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邪気眼少女と桜の欠片
1
:
ピーチ
:2013/03/23(土) 22:33:05 HOST:EM49-252-247-164.pool.e-mobile.ne.jp
はい既に何個目かも分からないスレです心愛さんとのコラボでーす!
荒らしはやめてくださいスルーします
2
:
心愛
:2013/03/23(土) 23:48:37 HOST:proxy10055.docomo.ne.jp
>>ピーチ
キタ――(・∀・)――!
なんかタイトルからして美羽が目立っちゃってる感じですみませんありがとうございます!
楽しみに待ってるよー!
3
:
ピーチ
:2013/03/24(日) 00:22:34 HOST:EM49-252-247-164.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
早速ありがとう!
まだ話始まってないけど!
少しでも駄文が改善されるように心がけるよ!←
4
:
ピーチ
:2013/03/24(日) 00:59:01 HOST:EM49-252-247-164.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「……」
眠い。
昨日はちゃんと寝たはずにも関わらず異様に眠い、なぜか。
―――お兄ちゃん起きなさい!
美空先輩に誘われて来たどっかの風変わりな旅館に泊まりに行くとかいう企画らしきものに、なぜか俺まで入っていたらしく。
もともと気乗りしなかった上に彩のあの金切り声。
あんな時間から叩き起こされて眠くない奴があるかよ普通…
「ヒナー? 早く行こうよー」
姫宮の言葉に頷いて、俺は欠伸を噛み殺しながら足を進めた。
「お母さん?」
いつものように帯を締め終えてから、おかみ―――お母さんの所に行くと、いつもと同じように笑っていた。
でも、どこかその笑顔に無理があるような。
「どうしたの? 何かあった?」
思わず問いかけた私に、おかみは微妙な笑顔のまま一言。
「忘れてた。今日だったわ」
「え?」
何が。
そう聞こうとしたけど、それを先にお母さんが言った。
「―――彩織、言ってたわよね? 今度関東の辺りからいらっしゃるお客様が居るって」
「え……うんってまさか!?」
「そう」
いつの間にか、最早爽やかとしか言いようのないような笑顔で。
「どうしましょうか?」
食事の材料も何もかも、ほとんどが足りない。
「な、何が必要? 私が買ってくるから……っ」
かくして、二人揃って大慌てで材料の買い出しやら部屋の確保やらを始めた。
「―――美空先輩?」
「んー?」
「ほんとにここで合ってるんですか?」
俺の問いに、先輩が多分ねーと返す。
多分って……っ
そこに、何やら慌てたような少女が姿を現した。
「あ、すみません」
その少女が美空先輩に話しかける。
先輩がそれににこやかに応じた。
「結野美空さんですか?」
「? そうだよ?」
明らかに年下だと思われる少女の問いに、先輩がそう返す。その返答を聞いた少女が、ほっとしたように息を吐いた。
「あの、あたし紅旅館(くれないりょかん)の若おかみの代理です!」
元気よく言った少女が、案内するからついて来いと目で軽く促す。
「行ってみようか?」
先輩の言葉に、俺たちが歩き出した。
「彩織ー? 代理の役は果たしたからねー?」
あたし帰るよーと言った沙希の言葉に、私が答える。
「うん、本当にありがとう……っ!」
こんな時に少数でやってる旅館って大変だよね。
でも、お客様が入ってきたら話は別。料理の材料もお部屋の確保も間に合ったはずだから大丈夫。……多分。
「いらっしゃいませ、結野様」
なるべく丁寧に、ゆっくりと。
小さい頃からずっと心がけてることだった。
どんな時でも焦らず冷静に。
「あ、彩織ちゃん久しぶりー!」
にこにこと話しかけてくださった方の顔に見覚えがあって、私は思わずあっと声を上げた。
「やはり結野様でしたか。今日も、前回の方……とでは、ないようですね」
何か嬉しいな。
こうやって覚えててくれたんだってことが、純粋に嬉しい。
そこに、おかみが顔を出した。
「あら、結野様。いらっしゃいませ」
穏やかに笑って頭を下げるお母さんを見てたら、やっぱりまだまだだって思っちゃうなぁ。
「お久しぶりです、おかみさん」
結野様がお母さんにそう言った。
その後で、私が言う。
「では、お部屋は櫻の間と茅葺(かやぶき)の間、蓮華(れんげ)の間と若草(わかぐさ)の間となっております」
この旅館の部屋の名前は、自然を基本としている。
だから自然と、こんな名前になるんだ。
「ご案内致します」
そう言った京(きょう)さんがお客様を案内していった。
そこまで終わって、肩の力が抜ける。
「掃除は毎日してるから大丈夫だと思うけど……」
満足していただけるかなぁ…何しろ即興で整理した部屋だからなぁ……
そんな心配を抱えつつ、私は次の仕事に回った。
5
:
心愛
:2013/03/24(日) 18:35:55 HOST:proxy10052.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ヒナの一人称語りキタァーー!
すごいすごい! さすがピーチ!
そしてピーチの和風なお話はやっぱり絶品だね!
なんか今回は可愛い感じ(o^_^o)
…あと、ね。
実は実は…本編で、みんなで旅館にお泊まり! って大イベントを企画してたのね…。
しかも美空の案内とか色々丸かぶりだぜちくしょう!
と、いうことでピーチの素晴らしき才能が発揮された結果これからの展開を先回り、しかも本編を遥かに上回るクオリティでお届けなされたというわけでございます。
先に言っておこう、秋の旅館騒ぎはパクリじゃないからねっ! 一応、ここあの足りない頭で考えたんだからねっ!
そんな感じで、本編と繋げるのは若干難しいかもごめん。
これはこれで楽しませてもらうことにしましょう!
…天才って、凡人には予測できないことをサラッと成し遂げちゃうものなんだね…。
6
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 20:57:37 HOST:EM1-114-34-228.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ヒナさんの一人称、まさかのあれから始まりですw
な、何かおかしくなってるかもだけどごめんね!
和風大好きなのだー! ふんわりしてるの大好きなのだー!
ところで彩織って名前、どっかで聞いた憶えない?←
…………え。マジですか
何かあたしの方が疑われそうなんですがっ! この場合どーしたらいいんでしょーかっ!?
7
:
心愛
:2013/03/25(月) 22:24:05 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp
>>ピーチ
聞いたことあるとも!
あんなにつらい思いしてたもんね…!
ほんとにまっすぐで健気ないい子だな、泣けるよ……!
や、気にしないで続けてください待ってます!
ただしばらくして、邪気眼少女本編で超劣化版・旅館編が載るってだけだから!
同じ題材をどう料理するかっていうのも面白いしね(`・ω・´)
うちのバカが迷惑かけないように祈る…。
8
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 22:36:04 HOST:EM1-114-34-228.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
あああありがとうー! 覚えててくれたんだー!
あんなつらい思いした後だからとーぜん傷は残ってます←こら
ピーチキャラには珍しいぐらい真っ直ぐだからね。彩織を除けばあと一人だけ、貴重な存在w
ごめんねほんとごめんね!?
超劣化版はないと思う! 何でってそれはここにゃんだから!
ヒナさんたちバカじゃないし! むしろあたしの頭とキャラたちの方が心配だよ!
9
:
ピーチ
:2013/03/25(月) 23:03:41 HOST:EM114-51-180-220.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
姫宮と春山に半ば引きずられて部屋を出た俺たちは、そこで柚木園と美空先輩が目に入った。
向こうも俺たちに気付いたらしく、美空先輩がしきりに中に居る誰かに呼びかけている。
「美羽ちゃーん! 圭くんも居るよー?」
「俺をダシにしないでもらえますかねぇっ!?」
それもいきなり!
とは思ったけど、よく考えたら美羽が出てきてくれるのは嬉しい。姫宮と柚木園は一緒に居るんだろうけど。
「みーうちゃーん?」
未だに美羽のことを呼び続けている美空先輩がにっと笑って一歩後ろに下がった。
その少し後に、いつものようにゴスロリに身を包んだ少女―――美羽が出てくる。
スマホをいじってる途中だったのか、少し機嫌が悪いような。
「何だヒナ、何か用事か?」
「はい?」
いきなりの質問に、逆に俺が問い返す。
「美空が、ヒナが居ると言ってぼくを引っ張り出してきたんだが」
「それ用事と関係なくないですかね?」
単純に美空先輩が呼んでただけじゃん!
そう言おうとした俺を抑え込んだ春山が俺の代わりのように答えた。
「あーそうそう! 何か、どっか買い物行くから付き合ってくれってさ!」
「春山ぁっ!?」
何でそうなる俺買い物なんて考えて……
「…そうなのか?」
紅い瞳が驚いたように丸められた。思わず俺が言葉に詰まる。
「……あー、うん」
結局、俺たち二人で近い店に出向くこととなった。
「彩織?」
「え、あ、はいっ!」
いきなり呼ばれて、私が思わず飛び上がる。読んでた本が数ページ前に戻った。
それを見たお母さんが苦笑しながら言った。
「どこか、近いお土産屋さんを教えてくれ、ですって」
「お土産屋さん? 紹介すればいい?」
私の質問にお母さんはうんと返し、頼んだからねと言ってそのまま仕事に戻って行った。
そして、私は日永様と結野様が待たれてるロビーまで行って、簡単な説明をした。
二人とも分かってくれたようで、何度か頷いた後に旅館を出て行った。
10
:
心愛
:2013/03/26(火) 10:46:08 HOST:proxy10044.docomo.ne.jp
>>ピーチ
彩織ちゃーんっ!(TOT)
うちのバカの相手をまともにしちゃだめだよ!?
お、キャラの口調もとってもいい感じだね!
美空や春山がさりげなく引っ張る感じなとことか、美羽の反応にヒナがころっと合わせちゃうとことか神だよ!
11
:
ピーチ
:2013/03/26(火) 13:58:21 HOST:EM114-51-147-230.pool.e-mobile.ne.jp
ここにんゃん>>
大丈夫、彩織も天然入ってるからちょっとくらいじゃ気にしない!
口調大丈夫だった? まだ苺花ちゃん出せてないけど←
美空先輩とか春山君はこんな感じかなと(こら
12
:
心愛
:2013/03/26(火) 17:10:05 HOST:proxyag105.docomo.ne.jp
>>ピーチ
彩織ちゃんも天然なのか!
天然キャラはいい子が多いよねw
こんな感じです超ばっちりです!
苺花の口調は…微妙にシュオンに近いとこがあるかも? 王子ペアw
13
:
ピーチ
:2013/03/26(火) 22:04:10 HOST:EM114-51-188-154.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
彩織も天然なの! 柊一とは若干方向性違うけど!
二人とも「いい人」に変わりはないけどねw
良かった……何か常に心配してるよー!
苺花ちゃんは分かりやすいかも、あと夕紀ちゃんも!←
14
:
心愛
:2013/03/27(水) 13:28:20 HOST:proxy10026.docomo.ne.jp
>>ピーチ
みんないい子だけどね!
だいたい口調にクセがあるからね…。
一番普通なのはやっぱりヒナかなぁ。そのぶん最初は難しかった←
15
:
ピーチ
:2013/03/28(木) 07:04:27 HOST:EM114-51-160-221.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
みんないい子だよね! そうだよね!
美羽ちゃんが一番の例になりそうw
普通な人ほど難しいものだよね……
16
:
心愛
:2013/03/29(金) 09:24:39 HOST:proxy10049.docomo.ne.jp
>>ピーチ
確かに、一番特徴あるのは美羽だな。ぶっちぎりで。
普通平凡w
でも今までのヒナは完璧ばっちりだよ!
17
:
ピーチ
:2013/03/29(金) 21:01:42 HOST:EM114-51-148-105.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
美羽ちゃんは書いてても楽しいw
ヒナさん大丈夫かなー…夕紀ちゃんも難しかった、ピュアすぎて←
18
:
ピーチ
:2013/03/29(金) 21:45:39 HOST:EM114-51-148-105.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「……で、一体何が欲しいんだ、君は?」
「え? え、えーとっ」
いきなりの質問に俺が狼狽える。理由は簡単。何を買うかなんて考えてなかったから。
「あ、そーそーあれ!」
そう言って適当に俺が指したものを見て、美羽が怪訝そうな表情になる。
…な、何か失敗した?
「……あんなものが欲しくてわざわざ?」
美羽の言葉に、俺が恐る恐る刺した場所を見る。
と、そこに。
―――女子が大変に喜びそうな動物をかたどったぬいぐるみが山積みになっていて。
そりゃあ美羽の言葉が正しいわな。
「あ、いや、俺じゃなくて!」
そう言った俺の頭に、『彼女』の顔が浮かんだ。
「そうそう! 彩に土産としてやろうかと思って!」
我ながらありえないけどあのまま誤解されるよりはずっとマシだ。
俺の言葉に、美羽がえ、と問い返す。
「そうなのか?」
「そーそー! それで女子ってどんなのが好きなのかなって思って!」
そう言ってからしばらく美羽と二人であれやこれやと言い合って、結局ウサギのぬいぐるみを購入した。
「わ………っ?」
お客様の部屋を出て立ち上がった瞬間、周りのものがぐらりと動いた。
いや、正確には私が前に倒れかかったんだけど。
そう思って、無意識に両手を前に出す。
「………あ、れ?」
来るはずの衝撃が来ないことを訝って、少しだけ目を開けると。
誰かの腕が、私を支えていた。
「……え、あ…」
まずい、この状況すっごくまずい。
「え、あ…も、申し訳ありませ―――…」
「大丈夫だった?」
……え?
突然の言葉に、私が思わずお客様―――柚木園様を見る。
それと同時に、柚木園様にすごい迷惑をかけたことに思い当った。
「もっ申し訳ございません! 大丈夫でしたか!?」
いきなり血相を変えた私に驚いたのか、しばらく唖然としていた柚木園様が苦笑気味に笑った。
「それ、私が聞いたんだけど」
「え」
そう、言えば。
―――大丈夫だった?
そう聞かれたんだった。
「す、すみませ……っ」
くすっと笑う声が聞こえて、私が顔を上げる。
柚木園様が笑っていたのを見て、思わず首を傾げた。
そんな私を見て、柚木園様が言った。
「あ、ごめんね。別に、謝る必要なんかないのにな、って思って」
「…………はい?」
そう言った後、柚木園様に聞かれたことに、私が硬直した。
「そういえば、腕の傷どうしたの?」
――――――っ…!
青ざめていることに気付いたらしい柚木園様が怪訝そうに私の顔を覗き込む。
「? 若おかみさん?」
「………申し訳…ありません……」
やっとそれだけを告げると、ふらふらとその場を離れた。
19
:
ピーチ
:2013/03/30(土) 00:22:53 HOST:EM114-51-148-105.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「あれ?」
帰ってきて、思わず声を上げた。
「柚木園?」
何か分かんないけど困ったような表情で、柚木園が立ってたから。
「うーん……何か、聞いちゃいけないこと聞いたのかもなぁ、と思って」
「はぁ?」
俺と美羽が胡乱げに聞き返す。
「どういう意味だよ?」
「若おかみさん、どっか行っちゃったからさ」
可愛かったのになぁと呟く柚木園に、俺が半眼になった。
「……姫宮に妬かれるぞ」
「っ、はぁ!?」
さっきまでの笑顔はどこへやら、顔全体を真っ赤にして柚木園が叫ぶ。
とそこに、ロビーの方から声が聞こえた。
「あら、葉月ちゃん。どうしたの?」
「あー…すいません毎回毎回。彩織ちゃん居ます?」
さおりと言うのは、多分あの若おかみらしき中学生くらいの子だろう。
「んー…さっきは居たけどねぇ……」
この前のことがあったばかりだからねと言うおかみさんの言葉に、葉月と呼ばれた少女が苦笑気味に返した。
「ですよねぇ…ほんっと、彩織ちゃんって繊細……」
それに引き替えあやつらは、とか何とか言ってる会話を聞いてたことに気付かれ、おかみさんが俺たちの方を見る。
「あら? お客様、どうかなさいましたか?」
「え? あ、いや…」
まさか話を聞いてて意味が理解できませんでしたなんて言えるわけがない。
何とか理由をと焦った俺の前に出た柚木園が、持ち前の爽やかな笑顔を振りまく。
「たぶん私が原因で、おかみさんが引き籠っちゃったんじゃないかなって思って…」
完璧に思えた笑顔が消え、代わりに焦ったように語気が速くなった。
それを聞いたおかみさんが、え、と問い返す。
「どういう、ことでしょうか?」
「えーっと…」
柚木園曰く。
前かがみに倒れ掛かった彼女を条件反射で支え、その拍子に見えた腕の傷はどうしたのかと聞いたところ、青い顔をしてどっかに行った、と。
それを聞いたおかみさんが、あぁと呟いた。
「たぶん、私たちが今話していたことですねぇ」
ふわりと微笑むおかみさんの言葉に、俺たちが聞き返した。
「はい?」
「あの子、ちょっと色々ありまして」
まるで、秘密を打ち明ける子供のような表情で、彼女は語り出した。
20
:
心愛
:2013/03/30(土) 12:50:09 HOST:proxy10001.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ヒナと美羽の会話とか、彩織ちゃんを助ける苺花の王子な面とかそのわりに夕紀が絡むとウブになるとことか、キャスティングとその扱いが絶妙すぎてここあは拍手喝采だよ!
再現具合すげぇ…! むしろこっちが本編じゃね?←
彩織ちゃんは…その、アレだよね、やっぱり。
うう…健気だ…!
21
:
ピーチ
:2013/03/30(土) 21:07:14 HOST:EM114-51-184-84.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
作者様に褒められると嬉しいよねー! 単にあたしが馬鹿だからだけど!
違いますこっちが本文だったらここにゃんのは神作品以上になっちゃうじゃないかぁー!←
彩織はひ弱だからさ!(おい
22
:
ピーチ
:2013/03/30(土) 22:24:36 HOST:EM114-51-184-84.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
おかみさんと柚木園の話を聞いて、若おかみさんがその場を離れたわけが、なんとなくわかった。
柚木園も悪気はなかったとはいえ、タイミングが悪かったと言うかなんと言うか。
「何か、悪いこと聞いちゃったかな……」
「大丈夫ですよー」
何か、やたらふわふわとした声が柚木園を遮った。
「え?」
「あの子は、お客様の前では気丈に振舞うんですよー。部屋ではどうなのか、分かりませんけどね」
だから気にしないでくださいと微笑んだおかみさんを眩しいものでも見るように目を細める。
「でないと、私があの子に怒られるんで」
「はい?」
思わず聞き返した俺たちに、おかみさんが苦笑して。
「もし先ほどのようなことがあったなら、そう言ってと言われているんで」
どうやら、気にされたくないらしい。
そうまで言われたら、気にするわけにはいかないよなぁ……
「じゃあ、彩織に言っておきましょうか? 伝言があったら」
いつの間にか話が戻っていて、おかみさんの傍に居た少女が言った。
「あー…じゃあ」
とっても申し訳なさそうに、彼女は苦笑しながら言う。
「あの馬鹿どもが、まーた性懲りもなく誘ってたよー、と…」
「分かったわ。呆れたような顔してたとも言っておくわね」
「あ、いや、それは!?」
少女の慌てたような声に、おかみさんが笑った。
……若おかみさんは人のことからかえるような印象なかったのにな…
「ヒナ、戻ろう? さすがに、これ以上いると迷惑だろうし」
柚木園言葉に、俺が頷いた。
「日永様」
「え? あ、はい?」
いきなり聞こえた声に、俺が反射的に正座する。
「他のお客様がお休みになられてきたので、お布団の準備をさせて頂いてよろしいでしょうか?」
あ、ここって自分でやれって旅館じゃないのね……。
「あ、はい」
「失礼いたします」
律儀にそう言ってから礼儀正しく入ってきた若おかみさんを見て、俺が何となしに息を吐いた。
「……? どうかなさいました?」
「え? あ、いや、別に」
慌ててそう答えて、若おかみさんの邪魔にならないように隅に移動する。
「…そう言えばさ」
何気なく呟いた言葉に、少しだけ布団を持ち上げた若おかみさんが振り返る。
「何でこの旅館って、わざわざおかみさんたちが一つ一つやるの?」
俺の言葉に、若おかみさんがしばらくぽかんとして、やがてくすりと笑った。
「簡単ですよ」
「え?」
「だって、折角泊まりに来て下さっているお客様に一つ一つさせるなんて、失礼でしょう?」
少女の長い髪が、彼女の動作に合わせてさらさらと揺れる。
「それだけ……で?」
「はい、それだけです」
ふわりと笑う若おかみさんは、おかみさんとどっか似てる。
「では、失礼します。何かあったら呼んでくださいね」
「あ、うん…」
年下って言うのが一番大きい理由だろうけど、若おかみさんに敬語は使いにくい。
でも、まだ中学生くらいなのに、ある意味洗礼されてるなー…
そんなことを考えつつ、何か疲れてそのまま横になった。
23
:
ピーチ
:2013/03/30(土) 23:29:37 HOST:EM114-51-184-84.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
―――腕の傷、どうしたの?
柚木園様の言葉が、何回も頭の中で反響する。
同時に、あの時の言葉も。
―――約束、破っちゃったねぇ……?
「…………っ…!」
考えたらいけないって、分かってるのに。
「大丈夫?」
「え?」
いつの間にか部屋に居たお母さんの言葉に、私が思わず聞き返した。
「青い顔してるわよ? あぁそれと、葉月ちゃんからの伝言」
「え……、先輩から?」
うん、と頷いて、お母さんが笑う。
「あの馬鹿どもが、まーた性懲りもなく誘ってたよー、だって」
面白い子たちよねぇと笑って仕事に戻ったお母さんを見送って、私も立ち上がる。
……前のことばっかり引きずってるわけには、いかないもんね。
柚木園様に謝ってないし。
そう思って、私は慌てて部屋を飛び出した。
「日永様」
いきなり呼びかけたからだと思う、驚いたような響きが声にあった。
「え? あ、はい?」
「他のお客様がお休みになられてきたので、お布団の準備をさせて頂いてよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
日永様の言葉を聞いて、私がなるべく静かに襖を開ける。
「失礼いたします」
そう言って部屋に入った私を見て、日永様が何とも形容のしがたい表情になった。
「……? どうかなさいました?」
「え? あ、いや、別に」
そう、ならいいけど……。
しばらく布団を出したり色々としてる私を眺めていたらしい日永様が、ぽそりと呟いた。
「そう言えばさ」
前置きのように言って日永様が首を傾ける。
「何でこの旅館って、わざわざおかみさんたちが一つ一つやるの?」
日永様の質問を聞いて、私は思わずその場に固まる。
いや、確かにおかみや仲居さんが準備しないような旅館もあるけど。今はそっちの方が多いらしいけど。
でも、間違っても困惑を見せるわけにはいかない。何とかぎこちないながらの笑顔を、それなりに頑張って作った。
「簡単ですよ」
「え?」
「だって、折角泊まりに来て下さっているお客様に一つ一つさせるなんて、失礼でしょう?」
折角来てくれるんだから、敬意を込めないと…ってことで、うちは昔からそうしてるらしい。
「それだけ……で?」
「はい、それだけです」
そう言ってる間に準備が終わり、そのまま部屋を出る。
……で、どうしよう…
―――柚木園様と結野様のお部屋? もう終わってるわよ?
「あー……」
…明日こそ謝らないと。明日は何があっても謝る。
変なことを心に誓って、私はそのまま部屋に戻った。
24
:
ピーチ
:2013/03/31(日) 20:00:24 HOST:EM114-51-186-14.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「あら、おはようございます。日永様」
「あ、おはようございます」
何となく部屋を出た直後、おかみさんとばったり遭遇。
いや、だからどうしたってわけでもないんだけど。
しばらく外を眺めて、何気なく思う。
「……ここって、結構広いよなー…」
「そーだねー」
「ですよね……ってえぇ!?」
突然聞こえた声に、俺が驚いて振り返る。
―――美空先輩が隣に居た。
「どどどどーしたんですか先輩!?」
「ん? いやー、ちょっと外を眺めたくなってさー」
ここって四季折々の植物が植えてあるらしいよー、と言った先輩の言葉に、俺があぁと呟く。
「へー…」
と、そこに偶然通りかかったらしい若おかみさんの姿が目に入った。
向こうも気付いたようで、優しそうに笑う。
「おはようございます、結野様、日永様」
「おはよー」
先輩がにこにこと返して、俺が片手を上げる。その後であ、と先輩が声を上げた。
「そーだ、彩織ちゃーん!」
「え?」
若おかみさんが驚いたように振り返る。そんな彼女に、先輩が何かを投げてよこした。
「わっ!?」
反射的に受け取った若おかみさんが、手にあるものを見て胡乱げに先輩を見る。
「…あの、結野様……?」
「おかみさんから聞いたよー、美羽ちゃんに負けず劣らずの偏食家らしいじゃーん?」
……だから身長低いのか…?
いや、別に低いからいけないってわけじゃないけどさ。
若おかみさんと話していた先輩に、俺が視線を投げた。何をあげたのか、何となく気になる。
「先輩、何あげたんですか」
「ん? 栄養ドリンクだよ?」
「はいッ!?」
一方の若おかみさんは、しばらく困ったようにそれを見つめていたが、やがて諦めて笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。……大切に仕舞わせて頂きます」
「いや駄目だろッ!」
仕舞ってても意味ないって!
結局、断りきれなかった若おかみさんが根負けした。
廊下を歩いてたとき、偶然結野様と日永様を見つけた。
二人も気付いてくれたみたいだから、とりあえず挨拶する。
「おはようございます、結野様、日永様」
「おはよー」
結野様が笑顔で返し、日永様が片手を上げた。
その後で結野様があ、と声を上げたのが聞こえた。
「そーだ、彩織ちゃーん!」
「え?」
振り返った瞬間、何か長方形の物が飛んできた。
「わっ!?」
思わず、落とさないよう反射的に手を伸ばす。
それを見た私が、明らかに胡乱げな表情になったと、自分で分かった。
「…あの、結野様……?」
「おかみさんから聞いたよー、美羽ちゃんに負けず劣らずの偏食家らしいじゃーん?」
……お母さんめ…っ!
いっくらお客様と気軽に話せる旅館だからって、何もそんなこと言わなくても……
そして、もう一度手の中にある長方形の物体を見る。
―――栄養ドリンクを。
「ありがとうございます。……大切に、仕舞わせて頂きます」
「いや駄目だろッ!」
日永様の言葉を聞いて、私がどうしようかと思案する。
…結局、断りきれなかった私が根負けした。
25
:
心愛
:2013/03/31(日) 20:40:58 HOST:proxyag111.docomo.ne.jp
>>ピーチ
まじめな彩織ちゃんとってもいい子だね!
現代日本にこんな綺麗な心と和の心を持った中学生はどれだけいるんだろうね!
美空のそれは気遣いなのか……?
よかった! 栄養ドリンク落としたり彩織ちゃんに激突させたりしなくて!(TOT)
ヒナのツッコミが絶妙ねw
26
:
ピーチ
:2013/03/31(日) 20:41:32 HOST:EM114-51-186-14.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「おかみさんから聞いたよー、美羽ちゃんに負けず劣らずの偏食家らしいじゃーん?」
あたしの言葉に、若おかみさん―――彩織ちゃんの動きが若干ぎこちなくなった。
「え、あ、いやっ別に大丈……」
「大丈夫じゃないよー、美羽ちゃんだってあんまり身長伸びてないわけだしー」
「う………っ」
あたしが言ったことに対して、彩織ちゃんが言葉に詰まる。
「まぁ、不味いわけじゃないから大丈夫だよー」
そう言ってさっさとその場を去ったあたしを呆然と見送る視線が、少しだけ分かった。
王子じゃないけど、ああいった子って可愛いなー
そんなことを考えてたあたしの耳に、圭くんともう一人二人、誰かの声が聞こえた。
「彩織ー?」
「え?」
彩織ちゃんの驚いたような声が聞こえる。
「やほー!」
親しげな声から察するに、彩織ちゃんの同級生辺りかな。
「沙希、元町君? 何でこんな時間に……」
「いや、沙希の提案でさ。どーせ連休なんだからどっか遊びに行かないかって」
振り返ったら、晴れやかに笑った少年と少女が居た。
二人ともかなり身長高いな……いや、単に彩織ちゃんが低すぎるだけだろうけど。
「あ、ごめんね。……仕事の方が、あるから」
「あ、やっぱり?」
沙希ちゃんと呼ばれた女の子がにんまりと笑う。
「そんなこと言うだろうなーって思って、先におかみさんには言ってあるよ! あたしはいいからさ、冬樹と一時間だけでもいいから遊んできなよ!」
「へっ?」
驚いたような彩織ちゃんの声に、女の子が笑いを噛み殺している。冬樹君と呼ばれた男の子は、頬が少しだけ赤らんでいた。
「や、でも」
「行って来たらー?」
「はい!?」
たまらずあたしが声をかけ、それに驚いた彩織ちゃんがあたしを見て悲鳴に近い声を上げた。
「ゆ、結野様っ!?」
「いいじゃん、どうせ一時間程度でしょ? 頑張ってる子にそれくらいの、いやそれ以上のご褒美は当然!」
あたしの言葉で、彩織ちゃんが苦笑した。
「柚木園様、結野様」
声をかけ、返事があったことを確認してから襖を開ける。
「あ、若おかみさん」
「失礼いたします」
飲み物を持ってきたという口実で部屋に入る。
で、柚木園様に昨日のことを謝る。
これで完璧。……だった、はずだけど。
「いいよ、そんなの気にしないで」
「い、いえ! あんな態度を取ったんですから…」
「大丈夫だよ、あんなの気にしないに限る。ね?」
そう言ったと同時に、結野様が言った。
「気にしなくていいと言ってるんだから、気にする必要はないだろう?」
結野様の言葉に、私が思わず彼女を見る。
白黒でフリルつきの可愛らしい服―――ゴスロリに、カラーコンタクトを使っているのか、紅い瞳。
そんなことをしなくても十分綺麗で可愛いと思うのは私だけなのかな。綺麗だと思うんだけどな。
そうこう考えている内に、結野様を凝視していたようで、彼女に訝しげな視線を送られる。
「あ……す、すみません…」
飲み物を置いて、二人の部屋から出た。
27
:
ピーチ
:2013/03/31(日) 20:44:50 HOST:EM114-51-186-14.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
綺麗な心持ってるから自然と素直になっちゃうんだよねー
美空先輩、彩織だから顔に激突するくらい大丈夫さ☆(おい
ヒナさんは鋭いツッコミが得意かと思いまして←
28
:
心愛
:2013/04/01(月) 21:19:59 HOST:proxy10033.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ふっ。さすが美空、分かってるじゃないか……!
苺花のアレとはまた違うけど、彩織ちゃんはとっても可愛いいい子だとも! 頑張り屋さんですとも!
美羽に温かいお褒めの言葉をありがとうございます彩織ちゃん…!
ゴスロリ少女を見てそんな感想が抱けるのは心が綺麗な証だね!
美羽の素っ気ないフォローの使い方がプロ並みだよピーチw
29
:
ピーチ
:2013/04/01(月) 21:36:25 HOST:EM114-51-206-242.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「お母さんっ!」
どことなく怒りを含んだ声が聞こえた。
「あら彩織、どうかした?」
「どうかした、じゃないよ! 何だって結野様に……」
「結野様、美羽様も貴方と同じで好き嫌いが多いらしいわよ? そう言った子供の悩みを二人で話してたのよー」
「話してたのよー、じゃない!」
両手を振って可愛らしく抗議する若おかみさんとおかみさんの会話を聞いてて何となく分かった。若おかみさんっていわゆる偏食家?
そんなことを考えた私の耳に、彼の声が聞こえた。
「まいちゃーん!」
「……夕紀、あのね」
もう学校ではいいから、でもここでまでそれを言わないで?
そう言った私に、夕紀はえ? と返して。
「何でー? まいちゃんはまいちゃんだよ?」
可愛らしく小首を傾げた。
それを見て、若おかみさんたちにこの会話が聞こえてなくてよかったと、心底思った。
「じゃ、行ってきます」
「気を付けてねー」
ふわふわと笑って片手を振ったお母さんの姿が見えなくなった。
材料やその他の買い出しは若おかみの仕事。
小さい頃からそう言われてきたから、今では何か足りないものがあったら自然と足が動いていた。
「え、と……大根に玉ねぎに人参…」
メモを見た私が、野菜を取りに行こうと足を進めようとしたとき。
「彩織?」
「え」
突然聞こえた声に、私が思わず顔を上げる。
そこに、声の主が立っていた。
“彼”が笑って片手を上げる。
「よぉ、買い出しか?」
「え? あ、うん」
元町君の言葉に、私が小さく返す。
二年になってからクラスが離れたせいで、最近は行き帰り以外で会うことはほとんどなくなった。
正直、あの時の言葉が続いてるのかも分からない。
「何が必要なんだよ? 手分けした方が早く済むんじゃねぇ?」
「そ、そうかな……?」
「たぶんな。俺も自分の用も終わったし、手伝ってやるよ」
仕方ねぇからなぁと笑った元町君が、メモを取り上げた。
「えーと? 大根に玉ねぎに人参……はここだな、あとベーコン?」
見つけたものを無造作にかごに放り込んで、さっさと次の場所に行く。
しばらく呆然としていた私も、慌てて元町君について行った。
「ありがとう、わざわざ」
「いーよ別に、気にすることでもねぇしさ」
からりと笑って、じゃあなと片手を上げる。つい笑った私が、真似をした。
「ただいま」
「お帰りー。あら、結構早かったじゃない?」
お母さんの言葉に、私が笑った。
「お店で元町君に会ったの。で、元町君が速かったの」
「へぇ」
そう言って、お母さんに克ってきた材料を渡した。
30
:
ピーチ
:2013/04/01(月) 21:39:46 HOST:EM114-51-206-242.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ごめんね何か彩織可愛いとか言わせちゃってごめんね!?
美羽ちゃんは可愛いからとーぜんなの! 美空先輩とは方向性違うけど!
心が綺麗もあるけど単に珍しくて実際綺麗だから!
31
:
心愛
:2013/04/02(火) 12:42:40 HOST:proxy10050.docomo.ne.jp
>>ピーチ
林檎が赤いとか空が青いとかと同じ、彩織ちゃんが可愛いのは誰がどう見ても変わらない事実だから当然のことさ!
ありがとうごぜえます…! 美羽をちょっとでも可愛く書けるように本編も頑張ります…!
すげえ、いろんなキャラ視点を難なく使いこなしてやがるよこの人!
夕紀も苺花もばっちりだよ!
いーねー、男の子と一緒に買い物!
32
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 19:01:46 HOST:EM114-51-136-117.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
確かに動かしようのない事実だよねそれは!
彩織の場合、単に身長が低いから可愛く見えるのかも←
美羽ちゃん可愛いよねー!
色んなキャラ視点で勝手にやっちゃってすいません!
男の子と買い物、って言うより偶然だよね!(おい
33
:
心愛
:2013/04/02(火) 20:55:25 HOST:proxy10022.docomo.ne.jp
>>ピーチ
小さい子可愛いよね!
140センチ代がなんか好きw
とか言うリアルここあも低い方だから、あんまり自分より小さい同年代女子見ないんだけども←
34
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 21:53:27 HOST:EM49-252-217-126.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「日永様、起きていらっしゃいますか?」
既にお休みになってたら迷惑だから、少しだけ声を小さく。
こんな時間に寝る方って、そうそう居ないんだけどね。
案の定日永様は起きていて、中から返事があった。
「はい?」
「飲み物をお持ちしたので、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「え? あ、うん」
日永様の返事を聞いて、なるべく小さく襖を開ける。
「あれ? でも俺、飲み物頼んでないけど……?」
「これは皆様のお部屋に配っているものです。サービスですよー。あ、でももしいらなかったら、無理に飲まなくてもいいのでっ!」
「あ、いやください!」
迷惑だと思って持って帰ろうとした私に、日永様が慌てて答える。
単純に驚いてただけだって分かったから良かった。
「では、失礼しました」
日永様の部屋を出て、私が茅葺の間に向かう。
茅葺の間、柚木園様たちのお部屋に向かったらそれで終了。
そう思って、湯呑に入ったお茶をお盆に乗せ直した。
その直後。
「…………?」
唐突に、ロビーの方で何かが割れるような音がした。
柚木園様たちの部屋に行かないといけないって分かってても、自然と足が動く。
「……あの、どなたかいらっしゃいますか?」
とうに陽が落ちて薄暗くなってるロビーは、小さい頃から住んでても何となく不気味だと思った。
―――一緒に遊ぼう
唄うような軽やかな声が聞こえて、霧がかかったように頭と目の前が霞む。
―――いっ……し…あ……ぼ…
がしゃん、と音を立てて、お盆が手から滑り落ちた。湯呑からお茶が零れて、足にかかる。
それに構うこともなく、私はのろのろと旅館の外に出た。
がしゃんと、部屋の外で何か音がした。
「ん?」
何だろうと思って、何気なく襖を開ける。けど誰も居ない。
気のせいか。
そう思って、俺は布団に横になった。
直後。
ピピピピピッ!
「へ?」
この時間にメール? 誰から?
そう思ってスマホを見た瞬間―――
『外が騒がしいぞ。何かあったのか?』
「いや知りませんよ俺に聞かないでよ!」
何なんだよいきなり!?
知らないと返して三秒後に返信が来る。
……いや早いだろ早すぎるだろ。
でも確かに何か外がざわざわしてる。
「何で……? こんな時間に出て行くわけないのに…」
おかみさんらしき声が聞こえた。
何となくそう思っただけだったけど、次の言葉に俺は思わず飛び上がってた。
「―――失踪……なわけ、ないわよね…?」
35
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 21:54:59 HOST:EM49-252-217-126.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
小さい子可愛いよねー! 性格さえよければ!←
あ、彩織がちょうどそのくらいだよ! 中二で!
あたしも最近伸びないなー、運動しないせいもあるんだろうけど(おい
36
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 23:35:59 HOST:EM49-252-217-126.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
とりあえず、美羽からのメールに返信を打つ。
『誰かが失踪したとか何とからしいけど……』
返信し終わった直後に、おかみさんの声が聞こえる。
「彩織………?」
…………はい?
え、何この状況、ひょっとして失踪したの若おかみさんとかじゃないよね?
とか思ってたら、いきなり携帯が鳴った。
「も、もしもし?」
『誰が失踪だって!?』
「何で柚木園なんだよ!?」
確か美羽の名前が出てたんだけどっ!?
『それはいいから! 誰が失踪したって、』
「え、何か聞こえた話だと、若おかみさんらしいけど……」
俺の言葉を最後まで聞かず、プツッと電話が切れた。
……あのー、なぜ勝手に切れましたー?
呆れたようにスマホを見ていた俺の耳に、おかみさんの声が聞こえた。
「ゆ、柚木園様っ?」
「は」
今、なんと?
柚木園って聞こえたんですが。
「若おかみさんが居なくなったって聞いたんですが」
それを聞いた俺が、小さく嘆息しながら部屋を出た。
「…………あ、れ…?」
足元が冷たいことに気付き、私が下を見る。
「―――え……」
湖?
しかもここって、確か。
「小さい頃、迷いに迷った記憶があるんだけどなぁ……」
それは私の気のせいか。
そんなことを考えながら、何でこんなところに居るんだろうと考える。
その時、頭の隅を過ぎったものがあった。
―――遊ぼうよ
「――――――っ」
ぞくっと背筋が泡立つ。
あの声が聞こえてから今までの記憶が、全くない。
しかも、こんな場所に一人で来て。…こんな夜に。
「誰…か……」
居ない、の?
怖い。
―――この近くって、たぶん自殺の名所か何かだったんだと思う。かなりの死者が居るけど、ほとんどは害がないから大丈夫だよ。
先輩はそう言った。大本を絶ったら大丈夫だって。
でも。
―――もう、大丈夫だと思うよ。またリーダーが現れなければ。
「大丈夫じゃ、ないですよ……」
全然、大丈夫じゃ、ない。
37
:
ピーチ
:2013/04/03(水) 22:05:26 HOST:EM114-51-142-165.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
がさりと、林の方から音が聞こえた。
「や……っ!」
思わず声を上げかけて、慌てて口をつぐむ。
そう、だ。
―――人気がなく静まり返ったこんな場所で、音が聞こえるはずが、ないんだ。
―――大抵の霊(こ)はね、あたしたち現世(うつしよ)に居る人と同じ。こっちの人が怖いから、嫌がらせなんかをするの。だから、怖がる必要なんてないんだよ。
先輩の声が反響して、でも足が竦んで動けない。
そんなとき、どこからか声が聞こえた。
「あ!」
緊迫したような声を聞いて、私が思わず呟いた。
「………………え…?」
「こんなところに居た!」
「せん…」
「おかみさんたち、心配してたよ?」
先輩の言葉に、私があっと声を上げる。
「そ……だった…」
確か、柚木園様と結野様のお部屋に飲み物を持って行こうとして、それで。
それに加えて今の時間。
そろそろ八時を過ぎたくらいかな…感覚がおかしくなってなければ。
「ご、ごめんなさいっ!」
慌てて先輩に頭を下げ、こんな時間にわざわざ外に出る羽目になったことをとにかく謝る。
でも、先輩はきょとんとしたような表情で。
「謝る必要なんかないよ?」
そう言った。
「え? あ、いや、でも……」
「実を言うとね、最近ちょっと増えてきてると思ってたから」
そろそろ行動に移すころかなと思って、しばらく旅館の傍に居たらしい。
「そしたら案の定、ふらふらっと彩織ちゃんが出て行くんだもん。あの様子じゃ、おかみさんたちには言ってるわけなさそうだったし」
無事だったなら問題なし、とからりと笑って、先輩が促した。
「さて、ちゃんと送り届けないとねー。下手な低級霊に巻かれても面倒だし」
先輩の言葉に曖昧に頷き、私は先輩に先導されながら旅館まで戻った。
38
:
心愛
:2013/04/03(水) 22:20:26 HOST:proxy10060.docomo.ne.jp
>>ピーチ
やっぱり霊的存在が出てくるんだねw
彩織ちゃんが無事でよかったです! ナイス先輩!
39
:
ピーチ
:2013/04/03(水) 22:42:41 HOST:EM114-51-142-165.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
うん、何か更新しながらやっぱほのぼのだけってあたしらしくないと思って←
彩織自身は霊的存在に対処できないので先輩に出てきてもらいましたw
40
:
心愛
:2013/04/04(木) 21:17:15 HOST:proxyag101.docomo.ne.jp
>>ピーチ
そしてピーチには珍しい(気がする)ノーマル属性彩織ちゃん!
霊感ある人ってちょっと憧れるわー(o^_^o)
41
:
ピーチ
:2013/04/04(木) 21:41:25 HOST:EM49-252-234-200.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
だよね珍しいよね! 自分でも分かる!
半端なく霊感強い人になってみたい←
42
:
心愛
:2013/04/05(金) 16:07:54 HOST:proxyag117.docomo.ne.jp
>>ピーチ
一人くらいノーマルさんがいれば、能力者さんの凄さが際立つしw
霊感強すぎたら、ある意味大変そうだけどね…。
歩いてるだけで色んな人の声が聞こえるとか…?
43
:
にゃにゃですが
:2013/04/05(金) 16:52:11 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
↑クソスレ御苦労様
毎度毎度つまらないスレを有難う
44
:
ピーチ
:2013/04/05(金) 21:32:09 HOST:EM114-51-47-243.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>
ノーマルさんのおかげで際立つ霊能者w
強すぎたら面白そーじゃん!
歩いてるだけで人の声が聞こえる=死者の声w←
45
:
にゃにゃですが
:2013/04/06(土) 15:25:08 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
↑つまらないスレだなおい
そのうち削除されるぞ
46
:
にゃにゃですが
:2013/04/06(土) 15:25:35 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
今度、削除依頼でも出しておきますね。
47
:
心愛
:2013/04/11(木) 22:36:09 HOST:proxyag115.docomo.ne.jp
>>ピーチ
いやぁああああ←
ソッチの世界に連れてかれそうだよー!
霊能者さん憧れますがね!
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