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夕暮れの坂道

12りほ:2010/11/27(土) 19:27:55 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯6 『電車に揺られて』

 朝起きる。あの人はもういなかった。
よかった。心からそう思う。
 トーストに齧りつく。
甘酸っぱいマーマレードが口の中で広がる。


 いつもより、速く家を出た。
澄んだ空気とか、静かな道路とか、すべてが愛おしく思える。
 だけど学校についてすべてが、がらっと変わる。


 がらっ。
 教室のドアを開ける。
 私の目に飛び込んできたのは、
『男好き。』
との大きな文字。
 ああ。あいつらか。
前、吉川樹に声をかけてた女たち。
 みんなの視線が私に集中する。それは冷たくて痛い。
「ねえ。言いたいことあるんなら、直接言えば?」
 私は言った。小学生のころはそう言えば大体相手は何もいえなくなる。
だけど、今は相手の神経逆なでただけだったみたい。
「はあ?ふざけんなよっ!?」
 相手は睨んでくる。だけど、全く怖くない。
あの人に比べたら、この子なんて子リスちゃん並みだ。
 あたしはすました顔をして相手を見る。
「別に。ふざけたつもりじゃないけど。」
 相手は、さらにイラッとした顔をした。
そして、余裕の顔をした。
「……………?」
「へえ〜、いいんだ。この事、全校生徒に見せちゃってもいいんだけどな〜?」
 そこには、私と……そしてあの人と一緒に病院から出てくる写真だった。


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