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邪気眼少女と桜の欠片
34
:
ピーチ
:2013/04/02(火) 21:53:27 HOST:EM49-252-217-126.pool.e-mobile.ne.jp
その日からのお仕事
「日永様、起きていらっしゃいますか?」
既にお休みになってたら迷惑だから、少しだけ声を小さく。
こんな時間に寝る方って、そうそう居ないんだけどね。
案の定日永様は起きていて、中から返事があった。
「はい?」
「飲み物をお持ちしたので、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「え? あ、うん」
日永様の返事を聞いて、なるべく小さく襖を開ける。
「あれ? でも俺、飲み物頼んでないけど……?」
「これは皆様のお部屋に配っているものです。サービスですよー。あ、でももしいらなかったら、無理に飲まなくてもいいのでっ!」
「あ、いやください!」
迷惑だと思って持って帰ろうとした私に、日永様が慌てて答える。
単純に驚いてただけだって分かったから良かった。
「では、失礼しました」
日永様の部屋を出て、私が茅葺の間に向かう。
茅葺の間、柚木園様たちのお部屋に向かったらそれで終了。
そう思って、湯呑に入ったお茶をお盆に乗せ直した。
その直後。
「…………?」
唐突に、ロビーの方で何かが割れるような音がした。
柚木園様たちの部屋に行かないといけないって分かってても、自然と足が動く。
「……あの、どなたかいらっしゃいますか?」
とうに陽が落ちて薄暗くなってるロビーは、小さい頃から住んでても何となく不気味だと思った。
―――一緒に遊ぼう
唄うような軽やかな声が聞こえて、霧がかかったように頭と目の前が霞む。
―――いっ……し…あ……ぼ…
がしゃん、と音を立てて、お盆が手から滑り落ちた。湯呑からお茶が零れて、足にかかる。
それに構うこともなく、私はのろのろと旅館の外に出た。
がしゃんと、部屋の外で何か音がした。
「ん?」
何だろうと思って、何気なく襖を開ける。けど誰も居ない。
気のせいか。
そう思って、俺は布団に横になった。
直後。
ピピピピピッ!
「へ?」
この時間にメール? 誰から?
そう思ってスマホを見た瞬間―――
『外が騒がしいぞ。何かあったのか?』
「いや知りませんよ俺に聞かないでよ!」
何なんだよいきなり!?
知らないと返して三秒後に返信が来る。
……いや早いだろ早すぎるだろ。
でも確かに何か外がざわざわしてる。
「何で……? こんな時間に出て行くわけないのに…」
おかみさんらしき声が聞こえた。
何となくそう思っただけだったけど、次の言葉に俺は思わず飛び上がってた。
「―――失踪……なわけ、ないわよね…?」
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