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夕暮れの坂道

29りほ:2010/12/06(月) 17:30:02 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
続き…

「すっげーなー。やっぱりバスケ部エースは。」
 俺は意地悪そうな顔して言う。
「あはは、そんなことないっすよ。」
「謙遜すんなよ。」
 樹が俺を抜く。いいな、樹は。
 俺はコースを外れる。本格的に呼吸が出来なくなってきたから。
「先輩?」
「あー、ちょっ…とほけん…しつ…いって…くる…。」
「あ! 先生に言っときますね!」
(今、思ったら樹って通訳になれる。俺のあんな言葉が分かるなんてスゲーと思う。)


 俺は喘息持ち。走ったりすると呼吸が出来なくなる。
 少し前までは喘息が無かったら、バスケ出来たのにな、って思ってたけど
もう思わないことにした。そんなこと考えたって虚しくなるだけ。


『保健室』
 がらっ。
 呼吸がヒューヒュー言ってる。
「あっ。」
 倉橋 美汐だ。いっつも体育休んでる。たぶん、中学生になってから一度も体育に出てないんじゃないかな。
あと、あまり男子と話したりしない。女子とは話すの見るけど。
「あっ! 星川君。喘息の発作、出たんでしょ?」
「あ…うん…。倉橋は?」
 よく、クラスの奴らが「仮病だろ。」って言ってたけど、俺は…
「……。」
「いや、言いたくないならいいんだけど。」
「うん、ありがと。」
俺はそうは思わない。だって、グラウンドを見つめる倉橋の目がとても悲しそうだったから。


 倉橋ってきれいだな。俺は倉橋の後姿を見て思った。
 サラサラな髪とか、華奢な体とか、長いまつげとか。

 じーっと見つめてたら、倉橋が振り向いた。
「星川君って奈央と幼なじみなんでしょ?」
 えっ…奈央? 一瞬、忘れてた。(ごめん、奈央。)
「う、うん。」
「へー、いいな。」
 ちょっと会話しただけだけどすごく頬が熱くなる。

 がらっ。
「み〜しおぉ〜★」
 奈央だ。ちらっと奈央は俺を見る。
 すると……あいつは…鼻で笑って
「な〜んだ、海斗か。」
って言いやがった。むかつく!!
 あいつ、絶対後からしばいてやる。


 今なら、あのとき追求すればよかったって思うんだ。
だけど、俺は嫌われるのが怖くて追及できなかった。
 ホント、かっこわりー。

 続く…


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