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トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

1ミケ:2006/02/03(金) 20:48:10 ID:zcGeqzE6
表の議論を見てて立てたくなりました。
探すのに苦労したソースや頻出するネタに対する突っ込みソース(著書、論文、ウェブページ)
を簡単な解説と引用をつけて列挙するスレ。

表は、メインとミラーの入れ替えで、過去ログを探しにくくなりましたし、
Yahoo!とか再評価掲示板とかで示したことがあるソースをまた探すのはきつい。

これを引用するようにすれば既出ネタで血圧を上げる心配もありません。
また、同じネタに対して異なる複数の論点での反論がある場合も、
ここのNo.○○と××と△△を見よ。
見たいな感じで『フクロ状態』を軽減できるかもしれません。

105ミケ:2015/06/13(土) 13:32:00 ID:P0ev.7kw
>>103-104の続きでコリン・パターソン博士の“keynote address”についての解説です。
>>104の最後の文ではアンカー間違えましたね。要約・結論は>>106の予定です、
と書こうと思っていましたが、前提知識が1レスで終わりません(汗。>>107かなあ?

創造論者にしばしば引用されるコリン・パターソン博士の“keynote address”が、
実際にはコリン・パターソンが進化否定論者であることを示すものでない
と理解するにはそれなりの前提知識が必要になります。
ということで、ここではそれについて説明していきましょう。

まず、体系学とは何でしょうか?
「体系学」[Systematics]は、生物の類縁関係を研究する学問であり、分類学と系統学の両方にまたがっています。
ダーウィンの時代から既にあった用語(種の起源にも出てくる;和訳では分類学)であることを考えると、
文脈によってはやや分類学よりになると言えるでしょう。

そして生物の分類については、その目的や方法論や考え方の違いからいくつか学派があります。
第一掲示板過去ログでのたまごちゃん (^-^)ノの
2008年3月4日あたりからの一連の投稿が分かりやすいかと思います。
ttp://members.jcom.home.ne.jp/natrom/board080323.html
一応さらに、自分の学んだことを解説します。(一部解釈の違いがあるかもしれません。)

多様な生物をまとめて整理するのが「分類学」[Taxonomy]。
分類学者たちは、今はどうか分かりませんが、少なくとも昔は、
唯一の(真の、そして客観的な)分類体系(=自然分類)があると信じ、それを目指していました。

近代に入る頃になると、
従来の分類における“まとめ方”などが客観的でないことに批判が集まってきます。
なんとなくそれらしい感じになってるけど、よく見るとそのまとめ方が分類群や研究者によってまちまちで、
科学として重要な(と思われる)、客観的な基準がなかったことに問題意識が集まってきたんですね。
それを受けて1950年代に現れたのが「分岐学」[Cladistics]と「表形学」[Pheneticis]というわけです。

さて、ここでちょっと時代は戻りますが、
“分け方”に統一的な基準こそ無かったものの、とにかくみんなで生物を分類整理していくと、
入れ子構造になるとか、おぼろげな法則っぽいものが見えてきていました。
そして、ダーウィンに代表される、共通祖先からの変化と分岐(進化)という考え方が現れ、
どうやらその入れ子構造のほとんどは進化の歴史に由来することが分かってきたと。

客観的なまとめ方が提案できなかった中で現れた、
「現在の類似度の構造は進化の歴史を反映したものである」という考え方は魅力的でした。
(逆に言えば、たまごちゃん(^-^)ノの投稿にもあるように、
「分類」それ自体は必ずしも進化という考え方を必要としない・しなかったわけです。)

進化の考え方を元に、分岐の順番を使って分類してみよう、として現れたのが
「分岐学」[Cladistics]・「分岐分類」[Cladistic classification]と呼ばれる分類法
これで自然で客観的な真の分類・整理が可能になった!
……と思いきや、話はそう簡単ではありませんでした。
分岐学的基準を用いると、爬虫類や魚類といったまとまりが分類群として成立しなくなってしまうのです。
これでは人間の感覚と乖離する。目指していたのは誰がどう見ても正しい分類ではなかったか?と。
参考として私の投稿
ttp://6609.teacup.com/natrom/bbs/13721

ともかく分岐分類とは、そういった人間の感覚的な分類を割り切った手法と言えるでしょう。
ちなみに、現在でこそ手法が発達して(現生の生物であれば)DNAを直接比較して分岐学を適用できますが、
初めの頃は特定の形質を選んで比較する方法でした。
これは選ぶ形質が適切でないと変な結果になってしまうので注意を要します。

106ミケ:2015/06/13(土) 13:39:32 ID:P0ev.7kw
>>103-105の続きで、
コリン・パターソン博士の“keynote address”について理解するために必要な前提知識(>>105-106)の続きです。

さて、分岐分類で>>105で述へたような問題が起こることを予見していたのかいないのか
……は、調べてないので分かりませんが、
分岐分類が生まれたのと大体同じくらいの時期に、
分岐分類とはまったく真逆の方向に割り切った分類法が生まれています(まあ真逆というのは個人の感想です)。
それが「表形学」[Phenetics]・「表形分類」[Phenetic classification]。
これは、進化の歴史を完全に無視し、比べる形質も選ばずに使えるだけ使ってしまって、
とにかく前提なしに(見た目で)分類わけしてみよう、というやり方です。

多くの形質を使ったら良い感じに客観的(自然分類)っぽくなるんじゃね?という考えでしたが、
厳密にこれを適用しようとすると、収斂の結果の形質なども全て含まれしまうので、
やはり人間の認識と乖離してあまりうまくいきませんでした。
が、そこで生まれた手法は例えばDNA系統樹の作成法に応用されるなど、今も受け継がれています。
(膨大な情報を使って樹形図を作る方法が、DNAやアミノ酸の膨大な配列情報を使って樹形図を作る方法として応用された)

そして、分類学の3つ目の学派「進化分類学」[Evolutionary classification]。
代表するのはエルンスト・マイア[Ernst Mayr]。
たまごちゃん (^-^)ノも書いてますが、
これは伝統的な分類と分岐分類の手法と表形分類の手法を良いとこ取りしようぜ、という方法です。
コリン・パターソン博士の“keynote adress”の一週間前にサイエンスに掲載されたという論文も
要旨を読むと「良いとこ取りしようぜ」と書いてありますね。
もうちょっと書くと、分岐学のように、進化の分岐の順番は考慮しよう、
でも進化の歴史では、自然選択によって急激に形質が変化した場合あるのでそれも考慮しようというもの。
しかし、それは、分岐分類や表形分類が割り切った“問答無用の統一基準”を捨てることでもあります。
急激に形質が変化するという状況も要因も変化の程度も“場合による”あるいは“見方による”わけですからね。

まあ、種の定義に“完璧”なものがないのと同様、分類も全部完璧にはできないということです。

さて、コリン・パターソン博士はどの学派だったかというと、体系学を専門としていましたが、
その中でも、分岐学、とりわけ1980年代に現れた
変形分岐学[Transformed CladisticsまたはPattern Cladistics]と呼ばれる学派の先導者でした。

これがなかなかウェブ上で日本語の説明がなかったのですが
英語版のWikipediaの記述を訳しておきます。
『変形分岐分類学者は、
共通祖先の共有や(プロセスとしての)進化論などの想定・前提から自由であるべきであり、
実証的(empiricalな)データのみに基づくべきだ、という立場を維持している。』
プロセスとして代表的なのはダーウィンの「自然選択」ですね。
そう、進化分類学者(マイヤー)が考慮しようと主張していた「自然選択」です。
これを意識的に除外して分岐図の作成を進めるので
「アンチ・ダーウィニスト」や「非進化論」を自称していたらしいです。
ただ、それは、研究手法として進化を前提にしないというだけであり、
進化がなかったと主張しているのではないわけですね。


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