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トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

107ミケ:2015/06/13(土) 14:20:04 ID:P0ev.7kw
>>103-106の続きにしてまとめです。
創造論者がしばしば引用するColin Patterson博士の“keynote address”

まずもう一度簡単に前提とすべき知識をまとめます。
「分類学」:生物を分類し、場合によっては同じグループにまとめたりして整理する学問。
「系統学」:生物の歴史・系統関係を研究する学問。
「体系学」[Systematics]:生物の類縁関係や分岐を研究する学問。分類学と系統学にまたがる。
「分岐分類」[Cladistic classification]:生物の分岐順序だけを基準に分類する方法。
「表形分類」[Phenetic classification]:生物の形質だけを根拠に分類する方法。
「進化分類」[Evolutionary classification]:分岐順序に加えて進化の度合いや形質の状態等も考慮した折衷案。
「変形分岐学」[Transformed Cladistcs、Pattern Cladistics]:進化のプロセスを前提とせずに分岐学をやってみようという方法。研究手法上前提としないだけであって進化そのものは否定しない。
「エルンスト・マイヤー」[Ernst Mayr]:進化分類の立場をとる学者で、1981年に論文を書いた。
「コリン・パターソン」[Colin Patterson]:体系学者にして変形分岐学の立場をとる学者で、1981年に体系学者に向けてトークをした。

「コリン・パターソン博士の“keynote address”」:
1981年、ニューヨークのアメリカ自然史博物館において
“Systematics Discussion Group”へ向けられたコリン・パターソン博士のトーク。
タイトルは“Evolutionism and Creationism”だが、
進化論と創造論がテーマというわけではなく、分類学・体系学に関するトークだった。
このトークでパターソンは、
1981年のサイエンス誌に発表された分類学に関するマイヤーの論文(と進化分類学)を意識し、
過激で極端ななトークを展開した。
そのトークを聴衆に紛れた創造論者が隠し録音し、創造論者の出版物として出回ったもの。

さあ、ここまで整理できたところで、“keynote address”の実際の内容をまとめてみました。
そのトーク全体の原稿は、リンネ学会のHPで公開されています(>>104で紹介)

Evolutionism and Creationism(進化論と創造論)
ざっくりまとめ

1981年にマイヤーが「体系学」に関する論文をサイエンスに発表した。
その論文は「分岐学」「表形学」「進化分類学」のそれぞれの特徴を述べ、
マイヤー自身のオススメも述べたものであるが、
「(変形)分岐学者」であるコリン・パターソンにとっては特に進化分類のあたりが承服しがたいものだった。

コリン・パターソンの考えるところに拠れば、
進化分類学では、分岐だけでなく分岐してからの各枝での変化の内容も考慮する。
つまり、共通祖先からの進化と分岐、そして分岐後の進化の内容を前提に考察しなければ実行できない。
一方、(変形)分岐学では、基本的に変化の質は考慮せず、
マトリックス(表)をつくって計算して機械的に分岐図を作成するので
進化を前提にせずとも分岐図を作成し、分類することが出来る。

進化分類学の前提は、先入観をもたらすのではないか?
あるいは、そうしてできた分類は、データによって修正(反証)できる方法論なのか?
進化の理論を前提にすると、本来は何もないかもしれないところに
“その理論にしたがって階層構造を作ってしまう”かもしれないのではないか?
[※DNAデータなどは4つの変数、ATGCしかないので、ただ眺めているだけでは階層構造を認識できないかもしれない]
そういう分類って科学的に有意義な方法論と言えるのか?
(あくまで分類学と体系学に関して)
パターソンはそう考えたようですね。

そして、このEvolutionism and Creationismというトークの中で、
そうした進化分類学の立場を、(変形)分岐学の立場から、
あくまで体系学(生物の関係性を議論・研究するという学問)における影響という観点で、
ガレスピー(ダーウィン以前の創造論の特徴を記述した)や
オーエン(進化を否定した昔の博物学者)を引用しつつ、
ダーウィン以前の創造論になぞらえて批判した。

というわけです。

その中で、
・自然選択等のプロセスを考慮しないという意味で
・Discussion Groupなので議論を進めるためにより極端な立場で話すという意味で

あえて、反進化論という言葉を使って自らを表現していますが、
しかし、進化がなかったとは言ってないわけです。

以上まとめでした。

当時はまだDNA配列そのものを分析する手法も未発達で、分子データはわずかしかありませんでした。
現在の知識を持ってPDF全文を読んでいくのも面白いです。
今後さらに面白いと思ったところを書くかもしれませんが書かないかもしれません。


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