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商業・流通

3839とはずがたり:2018/10/01(月) 14:09:15
>>3838
そして、コールズは、会員獲得とクーポン発行にどこよりも力を入れている。筆者の住むラスベガスでも、新聞の折り込みに毎週チラシとクーポンを挟み込んで、「割引集客」に徹底している。

しかし同社は、去年の9月から、顧客がアマゾンで買った商品の返品を受け付けるという、驚くべき奇策に出た。これは店舗数で全米一を誇り、100年の歴史を掲げ、株式も上場する百貨店にとっては、いわば屈辱的な戦略だ。

さらに、最近では、アマゾンが開発したAIアシスタントのアレクサ(アマゾンエコー)を、コールズで展示するスペースさえつくっている。競合してきた百貨店の店舗内に、大きなアマゾンの看板を見るのは異様な光景だ。

これは、とりもなおさずコールズのクーポン戦略の延長だ。新聞広告を挟む。メール配信をする。アドワーズ広告(広告主に提供するクリック課金広告サービス)で、消費者のネット閲覧中にどんどん広告を見せ、クーポンを配る。

しかしそれだけなら同業者もやっている。それ以上に割引クーポンを配るには、アマゾンの顧客にまで、自社のクーポンを掴ませるということを考えたのだ。

「負けて、勝つ」たくましい商魂

筆者も、コールズへ行って商品を購入し(ラスベガスはまだアマゾンで購入した商品の返品対象地域になっていないため、コールズのものを購入)、返品してみた。購入した商品を返品している客だというのに、割引クーポンを配られるのはとてもおかしな違和感を感じた。

アマゾンのサイトとコールズのサイトとを見比べてみるとわかるのだが、アマゾン返品を積極的にアナウンスしているのはコールズのほうだ。ググれば、コールズが自社のユーチューブアカウントで、主婦っぽいモデルを使って返品方法を説明しているのがトップ画面に出てくるはずだ。

アマゾンは、購入の簡単さと同様、返品の簡便さに力を入れている。アメリカの小売文化では、消費者の立場が日本以上に強く、「買ったら不具合以外ではまず返品できない」というのが日本の常識だとしたら、アメリカでは「返品を受けつけない小売業はまずありえない」というところに常識が存在する。

アマゾンでは、返品のクリックひとつで、返品送付状までプリントアウトできるようになっている。しかし、さすがにそれを郵便局に持っていくところまでは自動化できない。

アメリカには日本のような宅配便がないから、自分で郵便局に5時までに行って、行列に並ばねばならない。その不便を解消してくれるのが全米一の店舗数を誇るコールズというわけだ。郵便局に返品する商品を持って行かずとも、コールズに持ち込めばいいのだ。

上場している百貨店が、アマゾンのためのコンビニ業(集荷受付業務)までしてクーポンを配る。「店を改装したのでアマゾンに勝てた」などという砂糖水のような甘い理屈ではなく、いっそのことアマゾンに「負けて」おき、アマゾンの雑務さえ引き受け、アマゾン製品まで展示して、最後に自社のクーポンをお客の財布に滑り込ませる。たくましい商魂を見せられた気がした。

ちなみに、アマゾンを懐に取り込んだコールズは、この1年で株価を1割上げ、純利益を約200億円から300億円に大躍進させた。アマゾンを「商売仇」とは見なさずに、むしろその力を利用しようとする、コールズの「呉越同舟」作戦は見事というほかはない。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
長野 慶太


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