- 1 :管理人 :2016/01/17(日) 17:56:02 ID:???0
- ここだけ悪魔が侵食する都市のロールスレッドです。
自作のキャラクター一人を描写する「通常ロール」と 操作フリーのキャラクターを描写できる「物語ロール」があります。
置き主体になる場合は、再会時間を明記して置いてください。 その他ルールはwikiを参照にしてください。
- 234 :福居 沙里亜 ◆UBnbrNVoXQ :2017/09/18(月) 14:46:54 ID:R3rU1bJo0
- >>233
閑散とした改札口で、福居は液晶に駆け寄り、安堵と軽微な落胆の混ざった息をつく。 両親が当初予定していた時刻に戻って来なくとも不要な心配をしなくて済む。が、久々の再会に水を差されてしまうように感じてしまうかどうかは別の話だ。 取り急ぎ、母に向けてメッセージを送る。遅延情報を見た旨だけ記せば、身内から見ても聡明な母は、おそらく全てを察して、父が余計な気を揉まないように伝えてくれる。
さて、宙に浮いた時間をどうしようか、と、ひとまずは人の流れの邪魔にならないよう、切符売場の端、柱によって窪みとなっているスペースで壁に背を預ける。 ちょうど改札から出てきた者達は福居がいることに気づかない形になるが、待ち人はこの電車では来ないのだ、問題はあるまい。 そして、それでも人の波を見るでもなく眺めてしまうのは、本当なら今頃、というただの些細な感傷だ。
――だからこそ、人混みの中でも目立つ長身に何となく視線を向けた福居は、その隣を見覚えのある歩き方で進む姿に、目を見開いた。 え、という声を出す時間もあればこそ、その見覚えのある顔は、エレベーターへと向かっていく。
踏み出そうとして、逡巡する。見覚えはあったが、眼鏡をかけていない顔はあの雨の日に見たきりだ。隣にいた相手に見覚えはない、学園の教員ではない、……そもそも佐倉はもう教員ではなく、福居ももう生徒ではない。 そもそもエレベーターで降りた先はロータリーだ、今から追いかけても。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 235 :佐倉 斎 ◆ovLCTgzg4s :2017/09/18(月) 16:46:02 ID:Zp4VpA3k0
- >>234
誰かが来ているな、とは思っていたが、別段気になるものでもなかった。 煙草を注意しに来ているようにも思えない。大方、此方の方角に用事でもあるのだろう、と。 だから、その姿が、明確に佐倉へ近付いていると気付いて、目線を向けたとき。
「……ぁー。」
相手に聞こえない程度の小声で唸る。彼女の姿を見た最後は、あの時計台だったろうか。 進路指導担当でもなかったし、意図的に学校との接触も避けていたので、その後の様子は聞いていない。 だが、見る限り、彼女は変わりない様子だった。──そんなことを考えている場合ではないが、安心する。
携帯灰皿を取り出し、煙草を消して、吸い殻を中に入れる。 どういう表情を作ればいいのかよく分からない。彼女はあの夜を、どこまで覚えているのか。 ── 1つ間違えば、彼女の日常を崩すような気もする。それは嫌だ。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 236 :福居 沙里亜 ◆UBnbrNVoXQ :2017/09/18(月) 20:41:51 ID:R3rU1bJo0
- >>235
幸か不幸か、福居は佐倉の弱い笑みの意味を、彼の意図通りに受け取った。 ──正確には、そう受け取ることがこの場の最適解だと、無意識のうちに理解した。 両親の仕事に関することへの距離感を適切に育んできた賜物だろう。
「はい、お久しぶりです。……えっと」
何も気づいていないように、何も知らないように、笑って頷き、僅かに首を傾ける。 在学中はお世話になりました、は堅苦しいだろうか。 そもそも、それでは会話が続かず、遅かれ早かれ気まずい空気が流れてしまう。 何かないか、と佐倉から視線を外し、目に映ったのは夕暮れ時の緋色。 ……本人から口にするには周囲を逆に気遣わせる話題だが、思いつくものはこれしかない。
「──あの、色々とお世話になりました。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 237 :佐倉 斎 ◆ovLCTgzg4s :2017/09/18(月) 22:11:42 ID:Zp4VpA3k0
- >>236
本当に“通り魔”に襲われたと信じている人間は、語尾を上げない。 そして、福居沙里亜ほど聡明な人間が、混濁した記憶をそのままに、礼を述べたりはしない。 きっと、彼女は大方を分かった上で、佐倉の心中まで慮っているのだろう。家族のこともあって、慣れているに違いない。 福居夫妻と彼女の間で“それ”があることには、佐倉は関知しない。──家族のことだ。きっと、それでいいのだろう。
「少し、おかしな話をするかも知れない。意味が分からなかったら忘れて。」
だけれど、佐倉が“それ”を彼女に強いるのは違う気がした。 佐倉は礼に応じることなく、不自然な笑みを消し去って、彼女と瞳を合わせる。 表情は固まった。──しかし、声色は、それとは対照的に。校内で彼女と話していたときのような。
「君が本当にそう覚えてるのなら、それでいい。 でも、俺が覚えていることは少し違う。だから俺は、俺の覚えてる通りのことを元に、話そうと思う。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 238 :福居 沙里亜 ◆UBnbrNVoXQ :2017/09/20(水) 02:02:26 ID:R3rU1bJo0
- >>237
おかしな話をするかも知れない、という台詞には、少し不思議そうな顔をすることで了承とした。あくまで話を聞く合図としての表情の変化だ。 しかし彼の、ありがとう、という言葉に、福居の瞳が揺れる。 単に驚いただけで負の感情が呼び起こされたわけではないと、瞳を合わせていれば容易に分かるだろう。 本当に、本当に驚いているのだということも。
彼女の周りの「大人」は皆、知らせないことで守ろうとする者ばかりだったから。 だから「子ども」は、知らないふりをすることが、礼儀で彼等への貢献だった。
笑って告げてくれた彼に、小さくひとつ頷く。言葉を選ぶ。 周囲に愛されて育った彼女は、校内と変わらぬ優しい声音の「教師」が、時間が許す限り自分を待ってくれると何の疑問もなく思っている。 ──佐倉が助けてくれたから、最後の一線で「教師」全てに絶望を覚えず、まだ信じ続けることが出来ている。
「……はい。皆さんが守ってくれたおかげで、此処で普通に大学生活を送れてます」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 239 :佐倉 斎 ◆ovLCTgzg4s :2017/09/21(木) 00:54:38 ID:Zp4VpA3k0
- >>238
「……うん。」
佐倉はただ、彼女の言葉に頷いた。 頷くことしかできなかった、というのが、正しいか。 言葉を紡げば、どうしたって嘘になる。これほど素直な言葉に、取り繕って応えることはできない。 ── そして、多分、自分は放っておけば、後悔したのだろうけど。 こうして約束した以上、もう後悔はできない。
彼女がこれで良かった、と思うのなら、佐倉も、これで良かった、と思うのだ。 欺瞞ではない。遠く繋がるために、同じものを持っただけ。だからこそ、こうして笑って頷けた。
ロータリーに青い車が滑り込み、停まった。時を同じくして、電車がホームに着いた音が聞こえる。 佐倉はゆっくりとした歩き方で、彼女の脇を抜ける。車の助手席の扉に手を掛け、力を籠める。緩く、扉が開く。 最後に、彼女に何か言い残すべきか迷った。──またね、は違う。じゃあね、も違うか。もっと、どうでもいい話がいい。 それなら、最後に自分が守れた、彼女の日常を見て、この場を去れるのだろうから。 何がいいだろう。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 240 :福居 沙里亜 ◆UBnbrNVoXQ :2017/09/23(土) 13:27:53 ID:R3rU1bJo0
- >>239
脇を抜け、車へと乗り込む佐倉を送る形で見つめる。 去り際、告げられた言葉に、相手の仕草を真似するようにゴムで纏めた髪に触れた。 言葉としては何も返す暇もなく、佐倉を乗せた車は市役所のある方角へと進んでいった。 反射的に手を振ったが、見えていない可能性のほうが高いだろう。
「……ずるい」
機嫌を損ねたような言葉だが、彼女の表情はどこまでも穏やかだ。 そして、この場合その胸中を的確に表しているのは後者である。 以前、福居が『事件』に巻き込まれる前、コンビニの抽選で当たったのだと何の他意もなくくれたものの中にヘアゴムの類があったことを、佐倉は知っているのだろうか。 ……十中八九知らないだろうな、と結論付ける。 それでいい。構わない。 多分、これからしばらくは、この髪型でい続けるのだろう。それだけの話だ。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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