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夕暮れの坂道

13りほ:2010/11/28(日) 15:23:11 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯6の続き…

「なに…それ?」
 私は聞く。
「まさかのまさかだよね。桜井って年上の彼氏がいたなんて。」
 確かにあの人は若い。21歳くらいだし。それにかっこいい。
よく、「兄妹ですか?」とか、「かっこいいお兄さんですね」って言われることはあるけど、
まさか、カレカノに誤解されるなんて…あの人が知ったら大激怒だよ…(苦笑)
「あの…それお父さん…なんだけど?」
 あいつはまるで鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
「はあ? そんな見え見えの嘘つくんじゃねーよっ!」
 そしてキレる。いつか血管切れちゃうよ?
 
「ねえ。あたしさぁ〜あんたのその余裕こいた顔が大っ嫌いなんだよね。」
 そう言うと私の頬に爪で傷を付ける。赤い血が頬を伝う。
「この…尻軽。」
 私は下を向く。
 なんで私ばっかり?勝手に誤解しといて…
 もうやだ。もうやだ。もうやだ。もうやだ。もうやだ。

 気づくと私は、あいつの胸ぐらを掴んで一言、言ってた。
「勝手に勘違いしてんじゃねーよ。」
 そして、その姿を吉川樹が見てた。


 いらつく。なんで私があいつの胸ぐら掴んでるとき、学校になんか来るの?
もう最悪。絶対誤解された。
 私はダッシュで階段を駆け上がってた。
 あの時私は、絶対に誤解された、そう思って教室を飛び出した。
もう何もかもが嫌になったもんだから。
 夢だったらよかったのに…
 そう思ってたら階段の最後の一段を踏み外した。
 ぐらっ!
 体の重心が後ろに傾く。落ちる。
 何もかもがスローカメラで撮ったみたいに見える。
変なの…

 どさっ
「いたっ………くない?」
 びっくりして下を見る。
「よっ…吉岡樹っっっ!?」
「いってー!後頭部打った。マジで痛い。」


「ごめんなさいっ!!!」
 私達は屋上に居た。
「俺は平気だけど…桜井は?」
「わっ…わた…しは平気だけど…」
 手が震える。とてもとても怖かった。

「ねえ、桜井。何かあったの?」
 吉川樹が私の顔を覗き込む。
「あっ、あれは…あの子が…!」
 私が必死に訴えようとしたら、吉川樹は静かに首を横に振った。
まるで、「そのことは分かっているから、安心して。」とでも言うように。
「桜井の、家のことが知りたいんだけど。」
「………………。」
 こういうことは人に言いたくないって思ってたけど、
吉川樹の瞳を見てたら、何もかも言いたくなった。
 なんでだか分からないけど…
 
「分かった。話すね…」
 その日の空は私の心とは反対に、清清しく晴れていた。

続き…


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