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邪気眼少女と桜の欠片

18ピーチ:2013/03/29(金) 21:45:39 HOST:EM114-51-148-105.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事






「……で、一体何が欲しいんだ、君は?」
「え? え、えーとっ」
 いきなりの質問に俺が狼狽える。理由は簡単。何を買うかなんて考えてなかったから。
「あ、そーそーあれ!」
 そう言って適当に俺が指したものを見て、美羽が怪訝そうな表情になる。
 …な、何か失敗した?
「……あんなものが欲しくてわざわざ?」
 美羽の言葉に、俺が恐る恐る刺した場所を見る。
 と、そこに。
 ―――女子が大変に喜びそうな動物をかたどったぬいぐるみが山積みになっていて。
 そりゃあ美羽の言葉が正しいわな。
「あ、いや、俺じゃなくて!」
 そう言った俺の頭に、『彼女』の顔が浮かんだ。
「そうそう! 彩に土産としてやろうかと思って!」
 我ながらありえないけどあのまま誤解されるよりはずっとマシだ。
 俺の言葉に、美羽がえ、と問い返す。
「そうなのか?」
「そーそー! それで女子ってどんなのが好きなのかなって思って!」
 そう言ってからしばらく美羽と二人であれやこれやと言い合って、結局ウサギのぬいぐるみを購入した。






「わ………っ?」
 お客様の部屋を出て立ち上がった瞬間、周りのものがぐらりと動いた。
 いや、正確には私が前に倒れかかったんだけど。
 そう思って、無意識に両手を前に出す。
「………あ、れ?」
 来るはずの衝撃が来ないことを訝って、少しだけ目を開けると。
 誰かの腕が、私を支えていた。
「……え、あ…」
 まずい、この状況すっごくまずい。
「え、あ…も、申し訳ありませ―――…」
「大丈夫だった?」
 ……え?
 突然の言葉に、私が思わずお客様―――柚木園様を見る。
 それと同時に、柚木園様にすごい迷惑をかけたことに思い当った。
「もっ申し訳ございません! 大丈夫でしたか!?」
 いきなり血相を変えた私に驚いたのか、しばらく唖然としていた柚木園様が苦笑気味に笑った。
「それ、私が聞いたんだけど」
「え」
 そう、言えば。
 ―――大丈夫だった?
 そう聞かれたんだった。
「す、すみませ……っ」
 くすっと笑う声が聞こえて、私が顔を上げる。
 柚木園様が笑っていたのを見て、思わず首を傾げた。
 そんな私を見て、柚木園様が言った。
「あ、ごめんね。別に、謝る必要なんかないのにな、って思って」
「…………はい?」
 そう言った後、柚木園様に聞かれたことに、私が硬直した。
「そういえば、腕の傷どうしたの?」
 ――――――っ…!
 青ざめていることに気付いたらしい柚木園様が怪訝そうに私の顔を覗き込む。
「? 若おかみさん?」
「………申し訳…ありません……」
 やっとそれだけを告げると、ふらふらとその場を離れた。


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