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選挙制度

1キラーカーン:2009/08/22(土) 23:20:49
散票制度の復活(試論)

最近では聞くことのほとんどない「散票」という言葉ですが、いわゆる泡沫候補に投ぜられた票という意味です。したがって、散票はあくまで有効投票の一部であって、散票≠無効票です。普通選挙制度が導入されるまでの日本(第15回総選挙まで)では現在のような立候補制度というものが「なく」、誰に投票しても有効でした。とはいっても、立候補表明して選挙運動を行なわない人物が当選する可能性は事実上ありませんでした。
(犬養毅本人が政界引退の意思を表明したのに、支持者が「勝手」に当選させた例は第16回総選挙で、立候補制度ができてからのこと)

 この制度では、「投票したい人に投票できる」制度であるために、立候補者の中からの選択を迫られるという「究極の選択」を強いられることがないということです。この制度を現代によみがえらせて、昨今のように「無党派」が多数を占め、投票率が低下傾向にある現在、投票率の向上策としてうまく活用できないかということです。

1 「立候補した人」は従来の選挙期間中(公示から投票日まで)、これまでと同じ選挙活動ができる。
2 それ以外の人は、当然選挙運動はできませんが、逆に、公職選挙法で禁止されているブログ更新等の活動ができる。
3 散票は小選挙区だけで有効で、散表により当選した者は、当選を受け入れるか辞退するかの選択権を有する。当選を辞退した場合、当選の権利は次位の得票を得た者に移る。

とこれ位すれば、なかなか面白い選挙戦になるかもしれません。
インターネットが発達した現在では、ブログやHPの更新が堂々と認められる散票立候補の方が効果的な選挙運動ができるという判断をする人がいるかもしれません。

2キラーカーン:2009/08/23(日) 00:43:13
選挙制度概論

総選挙も公示されたので、選挙制度とその(期待)政治的効果について、一応のおさらいをしておくことは無駄ではないでしょう。

選挙制度には大きく分けて
1 比例代表制
2 選挙区制
の2つがあります。さらに
「2」の選挙区制度も定数によって
2−1 小選挙区制度(定数1)
2−2 大選挙区制度(定数2以上)
と分かれます。他にも、比例代表制における最低得票率や、投票方式によって細かく分類できますが、ここでは、無用に細かくなりますので、触れないこととします。
 小選挙区制は、制度としては、「第1党に得票率以上の議席を与える」ことによって議会を安定させる」という役目を持ちます。したがって、得票率の変化を増幅した形で議席獲得率を変化させます(特に、第1党と第2党との境界線付近において)。
 すなわち、得票率を議席に変換する際、強引に「1:0:0・・・」というように変換します。ということで、小選挙区の場合は「死票」(=落選者への投票=議席に反映されない投票)という問題が付きまといます。

 これとは逆に、純粋な比例代表制では、議席が割り当てられる最低限の投票すら得られなかった政党への投票以外には死票の問題は発生しません。また、大(中)選挙区単記制(定数は複数でも、投票は1人の候補者にしかできない制度)においても、選挙区の定数が多くなればなるほど、(単一政党が複数の候補者を擁立することにより)選挙結果は比例代表制に近づいていくということも感覚的に理解できるかと思います。

 これらのことから、選挙制度とそれによる議院構成への効果は
1 小選挙区制では、得票率の変動を「増幅」して議席の変動として「出力」する。
 政党構成としては、単独政権である2大政党制(+有力な地域政党)へ志向する
2 比例代表制では小選挙区制のような「増幅」効果はない。
 政党構成としては、多数政党制による連立政権へ志向する。
ということになります。
 まさに、小選挙区制による「政権交代可能な2大政党制」というキャッチコピーはこの効果を表しています。

 さらにいえば、
1 小選挙区制は、種々の争点を政党単位で集約し、
 議会では、多数を占めた政党による安定的な議会運営を行う
(単一争点政党(例:「緑の党」、「スポーツ平和党」)の存在を許容「しない」)
2 比例代表制は、種々の争点を政党単位で集約「せず」、
 議会にその争点を持ち込んで、その争点の解決を議会での合意形成に委ねる
(単一争点政党(例:緑の党)の存在を許容する)
という効果を持ちます。
 ということで、大胆にいえば、

1 均一度が高い(アイデンティティが国民意識の中に溶け込んでいる=○○系日本人、○○教徒の日本人という意識)か、そうではないか(日本国民である○○人(民族)、○○教徒という意識)
2 少数派が地域的に(局所的に)偏在しているか(国全体に薄く広く)遍在しているか

という2つの座標軸を持ちます。これらのことから
ア 均一度が高い場合では小選挙区制(全国政党)
イ 均一度が高くなく、偏在している場合には小選挙区制(民族(地域)政党出現を容認)
ウ 均一度が高くなく、遍在している場合には比例代表制(民族(地域)政党出現を抑制)
が適切ではないかという推論が導かれます(「イ」の代表例は英国のスコットランド国民党、「ウ」の代表例は欧州のキリスト教○○党)。また、強力な全国政党があれば、比例代表制でも2大政党制(または、それに類似した体制)になることもあります(例:ドイツ)。もちろん比例代表制でも地域政党ができる可能性はあります(例:新党大地)


余談
かつての日本であった定数3〜5の選挙区というのは、大選挙区の一部ですが、定数が5以下(そして、戦前の選挙制度でもあった大選挙区制よりも選挙区定数が少ない)ということから特に区別して「中選挙区制」ということもあります。歴史的には、1925(大正15)年に成立した普通選挙法により、選挙区の定員が3〜5人となったことから、第2次山縣内閣で成立した大選挙区制との比較から中選挙区制といわれたことが起源です。

3キラーカーン:2009/08/23(日) 01:10:08
デュヴェルジェの法則と派閥と日本の政党

日本のように、候補者1人だけに投票できる制度を単記非移譲制といいますが、そのような投票制度において成立することで、有名な法則に「デュヴェルジェの法則」というものがあります。この法則は

候補者と投票者が当選に向けて合理的に行動する限り、候補者の数は「選挙区定数+1」に収斂する

というものです。これは、経験則的に分かると思います。
日本では、無意識的に、あるいはこの法則とは無関係に

中選挙区制においては、自民党の派閥および主要政党は選挙区の定数、(最大限)5つに収斂する

ということの説明のために使われました。逆に言えば、自民党は「制度化された政党連合」であるということの理由としても使われました。つまり、

自民党では、経世会(旧田中派)、宏池会(旧大平派)、清和会(旧福田派)、旧中曽根派、旧三木派
政党では、自民、社会、公明、民社、共産

と綺麗に5つに収斂していきました。
 デュヴェルジェの法則が機能するのであれば、「第6党」や「第6派閥」というものがあっても良いのですが、日本では、それらの勢力は小さく、これら5大〇〇というものを脅かすまでには至りませんでした(自民では、「中川グループ」、政党では「新自由クラブ」、「社会民主連合(社民連)」と小勢力でした)。その理由は現在の私では力不足で分かりません。

 自民党で、小選挙区導入以降、派閥が細分化されているのは、選挙制度が派閥の数を規定するという機能がに失われたからです。(小選挙区制度では、自民公認は1人だけであり、選挙戦で、別派閥に支援された自民候補同志が戦うという構図にはならず、「党中党」という意味での派閥を作り出す機能がない)

 それの政党版が「小選挙区になれば(政権交代が可能な)2大政党制」になるというものです。とはいっても、デュヴェルジェの法則が成立するのは厳密に言って、「選挙区単位」であり、全国単位ではないのですが、日本のように、深刻な地域対立や民族対立がない国では、英国や米国のような2大政党制が成立しやすい状況にあるとはいえます。

4キラーカーン:2009/08/24(月) 22:22:41
床屋政談(世襲候補の制限策:立候補者の休職制度)

 日本で話題になっている「世襲候補」ですが、日本において、世襲候補が多い理由として
1 個人後援会組織を基礎とした「個人商店」型選挙活動
2 終身雇用社会のため、サラリーマンからの転職リスクが非常に高い
ということが挙げられるかと思います。
 「1」につきましては、小選挙区制と比例代表制を併用している衆議院選挙では、政党が前面に出る選挙戦(小選挙区では党公認候補は1名だけであり、同一政党の公認候補者同士の戦いというのはありえない。比例代表は政党名での投票)になりつつある(移行期である)というところだと思います。もちろん、小選挙区でも、個人商店的な候補者が当選することもあるでしょうし、そのような候補者の活動の便法(国会での質問時間、政党助成金、比例区での(重複)立候補資格)として、小政党を結成すること(例:国民新党、改革クラブ)もありうるでしょうから、「個人商店型」国会議員は消滅しないでしょうが、その数は確実に減っていくでしょう。「刺客候補」や「公募候補」が取り沙汰されるというのも、「政党本位」の選挙に移行する過渡期の現象だと思います。ということで「1」を(直接の)理由とする世襲候補については、将来、減っていくことになると思われます。
 また、首長(知事など地方自治体の長)など1人しか選出しない選挙であっても、従来から、政党色を消した立候補が一般的(知事候補は、一般的には「無所属」として複数政党の推薦、支援を受ける=「相乗候補」)であるため、政党が前面に出る可能性が国政選挙より少なく、個人商店的な手法が残存する可能性が国政選挙より高いと思われます。
 「2」の方ですが、現在、終身雇用制が事実上崩壊しているといわれていますが、年金、退職金等々、(正社員での)終身雇用の方が転職を重ねるより有利だという現実は変わっておらず、派遣社員と正社員との「身分格差」ということも問題となっていることから、予測される将来において、特にサラリーマン(給与所得者)の「転職リスク」はこのまま高い水準で推移することになるかと思います。現実に、国会議員へ立候補する人は、
・学者、弁護士という「自由業」、「一国一城の主」系
・役人、労組、職域団体のOBという「第二の人生」系
というのが私の感覚です。つまり、サラリーマン正社員の座を擲って、国政に挑戦しようという人があまりいないと思われます。特に、昨今のような不景気で再就職も困難で、かつ、再就職で給料が上がるという見込みがほとんどない時勢では、ますます、政治家へ「転身」しようという人はいなくなるでしょう。

 つまり、世襲候補を減らす制度設計をするためには、立候補における障壁、すなわち、他業種からの参入障壁(=転職リスク)を少なくする必要があります。ここで、紹介するのはフランスの制度です。フランスでは、公務員や給与所得者(サラリーマン)はその身分を保持したまま公職への立候補が可能であり、落選や引退によって政界から身を引いた場合には、その保持していた身分での復職が可能であるということです。
 日本では、公務員は選挙に立候補した時点で、公務員としての身分を失う(退職)扱いになります。民間企業では、就労規則によりますが、一般的には、退職して立候補するということになるでしょう。いずれにしても、公務員やサラリーマンが国政に打って出る場合には、これまで築き上げたものをすべて「無」にしなければならない羽目に陥ります。また、当選の保証もないために、落選すれば、その瞬間に「無職」になってしまいます。
 しかし、フランスのような制度であれば、国政を志した場合に、とりあえず、サラリーマンとしての身分を持ったまま立候補して、(選挙期間が終わって)落選すれば、また、元のサラリーマンに戻るということが可能です。また、短期間(1期)で落選しても元の職場に戻れるという「保険」は大きいものであると思われます。
 世襲候補、世襲議員が問題であれば、世襲以外の候補をより多く参入させることが必要ですから、そのためにも、政治家への人材供給ルートを多様化することが必要です。その一例として、このようなフランスの制度も参考にしてもよいのではないでしょうか。

5キラーカーン:2009/08/26(水) 22:34:55

 フランスの選挙制度は、個人を選ぶ場合(例:大統領選)であっても、比例代表選で政党を選ぶ場合(議会選)であっても2回投票制(いわゆる「決選投票」(大統領選)、「足切り」(比例選)方式。以下では「決選投票方式」といいます。)を広く採用しています。ここまでは、理解するのにそんなに苦労はないと思います。
 現在の日本では、国政選挙や地方選挙では連記制の投票や決選投票を採用している例はありませんが、日本で行われている選挙全体で見れば、決選投票方式や連記制を採用している事例はままあると思います。しかし、(足切りラインと異なり)比例代表と決選投票方式を結びつけるという発想をする人はあまりいないかもしれません。
 フランスの選挙制度は、地方選挙で日本のそれとはかなり異なった制度となっています。この制度設計により、比例代表制と決選投票方式を組み合わせることによって政党(候補者)間の合従連衡(例:決選投票に進めなかった候補が決選投票での支持候補者の表明など)を選挙期間中に見せるという特徴を持っています。特に、最後で述べる「拘束名簿式比例代表決選投票第1党優遇制」は第1回選挙結果とそれに伴う合従連衡(連立工作)も含めて決選投票で有権者の信を問うことが可能であるという非常に面白い制度となっています。

1 大統領選(決選投票方式)
第1回投票で有効投票数の過半数を得ればその候補者が当選。過半数を得た投票者がいない場合には上位2名の決選投票
これは日本人にも割合なじみの深い選挙で、国会での首相指名選挙などでも行われている方式です。

2 国民議会(いわゆる「下院」)選挙(小選挙区、決選投票方式)
これも、基本的には「1」の大統領選と同じ形式です。相違点は「決選投票に進出できる「足切り」ラインが登録有権者(≠有効投票総数)の12.5%」であることです。つまり、票が分散すれば、決選投票で、3つ巴或いはそれ以上の争いになることもあり得る(最高で8人の争いになり得る)ことです。

3 元老院(いわゆる「上院」)選挙人選挙(間接投票方式)
 フランスの上院は間接選挙方式で、各県ごとに選挙人を選出し、その選挙人が元老院議員を選挙しますます。選挙人は
(1) 各県選出の国会議員、各レベルの地方議員
(但し、コミューン(日本の市町村レベル)の議員は全員ではなく、一部が選挙人となる)
(2) 選挙人選挙で選出される選挙人
となります。県の人口によって選出される選挙人数が異なるので、
Ⅰ 定数が2以下であれば、単記(1人区)または2名連記(2人区)の決選投票方式
Ⅱ 定数が3以上であれば拘束名簿比例代表1回投票方式(日本の衆議院比例区方式)

4 欧州議会議員選挙(拘束名簿式比例代表一回投票制)
 5%の足切りラインがあるという点を除けば、日本の衆議院選挙比例区、或いは、かつての参議院比例区と同じです。

6キラーカーン:2009/08/26(水) 22:35:23
 これからが地方選挙になります。フランスでは、地方自治体も議員内閣制に類似した制度を採用しており、日本のように首長を直接選挙では選出せず、議員の互選で選出します。また、助役以下幹部職員(部局長レベル)も議員から「互選」で選ばれます。

5 市町村レベル(コミューン)
このレベルでは人口によって選挙方式は3つに分かれます。

Ⅰ 非拘束名簿決選投票制(事実上の、「自由連記決戦投票制」)
これは、各党が用意した候補者リストに投票者が「自由に」加除訂正できる制度です。
鄯 各党の名簿掲載人数は定員以内であれば自由
鄱 投票者は政党に関わらず、定員以内で加除訂正自由
鄴 第1回投票で過半数かつ登録有権者の4分の1超であれば、その時点で当選
鄽 足切りラインは「なし」(第1回投票で当選できなかった候補者はそのまま決選投票へ)
と書くと、比例代表のように見えますが、
「鄯」から、「1人1党」つまり、事実上、個人(無所属)での立候補が可能
「鄱」から、投票者は届出政党に拘束されず、加除訂正で「超党派」の名簿作成が可能
つまり、連記人数が自由な「連記可能決戦投票制」です。

Ⅱ 非拘束名簿決選投票制(事実上の「完全連記決戦投票制」)
上記「Ⅰ」との違いは
鄯 候補者名簿は定数と同じ
であるので、個人(無所属)での立候補ができないということになります。「超党派」の名簿が作成できることは上記「Ⅰ」と同じ。つまり、定数まで連記することを除いては「Ⅰ」と同じになります。

Ⅲ 拘束名簿式比例代表決選投票第1党優遇制
と書くと難しそうですが、基本は日本でもなじみのある拘束名簿比例代表制です。特徴は
鄯 候補者名簿は定数と同じ
鄱 名簿順位6人ごとに男女を同数
鄴 決選投票進出のための足切りは有効投票数の10%
鄽 第1回投票は小政党の「足切り」だけであり、議席配分の機能はない
酈 但し、第1回投票で「足切り」になった政党で有効投票数の5%以上得た政党は決選投票に進出する政党と名簿を「融合」することにより決選投票へ進出可能(この場合順位の変更も可能)
酛 決選投票での第1党には「トップ賞」として議席の50%を獲得
醃 残りの50%を決選投票で有効投票数の5%以上を獲得した政党(含第1党)で配分
となります。このような順位を区切っての男女同数というのは、女性を名簿の下位に集中させるという事実上の「当選圏外」において、名目だけの男女同数とならないようにするための工夫でしょう。また、日本では、名簿掲載人数は自由ですが、フランスでは定数と同数に固定されていることです。
 日本と顕著に違うのは
ア 名簿の融合
イ トップ賞
の2つだと思います。
 日本でも、比例選挙で最初から合同名簿で戦った事例はあります(「新自由クラブ民主連合」=「新自由クラブ」+「社会民主連合(社民連)」)が、フランスの場合は、決戦投票制という制度を生かして、第1回投票と決選投票との間で合同名簿を作成する機会を与えていることです。また、「トップ賞」の存在により、決選投票では、合同名簿を作成して「大同団結」を図る誘引が大きくなります(3党が鼎立(拮抗)している場合、第1党であれば、2/3の議席が確保できるが、2位と3位ではそれぞれ1/6づつ(合計で1/3)しか議席を獲得できない。しかし、2位3位連合で第1党になれば、得票率(数)は同じでも、議席は1/3→2/3と倍増する。これが、「トップ賞」の効果)。

7キラーカーン:2009/08/26(水) 22:35:36
 日本の例に強引に当てはめれば、決選投票に進出したのは、自民、民主、公明、共産の4党、融合資格を得たのは、国民新党、社民党、新党日本、改革クラブとしましょう。決選投票までの各党協議で、結局、決選投票では
与党連合(自民+公明)vs野党連合(民主+社民+国民新党+新党日本)vs共産
(改革クラブはどの党とも融合できませんでしたので「足切り」で当選者なしが確定)
という3つの「統一名簿」(今回衆議院選挙での「連立」が予想される組み合わせで争うこととなりました。
 つまり、日本では、投票結果を判明してから「連立工作」が始まりますが、フランスでは、第1回投票終了から決選投票までの間に「連立工作」が行われ、その「連立工作」の結果についても有権者の信を決選投票で問うという手順を経ることとなります。

Ⅳ 市議会、区議会一括選挙型
 これは、ぱり、マルセイユ、リヨンの「3大都市」で行われている形式であり「Ⅲ」の「拘束名簿式比例代表決選投票第1党優遇制」の変形で、市議会の候補者名簿と区議会の候補者名簿が同じものです。この3都市は、市議会議員が区議会議員を兼任していることから、市議会と区議会に各政党に割り当てられた当選者数に対応して名簿の上位当選者が「市議会議員兼区議会議員」、下位当選者が「区議会議員専任」となります。
(フランスでは、このように公職の兼任が認められていますので、国民議会議員兼市長という人もいます。)

8キラーカーン:2009/08/31(月) 22:01:42
小選挙区制における得票率と議席率
前回総選挙と今回総選挙における主要政党の得票率と議席獲得率(小選挙区分)ですが
前回総選挙 今回総選挙
得票率 議席数(議席獲得率) 得票率 議席数(議席獲得率)
自民47.8% 227議席(75.7%) 38.7% 64議席(21.3%)
公明 1.4%  8議席( 2.7%) 0議席( 0.0%)
民主36.4% 52議席(17.3%) 47.4% 221議席(73.7%)
社民 1.5%  1議席( 0.3%) 3議席( 1.0%)
共産 7.3%  0議席( 0.0%) 0議席( 0.0%)
国新0.6% 2議席( 0.7%) 3議席( 1.0%)
というように、大まかに言えば、自民と民主の数字が逆転しています。
 単純計算すれば、第1党は半分弱の得票率で約4分の3の議席が獲得できるということになり、第2党は約40%弱の得票率でありながら、2割程度の議席しか獲得できないということになります(自公の選挙協力がありましたので、現実はそんな単純ではないですが、小選挙区制の傾向をつかむには十分でしょう)。言い換えれば

第1党は得票率の1.5倍(5割増)の議席を得
第2党は得票率の0.5倍(半分)の議席しか得られない

という結果になりました。しかし、得票率で見れば、双方とも約10%の差です。つまり、投票者の約10%(≒今回の期日前投票者分)が投票行動を変えるだけで
300議席⇔100議席
という地すべり的(議席の約40%強)な変動が起きるわけです。つまり、

有権者の投票行動の変動が議席獲得レベルで「4倍」に変換された

ということを意味します。これが、小選挙区制の特徴であり、小選挙区制を導入することによって「政権交代可能な二大政党制」に移行するという真の意味だったのです。
 つまり、わずかな得票率の差でも、議席レベルでは(地すべり的な)大差をつけることによって、安定多数の第1党人為的に作り出し、小党分裂や与野党伯仲による議会の機能不全を防ぐ(議会の安定を図る)という小選挙区制の言う特徴がはっきりと出た選挙だったと、今回及び前回の総選挙の結果を見て言うことができるでしょう。
 表面的な現象としては

得票率40%〜45%では、得票率の増減に対する議席獲得率の変動が極めて大きくなり、それ以下或いは以上の得票率の変動は小選挙区制にとっては無意味である
(1点差でも10点差でも勝ちは勝ち。プロ野球のように得失点差が順位に影響のないリーグ戦では、勝利がすべてで、点差は関係ないのと同じ)

ということです。逆に言えば、5%の投票者の行動が変われば与野党伯仲になるので、第2党もそんなに悲観することはないということです。但し、第3党以下の小選挙区制における敷居はかなり高いということになります(ここでも、「デュヴェルジェの法則」(政党数は「選挙区定員+1」に収束する)が妥当しているということが確認できます。)

9キラーカーン:2010/07/13(火) 00:05:59
参議院通常選挙も終わりました。民主党の惨敗で、ねじれ国会が再現することとなりました。
「みんなの党」が躍進しましたが、選挙区については基本的な傾向は変わっていません。
つまり
1人区:民主と自民との争い
2人区:民主と自民とで分け合う
3人区:民主と自民と第3党
という基本構図に、民主あるいは自民が3人区以上で複数取れるかということになりますが、
今回、自民が複数取れた選挙区はなし。民主は東京と愛知の2つだけであり、
2大政党といっても、3人区以上で複数当選できる地力は現状ではないということで、
「風」が吹かないと3人区での複数当選は殆ど不可能ということを示したという、
「あたりまえ」の結果でした。

今回の特徴としては、これまで、第3党は公明党の指定席だったのですが、
今回は「みんなの党」と分け合ったということです。
これは、公明党と「みんなの党」が議席を得た選挙区が
3人区と5人区というところに現れています。

もうひとつの特徴として、改選第1党を自民党に譲ったものの、
比例では民主党が第1党だったということです。
「新党ブーム」で自民党が分裂もようだったといっても、
それらの新党の得票数を合わせても、民主党に並ぶかどうかでしょう。

そういう意味では、昨年の総選挙で民主党政権を生み出した勢いの「慣性」が残っており
それが民主党に対してまだ「追い風」となっていると見られます。

10キラーカーン:2010/07/13(火) 00:07:30
参議院通常選挙も終わりました。民主党の惨敗で、ねじれ国会が再現することとなりました。
「みんなの党」が躍進しましたが、選挙区については基本的な傾向は変わっていません。
つまり
1人区:民主と自民との争い
2人区:民主と自民とで分け合う
3人区:民主と自民と第3党
という基本構図に、民主あるいは自民が3人区以上で複数取れるかということになりますが、
今回、自民が複数取れた選挙区はなし。民主は東京と愛知の2つだけであり、
2大政党といっても、3人区以上で複数当選できる地力は現状ではないということで、
「風」が吹かないと3人区での複数当選は殆ど不可能ということを示したという、
「あたりまえ」の結果でした。

今回の特徴としては、これまで、第3党は公明党の指定席だったのですが、
今回は「みんなの党」と分け合ったということです。
これは、公明党と「みんなの党」が議席を得た選挙区が
3人区と5人区というところに現れています。

もうひとつの特徴として、改選第1党を自民党に譲ったものの、
比例では民主党が第1党だったということです。
「新党ブーム」で自民党が分裂もようだったといっても、
それらの新党の得票数を合わせても、民主党に並ぶかどうかでしょう。

そういう意味では、昨年の総選挙で民主党政権を生み出した勢いの「慣性」が残っており
それが民主党に対してまだ「追い風」となっていると見られます。


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