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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

182キラ(♀)×フレイ(♂)・41−8:2004/03/28(日) 17:13
「へ…平気よ、フレイ。フレイが戦わないで済むように私が守るから。だか…!?」
何とか翻意を促そうとしたが、キラは最後まで言い終えることは出来なかった。
さっきまで飄々としていたフレイの黒い瞳に危険な雷光が閃き、キラは息を呑んだ。
「当てになるかよ!君の約束なんて!」
余裕のないフレイの顔には、かつてキラが見知った狂気と殺意の波動が混在しており、
キラは否応なくモントゴメリが撃墜して、フレイが母を失った瞬間を思い出した。

「大丈夫よ、フレイ。私がきっと何とかするから」
「大丈夫だって確かに言っただろうが!?この嘘つきが!!」
「お前、自分がコーディネイターだから、真面目に戦ってなかったんだろう!?」

「くたばれ、コーディネイター!!」
一瞬、呆然としていたキラが再び我に返った時は、フレイはその殺意を再びマイケルに
突きつけていたが、何故かキラにはその殺気は自分に向けられたものとしか思えなかった。
驚異的な動態視力で、フレイの指先が動くのを確認したキラは、考える前に行動して、
フレイに身体ごと体当たりを敢行した。鳴り響く銃声の音。六連装の最後の一発は、
マイケルの頬を掠めただけで、彼の生命を奪うまでには至らなかった。

「キラぁ〜!!」
「お願い、フレイ。守るから!今度こそ絶対に約束を守るから!
フレイが戦わないで済むように、フレイの敵は全部私が倒してあげるから!
だから、だから…」
ポロポロと涙を零しながら必死に哀願を続けるキラに、暴発仕掛けたフレイの魂は
沈着化を余儀なくされる。この時フレイが何を思ったのかは不明だが、キラに見えない
ように薄い笑いを浮かべると、フレイは童貞(殺人体験)を捨てるのを断念した。
「良いだろう、キラ。僕も大概お人好しだからね。もう一度だけ君を信じてみるよ」
フレイがチラリとマイケルの方を見下ろすと、彼は泡を吹いて失神している。
どうやらコーディの彼も、身体ほどには精神の方は頑丈には出来ていないみたいだ。



「行こうか、キラ」
キラにグーンのOSを弄ってMSを使用不可能にさせている間に、マイケルの両膝を
打ち抜いた弾丸が二発とも綺麗に貫通しているのを確認したフレイは、軽く応急処置を
した上で、彼の為に携帯で救急車を呼んでやることにする。
こうして、この戦いの後始末を済ませた二人は、互いに肩を寄せ合って倉庫を後にした。
「集合時間はとっくに過ぎているね。どこかホテルにでも部屋を取ることにするか」
「ええっ…」
フレイの誘いに機械的に頷きながらも、キラは辛そうに表情を伏せた。その理由は、
さきの後始末の最中に、まだ温度を保った缶コーヒーを偶然発見してしまったからだ。

「もしかして、フレイは私が襲われる様をここで観賞していたの?」
フレイの身体からも微かにカフェインの臭気を嗅ぎ取ったキラは、この二つを結び付けて
戦慄し、そう考えた刹那、自分の踏みしめている大地が崩れ落ちるような錯覚を覚える。
この時、キラはもう自分達の関係はお終いだと密かに予感していた。
フレイが、本当に自分の窮地を楽しんでいたかなど、実はどうでも良いことなのだ。
ただ、本来他人を疑うことと無縁だったキラが、自分の危地を救ってくれたフレイの性根
を真っ先にそう疑ってしまうほど、彼への不信感はキラの心中に根強く蔓延っているのだ。

疑心暗鬼に陥った今のキラには、島内を取り囲む暗闇同様に、自分達の未来も深い闇に
閉ざされているとしか思えなかった。


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