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"The Practical Sanskrit-English Dictionary" of Apte

1近藤 貴夫:2009/01/04(日) 16:36:53
梵英辞典の定番の一つ、Prin. Vaman Shivaram Apte
(アプテ/アープテー)の梵英辞典について。

2近藤 貴夫:2009/01/20(火) 22:47:09
Apte, Vaman Shivaram, (1858-1892:@Ap#t@e, V@amana %Sivar@ama)
ヴァーマン=シヴラーム=アープテー(/ヴァーマナ=シヴァラーマ=〜)

アプテは、この辞書をはじめとする、幾種かの辞書の編著者として、
インド学・仏教学関係者を中心に、広く知られています。
しかし、私は、学恩汲めども尽きぬアプテの生涯について、これまで
調べてみようともしなかったし、何も知りません。

先ほど、インターネットで検索をかけてみましたが、彼の生涯を
まとめたようなページは見当たりませんでした。辞書の紹介・販売や、
引用のために名前を書いたページが山のようにヒットしますので、
その中に埋もれてしまっているのかもしれません。

3近藤 貴夫:2009/01/21(水) 00:45:26
「序文

 私たちは、V. S. Apte学長の「実用梵英辞典」の改訂増補版の第一巻を
世に出すことを、大変幸せに思います。
 この辞典の初版は、1890年に出版され、その後30〜40年のうちに、ただ
増刷しただけではあったものの、更に2つの版が出ました。しかしながら、
Apte学長の早すぎる死は、インド中、そして全地球上のサンスクリット
学者、インド学者、そして全般にサンスクリット学習者の間において、
大きな損失であることが明らかとなりました。」

ここで、Apteは、Principal(校長・学長)という称号で呼ばれています
ので、どこかの学校・カレッジの、校長・学長だったのでしょう。
それがどこであったのかは気になるところですが、私にはそれの分かる
資料がありません。
(或いはひょっとすると、辞書編纂の主任者、という意味でPrincipalなの
かもしれませんが、多分、そうではないでしょう。)

この辞書の最初の刊行が、1890年と、今から120年近く昔で、その改訂増補
版が出た1957年からも、もう50年以上が経っていますが、まだ便利な
辞書として使われ続けているのは素晴らしいことです。

4近藤 貴夫:2009/01/21(水) 23:55:15
それだけでなく、>>2の生没年が正しければ、Apteがこの梵英を編んで
出版したのは32歳のとき、そして34歳頃に亡くなったことになります。
偉大な業績です。

「利便性と引きやすさという点から見ると、(それ以前の)他の
どの辞書も、アプテ学長の梵英辞典が貢献するほどには、インドの
或いは〔インド〕外の世界の要求を満たしてはきませんでした。
また、インドのサンスクリット学者に、この記念碑的な著作の
改訂増補版が出ないものだろうかという問いを真剣に考えさせた、
そしてそれは長い間待ち望まれたことだったのですが、その力強い
理由が他にあります。最近の半世紀間、多くの新しいサンスクリットの
テキストが出版されました。その上、アプテ学長は熟練した熱心な
従事者であったとはいえ、独力で働かざるを得ず、そのため、彼は
最も重要な出典からのあらゆる単語を含めることができませんでした。
〔その出典とは〕ウパニシャッド、ラーマーヤナ、マハーバーラタ、
バーガヴァタ(=プラーナ)、シャーバラバーシヤと、様々な技術的
学問の著作群、様々な語彙集、そして、後世に出版されたテキスト群
といったものです。ですから、これらやその他の書物群、例えば、
バーサの戯曲や、カウティリヤのアルタシャーストラ(実利論)で、
それぞれ1909年と1912年に日の目を見たのですが、今日の梵語辞典には
必ずや含まれるべきものです。」

5近藤 貴夫:2009/01/26(月) 20:56:00
「この改定版においては、できる限り、以上全てを考慮に入れていますが、
旧版からの不十分な点があるのも避けがたいことです。また、様々な典拠
からの、異なった意味合いを持つ単語と適切な引用文の、本質的な増補を
しています。
 アーユルヴェーダやサーヒティヤシャーストラ、そしてジャイナ教や
仏教の文献からも、幾らかの新しい語彙がこの版に織り込まれています。
インド中の多くの学者の皆さんの提案により、私たちは、アプテ学長の
使っておられたアヌスヴァーラ法に代えて、文法的に正しいパラサヴァルナ法
(の表記)を用いました。弁別記号の近代的システムもまた、ここで
採用されています。」

アヌスヴァーラ法とかパラサヴァルナ法と言うと名前は難しいけれど、要は
鼻音表記を同じ一個の点の形で代用する(アヌスヴァーラ法)か、それとも
後ろに続く子音の発音によって取られる鼻音の発音の構えを反映して
書き分けるか(パラサヴァルナ法)ということだと思われます。

6近藤 貴夫:2009/01/27(火) 20:58:59
「しかし、アプテ学長の版にこれら新しい特長を加えるにあたり、私たちの
主な目的は、ただ、サンスクリットを読む人一般、とりわけ学校や大学の
生徒たちの必要を満たすことにあります。この版の際立った特徴の一つは、
大きな付録(A)〔※注:ここで特には、付録(F)を指すと思われる〕で、
『サンスクリット文法用語索引』として付け加えられました。この仕事は、
パーニニ、ヴィヤーディ、パタンジャリ、バリトリハリ等々といった、
まさにヴェーダ諸学派の時代から現代までの、サンスクリット文法学の
権威ある32以上の諸著作を綿密に研究したあとで、Mm. Prof. K. V.
Abyankar, M. A.(現・名誉教授、B.O.R.I., Poona)によって編纂され
ました。この付録への登録数だけでも4,000を超え、技術的・その他の
用語を含めた文法的に意味をもつ幾らかの単語、著作者の名前、そして
出版されたか写本としてある著作物の名前という各分野をカヴァーして
います。」

現在の本では、付録は6つに分かれ、
付録A:作詩法(韻律学)
付録B:著作者名
付録C:古典に出てくる地名
付録D:古い辞書・語彙集
付録E:格言集
付録F:文法用語集

と、普通の辞書の形では読み書きに苦しむ部分を補う形になっています。
登録項目数が4,000を超えると言っていること、付録(B)と付録(F)が
同一の付録の別の分野として書かれていること、などから、改訂増補版の
出た当初は、これらA〜Fすべてが、付録(A)だったのだろうと
推測されます。

8近藤 貴夫:2009/02/01(日) 19:11:55
>>6
○ Poonaというのは、インド連邦中西部の街・プネーの古い英文表記。
○ B.O.R.I.というのは、プネーにある、Bhandarkar Oriental Research
Instituteの頭文字。インド古典文献の、歴史ある研究所。
○ M.A.というのは、Master of Arts 或いは Magister Artium(文学修士)。
○ Prof.は「教授」(professor)。Mm. Prof. もインドの大学にある
役職名・肩書と思われるが、調べがつかない。(まさか経済修士や音楽
修士ではないだろうし、陛下や殉教者でもない(K. V. Abyankarはこの
時点で存命だったろうから)と思う。)

9近藤 貴夫:2009/02/02(月) 13:56:16
「もう一つの重要な特長は、もう一つの付録(B)がおよそ475の格言
(ニヤーヤ:ny@aya)を扱っていることです。」

このように書かれていますが、実際に格言を扱っているのは、現行辞書の
付録(E)です。もともとの付録(A)が分割されたときに、番号が付け替え
られたのかもしれません。

なお、>>6>>8の Abyankar は、Abhyankarのミスタイプです。

10近藤 貴夫:2009/02/02(月) 14:27:55
「編集者の会議は、この版と約3年前に始められた編集作業のために指名
されました。これだけ重要性のある改訂増補作業には、インド中の膨大な
人数の学者の自発的な共同作業が頼りにされるのは自然なことであり、
喜ばしいことに、私たちは多くの令名高いサンスクリット学者をここに
記すことができます。例えば、Kshitishchandra Chatterji 博士(コルカタ)、
Dineshchandra Bhattacharya 教授(コルカタ)、Bhabatosh Bhattacharya
教授(バトパラ)、Chintaharan Chakravarti 教授(コルカタ)、
G. V. Devasthali 博士(ナーシク)、A. D. Pusalkar 博士(ムンバイ)、
N. A. Gore 教授(ムンバイ)、Shri. D. G. Padhye(ムンバイ)、
Mm. Prof. K. V. Abhyankar(プネー)、M. D. Sathe(プネー)、
V. G. Rahurkar 博士 と G. B. Palsule 博士(プネー、デカン大学、
辞書部門、副編集者のお二人)、Y. R. Agashe 教授(プネー)が、
それぞれの分担で今日まで寄与してくださり、この書籍に組み入れられ
ました。」

11近藤 貴夫:2009/02/02(月) 14:57:35
>>10 M. D. Sathe氏の肩書「教授」を書き落としました。

「私たちは、これら共同作業者の皆さんを大変有難く思っており、最新版に、
これらの、そしてその他の友人たちの、上記の協同作業あるいは他の助力
への、心からの感謝の表現を含めるために、刷り替えをしました。
私たちはまた、参考として使われ、また編集で参照した〔アプテ〕学長の
諸著作の有用性に対し、感謝の意を記さなくてはなりません。これらの
著作の網羅的なリストは、最新版で供することになるでしょう。
当辞書で使われている略語のリストは、この版でも刷られましたが、
まだ完璧ではありません。それは最終版で補完されることでしょう。」

この記述からも、辞書は複数回にわたって補完されたらしいことが
窺えます。

12近藤 貴夫:2009/02/02(月) 15:14:00
「私たちはこの辞書を、約800ページずつの2巻で上梓できるものと
常識的に考えていました。しかし、増補作業による分量の増大をみると、
3巻目が必要になりました。
 最後に、この膨大な語彙集を非常にきれいで整然とした印刷物として上梓
するために義務的に背負う、大きな犠牲を伴う、出版社の巨大な負担と
重責への言及を書き落とすわけにはいきません。
 次の巻は、恐らく6ヵ月後に出ることでしょう。

                      プネー、1957年8月9日
                     主任編集者 P. K. Gode
                           C. G. Karve
                                」

13近藤 貴夫:2009/02/02(月) 15:46:43
辞書の編集・出版・印刷は、労力と時間のかかる大変な作業ですが、
私から見ると、華々しくやりがいのある仕事として、そういう仕事に
従事している友人が羨ましかったりします。やっぱり、数日内に捨て
られる折り込み広告や、一カ月以内に捨てられる月刊フリーペーパーや、
一年以内に捨てられる年度別商品カタログなんかより、何年も使って
もらえる単行本や辞書でしょう。

というのは余談として、アプテの梵英は、今では一冊で刊行されています。
印刷・製本技術が進んだためでしょう。
ただ、増補改訂版の最初が出た当時の巻の境目は、「以上何巻」という
表記と、ページ組みから分かります。
a から k までが第一巻(〜p.632)、kh から m までが第二巻(p.633〜
p.1296)、y から後ろが第三巻です。

>>12 までに書いた序文は、改訂増補版第一巻が出たときのものです。
現在の版では、この後に、アプテによる旧版の序文、改訂増補版第二巻の
序文、そして、年月日が明記されていないながら、改訂増補版が第三巻まで
揃ったあとに書かれた長い序文が続きます。

その次に、アプテの短い伝記(34年の短い生涯ではありますが)。
出版社の代表からのあいさつ(改訂増補版第三巻のときのもの)。
アプテによって書かれた辞書の使い方の説明。
辞書の中に出てくる伝統文法学用語の説明。
辞書の中に出てくる出典の省略表記の説明。
同じく英語による文法用語などの略号の説明。
略号の補完リスト。

と続いて、それからようやく辞書の内容に移ります。

14近藤 貴夫:2009/02/02(月) 17:05:32
「V. S. Apte 学長による、実用梵英辞典への序文

 この辞書は、学生が長らく感じてきた、完全でかつ安価な梵英辞典が
欲しいという要求に応えるために手がけられました。思うに、最近25年間、
こんなにも強い弾みをサンスクリットの研究が受け取ってきたときに、
この種の著作を上梓することの必要性については、非常に小さく言われて
いるのではないでしょうか。今日まで、4種類か5種類の梵英辞典が出版
されております――しかし、こうした著作の二つの本質的要件、普及性と
有用性を兼ね備えたものは極めて稀です――学生のあらゆる要求を満たし、
同時に手に届く範囲を外れないものは。Wilson教授の辞書と、Monier
Williams教授の辞書は、非常に有用で、価値の高い著作ですが、しかし
それらの価格――特に後者の――は、禁制品の如く高く、サンスクリット
読者の最も普通の要求の多くにも合致していません。」

15近藤 貴夫:2009/02/02(月) 17:32:39
「学校や大学でサンスクリットを読んでいる学生は、使っている辞書が、
特定の文脈の中で特殊な意味や意味の陰影を持っているかもしれない、
単語や複合語表現について、適切な同義語を与えてくれると期待するのが
普通です。学生は、特定の単語が非常に多くの語義を持っているということ
だけではなく、この本の特定の文脈の中でその単語があれかこれかの語義を
持っているということを知りたいのであり、そうして、同じ著者あるいは
別の著者の違う著作の他の箇所でどう使われているかを見て比較すること
により、特定の一節でその単語がどんな語義を持っているかを決定したい
のです。学生はまた、彼の日頃の講読の授業で出てくるものを最低限とし、
彼の役に立ちそうな他の情報も含め、より重要な術語について、精確さを、
そして出来うる限り、完全な説明を求めているのです。」

16近藤 貴夫:2009/02/05(木) 22:25:48
「Monier Williams教授は、計り知れぬほど貴重な氏の辞書の中で、可能な
限り単語の意味を汲み取り尽くそうと試み、幾つかの点で多くの有用な
情報を与えました。しかし、私の思うに、「この辞書は、有名でよく読まれる
文献、例えば、ウッタララーマチャリタ、ムドラーラクシァサ、ヴェーニー
サンハーラ、シシュパーラヴァダ、或いはカーダンバリーといった文献に
現れる単語の最も普通の意味を示し損なっている」、と言うことは、この
偉大な著作の利点を損なうことにはならないでしょう。もっと言えば、
〔教授の〕辞書は、引用や参照先も示さないし、学生たちが学校や大学の
経歴(=学業の訓練)の上で便利であろう情報も殆ど与えないのです。
これらのことを言うからといって、私がほんの少しばかりでもかの辞書に
ついて批難しようとしているとは、受け取らないでください。」

17近藤 貴夫:2009/02/08(日) 15:44:33
「実際、私自身かの辞書から少なからぬ助けを得てきたのであり、その
ことを一般にもっと知ってもらいたいと思っています。これらの欠点を
指摘する私の唯一の目的は、『この分野に既に幾つかの著作があるのに、
どうして新しい辞書の編纂を始めたいと思ったのか』を示すことであり、
読者の皆さんが、この辞書が少なくとも先駆者へのある程度の尊敬の上に
立った進歩であることを分かりうるようにしたいと私は望んでいます。」


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