8日の米大統領選で見るべきポイントをWSJワシントン支局のジェラルド・F・サイブ支局長が解説(英語音声のみ)Photo: AP
最も注目すべきは、教育水準という線に沿った新たな分裂が生じていることだ。トランプ氏とクリントン氏の二者択一の設問では、大学の学位を持った白人有権者の51%がクリントン氏を選び、トランプ氏を選んだのは41%にとどまった。一方、大卒でない白人有権者の間ではトランプ氏の支持率が2対1の割合で高かった。
米国のムスリム団体「US Council of Muslim Organizations」のウサマ・ジャマル(Oussama Jammal)代表は、米大統領選にドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が立候補する時代にこうした動きは危険だと危惧する。「イスラム教徒の入国を禁止したり、監視対象にしたりすることを主張する人物にこのような道具を与えることを、私たちは本当に望んでいるのでしょうか?」
さらに2004年には、国勢調査局が2000年の調査時に中東地域出身と申告した人々の所在に関する情報をまとめていたことが分かり、物議を醸した。この事実は第2次世界大戦(World War II)中の日系米国人の強制収用という暗い歴史を想起させた。当時、国勢調査局が日系人の特定に協力していたとの調査報告もある。
トランプの「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にしよう)」という選挙スローガンと「アメリカを優先する」というメッセージの本質は、「アメリカを、マイノリティや移民が乗っ取る前の、居心地がよい白人の国に戻そう」ということだ。トランプに投票した裕福な白人有権者の言葉からは、そういったセンティメント(心情)を感じる。