本気のようには見えない。
「彼女?いないよ」
「そうですか・・・よかった」(サイさんって優しい)
サイは思った、この子とは付き合っても気も合うし面白そうだな・・・と。
「あのさ・・・」
「なんですか?」
「俺と・・・付き合わない?」
その言葉に嬉しそうに飛び跳ねた。
「もちろんです!」(やった彼氏出来た!それも優しそうだしサイさん顔もいいしやった!マユラ、アサギ・・・先行くね)

154過去の傷・作者:2004/03/23(火) 23:19
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ・・・キラの奴隷だ・・・可哀相すぎるぞ・・・ていうかこのキラはもう普通じゃない、戦争の血についに染まったか。
ミリィもう、キラのことは完全に忘れて自分のこれからの人生切り開いてね。
>>翼たち
アズラエル登場ですか、あいかわらず嫌なやつですね、まあフレイ様のお父様とはお知り合いでしょうね、ブル−コスモスということで。
キ−スさん修羅場に?

155ミリアリア・あの子許せない 82:2004/03/24(水) 05:20
第2部 6. 私はキラの特別…… 6/7
[今度会えたら。君のことミリィって呼んでいいかい]

私が艦を降りることを決めたのを聞いて、サイは、私の四人部屋を尋ねてきた。
サイは残念そうに言った。

「そうか、降りるんだミリアリア」
「うん」

「ミリアリア、君の決めたことなんだから仕方ないな」
「サイ、ごめんね。今まで慰めてくれたのに、私、何もお返しできなくて」

「こっちこそ、そんなミリアリアの想い分からなくて。
 俺ってさ、ミリアリアが降りるはず無いって思い込んでたんだよ。
 俺に付いてきてくれるって勝手に思い込んでて。やっぱり馬鹿だな俺って」
「そんなことない。サイは悪くないから。今でも頼ってる。また会いたい」

サイは、優しい言葉をかける。
「きっと、戦争が終わったら。また会えるよ」

私はサイに熱い視線を送る。私はサイを好きにならなきゃいけない。
キラを忘れる。それが、キラの命令……

サイは、少し迷った素振りを見せた。そして決意したように言った。
「なあ、今度会えたら。君のことミリィって呼んでいいかい。キラやトールみたいに」

「うん、いいわ。でも、不思議だったの。なんで、ミリィって呼ばないのか。
お父さんも、お母さんも、トールもキラも、みんな、そう呼んでたのに」

「遠慮してたんだよ。君とトールとキラ。いつも三人でいて仲良くて、俺達、入りこめなくてさ。
 ミリィは、三人だけの呼び名だと思っていた」
「お母さんが小さい時から、そう呼んでただけだもの。別に特別じゃない」

私は、そう言ってハッとした。気がつかなかった。
『ミリィ』は、私達カトウゼミの中では特別な言葉。それを、キラは最初から使っていた。
私はキラにとって最初から特別だったんだ。トールにとっても。

そして、キラにとっての特別の意味は違う。私が考えたくも無い意味の特別な……
はは、やっぱり、私、特別だったんだ。キラに最初に会った時から、もう既に。
はは、あはは、私って馬鹿だ……

「サイ……」
「ミリアリア……」

私はサイと別れのキスをした。長い長いキスをした。

「じゃあ、行くよ」サイは言った。私は、サイに縋るような視線を送る。

「退艦の準備大変だろうけど。俺も仕事あるから」
サイは何かを振り切るように言った。

「さよなら、ミリアリア。この次はミリィって呼ぶよ」
「さよなら、サイ」

サイは、私の四人部屋を出て行った。真面目なサイは、最後も、やはり私を奪ってくれなかった。
サイが言えば、私は何も言わず身を任せたのに……

私は、サイに心の中で呟いた。
(今度ミリィって呼ぶ時には、私を奪って。キラを忘れさせて……)

156ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/24(水) 05:25
うちのSSで『ミリィ』と呼ぶ人は、最初から意図的にTV本編と変えていました。今回伏線回収します。
昨日のトリィの出番。実は投下直前に入れました。いつも、トリィの出番は、最初、気づかなくて
後から忘れてたってことで慌てて追加してます。難しいキャラですね。

>>流離う翼たち
TV本編では、アズにはアルスター家のこと思い切りスルーされましたが、知ってるはずですよね。
これからフレイ様、アズにパパのこと、いろいろ聞く事になるのかな?

>>過去の傷
想像通り、あの修羅場が再現されましたね。恐いミリィ状態になって、これから一体何が……
ジュリとサイは、いい雰囲気ですが、ジュリはロウはもういいのかな。樹里と争ってたけど、身を引いたみたいだし。

157流離う翼たち・441:2004/03/24(水) 23:08
 アズラエルはキースを楽しげに見やると、小さく笑いながら言い過ぎた事を謝罪してきた。

「悪いね、少し言い過ぎた。あの時に今のような事態を予想しろと言っても無理な話だしね」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ、今日はこれで別れるとしよう。君に殴られたら怪我じゃすまないからね。そう、明日の午後3時ぐらいに人をやるとしよう。ここにいる全員を食事に招待しますよ。何か聞きたい事があるのでしたら、その時にお答えしましょう」

 アズラエルはソファーから立ち上がると、キースの肩をポンと叩き、薄笑いを浮かべて部屋から出て行った。残された人々は何も言わず、ただ棒立ちしているだけのキースに戸惑った視線を向けている。彼がここまで言われ放題になるというのは、いつのも彼を知る者には信じられない事だったから。
 暫くの間、じっと何もいわずにその場に佇んでいたキースであったが、やがて、妙に重々しい息を吐き出すと、スレイマン少将に敬礼をして踵を返した。その背後にナタルが手を伸ばしかけたが、その背中が触れられるのを拒んでいるように見えて、空中で空しく停止してしまう。キースはそのまま何も言わず、黙って司令室から出て行ってしまった。


 キースが出て行った扉を呆然と見ていた7人だったが、ようやく思い出したかのように彼らも司令官オフィスから出て行った。だが、誰もが一様に不満と疲れを見せており、昇進したばかりの軍人にはとても見えなかった。

「アズラエルですか。なんか、人目で嫌な人だと思っちゃいました」
「同感、出来れば2度と会いたくないな」

 キラとトールが愚痴る。よほど印象が悪かったのだろう。いつもなら窘めるナタルやノイマンさえ小さく頷いているのだから、その第一印象の悪さは想像を絶するものがある。ちなみにマリューはアズラエルの名を口にする事さえ嫌だと言いたげに顔を顰め、フラガは不機嫌そうなマリューの様子にどうしたものかと頭を悩ましていた。
 だが、その中でただ1人だけ、アズラエルに興味をもっている者がいた。自分にしか聞こえない程度の声でボソボソと内心を呟いている。

「なんで、ブルーコスモスのTOPと、パパが知り合いなのよ?」

 フレイだ。フレイは父があのような男と知り合いであったという事にショックを受けていたが、同時に湧き上がる疑念を抑えられなくなっていた。そう、自分の父親がブルーコスモスだったのではという疑念を。もしそうならば、父親が自分にコーディネイターを嫌うような言動を繰り返していたのも頷ける。てっきり仕事の都合で問題ばかり起こすコーディネイターを嫌っているのだとばかり思っていたのに、ブルーコスモスに加わる程の憎悪をコーディネイターに対して抱いていたのだろうか。

「もしそうなら、私は・・・・・・」

 ブルーコスモスの父を持つ娘が、コーディネイターに惹かれるなど滑稽を通り越して性質の悪いジョークだ。昔話の敵味方に別れた男女の恋物語じゃあるまいし、現実に起きたら誰もが軽蔑するであろうシチュエーションだ。そして自分は物語の主人公やヒロインを真似できるほどに強くはない。

 ナチュラルとコーディネイター、これまで必死に問題は無いと自分に言い聞かせてきた現実が、再び自分の前に立ち塞がってきたのだ。自分はキラが好きだ、この答えには偽りはない。だが、現実は自分の想いを否定するのではないのか。自分の気持ちが如何であれ、世界の流れは自分の想いを許さないのではないのか。今この瞬間にも何処かでナチュラルとコーディネイターは戦い、血を流している筈だ。その現実を前にすれば、自分の想いなど、暴風の前の蝋燭の灯火にも等しいのではないのか。
 フレイはいつも自分の中にあるもう1つの答えと再び向き合う事態に直面する事になった。そう、自分の想いは、間違っているという答えに。

158過去の傷・90:2004/03/24(水) 23:11
「え?カガリと?」
「そうなの、ごめんね・・・あ、キラその・・・ミリアリアが来るかもしれないから・・・サイのところかどっかに行ってて」
「うん、分かった」
「それじゃ」
フレイは出て行った。

「カガリごめん遅くなっちゃった・・・て・・・寝てるし」
待ちくたびれたのかカガリはベッドの中で寝ていた。
カガリを見ているうちフレイはついカガリの寝顔の可愛さに見とれてしまった。
「・・・可愛い」
ほんとこうしてみると可愛いカガリって、みとれちゃった。
そして自然にベッドの近くまでくるフレイ。
「もう風邪ひいたらどうするのよ」
シ−ツが半分でかかっていたのでちゃんとかけてやる。
「カガリ・・・おやすみ・・・貴女はほんとに可愛いわね」
カガリの頬に軽くキスをすると部屋を出た。

フリ−ダムの前まで来ていたミリアリアは。
「・・・・・・」
フレイ・・・あの子に出来て私に出来ないわけないわ、だいたいさっきのはなによ偉そうに・・・あの子にあんなこと言う資格あるわけ?なによちょっといい子になったからって・・・。
私に説教?あの子がア−クエンジェルでキラやサイにした行為に比べたら私のなんて可愛いものじゃない、それなのになによ自分のやってきた行為を棚に上げてよく言うわ。
フリ−ダムに乗り込むミリアリア。
「私だってやればできるはずよ・・・負けられないわ」
私にとって今日の夜の出来事は屈辱だった、キラ・・・私の気持ちなんで分かってくれないのよ!寂しいのに・・・ト−ルの代わりになってくれるだけでいいのに・・・。


通路に出たフレイは・・・夜といっても艦は明るいのでいつも昼に近い。
「あれれ〜キラさんの彼女!」
マユラと会う。
「あ!あんた!ちょっとねえ!」
「それどころじゃないんです!だれかがハッチを開けたみたいで」
「フレイ!」
「サイ?」
サイとジュリが部屋から出てくる。
「キラは?」
「分からないわ、たぶん部屋にいると思うけど」
「そうか・・・いやそれどころじゃないんだ!誰なんだよ勝手にハッチを開けたのは!」
とにかくまずブリッジに向かった。
「いやミリアリアっていう通信してるお嬢ちゃんがたしかうろうろしてたぞ」
「え!?ミリィが!?」
「・・・ミリアリア・・・」
モニタ−で確認する。

「ええと・・・どうするんだっけ・・・」
なんとか起動したミリアリアだったが。
それからは動かすことが出来ない、歩くことすらできないのだ・・・。
「あ、こうよこう!」
もちろんだがフレイのように動かすことは出来ない・・・それどころか・・・。
「あ、やだ、きゃあああ!!!」
ついにフリ−ダムは転倒してしまう。
「・・・・・・」
そんなはずない・・・あの子に出来て私にできないなんて・・・そんなこと・・・こんな屈辱的なことってあんな閉じこもってた子に私は負けるの?ずっとフレイなんかより近くで戦闘を見てた・・・いつも逃げてた臆病者のあんな子とは違うって思ってたのに・・・。
「いや・・・いや・・・なんで・・・なんでよ・・・いや・・・いやあああああ!!!」
ミリアリアは操縦席で絶叫でして泣いた。
ブリッジにも聞こえた。

「ミリィ・・・」
いま来たキラが虚しそうに呟いた。
(バカだなミリィは・・・)
「キラ行きましょう・・・こんなの見てたってしょうがないわよ」
「そうだね、僕達には関係ないしね」
フレイはキラを優しく抱きしめると・・・手を繋いで二人は部屋に戻った。

159流離う翼たち・作者:2004/03/24(水) 23:14
>> 過去の傷
はわわわ、恐ろしい、フレイ様が昔のサイになってる
一方のサイはなんだか幸せを掴めそうだけど、カガリ、暴走しちゃ駄目だよ

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィは降り、サイは残りましたか
ミリィはオーブ戦をAAの外から見るのでしょうか

160過去の傷・作者:2004/03/24(水) 23:20
>>ミリアリアあの子許せない
うむ・・・ミリィの気持ちもすごく分かるんですよ・・・でもなあ。
サイに奪ってほしかったんですね、ミリィなりにキラを忘れようとしてるんですね、艦を降りた彼女の運命は?ディアッカとはこれで終わりなんでしょうか?
>>翼たち
フレイ様・・・これはいつかは乗り越えなければいけない壁です・・・フレイ様戸惑ってますね、これでなにも影響がなければいいんですが・・・。

161ミリアリア・あの子許せない 83:2004/03/25(木) 04:28
第2部 6. 私はキラの特別…… 7/7
[特別な私に、さよなら……]

翌朝、私はいつもの四人部屋のベッドで目を覚ました。昨夜も、よく眠れた。
キラの命令を反芻して、それに従っている自分に心地よく体を揺られながら
眠りについていた。夢も見なかった。

私は、真新しい下着に替えると、連合の軍服の代わりに、退艦のためにオーブから
支給された質素な服に着替えた。今までの普段着はワンピースが多かったけど、これは
払い下げらしいシャツとジーンズだった。これからは、戦争から逃げ回るだけになる私には、
この方がいいのかもしれないと思った。

ヘリオポリスからアークエンジェルに乗り込んで、自ら志願して着せられたピンクの
見習い兵の軍服。それは昨夜畳んで、使っていないベッドの上に置いてある。
私の軍服は、このまま置いて行く。悲しい想いの詰まった軍服は、もう必要なかった。

ヘリオポリスのころの私服や、持ち出しを許された身の回り品はバッグに詰め込んである。
トールの遺品箱も入っている。そして、密かに持ち出したキラの遺品箱も……
私のバッグは大きく膨れている。

時間が来た。私は、その大きなバッグを持って、長い間住み慣れた四人部屋を見回した。
上の段のベッドに、相部屋だった時の、あの子のイメージが少しだけ浮かんだ。

「あの子…… 許せない」

私は、一言だけつぶやいて、私の四人部屋を出た。

私は、みんなに見送られながらアークエジェルを降りた。最後の退艦志願者だった。
サイは手を振っていた。艦長とフラガ少佐は悲しそうだった。なぜか、また、カガリさんが
キラと一緒に見送っていた。

「さよなら、ありがとね、みんな」 私は最後の挨拶をかわす。
「さよなら」 みんなは答えた。

キラは、やはり無言だった。無表情な、その顔は、私には冷たくて残酷に見えた。

* * *

オノゴロにあるオーブ政府の受け入れ事務局で、私は故郷の両親に連絡を取った。でも、
両親には連絡がつかなかった。私が降りるまで迷って時間がかかったのと、その間に、
オーブと連合との情勢が悪くなり、自主的に国外退去した人も多くて、両親も、それに
含まれるかもしれなかった。とにかく、私の故郷まで行って、そこから行方の手がかりを
探すしかなかった。

トールの両親とは連絡が付いた。私は、とりあえずトールの両親に会うことにして、
受け入れ事務局を後にした。

オノゴロから、オーブ本土に向かう連絡機が発進した。窓に見えるオノゴロが離れて行く。

私は、最後にそっと呟いた。
「さよなら、キラ」

そして、キラの特別な私に、さよなら……

162ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/25(木) 04:32
ミリィSS、5, 6章終わります。今あるメモだと、これで第2部の半分くらいです。これから舞台はオーブに移ります。
次は、フレイSSに戻ります。ここで新しいオリキャラが登場します。

>>流離う翼たち
お話しの世界では望まれない二人のシチュには憧れますが、実際、自分がそうなると醒める気も分かります。
まわりの環境はフレイ様の自身の心とは関係無いはずなんですけど、実際には、それで壊れてしまう関係も多いのでしょう。
別に、どちらの結論を出しても、間違いでは無いです。

>>過去の傷
ううむ、ミリィがサイの二の舞を…… でもキラとフレイの反応が冷たすぎる。さらに、一波乱ありそう。

163流離う翼たち・442:2004/03/25(木) 21:48

 窓から注ぐ朝日に、ナタルはゆっくりと半身を起こした。何となく頭が重いのは昨日飲み過ぎたせいだろう。昨日は司令部を後にすると、そのまま艦長が買い込んだ酒をフレイの家に持ち込んで・・・・・・

「ふう、艦長の酒豪ぶりも恐ろしいが、まさか子供達があんなに飲むとはな」

 水でも飲むかのように平然とビールを開けていくフレイとカガリの姿には流石に驚いてしまった。ミリアリアはまあ人並みだったが、それでも平然と飲んでいた。マリューに至ってはもう空の酒樽の如く飲んでいたから恐ろしい。
 狂乱の酒宴は怒涛の暴露トークへと雪崩れ込み、マリューの過去やら自分の経歴やら、果てはフレイとキラの経験談にまで及んだのだ。


「何、2人は二桁経験済み!?」
「艦内でそんな破廉恥な事を・・・・・・」
「「・・・・・・・・・(黙って聞き入っている)」」
「うう、でもキラって酷いんです・・・・・・もう疲れたって言っても盛った犬みたいに延々と」
「まあ若いからねえ」
「そ、そんな破廉恥な、事を・・・・・・」
「「・・・・・・・・・(現在妄想中)」」
「一番酷い時なんか5時間ぶっ続けで・・・・・・もう腰が痛くて痛くて」
「・・・・・・超絶倫人ね」
「プシュ〜〜〜(どうやら限界を超えて体内ブレーカーが落ちたらしい)」
「「・・・・・・・・・・・・(現在妄想中)」」


 思い出してしまい、襲い来る頭痛に顔を顰めた。あれは地獄絵図だった。いや、早々に戦線離脱した自分はこうして誰のものかも知れないベッドを占領して朝を迎えたわけだが、果たして下はどうなっているやら。

「余り見たくはないが、そうもいかんだろうな」

 仕方なくベッドから降り、皺だらけになった私服はまあ諦めてトコトコと一階に降りると、案の定残りの4人はリビングで泥酔死体と化していた。マリューは酒瓶抱えて横になっているし、ミリアリアとカガリは背中を合わせるようにして座った姿勢のまま眠っている。どういう訳かフレイだけはタオルケットをかけてソファーを占有していた。全員潰した後に1人だけきちんと寝たのだろうか。
 我が弟子ながら、この辺りは実に侮れない少女だ。すでにハリセンをマスターしたというし、本当に物覚えが良い。

「ふむ、まあ、放っておいても大丈夫だろう」

 そう確信すると、ナタルはリビングを横切って家を出て行こうとしたのだが、リビングの戸に手をかけたところで声をかけられた。

「帰るの、ナタル?」
「艦長、起きていたのですか?」
「ええ、あれくらいで酔い潰されたりしないわよ」

 そう言って上半身を起こしたマリューは、大きな欠伸をしつつきょろきょろと辺りを見回し、潰れている3人を見て優しい笑みを浮かべた。

「まあ、本当ならいけないんでしょうけど、たまにはこういうのも良いかなと思ったのよね」
「艦長は随分楽しんでいましたからね」
「お酒があればとりあえず幸せよ」

 はっきりと言い切るマリューにナタルは額を押さえたが、すぐに立ち直ると扉を開けてリビングを出て行った。彼女も随分と逞しくなったものだ。

164流離う翼たち・作者:2004/03/25(木) 22:00
>>過去の傷
2人とも、なんだか冷たい。ミリィがサイ化してるのはちょっと怖い
1人平和を勝ち取るのはサイなのだろうか・・・・・・

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィさん、やっと艦を降りましたか。とりあえずトールの両親の戦死の報告ですね
ある意味これが一番辛い仕事なのだが。ミリィを見送るキラの冷たさは、はたして錯覚か?

165過去の傷・91:2004/03/25(木) 22:58
部屋の前でフレイはキラだけ先に部屋に戻らせた、カガリのあの可愛い寝顔がまた見たいのである。
「・・・・・・」
カガリはベッドの上で静かに眠っている。
カガリの顔に顔を寄せる。
「カガリ・・・大好きよ」
起こさないようにシ−ツをゆっくりと取るとカガリの胸に顔を埋めた。
「気持ちいい」
数分そうしていたが・・・。
「カガリ・・・おやすみ」
シ−ツをかぶせカガリの頬にキスすると部屋を出た。

「ただいま」
「おかえり」
フレイは思った。
ミリアリアはなぜあんな行動を取ったのだろうか・・・いまだに信じられなかった、私に対抗するため・・・?もしそうだとしたら・・・でもだからといって・・・あそこまでするだろうか・・・機体を動かそうなんて・・・それにしてもこの頃の彼女は変だ・・・フレイがそんなことを考えていると・・・。
ミリアリアが入ってきたのだ。
「キラ入るわよ」
「ミリィ・・・」
「なんの様よ?」
ミリアリアはフレイの言葉を無視しキラの手を取る。
「キラ、部屋に行くわよ」
「いやだよ僕は!」
「来るの!!!私の部屋でちゃんと話し合うわよ」
「話なら十分しただろ!もういいかげんにしてくれ!こんな時間まで押しかけてきて!」
ほんとうんざりするわね・・・ト−ルがいないからって、この女どこまでいつこいのかしら。
仕方ないわね。
フレイはキラの手を引っ張るミリアリアの手を振りほどいた。
「なにするのよ!」
「なにするのよじゃない!」
なんでよ・・・なんでどいつもこいつも・・・。
「出てって!」
なんで・・・唯一の宝まで私から取ろうとするの・・・?
ミリアリアを部屋から突き出すと転んだ彼女を冷たく見下ろすと告げた。
「私が・・・いままでどんな気持ちでいたか・・・」
私の気持ちなんて知りもしないくせに・・・でもキラだけは・・・。
「キラは私を許してくれたわ・・・優しくしてくれた・・・こんな私みたいな女を好きになってくれたわ・・・私みたいな女を・・・キラだけだった・・・」
私はミリアリアを鋭く睨みつけると言った。
「私がどんな気持ちで・・・ザフトにいたか・・・ドミ二オンという艦でどんなに怖い思いをしたか・・・誰を分かってくれようとしなかったくせに!!!私のキラを取ろうとしないで!なんでよ・・・なんであんたもラクスも私のキラを取ろうとするわけ!?私は幸せになっちゃいけないの!?」
これを言うのは卑怯かもしれない、でも・・・止められなかった・・・そうキラだけじゃない、カガリもティファだって私のことを理解してくれている、それは分かっている。
ミリアリアも私の言葉に圧倒されたのかなにも言えずにいた、そして驚いたような表情を浮かべている。
私はドアを閉めた。
外からミリアリアの声が聞こえた。
「馬鹿・・・なによ!!!・・・キラ・・・私あきらめないわよ・・・ト−ルの代わりになってもらうんだから・・・そのことを忘れないでよ」
それから声は聞こえなくなった。

「ミリィ・・・馬鹿だよね」
「え?」
「フレイに敵うはずなんかないのにほんとに馬鹿なんだから」
「キラ・・・」
「うう・・・フレイ・・・」
「大丈夫よ・・・私はキラの側にずっといるわ」
「フレイ・・・」
フレイは軍服の上着の脱ぎタンクトップ姿になるとキラの顔を手で胸に埋めさせた。
「キラ・・・私がずっといるからね・・・」
「うん」

次の日の朝である。
「ミリアリアさん、どうして呼ばれたか分かってますね?」
「はい」
ここはラクス・クラインの部屋だ。
ミリアリアは朝からラクスに呼び出されたのだ、側にはアスランが目を閉じながら立っている。
「なぜあのようなことをなされたのです?」
「それは・・・」
まさかフレイに負けたくないからなんて言えないわよね・・・。
「まあいいでしょう」
「・・・・・・」
「ただ貴女が犯した行動について私は許すおつもりはありません、無断で機体に搭乗するなど」
「でも、私だって軍人だし」
「お黙りなさい!!!たかが二等兵ごときが私に逆らうおつもりですか!?」
ラクスは鋭い視線でミリアリアを睨みつけた。

166過去の傷・作者:2004/03/25(木) 23:11
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ降りましたね、キラそれにしても冷たすぎやしませんかね?まあ分かっていたことではありますけど。
そしてト−ルの両親に彼の死を報告・・・辛いだろうなあ。
>>翼たち
おいおい、いいのかよフレイ様・・・お酒はほどほどに・・・ってそれどころじゃない、カガリもミリィも未成年でしょう!いけませんね、でもさすがというかマリュ−さんは強いですね、ミサトさんといい勝負したりして?

あの聞きたかったのですが・・・ミリアリア・あの子許せないの作者様もミリィお好きですか?私はミリィ大好きですね、SEEDキャラではフレイ様は当然ですがラクスに続いて好きですね、いえそのミリィも主役になってますので一度聞きたかったものですから・・・変な意味はありませんので。

167ザフト・赤毛の虜囚 34:2004/03/26(金) 21:55
7.幼子(おさなご) 1/8
[こんな自分をキラに見られなくて良かった]

パナマでの戦争が終わって、また、私は潜水艦の士官用個室に幽閉されている。

私は戦争の後、放心したままだった。いくら、キラを継ぐ思いを受け入れたとしても、
今の私に出来ることは何も無い。ただ、先の分からない不安に支配されるだけだった。

すでに、自分を守るための銃も失っている。今、私にクルーゼが迫ってきたら、私は
抵抗しきれなかっただろう。でも、クルーゼは逆に、潜水艦に戻って大人しくなった
私に迫ることは無かった。一日、二度、私に食事を運び、机で書類整理の仕事をして、
ときどき、疲れたようにソファーで眠る。そして、夜の時間帯だというのに、部屋を出たまま
帰って来ない。私は、そんな様子をベッドに横たわりながら虚ろに見つめていた。

私に無関心なクルーゼに、以前なら逆に女のプライドを傷つけられたかもしれない。
だけど、今の私には、それが当たり前なのだと思った。今までと打って変わったように、
男を拒む気持ち。もしかしたら、キラに対しても手酷く拒んでいたかもしれない。

それ以外にも、私は、今の自分に女の魅力など、ひとかけらも感じなかった。
私は、アラスカで捕虜になってから、一度もシャワーも着替えもしていない。クルーゼは
士官用個室にあるシャワーを自由に使っていいと言うけど、いつ、クルーゼが入って来るかも
分からない中、おいそれとシャワーを使えるものでは無かった。髪はボサボサになり、
今、私の体からは、酷い匂いがしている。元々、それがいやで、アークエンジェルにキラといる時は、
こまめにシャワーを浴び、香水も付けてキラと寝ていたくらいだから、捕虜になって一週間、
着替えもせずにいたらどうなるか分かるだろう。また、特にショーツの汚れが酷かった。
私は、その嫌悪感に堪えられなくなる一歩手前まで来ていた。パパに恥ずかしかった。
私はかえって、キラがいないことに安堵していた。こんな自分をキラに見られなくて良かった。

元々、クルーゼの部屋であるここには、女物の替えの下着など見つからない。また、クルーゼに
それを頼むのも、クルーゼの寝た子を起こしそうで躊躇われた。仕方ない、せめて、今のを洗わないと。

クルーゼが、朝、私に食事を運んで出て行った後、だいたい昼過ぎまで帰って来ない。私は、
思い切って服を脱ぐとシャワーを浴びた。石鹸は安物で、私がキラの部屋に無理を言って揃えさせた
高級石鹸では無い。私の体臭を、すべて洗い流すものでは無かったけど、久しぶりの熱い湯を全身に浴びて、
心も少し落ち着いたような気がした。私は自分の体を鏡に写してみる。手であちこち触ってもみる。
そこに、以前との変化を感じることはできない。だけど、私はパナマで感じたことはきっと真実
なのだと確信していた。

私は体を奇麗にすると、今度はショーツに石鹸をつけて洗いだした。とりあえず、今はこれで
我慢するしか無い。アークエンジェルの雑用係りのころなら、新しい下着を準備するのは
訳なかったのに、あの時はいやらしい意味でしか仕事の立場を使っていなかった。今は、真面目な
意味で必要だというのに。

洗ったショーツと髪を交互にドライヤーで乾かしながら。私はショーツを穿かずに服を着た。
クルーゼが、いきなり入ってきてもなんとかごまかせるように。私はベッドの毛布で下半身を隠し、
ドライヤーでショーツを乾かしている。スカートの下に違和感を感じる。私は、なんと破廉恥な真似を
しているのだろう。

だけど、私は、この感覚が不快では無い。というか、既にこういうシチュエーションは経験済みなのだ。
キラの前で……

あれは、私が腰痛で動けなかった時のこと。今は私から失われてしまった、キラを狂おしいほどに
求めていた記憶を。

168ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/26(金) 21:58
フレイSS新章開始します。

>>流離う翼たち
フレイ様、ポッ…… マリューさん、猥談にも酒にも平然としてますね。やはり経験が違うか。ナタルさんもガンバレ。

>>過去の傷
ついにラクスまで怒らせてしまいましたか、ミリィの運命や如何に……

私もミリィは大好きですよ。中々、TV本編のストーリーには噛んで行けなかったのですが、
人を気づかう素振りや、それでいてディアッカに激情をぶつけるところが自然で良かったです。
その後は、特に小説版を読むと、もの分かりが良すぎてしまうのが、ちょっと残念でしたけど。

元々のミリィSSは別の意図もありましたが、TV本編のミリィがキラを気づかうシーンを
中心に膨らまして創作した、最初の「私、キラが好き」と言う台詞を書いた途端、ミリィ自身が
徐々に独り歩きを始め今に至っています。

169過去の傷・92:2004/03/26(金) 23:27
「私は逆らったりは・・・」
前にいるピンクの髪の少女を見る、私と年齢は同じぐらいなのに、なぜこんなにこの子に頭を下げなければならないのか、なぜこんなにかしこまなければならないのか・・・だがそれが軍というものだ、彼女はこの艦で一番偉い、それに比べて私はただの二等兵、立場がまったく違う、それに彼女はなにか威圧感があるのだ・・・たとえ彼女が自分と同じ地位にいても敬語を使うだろう。
「それが逆らってるというんです!」
「すいません」
「では処分を申し上げます」
ラクスが怒ってるからして・・・そんな時だった。
「あの・・・ラクス」
「なんです?アスラン」
側にいたアスランが口を挟んだ。
「彼女が行った行為は初めてですし・・・それに怪我人も出ず機体も傷ついてはいないのですから、今回だけは・・・」
「アスラン・・・分かりました、貴方がそうおっしゃるなら」
「ありがとうございます、勝手なことを言って申し訳ありませんでした」
「あ、あの・・・」
「ミリアリアさん、今回だけは一日だけ、謹慎処分とします、ですが食事は一日に一食、シャワ−は当然ですが禁止します、よろしいですね?」
「・・・はい・・・」
「あ、食事は誰に持っていってほしいですか?」
そう言われてミリアリアは・・・。
「サイで・・・サイ・ア−ガイル二等兵でお願いします」
「そうですか、分かりました、ではサイさんをこちらにお呼びください」
「え?」
「聞こえませんか!?サイさんをお呼びくださいと言ってるんです!人の話もちゃんと聞けないのですか!!!」
「あ、ごめんなさい・・・では」
ゆっくりとドアのほうに歩きかけるミリアリア・・・。
そのミリアリアにラクスは隣にいたハロを投げつけた。
「きゃあ!」
「早く行きなさい!私を待たせるおつもりですか!?」
「ごめんなさい」
ミリアリアは急いでサイを呼びに行ったのだった。

ここはカガリの部屋だ、フレイが来ていた。
「アストレイ三機?」
「そうだ、明日は私が指揮を取る、それでお前にはアストレイ三機を相手にしてもらうからな」
「分かったわ」

その夜。
サイとフレイは通路を歩いていた。
ミリアリアの部屋に入ろうとしていたところでサイが足を止める。
「フレイはミリィとは会わないほうがいいよ」
「え?」
「ほら、またミリィが怒り出したりしたらいやだろ?だから・・・」
そう言うとサイは一人ミリアリアの部屋に入って行った。
中から声が聞こえる。
「ミリィ、シャワ−は浴びられないけど一日だけの辛抱だから我慢して、いいね?」
「いいの、ありがとう・・・分かってるわ」

部屋の中からサイとミリアリアの話し声が聞こえる。
だめ、私は入ってはいけない・・・なぜなら私と彼女はいま不仲だから・・・でもそれは私のせいじゃないミリアリアが悪いのよ、キラを誘惑したりキラにしつこく付きまとったりしてるから・・・謹慎が解けたらまたキラに接近してくるだろう・・・。
「そんなことはさせないわ」
ト−ルがいないから代わりを彼女は求めているだけ、彼女には渡さない、キラは私だけのもの・・・誰にも渡さない。
私は自然に歩き出していた。
「・・・ミリアリア・・・自業自得よ・・・ざまあないわ」
そう彼女は自業自得だ・・・私には関係ない。

170過去の傷・作者:2004/03/26(金) 23:35
>>ザフト・赤毛の捕囚
フレイ様・・・それにしてもクル−ゼ隊長が憎い、よくもフレイ様を・・・そうかシャワ−も浴びられないのか・・・それは辛いでしょうね・・・特にフレイ様は・・・。

それからミリィやはり好きでしたか!答えてくれてありがとうございます、私はミリィのフレイ様とは違った可愛さ、活発なところ、頑張ってるところ・・・いろんなミリィが大好きですね・・・もっとキラと絡んでほしかった気もしなくはないですね、本編にも・・・もうちょっと活躍してほしかったです・・・。
(あ、フレイ様けっして浮気では・・・なぜここに・・・ぐわあああ!!!)

171私の想いが名無しを守るわ:2004/03/27(土) 02:55
>>167
気になるところで終わるなぁ。次回期待してます。
なんというか随所に見られる女性的な表現が好みです。

172ザフト・赤毛の虜囚 35:2004/03/27(土) 17:45
7.幼子(おさなご) 2/8
[素肌にシャツを着ただけの姿で]

アークエンジェルが太平洋を航海していたころ、戦闘でMIAになったカガリを捜しに、
キラが出て行ったことがあった。その時、私は船酔いで、戦闘中にアークエンジェルが
回転飛行をして、それがなお、一層ひどくなっていた。その私を置いてキラは出て行った。
私の心を麻痺させるようにして……

「フレイ愛してる。すぐに戻るから」

キラは、出て行く時、すぐに戻ると言ったのに、結局、一日戻って来なかった。出る時に、
キラがしたこと、言った言葉、それに、私は、いつしか船酔いも忘れドキドキしながら
待っていたというのに……

やっと戻ってきたキラに腹を立てて、回転飛行のせいで散らかったままの部屋にまで、
八つ当たりして文句を言う私を、キラがなだめながら片づけた。そして、その後のこと。

夜、キラと寝るベッドから抜け出した私は部屋のトイレで足を滑らせて腰を思い切り床に打ちつけた。
私は、しばらく立てないくらいだった。滑った理由や、転んだ後にあったことは、恥ずかしくて
思い出したくない。ただ、動けない私をキラが軽々と抱き上げてベッドに運んだことだけは、
ありありと記憶に残っている。私は思いもかけず力のあるキラに驚き、キラがコーディネータであることを
今さらのように意識するとともに、そのキラの逞しさに、感情を揺さぶられていた。

翌朝、私は腰の激痛で動くことさえできなかった。だけど、キラが医務室に連れて行くという申し出を、
私は頑強に断った。キラの部屋を出たくなかったのと、何より、腰痛の理由を聞かれる恥ずかしさが
あった。キラは、私の腰に医務室からもらってきた湿布薬を貼ると、腰に気を使って、私にキラの大きめの
シャツだけを着せて、安静にしているように言った。私はブラもショーツも付けずに、素肌にシャツを
着ただけの姿で、数日間、キラの部屋で暮らした。最初は違和感ばかりを感じていたけど、しばらくして、
慣れてしまった。部屋にはキラしか入って来ない。何を恥ずかしがる必要があるのだろうと思うように
なっていた。

キラは、しばらくは敵襲も無く、休み時間など事あるごとに、部屋に帰ってきて私の面倒を見てくれた。
船酔いに続いてのことだ。それでも、船酔いの時は自分自身が始終気持ち悪くて余裕が無かったけど、
腰痛は痛みで動けない不自由さを除けば、気分そのものは普通の状態だったのが違っていた。
にも関らず、キラは船酔い以上に、優しく世話をしてくれる。私は、これを機会にと我が侭を
言いまくった。キラは船酔いの時と同じく困った顔をしながらも、なんでも言う事を聞いてくれた。

私は、それに加えて、時々、毛布をはだけ、私の素足を見せつつ、わざとシャツの胸元や裾が覗くように
寝返りをうち、それにドギマギするキラの反応を楽しんだ。

「ちょっと、フレイ、その……」
「ん、どうしたの? キラ」

「今はさ、待機中だから。僕は、もう行かないと」
「行けばいいのよ。それともどうしたの? キラ歩きにくい?」

「フレイ!!」

キラはふくれっつらで軽く怒鳴りつける。私は、それに恐そうな素振りをしながらも、顔は笑っている。
キラは、腰が悪い私に、数日間、手出ししなかったから、仕事の途中にも関らず、欲望だけを刺激されて、
それを我慢しなければならないキラは可哀想なくらいだった。でも、この前のカガリの件、そして、
このころ、私はベッドでの主導権をキラに取られていたことと、そもそもの腰痛の原因であるキラの行動への、
ちょっとした復讐でもあった。本当の復讐は別にあったというのに、それとは別に、私は小さな意地悪を
思うまま楽しんでいた。

夜、キラは、ベッドにうつぶせになった私のシャツをめくり、腰をマッサージしてくれる。
時々、ノートパソコンの画面を見ている。マッサージ方法をどこかのデータベースから調べてきたらしい。

「フレイ、昼間は困ったよ、まったく」
キラは、マッサージを続けながら、少しだけぼやく。

「じゃ、今する? できるものなら」
「もう……」

キラは、私のお尻をピシャっと軽くたたく。そして、エッチなことができない代わりに、腰をさすりながら、
私が眠るまで色々な話をしてくれた。砂漠で会った敵将の話。ヘリオポリスでの話。小さい頃暮らしていた
月の話。どちらかというと無口で、あまり自分のことを話さないキラだったけど。この時ばかりは、
私はキラの話に夢中になった。

本当は、あの時に自分のキラへの気持ちに気がついていたはずだった。そうすれば、オーブでのことは
無かったかもしれない。

173ザフト・赤毛の虜囚 36:2004/03/27(土) 17:48
7.幼子(おさなご) 3/8
[ねえ! キラ、早く脱がせて]

腰の痛みは、結局、それほど酷くなかったらしく、湿布薬とキラのマッサージのおかげで
数日でおさまった。でも、その間の開放的な状態、ただ体を求め合うのでは無いキラとのスキンシップ、
そして、そもそも腰痛の原因となった思い出したくもない恥ずかしい体験。それが、一方では、
私の心と体に変化をもたらしていた。

仕事に復帰した時、丁度、洗濯物を持ってきたミリアリアに話をしながら、私は自分の体の
変化への戸惑いを感じていた。

「ハーイ! ミリアリア」 私は、なにか浮かれたようにミリアリアに声をかける。
「フレイ。久しぶりね。船酔いとか、腰とか、もういいの?」

「うん! もう大丈夫。これ洗っとくわね」
「どう、仕事」

「ちょっとサボってたんで、仕事たまってて大変。なんか、洗濯とか掃除とか、
 今まで、自分では、あまりやってなかったことだけど。
 私、こんなことくらいしかできないし。キラも、みんなも戦っているのにね」

ハイな気分のまま、なんだか、ミリアリアを昔からの友達のように親しげに心境を話しかける。
ヘリオポリスの時でも、アークエンジェルに乗ってからでも、あまり快く思ってなかった相手なのに……
そして、ミリアリアも多分、そうだったはず。彼女の本心を知ってしまった今からすれば。

私は、ミリアリアにキラのことを聞いてみる。多分、その時の私は熱い目をしていたと思う。

「キラは、どうしてる?」
「今、ザフトの機影は見つからないから、とりあえず待機中。
 モビルスーツデッキにいると思う。ストライクのメンテとか、スカイグラスパーとの
 連携シミュレーションとか、やってるんじゃないかな」

「ふうん」

私はミリアリアにキラへの伝言を頼む。彼女の秘めた想いに、まるで気が付かないまま。

「私、夕方、早めに仕事上がるから、もし、話できたらキラに言っといてもらえるかしら」
「うん」

ミリアリアは、その時の私を見て、何を考えていたのだろう。
私は、それどころじゃなく、今の自分の体に感じる違和感に戸惑うばかりだった。

「どうしたの、まだ腰痛むの ?」 ミリアリアが聞く。
「ん! なんでも無いの。ちょっとね。きつくて… あ、なんでも無い」

結局、違和感に我慢できなくて、予定よりも、さらに早く仕事を上がった私は、同様に
心配で早く帰ったキラに部屋の前で出会って、今までに無い甘えた声を出していた。

「昨日まで腰痛で、ずっとショーツ脱いだままだったでしょ。なんか、きつくてたまらないの。
 ねえ! キラ、早く脱がせて」

私は自分で脱いではいけない。これはキラの仕事なのだ。

ミリアリアが結局、私の話をキラに伝えていなかったことさえ、その時は気にしていなかった。

174ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/27(土) 17:52
今回の話は、かなり前にミリィSSでやった話の視点変更版です。ただ、今回の章の狙いは、この次以降なので、
あまりこだわらなくても構いません。

>>過去の傷
TV本編2クールのころのピリピリした雰囲気が再燃しているようですね。フレイ様とミリィの戦いは、この後、
本格化するのでしょうか。

175キラ(♀)×フレイ(♂)・41−1:2004/03/28(日) 17:09
万華鏡(カレイドスコープ)のように虹色に乱反射する、サドニス海の美しさを
演出した太陽の日が沈む。すると、夕日に照らされた紅海は、今度は真紅のルビーを
溶かし込んだような鮮やかな赤一色に染まり、新しい顔を覗かせる。
やがて、日は完全に沈む。最後は黒の絵の具をぶちまけたかのように、色彩を失う。
こうして、楽園(サドニス)での一日が終わる。各々リフレッシュ休暇を堪能し、
戦いの疲れを癒やした休暇第一陣のクルーは波止場に集結した。


「ひぃ、ふぅ、みぃ…っと。全員来てますね」
「意外だな。こういう時は必ず一人か二人、門限を破る奴が出てくるものだが」
「俺達はれっきとした軍人ですからね。修学旅行の学生のようにはいかないでしょう?」
点呼を取っていたパルと相方を務めていたノイマンは、互いの顔を見合わせて苦笑する。
「ヘリオポリス組の方は?」
「ここにいるのは俺とサイだけです」
今度はカズイが、隣にいるサイをチラリと見ながら、何故か後ろめたそうに宣告した。
「いないのは、ヤマト少尉、アルスター、ケーニヒ、ハウ二等兵の四人か。
もう集合時間を一時間近く過ぎているし、彼女達は島に滞在するとみて良いだろう」
腕時計で時刻を確認しながら、引率役のノイマンがそう断を下す。半交代での一日オフ
の正規クルーと異なり、キラ達学生組は、二日間のフリー休暇が与えられていたので、
外泊も許可されていた。サドニスの治安の良さは折り紙つきなので、特に彼女達の
身の上を案じる必要性はないだろう。心配なのは、この四人は各々カップルで行動し
ているらしいと推測される点だが、敢えてノイマンはその点には触れなかった。

「キサカ氏。そちらの首尾はどうですか?」
「一時的滞在は許可するけど、悪魔の壁が開くタイミングで出て行ってくれってさ。
人とか物資の出し入れが激しい時期に、中でドンパチされたら困るってことだろ」
領事館での交渉結果を尋ねると、キサカが口を開くよりも先に、カガリが横槍を入れて
きて、ノイマンは胡散臭そうな瞳で二人を見つめる。この凸凹コンビが、オーブに
何やら深い縁があるらしいのは確かだが、その正体についてはサッパリ見当もつかない。
艦長のキサカ氏への信頼度や、フラガ少佐の坊主(カガリ)の可愛がり振りを見ると、
幹部達は彼らの正体を知っているのだろうか。

「キラはあの悪魔と一緒か」
ノイマンの懐疑の視線に気付かず、妹の現在の所在を、そう当りをつけたカガリは
強く舌打ちする。ナンパな娯楽には一切興味のないカガリだが、キラが喜ぶならと、
彼女をアミューズメント・パークに連れて行こうと企図していた矢先に、艦長から
AAの滞在許可交渉を依頼され、サドニス島を紹介した手前断れなかったのだ。
この時間になっても戻ってこない所を見ると、キラはフレイと外泊するとしか思えず、
カガリとしては、鳶に油揚げ…、もとい悪魔に姫を攫われた騎士のような気分だ。
実は今現在、愛妹はとんでもないピンチに陥っているのだが、双子のテレパシーも
フレイへの嫉妬心で曇っていて、有効に機能していないようだ。

「まさか、キラ達だけじゃなく、トール達まで戻ってこないなんてな」
激動の渦の中、そうやって人は大人になっていくのだろうか(ちょっと違う)。
ヘリオポリス組の中で、自分独り取り残されたように感じたカズイは暗い表情で俯いた。
「いや、俺独りじゃないか」
カズイの隣には、彼と同じく、落ち窪んだ表情のサイが佇んでいる。
婚約者(フレイ)に捨てられた彼女。それ以後、サイの笑った顔をカズイは一度も
見たことはない。揉め事には関わらず、長い物には巻かれろ…がモットーの事勿れ主義者
のカズイではあるが、人当たりが良く、明るさと優しさを絶やさなかったサイのこんな
覇気のない姿を見るのは、彼女に密かな憧憬を抱いていたカズイには辛かった。
自然、彼女を苦しめている背徳カップルについて、あまり好意的ではいられない。


大人も子供も、それぞれに複雑な想いを抱えながらも、モーターボートに乗り込んで、
サドニス島を後にしていく。そしてキラは、その窮地を仲間達に知られることなく、
一人島へと置き去りにされる羽目になった。

176キラ(♀)×フレイ(♂)・41−2:2004/03/28(日) 17:09
廃棄された倉庫内で、マイケルはグーンのコックピットに乗り込み、コーディ自慢の
高速プログラミング・モードで端末を操作し、自機の最終調整を行う。ザフト製MS
の特徴である一つ目のモノアイがギョロリと緑色の光を灯らせ、隻腕の右手の指先が、
閉じたり開いたりを繰り返し、接続神経が生きていることを確認する。

「良し。これで悪魔の壁さえ解ければ、島の外に出られるな」
診断パネルには、水深の浅い位置なら十分に水圧にも耐えられるという計算結果が
弾き出されている。武装も含めて、傷ついた部分は徹底的に切り捨てたので、戦闘は
不可能だが、運よくスクリューは生きていたので、水中慣行そのものは可能だ。
この短期間で、スクラップ同然だったグーンを修復した手並みは確かに非凡なモノで、
腐ってもマイケルは優秀なコーディネイターではあるらしい。
「島外に脱出したら、救助信号を送って、仲間に手土産ごと回収してもらうだけか」
グーン頭部の緑色の光点が左側へスライドする。モノアイが捉えた映像の中には、
彼の土産となる少女が冷たい床下に転がされている。僅かにキラの身体が身じろく。
そろそろ目覚めの時が近いことを悟ったマイケルは“お楽しみ”の為に、グーンの
コックピットから降りることにした。


「………んっ……………………ここは……………?」
キラは目を覚ました。彼女の虚ろな視界に、埃臭い倉庫の天井の蛍光灯が映し出される。
「わたし…どうして……こんな………ところに…………!?…い…痛っ!」
記憶の一部が断裂していることに気づいたキラは、眠気マナコでキョロキョロと辺りを
見まわしたが、両手首に激痛を感じて思わず顔を顰める。良く自分の体勢を確認すると、
後ろ手に手錠を掛けられて、床下に寝転がされていた。
「そうだ、私、タカツキ君から…」
ぼやけていたキラの思考が徐々に鮮明になる。必死に記憶の糸を辿っていたキラは、
自分が突如彼に襲われ、布きれのようなモノを嗅がされたのを思い出し、息を呑んだ。
……まさか、寝ている間に乱暴されたんじゃ………。
女性の持つ防衛本能から、まずは彼の真意をそう疑ったキラは、自分の思考に戦慄したが、
身体には特に違和感を覚えなかったので、軽く安堵する。マイケルにはサディストの気が
あり、敢えて目が覚めるまで手をつけないでくれたのは、キラには僥倖だっただろう。
「良い格好だな、ヤマト。気分は良いかよ?」
悦に入った声と同時に、脅えるキラの眼前にマイケルが姿を現した。


「タ…タカツキ君。これは一体どういうこと!?どうしてこんな真似を!?」
既に涙目になったキラだが、気丈にも涙を堪えてキッとマイケルを睨む。
だが、彼はキラを小馬鹿にしたように、ニヤニヤと彼女を見下ろすだけで何も応えない。
キラは芋虫のように身体を揺すって必死に起き上がろうとしたが、後ろ手に拘束された
上に、まだ薬の効果が完全に抜き切れておらず、床下にしゃがみ込むのがやっとだ。
それでも仰向けの状態よりは少しだけマシな姿勢を確保出来たキラは、マイケルの
全体像を確認して唖然とする。
何故なら、現在の彼は私服ではなく、ザフトの緑色の軍服を纏っていたからだ。

「あ…あなた、まさか……」
「ご名答、俺はザフト軍カーペンタリア部隊所属のマイケル・タカツキだ。
地球連邦軍所属、ストライクのパイロットのキラ・ヤマト少尉」
キラから奪い取ったIDカードを、見せびらかすように提示しながら、真相を告白する
マイケルに、御人好しで世事にも疎いキラも、ようやく彼の本意を正確に把握した。
彼は、自分を虜囚としてザフトに連行して、手柄とするつもりなのだ。
かつてキラが見知り嫌悪した、卑下た表情を覗かせるマイケルに、彼はこの三年間で
何一つ変わってなどいない現実をキラは思い知らされて、強いショックを受ける。
何よりも、まんまと彼にしてやられて、こんな窮地へと陥られた自分の御目出度さが
情けなくなって、キラは涙が止まらなかった。

177キラ(♀)×フレイ(♂)・41−3:2004/03/28(日) 17:10
「騙したのね!?」
「そうだよ。けど、それがどうかしたか?騙される方がアホなんだよ」
「卑怯者!」
「ふんっ、俺が卑怯者なら、お前は裏切り者じゃないのか?
お前、一方的に被害者ぶってるけど、これまで何人の同胞を殺してきたんだよ!?」
「あっ!?」
久しぶりに、今まで目を背け続けてきた己が咎を叩き付けられたキラは、苦悩に喘いだ。
ハイエナのような嗅覚で、キラの弱気を嗅ぎ取ったマイケルは、指先でキラの顎を
しゃくり上げながら、悦に入った表情でキラを詰り続ける。
「お前は本当に酷い奴だよな。何の恨みがあって、プラントを守ろうと必死に戦い
続けてきた同胞の生命を虫けらのように捻り潰してきたんだよ?
俺でさえ、実はそっち(殺人)の方はまだ童貞のままだぜ、人殺し非処女さん?」
傭兵隠語を交えながらキラを嬲るマイケルの言葉が鋭い刃物となって、キラの胸を
抉った。今更ながらに、自分の業(カルマ)を正面から突き付けられたキラは涙目に
なってガタガタと震えながら声も上げられない。

「判ったか、ヤマト。ザフトに仇なすユダ(裏切り者)を捕獲した俺は、
プラントでは卑怯者どころか英雄となるんだよ。
もしかしたら、赤服どころか、ネビュラ勲章まで授与されちゃったりしてな」
愛国主義の厚化粧の中に、マイケルはさり気無く本音の野心を漏らしたが、
そんな事はキラにはどうでも良かった。戦場でアスランのような雄敵に討たれるのなら
まだしも、こんな場所でかつての級友に騙されて拿捕されるなど、何とも情けない末路
だが、それこそ同胞を裏切り続けてきたキラに下された神罰なのだろうか。
今の落ち窪んだキラには、現在の自分の立場と、これから自分に訪れるであろう
暗い未来がそれほど不条理なものには思えなかった。


「さて、ようやくお前も自分の罪の重さを自覚出来たようだし、俺が亡くなった
同胞達の無念を晴らしてやるとするか」
観念したかのように無言のまま大人しくなったキラに、マイケルは言葉嬲りを止めて、
次のステップへと移行する。先程からずっと呆けていたキラだったが、ワンピース越し
に自分の豊満な乳房を掴もうとしたマイケルに、反射的に後方に仰け反った。
「ひぃっ!?なっ……何を!?」
「制裁だよ。己の罪深さを、その身体にたっぷりと教え込んでやるよ。
もっとも、反ってお前を楽しませちまうことになるかも知れないけどな」
明らかにキラの身体に欲情を抱きながら、嫌らしい笑顔を閃かすマイケルに、
キラは否応でも彼の本心を悟らざるを得ず、サーッと表情を青ざめさせる。
こ…この人、仲間の復讐に託けて、私を強姦する気なんだ。


「ほ…捕虜への虐待、暴行は、ジュネーブ…いえ、コルシカ条約で禁止……」
「あ〜ん。何、寝言ほざいてんだ?そんなもの、とっくに有名無実化してるぜ。
ビクトリア攻略戦の際に、猿共(ナチュラル)の捕虜が全員虐殺されたのを知らないのか?
もっとも、俺の隊は偽善者の虎が指揮官だったから、参加させてもらえなかったけどな」
「そ…そんな……」
色んな意味でショックを受けたキラは、言葉を詰まらせる。改めて軍人に対する倫理観
が大きく揺れ動いたキラだったが、今は目の前のピンチをどうにかする方が先決だろう。

マイケルがキラに踊りかかり、強引にキラを押し倒すと、そのまま馬乗りになって、
スカートの下の膝元へと手を伸ばした。直に太腿を撫でられたキラは、激しい嫌悪感に
身を震わせて、全身に鳥肌が立った。
「へへっ…、ここでは俺が法律だぜ。観念しろ!」
「い…いやぁ!!!誰か、誰か…助けてぇ〜!!」
狭い倉庫内に、キラの悲痛な悲鳴が木霊した。

178キラ(♀)×フレイ(♂)・41−4:2004/03/28(日) 17:10
「まさか、こんな素敵なショーを拝めるとは夢にも思わなかったな」
先ほどから機材の影に隠れて、この狂乱の舞台を堪能している一人の観客がいた。
あの後、再び考えを改め直して、キラ達の行く末を見届けようと決意したフレイである。
フレイはお嬢様方の御屋敷への夕食のご招待を丁重に断って、彼女たちと別れると、
キラ達の消えた方角へと飛び出し、私立探偵のように地道な聞き込みを繰り返した。
やがて、それらしいカップルが北側の港町に向かったのを聞き出したフレイは、
そこで運よく買出し帰宅中のマイケルに遭遇し、コッソリと彼の跡を尾ける。
マイケルが古ぼけた隙間風だらけの倉庫に足を踏み入れたい地点で、彼の目的を看破
したフレイは、倉庫の裏側に人一人潜れそうな横穴を発見して倉庫内に侵入すると、
マイケルから死角になる位置に上手い具合に橋頭堡を確保するのに成功した。
MSの修理に勤しむマイケルが、直ぐにキラに手を出さないのを確認したフレイは、
一端倉庫の外に出て下準備を整えた上で、再び戦場(倉庫)に帰参したのだが、キラを
救出する機会を窺っているにしては、フレイを取り巻く空気には緊張感の欠片も無い。
というのも、フレイの手の内には、外で購入した魔法瓶構造の缶コーヒーが握られており、
その上で、いかにもツマミかポップコーンが無いのが悔やまれる…とでも言いたげな
横柄な態度で、チビチビとコーヒーを飲み干し、暖を取っていたからだ。


「手変わりの好機(チャンス)が訪れたということかな」
フレイは冷めた瞳でキラの窮地をじっと鑑賞しながら、状況判断に努める。
フレイにしてみれば、キラにアスラン君を討たせた上で、返す刀(合法的暗殺術)で
キラを屠るのこそが最高の結末(グランド・フィナーレ)ではあるが、このまま
アスラン君がキラの前に再び姿を現さなければ、とんだ茶番である。
とすると、ここでタカツキ君とやらにキラを預けるのも一興のような気もする。
軍事には疎いフレイだが、それでもキラがコーディの中でも有数の潜在能力を誇る
最高クラスの戦士であることは知っていた。その彼女が、こんな取るに足らない小物
に足元を掬われて、恥知らずの裏切り者として、冷たい檻の中で従来の仲間達の憎悪と
嘲弄を受けながら、惨めにその生涯を終えるというのは、なかなかに魅力的な末路だ。

「このまま流局(アラスカ到着)覚悟で、あくまで単騎(アスラン君)待ちに固執し、
ひたすら四暗刻の役満を狙い続けるか、この場所でロン上がり(キラを見捨てる)して、
とりあえず三暗刻で満足し、それなりの点棒を拾うかだな」
この年で悪い遊びを覚えているらしいフレイは、今のシチュエーションをそう比喩した。
ちなみに強い直観力と度胸を併せ持つフレイは、学園時代、麻雀でも敵無しである。
一部の生徒間で、闇の帝王と恐れられていたとかいないとかの逸話を残していたりもする。


「さて、どうするべきか……」
フレイにしては珍しくどちらを選ぶか躊躇したが、あまり迷っている時間はない。
その手の恋愛ゲームの主人公のように、フレイの頭の中に二つの選択肢が浮かび上がる。

どちらを、選択しますか?
→「このままキラを見捨てて、この場所から引き上げる」
「キラを助ける。ただし、キラがタカツキ君に犯され終わるまで待つ」

……………………どちらにしても、キラにとって碌な未来じゃない。
アスランと別れて以後、キラの男運の悪さは天中殺を極めているみたいで、仮にキラが、
フレイの助力でこの窮地を脱したとしても、今度は別の地獄が口を開けて待っていそうだ。

179キラ(♀)×フレイ(♂)・41−5:2004/03/28(日) 17:11
「い…いやぁ!!やめてぇ〜!!」
「うるせえ、大人しくしろ!どうせザラの野郎に穴だらけにされた身だろうが!?」
「なっ!?」
かつての想い人への信じられない侮辱の言葉に、涙目のキラの瞳が釣りあがる。
「違うのかよ、それが目当てだったんだろ?そうでなきゃ、誰がお前みたいに直ぐに
ピーピー泣き喚くうざったいガキのお守りなんかするかよ!」
自分がそう生きてきたからだろうが、彼には、友情にも全て打算が伴われるのだろう。
かつてのアスランとの貴重な絆に、汚い汚物を擦り付けられ冒涜されたと感じたキラは、
今現在の自分の窮地も忘れて、毅然とした表情でマイケルを睨んで吠え立てた。
「ふざけないでよ!アスランはそんな人じゃないわ!敵である今も彼は立派な人間よ。
あなたみたいな、暴力で女を手篭めにしようとする最低な人と一緒にしないで!」
「へぇ〜、そうかよ。それじゃ、ヤマト。お前はまだ処女のままなわけか?」
「!?」
プライドを傷つけられ、怒りで顔を真っ赤にしたマイケルは、ヒクヒクと頬を引き攣らせ
ながら、大人気ない質問を発したが、これがキラには意外なクリーン・ヒットとなる。
何故かキラは後ろめたそうに目線を逸らす。その仕草から敏感に彼女の異性体験を
悟ったマイケルは勝ち誇った表情で、キラを嘲笑するように口元を歪めた。
「な〜んだ。偉そうな口叩いておいて、結局、開通済みかよ。それも、あれだけ懐いて
いたザラ以外の男に奪われるとは本当に最低な女だな、このヤリマンの淫乱雌犬が!」
「ひ…酷い!」
あまりに卑猥な侮蔑の言葉にキラの心は傷つき、屈辱に顔を歪めてポロポロと涙を零した。

「もしかして、お前が猿達(ナチュラル)に味方し、ザフトに敵対している理由って、
足付きの中で新しい男(情人)でも出来たからかよ?」
先から無神経だが意外と鋭い質問を連発するマイケルに、キラはドキリと心臓を震わせる。
今現在のフレイとの泥沼の愛憎関係を恋人同士と称して良いのかは甚だ疑問だが、
彼の推測は当らずとも遠からずだ。
「図星かよ?猿に誑かされて同胞を売るなんて、とんでもない売女(ばいた)だぜ。
そういう悪い娘には、キツイお灸を据えてやる必要性があるな」
「やめて!、離してよ、この変態!!」
柔道の押さえ込みのように、上からキラに覆い被さったまま、再びスカートの中へと
手を侵入させる。今度は無作法にも下着に手を伸ばしかけたマイケルに、後ろ手に
縛られ拘束されたキラは、辛うじて動かせる足元をバタつかせて必死に抵抗する。
「へへっ…、無駄だって………!?ぐおぉおおう……!!?」
油断していたマイケルの大事な部分に、偶然、暴れていたキラの左膝がヒットする。
したたかに急所を蹴り上げられたマイケルは、股間を押さえたまま無様に蹲る。

「あ…、あの、大丈夫?」
極めてお人好しのキラは、内心で密かに良い気味だとは思いながらも、情けない格好
で悶絶する彼の様子を心配して、頬を羞恥で染めながら声を掛ける。
だが、そんな心遣いは彼には一切無用なようで、マイケルは激しい憎悪の瞳でキラを
睨むと、彼女の襟首を乱雑に掴んで、手加減無しでキラの頬を複数回張った。
「このアマぁ!!優しくしてやっていたら、つけあがりやがって!もう容赦しねえぞ!」
どこがよ!?
涙目のキラはそう心中で彼を詰りながらも、暴力に屈して心が折れたキラは、恐怖に
打ち震えて声も上げられない。再びキラに馬乗りになった彼は、コーディ特有の怪力で
キラのおべべを力尽くで引き裂いた。白の清楚なワンピースは無残にも単なる布切れと
化し、半裸に引ん剥かれてキラは、ピンク色の下着姿のまま押し倒される。
いよいよキラの貞操(今更という気がしないでもないが)も、風前の灯だ。

180キラ(♀)×フレイ(♂)・41−6:2004/03/28(日) 17:12
「い…いやぁ、助けてぇ、フレイ!!フレイっ!!!」
追い詰められたキラの脳裏に、かつての…ではなく、今現在の想い人の姿が浮かび上がる。
キラはフレイの名を、魔法の呪文のように唱えながら、必死に泣き叫んだが、
今度はブラジャーに手を掛けたマイケルは、キラの乙女思考を嘲笑った。

「フレイ?そいつが今の男の名前かよ?でも、馬鹿だよなあ、お前は。
ドラマや漫画じゃあるまいし、そうそう都合良く助けなんか…」
「ところが、往々にして事実は小説よりも奇なりってね」
突然、耳慣れない第三者の声が彼の耳に届いたのと同時に、ブンっという鈍い音が
彼の後頭部に炸裂して、マイケルは前のめりにぶっ倒れた。
「無事だったかい、キラ?」
突如、マイケルの暴行が中止され、聞き覚えのある声に、恐る恐るキラは目を開ける。
すると、そこには彼女の愛しい人(フレイ)が、凛々しい笑顔でキラを見下ろしていた。

「フ…フレイっ!!?」
泣いていたカラスが何とやら…で、囚われのお姫様を救出にきてくれた白馬の王子様の
出現にキラは一瞬で破顔する。フレイは、マイケルを撲滅した凶器の鉄パイプを
放り捨てると、ガサゴソと気絶した彼の懐を漁った。やがて、手錠の鍵を探り当てた
フレイは、キラの手枷を外してあげると、自分の上着を半裸の彼女に被せて上げる。
キラは瞳を涙で潤ませると、フレイの胸の内に飛び込んで激しく泣きじゃくった。
「フレイっ!フレイ〜!!」
「キラ、無事で本当に良かった」
フレイは彼女を慈しむようにキラの頭を撫でる。白々しくも自身も涙を流しながらも、
内心では軽く安堵していた。マイケルは腐ってもコーディネイターの正規兵であり、
初撃の奇襲で仕留め損なったら、非戦闘員のフレイにはまず勝ち目はなかったからだ。
その昔、どこかの偉いお医者さんが、「女にうつつを抜かした男の背後を取るのは容易い」
と豪語していたが、どうやらそれは真実だったみたいだ。


「お…おのれぇ…、ふざけた真似しやがって!」
倒されたと見せかけて、最後に往生際悪く再び襲い掛かってくるホラー映画のお約束
の怪物役のように、マイケルはゾンビのような緩慢な動作でフラフラと立ち上がった。
怨嗟に満ちたマイケルの血走った目線に、キラはビクッとし、フレイは軽く舌打ちする。
おやおや、殺しても構わないつもりで、手加減無しで振り抜いたというのに、
こんな短期間で回復してくるとはコーディネイターとは随分と頑丈な生き物だね。
もしかすると、彼らならMSの爆発に巻き込まれても生きていられるんじゃないか?
そう関心しながらも、フレイは彼の神経を逆撫でするようにラブシーンの続きを演じる。
「駄目だよ、オイタをしちゃ。この身体は既に売却済みなんだからね」
フレイがキラを身体ごと抱き寄せ、キラは「きゃん」と嬉しそうな悲鳴を上げながら、
ポッと頬を染めて恥ずかしそうに俯いた。

「てっ…てめえ!!」
「タカツキ君と言ったね?僕には赤服とやらの価値は判らないけど、君もMS乗りなら
こんな姑息な真似でなく、MS戦で堂々と、ストライクに乗るキラに挑んだらどうだい?
…などという強者の理論を振り翳すつもりは毛頭ないさ」
最初、彼の卑劣漢振りを詰るのかと思ったが、そうではないようだ。
フレイは軽蔑するよりも、むしろ憐れむような視線でマイケルを見下している。
「生まれついての獅子であるキラやアスラン君達と違って、ハイエナに産み落とされた
君には、強者の残飯に集る以外に餌(手柄)にありつける方法など一つもないのだからね。
いやいや、本当に同情を禁じえないよ」
一見、相手の境遇に同情するように見せかけて、相手を逆上させるのがフレイの得意技
のようである。マイケルは瞬間湯沸かし器のように沸騰して、冷静な状況判断を放棄し、
衝動のままにフレイに自分の殺意を叩きつけた。

181キラ(♀)×フレイ(♂)・41−7:2004/03/28(日) 17:12
「この猿がぁ!!!!ぶち殺してやるぅ〜!!!」
怒りに打ち震えたマイケルが、フレイを射殺そうと腰元に手を当てたが、ホルスター内に、
何故か目当てのブツが見つからずに、「アレっ」と小首を傾げる。
「君の探し物はこれかい?」
ギョッとしたマイケルの視線の先には、銃身をこちらに向けたフレイの姿が映し出された。
どうやら、手錠の鍵を探していた折、フレイは目聡くも彼の拳銃まで徴収していたようだ。
次の瞬間、狭い倉庫内に銃声の甲高い音が連続して木霊する。
「ぐわぁあっ!!」
左膝を打ち抜かれたマイケルは仰向けにぶっ倒れて、片膝を押さえながら痛そうに蹲った。

「やれやれ、この至近距離から四発も放って一発しか当らないとは…。
やっぱり、僕には戦闘の才能はあまりないみたいだね」
「フレイっ、素敵…」
謙遜して軽く頭を掻くフレイを、キラは乙女コスモを満開にして頼もしそうに見上げる。
今の一撃で形勢は完全に定まり、プリンセスを救出するプリンスのミッションを
完璧に果たしたと言えるだろう。ただ、ここで止めておけばカッコ良かったのだが、
キラの想像以上に、彼女の王子様は少し過激すぎた。

「ち…畜生、絶対にぶっ殺してやる!」
グーンに乗り込んでキラ達を捻り潰そうと、片足を引き摺りながら、ズリズリとしぶとく
地を這い続けるマイケルに追いついたフレイは、外れようのないゼロ距離から、今度は
マイケルの右膝を打ち抜いた。
「ぎゃああっ!!」
「流石にこの距離だと僕でも当てられるね。やっぱり的は動けなくするに限る」
激痛にのた打ち回るマイケルや、唖然とするキラの様子には全く頓着せずに、
フレイはキラから回収した手錠を使ってマイケルを後ろ手に縛ると、ダルマのように
身動きの取れない彼の咥内に直接銃身を埋め込んだ。
「ひっ…、ひぃ、ひゃに(何を)を!?」
「誇り高いコーディネイターの戦士は、猿(ナチュラル)の捕虜に甘んじるぐらいなら、
孤高の死を選ぶつもりだろ?介錯を手伝ってあげるよ」
「ひぃ…、ひゃめろぉ(止めろぉ)!!!」
フレイは恍惚とした表情で、マイケルを見下ろしながら、彼の命乞いを無視して、
引き金に力を込めようとしたが、その指先をキラが押さえつけた。
「待って、フレイ。何をそこまでしなくても…」
「邪魔しないでくれよ、キラ。僕は一度人間を殺す経験を積んでおきたいんだよ」
「なっ!?」
フレイの殺人予告にキラは絶句する。人殺しの体験など、知らずに済めばそれに越した
ことはない筈なのに、自らの手を血で染めようとするフレイの思考は理解不能だ。
それと悟ったかのようにフレイはまるで子供をあやすような口調で解説する。

「この先、戦い続けていれば、いつかは僕も銃を取って自分の身を守らねばならない
状況に追い込まれるだろう。その時、人を撃った経験がないと、敵を殺すのを躊躇
するかも知れない。こういう覚悟だけは口先だけじゃ身につかない。判るだろ?」
「で…でも」
「先に撃てば助かったのに、詰まらない道徳観に縛られたが故に生命を落とす。
そんな後悔だけは死んでもしたくはないんだ。別に無抵抗の赤子を殺すわけじゃない。
コイツは僕たちに戦争を吹っかけてきた敵だから、殺すのに支障はないはずだ。
何よりこの手の子悪党は、世界を自分中心で回しているから、ここで助けても、反って
逆恨みされ、しつこく付き纏われるのがオチさ。禍根を断った方が君の為でもあるよ」

相変わらず、筋が通っているのか否か判らない戯れ事を、得意の口八丁手八丁で、
尤もらしい理由付けを加えて相手を丸め込もうとするのが、フレイの真骨頂である。
口下手なキラにはフレイを説き伏せる自信はなかったし、マイケルが改心する可能性
が低いことには同意できたが、それでもフレイにだけは人殺しをさせたくなかった。
何よりも、もう抵抗できない相手を見殺すなど、キラの倫理観が許さなかった。

182キラ(♀)×フレイ(♂)・41−8:2004/03/28(日) 17:13
「へ…平気よ、フレイ。フレイが戦わないで済むように私が守るから。だか…!?」
何とか翻意を促そうとしたが、キラは最後まで言い終えることは出来なかった。
さっきまで飄々としていたフレイの黒い瞳に危険な雷光が閃き、キラは息を呑んだ。
「当てになるかよ!君の約束なんて!」
余裕のないフレイの顔には、かつてキラが見知った狂気と殺意の波動が混在しており、
キラは否応なくモントゴメリが撃墜して、フレイが母を失った瞬間を思い出した。

「大丈夫よ、フレイ。私がきっと何とかするから」
「大丈夫だって確かに言っただろうが!?この嘘つきが!!」
「お前、自分がコーディネイターだから、真面目に戦ってなかったんだろう!?」

「くたばれ、コーディネイター!!」
一瞬、呆然としていたキラが再び我に返った時は、フレイはその殺意を再びマイケルに
突きつけていたが、何故かキラにはその殺気は自分に向けられたものとしか思えなかった。
驚異的な動態視力で、フレイの指先が動くのを確認したキラは、考える前に行動して、
フレイに身体ごと体当たりを敢行した。鳴り響く銃声の音。六連装の最後の一発は、
マイケルの頬を掠めただけで、彼の生命を奪うまでには至らなかった。

「キラぁ〜!!」
「お願い、フレイ。守るから!今度こそ絶対に約束を守るから!
フレイが戦わないで済むように、フレイの敵は全部私が倒してあげるから!
だから、だから…」
ポロポロと涙を零しながら必死に哀願を続けるキラに、暴発仕掛けたフレイの魂は
沈着化を余儀なくされる。この時フレイが何を思ったのかは不明だが、キラに見えない
ように薄い笑いを浮かべると、フレイは童貞(殺人体験)を捨てるのを断念した。
「良いだろう、キラ。僕も大概お人好しだからね。もう一度だけ君を信じてみるよ」
フレイがチラリとマイケルの方を見下ろすと、彼は泡を吹いて失神している。
どうやらコーディの彼も、身体ほどには精神の方は頑丈には出来ていないみたいだ。



「行こうか、キラ」
キラにグーンのOSを弄ってMSを使用不可能にさせている間に、マイケルの両膝を
打ち抜いた弾丸が二発とも綺麗に貫通しているのを確認したフレイは、軽く応急処置を
した上で、彼の為に携帯で救急車を呼んでやることにする。
こうして、この戦いの後始末を済ませた二人は、互いに肩を寄せ合って倉庫を後にした。
「集合時間はとっくに過ぎているね。どこかホテルにでも部屋を取ることにするか」
「ええっ…」
フレイの誘いに機械的に頷きながらも、キラは辛そうに表情を伏せた。その理由は、
さきの後始末の最中に、まだ温度を保った缶コーヒーを偶然発見してしまったからだ。

「もしかして、フレイは私が襲われる様をここで観賞していたの?」
フレイの身体からも微かにカフェインの臭気を嗅ぎ取ったキラは、この二つを結び付けて
戦慄し、そう考えた刹那、自分の踏みしめている大地が崩れ落ちるような錯覚を覚える。
この時、キラはもう自分達の関係はお終いだと密かに予感していた。
フレイが、本当に自分の窮地を楽しんでいたかなど、実はどうでも良いことなのだ。
ただ、本来他人を疑うことと無縁だったキラが、自分の危地を救ってくれたフレイの性根
を真っ先にそう疑ってしまうほど、彼への不信感はキラの心中に根強く蔓延っているのだ。

疑心暗鬼に陥った今のキラには、島内を取り囲む暗闇同様に、自分達の未来も深い闇に
閉ざされているとしか思えなかった。

183キラ(♀)×フレイ(♂)・41−9:2004/03/28(日) 17:14
これで良いはずだ。
軽くキラの肩を抱いて、暖かい笑顔で落ち窪んだキラを慈しみながらも、フレイは胸の奥
に打算を巡らせる。この時フレイは、彼女の落ち込み具合は乱暴され掛けたが故と信じた。
なら、その心の傷を癒やしてやる為に、今夜もキラを可愛がることになるだろう。

一時は、マイケルにキラを売り渡す選択肢も視野に入れたフレイだが、結局断念した。
仮にキラをザフトの虜囚にしたとして、この戦争がプラント側の勝利に終われば、
キラは冷たい檻の中で一生を終えるか、最悪処刑される憂き目となるだろう。
だが、戦況がナチュラル優位に進展すれば、前線復帰を条件に、恩赦を受ける危険性
もあるからだ。戦争とはそういうもので、綺麗事だけでは済まされないのだ。
フレイはそう悪ぶりながら、自分を納得させようとしたが、一つだけ彼が無意識に
目を逸らしていた事実がある。それは、キラが自分の名を叫んだ瞬間に、後先考えず
に反射的に、修羅場に踊りこんでしまったという変えようがない現実だ。

かつてのフレイは、キラに対して憎悪一辺倒の感情しか抱いていなかったが、
今現在のフレイは、明らかに愛憎並存(アンビバレンス)状態へと移行していた。
その己の感情にフレイが気づくのは、二人の関係が本当に取り返しのつかない
地点にまで発展した時である。


キラへの感情を微妙に変化させつつあるフレイと、フレイを想いながらも、彼の想いを
信じきることが出来ないキラ。この平行性を辿っていた二人の心の絆が交差した瞬間、
物語はさらなる佳境へと進化することになる。

184ザフト・赤毛の虜囚 37:2004/03/28(日) 18:07
7.幼子(おさなご) 4/8
[身勝手さは、キラ以上]

私はキラの回想にふけりながら、今の自分との違いを噛み締めていた。オーブに着くまで自分の心に
気が付かないまま、熱く欲望に溺れていった。あの時のことが、まるで嘘のように私の体は、
かたくなに閉ざされている。体は熱っぽい状態が続いているけど、あの時とは、まるで違う。
でも、それは私がキラを継ぐ資格を得たことの証しなのだろう。変わって行くことは恐くない。
これまででも、私は信じられないほど変わってきている。私は、今の自分を受け入れていた。
ただ、忘れてしまうことだけは恐い。キラの記憶をいつの間にか記憶の底に沈めることだけは。

そんなことを想いながらドライヤーでショーツを乾かしていた時、突然、ドアのロックが解除される音が
してクルーゼが部屋に帰ってきた。私は、驚いた。クルーゼの突然の入室に慌てた私は、隠そうとした
ショーツを、なんとベッドの下に落としてしまった。でも、ショーツを履いていない私は腰にかけた
毛布を外してベッドを出る訳にはいかない。なんとか、見つからないように意識して視線をベッド下から
そらし、クルーゼに向けようとする。

クルーゼは、そんな私にまるで気が付かないように、持ってきた書類を溢れそうな
書類入れに放り込み、さらに机の引き出しから書類を探している。そして、目的の書類が
見つかると、私にやっと目を向けて言った。

「おや、フレイ・アルスター。やっと、シャワーを使ってくれたようだな。
 遠慮しなくても良いのだよ。どんどん使ってくれたまえ」

私は、シャワー室のドアをきちんと締めていなかったのに、今さらのように気がついた。
そう言えば、ドライヤーも毛布の上に出しっぱなしだ。

「そうか、そう言えば、替えの下着も無いな。これは気がつかなかった。
 早く言ってもらえれば用意させたのだがな。後で、誰かに持って来るよう
 言付けておこう」

クルーゼは、それだけ言うと、そそくさと部屋を出て行った。私は安堵の声を上げた。

クルーゼの行動は、やはり私には読めない。私が帰って来て欲しく無い時は部屋に帰ってきて、
逆に、いても構わない時には部屋にいない。そして、行動予定を、私に一言も言わずに、
勝手に決めてきて、後から私に言う。その上、一人で訳の分からないことを語りまくって
自己満足すると、私の返事も聞かずに去って行く。その身勝手さは、キラ以上だ。

キラも結構、身勝手だった。砂漠で体を許して、これで大人しく私になびくかと思ったら、
モビルスーツに篭って、何度、私が言っても出て来なかった。カガリのMIAの時だって、すぐ戻ると
約束して、ちっとも守らなかったし、私が、たまにはゆっくり寝たいのに毎日毎日求めてきたり、
その時も私のいやがることばかり、やらせたり……
そのくせ、自分のこと何も言わない。ずっと内に抱え込んでる。腰痛のことが無ければ、私はキラの
昔話なんて知ることもできなかったろう。

本当に二人とも勝手だ。生真面目だったサイが、少し懐かしくなる。

クルーゼが、しばらく帰って来ないのを確認してから、私は、ベッドからゆっくりと降りた。
短めのスカートがまくれあがり、奥を少し覗かせる。今は、自分自身に男を挑発する意識が
無いとは言え、こんな姿をクルーゼに見せる訳にいかなかった。

床に落ちたショーツを拾うと、まだ少し湿っているのも構わず履いて、机の椅子に座った。
うう、気持ち悪い。くんくんと体を匂ってみる。さっきのことに緊張していて、また、
汗をビッショリかいてる。せっかくシャワーを浴びて、さっぱりしたのが台無しだ。

ただ、クルーゼは、どうやら私の下着の用意はしてくれるらしい。こんなことなら早く頼めば
良かったと後悔した。さっきのクルーゼの話だと誰か別の人を、私に寄越すらしい。女性兵士ならば、
今の私に、必要なものをいろいろと頼めるかもしれないと考えていた。

185ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/28(日) 18:10
前振り長かったですが、次回、新しいオリキャラ登場です。

>>キラ(♀)×フレイ(♂)
フレイ(♂)様、偉い! そして、二人とも心が動き始めていますね。でも、やはり互いに、すれ違いの方向ではあるのですけど。
ところで、トールとミリィは、どうしました? ひょっとして…… でも、それならば…… あんな悲しい顔は……

186散った花、実る果実38:2004/03/28(日) 20:38
「あの・・・お茶を入れてきました。」
そう言って、お茶を配る毎日。
普通にお茶に口をつける人もいれば、頑なに手をつけないようにしている人もいる。
中には、お茶を置かれた途端自分で入れなおしにいく人も・・・
その行為に傷つかないわけではなかったけれど、しょうがない、ということがいい加減私にもわかってきていたので、特に食って掛かったりすることはしなかった。

「毎日こうやってお茶を配って歩いてるけど・・・だからって特にどうなるわけでもないのね。」
ある日、たまたまリスティアとお茶をする余裕があった時、私はつい愚痴をこぼしてしまった。
「だから言ったじゃないの。コーディネイターとナチュラルがわかりあえるはずはないのよ。だから今戦争をしているんじゃないの。」
そうかな。本当にそうなのかしら。
わかりあえないから戦争をしている?
戦争をしていることによってわかりあえる道を絶っているのではないの?
「でも・・・・・」
でも私は自分の気持ちをうまくいい表す言葉を見つけることができなかった。
なんて言ったらわかってもらえるんだろう。
コーディネイターとナチュラルだって同じ人間だって。でもこの間リスティアにその考えを拒絶されたばかりだ。
同じ言葉ではきっと彼女の心を動かすことはできない。
「いいじゃないの。あなたはナチュラルにも関わらず、この艦で迫害もされずに呑気にお茶汲み程度の労働ですんでるんだから。普通だったらこうはいかないわよ?」
優雅にティーカップを持ち上げながら彼女は言う。
普通の捕虜より私は恵まれている。それは確かだ。だけど違う。それだけじゃだめなのに。
「でも・・・捕虜だから・・・って事でしょ・・・?建前上手を出せないだけで、本当にお互いの関係が改善されているわけじゃないのよね・・・・」
その私の言葉にリスティアは苦く笑う。
「・・・そうでもないみたいよ」
「・・・どういうこと?」
「身内の恥を晒すようだけど・・・・・パナマ戦では捕虜の扱いはひどいものだったと聞くわ。というか・・・・・・パナマではナチュラルの捕虜はほとんど発生しなかったの。何故だかわかる?」
私は首を横に振った。
「ナチュラルの捕虜なんかいらない・・・・そういって、降伏した捕虜を惨殺したらしいわ・・・・」
「そんな・・・・!!」
なんてこと・・・そんなこと許されるはずが・・・・・
「ひどい話よね・・・本来なら許されることではないんだけど・・・・・この戦争は何かが狂っている・・・」
「なんで・・・なんでそんなことが許されるの?捕虜を惨殺って・・・そんな・・・そんな事・・・・・!」
すると彼女は複雑な表情で言った。
「声が大きいわよ・・・外に聞こえたらどうするの。・・・実際のところ、その証拠がないからもみ消されている、というのが現状のようよ。公表されたらただでは済まない、とは思うけど・・・・現実的にザフトを抑えられる機関がない、というのもひとつにはあるわね・・・・」
私は足元が崩れていくような錯覚に陥った。そんなことって・・・・・
「だから、あなたの扱いは破格のものだと考えていいと思うわよ。平時にしても寛容すぎるくらいだもの。だから・・・・これだけは覚えておいて。今、ナチュラルだという事だけで考えられないひどい扱いを受ける可能性は現実にあるの。だから・・・・言動には十分気をつけて。でないと・・私と隊長のフォローがあってもどうなるか・・・・・」
信じられない・・・・・・・
「そんな・・・・同じ、人間なのに・・・・・・・」
思わず口をついた言葉にリスティアはさっき私が考えたほどには反応しなかった。
「そう考えていない人間が多数いると言うことよ。ナチュラルの方だって・・・・・アラスカの時にとった手段はひどいものだったじゃない・・・・」
この戦争は終わらないの・・・・?どこまでエスカレートしていくの・・・・・私、ここで・・・・どうしたらいいの・・・・・・・

187散った花、実る果実39:2004/03/28(日) 20:39
その日、それ以上外にいるのも怖くて、私はクルーゼ隊長の部屋に閉じこもってしまった。
私はひたすら、彼の帰りを待った。
「あのっ・・・・!」
扉が開いた瞬間、私は彼のもとに駆け寄った。
彼は私を抱きとめ、顔を覗き込む。
「どうしたんだね?何かあったのかね。」
「あの、私・・・・っ!」
私の心は恐怖に囚われていた。
「あの・・・・パナマで・・・・・投降した捕虜が惨殺されたって・・・・・」
「ああ、その話かね。」
彼はなんでもない事のようにそう言った。
わからない、彼が何を考えているのか。ナチュラルの死なんてなんとも思わないのだろうか。彼はコーディネイターだから?
「そんな心細い顔をしなくても大丈夫だよ。私の元にいれば君がそんな目に会うことはない。私の言うことに従っていれば・・・それでいいのだよ。」
彼に従っていれば・・・・?私にはわからなかった。彼をそんなに信用していいのかどうか。
「怖いかね。この艦にいるのが・・・それとも私が?」
この人には何もかも見抜かれているような気がする。
私はザフトの捕虜なのではない、この人の捕虜なのだ。
この人は人の人生を玩具にして・・・・一体何がしたいのだろう。
自分の死さえ何とも思っていないようなそぶりで・・一体何が欲しいの?
「あなたは・・・・・誰?」
「不思議な事を言う。私は私だ。ザフトのラウ・ル・クルーゼ。君は何が知りたいのかね?」
知りたい、彼が何を考えているのか。でも・・・・・
知りたくない。彼の考えている事を知ってしまったら、もう後戻りできないような気がする。
彼はただのザフトの軍人とは何かが違うような気がする。何かが・・・・・・・
「私に、させたい事があるって・・・・・」
「まあまだ具体的にどう、と目途がついているわけではないがね。そういえば君はお茶汲みを始めた、と聞いたが・・・」
問うことを許しながらも彼は答えようとはしない。
「そうですけど・・・・・それが何か?」
「君こそ、どうしてそんなことを始めたのかね?」
この人は知りたがり・・なのだろうか。それとも自分の駒のことはすべて把握していたい、と?
「私でも・・・何かできる事があればと・・・・ミリアリアが、お茶汲みくらいなら、と許してくれたので・・・・」
すると彼は満足げな微笑でこう言った。
「では、私にもお茶を入れてきてくれないかね。仕事が終わって戻ってきたばかりで、少しばかりのどが渇いていてね。それに、薬を飲みたいので水が欲しいのだが。」
そう言われて私はお茶と水を用意しに立った。
彼は私を何かに利用したいようだ。・・・という事は彼の目の届く範囲で私が害される事はないだろう。しかし・・・・
「持って来ました。」
そう言って、お茶と水を彼の前に出すと、彼はお茶の香りを満足そうに嗅いで言った。
「ふむ。悪くないね。味も・・・・・うん、フレイはお茶を入れるのがうまいな。」
「ありがとうございます・・・」
やはり、そう言われると悪い気はしない・・・それに・・・・父の声で語られる優しい言葉に幸せだった過去を思い出されるのは私にとってはしかたのないことだった。
「皆も喜んでいるだろう。可愛い娘からおいしいお茶を入れてもらって悪い気のする男はいないだろうからね。」
「そうでしょうか・・・・」
リスティアの話を聞いたばかりの私にはとてもそうは思えなかった。
「まああまり気に病まない事だ。どの道、君にはここにいるしか道はないのだから。」
「でも、私・・・・・・」
「私のために役に立ってくれないかね、フレイ。」
それはもはや彼の切り札だった。
パパに似ているその声。彼は気づいているのだろうか。
「私は他の誰からも君を守る。ここにいれば君が恐れるものなど、何もないのだよ。」
パパに似たパパと似つかぬこの男。私はこれからどうすればいいのだろう。
「その薬は・・・・?」
何の気なしに口をついた質問にも、彼は微笑を浮かべるだけで返答が得られることはなかった。

188散った花、実る果実/作者:2004/03/28(日) 20:51
うーん、フレイ様追い詰められてきました・・・どうしよう・・・・

>>キラ♀フレイ♂
キラの貞操(?)が守られてよかった。しかし、フレイ様の思惑はどうも外れてきたようですね・・・・
でもフレイ様も愛に目覚めてきたようだし・・・・自分の気持ちに気がついてくれるといいのですが。

>>赤毛の虜囚
オリキャラは女性キャラですかな?
クルーゼの元にいるフレイ様は痛々しいけど・・・回想のフレイ様は可愛くていいですね。
こういう痛々しいシーンて中々筆が進まないんですよね・・・・

>>流離う
キラ、絶倫ですね!!(笑)
しかしフレイ様も現実に気がついてきたところで、またここが成長点になるのかな、という気がします。

>>刻還り
シャワーなし・・・これがフレイ様にとって一番きついお仕置きになるのでしょうか。(笑)
懲罰的には妥当な気もしますが、キラのわだかまりがどう消化されるんでしょうね・・・

>>The Last War
自分の道を信じて戦うアスラン。これだけ迷いのない彼は久しぶりに見たような気がします。
しかし右腕を損傷して思うように加勢できないキラ。頑張れアスラン。無事に帰れないとキラのトラウマになっちゃうぞ。

189過去の傷・93:2004/03/28(日) 23:31
キラとフレイは部屋にいた。
「明日は実戦練習だね、頑張ってね・・・」
とキラは言う。
たしかにそれはそう・・・私自身も楽しみにしている・・・でも私はいまそのことよりもキラとミリアリアのことが気になって仕方なかった。
「ミリィ馬鹿だよ・・・」
「え?」
「ほんとに馬鹿なんだから」
キラは下を向くと言った。
「キラ・・・」
フレイは思った。
キラはいまミリアリアのことを考えている・・・絶対そうだわ・・・キラ・・・流石に二ュ−タイプといっても全ての心を見透かすことは出来ないみたい・・・でもキラの顔と言葉を見たら分かる、キラもいまもしかしたらミリアリアの部屋に行きたいのかしら、彼女を元気付けたい気持ちでいっぱいなのかもしれない・・・だめそんなことは私が許さない、絶対に許さない・・・
それときになったのはキラが言った馬鹿という言葉・・・これには文句ではなく可哀相という言葉が隠れて見える・・・。
それからミリアリアとキラの会話を聞くと少しは私の知らないところで恋人に近い関係になっていたのだろうか・・・キスぐらいはしたのかもしれない、ミリアリアだ、彼女から誘ったのよ、絶対そうよ・・・キラを女の色気で誘惑したんだわ、キラはそういうのに弱い子だから、それは私が一番知っているつもり、ミリアリアはト−ルがいないから寂しいのよ、だからキラに関係を求めてきたんだわ。
「フレイ?」
フレイの様子が気になったのかキラが声をかけてきた。
キラ・・・ミリアリアと抱きしめ合う、キスをしている姿を想像してしまう。
フレイは思っていた、キラが手に入った、やっと自分のものになったと思い込んでいた、でも違った・・・キラ自身もミリアリアに心が向き始めているかもしれない・・・そんなことって・・・ミリアリアが優しいから?ミリアリアが可愛いから?認めたくないけど、ミリアリアは確かに可愛い、それに優しい、でも私だって・・・私だってキラに優しくしてきたつもりだ、それに自分で言うのは変かもしれないけど、容姿にも自身はある、ミリアリアにも・・・いえ彼女に勝ってる自身すらある・・・それなのに・・・キラ、私じゃ不満なの?私のゆくもりじゃいやなの?
フレイは勝手にキラがミリアリアを好きだと思い込み始めている。
「フレイ?どうしたの?」
「・・・・・」
「大丈夫だよフレイ、僕ずっと君のそばに・・・君には僕が・・・」
「キラ・・・」
キラがフレイの肩に手を触れてきた。
「や・・・やめて!!!」
その手をフレイは振り払った。
ミリアリアと抱き合った手で触れないで・・・。
次の瞬間フレイは部屋を飛び出していた。
「フレイ!」
キラの声が追ってくる。
しかしかまわずフレイは逃げるように走った。
キラから肩に手を触れてきた・・・いつも誘うのは私からなのに・・・いや違う、キラはただ肩に手を触れてきただけ・・・。
キラはミリアリアに心が向き始めているんだわ・・・。
どうしたら?
どうしたらキラに完全に好きになってもらえるのかしら?
考えながらフレイはカガリの部屋に向かっていた。
私はキラが大好き、私は結婚まで考えてるのに・・・。

「なんか用か?」
カガリが顔を出す。
「ちょっと入れてくれる?」
「入れよ」
フレイはカガリの部屋に入った。
彼女の顔を見ると癒される。
「お、おいなにするんだよいきなり!」
部屋に入ったとたんフレイはカガリに抱きついた、ぎゅっと強く抱きしめる、カガリは離そうとするがフレイはしっかりと抱きついていて離れない。
「このままで・・・」
「え?」
「もう少しこのままでいさせて・・・お願い」
「・・・・・・」
「カガリ・・・好きよ・・・」
「そうか・・・分かった」
カガリも抱きしめ返した。

190ヘリオポリス・1.24〜:2004/03/29(月) 13:59
1.24
[可愛い手帳を買った]
手のひらに収まるくらいの小さな電子手帳。
オレンジ色ですごく可愛いので、衝動買いしてしまった。
明日はジェシカ達とショッピングの予定なのに。
ジュブールのお店の新作手帳は見ないようにしよう。
去年は手帳を三度も買えて、パパのお小言をくらったんだった。
今年はこれを使い続けるのを目標にする。

1.25
[授業中]
今日は午前だけだから、これからショッピングの予定だったのに…
最悪、臨時テストなんて聞いてない
できるわけない。夜更かししちゃったし…
史学の授業は得意だけど、電子工学は…キライ
なんていうか、ロマンを感じないのよね。
でも私が、赤点なんてとれるはずがないわ。どうしよう…。

1.27
[信じられない]
ここ数日、あまりにいろいろありすぎて、パニックになっていた。
私が今いるのは、戦艦の中。戦艦は、アルテミスの中にいる。
地球軍が極秘開発した「アークエンジェル」っていう船。
極秘って言っても、私を含め、民間人が乗ってるんだけど。
すごく怖い。ヘリオポリスはなくなってしまった。一瞬だった。
ジェシカとミッシェルはどこにいるのか、会えて無い。
ここの艦長(ラミアスさんというらしい)が言うには、民間人の被

害はほとんどない、
だそうから、二人も無事なんだと思う。大丈夫かな…。
でも少なくとも、私よりは安全だと思う。
この艦は、戦争をしているなんて。あんまりだ。

私を拾ってきたのは、キラというサイの友達。
モビルスーツに乗れる、コーディネイターだった。
ほんものと喋ったのははじめてだ。なんだか平凡な感じだった。
子供っぽい顔だし。
私がテレビで見たのは、みんな大人だったからかな?
でも、やっぱり怖い。
サイ達は優しくていいやつだって言うけど、モビルスーツに乗って
銃なんて撃てる人が、ふつうなわけないわ。


同日:
やっぱりキラって子は怖い。大人のひと、しかも軍人を軽々と投げ

飛ばしてしまった。
コーディネイターなんかと、どうしてみんな仲良くできるの。あれ

を見て怖くないの?わからない。
逆に、私が責められた。私は間違ってない。
なんか、みんな、おかしい。
サイも、もっと私に優しくていいと思う。パパがいないんだから尚

更だ。

ここは嫌。早くパパに会いたい。通信機器も没収された。ほんとう

に最悪だ。


1.29
[凍った大地]
ユニウス・セブンはひどいことだと思う。
ミリアリアの話を聞いて、ますます思った。
核なんて、廃止されてよかったんだと思う。
パパも核使用には反対していた。私もよくないと思う。
死んだ人たちのために、折花を折った。
ちいさい女の子にも、私が教えてあげた。

同日:
お墓泥棒みたいなものだと思ったけど、
水が使えるようになったのは嬉しかった。
化粧品を沢山買っておいて良かったかもしれない。
軍のシャンプーじゃ枝毛が出来そうだし。
あと、においも良くない。年寄りくさいにおい。
やっぱり、ボディソープはエリザリオがいちばん。

191ヘリオポリス・1.24〜:2004/03/29(月) 13:59
2.3
[むかつく]
また、コーディネイターが来た。
なんていうか、むかつく女。
話し方とか、癇に障る。なんだか身分が高いみたいだけど。
キラが連れてきた。拾ってきたらしい。
あの子、ほんとうはコーディネイターのほうにつきたいんじゃない

だろうか。
信用ならない。どうしてみんな、キラを信用し続けるんだろう。
無口で、何考えてるかわからないし。

ザフトの子が軟禁中なのに、勝手に食堂に入ってきた。
よくわからないことを言って、握手しようとしてきた。
わけわからない。なんて空気が読めないんだろう。なんで誰も咎め

ないんだろう?
ほんと、イライラする。
なのに、私のほうが空気が読めてないって顔で、みんな見てくる。
違和感を感じる。むかつく。

帰りたい!!


2.6
[パパに会える!]
嬉しい!さっきサイが教えてくれた。パパがこっちに来るって!
ほんとうに嬉しい!でも、私ったらずっと同じ服で情けない。
せめて、お肌くらいはきれいにしよう!
パパの娘として、パパが恥をかかないように。

パパ……パパの顔見たら、私きっと、泣いちゃう。


2.8
[]


パパが、死んでしまった。
なんだか、よくわからない。
ずいぶん寝ていたみたいだ。
起きたくない。

パパ。


2.9
[許さない]
パパが死んだ。パパは殺された、ザフトに殺された。
ゆるせない、ゆるせない、私のパパを返して!!

さっき廊下でサイの話を聞いた。
キラはザフトに友達がいるって。
だから手を抜いたんだ。最初から戦うつもりなんてなかったんだ。
うそつき。最低。ずるい。ゆるせない!
コーディネイターのくせに!

でもいいことを思いついた。
どうせ、みんなキラの味方をする。
前みたいに、私が一人反発したって、意味がないのはもう分かって

る。
私もキラの味方になればいい。
キラが戦わざるを得ないようにすればいい。

そして、パパを殺したやつらを殺して、
そしてキラも死ぬんだ。

あんな子、死ねばいい。
絶対、許したりしない。


2.11
[キラに謝った]
謝るのは二度目だけど、やっぱり前回と同じだった。
キラはお人よしなふりをして、こうやって自分の居場所を作ってる

んだ。
それに気付いてるのは、私だけってこと。
でも内緒にしててあげるつもりだ。

同日:
嫌なニュース。
第八艦隊の本隊と合流するらしい。
これで私達は艦を降りれるって。
みんな喜んでる。私以外、みんなうるさいくらい。

どうしよう。考えてなかった。
折角、キラに敵を殺してもらうつもりだったのに。

どうしよう??


2.12
[決めた]
決めた。私は、軍に志願する。
もうそれしかない。

パパ、大好きよ。


2.13
[地球にて]
砂漠に下りた。アフリカらしい。
当初アラスカに降下する予定だったのに、あの子のせいで、降下ポ

イントがズレたって聞いた。
でもちょうどいい。
ここはザフトの勢力圏内らしいから、いっぱいコーディネイターが

いる。
キラにたくさん、やっつけてもらおう。

そう思ったんだけど、キラは今寝込んでる。
モビルスーツのまま大気圏を突入したから、コックピットはすごい

温度になってたんだって。
ナチュラルだったら生きてない温度らしい。
でももう、だいぶ汗も引いてる。やっぱり違うんだ。

そういえば、昨日…(まだ、今日?時間がわからない)
キラとキスした。
思ったより、なんてことなかった。
好きじゃない人にキスをするのは初めてだったけど、
嫌悪感より、キラが戦ってくれることが嬉しかった。
これは、ご褒美。

今、キラが何か寝言言った?
起きたら、いっしょにご飯をたべよう。

192ヘリオポリス・1.24〜:2004/03/29(月) 14:00
2.14
[キラの熱が下がった]
ずっと看病してた甲斐があってキラはもう完治した。
すごい回復力だ。なんだか、ありえない。

サイに、お別れを言った。すごくびっくりしてた。
どうせ、まだパパとサイのご両親が、パーティの席でお話しただけ

だけど、
サイのご両親はとくに、本気だったみたいだ。
サイは優しいし、好きだ。
でも最近のサイは、あまり優しくなかったけど。
でもそんなことはどうでもいい。

私のために、軍に残ったサイには可哀想だけど。
でもサイにはもう、関係ないことだ。

あとでまたキラの部屋に行こう。
ご飯のときはあの子、なんだかぼーっとしてて、あまり喋らなかっ

た。
こっちをあまり見なかったし。
もうちょっと私に興味を持ってると思ったのに…


2.15
[]

体が、痛い。
なんだかさっきから、外がうるさい。

キラが戦ってる音だ。
早く服を着なくちゃ。
シャワー浴びたい。でも今は動けない。

キラは私を守るって言った。
私は成功したんだ。
たぶん。

からだ、気持ち悪い。
くさい。
早く戦闘が終わるといい。

同日:
戦闘が終わったらしい。外が静かになった。
てきとうにひっかけてた服を脱いで、シャワーをさっき、浴びた。
でもなんか寒い。エアコンの調整、済んでないのかな。

わたし、キラとした。
したかったわけじゃないけど、泣いてるキラに、キスしてたら、
キラが夢中になって。胸を触られた。

そのまま心臓を掴まれたみたいな気分だった。
でもここで突き放したら終わりだと思って、私からベッドに誘った


あのときのキラの顔は忘れない。馬鹿みたいな顔。
ぜんぜん嬉しそうじゃなかった。さっきまで泣いてたから当然だけ

ど。

あとはもう分からない。思い出すのもイヤ。
キラが勝手にやった。私は抵抗しなかったけど、痛いのに我慢した

だけ。

キラはいつ帰ってくるんだろう?

193ヘリオポリス・1.24〜:2004/03/29(月) 14:01
前にフレイ様大天使日記というのがありましたが、
そういう感じですね。

ちなみにあれの作者さんとは関係ありません。

194流離う翼たち・443:2004/03/29(月) 23:02
 フレイの官舎を出たナタルはどうしたものかと考えたが、とりあえず行きたい所も無いと気付いてしまう。それで暫し玄関の前で悩んでいたのだが、結局浮かんだのは港にあるアークエンジェルの入港しているドックに行くことであった。とりあえず艦の修理状況を聞くだけでも良いだろうと思ったのだ。

「ふむ、1人になるとこうも時間の潰し方が分からなくなるとはな。若い頃はまともに遊びに行った事も無かったから、仕方ないのかもしれないが」

 考えてみれば随分と寂しい青春時代だったように思う。中学の頃にはもう未来は軍人と決めていて、ずっとそれを目指して努力を重ねてきた。おかげで25歳で大尉になり最新鋭戦艦の副長などという大任を任されるまでになった。軍人としてみればまあ順風満帆とまでは言わなくとも、それなりに充実した人生なのだろう。
 だが、フレイやカガリと接するうちに、何となくその生き方が空しく思えてくるようになったのだ。目の前で皮肉の応酬をしたり男女関係でからかい合っている姿は、自分には全く縁の無いものであった。あの頃はそんな物は馬鹿馬鹿しいと気にもしていなかったが、こうして目の前でそれを再現されると、少しくらい横道に逸れていても良かったのではないかと後悔にも似た感情が過ぎってしまう。
 しかしまあ、そんな感傷も内心をよぎる別の思いにあっさりと打ち消されてしまう。
ふと空を仰ぎ見れば太陽は朝と呼ぶにはやや高い所にあり、自分が起きたのが随分遅かった事を教えてくれる。なんだか、こんなに遅い時間に起きたのは随分久しぶりだ。何となく艦長たちと同じ駄目人間になってしまった気がして、ちょっと気落ちするナタルであった。

 アークエンジェルが入港しているドックは海軍の軍港内にある。アイボリーのタイトスカートに白いシャツの上から水色の薄手のカーディガンを羽織ったナタルは身分証明で中に入るとそのままドックに行こうとして、ふと灯台のある堤防の先の方に人影を見つけて足を止めた。

「・・・・・・あれは、何処かで見たような」

 いや、何を馬鹿な事を言っているのだ。あの後姿は何度も目にしている。間違いなくあれはキースだ。しかし、あんな所で一体何をしているのだろうか。

「まあ、あの人の事だから自殺しようとしている可能性は無いだろうが」

 そんな事を呟いて、ふと、何でそんな方向に考えが行ってしまったのかと深刻に悩んでしまった。もし彼女の悩みをキースが知ったら、きっとこう言うに違いない。

「朱に交われば赤くなる」

 と。


 キースは堤防の先でのんびりと釣竿を手に釣りをしていた。ややくたびれている軍服は歴戦の軍人を感じさせるのだが、口に咥えたタバコと脇に置かれたウィスキーのボトルが些かだらしなさを感じさせる。この姿を見ても誰も彼が連合屈指のエースパイロットだなどとは思わないだろう。
 その目は水平線に向けられ、なんだか哀愁を漂わせている。まるで何かに負けたかのような寂しさを見せるその背中は何者をも拒絶する重さを背負っているかのようだ。そんな彼に声をかけられる物などいるはずが・・・・・・

「釣れますか、大尉?」

 たまには居るらしい。そういう変わり者が。ナタルの声にキースは驚いて背後を振り返り、私服姿のナタルを見て馬鹿みたいにあんぐりと顎を落とした。

195流離う翼たち・作者:2004/03/29(月) 23:19
>> 過去の傷
なんというか、フレイ様、百合は不毛ですw!
カガリもサイはどうした。ジュリに負けっぱなしかw
ミリィの大攻勢にキラはどう対応するのでしょう?

>> ザフト・赤毛の虜囚
さて、フレイ様は捕虜生活をどうやっていくのやら
まああの仮面を見て素直に信用する人間が居たら逆に正気を疑いますがw

>> キラ(♀)×フレイ(♂)
フレイ君、だんだん現実の行動と野望が噛み合わなくなって来てますね
キラの方は逆に真実を垣間見ているようですが
とりあえず鉄パイプをフルスイングで食らっても生きてるマイケル君に敬礼w

>> 散った花、実る果実
リスティアさんとなにやら中立状態になってますね。お茶飲み話ですか
まあ、話してる内容は凄くアレですが。ザフトは軍人教育受けてないから軍規への認識が薄いんでしょうねえ
クルーゼが表面まともな人なのがなんだか・・・・・・

>> ヘリオポリス
日記ですね、とりあえずは砂漠の辺りまでですか
次はオーブまでいきますかな。クルーゼの所でも日記は続くのだろうか

196ザフト・赤毛の虜囚 38:2004/03/30(火) 00:56
7.幼子(おさなご) 5/8
[えへ! クルーゼ隊長に言われたの]

しばらく、また、ぼうっと考え事をしていると、部屋のロックの開く音がした。
にも関らずコール音だけ鳴らして部屋に入って来ない。クルーゼであるはずが無かった。
誰なんだろう?

私は部屋の戸を開けた。そこには、赤い軍服を着た女の子が立っていた。前の戦争に行く時に乗った
連絡機で見かけた、私と同年代の子。手には、パックされた官給の下着の束を抱えている。

立ってみると上背は、私よりもあって、丁度キラと同じくらい。比較的プロポーションの取れた体形。
膝まである丈の長い赤い軍服は、そんな体形を見せないように隠しているけど、それでも、その胸の
膨らみは隠せなかった。私と同じくらいか、ひょっとしたら、それ以上あるのかもしれない。
髪の毛は、少し赤みがかった金髪。軍人らしくショートにまとめている。だけど、髪質は、さらさら
していて、私と似た感じ。ロングにすれば、もっと似合いそうだった。そして、その髪型をした顔の
つくりは、かなり童顔に見える。私のキラへの第一印象のように。

その唇が声を発した。
「えへ! クルーゼ隊長に言われたの。これ持って行けって」

(えへ!?)
私は、引きつったような表情を浮かべた。こんなリアクション。私くらいの年だと、
さすがに恥ずかしくてできない。この子って一体……

この子は、私に下着を手渡した。そして、顔には満面の笑みを浮かべている。
そんな笑みの表情はザフトの捕虜になって辛い生活をしている私にとっては、少し心休まるもの
だったけど、今は、あまりの場違いな雰囲気に、逆に戸惑いを隠せなかった。

私は、さっき考えていた、頼み事を思い出した。私と同年代の女の子なんだから大丈夫なはず。
だけど、少し不安を感じながら話しかける。

「あの…… これと、その他にも頼みたいものがあるの」
「何? お姉ちゃん」

その子の返事に、さらに不安を感じながら話を続ける。

「下着、もっとたくさん、この倍くらい用意して欲しいの」
「何で?」

「あの……、よごれるの。それと…… それと念のためナプキンも用意してくれないかしら」
「ナプキン? って何?」

「知らないの? 生理用の……」
「ううん。分かんない。誰かに聞いとく」

そのリアクションに、私は予感が的中したことを知って落胆した。
『お姉ちゃん』だって? この子の幼稚な物言いは、ひょっとしたら……

だけど、この子の次の言動は、もっと私を戸惑わせた。

「ねえ、お姉ちゃんって、アタシのママでしょ」
「え?」

声も出せない私に、この子は抱きついた。私は、それに驚いて下着類を床に落としていた。
この子は、かがんで私の胸に顔をすりつけながら言った。

「ママ見つけた。やっと見つけた。ミコト、いい子にしてたよ」
「ミコト?」

ミコトと言うらしい子の、行動と言動に、私は頭の中が真っ白になったようで、
身動きもできなかった。やがて、ミコトは顔を上げて、いじらしい瞳を、
私に向けながら言った。

「ねえ、ママ、パパはどこにいるの。パパもいるよね」
「ちょっと、なによ。この子……」

私は、この子の行動に驚いていた。だけど、かといって容易に振りほどけないでもいた。
私に触れた髪の毛の質が、見かけどおり私とまったく同じなのが分かり、親近感さえ、
感じていた。

197ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/30(火) 00:59
ご想像通りオリキャラは女性キャラでした。正体は近く明らかに。

>>散った花、実る果実
フレイ様、クルーゼに紅茶と水を…… あのシーンですかな?
でも、フレイ様、クルーゼへの依存度が高まってきましたね。このままでは危ない。なんとかしなくては。

>>過去の傷
ええと、これは フレイ様が20話のキラで、キラがフレイ様で、ミリィが…… ああ、ややこしい。
でも、キラが一人でしゃがみこんで泣いてたのに比べて、フレイ様はカガリに慰めて出もらえて良かった。

>>ヘリオポリス
新作ですね。公式年表に添ってフレイ様の心境を綴る。しかも、もう問題の 2.15 まで。
微妙に漢字が少なくて、フレイたん?って感じも…… 1.29 の「ボディソープはエリザリオがいちばん」が良かったです。

>>流離う翼たち
久々復活おめ。考えていることは真面目過ぎるくらいまともなのに。台詞がボケまくっているナタルに脱帽。

198過去の傷・94:2004/03/30(火) 22:17
「・・・はあ・・・」
自分から肩に手をやろうとした・・・それはフレイに将来決めたからだ、だが拒絶されてしまった・・・なぜ?僕も少しショックを受けた・・・やはりまだ彼女は本気じゃないんだ・・・。
そうだ、ミリィはどうしているのだろう・・・?一応様子でも見に行ったほうがいいだろうか?でも・・・もし行ったらまた・・・でも一度も顔見せないというわけにもいかないだろう。
そんな時電話が。
「はい」
<キラ・・・?>
「ミリィ!」
<寂しいな・・・私・・・外出禁止なんだよ・・・>
「・・・・・・」
<フレイは・・・?>
「フレイ?ああ、いま出かけてる」
<・・・そう・・・ねえ・・・会いたいな>

「あの・・・ラクス」
「何です?アスラン」
ここはアスランの部屋だ、ラクスが訪ねてきたのである。
「いえ、その・・・今日のことなんですが、ラクスらしくない行動や言動が目立ちましたので」
「・・・・・・」
ミリアリアとの出来事のことだ、あれほどまでミリアリアを責め立てたことやハロを投げたことについてである。
アスランは目を疑った、平和の歌姫であり、プラントのアイドルでもある彼女がなぜあんな態度を取ったのか。
クライン邸でハロとはしゃいでいたラクス、誰にも笑顔を絶やさず、いつもスクリ−ンで歌を歌っていた彼女・・・アスランもその歌に心を癒されまたそんな彼女自身が好きだった。
「アスラン・・・私らしくとはなんなんでしょうか?」
「え?」
「アスランにとっての私・・・ラクス・クラインとはどういう女性ですか?」
「ラクス・・・」
「クライン邸のお庭にハロとはしゃいでいる私ですか?ステ−ジで歌っている私ですか?エタ−ナルの指揮官である私ですか?」
「私は・・・」
ラクスはアスランを鋭い眼差しで見つめる。
「アスラン、人は変わるのです」
「!」
「もう以前の私を見るのはおやめください」
「な!」
「ここにいる私はもうプラントの歌姫ではありません、この艦の艦長であり指揮官です」
「・・・・・・」
「分かりましたか?」
「・・・はい・・・」
「ですが・・・クライン邸に帰れば・・・以前の私に戻るおつもりですわ」
「はい」
「ですがそれはこの艦から降りたらの話です、分かりますね?」
「はい、分かっています」
「では私の部屋にお泊りください、これは命令です」
「はい、お言葉に甘えさせていただきます」

ミリアリアの部屋に入るキラ、中の様子を伺う・・・真っ暗だ。
「キラ・・・?来てくれたの?」
「うん、ミリィ・・・」
何を考えてるんだ僕は?昨日言ったじゃないか、迷惑だって、付きまとわないでくれって・・・なのになんで?なんでここに来てるんだ?
「入って・・・ご覧の通り電気もつけちゃだめだって・・・ラクスさん厳しいね・・・シャワ−も・・・」
「それは仕方ないよ」
「シャワ−浴びられないのって女の子にとっては寝れないのに近いくらい辛いことなのよ」
「そう」
謹慎処分を受けて部屋に閉じ込められているミリアリアの様子だが、そんなにショックを受けた様子はないようだ。
そしてキラには聞きたいことがあったのだ。
「ミリィあの・・・なんで?なんで機体に乗ったりなんか」
「フレイに対抗するためよ、あの子にも出来たんだから、私にだって出来るんじゃないかって思ったりして・・・」
「ミリィ・・・」

「ありがとう、少し落ち着いたわ」
「そうか、良かったな」
「じゃあ戻るわね」
「ああ」
あのあとも数分間抱き合っていたフレイとカガリ。
これで少しは気分が落ち着いたようだ。

「・・・・・・」
キラ・・・無意識に貴方を拒絶していまった、貴方の手を振り払ってしまった、つい頭にミリアリアのことがよぎってしまって・・・変な誤解招いてしまったかしら。
「キラ・・・?」
いない、キラが部屋にいない・・・一体どこに・・・?怒ったかな・・・?キラ・・・誤解させてしまったのならごめんなさい、貴方のこと私大好きよ・・・。

199過去の傷・作者:2004/03/30(火) 22:22
>>翼たち
ナタルさん、やはりこういうのは苦手ですか、それにしてもナタルさんの発言に笑いを堪えてます、すいません。
>>ザフト・赤毛の捕囚
な、なんなんだこの子は!?おいおい、フレイ様困惑ぎみ、それにしても一瞬シホちゃんかなと思ってしまいました、この子の正体は一体!?年齢的にはフレイ様と変わらないんですよね・・・。

200流離う翼たち・444:2004/03/30(火) 22:32
 なにやら目を瞬かせていたキースは、袖でごしごしと目をこすり、もう一度ナタルを見てもう一度驚いた。

「え、これは、私服? スカート? 可愛い? 何で?」
「大尉、落ち着いてください。言ってる事が支離滅裂です」

 ナタルに落ち着けといわれてようやく我に返ったキースは小さく頭を振り、何とか吃驚仰天状態を脱する事が出来た。

「バ、バジルール中尉・・・・・・じゃなかった、大尉、何でここに?」
「艦の状況を確かめに来たのですが、大尉を見つけましたので。こんな所で釣りですか?」
「ああ、ここ暫くドタバタしてて忙しかったからな。たまにはこうのんびりして、平和ってのを実感したいのさ」
「大尉は、戦うのが嫌いなのですか?」
「まあ、あんまり好きじゃないな。元ブルコスで色々と悪い事もしてきたが、人を殺すのは余り良い気のするもんじゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「と言っても、俺は元々復讐で軍に入ったからな。最初は殺しまくって悔やむどころか清々してた。正気に戻った頃には殺しても何も感じなくなってた。人間の感性なんて、毎日やってりゃどんな事でも慣れちまうもんだな」

 口調は軽いが、それが持つ意味は恐ろしいほどに深刻だ。殺す事に慣れ、死体を見ても何も感じない。それは歴戦の兵士ならば誰でも持つようになる当り前の特徴だ。だが、歴戦の兵士とは大別して二つに分かれる。大半は誰が死んでも自分だけは生き残ろうという生への執着を見せる。だが、ごく稀に磨耗し尽くした神経の負担からか、自分の命さえ軽く感じてしまう者である。
 ナタルはまだ死体を見た事が余り無い。宇宙軍での戦闘は死者を見ることがほとんど無いからだ。仲間が死体となっている時には大抵自分もすぐに死んでしまうので、乗艦が沈むか生き残るか、これが運命の分かれ道となる。加えて艦で指揮をとるだけの身だから人を殺しているという実感も余り無い。キースのように殺すのに慣れるなどという状況には遙かに遠かった。

「・・・・・・私には分かりません。殺すのに慣れるというのは」
「ああ、分からない方が良い。俺みたいになっちまうからな」

 キースは新しいタバコに火を付けて煙を吐き出した。

「大尉だって嫌でしょう。平和な、硝煙の匂いと戦場の緊張感が無い世界に居ると、違和感を覚えるなんてのは」
「違和感、ですか?」
「そう、違和感。何て言うのかなあ、ここが自分の居場所じゃないって言うか、落ち着かないんだな。まあ、そんな事言っても戦場に戻ればまた平和が恋しくなるんだが」

 煙草を吹かせながら釣りをするキース。その背中が妙に人を寄せ付けない重さを見せていたのはそのせいだったのかと理解し、ナタルは不謹慎にも小さく頷いてしまった。しかし、なんで平和を実感するのに釣りなのだろうか。
 何となく話題が無くなってしまったナタルは、立っているだけなのも疲れるのでキースが脇に置いていたクーラーボックスを引っ張ってきてそれに腰掛けた。キース本人は堤防に直に腰を降ろしている。

「うん・・・・・・」

 気持ち良い潮風に吹かれながらナタルは両手を挙げて背を伸ばした。海に来たのは初めてではないが、こんなに何の意味も無く、ただぼんやりとそこに居るだけというのは初めてだ。堤防にうちつける波の音が立てる単調なリズムも妙に心地良いものに聞こえてしまう。
 うなじを流れていく風に表情を緩めたナタルは、子供の頃以来になる無意味な時間を満喫していた。


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