3年後には、すでに運行を開始しているJR九州の「ななつ星 in 九州」と合わせて、3本の「豪華寝台列車」が日本を巡る。鉄道旅行家にとって、すばらしい時代がやってくる。
●「ななつ星 in 九州」よりリーズナブル?
ところで、JR九州の「ななつ星 in 九州」は高額な料金も話題となった。JR西日本の真鍋社長は「ななつ星 in 九州よりリーズナブルな料金にしたい」と語ったという。
しかしJR西日本の新たな寝台列車は、最上級で1車両1室を使うぜいたくな客室である。従来の列車運賃体系とは異なるハイクラスな料金を設定するだろう。そもそもここで「リーズナブル」という言葉は失言だ。料金を安くしたいという意図だと思うけれど、リーズナブルは「理にかなった」「価値に見合った」という意味だ。この発言は「ななつ星 in 九州」に対する皮肉とも取られかねない。乗ってみなければ何とも言えないが、ななつ星 in 九州は高額であっても「リーズナブル」であるはずだ。もちろんJR西日本の寝台列車も同じである。
「ななつ星 in 九州」の場合、実は夜間の走行は少ない。もちろん夜通し走る区間もあるけれど、乗客が眠る時間帯は駅に停車して静寂な客室を提供するか、旅館へ案内するツアーとなっている。夜行列車だからといって、夜通し走り続ける必要はない。夜間は駅に待機させれば、夜間の線路保守の妨げにはならない。そもそも列車の少ない夜間は「施設が遊んでいる状態」である。夜間に貨物列車が走るような幹線では、運行担当の職員が夜間も従事している。旅客列車が増えたところで、大幅な人員の負担にはならない。
医学誌「Journal of Clinical Sleep Medicine」最新号に発表された研究では、健康な成人5人を、ドイツで2カ月以上にわたり、電気や時計、水道のない石器時代さながらの状況に置いた。被験者たちは通常の生活で推定されるよりも約2時間早く眠りにつき、睡眠時間が平均して1.5時間長かったという。一晩の平均睡眠時間は7.2時間だった。