[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
夕暮れの坂道
20
:
りほ
:2010/12/03(金) 19:56:07 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
♯9 『最終話』
そこには、あの人もいた。
あの人は私に優しく笑いかけてきた。
意外……私に笑いかけれるんだ。
「おい。」
吉川樹に背中を小突かれてようやく気づいた。
「おっ……お母さん。ごめんなさい!!!
お母さん……その、私のこと嫌いになったんでしょ?
私のこといらないんでしょ?」
涙で視界が揺らぐ。でも、私は続ける。
「その……その人と幸せに……」
いきなり、母さんにぎゅっと抱きしめられた。
私を抱きしめる腕があまりにも細い。
脆くて壊れてしまいそう。
「馬鹿だね。奏嘉は。お母さんが今までがんばってこれたのも、奏嘉のおかげなのよ?
それに……お義父さんと結婚する前に、もちろん愛してたってのもあるけど、
あなたが、お父さんいなくて、悲しんでるんじゃないかって。」
ぼろぼろぼろぼろ。
涙が真珠みたいに転げ落ちる。
「……!」
あの人が私の頭に手を置く。
優しくて暖かい。
涙で、何も見えなかったけど、でもお母さんの方の向こう側には
にっこり笑った、吉川樹がいた。
次の日
「んで? あの人とはどうなの?」
学校に向かう途中、吉川 樹が聞いてきた。
私はにっこり笑う。
「なんだか、私とどう接していけばいいのか、分からなかったんだって。」
「ふ〜〜〜〜〜ん。よかったじゃん。」
あ〜。どうしよう。言おうかな? でもすごく照れる。
バックを持つ手が汗ばむ。
「あっ……ありがとう。そっ……その、樹。」
うわ〜、男の子相手にこんなこと言ったことない。
「うん。こっちこそ。菊はお葬式しかもって行っちゃいけないってのも
知れたし、植木鉢のもダメってのも知れたし。
あと俺、奏嘉のこと好きってのも。」
「…………。」
あの日のことが笑い飛ばせる日が来るかな?
ううん。来なきゃいけない。
勇気を出して本音を言わなきゃいけない。
じゃなきゃ、笑い飛ばせる日なんて来ない。
後悔ばかりの人生にするためにも。
終わり。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板