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夕暮れの坂道

1りほ:2010/11/17(水) 17:43:50 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
     君は私に生きる希望をくれた。

  きっと、君の事は一生忘れることはないだろう。

         また、会おう。

   約束なんてしてないけどまたどこかで会える気がした。

2りほ:2010/11/17(水) 18:14:03 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯1  『悪目立ち』

「桜井!」
 先生が呼び止める。
 私は黙って振り向いた。
「あのさ…桜井。
 お前、虐めれたりしてないよな?
 いやあ、よく一人でいるから…と思って。」
 「安心してください。
 自分から一人になってるだけですから。」
 先生はギョッとする。
「そうなのか……?
 でも、本当にそんなことが起きたら先生に言ってくれ。
 なんでも相談に乗るからな!」
 そう言うと、先生はうわべだけの笑顔を私に向ける。
 私もうわべだけの笑顔を先生に向ける。
 熱血の先生なんてもう古いって、あの先生に教えてやりたい。
 それに、私は知ってるんですよ。
 本当に虐められたら、必死に表向きにばれないように
取り繕うということを。
 先生やクラスメイトだってそんなもんだ。
 結局、自分以外はどうでもいいに決まってる。

 私の名前は桜井 奏嘉。(さくらい かなか)
 中1のAB型。
 一応、生物学的には女ってことらしい。
 前まではフツーのそこらへんにいる、その他大勢だった。
 けど、今は悪い意味で目立ってる。
 自分でも悪い意味で目立ってることは知ってるし、
むしろ自分からこの道を選んだ。不満なんてものはない。

 キーンコーンカーンコーン。
 チャイムが鳴る。
 給食の時間。
 ここの学校は中高一貫で、中学生でも時々弁当の日がある。
 その日は、どこで食べようが誰と食べようが関係ない。
ってか、むしろ自由ですよ。みたいな感じだ。
 ここの学校の校訓は『強く、明るく、元気に』
らしいが、私から言わすと『自由、自由、自由!』
みたいな感じなのだ。


続きは明日くらいに書きます。

3りほ:2010/11/18(木) 18:49:17 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯2 『俺の名前を教えてあげる』

 私は階段を駆け上がる。
目指すは屋上の扉。
 さすがに弁当の日に一人はいけない、って
熱血先生に言われちゃったんだよね。

 バンッ!
「………………。」
 乾いた空気。喉が痛くなっちゃいそう。
空が広がっている。
 ああ地球って『球』なんだな、って思っちゃう。
 1時間でも2時間でも、もしかしたら1日中見ていられるかもしれない。
 壁にもたれかかる。思いっきり力を抜く。
野菜ジュースのストローをぴっと出して飲む。
冬だけどおいしい。

「ねえ、何してんの?」
「ぶっっっ!!!」
 思わず、ジュースを吐いちゃいそうになった。
 屋上の上から顔を出した人にふざけんな!って言ってやりたい。
「桜井、なんでいんの?」
「あっ…あんた、だっ誰?」
 なんで、私の名前知ってるの?
 そう私が言うと、男の子はひょいっと私の前に飛び降りた。
 真っ黒で寝癖のついた髪。
身長は、私より5㌢くらい高い。
制服を自然に着崩してる。(いや、着崩してるわけじゃないかも…。)
あと、誰かに似てる気がする…雰囲気がかな?
「あっ、俺?俺は、樹。吉岡樹。」
「よしおか、いつき?」

続く…

4りほ:2010/11/20(土) 11:18:43 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯3 『転校生』

 キーンコーンカーンコーン
 私は、チャイムの合図と共にその場を立ち去った。
 だって、なんかあの人、変じゃない?
関わりたくないっつーか。
 私は3階の教室へ向かう、階段を下りながら思った。
 そして気づいた。

「……………。」
 私は、3階と4階の間の踊り場の壁にもたれた。
 私は誰とも関わり合わないって決めたんだ。
 あの…よしおかいつきだけじゃない。
ここにいる人たち全員に関わらないって決めたんだ。
 ふと、さっきのことを思い出す。
 いつから、感情を表に出さなくなったんだろう…
 なんだか寂しいような、ちょっとホッとしたような、
なんともいえない気持ち。

「きりーつ、れーい。」
 向こうの教室から声が聞こえる。
 私は気持ちを入れ替えて立とうとした。
「何してんの?」
 げっ!
「よっ…よし…おっか…いつき…?」
「あのさぁ〜吉岡樹ね?
平仮名のいつきなんてかっこよくないじゃん?」
 なに?この人。なんなんだ?この人。
「何年、何組なの?」
「1年3組…」
 ふ〜〜〜んと言うと吉岡樹は、
あたしの腕を掴んでひっぱって連れて行こうとする。
 誰か、助けてよ〜〜〜〜〜!?

 ガラガラガラッ
「おっ…おくれてすみませんでした…」
 みんなの視線が痛い…って
見てるのは私じゃない?
「初めましてー!
 転校してきました。吉岡樹でーす!」
 えっ!?
 頭がついていかないんだけど!?



続く…

5りほ:2010/11/22(月) 17:59:45 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
初めまして〜!
りほというものでございます。
 今回の、『夕暮れの坂道』はですね、
りほの小説、2作目でございます^^ヮ〜ィ
 『夕暮れの坂道』は短い話しをドカーっと集めた、
短編集みたいになる予定でございます。
 1》の文章にまつわるお話を書いていけたらなあ〜
と考えております。
 今の所、まったく感想がない状態ですが〔泣〕
がんばりますので、よろしくお願いします♪

 P.S『真昼の月』と同時進行しておりますので、
更新が遅くなるかもしれません。
 気長に待っていてやってください〔笑〕
 そして、できれば『真昼の月』も見てやってください。
 (もろ宣伝ですね。スミマセン〔笑〕

6切音(恋楼) ◆Mjk4PcAe16:2010/11/22(月) 18:12:00 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
恋楼だよーっノ

第二作目にわくわくうきうき!(ry
これからも頑張ってねーノ

因みに今は切音(せつね)って名前で小説書いてるよb+

7りほ:2010/11/22(月) 18:46:18 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
今、書いている『桜井 奏嘉』主人公の小説は、
題名は『勿忘草〜わすれなぐさ〜』っていいます。
言うのが遅れて申し訳ないです><(汗)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
♯4 『笑わないって決めたのに』

 休み時間。私の席は人でごった返してる。
いや、ちょっと訂正。私の隣の席、だ。
 先生もなんで、吉川 樹を隣になんかすんだよ?
 とりあえず、転校してきた最初の日は大体質問攻めになる、ってのが
フツーの学校での恒例行事。(なんだろうな)
「どこから来たのぉ〜?」
「ねえ、今日いっしょに遊びに行こうよぉ〜」
 こういうのを聞いてると、
「なんで、必ず文末に『ぉ』とかがついてんだよ!」
ってつっこみたくなる。美しい日本語喋ってこそ、
日本人だろっ!って。

「ねえ。なんで、『あの』桜井さんといっしょに来たわけぇ〜?」
 私は一瞬で固まる。
 社会の予習してた手も止まる。
 一気に宇宙の中に引き込まれた気分になった。
 無の世界に。何も聞こえない、無の世界。
「そおだよぉ〜。あんな変な子なんかよりぃ〜
うちらとあそぼぉ?」
「そ〜そ〜!あの子まったく喜怒哀楽ないもんねぇ〜」
 ちらっとその子たちを見る。
「……………!!」
 その子たちは私を見てクスッと笑った。
それで、それで、吉川 樹の肩を軽く触る。
なんなんだよ!

吉川 樹は頭をぽりぽり掻くと、
「う〜〜〜〜〜ん。
悪いんだけど、桜井は喜怒哀楽あるよ?
それに、一緒に居たい奴は自分で決められるから。」
「!!」
 さっきの子達は、つまらなそうな顔をして帰ってく。
(ついでに私を睨みながら。)
 そして、吉川 樹本人はのほほんとした顔で
「俺、かっこよくなかった?」
って。
 思わず顔が緩む。
 私は笑った。
 笑わないって決めたのに。
 こいつはなんか不思議だ。



続く…

8りほ:2010/11/22(月) 18:49:30 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
6>>切音って名前可愛すぎだろぉ〜!
小説の名前教えてくれよぉ〜
見に行きまっせ!

9切音 ◆Mjk4PcAe16:2010/11/22(月) 19:35:17 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
りほって名前の方が可愛過ぎてきゅんきゅんしちゃうよ(*´ω`*)
あ、教えるの忘れてた(Σ
うん、でも分かったよね多分!←

10りほ:2010/11/22(月) 22:59:04 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
切音>うん♪
分かったよ。テレパシーで(笑)

きゅんきゅんしてくれてありがとぉ〜(笑)

11りほ:2010/11/26(金) 18:23:42 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯5 『生活観のない家』

 あの日以来、私はよく笑うようになってた。
吉川樹と一緒に居るようになったからかな?
吉川樹といると、あのことは忘れられる。
家のことも。あの日のことも。
 だけど、あいつと離れるとすぐに思い出す。
夜も眠れない。


 私はある夜の11時。
眠れないまま、リビングのソファに座ってココアを飲んでた。
真っ黒のソファは今の私の心にぴったりだ。
 私は時々、このリビング、廊下、全てが
人の家のものみたいに感じる。
皆もない?人の家にいたら、自由に動き回ったり出来ないことって。
 新築のような外装。モデルルームや雑誌に出てきそうな家具。
机の上に何気なく置いてある、雑誌でさえも
緻密に計算されて、この角度が一番綺麗に見えるって
置いてあるみたいだ。
 そう、この家は生活観がない。

「まだ起きてたのか。」
 一人の男の人がリビングに入ってきた。
「お母さんは?元気だった?」
 私は聞いた。
 するとその人はチッと舌打ちした。
 そして凄みのある目つきで私を睨む。
「なわけないだろ!?」
 びくっとする。
「……ごめんなさい…」
 私はそう言ってから、ココアを啜る。
 他の人から見ると、その男の人は『お父さん』ってことになるらしい。
 でも、私は思ってなんかない。普通のお父さんなら、
娘が「お母さんは?元気だった?」って聞いたら、
嘘でも「元気だったよ。」って答えるもんじゃないの?
たとえ、実の娘じゃなくても。

 長い沈黙の後、男の人は長いため息をついた。
 ダイニングテーブルの椅子にコートをかける。
「おい、学校で何かあったか?」
「何って…なんでそんな事聞くの?」
 いつもそんなこと聞かない。いきなり、しかも唐突すぎる。
 しかも、私の名前は『おい』じゃない。
奏嘉って名前があるのに。
「ああ、志保が聞いとけって。」
 そうだった。この人はお母さんだけは愛してるもんね。
連れ後の私には興味なんてない。
 大好きなお菓子を買ったら、どうでもいいおもちゃがついてきた、そんな感じ。
「べつに。特に変わったこともなかったよ。」
 私はココアのカップを洗いながら言った。
 そのとき、あの人はネクタイを緩め、
足を組み、ぼそっと小さな声で
「あー、めんどくせーな。」
って言った。
 私はココアを飲んだカップを乾燥棚に置くと、
「おやすみ」も言わずリビングを出た。


 部屋に入る。私が始めてここに来て、部屋を見てから何も変わってない。
始めて見たとき、モデルルームみたいって思ったけど、
今見ても、モデルルームみたいって感じ。
 私は、ベットに横たわる。
 疲れた。
 ああ、速く吉川樹に会いたい。
 心からそう思った。




続く…

12りほ:2010/11/27(土) 19:27:55 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯6 『電車に揺られて』

 朝起きる。あの人はもういなかった。
よかった。心からそう思う。
 トーストに齧りつく。
甘酸っぱいマーマレードが口の中で広がる。


 いつもより、速く家を出た。
澄んだ空気とか、静かな道路とか、すべてが愛おしく思える。
 だけど学校についてすべてが、がらっと変わる。


 がらっ。
 教室のドアを開ける。
 私の目に飛び込んできたのは、
『男好き。』
との大きな文字。
 ああ。あいつらか。
前、吉川樹に声をかけてた女たち。
 みんなの視線が私に集中する。それは冷たくて痛い。
「ねえ。言いたいことあるんなら、直接言えば?」
 私は言った。小学生のころはそう言えば大体相手は何もいえなくなる。
だけど、今は相手の神経逆なでただけだったみたい。
「はあ?ふざけんなよっ!?」
 相手は睨んでくる。だけど、全く怖くない。
あの人に比べたら、この子なんて子リスちゃん並みだ。
 あたしはすました顔をして相手を見る。
「別に。ふざけたつもりじゃないけど。」
 相手は、さらにイラッとした顔をした。
そして、余裕の顔をした。
「……………?」
「へえ〜、いいんだ。この事、全校生徒に見せちゃってもいいんだけどな〜?」
 そこには、私と……そしてあの人と一緒に病院から出てくる写真だった。

13りほ:2010/11/28(日) 15:23:11 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯6の続き…

「なに…それ?」
 私は聞く。
「まさかのまさかだよね。桜井って年上の彼氏がいたなんて。」
 確かにあの人は若い。21歳くらいだし。それにかっこいい。
よく、「兄妹ですか?」とか、「かっこいいお兄さんですね」って言われることはあるけど、
まさか、カレカノに誤解されるなんて…あの人が知ったら大激怒だよ…(苦笑)
「あの…それお父さん…なんだけど?」
 あいつはまるで鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
「はあ? そんな見え見えの嘘つくんじゃねーよっ!」
 そしてキレる。いつか血管切れちゃうよ?
 
「ねえ。あたしさぁ〜あんたのその余裕こいた顔が大っ嫌いなんだよね。」
 そう言うと私の頬に爪で傷を付ける。赤い血が頬を伝う。
「この…尻軽。」
 私は下を向く。
 なんで私ばっかり?勝手に誤解しといて…
 もうやだ。もうやだ。もうやだ。もうやだ。もうやだ。

 気づくと私は、あいつの胸ぐらを掴んで一言、言ってた。
「勝手に勘違いしてんじゃねーよ。」
 そして、その姿を吉川樹が見てた。


 いらつく。なんで私があいつの胸ぐら掴んでるとき、学校になんか来るの?
もう最悪。絶対誤解された。
 私はダッシュで階段を駆け上がってた。
 あの時私は、絶対に誤解された、そう思って教室を飛び出した。
もう何もかもが嫌になったもんだから。
 夢だったらよかったのに…
 そう思ってたら階段の最後の一段を踏み外した。
 ぐらっ!
 体の重心が後ろに傾く。落ちる。
 何もかもがスローカメラで撮ったみたいに見える。
変なの…

 どさっ
「いたっ………くない?」
 びっくりして下を見る。
「よっ…吉岡樹っっっ!?」
「いってー!後頭部打った。マジで痛い。」


「ごめんなさいっ!!!」
 私達は屋上に居た。
「俺は平気だけど…桜井は?」
「わっ…わた…しは平気だけど…」
 手が震える。とてもとても怖かった。

「ねえ、桜井。何かあったの?」
 吉川樹が私の顔を覗き込む。
「あっ、あれは…あの子が…!」
 私が必死に訴えようとしたら、吉川樹は静かに首を横に振った。
まるで、「そのことは分かっているから、安心して。」とでも言うように。
「桜井の、家のことが知りたいんだけど。」
「………………。」
 こういうことは人に言いたくないって思ってたけど、
吉川樹の瞳を見てたら、何もかも言いたくなった。
 なんでだか分からないけど…
 
「分かった。話すね…」
 その日の空は私の心とは反対に、清清しく晴れていた。

続き…

14:2010/11/30(火) 17:26:40 HOST:u232.d018166210.ctt.ne.jp
あの…突然申し訳ないですけど、
もうすこし工夫したほうが…(小説)
みてて、飽きるしドキドキしないストーリーを変えたほうがいいかと

15りほ:2010/12/01(水) 18:33:04 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
灯様>
アドバイス、ありがとうございます!!
飽きる…ですか…
ドキドキしない…確かに、そうかもしれません…
うwwwwwwん。ちょっと、工夫してみますね。
ありがとうございます(^^)

16梅干☆:2010/12/01(水) 19:48:37 HOST:p5012-ipad01matuyama.ehime.ocn.ne.jp
‥でもすごいですね!!

17りほ:2010/12/03(金) 17:54:28 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
梅干☆さん>ありがとう^^
        この話し自体、あまりドキドキしないストーリーなので、
        そこはすみません。

とりあえず、話をひとまず終わらせちゃおうと思います。

18りほ:2010/12/03(金) 18:23:41 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯7 『真実』

 去年の春。母さんと父さんが離婚した。
別に、悲しいってワケじゃない。
 むしろ賛成。
 父さんは酒飲みで、いつもいつも酒を飲んで騒いでた。
その横で母さんが泣いてるのも知らずに。
 
 母さんは言った。
「絶対に、奏嘉のことを一人にしないからね。」
 私もそれを信じたし、母さんも必ず約束を守ってくれるって信じたかった。


 夏。
 私は晩ご飯を一人で食べることが多くなった。
 最近までは、仕事が大変なのかも、って思ってた。
でも、母さんの部屋を偶然、覗くと一枚の写真が落ちてた。
 若い男の人と、母さんの写真。
 もう誰も信じられなくなった。


 秋。
 母さんとあの人が結婚した。
 私は、あの人のことが好きになれなかった。
 目が父さんと似てるから。


 冬。
 母さんが倒れた。
 血を吐いて。母さんは体が弱かった。


続く…

19りほ:2010/12/03(金) 18:55:58 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯8 「行かなきゃいけないところがある。」

 「あはは。ひいちゃった?」
 心では笑ってない。だけど、笑うしかない。
誰にも言ったことなんかなかった。
 酷い言葉でしか、返ってこないって分かってたから。
 だから、吉川 樹の言葉にはビックリした。

「そんなことない。人に裏切られて、誰かに頼るのも当たり前。
その人にも裏切られて、誰も信じられなくなるのも、
相手に辛く当たるようになるのも当たり前。
 奏嘉は悪くない。」
     『奏嘉は悪くない。』
 心に響く。
 ずっと辛かった。悲しかった。
 今、思うとなんであの時、どうしようもなく吉川 樹に話したくなったか分かった。
誰かに聞いて欲しかったんだ。聞いて、何か言って欲しかった。
ううん、違う。とりあえず聞いて欲しかった、それだけだ。

「ねえ。奏嘉。なにかしなきゃいけないんじゃないの?」
「えっ?」


「ちょっと、吉川 樹。それ、菊。お葬式に使うの。ダメ!」
「えwwwwww? じゃあ、これは?」
「植木鉢もだめなの!!」
 私達は今、母さんに会うためにお花を選んでる。
 何を話せばいいか、分からないけど……


「桜井志保さんは405号室ですよ。」
 私は息を吸う。緊張どころじゃない。
 怖い。

 がらっ。
「あら。来てくれたの?」
 母さんの声。久しぶりに聞く。
「かあさん、私。奏嘉。」
「奏嘉?」
 私はゆっくり、カーテンを開ける。

20りほ:2010/12/03(金) 19:56:07 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯9 『最終話』

 そこには、あの人もいた。
あの人は私に優しく笑いかけてきた。
意外……私に笑いかけれるんだ。
「おい。」
 吉川樹に背中を小突かれてようやく気づいた。
「おっ……お母さん。ごめんなさい!!!
お母さん……その、私のこと嫌いになったんでしょ?
私のこといらないんでしょ?」
 涙で視界が揺らぐ。でも、私は続ける。
「その……その人と幸せに……」
 いきなり、母さんにぎゅっと抱きしめられた。
 私を抱きしめる腕があまりにも細い。
脆くて壊れてしまいそう。
「馬鹿だね。奏嘉は。お母さんが今までがんばってこれたのも、奏嘉のおかげなのよ? 
それに……お義父さんと結婚する前に、もちろん愛してたってのもあるけど、
あなたが、お父さんいなくて、悲しんでるんじゃないかって。」
 ぼろぼろぼろぼろ。
 涙が真珠みたいに転げ落ちる。
「……!」
 あの人が私の頭に手を置く。
優しくて暖かい。
 涙で、何も見えなかったけど、でもお母さんの方の向こう側には
にっこり笑った、吉川樹がいた。


  次の日
「んで? あの人とはどうなの?」
 学校に向かう途中、吉川 樹が聞いてきた。
 私はにっこり笑う。
「なんだか、私とどう接していけばいいのか、分からなかったんだって。」
「ふ〜〜〜〜〜ん。よかったじゃん。」
 あ〜。どうしよう。言おうかな? でもすごく照れる。
 バックを持つ手が汗ばむ。

「あっ……ありがとう。そっ……その、樹。」
 うわ〜、男の子相手にこんなこと言ったことない。

「うん。こっちこそ。菊はお葬式しかもって行っちゃいけないってのも
知れたし、植木鉢のもダメってのも知れたし。
あと俺、奏嘉のこと好きってのも。」
「…………。」

 あの日のことが笑い飛ばせる日が来るかな?
ううん。来なきゃいけない。
 勇気を出して本音を言わなきゃいけない。
じゃなきゃ、笑い飛ばせる日なんて来ない。
 後悔ばかりの人生にするためにも。


終わり。

21りほ:2010/12/03(金) 20:18:22 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp


ではでは、「勿忘草〜わすれなぐさ〜」
完結です。
 このスレは、短編集を目標としてます。
何話かつくった中で、気に入った、共感したなどのコメントが
来たら嬉しいな、と思います。
 次の小説は恋愛系にしたいと思います^^

Special☆Thanks

   切音:コメント、1番最初にくれてありがと〜♪

  灯さん:貴重なアドバイス、ありがとうどざいました☆

梅干☆さん:励ましの言葉、ありがとうございました★


  ではでは、また更新するので、気長に見てもらえれば、嬉しいです。

                          りほより*

22梅干☆:2010/12/03(金) 20:59:11 HOST:p5012-ipad01matuyama.ehime.ocn.ne.jp
どいたまですっ!
がんばってくださいね!

23りほ:2010/12/04(土) 11:25:53 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
あ〜馬鹿だ。はい、ここに馬鹿がいます。
最後の最後に、しかも最終話に、
『後悔ばかりの人生にするためにも。』
って後悔ばかりじゃいかんだろ。
訂正
『後悔ばかりの人生にしないためにも。』
です。
読むときは、軽くスルーしてください orz ←(土下座)

24りほ:2010/12/04(土) 22:20:54 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
『五里霧中』。

今のあたしには、とてもぴったりな言葉だと思う。

どこに行っていいのか。

方角が分からず、途方にくれてる。

瞬きをするように一瞬。

シャボン玉が弾けるように。

その間にすべて。

すべてが弾けて消えた。


第二章  『また会える日まで』  *1

25りほ:2010/12/05(日) 20:39:00 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
*2 『未来が無い』

「美汐〜!」
 私は振り向く。ポニーテールが揺れた。
「ん? なに、奈央。」
「やばい、宿題やってない!!」
「はあ!?」
 初めまして。私の名前は倉橋美汐(くらはしみしお)。
あと、1週間で14歳になる、中2。
 今は、2時間目の数学が終わったばかりの15分の休み時間。
「た〜す〜け〜て〜よぉ〜。あったまの良い、美汐様〜!」
「……もう! しょうがないな! 
そのかわり、答えは教えない! やり方は教えてあげるよ。」
 私は奈央から宿題のノートを引っこ抜いた。
(奈央が「キwwwwww!」って奇声あげたけど知らない!)
 私のキャラは、周りが思ってるには、しっかり者のまじめチャン。

 だけど、ホントは違うの。皆が思ってるような子なんかじゃない。

 そう、だって

 
 
 
 私には未来が無いんだから。


続く…

26りほ:2010/12/05(日) 20:47:11 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
 この話は、女子(倉橋 美汐)目線と、男子(名前はまだ秘密ということで☆)
の目線を順番に書いていきたいと思います!

27りほ:2010/12/05(日) 21:04:17 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
*3 『君に会った』

 今は体育。俺、星川海斗(ほしかわ かいと)14歳は最大のピンチを迎えている。
「海斗先輩。大丈夫っすか?」
 ここ青葉中学では、マラソン大会で女子は3,0キロ。男子は5,5キロ走るようになっている、
 そして、そのマラソン大会の翌日。1・2年合同のマラソン大会練習のとき、
後輩の吉川樹が声をかけてきた。(余裕そうな顔をして。)

ちょっと、中断します。

28りほ:2010/12/06(月) 16:51:12 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
今、思ったら最初、吉川 樹は吉岡だったみたいです。
作者も今気づきました……。(←はい、馬鹿です。)
それで、めんどくさいのでもう吉川君として、小説を読んでってやってください。

   ほんっっっとにすみません(汗)

29りほ:2010/12/06(月) 17:30:02 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
続き…

「すっげーなー。やっぱりバスケ部エースは。」
 俺は意地悪そうな顔して言う。
「あはは、そんなことないっすよ。」
「謙遜すんなよ。」
 樹が俺を抜く。いいな、樹は。
 俺はコースを外れる。本格的に呼吸が出来なくなってきたから。
「先輩?」
「あー、ちょっ…とほけん…しつ…いって…くる…。」
「あ! 先生に言っときますね!」
(今、思ったら樹って通訳になれる。俺のあんな言葉が分かるなんてスゲーと思う。)


 俺は喘息持ち。走ったりすると呼吸が出来なくなる。
 少し前までは喘息が無かったら、バスケ出来たのにな、って思ってたけど
もう思わないことにした。そんなこと考えたって虚しくなるだけ。


『保健室』
 がらっ。
 呼吸がヒューヒュー言ってる。
「あっ。」
 倉橋 美汐だ。いっつも体育休んでる。たぶん、中学生になってから一度も体育に出てないんじゃないかな。
あと、あまり男子と話したりしない。女子とは話すの見るけど。
「あっ! 星川君。喘息の発作、出たんでしょ?」
「あ…うん…。倉橋は?」
 よく、クラスの奴らが「仮病だろ。」って言ってたけど、俺は…
「……。」
「いや、言いたくないならいいんだけど。」
「うん、ありがと。」
俺はそうは思わない。だって、グラウンドを見つめる倉橋の目がとても悲しそうだったから。


 倉橋ってきれいだな。俺は倉橋の後姿を見て思った。
 サラサラな髪とか、華奢な体とか、長いまつげとか。

 じーっと見つめてたら、倉橋が振り向いた。
「星川君って奈央と幼なじみなんでしょ?」
 えっ…奈央? 一瞬、忘れてた。(ごめん、奈央。)
「う、うん。」
「へー、いいな。」
 ちょっと会話しただけだけどすごく頬が熱くなる。

 がらっ。
「み〜しおぉ〜★」
 奈央だ。ちらっと奈央は俺を見る。
 すると……あいつは…鼻で笑って
「な〜んだ、海斗か。」
って言いやがった。むかつく!!
 あいつ、絶対後からしばいてやる。


 今なら、あのとき追求すればよかったって思うんだ。
だけど、俺は嫌われるのが怖くて追及できなかった。
 ホント、かっこわりー。

 続く…

30梅干☆:2010/12/06(月) 22:14:49 HOST:p5012-ipad01matuyama.ehime.ocn.ne.jp
気付いたのはうちのおかげじゃいっ(笑)
よ・し・か・わさんっ(笑)

31梅干☆:2010/12/06(月) 23:01:30 HOST:p5012-ipad01matuyama.ehime.ocn.ne.jp

海斗喘息もってんの!?唯イメージしたっしょ(笑)
あ‥倉橋も(笑)

32りほ:2010/12/07(火) 16:44:46 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
30>はいはい、ありがと(苦笑)

31>いやいや、ウチの姉。小児喘息だったけど。

33りほ:2010/12/12(日) 14:32:39 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
*4 『仮病』

 教室に戻る。
ひそひそひそひそ。
 頭が痛い。息が苦しい。
だまって席に着く。
「大丈夫? 美汐。」
「うん。だいじょ――」
「あんたってさ。仮病なんじゃないの?」
 クラスの森坂さんが声をかける。
「そーだよねー。いつもいつも、体育休んじゃって。
 実は、体育したくないだけなんじゃない?」


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