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邪気眼少女と桜の欠片

29ピーチ:2013/04/01(月) 21:36:25 HOST:EM114-51-206-242.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事






「お母さんっ!」
 どことなく怒りを含んだ声が聞こえた。
「あら彩織、どうかした?」
「どうかした、じゃないよ! 何だって結野様に……」
「結野様、美羽様も貴方と同じで好き嫌いが多いらしいわよ? そう言った子供の悩みを二人で話してたのよー」
「話してたのよー、じゃない!」
 両手を振って可愛らしく抗議する若おかみさんとおかみさんの会話を聞いてて何となく分かった。若おかみさんっていわゆる偏食家?
 そんなことを考えた私の耳に、彼の声が聞こえた。
「まいちゃーん!」
「……夕紀、あのね」
 もう学校ではいいから、でもここでまでそれを言わないで?
 そう言った私に、夕紀はえ? と返して。
「何でー? まいちゃんはまいちゃんだよ?」
 可愛らしく小首を傾げた。
 それを見て、若おかみさんたちにこの会話が聞こえてなくてよかったと、心底思った。






「じゃ、行ってきます」
「気を付けてねー」
 ふわふわと笑って片手を振ったお母さんの姿が見えなくなった。
 材料やその他の買い出しは若おかみの仕事。
 小さい頃からそう言われてきたから、今では何か足りないものがあったら自然と足が動いていた。
「え、と……大根に玉ねぎに人参…」
 メモを見た私が、野菜を取りに行こうと足を進めようとしたとき。
「彩織?」
「え」
 突然聞こえた声に、私が思わず顔を上げる。
 そこに、声の主が立っていた。
 “彼”が笑って片手を上げる。
「よぉ、買い出しか?」
「え? あ、うん」
 元町君の言葉に、私が小さく返す。
 二年になってからクラスが離れたせいで、最近は行き帰り以外で会うことはほとんどなくなった。
 正直、あの時の言葉が続いてるのかも分からない。
「何が必要なんだよ? 手分けした方が早く済むんじゃねぇ?」
「そ、そうかな……?」
「たぶんな。俺も自分の用も終わったし、手伝ってやるよ」
 仕方ねぇからなぁと笑った元町君が、メモを取り上げた。
「えーと? 大根に玉ねぎに人参……はここだな、あとベーコン?」
 見つけたものを無造作にかごに放り込んで、さっさと次の場所に行く。
 しばらく呆然としていた私も、慌てて元町君について行った。






「ありがとう、わざわざ」
「いーよ別に、気にすることでもねぇしさ」
 からりと笑って、じゃあなと片手を上げる。つい笑った私が、真似をした。
「ただいま」
「お帰りー。あら、結構早かったじゃない?」
 お母さんの言葉に、私が笑った。
「お店で元町君に会ったの。で、元町君が速かったの」
「へぇ」
 そう言って、お母さんに克ってきた材料を渡した。


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