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選挙制度

2キラーカーン:2009/08/23(日) 00:43:13
選挙制度概論

総選挙も公示されたので、選挙制度とその(期待)政治的効果について、一応のおさらいをしておくことは無駄ではないでしょう。

選挙制度には大きく分けて
1 比例代表制
2 選挙区制
の2つがあります。さらに
「2」の選挙区制度も定数によって
2−1 小選挙区制度(定数1)
2−2 大選挙区制度(定数2以上)
と分かれます。他にも、比例代表制における最低得票率や、投票方式によって細かく分類できますが、ここでは、無用に細かくなりますので、触れないこととします。
 小選挙区制は、制度としては、「第1党に得票率以上の議席を与える」ことによって議会を安定させる」という役目を持ちます。したがって、得票率の変化を増幅した形で議席獲得率を変化させます(特に、第1党と第2党との境界線付近において)。
 すなわち、得票率を議席に変換する際、強引に「1:0:0・・・」というように変換します。ということで、小選挙区の場合は「死票」(=落選者への投票=議席に反映されない投票)という問題が付きまといます。

 これとは逆に、純粋な比例代表制では、議席が割り当てられる最低限の投票すら得られなかった政党への投票以外には死票の問題は発生しません。また、大(中)選挙区単記制(定数は複数でも、投票は1人の候補者にしかできない制度)においても、選挙区の定数が多くなればなるほど、(単一政党が複数の候補者を擁立することにより)選挙結果は比例代表制に近づいていくということも感覚的に理解できるかと思います。

 これらのことから、選挙制度とそれによる議院構成への効果は
1 小選挙区制では、得票率の変動を「増幅」して議席の変動として「出力」する。
 政党構成としては、単独政権である2大政党制(+有力な地域政党)へ志向する
2 比例代表制では小選挙区制のような「増幅」効果はない。
 政党構成としては、多数政党制による連立政権へ志向する。
ということになります。
 まさに、小選挙区制による「政権交代可能な2大政党制」というキャッチコピーはこの効果を表しています。

 さらにいえば、
1 小選挙区制は、種々の争点を政党単位で集約し、
 議会では、多数を占めた政党による安定的な議会運営を行う
(単一争点政党(例:「緑の党」、「スポーツ平和党」)の存在を許容「しない」)
2 比例代表制は、種々の争点を政党単位で集約「せず」、
 議会にその争点を持ち込んで、その争点の解決を議会での合意形成に委ねる
(単一争点政党(例:緑の党)の存在を許容する)
という効果を持ちます。
 ということで、大胆にいえば、

1 均一度が高い(アイデンティティが国民意識の中に溶け込んでいる=○○系日本人、○○教徒の日本人という意識)か、そうではないか(日本国民である○○人(民族)、○○教徒という意識)
2 少数派が地域的に(局所的に)偏在しているか(国全体に薄く広く)遍在しているか

という2つの座標軸を持ちます。これらのことから
ア 均一度が高い場合では小選挙区制(全国政党)
イ 均一度が高くなく、偏在している場合には小選挙区制(民族(地域)政党出現を容認)
ウ 均一度が高くなく、遍在している場合には比例代表制(民族(地域)政党出現を抑制)
が適切ではないかという推論が導かれます(「イ」の代表例は英国のスコットランド国民党、「ウ」の代表例は欧州のキリスト教○○党)。また、強力な全国政党があれば、比例代表制でも2大政党制(または、それに類似した体制)になることもあります(例:ドイツ)。もちろん比例代表制でも地域政党ができる可能性はあります(例:新党大地)


余談
かつての日本であった定数3〜5の選挙区というのは、大選挙区の一部ですが、定数が5以下(そして、戦前の選挙制度でもあった大選挙区制よりも選挙区定数が少ない)ということから特に区別して「中選挙区制」ということもあります。歴史的には、1925(大正15)年に成立した普通選挙法により、選挙区の定員が3〜5人となったことから、第2次山縣内閣で成立した大選挙区制との比較から中選挙区制といわれたことが起源です。


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