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トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

106ミケ:2015/06/13(土) 13:39:32 ID:P0ev.7kw
>>103-105の続きで、
コリン・パターソン博士の“keynote address”について理解するために必要な前提知識(>>105-106)の続きです。

さて、分岐分類で>>105で述へたような問題が起こることを予見していたのかいないのか
……は、調べてないので分かりませんが、
分岐分類が生まれたのと大体同じくらいの時期に、
分岐分類とはまったく真逆の方向に割り切った分類法が生まれています(まあ真逆というのは個人の感想です)。
それが「表形学」[Phenetics]・「表形分類」[Phenetic classification]。
これは、進化の歴史を完全に無視し、比べる形質も選ばずに使えるだけ使ってしまって、
とにかく前提なしに(見た目で)分類わけしてみよう、というやり方です。

多くの形質を使ったら良い感じに客観的(自然分類)っぽくなるんじゃね?という考えでしたが、
厳密にこれを適用しようとすると、収斂の結果の形質なども全て含まれしまうので、
やはり人間の認識と乖離してあまりうまくいきませんでした。
が、そこで生まれた手法は例えばDNA系統樹の作成法に応用されるなど、今も受け継がれています。
(膨大な情報を使って樹形図を作る方法が、DNAやアミノ酸の膨大な配列情報を使って樹形図を作る方法として応用された)

そして、分類学の3つ目の学派「進化分類学」[Evolutionary classification]。
代表するのはエルンスト・マイア[Ernst Mayr]。
たまごちゃん (^-^)ノも書いてますが、
これは伝統的な分類と分岐分類の手法と表形分類の手法を良いとこ取りしようぜ、という方法です。
コリン・パターソン博士の“keynote adress”の一週間前にサイエンスに掲載されたという論文も
要旨を読むと「良いとこ取りしようぜ」と書いてありますね。
もうちょっと書くと、分岐学のように、進化の分岐の順番は考慮しよう、
でも進化の歴史では、自然選択によって急激に形質が変化した場合あるのでそれも考慮しようというもの。
しかし、それは、分岐分類や表形分類が割り切った“問答無用の統一基準”を捨てることでもあります。
急激に形質が変化するという状況も要因も変化の程度も“場合による”あるいは“見方による”わけですからね。

まあ、種の定義に“完璧”なものがないのと同様、分類も全部完璧にはできないということです。

さて、コリン・パターソン博士はどの学派だったかというと、体系学を専門としていましたが、
その中でも、分岐学、とりわけ1980年代に現れた
変形分岐学[Transformed CladisticsまたはPattern Cladistics]と呼ばれる学派の先導者でした。

これがなかなかウェブ上で日本語の説明がなかったのですが
英語版のWikipediaの記述を訳しておきます。
『変形分岐分類学者は、
共通祖先の共有や(プロセスとしての)進化論などの想定・前提から自由であるべきであり、
実証的(empiricalな)データのみに基づくべきだ、という立場を維持している。』
プロセスとして代表的なのはダーウィンの「自然選択」ですね。
そう、進化分類学者(マイヤー)が考慮しようと主張していた「自然選択」です。
これを意識的に除外して分岐図の作成を進めるので
「アンチ・ダーウィニスト」や「非進化論」を自称していたらしいです。
ただ、それは、研究手法として進化を前提にしないというだけであり、
進化がなかったと主張しているのではないわけですね。


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