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.。.:*・゚☆虹空☆.。.:*・゚
288
:
海
:2010/02/13(土) 09:59:45 HOST:61-26-250-103.rev.home.ne.jp
【女神が恋し紅い花】
「アプロディテ、今日も行くのか?」
「ええ、アレス。……あなたには、不快なことでしかないとしても」
「……」
ふわりと頬を撫でていく春風が、腰まで伸ばされた女神の金の髪を靡かせた。頭には大きな金の髪飾りをつけており、風が吹くたびに、そこから下がる真珠がしゃらしゃらと涼やかな音をたてた。
女神は足元までを覆う絹の衣を翻し、隣を歩く男神を振り返ることなく歩いていく。その態度にむっとした表情をした男神アレスは、ぐいっと思い切り女神の腕を引っ張る。その痛さに、女神は美麗な顔をゆがめて抗議した。
「なにするのよアレス! 私は行かなければならないのっ」
「なぜ。彼はお前の愛人か?」
「違うわよっ……けど、あの子は私の傍にいたのよ。世話だってしてくれて、侍女と同じくらいの働きをしてくれたわ。その彼が今、私を待って咲いてるの。私が行かなくて誰が行くのよっ」
金の髪から覗く透き通った水色の瞳が、真剣なまなざしでアレスを見やる。その決意のまなざしを受け、アレスはふう、と小さくため息をついた。そして掴んでいた女神の腕を離し、掴みすぎて赤く痕のついてしまった場所を、指先でそっと撫でる。
「……わかった。けれど、いつもの時間までには戻ってきてくれ」
「そうするつもりよ。あなたとの時間も大切にしたいもの」
愛しむように撫で、アレスはその痕にそっと口付ける。そして名残惜しそうに口を離し、金の髪を一房持ち上げてそちらにも口付けをした。それがくすぐったかったのか、女神はくすくすと笑う。
「アレス、あなたはまだ子供ね」
「……断じて違う」
「大丈夫よ、ちゃんと戻ってくるわ。それまでエリスとでも戯れていて?」
「エリスか……」
脱力したような声音に、アプロディテはなおもくすくすと笑い続ける。そしてむっとしたアレスから離れ、すうっとひとつ微笑をこぼした。
「行ってくるわね」
そう言ったアプロディテは、駆け足で彼の元へと急ぐ。草原は女神が走り抜けるたびに息吹き、花は咲き乱れ木々は芽を出す。
息が切れつつ彼女がついた場所には、ぽつんと一輪、紅い花が咲いている。女神が歩み寄ってそっと包み込むと、その花は嬉しそうに花弁を揺らした。
「……アドニス、あなたはアネモネとなっても素敵ね」
そして女神は、アネモネの花に接吻をする。
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