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.。.:*・゚☆虹空☆.。.:*・゚
237
:
海
:2009/11/21(土) 10:56:58 HOST:119-171-144-210.rev.home.ne.jp
「秋桜さん、今日もまた生けているのですね」
襖から差し込んでくる光が遮られたことがわかると、秋桜はゆっくりとその相手を見やる。彼女が振り向くとともに結わいている桜色の髪が肩を流れ、耳上に飾られている桃の髪飾りがしゃらりと音をたてた。
そして秋桜が微笑みかけると、襖に正座をし、無表情で彼女が生けている花を見つめていた人物はすっと腰を軽くあげたままで部屋へと入ってくる。
「毎日の日課ですから…」
「生けたくもない花を生けるのも日課ですか」
使用人たちが聞いたら無礼だと叱られるような言葉や態度、最悪の場合、解雇ということだって考えられるのに、彼はそういったことを気にしていないらしく思ったことは遠慮なくぶつけてくる。その素直さが秋桜には必要だったから、彼女はあえてそういう人物を自分専用の使用人とした。
―――生けたくもない花。
それは、華道家元本家の肩書きの元、展覧会へ出品しなければならない作品。
やらなければならないと思いながら生けることを、秋桜は何よりも悲しんでいた。花は、自分の感性のままに表現するものだから。
「私は秋桜さんがすることに文句は言いませんが。こうして傍で仕えさせていただいているだけで感謝しておりますので」
その感謝の気持ちも、彼は表情に出さない。時間が刻を刻んでいくように淡々と述べられる言葉。
「櫂さんは、幸せですか?」
いつだったか、「さんをつける必要はありません」と言われたことがあったけれど、自分に仕えてくれている人を呼び捨てにはできなくて今でもそれは健在だった。
―――幸せですか?
あなたは、私に仕えていて。
ほとんどの自分の自由をすべて私に捧げていて。
「……幸せじゃなかったなら、私はここに残っていませんよ」
なんて回りくどい言い方なのだろう。
それでもあたたかみのある言葉に思えて、秋桜はゆっくり微笑んだ。
238
:
海
:2009/11/27(金) 18:28:55 HOST:60-62-120-46.rev.home.ne.jp
______ 守りたいものはたくさんあった。
この手から零れ落ちるくらい、たくさんあったのに。
――― 守りきることができたのは、ひとつもなかった。
239
:
海
:2009/11/27(金) 18:30:14 HOST:60-62-120-46.rev.home.ne.jp
____ 結局僕は、なにもできなかった。
____ なにも、……できなかったんだ。
僕は君から、「奪う」ことしかできなかった。
僕は君に、「与える」ことができなかったんだ。
君の大切なものだけ存分に奪っておいて、
君になにも与えることができなかった。
――― こんな僕の、伴侶となってくれますか?
240
:
海
:2009/12/04(金) 13:48:42 HOST:116-65-143-187.rev.home.ne.jp
_____ もう、後戻りはできない。
なにもかもが遅すぎた。
決断するのも。
行動するのも。
―――……愛して、しまったことも。
俺が愛さなければ、君は傷つかなかった。
俺が感情のない人形だったら、君の涙を見つけることもなかった。
すべての責任は、俺にあるんだ。
―――だから。
君の手で葬り去って。
そしたら俺は、君から俺の記憶を消し去ろう。
……もう、君が苦しまないように。
241
:
大地・怜也・珠洲(海)
:2009/12/10(木) 18:47:26 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
手に入れるのは難しいのに、
________手離すことは簡単だ。
手に入れるのは難しくて、
________それを守り抜くのはもっと難しい。
242
:
海
:2009/12/10(木) 18:48:06 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
そうやってまた、いろいろなものを切り捨てていくの?
_______それには、代わりなんてないんだよ。
簡単に代わりが見つかるなんて思わないで。
そんなに簡単に見つかるのなら、
―――この世にあるものは、すべて“不必要”だ。
243
:
海
:2009/12/13(日) 10:04:01 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
_______叶うことはないとわかっているから、
私はこんなにも冷たくなれる。
「こんなところで話してないでさ」
本当は嬉しいのに。
「あの子と話せばいいじゃん」
冷たく突き放すしかできない自分。
感情のないふりをして、
興味がないように振舞って。
_____馬鹿だね。
それでも、諦めることができないんだ。
244
:
海
:2009/12/13(日) 10:04:50 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
閉じ込められた牢屋の中で、
私は救われるのを待ち望んでいた。
窓から差し込む朝日を、何度見たことだろう。
窓から見える夕日を、何度見つめたことだろう。
______外で瞬く星空に、何度願ったことだろう。
いつか救われるはずだと、自分に信じて言い聞かせた。
そうしないと、自分が崩れていく気がしたの。
けれどある日、私は子供を身ごもった。
_____黄金の雨に魅せられて。
それが偉大なるゼウス神だと知ったのは、
それからもう少し、先のこと。
245
:
海
:2009/12/13(日) 10:21:06 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
僕はずっと想ってるよ。
_____遠く離れた、空の果てから。
約束、守れなくてごめんね。
―――傍にいること、できなかった。
償っても償いきれないほどの罪。
それを抱えて僕は召された。
お願いします、神様。
一度だけ……一度だけでいいから。
______僕を、彼女の傍に。
246
:
麗奈
◆5M/IdXYC42
:2009/12/13(日) 15:18:11 HOST:189.net112138065.t-com.ne.jp
はじめまして♪
読ませていただきましたww
描写の仕方がうまいですねbb
なんか読んでて素直にそう思いました!
実は初めましてじゃないんですb
学園アリス掲示板のある人ですよ^^*
私の小説「恋嘘」もよろしくですww
>海さん
247
:
紅桜
◆H2afPHIwUk
:2009/12/13(日) 23:14:31 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
こここ、こんにちわ!((
どーもです、紅桜です!
今まで陰ながら愛読し、密かに(?)海に憧れを抱いていた読者です(ノω・*
感情の表現もうまいし、何より説明文が好きです←
私にもその文才分けてください、って本気で思ってまs((
これからも応援してます。
気が向いたらじゃんっじゃん感想書いちゃいます。え、ウザい?((
それでは、これにて失礼ノ゛
>海
248
:
海
:2009/12/16(水) 17:15:25 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
麗奈さん>>
こちらこそ初めまして^^*
自分のことは適当に呼んでやってくださいノシ
描写の仕方がうまいだなんてもったいないお言葉…!
嬉し恥ずかしです(ノω`*)
Σ学アリ掲示板にいるのですか!?
それはぜひあちらでも挨拶しなければ…!+。
「恋嘘」なんて素敵な題名ですね+。
早速お邪魔させていただきますvv
249
:
海
:2009/12/16(水) 17:20:40 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
憧れなんておこがましいΣ//
愛読なんてものすごく嬉しい(きらっきら
ΣΣわけられるほどの文才なんて持ち合わせていないのに(驚愕
じゃんじゃん書いてくれるの!?+。
そしたらうちも書いちゃいますvv
250
:
紅桜
◆H2afPHIwUk
:2009/12/16(水) 21:33:55 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
…何と言われようと憧れ続けます+((
嬉しい…それは良かったよ。それに、そう言われるとこっちも嬉しい(//ω//)
�瑤┐АĄ€ 弔犬磴〜燭鬚發蕕┐个いい鵑澄³瑤Ľ�
じゃんじゃん書きます、暇を持て余してるんでb
うん。書いてくれたら多分テンションあがるよ!←
>海
251
:
海
:2009/12/17(木) 16:19:10 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
でもうちに憧れても何も真似する部分がありませぬよノシ+。
むしろ与えてください。(真顔
ぜひ自分に才能を分けてください…!
うん、うちも暇を持て余してる+。(テスト期間でも普通に←
そしたら早速書きにいこう!←
252
:
海
:2009/12/17(木) 17:02:44 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
______とりあえずは、笑っていよう。
自分に不利な状況でも、
誰もいなくて寂しいときも、
変な疑いをかけられたとしても。
無理に笑顔をつくって、笑っていよう。
―――そうしたら、誰も近づいてこなくなるから。
253
:
海
:2009/12/17(木) 17:19:47 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
「触らないで!」
______残酷な、拒絶の言葉だったね。
そんなことを言ったのに、君はずっと傍にいてくれたよね。
―――馬鹿みたいに言った拒絶を、守り続けながら。
絶対に触らなかったね。
傍にいたのに、私に触れることをしなかったね。
______「……ごめん、…ね……」
こんなことになるとわかっていたら、
私はもう少し、素直になれたのだろうか。
254
:
紅桜
◆H2afPHIwUk
:2009/12/20(日) 21:03:45 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
頑張って探すy�瑤Ľ�
…与えられるくらいなら自信もつくのにね…(溜息
才能は分けられませんが元気を上げます…!�瑤い蕕覆�
え、テストって何?って感じで現実逃避してるからね+((
ただしテンションが上がっても何もありませんのでご注意をb
>海
255
:
海
:2009/12/22(火) 18:06:25 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
マジですかΣ笑
さっきブログめぐりしてたら、「紅桜」って人のブログ見つけて、思わず「え! 紅桜!?」ってものすごく驚愕してしまった自分((
元気もらえるなら嬉しいy((
最近落ち込み気味なの、危ないの(涙
テンションあがったらうちもあがるy((
256
:
海
:2009/12/22(火) 19:12:20 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
『ありがとう』
『ごめんなさい』
______これは魔法の言葉だと、教えてくれたのは誰だったろう。
『大丈夫だよ』
『心配しないで』
______これは自分を追いつめると、教えてくれたのも誰だったろう。
『大好きだよ』
______これは特定の人だけに告げるのだと、
______教えてくれたのは母だった。
257
:
海
:2009/12/24(木) 18:29:16 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
―――『メリー・クリスマス』
聖なる夜に、魔法の言葉を紡ぎましょう。
聖なる夜に、世界へ輝きを与えましょう。
―――『メリー・クリスマス』
聖なる夜に、あなたへ言葉を送ります。
聖なる夜に、あなたから言葉をもらいます。
―――『メリー・クリスマス』
生まれてきてくれて、ありがとう。
258
:
紅桜
◆H2afPHIwUk
:2009/12/24(木) 19:59:52 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
マジです。本気と書いてマジ+←
残念ながらブログなんて面倒な物私に管理できそうにないぜ(p_-。
じゃあ元気を与えよう!いくよ、ふうあちゃー!!�徧�
ど、どうして!?明日はクリスマスよ!?((
マジでか、そしたら上がりまくりだノ++
>海
259
:
海
:2009/12/25(金) 11:11:23 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
臨機応変と書いていい加減と読むべし!(ぇ
確かにブログは面倒だ(笑/←ブログ持ち
でも楽しいのも一理あるb
その効果音可愛すぎr((
クリスマス……フッ、塾さ(遠目/涙
260
:
海
:2009/12/31(木) 08:50:09 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
愛されたいと願って生まれてきたのに、
_______僕を愛してくれる人はいなかった。
愛したいと願って生きてきたのに、
_______僕は愛せる人に出会わなかった。
僕は、独り。
それでもいいと思うようになったら、
僕は一生、『独り』の檻から抜け出せないのだと思う。
261
:
海
:2009/12/31(木) 23:45:07 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
どうしようもなく悔しいときは、
_______真っ青な空を見上げよう。
どうしようもなく苦しいときは、
_______沈む夕日を見つめよう。
そして「明日からまたがんばろう」と、
自分の中で意気込めばいい。
262
:
海
:2009/12/31(木) 23:45:46 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
こぼした。こぼれた。こぼす。
手のひらから、―――星の雫を。
手のひらから、―――守るべきものが。
手のひらから、―――想いを。
きらきらと瞬く星の雫をこぼしました。
大切なものがこぼれました。
愛しい想いをこぼしました。
263
:
海
:2010/01/01(金) 18:24:36 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
決められたレールの上を歩いているだけではいけないと、
決められた未来を見据えているだけではいけないと、
_______教えてくれたのは君でした。
決められていないレールの上を歩いていくのは楽しいことだと、
決められていない未来を見据えるのは自分への挑戦だと、
_______教えてくれたのも君でした。
264
:
海
:2010/01/04(月) 16:53:52 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
_______笑顔で、「さようなら」を告げよう。
泣いて別れるなんて後味が悪いから。
僕にも君にも、罪悪感が残ってしまう。
―――そんなの、嫌でしょ?
だから『笑顔で』別れを告げよう。
「さようなら」と、僕は笑顔で別れるから。
265
:
海
:2010/01/04(月) 17:30:23 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
簡単に頷くことができるのなら、
_______こんなに楽なことはないよ。
頷けないから困ってるんだ。
それを君は知らないよね?
知るはずもない、か。
266
:
栞
:2010/01/05(火) 20:41:33 HOST:cm119.ucat5.catvnet.ne.jp
何故か一時此処に来てませんでした←((スイマセン
…というか、こんなにも素敵詩が書ける海は凄いよ!!
うちは似たようなパターンばっかになっちゃうから…((遠目
これからは地道にコメ返していきたいと思っております^^*
267
:
海
:2010/01/07(木) 11:55:31 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
栞>>
大丈夫、うちも時々忘れるかr((
だってもう詩しか載せてないぜ?;←
Σうちだって似たようなパターンのもの多しだよ!?
本当にもう似ているのしか載せてないんじゃないかと思われるほどに似ているのだけだよ!?
268
:
海
:2010/01/07(木) 11:58:16 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
「大好き」なんて、言ってほしくなかったよね。
「一緒にいて」なんて、聞きたくなかったよね。
―――困らせて、ごめんね。
269
:
海
:2010/01/09(土) 17:54:25 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
※文章のみです。
目が痛くなる可能性もあるので、読むのが苦手な方はスルー推奨。
煌々と輝く満月が頭上を飾るとき。どこからか狼の遠吠えが聞こえたとき。辺りの木々が一斉に静まったとき。
そして……漆黒に際立つ十字架が目に入ったとき。
決して深入りしてはならぬ。早々にその場から立ち去るべし。なぜならば……、
―――『眠りから覚めたお姫様は、見られることを嫌うからだ』。
暗闇の中、光が溢れだしていたとしたら、それはお姫様のお目覚めだ。とても美しく、その光は見るものを魅了する。ガラスの欠片の如く煌めきながら、お姫様のお目覚めを祝福している。
だから何も見なかったと、そう思って走りなさい。決して後ろを振り向かず、好奇心と恐怖心に負けてはならぬ。
負けてしまったら最期。
お姫様に従順な騎士が、君に襲いかかってくるぞ。
けれどそのお姫様は、心優しき素直なお方。きっと見逃してくれるだろう。だからといって、それを他言したら二度はない。騎士に襲われるのが目に見えている。
噂によると、お姫様は攻め入られた隣国のお方らしい。王族の血を途絶えさせるわけにはいかないと、この国へ逃げてきたという。
隣国の姫は愛らしいと謳われていたね。小鳥のように愛らしく、人前での態度は王族の威厳を放っており、その立ち姿は女神の如く麗しい。
色素の薄い髪色と、それと同じ瞳。聞いたところによると、毎日桜色のドレスを着ていたそうな……。
―――お姫様は身を隠しておられる。決して他言は許されぬ。
270
:
みむ
:2010/01/10(日) 21:13:38 HOST:119-231-144-211.eonet.ne.jp
三年に一度しかない書き込み★☆
この書き込みであなたの運命がかわるよ♪♪
1、今片思いしている異性と両思いになれちゃう☆
(無視した場合→二度と両思いになる事はありません)>>>>>>>2、うまくいかない恋人と超ラブラブになれちゃう
(無視した場合→ラブラブにならないで恋人から別れを告げられちゃいます)
3、にがてな科目が大得意になる☆
(無視した場合→にがてな科目じゃなく、すべての科目がにがてになっちゃいます
4、仲良くなりたい友達と親友になれる☆
(無視した場合→仲良くなれずもっと、仲が悪くなります)
5、貧乏な生活が金持ちの生活に変わる☆
(無視した場合→貧乏どころじゃなくホームレスみたいになっちゃいます)
6、今友達と喧嘩中、又はいじめられたりする人はその問題から解放される
(無視した場合→喧嘩やいじめがもっとひどくなります)→これを14箇所にはってネ♪あなたの願い事が叶いま〜す!!
これをやった貴方は夢や学校一のモテ子に
なりますw
やんなかったら不幸が突撃します
もうココまで読んでしまった人は最低3ヵ所は回さないと絶対不幸が100%突撃して死亡するでしょう
これをやった人は実際に
両思いになれたり、
学校一のモテ子になれたり、
夢が叶ったり
欲しい物が手に入ったり
キスされたり
告られたり
一気に幸せが手に入ります
だから移せば移すほどお得!
その他にもたっくさん叶った人がいます
だから回してね失敗した人なんていません
271
:
海
:2010/01/11(月) 18:02:11 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
そこはとても、不思議な世界。
現実とは似て非なるもの。時間の流れは現実より遅く、その世界の住人もどこか一風変わっている。
……おや? どうやら、子猫が迷い込んだみたいだね。
黒の燕尾服を身にまとい、片手に銀の懐中時計を握り締め、駆けていく兎を追いかけているようだ。ああ、哀れな子猫。そのまま行ったら君は現実へ戻れないよ。
まあ、僕の知ったことじゃないけどね。
子猫がどうなろうとも、僕の知ったことじゃない。戻れなかったらそれはそれ、戻れたならそれもそれ。僕にとっては同じこと。ただそれだけだ。
……今度はまた、毛色の違った黒猫か。今日は迷い子が多いようだ。
先ほどの子猫を追いかけているのかな? 直感で進んでいるのか、それとも確信があるのか。僕では断定できないね。
ああ、子猫はそっちへ行ったよ。やはりこれは確信があるのだろうか。この世界でたった一人を捜すだなんて、不可能に近いというものだ。愚か者のすることなのに。
けれど退屈しのぎにはなりそうだよ。もう少し、君たちを観察させてもらうとしよう。
あれ? いつの間に僕のところへ来たんだい? ……ああ、ここは時間がゆっくりだったね。
そんなに焦らなくてもいいよ。君たちを観察してとても愉快だった。変わっているね、ここの住人になってもいいくらいだ。
わかったよ。そのお礼に教えてあげよう。
―――『現実世界へ戻る方法を』。
幸運を祈ってるよ。
……さあ、次の迷い子は君かもしれない。
272
:
海
:2010/01/11(月) 18:02:58 HOST:125-14-34-36.rev.home.ne.jp
もし、この世界で僕らだけしかいなかったなら。
君は僕の『華』であろう。
何の取り柄もない、何の特徴のない僕に、それだけで華やかさを与えてくれる。君がいるだけで、僕は違った人になれると思う。それくらい、君の存在は大きいということ。
僕はただの付属品で構わないから。君を際立たせる、脇役の存在でいい。
もし、僕が地球だったなら。
君は僕を包む『宇宙』であろう。
僕は君がいたから存在しているのだと、君がいなかったら僕の存在は歴史に刻まれることはないのだと。君から生まれた星も、惑星も、天文学で教えられることはない。
君から生まれた星たちを、僕はじっと見つめている。……ああ、なんて綺麗な星なんだろう。君の心そのもので、僕は触れてはいけないのだと思ってしまう。神聖なる『宇宙』を、僕の手で汚してはいけない。
君は僕の『華』であり、君は僕にとっての『宇宙』である。
273
:
海
:2010/01/16(土) 16:01:08 HOST:119-175-176-20.rev.home.ne.jp
太陽が地平線へ沈み始め、辺りに帳(とばり)をおろす。
まだ空は群青色に染まっていて、地平線は綺麗なオレンジのグラデーションがかかっている。その空を見上げた一人の街娘は、小脇に数冊の本を抱え、軽い足取りで駆けていく。
街外れの、古ぼけた図書館。手入れが行き届いていないのか、塗装が剥がれ落ち無造作に剥き出しになった壁に、近辺に群生している蔦が寄り添うように伸びていた。当初はとても美しい朱色だったらしく、塗装が剥がれ落ちてしまった今でもその色を垣間見ることができる。
背中へ垂らされた髪を風に靡かせ駆けていく街娘を、沈む太陽が優しく照らし、顔や服をオレンジに染め上げていた。
彼女の着いた図書館は、街外れで目立たないところにあるうえ、とても小さい。大型の図書館ができてからはそちらを使う住人が増え、この図書館は人の出入りが少なくなってしまった。置いてある書物の数も少なく、薄暗さも混じって、さらに人が寄り付かなくなってしまったのだ。けれど彼女は、この図書館が好きだった。
幼い頃から使っているので馴染み深いというのもあったし、なによりこの図書館の静けさが好きだった。街の図書館は居心地が悪かった。静かに本を読んでいたい彼女にとって、周りがあまりにも騒々しかったからだ。それに比べ、ここは人が寄り付かないこともあってものすごく静かである。時折、小鳥の鳴く声が聞こえたり、木々のざわめきが聞こえたりと、自然の中にいるような空間はここでしか味わえないものだった。
ギイ…と重く軋むドアを開けて中へ入ると、カウンターで優雅にコーヒーを啜っている青年が真っ先に目に入った。ドアが開かれたことに気づくと彼は顔を手元の本から上げ、いらっしゃいませ、と微笑んでみせる。そんな彼の微笑みに羞恥から頬を赤く染めた少女は、まっすぐにカウンターへと歩んでいく。
―――それは秘密の密会。
本を新たに棚から取り出し、少女は青年の座るカウンターへ入っていく。そして二人で、他愛もない話をし始めた。
彼らを見守るのは、これから訪れる夜だけ。
外では一番星が煌々と輝いている。
……まだ、あと少し。
この幸せな時間を噛み締めながら、少女は青年へ寄り添うのだった。
274
:
海
:2010/01/22(金) 15:55:21 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
【煌めきの奏鳴曲(ソナタ)】
ピアノソナタ第五番。
目を瞑っていると聴き慣れた音符がするりと耳へ入ってくる。これは幼い頃からずっと聴いている、いわば子守唄のようなものだ。普段、仕事で家にいない両親の代わりに、近所に住む三つ上のお兄さんがよく顔を出しに来てくれていた。
その彼がいつも弾いていたのが、このピアノソナタだ。
自分にはピアノというものの奥深さはわからないが、彼から紡がれる音符たちはどれも澄んでいて、音符が空に舞い上がるときにきらきらと太陽の光をうけて輝いているように見えた。そう言ったら、「音は弾き手の気持ちや思いが音符に乗せられて聴き手に伝わるから、いつどんなときでも気を抜けない」と幸せそうに笑っていた。
ピアノが好きなのかと問いかければ、いつもひとつ返事で答えが返ってくる。そのときの彼の表情は普段から想像できないほどの笑みで、それを見た自分が頬を赤く染めあげるのを、きっと彼は知らない。
聴き慣れたピアノソナタ。それは同時に、自分が彼とどのくらいの時間を共にしているかがわかる。
出会ってから十年が経った。自分は十五歳、彼は十八歳。
八歳の頃からピアノソナタを弾いていたと言うと、誰しもが驚くと言っていた。無理もないと思う。彼はその頃からピアノセンスに長けていて、将来は有望なピアニストになるだろうと、周囲から期待されていたからだ。そして彼はそんな期待に応え、着実に実力をあげている。
けれど普段は周囲から遠巻きにされる雰囲気で、どこか近寄りがたいというか話しかけずらいというか……そのためか、彼が誰かと帰っている様子は見たことがない。帰ったら真っ先にピアノの音色が響いてくるし、家にある中型のピアノで曲を弾いてくれたりもした。
彼はいまだに自分のことを世話してくれている。相変わらず両親は仕事で忙しく家に帰ってくることがほとんどない。そんな家庭なのに自分が横道に反れていないのは、きっと彼のおかげだろうとふと思った。
◇◇
自分は十七歳、彼は二十歳。彼が成人式を迎える日だ。
彼は地元の音楽大学へ進学し、さっそくその才能を開花させていると風の噂で聞いた。それを真っ先に伝えてみたら、ふいっとそっぽを向かれ、「……いちいち報告はいらない」と言われた。それが照れ隠しだと知ったのは、彼の妹経由だ。
「これからもピアノソナタ、聴ける?」
「いくらでも弾く。……あれは、一種の思い出の曲だし」
そう幸せそうに微笑みながら歩いていくふたつの影が、夕焼けに照らされたアスファルトの上を長く飾っていた。
******
文章だけで頑張ろうかと思ったが最後の方で挫折したorz
275
:
海
:2010/01/25(月) 12:18:16 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
それは、もう最後。
枯れることのない、血のような花。
ただ咲いているだけ。ただ風に揺れているだけ。
……けれどその花は、時たま物憂げに空を見る。
どこから見ても、空に広がるのは一面の蒼。雲ひとつ浮かんでおらず、春のあたたかく優しい陽の光が燦々と降り注いでいる。そしてその花の影をもつくっていた。
吹いてくるのは生あたたかい春の風。どこからかかぐわしい花の香りを運んできて、一輪の花を横切っていく。
それに揺れるは、紅い花。
血を塗ったように紅い緋色の花弁は、どんな風が吹いても定位置を離れることはない。そして根にしっかり根付いている茎も、折れたりすることはなかった。
毎日毎日、紅い花は揺れている。なにかを誘うように、なにかを待っているかのように。
空から一筋のきらびやかな光が差し込んだと思うと、その花はいっそう優しく揺れてみせた。
276
:
海
:2010/01/26(火) 21:12:09 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
「冬だね」
「……うん。…寒くなるから、今日はあたたかくして寝てよ?」
「もう、心配性だなぁ、純は」
ちらちらと降る雪を見つめて、春歌(はるか)はすうっと微笑んだ。
閉じられた窓から見えるのはゆっくりと地面へ落ちていく雪で、先ほど外へ出たときの寒さはこれだったのかと純は思った。
今日は冬一番の寒さらしい。そうなると、雪が降るのも納得できる。
純の目の前でじっと外を見つめている春歌に、彼は黙ったままその肩へ毛布を掛ける。すると彼女はありがとうと再び微笑んで、掛けられた毛布を小さな手でぎゅっと握り締めた。
「雪って、やわらかい?」
「そうだね……触れたらすぐに溶けてしまうかな」
「繊細なんだね、雪って……」
まるでその手にあるかのように、彼女は空へそっと手をかざす。かざした手のひらの中に窓の外の雪が重なり、それは音もなく降っていく。純がちらりと春歌を見やると、彼女はシーツの上に手を下ろしていた。
「遊びたいな。早く元気になりたい」
「そしたら、一緒に遊ぼう。雪だるまやかまくら作って」
「楽しそう……純たちはいつもそうやって遊んでるんだね」
「自分たちで遊びを考えたりもしてるよ」
「そうなの? ならなおさら元気にならないとっ」
両手で拳をつくり笑顔を向ける春歌に、純はどこか複雑そうな笑みを浮かべた。
……このベットから、起き上がれる日が来るとは思えない。
彼女は生まれたときからずっとこのまま。ベットから起き上がることもなければ、地面を自分の足で踏んだこともない。
春歌の世界は、窓から見えるものだけ。
「春が、楽しみだな」
唐突に、彼女が言った。
「この雪が溶けたら春が来るでしょう? そうしたら、また一緒に桜を見ようね」
ふわりと微笑む春歌に、純はこくりと小さく頷いた。視線の先には、雪の重みで今にも折れてしまいそうな桜の枝。……春歌も、病気の重みに潰されているのだろうか。
「……そうだね。まずは一緒に冬を越えよう」
ぎゅっと力強く手を握り締めて、純は一人、目を伏せた。
277
:
海
:2010/01/26(火) 21:14:01 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
バレンタインは特別なイベント。
……そんなこと、誰が決めたの?
「……はあ」
本日何度目なのかわからないため息をついて、沙羅は騒々しい教室を見渡した。それぞれに趣向を凝らし、綺麗にラッピングされたものを持ち寄って、クラスの女子は耳に残る甲高い声をあげている。
それに興味がないように見せかけている男子たちも、ちらちらと彼女らの様子を伺っているのが見てとれた。
―――バレンタインは、嫌い。
心の中で悪態をついて、がたりとその場を立った。いつもなら皆その音に注目するが、今回は騒々しいせいでなにも聞こえなかったらしい。誰も音に反応しなかった。
それを好都合だと思い、沙羅は静かに教室を出た。
この日だけはどうしても好きになれない。
過去の出来事がトラウマになっているのかと訊かれれば、そうだと素直に言えない自分がいる。確かにそれが原因なのかもしれないが、はっきりとはわからない。
自分で自分のことがわからないだなんて、滑稽だ。
「今日一日はここで過ごそうか」
辿り着いたのは屋上。毎日なにかがあるとここへ来る。……いや、逃げている、と言ったほうが正しいのかもしれない。
今頃あの教室はチョコの匂いが充満しているだろうし、あの状態で授業を受けられるとは思えない。それにここの学校の教師はほとんどいい加減だから、まともに授業なんてしないだろう。ならばここで一日潰せばいい。
出てくるときに机の中から持ってきた読みかけの本を開いて、西日もあたる場所の壁に寄りかかった。
―――いつかさ、沙羅がバレンタインを楽しめるようになることを祈ってるよ。
……無理だよ、父さん。あんなことがあって、好きだなんて言えない。
寂しげに微笑んで頭を撫でてくれた父の顔が思い浮かんで、沙羅は思い切り頭を振った。
そして開いたままの本に目を通し始め、黙々と読み続けるのだった。
278
:
海
:2010/02/03(水) 16:38:42 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
―――大丈夫だよ。大丈夫。
握りしめた手のひらはとても冷たくて、
握りしめてくれた手のひらは、とてもあたたかかった。
「なにを根拠に大丈夫だと言うの?」
その言葉を鵜呑みにしろと?
僕が地を這う現実を、君はきちんと見ているの?
「根拠なんてないよ。ただ、……いつか救われることを信じているから」
それは見えないものだったから。
当時の僕は、信じることができなかっただけだ。
279
:
海
:2010/02/09(火) 18:07:23 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
陰陽が混ざるとき。
_______世界は混沌へと巻き込まれる。
280
:
麗奈
◆RPCh7f6d4s
:2010/02/09(火) 18:19:40 HOST:189.net112138065.t-com.ne.jp
久々に来たぞえ(・ω・)ノノ←
うーん…いつ読んでも海の小説&詩はいいねぇ+*
心がホッとしたよww
また来るwそしてコメするから頑張ってちょ^^
んじゃ、see you∀ノシ
281
:
海
:2010/02/10(水) 17:52:54 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
麗奈>>
お久しぶりでしーv
そんなこと言ってくれて嬉しいよ(感涙
よくここまで気力が続いてるなぁ、と自分で自分を褒める(涙
暇なときにでも作品をまとめてみよう、うん+。
282
:
麗奈
◆RPCh7f6d4s
:2010/02/10(水) 18:03:37 HOST:189.net112138065.t-com.ne.jp
よし、じゃあ、なでてあげよう((←
イイ子イイ子\(∀・
ゆっくり海の詩を鑑賞できないからそうしてくれると助かるω
ってまたコメしに来た麗奈ですたw
おじゃましてごめんよっ…
靴の跡をふいておかなきゃ…←((は?
283
:
海
:2010/02/10(水) 18:21:03 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
麗奈>>
うにゃー^^*(ぇ
うん、じゃあまとめてみるー+。
けどかなりの時間を有するー(笑
よし、今から少しだけまとめてみるよb
何をおっしゃるウサギさんΣ(△・
むしろ残してくださいそのままでッ!+。
284
:
海
:2010/02/10(水) 18:36:26 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
心に響くは君の音
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凍
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:
海
:2010/02/10(水) 18:42:04 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
凍
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煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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アネモネが見上げる意味は、
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:
麗奈
◆RPCh7f6d4s
:2010/02/10(水) 20:53:25 HOST:189.net112138065.t-com.ne.jp
かわいいねぇ^^*←
ますますなでたくなr(((ry
読んだぜぃ+°何度読んでも泣きそうになる…
特に神話がいいな∀♪
急がなきゃ急がなきゃ!
時間がなーい!急がなきゃ!
(どこいくの?)
。。。どこだっけ?
うわーーーwww超デジャブww
287
:
海
:2010/02/11(木) 12:16:36 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
麗奈>>
にー、にーっ(^^*(もう逝けばいいと思う←
アネモネ好きなのですよーっ!vv
神話も花も花言葉もb
これから神話類を増やしていこうかなー、とも考えてます+。
不思議の国のアリスーっ! アリスーっ!(ぇ
あのウサギさんが着ている燕尾服が好きです。←
銀の懐中時計持って走ってるとかvv
288
:
海
:2010/02/13(土) 09:59:45 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
【女神が恋し紅い花】
「アプロディテ、今日も行くのか?」
「ええ、アレス。……あなたには、不快なことでしかないとしても」
「……」
ふわりと頬を撫でていく春風が、腰まで伸ばされた女神の金の髪を靡かせた。頭には大きな金の髪飾りをつけており、風が吹くたびに、そこから下がる真珠がしゃらしゃらと涼やかな音をたてた。
女神は足元までを覆う絹の衣を翻し、隣を歩く男神を振り返ることなく歩いていく。その態度にむっとした表情をした男神アレスは、ぐいっと思い切り女神の腕を引っ張る。その痛さに、女神は美麗な顔をゆがめて抗議した。
「なにするのよアレス! 私は行かなければならないのっ」
「なぜ。彼はお前の愛人か?」
「違うわよっ……けど、あの子は私の傍にいたのよ。世話だってしてくれて、侍女と同じくらいの働きをしてくれたわ。その彼が今、私を待って咲いてるの。私が行かなくて誰が行くのよっ」
金の髪から覗く透き通った水色の瞳が、真剣なまなざしでアレスを見やる。その決意のまなざしを受け、アレスはふう、と小さくため息をついた。そして掴んでいた女神の腕を離し、掴みすぎて赤く痕のついてしまった場所を、指先でそっと撫でる。
「……わかった。けれど、いつもの時間までには戻ってきてくれ」
「そうするつもりよ。あなたとの時間も大切にしたいもの」
愛しむように撫で、アレスはその痕にそっと口付ける。そして名残惜しそうに口を離し、金の髪を一房持ち上げてそちらにも口付けをした。それがくすぐったかったのか、女神はくすくすと笑う。
「アレス、あなたはまだ子供ね」
「……断じて違う」
「大丈夫よ、ちゃんと戻ってくるわ。それまでエリスとでも戯れていて?」
「エリスか……」
脱力したような声音に、アプロディテはなおもくすくすと笑い続ける。そしてむっとしたアレスから離れ、すうっとひとつ微笑をこぼした。
「行ってくるわね」
そう言ったアプロディテは、駆け足で彼の元へと急ぐ。草原は女神が走り抜けるたびに息吹き、花は咲き乱れ木々は芽を出す。
息が切れつつ彼女がついた場所には、ぽつんと一輪、紅い花が咲いている。女神が歩み寄ってそっと包み込むと、その花は嬉しそうに花弁を揺らした。
「……アドニス、あなたはアネモネとなっても素敵ね」
そして女神は、アネモネの花に接吻をする。
289
:
海
:2010/02/13(土) 10:03:39 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
凍
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:
海
:2010/02/15(月) 20:43:06 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
透き通ったその空を見れば、
僕らはひとりじゃないと実感できる。
―――ほら、どこかで誰かが僕を呼んでいる。
そのために存在しているのだと、
箱庭のような空間でそう思った。
291
:
海
:2010/02/15(月) 20:43:45 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
凍
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海
:2010/02/17(水) 15:59:37 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
手に入らないとわかっていたからこそ、手に入れたいと思った。
手に入れてもすぐに零れ落ちてしまうと、頭のどこかでわかっていたのかもしれない。
―――けれど、そうだとしても手に入れたかった。
自らの身を滅ぼすことになろうとも。
君の甘美な甘さが、僕の心を、身体を、蝕んでいく。
見えない鎖で繋ぎとめられているかのよう。
君に僕は溺れていく。酔っていく。狂っていく。
僕の目の前に映るは君だけ。
―――ほら、もう少しで手に届く。
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:
海
:2010/02/17(水) 16:00:30 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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●神話●
アネモネが見上げる意味は、
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:
海
:2010/02/20(土) 11:20:42 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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眠りから覚めしお姫様
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君は華、君は宇宙
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小さな図書館
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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アネモネが見上げる意味は、
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:
海
:2010/02/20(土) 11:28:11 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
_____「この青い薔薇はどうしたのです?」
_____「くれたの。……昨日の真夜中、仮面をつけた人が」
また、来てくれるのかな。
鮮やかな蒼い色をした薔薇を手に。
隠された仮面の下の素顔を見てみたいと望むのは、いけないこと?
―――きっと、堕ちたのね。
堕ちる、堕ちて、堕ちていく。
深く、深く、地の底まで。
連れ出して、この城館から。
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:
海
:2010/02/20(土) 11:28:53 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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小さな図書館
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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●神話●
アネモネが見上げる意味は、
>>275
女神が恋し紅い花
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:
海
:2010/02/20(土) 11:39:52 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
「ごめん」と小さくつぶやいた唇は、かすかに血が滲んでいた。
______それは、とても強く唇を噛み締めていたということ。
「ごめん」と訴えかける揺れた瞳から、一滴の涙が零れ落ちた。
______それは、今の状況をとても嘆いているということ。
ならば私は、あなたが帰ってくることを祈りましょう。
唇を彩る血を指で拭き取って、零れていく涙にそっと口付けて。
幾度となく日が昇ろうと、幾度となく日が沈もうと。
298
:
海
:2010/02/21(日) 09:20:43 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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神話
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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小さな図書館
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
>>274
●神話●
アネモネが見上げる意味は、
>>275
女神が恋し紅い花
>>288
299
:
海
:2010/02/28(日) 09:27:00 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
【ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―】
「この小節からト音記号に変えたほうがいいのかなぁ……」
ぶつぶつとつぶやきながら、ひとりの少女が五線譜を前に悩みこんでいた。机に置かれた一枚の五線譜。それになにかを書き込もうとしているのだろうが、右手に握られたシャーペンが動く気配は一向にない。しまいには俗に言うペン回しというものを始める始末である。
彼女の右手を優雅に回るペンはとまらない。先ほどから休むことなく回り続けている。落とすことがないところを見ると、どうやら回すことに慣れているらしい。暇なときはいつも回しているのだろう。
がちゃりと扉が開き、ひとりの少年が入ってきた。それに彼女も気づいたらしいが、特になんの関心も持たず微動だにしない。
「……あれ? まだやってなかったの?」
「……思いつかないの、いちいち刺激しないで」
背後からかけられた声にも彼女は振り向くことなく返事をする。見据えているのはやはり五線譜で、どこか睨んでいるようにも見える。
そんな彼女をちらりと見やり、しばらくその場に立ち尽くしていた少年だったが、小さくため息をつくと少女の隣へ無遠慮に座った。そこには少女の鞄が置かれていたが、彼は邪魔なものだと思ったのだろう、掴んで無造作に端へと追いやる。
もちろんそれに彼女は激昂し、彼を睨む。力が相当こもっているらしく、シャーペンを握っている右手は白かった。けれどそんな彼女の睨みは痛くないのだというように、彼はさらりと受け流す。その態度が彼女の怒りを煽っていることを知ってのことなのだろうか。
「なにしに来たの? 私を馬鹿にしに来たの?」
「ここは僕の教室だよ。僕がどこでなにをしてようが君には関係ないよね」
「立ち去ってほしいんだけど。私、今ものすごく必死なの」
「見れてばわかるよ。だから手伝ってあげようとしているんだけど。僕が手伝ってくれるなんて、きっと全校生徒の憧れの的だよ?」
「頼んでない」
長机にどかっと足を乗せ、背もたれに体を預ける彼を一瞥し、彼女は何事もなかったかのように再び五線譜へと目を通し始める。
五線譜にはいくつかの小節に音符が書き込まれていて、作曲の途中だということが見て取れた。その音符も最後の三小節目で切れており、彼女がそこで悩んでいるということがわかる。
「それで、悩んでたのはその変わり目のこと?」
「……そうだけど」
「幻想的にしたいならト音記号に変えるべきだね、音が流れるような構成にすれば、もっと幻想的な情景が思い浮かびやすい。逆にヘ音記号にした場合、暗黒なイメージが付きやすい。力強くしたい場合もヘ音記号のほうがインパクトがあるよ」
「……さすが、優等生と言うべきところだね。性格に問題ありだけど」
「いちいちうるさいね、君は。教えてあげたんだから感謝してもらいたいな」
「だから頼んでないって」
この俺様主義の優等生はなんなのか。
誰に問いかけたって、返ってくる答えは決まっている。
天才音楽少年でしょ? と。
「……まあ、君が弾くものならなんでもいいんだけど」
ぽそりとつぶやいた声は、静けさの残る教室へ消えていく。
西日が教室へ入り込んでいる。部活終了のチャイムが鳴る。
―――鼓動が、どきんと大きく脈打つ。
「……なら、下手でも最後まで聴いてくれるの?」
恥ずかしさで語尾が震える。顔が赤いのは夕日のせいだと、自分に言い聞かせる。
「もちろんだよ。結果がどうであれ、ね」
少し微笑みながら彼は言った。
それを直視することができず、彼女は手元のペンを走らせたのだった。
300
:
海
:2010/02/28(日) 09:27:48 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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不思議な世界
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君は華、君は宇宙
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小さな図書館
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
>>274
ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
>>299
●神話●
アネモネが見上げる意味は、
>>275
女神が恋し紅い花
>>288
301
:
海
:2010/02/28(日) 11:43:10 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
―――夢を、見ていた。
辺り一面はやわらかな草が敷き詰めている草原で、その草原を涼やかに風が通り抜けていく。風に揺れる草はさらさらと音を立て、自分の履いているズボンにあたって擦れた音がしている。
ふと上を向けば、炎帝は光を弱めている。日没が近いからというわけではないようで、どうやらもともと弱いだけらしい。普段なら直接見ることはできないのに、それは肉眼で直視することができた。
草原の向こう側には、頂点が白い山と透き通った青空が見える。この景色は、いつかの本で見たことがあった。
けれどその本がどんなものだったのか思い出せない。
******
続きが抜け落ちてしまった作品orz
ここからどうもっていこうとしてたんだ自分……。
歳……かなぁ…(涙
302
:
あああ
:2010/02/28(日) 11:49:54 HOST:softbank126023006045.bbtec.net
これはアメリカのゲームです。1度やってみて
ください。
これは、たった3分でできるゲームです。試し
てみてください。
驚く結果をご覧いただけます。
このゲームを考えた本人は、メールを読んでか
らたった10分で願い事がかなったそうです。
このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く
結果を貴方にもたらすでしょう。
約束してください。絶対に先を読まず、1行ず
つ進む事。
たった3分ですから、ためす価値ありです。
まず、ペンと、紙をご用意下さい。
先を読むと、願い事が叶わなくなります。
1,まず、1番から、11番まで、縦に数字を
書いてください。
2,1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそ
れぞれお書き下さい。
3,3番と7番の横に知っている人の名前をお
書き下さい。(必ず、興味のある性別名前を書
く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら
同姓の名前をかく)
必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、
なにもかもなくなります。
4,4,5,6番の横それぞれに、自分の知っ
ている人の名前をお書き下さい。これは、家族
の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。
まだ、先を見てはいけませんよ!!
5,8、9、10、11番の横に、歌のタイト
ルをお書き下さい。
6,最後にお願い事をして下さい。
さて、ゲームの解説です。
1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人
に伝えて下さい。
2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋
の相手です。
4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思
う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く
理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらし
てくれる人です。
7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す
歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す
歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す
歌。
10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人
生を表す歌です。
この書き込みを読んでから、1時間以内に10
個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って
下さい。
そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。
もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こ
るでしょう。とても奇妙ですが当たってません
か?
303
:
海
:2010/03/04(木) 17:33:20 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
もしさ、それだけが形となって目の前に現れたなら。
僕らはきっと、触ることをしないだろうね。
もしさ、過去に戻れるならばと問いかけられたなら。
―――僕はきっと、戻ってしまうだろう。
304
:
海
:2010/03/04(木) 17:39:48 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
大好きなんだとつぶやくだけなら、
―――誰にだってできることだ。
そう、思ってしまったから。
僕は誰にでも決まった言葉を並べるのでしょう。
305
:
海
:2010/03/04(木) 17:42:17 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
言葉が嫌いになったのはいつからだった?
言葉が雑音に聞こえ始めたのはいつからだったろう。
思い出すことができないほど、自分は嫌いになったということか。
……そう思ったら、自分があまりにも滑稽だった。
306
:
海
:2010/03/04(木) 17:54:56 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
ぐしゃ、とつぶされた花びらが舞っていく。
蒼い花弁は重力にそって落ちていき、床へと向かう。
それをわずらわしいと思うのはいけないことなのか。
横目で見れば、手に残るは折れそうな茎。
今にも崩れ去ってしまいそうなのに、その茎は折れなかった。
どんなに振っても、どんなに投げつけても。
―――崩れ去ることはなかった。
それがどこか君に思えて。
僕はまた、その茎を壁へと投げつけた。
307
:
海
:2010/03/04(木) 18:04:16 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
「不可能の代名詞、それが蒼い薔薇だよ」
記憶の片隅。忘れ去っていた声。深く考えなかった言葉。
それらがいっせいに思いだされた。
追いやられていた、幼き日の小さな記憶。
忘れていた、安堵する声。
意味のわかっていなかった、最期の言葉。
不可能。
この言葉を聞いたから、人は努力することを覚えた。
改良を加え、自分がそれをつくりだせるように。
……今思いだすなんて、滑稽だ。
もっと早くに、思いだせればよかったよ。
308
:
海
:2010/03/04(木) 18:11:09 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
「なぜ父さんは、売れないのに絵を描き続けるんだ?」
描いていたって家計の足しになんかならないのに。
買う人がほとんどいないことを、誰よりもよく知っていた。
―――その答えは、単純だった。
「好きだからだよ。……母さんがね、好きだと言ってくれたんだ」
記憶の片隅に残っている、幼き日の母の姿。
時間が刻一刻と過ぎるたびに、その姿は薄れていく。
とめようとしても、やはり姿は薄れていくだけだった。
父が描いた、生前の母の姿。
それは今の自分に必要なものだったのかもしれない。
309
:
海
:2010/03/04(木) 18:14:24 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
この世に必要なものも不必要なものも、同じくらいあふれている。
必要なものがひとつあれば、不必要なものもひとつあるのだ。
それを否定するなんて、なんとも滑稽な話じゃないか。
310
:
海
:2010/03/04(木) 18:21:24 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
溜め込んでいた詩を一気にupしました。
>>309
だけブログにも掲載しています。
○詩○
異世界風味
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神話
>>244
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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不思議な世界
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君は華、君は宇宙
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
>>274
ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
>>299
●神話●
アネモネが見上げる意味は、
>>275
女神が恋し紅い花
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311
:
海
:2010/03/04(木) 18:22:41 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
なぜしくじった;
訂正版。
○詩○
異世界風味
>>220
、
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、
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神話
>>244
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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不思議な世界
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君は華、君は宇宙
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
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●神話●
アネモネが見上げる意味は、
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女神が恋し紅い花
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:
海
:2010/03/07(日) 18:05:49 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
指先から滴る液体は、僕を苦しめる毒薬だった。
君の片手に握られた小瓶。
中に入っているは紅蓮。
それを貪りたいがために、僕は自らの身を削る。
それを手に入れたいがために、僕は君を殺してしまう。
それならば―――
僕はこの身を、投げうろうじゃないか。
313
:
海
:2010/03/07(日) 18:06:23 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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神話
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不思議な世界
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
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●神話●
アネモネが見上げる意味は、
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女神が恋し紅い花
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:
海
:2010/03/10(水) 16:57:45 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
「アプロディテさま」
透き通った少年独特の声が神殿へ響き渡り、反響してすうっと消えていく。それを聞いてか否か、きらびやかな金の柱の影からゆっくりと女神は現れ、つけられた真珠の髪飾りがしゃらしゃらと涼やかな音をたてた。
少年は女神にひとつ微笑みを向けて、軽やかにそちらへと駆けていく。それを愛しげに見つめた女神は、そんな少年を両手で受け止め抱きしめた。そして彼はどこかくすぐったそうに笑う。
「くすぐったいですよーっ」
「あら、アドニス。あなた大人っぽくなったわね」
「そうですかっ? アプロディテさまを守れるようになりたいので、狩猟に励んでいるからでしょうか」
「それは嬉しいわ。でも狩猟は危ないから気をつけてね」
嬉々として話すアドニスとは対照的に、彼女は美麗な顔を曇らせて不安げにしている。そんな表情を読み取り、少年は「大丈夫ですよ」というように微笑み、そして小さな手で女神の頬を撫でた。
たったそれだけで彼女の顔には笑みが戻る。
「そういえばアプロディテさま、昨日狩猟に出かけたところ、とても素敵な薔薇が咲いている場所があったんです。今日もこれから行くつもりなので、一輪持ち帰ってきますね!」
「怪我には気をつけてね? 薔薇も好きだけれど、あなたが無事に帰ってきてくれることがなによりも嬉しいわ」
「もちろんです! アプロディテさまを悲しませるようなことはしません」
腕の中で少年は微笑んでみせる。彼の笑顔は神々でさえ一目おくほどの美しさだ。
それを見て女神は複雑な笑みを浮かべ、つけられている髪飾りから一粒の真珠を外す。そして驚いている少年の手へとそれを握らせた。
「私の代わりよ。必ず無事に帰ってきてね」
それは、女神の切実な願い。
「わかりました。僕は必ず無事に戻ってくると、愛と美の女神アプロディテさまに誓います」
ぎゅっと手のひらを祈るように握り、少年は瞼を閉じる。そしてしばしの沈黙の後、アドニスは瞳を開き、まっすぐに女神を見つめた。それぞれの瞳にはお互いしか映っていない。
「では、行ってきます!」
深く頭を下げ、アドニスは元気よく神殿を出て行った。
―――女神が少年を見たのは、これが最後だった。
315
:
海
:2010/03/10(水) 16:58:21 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
>>220
、
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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不思議な世界
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
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ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
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●神話●
アネモネが見上げる意味は、
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:
海
:2010/03/13(土) 14:40:36 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
ぽとり。ぽとり。
腕を伝って床へ滴り落ちていくものを、僕は一心不乱に見つめている。
ぽとり。ぽとり。
もう我慢できなくなって、僕はそれを飲み干した。
317
:
海
:2010/03/13(土) 14:47:23 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
一歩。たったの一歩。
踏み出せばいいものを、踏み出せない自分に腹が立つ。
この距離が心地よくて、この距離を壊したくなくて。
ただ笑っている君を見ているだけで幸せだった。
ただ話しかけてくれる君が愛しかった。
たったの一歩が、踏み出せない。
318
:
海
:2010/03/13(土) 14:57:36 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
許されない恋を、僕は初めて経験した。
その相手は隣国の姫君。
それでいて、自国の―――敵国。
限られた時間の中で、僕らはふたりだけの約束をした。
「僕は、必ずあなたを迎えに行きます」
319
:
海
:2010/03/13(土) 15:14:18 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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○小説○
眠りから覚めしお姫様
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不思議な世界
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君は華、君は宇宙
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●音楽的小説●
煌めきの奏鳴曲(ソナタ)
>>274
ト音記号とヘ音記号 ―高いものと低いものと―
>>299
●神話●
アネモネが見上げる意味は、
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>>288
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>>314
320
:
海
:2010/03/20(土) 15:48:52 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
しばらくご無沙汰でした、海です。
オリジナルのアイデアが浮かばず、放浪の旅に出ていましt((
……嘘です、版権作品に力を注ぎ込んでました(遠目
余談ですが、明日の21日で我がブログの一周年です。
長かったような短かったような……それでもよく小説書いてこれたな、これも皆様のおかげです(感涙
影ながら支えてくださっている方々もいますので、彼らのためにも書き続けなければ、の思いです。
書くのは楽しいんですけどね!←
もっと文才がほしいです。切実に。
321
:
誄
:2010/03/21(日) 10:10:41 HOST:softbank219182178139.bbtec.net
海>>
おめでとーっ!
今日で、一周年だったんだね+。 てか、本当に早いよね、そう思うと!
一周年記念、何かお書きしたい気持ちでいっぱいなんですが+。 ←
オリジナルの方で、何かリクがあれば書くよb
海、文才めっちゃあるよっΣ
なのにもっと欲しいとかよくばりすg(蹴/殴
322
:
海
:2010/03/21(日) 17:25:48 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
誄>>
よくここまで続けてこれたなって自分でも驚きだよ(笑
マジですか!? じゃあ拍手でvv
いや、ないよΣ
切実にほしいです、だってありえねえぇぇ!!(ぇ
323
:
海
:2010/03/22(月) 15:08:12 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
曇天の空に一筋の光が走ったとき、雷神が降臨すると言われている。
どこに降り立つのかも、どんな神様なのかも、姿を見ることはできない。けれどこの世界の人々にとって雷神は崇拝すべき対象であり、神と人間の国を守ってくれているとも言い伝えられていた。
◇◇
「トール、そろそろ雷を落としてはくれまいか。このままお前がなにもせずにいると、人間の世界が干からびてしまう」
嘆くようにつぶやかれた男の声に、寝転がっていた青年は視線だけを注ぐ。男は露わになっている片方の瞳を青年へと向けており、もう片方の眼は黒い眼帯に覆われていた。
立っているだけでもその男からは威厳が漂っている。思わず息を呑んでしまうほどのものであるにもかかわらず、青年は何事もないかのようにため息をついた。
「ため息をつきたいのはこっちだよ。雨を降らさなければ作物が育たず、生贄も捧げられない」
「……ふーん」
「それだけで済まさないでくれ……トール、お前はあくまでも“アース神族最強の雷神”なんだぞ? 頼む、父の願いをきいてくれ」
「……」
両手を合わせて頭を下げる父に対しても、彼は眉をひそめただけだ。
トールと呼ばれた青年の父は“アース神族の最高神”オーディンで、普段は全世界が見渡せる玉座に座っている。しかし世界に雨が足りないと知って、息子の雷神トールのもとへと足を運んだのだ。
そんな父の心の中を、思慮に欠けているトールが考えるはずもなく。
「……で? どのくらい降らせばいいんだ?」
再びため息をついたトールは上半身を起こし、小さくそうつぶやいた。面倒な様子が明らかに見て取れるが、オーディンは気にした様子もなく、顔を輝かせて嬉々としている。
「そうだなあ……洪水にならない程度に頼む」
「……わかったよ」
煩わしそうに頭を掻いたトールは、気だるげに立ち上がる。そして雨を降らせるために、ゆっくりとした足取りで歩いていった。
324
:
海
:2010/03/22(月) 15:11:50 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
○詩○
異世界風味
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325
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/25(木) 18:14:48 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
>>323
なんの話だ、と思った方へ。
これは北欧神話の、雷神トールのお話です。
実際はこんな気だるい雰囲気な神様ではない……はずΣ
ブログで「オーディンがかわいいvv」というコメントをいただけて嬉しかったです、でも多分こんな雰囲気は微塵もないよ、実際の神話だったら(^▽^)ハハハ
そんな北欧神話のことを知りたいならばこちら⇒「ttp://homepage3.nifty.com/ryuota/norse.html」
326
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/25(木) 18:18:35 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
北欧神話を知れるサイトを紹介したのであればギリシアも……ということで。
ギリシア神話を知りたいのであればこちら⇒「ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~kinokokingdom/greekmythology.html」
327
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/25(木) 18:21:57 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
最初からこうしてればよかった……貴重なレスを無駄にしたorz
◇◆参考サイトさま等◆◇
ギリシア神話⇒「ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~kinokokingdom/greekmythology.html」
北欧神話⇒「ttp://homepage3.nifty.com/ryuota/norse.html」
○詩○
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328
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/28(日) 18:30:17 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
きっと僕は、根本から否定してほしかったのだと思う。
曖昧なやさしさなんていらない。
曖昧な冷たさなんていらない。
やさしくするならやさしくしてよ。
冷たくするなら冷たくして。
そしたら僕は―――それに全力で応えるから。
329
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/29(月) 10:45:42 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
◇◆参考サイトさま等◆◇
ギリシア神話⇒「ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~kinokokingdom/greekmythology.html」
北欧神話⇒「ttp://homepage3.nifty.com/ryuota/norse.html」
○詩○
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330
:
麗奈
◆RPCh7f6d4s
:2010/03/29(月) 10:50:18 HOST:189.net112138065.t-com.ne.jp
お久しぶりー^^
かなりこのサイト自体放置してたよー(Д`;;)ノ
ってことで、まずはここに来てしまったZE★
なんかサイトの案内。。。?があるっw
行きます行きます行きます行きまs((((←
>海
331
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/29(月) 12:25:55 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
麗奈>>
俺も一時期放置してたから大丈夫だよww←
うん、案内……あったほうがいいかなぁって;
学アリのほうでも案内を設けてるし、そしたら見ている人がいるのかさえも危ういけどとりあえずは載っけとくかー、てノリだけどね☆(逝ってこい
ΣΣ連呼!
332
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/29(月) 12:27:06 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
海が性懲りもなく書き方を小説風にしてみたよ。(多分二度としない
うん、読みにくい。これは友人に頼まれた自作小説のキャラが元。
原稿用紙200〜400枚は意外ときつかった……楽しかったけど。
天高く伸びる太陽が世界を照らしている。それを煩わしげに見上げたひとりの生徒は、小さく舌打ちをして木陰へと身を潜める。葉の間から陽の光がもれており、木漏れ日をつくっていた。
木の幹に寄りかかりながらその生徒はため息をつく。木漏れ日が彼の制服や顔に模様をつくっていて、どこからか吹いてくるそよ風がやさしく頬を撫でていった。
まだ寒さの残る時期だからか制服を着ていても肌寒い。彼は腕をさする。そのさすったところに意味はあったのだろうか。
どこからか明るい笑い声が響いてきた。ただのくだらない雑談だと、彼はゆっくりと黒曜石の双眸を閉じた。
『―――……だよっ』
遠い遠い記憶の果て。忘れかけていた、過去の記憶。
『―――ね? 劉!』
懐かしい、自分を呼ぶ声。
『……うん。そうだね』
笑って答える、過去の自分。
これから起きることが何なのかも知らずに、ただただ無邪気に笑っている、今となっては信じられない光景。
ふたりを取り巻いているやわらかな光はさまざまなものに姿を変え、幼い彼らを喜ばせていた。淡く黄金に輝いたかと思えば豹の姿になり、はたまた蒼くきらめけば海豚の姿へと変わる。それを掴むように伸ばされる、小さな手。
なにもかもがすり抜けていった、忌々しい自らの手。
『これからもずーっと、だよ?』
過去の記憶が先ほどより鮮明によみがえってくる。周りの景色も色鮮やかになる。彼らの表情もはっきりと見える。
笑顔で差し伸べてくる小指に、過去の自分はなんの躊躇いもなく自らの小指を絡めた。そしてお決まりの台詞をふたりで言う。
『嘘ついたら針千本飲ーます!』
『指切った』
針千本飲まなきゃいけなかったのはお前だろ。お前は簡単にそれを破った。「いつでもできる」という名目で。
俺にとっては「いつでもできる」わけじゃなかったんだ。
―――俺は、お前の前から消える存在だったから。
「……いやな過去だったな……最悪なものをみた」
閉じられていた瞳を開けると、その景色は先ほどと変わらずにその場にある。そよ風に揺らぐ葉も、どこからか聞こえてくる笑い声も、なにもかもが先ほどと同じ。
なにかが変わっていればよかったとでも言うのか? 馬鹿馬鹿しい。
自分で自分を叱責し、彼は気だるそうに教室へと歩んでいくのだった。
333
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/29(月) 12:29:07 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
劉って名前にしたのは三国志の劉備を俺が好きだから←
◇◆参考サイトさま等◆◇
ギリシア神話⇒「ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~kinokokingdom/greekmythology.html」
北欧神話⇒「ttp://homepage3.nifty.com/ryuota/norse.html」
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守れなかっただろ、お前はそれを
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334
:
栞
:2010/03/30(火) 10:55:59 HOST:cm119.ucat5.catvnet.ne.jp
はろー*゜
えっ、友人から頼まれるの!?
何か海、作家さんみたいv
私も三国志好きだよw
孔明が好きかなぁ。だって凄いよ彼のたてる作戦は!!!!(黙
…というのをリアル友にも語ってた←
335
:
海
◆Gv599Z9CwU
:2010/03/30(火) 17:32:39 HOST:61-24-234-103.rev.home.ne.jp
栞>>
はろろ〜んっ♪
学アリのほうで楽しみにしてます、天使悪魔パラレル+。
栞のパラレル好きだ、マイナーなテーマなのにもかかわらず自分なりの世界観を描いてて、ぜひとも参考にしたいぞ俺は!
自分の世界観を相手に伝えるのが上手いよね、栞は(´`*
友人が「小説の挿絵を練習したいの!」と言ってくるのです。
だから「……ページ数は如何しますか;←諦めた」「単行本くらいで! 描けたらこっちでコピーして冊子にしていい?」「いいよー。それ俺にもくれ!」「了解(笑」てな感じのが……前回ので二回目かな?
一度目は文化祭のとき^^;
今年の文化祭は小説を冊子として出品するよ^^+。(絵は諦めt((
ΣΣ仲間がいらっしゃった―――!+。(きらっきら
孔明いいよねv 弟の友達に「孔明」って名前の男の子が←
夷陵の戦いの陣はすごいと思う、陸遜を欺けたしね! 最後には破られたがorz
俺はやっぱり蜀が一番好きだなぁ^^*
336
:
栞
:2010/03/30(火) 19:20:27 HOST:cm119.ucat5.catvnet.ne.jp
海+゜
海にそんな風に褒められたら嬉しすぎて舞い上がっちゃうy(調子に乗りましたね、ハイ。
せっ世界観を伝えるのが上手いぃ?!ただ空想して勝手に世界作ってるだけだって!!!
なるほど、挿絵の練習をしたいから海に小説を頼むのですね。
Σって単行本くらい?!長くない、それって長くn(黙
文化祭で小説を冊子として出品となっ!!良いな、その冊子欲しい♪
孔明って名前の子がいるの!?珍しくてカッコいい名前だね+゜
だよねー。最後には破られちゃったけど、本当の意味で陸遜は孔明には敵わないと思う!…と信じてる←
んで友達にも三国志好きな人居るんだけど(といっても男子だけど
いろいろな人物にリアルの人を当てはめたりしてたんだよね。
そして曹操にピッタリの人を見つけたんだ(黒笑
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